JP2015229242A - 熱収縮性ポリエステル系フィルム及び包装体 - Google Patents

熱収縮性ポリエステル系フィルム及び包装体 Download PDF

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Abstract

【課題】縦方向に高い熱収縮率を有し、横方向は小さい熱収縮率を示し、収縮仕上がり性も優れたものとなる熱収縮性ポリエステル系フィルムを提供することを課題としている。
【解決手段】所定の組成のポリエステルからなり、長手方向を主収縮方向とする熱収縮性ポリエステル系フィルムにおいて、温度変調DSCで測定した上記フィルムのガラス転移温度前後の可逆熱容量差が0.45J/g・℃以上0.75J/g・℃以下であり、90℃の温水にフィルムを10秒間浸漬したときの温湯収縮率が、フィルム長手方向で30%以上80%以下であることを全て満足する熱収縮性ポリエステル系フィルムである。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱収縮性ラベル用途に好適な熱収縮性ポリエステル系フィルムおよびラベルを用いた包装体に関する。
近年、ガラス瓶またはプラスチックボトル等の保護と商品の表示を兼ねたラベル包装、キャップシール、集積包装等の用途に、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂等からなる延伸フィルム(いわゆる、熱収縮性フィルム)が広範に使用されるようになってきている。このような熱収縮性フィルムのうち、ポリ塩化ビニル系フィルムは、耐熱性が低い上に、焼却時に塩化水素ガスを発生したり、ダイオキシンの原因となる等の問題がある。また、ポリスチレン系フィルムは、耐溶剤性に劣り、印刷の際に特殊な組成のインキを使用しなければならない上、高温で焼却する必要があり、焼却時に異臭を伴って多量の黒煙が発生するという問題がある。このため、耐熱性が高く、焼却が容易であり、耐溶剤性に優れたポリエステル系の熱収縮性フィルムが、収縮ラベルとして広範に利用されるようになってきており、PET(ポリエチレンテレフタレート)ボトル等の流通量の増大に伴って、使用量が増加している傾向にある。
熱収縮性フィルムからボトル飲料用のラベルを作製する場合、チューブ状にしてボトルに装着した後にボトル周方向に熱収縮させる必要がある。このため、幅方向に熱収縮する熱収縮性フィルムをラベルにする場合、フィルム幅方向が周方向となるようにチューブ状体を形成した上で、このチューブ状体を所定の長さに切断してラベルとしてから、ボトルに装着しなければならない。従って、幅方向に熱収縮する熱収縮性フィルムからなるラベルをボトルに装着するには、速度的に制限があって、改善が要望されていた。
このため、最近では、フィルムロールから直接ボトルの周囲に巻き付けてラベルとする(所謂、ラップ・ラウンド)ことが可能な、長手方向に熱収縮するフィルムが求められている。さらに近年では、お弁当等の合成樹脂製容器の周囲を帯状のフィルムで覆うことによって容器を閉じた状態で保持するラッピング方法が開発されており、長手方向に収縮するフィルムは、このような包装用途にも適している。従って、長手方向に収縮するフィルムは、今後、需要が飛躍的に増大するものと見込まれている。
近年では、様々な容器の形状が提案されており、それに伴ってフィルムの収縮特性に対する要求は高まっている。特に飲料用ボトルは、ボトル自体に凹凸をつけたり、印刷ラベルがボトル全体を覆ったり(フルシュリンク)してデザイン性を高めた包装形態が提案されている。これらの要求に答えるためには、フィルムの収縮率を高める必要がある。しかし、長手方向に大きく収縮させようとすると、それと直交する幅方向の収縮率も大きくなり、ラベルを容器へ収縮させた際にボトル高さ方向のラベル長(いわゆるラベルピッチ)が短くなってしまったり、ボトル形状によっては収縮仕上げ後にラベル端部が中央へ寄ってしまったりする(いわゆるヒケ)問題があった。ラベルピッチが短くなる、ヒケが生じることはデザイン要求を満たすことができないだけでなく、使用ラベル面積も増えるため経済上観点からも好ましくない。
また、長手方向に熱収縮するフィルムからラベルを製造する際は、ボトルに巻き付けつつ、ヒートシールやホットメルト接着剤等を用いて端部を接着する方法が採用されている。しかし、生産性を高めるためにラベル装着ラインを高速化すると、充分な接着強度が得られず、熱収縮の際に接着部がめくれたり剥がれたりする問題が発生していた。
特許第4752360号公報 特開2009-114422号公報
本発明は、長手方向に熱収縮するフィルムにおいて、上記した各種の問題、特に、収縮仕上がり性に優れ、接着部のめくれ上がりや剥がれ等の問題を解決したものとなる熱収縮性ポリエステル系フィルムの提供を課題としている。
即ち、本発明は以下の構成よりなる。
1.長手方向を主収縮方向とする熱収縮性ポリエステル系フィルムにおいて、温度変調DSCで測定した上記フィルムのガラス転移温度前後の可逆熱容量差が0.45J/g・℃以上0.75J/g・℃以下であり、90℃の温水にフィルムを10秒間浸漬したときの温湯収縮率が、フィルム長手方向で30%以上80%以下、幅方向で−10%以上5%以下であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
2.ポリエステル系フィルム同士を140℃でヒートシールした後の剥離強度が4.0N/15mm以上15N/15mm以下であることを特徴とする上記第1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
3.90℃の熱風で収縮させた際のフィルム主収縮方向の最大収縮応力が2MPa以上8MPa以下であることを特徴とする上記第1または2に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
4.フィルムを構成する全ポリエステル成分中に、エチレングリコール以外のグリコール成分および/またはテレフタル酸以外のジカルボン酸成分を含有し、その合計量が10モル%以上40モル%以下であることを特徴とする上記第1〜3のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
