JP2015501781A - ジビニルアレーンジオキシドを調製する方法 - Google Patents

ジビニルアレーンジオキシドを調製する方法 Download PDF

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Abstract

ジビニルアレーンジオキシドを形成する条件下で、(a)少なくとも1種のジビニルアレーンと、(b)過酸化水素と、(c)少なくとも1種の鉄含有触媒と、(d)過剰のアミンハロゲン化水素とを反応させるステップを含む、ジビニルアレーンジオキシドを調製する方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ジビニルアレーンジオキシドを調製する方法に関する。より具体的には、本発明は、ジビニルアレーンジオキシド生成物の収率増加をもたらすことができる過酸化水素および鉄含有触媒を用いてジビニルアレーンをエポキシ化することによりジビニルアレーンジオキシドを調製する方法に関する。
ジビニルアレーンジオキシド、例えば、ジビニルベンゼンジオキシド(DVBDO)およびジビニルベンゼン(DVB)由来の他のものは、エポキシ熱硬化性配合物において反応性希釈剤または主要なエポキシ樹脂マトリクスのいずれかとして使用され得るクラスのジエポキシドである。DVBDO自体は、極めて低い液体粘度(例えば、約20センチポアズ(0.02Pa−s)未満)を有し、DVBDOを低粘度エポキシ配合物の調製に特に有用にしている。DVBDOから製造されたエポキシ配合物は、種々の他の製品の製造の中間体として有用である。例えば、DVBDOから製造されたエポキシ配合物は、コーティング、複合材および成形用組成物の分野に使用するのに適している。
ジビニルアレーンジオキシド、例えば、DVBDOの調製は、典型的には、DVBなどのジビニルアレーンのエポキシ化を伴う。DVBなどのジビニルアレーンのエポキシ化は、ジビニルアレーンがモノオレフィンと比べて分子中に2個の末端オレフィン基を含有するために、DVBDOなどのジビニルアレーンジオキシドを製造する工業的方法においていくつかの課題をもたらす。ジオレフィン化合物のオレフィン基のいくつかがエポキシドに変換されない場合(例えば、m−DVBについて以下の単純化反応スキームIで示すように)、ジビニルベンゼンモノオキシド(DVBMO)などの一酸化物が結果として生じる粗生成物中に残るだろう。
Figure 2015501781
DVBMOなどの望ましくない一酸化物およびDVBDOなどの所望の二酸化物生成物の沸点は互いにあまりに近いために、望ましくないDVBMOを所望の生成物DVBDOから除去するためには極めて効率的な分離法が必要とされるので、工業規模でDVBDOを製造する方法の費用および複雑性が増加する。DVBおよびDVBMOはまた、重合しやすく、このこともこの方法の複雑性を増す。
今までに、過酸化水素および金属触媒を使用したDVBのエポキシ化が当技術分野で開示されてきた。例えば、Inoueら(Bull.Chem.Soc.Jpn.、1991、64、3442)は、モリブデン(Mo)触媒の存在下で過酸化水素(H)をDVBと反応させることによるDVBDOの調製を開示している。上記参考文献に開示されているDVBDOの収率は、生成物の不安定性および触媒分解のために、わずか10パーセント(%)である。特開平9−286750号公報に開示されている別の方法は、DVBDOを30%の収率で製造する。以下の4つの他の方法が、DVBDOの合成に関して国際公開第2010−077483A1号パンフレットに開示されている:(1)メチルトリオキソレニウム(MTO)およびH;(2)ペルオキソリン酸タングステン酸(peroxophosphatetungstic acid)のアンモニウム塩およびH;(3)FeCl・6HO、HPydic(ピリジン−2,6−ジカルボン酸)、およびアミンとH;ならびに(4)Mn(III)HQ錯体、酢酸アンモニウム、酢酸およびH
MTOおよび過酸化水素を使用したDVBDOの合成は、DVBDOを70%の収率でもたらす。しかしながら、MTOは高価であり、工業規模でのその使用は法外な費用がかかるおそれがある。あまり高価でないペルオキソリン酸タングステン酸触媒およびMn(III)HQ触媒の使用は、DVBDOをそれぞれ20%の収率および18%の収率でもたらす。
FeCl・6HO、HPydicおよびアミンとHで構成される混合物は、DVBDOを77%の収率でもたらすが、1%〜3%のジビニルベンゼンモノオキシド(DVBMO)がまだ混合物中に存在する。DVBMOは、あまり望ましくない共生成物(co−product)であり、DVBDO生成物から任意の残っている量のDVBMOを分離することは困難である。さらに、この方法は、今までに5mol%未満の触媒充填では77%を超えるDVBDO収率をもたらさないことが知られているために、Feの5%の充填を要する。さらに、この方法は、0.76体積%のDVB充填を使用するに過ぎない。換言すれば、DVBの希釈溶液を使用しなければならず、これは工業的方法にとって決して理想的でない。さらに、この方法は、1ビニル基毎に2当量の過酸化水素を要する。そのため、理論量の2倍の過酸化水素が必要であり、これは無駄および不経済である。
本発明は、ジビニルアレーンジオキシドを調製する方法に関し、より具体的には、本発明は、鉄含有触媒の存在下およびアミンハロゲン化水素の存在下で、ジビニルアレーンと過酸化水素酸化体の触媒反応によりジビニルアレーンジオキシドを調製する方法に関する。
一実施形態では、本発明は、ジビニルアレーンジオキシドを形成する条件下で、(a)少なくとも1種のジビニルアレーンと、(b)酸化体としての過酸化水素と、(c)少なくとも1種の鉄含有触媒と、(d)(鉄触媒に対して)少なくとも1当量のアミンハロゲン化水素とを反応させることにより、ジビニルアレーンジオキシドを調製する方法を含む。
例えば、1つの好ましい実施形態では、本発明は、DVB、過酸化水素、鉄含有触媒、およびアミンハロゲン化水素から始めるDVBDOへの金属触媒経路であって、製造される望ましくない共生成物の量が低い(一般的に5%未満)経路を提供する。低量の望ましくない共生成物を製造することに加えて、本発明の方法は、例えば、以下を含む他の利点を有する:(1)金属が容易に入手可能であり、比較的安価である;(2)DVBDOの収率が少なくとも約77%である;(3)混合三級アルコールおよび塩素化溶媒が使用される;(4)触媒充填が低い(約2.5mol%以下);(5)1ビニル基当たりの過酸化水素の当量が低い(例えば、約2未満および約1に近い);(6)DVBの充填が少なくとも約1体積%である;および(7)反応が速い、例えば、反応が約4時間未満で完結する。
一実施形態では、本発明の方法に使用される鉄含有触媒は、例えば、Fe化合物含有Pydic(ピリジン−2,6−ジカルボン酸)配位子または少なくとも1当量のアミンハロゲン化水素が反応混合物に添加された場合に、上記利点(1)〜(7)の全てを満たすFeCl・6HO、HPydic(ピリジン−2,6−ジカルボン酸)から製造された混合物を含むことができる。アミンハロゲン化水素(例えば、ジイソプロピルアミンHCl)を添加しないと、DVBDOの収率は約41%未満となることが分かった。
例えば、一実施形態を説明するために、配合物中2.5mol%のPydicFeCl(OH充填を用いるとDVBDOの収率はわずか4.4%となるが、約10mol%のジイソプロピルアミンHClを配合物に添加すると、収率は約87.3%まで劇的に増加する。約3.1mol%のジイソプロピルアミンHClをその場生成(in−situ generated)触媒(約0.31mol%Fe)混合物に添加すると、約85.6%のDVBDO収率が得られることも分かった。ジイソプロピルアミンHClを反応組成物に添加しないと、DVBDOの収率はわずか約41.4%となり、約52.4%のDVBMOが残っている。
