[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤及び無機充填材を含有し、無機充填材が三級アミノ基を有するシラン化合物で表面処理されており、該三級アミノ基のN原子に結合する置換基がアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基からなる群から選択されるか、又は該三級アミノ基がピリジン環内の三級アミノ基であることを特徴とする。
<エポキシ樹脂>
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂及びトリメチロール型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、耐熱性、絶縁信頼性、及び導体層との密着性(ピール強度)に優れる絶縁層を得る観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂からなる群から選択される1種以上が好ましい。
エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂の不揮発成分を100質量%とした場合に、少なくとも50質量%以上は1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であるのが好ましい。中でも、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下、「液状エポキシ樹脂」という。)と、1分子中に3個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下、「固体状エポキシ樹脂」という。)とを含むことが好ましい。エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用することで、優れた可撓性を有する樹脂組成物が得られる。また、樹脂組成物を硬化して形成される絶縁層の破断強度も向上する。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、及びナフタレン型エポキシ樹脂がより好ましい。液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製の「HP4032」、「HP4032H」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「jER828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER807」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂)、新日鉄住金化学(株)製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品)、ナガセケムテックス(株)製の「EX−721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂)、ダイセル化学工業(株)製の「PB−3600」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂)が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
固体状エポキシ樹脂としては、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂が好ましく、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂がより好ましい。固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製の「HP−4700」、「HP−4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂)、「N−690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「N−695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「HP−7200」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)、「EXA7311」、「EXA7311−G3」、「EXA7311−G4」、「EXA7311−G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂)、日本化薬(株)製の「EPPN−502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂)、「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、新日鉄住金化学(株)製の「ESN475V」(ナフトール型エポキシ樹脂)、「ESN485V」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「YX4000H」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂)、「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂)、大阪ガスケミカル(株)製の「PG−100」、「CG−500」、三菱化学(株)製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。
エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用する場合、それらの量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.1〜1:8の範囲が好ましい。液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との量比を斯かる範囲とすることにより、i)シート状積層材料の形態で使用する場合に適度な粘着性がもたらされる、ii)シート状積層材料の形態で使用する場合に十分な可撓性が得られ、取り扱い性が向上する、並びにiii)十分な破断強度を有する絶縁層を得ることができるなどの効果が得られる。上記i)〜iii)の効果の観点から、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂の量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.3〜1:7の範囲がより好ましく、1:0.6〜1:6.5の範囲がさらに好ましく、1:0.8〜1:6の範囲が特に好ましい。
