JP2015206989A - 情報処理装置、情報処理方法及びプログラム - Google Patents

情報処理装置、情報処理方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】ユーザの利便性を低下させることなくユーザの視聴位置を測定することを可能にする。【解決手段】非可聴帯域の測定用音声をスピーカから出力させる音声信号出力部と、マイクロフォンによって収音された前記測定用音声に基づいて、ユーザの視聴位置を算出する視聴位置算出部と、を備える、情報処理装置を提供する。【選択図】図2

Description

本開示は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
映像コンテンツや音楽コンテンツ等の視聴システムにおいては、視聴者(ユーザ)の位置を測定し、測定されたユーザの位置に基づいて、より適切な音場がユーザの視聴環境に再現されるように、音楽信号に対して音響補正を行う技術が知られている。例えば、特許文献1には、複数のスピーカから出力される測定音を一対のマイクロフォンの位置を変えながら収音し、収音された信号に基づいてスピーカと当該一対のマイクロフォンとの相対位置を測定するオーディオセットが開示されている。また、例えば、特許文献2には、複数のスピーカのうちの少なくとも1つから超音波を発し、受信された当該超音波のエコーパターンの変化に基づいてユーザを検出するオーディオビジュアル(AV:Audio Visual)システムが開示されている。
特開2007−28437号公報 特表2007−520141号公報
しかし、特許文献1に記載の技術では、ユーザの視聴位置を測定するために測定音をスピーカから出力している間は、一時的に視聴を中断しなくてはならない。また、ユーザが視聴位置を変えた場合には、その都度、音楽信号の再生を中断し、ユーザの視聴位置を測定する処理を行う必要があり、必ずしもユーザにとって利便性が高いとは言えない。また、特許文献2に記載の技術では、超音波のエコーパターンを用いて測定を行っているため、ユーザの存在を検出することは可能であるが、ユーザの視聴位置まで特定することは困難である。
上記事情に鑑みれば、視聴環境において適切な音場を実現するために、ユーザの利便性を低下させることなくユーザの視聴位置を測定する技術が求められていた。そこで、本開示では、ユーザの利便性を低下させることなくユーザの視聴位置を測定することが可能な、新規かつ改良された情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提案する。
本開示によれば、非可聴帯域の測定用音声をスピーカから出力させる音声信号出力部と、マイクロフォンによって収音された前記測定用音声に基づいて、ユーザの視聴位置を算出する視聴位置算出部と、を備える、情報処理装置が提供される。
また、本開示によれば、プロセッサが、非可聴帯域の測定用音声をスピーカから出力させることと、プロセッサが、マイクロフォンによって収音された前記測定用音声に基づいて、ユーザの視聴位置を算出することと、を含む、情報処理方法が提供される。
また、本開示によれば、コンピュータのプロセッサに、非可聴帯域の測定用音声をスピーカから出力させる機能と、マイクロフォンによって収音された前記測定用音声に基づいて、ユーザの視聴位置を算出する機能と、を実現させる、プログラムが提供される。
本開示によれば、非可聴帯域の測定用音声がスピーカから出力され、マイクロフォンによって収音された当該測定用音声によってユーザの視聴位置が算出される。従って、ユーザがコンテンツを視聴中であっても、当該コンテンツの視聴を妨げることなく、ユーザに気付かれないように視聴位置を測定することが可能となる。
以上説明したように本開示によれば、ユーザの利便性を低下させることなくユーザの視聴位置を測定することが可能になる。なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、または本明細書から把握され得る他の効果が奏されてもよい。
第1の実施形態に係る視聴システムの一構成例を示すブロック図である。 測定処理部の機能構成の一例を示すブロック図である。 音楽信号と測定信号との関係について説明するための図である。 視聴位置の測定方法について説明するための説明図である。 音場補正部の機能構成の一例を示すブロック図である。 音場補正パラメータに基づく遅延量の補正について説明するための説明図である。 音場補正パラメータに基づく音量ゲインの補正について説明するための説明図である。 音場補正パラメータに基づく周波数特性の補正について説明するための説明図である。 測定制御部が測定制御信号を出力するタイミングの一例について説明するための説明図である。 第1の実施形態に係る情報処理方法の処理手順の一例を示すフロー図である。 音楽信号、測定信号及び収音信号の関係について説明するための図である。 第2の実施形態に係る視聴システムのうち、第1の実施形態との相違点である測定処理部の一構成例を示すブロック図である。 第2の実施形態に係る情報処理方法の処理手順の一例を示すフロー図である。 第2の実施形態に係る情報処理方法の処理手順の一例を示すフロー図である。 本変形例に係る情報処理方法の処理手順の一例を示すフロー図である。 測定制御信号の出力タイミングが異なる変形例において、当該測定制御信号の出力タイミングの一例について説明するための説明図である。 装置構成が異なる変形例に係る視聴システムの一構成例を示すブロック図である。 本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.本開示に至る背景
2.第1の実施形態
2−1.システムの全体構成
2−2.測定処理部について
2−3.音場補正部について
2−4.測定制御部について
2−5.情報処理方法
3.第2の実施形態
3−1.システムの構成
3−2.情報処理方法
4.変形例
4−1.測定制御信号についての変形例
4−2.装置構成についての変形例
5.ハードウェア構成
6.補足
(1.本開示に至る背景)
まず、本開示の好適な実施形態について説明するに先立ち、本発明者らが本開示に想到した背景について説明する。
映像コンテンツや音楽コンテンツ等を視聴するための視聴システムにおいては、その臨場感や音質の善し悪しが、視聴者(ユーザ)にとって比較的判断しやすい。例えば、ユーザがオーケストラによって演奏された音楽コンテンツを聴くときには、仮想音場の中で個々の楽器の位置がより鮮明に感じられ、本物のオーケストラが眼前で演奏しているかのようなイメージが想起される音場が生成されることが好ましい。また映像コンテンツにおいても映像と音との定位が合っていることが好ましい。なお、本明細書では、「視聴」とは、必ずしもコンテンツを視ること、かつ、聴くことを意味しない。本明細書では、「視聴」とは、あるコンテンツを視ることを意味していてもよいし、あるコンテンツを聴くことを意味していてもよいし、その両方を意味していてもよい。
例えば、視聴システムとして、再生音場の音像が虚音像として最適な場所に定位するように、L信号とR信号からなる2チャンネルステレオ信号の各信号チャンネルの音量バランスを調整して2つのスピーカから出力する2チャンネルステレオ方式や、5.1チャンネルステレオ方式等が存在する。これらの方式が採用されたテレビやオーディオコンポーネントシステムでは、ユーザの視聴位置を想定し、その位置において最適な音場が再現されるように、その設計やパラメータ調整がなされる。しかしながら、ユーザは必ずしも想定された視聴位置でコンテンツを視聴するとは限らず、部屋や家具の配置等によって、視聴位置が想定とは異なる場合もしばしば起こり得る。このような場合には、各スピーカと視聴位置との距離の偏りが大きくなるため、音楽信号の到達時間に差が生じ、音場のバランスが大きく乱れる可能性がある。そのため、音像位置が大きく偏り、広がりの感じられない音になったり、映像と一致しない不自然な音になったりする恐れがある。
そこで、ユーザが実際に視聴システムを使用する環境に応じて、可能な限り本来の(設計時に想定されていた)適切な音場に近い再生音場が作り出されるように、音楽信号に対して音響補正を行う技術が知られている。当該技術では、まず、視聴環境における音響特性が測定され、当該測定結果に基づいて、オーディオセットの音声出力系に対して、音響補正を施すための信号処理のパラメータ(以下、音場補正パラメータとも言う。)が設定される。そして、設定された音場補正パラメータに従って信号処理された音楽信号がスピーカから出力されることによって、視聴環境に適合して補正された良好な音場が再現される訳である。
このような音響補正としては、例えば、スピーカから出力された各チャンネルの音楽信号に対応する音楽が、ユーザの視聴位置にほぼ同時に到達するように、スピーカから視聴位置までの到達時間(すなわち距離)に応じて、各音楽信号に与える遅延時間(遅延量)を補正することが考えられる。ユーザの視聴位置を測定し、スピーカから当該視聴位置までの距離に応じて音響補正を行う技術としては、例えば上述した特許文献1に記載の技術が知られている。
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、複数のスピーカから出力される測定音を、一対のマイクロフォンの位置を変えながら複数の場所で収音し、収音された信号に基づいて、視聴環境における当該一対のマイクロフォンに対するスピーカの座標を算出するものである。従って、ユーザの視聴位置を測定するためには、一旦映像コンテンツ又は音楽コンテンツの再生を中断し、例えばユーザがマイクロフォンを装着した状態で、上記の測定処理を行わなければいけない。また、上記の測定処理が、ユーザが視聴位置を変える度に行われることとなるため、ユーザに大きな負担を強いることとなる。更には、測定音自体がユーザによって不快感を生じさせる可能性がある。また、上記特許文献2には、超音波のエコーパターンを利用してユーザを検出する技術が開示されているが、当該技術では、その原理上、ユーザの存在は検出することができても、ユーザの位置までは特定することができないと考えられる。
本発明者らは、以上の既存の技術に対する検討結果に基づいて、ユーザの利便性を低下させることなくユーザの視聴位置を測定し、適切な音場を実現する技術について鋭意検討した結果、以下に示す本開示の好適な実施形態に想到した。以下では、本発明者らが想到した、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下では、一例として、視聴システムにおいて音楽コンテンツが再生され、ユーザが当該音楽コンテンツを視聴する場合を例に挙げて、本開示の一実施形態について説明する。ただし、本実施形態はかかる例に限定されず、本実施形態に係る視聴システムにおいて再生されるものは映像コンテンツであってもよい。
(2.第1の実施形態)
(2−1.システムの全体構成)
図1を参照して、本開示の第1の実施形態に係る視聴システムの全体構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係る視聴システムの一構成例を示すブロック図である。
図1を参照すると、第1の実施形態に係る視聴システム1は、コンテンツ再生部10と、スピーカ20と、携帯端末30と、音響制御装置40と、を備える。コンテンツ再生部10、スピーカ20、携帯端末30及び音響制御装置40は、互いに有線又は無線で各種の信号を通信可能に接続される。なお、図1では、音楽コンテンツに係る音声信号(以下、音楽信号とも呼称する。)の各構成間での送受信を実線の矢印で図示し、それ以外の各種の信号(例えば指示を示す制御信号やパラメータについての情報等)の各構成間での送受信を破線の矢印で図示している。
コンテンツ再生部10は、例えばCD(Compact Disc)プレイヤー、DVD(Digital Versatile Disc)プレイヤー、Blu−ray(登録商標)プレイヤー等の音楽コンテンツを再生可能な再生機器によって構成され、各種の記録媒体(メディア)に記録されているコンテンツを再生する。コンテンツ再生部10は、記録媒体から、各種の記録方式に従って記録されている音楽信号を読み出すことができる。例えば、メディアがDVDである場合には、音楽信号は、DVD−AudioやAC3(Audio Code 3)等の、DVD規格に準拠した各種の方式に従って圧縮符号化されて記録されている。コンテンツ再生部10は、圧縮符号化された音楽信号を、その対応する方式に従ってデコード処理する機能を有し得る。なお、コンテンツ再生部10が音楽信号を読み出し可能なメディア、及び、当該メディアへの音楽信号の圧縮符号化の方式は、上述した例に限定されず、コンテンツ再生部10は、既存の各種のメディアに各種の圧縮符号化方式で記録されている音楽信号を読み出すことが可能であってよい。なお、コンテンツ再生部10は、メディアに記録されている音楽コンテンツを再生するものに限定されず、例えばネットワークを介して配信される配信コンテンツを再生可能な機器であってもよい。