その最も広範な範囲で、本発明は、触媒、特に鉄含有触媒の存在下;ならびにアミンハロゲン化水素などのアミン添加剤;および溶媒などの他の任意の添加剤の存在下で、酸化体として過酸化水素を使用して、ジビニルアレーンからジビニルアレーンジオキシドを調製する方法であって;上記反応方法により製造された得られたジビニルアレーンジオキシド生成物は、残っているDVBおよび/またはDVBMOを実質的に含まない方法を含む。本明細書中で反応生成物と関連して使用される「残っているDVBおよび/またはDVBMOを実質的に含まない」は、DVBを実質的に含まないについては約1%未満、およびDVBMOを実質的に含まないについては約5%未満を意味する。
本発明の一実施形態によると、ジビニルアレーン化合物をエポキシ化してジビニルアレーンジオキシド化合物を得る方法は、以下の化合物を一緒に反応させることにより行われ得る:(a)少なくとも1種のジビニルアレーン、(b)十分な量の酸化体としての過酸化水素、(c)少なくとも1種の鉄含有触媒、および(d)鉄含有触媒の鉄(Fe)元素に対して少なくとも1当量のアミンハロゲン化水素。
本発明に有用なジビニルアレーンの供給源は、任意の既知の供給源、特にジビニルアレーンを調製する既知の方法に由来することができる。例えば、ジビニルアレーンは、アレーンおよびエチレンからの塩または金属廃棄物を用いて調製され得る。
本発明の一実施形態では、本発明に有用なジビニルアレーンは、任意の環位置に2個のビニル基を有する任意の置換または非置換アレーン核を含むことができる。アレーンは、例えば、ベンゼン、置換ベンゼン、もしくは(置換)環縮合ベンゼン、およびこれらの混合物を含み得る。一実施形態では、ジビニルベンゼンは、オルト、メタ、もしくはパラ異性体、またはこれらの任意の混合物であり得る。追加の置換基は、例えば、飽和アルキル、アリール、ハロゲン、ニトロ、イソシアネートもしくはRO−(Rは飽和アルキルもしくはアリールであってもよい)、またはこれらの混合物を含む酸化耐性基からなることができる。環縮合ベンゼンは、例えば、ナフタレン、テトラヒドロナフタレンなど、およびこれらの混合物を含むことができる。
別の実施形態では、ジビニルアレーンは、多量の置換アレーンを含有し得る。置換アレーンの量および構造は、ジビニルアレーンの調製に使用される方法に依存する。例えば、ジエチルベンゼン(DEB)の既知の脱水素化により調製されるDVBは、エチルビニルベンゼン(EVB)およびDEBを含有し得る。
本発明の方法に使用されるジビニルアレーンは、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニル、ジビニルジフェニルエーテル、およびこれらの混合物を含むことができる。
本発明に使用されるジビニルアレーンの濃度は、一般的に組成物の総重量基準で、一実施形態では約0.5重量パーセント(重量%)〜約50重量%、別の実施形態では約1重量%〜約10重量%、さらに別の実施形態では約2重量%〜約8重量%に及び得る。
本発明に有用な酸化剤または酸化体は過酸化水素を含む。一般的に、本発明に有用な過酸化水素:ジビニルアレーンのモル比は、一実施形態では最大約5:1までであってもよく、別の実施形態では約1:1〜約5:1、さらに別の実施形態では約1:1〜約4:1、なお別の実施形態では約1:1〜約3:1に及んでもよい。
酸化体として過酸化水素を使用するジビニルアレーンジオキシドの調製は、鉄含有触媒の使用とともに達成される。鉄含有触媒は、例えば、鉄塩およびキレート配位子を含むことができる。鉄塩は、例えば、塩化鉄(II)もしくは臭化鉄(II)もしくは酢酸鉄(II)などまたはこれらの混合物;あるいはフッ化鉄(III)、塩化鉄(III)、臭化鉄(III)、酢酸鉄(III)などまたはこれらの混合物であり得る。キレート配位子は、例えば、アルキル−またはアリール−置換ホルムアミジン;イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、オキサゾール、チアゾールなどのアルキル−、アリール−、アラルキル−、ハロゲン−、カルボン酸−およびアミノ−置換N−複素環;アミノ酸、ならびにこれらの混合物を含むことができる。本発明のいくつかの実施形態を説明する目的で、以下の化学構造が本発明の一形態を示す。しかしながら、本発明は、HPydic配位子およびその可能な誘導体のいくつかを示す以下の化学構造に示される実施形態に限定されないことが理解されるべきである。
Figure 2015501781
触媒は、反応混合物中でその場生成され得る、または触媒は単離され反応混合物に添加され得る。
反応性組成物に使用される鉄含有触媒の濃度は、一般的に一実施形態では約0.001mol%〜約20mol%、別の実施形態では約0.01mol%〜約10mol%;さらに別の実施形態では約0.1mol%〜約5mol%;なお別の実施形態では約0.5mol%〜約2.5mol%を含むことができる。1つの他の実施形態では、鉄含有触媒の充填は、ジビニルアレーンの約0.3mol%〜約2.5mol%に及ぶ。
本発明に有用なアミンハロゲン化水素は、三級、二級および一級アミンから構成されるアミンハロゲン化水素である一般式[NHR][X]、[NH][X]および[NHR][X]の化合物を含む。R基は、アルキルまたはアリールとして広く定義され得る。より具体的には、使用されるアミンは、脂肪族、アリールアルキルもしくは脂環式アミンおよびアミノ酸;ならびにこれらの混合物であり得る。脂肪族アミンは、例えば、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミンなどの一級および二級アミン;ならびにこれらの混合物を含むことができる。アリールアルキルアミンは、例えば、ベンジルアミンを含むことができる。脂環式アミンは、例えば、シクロヘキシルアミンを含むことができる。アミノ酸は、例えば、ヒスチジンを含むことができる。ハロゲン化物または擬ハロゲン化物Xは、F、Cl、Br、I、トリフルオロメタンスルホン酸(トリフラート)、およびp−トルエンスルホン酸(トシル)であり得る。
反応性組成物に使用されるアミンハロゲン化水素の濃度は、一般的に一実施形態では約0.001mol%〜約100mol%、別の実施形態では約0.01mol%〜約50mol%;さらに別の実施形態では約0.1mol%〜約25mol%;なお別の実施形態では約1mol%〜約12.5mol%を含むことができる。
溶媒は、任意選択により本発明の方法に使用される反応性組成物に添加され得る。本発明の方法に有用な任意選択による溶媒は、例えば、反応条件下で酸化体に不活性である任意の不活性有機溶媒を含むことができる。例えば、溶媒は、ジクロロメタンなどのハロゲン化アルカン;トルエンなどの芳香族;ジメチルホルムアミド、アセトニトリルもしくはテトラヒドロフランなどのエーテルなどの極性有機溶媒;tert−アミルアルコール、tert−ブタノールもしくはメタノールなどのアルコール;トリフルオロエタノールなどのフッ化アルコール;またはアセトンもしくはメチル−エチルケトンなどのケトン、あるいはこれらの混合物を含むことができる。
本発明に使用される任意選択による溶媒の濃度は、一般的に一実施形態では0重量%〜約99重量%、別の実施形態では約10重量%〜約90重量%、さらに別の実施形態では約20重量%〜約80重量%に及び得る。
例えば、他の樹脂、安定剤、充填剤、可塑剤、触媒不活性化剤など;およびこれらの混合物を含む、当技術分野で既知の他の任意選択による添加剤の取り合わせが本発明の反応組成物に添加され得る。
本発明に使用される任意選択による添加剤の濃度は、一般的に組成物中の全成分の重量基準で、一実施形態では0重量%〜約99.9重量%、別の実施形態では約0.1重量%〜約99.9重量%、さらに別の実施形態では約1重量%〜約99重量%、なお別の実施形態では約2重量%〜約98重量%に及び得る。