5.上記第1〜4のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムから得られたミシン目またはノッチを有するラベルを、容器の少なくとも外周の一部に被覆して熱収縮させて形成させることを特徴とする包装体
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、長手方向の収縮率が高く、長手方向と直交する幅方向の収縮率が低いので、PETボトル等のラベルとして熱収縮させたときに収縮不足やヒケの極めて少ない良好な仕上りを発現させることができる。また、ヒートシール性が良好なため、チューブ状体でボトルに装着した後、熱収縮させたときの接着部のめくれ上がりやハガレを抑制することができ、PETボトル等のラベルを始めとする各種被覆ラベル等に好適に用いることができる。そして、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムから得られたラベルで包装された包装体は、美麗な外観を有するものである。
実施例1のフィルムの温度変調DSCで測定した可逆熱容量曲線である。
1.本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムの特性
1.1 可動非晶量
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、温度変調DSCによるヒートオンリーモードで測定した熱収縮性ポリエステル系フィルムのガラス転移温度(Tg)前後の可動非晶量の指標となる可逆熱容量差が0.45J/g・℃以上0.75J/g・℃以下でなければならない。
以下、可動非晶の概念について説明する。
従来、フィルムを構成する分子の高次構造は結晶と非晶に分かれていると考えられており、フィルムの収縮に関与するのは非晶構造と考えられてきた。そのため、熱収縮性フィルムを高収縮化するためには、非晶構造となりうるユニットを構成するモノマー成分(以下、単に非晶成分)量を増やすという手段がとられてきた。従来の熱収縮性フィルムの製膜方式である一軸延伸法で得られるフィルムでは、非晶成分量を増やすことで、それに見合った収縮率の増加が認められていた。しかし、例えば特許文献1に記載されている横−縦延伸法で得られる熱収縮性フィルムは、非晶成分量を増やしても、増量分に見合った収縮率の増大が見られないということが判明した。非晶成分量をさらに増やすと、主収縮方向である縦方向の収縮率だけでなく、横方向の収縮率も増加してしまう欠点がある。さらに本発明者等が検討したところ、結晶化度と熱収縮率、あるいは、融解熱と熱収縮率には、ほとんど相関がないことも判明した。これらのことから、ポリエステルが結晶相と非晶相との2相に分かれているのではなく、結晶相と、可動非晶相と剛直非晶相の3相に分かれているのではないかと考えた。
この剛直非晶(Rigid amorphous)とは、結晶と可動非晶(Mobile amorphous;従来の完全非晶)の中間状態で、Tg以上でも分子運動が凍結しており、Tgよりも高い温度で流動状態となる非晶のことである(例えば、十時 稔,「DSC(3)−高分子のガラス転移挙動編−」,繊維学会誌(繊維と工業),Vol.65,No.10(2009))。剛直非晶量(率)は、100%−結晶化度−可動非晶量で表せる(例えば、P. G. Karagiannidis, a. C. Stergiou and G. P. Karayannidis, Eur. Polym. J. 44, 1475-1486 (2008))。
そして、可動非晶量と熱収縮率の関係を検討したところ、両者には相関があることがわかった。さらに、未延伸シート、横延伸後のフィルム、最終熱処理後のフィルム等について、可動非晶量を測定したところ、横延伸と中間熱処理後のフィルムのうち、未延伸フィルムに比べて可動非晶量が大きく減少したフィルムは、高い熱収縮率を示すことができず、可動非晶が剛直非晶に変化していることが示唆された。
そこで、本発明者等は、横延伸や中間熱処理の条件、横方向の弛緩条件を検討すると共に、延伸工程や熱処理によって可動非晶から剛直非晶へ変化する割合が小さく、延伸工程での弛緩(リラックス)処理等によって剛直非晶から可動非晶への変化量が大きい非晶成分を見出す検討を続け、本発明を完成するに至ったのである。なお、可動非晶量は、図1に示した温度変調DSC測定から得られた可逆熱容量曲線より求めることができる。図1では、フィルムのガラス転移に相当する温度でベースラインがシフトする。シフト前後の値の差を熱容量差ΔCpといい、これが可動非晶量に相当するとされている。ΔCpが0.45J/(g・℃)よりも小さいと、可動非晶量が少ないため高熱収縮率を達成できず、0.50J/(g・℃)以上が好ましく、0.55J/(g・℃)以上がより好ましい。ΔCpは0.75J/(g・℃)を超えても構わないが、本発明では、0.75J/(g・℃)程度が上限である。
1.2 フィルム縦方向の90℃収縮率
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、90℃の温湯中に、無荷重状態で10秒間浸漬し、フィルムを直ちに25℃±0.5℃の水中に10秒間浸漬させた後、収縮前後の長さから、下式1により算出したフィルムの縦方向(主収縮方向)の熱収縮率(すなわち、90℃の温湯収縮率)が、30%以上80%以下でなければならない。

熱収縮率={(収縮前の長さ−収縮後の長さ)/収縮前の長さ}×100(%) 式1

90℃における縦方向の温湯収縮率が30%未満であると、収縮量が小さいため、ラベルとして用いた場合に、熱収縮後のラベルにシワやタルミが生じてしまう。90℃の温湯収縮率は33%以上が好ましく、36%以上がより好ましい。90℃における縦方向の温湯収縮率は高ければ高いほど容器の形状に追従できて好ましいが、80%以上の収縮率を発現させるには、縦方向の延伸倍率が5.5倍以上である必要が生じ、製膜工程において破断が多発してしまうので好ましくない。90℃の温湯収縮率は、77%以下が好ましく、74%以下がより好ましい。
2.3 フィルム横方向の90℃収縮率
