JP2015232382A - 転がり軸受用保持器および転がり軸受 - Google Patents

転がり軸受用保持器および転がり軸受 Download PDF

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直樹 池村
Naoki IKEMURA
直樹 池村
大地 伊藤
Daichi Ito
大地 伊藤
広道 國米
Hiromichi Kunimai
広道 國米
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Abstract

【課題】簡易な工程で製造でき、保持器のアンバランスが発生しにくく、また、高速回転時のフープ応力等による保持器破損を防止できる転がり軸受用保持器、および該保持器を組み込んだ転がり軸受を提供する。【解決手段】転がり軸受用保持器1は、転動体を保持するポケットを有する円環状の保持器本体2と、保持器本体2の両端面に固定された金属製のリングプレート3とからなり、保持器本体2は樹脂材の圧縮成形体であり、リングプレート3は該圧縮成形時に保持器本体2と一体化されており、上記樹脂材は、ベース樹脂であるポリテトラフルオロエチレン樹脂に、ガラス繊維および炭素繊維から選ばれる少なくとも一つの繊維状補強材を配合し、必要に応じて酸化マグネシウムおよび炭酸カルシウム等から選ばれる少なくとも一つの無機充填材を配合してなる。【選択図】図2

Description

本発明は、高速回転で極低温や真空環境用途に使用される転がり軸受用保持器、および該保持器を組み込んだ転がり軸受に関する。
ロケットエンジンに用いられる液体燃料用ターボポンプの回転支持部には、アンギュラ玉軸受などの転がり軸受が使用されている。この転がり軸受は、液体推進剤中の高速回転環境下で使用される。特に液体水素、液体酸素などの環境下では極低温になるため、油、グリースといった通常の流動性潤滑剤が適用できない。高速回転で使用されるため、保持器にはフープ応力に耐え得る高比強度が要求される。また、人工衛星が方向を変えるときに発生する慣性力が人工衛星の回転部分に作用すると回転部分に使用されている軸受にモーメント荷重が発生し、転動体およびこれを保持する保持器にも非常に大きな荷重がかかる。このことからも、該保持器について高比強度や高剛性が要求される。
さらに、今後、開発されるロケットエンジンは、再使用ロケットや、有人ロケットに使用するため、今まで以上に信頼性を向上させる必要があり、コスト削減やロケットを回収できる機能と性能を持たせるなど、環境への配慮も併せて検討されている。従って、ロケットエンジンに使用される上記転がり軸受は長寿命化とコスト低減も要求される。
従来、極低温かつ高速回転環境下で使用する転がり軸受用の保持器として、母材にポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと記す)樹脂を含浸させたガラス織布を用い、表層のガラス繊維をフッ酸処理により、溶解させた保持器が考案されている(特許文献1参照)。この保持器を軸受に使用することで、ガラス織布で強度を、含浸させたPTFE樹脂で自己潤滑性と摺動相手材への移着性を確保している。
また、保持器母材をアルミニウム合金とし、保持器ポケット面と外径面にPTFE樹脂を主成分としたコーティング膜を採用した保持器が考案されている(特許文献2参照)。この保持器を軸受に使用することで、アルミニウム合金で強度を、PTFE樹脂を主成分としたコーティング膜で高移着性、かつ、耐摩耗性を確保している。
その他、第一樹脂組成物と第二樹脂組成物とを用い、第一樹脂組成物で保持器母材を形成し、第二樹脂組成物でポケット部を形成し、該ポケット部を上記保持器母材に装着した保持器が提案されている(特許文献3参照)。ここで、第一樹脂組成物は、一定の機械強度および摩耗特性を有するポリエーテルエーテルケトン樹脂を主成分とし、耐摩耗性を付与するための繊維強化材が配合された樹脂複合材である。また、第二樹脂組成物は、自己潤滑性を有するPTFE樹脂を主成分とした樹脂複合材である。
特公平2−20854号公報 特開2006−220240号公報 特開2007−239935号公報