本発明の樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは3質量%〜40質量%、より好ましくは5質量%〜35質量%、さらに好ましくは10質量%〜30質量%である。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50〜3000、より好ましくは80〜2000、さらに好ましくは110〜1000である。この範囲となることで、硬化物の架橋密度が十分となり表面粗さの小さい絶縁層をもたらすことができる。なお、エポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができ、1当量のエポキシ基を含む樹脂の質量である。
<硬化剤>
硬化剤としては、エポキシ樹脂を硬化する機能を有する限り特に限定されず、例えば、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、及び酸無水物系硬化剤が挙げられる。硬化剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、粗化処理後の表面粗さが小さく且つ導体層との密着性に優れる絶縁層を得る観点から、フェノール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、及びシアネートエステル系硬化剤からなる群から選択される1種以上が好ましい。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤としては、耐熱性及び耐水性の観点から、ノボラック構造を有するフェノール系硬化剤、又はノボラック構造を有するナフトール系硬化剤が好ましい。また、導体層との密着性の観点から、含窒素フェノール系硬化剤又は含窒素ナフトール系硬化剤が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤又はトリアジン骨格含有ナフトール系硬化剤がより好ましい。中でも、耐熱性、耐水性、及び導体層との密着性を高度に満足させる観点から、トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂が好ましい。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤の具体例としては、例えば、明和化成(株)製の「MEH−7700」、「MEH−7810」、「MEH−7851」、日本化薬(株)製の「NHN」、「CBN」、「GPH」、新日鉄住金(株)製の「SN170」、「SN180」、「SN190」、「SN475」、「SN485」、「SN495」、「SN375」、「SN395」、DIC(株)製の「LA7052」、「LA7054」、「LA3018」等が挙げられる。
粗化処理後に表面粗さの小さい絶縁層を得る観点から、活性エステル系硬化剤は特に好ましい。したがって、好適な一実施形態において、本発明の樹脂組成物は、活性エステル系硬化剤を含む硬化剤を含有する。活性エステル系硬化剤としては、特に制限はないが、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。該活性エステル系硬化剤は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系硬化剤がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えばハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
具体的には、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物が好ましく、中でもナフタレン構造を含む活性エステル化合物、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物がより好ましい。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造」とは、フェニレン−ジシクロペンタレン−フェニレンからなる2価の構造単位を表す。
活性エステル系硬化剤としては、特開2004−277460号公報に開示されている活性エステル系硬化剤を用いてもよく、市販品を用いてもよい。活性エステル系硬化剤の市販品としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC−8000−65T」(DIC(株)製)、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「EXB9416−70BK」(DIC(株)製)、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物として「DC808」(三菱化学(株)製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物として「YLH1026」(三菱化学(株)製)等が挙げられ、中でもHPC−8000−65Tが樹脂ワニスの保存安定性、絶縁層の熱膨張率の観点から好ましい。
ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル系硬化剤として、より具体的には、式(a)で表される化合物が挙げられる。
(式中、Rはフェニル基又はナフチル基を表し、kは0又は1を表し、nは繰り返し単位の平均数を表し0.05〜2.5の数である。)
誘電正接を低下させ、耐熱性を向上させるという観点から、Rはナフチル基が好ましく、kは0が好ましく、nは0.25〜1.5が好ましい。
シアネートエステル系硬化剤としては、特に制限はないが、ノボラック型(フェノールノボラック型、アルキルフェノールノボラック型など)シアネートエステル系硬化剤、ジシクロペンタジエン型シアネートエステル系硬化剤、ビスフェノール型(ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型など)シアネートエステル系硬化剤、及びこれらが一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、500〜4500が好ましく、600〜3000がより好ましい。