JP2015220216A - 非水電解質二次電池の製造方法 - Google Patents

非水電解質二次電池の製造方法 Download PDF

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博昭 池田
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Abstract

【課題】エージング処理を行いつつ、非水電解質二次電池の製造中に生じる正極活物質の溶解・析出を抑制することができる。
【解決手段】本発明の非水電解質二次電池の製造方法は、積層工程と、捲回工程と、組立工程と、エージング工程と、を備える。積層工程では、正極1は、正極集電体7、及び正極集電体7の両面に位置する正極合剤層3及び5を備え、負極2は、負極集電体8、負極集電体8の両面に位置する負極合剤層4及び6、並びに負極集電体8の端面と負極合剤層4及び6の端面が実質的に面一となっている負極端面22を備える。捲回工程では、正極最外周の外周側に位置する負極最外周において、外周側の負極合剤層4は正極合剤層3及び5と対向しない態様で、積層体を捲回し、エージング工程では、保管中、負極端面22に近接する負極合剤層6と対向する正極合剤層5の側端部の少なくとも一部を非水電解質で覆った状態で保持する。
【選択図】図5

Description

本発明は非水電解質二次電池の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池を初めとする非水電解質二次電池の製造工程では、電極群を電池ケースに収容し、さらに非水電解質の注入を行った後に、充放電を行う必要がある。さらに特許文献1に示されるように、上記製造工程では、充放電に加えて、電池を60℃以上の温度域でエージング処理を行うこともできる。
特開2000−340262号公報
特許文献1に記載の発明は、非水電解質二次電池の、初期放電容量、または充放電サイクル特性を改善する優れたものである。しかしながら、エージング処理をすると、該電池の正極活物質中の金属が溶出する場合がある。かかる金属の溶出は電池内部の短絡を発生するので、電池が所望の性能を発揮しない場合がある。
本発明は、エージング処理を行いつつ、非水電解質二次電池の製造中に生じる正極活物質の溶解・析出を抑制する、非水電解質二次電池の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明の非水電解質二次電池の製造方法は、正極、セパレータ及び負極を積層し積層体を作成する、積層工程と、前記積層体を捲回し捲回体を作成する、捲回工程と、前記捲回体をケースに収納し電池を組み立てる、組立工程と、非水電解質を前記ケース内に注入する注入工程と、電池を充電する初期充電工程と、前記正極及び前記負極の間に電圧を印加せず、前記充電した電池を30℃以上の温度域で保管する、エージング工程と、を備える。
前記積層工程では、前記正極は、正極集電体、及び正極集電体の両面に位置する正極合剤層を備え、前記負極は、負極集電体、負極集電体の両面に位置する負極合剤層、及び前記負極集電体の端面と負極合剤層の端面が実質的に面一となっている負極端面を備える。前記捲回工程では、正極最外周の外周側に位置する負極最外周において、外周側の前記負極合剤層は前記正極合剤層と対向しない態様で、前記積層体を捲回し、前記エージング工程では、保管中、前記負極端面に近接する負極合剤層の端部と対向する正極合剤層の側端部の少なくとも一部を前記非水電解質で覆った状態で保持する。
前記温度域は60℃以上であることが好ましい。前記捲回工程の後、前記組立工程の前に、前記捲回体を押圧変形し、扁平形状とする、変形工程をさらに備え、前記エージング工程では、保管中、前記扁平形状の捲回体の、前記正極方向端かつ捲回方向の両端の湾曲部に位置し、外周の前記負極に対向する、最外周の前記正極合剤層の側端部の少なくとも一部を、前記非水電解質に浸漬した状態で保持する、ことが好ましい。
前記エージング工程では、前記側端部の全部を、前記非水電解質に浸漬した状態で保持する、ことが好ましい。前記エージング工程では、保管中、前記側端部のダレ部の全部を、前記非水電解質に浸漬した状態で保持する、ことが好ましい。
前記エージング工程では、前記正極合剤層の側端部の全部を、前記非水電解質に浸漬した状態で保持する、ことが好ましい。前記エージング工程では、前記正極合剤層の側端部が、前記捲回体の捲回軸の方向の下方に位置する、ことが好ましい。
前記エージング工程では、角型のケースの一の開口面と嵌合する面状部材と、前記面状部材に接続する正極端子及び負極端子と、前記開口面と実質的に平行な捲回軸、前記正極端子と接続する正極方向端、及び該正極方向端に対して捲回軸方向の反対側に位置し前記負極端子と接続する負極方向端を有する前記捲回体と、を備える前記電池を、前記正極方向端が前記負極方向端の下方に位置する状態で保持する、ことが好ましい。
本発明の製造方法により、エージング処理を行いつつ、非水電解質二次電池の製造中に生じる正極活物質の溶解・析出を抑制することができる。
実施の形態の製造方法にかかるフローチャートである。 実施の形態及び実施例1の製造方法にかかる電池の組立後の図である。 実施の形態の製造方法にかかる注入工程後の押圧の模式図である。 実施の形態の製造方法にかかる電池の設置図である。 実施の形態の製造方法にかかる電池の捲回体断面の模式図である。 比較対象の製造方法にかかる電池の設置図である。 正極溶出による短絡発生のメカニズムを表す模式図である。 実施例1の製造方法にかかる電池のエージング後の図である。 比較例1の製造方法にかかる電池のエージング後の図である。 比較例2の製造方法にかかる電池のエージング後の図である。 比較例3の製造方法にかかる電池のエージング後の図である。 比較例4の製造方法にかかる電池のエージング後の図である。 実施例2の製造方法にかかる電池のエージング後の図である。 実施例2の製造方法にかかる電池のエージング後の図である。 比較例5の製造方法にかかる電池のエージング後の図である。 比較例4の製造方法にかかる電池のエージング後の図である。 実施例2の製造方法にかかる電池のコンディショニング後の図である。 比較例5の製造方法にかかる電池のエージング後の図である。