特許文献1の保持器では、上述のように、PTFE樹脂を含浸させたガラス織布にフッ酸処理を施した素材が使用されている。この場合、保持器表面のフッ酸処理層以上に摩耗が進展した場合、ガラス繊維が露出し、転動体および軌道輪を損傷するおそれがある。また、フッ酸処理により保持器表層のガラス織布を溶解させるため、保持器強度が低下する。また、軸受の長寿命化や摩耗に対する信頼性向上のため、フッ酸処理層を厚くすることは、フッ酸処理時間の増加を招き、製造コストが高くなる。
特許文献2の保持器では、上述のように、保持器母材にアルミニウム合金を採用し、ポケット面と案内面にPTFE樹脂コーティング膜を採用している。この場合、軸受の長寿命化に対する信頼性向上のためにはコーティング膜厚を厚くすることが必要になるが、そのためには「コーティング、乾燥、焼成」のサイクルを複数回繰り返す必要があり、製造リードタイムが長くなる。また、コーティング後の仕上げ加工の基準面を確保するため、非機能面にマスキングが必要になり、製作が困難である。
特許文献3の保持器では、上述のように、保持器母材にPEEK樹脂複合材を、ポケット部にはPTFE樹脂複合材を採用して装着している。この場合、ポケット部に装着するPTFE樹脂複合材は個々に製作しているため、相互差が生じ、アンバランスの要因に成り得る。また、保持器母材とポケット部材の線膨張係数に差があるため、運転時の保持器の温度変化によって、装着しているポケット部材が脱落するおそれがある。さらに、円環状の保持器母材は射出成形で製造するため、ウェルドを有し、使用条件によっては該部分での破損のおそれがある。
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、簡易な工程で製造でき、保持器のアンバランスが発生しにくく、また、高速回転時のフープ応力等による保持器破損を防止できる転がり軸受用保持器、および該保持器を組み込んだ転がり軸受を提供することを目的とする。
本発明の転がり軸受用保持器は、転がり軸受における転動体を保持する転がり軸受用保持器であって、該保持器は、上記転動体を保持するポケットを有する円環状の保持器本体と、該保持器本体の両端面に固定された金属製のリングプレートとからなり、上記保持器本体は樹脂材の圧縮成形体であることを特徴とする。特に、上記リングプレートは、上記保持器本体の圧縮成形時に該保持器本体と一体化されていることを特徴とする。
上記樹脂材は、ベース樹脂であるポリテトラフルオロエチレン樹脂に、ガラス繊維および炭素繊維から選ばれる少なくとも一つの繊維状補強材を配合してなることを特徴とする。
上記リングプレートの金属材質が、アルミニウム合金、マグネシウム合金、チタン合金、炭素鋼、または銅合金であることを特徴とする。
上記リングプレートにおいて、内径面および外径面から選ばれる少なくとも一方の面に切欠き部を有し、上記保持器本体が該切欠き部に嵌合された状態であることを特徴とする。
本発明の転がり軸受は、転動体および該転動体を保持する保持器を有する転がり軸受であって、該保持器が上記本発明の転がり軸受用保持器であることを特徴とする。また、上記転がり軸受は、ロケットエンジンの液体燃料用ターボポンプの回転支持部に使用される軸受であることを特徴とする。
本発明の転がり軸受用保持器は、転動体を保持するポケットを有する円環状の保持器本体と、該保持器本体の両端面に固定された金属製のリングプレートとからなり、上記保持器本体は樹脂材の圧縮成形体であるので、保持器本体に射出成形体のようなウェルドがなく、かつ、リングプレートによる補強効果により、高速回転時のフープ応力による保持器本体の破損を防止できる。また、ポケット面も含め、保持器本体を単一材料で一体成形しているため、保持器のアンバランスが発生しにくく、また、摩耗に対する許容量が増え、軸受の長寿命化に寄与できる。さらに、保持器本体の圧縮成形時にリングプレートを一体化することで、製造工程を簡略化でき、大幅にコストを削減できる。
また、樹脂材に自己潤滑性と摺動相手材への移着性を付与したものを採用することで、保持器本体が運転中に摩耗して、ポケット面から転動体、軸受軌道面に自己成分が移着し、軸受の潤滑に寄与できる。これにより、液体推進剤である液体水素や液体酸素と接する極低温かつ高速回転環境下で使用される転がり軸受の保持器として好適に利用できる。
本発明の転がり軸受の一例である外輪案内形式のアンギュラ玉軸受の軸方向断面図およびA方向矢視図である。 図1の転がり軸受における保持器の斜視図である。 リングプレートのみを示す図である。 リングプレートにおける切欠き部の他の形状を示す断面図である。 本発明の転がり軸受用保持器の製造工程を示す模式図である。