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート、オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアネート)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、4,4’−エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2−ビス(4−シアネート)フェニルプロパン、1,1−ビス(4−シアネートフェニルメタン)、ビス(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス(4−シアネートフェニル−1−(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4−シアネートフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック、クレゾールノボラック及びジシクロペンタジエン構造含有フェノール樹脂等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シアネートエステル系硬化剤の市販品としては、式(b)で表されるフェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン(株)製「PT30」、シアネート当量124)、下式(c)で表されるビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー(ロンザジャパン(株)製「BA230」、シアネート当量232)、下式(d)で表されるジシクロペンタジエン構造含有シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン(株)製「DT−4000」、「DT−7000」)等が挙げられる。
(式中、nは繰り返し単位の平均数を表し任意の数(好ましくは0〜20)である。)
(式中、nは繰り返し単位の平均数を表し0〜5の数である。)
ベンゾオキサジン系硬化剤としては、特に限定されず、例えば、F−a、P−d(四国化成(株)製)、HFB2006M(昭和高分子(株)製)などが挙げられる。
酸無水物系硬化剤としては、特に限定されず、例えば、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンソフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3’−4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−C]フラン−1,3−ジオン、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、スチレンとマレイン酸が共重合したスチレン・マレイン酸樹脂などのポリマー型の酸無水物などが挙げられる。
エポキシ樹脂と硬化剤との量比は、得られる絶縁層の機械強度や耐水性を向上させる観点から、[エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数]:[硬化剤の反応基の合計数]の比率で、1:0.2〜1:2の範囲が好ましく、1:0.3〜1:1.5の範囲がより好ましく、1:0.4〜1:1.2の範囲がさらに好ましい。ここで、硬化剤の反応基とは、活性水酸基、活性エステル基等であり、硬化剤の種類によって異なる。また、エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数とは、各エポキシ樹脂の固形分質量をエポキシ当量で除した値をすべてのエポキシ樹脂について合計した値であり、硬化剤の反応基の合計数とは、各硬化剤の固形分質量を反応基当量で除した値をすべての硬化剤について合計した値である。
<無機充填材>
無機充填材としては、特に限定されないが、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でも無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等のシリカが特に好適である。またシリカとしては球形シリカが好ましい。無機充填材は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。市販されている球形溶融シリカとして、(株)アドマテックス製「SOC2」、「SOC1」が挙げられる。
無機充填材の平均粒径は、特に限定されないが、その上に微細な配線を形成し得る絶縁層を得る観点から、5μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましく、1μm以下がさらに好ましく、0.7μm以下がさらにより好ましく、0.5μm以下、0.4μm以下、又は0.3μm以下が特に好ましい。一方、樹脂組成物を使用して樹脂ワニスを形成する際に適度な粘度を有し取り扱い性の良好な樹脂ワニスを得る観点から、無機充填材の平均粒径は、0.01μm以上が好ましく、0.03μm以上がより好ましく、0.05μm以上がさらに好ましく、0.07μm以上がさらにより好ましく、0.1μm以上が特に好ましい。無機充填材の平均粒径はミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折式粒度分布測定装置により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折式粒度分布測定装置としては、(株)堀場製作所製「LA−500」、「LA−750」、「LA−950」等を使用することができる。
樹脂組成物中の無機充填材の含有量は、得られる絶縁層の熱膨張率を低下させる観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、55質量%以上、60質量%以上、又は65質量%以上がさらにより好ましい。また、得られる絶縁層の機械強度を向上させる観点から、90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましく、80質量%以下がさらに好ましい。
無機充填材は、樹脂ワニスの分散安定性を向上させる観点、粗化処理後に表面粗さの小さい絶縁層を得る観点から、予めシラザン化合物で表面処理されていてもよい。シラザン化合物で表面処理した後に、後述する特定の三級アミノ基を有するシラン化合物で表面処理することで、分散性向上、導体層との親和性向上の点でさらに有利となる。シラザン化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、オクタメチルトリシラザン、ヘキサ(tert−ブチル)ジシラザン、ヘキサブチルジシラザン、ヘキサオクチルジシラザン、1,3−ジエチルテトラメチルジシラザン、1,3−ジ−n−オクチルテトラメチルジシラザン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシラザン、1,3−ジメチルテトラフェニルジシラザン、1,3−ジエチルテトラメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジメチルジシラザン、1,3−ジプロピルテトラメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ジメチルアミノトリメチルシラザン、トリシラザン、シクロトリシラザン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルシクロトリシラザン等が挙げられ、特にヘキサメチルジシラザンが好ましい。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ヘキサメチルジシラザンで表面処理した球状溶融シリカとしては、(株)アドマテックス製「SC2050−SQ」が挙げられる。