ジビニルアレーンジオキシドの調製は、例えば、(i)以下の反応物:ジビニルアレーン、鉄含有触媒、アミンハロゲン化水素および任意選択により不活性有機溶媒を反応器に添加するステップと;(ii)反応物を酸化体と接触させるステップと;次いで、(iii)対応するジビニルアレーンジオキシドをもたらす反応条件下で反応混合物中の成分を反応させるステップとにより達成され得る。
反応条件は、一般的に一実施形態では約0℃〜約100℃、別の実施形態では約5℃〜約80℃、さらに別の実施形態では約20℃〜約60℃の範囲の温度下で反応を行うことを含む。
反応の圧力は、一般的に約10.13kPa〜約1013kPa(0.1気圧(atm)〜約10atm)であり得る。
本発明の反応方法は、バッチまたは連続法であり得る。方法に使用される反応器は、当業者に周知の任意の反応器および補助装置であり得る。
本発明の反応後、十分な量の使用可能なジビニルアレーンジオキシド生成物を回収するために、望ましくない副産物;ならびに任意の残っているアミンハロゲン化水素、触媒および溶媒は除去され得る。得られたジビニルアレーンジオキシド反応生成物は任意の既知の手段により単離され得る。次いで、生成物は任意選択により、クロマトグラフィー、蒸留、結晶化などの当技術分野で周知の手段により精製され得る。好ましくは、単離されたジビニルアレーンジオキシド反応生成物は、蒸留法により精製される。
本発明の方法の1つの利点は、本発明の方法により、高収率のジビニルアレーンジオキシドが得られることである。高収率のジビニルアレーンジオキシドが得られることにより、本発明の方法は好都合なことに、あまり再利用を必要とせず、廃棄物をあまり産生しない。
本発明の方法により製造される「高収率」のジビニルアレーンジオキシドは、一般的にジビニルアレーン出発材料基準で一実施形態では約77%超、別の実施形態では約85%〜約100%;さらに別の実施形態では約90%〜約100%、なお別の実施形態では約95%〜約100%である。
本発明の方法により調製されるジビニルアレーンジオキシド、特に例えばジビニルベンゼンジオキシド(DVBDO)などのジビニルベンゼン由来のものは、比較的低い液体粘度を有するが、従来のエポキシ樹脂よりも高い硬性を有するクラスのジエポキシドである。
本発明の方法により調製されるジビニルアレーンジオキシドは、例えば、任意の環位置に2個のビニル基を有する任意の置換または非置換アレーン核を含むことができる。ジビニルアレーンジオキシドのアレーン部分は、ベンゼン、置換ベンゼン、もしくは(置換)環縮合ベンゼン、もしくは同族結合(homologously bonded)(置換)ベンゼン、またはこれらの混合物からなることができる。ジビニルアレーンジオキシドのジビニルアレーン部分は、オルト、メタ、もしくはパラ異性体、またはこれらの任意の混合物であり得る。追加の置換基は、飽和アルキル、アリール、ハロゲン、ニトロ、イソシアネートもしくはR’O−(R’は上で定義されるのと同じであり得る)を含む酸化体耐性基からなることができる。環縮合ベンゼンは、ナフタレン、テトラヒドロナフタレンなどからなることができる。同族結合(置換)ベンゼンは、ビフェニル、ジフェニルエーテルなどからなることができる。
本発明の方法により調製されるジビニルアレーンジオキシド生成物は、一般的に、以下の通り一般的化学構造V〜VIIIにより示され得る:
Figure 2015501781
本発明のジビニルアレーンジオキシド生成物の上記構造V、VI、VIIおよびVIII中、各R、R、RおよびRは独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、アリールまたはアラルキル基(アルキル、シクロアルキル、アリールおよびアラルキル基は、一実施形態では1〜約18個の炭素原子、別の実施形態では1〜4個の炭素原子を有することができる);または例えば、ハロゲン、ニトロ、イソシアネートもしくはR’O基(R’は一実施形態では1〜約18個の炭素原子、別の実施形態では1〜4個の炭素原子を有するアルキル、アリールもしくはアラルキル基であり得る)を含む酸化体耐性基であり得る;xは0〜4の整数であり得る:yは2以上の整数であり得る;x+yは6以下の整数であり得る;zは0〜6の整数であり得る;z+yは8以下の整数であり得る;ならびにArは例えば、1,3−フェニレン基を含むアレーンフラグメントである。
本発明の方法により製造されるジビニルアレーンジオキシド生成物は、例えば、出発材料中のアルキル−ビニル−アレーンの存在に応じてアルキル−ビニル−アレーンモノオキシドを含み得る。ジビニルアレーンジオキシドの構造、および構造異性体の組成は、使用されるジビニルアレーン供給原料により決定される。エチレン結合をエポキシ化する反応は、一般的に、反応物が変換される際に、反応物の異性体分布に影響を及ぼさない。
本発明の一実施形態では、本発明の方法により製造されるジビニルアレーンジオキシドは、例えば、ジビニルベンゼンジオキシド、ジビニルナフタレンジオキシド、ジビニルビフェニルジオキシド、ジビニルジフェニルエーテルジオキシド、およびこれらの混合物を含むことができる。
本発明の好ましい実施形態では、エポキシ樹脂配合物において使用されるジビニルアレーンジオキシドは、例えば、DVBDOであり得る。別の好ましい実施形態では、本発明に有用なジビニルアレーンジオキシド成分は、例えば、構造IXの以下の化学式により示されるDVBDOを含む:
Figure 2015501781
上記DVBDO化合物の化学式は以下の通りとなり得る:C1010;DVBDOの分子量は約162.2であり;DVBDOの元素分析はほぼ:C、74.06;H、6.21;およびO、19.73であり、約81g/molのエポキシド当量を有する。
ジビニルアレーンジオキシド、特に例えば、DVBDOなどのジビニルベンゼン由来のものは、比較的低い液体粘度を有するが、従来のエポキシ樹脂よりも高い硬性および架橋密度を有するクラスのジエポキシドである。
以下の構造Xは、本発明に有用なDVBDOの好ましい化学構造の一実施形態を示す:
Figure 2015501781
以下の構造XIは、本発明に有用なDVBDOの好ましい化学構造の別の実施形態を示す:
Figure 2015501781
DVBDOが本発明の方法により調製される場合、3種の可能な異性体:オルト、メタおよびパラの1つを得ることが可能となり得る。したがって、本発明は、上記構造のいずれか1つにより示されるDVBDOを単独でまたはこれらの混合物として含む。上記構造XおよびXIは、それぞれDVBDOのメタ(1,3−DVBDO)異性体およびDVBDOのパラ(1,4−DVBDO)異性体を示す。オルト異性体はまれであり、通常、DVBDOは、ほとんど、一般的に約9:1〜約1:9のメタ異性体(構造X)とパラ異性体(構造XI)の比の範囲で製造される。本発明は、好ましくは一実施形態として、約6:1〜約1:6の構造Xと構造XIの比の範囲を含み、他の実施形態では構造Xと構造XIの比は約4:1〜約1:4または約2:1〜約1:2となり得る。
ジビニルアレーンジオキシドの構造、および構造異性体の組成は、使用されるジビニルアレーン供給原料により決定される。一実施形態では、ジビニルベンゼン供給原料は、一般的に約9:1〜約1:9の範囲のメタ:パラ比を含有する。別の実施形態では、ジビニルベンゼン供給原料は、約6:1〜約1:6;なお別の実施形態では約4:1〜約1:4;さらに別の実施形態では約2.5〜1〜約1:2.5;別の実施形態では約1.5:1〜約1:1.5となり得る。好ましい実施形態では、ジビニルベンゼンおよびジビニルベンゼンジオキシドの両方のメタ:パラ比は、約9:1〜約1:9の比に及んでもよく;別の実施形態ではジビニルベンゼンおよびジビニルベンゼンジオキシドの両方のメタ:パラ比は約2.5:1〜約1:2.5の比に及んでもよい。