本発明の転がり軸受用保持器および転がり軸受を図1および図2に基づいて説明する。図1は本発明の転がり軸受の一例であるアンギュラ玉軸受の軸方向断面図(図1(a))およびA方向矢視図(図1(b))であり、図2は図1の転がり軸受における保持器(外輪案内)の斜視図である。図1(a)および(b)に示すように、転がり軸受5は、内輪6および外輪7と、内輪6と外輪7との間に介在する複数の転動体8と、この転動体8を周方向に一定間隔で保持する保持器1とを備えている。保持器1が本発明の転がり軸受用保持器である。内輪6および外輪7と、転動体8とは径方向中心線に対して所定の角度(接触角)を有して接触しており、ラジアル荷重と一方向のアキシアル荷重を負荷することができる。
図2に示すように、本発明の転がり軸受用保持器1は、内径側に中空部を有する円環状の保持器本体2と、保持器本体2の両端面に固定された金属製のリングプレート3とから構成される。保持器本体2は、転動体(ボール)を保持するためのポケット4を周方向等間隔に複数有する。ポケット4の転動体保持面は、保持器本体と同材からなり、該保持面にリングプレート3は露出しない。リングプレート3は、その径方向幅が保持器本体2の径方向幅よりも若干小さく、保持器本体2の円環軸方向の両端面において、案内面である外径面側には露出せずに、内径面側に露出する形で固定されている。なお、内輪案内である場合には、少なくとも内径面側には露出しないように設計する必要がある。
保持器本体2は、樹脂材の圧縮成形体である。リングプレート3は、保持器本体2の圧縮成形時に該本体に固定された状態に一体化してもよいし、保持器本体2を圧縮成形した後に、これに固定してもよい。ポケット4は、圧縮成形後に機械加工等により形成する。保持器本体の圧縮成形時にリングプレートを一体化する場合、例えば、金型内にリングプレートと後述の樹脂材(粉末)を挿入した状態で圧縮成形する等の方法が採用できる。また、保持器本体の成形後にリングプレートを固定する場合、例えば、両部材に相補的な嵌合可能部位(後述の切欠き部等)を予め形成しておき、一方または両方に熱を加えながら嵌合固定する等の方法が採用できる。本発明においては、製造工程の簡略化が図れることから、保持器本体とリングプレートとを該保持器本体の圧縮成形時に一体化することが好ましい。
ポケット4の平面形状は、平円形状または真円とできる。ここで、平円形状とは、真円形状で必要とされるポケット隙間(ポケット内径とボール直径との差)量と一致させる隙間を間にして、その両側にボールの半径にほぼ近似するポケット面の半径で構成させた平円とする形状をいう。回転軸周方向のポケット隙間量を大きくして、ボールの進み遅れを吸収することにより、保持器にかかる負荷を減らすことができる平円形状であることが好ましい。
人工衛星において用いられる転がり軸受では、人工衛星が方向を変えるときに発生する慣性力が人工衛星の回転部分に作用すると回転部分に使用されている軸受にモーメント荷重が発生し、軸受の転動体と保持器との間には進み遅れが発生する。転動体が保持器を押す力が大きくなり保持器の案内隙間以上に移動しようとすると保持器に曲げ変形が生ずる。本発明の転がり軸受用保持器は、圧縮成形体であるので、成形体中にウェルド部がなく、両端面をリングプレートにより補強するため、樹脂製の保持器でありながら高強度であり、軸受に慣性力による上記モーメント荷重が作用した場合でも変形を抑制できる。
ここでは、図1等に基づきアンギュラ玉軸受について説明したが、本発明の転がり軸受の軸受形態はこれに限定されるものではない。軸受形式としては、例えば、深溝玉軸受、円筒ころ軸受、針状ころ軸受などの転がり軸受などにも適用できる
図2におけるリングプレートのみを図3に示す。リングプレート3では、該プレートの外径面に切欠き部3aを有する。切欠き部3aは、周方向で等間隔に複数個形成されている。この切欠き部3aに保持器本体の一部が嵌合された状態となっている(図2等参照)。該構造により、保持器本体2とリングプレート3との分離を防止でき、また、保持器本体2にフープ応力や熱が加わった場合において該本体の径方向への変形(膨張)を防止できる。切欠き部を形成したリングプレートを金型に配置した状態で樹脂材(粉末)を圧縮成形して保持器本体を形成する際に、該切欠き部の部分にも上記樹脂材が充填されて、保持器本体側に、リングプレートの該切欠き部に対応した相補的な部位が形成され、上記嵌合構造が形成される。