コンテンツ再生部10は、再生した音楽信号を、後述する音響制御装置40の音場補正部430に送信する。音場補正部430によって、当該音楽信号に対して適切な音場を実現するような音響補正が適宜施され、補正後の音楽信号が、後述する音声信号出力部440によってスピーカ20に対して出力されることとなる。また、コンテンツ再生部10は、再生した音楽信号を、後述する音響制御装置40の測定制御部410に送信してもよい。測定制御部410では、ユーザの視聴位置の測定処理に用いられる当該音楽信号を表すパラメータ(後述する「S」)が抽出され得る。更に、コンテンツ再生部10は、音楽コンテンツの再生状況(例えば、通常再生、一時停止、早送り、巻き戻し等)についての情報を、測定制御部410に送信してもよい。測定制御部410では、当該音楽コンテンツの再生状況についての情報に基づいて、ユーザの視聴位置の測定処理を行うかどうかが判断され得る。
スピーカ20は、後述する音声信号出力部440から出力される音声信号に応じて振動板を振動させることにより、当該音声信号に応じた音声を出力する。以下では、スピーカ20が音声信号の信号に応じた音声を出力することを、簡単のため、便宜的に、音声信号を出力するとも呼称することとする。また、後述するマイクロフォン310についても、同様に、マイクロフォン310が音声信号に応じた音を収音することを、便宜的に、音声信号を収音するとも呼称することとする。ここで、第1の実施形態では、音声信号出力部440は、後述する測定信号を音楽信号に重畳させて、スピーカ20に出力してもよい。このように、スピーカ20によって出力される音声信号は、音楽コンテンツに含まれる音楽信号、及び、測定信号を含んでよい。
携帯端末30は、ユーザによって携帯され得る情報処理装置の一例である。携帯端末30は、例えばスマートフォンやタブレットPC(Personal Computer)等の携帯端末であってもよいし、ユーザが身に付けて使用する、眼鏡型、腕時計型等のいわゆるウェアラブル端末であってもよい。以下では、携帯端末30がスマートフォンである場合を例に挙げて説明を行う。ただし、携帯端末30の種類はかかる例に限定されず、携帯端末30としては、ユーザが日常的に持ち歩くことが想定され得る情報処理装置であれば、各種の公知な情報処理装置が適用され得る。
携帯端末30は、マイクロフォン310と、操作部320と、センサ330と、を備える。なお、簡単のため、図示は省略するが、携帯端末30は、一般的なスマートフォンに搭載され得る各種の構成を更に備えてもよい。例えば、携帯端末30は、各種の信号処理を行い携帯端末30の動作を制御する制御部や、他の装置との間で有線又は無線で各種の情報をやり取りする通信部、携帯端末30において処理される各種の情報を記憶する記憶部等の構成を備えることができる。
マイクロフォン310は、音声を収音し、収音した音声を電気信号に変換する。以下では、マイクロフォン310によって収音された音声に対応する信号のことを収音信号とも呼称する。第1の実施形態では、マイクロフォン310は、スピーカ20によって出力された音声信号を収音する。ここで、第1の実施形態では、携帯端末30は、ユーザによって保持されている又はユーザのから近距離に置かれていることを想定している。従って、携帯端末30のマイクロフォン310は、視聴システム1でのユーザの視聴環境における音声を収音し得るものであり、マイクロフォン310の位置はユーザの視聴位置を示していると言える。
なお、第1の実施形態では、スピーカ20及びマイクロフォン310の少なくともいずれか一方は、複数設けられる。下記(2−2.測定処理部について)で説明するように、第1の実施形態では、スピーカ20とマイクロフォン310との距離が算出され得るため、スピーカ20及びマイクロフォン310のうちの少なくともいずれか一方が複数設けられている場合には、例えば三角法を用いてスピーカ20とマイクロフォン310との相対的な位置を求めることができるからである。スピーカ20とマイクロフォン310との相対的な位置を求めることは、すなわち、スピーカ20に対するユーザの視聴位置を求めることを意味している。例えば、スピーカ20が複数設けられている場合であれば、ユーザは1つの携帯端末30(例えばスマートフォン)を有していればよい。一方、スピーカ20が1つだけ設けられている場合であれば、ユーザは、マイクロフォン310を複数備える携帯端末30を有するか、あるいは、マイクロフォン310をそれぞれ備え、相対位置が既知である(又は相対位置が想定可能な)複数の携帯端末30(例えばスマートフォンとウェアラブル端末)を有していることが好ましい。
操作部320は、携帯端末30に対するユーザの操作入力を受け付ける入力インターフェースである。操作部320は、例えばタッチパネル及びスイッチ等の入力装置によって構成され得る。ユーザは、操作部320を介して、携帯端末30に対して各種の情報を入力したり、各種の処理を行う旨の指示を入力したりすることができる。操作部320は、ユーザによって操作入力が行われた旨の情報を、後述する音響制御装置40の測定制御部410に送信することができる。
センサ330は、例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサ、光センサ及び/又はGPS(Global Positioning System)センサ等の各種のセンサである。携帯端末30は、センサ330の出力値に基づいて、自身の運動状態(姿勢、位置、動き等)を把握することができる。センサ330は、携帯端末30の運動状態を示す情報を、後述する音響制御装置40の測定制御部410に送信することができる。
音響制御装置(本開示の情報処理装置に対応。)40は、視聴システム1でのユーザの視聴環境における音響特性を制御する。音響制御装置40は、例えばいわゆるAVアンプであってよい。音響制御装置40は、非可聴帯域の測定用音声をスピーカ20から出力させるとともに、マイクロフォン310によって収音された当該測定用音声に基づいて、ユーザの視聴位置を算出する。また、音響制御装置40は、算出された視聴位置に基づいて、可聴帯域の音楽信号を補正するための音場補正パラメータを算出し、当該音場補正パラメータを用いて当該音楽信号を補正してもよい。以下では、測定用音声を出力し、ユーザの視聴位置を算出する一連の処理を、ユーザの視聴位置の測定処理又は単に測定処理とも呼称する。なお、測定処理は、音場補正パラメータを算出する処理を含んでもよい。
以下、音響制御装置40の構成について詳細に説明する。音響制御装置40は、その機能として、測定制御部410と、測定処理部420と、音場補正部430と、音声信号出力部440と、音声信号取得部450と、を有する。なお、これらの各機能は、音響制御装置40を構成するCPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Pocessor)等の各種のプロセッサが所定のプログラムに従って動作することによって実現され得る。
測定制御部410は、所定の条件に基づいて、測定処理を行うかどうかを判断し、測定処理を行う旨の制御信号(以下、測定制御信号とも呼称する。)を、測定処理部420に提供する。ここで、測定制御部410は、例えば、携帯端末30の操作部320から送信されるユーザによる携帯端末30への操作入力を示す情報、センサ330から送信される携帯端末30の運動状態を示す情報、及び/又は、コンテンツ再生部10から送信される音楽コンテンツの再生状況についての情報等に基づいて、測定処理を開始するかどうか、すなわち、測定制御信号を出力するかどうかを判断することができる。また、測定制御部410は、測定処理を行う際に用いられる各種のパラメータ(例えば、後述する音楽信号を表す「S」や、マイクロフォン310の特性を表す「M」等)を管理し、測定制御信号とともに測定処理部420に提供することができる。測定制御部410の機能については、下記(2−4.測定制御部について)で詳しく説明する。
測定処理部420は、測定処理に係る各種の処理を行う。測定処理部420は、測定制御部410から提供される測定制御信号に従って測定処理を実行する。具体的には、測定処理部420は、測定制御信号を受け取ると、測定制御部410から提供される各種のパラメータを用いて非可聴帯域の測定用音声に対応する音声信号(以下、測定信号とも呼称する。)を生成し、音声信号出力部440を介してスピーカ20から出力させる。また、測定処理部420は、音声信号取得部450によって取得された、携帯端末30のマイクロフォン310による収音信号に基づいて、ユーザの視聴位置を算出する。更に、測定処理部420は、算出されたユーザの視聴位置に基づいて、音楽信号を補正するための音場補正パラメータを算出してもよい。測定処理部420は、算出した音場補正パラメータを音場補正部430に提供する。測定処理部420の機能については、下記(2−2.測定処理部について)で詳しく説明する。
音場補正部430は、測定処理部420によって算出された音場補正パラメータに基づいて、コンテンツ再生部10から送信される音楽信号を補正する。例えば、音場補正部430は、音場補正パラメータに基づいて、チャンネルバランス補正、位相補正(タイムアライメント)、バーチャルサラウンド補正等の音場に係る各種の補正を、音楽信号に対して行うことができる。音場補正部430は、補正を施した音楽信号を、音声信号出力部440を介してスピーカ20から出力させる。なお、ユーザの視聴位置の測定処理が行われていない場合には、音場補正パラメータが算出されていない又は更新されていないため、音場補正部430は、補正を施さずに又は現在設定されている音場補正パラメータによる補正を施した状態で、音楽信号を音声信号出力部440に提供してもよい。音場補正部430の機能については、下記(2−3.音場補正部について)で詳しく説明する。
音声信号出力部440は、スピーカ20に対して音声信号を出力し、スピーカ20に当該音声信号に対応する音声を出力させる。音声信号出力部440は、音楽信号(音場補正部430によって適宜補正が施されたもの又は補正が施されていないものを含む)、測定処理部420によって生成された測定信号、及び、当該音楽信号と当該測定信号とが重畳された音声信号、のいずれかを、スピーカ20から出力させることができる。例えば、測定処理が行われていない場合には、測定処理部420によって測定信号は生成されていないため、音声信号出力部440は、音楽信号のみをスピーカ20から出力させる。また、例えば、測定処理が行われている場合には、音声信号出力部440は、測定処理部420によって生成された測定信号を音楽信号に重畳させてスピーカ20から出力させる。また、例えば、下記(4−1.測定制御信号についての変形例)で説明するように、音声信号出力部440は、曲と曲との間のように音楽信号が存在しないタイミングで、測定信号のみをスピーカ20から出力させてもよい。このように、音声信号出力部440は、測定処理が行われるタイミングで、音楽信号と重畳させて、又は、測定信号のみで、測定信号をスピーカ20から出力させる。なお、スピーカ20が複数設けられる場合には、音声信号出力部440は、各スピーカ20に対応するチャンネルごとに、互いに異なる音声信号を出力することができる。例えば、音声信号出力部440は、一のチャンネルには測定信号を重畳させた音楽信号を出力し、他のチャンネルには音楽信号のみを出力してもよい。
ここで、第1の実施形態では、測定信号として、非可聴帯域(例えば20(kHz)以上)の音声信号が用いられる。従って、音楽信号と、測定信号とが重畳された音声信号がスピーカ20から出力されたとしても、ユーザは測定信号をほぼ感知することなく、本来視聴する対象である音楽信号を純粋に楽しむことができる。
音声信号取得部450は、スピーカ20から出力され、携帯端末30のマイクロフォン310によって収音された収音信号を取得する。音声信号取得部450は、例えば電波を用いた各種の方式に従った無線通信により、携帯端末30のマイクロフォン310から収音信号を取得することができる。音声信号取得部450は、取得した収音信号を測定処理部420に提供する。測定処理部420では、当該収音信号に基づいて、ユーザの視聴位置が算出されることとなる。なお、音声信号取得部450は、マイクロフォン310による収音信号のレベル(音量レベル)に応じて、適宜ゲインを調整し、収音信号を適当な大きさに増幅してもよい。当該増幅処理は、マイクロフォン310に搭載され得るアンプによって音声信号を収音する際に行われてもよいし、音声信号取得部450によって収音信号を取得した後に行われてもよい。
