JP2015206151A - ポリウレタン弾性繊維及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高速紡糸時の生産安定性に優れ、パッケージからの解舒性および繊維加工性の良好な金属摩擦性を有するポリウレタン弾性繊維を提供すること。【解決手段】ポリウレタン重合体100重量部に対して、炭素原子数10〜30の脂肪酸金属塩を0.001〜3重量部、ポリカルボン酸系共重合化合物を0.00001〜5重量部及びポリエーテル変性シリコーンを0.00001〜5重量部含むことを特徴とするポリウレタン弾性繊維。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリウレタン弾性繊維に関する。より詳しくは、本発明は、脂肪酸金属塩の凝集が抑制された紡糸原液及び繊維処理剤を用いて乾式紡糸して得られた、紡糸生産安定性に優れ、パッケージからの解舒性が良好で加工性も良好な金属摩擦性を有するポリウレタン弾性繊維に関する。
ポリウレタン系弾性繊維は、高伸度と優れた弾性特性を有する。しかしながら、ポリウレタン重合体は柔軟かつ粘着性のある素材であるために、紡糸工程でのガイドやローラーでの摩擦抵抗による糸切れや、生地加工工程においては、編み針、ガイドによる糸切れや摩擦変動を受けやすく生地にした場合には、生地品位が低下しやすい。
これらを改善するため、ポリウレタン系弾性繊維の紡糸原液中に脂肪酸金属塩を添加したり、紡糸時に繊維を巻き取る際に脂肪酸金属塩を配合した繊維処理剤を付着させている。更に、近年、ポリウレタン弾性繊維製造技術のトレンドが一層の細繊度(5〜20デシテックス)化とコストダウン化に向かっており、そのために高速度巻取りの紡糸開発が行われている。しかしながら紡糸原液中に一部凝集した脂肪酸金属塩が混在した場合には、紡糸工程で糸切れが多発し著しい生産性の低下が起こる。そのため紡糸原液が通過する配管中に、凝集物を除去する為に幾重にもフィルターが設置されている。また、紡糸直前の紡糸ノズル中にも細孔口サイズ(20μm〜50μm粒子サイズのカット)の金属製積層フィルターが組み込まれ凝集物を排除している。
脂肪酸金属塩の分散状態が不良な場合には、フィルター詰まりにより、頻繁にフィルターの交換作業を必要とする。紡糸原液に脂肪酸金属塩を単に混合させるだけの場合、紡糸原液中で脂肪酸金属塩が安定に分散せず、工程の途中で凝集物が発生しやすく、糸切れだけでなく、得られた繊維中の脂肪酸金属塩の含有量の減少や繊維表面上の偏在によってパッケージの捲形状も悪くなる。さらには繊維から布帛への加工工程においても、該パッケージからの解舒不良や繊維の平滑性悪化が起こる。
また、ポリウレタン弾性繊維の布帛加工性向上のために、紡糸巻き取りにおける繊維の表面処理剤成分中にも、シリコーンオイルや鉱物油と共に脂肪酸金属塩が配合されている。しかしながら、オイル成分中でも脂肪酸金属塩は凝集しやすい。そのため、処理剤付与オイルノズルの穴詰まりやオイルローラー上で脂肪酸金属塩の凝集による蓄積が起こり、それが原因で、繊維表面上に付着斑が生じたり、糸切れが生じたり、更には布帛への加工時に、ガイド、ローラー、編み針等に脂肪酸金属塩のスカムが発生したりして、繊維の平滑性および対金属摩擦性を大きく低下する問題がある。
ポリウレタン弾性繊維に使用されている脂肪酸金属塩の分散安定化の技術的課題に対して、従来から多くの試みが行われてきている。例えば、下記の特許文献1と2には、紡糸原液用の脂肪酸金属塩の分散剤として特定の有機リン酸含有化合物を用いることが、下記の特許文献3には、特定の窒素含有化合物を用いることが、下記の特許文献4と5には、シリコーンオイルと脂肪酸金属塩と変性シリコーン化合物を併用することが開示されている。本出願人も、下記特許文献6で脂肪酸金属塩とポリカルボン酸系共重合化合物を含むポリウレタン弾性繊維、及び下記特許文献7で、ポリウレタン重合体、アミド系溶剤、脂肪酸金属塩及びポリカルボン酸系共重合化合物を含むポリウレタン組成物の提案を行った。しかしながら、これらの提案に関しては、細糸を1000m/分以上の高速紡糸時の糸キレや摩擦性の改善効果において、未だ充分に満足できるレベルでなく、溶剤中の脂肪酸金属塩濃度を高くした場合に、分散液の粘度が高くなり、更には、貯槽タンクで貯蔵中も経時的に粘度が上昇し、このため配管内を通して、脂肪酸金属塩組成物の紡糸工程への輸送が困難になる問題があった。
また、下記の特許文献8〜10には、繊維処理剤に、シリコーン、アミノ変性シリコーン、脂肪酸金属塩と有機カルボン酸類を用いることが開示されている。しかしながら、これらの繊維処理剤も、分散安定性が低く、特に夏場において繊維処理剤の脂肪酸金属塩の凝集に起因する問題が発生している。また、繊維処理剤を繊維に付着させる工程では、繊維にオイルを一定量均一に付着させるために、オイル粘度を一定に保つ必要がある。そのため、繊維処理剤浴の温度を50℃付近に設定している為、処理剤浴中の脂肪酸金属塩の凝集はいっそう進みやすいという問題がある。
このように、脂肪酸金属塩のポリウレタン弾性繊維の平滑性、摩擦性改善のために、多くの試みが行われてきたが、未だに紡糸原液や繊維処理剤を用いる際のポリウレタン弾性繊維における諸問題を十分に解決するには至っていない。