本発明の実施の形態にかかる非水電解質二次電池(以下、単に電池という場合がある。)はリチウムイオン二次電池である。以下、本実施の形態の製造方法について、エージング処理に重点をおいて説明する。
[電池の製造]
<積層体作製からエージングまで>
正極、セパレータ、及び負極等の、電池の各部材の製造工程については、後述する。図1に示すように、本実施の形態では、積層工程(ステップS11)にて、正極、セパレータ及び負極を積層し積層体を作製する。
ステップS11では、例えば図2に示すように負極方向端24が、正極方向端23に対して捲回体13の捲回軸25となるべき方向の反対側に位置するように、積層体を作成する。正極方向端23とは、捲回体13上の、正極端子11との端子接続面となる正極集電体7の部位が露出している側である。後述する図5に示すように、正極方向端23では正極端子11の端子接続面に近接する正極合剤層5の部位と、後述する負極端面22に近接する負極合剤層6の部位が対向している。
同様に、負極方向端24とは、捲回体13上の、負極端子12との端子接続面となる負極集電体8の部位が露出している側である。負極方向端24では負極端子12の端子接続面に近接する負極合剤層6の部位と、後述する正極端面21に近接する正極合剤層5の部位が対向している。このように正極及び負極を分離することで、簡易な構造でありながら、正極及び負極の間での、リード又は端子間の短絡を予防できる。
次に捲回工程(ステップS12)にて、正極最外周の外周側に位置する負極最外周において、外周側の負極合剤層は正極合剤層と対向しない態様で、積層体を捲回し捲回体を作成する。すなわち、正負極のうち最外周が負極となるよう積層体を捲回し捲回体を作成する。仮にこれとは逆に捲回した場合、対抗する負極面の無い最外周の正極面が生じる。そのため、負極方向端でのリチウムの供給が過剰となりリチウムが析出する可能性がある。上記捲回方法は、このようなリチウム析出による短絡を生じないようにするために行う。捲回工程の後、変形工程を設け、捲回体を押圧変形し、扁平形状とすることもできる。
次に図2に示すように、組立工程(ステップS13)にて、捲回体13をケースに収納し電池10を組み立てる。本実施の形態では、扁平形状の捲回体13を角型のケース15に収納して角型の電池10を作製する。組立工程では、正極端子11及び負極端子12が捲回体13に接合する(内部は不図示)。捲回体13を、その扁平方向が図中の上下方向となるように、ケース15内に収納する。収納後、封口体19といった面状部材でケース15の開口部を閉じる。捲回体13の表層に最も近い合剤層は、後述する負極合剤層4である。
ステップS13では、捲回体13の捲回軸25が、角型のケース15の開口面と実質的に平行となるように、扁平形状の捲回体13を角型のケース15に収納することができる。また、一の開口面と嵌合する封口体19の正極方向端に、正極集電体7の端子接続面を介して、正極端子11を接続することができる。同様に、負極集電体8の端子接続面を介して、負極端子12を封口体19の負極方向端に接続することができる。正極端子11及び負極端子12の構成については実施例で詳細に説明する。
このように正極端子及び負極端子と接続する封口体を作製し、正極端子及び負極端子を引き回すことで、電池を簡易な構造とすることができる。また、正極端子及び負極端子は封口体又はケースに設けた孔にカシメることができる。電池の構造が簡易になることから、かかるカシメ面は正極端子及び負極端子について同一面であることが好ましい。
ステップ14中の注入工程にて、非水電解質を封口体の注入口よりケース内に注入する。注入すべき非水電解質の量は、上述のとおり、エージング時、捲回体の捲回軸方向の正極方向端の少なくとも一部を浸漬可能な量以上であることが好ましい。非水電解質の量は、捲回体が保持可能な量、正極方向端の浸漬に必要な量、及び長期間使用後の分解量等を考慮して、調整可能である。
また捲回体が保持可能な非水電解質の量はコンディショニング前後で変化する場合がある。このため、コンディショニング前に捲回体が保持していた非水電解質が、コンディショニングにより押し出される分を考慮して調整することもできる。これらの量は実験的に求めることができる。
注入後、ステップ14中の浸漬工程にて、所定の時間、捲回体を非水電解質に浸漬する。セパレータ等で生じる毛細管現象によって、捲回体が、非水電解質を吸収する。上記のとおり捲回体を浸漬することで、正極及び負極は隈なく非水電解質と接触するので、充電可能となる。
図3に示すとおり、扁平捲回体を角型ケースに挿入した場合は、ステップ14中の押圧工程にて、浸漬した捲回体13を押圧してもよい。押圧工程は、捲回体13を内蔵するケース15を押圧することで行う。扁平形状の捲回体13は角型のケース15内で拘束される。電池10は、正極1及び負極2を備える捲回体13と、捲回体13を取り囲む不図示の絶縁体と、捲回体13及び不図示の絶縁体を収納するケース15とを備えている。
押圧は、捲回体13がそれ自身で膨らもうとする力で、ケース15を内側から押して膨らませている場合に、ケース15を所望の形状にするために行う。所望の形状とは、例えばケース15がもともと有していた直方体等の角型形状をいう。なお図3にかかる短絡発生個所と捲回体の押圧の関係については効果の説明にて、詳述する。
押圧する力17は、ケースの材料及び形状、電極の大きさ、又は捲回時の電極の巻き数、その他の要素に基づいて選択できる。例えば、幅が10cm、長さが5mの電極を、50回巻いて捲回して捲回体を作製した場合、好ましくは100〜1000kg重、さらに好ましくは500kg重の力でケース(捲回体)を押圧する。押圧は所望の時間行うことができる。上記の捲回体の例であれば、20秒間行うことで所望の扁平形状にすることができる。