供給原料はまた、それだけに限らないが、エチルビニルベンゼン(EVB)、ナフタレン、ポリエチルベンゼン(例えば、ジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、テトラエチルベンゼン、ペンタエチルベンゼン、ジフェニルエタン、他のアルキル化ベンゼンおよび高分子量油)、フリーラジカル阻害剤、またはこれらの混合物を含む不純物を含有し得る。供給原料のジビニルベンゼン含量は、一実施形態では55%超;別の実施形態では63%超;さらに別の実施形態では80%超;さらに別の実施形態では90%超;なお別の実施形態では95%超であり得る。製造され、高純度DVBDOを得るために分離されなければならない共生成物EVBOの量は、DVB供給原料組成により決定される。1つの好ましい実施形態では、ジビニルアレーン供給原料純度は、約80%超となり得る。
一実施形態では、本発明の方法は、ジビニルベンゼンジオキシド、低粘度液状エポキシ樹脂の調製に特に適し得る。本発明の方法により製造されるジビニルアレーンジオキシドの粘度は、一般的に一実施形態では25℃で約10mP−s〜約100mP−s;別の実施形態では25℃で約10mP−s〜約50mP−s;さらに別の実施形態では25℃で約10mP−s〜約25mP−sに及ぶ。
本発明のジビニルアレーンジオキシドの有用性は、オリゴマー形成または単独重合なしに、適温(例えば、約100℃〜約200℃の温度)で最大数時間(例えば、少なくとも2時間以上)までジビニルアレーンジオキシドを配合または処理することを可能にする熱安定性を要する。配合または処理中のオリゴマー形成または単独重合は、粘度の相当な増加(例えば、50倍より大きい)またはゲル化(架橋)により証明される。本発明のジビニリルアレーンジオキシドは、十分な熱安定性を有するので、結果としてジビニルアレーンジオキシドは、上記適温で配合または処理中に粘度の相当な増加もゲル化も経験しない。
本発明のジビニルアレーンジオキシド生成物は、エポキシ樹脂組成物または配合物の調製に有用であり、同様にコーティング、フィルム、接着剤、ラミネート、複合材、電子工学などの形態の熱硬化性樹脂または硬化物を調製するのに有用である。
以下の実施例および比較実施例は、さらに本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
実施例では、種々の用語および命名が以下の通り使用される:
「DVB」はジビニルベンゼンを表す。
「DVBDO」はジビニルベンゼンジオキシドを表す。
「DVBMO」はジビニルベンゼンモノオキシドを表す。
「HPydic」はピリジン−2,6−ジカルボン酸を表す。
「Pydic」はピリジン−2,6−ジカルボキシラートを表す。
以下の実施例では、生成物を標準的ガスクロマトグラフィー(GC)分析装置により分析した。
実施例で使用する全化学物質は、明示しない限り、Sigma−Aldrichから購入し、さらに精製することなく使用した。
PydicFeCl(OH(Inorg.Chem.1995、34、5156)および[PydicFe(OH)(OH)](J.Am.Chem.Soc.1976、98(6)、1425)は、上記文献の手順にしたがって合成した。
触媒合成実施例1
この触媒合成実施例は、エポキシ化触媒を調製する方法および前記触媒を単離する方法を説明する。FeCl・6HO(1.076g、4mmol)およびHPydic(0.668g、4mmol)を、MeOH(200ml)と共に300mL丸底フラスコに装入した。混合物を5分間撹拌して黄色溶液を得た。ジイソプロピルアミン(8mmol、0.808g、1.13mL)を添加し、溶液を50℃油浴に45分間入れた。溶液を減圧下で15mLに濃縮した。X線質結晶を以下の蒸気拡散法により成長させた:溶液を、EtO30mLを含有する100mLバイアルの内側に入れた30mLバイアルに入れた。100mLジャーをきつく密閉した。[Fe(Pydic)][NH(イソプロピル)]の青緑色触媒結晶(0.400g、鉄基準で36.1%)および[(PydicFe(OMe)Cl)]2[NH(イソプロピル)]の黄色触媒結晶(0.095g、鉄基準で8.8%)の両方が一晩成長した。[Fe(Pydic)][NH(イソプロピル)]および[(PydicFe(OMe)Cl)]2[NH(イソプロピル)]の両方の化学式および構造をX線結晶学により決定した。両結晶の単位格子パラメータは以下の通りである:
Figure 2015501781
[Fe(Pydic)][NH(イソプロピル)]の熱振動楕円体描画を以下に示す。ここでは明快さのためにジイソプロピルアンモニウムカチオンを除去した。
Figure 2015501781
[(PydicFe(OMe)Cl)]2[NH(イソプロピル)]の熱振動楕円体描画を以下に示す。ここでは明快さのためにジイソプロピルアンモニウムカチオンを除去した。
Figure 2015501781
触媒合成実施例2
この触媒合成実施例は、[(PydicFe(OMe)Cl)]2[NH(イソプロピル)]の代替高収率合成を説明する。[PydicFeOH(OH)](0.256g、0.5mmol)およびジイソプロピルアミンHCl(0.138g、1mmol)を一緒にMeOH(75ml)と共に100mL丸底フラスコに添加した。混合物を2時間還流し、得られた黄色溶液を20mLに濃縮し、濾過した。[(PydicFe(OMe)Cl)]2[NH(イソプロピル)]の結晶(0.270g、収率69%)をEtOのMeOH溶液中への蒸気拡散法により一晩成長させた。
エポキシ化実施例1−混合溶媒中での増加したDVBDO収
FeCl・6HO(16.9mg、0.0625mmol)およびHPydic(10.45mg、0.0625mmol)を50mL丸底フラスコに装入し、MeOH(10mL)を添加した。混合物を2分間撹拌して淡黄色溶液を得た。ジイソプロピルアミン(12.7mg、0.125mmol)を30秒間にわたって滴加し、混合物を50℃油浴に30分間入れた。溶媒を減圧下で除去して黄色残渣を得た。これを1:2のCHCl:t−アミルOHに溶解して37.5mLの最終体積にした。撹拌混合物に、DVB(2.5mmol)を添加し、引き続いてH(水中30%溶液として10mmol)を5分間にわたって滴加した。反応混合物を2時間後にGC−MSにより分析したところ、100%DVB変換が得られ、DVBMOは検出されず、DVBDO収率は93%であった。
エポキシ化実施例2
反応をエポキシ化実施例1に記載のように行ったが、1:2のCHCl:t−アミルOH溶媒混合物を使用する代わりに、1:2のCHCl:t−ブチルアルコール混合物を使用した。結果を表Iに要約する。
比較エポキシ化実施例A
反応をエポキシ化実施例1に記載のように行ったが、1:2のCHCl:t−アミルOH溶媒混合物を使用する代わりに、t−アミルOHのみを使用した。結果を表Iに要約する。
比較エポキシ化実施例B
反応をエポキシ化実施例1に記載のように行ったが、1:2のCHCl:t−アミルOH溶媒混合物を使用する代わりに、t−ブチルアルコールのみを使用した。結果を表Iに要約する。
Figure 2015501781
エポキシ化実施例1および2は、約1/3のCHClならびに2/3のt−アミルOHまたはt−ブチルOHのいずれかで構成される混合溶媒を使用すると、DVBDOの収率が77%(国際公開第2010−0077483A1号パンフレットに報告されている最大収率)超になること、および残っているDVBMOがないことを示している。
エポキシ化実施例3