本発明において、無機充填材の表面処理に使用する、三級アミノ基を有するシラン化合物は、該三級アミノ基のN原子に結合する置換基がアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基からなる群から選択されるか、又は該三級アミノ基がピリジン環内の三級アミノ基であることを特徴とする。斯かる特定の三級アミノ基を有するシラン化合物で表面処理された無機充填材を使用することによって、最低溶融粘度が適切な範囲にあり良好なラミネート性を示す樹脂組成物層をもたらすと共に、粗化処理後の表面粗さが小さいにもかかわらずその上に十分なピール強度を有する導体層を形成することができる絶縁層をもたらす、樹脂組成物を実現し得ることを本発明者らは見出している。
三級アミノ基を有するシラン化合物において、該三級アミノ基のN原子に置換基として結合するアルキル基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。該アルキル基の炭素原子数は、樹脂組成物を使用して樹脂ワニスを形成する際に適度な粘度を有する樹脂ワニスが得られる観点から、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4である。該アルキル基の特に好適な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
三級アミノ基を有するシラン化合物において、該三級アミノ基のN原子に置換基として結合するシクロアルキル基の炭素原子数は、樹脂組成物を使用して樹脂ワニスを形成する際に適度な粘度を有する樹脂ワニスが得られる観点から、好ましくは3〜10、より好ましくは3〜6である。該シクロアルキル基の特に好適な例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
三級アミノ基を有するシラン化合物において、該三級アミノ基のN原子に置換基として結合するアリール基の炭素原子数は、樹脂組成物を使用して樹脂ワニスを形成する際に適度な粘度を有する樹脂ワニスが得られる観点から、好ましくは6〜14、より好ましくは6〜10である。該アリール基の特に好適な例としては、フェニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基が挙げられる。
好適な一実施形態において、三級アミノ基を有するシラン化合物において、該三級アミノ基のN原子に結合する置換基は、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基及び炭素原子数6〜14のアリール基からなる群から選択される。三級アミノ基を有するシラン化合物において、三級アミノ基のN原子に結合する3つの置換基のうち、1つ又は2つの置換基(好ましくは1つの置換基)はシリル基又はシリル基を含有する基である。よって、三級アミノ基を有するシラン化合物において、該三級アミノ基のN原子に結合する1つ又は2つの置換基、好ましくは2つの置換基が、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基及び炭素原子数6〜14のアリール基からなる群から選択される。中でも、該三級アミノ基のN原子に結合する置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、フェニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基、及びナフチル基からなる群から選択されることが好ましい。
三級アミノ基を有するシラン化合物において、三級アミノ基のN原子に結合する少なくとも1つの置換基は、シリル基又はシリル基を含有する基である。導体層との密着性に優れる絶縁層を得る観点から、シリル基は、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基及びアリールオキシ基からなる群から選択される2つ又は3つの基を有することが好ましく、アルコキシ基を2つ又は3つ有することがより好ましい。該アルコキシ基の炭素原子数は、好ましくは1〜3、より好ましくは1又は2である。シリル基がシクロアルキルオキシ基を有する場合、該シクロアルキルオキシ基の炭素原子数は、好ましくは3〜6である。シリル基がアリールオキシ基を有する場合、該アリールオキシ基の炭素原子数は、好ましくは6〜10である。
一実施形態において、三級アミノ基を有するシラン化合物は、式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物からなる群から選択される。
(式中、
R
1及びR
2は、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表し、
R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表し、
L
1及びL
2は、単結合又は置換基を有していてもよいアルキレン基を表し、
mは0〜3の整数を表す。R
3が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、R
4が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。)
R1及びR2で表されるアルキル基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。樹脂組成物を使用して樹脂ワニスを形成する際に適度な粘度を有する樹脂ワニスが得られる観点から、R1及びR2で表されるアルキル基の炭素原子数は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4である。該アルキル基の特に好適な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
上記と同様の観点から、R1及びR2で表されるシクロアルキル基の炭素原子数は、好ましくは3〜10、より好ましくは3〜6である。該シクロアルキル基の特に好適な例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