ケースを押圧する力17の方向としては、捲回体を扁平に広げるべき方向、及び捲回軸方向、に対し実質的に垂直の方向が好ましい。ここで、実質的に垂直とは、垂直との誤差を許容できる範囲の角度をいう。許容できる範囲とは、例えば、ケース15が変形したり、ケース15を押圧する機材が位置ずれを起こしたり、又はその他の電池10の構造に支障をきたす恐れのないことをいう。
押圧の実施は複数回に分けても良い。また各回の押圧する力17の大きさは異なってもよい。押圧工程では、ケース全体に均等に押圧してもよい。また、押圧工程では、捲回体の捲回軸に重なる部分18を重点的に押圧してもよい。かかる押圧工程により、ケース及び捲回体は所望の形状を有するようになる。このため本実施の形態の方法で製造した電池は、角型電池として、好ましい空間利用効率を得ることができる。
コンディショニング工程(ステップS15)では、注入の終わった電池に所望の電圧を印加し充放電する。前述した、捲回体が保持可能な非水電解質の量は、ステップS15に依存する。ステップS15では、電極が膨張するため、非水電解質が染み出る。ステップS15では、まずリチウムイオン二次電池を所定の容量まで充電する(初期充電工程)。充電は定電流定電圧充電(CCCV充電)で行うことが好ましい。
例えば、常温において、3Aの電流値で、0V(放電状態)から4V(SOC100%、満充電状態)まで、2時間かけて充電することができる。さらに、例えば、常温において、3Aの電流値で、4V(満充電状態)から3Vまで、2時間かけて放電することができる。
エージング工程(ステップS16)では、電池を所定の温度域で保管する。ステップS16では、正極及び負極に電圧を印加しない、又は電池は充放電しないことが好ましい。ステップS16では非水電解質の組成に応じて、30℃以上の温度域で保管することが好ましい。非水電解質の組成が許す限り、温度域は、45℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがさらに好ましく、60℃以上であることが特に好ましい。温度域は80℃以下であることが好ましい。
温度が高いほどエージングに要する時間が少なくなり、電池の製造効率が向上する。一方で、後述する通り、高温のため電極間で短絡の発生する可能性が高いため、本実施の形態の方法は60℃以上で高温保管する場合に特に好適である。高温保管は0〜500時間程度行うことが好ましい。例えば、85℃でエージングする場合は、20時間程度行うことが好ましい。また、常圧下で高温保管することが好ましい。
図4は本実施の形態中、ステップS16での電池の設置方法を示す。図4の電池10の構成は、図2と同様である。高温保管中、捲回体13の捲回軸25方向の正極方向端23の少なくとも一部を、非水電解質に浸漬した状態で保持する。好ましくは、後述する負極端面に近接する負極合剤層と対向する正極合剤層の側端部を非水電解質で覆った状態で保持する。本実施の形態の方法は、図4に示すように、角型電池を端子の取り付け方向について横置きに設置してエージングするものである。かかる電池は一般的には、図2のように、端子の取り付け方向について縦置きに設置したままエージングしてもよいものである。
ステップS16の前に、捲回体13が非水電解質に含浸することで、捲回体13は非水電解質の一部を吸収している。捲回体13が保持可能な分以外の非水電解質は、余剰電解質としてケース15内の空隙に位置している。図中、余剰電解質は界面14の高さまでケース15内を満たしている。
図3を用いて、ケース15内を図4中の下方から見た様子を説明する。不図示の絶縁体は捲回体13を取り囲み、捲回体13がケース15と短絡することを防止している。捲回体13は、正極1、負極2、及び不図示のセパレータを備える。正極1は不図示の正極集電体7の両面に不図示の正極合剤層を備えている。負極2は不図示の負極集電体8の両面に負極合剤層を備えている。負極2の最外周は正極1の最外周の外周に位置する。
負極2が上記の図3のように配置されるため、図4中、捲回体の表層に位置する負極合剤層4は正極と対向していない。この負極合剤層4に起因するエージング中の短絡を予防するため、捲回体13の扁平方向の両端の湾曲部16の正極方向端は、非水電解質に浸漬することが好ましい。負極合剤層4に起因する短絡については後述する。図4に示すように捲回体13の捲回軸25を実質的に鉛直方向と平行に保持することで、捲回体13の正極方向端23は界面14の下に位置し、非水電解質に浸漬する。
図5に捲回体13の最外周付近の正極1及び負極2の並びにこれらの間に位置するセパレータ20の断面を模式的に示す。図5の正極1及び負極2はそれぞれの最外周の層を表す。負極2が外周側となり、その内周側に正極1が位置するのは前述のとおりである。また、シート状の正極1及び負極2はセパレータ20を介して、双方の端子接続面が、正極方向端23と負極方向端24に分かれて、互い違いなるように積層している。エージング中の短絡を予防するため、捲回体13の最外周の正極1は、下記のとおり非水電解質に浸漬することが好ましい。
図中の下方にあたる捲回体13の正極方向端23側では、正極集電体7は正極合剤層3及び正極合剤層5と接しておらず、未塗工部として露出している。正極合剤層3は正極1の内周側に位置する。正極合剤層5は正極1の外周側に位置し、負極2の内周側に位置する負極合剤層6と対向している。
正極集電体7に露出した未塗工部を端子接続面として、正極端子11と正極1が接している。図中の下方の正極方向端23(+)側の、正極合剤層3及び正極合剤層5の側端部は非水電解質の界面14の下方にある。図中の上方の負極方向端24(−)側の、上記側端部は非水電解質の界面14の上方にある。