この実施例では、高いDVBDO収率を、混合溶媒中1.5当量の過酸化水素を用いて得た。FeCl・6HO(33.8mg、0.125mmol)およびHPydic(20.9mg、0.125mmol)を100mL丸底フラスコに装入し、MeOH(20mL)を添加した。混合物を2分間撹拌して淡黄色溶液を得た。ジイソプロピルアミン(25.3mg、0.250mmol)を30秒間にわたって滴加し、混合物を50℃油浴に30分間入れた。溶媒を減圧下で除去して黄色残渣を得た。次いで、これをCHCl(25mL)およびt−アミルOH(50mL)に溶解した。撹拌混合物に、H(15mmol;水中30%溶液)と共にDVB(5mmol)を添加し、Hは5分間にわたって滴加した。反応混合物を2時間後にGC−MSにより分析した。結果を表IIに要約する。
エポキシ化実施例4
この実施例では、高いDVBDO収率を、混合溶媒中1.2当量の過酸化水素を用いて得た。反応はエポキシ化実施例3に記載のように行ったが、1.5当量のHを使用する代わりに、1.2当量のHを使用した。結果を表IIに要約する。
エポキシ化実施例5
この実施例では、高いDVBDO収率を、混合溶媒中1.05当量の過酸化水素を用いて得た。反応はエポキシ化実施例3に記載のように行ったが、1.5当量のHを使用する代わりに、1.05当量のHを使用した。結果を表IIに要約する。
Figure 2015501781
エポキシ化実施例3〜5は、DVBの1ビニル基当たり2当量未満のHを使用すると、約1/3のCHClおよび2/3のt−アミルOHで構成される混合溶媒の使用により、77%超のDVBDO収率を得ることが可能になることを示している。わずか1.2当量のHを使用して、92.4%のDVBDO収率が得られた。
エポキシ化実施例6−4−OMe−H Pydicを使用した高いDVBDO収率
FeCl・6HO(16.9mg、0.0625mmol)および置換4−OMe−HPydic(0.0625mmol)を50mL丸底フラスコに装入し、MeOH(10mL)を添加した。混合物を2分間撹拌して淡黄色溶液を得た。ジイソプロピルアミン(12.7mg、0.125mmol)を30秒間にわたって滴加し、混合物を50℃油浴に30分間入れた。溶媒を減圧下で除去して黄色残渣を得た。これをCHCl(12.5mL)およびt−アミルOH(25mL)に溶解した。撹拌混合物に、DVB(2.5mmol)をH(水中30%溶液として6mmol)と共に添加し、Hは5分間にわたって滴加した。反応混合物を1時間後にGC−MSにより分析した(表III参照)。
Figure 2015501781
エポキシ化実施例6は、置換HPydic配位子が77%超のDVBDO収率をもたらすことができることを示している。例えば、4−メトキシ置換配位子4−OMe−HPydicは、94%のDVBDO収率をもたらす。このことは、使用することができるHPydic配位子の範囲を拡大する。
エポキシ化実施例7−60%H と1.25mol%のFe充填を使用した高いDVBDO収率
FeCl・6HO(33.8mg、0.125mmol)およびHPydic(20.9mg、0.125mmol)を50mL丸底フラスコに装入し、MeOH(20mL)を添加した。混合物を2分間撹拌して淡黄色溶液を得た。ジイソプロピルアミン(25.3mg、0.250mmol)を30秒間にわたって滴加し、混合物を50℃油浴に30分間入れた。10mL分割量を試料から取り出し、エポキシ化実施例8で後に使用するために取っておいた。溶媒を減圧下で残っている試料から除去して黄色残渣を得た。この残渣をCHCl(25mL)およびt−アミルOH(50mL)に溶解し、DVB(5mmol)を添加したところ、1.25mol%のFe充填が得られた。撹拌混合物に、H(12mmol、水中60%)を5分間にわたって滴加した。反応混合物を2時間後にGC−MSにより分析した。結果を表IVに要約する。
比較エポキシ化実施例C
反応をエポキシ化実施例7に記載のように行ったが、60%Hを使用する代わりに、30%Hを使用した。結果を表IVに要約する。
エポキシ化実施例8
この実施例では、高いDVBDO収率を、60%Hと0.625mol%のFe充填を使用して得た。5mL分割量をエポキシ化実施例7で取っておいた10mL分割量からとった。溶媒を減圧下で残っている試料から除去して黄色残渣を得た。この残渣をCHCl(25mL)およびt−アミルOH(50mL)に溶解し、DVB(5mmol)を添加したところ、0.625mol%のFe充填が得られた。撹拌混合物に、H(12mmol、水中60%)を5分間にわたって滴加した。反応混合物を2時間後にGC−MSにより分析した。結果を表IVに要約する。
比較エポキシ化実施例D
反応を実施例8に記載のように行ったが、60%Hを使用する代わりに、30%Hを使用した。結果を表IVに要約する。
Figure 2015501781
エポキシ化実施例7〜8は、より高濃度のHの使用がより高いDVBDO収率を得ることを可能にすることを示している。例えば、30%Hを使用すると、0.625mol%のFe充填で、DVBDO収率は34.6%となり、54.8%のDVBMOが残っている。しかしながら、60%Hを使用すると、DVBDO収率は85.7%となり、DVBMOはわずか6.5%となる。また、1.25mol%のFe充填では、60%Hの使用が、DVBMOの完全な変換を可能にした。より高濃度のHの使用を使用したDVBDOの収率増加は自明でも予期されるものでもない。
エポキシ化実施例9−[(PydicFe(OMe)Cl) ]2[NH (イソプロピル) ]およびジイソプロピルアミンHClの10mol%添加
[(PydicFe(OMe)Cl)]2[NH(イソプロピル)](0.0625mmolまたは0.125mmolのFe)を、CHCl(25mL)およびt−アミルOH(50mL)を含有する100mL丸底フラスコに添加した。ジイソプロピルアミンHCl(68.8mg;0.5mmol)を添加し、混合物を30分間撹拌した。DVB(5mmol)をH(水中30%溶液として12mmol)と共に添加し、Hは5分間にわたって滴加した。反応混合物を2時間後にGC−MSにより分析した。結果は表Vにある。
エポキシ化実施例10
この実施例では、[(PydicFe(OMe)Cl)]2[NH(イソプロピル)]およびジイソプロピルアミンHClの5mol%添加を使用した。反応をエポキシ化実施例9に記載のように行ったが、10mol%の代わりに、5mol%のジイソプロピルアミンHCl(34.4mg;0.25mmol)を添加した。結果を表Vに要約する。
エポキシ化実施例11
この実施例では、[(PydicFe(OMe)Cl)]2[NH(イソプロピル)]およびジイソプロピルアミンHClの2.5mol%添加を使用した。反応をエポキシ化実施例9に記載のように行ったが、10mol%の代わりに、2.5mol%のジイソプロピルアミンHCl(17.2mg;0.125mmol)を添加した。結果を表Vに要約する。
比較エポキシ化実施例E
反応をエポキシ化実施例9に記載のように行ったが、ジイソプロピルアミンHClを添加しなかった。結果を表Vに要約する。
Figure 2015501781
エポキシ化実施例12−PydicFeCl(OH およびジイソプロピルアミンHClの10mol%添加
PydicFeCl(OH(0.125mmol)を、CHCl(25mL)およびt−アミルOH(50mL)を含有する100mL丸底フラスコに添加した。この混合物にジイソプロピルアミンHCl(68.8mg、0.5mmol)を添加した。混合物を30分間撹拌し、DVB(5mmol)を添加した。撹拌混合物にH(水中30%溶液として12mmol)を5分間にわたって滴加し、反応混合物を2時間後にGC−MSにより分析した。結果は表VIにある。
エポキシ化実施例13
この実施例では、PydicFeCl(OHおよびジイソプロピルアミンHClの5mol%添加を使用した。反応をエポキシ化実施例12に記載のように行ったが、10mol%の代わりに5mol%のジイソプロピルアミンHCl(34.4mg;0.25mmol)を添加した。結果を表VIに要約する。
エポキシ化実施例14