特表2003−527476号公報 特許第4397028号公報 特開2006−219768号公報 特開2009−287126号公報 特開2007−100251号公報 特開2012−207332号公報 特開2012−193259号公報 特開平11−12951号公報 特開2002−371467号公報 特開2009−179889号公報
本発明が解決しようとする課題は、脂肪酸金属塩の凝集が抑制された紡糸原液及び/又は繊維処理剤を用いて得られたポリウレタン弾性繊維を提供することである。すなわち高速紡糸時の生産安定性に優れ、パッケージからの解舒性および繊維加工性の良好な金属摩擦性を有するポリウレタン弾性繊維を提供することである。
一般に脂肪酸金属塩は、ポリウレタン重合体を溶解するアミド系溶剤や繊維処理剤のシリコーンオイルとの親和性が乏しく、その為、混合前には固体微粒子の平均粒子径が1μm以下の微粒子であっても、アミド溶剤やシリコーンオイル中では、凝集が進み、数十μmの凝集体粒子になり、工程中各所に存在するフィルターを閉塞させる。シリコーンオイル中で、ミル等で機械的分散して、一旦、1μm以下に微粒子化された脂肪酸金属塩であっても、経時的に凝集が進行するため、機械分散中及び保管中に30℃以下好ましくは20℃以下の低温でないと、脂肪酸金属塩の凝集体が生成し、これが処理剤ノズル詰まりの原因になり、繊維に付着すると生地加工工程で問題を起こす原因になっていた。すなわち、アミド系溶剤やシリコーンオイルの液体中で脂肪酸金属塩に対する好適な分散剤を見出すことが上記課題を解決するためのポイントである。
本発明者らは、かかる観点から鋭意検討し実験を重ねた結果、アミド系溶剤及びシリコーンオイルの両者中でも、脂肪酸金属塩に特定のポリカルボン酸系共重合化合物及び特定のポリエーテル変性シリコーンを併用することで、脂肪酸金属塩の分散性が著しく向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
[1]ポリウレタン重合体100重量部に対して、炭素原子数10〜30の脂肪酸金属塩を0.001〜3重量部、ポリカルボン酸系共重合化合物を0.00001〜5重量部及びポリエーテル変性シリコーンを0.00001〜5重量部含むことを特徴とするポリウレタン弾性繊維。
[2]前記脂肪酸金属塩を構成する脂肪酸がステアリン酸及びパルチミン酸からなる群から選ばれ、かつ、構成する金属がマグネシウム、カルシウム、アルミニウム及び亜鉛からなる群から選ばれることを特徴とする上記1項に記載のポリウレタン弾性繊維。
[3]ポリカルボン酸系共重合化合物が、ポリオキシアルキレン誘導体と不飽和カルボン酸化合物との共重合化合物であり、かつその主鎖にポリカルボン酸基を、そしてそのグラフト鎖にポリオキシアルキレン基を有することを特徴とする上記1または2項に記載のポリウレタン弾性繊維。
[4]ポリエーテル変性シリコーンが側鎖型ポリエーテル変性シリコーン及び/又は両末端型ポリエーテル変性シリコーンであることを特徴とする上記1〜3のいずれか一項に記載のポリウレタン弾性繊維。
[5]ポリエーテル変性シリコーンのHLB特性値が0〜16、且つ、25℃での粘度が1000mm2/s以下であることを特徴とする上記1〜4項のいずれか一項に記載のポリウレタン弾性繊維。
[6]ポリウレタン重合体100重量部、該ポリウレタン重合体100重量部に対して、炭素原子数10〜30の脂肪酸金属塩0.001〜3重量部、ポリカルボン酸系共重合化合物0.00001〜5重量部及びポリエーテル変性シリコーン0.00001〜5重量部をアミド系溶剤に溶解及び混合して紡糸原液を作製する工程、得られた紡糸原液を乾式紡糸法で紡糸する工程、および得られた糸を巻き取る工程からなる上記1〜5項のいずれか一項に記載のポリウレタン弾性繊維の製造方法。
[7]ポリウレタン重合体をアミド系溶剤に溶解および混合して紡糸原液を作製する工程、得られた紡糸原液を乾式紡糸法で紡糸する工程、25℃における動粘度が5〜50センチストークスであるポリアルキルシロキサンと25℃における動粘度が30〜70センチストークスである鉱物油との比(ポリアルキルシロキサン/鉱物油)が100/0〜50/50であるオイル成分と、該オイル成分100重量部に対して、炭素原子数10〜30の脂肪酸金属塩0.1〜10重量部、ポリカルボン酸系共重合物0.001〜5重量部及びポリエーテル変性シリコーン0.00001〜5重量部とを含む繊維処理剤を紡糸された糸に付着する工程、および付着後の糸を巻き取る工程からなる上記1〜5項のいずれか一項に記載のポリウレタン弾性繊維の製造方法。
本発明のポリウレタン弾性繊維は、脂肪酸金属塩と特定のポリカルボン酸系共重合化合物と特定のポリエーテル変性シリコーンとを有し、脂肪酸金属塩が安定に分散され、紡糸時の糸切れが少なく、布帛加工安定性も優れたポリウレタン弾性繊維である。本発明のポリウレタン弾性繊維においては、紡糸工程の前後のいずれか又は両方の段階で、良好に分散された脂肪酸金属塩が繊維中に含有又は繊維表面に付着されており、その結果、紡糸糸切れが少なく、捲形状も良好なパッケージを得ることができる。本発明のポリウレタン弾性繊維は、その繊維中及び糸表面に脂肪酸金属塩が均一に分散して存在するため、脂肪酸金属塩の機能が効果的に発揮され、その結果、生地面の表面品位が良好な商品価値の高い生地が得られると推測する。
本発明における試験糸の金属摩擦性評価装置の概略図である。 本発明における試験糸の合着性を測定したチャート例である。 本発明における試験糸の金属摩擦性を測定したチャート例である。