図中の上方にあたる捲回体13の負極方向端24側では、負極集電体8は負極合剤層4及び負極合剤層6と接しておらず、未塗工部として露出している。負極合剤層4は正極1の外周側に位置し、正極合剤層と対向していない。このため、充電時にリチウムを吸収する機会が極めて少ない。負極合剤層6は正極合剤層5と対向している。
負極集電体8に露出した未塗工部を端子接続面として、負極端子12と負極2が接している。図中の下方の正極方向端23(+)側の、負極合剤層4及び負極合剤層6の側端部は非水電解質の界面14の下にある。図中の上方の負極方向端24(−)側の、上記側端部は非水電解質の界面14の上方にある。
高温保管中、図5の正極合剤層5の側端部の円で囲んだ部位のうち、正極最外周に位置するものの少なくとも一部、好ましくは全部を非水電解質に浸漬することが好ましい。かかる部位は扁平形状の捲回体の、正極方向端23に位置する。該部位はより好ましくは扁平方向の両端の湾曲部に位置する。該部位はさらに好ましくは外周の負極に対向する。該部位は特に好ましくは正極の最外周に位置する。
かかる部位を浸漬することで、特に効果的に短絡を予防することができる。また、かかる部位を浸漬する方法として、正極方向端の、外周の正極合剤層、又は内周及び外周の正極合剤層の側端部の全部を、非水電解質に浸漬してもよい。かかる方法により、正極合剤層からの金属溶出に起因して、正極方向端で発生する短絡のほとんどを抑制できる。
上記側端部は、後述する正極形成工程で生ずるダレ部を有するものとすることができる。かかるダレ部は、短絡を生ずる部位となりやすいため、かかるダレ部全部を非水電解質に浸漬した状態で保持することが好ましい。かかる方法により短絡の予防効果はさらに高まる。
エージング工程では、正極方向端が、捲回体の正極方向端に対して捲回軸の方向の反対側に位置する端部よりも下方に位置することが好ましい。かかる場合、エージング時に非水電解質は捲回体全体を浸漬せずとも、短絡を予防することができる。本実施の形態では、注入する非水電解質の量は、エージング時に正極の最外周全体を浸漬可能な量より少なくても済む。
また、上述のように、正極方向端に対して、捲回軸方向の反対側に負極方向端を備える電池では、例えば、正極方向端が負極方向端の下方に位置する状態で電池を保持する、ことができる。かかる場合、作業者は浸漬すべき捲回体の部位を意識することなく、単に電池を図4に表される向きに配置することのみで、エージング工程での短絡発生を効果的に予防できる。
本実施の形態の方法は、エージング時に電池を特定の向きに置くという、極めて簡便な方法であるため、実施にあたり電池の設計や構成の制限を受けない。このため幅広い分野の電池に応用可能である。
ステップS16終了後、最終検査工程にて、電池の容量や電気抵抗が所望の範囲に収まっているかを判定することができる。最終検査工程後、作製した電池を使用するが、電池の使用方法は特に限定されない。例えば複数の電池を組んで電池パックとし、当該電池パックを自動車に搭載して、その駆動電源とすることができる。具体的には、例えば電気自動車(EV)又はプラグインハイブリット自動車(PHV)等の動力機械に搭載して、作動電源として使用することができる。
<電池の各部材の製造>
正極形成工程では、正極合剤層を正極集電体に積層し、正極を形成する。例えば、アルミニウム箔などの正極集電体に正極活物質を塗布して、正極を製造する。本実施の形態では、正極活物質に特に制限はない。
正極活物質としては、例えば、LiCoO、LiMnO、LiMn、LiNiO、LiNiCo(1−x)、及びLiNiMnCo(1−x−y)等のリチウム含有複合酸化物等が使用可能である(0<x<1,0<y<1)。LiNiCoMn(1−x−y)で表される三元系の活物質としては、LiNi1/3Co1/3Mn1/3が好ましい。
正極活物質の塗布方法としては、まず、N−メチル−2−ピロリドン等の分散剤を用い、上記の正極活物質と、アセチレンブラック(AB)等の導電助剤と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の結着剤とを混合して、スラリー様のペーストを得る。このペーストをアルミニウム箔等の正極集電体上に塗布し、乾燥し、プレス加工することで、正極合剤層を得る。
正極合剤ペーストは、所定の流動性を有するので、塗布時、側端部にダレ部を生ずる。図5では正極合剤層3及び5の、図中の下方の正極方向端23側に、斜め形状のダレ部が表れている。本実施の形態では負極方向端24側の正極合剤層3及び5の側端部は、正極合剤層と正極集電体からなる積層体を切断することで作成している。このため、正極合剤層3及び5の切断面は、正極集電体7の切断面と揃っている。すなわち正極1は、正極集電体7の端面と正極合剤層3及び5の端面が実質的に面一となっている正極端面21を備える。かかる構成とすることで、負極方向端24側に正極集電体7の露出部分の現れることが無くなる。
負極形成工程では、負極合剤層を負極集電体に積層し、負極を形成する。負極の負極形成工程として、例えば、銅箔などの負極集電体に負極活物質を塗布して、負極を製造する。負極活物質としては、金属リチウム、リチウム合金、リチウムイオンのド−プ・脱ド−プが可能な遷移金属酸化物/遷移金属窒化物/遷移金属硫化物、及びグラファイト等のカーボン系素材、これらの組み合わせ等が挙げられる。
負極活物質の塗布方法としては、まず、水等の分散剤を用いて、グラファイトと、変性スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(SBR)等の結着剤と、カルボキシメチルセルロースNa塩(CMC)等の増粘剤とを混合して、スラリーを得る。このスラリーを銅箔等の負極集電体上に塗布し、乾燥し、プレス加工することで、負極合剤層を得る。負極合剤層の側端部も正極合剤層の側端部と同様の構成を有する。このため、負極合剤層4及び6の切断面は、負極集電体8の切断面と揃っている。すなわち負極2は、負極集電体8の端面と負極合剤層4及び6の端面が実質的に面一となっている負極端面22を備える。