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、上記と同様にして測定されたフィルム横方向(主収縮方向と直交する方向)の90℃の温湯収縮率が、−10%以上5%以下であることが好ましい。90℃における横方向の温湯収縮率が−10%未満である(すなわち、加熱による伸長が大きい)と、ボトルのラベルとして使用する際に、ラベルに伸びが生じすぎてシワになりやすく、良好な収縮外観を得ることができないので好ましくなく、反対に、90℃における横方向の温湯収縮率が5%を超えると、収縮後のラベルに歪みやヒケが生じ易くなるので好ましくない。90℃における横方向の温湯収縮率は、好ましくは−8%以上3%以下であり、より好ましくは−6%以上1%以下である。
特許文献2では、中間熱処理を75℃以上140℃以下の温度で行い、最終熱処理工程で幅方向の両端際をクリップによって把持した状態で90℃以上140℃以下の温度で加熱しながら幅方向に1%以上30%以下の範囲内で緩和させ、更に実施例においては縦延伸倍率を最大で2.4とすることで、横方向の収縮率を−5%以上(実施例では最小−1.5%)、5%以下に調整していた。この文献に記載の方法によって、フィルム横方向の収縮率をマイナスにすることには成功しているが、縦延伸倍率が2.4倍以下と低倍率に抑えられているため、縦方向の温湯熱収縮率を30%より大きくすることは非常に困難であった。これは、横方向への延伸後フィルムを縦方向に延伸する際に、縦方向への延伸応力により横方向にもネッキングの力が作用して、横方向へも少し収縮するフィルムとなってしまうことによる。そして、この作用は縦延伸倍率が大きいほど顕著となる。そこで、本発明者等は、中間熱処理温度や横方向の弛緩率をより適切に調整することで、可動非晶量を多くすることに成功した。可動非晶は完全非晶質なため、可動非晶が多いと横延伸時のネッキング応力が小さくなり、横方向の収縮率を小さくできる。本発明では、可動非晶量を多くすることで、幅方向に延伸したフィルムであっても、幅方向の収縮率がマイナスのフィルムを提供できたと考えられる。
2.4 ヒートシール強度
さらに、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、140℃でヒートシールした時のヒートシール強度が5N/25mm以上であることが好ましい。ヒートシール強度を4N/15mm以上15N/15mm以下とすることで、ラベルとして収縮仕上げを行った際に、実用化に耐えうるものとなる。ヒートシール強度が4N/15mmを下回ると、ラベルを容器へ収縮仕上げした際に剥がれが発生してデザイン要求を満たすことができないため、好ましくない。ヒートシール強度は大きいほどラベルの剥がれがなく好ましいが、上述のようにフィルムの可動非晶量が増加してフィルムの強度等に劣るため、15N/15mm以下が好ましい。より好ましくは5N/15mm以上14N/15mm以下である。
2.5 熱収縮応力
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、90℃の熱風で測定したフィルム主収縮方向の最大収縮応力が2MPa以上8MPa以下であることが好ましい。なお、収縮応力の測定は実施例に記載の方法で行うものとする。
フィルム主収縮方向の90℃での最大収縮応力が2MPaを下回ると、ボトルのラベルとして使用する際に、ラベルが弛んでボトルに密着しないことがあるため、好ましくない。90℃の最大収縮応力は、2.5MPa以上がより好ましく、3MPa以上がさらに好ましい。反対に、90℃の最大収縮応力が8MPaを上回ると、熱収縮後のラベルに歪みが生じやすい、ラベルピッチが小さくなってしまうといった問題が生じるため、好ましくない。90℃の最大収縮応力は、7.5MPa以下がより好ましく、7MPa以下がさらに好ましい。
2.6 熱収縮性ポリエステル系フィルムの原料ポリエステル
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムに用いるポリエステルは、エチレンテレフタレートユニットを主たる構成成分とするものである。エチレンテレフタレートユニットは、ポリエステルの構成ユニット100モル%中、50モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましい。本発明のポリエステルを構成する他のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、オルトフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、および脂環式ジカルボン酸等を挙げることができる。
脂肪族ジカルボン酸(例えば、アジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等)をポリエステルに含有させる場合、含有率は3モル%未満(ジカルボン酸成分100モル%中)であることが好ましい。これらの脂肪族ジカルボン酸を3モル%以上含有するポリエステルを使用して得た熱収縮性ポリエステル系フィルムでは、高速装着時のフィルム腰が不充分である。
また、3価以上の多価カルボン酸(例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸およびこれらの無水物等)をポリエステルに含有させないことが好ましい。これらの多価カルボン酸を含有するポリエステルを使用して得た熱収縮性ポリエステル系フィルムでは、必要な高収縮率を達成しにくくなる。
ポリエステルを構成するジオール成分としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール、ビスフェノールA等の芳香族系ジオール等を挙げることができる。
また、ポリエステルは、全ポリエステル樹脂中における多価アルコール成分100モル%中あるいは多価カルボン酸成分100モル%中の非晶質成分となり得る1種以上のモノマー成分の合計が10モル%以上、好ましくは12モル%以上、より好ましくは14モル%以上、特に好ましくは16モル%以上である。また非晶質成分となり得るモノマー成分の合計の上限は特に限定されないが、上限は40モル%が好ましい。