本発明のポリウレタン弾性繊維は、ポリウレタン重合体100重量部に対して、炭素原子数10〜30の脂肪酸金属塩0.001〜3重量部、ポリカルボン酸系共重合化合物0.00001〜5重量部及びポリエーテル変性シリコーン0.00001〜5重量部を含むポリウレタン弾性繊維である。
本発明で用いる炭素原子数10〜30の脂肪酸金属塩を構成する脂肪酸はステアリン酸又はパルチミン酸であることが好ましく、構成する金属はマグネシウム、カルシウム、アルミニウム、及び亜鉛から選ばれることが好ましい。好ましい脂肪酸金属塩の具体例としては、ステアリン酸マグネシウム、パルチミン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、パルチミン酸カルシウムが挙げられる。脂肪酸金属塩は、ポリウレタン重合体100重量部に対して0.001〜3重量部、好ましくは0.005〜2重量部でポリウレタン弾性繊維に付着又は含有される。0.001重量部未満では効果がなく、3重量部を超えると、効果が変わらず経済的でなく、却って、繊維の強伸度物性等の弾性機能を低下させたり、繊維相互の摩擦性が低下して糸すべりが起こり、パッケージの巻き形状が悪くなる。
本発明に用いられるポリカルボン酸系共重合化合物は、好ましくはポリオキシアルキレン誘導体及び不飽和カルボン酸化合物との共重合化合物であり、かつ、その主鎖にポリカルボン酸基を、そしてそのグラフト鎖にポリオキシアルキレン基を有する共重合化合物である。
脂肪酸金属塩は、ポリウレタン重合体用の溶剤やシリコーン油剤との親和性が乏しい。本発明に用いられるポリカルボン酸系共重合物は、その主鎖にあるカルボニル基が脂肪酸金属塩側に向き、一方のグラフト鎖にあるポリオキシアルキレン基が溶剤や油剤に対して親和性を持つため、溶剤や油剤中での分散安定性が向上すると推測する。このような効果を発揮させるためには、ポリカルボン酸系共重合物の配合量はポリウレタン重合体100重量部に対して0.00001〜5重量部が好ましく、さらに好ましくは0.00002〜2重量部である。
本発明で用いられるポリカルボン酸系共重合化合物は、本出願人による特開2012−193259号公報に詳細に記載されている。 ポリカルボン酸系共重合物の具体的な一例として、日油株式会社製商品名マリアリムAKM−0531、AFB−0561、AFB−1521、AAB−0851、AEM3511,AWS−0851等があげられる。好ましい化合物はAKM−0531、AAB−0851である。これらのポリカルボン酸系共重合化合物を、単独または組み合わせて使用することができる。
本発明で用いるポリエーテル変性シリコーンは、側鎖型ポリエーテル変性シリコーン及び/又は両末端型ポリエーテル変性シリコーンであることが好ましく、これらの内から単独または数種類を組み合わせて使用することができる。ポリエーテル変性シリコーンの好ましいHLB特性値は0〜16であり、更に好ましいHLB特性値は0〜14であり、特に好ましいHLB特性値は0〜8である。
ポリエーテル変性シリコーンは、親油性のシリコーン基を有すると同時にポリエーテル基も一部有しており、これがポリカルボン酸系共重合物のグラフト鎖にあるポリオキシアルキレン基と親和性があるため、両者を併用することで、脂肪酸金属塩に対して一層の分散剤の機能を相乗的に発揮すると考えられる。本発明に用いるポリエーテル変性シリコーンの25℃での粘度は1000mm2/s以下が好ましく、さらに好ましくは600mm2/s以下、特に好ましくは300mm2/s以下である。1000mm2/sより高粘度の物は、紡糸用原液を真空脱泡する際、気泡が消えにくい問題があるため、低粘度の物が好ましい。
紡糸原液の脱泡が不十分であると、紡糸中に糸キレを起こす。しかしながら、高粘度のポリエーテル変性シリコーンを用いた場合の脱泡不良の問題に関して、本発明のポリカルボン酸系共重合物の併用により大きく改善できることも分かった。
本発明に用いるポリエーテル変性シリコーンの具体的な例としては、信越化学工業(株)製の商品名X−22−4952、X−22−4272、X−22−6266、KF−6123、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L,KF−355A,KF615A,KF−945,KF−640、KF−642,KF−643,KF−644、KF−6020、KF−6020,KF−6204,X−22−4515、KF−6011,KF−6012,KF−6015、KF−6017,X22−2516等があげられ、これらを単独またはこれらから数種類を組み合わせて使用することができる。これらの中で好ましい化合物はX−22−4952、X−22−4279、X−22−6123、KF−640、KF−945、KF−6020、KF−6015およびX−22−2516であり、特に好ましい化合物はX−22−4952およびX−22−4272である。
ポリエーテル変性シリコーンの配合量は、ポリウレタン重合体100重量部に対し、0.00001〜5重量部が好ましく、0.0001〜2重量部がさらに好ましいが、特に好ましくは0.0002〜1重量部である。0.00001重量部未満では効果がなく、5重量部を超える場合には、却って、繊維の強伸度物性を始めとする弾性機能を低下し、繊維相互の摩擦性が低下して糸すべりが起こり、パッケージの巻き形状が悪くなる。