上記と同様の観点から、R1及びR2で表されるアリール基の炭素原子数は、好ましくは6〜14、より好ましくは6〜10である。該アリール基の特に好適な例としては、フェニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基が挙げられる。
好適な一実施形態において、R1及びR2は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、フェニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基、及びナフチル基からなる群から選択される。さらに好適な一実施形態において、R1及びR2は、メチル基、エチル基、プロピル基からなる群から選択される。
L1及びL2におけるアルキレン基の炭素原子数は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4、さらにより好ましくは1〜3である。該アルキレン基の特に好適な例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基が挙げられる。
L1及びL2におけるアルキレン基は置換基を有していてもよい。置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。該置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基が挙げられ、アルキル基が好ましい。該アルキル基、シクロアルキル基及びアリール基の炭素原子数は、R1及びR2で表されるアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基の炭素原子数とそれぞれ同様である。
式(1)及び式(2)中、mは、導体層との密着性に優れる絶縁層を得る観点から、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
式(1)及び式(2)中、R3で表されるアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基の炭素原子数は、R1及びR2で表されるアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基の炭素原子数とそれぞれ同様である。好適な一実施形態において、R3は、アルキル基である。
式(1)及び式(2)中、R4で表されるアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基の炭素原子数は、R1及びR2で表されるアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基の炭素原子数とそれぞれ同様である。
特に好適な一実施形態において、三級アミノ基を有するシラン化合物は、N,N−ジメチル−(トリメトキシシリル)−メチルアミン、N,N−ジエチル−(トリメトキシシリル)−メチルアミン、N,N−ジメチル−2−(トリメトキシシリル)−エチルアミン、N,N−ジエチル−2−(トリメトキシシリル)−エチルアミン、N,N−ジメチル−3−(トリメトキシシリル)−プロピルアミン、N,N−ジエチル−3−(トリメトキシシリル)−プロピルアミン、2−[1−(トリメトキシシリル)エチル]ピリジン、2−[2−(トリメトキシシリル)エチル]ピリジンからなる群から選択される。
三級アミノ基を有するシラン化合物は、1種単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記特定の三級アミノ基を有するシラン化合物は、無機充填材の表面処理時に有毒ガスなどの発生もなく生産性や環境面において優れている。また、上記特定の三級アミノ基を有するシラン化合物は、反応性有機官能基を有するカップリング剤と異なり、樹脂と反応する官能基を含まないため、樹脂組成物(ひいては該樹脂組成物を用いて形成したシート状積層材料)の保存安定性を向上させ得る点で優れている。更に、上記特定の三級アミノ基を有するシラン化合物は、無機充填材の疎水性を向上させるアルコキシシラン化合物(詳細は後述する。)に比し、より親水性である。このため、該樹脂組成物を使用してプリント配線板を製造するに際し、ビアホール形成時にビアホール内部(特にビアホール底部)に生成する樹脂残渣(スミア)は、粗化処理により除去し易い。上記特定の三級アミノ基を有するシラン化合物で表面処理された無機充填材を使用することにより、活性エステル系硬化剤を含む硬化剤を使用する場合など、除去し難いスミアの発生に帰着し易い場合であっても、スミアを効果的に除去することができる。このように、特定の三級アミノ基を有するシラン化合物で表面処理された無機充填材を使用する本発明においては、良好なラミネート性、低粗度、高ピール強度に加えて、優れた保存安定性及びスミア除去性も実現される。
三級アミノ基を有するシラン化合物の分子量は、表面処理時や乾燥時の揮発を防止する観点から、好ましくは100以上、より好ましくは110以上、さらに好ましくは120以上である。該分子量の上限は、適切な反応性を得る観点から、好ましくは1000以下、より好ましくは700以下、さらに好ましくは400以下である。該シラン化合物の市販品としては、例えば、信越化学工業(株)製「X−12−1170」(2−[1−(トリメトキシシリル)エチル]ピリジンと2−[2−(トリメトキシシリル)エチル]ピリジンの混合物)、Gelest, Inc.製「N,N−ジメチル−3−(トリメトキシシリル)−プロピルアミン」、「N,N−ジエチル−3−(トリメトキシシリル)−プロピルアミン」等が挙げられる。
無機充填材の表面処理に使用する三級アミノ基を有するシラン化合物の量は特に限定されないが、無機充填材100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.005質量部以上、さらに好ましくは0.01質量部以上、さらにより好ましくは0.03質量部以上である。該シラン化合物の量の上限は、無機充填材100質量部に対して、好ましくは4質量部以下、より好ましくは2質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下である。
無機充填材は、三級アミノ基を有するシラン化合物により表面処理した後、樹脂組成物に添加することが好ましい。この場合には、無機充填材の分散性をより一層高めることができる。
表面処理の方法は、特に限定されず、例えば、乾式法、湿式法が挙げられる。乾式法による表面処理は、以下の手順で実施してよい。まず、回転ミキサーに無機充填材を仕込んで、攪拌しながら三級アミノ基を有するシラン化合物を滴下又は噴霧する。次いで、さらに攪拌し、ふるいにより分級した後、加熱により三級アミノ基を有するシラン化合物と無機充填材とを脱水縮合させる。湿式法による表面処理は、以下の手順で実施してよい。まず、無機充填材と溶媒/分散媒とを含むスラリーを攪拌しながら三級アミノ基を有するシラン化合物を添加し、攪拌する。次いで、得られた混合物を濾過し、乾燥して、ふるいによる分級を行う。その後、加熱により三級アミノ基を有するシラン化合物と無機充填材とを脱水縮合させる。