ここで、上述したように、音声信号出力部440は、測定処理が行われるタイミングで測定信号をスピーカ20から出力させる。従って、音声信号取得部450は常時駆動する必要はなく、音声信号出力部440の動作に同期して、音声信号出力部440が測定信号を出力している間だけ収音信号を取得してもよい。
以上、図1を参照して、第1の実施形態に係る視聴システム1の全体構成について説明した。次に、視聴システム1の要部である、測定制御部410、測定処理部420及び音場補正部430の機能について詳しく説明する。
(2−2.測定処理部について)
図2−図4を参照して、測定処理部420の機能について説明する。図2は、測定処理部420の機能構成の一例を示すブロック図である。図3は、音楽信号と測定信号との関係について説明するための図である。図4は、視聴位置の測定方法について説明するための説明図である。
図2を参照すると、測定処理部420は、その機能として、測定信号生成部421と、視聴位置算出部422と、音場補正パラメータ算出部423と、を有する。なお、図2では、測定処理部420の機能構成を図示するとともに、図1に示す視聴システム1の構成の中で、測定処理部420の各機能と関連する構成を抜き出し、併せて図示している。
(測定信号生成部)
測定信号生成部421は、測定制御部410から提供される測定制御信号に従って、測定信号を生成する。測定信号H(n)としては、例えば、下記数式(1)で示す信号が好適に適用され得る。ここで、T(n)はTSP(Time Streched pluse)信号(下記数式(2))であり、W(n)はバンドパスフィルタ特性(下記数式(3))である。また、Aは測定用音声の音量レベル、fはサンプリング周波数、fは測定信号の最低周波数(下限周波数)、Nは測定信号のサンプル数である。なお、数式(2)に示すT(n)は、いわゆる「最適化されたTSP(OATSP)信号」として音響系の測定の分野において広く知られるものであるため、その詳細な説明は省略する。
Figure 2015206989
Figure 2015206989
Figure 2015206989
図3では、音楽信号及び測定信号の強度の周波数特性を模式的に示している。第1の実施形態では、下限周波数fは非可聴帯域(20(kHz)〜)に設定され得る。従って、上記数式(3)に示すバンドパスフィルタ特性W(n)は、非可聴帯域の音声信号を通過させる特性を有することとなるため、測定信号は非可聴帯域の信号となり得る。よって、音楽コンテンツに係る可聴帯域の音楽信号に対して測定信号を重畳させたとしても、ユーザに対する聴覚的な影響は極小さい。そのため、ユーザが音楽コンテンツを視聴している間に、視聴を中断することなく、測定処理を実行することが可能となる。
なお、第1の実施形態では、スピーカ20を含む音声信号を出力するシステム(以下、音声出力システムとも呼称する。)の特性や、マイクロフォン310を含む音声を収音するシステム(以下、収音システムとも呼称する。)の特性が既知であることを前提にしている。従って、測定信号の周波数帯域が、スピーカ20の再生帯域及び/又はマイクロフォン310の収音帯域に対応するように、下限周波数f(すなわち、バンドパスフィルタ特性W(n))が設定され得る。これにより、収音信号のうち測定信号に対応する成分に十分な信号レベル(例えばS/N比)が確保され得ることとなり、下記の視聴位置算出部422における視聴位置の算出処理の精度を向上させることができる。
測定信号生成部421によって生成された測定信号は、音声信号出力部440を介してスピーカ20から出力される。スピーカ20から放射された音は、視聴空間を伝わり、マイクロフォン310により収音される。マイクロフォン310によって収音された収音信号は、音声信号取得部450によって取得され、視聴位置算出部422に入力される。また、測定信号生成部421は、生成した測定信号を視聴位置算出部422にも提供する。
(視聴位置算出部)
視聴位置算出部422は、スピーカ20から出力され、マイクロフォン310によって収音された収音信号に基づいて、ユーザの視聴位置を算出する。図4を参照して、視聴位置算出部422によって実行され得る、ユーザの視聴位置の算出方法の一例について説明する。図4では、一例として、複数のスピーカ20から出力された測定信号が、1つのマイクロフォン310によって収音される場合について図示している。
マイクロフォン310によって収音される音Y(n)には、音楽信号、当該音楽信号に重畳された測定信号、及び、環境音等のノイズが含まれる。今、i番目のスピーカ20からj番目のマイクロフォン310までの伝達関数をGijとすると、i’番目のスピーカ20が出力する音楽信号に測定信号が重畳されている場合にj番目のマイクロフォン310によって収音される音に対応する収音信号Yi’j(n)は、下記数式(4)で表現される。ここで、「M」はマイクロフォン310の特性を表すパラメータであり、「S」はi番目のスピーカ20から出力される音楽信号の特性を表すパラメータである。また、「Noise」はj番目のマイクロフォン310によって収音される環境音等のノイズ成分を表す。
Figure 2015206989
ここで、通常、ノイズ及び音楽信号は非定常的であるため、収音信号を複数回取得し、その結果に対して同期加算平均を行うことにより、その影響を小さくすることができる。すなわち、下記数式(5)に示す関係性が成立し得る。ただし、ここでは、伝達関数Gijは測定中不変であると仮定している。
Figure 2015206989
また、上記の同期加算平均とともに、又は同期加算平均に代えて、収音信号Yi’j(n)に対してバンドパスフィルタ特性W(n)を作用させることによっても、測定信号に対応する帯域以外の周波数帯域の信号を除去することができる。従って、視聴位置算出部422は、収音信号Yi’j(n)に対して、同期加算平均を行う、及び/又は、バンドパスフィルタ特性W(n)を作用させることにより、収音信号Yi’j(n)のうち、測定信号に対応する成分を抽出することができる。例えば、同期加算平均を行うとともにバンドパスフィルタ特性W(n)を作用させた場合には、収音信号Yi’j(n)のうち、測定信号に対応する成分は、下記数式(6)のように表現できる。
Figure 2015206989
なお、上記数式(6)では、収音信号Yi’j(n)に対して、同期加算平均を行うとともにバンドパスフィルタ特性W(n)を作用させた場合について示しているが、いずれか一方のみが行われることにより測定信号に対応する成分が抽出されてもよい。
ここで、上述したように、第1の実施形態では、収音システムの特性が既知であることを前提としているため、マイクロフォン310の特性Mは設計値として既知であり得る。従って、マイクロフォン310の逆特性M−1も既知のパラメータとして予め取得され得る。また、測定信号H(n)も、上記数式(1)に示すように、視聴システム1の設計者等によって設定され得る既知の関数であるため、その周波数f以上の帯域における逆特性H−1も既知のパラメータであり得る。従って、視聴位置算出部422は、上記数式(6)で得られた結果に対してマイクロフォン310の逆特性M−1及び測定信号H(n)の周波数f以上の帯域における逆特性H−1を作用させることにより、周波数f以上の帯域における伝達関数Gi’jを、下記数式(7)のように求めることができる。
Figure 2015206989
上記数式(7)を成分表示すれば、伝達関数Gi’jの成分gi’jは、下記数式(8)のように表現され得る。
Figure 2015206989
なお、上記では、周波数領域における関数及び信号を用いて上記数式(7)及び上記数式(8)を導出したが、時間領域の関数及び信号においても、同様に伝達関数を導出することが可能である。また、マイクロフォン310の特性Mが未知の場合には、当該Mが時間的に大きな後れを有する特性でない限りは、マイクロフォン310の逆特性を畳み込まずに上記数式(7)及び上記数式(8)に示す信号を算出してもよい。マイクロフォン310の特性Mが時間的に大きな後れを有しない場合には、マイクロフォン310の特性Mが、スピーカ20からマイクロフォン310まで測定用音声が到達するまでの時間(後述する到達時間ΔTi’j)に与える影響は小さいと考えられるからである。
ところで、通常の視聴環境においては、直接音(又はマイクロフォン310に最初に到達する音)よりも反射音(又はマイクロフォン310に2番目以降に到達する音)の方が音量レベルが大きいことは極まれである。従って、w(n)*gi’jが最大振幅を与える時刻が、マイクロフォン310への直接音の到達時刻であると考えることができる。また、測定信号が測定信号生成部421から出力されてから、スピーカ20から当該測定信号が出力されるまでの時間、及び、測定信号がマイクロフォン310に到達してから視聴位置算出部422に入力されるまでの遅延時間の和を「SystemDelay」とすると、当該「SystemDelay」の具体的な値は、設計値として既知であり得る。従って、視聴位置算出部422は、スピーカ20から測定信号が出力されてからマイクロフォン310に直接音が到達するまでの時間ΔTi’j(到達時間ΔTi’j)を、下記数式(9)を計算することにより求めることができる。
Figure 2015206989
従って、視聴位置算出部422は、測定信号を出力したスピーカ20とマイクロフォン310との距離li’jを、音速cを用いて下記数式(10)によって算出することができる。
Figure 2015206989
スピーカ20が複数存在し、当該スピーカ20間の距離が既知である場合、又は、マイクロフォン310が複数存在し、当該マイクロフォン310間の距離が既知である場合には、例えば三角法を用いることにより、スピーカ20とマイクロフォン310の相対位置を求めることができる。例えば、スピーカ20が複数存在する場合であれば、複数のスピーカ20のそれぞれから順次測定信号を出力し、マイクロフォン310によって収音された収音信号に対して、以上説明した一連の計算を順次行うことにより、各スピーカ20からマイクロフォン310の距離li’jがそれぞれ算出され得るため、算出されたそれらの距離li’jを用いて、スピーカ20とマイクロフォン310との相対位置を求めることができる。
第1の実施形態では、携帯端末30をユーザが保持している又は携帯端末30がユーザの近くに置かれていることを想定しているため、マイクロフォン310の位置は、すなわち、ユーザの視聴位置を表すものであると言える。視聴位置算出部422は、スピーカ20から出力され、マイクロフォン310によって収音された収音信号に対して、以上説明した一連の計算を行うことにより、視聴環境におけるユーザの視聴位置を算出することができる。視聴位置算出部422は、算出したユーザの視聴位置についての情報を、音場補正パラメータ算出部423に提供する。なお、ユーザの視聴位置についての情報には、スピーカ20に対するユーザ(又はマイクロフォン310)の相対位置についての情報、スピーカ20からユーザ(又はマイクロフォン310)までの距離li’jについての情報、及び/又は、スピーカ20からユーザ(又はマイクロフォン310)までの測定信号の到達時間ΔTi’jについての情報が含まれていてよい。
(音場補正パラメータ算出部)
音場補正パラメータ算出部423は、視聴位置算出部422から提供された、ユーザの視聴位置についての情報に基づいて、音楽信号を補正するための音場補正パラメータを算出する。例えば、音場補正パラメータ算出部423は、音場補正パラメータとして、各チャンネルの遅延量、音量ゲイン、周波数特性、バーチャルサラウンド係数等を算出することができる。
例えば、音場補正パラメータ算出部423は、i番目のチャンネルの遅延量dlyを、到達時間ΔTijを用いて、下記数式(11)によって算出することができる。ここで、j’は、視聴システム1の設計者又はユーザ等によって選択されたマイクロフォン310を示すインデックスである。
Figure 2015206989
また、スピーカ20とユーザとの距離が遠くなるほど、ユーザによって感知される音楽信号の音量は比例的に低下すると考えられる。従って、例えば、音場補正パラメータ算出部423は、各チャンネルの音量ゲインgainを、距離lijを用いて、下記数式(12)によって算出することができる。なお、Cは定数である。
Figure 2015206989
なお、上記数式(11)及び数式(12)に示す音場補正パラメータは、第1の実施形態において算出され得る音場補正パラメータの一例であり、音場補正パラメータ算出部423は、ユーザの視聴位置に基づいて他の各種の音場補正パラメータを算出してもよい。また、遅延量dly及び音量ゲインgainの具体的な算出方法も、上記数式(11)及び数式(12)に示す例に限定されず、他の方法によってこれらの音場補正パラメータが算出されてもよい。