非晶質成分となり得るモノマーとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,2−ジエチル1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−イソプロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジ−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、ヘキサンジオールを挙げることができる。これらの中でも、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールまたはイソフタル酸を用いるのが好ましい。また、ε−カプロラクトンを用いることも好ましい。
これらの中でも、可動非晶から剛直非晶へ変化する割合が小さい非晶成分、あるいは剛直非晶から可動非晶へと変化する割合が大きい非晶成分として、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の環状ジオールや、炭素数3〜6個を有するジオール(例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等)を用いることが好ましい。特に1,4-ブタンジオールやε−カプロラクトン、ネオペンチルグリコール、イソフタル酸を用いると、本発明の必須要件を満足するポリエステルが得やすくなる。
ポリエステルには、炭素数8個以上のジオール(例えば、オクタンジオール等)、または3価以上の多価アルコール(例えば、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ジグリセリン等)を含有させないことが好ましい。これらのジオール、または多価アルコールを含有するポリエステルを使用して得た熱収縮性ポリエステル系フィルムでは、必要な高収縮率を達成しにくくなる。また、ポリエステルには、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールをできるだけ含有させないことも好ましい。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムを形成する樹脂の中には、必要に応じて各種の添加剤、例えば、ワックス類、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、減粘剤、熱安定剤、着色用顔料、着色防止剤、紫外線吸収剤等を添加することができる。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムを形成する樹脂の中には、フィルムの作業性(滑り性)を良好にする滑剤としての微粒子を添加することが好ましい。微粒子としては、任意のものを選択することができるが、例えば、無機系微粒子としては、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、硫酸バリウム等、有機系微粒子としては、例えば、アクリル系樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子等を挙げることができる。微粒子の平均粒径は、0.05〜3.0μmの範囲内(コールターカウンタで測定した場合)で、必要に応じて適宜選択することができる。
熱収縮性ポリエステル系フィルムを形成する樹脂の中に上記粒子を配合する方法としては、例えば、ポリエステル系樹脂を製造する任意の段階において添加することができるが、エステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応開始前の段階でエチレングリコール等に分散させたスラリーとして添加し、重縮合反応を進めるのが好ましい。また、ベント付き混練押出し機を用いてエチレングリコールまたは水等に分散させた粒子のスラリーとポリエステル系樹脂原料とをブレンドする方法、または混練押出し機を用いて、乾燥させた粒子とポリエステル系樹脂原料とをブレンドする方法等によって行うのも好ましい。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムには、フィルム表面の接着性を良好にするためにコロナ処理、コーティング処理や火炎処理等を施したりすることも可能である。
3.熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、上記したポリエステル原料を押出機により溶融押し出しして未延伸フィルムを形成し、その未延伸フィルムを以下に示す所定の方法により、一軸または二軸延伸と熱処理によって得ることができる。なお、ポリエステルは、前記した好適なジカルボン酸成分とジオール成分とを公知の方法で重縮合させることで得ることができる。また、通常は、チップ状のポリエステルを2種以上混合してフィルムの原料として使用する。
原料樹脂を溶融押し出しする際には、ポリエステル原料をホッパードライヤー、パドルドライヤー等の乾燥機、または真空乾燥機を用いて乾燥するのが好ましい。そのようにポリエステル原料を乾燥させた後に、押出機を利用して、200〜300℃の温度で溶融しフィルム状に押し出す。押し出しに際しては、Tダイ法、チューブラー法等、既存の任意の方法を採用することができる。
そして、押し出し後のシート状の溶融樹脂を急冷することによって未延伸フィルムを得ることができる。なお、溶融樹脂を急冷する方法としては、溶融樹脂を口金から回転ドラム上にキャストして急冷固化することにより実質的に未配向の樹脂シートを得る方法を好適に採用することができる。
さらに、得られた未延伸フィルムを、後述するように、所定の条件で横方向に延伸し、その横延伸後のフィルムを熱処理した後に急冷し、次いで、所定の条件で縦方向に延伸し、再度、熱処理することによって、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムを得ることが可能となる。以下、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムを得るための好ましい製膜方法について説明する。
3.1 本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムの製膜方法