上記の事前の表面処理に代えて、又は、それに加えて、三級アミノ基を有するシラン化合物を樹脂組成物に別途添加するインテグラルブレンド法を実施してもよい。
本発明の樹脂組成物において、分散安定性、保存安定性を一層向上させる観点から、無機充填材は、さらにアルコキシシラン化合物で表面処理されていてもよい。
アルコキシシラン化合物は、少なくとも1つのアルコキシ基を有するシラン化合物である。但し、アルコキシシラン化合物は、上記特定の三級アミノ基を有するシラン化合物以外の化合物である。アルコキシシラン化合物において、Si原子に結合する4つの置換基のうち、少なくとも1つの置換基がアルコキシ基であり、残りの置換基がアルコキシ基以外の有機基であることが好ましく、2つ又は3つの置換基がアルコキシ基であり、残りの置換基がアルコキシ基以外の有機基であることがより好ましく、3つの置換基がアルコキシ基であり、1つの置換基がアルコキシ基以外の有機基であることがさらに好ましい。
アルコキシシラン化合物において、アルコキシ基は直鎖状であっても分岐状であってもよい。該アルコキシ基の炭素原子数は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4である。該アルコキシ基の特に好適な例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられる。
アルコキシシラン化合物において、アルコキシ基以外の有機基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基が挙げられ、中でも、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基が好ましい。したがって好適な一実施形態において、アルコキシシラン化合物は、アルキル基、シクロアルキル基及びアリール基からなる群から選択される1種以上の基を含む。アルキル基、シクロアルキル基、アリール基の炭素原子数は、R1及びR2で表されるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基の炭素原子数とそれぞれ同様である。したがって好適な一実施形態において、アルコキシシラン化合物は、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基及び炭素原子数6〜14のアリール基からなる群から選択される1種以上の基を含む。
アルコキシシラン化合物の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等が挙げられる。アルコキシシラン化合物は市販品を使用してもよく、該市販品の例としては、信越化学工業(株)製「KBM−103」(フェニルトリメトキシシラン)が挙げられる。
アルコキシシラン化合物は、1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、アルコキシシラン化合物による表面処理の方法は、三級アミノ基を有するシラン化合物について説明した方法と同様とし得る。
本発明の樹脂組成物において、無機充填材は、シランカップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤等でさらに表面処理されていてもよいが、優れた保存安定性を実現する観点から、これらカップリング剤で表面処理されていないことが好ましい。
無機充填材の表面処理後、無機充填材の表面に結合している単位面積当たりのカーボン量は、好ましくは0.05mg/m2以上、より好ましくは0.08mg/m2以上、さらに好ましくは0.11mg/m2以上、さらにより好ましくは0.14mg/m2以上、特に好ましくは0.17mg/m2以上、0.20mg/m2以上、0.23mg/m2以上、又は0.26mg/m2以上である。該カーボン量の上限は、好ましくは1.00mg/m2以下、より好ましくは0.75mg/m2以下、さらに好ましくは0.70mg/m2以下、さらにより好ましくは0.65mg/m2以下、0.60mg/m2以下、0.55mg/m2以下、0.50mg/m2以下である。カーボン量が斯かる範囲である場合、良好なラミネート性、低粗度、高ピール強度といった本発明の効果をより有利に享受することができる。
無機充填材の表面に結合している単位面積当たりのカーボン量は、以下の手順で算出することができる。表面処理後の無機充填材に溶剤として十分な量のメチルエチルケトン(MEK)を加えて、超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の表面に結合しているカーボン量を測定する。得られたカーボン量を無機充填材の比表面積で除すことにより、無機充填材に結合している単位面積当たりのカーボン量を算出する。カーボン分析計としては、例えば、(株)堀場製作所製「EMIA−320V」等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、さらに硬化促進剤、熱可塑性樹脂、難燃剤及びゴム粒子からなる群から選択される1種以上の添加剤を含んでいてもよい。
<硬化促進剤>
樹脂組成物にさらに硬化促進剤を含有させることにより、エポキシ樹脂と硬化剤をより効率的に反応させることができる。硬化促進剤としては、特に限定されないが、例えば、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤等が挙げられ、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤が好ましい。硬化促進剤は、1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ホスホニウムボレート化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、n−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、(4−メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられ、トリフェニルホスフィン、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩が好ましい。
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのトリアルキルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン等が挙げられ、4−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセンが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられ、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾールが好ましい。