音場補正パラメータ算出部423は、算出した音場補正パラメータを、音場補正部430に提供する。ここで、音場補正パラメータ算出部423は、現在音場補正部430に対して設定されている音場補正パラメータ(すなわち、前回の測定処理において音場補正パラメータ算出部423によって算出された音場補正パラメータ)と、今回の測定処理において算出された音場補正パラメータとが、十分変化している場合にのみ、音場補正パラメータを音場補正部430に提供し、設定されている音場補正パラメータを更新してもよい。例えば、音場補正パラメータ算出部423は、前回の測定処理時の音場補正パラメータと、今回の測定処理時の音場補正パラメータとの差分が所定のしきい値よりも大きい場合に、音場補正パラメータを更新してもよい。あるいは、音場補正パラメータ算出部423は、視聴位置算出部422によって算出されたユーザの視聴位置の変化量に基づいて、音場補正パラメータを更新するかどうかを判断してもよい。例えば、音場補正パラメータ算出部423は、ユーザの視聴位置が十分変化している場合に、音場補正パラメータを更新することができる。音場補正パラメータをあまりにも頻繁に変更すると、音楽信号がふらついてしまい、かえって音質を損ね、ユーザに違和感を与える可能性がある。従って、このように、音場補正パラメータ及び/又はユーザの視聴位置の変化が小さい場合には、音場補正パラメータを更新しないようにすることにより、ユーザに対してより安定的に音楽コンテンツを提供することが可能となる。
ここで、本明細書では、各種の物理量(例えば上述した音場補正パラメータ等)としきい値との大小関係を説明するために、「以下」や「以上」等の表現を用いているが、これらの表現はあくまで例示であって、物理量としきい値とを比較する際の境界条件を限定するものではない。第1の実施形態及び後述する第2の実施形態では、各種の物理量としきい値とを比較する際の境界条件は任意に設定可能であってよい。本明細書における「以下」との表現は「よりも小さい」との表現と互いに読み替えることが可能であるし、「以上」との表現は「よりも大きい」との表現と互いに読み替えることが可能である。
以上、図2−図4を参照して、測定処理部420の機能について説明した。以上説明したように、本実施形態によれば、非可聴帯域の測定用音声を用いて、ユーザの視聴位置が測定される。非可聴帯域の測定用音声を音楽信号に重畳させたとしても、当該測定用音声がユーザの視聴に与える影響は極小さいため、ユーザが音楽コンテンツを視聴している間に、ユーザが気付かないうちに視聴位置の測定を行うことが可能となる。従って、ユーザの利便性を低下させることなく、ユーザの視聴位置を測定することができる。
(2−3.音場補正部について)
図5−図8を参照して、音場補正部430の機能について説明する。図5は、音場補正部430の機能構成の一例を示すブロック図である。図6は、音場補正パラメータに基づく遅延量の補正について説明するための説明図である。図7は、音場補正パラメータに基づく音量ゲインの補正について説明するための説明図である。図8は、音場補正パラメータに基づく周波数特性の補正について説明するための説明図である。
音場補正部430は、音場補正パラメータ算出部423によって算出された音場補正パラメータに基づいて、音楽信号に対して各種の補正を施すことにより、視聴環境の音場を補正する。音場の補正としては、例えば、遅延量の補正(タイムアライメント)、音量バランスの補正、及び/又は周波数特性(例えば頭部伝達関数、スピーカ指向特性等)の補正等が挙げられる。音場補正パラメータ算出部423によって算出される音場補正パラメータは、これら、遅延量、音量バランス、周波数特性の制御値の目標となる値(Trgt)であり得る。音場補正部430が行う補正処理では、これらの特性に係る制御値が、現在の制御値(Curr)から、音場補正パラメータに基づく目標とすべき新しい制御値(Trgt)に変更される。
ここで、これらの制御値を急激に変更してしまうと、音楽信号の波形が不連続となり、ユーザにとってノイズとして知覚されてしまう可能性がある。従って、第1の実施形態では、現在の制御値(Curr)から、音場補正パラメータに基づく新しい制御値(Trgt)に、滑らかに移行するように、これらの制御値を変更する。
図5は、音場補正部430の機能構成の一例を示している。図5を参照すると、音場補正部430は、その機能として、遅延補正部431と、音量補正部432と、周波数補正部433と、を有する。なお、図5では、音場補正部430の機能構成を図示するとともに、図1に示す視聴システム1の構成の中で、音場補正部430の各機能と関連する構成を抜き出し、併せて図示している。
遅延補正部431は、音場補正パラメータに基づいて、音楽信号に対して遅延量の補正を行う。図6には、遅延補正部431を構成し得る回路の一例を概略的に図示している。図6に示すように、遅延補正部431は、例えば、遅延バッファによって現在の遅延量(Curr)に基づいて遅延された音楽信号と、遅延バッファによって新規の遅延量(Trgt)に基づいて遅延された音楽信号と、に対して、それぞれ可変アンプが設けられ、現在の遅延量(Curr)に基づいて遅延され所定の倍率で増幅又は減衰された音楽信号と、新規の遅延量(Trgt)に基づいて遅延され所定の倍率で増幅又は減衰された音楽信号とが、加算回路によって加算されるように構成され得る。遅延補正部431では、可変アンプの制御値を適宜調整することにより、現在の遅延量(Curr)に基づいて遅延された音楽信号と、新規の遅延量(Trgt)に基づいて遅延された音楽信号とを、所定のミックス比で混合することが可能となる。例えば、遅延補正部431は、現在の遅延量(Curr)に基づいて遅延された音楽信号と、新規の遅延量(Trgt)に基づいて遅延された音楽信号とのミックス比を徐々に変更させながら、音楽信号における遅延量を徐々に現在の遅延量(Curr)から新規の遅延量(Trgt)に移行させる。
音量補正部432は、音場補正パラメータに基づいて、音楽信号に対して音量ゲインの補正を行う。図7(a)には、音量補正部432を構成し得る回路の一例を概略的に図示している。図7(a)に示すように、音量補正部432は、例えば、可変アンプによって構成され得る。また、図7(b)には、音量補正部432において行われ得る可変ゲインの制御値の変更方法の一例を概略的に図示している。図7(b)に示すように、音量補正部432では、現在のゲイン(Curr)から新規のゲイン(Trgt)に、ゲインが徐々に移行するように、可変アンプの設定値が変更される。これにより、音楽信号のゲインが、徐々に新規のゲイン(Trgt)に移行することとなる。
周波数補正部433は、音場補正パラメータに基づいて、音楽信号に対して周波数特性(例えば頭部伝達関数、スピーカ20の指向特性等)の補正を行う。図8(a)には、周波数補正部433を構成し得る回路の一例を概略的に図示している。図8(a)に示すように、周波数補正部433は、例えば、現在の周波数特性(Curr)に基づくフィルタ処理を行うフィルタ(Filter Current)を通過した音楽信号と、新規の周波数特性(Trgt)に基づくフィルタ処理を行うフィルタ(Filter Target)を通過した音楽信号と、に対して、それぞれ可変アンプが設けられ、現在の周波数特性(Curr)に基づくフィルタ処理が行われ所定の倍率で増幅又は減衰された音楽信号と、新規の周波数特性(Trgt)に基づくフィルタ処理が行われ所定の倍率で増幅又は減衰された音楽信号とが、加算回路によって加算されるように構成され得る。また、図8(b)には、周波数補正部433において行われ得る可変アンプの制御値の変更方法の一例を概略的に図示している。周波数補正部433では、可変アンプの制御値を適宜調整することにより、現在の周波数特性(Curr)に基づくフィルタ処理が行われた音楽信号と、新規の周波数特性(Trgt)に基づくフィルタ処理が行われた音楽信号とを、所定のミックス比で混合することが可能となる。図8(b)に示すように、周波数補正部433では、現在の周波数特性(Curr)に基づくフィルタ処理が行われた音楽信号の比率を徐々に下げ、新規の周波数特性(Trgt)に基づくフィルタ処理が行われた音楽信号の比率を徐々に上げるように、可変アンプの設定値が変更される。これにより、音楽信号の周波数特性が、徐々に新規の周波数特性(Trgt)に移行することとなる。
以上、図5−図8を参照して、音場補正部430の機能について説明した。以上説明したように、第1の実施形態によれば、非可聴帯域の測定用音声を用いて測定されたユーザの視聴位置に基づいて、音楽信号が補正される。音場補正部430によって補正された音楽信号は、音声信号出力部440を介してスピーカ20から出力される。従って、ユーザの視聴位置に応じたより適切な音場が形成されることとなり、ユーザにとってより臨場感があり、より優れた音質での音楽コンテンツの再生が実現されることとなる。
なお、音場補正部430は、上記で説明した遅延量の補正、ゲインの補正及び周波数特性の補正をすべて行わなくてもよく、これらの補正のうちのいずれかを行ってもよい。例えば、音場補正部430は、音場補正パラメータ算出部423によって更新された音場補正パラメータに対してのみ、以上説明したような徐々に音場補正パラメータを変化させる処理を行い、その他の特性については現在の音場補正パラメータを用いた音楽信号の補正を継続してもよい。また、音場補正部430は、音楽信号に対して、以上説明した遅延量の補正、ゲインの補正及び周波数特性の補正以外の他の特性についての補正を施してもよい。例えば、視聴システム1がいわゆるサラウンド3D機能を有し、複数のスピーカ20によって3次元的にユーザに音声を提供可能に構成されている場合であれば、音場補正部430は、ユーザの視聴位置に応じて、当該サラウンド3D機能がより適切に機能し得るように音楽信号を適宜補正してもよい。
(2−4.測定制御部について)
測定制御部410の機能について説明する。測定制御部410は、所定の条件に基づいて、ユーザの視聴位置の測定処理を開始するかどうかを判断し、測定処理を開始する場合に、測定制御信号を測定処理部420に提供する。また、測定制御部410は、測定処理部420が測定処理を行う際に使用する各種のパラメータ(上述した、音楽信号の特性を表す「S」や、マイクロフォン310の特性を表す「M」等)を、測定制御信号とともに測定処理部420に提供することができる。
例えば、測定制御部410は、ユーザの視聴位置を常に測定し続けるように、又は、所定のタイミングで定期的に測定するように、測定制御信号を出力することができる。しかしながら、ユーザの視聴位置が大きく変化しない場合には、音場補正パラメータも大きく変化しない可能性が高いため、ユーザの視聴位置を再度測定する必要性は低いと考えられる。また、第1の実施形態のように、携帯端末30のマイクロフォン310によって測定信号を収音する場合には、ユーザが携帯端末30の近くにいることが確実に想定されるタイミングで測定処理が行われることが望ましい。そこで、測定制御部410は、携帯端末30の運動状態を示す情報に基づいて、測定制御信号を出力してもよい。
例えば、測定制御部410は、携帯端末30のセンサ330から送信される携帯端末30の運動状態を示す各種の情報、例えば動きや姿勢、位置等についての情報に基づいて、携帯端末30の運動状態が大きく変化した場合に、測定制御信号を出力することができる。携帯端末30の位置や姿勢が大きく変化している場合には、ユーザが携帯端末30を手に持って移動していることが想定されるため、ユーザの視聴位置が変化する可能性が高いと考えられるからである。例えば、測定制御部410は、センサ330の出力値が所定のしきい値を超えた場合に、携帯端末30の運動状態が大きく変化したと判断し、測定制御信号を出力することができる。
ただし、携帯端末30が移動している最中や姿勢が変化している最中に測定が行われると、携帯端末30の運動状態の変化に伴うノイズが発生してしまい、測定処理の精度が低下する可能性がある。従って、携帯端末30の運動状態の変化が検出されてから所定の時間が経過した後に、測定制御信号が出力されてもよい。図9は、このような、測定制御部410が測定制御信号を出力するタイミングの一例について説明するための説明図である。例えば、図9に示すように、携帯端末30のセンサ330の出力が所定のしきい値(th)を超え、再度thよりも小さくなってから所定の時間Tが経過したタイミングで、測定制御部410が測定制御信号を出力してもよい。
