本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換または変更を行うことができる。また、本実施形態の加工は、レーザが加工対象物を貫通する場合がある加工であり、切断、穴あけの切削加工が含まれる。
図1は、本実施形態に係るレーザ加工ユニットの概略構成を示す模式図である。図1に示すようにレーザ加工ユニット1は、加工対象物Tを加工する機構であり、レーザ加工装置4と、レーザ受光装置6と、各部の動作を制御する制御装置8と、を有する。レーザ加工ユニット1は、レーザ加工装置4から加工対象物Tに向けてレーザLを照射し、加工対象物Tを加工する。また、レーザ受光装置6は、加工対象物Tの間や加工が終了することで、加工対象物Tを通過するレーザを受光する。制御装置8は、レーザ加工装置4が照射するレーザの位置と、レーザ受光装置6の位置を制御し、加工対象物Tを通過したレーザLをレーザ受光装置6で受光させる。以下、各部について説明する。
まず、図2から図8を用いてレーザ加工装置4について説明する。図2は、レーザ加工装置の概略構成を示す模式図である。図2に示すように、レーザ加工装置4は、走行装置11と、加工装置本体12と、を有する。加工装置本体12は、レーザを出射するヘッド13から数メートル離れた対象物を切断するためのもので、ヘッド13から出射されるレーザLの焦点位置を任意に変更可能である。
図2に示すように、加工装置本体12は、自走式の走行装置11に搭載され、レーザLの出射に適した位置に移動可能である。走行装置11は、加工装置本体12のヘッド13が搭載されている部分を回転させる回転機構をさらに有し、移動しつつ、ヘッド13の向きを変えることで、任意の位置から任意の向きにレーザLを照射させることができる。また、加工装置本体12は、さらに、レーザ発振器21、制御部22、光ファイバ23、ヘッド13を備えている。
レーザ発振器21は、レーザLを発振するためのものである。レーザLには、強度分布が中心で大きく周辺で確率分布的に小さくなるシングルモードと、これ以外のマルチモードとがある。本実施形態に係るレーザ発振器21は、コストに優れたマルチモードのレーザLを発振するものを用いるが、マルチモードのレーザLを発振するものに限られるものではなく、シングルモードのレーザを発振するものであってもよい。またレーザ発振器21は、加工対象物の種別、ヘッド13から加工対象物(焦点位置)までの距離により任意のものが選択される。具体的には、加工対象物T1,T2の種別、ヘッド13から加工対象物T1,T2までの距離により、発振するレーザLの波長、最大出力、パルス幅、発振モード(連続波、パルス波の別)等、好適なものが選択される。例えば、近時では、最大出力が100kWのレーザ発振器も選択可能である。
制御部22は、レーザ発振器21を統括的に制御するためのもので、選択されたレーザ発振器21において、波長、出力、パルス幅、発振モード等を調整可能な範囲で制御する。光ファイバ23は、レーザ発振器21から発振されたレーザLを伝播するためのもので、本実施形態では、レーザ発振器21から発振されたレーザLをヘッド13に伝播する。ヘッド13は、光ファイバ23を通り伝播されたレーザLを鋼材やコンクリート等の加工対象物T1,T2に集光するためのものである。
図3は、図2に示すレーザ加工装置のヘッドの構成を示す模式図である。図4は、図3に示す焦点位置変更光学系を説明するための模式図である。図5は、図4に示すレンズホルダの構造を示す縦断面図である。図6は、図5に示すレンズホルダのVI−VI横断面図である。図3及び図4に示すように、ヘッド13は、円筒状に形成され、その内部に焦点位置変更光学系14を有する。焦点位置変更光学系14は、ヘッド13から出射されたレーザの焦点位置を任意に変更する。焦点位置変更光学系14は、図4に示すように、集光レンズ(群)41、第1レンズ(群)42、第2レンズ(群)43で構成されている。
図3及び図4に示すように、集光レンズ41は、ヘッド13の出射側に固定されるレンズであって、ヘッド13から出射されるレーザLを集光するためのものである。集光レンズ41は、その光軸がヘッド13の中心を通る軸線上に位置するように固定されている。図4に示すように、集光レンズ41は、メニスカスレンズ411と両凸レンズ412とを有する。
メニスカスレンズ411と両凸レンズ412とでは、メニスカスレンズ411がレーザLの入射側に配置され、両凸レンズ412がレーザLの出射側に配置されている。メニスカスレンズ411は、凸側が両凸レンズ412に対向し、メニスカスレンズ411には凹側からレーザLが入射する。両凸レンズ412は、曲率半径が大きい側がメニスカスレンズ411に対向し、両凸レンズ412には曲率半径が大きい側からレーザLが入射する。