本発明のポリウレタン弾性繊維は、脂肪酸金属塩とポリカルボン酸系共重合化合物とポリエーテル変性シリコーンとを、ポリウレタン重合体を溶解する溶剤に配合し、紡糸工程を経て製造されるが、用いる溶剤としては、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドを挙げることができ、好ましくは、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドのアミド系溶剤である。
紡糸原液中のポリウレタン重合体の固形分濃度は20重量%以上50重量%以下が好ましい。この範囲を外れると、細糸の高速紡糸時に糸切れが起こりやすい。
脂肪酸金属塩とポリカルボン酸系共重合化合物とポリエーテル変性シリコーンとを含む紡糸原液の調製方法としては、(1)予めこれら三者を溶剤に均一に混合分散した後に、ポリウレタン系重合体に添加する方法、(2)予め脂肪酸金属塩を溶剤に均一に混合分散させ、ポリウレタン系重合体溶液に加えた後に、ポリカルボン酸系共重合物とポリエーテル変性シリコーンとを混合させる方法、(3)ポリウレタン系重合体の溶液とポリカルボン酸系共重合物を混合した後に、脂肪酸金属塩とポリエーテル変性シリコーンとを溶剤に均一に分散させた液と混合させる方法が挙げられる。
好ましくは、予め脂肪酸金属塩をポリカルボン酸共重合化合物とポリエーテル変性シリコーンで均一に処理した後に、これをポリウレタン重合体の溶液に添加混合させる方法である。これにより、溶剤中での脂肪酸金属塩の凝集がより抑制され、脂肪酸金属塩の分散状態が好ましく維持された紡糸原液を得ることができる。
ポリカルボン酸系共重合物とポリエーテル変性シリコーンを脂肪酸金属塩に混合して粉砕する方法としては、ボールミル、ビーズミル等を用いて、微粒子化と微分散化を同時に行うこともできる。より好ましくは、均一微分散の観点から湿式ビーズミルである。又、湿式ビーズミル以外の方法として、高速攪拌のホモミキサーやラインホモミキサーも用いることができる。
湿式ビーズミル等を用いる場合においては、平均粒子径50〜100μmの脂肪酸金属塩を用いることができるが、ホモミキサー使用の場合は、溶剤に混合前の状態で平均粒子径20〜60μmの脂肪酸金属塩を用いることが好ましい。
本発明では、特定のポリカルボン酸系共重合物と特定のポリエーテル変性シリコーンとを併用することにより、脂肪酸金属塩は溶剤およびポリウレタン重合体に均一かつ安定に分散され、容積分布による平均粒経が20μm以下、より好ましくは15μm以下、さらに好ましくは0.1〜10μmである分散液が得られる。
ポリウレタン弾性繊維を紡糸する際の紡糸方法としては、一般に、溶融紡糸法、湿式紡糸法、乾式紡糸法が知られている。本発明においては、紡糸方法は高速紡糸時に細糸を安定生産できる乾式紡糸法が好ましい。
本発明のポリウレタン弾性繊維を紡糸した後、パッケージに巻き取るに際し、25℃における動粘度が5〜50センチストークスであるポリアルキルシロキサンと25℃における動粘度が30〜70センチストークスである鉱物油との比(ポリアルキルシロキサン/鉱物油)が100/0〜50/50であるオイル成分、脂肪酸金属塩、ポリカルボン酸系共重合物およびポリエーテル変性シリコーンを含む繊維処理剤で糸を処理することができる。
更に詳しくは、本発明のポリウレタン弾性繊維を紡糸した後、パッケージに巻き取るに際し、25℃における動粘度が5〜50センチストークスであるポリアルキルシロキサンと25℃における動粘度が30〜70センチストークスである鉱物油との比が100/0〜50/50であるオイル成分と、該オイル成分100重量部に対して炭素原子数10〜30の脂肪酸金属塩0.1〜10重量部、ポリカルボン酸系共重合物0.001〜5重量部及びポリエーテル変性シリコーン0.00001〜5重量部とを含む繊維処理剤で糸を処理することができる。繊維処理剤には、他に変性シリコーン、リン酸系化合物、タルク、シリカ、コロイダルアルミナ等の鉱物性徴粒子、高級脂肪族アルコール、パラフィン、ポリエチレン、常温で固体のワックス、着色剤、ロジン、顔料、カーボンブラック等を、本発明の効果を損なわない限度において、さらに付与しても構わない。
これらの混合組成からなる繊維処理剤の調整方法は公知の方法により、ボールミル装置、ビーズミル装置、ホモミキサー装置で均一に分散させることができる。湿式ビーズミルで均一分散させることが好ましい。
上記繊維処理剤のポリウレタン弾性繊維への付着量は、処理剤未付与のポリウレタン弾性繊維100重量部に対して、0.5〜10重量部であることが好ましく、さらに好ましくは2〜8重量部である。
本発明で用いるポリウレタン重合体は、高分子ジオールとジイソシアネートとが反応して得られたプレポリマーに、活性水素含有化合物を反応させる公知の方法で得られる。
本発明に用いるポリウレタン重合体に用いられる高分子ジオールとしては、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリエーテルジオール等を挙げることができ、好ましくはポリエーテルジオールであり、より好ましくは1種又は2種以上の炭素数2〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基がエーテル結合しているポリアルキレンエーテルジオールである。