また、例えば、測定制御部410は、携帯端末30の操作部320から送信される、ユーザによる携帯端末30に対する操作入力を示す情報に基づいて、測定制御信号を出力することができる。携帯端末30に対する操作入力が行われている場合には、ユーザが携帯端末30の近くに存在することが想定されるからである。
更に、測定制御部410は、コンテンツ再生部10から送信される音楽コンテンツの再生状況についての情報に基づいて測定制御信号を出力してもよい。例えば、測定制御部410は、コンテンツ再生部10における再生状態が変化した場合(すなわち、コンテンツ再生部10において所定のイベント(例えば、通常再生、一時停止、早送り、巻き戻し等)が発生した場合)に、測定制御信号を出力することができる。コンテンツ再生部10における再生状態が変化した場合には、ユーザが積極的に音楽コンテンツの視聴を行っており(又は行おうとしており)、ユーザが視聴環境に存在することが想定されるため、測定処理が行われ、ユーザの視聴位置に応じた音楽信号の補正が実行され得る。
以上、測定制御部410の機能について説明した。以上説明したように、第1の実施形態によれば、例えばユーザが携帯端末30の近くにいることが想定される場合や、ユーザが移動して視聴位置が変化した場合、ユーザが積極的に音楽コンテンツを視聴しようとしている意思が示された場合等に、好適に測定制御信号が出力され、測定処理が実行される。従って、より適切なタイミングでユーザの視聴位置の測定及び当該視聴位置に基づく音楽信号の補正が行われることとなり、ユーザの利便性をより向上させることができる。
以上、第1の実施形態に係る視聴システム1の構成について説明した。以上説明したように、第1の実施形態によれば、非可聴帯域の測定信号を用いてユーザの視聴位置が測定される。通常の可聴帯域の音楽信号に非可聴帯域の測定信号を重畳させても、ユーザは当該測定信号に気付き難いため、ユーザが音楽コンテンツを視聴している最中でも、ユーザに気付かれることなく視聴位置を測定することができる。よって、ユーザによる音楽コンテンツの視聴を中断することなく、ユーザの視聴位置に合わせた適切な音場を実現することができる。また、ユーザの視聴位置が変化した場合であっても、ユーザの移動に自動的に追従して、ユーザの視聴位置が再び測定される。従って、常に適切な音場の再生が可能となる。
なお、上記では、視聴システム1において再生されるコンテンツが音楽コンテンツである場合について説明したが、第1の実施形態はかかる例に限定されない。例えば、視聴システム1では、映像コンテンツが再生されてもよい。視聴システム1において映像コンテンツが再生される場合には、例えば、測定されたユーザの視聴位置に応じて、局所的な映像コンテンツの再生や、局所的な視覚情報の提示等が実行されてよい。
また、第1の実施形態では、元来視聴システム1に備えられ得るスピーカ20やAVアンプ(すなわち、音響制御装置40)、ユーザが日常的に使用し得るスマートフォン(すなわち、携帯端末30)等の構成を用いて、測定処理及び当該測定処理の結果に基づく音場の補正処理が行われ得る。このように、追加的なハードウェア構成を設けられないことにより、より低コストで、測定処理及び音場の補正処理が実現され得る。
また、上記では、視聴システム1において測定信号を収音するマイクロフォン310が携帯端末30に搭載される場合について説明したが、第1の実施形態はかかる例に限定されない。例えば、測定処理用のマイクロフォンが別途用意され、当該マイクロフォンがユーザの身体に取り付けられてもよい。ユーザの身体に取り付けられたマイクロフォンによる収音信号に基づいてユーザの視聴位置が測定されることにより、より確実にユーザの視聴位置を測定することが可能となる。なお、当該マイクロフォンは、ユーザの耳の近傍に取り付けられることがより好ましい。マイクロフォンがユーザの耳の近傍に取り付けられることにより、ユーザの耳の位置が高精度に測定され得るため、実際に音楽信号を聴取するユーザの耳の位置に応じた、より精度の高い音場補正を行うことが可能となる。
(2−5.情報処理方法)
図10を参照して、以上説明した第1の実施形態に係る視聴システム1において実行され得る情報処理方法の処理手順について説明する。図10は、第1の実施形態に係る情報処理方法の処理手順の一例を示すフロー図である。
図10を参照すると、第1の実施形態に係る情報処理方法では、まず、所定の条件に基づいて、測定処理を開始するかどうかが判断される(ステップS101)。ステップS101に示す処理は、例えば上述した図1に示す測定制御部410によって実行される処理に対応している。ステップS101では、例えば、ユーザによる携帯端末30に対する操作入力を示す情報、携帯端末30の運動状態を示す情報、及び/又は、コンテンツ再生部10における音楽コンテンツの再生状況についての情報等に基づいて、測定処理を開始するかどうかの判断がなされる。ステップS101で測定処理を開始しないと判断された場合には、測定処理は実行されず、ステップS101に示す判断処理が所定のタイミングで繰り返し実行される。
一方、ステップS101で測定処理を開始すると判断された場合には、測定制御部410から測定処理部420に対して測定制御信号が出力され、ステップS103に進む。ステップS103では、測定信号が生成される。ステップS103に示す処理は、例えば上述した図2に示す測定処理部420の測定信号生成部421によって実行される処理に対応している。
次に、生成された測定信号が、コンテンツ再生部10によって再生されている音楽コンテンツの音楽信号に重畳されて、スピーカ20から出力される(ステップS105)。ステップS105に示す処理は、例えば上述した図1に示す音声信号出力部440によって実行される処理に対応している。
次に、携帯端末30のマイクロフォン310によって収音された、スピーカ20から出力された測定信号が重畳された音楽信号に対応する収音信号が取得される(ステップS107)。そして、収音信号の音量レベルが適切かどうかが判断される(ステップS109)。収音信号のレベルが適切でないと判断された場合には、ゲインが適切な値に調整され(ステップS111)、ステップS105に戻り、再度測定信号が出力され、収音信号が取得される。一方、収音信号のレベルが適切であると判断された場合には、ステップS113に進む。なお、ステップS107〜S111に示す処理は、例えば上述した図1に示す音声信号取得部450によって実行される処理に対応している。
ステップS113では、取得された収音信号に基づいて、ユーザの視聴位置が算出される。ステップS113に示す処理は、例えば上述した図2に示す測定処理部420の視聴位置算出部422によって実行される処理に対応している。ステップS113では、例えば、上述した数式(6)〜数式(10)に示すような一連の計算処理が行われることにより、ユーザの視聴位置が算出され得る。
次に、算出されたユーザの視聴位置に基づいて、音場補正パラメータが算出される(ステップS115)。ステップS115に示す処理は、例えば上述した図2に示す測定処理部420の音場補正パラメータ算出部423によって実行される処理に対応している。ステップS115では、例えば、音楽信号に対する、遅延量、音量バランス、及び/又は周波数特性等を補正するための音場補正パラメータが算出され得る。
次に、算出された音場補正パラメータに基づいて、音楽信号が補正される(ステップS117)。ステップS117に示す処理は、例えば上述した図1及び図5に示す音場補正部430によって実行される処理に対応している。ステップS117では、例えば、音楽信号における遅延量、音量バランス、及び/又は周波数特性等の特性が、現在の制御値(Curr)から、ステップS115で算出された目標とすべき制御値(Trgt)に徐々に移行するように、音楽信号に対する補正が行われ得る。
そして、補正された音楽信号がスピーカ20から出力される(ステップS119)。ステップS119に示す処理は、例えば上述した図1に示す音声信号出力部440によって実行される処理に対応している。これにより、ユーザの視聴位置に応じた補正が施された音楽信号がスピーカ20からユーザに対して出力されることになり、ユーザの視聴位置を考慮したより適切な音場が実現されることとなる。
以上、第1の実施形態に係る情報処理方法について説明した。
(3.第2の実施形態)
次に、本開示の第2の実施形態について説明する。以上説明した第1の実施形態では、スピーカ20を含む音声信号を出力するシステム(音声出力システム)の特性や、マイクロフォン310を含む音声を収音するシステム(収音システム)の特性が既知であることを前提にして、視聴位置を測定していた。
ここで、音声出力システム及び収音システムの特性のうち少なくとも一つが未知である場合について考える。この場合、測定信号の周波数帯域と、スピーカ20の再生帯域及び/又はマイクロフォン310の収音帯域とが対応しておらず、収音された測定信号(すなわち、収音信号)の信号レベル(例えばS/N比)が小さくなり、十分な測定精度が得られない可能性がある。
図11に、収音信号の信号レベルが小さい場合における、音楽信号、測定信号及び収音信号の強度の周波数特性を模式的に示す。図11は、音楽信号、測定信号及び収音信号の関係について説明するための図である。図11に示すように、第1の実施形態と同様に、第2の実施形態においても、音楽信号は可聴帯域の音声信号であり、測定信号は下限周波数fよりも大きい周波数帯域を有する非可聴帯域の音声信号として設定され得る。第1の実施形態では、音声出力システム及び収音システムの特性が既知であったため、下限周波数fを、測定信号が非可聴帯域の音声信号となり、かつ、スピーカ20の再生帯域及びマイクロフォン310の収音帯域に対応するように、適切に設定することが可能であった。しかしながら、第2の実施形態では、音声出力システム及び収音システムの特性のうち少なくとも一つが未知であるため、測定信号の周波数帯域がスピーカ20の再生帯域及びマイクロフォン310の収音帯域に対応するように、下限周波数fを適切に設定することが困難となる。従って、第2の実施形態では、図11に示すように、収音信号に含まれる非可聴帯域の成分(すなわち、収音信号のうち測定信号に対応する成分)の強度が小さくなり、そのS/N比も小さくなってしまう恐れがある。
第2の実施形態では、音声出力システム及び収音システムの特性のうち少なくとも一つが未知である場合であっても、ユーザの視聴位置を高精度に測定可能な視聴システムが提供される。
(3−1.システムの構成)
図12を参照して、本開示の第2の実施形態に係る視聴システムの構成について説明する。ここで、第2の実施形態に係る視聴システムは、図1に示す視聴システム1の構成に対して、測定処理部420の機能が変更されたものに対応する。従って、以下の第2の実施形態に係る視聴システムついての説明では、第1の実施形態との相違点である測定処理部の機能について主に説明を行うこととし、第1の実施形態と重複する事項についてはその詳細な説明を省略する。
図12は、第2の実施形態に係る視聴システムのうち、第1の実施形態との相違点である測定処理部の一構成例を示すブロック図である。図12を参照すると、第2の実施形態に係る測定処理部420aは、その機能として、測定信号生成部421aと、視聴位置算出部422と、音場補正パラメータ算出部423と、を有する。なお、図12では、測定処理部420aの機能構成を図示するとともに、第2の実施形態に係る視聴システム(測定処理部420が測定処理部420aに変更されている以外は、図1に示す第1の実施形態に係る視聴システム1と同様の構成を備えている。)の構成の中で、測定処理部420aの各機能と関連する構成を抜き出し、併せて図示している。また、視聴位置算出部422及び音場補正パラメータ算出部423の機能については、第1の実施形態と同様であるため、その詳細な説明は省略する。なお、測定処理部420aにおける各機能は、当該測定処理部420aを構成する各種のプロセッサが所定のプログラムに従って動作することによって実現され得る。
測定信号生成部421aは、測定制御部410から提供される測定制御信号に従って、測定信号を生成する。なお、測定信号生成部421aが生成する測定信号は、第1の実施形態と同様に、例えば上記数式(1)〜数式(3)に示す測定信号H(n)であってよい。ただし、第2の実施形態では、測定信号生成部421aは、音声信号取得部450によって取得される収音信号の非可聴帯域の信号レベル(S/N比)(すなわち、収音信号のうち測定信号に対応する成分の信号レベル(S/N比))に応じて、測定信号H(n)の特性を調整する機能を有する。具体的には、測定信号生成部421aは、収音信号の非可聴帯域の信号レベルが適切であるかどうかを判断し、当該判断結果に応じて、測定信号H(n)の音量レベル及び/又は周波数帯域を調整することができる。周波数帯域の調整は、例えば上記数式(3)に示す下限周波数fを調整することによって実現され得る。測定信号生成部421aによって音量レベル及び/又は周波数帯域が調整された測定信号H(n)が、音声信号出力部440を介してスピーカ20から出力されることとなる。