図3及び図4に示すように、第1レンズ42は、ヘッド13の入射側に固定されるレンズであって、光ファイバ23から出射されたレーザLを受け入れるためのものである。第1レンズ42は、集光レンズ41と同様に、その光軸がヘッド13の中心を通る軸線上に位置するように固定されている。図4に示すように、第1レンズ42は、収差の低減を目的として、二枚の平凸レンズ421,422を組み合わせて構成されている。ここで、レーザLの入射側となる平凸レンズ421は、凸側が出射側となる平凸レンズ422に対向する。これにより、レーザLの入射側となる平凸レンズ421には平側からレーザLが入射する。また、レーザLの出射側となる平凸レンズ422は、凸側が入射側となる平凸レンズ421に対向する。これにより、レーザLの出射側となる平凸レンズ422には凸側からレーザLが入射する。
第2レンズ43は、集光レンズ41と第1レンズ42との間を移動可能なレンズであって、上述した第1レンズ42とともに、集光レンズ41の焦点位置を変更するものである。第2レンズ43は、後述する移動モジュール15により、その光軸がヘッド13の中心を通る軸線上を移動する。第2レンズ43は、メニスカスレンズ431と両凹レンズ432を組み合わせて構成されている。メニスカスレンズ431と両凹レンズ432とでは、メニスカスレンズ431がレーザLの入射側に配置され、両凹レンズ432がレーザLの出射側に配置されている。メニスカスレンズ431は、凸側が両凹レンズ432に対向し、メニスカスレンズ431には凹側からレーザLが入射する。両凹レンズ432は、曲率半径が小さい側がメニスカスレンズ431に対向し、両凹レンズ432には曲率半径が小さい側からレーザLが入射する。
第2レンズ43は、移動モジュール15に内蔵され、上述したように、その光軸がヘッド13の中心を通る軸線上を移動する。移動モジュール15は、溝付固定内筒51、レンズホルダ52、溝付外筒53により構成される。
溝付固定内筒51は、ヘッド13に内蔵された円筒状のガイド部材であって、その中心を通る軸線はヘッド13の中心を通る軸線と一致する。溝付固定内筒51には、その中心を通る軸線を対称軸とする一対の案内構511が設けられている。そして、案内構511は、溝付固定内筒51の中心を通る軸線と平行をなす。
レンズホルダ52は、第2レンズ43を保持するためのもので、円筒状に形成されている。レンズホルダ52は、溝付固定内筒51に摺動可能に嵌め込まれ、その中心を通る軸線は溝付固定内筒51の中心を通る軸線と一致する。これにより、レンズホルダ52の中心を通る軸線はヘッド13の中心を通る軸線とも一致する。また、レンズホルダ52の外周には、その中心を通る軸線を対称軸とする一対のガイドピン521が設けられている。ガイドピン521は、上述した溝付固定内筒51に設けられた案内構511に挿通され、レンズホルダ52は溝付固定内筒51の中心を通る軸線方向に沿ってガイドされる。
図5及び図6に示すように、レンズホルダ52には第2レンズ43が嵌め込まれ、Oリング522,523によりシールされている。そして、第2レンズ43の中心を通る光軸はレンズホルダ52の中心を通る軸線と一致する。これにより、第2レンズ43の中心を通る光軸は、溝付固定内筒51の中心を通る軸線及びヘッド13の中心を通る軸線と一致し、集光レンズ41の光軸及び第1レンズ42の光軸とも一致する。
具体的には、第2レンズ43を構成するメニスカスレンズ431と両凹レンズ432とが嵌め込まれ、Oリング522,523によりシールされている。メニスカスレンズ431、両凹レンズ432のそれぞれの中心を通る光軸はレンズホルダ52の中心を通る軸線と一致する。これにより、メニスカスレンズ431と両凹レンズ432の中心を通る光軸は、集光レンズ41の光軸及び第1レンズ42の光軸とも一致する。
また、図5及び図6に示すように、第2レンズ43を構成するメニスカスレンズ431と両凹レンズ432のまわりには流路525が設けられている。流路525は、第2レンズ43を冷却するためのもので、図6に示すように、一対のガイドピン521の一方に流路525に連通する供給口526が設けられ、他方に流路525に連通する排出口527が設けられている。これにより、溝付固定内筒51の外からガイドピン521に設けられた供給口526を通り、流路525に冷媒(例えば、冷却水)が供給され、流路525からガイドピン521に設けられた排出口527を通り、溝付固定内筒51の外に冷媒が排出される。このようにして、レーザLの集光により加熱された第2レンズ43は冷却される。
溝付外筒53は、第2レンズ43をレーザLの光軸方向に沿って移動させるためのもので、図3に示すように、溝付固定内筒51が嵌る円筒状に形成されている。溝付外筒53は、溝付固定内筒51の外周に対して回転可能、かつ、レーザLの光軸方向に移動不能に取り付けられている。
溝付外筒53には、その中心を通る軸線を対称軸とする一対の作動溝531が設けられている。作動溝531は、螺旋状に形成され、それぞれには上述した一対のガイドピン521がそれぞれ挿通されている。これにより、レンズホルダ52に設けられた一対のガイドピン521は、溝付固定内筒51に設けられた案内構511、溝付外筒53に設けられた作動溝531に拘束され、溝付外筒53を回転させると、一対のガイドピン521が拘束されたレンズホルダ52がレーザLの光軸方向に沿って移動する。これにより、第2レンズ43がレーザLの光軸方向に沿って移動する。