ポリアルキレンエーテルジオールは、1種又は2種以上の炭素数2〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基がエーテル結合しており、かつ、数平均分子量が500〜6000である単一又は共重合ポリアルキレンエーテルジオールである。共重合ポリアルキレンエーテルジオールは、アルキレン基がブロック状又はランダム状にエーテル結合しており、かつ、数平均分子量が500〜6000である共重合ポリアルキレンエーテルジオールである。従来からポリウレタン弾性繊維の原料として広範に用いられている単一重合ポリアルキレンエーテルジオールであるPTMG(ポリテトラメチレンエーテルグリコール)に比較して、2種類以上のアルキレン基からなる共重合ポリアルキレンエーテルジオールを用いた場合には、ポリウレタン成分の65wt%〜85wt%を占めるジオール成分が非晶性であるため、ポリウレタン系重合体がより粘着性を有するため、本発明における効果が一層発揮され易い。
共重合ジオールを用いる場合の利点としては、弾性機能がさらに改善されることが挙げられる。共重合ジオールを用いた場合には、得られるポリウレタン弾性繊維は、優れた弾性機能、すなわち、高い破断伸度、伸長時の歪に対する小さな応力変動、伸長時の応力の小さなヒステリシス損失等を有する。従って、共重合ジオールを用いたポリウレタン弾性繊維を使用したパンティストッキングやアウターは、優れた弾性機能を有し、着用感にも優れ、審美性良好な繊維製品となる。共重合ポリアルキレンエーテルジオールの中でも、得られるポリウレタン弾性繊維の耐水性、耐光性、耐摩耗性および弾性機能等の観点から、ブチレン基、すなわちテトラメチレンエーテルユニットを含む共重合ポリアルキレンエーテルジオールが好ましく、更にはブチレン基、すなわちテトラメチレンエーテルユニットと2,2−ジメチルプロピレン基、すなわちネオペンチレンエーテルユニットとの組み合わせや、テトラメチレンエーテルユニットと2−メチルブチレン基との組み合わせが好ましい。
本発明のポリウレタン重合体に用いられるジイソシアネートとしては、分子内に2個のイソシアネート基を有す公知の脂肪族、脂環族又は芳香族の有機ジイソシアネートが挙げられ、これらを単独又は組み合わせて使用してもよい。具体的には、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の有機ジイソシアネートが挙げられ、好ましくは4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートである。また、有機ジイソシアネートとしては、遊離のイソシアネート基に変換される封鎖されたイソシアネート基を有する化合物を使用してもよい。
本発明のポリウレタン重合体に用いられるイソシアネート基と反応する活性水素含有化合物としては、ポリウレタン重合体における常用の鎖伸長剤、すなわち、イソシアネートと反応し得る水素原子を少なくとも2個含有する分子量500以下の低分子化合物を用いることができる。具体例としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、ヒドラジン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、ジヒドラジド、ピペラジン等のジアミン類、特開平5−155841号公報で開示されたジアミン化合物類、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等のジオール類等が挙げられ、好ましくはエチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、特開平5−155841号公報で開示されたジアミン化合物類が挙げられる。これらの化合物は、単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。また場合により、イソシアネートと反応し得る活性水素を1個含有する化合物と併用してもよい。
ジイソシアネート、高分子ジオール、及び活性水素含有化合物を用いてポリウレタンを製造する方法に関しては、公知のウレタン化反応の技術を採用することができる。また、本発明で用いられる各種化合物の化学量論的割合は、高分子ジオールの水酸基と活性水素含有化合物の活性水素の総和が、ジイソシアネート化合物のイソシアネート基に対して1.00以上1.1当量未満であることが好ましい。
本発明のポリウレタン重合体の比粘度(ηsp/c)は、1.1〜3.5dl/gであることが好ましい。この範囲とすることにより、弾性回復性に優れた弾性繊維となる。尚、ここで比粘度(ηsp/c)とは、N,N’−ジメチルアセトアミド溶媒中における(η/η−1)/Cで計算した値である。ここで、Cは、ポリマー0.5g/DMAC99.5gの溶液粘度(0.5wt%)であり、ηは、オストワルド粘度計による希薄溶液中の落下秒数であり、ηは、同上粘度計によるDMACのみの落下秒数である。
この様にして得られるポリウレタン重合体に、ポリウレタン重合体に有用な公知の有機化合物又は無機化合物の熱安定剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、黄変防止剤、熱変色防止剤、耐プール用殺菌塩素剤、着色剤、ロジン、顔料、カーボンブラック等を、さらに添加してもよい。