例えば、測定信号生成部421aは、下記数式(13)に示す判断を行うことにより、収音信号の非可聴帯域の成分の信号レベルが適切かどうかを判断することができる。
Figure 2015206989
ここで、Pinaudibleは収音信号の非可聴帯域成分の信号レベルであり、Paudibleは収音信号の可聴帯域成分の信号レベルである。また、thは所定のしきい値である。このように、測定信号生成部421aは、収音信号の非可聴帯域成分の信号レベルPinaudibleと、収音信号の可聴帯域成分の信号レベルPaudibleと、を比較することにより、収音信号の非可聴帯域成分の信号レベルPinaudibleが適切かどうかを判断することができる。なお、収音信号に可聴帯域成分が存在しない場合(すなわち、測定信号が音楽信号に重畳されるのではなく、測定信号のみがスピーカ20から出力されている場合)、又は収音信号の可聴帯域成分の信号レベルの変動が激しい場合には、収音信号の非可聴帯域成分の信号レベルPinaudibleのみを用いて、当該Pinaudibleを直接所定のしきい値と比較することにより、Pinaudibleが適切かどうかが判断されてもよい。
また、例えば、測定信号生成部421aは、収音信号に対して、同期加算平均を行うとともにバンドパスフィルタ特性W(n)を作用させ、測定信号H(n)の周波数f以上の帯域における逆特性H−1を畳み込むことによって得られる信号(すなわち、上記数式(8)においてマイクロフォンの逆特性M−1が作用されていない信号)を用いて、収音信号の非可聴帯域の成分の信号レベルが適切かどうかを判断することができる。具体的には、測定信号生成部421aは、当該信号の振幅の絶対値の最大値と平均値との比(下記数式(14))を、所定のしきい値と比較し、下記数式(14)に示す比が当該しきい値以上であれば収音信号の非可聴帯域の成分の信号レベルが適切であると判断し、しきい値未満であれば収音信号の非可聴帯域の成分の信号レベルが適切でないと判断することができる。
Figure 2015206989
このように、第2の実施形態では、測定信号生成部421aによって音量レベル及び/又は周波数帯域が適宜調整された測定信号H(n)を用いて、ユーザの視聴位置の測定が行われる。従って、音声出力システム及び収音システムの特性のうち少なくとも一つが未知であり、収音信号のうち測定信号に対応する成分の信号レベルが小さくなってしまう場合であっても、測定信号H(n)の音量レベル及び/又は周波数帯域が適宜調整されることにより、より高精度にユーザの視聴位置を測定することが可能となる。
(3−2.情報処理方法)
図13A及び図13Bを参照して、第2の実施形態に係る視聴システムにおいて実行され得る情報処理方法の処理手順について説明する。図13A及び図13Bは、第2の実施形態に係る情報処理方法の処理手順の一例を示すフロー図である。なお、第2の実施形態に係る情報処理方法は、図10に示す第1の実施形態に係る情報処理方法に対して、いくつかの処理が追加されたものに対応する。従って、以下の第2の実施形態に係る情報処理方法についての説明では、第1の実施形態との相違点について主に説明を行うこととし、第1の実施形態と重複する事項についてはその詳細な説明を省略する。
図13Aを参照すると、第2の実施形態に係る情報処理方法では、まず、所定の条件に基づいて、測定処理を開始するかどうかが判断される(ステップS201)。測定処理を開始すると判断された場合には、測定信号が生成され(ステップS203)、生成された測定信号が音楽信号に重畳されてスピーカ20から出力される(ステップS205)。そして、測定信号が重畳された音楽信号に対応する収音信号が取得される(ステップS207)。この際、収音信号の音量レベルに応じて、適宜ゲインが調整され得る(ステップS209、S211)。なお、ステップS201〜ステップS211に示す処理は、上述した図10に示す第1の実施形態におけるステップS101〜ステップS111に示す処理と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
第2の実施形態では、次に、収音信号の特性が計算され(ステップS213)、計算された特性に基づいて、収音信号の非可聴帯域の信号レベル(例えばS/N比)が適切かどうかが判断される(ステップS215)。ステップS213、S215に示す処理は、例えば上述した図12に示す測定信号生成部421aによって実行され得る。ステップS213、S215では、収音信号に対して、例えば上記数式(13)、数式(14)に示す値が計算され、収音信号の非可聴帯域の信号レベルが適切かどうかが判断される。
ステップS215において収音信号の非可聴帯域の信号レベルが適切でないと判断された場合には、ステップS217に進み、測定信号の音量レベルを示すパラメータであるA(上記数式(2)を参照。)が、音声出力システムにおける最大音量レベルに対応する最大値Amaxよりも小さいかどうかが判断される。パラメータAが最大値Amaxよりも小さい場合には、パラメータAがA+ΔAに置き換えられる(すなわち、測定信号の音量レベルがΔAだけ増加される。)。そして、ステップS203に戻り、パラメータAが増加された状態で測定信号が生成され、再度ステップS205〜ステップS215までの一連の処理が実行される。測定信号の音量レベルが増加されることにより、収音信号の非可聴帯域の信号レベルがより増加し適切な値になることが期待される。
一方、ステップS217においてパラメータAが最大値Amaxよりも小さくない場合(すなわち、最大値Amaxと等しい場合)には、測定信号の音量レベルをそれ以上増加させることはできない。この場合には、ステップS221に進み、測定信号の下限周波数fがf−Δfに置き換えられる(すなわち、測定信号の周波数帯域の下限がΔfだけ低下される。)。そして、ステップS203に戻り、下限周波数fが低下された状態で測定信号が生成され、再度ステップS205〜ステップS215までの一連の処理が実行される。測定信号の下限周波数fが低下されることにより、測定信号の周波数帯域が広がるため、測定信号がスピーカ20の再生帯域及び/又はマイクロフォン310の収音帯域により含まれ易くなり、収音信号の非可聴帯域成分の信号レベルがより増加し適切な値になることが期待される。
ステップS215において収音信号の非可聴帯域の信号レベルが適切であると判断された場合には、当該収音信号を用いてユーザの視聴位置が算出され(ステップS223)、算出された視聴位置に基づいて音場補正パラメータが算出される(ステップS225)。そして、算出された音場補正パラメータに基づいて音楽信号が補正され(ステップS227)、補正された音楽信号がスピーカ20から出力される(ステップS229)。なお、ステップS223〜ステップS229に示す処理は、上述した図10に示す第1の実施形態におけるステップS113〜ステップS119に示す処理と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
以上、図13A及び図13Bを参照して、第2の実施形態に係る情報処理方法について説明した。以上説明したように、第2の実施形態によれば、音声出力システム及び収音システムの特性のうち少なくとも一つが未知である場合(例えば、スピーカ20やマイクロフォン310の特性が未知である場合)であっても、適応的に測定信号の特性を変化させることにより、ユーザに測定用音声を知覚させず、不快に感じさせないまま、視聴位置を測定することが可能となる。
(4.変形例)
以上説明した第1及び第2の実施形態についてのいくつかの変形例について説明する。なお、以下では、一例として、上述した第1の実施形態についての変形例について説明するが、以下に説明する変形例に係る構成は、上述した第2の実施形態に対しても同様に適用可能である。
(4−1.測定制御信号についての変形例)
まず、測定制御信号についての変形例について説明する。以上説明した第1及び第2の実施形態では、測定制御部410は、例えば携帯端末30への操作入力を示す情報、携帯端末30の運動状態を示す情報及び/又は音楽コンテンツの再生状況についての情報等に基づいて、測定制御信号を出力していた。ただし、第1及び第2の実施形態はかかる例に限定されず、測定制御部410は、他の情報に基づいて測定制御信号を出力してもよい。
ここで、一般的に、非可聴帯域の音声信号は、ユーザに直接的には知覚されないものの、音楽信号の滑らかさ等に影響するとも言われており、ユーザによっては必要以上の音声信号を音楽再生中に出力したくないという要求も存在する。そこで、本変形例では、可聴帯域の音声信号(すなわち音楽信号)に応じて、測定制御信号を出力するタイミングを決定することにより、測定信号が音楽信号に与える影響を小さくする方法を提供する。
ここで、本変形例に係る視聴システムの構成は、図1に示す第1の実施形態に係る視聴システム1と同様の構成によって実現され得るため、その詳細な説明は省略する。本変形例では、測定制御部410は、コンテンツ再生部10から受信した音楽信号に基づいて、測定制御信号を出力するタイミングを決定することができる。具体的には、測定制御部410は、音楽信号を解析し、例えば当該音楽信号の音量レベルや周波数特性等に基づいて、曲間に対応するタイミングを検出し、当該曲間に対応するタイミングで測定制御信号を出力することができる。曲間に対応するタイミングは、例えば、無音や本来の音楽とは異なる音声(例えば歓声等)等が検出されることにより、検出され得る。これにより、曲間であると判断された場合に測定信号がスピーカ20から出力されることとなり、測定信号が音楽信号に与える影響をより小さくすることができる。
ただし、1つの曲の継続時間が長い場合には、曲間において測定処理を行うだけでは、測定の頻度として不十分である可能性がある。そこで、測定制御部410は、いわゆるマスキング効果によって測定信号の影響がより小さくなるように、曲中において音楽信号の音量レベルが十分大きい場合(例えば音量レベルが所定のしきい値よりも大きい場合)に、測定制御信号を出力してもよい。これにより、音楽信号の音量レベルが十分大きい場合に測定信号がスピーカ20から出力されることとなり、測定信号が音楽信号に与える影響をより小さくすることができる。
図14を参照して、このような、本変形例に係る情報処理方法の処理手順について説明する。図14は、本変形例に係る情報処理方法の処理手順の一例を示すフロー図である。また、図15は、測定制御信号の出力タイミングが異なる変形例において、当該測定制御信号の出力タイミングの一例について説明するための説明図である。なお、図14に示すフロー図における各処理は、例えば図1に示す測定制御部410によって実行され得る。
図14を参照すると、本変形例に係る情報処理方法では、まず、音楽信号が解析される(ステップS301)。ステップS301に示す処理では、例えば音楽信号の音量レベルや周波数等が解析され、曲間であることを表し得る、無音や本来の音楽とは異なる音声(例えば歓声等)が検出され得る。
次に、音楽信号の解析結果に基づいて、音楽信号における現在のタイミングが曲間であるかどうかが判断される(ステップS303)。例えば、音楽信号を解析した結果、上述したような無音や歓声が検出されれば、現在のタイミングは曲間であると判断され得る。現在のタイミングが曲間であると判断された場合には、ステップS305に進み、測定を開始する旨の制御信号(すなわち、測定制御信号)が測定処理部420に向かって送信される。このように、音楽信号から無音や歓声を検出し、曲間であることが想定され得るタイミングで測定制御号を出力し、測定処理を開始することにより、測定信号が音楽信号に与える影響を小さくすることができる。
一方、ステップS303において現在のタイミングが曲間でないと判断された場合には、ステップS307に進む。ステップS307では、測定制御信号を出力していない待機時間(すなわち、測定処理を行っていない時間)が、所定のしきい値(thtime)よりも大きいかどうかが判断される。ここで、しきい値thtimeは、適切な測定頻度を表す指標であり、thtimeとしては、測定処理の実行間隔がthtimeよりも大きくなった場合には、ユーザの視聴位置の測定頻度が不十分であると判断されるような値が設定され得る。待機時間がしきい値thtime以下である場合には、測定頻度の観点からまだ測定処理を行わなくても問題ないと考えられるため、ステップS301に戻り、ステップS301以降の処理が再度実行される。