切欠き部の他の形状として、例えば図4に示すような形状も採用できる。ロケットエンジンの液体燃料用ターボポンプ等では、軸の回転方向が一定である。図4において、図中黒矢印が保持器回転方向であり、回転時、保持器本体2にはポケット4に保持する転動体により図中白矢印方向の荷重が加わる。図4では、リングプレート3の切欠き部3bが、軸方向に平行な方向から保持器回転方向側に傾斜した形状を有している。この切欠き部3bは、回転時に転動体から加わる荷重に対抗する(引っ掛かる)方向に形成されている。このため、高速回転時においても両部材が強固に固定され、リングプレートと保持器本体との分離を防止でき、フープ応力による変形等も防止できる。また、圧縮成形時には円環軸方向から圧縮するため、該形状の切欠き部にも、樹脂材が十分に充填される。
切欠き部の形状は、保持器本体とリングプレートとの分離防止や、保持器本体の変形を防止できる形状であれば、図3や図4に示すものに限定されず、任意の形状を採用できる。また、図3や図4に示す形状を組み合わせて形成してもよい。
リングプレートの金属材料は、極低温環境下において、高速回転に耐える引張強度を有するものから選定することが好ましい。例えば、アルミニウム合金、マグネシウム合金、チタン合金、炭素鋼、銅合金などが挙げられる。特に、低コストで耐腐食性に強く、高比強度であるアルミニウム合金を採用することが好ましい。
保持器本体を形成する樹脂材のベース樹脂は、自己潤滑性などの摺動特性に優れ、かつ、圧縮成形もしくは加熱圧縮成形ができる樹脂であれば特に限定されない。例えば、スーパーエンジニアリングプラスチック、ハイエンジニアリングプラスチック、汎用エンジニアリングプラスチックの中から選定できる。より詳細には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂などが挙げられる。
ロケットエンジンの液体燃料用ターボポンプに用いられ液体水素・液体酸素中で使用される軸受や、宇宙用機器などに用いられ真空環境で使用される軸受では、油・グリースといった通常の流動性潤滑剤が適用できないため、保持器本体に自己潤滑性と摺動相手材への潤滑成分(本体を構成する成分)の移着性を付与することが好ましい。すなわち、保持器本体が運転中に摩耗して、ポケット面から転動体、軸受軌道面に自己成分が移着し、軸受の潤滑に寄与するものが好ましい。このような観点から、上記樹脂の中でも、摺動相手材への移着性に優れる樹脂を採用することが好ましく、特にPTFE樹脂を採用することが好ましい。
PTFE樹脂は、結晶性熱可塑性樹脂であり、その融点は通常便宜的に327℃とされているが、溶融粘度が380℃でも1011 ポアズと極めて高く、成形時の溶融粘度が10〜10 ポアズである一般の熱可塑性樹脂とは異なり、射出成形などの溶融成形法を適用できない。このため、PTFE樹脂は、粉末状樹脂を金型に入れ、加圧圧縮した後に焼成する成形法(圧縮成形)や、融点以上の360〜390℃に加熱してから加圧圧縮(焼結)する成形法(加熱圧縮成形)が採用される。本発明ではPTFE樹脂として、−(CF−CF−で表される一般のPTFE樹脂を用いることができ、また、一般のPTFE樹脂に、パーフルオロアルキルエーテル基(−C2p−O−)(pは1−4の整数)やポリフルオロアルキル基(H(CF−)(qは1−20の整数)などを導入した変性PTFE樹脂も使用できる。PTFE樹脂の分子量としては、数平均分子量(Mn)が約10万〜1000万であるものが好ましい。
PTFE樹脂としては、懸濁重合法によるモールディングパウダー、乳化重合法によるファインパウダー、再生PTFE樹脂のいずれを用いてもよい。ここで、再生PTFE樹脂とは、バージン材ではないPTFE樹脂であり、例えば、モールディングパウダーまたはファインパウダーを融点以上で加熱および加圧した成形体、またはその加工品などを加熱焼成後に粉砕した粉末、また、この粉末にさらにγ線または電子線などを照射した粉末などのタイプがある。PTFE樹脂としては、上記の再生PTFE樹脂を用いることが好ましい。再生PTFE樹脂は、加熱焼成されているため、金型への流動性に優れる。