本発明のポリウレタン弾性繊維は、タイツ、パンティストッキング、ファウンデーション、靴下留め、口ゴム、コルセット、紙おむつ、外科用の包帯、織物及び編物の水着等の用途に用いることができる。特に、インナー、アウター、レッグ、スポーツウェアー、ジーンズ、水着、及び衛生材からなる群から選ばれる用途に用いられる。
以下、実施例および比較例によって本発明を詳細に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。実施例で述べられている各種の測定法は、以下に述べる方法を用いて行った。
(1)<粘度の測定法>
東機産業株式会社製TVE−20H型 E型粘度計を用いて25℃の雰囲気下で測定した。
(2)<脂肪酸金属塩の平均粒子径の測定法>
あらかじめジメチルアセトアミド溶剤中でスラリー状に均一分散した脂肪酸金属塩の溶液を用いて、ジメチルアセトアミド溶媒を用いたベックマン・コールター株式会社製LS13―320型粒度分布測定装置にて、サンプル液を数滴滴下し、この装置の適正な測定可能濃度に調整した後、体積統計値基準での測定値から平均粒径を求めた。
(3)<ポリウレタン弾性繊維の紡糸方法>
ポリウレタン弾性繊維用紡糸原液を減圧脱泡した後、紡口フィルターとして400メッシュの金網フィルターを用いて、紡糸ノズル(口金は4個又は2個の細孔を有す)の細孔から熱風中210℃に押しだして溶剤を蒸発させた。乾燥された糸条をリング仮撚り機に通過する過程で仮撚りし、ゴッデトローラを経てオイリングローラ上でポリアルキルシロキサン、鉱物油を主成分とする油剤成分をポリウレタン弾性繊維に対して5重量%付着させて、毎分1020m/分の速度で、22デシテックス/2フィラメント及び44デシテックス/4フィラメント(単糸繊度11デシテックス)のポリウレタン弾性繊維500gを各々紙管に巻き取った。製造した糸の強伸度物性及び残留溶剤はポリウレタン弾性繊維として適性の範囲内であった。この弾性繊維を用いて各種評価を行った。
(4)<強伸度物性の測定法>
22デシテックス/2フィラメントの弾性繊維を、引張試験機オリエンテック(株)製UTM−III−100型を用いて測定した。引張試験機にサンプルを掴み間隔50mmでセットし、引張速度500mm/min、温度20℃、湿度65wt%の条件下で測定した。
(5)<紡糸安定性及び吐出圧上昇率の評価法>
22デシテックス/2フィラメント紡糸時の24時間の紡糸中に起こった糸切れ回数で評価した。また濾材として400メッシュの金網フィルターを用いた時の、24時間後の吐出圧の上昇(kgf/cm)を吐出圧上昇率として求めた。
(6)<紙管上への糸の巻姿評価法>
1020m/分の速度で、22デシテックス/2フィラメント(単糸繊度11デシテックス)のポリウレタン弾性繊維500gを紙管に巻き取った。この紙管に巻きとられた糸の巻姿の状態を、サンプル間で相対的に、以下の評価基準に従って5人の目視判定で総合評価した。
○:紙管上の糸の巻姿が整っていて美しい。
△:紙管上の糸の巻姿がやや崩れ始めている。
×:紙管上の糸の巻姿が大いに崩れて美しくない。
(7)<ポリウレタン弾性繊維の紙管からの解除性の評価法>
44デシテックス/4フィラメントポリウレタン弾性繊維を45℃、65%RHの雰囲気にて30日間放置後、紙管を梨地ローラー上に置き、ローラーを回転させながら、ローラー表面速度40m/分で、弾性繊維を送り出す。送り出された弾性繊維を50cm離れた所に設置された同じ径の梨地ローラー上に巻き取る。巻き取るローラー上の表面速度を80m/分から徐々に低下させて、送り出すローラー上の紙管に弾性繊維が紙管にからみついて逆巻きし、弾性繊維が切断されて送り出されなくなった時点の速度Sm/分を測定する。Sm/分の値が小さいほど紙管から弾性糸の糸離れが良いことを示し、これを解除性が良好と判断する。
しかし、逆にあまりに糸離れが良すぎると、紙管に巻かれたポリウレタン弾性繊維を運搬する時に、紙管に巻かれた弾性繊維の紙管外層部の糸が落ち易く、取り扱い上の問題となるので、適正な範囲が存在する。本測定において、好ましい紙管外層の弾性繊維のS(以下SOと表す)は、SO=45〜55m/分、紙管内層の弾性繊維のS(以下SIと表す)は、SI=50〜65m/分である。SIおよびSOがこの範囲に入っているか否かで判断する。SI、SOのいずれかの値がこの範囲をはずれ、値が小さいと運搬時や整経工程で、糸落ちし易く、逆に値が大きいと紙管への逆巻きや糸切れが頻発する場合があり、問題となる。
(8)<ポリウレタン弾性繊維の合着性の評価法>
引張試験機オリエンテック(株)製UTM−III−100型を用いた。温度20℃、湿度65wt%の条件下で以下の方法で測定した。22デシテックス/2フィラメントのフィラメントを手で引き裂いて2つの単糸に分ける。その各々の単糸を、上下のチャックに別々に股を引き裂くようにセットした後に、強伸度測定と同じ条件で応力測定を開始する。2つの単糸を引き離すように引張り、応力を測定すると強く合着している部分は応力が高く、合着が弱い部分は低い値を示す。
図2に測定結果の一例を示す。図2に示したように、測定チャートより応力の平均値と変動幅を求める。測定スタート時をベースラインとして平均値応力(a)が大きく、変動幅(b)が小さければ、ポリウレタン弾性繊維は、フィラメントの合着性が強く良好であると判断できる。図2において、(1)は合着性が良好な例であり、(2)は合着性が不良な例である。