この実施例では、PydicFeCl(OHおよびジイソプロピルアミンHClの2.5mol%添加を使用した。反応をエポキシ化実施例12に記載のように行ったが、10mol%の代わりに2.5mol%のジイソプロピルアミンHCl(17.2mg;0.125mmol)を添加した。結果を表VIに要約する。
比較エポキシ化実施例F
反応をエポキシ化実施例12に記載のように行ったが、ジイソプロピルアミンHClを添加しなかった。結果を表VIに要約する。
Figure 2015501781
エポキシ化実施例15−その場生成触媒(0.31mol%Fe)、60%H およびジイソプロピルアミンHCl添加を使用した高いDVBDO収率
FeCl・6HO(33.8mg、0.125mmol)およびHPydic(20.9mg、0.125mmol)を50mL丸底フラスコに装入し、MeOH(20mL)を添加した。混合物を2分間撹拌して淡黄色溶液を得た。ジイソプロピルアミン(25.3mg、0.250mmol)を30秒間にわたって滴加し、混合物を50℃油浴に30分間入れた。溶媒を室温に冷却させ、2.50mL分割量を取り出した。この分割量を100mL丸底フラスコに入れ、溶媒を減圧下で除去して黄色残渣を得た。ジイソプロピルアミンHCl(21.3mg、0.156mmol)を残渣に添加し、混合物をCHCl(25mL)およびt−アミルOH(50mL)に溶解した。撹拌混合物にDVB(5mmol)を60%H(12mmol)と共に添加し、Hは5分間にわたって滴加した。反応混合物を2時間後にGC−MSにより分析した。結果は表VIIにある。
比較エポキシ化実施例G
反応をエポキシ化実施例15に記載のように行ったが、3.1mol%の代わりに1.55mol%のジイソプロピルアミンHCl(10.65mmol;0.078mmol)を添加した。結果を表VIIに要約する。
比較エポキシ実施例H
反応をエポキシ化実施例15に記載のように行ったが、3.1mol%の代わりに、ジイソプロピルアミンHClを添加しなかった。結果を表VIIに要約する。
Figure 2015501781
エポキシ化実施例9〜15は、ジイソプロピルアミンHClを反応混合物に添加すると、DVBDOの収率が増加することを示している。エポキシ化実施例11では、触媒[(PydicFe(OMe)Cl)]2[NH(イソプロピル)]を使用すると、DVBDOの収率は23.1%である。しかしながら、10mol%のジイソプロピルアミンHClを添加すると(実施例9)、DVBDOの収率は71.6%に増加する。
エポキシ化実施例14は、ジイソプロピルアミンHClを添加するとDVBDOの収率が増加することをさらに示している。例えば、触媒としてPydicFeCl(OHを使用すると、DVBDOの収率はわずか4.4%となる。しかしながら、10mol%のジイソプロピルアミンHClを添加すると(実施例12)、DVBDOの収率は87.3%に増加し、わずか1%のDVBMOしか残っていない。
さらに、エポキシ化実施例15は、ジイソプロピルアミンHClを添加するとDVBDOの収率が増加することをさらに示している。例えば、0.31mol%Feという極めて低い触媒充填は、わずか41.1%のDVBDO収率をもたらした(比較実施例G)。しかしながら、10当量のジイソプロピルアミンHCl(3.1mol%)を添加すると、DVBDOの収率は85.6%と倍以上になった。この収率は、Fe充填が5mol%である国際公開第2010−077483A1号パンフレットで得られた77%よりも大きい。わずか1/10の量の触媒を使用して、より高いDVBDO収率が得られることはまったく注目に値する。より高いDVBDO収率は、アミンハロゲン化水素を反応混合物に添加することの重要性を示している。
エポキシ化実施例16−4体積%のDVB充填および2.5mol%のFe充填での高いDVBDO収率
FeCl・6HO(135.2mg、0.5mmol)およびHPydic(83.6mg、0.5mmol)を250mL丸底フラスコに装入し、MeOH(75mL)を添加した。混合物を2分間撹拌して淡黄色溶液を得た。ジイソプロピルアミン(101.2mg、1mmol)を1分間にわたって滴加し、混合物を50℃油浴において30分間撹拌した。溶媒を減圧下で除去して黄色残渣を得て、これをCHCl(21.9mL)およびt−アミルOH(43.8mL)に溶解した。ジイソプロピルアミンHCl(342.5mg、2.5mmol)を添加し、混合物を15分間撹拌した。撹拌混合物に、DVB(20mmol)を添加し、フラスコを氷浴に入れることにより混合物を0℃に冷却した。混合物に60%H(48mmol、2.5mL)をシリンジポンプにより1時間にわたって滴加した。反応混合物を2時間後にGC−MSにより分析した。結果は表VIIIにある。
Figure 2015501781
エポキシ化実施例16は、DVBの高濃度溶液を使用すると、DVBMOの完全な変換により高いDVBDO収率が得られ得ることを示している。例えば、国際公開第2010−077483A1号パンフレットに報告されているように、わずか0.76体積%のDVB充填では、77%のDVBDO収率が得られた。これらの溶液は極めて希釈溶液であり、このことは大量の溶媒を操作しなければならないことを意味する。しかしながら、DVB充填を4体積%に増加させることができ、残っているDVBMOなしに、95%のDVBDO収率が得られることが分かった。この変換に必要な条件は、5当量のジイソプロピルアミンHCl(12.5mol%)を添加すること、溶液を0℃に冷却すること、および60%Hをシリンジポンプにより1時間にわたってゆっくり添加することであった。
エポキシ化実施例2
反応をエポキシ化実施例1に記載のように行ったが、1:2のCHCl:t−アミルOH溶媒混合物を使用する代わりに、1:2のCHCl:t−ブチルアルコール混合物を使用した。結果を表Iに要約する。
エポキシ化実施例A
反応をエポキシ化実施例1に記載のように行ったが、1:2のCHCl:t−アミルOH溶媒混合物を使用する代わりに、t−アミルOHのみを使用した。結果を表Iに要約する。
エポキシ化実施例B
反応をエポキシ化実施例1に記載のように行ったが、1:2のCHCl:t−アミルOH溶媒混合物を使用する代わりに、t−ブチルアルコールのみを使用した。結果を表Iに要約する。
Figure 2015501781
エポキシ化実施例1および2は、約1/3のCHClならびに2/3のt−アミルOHまたはt−ブチルOHのいずれかで構成される混合溶媒を使用すると、DVBDOの収率が77%(国際公開第2010−0077483A1号パンフレットに報告されている最大収率)超になること、および残っているDVBMOがないことを示している。
エポキシ化実施例3
この実施例では、高いDVBDO収率を、混合溶媒中1.5当量の過酸化水素を用いて得た。FeCl・6HO(33.8mg、0.125mmol)およびHPydic(20.9mg、0.125mmol)を100mL丸底フラスコに装入し、MeOH(20mL)を添加した。混合物を2分間撹拌して淡黄色溶液を得た。ジイソプロピルアミン(25.3mg、0.250mmol)を30秒間にわたって滴加し、混合物を50℃油浴に30分間入れた。溶媒を減圧下で除去して黄色残渣を得た。次いで、これをCHCl(25mL)およびt−アミルOH(50mL)に溶解した。撹拌混合物に、H(15mmol;水中30%溶液)と共にDVB(5mmol)を添加し、Hは5分間にわたって滴加した。反応混合物を2時間後にGC−MSにより分析した。結果を表IIに要約する。
エポキシ化実施例4
この実施例では、高いDVBDO収率を、混合溶媒中1.2当量の過酸化水素を用いて得た。反応はエポキシ化実施例3に記載のように行ったが、1.5当量のHを使用する代わりに、1.2当量のHを使用した。結果を表IIに要約する。
エポキシ化実施例5
この実施例では、高いDVBDO収率を、混合溶媒中1.05当量の過酸化水素を用いて得た。反応はエポキシ化実施例3に記載のように行ったが、1.5当量のHを使用する代わりに、1.05当量のHを使用した。結果を表IIに要約する。