一方、ステップS307で待機時間がしきい値thtimeよりも大きい場合には、測定頻度の観点から、曲間でなくても測定処理を行った方がよいと考えられるため、ステップS309に進む。ステップS309では、音楽信号の可聴帯域の音量レベルが所定のしきい値(thLVaudible)よりも大きいかどうかが判断される。ここで、しきい値thLVaudibleとしては、いわゆるマスキング効果の観点から、測定信号が音楽信号に重畳されてスピーカ20から出力された場合に、測定信号が音楽信号に与える影響が十分小さくなるような値が設定され得る。音楽信号の可聴帯域の音量レベルがしきい値thLVaudible以下である場合には、音楽信号に重畳させた際に測定信号の影響が大きくなってしまう可能性があるため、ステップS301に戻り、ステップS301以降の処理が再度実行される。
一方、ステップS309で音楽信号の可聴帯域の音量レベルがしきい値thLVaudibleよりも大きい場合には、音楽信号に重畳させたとしても、測定信号の影響をより小さく抑えることができると考えられる。従って、ステップS305に進み、測定制御信号が測定処理部420に向かって送信される。図15に、ステップS309に示す処理に基づく測定制御信号の出力タイミングの一例を示す。図15に示すように、本変形例によれば、無声や歓声でない音楽信号が長時間継続した場合には、音楽信号が所定のしきい値thLVaudibleを超えてマスキング効果が期待されるタイミングで、測定制御信号が出力され得る。このように、曲が長時間継続している場合に、曲間でなくても、音楽信号の音量レベルが十分大きくなったタイミングで測定制御信号を出力し、測定を開始することにより、測定信号が音楽信号に与える影響を小さくしつつ、十分な測定頻度を保つことが可能となる。
以上、測定制御信号についての変形例について説明した。以上説明したように、本変形例によれば、音楽信号が解析され、曲間や音楽信号が十分大きくなったタイミング等、測定信号が音楽信号に与える影響がより小さくなるようなタイミングで、測定処理が実行され得る。従って、測定信号が音楽信号に与える影響を小さくすることができ、音楽コンテンツの視聴を妨げることなくユーザの視聴位置を測定することが可能となる。
(4−2.装置構成についての変形例)
次に、装置構成についての変形例について説明する。以上説明した第1及び第2の実施形態では、例えばAVアンプである音響制御装置40によって、測定処理に係る主要な処理(例えば、測定信号の生成、収音信号を解析することによる視聴位置の算出、音場補正パラメータの算出等)が実行されていた。ただし、第1及び第2の実施形態はかかる例に限定されない。第1及び第2の実施形態に係る視聴システムを実現する具体的な装置構成は任意であってよく、図1及び図5等に示す例に限定されない。
図16を参照して、本変形例に係る視聴システムの一構成例について説明する。図16は、装置構成が異なる変形例に係る視聴システムの一構成例を示すブロック図である。なお、図16に示す視聴システムの構成は、図1に示す第1の実施形態に係る視聴システム1の機能を、異なる装置構成によって実現するものであり、図16に示す視聴システム全体として実行され得る処理は、図1に示す視聴システム1と同様である。従って、以下の本変形例に係る視聴システムについての説明では、第1の実施形態に係る視聴システム1との相違点について主に説明することとし、重複する事項についてはその詳細な説明を省略する。
図16を参照すると、本変形例に係る視聴システム3は、コンテンツ再生部10と、スピーカ20と、携帯端末50と、を備える。ここで、コンテンツ再生部10及びスピーカ20の機能は、図1に示すこれらの構成の各機能と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
携帯端末50は、その機能として、マイクロフォン310と、操作部320と、センサ330と、音響制御部(本開示の情報処理装置に対応する。)510と、を有する。ここで、マイクロフォン310、操作部320及びセンサ330の機能は、図1に示すこれらの構成の各機能と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
音響制御部510は、その機能として、測定制御部410と、測定処理部420と、音場補正部430と、音声信号出力部440と、音声信号取得部450と、を有する。ここで、測定制御部410、測定処理部420、音場補正部430、音声信号出力部440及び音声信号取得部450の機能は、図1に示すこれらの構成の各機能と同様である。このように、本変形例は、図1に示す音響制御装置40の機能が、携帯端末50に搭載されたものに対応している。なお、音響制御部510の各機能は、音響制御部510を構成する各種のプロセッサが所定のプログラムに従って動作することによって実現され得る。
以上、図16を参照して、本変形例に係る視聴システム3の構成について説明した。以上説明したように、第1の実施形態に係る視聴システム1は、例えば図16に示すような装置構成によっても実現可能である。
ここで、図16に示す構成例は、第1及び第2の実施形態に係る視聴システムを実現するための装置構成の一変形例である。第1及び第2の実施形態に係る視聴システムを実現し得る装置構成は、図1及び図5等に示す構成や、本変形例に示す構成に限定されず、任意であってよい。例えば、図1に示す装置構成において、コンテンツ再生部10、スピーカ20及び音響制御装置40が、一体的な装置として構成されてもよい。コンテンツ再生部10、スピーカ20及び音響制御装置40が、一体的な装置として構成される場合には、当該装置は、各種のコンテンツを再生可能ないわゆるテレビジョン装置であり得る。
また、例えば、図16に示す装置構成において、コンテンツ再生部10及び携帯端末50が、一体的な装置として構成されてもよい。コンテンツ再生部10及び携帯端末50が、一体的な装置として構成される場合には、携帯端末50が各種のコンテンツを再生する再生機器の機能を併せ持っており、携帯端末50から、例えばBluetooth(登録商標)等の通信方式による無線通信によって音楽信号及び/又は測定信号がスピーカ20に送信され、スピーカ20から当該音楽信号及び/又は測定信号が出力され得る。
なお、以上説明した第1及び第2の実施形態並びに各変形例に係る視聴システムにおける各種の信号処理(例えば、測定制御部410、測定処理部420、420a、音場補正部430、音声信号出力部440及び音声信号取得部450によって実行される処理)は、例えば、1つのプロセッサ又は1台の情報処理装置によって実行されてもよいし、複数のプロセッサ又は複数の情報処理装置の協働によって実行されてもよい。あるいは、これらの信号処理は、ネットワーク上(例えばいわゆるクラウド上)に設けられるサーバ等の情報処理装置又は情報処理装置群によって実行されてもよい。その場合、スピーカ20及びマイクロフォン310は、例えば家庭内等ユーザがコンテンツを視聴する場所に設けられ、これらの構成がネットワークを介して他の場所に設置されている情報処理装置と各種の情報や指示等を通信することにより、視聴システム1、3における一連の処理が実現され得る。
(5.ハードウェア構成)
次に、図17を参照して、本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成について説明する。図17は、本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図示される情報処理装置900は、例えば、以上説明した第1及び第2の実施形態並びに各変形例における、音響制御装置40又は携帯端末30、50の構成を実現し得る。
情報処理装置900は、CPU901、ROM(Read Only Memory)903及びRAM(Random Access Memory)905を含む。また、情報処理装置900は、ホストバス907、ブリッジ909、外部バス911、インターフェース913、入力装置915、出力装置917、ストレージ装置919、ドライブ921、接続ポート923、通信装置925及びセンサ935を含んでもよい。情報処理装置900は、CPU901に代えて、またはこれとともに、DSP又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)と呼ばれるような処理回路を有してもよい。
CPU901は、演算処理装置及び制御装置として機能し、ROM903、RAM905、ストレージ装置919又はリムーバブル記録媒体927に記録された各種プログラムに従って、情報処理装置900内の動作全般又はその一部を制御する。ROM903は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM905は、CPU901の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータなどを一次記憶する。CPU901、ROM903及びRAM905は、CPUバス等の内部バスにより構成されるホストバス907により相互に接続されている。更に、ホストバス907は、ブリッジ909を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス911に接続されている。CPU901は、本実施形態では、例えば、図1に示す音響制御装置40の各機能、図5に示す測定処理部420a及び図16に示す音響制御部510等に対応する。
入力装置915は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ及びレバー等、ユーザによって操作される装置である。入力装置915は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール装置であってもよいし、情報処理装置900の操作に対応した携帯電話などの外部接続機器929であってもよい。入力装置915は、ユーザが入力した情報に基づいて入力信号を生成してCPU901に出力する入力制御回路を含む。また、入力装置915は、マイクロフォン等の音声入力装置であってもよい。ユーザは、この入力装置915を操作することによって、情報処理装置900に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりする。入力装置915は、本実施形態では、例えば、図1及び図16に示す携帯端末30、50の操作部320に対応する。また、例えば、入力装置915は、図1及び図16に示す携帯端末30、50のマイクロフォン310に対応し得る。
出力装置917は、取得した情報をユーザに対して視覚的又は聴覚的に通知することが可能な装置で構成される。出力装置917は、例えば、LCD、PDP(plasma Display Panel)、有機ELディスプレイ、ランプ、照明等の表示装置、スピーカ及びヘッドホン等の音声出力装置、並びに、プリンタ装置等であり得る。出力装置917は、情報処理装置900の処理により得られた結果を、テキスト又は画像等の映像として出力したり、音声又は音響などの音声として出力したりする。例えば、図1に示す装置構成において、コンテンツ再生部10、スピーカ20及び音響制御装置40が一体的な装置として構成される場合には、当該音声出力装置は、当該装置におけるスピーカ20に対応する。
ストレージ装置919は、情報処理装置900の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置919は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス又は光磁気記憶デバイス等により構成される。このストレージ装置919は、CPU901が実行するプログラムや各種データ及び外部から取得した各種のデータ等を格納する。本実施形態では、例えば、ストレージ装置919は、図1に示す音響制御装置40の各機能、図5に示す測定処理部420a及び図16に示す音響制御部510等によって処理される各種の情報及びこれらの構成による各種の処理結果を記憶することができる。例えば、ストレージ装置919は、コンテンツ再生部10から入力される音楽信号や、生成された測定信号、算出されたユーザの視聴位置、算出された音場補正パラメータ等の情報を記憶することができる。