PTFE樹脂は、上述のとおり圧縮成形時に粉末状で使用される。PTFE樹脂粉末の平均粒子径(レーザ回析法)は、3〜50μmが好ましく、3〜15μmがより好ましい。平均粒子径が3μm未満であると凝集して塊となるおそれがあり、50μmをこえると摺動相手材との摩擦摩耗特性にバラつきを生じるおそれがある。金型への流動性等を考慮すると3〜10μmの再生PTFE樹脂が特に好ましい。
本発明で使用できるPTFE樹脂の市販品としては、喜多村社製:KTL−610、KTL−450、KTL−350、KTL−8N、KTL−400H、三井・デュポンフロロケミカル社製:テフロン(登録商標)7−J、TLP−10、旭硝子社製:フルオンG163、L150J、L169J、L170J、L172J、L173J、ダイキン工業社製:ポリフロンM−15、ルブロンL−5、ヘキスト社製:ホスタフロンTF9205、TF9207などが挙げられる。
上記ベース樹脂には、機械的強度、耐摩耗性を向上させ、線膨張係数を小さくする目的で繊維状補強材を配合する。繊維状補強材としては、例えば、炭素繊維(PAN系またはピッチ系)、ガラス繊維、アラミド繊維などが挙げられる。これらの中でも上記補強効果を得やすいことから、炭素繊維、ガラス繊維を用いることが好ましい。また、炭素繊維やガラス繊維の繊維径や繊維長は特に限定されるものではない。繊維状補強材の配合量は、樹脂材全体に対して10〜30体積%が好ましく、15〜25体積%がより好ましい。繊維状補強材の配合量が10体積%未満であると、強度不足となるおそれがあり、30体積%をこえるとそれ以上には強度向上が認められない。なお、繊維状補強材を複数種併用する場合には、その合計配合量を上記範囲内に調整することが好ましい。
また、上記ベース樹脂には、樹脂材からなる保持器本体の線膨張係数をリングプレートの線膨張係数に近づける等の目的で無機充填材を配合してもよい。無機充填材としては、例えば、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化鉄、酸化チタン、シリカなどが挙げられる。無機充填材の配合量は、樹脂材全体に対して20体積%未満が好ましく、15体積%以下がより好ましい。無機充填材の配合量が20体積%以上であると、必要な材料強度を確保できないおそれがある。なお、無機充填材についても、複数種併用する場合には、その合計配合量を上記範囲内に調整することが好ましい。
その他、保持器としての機能や圧縮成形性を損なわない範囲で、必要に応じて、固体潤滑剤、顔料などを配合してもよい。
保持器本体を形成する樹脂材としては、ベース樹脂としてPTFE樹脂を用い、これに、ガラス繊維および炭素繊維から選ばれる少なくとも一つの繊維状補強材を配合し、必要に応じて酸化マグネシウムおよび炭酸カルシウム等から選ばれる少なくとも一つの無機充填材を配合した態様が最も好ましい。この場合、それぞれの配合量としては、上述のとおり、樹脂材全体に対して繊維状補強材が10〜30体積%、無機充填材が20体積%未満であり、残部(50〜90体積%)がPTFE樹脂である。ベース樹脂となるPTFE樹脂が50体積%未満になると、摺動相手材への移着性が低下し、また、潤滑性能が低下するおそれがある。また、このような樹脂材を成形材料とする場合、圧縮成形前に各成分を混合して金型に充填してもよいし、予め各成分からなる複合材粉末として調整したものを使用してもよい。なお、複合材粉末の粒子径は、圧縮成形時にリングプレートとの密着強度を向上できることから、リングプレートの表面粗さ以下とすることが好ましい。
本発明の転がり軸受用保持器の製造工程の一例を図5に基づいて説明する。図5は、本発明の転がり軸受用保持器の製造工程(圧縮成形)の一例を示す模式図である。
(1)リングプレート加工
金属材料を用いて、プレスまたは切削によりリング形状のプレートを製作する。得られたリングプレートに対して、保持器本体の変形を抑制するための切欠き部(図3や図4)を形成する。
(2)リングプレートの表面処理
必要に応じて、リングプレートにおける少なくとも保持器本体との接触面に、ショットブラスト、タンブラー、機械加工等により凹凸形状に荒らす、または、酸処理等の化学表面処理を施して微細凹凸形状を形成する。圧縮成形時に、これらの凹凸部に保持器本体を形成する樹脂が入り込み、アンカー効果により保持器本体とリングプレートとの密着強度が向上する。ここで、上記表面粗さは、複合材粉末の粒子径を考慮し、該粒子径が該表面粗さ以下となるよう調整することが好ましい。