例えば、図3に示す例において、溝付外筒53を時計まわりに回転させると、第2レンズ43が集光レンズ41に近づき、集光レンズ41から出射されるレーザLの焦点位置が奥側に遠ざかる。一方、溝付外筒53を反時計まわりに回転させると、第2レンズ43が第1レンズ42に近づき、集光レンズ41から出射されるレーザLの焦点位置が手前側に近づく。
溝付外筒53は、手動操作することにより、時計まわりあるいは反時計まわりに回転させるものとしてもよいが、溝付外筒53を回転させるモータ等の駆動源を設け、上述した制御部22からの指令により回転させるものとしてもよい。
上述した加工装置本体12は、光ファイバ23の出射端から出射されたレーザLが広がりながら第1レンズ42に入射する。そして、第1レンズ42を通過したレーザLは狭まりながら第2レンズ43に入射する。そして、集光レンズ41を通過したレーザLは狭まりながら焦点位置(例えば、図2において加工対象物T1)で集光される。
この状態からレーザLの焦点位置を奥側に遠ざける場合には、図3において、溝付外筒53を時計まわりに回転させる。このように溝付外筒53を時計まわりに回転させると、第2レンズ43が集光レンズ41に近づき、集光レンズ41を通過したレーザLは、上述した焦点位置(例えば、図2において加工対象物T1)よりも奥側(例えば、図2において加工対象物T2)で集光される。これにより、焦点位置は、奥側に遠ざかる。
一方、この状態からレーザLの焦点位置を手前側に近づける場合には、図3において、溝付外筒53を反時計まわりに回転させる。このように溝付外筒53を反時計まわりに回転させると、第2レンズ43が第1レンズ42に近づき、集光レンズ41を通過したレーザLは、上述した焦点位置(例えば、図2において加工対象物T2)よりも手前側(例えば、図3において加工対象物T1)で集光される。これにより、焦点位置は、手前側に近づく。
上述した加工装置本体12は、出射するレーザLの焦点位置を任意に変更可能な焦点位置変更光学系14を有するので、ヘッド13から出射するレーザLの焦点位置を任意に変更できる。これにより、加工装置本体12を用いて構造物や建造物を解体する場合にも、鋼材やコンクリート等を切断するたびに加工装置本体12を移動させる必要がない。
また、焦点位置変更光学系14は、第1レンズ42とともに第2レンズ43が集光レンズ41の焦点位置を任意に変更できる。これにより、鋼材やコンクリート等を切断するたびに加工装置本体12を移動させる必要がない。
また、レーザ発振器21は、マルチモードのレーザLを発振するので、必要なレーザ強度を容易に得ることができる。これにより、任意の位置で必要なレーザ強度を得ることができる。
また、レンズホルダ52は、第2レンズ43のまわりに冷媒が流れる流路525を有するので、集光レンズ41と第1レンズ42との間に設けられ、レーザLの集光により加熱された第2レンズ43は効率的に冷却される。
なお、焦点位置変更光学系14は、集光レンズ41、第1レンズ42、第2レンズ43をそれぞれ二枚のレンズで構成したが、これに限られるものではなく、それぞれのレンズをさらに多数枚化し、それぞれの機能を持たせることも可能である。
また、上述した焦点位置変更光学系14において、第2レンズ43を保持するレンズホルダ52に冷媒が流れる流路525を設け、第2レンズ43を冷却するものとしたが、集光レンズ41、第1レンズ42のまわりにも冷媒が流れる流路を設け、集光レンズ41、第1レンズ42をも冷却するものとしてもよい。
また、上述した移動モジュール15は、溝付固定内筒51、レンズホルダ52、溝付外筒53で構成したが、これに限られるものではなく、例えば、レンズホルダ52に、リニアガイド、ボールねじを組み合わせたもので構成してもよい。この構成において、レンズホルダ52は、リニアガイドにガイドされ、レーザLの光軸方向に移動可能となり、さらに、ボールねじに送られて、レーザLの光軸方向に移動する。また、ボールねじを時計まわりあるいは反時計まわりに回転させるモータ等の駆動源を設け、上述した制御部22からの指令により回転させるものとしてもよい。
また、加工対象物T1,T2までの距離を計測する距離計等の距離計測手段を設け、加工対象物T1,T2までの距離を計測し、計測結果に基づいてレーザLの焦点位置を変更するものとしてもよい。
さらに、レーザLが集光した加工対象物T1,T2にアシストガスを噴射するアシストガス噴射手段を設け、レーザLで加工対象物T1,T2を切断する際にアシストガスを噴射し、切断をアシストするものとしてもよい。