非水電解質としては、プロピレンカーボネ−トあるいはエチレンカーボネ−ト等の高誘電率カーボネート溶媒と、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジメチルカーボネート等の低粘度カーボネート溶媒との混合溶媒に、リチウム含有電解質を溶解した非水電解質が好ましい。混合溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)/ジメチルカーボネート(DMC)/エチルメチルカーボネート(EMC)の混合溶媒が好ましい。
支持塩としては、リチウム含有電解質が好ましい。リチウム含有電解質としては例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiSiF、LiOSO(2k+1)(k=1〜8の整数)、LiPF{C(2k+1)(6−n)(n=1〜5の整数、k=1〜8の整数)等のリチウム塩、及びこれらの組み合わせが好ましい。リチウム塩としてはLiPFが好ましい。
セパレータは、正極と負極とを電気的に絶縁し、かつリチウムイオンが透過可能な膜であればよい。セパレータとしては、多孔質高分子フィルムが好ましい。セパレータとしては、PP(ポリプロピレン)製多孔質フィルム、PE(ポリエチレン)製多孔質フィルム、あるいは、PP(ポリプロピレン)−PE(ポリエチレン)の積層型多孔質フィルム等のポリオレフィン製多孔質フィルムが好ましい。
二次電池の型としては、円筒型、コイン型、角型、あるいはフィルム型等がある。所望の型に合わせてケースを選定することができる。角型電池は、例えば円筒型電池に比べると、電池を集合して電池パックを作る際、空間の利用効率に優れる。また、ケースと捲回体を絶縁する絶縁層を設けることができる。
また、封口体として、上記ケースに嵌合可能なものを選定できる。本実施の形態では、封口体は、正極に接続する正極端子及び負極に接続する負極端子が通ることのできる孔を有する。また封口体は、一又は複数の注入口を有する。
封口体がかかる構造を有することで、ケースの備える一の開口部より、捲回体、正極及び負極端子、ならびに非水電解質を収納し、また封止することができる。また封口体の加工のみで済み、ケースの側に穿孔等の加工が不要となるため、生産効率が向上する。
正極端子及び負極端子としては、電池の構造すなわち、ケースの形状、捲回体のケースへの挿入方向、ケース及び封口体の表面上の両端子を設けるべき位置に適合するよう、所望の形状のものを選択できる。電池の構造としては、図4のものが角型電池の構造として簡易であるため、好ましい。より具体的な構造としては、下記実施例にて説明する、図2のものが挙げられる。
かかる電池は、正極方向端に対して捲回軸の方向の反対側に位置する負極方向端24と、角型のケースの開口面と実質的に平行な捲回軸方向を有する捲回体と、開口面と嵌合する一の封口体に接続する正極端子及び負極端子と、を備えるものである。
その特徴としては、捲回体の捲回軸がケースの開口面と実質的に平行な向きを有する。また、捲回体の、捲回軸方向の両端にそれぞれ正極及び負極端子が接続する。また、両端子は封口体の捲回軸と平行な方向の両端、又は両側に設けた孔を貫通する。
かかる電池の構造とすることで、正極及び負極端子を、ケース内で引き回す必要が無くなる。このため、両端子の形状を短めの棒状のような、簡易なものとすることができ、電池の生産効率が向上する。本実施の形態の方法は、上記の構造を有する電池に特に好適に使用できる。
<実施の形態の変形>
本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。本実施の形態では、エージング工程で、捲回体の正極方向端を非水電解質に浸漬するよう電池の設置方向を保持した。これに対して、注入工程、浸漬工程、押圧工程、又はコンディショニング工程等、他のいずれの工程でも同様に電池の向きを保持してもよい。または、組み立てた電池をエージング工程が終了するまで一貫して、正極方向端が下方になるように設置することもできる。かかる場合には電池の設置方向を変える作業を減らすことができる。
本実施の形態では、電池を端子の取り付け方向について横置きに設置した。これは設置の簡易性と、電池の転倒の予防の観点から好ましいためである。本実施の形態の変形として、上述の部位が非水電解質に浸漬している限り、電池を所望の角度まで傾けて設置することができる。この場合、傾いた側を支持部材で支えるようにすることで、平面に置くよりも電池全体を安定的に支持することができる。
[効果の説明]
<概要>
図6の電池10は、図4のものと同様であり、置き方のみ異なる。正極端子11及び負極端子12は図中の上方に位置している。図中では、正極端子11及び負極端子12の備わる開口面側又は封口体側と反対側の面が底面となっている。非水電解質は、かかる底面上に、界面14の高さまで溜まっている。捲回体13は界面14よりも高い位置にあるため、非水電解質に浸漬していない。
図6の置き方は、図中に示される構造を有する角型電池の置き方として一般的なものである。例えば、角型電池かかる向きで置いたものを、捲回軸方向と鉛直方向と平行な面で重ね合わせて並べることで電池パックを作ることができる。
図6の置き方で電池を置いてエージングを行うと、星形で示した電池の短絡が発生する場合がある。発明者らは、かかる短絡の発生個所に共通の特徴を見出した。共通の特徴とは、局所的な過充電及び高温並びに酸素の存在である。発明者らは、これらが正極活物質の溶解・溶出を招いていると考えた。短絡発生のメカニズムについては後述する。
発明者らは、局所的な高電位は、初期コンディショニング時に非水電解質が局所的に多いことに由来することを見出した。通常、電極とケースの導通を防止するため、捲回体の最外層にはセパレータが位置する。また捲回体の湾曲部は後述するように拘束力がかかりにくい。このため湾曲部の最外層では、非水電解質を含みやすいセパレータがさらに余剰な非水電解質を蓄えやすい。