Figure 2015501781
エポキシ化実施例3〜5は、DVBの1ビニル基当たり2当量未満のHを使用すると、約1/3のCHClおよび2/3のt−アミルOHで構成される混合溶媒の使用により、77%超のDVBDO収率を得ることが可能になることを示している。わずか1.2当量のHを使用して、92.4%のDVBDO収率が得られた。
エポキシ化実施例6−4−OMe−H Pydicを使用した高いDVBDO収率
FeCl・6HO(16.9mg、0.0625mmol)および置換4−OMe−HPydic(0.0625mmol)を50mL丸底フラスコに装入し、MeOH(10mL)を添加した。混合物を2分間撹拌して淡黄色溶液を得た。ジイソプロピルアミン(12.7mg、0.125mmol)を30秒間にわたって滴加し、混合物を50℃油浴に30分間入れた。溶媒を減圧下で除去して黄色残渣を得た。これをCHCl(12.5mL)およびt−アミルOH(25mL)に溶解した。撹拌混合物に、DVB(2.5mmol)をH(水中30%溶液として6mmol)と共に添加し、Hは5分間にわたって滴加した。反応混合物を1時間後にGC−MSにより分析した(表III参照)。
Figure 2015501781
エポキシ化実施例6は、置換HPydic配位子が77%超のDVBDO収率をもたらすことができることを示している。例えば、4−メトキシ置換配位子4−OMe−HPydicは、94%のDVBDO収率をもたらす。このことは、使用することができるHPydic配位子の範囲を拡大する。
エポキシ化実施例7−60%H と1.25mol%のFe充填を使用した高いDVBDO収率
FeCl・6HO(33.8mg、0.125mmol)およびHPydic(20.9mg、0.125mmol)を50mL丸底フラスコに装入し、MeOH(20mL)を添加した。混合物を2分間撹拌して淡黄色溶液を得た。ジイソプロピルアミン(25.3mg、0.250mmol)を30秒間にわたって滴加し、混合物を50℃油浴に30分間入れた。10mL分割量を試料から取り出し、エポキシ化実施例8で後に使用するために取っておいた。溶媒を減圧下で残っている試料から除去して黄色残渣を得た。この残渣をCHCl(25mL)およびt−アミルOH(50mL)に溶解し、DVB(5mmol)を添加したところ、1.25mol%のFe充填が得られた。撹拌混合物に、H(12mmol、水中60%)を5分間にわたって滴加した。反応混合物を2時間後にGC−MSにより分析した。結果を表IVに要約する。
比較実施例A
反応をエポキシ化実施例7に記載のように行ったが、60%Hを使用する代わりに、30%Hを使用した。結果を表IVに要約する。
エポキシ化実施例8
この実施例では、高いDVBDO収率を、60%Hと0.625mol%のFe充填を使用して得た。5mL分割量をエポキシ化実施例7で取っておいた10mL分割量からとった。溶媒を減圧下で残っている試料から除去して黄色残渣を得た。この残渣をCHCl(25mL)およびt−アミルOH(50mL)に溶解し、DVB(5mmol)を添加したところ、0.625mol%のFe充填が得られた。撹拌混合物に、H(12mmol、水中60%)を5分間にわたって滴加した。反応混合物を2時間後にGC−MSにより分析した。結果を表IVに要約する。
比較実施例D
反応を実施例8に記載のように行ったが、60%Hを使用する代わりに、30%Hを使用した。結果を表IVに要約する。
Figure 2015501781
エポキシ化実施例7〜8は、より高濃度のHの使用がより高いDVBDO収率を得ることを可能にすることを示している。例えば、30%Hを使用すると、0.625mol%のFe充填で、DVBDO収率は34.6%となり、54.8%のDVBMOが残っている。しかしながら、60%Hを使用すると、DVBDO収率は85.7%となり、DVBMOはわずか6.5%となる。また、1.25mol%のFe充填では、60%Hの使用が、DVBMOの完全な変換を可能にした。より高濃度のHの使用を使用したDVBDOの収率増加は自明でも予期されるものでもない。
エポキシ化実施例9−[(PydicFe(OMe)Cl) ]2[NH (イソプロピル) ]およびジイソプロピルアミンHClの10mol%添加
[(PydicFe(OMe)Cl)]2[NH(イソプロピル)](0.0625mmolまたは0.125mmolのFe)を、CHCl(25mL)およびt−アミルOH(50mL)を含有する100mL丸底フラスコに添加した。ジイソプロピルアミンHCl(68.8mg;0.5mmol)を添加し、混合物を30分間撹拌した。DVB(5mmol)をH(水中30%溶液として12mmol)と共に添加し、Hは5分間にわたって滴加した。反応混合物を2時間後にGC−MSにより分析した。結果は表Vにある。
エポキシ化実施例10
この実施例では、[(PydicFe(OMe)Cl)]2[NH(イソプロピル)]およびジイソプロピルアミンHClの5mol%添加を使用した。反応をエポキシ化実施例9に記載のように行ったが、10mol%の代わりに、5mol%のジイソプロピルアミンHCl(34.4mg;0.25mmol)を添加した。結果を表Vに要約する。
エポキシ化実施例11
この実施例では、[(PydicFe(OMe)Cl)]2[NH(イソプロピル)]およびジイソプロピルアミンHClの2.5mol%添加を使用した。反応をエポキシ化実施例9に記載のように行ったが、10mol%の代わりに、2.5mol%のジイソプロピルアミンHCl(17.2mg;0.125mmol)を添加した。結果を表Vに要約する。
比較実施例C
反応をエポキシ化実施例9に記載のように行ったが、ジイソプロピルアミンHClを添加しなかった。結果を表Vに要約する。
Figure 2015501781
エポキシ化実施例12−PydicFeCl(OH およびジイソプロピルアミンHClの10mol%添加
PydicFeCl(OH(0.125mmol)を、CHCl(25mL)およびt−アミルOH(50mL)を含有する100mL丸底フラスコに添加した。この混合物にジイソプロピルアミンHCl(68.8mg、0.5mmol)を添加した。混合物を30分間撹拌し、DVB(5mmol)を添加した。撹拌混合物にH(水中30%溶液として12mmol)を5分間にわたって滴加し、反応混合物を2時間後にGC−MSにより分析した。結果は表VIにある。
エポキシ化実施例13
この実施例では、PydicFeCl(OHおよびジイソプロピルアミンHClの5mol%添加を使用した。反応をエポキシ化実施例12に記載のように行ったが、10mol%の代わりに5mol%のジイソプロピルアミンHCl(34.4mg;0.25mmol)を添加した。結果を表VIに要約する。
エポキシ化実施例14
この実施例では、PydicFeCl(OHおよびジイソプロピルアミンHClの2.5mol%添加を使用した。反応をエポキシ化実施例12に記載のように行ったが、10mol%の代わりに2.5mol%のジイソプロピルアミンHCl(17.2mg;0.125mmol)を添加した。結果を表VIに要約する。
比較実施例D
反応をエポキシ化実施例12に記載のように行ったが、ジイソプロピルアミンHClを添加しなかった。結果を表VIに要約する。
Figure 2015501781
エポキシ化実施例15−その場生成触媒(0.31mol%Fe)、60%H およびジイソプロピルアミンHCl添加を使用した高いDVBDO収率