図7は、レーザ加工装置のヘッドの構成の他の例を示す模式図である。図8は、図7に示す焦点位置変更光学系を説明するための模式図である。図7及び図8に示すヘッド13は、円筒状に形成され、その内部に焦点位置変更光学系16を有している。焦点位置変更光学系16は、ヘッド13から出射されたレーザLの焦点位置を任意に変更するためのもので、図8に示すように、集光レンズ(群)61、第1レンズ(群)62、第2レンズ63で構成されている。
図7及び図8に示すように、集光レンズ61は、ヘッド13の出射側に固定されるレンズであって、ヘッド13から出射されるレーザLを集光するためのものである。集光レンズ61は、その光軸がヘッド13の中心を通る軸線上に位置するように固定されている。図8に示す集光レンズ61は、焦点距離の長い二枚の平凸レンズ611,612を組み合わせて構成されている。ここで、レーザLの入射側となる平凸レンズ611は、凸側が出射側となる平凸レンズ612に対向する。これにより、レーザLの入射側となる平凸レンズ611には平側からレーザLが入射する。また、レーザLの出射側となる平凸レンズ612は、平側が入射側となる平凸レンズ611に対向する。これにより、レーザLの出射側となる平凸レンズ612には平側からレーザLが入射する。
図7及び図8に示すように、第1レンズ62は、ヘッド13の入射側で移動可能なレンズであって、光ファイバ23から出射されたレーザLを受け入れるためのものである。第1レンズ62は、後述する移動モジュール17により、その光軸がヘッド13の中心を通る軸線上を移動する。図8に示す第1レンズ62は、収差の低減を目的として、平凸レンズ621と両凸レンズ622の二つを組み合わせて構成されている。平凸レンズ621と両凸レンズ622とでは、平凸レンズ621がレーザLの入射側に配置され、両凸レンズ622がレーザLの出射側に配置されている。平凸レンズ621は、凸側が両凸レンズ622に対向し、平凸レンズ621には平側からレーザLが入射する。一方、両凸レンズ622は、入射側と出射側とが略同一形状を有し、入射側から入射された光は出射側で集光される。
第2レンズ63は、集光レンズ61と第1レンズ62との間を移動可能なレンズであって、上述した第1レンズ62とともに、集光レンズ61の焦点位置を変更するものである。第2レンズ63は、上述した第1レンズ62と同様、後述する移動モジュール17により、その光軸がヘッド13の中心を通る軸線上を移動する。第2レンズ63は、平凹レンズ631で構成される。平凹レンズ631は、凹側がレーザLの入射側を向く。これにより、平凹レンズ631には凹側からレーザLが入射する。
第1レンズ62と第2レンズ63は、移動モジュール17に内蔵され、上述したように、その光軸がヘッド13の中心を通る軸線上を移動する。移動モジュール17は、溝付固定内筒71、第1レンズホルダ72、第2レンズホルダ73、溝付外筒74により構成される。
溝付固定内筒71は、ヘッド13に内蔵された円筒状のガイド部材であって、その中心を通る軸線は、ヘッド13の中心を通る軸線と一致する。溝付固定内筒71には、その中心を通る軸線を対称軸とする一対の案内構711が設けられている。そして、案内構711は、溝付固定内筒71の中心を通る軸線と平行をなす。
第1レンズホルダ72は、第1レンズ62を保持するためのもので、円筒状に形成されている。第1レンズホルダ72は、溝付固定内筒71に摺動可能に嵌め込まれ、その中心を通る軸線は、溝付固定内筒71の軸線と一致する。これにより、第1レンズホルダ72の中心を通る軸線は、ヘッド13の中心を通る軸線とも一致する。また、第1レンズホルダ72の外周には、その中心を通る軸線を対称軸とする一対のガイドピン721が設けられている。ガイドピン721は、上述した溝付固定内筒71に設けられた案内構711に挿通され、第1レンズホルダ72は溝付固定内筒71の中心を通る軸線に沿ってガイドされる。
第1レンズホルダ72には、上述した焦点位置変更光学系14のレンズホルダ52と同様、第1レンズ62が嵌め込まれ、その中心を通る光軸は第1レンズホルダ72の中心を通る軸線と一致する。これにより、第1レンズ62の中心を通る光軸は、溝付固定内筒71の中心を通る軸線と一致し、集光レンズ61の光軸とも一致する。
具体的には、第1レンズ62を構成する平凸レンズ621と両凸レンズ622とが嵌め込まれ、それぞれの中心を通る光軸は第1レンズホルダ72の中心を通る軸線と一致する。これにより、平凸レンズ621と両凸レンズ622の中心を通る光軸は、集光レンズ61の光軸とも一致する。
第2レンズホルダ73は、第1レンズホルダ72と同様、第2レンズ63を保持するためのもので、円筒状に形成されている。第2レンズホルダ73は、溝付固定内筒71において第1レンズホルダ72の反対側に摺動可能に嵌め込まれ、その中心を通る軸線は溝付固定内筒71の軸線とも一致する。これにより、第2レンズホルダ73の中心を通る軸線は、第1レンズホルダ72の中心を通る軸線と一致し、ヘッド13の中心を通る軸線とも一致する。また、第2レンズホルダ73の外周には、その中心を通る軸線を対称軸とする一対のガイドピン731が設けられている。ガイドピン731は、上述した溝付固定内筒71に設けられた案内構711に挿通され、第2レンズホルダ73は、第1レンズホルダ72と同様、溝付固定内筒71の中心を通る軸線に沿ってガイドされる。