このことから、発明者らは高電位に起因する短絡は、その短絡の発生しやすい個所での大量の非水電解質の存在に起因することを見出した。しかしながら、コンディショニング処理には非水電解質が不可欠であるから、これを短絡の発生しやすい個所から除去することは相応の工夫を要する。短絡の発生しやすい個所は後述する。
また、エージングは、高温での保管により、電池の使用初期の電池特性を向上することを目的としている。電池特性の向上とは、使用初期の電池内部の電気抵抗が低減し、容量が向上することである。このため、高温要因を除去することは困難である。
そこで、発明者らは、セル封函時、ケース内の雰囲気中に混入する酸素に着目した。酸素を短絡発生しやすい個所に触れさせない方法として、非水電解質に着目した。通常、非水電解質は、長期間使用後の分解を考慮して、捲回体に保持可能な量よりも多くケース内に注入される。
本実施の形態の方法では、かかる余剰電解質により、局所的な過充電が起こりやすい部分と酸素が互いに接触しないようにした。かかる方法により正極活物質の溶解・溶出を抑制し、高温保管時の短絡発生を予防可能なことを見出した。
本実施の形態の方法を簡潔に表すと、主として角型電池を、図4に示すように、電池の端子面と垂直な方向に対して横置きにしてエージングするものである。電池の置き方を別の視点で見れば、電池の長手方向対して縦置きにするものである。
<短絡発生のメカニズム>
図7は、上述の正極活物質の溶解・析出のメカニズムを推定したものである。図7では、正極1と負極2が、捲回体の最外周付近で対向している。図5と同様、シート状の正極1及び負極2は不図示のセパレータを介して、双方の端子接続面が、正極端子11側の正極方向端と、負極端子12側の負極方向端に分かれて、互い違いなるように積層している。正極合剤層3は捲回体内の内側の負極合剤層と対向している。正極合剤層3は負極合剤層6と対向している。
これらの合剤層ではリチウムイオンの脱離と吸収が起こっているので、充電が行われている。図7中、正極集電体7は、正極合剤層3及び正極合剤層5の間に位置する。図7中の右側には正極集電体7が余っており、正極端子11と結合する。また、負極集電体8は、負極合剤層4及び負極合剤層6の間に位置している。図7中の左側には負極集電体8が余っており、負極端子12と結合する。
図7中、セパレータは省略している。正極活物質はLiNi1/3Co1/3Mn1/3等のMnを含む材料である。支持塩はLiPFである。また、最も外側にある負極合剤層4に対向している正極合剤層は無い。このため、負極合剤層4はリチウムイオンを受け取ることができず、未充電のまま残される。
金属溶出が生じるメカニズムとしては、以下のとおり推測される。すなわち、上記の構成より、正極1及び負極2の右側端部では、負極活物質に対して、正極活物質が大きく不足している。さらに正極合剤層5から脱離したリチウムイオンは、負極2の図中の右側の端部を回り込んで、未充電の負極合剤層4に到達する場合がある。
このため、正極合剤層5の右側端部からは正極活物質量に比べて、多くのリチウムイオンが脱離しやすい。初期充電工程中の、かかるリチウムイオンの脱離は、正極1の右側端部に局所的な高電位を生じる。かかる局所的な高電位に、エージング工程のような高温環境が加わることで、正極金属が溶出することが推測される。正極活物質中の金属としてはマンガンが特に溶出しやすいと推測される。また、このような溶出は内部短絡を生じる原因となることが推測される。
<短絡の発生しやすい個所について>
発明者らは捲回体最外周が、短絡の発生しやすい個所となることを見出した。図3に示すように、負極最外周は正極最外周の外周側に位置する。上述のとおり、捲回体表層にある負極合剤層は未充電のまま残される。このため、その内側で対向する正極からリチウムイオンを引き抜く可能性が高い。このため、捲回された正極のうち最外周に位置する部分は、過充電状態になりやすく、局所的な高電位が発生して正極活物質が溶出しやすい。
発明者らは正極方向端が短絡の発生しやすい個所となることを見出した。図7を用いて短絡の発生する正極溶出箇所を説明する。図7の各符号の部材は図5と共通である。図7に示すように、捲回体最外周の正極方向端では、負極2の未塗工部がなく、負極合剤層4及び6と負極集電体8の切断面が表れている。このため、移動の障害となるものはないため、正極1より生じるリチウムイオンは、正極1と対向していない未充電の負極合剤層4まで到達する。一方、負極方向端にある正極合剤層5から生じるリチウムイオンは、負極集電体8の未塗工部に妨げられて、負極合剤層4まで到達できない。
発明者らは、特に扁平形状の捲回体を備える電池において、短絡の発生しやすい個所のあることを見出した。図3に示すように、扁平形状の捲回体を備える電池では、力17の押圧によって、平端部を拘束する。また捲回体13はケースの底面又は開口面の封口体と接しておらず、ケース15内で宙づりになっているのが一般的である。ケースと捲回体最外周との間に空間9があるため、例えばこれと接する捲回体13の上下の湾曲部は酸素と接しやすく、正極活物質が溶出しやすい。
このため本実施の形態の方法は、図3に示すような、ケースと捲回体最外周との間に空間9がある電池において、特に短絡抑制効果が大きい。このような電池の代表例が扁平形状の捲回体を備える角型電池である。大型電池では特に空間9が大きい。このような電池では空間9から酸素供給が十分に行われるため、Li拡散が加速し、溶出する。
上記をまとめると、発明者らは以下のことを見出した。すなわち、正極が局所的に高電位になるのは、未対向負極へLiが拡散するためである。また、未対向負極へのLi拡散は、温度、酸素、電解液量で変動する。また、角型電池の捲回体の最外周の平坦部、円筒電池の捲回体の最外周はケース内面に近接しており、そこに電解液が表面張力で保持されるため酸素供給が大きく制限される。酸素供給が制限されない部分ではLiの拡散が促進される。