得られた未延伸フィルムを、横延伸、縦延伸を適宜使い分けることで、フィルム縦方向が主収縮方向となる熱収縮性ポリエステル系フィルムを得ることができる。好ましい製造方法は次の通りである。
本発明の目的を達成するには、フィルムの収縮性を発現させるために延伸工程を経る必要がある。延伸は一軸延伸、二軸延伸のどちらであっても構わないが、フィルムの主収縮方向がフィルム縦(長手)方向であるため、縦延伸が最終延伸方向である必要がある。以下は、一般的な延伸方式である逐次二軸延伸(横―縦)の説明を示すが、最初の横延伸は省略しても構わない。
まず、横方向の延伸を行う。横方向の延伸は、テンター(第1テンター)内でフィルムの幅方向の両端際をクリップによって把持した状態で、65℃〜85℃で2.5〜5倍程度、行うことが好ましい。横方向の延伸を行う前には、予備加熱を行っておくことが好ましく、予備加熱はフィルム表面温度が60℃〜100℃になるまで行うとよい。
横延伸の後は、フィルムを積極的な加熱操作を実行しない中間ゾーンを通過させることが好ましい。第1テンターの横延伸ゾーンと中間熱処理ゾーンで温度差がある場合、中間熱処理ゾーンの熱(熱風そのものや輻射熱)が横延伸工程に流れ込み、横延伸ゾーンの温度が安定しないためにフィルム品質が安定しなくなることがあるので、横延伸後で中間熱処理前のフィルムを、所定時間をかけて中間ゾーンを通過させた後に、中間熱処理を実施するのが好ましい。この中間ゾーンにおいては、フィルムを通過させていない状態で短冊状の紙片を垂らしたときに、その紙片がほぼ完全に鉛直方向に垂れ下がるように、フィルムの走行に伴う随伴流、横延伸ゾーンや中間熱処理ゾーンからの熱風を遮断すると、安定した品質のフィルムが得られる。中間ゾーンの通過時間は、1秒〜5秒程度で充分である。1秒より短いと、中間ゾーンの長さが不充分となって、熱の遮断効果が不足する。また、中間ゾーンは長い方が好ましいが、あまりに長いと設備が大きくなってしまうので、5秒程度で充分である。
中間ゾーンの通過後は、縦延伸前の中間熱処理を行う。この中間熱処理で、横方向の収縮率の調整を行うためである。横延伸後の中間熱処理の温度を高くすると、収縮に寄与する非晶分子の配向が少なくなるが、結晶化が進むため可動非晶量が低下して収縮率は低下する。この観点から、中間熱処理は、65〜140℃で行うことが好ましい。中間熱処理ゾーンの温度が65℃より低いと、横方向の熱収縮率は、横延伸後の熱収縮率に対し、何らの変化も示さない。また、140℃より高いと横方向収縮率はより低くなるが、結晶化して続く縦方向への延伸が行いにくくなるため好ましくない。また、中間熱処理ゾーンの通過時間は、2秒〜20秒が好ましい。2秒より短いと中間熱処理ゾーンの長さが不充分で、横方向の熱収縮率の調整が難しくなる。また、中間熱処理ゾーンは長い方が好ましいが、20秒程度で充分である。これにより横一軸延伸フィルムが得られる。
中間熱処理の際、第一テンターのクリップ間距離を任意の倍率で縮めること(リラックス処理)により、横方向に配向した非晶分子が結晶化することなく緩和され、幅方向の収縮率を低減させることができる。横延伸を行った後のリラックスは20%以上行うことが好ましい。20%より低いと、横延伸と中間熱処理での結晶化が促進されてフィルムの可動非晶量が低下するため好ましくない。より好ましい下限は25%である。リラックス率は高いほど可動非晶量が増し、長手方向への収縮率が増加するため好ましい。ただし、幅方向延伸後のフィルムのリラックス率(幅方向への収縮率)の上限は使用する原料や幅方向への延伸条件、熱処理温度によって決まるため、これを超えてリラックスを実施することはできない。
続いて縦延伸を行う。まず、横一軸延伸フィルム、もしくは未延伸フィルムを複数のロール群を連続的に配置した縦延伸機へと導入する。縦延伸に当たっては、予熱ロールでフィルム温度が65℃〜110℃になるまで予備加熱することが好ましい。フィルム温度が65℃より低いと、縦方向に延伸する際に延伸し難くなり(すなわち、破断が生じやすくなる)好ましくない。また110℃より高いとロールにフィルムが粘着しやすくなり、連続生産によるロールの汚れ方が早くなり好ましくない。
フィルム温度が前記範囲になったら、縦延伸を行う。縦延伸はロールの速度差によって行う。延伸倍率は2〜5倍とするとよい。また、このとき、延伸に使用するロールが低速・高速の2つである一段延伸だけでなく、低速・中速・高速の3つである二段延伸、低速・中低速・中高速・高速の4つである3段延伸と延伸段数を増加させることで長手方向の延伸倍率を高倍率化しつつ、幅方向の収縮率を低く抑えることができる。延伸段数が増えるほどこの効果は顕著となり好ましいが、設備が巨大化するため、好ましい延伸段数は1〜3段である。縦延伸後は、一旦フィルムを冷却することが好ましい。これは、縦延伸後の熱を保持したままだと、その熱によってフィルム縦方向の熱収縮が発生して収縮率が低下するためである。
次に、縦延伸および冷却後のフィルムを、最終熱処理のための第2テンターへと導入して熱処理やリラックス処理を行う。最終熱処理工程は、縦と横の収縮率を調整することができるため、好ましい実施態様である。第二テンター内でのリラックスでは縦方向の収縮率にはあまり変化は認められないが、横方向の収縮率は低くなる。リラックス率は0%〜30%であることが好ましい。リラックス率は0%が下限である。一方、リラックス率が高いと、フィルム製品幅が短くなるというデメリットもあるので好ましくなく、リラックス率の上限は30%程度が好適である。
熱処理(リラックス処理)温度は、65℃〜140℃が好ましい。熱処理温度が65℃より低いとフィルムの収縮率は変化しない。一方、熱処理温度が140℃より高いと、フィルムが結晶化してしまい、縦方向・横方向の両方向に収縮しないフィルムとなるので、熱収縮性フィルムとして好ましくない。
後は、フィルム両端部を裁断除去しながら巻き取れば、熱収縮性ポリエステル系フィルムロールが得られる。
本発明の包装体は、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムから得られたミシン目またはノッチを有するラベルが、包装対象物の少なくとも外周の一部に被覆して熱収縮させて形成されるものである。包装対象物としては、飲料用のPETボトルを始め、各種の瓶、缶、菓子や弁当等のプラスチック容器、紙製の箱等を挙げることができる。なお、通常、それらの包装対象物に、熱収縮性ポリエステル系フィルムから得られるラベルを熱収縮させて被覆させる場合には、当該ラベルを約5〜30%程度熱収縮させて包装体に密着させる。なお、包装対象物に被覆されるラベルには、印刷が施されていても良いし、印刷が施されていなくても良い。