上述した第1レンズホルダ72と同様、第2レンズホルダ73には、第2レンズ63が嵌め込まれ、その中心を通る光軸は第2レンズホルダ73の中心を通る軸線と一致する。これにより、第2レンズ63の中心を通る光軸は、溝付固定内筒71の中心を通る軸線と一致し、集光レンズ61の光軸、第1レンズ62の光軸とも一致する。
具体的には、第2レンズ63を構成する平凹レンズ631が嵌め込まれ、その中心を通る光軸は第2レンズホルダ73の中心を通る軸線と一致する。これにより、平凹レンズ631の中心を通る光軸は、集光レンズ61の光軸、第1レンズ62の光軸とも一致する。
第2レンズホルダ73は、上述した焦点位置変更光学系14のレンズホルダ52と同様に、第2レンズ63を構成する平凹レンズ631のまわりに流路が設けられている。流路は、第2レンズ63を冷却するためのもので、一対のガイドピン731の一方に流路に連通する供給口が設けられ、他方に流路に連通する排出口が設けられている。これにより、溝付固定内筒71の外からガイドピン731に設けられた供給口を通り、流路に冷媒(例えば、冷却水)が供給され、流路からガイドピン731に設けられた排出口を通り、溝付固定内筒71の外に冷媒が排出される。このようにして、レーザLの集光により加熱された第2レンズ63は冷却される。
溝付外筒74は、第1レンズ62と第2レンズ63とが所定の関係を有する状態で、第1レンズ62と第2レンズ63とをレーザLの光軸方向に沿って移動させるためのもので、図7に示すように、溝付固定内筒71が嵌る円筒状に形成されている。溝付外筒74は、溝付固定内筒71の外周に対して回転可能、かつ、レーザLの光軸方向に移動不能に取り付けられている。
溝付外筒74には、その中心を通る軸線を対称軸とする一対の作動溝741,742が二つ設けられている。一方の作動溝741(以下、「第1作動溝741」という)は、レーザLの入射側に設けられ、他方の作動溝742(以下、「第2作動溝742」という)は、レーザLの出射側に設けられている。第1作動溝741と第2作動溝742は、所定の関係を有するように形成されている。第1作動溝741は、第1レンズ62を移動させるためのもので、勾配が急な螺旋状に形成されている。第1作動溝741の対をなすそれぞれには、上述した第1レンズホルダ72に設けられたガイドピン721が挿通されている。これにより、第1レンズホルダ72に設けられた一対のガイドピン721は、溝付固定内筒71に設けられた案内構711、溝付外筒74に設けられた第1作動溝741に拘束され、溝付外筒74を回転させると、一対のガイドピン721が拘束された第1レンズホルダ72がレーザLの光軸方向に沿って移動する。これにより、第1レンズ62がレーザLの光軸方向に沿って移動する。第2作動溝742は、第2レンズ63を移動させるためのもので、第1作動溝741よりも勾配が緩やかな螺旋状に形成されている。第2作動溝742の対をなすそれぞれには、上述した第2レンズホルダ73に設けられたガイドピン731が嵌め込まれている。これにより、第2レンズホルダ73に設けられた一対のガイドピン731は、溝付固定内筒71に設けられた案内構711、溝付外筒74に設けられた第2作動溝742に拘束され、溝付外筒74を回転させると、一対のガイドピン731が拘束された第2レンズホルダ73がレーザLの光軸方向に沿って移動する。これにより、第2レンズ63がレーザLの光軸方向に沿って移動する。
したがって、溝付外筒74を回転させると、第1レンズホルダ72と第2レンズホルダ73とが所定の関係を有して移動する。これにより、第1レンズ62と第2レンズ63とが所定の関係を有して移動する。
例えば、図7に示す例において、溝付外筒74を時計まわりに回転させると、第1レンズ62と第2レンズ63とが所定の関係を有して集光レンズ61に近づき、集光レンズ61から出射されるレーザLの焦点位置が奥側に遠ざかる。一方、溝付外筒74を反時計まわりに回転させると、第1レンズ62と第2レンズ63とが所定の関係を有して集光レンズ61から遠ざかり、集光レンズ61から出射されるレーザLの焦点位置が手前側に近づく。
溝付外筒74は、手動操作することにより、時計まわりあるいは反時計まわりに回転させるものとしてもよいが、溝付外筒74を回転させるモータ等の駆動源を設け、上述した制御部22からの指令により回転させるものとしてもよい。
図7及び図8に示す加工装置本体12は、光ファイバ23の出射端から出射されたレーザLが広がりながら第1レンズ62に入射する。そして、第1レンズ62を通過したレーザLは、狭まりながら第2レンズ63に入射する。そして、第2レンズ63を通過したレーザLは略平行なレーザLとなり、集光レンズ61に入射する。そして、集光レンズ61を通過したレーザLは、狭まりながら焦点位置(例えば、図2において加工対象物T1)で集光される。