また、発明者らは現在の大型電池によく見られる最外周に負極合剤を有する電池では、エージング工程での高温保管中、扁平形状の捲回体の、正極方向端の、両端の湾曲部の、前記正極の最外周に属する、正極合剤層の側端部で短絡が発生しやすいことを見出した。
<実施例1>
実施例1の説明に際しては、エージング工程に着目して説明する。本実施例1の電池の正極は、正極活物質としてLiNi1/3Co1/3Mn1/3を、導電助剤としてアセチレンブラックを、結着剤としてPVDFを含むものとした。負極は、負極活物質としてグラファイトを、結着剤としてSBRを、増粘剤としてCMCを含むものとした。正極及び負極集電体に上記各材料を含む正極及び負極合剤層を形成し、正極及び負極とした。
次に図2に示すとおり電池10を組み立てた。扁平形状を有する捲回体13を角型のケース15に収納した。捲回体13の挿入方向は、捲回体13の捲回軸25がケース15の図中の上方にある開口面と平行になるものとした。
また、正極端子11を正極集電体7の未塗工部に取り付けた。また負極端子12を負極集電体8の未塗工部に取り付けた。さらに封口体19をケース15の図中の上方にある開口面に嵌合した。
正極端子11は、外部正極端子40、内部正極端子45等を備えた。外部正極端子40は、ボルト41、連結部材42、カシメ部材43等を備えた。連結部材42は、ボルト41が螺合する螺合孔部を備えた。ボルト41が当該螺合孔部に螺合することにより、ボルト41と連結部材42とが連結した。
連結部材42、封口体19、絶縁部材60は、カシメ孔部を備えた。そして、絶縁部材60、封口体19、連結部材42のカシメ孔部に、カシメ部材43をカシメることにより、絶縁部材60と封口体19と連結部材42とが互いに連結した。また、外部正極端子40は、封口体19に絶縁部材60を介して連結した。
負極端子12は、外部負極端子50、内部負極端子55等を備えた。外部負極端子50は、ボルト51、連結部材52、カシメ部材53等を備えた。連結部材52は、ボルト51が螺合する螺合孔部を備えた。ボルト51が当該螺合孔部に螺合することにより、ボルト51と連結部材52とが連結した。
連結部材52、封口体19、絶縁部材70は、カシメ孔部を備えた。そして、絶縁部材70、封口体19、連結部材52のカシメ孔部に、カシメ部材53をカシメることにより、絶縁部材70と封口体19と連結部材52とが互いに連結した。また、外部負極端子50は、封口体19に絶縁部材70を介して連結した。以上により電池を組み立てた後、不図示の注入口より非水電解質を注ぎ、注入を行った。非水電解質の支持塩は、LiPFとした。
電池を、常温にて、所定時間保管し、捲回体を非水電解質に含浸した。含浸後、電池を500kg重で押圧した。押圧方向は、図3のように捲回体を扁平に広げるべき方向、及び捲回軸方向に対し垂直な方向とした。押圧後、非水電解質が捲回体から染み出ることは無かった。押圧後、コンディショニング処理をした。まず、CCCV充電をおこなった。常温にて、5A程度の電流値で、終止電圧4V程度まで充電した。
充放電後、図8に示すように、正極端子11及び負極端子12を開放し、60℃以上の高温にて、常圧下で、20時間保管し、エージング処理をした。エージング時の設置方向は図8のとおり、正極方向端が下方になるようケース15を横向きにした。図8中、図2と共通の部材には同じ符号を付した。非水電解質は界面14に示される通り、最外周の正極の正極合剤層5の正極方向端側の側端部よりも上側まで捲回体を浸漬した。捲回体13中、正極集電体等は図示していない。なお捲回体は巻止めテープ30により捲回状態を固定してある。
最後に短絡の発生の有無を確認した。特に短絡の発生個所と、非水電解質の界面及び捲回体の位置関係との相関について調べた。短絡の発生個所は下記の通り調べた。まずエージング後の電池を解体し、捲回体を取り出した。次に捲回体を確認し、短絡の起きた個所に、正極活物質の析出が元素分析により検出された場合、短絡が発生したものと判定した。図8に示すように、実施例1では短絡が発生しなかった。なお、界面の高さは、各段階の電池をX線CT装置で撮影した透過像から判断した(図14〜20)。
<比較例1>
実施例1と同様に電池を組み立てた。電池の設置方向を図9に示すように、端子側を上方にした上で、エージングした以外は、実施例1と同様に処置した。図9に示すように、捲回体の正極方向端の、非水電解質に接していない方の湾曲部の、最外周に短絡が発生したことが分かった。
<比較例2>
実施例1と同様に電池を組み立てた。電池の設置方向を図10に示すように、負極方向端を下方にした上で、エージングした以外は、実施例1と同様に処置した。非水電解質の量も同等である。図10に示すように、捲回体の非水電解質に接していない正極方向端の、両端の湾曲部の、最外周に短絡が発生したことが分かった。
<比較例3>
実施例1と同様に電池を組み立てた。電池の設置方向を図11に示すように、端子側を下方にした上で、エージングした以外は、実施例1と同様に処置した。図11に示すように、正極方向端の、両端の湾曲部の、最外周に短絡が発生したことが分かった。なおケースの構造上、端子側の空間が大きいため、比較例3では下方となった湾曲部が非水電解質に浸漬することは無かった。このため、比較例1と異なり両端の湾曲部に短絡が発生した。
<比較例4>
注入量を33gとした以外は、実施例1と同様に電池を作製した。電池の設置方向を図12に示すように、端子側を上方にした上で、エージングした以外は、実施例1と同様に処置した。エージング後の非水電解質は図12及び図16に示すとおり全て捲回体に保持された。図12に示すように、正極方向端の、両端の湾曲部の、最外周に短絡が発生したことが分かった。
<実施例2>