ドライブ921は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体927のためのリーダライタであり、情報処理装置900に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ921は、装着されているリムーバブル記録媒体927に記録されている情報を読み出して、RAM905に出力する。また、ドライブ921は、装着されているリムーバブル記録媒体927に記録を書き込む。例えば、図1に示す装置構成において、コンテンツ再生部10、スピーカ20及び音響制御装置40が一体的な装置として構成される場合には、ドライブ921は、当該装置におけるコンテンツ再生部10に対応する。ドライブ921は、リムーバブル記録媒体927に記録されているコンテンツを読み出し、再生することができる。また、例えば、ドライブ921は、図1に示す音響制御装置40の各機能、図5に示す測定処理部420a及び図16に示す音響制御部510等によって処理される各種の情報及びこれらの構成による各種の処理結果を、リムーバブル記録媒体927から読み出したり、リムーバブル記録媒体927に書き込んだりすることができる。
接続ポート923は、機器を情報処理装置900に直接接続するためのポートである。接続ポート923は、例えば、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポート等であり得る。また、接続ポート923は、RS−232Cポート、光オーディオ端子、HDMI(登録商標)(High−Definition Multimedia Interface)ポート等であってもよい。接続ポート923に外部接続機器929を接続することで、情報処理装置900と外部接続機器929との間で各種のデータが交換され得る。例えば、情報処理装置900が、図1に示す音響制御装置40に対応する場合であれば、情報処理装置900と接続ポート923を介して、外部接続機器929に対応するコンテンツ再生部10及びスピーカ20と接続され得る。また、例えば、接続ポート923を介して、図1に示す音響制御装置40の各機能、図5に示す測定処理部420a及び図16に示す音響制御部510等によって処理される各種の情報及びこれらの構成による各種の処理結果が、外部接続機器929との間で互いに送受信されてよい。
通信装置925は、例えば、通信ネットワーク931に接続するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。通信装置925は、例えば、有線又は無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth又はWUSB(Wireless USB)用の通信カード等であり得る。また、通信装置925は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber line)用のルータ又は各種通信用のモデム等であってもよい。通信装置925は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で、TCP/IP等の所定のプロトコルを用いて信号等を送受信する。また、通信装置925に接続される通信ネットワーク931は、有線又は無線によって接続されたネットワークであり、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、ラジオ波通信又は衛星通信等である。本実施形態では、例えば、通信装置925に対応する構成が、図1に示す携帯端末30及び音響制御装置40に備えられており、携帯端末30及び音響制御装置40が、当該通信装置925を介して各種の情報を互いに送受信してもよい。また、例えば、通信装置925は、図1に示す音響制御装置40の各機能、図5に示す測定処理部420a及び図16に示す音響制御部510等によって処理される各種の情報及びこれらの構成による各種の処理結果を、通信ネットワーク931を介して外部の他の機器との間で互いに送受信してよい。
センサ935は、例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサ、光センサ、音センサ、測距センサ等の各種のセンサである。センサ935は、例えば情報処理装置900の筐体の姿勢等、情報処理装置900自体の状態に関する情報や、情報処理装置900の周辺の明るさや騒音等、情報処理装置900の周辺環境に関する情報を取得する。また、センサ935は、GPS信号を受信して装置の緯度、経度及び高度を測定するGPSセンサを含んでもよい。センサ935は、本実施形態では、例えば、図1及び図16に示す携帯端末30、50のセンサ330に対応する。
以上、情報処理装置900のハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。かかる構成は、実施する時々の技術レベルに応じて適宜変更されうる。
なお、上述のような情報処理装置900の各機能(例えば、上述した第1及び第2の実施形態、並びに、各変形例における、音響制御装置40、測定処理部420a及び音響制御部510等の機能)を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、PC等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
(6.補足)
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
例えば、以上説明した第1及び第2の実施形態、並びに、各変形例における各種の処理や機能は、互いに可能な範囲において任意に組み合わされて実行されてよい。各実施形態及び各変形例に係る各種の処理や機能が任意に組み合わされて実行されることにより、各実施形態及び各変形例でそれぞれ得られる効果を重畳的に得ることが可能となる。
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)非可聴帯域の測定用音声をスピーカから出力させる音声信号出力部と、マイクロフォンによって収音された前記測定用音声に基づいて、ユーザの視聴位置を算出する視聴位置算出部と、を備える、情報処理装置。
(2)算出された前記ユーザの前記視聴位置に基づいて、可聴帯域の音楽信号が補正される、前記(1)に記載の情報処理装置。
(3)前記音楽信号は、遅延量、音量レベル及び周波数特性の少なくともいずれかの特性が補正される、前記(2)に記載の情報処理装置。
(4)前記音声信号出力部は、前記測定用音声と、可聴帯域の音楽信号に係る音声と、を重畳させて前記スピーカから出力させる、前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(5)前記マイクロフォンは携帯端末に搭載され、前記音声信号出力部は、前記ユーザによる前記携帯端末への操作入力を示す情報、及び、前記携帯端末の運動状態を示す情報の少なくともいずれかが検出された場合に、前記測定用音声と前記音楽信号に係る音声とを重畳させて前記スピーカから出力させる、前記(4)に記載の情報処理装置。
(6)前記音声信号出力部は、前記音楽信号の音量レベルに応じて、前記測定用音声と前記音楽信号に係る音声とを重畳させて前記スピーカから出力させる、前記(4)に記載の情報処理装置。
(7)前記音声信号出力部は、前記音楽信号の音量レベルに基づいて曲間であると判断される場合、又は、前記音楽信号のレベルが所定のしきい値よりも大きい場合若しくは当該しきい値以上である場合に、前記測定用音声と前記音楽信号に係る音声とを重畳させて前記スピーカから出力させる、前記(6)に記載の情報処理装置。
(8)前記マイクロフォンによって収音された収音信号における前記測定用音声に対応する成分の信号レベルに応じて、前記測定用音声の特性が調整される、前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(9)前記収音信号における前記測定用音声に対応する成分の信号レベルが所定のしきい値以下である場合又は当該しきい値よりも小さい場合に、前記測定用音声の音量レベルが調整される、前記(8)に記載の情報処理装置。
(10)前記収音信号における前記測定用音声に対応する成分の信号レベルが所定のしきい値以下である場合又は当該しきい値よりも小さい場合に、前記測定用音声の下限周波数が調整される、前記(8)又は(9)に記載の情報処理装置。
(11)前記スピーカ及び前記マイクロフォンの少なくともいずれかは複数設けられる、前記(1)〜(10)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(12)前記視聴位置算出部は、前記ユーザの前記視聴位置を示す前記マイクロフォンの位置を算出する、前記(1)〜(11)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(13)プロセッサが、非可聴帯域の測定用音声をスピーカから出力させることと、プロセッサが、マイクロフォンによって収音された前記測定用音声に基づいて、ユーザの視聴位置を算出することと、を含む、情報処理方法。
(14)コンピュータのプロセッサに、非可聴帯域の測定用音声をスピーカから出力させる機能と、マイクロフォンによって収音された前記測定用音声に基づいて、ユーザの視聴位置を算出する機能と、を実現させる、プログラム。
1、3 視聴システム
10 コンテンツ再生部
20 スピーカ
30、50 携帯端末
40 音響制御装置(情報処理装置)
410 測定制御部
420、420a 測定処理部
421、421a 測定信号生成部
422 視聴位置算出部
423 音場補正パラメータ算出部
430 音場補正部
431 遅延補正部
432 音量補正部
433 周波数補正部
440 音声信号出力部
450 収音信号取得部
510 音響制御部


Claims (14)

  1. 非可聴帯域の測定用音声をスピーカから出力させる音声信号出力部と、
    マイクロフォンによって収音された前記測定用音声に基づいて、ユーザの視聴位置を算出する視聴位置算出部と、
    を備える、情報処理装置。
  2. 算出された前記ユーザの前記視聴位置に基づいて、可聴帯域の音楽信号が補正される、
    請求項1に記載の情報処理装置。
  3. 前記音楽信号は、遅延量、音量レベル及び周波数特性の少なくともいずれかの特性が補正される、
    請求項2に記載の情報処理装置。
  4. 前記音声信号出力部は、前記測定用音声と、可聴帯域の音楽信号に係る音声と、を重畳させて前記スピーカから出力させる、
    請求項1に記載の情報処理装置。
  5. 前記マイクロフォンは携帯端末に搭載され、
    前記音声信号出力部は、前記ユーザによる前記携帯端末への操作入力を示す情報、及び、前記携帯端末の運動状態を示す情報の少なくともいずれかが検出された場合に、前記測定用音声と前記音楽信号に係る音声とを重畳させて前記スピーカから出力させる、
    請求項4に記載の情報処理装置。
  6. 前記音声信号出力部は、前記音楽信号の音量レベルに応じて、前記測定用音声と前記音楽信号に係る音声とを重畳させて前記スピーカから出力させる、
    請求項4に記載の情報処理装置。
  7. 前記音声信号出力部は、前記音楽信号の音量レベルに基づいて曲間であると判断される場合、又は、前記音楽信号のレベルが所定のしきい値よりも大きい場合若しくは当該しきい値以上である場合に、前記測定用音声と前記音楽信号に係る音声とを重畳させて前記スピーカから出力させる、
    請求項6に記載の情報処理装置。
  8. 前記マイクロフォンによって収音された収音信号における前記測定用音声に対応する成分の信号レベルに応じて、前記測定用音声の特性が調整される、
    請求項1に記載の情報処理装置。
  9. 前記収音信号における前記測定用音声に対応する成分の信号レベルが所定のしきい値以下である場合又は当該しきい値よりも小さい場合に、前記測定用音声の音量レベルが調整される、
    請求項8に記載の情報処理装置。
  10. 前記収音信号における前記測定用音声に対応する成分の信号レベルが所定のしきい値以下である場合又は当該しきい値よりも小さい場合に、前記測定用音声の下限周波数が調整される、
    請求項8に記載の情報処理装置。
  11. 前記スピーカ及び前記マイクロフォンの少なくともいずれかは複数設けられる、
    請求項1に記載の情報処理装置。
  12. 前記視聴位置算出部は、前記ユーザの前記視聴位置を示す前記マイクロフォンの位置を算出する、
    請求項1に記載の情報処理装置。
  13. プロセッサが、非可聴帯域の測定用音声をスピーカから出力させることと、
    プロセッサが、マイクロフォンによって収音された前記測定用音声に基づいて、ユーザの視聴位置を算出することと、
    を含む、情報処理方法。
  14. コンピュータのプロセッサに、
    非可聴帯域の測定用音声をスピーカから出力させる機能と、
    マイクロフォンによって収音された前記測定用音声に基づいて、ユーザの視聴位置を算出する機能と、
    を実現させる、プログラム。


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