この状態からレーザLの焦点位置を奥側に遠ざける場合には、図7において、溝付外筒74を時計まわりに回転させる。このように溝付外筒74を時計まわりに回転させると、第1レンズ62と第2レンズ63とが所定の関係を有したまま、集光レンズ61に近づく。このように、第1レンズ62と第2レンズ63とが所定の関係を有したまま、集光レンズ61に近づくと、集光レンズ61を通過したレーザLは、上述した焦点位置(例えば、図2において加工対象物T1)よりも奥側(例えば、図2において加工対象物T2)で集光される。これにより、レーザLの焦点位置は奥側に遠ざかる。
一方、この状態からレーザLの焦点位置を手前側に近づける場合には、図7において、溝付外筒74を反時計まわりに回転させる。このように溝付外筒74を反時計まわりに回転させると、第1レンズ62と第2レンズ63とが所定の関係を有したまま、集光レンズ61から遠ざかる。このように、第1レンズ62と第2レンズ63とが所定の関係を有したまま、集光レンズ61から遠ざかると、集光レンズ61を通過したレーザLは、上述した焦点位置(例えば、図2において加工対象物T2)よりも手前側(例えば、図2において加工対象物T1)で集光される。これにより、レーザLの焦点位置は手前側に近づく。
図7及び図8に示す加工装置本体12は、出射するレーザLの焦点位置を任意に変更可能な焦点位置変更光学系16を有するので、ヘッド13から出射するレーザLの焦点位置を任意に変更できる。これにより、加工装置本体12を用いて構造物や建造物を解体する場合にも、鋼材やコンクリート等を切断するたびに加工装置本体12を移動させる必要がない。
また、焦点位置変更光学系16は、第1レンズ63とともに第2レンズ63が集光レンズ61の焦点位置を任意に変更できる。これにより、鋼材やコンクリート等を切断するたびに加工装置本体12を移動させる必要がない。
また、レーザ発振器21は、マルチモードのレーザLを発振するので、必要なレーザ強度を容易に得ることができる。これにより、任意の位置で必要なレーザ強度を得ることができる。
また、第2レンズホルダ73は、第2レンズ63のまわりに冷媒が流れる流路を有するので、集光レンズ61と第1レンズ62との間に設けられた第2レンズ63を効率的に冷却することができる。
なお、焦点位置変更光学系16は、集光レンズ61及び第1レンズ62をそれぞれ二枚のレンズで構成し、第2レンズ63を一枚のレンズで構成したが、これに限られるものではなく、それぞれのレンズをさらに多数枚化し、それぞれの機能を持たせることも可能である。
また、焦点位置変更光学系16において、第2レンズ63を保持する第2レンズホルダ73に冷媒が流れる流路を設け、第2レンズ63を冷却するものとしたが、集光レンズ61、第1レンズ62のまわりにも冷媒が流れる流路を設け、集光レンズ61、第1レンズ62をも冷却するものとしてもよい。
また、上述した移動モジュール17は、溝付固定内筒71、第1レンズホルダ72、第2レンズホルダ73、溝付外筒74で構成したが、これに限られるものではなく、第1レンズ62と第2レンズ63とを所定の関係を有して移動させるものであれば、任意のものを用いることができる。
また、加工対象物T1,T2までの距離を計測する距離計等の距離計測手段を設け、加工対象物T1,T2までの距離を計測し、計測結果に基づいてレーザLの焦点位置を変更するものとしてもよい。
さらに、レーザLが集光した加工対象物T1,T2にアシストガスを噴射するアシストガス噴射手段を設け、レーザLで加工対象物T1,T2を切断する際にアシストガスを噴射し、切断をアシストするものとしてもよい。
次に、図9から図11を用いて、レーザ受光装置6について説明する。図9は、レーザ受光装置の概略構成を示す模式図である。図10は、受光部の概略構成を示す模式図である。図11は、冷却機構の概略構成を示す模式図である。図9に示すように、レーザ受光装置6は、走行装置102と、支持部104と、受光部106と、を有する。走行装置102は、自走で走行をする機構であり、車両等である。走行装置102は、前後左右に走行可能であることが好ましい。走行装置102は、支持部104を介して受光部106を支持する。支持部104は、走行装置102に支持され、受光部106を支持している。
受光部(受光装置本体)106は、支持部104に支持された部材であり、レーザLの照射方向に直交する方向に沿って延在する受光面を有し、受光面でレーザLを受光する。受光部106は、高融点金属層140と、冷却機構152と、耐酸化層160と、を有する。受光部106は、高融点金属層140のレーザLが照射される側の面に耐酸化層160が積層され、高融点金属層140のレーザLが照射される面とは反対側の面に冷却機構152が積層されている。
高融点金属層140は、板状の部材であり、受光面に沿って配置されている。高融点金属層140は、受光面に沿って配置されていればよく、平板でも曲面でもよい。また、後述するが、表面に凹凸が形成されていてもよい。