捲回体全体がほぼ電解液で浸るよう注入量を55〜58gと比較的多めにした以外は、実施例1と同様に電池を作製した。電池の設置方向を図13に示すように、端子側を上方にした上で、エージングした以外は、実施例1と同様に処置した。端子を上方にして電池を設置した場合、エージング後の非水電解質の界面は図13及び図14に示すとおり捲回体の半分以上の高さになった。なお、必要な非水電解質の量は捲回体の空孔体積の設計に応じて調整することが出来る。
図17に示すとおり、コンディショニング後の非水電解質の界面は、端子を上方にして電池を設置した場合、捲回体が全部浸る程度の高さになった。なお、非水電解質が捲回体から押し出される場合があるので、注液量を調整することも可能である。かかる現象は充電による活物質の体積膨張だけでなく、コンディショニング時に発生するガス等によるものも含まれる。
本実施例ではほとんど正極活物質が溶出しなかった。本実施例は通常の置き方でも捲回体全体が電解質に浸っていれば正極活物質が溶出しにくいことを示す。すなわち上記実施例1のように縦置きで正極端子が下にある場合に限定されるものではなく、正極端子の合剤端の全体が電解質に浸っていれば良いことを示す。
<比較例5>
注入量を40gとした以外は、実施例1と同様に電池を作製した。エージング時の電池の設置方向を含めて、実施例1と同様に処置した。図15に示すとおり、エージング後の非水電解質の界面は、端子を上方にして電池を設置した場合、捲回体の半分以下の高さになった。また、図18に示すとおり、エージング後の非水電解質の界面は、正極方向端を下方にして電池を設置した場合、正極合剤層の側端部に届かなかった。短絡の発生を確認したところ、捲回体の正極方向端の、両端の湾曲部の、最外周に短絡が発生したことが分かった。
以上、本発明は、上記実施形態又は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
1 正極 2 負極
3 正極合剤層 4 負極合剤層
5 正極合剤層 6 負極合剤層
7 正極集電体 8 負極集電体
10 電池(非水電解質二次電池) 11 正極端子
12 負極端子 13 捲回体
15 ケース 19 封口体(面状部材)
20 セパレータ 21 正極端面
22 負極端面 23 正極方向端
24 負極方向端 25 捲回軸
S11 積層工程 S12 捲回工程
S13 組立工程 S14 注入工程(・浸漬工程・押圧工程)
S15 コンディショニング工程 S16 エージング工程

Claims (8)

  1. 正極、セパレータ、及び負極を積層し積層体を作成する、積層工程と、
    前記積層体を捲回し捲回体を作成する、捲回工程と、
    前記捲回体をケースに収納し電池を組み立てる、組立工程と、
    非水電解質を前記ケース内に注入する注入工程と、
    電池を充電する初期充電工程と、
    前記正極及び前記負極の間に電圧を印加せず、前記充電した電池を30℃以上の温度域で保管する、エージング工程と、を備え、
    前記積層工程では、
    前記正極は、正極集電体、及び正極集電体の両面に位置する正極合剤層を備え、
    前記負極は、負極集電体、負極集電体の両面に位置する負極合剤層、及び前記負極集電体の端面と負極合剤層の端面が実質的に面一となっている負極端面を備え、
    前記捲回工程では、正極最外周の外周側に位置する負極最外周において、外周側の前記負極合剤層は前記正極合剤層と対向しない態様で、前記積層体を捲回し、
    前記エージング工程では、保管中、前記負極端面に近接する負極合剤層の端部と対向する正極合剤層の側端部の少なくとも一部を前記非水電解質で覆った状態で保持する、
    非水電解質二次電池の製造方法。
  2. 前記温度域は60℃以上である、請求項1に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
  3. 前記捲回工程の後、前記組立工程の前に、前記捲回体を押圧変形し、扁平形状とする、変形工程をさらに備え、
    前記エージング工程では、保管中、前記扁平形状の捲回体の、扁平方向の両端の湾曲部に位置し、外周の前記負極に対向する、前記正極最外周の前記正極合剤層の側端部の少なくとも一部を、前記非水電解質に浸漬した状態で保持する、請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
  4. 前記エージング工程では、前記側端部の全部を、前記非水電解質に浸漬した状態で保持する、請求項3に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
  5. 前記エージング工程では、保管中、前記側端部のダレ部の全部を、前記非水電解質に浸漬した状態で保持する、請求項3に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
  6. 前記エージング工程では、前記正極合剤層の側端部の全部を、前記非水電解質に浸漬した状態で保持する、請求項1〜5のいずれかに記載の非水電解質二次電池の製造方法。
  7. 前記エージング工程では、前記正極合剤層の側端部が、前記捲回体の捲回軸の方向の下方に位置する、請求項6に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
  8. 前記エージング工程では、
    角型のケースの一の開口面と嵌合する面状部材と、
    前記面状部材に接続する正極端子及び負極端子と、
    前記開口面と実質的に平行な捲回軸、前記正極端子と接続する正極方向端、及び該正極方向端に対して捲回軸方向の反対側に位置し前記負極端子と接続する負極方向端を有する前記捲回体と、
    を備える前記電池を、前記正極方向端が前記負極方向端の下方に位置する状態で保持する、請求項6又は7に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
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