ラベルを作製する方法としては、長方形状のフィルムの片面の端部から少し内側に有機
溶剤を塗布し、直ちにフィルムを丸めて端部を重ね合わせて接着してラベル状にするか、あるいは、ロール状に巻き取ったフィルムの片面の端部から少し内側に有機溶剤を塗布し、直ちにフィルムを丸めて端部を重ね合わせて接着して、チューブ状体としたものをカットしてラベルとする。接着用の有機溶剤としては、1,3−ジオキソランあるいはテトラヒドロフラン等の環状エーテル類が好ましい。この他、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素やフェノール等のフェノール類あるいはこれらの混合物が使用できる。
次に、実施例および比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例の態様に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。なお、ポリエステルや、フィルムの評価方法を以下に示す。
[可動非晶量]
温度変調示差走査熱量計(DSC)「Q100」(TA Instruments 社製)を用いて、フィルムサンプルをハーメチックアルミニウムパン内に10.0mg秤量し、MDSC(登録商標)ヒートオンリーモードで、平均昇温速度2.0℃/min、変調周期40秒で測定し、可逆熱容量曲線を得た。得られた熱容量曲線において、付属の解析ソフト(TA Instruments社製 TA Analysis)を用いて変曲点を求め、変曲点(ガラス転移点)前後の熱容量差を下記式2にしたがって可逆熱容量差を求めた。
可逆熱容量差=(高温側の熱容量)―(低温側の熱容量) 式2
ここで、熱容量曲線においてTgより高温側での熱容量曲線のベースラインの延長線を引き、変曲点(Tg)における接線との交点を求め、この交点におけるY軸(可逆熱容量)の値を読み取り、高温側の熱容量とした。また、Tgより低温側での熱容量曲線のベースラインの延長線を引き、変曲点(Tg)における接線との交点を求め、この交点におけるY軸(可逆熱容量)の値を読み取り、低温側の熱容量とした。
[熱収縮率(温湯熱収縮率)]
熱収縮性フィルムを10cm×10cmの正方形に裁断し、90℃±0.5℃の温水中に無荷重状態で10秒間浸漬して熱収縮させた後、25℃±0.5℃の水中に10秒間浸漬し、水中から引き出してフィルムの縦および横方向の寸法を測定し、下記式3にしたがって、それぞれ熱収縮率を求めた。熱収縮率の大きい方向を主収縮方向(長手方向)とした。
熱収縮率={(収縮前の長さ−収縮後の長さ)/収縮前の長さ}×100(%) 式3

また、上記の可逆熱容量測定のベースラインシフトが乱れなく生じたことから、測定が正常に行えたことを確認した。
[ヒートシール強度]
テスター産業社製ヒートシーラー(PP−701−B)を用い、加熱バーの幅方向をフィルムの流れ方向と直交する方向で、上バー温度140℃に固定して、圧力1kg/cm2、ヒートシール時間1秒の条件で、熱収縮性フィルム同士を重ね合わせて熱板シールを行い、15mm幅の試験片を作製した。この試験片の180度剥離強度を測定し、ヒートシール強度(N/15mm)とした。
[収縮応力]
熱収縮性フィルムから主収縮方向の長さが200mm、幅20mmのサンプルを切り出し、東洋ボールドウィン社製(現社名オリエンテック社)の加熱炉付き強伸度測定機(テンシロン(オリエンテック社の登録商標))を用いて測定した。加熱炉は予め90℃に加熱しておき、チャック間距離は100mmとした。加熱炉の送風を一旦止めて加熱炉の扉を開け、サンプルをチャックに取付け、その後速やかに加熱炉の扉を閉めて、送風を再開した。収縮応力を30秒以上測定し、30秒後の収縮応力(MPa)を求め、測定中の最大値を最大収縮応力(MPa)とした。また、最大収縮応力に対する30秒後の収縮応力の比率(百分率)を応力比(%)とした。
[ラベルの収縮仕上がり性]
熱収縮性フィルムに、予め東洋インキ製造社製の草色・金色・白色の各インキで、3色印刷を施した。印刷したフィルムの両端部を重ねて、テスター産業社製ヒートシーラー(PP−701−B)で140℃、圧力1kg/cm2、1.0秒の条件で接着することにより、チューブ状のラベル(熱収縮性フィルムの主収縮方向を周方向としており、外周長が装着するボトルの外周長の1.1倍であるチューブ状のラベル)を作製した。そのチューブ状のラベルを、500mlの角型PETボトル(胴周長215mm、ネック部の最小長87mm)に被せて、Fuji Astec Inc製スチームトンネル(型式;SH−1500−L)を用いて、通過時間2.5秒、ゾーン温度(熱電対による実温度)約87℃で熱収縮させることにより、ラベルをボトルに装着した。なお、装着の際には、ネック部においては、直径30mmの部分がラベルの一方の端になるように調整した。収縮後ラベルの仕上がり性を、以下の基準に従って目視で5段階評価した。

◎:仕上がり性 最良(欠点なし)
○:仕上がり性 良 (欠点1箇所あり)
×:仕上がり性 不良(欠点2箇所以上あり)

なお、欠点とは、シワ、収縮不足、ラベル端部折れ込み、収縮白化等である。
[ラベルの高さ]
上記したラベルの収縮仕上がり性の条件と同一の条件で、PETボトルにラベル(高さ170mm)を装着した。ラベルの高さを測定し、以下の基準に従って評価した。
◎:ラベル高さが169mm以上
○:ラベル高さが167mm以上169mm未満
×:ラベル高さが167mm未満
<ポリエステル原料の調製>
合成例1