高融点金属層140に用いる高融点金属は、融点が2000℃以上の金属であることが好ましい。具体的には、高融点金属としては、タングステン、モリブデン、タンタル、ニオブ、また、これらを含有する合金、超合金を用いることができる。
冷却機構152は、高融点金属層140のレーザLが照射される面とは反対側の面に配置されている。冷却機構152は、銅板170と、銅板170との間で冷却水を循環させる冷却水供給機構172と、を有する。銅板170は、高融点金属層140のレーザLが照射される面とは反対側の面に接している。銅板170は、ろう付け等で高融点金属層140に固定されている。なお、銅板170は、高融点金属層140に密着していればよく、取付方法は特に限定されない。また、本実施形態では、銅板170としたが、高融点金属層140との間で熱の授受が生じればよく、他の材料で形成してもよい。銅板170には、複数の冷却水通路174が並列に形成され、一方の端部にヘッダ176が接続され、他方の端部にヘッダ178が接続されている。冷却水供給機構172は、ヘッダ176とヘッダ178に接続され、ヘッダ176に冷却水を供給し、ヘッダ178から冷却水を回収する。冷却水供給機構172は、ポンプと、配管と、冷却水を冷却する冷却部と、を有する。配管がヘッダ176とヘッダ178に接続され、配管にポンプと冷却部が繋がっており、銅板170と、ポンプと冷却部で1つの閉じられた流路を形成している。なお、冷却水供給機構172は、閉じられた流路とせずに、使用した冷却水は廃棄するようにしてもよい。
冷却機構152は、冷却水供給機構172で、ヘッダ176、冷却水通路74、ヘッダ78の順で冷却水を流すことで、銅板170を冷却することで、高融点金属層140を冷却する。冷却機構152は、冷媒として液体を用いればよく、水以外の液体を循環させるようにしてもよい。
耐酸化層160は、高融点金属層140のレーザが照射される面に積層されている。耐酸化層160は、高融点金属層140の表面にコーティングされている。耐酸化層160は、耐酸化材料で形成されている。耐酸化材料としては、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)を用いることができる。YSZを耐酸化層160として用いることで、大気中での加工が可能となる。これにより、受光部106を好適に製造することができる。また、耐酸化材料としては、YSZ以外にもシリコンカーバイド(SiC)、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiNx)、窒化タングステン、窒化タンタルなどを用いることができる。
レーザ受光装置6は、以上のような構成であり、レーザを受光部106で受光する。レーザを受光する受光部106に高融点金属層140を設けることで、レーザが照射された場合に、レーザが照射された部分が加工されることを抑制することができる。また、レーザ受光装置6は、高融点金属層140を冷却する冷却機構152を設けることで、レーザを受光し、加熱される部分を好適に冷却することができる。これにより、高融点金属層140がレーザにより加工され、穴が開くことを抑制することができ、冷却機構152にレーザが照射されることを抑制できる。
このように、レーザ受光装置6は、レーザを受光する面に高融点金属層140を設け、さらに高融点金属層140を冷却機構152で冷却することで、レーザを受光する面を溶解しにくくすることができる。これにより、レーザを長時間受光することが可能となり、レーザによる加工をより長時間実行することができる。
レーザ受光装置6は、高融点金属層140のレーザが照射される側の面に耐酸化層160を設けることで、高融点金属層140の酸化を抑制することができ、装置の耐久性を高くすることができ、より長い時間レーザを受光することができる。つまり、受光装置6で高エネルギ密度のレーザを長時間受光することができる。
また、レーザ加工ユニット1は、レーザ受光装置6で高エネルギ密度のレーザを受光できることで、本実施形態のようにレーザが収束された状態で長距離照射されるレーザ加工装置4を用いた場合でも、照射したレーザが加工対象物以外に照射されることを抑制することができる。
レーザ受光装置6は、高融点金属層140の高融点金属の厚みを1mm以上とすることが好ましい。レーザ受光装置6は、高融点金属の厚みを1mm以上とすることで、高融点金属層140がレーザの受光により溶解し、冷却機構152が露出することをより好適に抑制することができる。
レーザ受光装置6は、耐酸化層160の厚みを0.05mm以上3.0mm以下とすることが好ましい。耐酸化層160の厚みを0.05mm以上とすることで、レーザの受光により耐酸化層160が溶解し、高融点金属層140が露出することをより確実に抑制することができる。また、耐酸化層160の厚みを3.0mm以下とすることで、耐酸化層160がガラス化してレーザの受光状態が変動することを抑制することができる。