(3)加熱圧縮成形
圧縮成形金型11内に、リングプレート3’、樹脂複合材粉末2’、リングプレート3’’の順に挿入する。圧縮成形金型11は、内径金型12、外径金型13、下部金型15、および上部金型14から構成される。内径金型12および外径金型13は、同一中心に配置され、ボルトなどで下部金型15に固定されている。成形材料は、内径金型12と外径金型13と下部金型15とで囲まれる円環形状のクリアランス部に挿入・配置される。この状態で、金型を360℃以上に加熱し、上記クリアランス部に一部嵌合する形状の上部金型14を下死点まで移動させることで、リングプレートに挟まれた樹脂複合材粉末2’が円環軸方向に圧縮される。ここで、成形圧力は、例えば10MPa以上で行なう。この圧縮成形により、リングプレート3と保持器本体2とが一体化された円環状部材が得られる。また、圧縮成形における残留圧縮応力により、使用時の寸法変化が懸念される場合は、アニール処理を行ってもよい。
(4)機械加工
得られた円環状部材を金型から取り出し、ポケットを後加工で形成することで保持器が得られる。また、圧縮成形のみで目的とする寸法公差に成形できない場合には、仕上げ加工(機械加工)で目的形状の保持器としてもよい。スライドコアを利用した成形金型を用い、圧縮成形時にポケットを形成してもよい。
本発明の転がり軸受用保持器は、このような簡易な製造工程で、保持器本体とリングプレートとを一体化でき、製造コストを削減できる。また、保持器本体に射出成形体のようなウェルドがなく、かつ、リングプレートが両端面に固定されるため、高速回転使用時にも変形や破損を防止できる。
本発明の転がり軸受用保持器は、簡易な工程で製造でき、保持器のアンバランスが発生しにくく、高速回転時のフープ応力等による保持器破損を防止できるので、高速回転用途の転がり軸受の保持器として好適に利用できる。また、保持器本体にPTFE樹脂等の自己潤滑性と摺動相手材への移着性に優れた樹脂材を用いることで、ロケットエンジンの液体燃料用ターボポンプに用いられ液体水素・液体酸素中で使用される軸受や、宇宙用機器などに用いられ真空環境で使用される軸受の保持器として好適に利用できる。
1 転がり軸受用保持器
2 保持器本体
3 リングプレート
4 ポケット
5 転がり軸受
6 内輪
7 外輪
8 転動体
11 圧縮成形金型
12 内径金型
13 外径金型
14 上部金型
15 下部金型

Claims (7)

  1. 転がり軸受における転動体を保持する転がり軸受用保持器であって、
    該保持器は、前記転動体を保持するポケットを有する円環状の保持器本体と、該保持器本体の両端面に固定された金属製のリングプレートとからなり、
    前記保持器本体は樹脂材の圧縮成形体であることを特徴とする転がり軸受用保持器。
  2. 前記リングプレートは、前記保持器本体の圧縮成形時に該保持器本体と一体化されていることを特徴とする請求項1記載の転がり軸受用保持器。
  3. 前記樹脂材は、ベース樹脂であるポリテトラフルオロエチレン樹脂に、ガラス繊維および炭素繊維から選ばれる少なくとも一つの繊維状補強材を配合してなることを特徴とする請求項1または請求項2記載の転がり軸受用保持器。
  4. 前記リングプレートの金属材質が、アルミニウム合金、マグネシウム合金、チタン合金、炭素鋼、または銅合金であることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の転がり軸受用保持器。
  5. 前記リングプレートにおいて、内径面および外径面から選ばれる少なくとも一方の面に切欠き部を有し、前記保持器本体が該切欠き部に嵌合された状態であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項記載の転がり軸受用保持器。
  6. 転動体および該転動体を保持する保持器を有する転がり軸受であって、
    前記保持器が請求項1から請求項5のいずれか1項記載の転がり軸受用保持器であることを特徴とする転がり軸受。
  7. 前記転がり軸受は、ロケットエンジンの液体燃料用ターボポンプの回転支持部に使用される軸受であることを特徴とする請求項6記載の転がり軸受。
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