撹拌機、温度計および部分環流式冷却器を備えたステンレススチール製オートクレーブに、ジカルボン酸成分としてジメチルテレフタレート(DMT)100モル%と、多価アルコール成分としてエチレングリコール(EG)100モル%とを、エチレングリコールがモル比でジメチルテレフタレートの2.2倍になるように仕込み、エステル交換触媒として酢酸亜鉛を0.05モル%(酸成分に対して)、重縮合触媒として三酸化アンチモン0.225モル%(酸成分に対して)を添加し、生成するメタノールを系外へ留去しながらエステル交換反応を行った。その後、280℃で26.7Paの減圧条件のもとで重縮合反応を行い、固有粘度0.75dl/gのポリエステルAを得た。尚、ポリエステルAには副生成物のジエチレングリコール(DEG)が1%含まれている。組成を表1に示す。
合成例2〜7
合成例1と同様の方法により、表1に示すポリエステルB〜Fを得た。ポリエステルEの製造の際には、滑剤としてSiO2(富士シリシア社製サイリシア266;平均粒径1.5μm)をポリエステルに対して7,000ppmの割合で添加した。なお、表中、IPAはイソフタル酸、NPGはネオペンチルグリコール、BDは1,4−ブタンジオール、ε−CLはε−カプロラクトン、DEGは副生成物のジエチレングリコールである。各ポリエステルの固有粘度は、それぞれ、B:0.73dl/g,C:0.80dl/g,D:1.20dl/g,E:0.70dl/g、F:0.78dl/gであった。なお、各ポリエステルは、適宜チップ状にした。
実施例1
上記したポリエステルA、ポリエステルB、ポリエステルCおよびポリエステルEを質量比5:66:24:5で混合して押出機に投入した。この混合樹脂を280℃で溶融させてTダイから押出し、表面温度30℃に冷却された回転する金属ロールに巻き付けて急冷することにより、厚さ約240μmの未延伸フィルムを得た。しかる後、その未延伸フィルムを、横延伸ゾーン、中間ゾーン、中間熱処理ゾーンを連続的に設けたテンター(第1テンター)に導いた。なお、中間ゾーンにおいては、フィルムを通過させていない状態で短冊状の紙片を垂らしたときに、その紙片がほぼ完全に鉛直方向に垂れ下がるように、延伸ゾーンからの熱風および熱処理ゾーンからの熱風が遮断されている。
そして、テンターに導かれた未延伸フィルムを、フィルム温度が90℃になるまで予備加熱した後、横延伸ゾーンで横方向に70℃で4倍に延伸し、中間ゾーンを通過させた後に(通過時間=約1.2秒)、中間熱処理ゾーンへ導き、90℃の温度で8秒間に亘って熱処理しながら、テンターのクリップ幅を縮めてリラックスを40%実施することによって厚み約60μmの横一軸延伸フィルムを得た。
さらに、その横延伸したフィルムを、低速・中低速・中高速・高速ロールを含むロール群を連続的に配置した縦延伸機へ導き、予熱ロール上でフィルム温度が70℃になるまで予備加熱した後、低速、中低速、中高速、高速ロール上で延伸した。延伸倍率は、低速・中低速ロール間で2.0倍、中低速・中高速ロール間で1.5倍、中高速・高速ロール間で1.1倍に延伸し、最終的な出口倍率が3.3倍になるようにした。尚、低速、中低速、中高速ロールは90℃、高速ロールは冷却するため25℃に設定した。しかる後、縦延伸したフィルムを、表面温度25℃に設定された冷却ロールによって強制的に冷却した。
そして、冷却後のフィルムをテンター(第2テンター)へ導き、第2テンター内で90℃の雰囲気下で10秒間に亘って熱処理、かつ10%横方向(フィルム幅方向)にリラックスした後に冷却し、両縁部を裁断除去することによって、厚みが約18μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
そして、得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。製造条件と評価結果を表2に示す。また、温度変調DSC測定結果を図1に示した。なお、図1中のチャートに乱れがなく、Tg付近でベースラインがシフトしているので、DSCの測定が正常に行えたことが確認できた。
実施例2
実施例1と同じポリエステル原料を実施例1と同様に溶融押し出しし、実施例1と同じ方法で横延伸と中間熱処理を行った。その後、低速・中低速ロール間で2.0倍、中低速・中高速ロール間で1.65倍、中高速・高速ロール間で1.0倍(延伸なし)に延伸した以外は実施例1と同様に行い、厚みが約18μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。製造条件と評価結果を表2に示す。
実施例3
ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCとポリエステルEを質量比で25:60:10:5となるように混合して押出機に投入した。その混合樹脂を、実施例1と同様の条件で溶融押し出しし、未延伸フィルムを形成した。その後、中間熱処理時のリラックス率を20%とした以外は実施例1と同様にして、厚みが約18μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。製造条件と評価結果を表2に示す。
実施例4
ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルDとポリエステルEを質量比で5:75:15:5となるように混合して実施例1と同様の方法で押出機に投入した。その混合樹脂を、実施例1と同様の条件で溶融押し出しし、未延伸フィルムを形成した。その後、実施例1と同様にして、厚みが約18μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。製造条件と評価結果を表2に示す。
実施例5
ポリエステルAとポリエステルDとポリエステルEとポリエステルFを質量比で5:15:5:75となるように混合して実施例1と同様の方法で押出機に投入した。その混合樹脂を、実施例1と同様の条件で溶融押し出しし、未延伸フィルムを形成した。その後、実施例1と同様にして、厚みが約18μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。製造条件と評価結果を表2に示す。
実施例6
実施例1と同じポリエステル原料を実施例1と同様の方法で押出機に投入した。その混合樹脂を、実施例1と同様の条件で溶融押し出しし、未延伸フィルムを形成した。その後、最終熱処理温度を120℃とした以外は実施例1と同様にして、厚みが約18μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。製造条件と評価結果を表2に示す。
実施例7