また、レーザ受光装置6は、上述したように耐酸化層160を有することが好ましいが、備えていなくてもよい。つまり、レーザ受光装置6は、レーザが高融点金属層140に直接照射される構造としてもよい。
図12は、他の例の受光部の概略構成を示す模式図である。図12に示す受光部106aは、高融点金属層140aと、冷却機構152aと、を有する。受光部106aは、高融点金属層140aと、冷却機構152aの銅板170aのレーザが照射される側の面に2つの凹部180が形成されている。これにより、冷却機構152aは、レーザLが照射される側の面に凹凸が形成される。
受光部106aは、レーザLが照射される面に凹部180を形成し、凹凸形状とすることで、レーザが照射される面の面積を大きくすることができ、レーザを受光する面の単位面積当たりのレーザのエネルギ密度を小さくすることができる。これにより、また、本実施形態では、凹部180を2つ形成し、凹凸をW形状としたが、凹部180を1つ設け、V形状としてもよい。また、本実施形態では凹部を形成したが、凸部を形成してもよい。凹凸形状は、レーザ光の照射方向に直交する面に対して傾斜した形状とすることが好ましい。これにより、レーザを受光する面の単位面積当たりのレーザのエネルギ密度を小さくすることができる。
また、レーザ加工ユニット1は、上述したように、レーザ加工装置4とレーザ受光装置6とを、走行装置11、102で同期して移動させることが好ましい。これにより、レーザ加工装置4から照射されたレーザをレーザ受光装置6の受光部106で好適に移動させることができる。ここで、移動の制御は、予め設定されたプログラムに基づいて、同期させてもよいし、それぞれの位置情報を取得して、レーザの照射位置を特定し、レーザ受光装置6を移動させるようにしてもよい。
図13は、他の実施形態に係るレーザ加工ユニットの概略構成を示す模式図である。図13に示すレーザ加工ユニット1aは、レーザ加工装置4aと、レーザ受光装置6aと、制御装置8と、を有する。レーザ加工装置4aは、レーザLが照射される位置までの距離を計測する距離センサ190を有する。レーザ受光装置6aは、レーザ光を受光する位置の温度を計測する温度センサ192を有する。
レーザ加工ユニット1aの制御装置8は、距離センサ190で計測した結果に基づいて、レーザ加工装置4aとレーザ受光装置6aとの位置を調整するようにしてもよい。例えば、制御装置8は、距離センサ190で計測した結果、レーザLが加工対象物Tではなく、レーザ受光装置6aに照射されていることを検出した場合(計測した距離が設定された閾値よりも長い場合)、レーザ加工装置4aとレーザ受光装置6aとの移動速度を速くし、レーザが加工対象物Tに照射される位置まで移動するようにする。
また、レーザ加工ユニット1aの制御装置8は、温度センサ192で計測した結果に基づいて、レーザ加工装置4aとレーザ受光装置6aとの位置を調整するようにしてもよい。例えば、制御装置8は、温度センサ192で計測した結果、レーザLが加工対象物Tではなく、レーザ受光装置6aに照射されていることを検出した場合(計測点での温度が上昇した場合)、レーザ加工装置4aとレーザ受光装置6aとの移動速度を速くし、レーザが加工対象物Tに照射される位置まで移動するようにする。
このように、距離センサ190、温度センサ192の計測結果に基づいて、レーザがレーザ受光装置6aに到達しているかを検出し、到達している場合、移動速度を速くすることで、レーザがレーザ受光装置6aに照射される時間を短くすることができ、レーザ受光装置6aの受光部の劣化を抑制することができ、レーザ加工ユニット1aによる加工をより長時間行うことが可能となる。
図14は、他の実施形態に係るレーザ加工ユニットの概略構成を示す模式図である。図14に示すレーザ加工ユニット1bは、レーザ加工装置4bと、レーザ受光装置6bと、を有する。レーザ加工装置4bは、所定の位置に固定され、レーザを照射するヘッドを回転させる機構を備えている。これによりレーザ加工装置4bは、レーザLで示す向きからレーザLaで示す向きまでレーザを照射させる向きを移動させることができる。レーザ受光装置6bは、加工対象物Tよりも遠くの位置で、レーザL、Laが照射される領域に配置されている。レーザ受光装置6bは、レーザLが照射される範囲の全域に配置され、固定されている。レーザ受光装置6bは、受光面がレーザ加工装置4b側の任意の点を中心とした円弧形状である。
図14に示すレーザ加工ユニット1bのように、レーザ受光装置6bを固定した構造としても、レーザ受光装置6と同様の構造とすることで、レーザ加工装置4bから照射されたレーザを長時間受光することができ、加工を長時間行うことができる。また、レーザ受光装置6bを固定することで、レーザ加工装置4bの移動と、レーザ受光装置6bの移動の同期をとる必要が無くなるため、レーザの走査速度を速くすることができる。また、レーザが照射される範囲の全域にレーザ受光装置6bを設けることで、より安全にレーザによる加工を行うことができる。