FeCl・6HO(33.8mg、0.125mmol)およびHPydic(20.9mg、0.125mmol)を50mL丸底フラスコに装入し、MeOH(20mL)を添加した。混合物を2分間撹拌して淡黄色溶液を得た。ジイソプロピルアミン(25.3mg、0.250mmol)を30秒間にわたって滴加し、混合物を50℃油浴に30分間入れた。溶媒を室温に冷却させ、2.50mL分割量を取り出した。この分割量を100mL丸底フラスコに入れ、溶媒を減圧下で除去して黄色残渣を得た。ジイソプロピルアミンHCl(21.3mg、0.156mmol)を残渣に添加し、混合物をCHCl(25mL)およびt−アミルOH(50mL)に溶解した。撹拌混合物にDVB(5mmol)を60%H(12mmol)と共に添加し、Hは5分間にわたって滴加した。反応混合物を2時間後にGC−MSにより分析した。結果は表VIIにある。
比較実施例E
反応をエポキシ化実施例15に記載のように行ったが、3.1mol%の代わりに1.55mol%のジイソプロピルアミンHCl(10.65mmol;0.078mmol)を添加した。結果を表VIIに要約する。
比較実施例F
反応をエポキシ化実施例15に記載のように行ったが、3.1mol%の代わりに、ジイソプロピルアミンHClを添加しなかった。結果を表VIIに要約する。
Figure 2015501781
エポキシ化実施例9〜15は、ジイソプロピルアミンHClを反応混合物に添加すると、DVBDOの収率が増加することを示している。エポキシ化実施例11では、触媒[(PydicFe(OMe)Cl)]2[NH(イソプロピル)]を使用すると、DVBDOの収率は23.1%である。しかしながら、10mol%のジイソプロピルアミンHClを添加すると(実施例9)、DVBDOの収率は71.6%に増加する。
エポキシ化実施例14は、ジイソプロピルアミンHClを添加するとDVBDOの収率が増加することをさらに示している。例えば、触媒としてPydicFeCl(OHを使用すると、DVBDOの収率はわずか4.4%となる。しかしながら、10mol%のジイソプロピルアミンHClを添加すると(実施例12)、DVBDOの収率は87.3%に増加し、わずか1%のDVBMOしか残っていない。
さらに、エポキシ化実施例15は、ジイソプロピルアミンHClを添加するとDVBDOの収率が増加することをさらに示している。例えば、0.31mol%Feという極めて低い触媒充填は、わずか41.1%のDVBDO収率をもたらした(比較実施例E)。しかしながら、10当量のジイソプロピルアミンHCl(3.1mol%)を添加すると、DVBDOの収率は85.6%と倍以上になった。この収率は、Fe充填が5mol%である国際公開第2010−077483A1号パンフレットで得られた77%よりも大きい。わずか1/10の量の触媒を使用して、より高いDVBDO収率が得られることはまったく注目に値する。より高いDVBDO収率は、アミンハロゲン化水素を反応混合物に添加することの重要性を示している。
エポキシ化実施例16−4体積%のDVB充填および2.5mol%のFe充填での高いDVBDO収率
FeCl・6HO(135.2mg、0.5mmol)およびHPydic(83.6mg、0.5mmol)を250mL丸底フラスコに装入し、MeOH(75mL)を添加した。混合物を2分間撹拌して淡黄色溶液を得た。ジイソプロピルアミン(101.2mg、1mmol)を1分間にわたって滴加し、混合物を50℃油浴において30分間撹拌した。溶媒を減圧下で除去して黄色残渣を得て、これをCHCl(21.9mL)およびt−アミルOH(43.8mL)に溶解した。ジイソプロピルアミンHCl(342.5mg、2.5mmol)を添加し、混合物を15分間撹拌した。撹拌混合物に、DVB(20mmol)を添加し、フラスコを氷浴に入れることにより混合物を0℃に冷却した。混合物に60%H(48mmol、2.5mL)をシリンジポンプにより1時間にわたって滴加した。反応混合物を2時間後にGC−MSにより分析した。結果は表VIIIにある。
Figure 2015501781
エポキシ化実施例16は、DVBの高濃度溶液を使用すると、DVBMOの完全な変換により高いDVBDO収率が得られ得ることを示している。例えば、国際公開第2010−077483A1号パンフレットに報告されているように、わずか0.76体積%のDVB充填では、77%のDVBDO収率が得られた。これらの溶液は極めて希釈溶液であり、このことは大量の溶媒を操作しなければならないことを意味する。

Claims (14)

  1. 77%より高収率でジビニルアレーンジオキシドを形成する条件下で、(a)少なくとも1種のジビニルアレーンと、(b)過酸化水素と、(c)少なくとも1種の鉄含有触媒と、(d)前記鉄含有触媒に対して過剰のアミンハロゲン化水素とを反応させるステップを含む、ジビニルアレーンジオキシドを調製する方法。
  2. 前記ジビニルアレーンがジビニルベンゼンを含み;形成される前記ジビニルアレーンジオキシドがジビニルベンゼンジオキシドを含む、請求項1記載の方法。
  3. 前記反応が最大約5:1までの過酸化水素:ジビニルアレーンのモル比で行われる、請求項1記載の方法。
  4. 前記鉄含有触媒が鉄(Fe)塩およびキレート配位子を含む、請求項1記載の方法。
  5. 前記キレート配位子がアルキル−もしくはアリール−置換ホルムアミジン;非置換もしくはアルキル−、アリール、アラルキル−、ハロゲン−、カルボン酸−、アミノ−置換N−複素環およびアミノ酸、またはこれらの混合物を含む、請求項4記載の方法。
  6. 前記Fe塩が塩化鉄(II)もしくは臭化鉄(II)もしくは酢酸鉄(II)、フッ化鉄(III)、塩化鉄(III)、臭化鉄(III)、酢酸鉄(III)を含み、前記キレート配位子がイミダゾール、HPydic、ピラゾール、ピリジン、オキサゾール、チアゾール;ヒスチジン、またはこれらの混合物である、請求項4または請求項5記載の方法。
  7. 前記鉄含有触媒の充填が前記ジビニルアレーンの0.001mol%〜20mol%に及ぶ、請求項1記載の方法。
  8. 前記鉄含有触媒が単離されるまたは反応混合物中でその場生成される、請求項1記載の方法。
  9. 前記触媒が固体支持体上に固定化され;前記固体支持体がゼオライト、粘土、シリカ、アルミナもしくはポリマーを含む;または前記ポリマー固体支持体がポリグリセロール、ポリスチレン、ポリメタクリレート、デンドリマーもしくはポリビニル−ピリジンを含む、請求項1記載の方法。
  10. 前記アミンハロゲン化水素が脂肪族、アリールアルキルもしくは脂環式アミン、アミノ酸、またはこれらの混合物のハロゲン化水素塩を含み、前記アミンハロゲン化水素塩のハロゲン化水素成分がフッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素またはこれらの混合物を含み;前記アミンハロゲン化水素塩のアミン成分がプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ベンジルアミン、シクロヘキシルアミン、ヒスチジンまたはこれらの混合物を含む、請求項1記載の方法。
  11. アミン塩化水素の充填が前記鉄含有触媒に対して1〜10当量に及ぶ、請求項1記載の方法。
  12. 前記反応が0℃〜80℃の範囲内の温度で行われる、請求項1記載の方法。
  13. 溶媒を含み、前記溶媒がハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、極性溶媒、エーテル、アルコール、フッ化アルコール、ケトンまたはこれらの混合物を含み;前記溶媒の濃度が80重量%〜99重量%に及ぶ、請求項1記載の方法。
  14. 前記溶媒がジクロロメタン、ジクロロエタン、トルエン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、tert−アミルアルコール、tert−ブタノール、メタノール、エタノール、トリフルオロエタノール、アセトン、メチル−エチル−ケトン、またはこれらの混合物を含む、請求項13に記載の方法。
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