実施例2と同じポリエステル原料を実施例1と同様の方法で溶融押し出しし、未延伸フィルムを形成した。その未延伸フィルムを、横延伸を行わず、縦延伸機へ導き、予熱ロール上でフィルム温度が70℃になるまで予備加熱した後、高速ロール上で4.0倍に延伸した(低速、中低速は延伸していない)。尚、中低速ロールは90℃、高速ロールは25℃に設定した。その後、最終熱処理工程は経ず、両縁部を裁断除去することによって、厚みが約18μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。製造条件と評価結果を表2に示す。
比較例1
ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルEを質量比で25:70:5となるように混合して実施例1と同様の方法で溶融押し出しし、未延伸フィルムを形成した。その後、横延伸ゾーンの温度を85℃として横延伸倍率を3.5倍、中間熱処理工程での温度を105℃としてリラックス率を10%とした以外は実施例1と同じ方法で横延伸と中間熱処理を行った。その後、テンターの後方に設けられた左右一対のトリミング装置(周状の刃先を有する丸刃によって構成されたもの)を利用して、横一軸延伸フィルムの端縁際(中央のフィルム厚みの約1.2倍の厚みの部分)を切断し、切断部位の外側に位置したフィルムの端部を連続的に除去した。さらに、そのように端部をトリミングしたフィルムを、低速・中低速ロール間で1.0倍(延伸なし)、中低速・中高速ロール間で1.0倍、中高速・高速ロール間で2.2倍に延伸した。ロール温度は実施例1と同じである。高速ロールで冷却した後のフィルムを第2テンターへ導き、最終熱処理温度を115℃、リラックス率を15%とし、その後は実施例1と同様の方法で厚みが約18μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。製造条件と評価結果を表2に示す。また、温度変調DSC測定結果を図1に示した。なお、図1中のチャートに乱れがなく、Tg付近でベースラインがシフトしているので、DSCの測定が正常に行えたことが確認できた。
比較例2
比較例1と同様のポリエステル原料を実施例1と同様の方法で溶融押し出しし、未延伸フィルムを形成した。その後、横延伸ゾーンの温度を75℃、中間熱処理温度130℃、リラックス率を0%とした以外は実施例1と同じ方法で横延伸と中間熱処理を行い、比較例1と同様の方法でフィルムの端部を連続的にトリミングした。さらに、そのように端部をトリミングしたフィルムを、低速・中低速ロール間で1.0倍(延伸なし)、中低速・中高速ロール間で1.0倍、中高速・高速ロール間で3.0倍に延伸し、実施例1と同じ方法で冷却した。冷却後のフィルムを第2テンターへ導き、最終熱処理温度を95℃、リラックス率を0%とし、その後は実施例1と同様の方法で厚みが約18μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。製造条件と評価結果を表2に示す。
比較例3
実施例1と同じポリエステル原料を実施例1と同様の方法で溶融押し出しし、未延伸フィルムを形成した。その後、中間熱処理工程でのリラックス率を0%とした以外は実施例1と同じ方法で横延伸と中間熱処理を行った。その後は実施例2と同様の方法で厚みが約18μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。製造条件と評価結果を表2に示す。
比較例4
実施例3と同じポリエステル原料を実施例1と同様の方法で溶融押し出しし、未延伸フィルムを形成した。その後、中間熱処理工程でのリラックス率を0%とした以外は実施例1と同じ方法で横延伸と中間熱処理を行った。しかる後は最終熱処理温度を140℃とした以外は、実施例2と同様の方法で厚みが約18μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。製造条件と評価結果を表2に示す。
本発明の実施例の熱収縮性フィルムは、温度変調DSCから得られた可逆熱容量差ΔCpで表される可動非晶量が所定の量示されており、ラベルの収縮仕上がり性に優れたものであった。一方、比較例は、いずれも収縮仕上がり性に劣る結果となった。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、上記の如く優れた特性を有しているので、ボトル等のラベル用途に好適に用いることができる。本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムがラベルとして用いられて得られたボトル等の包装体は美麗な外観を有するものである。

Claims (5)

  1. 長手方向を主収縮方向とする熱収縮性ポリエステル系フィルムにおいて、温度変調DSCで測定した上記フィルムのガラス転移温度前後の可逆熱容量差が0.45J/g・℃以上0.75J/g・℃以下であり、90℃の温水にフィルムを10秒間浸漬したときの温湯収縮率が、フィルム長手方向で30%以上80%以下、幅方向で−10%以上5%以下であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  2. ポリエステル系フィルム同士を140℃でヒートシールした後の剥離強度が4.0N/15mm以上15N/15mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  3. 90℃の熱風で収縮させた際のフィルム主収縮方向の最大収縮応力が2MPa以上8MPa以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  4. フィルムを構成する全ポリエステル成分中に、エチレングリコール以外のグリコール成分および/またはテレフタル酸以外のジカルボン酸成分を含有し、その合計量が10モル%以上40モル%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムから得られたミシン目またはノッチを有するラベルを、容器の少なくとも外周の一部に被覆して熱収縮させて形成させることを特徴とする包装体。
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