(9)<金属摩擦性評価法>
44デシテックス/4フィラメントの弾性繊維を、25℃、65%RHの雰囲気で30日間放置後、図1の装置を用いて評価した。図1において、1は試験糸、2は送り出しローラー、3はテンションメーター、4は編み針、5は巻き取り部、6は巻き取りローラー、7は試験糸走行糸状であり、8は編み針にかかる糸状がなす角度で29°である。試験糸を、送り速度100m/分、巻き取り速度200m/分の延伸倍率2倍で走行させ、編み針通過前後の試験糸の糸条の走行応力とその応力変動を測定した。図3は測定結果の一例であり、T1、T2は、それぞれ、編み針通過後の走行応力の中心値(g)、編み針通過前の走行応力の中心値(g)である。摩擦係数μdは下記式(1)で与えられる。
μd=Ln(T1/T2)/2.6376・・・式(1)
摩擦係数μdは、値が小さい程、摩擦が小さく良好である。
(10)<生地作成の整経及び編成方法>
44デシテックス/4フィラメントの弾性繊維588本をリバー社製の弾性糸用整経機に取り付け、弾性繊維送り出し速度150m/分、ビーム巻き取り速度300m/分にて整経し、1ビームあたり弾性繊維重量で14.7kgを16ビーム整経した。このように整経したポリウレタン弾性繊維をバックの試験糸とし、ナイロン66加工糸44デシテックス/34フィラメントをフロントとしドラフト率80%で整経し、下記条件のハーフ生地編成条件で編成した。
<編成条件>
編機:36ゲージ/インチ カールマイヤー社製 トリコット編機
組織:フロント 10/23、バック 12/10
ランナー長:フロント120cm/480コース
バック77.6cm/480コース
機上コース:100コース/インチ
この編成工程で15kg/1反の条件で20反編んだ。
(11)<生地品位の評価法>
得られた経編生機を、90℃で1分間精錬し、プレセットとしてテンター仕上げ機を用いて熱処理条件として温度190℃、時間60秒で処理した。次いで、液流染色機を用いて100℃×60分の条件で染色した。ファイナルセットとして、テンター仕上げ機を用いて、熱処理条件180℃×45秒で処理して、経編地の染上げ反を得た。試験糸とナイロン糸を交編させて得られた経編地の生地品位を、サンプル間で相対的に、以下の評価基準に従って5人の目視判定で総合評価した。
◎:経筋がほとんどなく大変美しい。
○:経筋が目立たず美しい。
△:経筋が僅かに目視される。
×:経筋が多く、美しくない。
[参考例1](ポリウレタン重合体溶液及び紡糸用原液(A)の製造)
平均分子量2000のポリテトラメチレングリコール166.6重量部および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート31.2重量部を、窒素ガス気流中95℃において80分間攪拌しつつ反応させて、両末端がイソシアネート基残有のプレポリマーを得た。ついで、これを室温まで冷却した後、ジメチルアセトアミド270重量部を加え、溶解してプレポリマー溶液とした。
一方、エチレンジアミン2.34重量部およびジエチルアミン0.37重量部をジメチルアセトアミド157重量部に溶解し、これを前記プレポリマー溶液に室温で添加して、粘度2050ポイズ(30℃)のポリウレタン重合体溶液を得た。こうして得られた粘調なポリマー溶液に、ポリウレタン重合体のポリマー固形物換算として、1,3,5−トリス(4−ターシャルブチル−3−ヒドロキシ−2、6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン(商品名CYANOX1790)を1.5重量%、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール0.5重量%を加えて紡糸用原液(A)を作成した。
[参考例2]<脂肪酸金属塩分散液1の作製>
ステアリン酸マグネシウム37.5Kgとポリカルボン酸系共重合物(日油株式会社製商品名マリアリムAKM−0531)0.5Kgとポリエーテル変性シリコーン(信越化学工業株式会社製X−22−4952)2.0Kgをジメチルアセトアミド溶剤(212.5Kg)に加えて20分撹拌してステアリン酸マグネシウムのジメチルアセトアミド溶媒中の濃度を15重量%とした。この分散溶液を、0.5mmのジルコニアビーズの入った湿式ビーズミル(アシザワ・ファインテク株式会社製 商品名スターミル LME−20型)を用いて、1.5パス相当のミル循環時間で処理を行い、分散液を作成した。得られた分散液を粒度分布計で測定した結果、平均粒子径は1.5μmであった。
この分散液の作成直後の25℃での粘度は980mm2/sであった。50℃静置での10日後の25℃での粘度は1010mm2/sであり、粘度は安定していた。
[参考例3]<脂肪酸金属塩分散液2の作製>
参考例2と同様な方法で、参考例2の組成からポリカルボン酸系共重合物を除いた、ステアリン酸マグネシウム、ポリエーテル変性シリコーンおよびジメチルアセトアミド溶剤の組成で同様な処理を行ない、脂肪酸金属塩分散液を作製した。ポリカルボン酸系共重合化合物を除いた分散液の平均粒子径は1.5μmであった。
この分散液の作成直後の25℃での粘度は2990mm2/sであった。50℃静置での10日後の25℃での粘度は4880mm2/sであり、増粘していた。
[参考例4]<脂肪酸金属塩分散液3の作製>
(3)参考例2と同様な方法で、参考例2の組成からポリエーテル変性シリコーンを除いた、ステアリン酸マグネシウム、ポリカルボン酸系共重合物およびジメチルアセトアミド溶剤の組成で同様な処理を行ない、脂肪酸金属塩分散液を作製した。得られた分散液の平均粒子径は1.3μであった。この分散液の作成直後の25℃での粘度は1890mm2/sであった。50℃静置10日後の25℃での粘度は2170mm2/sであり、やや増粘していた。
[実施例1〜5及び比較例1、2]
表1記載の実施例1〜5および比較例1、2の組成になるように、参考例2〜4と同様な方法で作成した分散液を参考例1で作成した紡糸用原液(A)に均一に混合して各紡糸原液を作成した。但し、添加量は、ポリウレタン重合体100重量部に対して表1記載の組成になるように調整した。
次いで、得られた各紡糸原液を用いて、上記<ポリウレタン弾性繊維の紡糸方法>に従ってポリウレタン弾性繊維を製造し、得られた糸を用いて各種評価を行った結果を表2に記載した。
Figure 2015206151
Figure 2015206151
[実施例6、7及び比較例3〜5]
参考例1で作成した紡糸用原液(A)を用いて、上記<ポリウレタン弾性繊維の紡糸方法>に従って、22デシテックス/2フィラメント及び44デシテックス/4フィラメントのポリウレタン弾性繊維を製造した。但し、紙管に巻きとる前に付着させる油剤として、表3記載の各繊維処理剤組成物を用い、ポリウレタン弾性繊維100重量部に対し繊維処理剤5重量部をノズルオイリング装置で均一に付着させた後に、各実施例および比較例のポリウレタン弾性繊維を各500g巻き取った。得られた糸を用いて各種評価を行った結果を表4に記載した。
Figure 2015206151
Figure 2015206151
本発明によるポリウレタン弾性繊維は、細糸生産においても長期間、安定に紡糸が可能であり、加工工程での糸切れも少なく、対金属摩擦特性も良好である。よって、該ポリウレタン弾性繊維を用いて作成された生地は表面品位が均一で商品価値が優れている。
1 試験糸
2 送り出しローラー
3 テンションメーター
4 編み針
5 巻き取り部
6 巻き取りローラー
7 試験糸走行糸条
8 編み針にかかる糸条がなす角度=29°

Claims (7)

  1. ポリウレタン重合体100重量部に対して、炭素原子数10〜30の脂肪酸金属塩を0.001〜3重量部、ポリカルボン酸系共重合化合物を0.00001〜5重量部及びポリエーテル変性シリコーンを0.00001〜5重量部含むことを特徴とするポリウレタン弾性繊維。
  2. 前記脂肪酸金属塩を構成する脂肪酸がステアリン酸及びパルチミン酸からなる群から選ばれ、かつ、構成する金属がマグネシウム、カルシウム、アルミニウム及び亜鉛からなる群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン弾性繊維。
  3. ポリカルボン酸系共重合化合物が、ポリオキシアルキレン誘導体と不飽和カルボン酸化合物との共重合化合物であり、かつその主鎖にポリカルボン酸基を、そしてそのグラフト鎖にポリオキシアルキレン基を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のポリウレタン弾性繊維。
  4. ポリエーテル変性シリコーンが側鎖型ポリエーテル変性シリコーン及び/又は両末端型ポリエーテル変性シリコーンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリウレタン弾性繊維。
  5. ポリエーテル変性シリコーンのHLB特性値が0〜16であり、25℃での粘度が1000mm2/s以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリウレタン弾性繊維。
  6. ポリウレタン重合体100重量部と、該ポリウレタン重合体100重量部に対して、炭素原子数10〜30の脂肪酸金属塩0.001〜3重量部、ポリカルボン酸系共重合化合物0.00001〜5重量部及びポリエーテル変性シリコーン0.00001〜5重量部とをアミド系溶剤に溶解及び混合して紡糸原液を作製する工程、得られた紡糸原液を乾式紡糸法で紡糸する工程、および得られた糸を巻き取る工程からなる請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリウレタン弾性繊維の製造方法。
  7. ポリウレタン重合体をアミド系溶剤に溶解および混合して紡糸原液を作製する工程、得られた紡糸原液を乾式紡糸法で紡糸する工程、25℃における動粘度が5〜50センチストークスであるポリアルキルシロキサンと25℃における動粘度が30〜70センチストークスである鉱物油との比(ポリアルキルシロキサン/鉱物油)が100/0〜50/50であるオイル成分と、該オイル成分100重量部に対して、炭素原子数10〜30の脂肪酸金属塩0.1〜10重量部、ポリカルボン酸系共重合物0.001〜5重量部及びポリエーテル変性シリコーン0.00001〜5重量部とを含む繊維処理剤を紡糸された糸に付着する工程、および付着後の糸を巻き取る工程からなる請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリウレタン弾性繊維の製造方法。
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