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1−メチルグアニジン、1−エチルグアニジン、1−シクロヘキシルグアニジン、1−フェニルグアニジン、1−(o−トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、1−メチルビグアニド、1−エチルビグアニド、1−n−ブチルビグアニド、1−n−オクタデシルビグアニド、1,1−ジメチルビグアニド、1,1−ジエチルビグアニド、1−シクロヘキシルビグアニド、1−アリルビグアニド、1−フェニルビグアニド、1−(o−トリル)ビグアニド等が挙げられ、ジシアンジアミド、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エンが好ましい。
樹脂組成物中の硬化促進剤(金属系硬化促進剤を除く)の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.005〜1質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%である。
金属系硬化促進剤としては、特に限定されないが、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体などが挙げられる。有機金属塩の具体例としては、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛などが挙げられる。
樹脂組成物中の金属系硬化促進剤の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、金属系硬化触媒に基づく金属の量が好ましくは25〜500ppm、より好ましくは40〜200ppmである。
<熱可塑性樹脂>
樹脂組成物にさらに熱可塑性樹脂を含有させることにより、得られる絶縁層の機械強度を向上させることができ、更に接着フィルム等のシート状積層材料の形態で使用する場合のフィルム成型能を向上させることもできる。熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は8,000〜70,000の範囲が好ましく、10,000〜60,000の範囲がより好ましく、20,000〜60,000の範囲がさらに好ましい。熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される。具体的には、熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、測定装置として(株)島津製作所製LC−9A/RID−6Aを、カラムとして昭和電工(株)製Shodex K−800P/K−804L/K−804Lを、移動相としてクロロホルム等を用いて、カラム温度40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、及びトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。フェノキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱化学(株)製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂)、「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂)、及び「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂)が挙げられ、その他にも、新日鉄住金(株)製の「FX280」及び「FX293」、三菱化学(株)製の「YL7553」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」及び「YL7482」等が挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、電気化学工業(株)製の電化ブチラール4000−2、5000−A、6000−C、6000−EP、積水化学工業(株)製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ、KSシリーズ、BLシリーズ、BMシリーズ等が挙げられる。
ポリイミド樹脂の具体例としては、新日本理化(株)製の「リカコートSN20」及び「リカコートPN20」が挙げられる。ポリイミド樹脂の具体例としてはまた、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を反応させて得られる線状ポリイミド(特開2006−37083号公報)、ポリシロキサン骨格含有ポリイミド(特開2002−12667号公報及び特開2000−319386号公報等)等の変性ポリイミドが挙げられる。
ポリアミドイミド樹脂の具体例としては、東洋紡績(株)製の「バイロマックスHR11NN」及び「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。ポリアミドイミド樹脂の具体例としてはまた、日立化成工業(株)製のポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド「KS9100」、「KS9300」等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。
ポリエーテルスルホン樹脂の具体例としては、住友化学(株)製の「PES5003P」等が挙げられる。
ポリスルホン樹脂の具体例としては、ソルベイアドバンストポリマーズ(株)製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
樹脂組成物中の熱可塑性樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは1〜5質量%である。
<ゴム粒子>
樹脂組成物にさらにゴム粒子を含有させることにより、導体層との密着性に一層優れる絶縁層を得ることができ、穴あけ加工性の向上、誘電正接の低下、応力緩和効果を得ることもできる。ゴム粒子としては、例えば、後述する樹脂ワニスの調製に使用する有機溶剤に溶解せず、上述のエポキシ樹脂、硬化剤、及び熱可塑性樹脂などとも相溶しないものが使用される。このようなゴム粒子は、一般には、ゴム成分の分子量を有機溶剤や樹脂に溶解しないレベルまで大きくし、粒子状とすることで調製される。
ゴム粒子としては、例えば、コアシェル型ゴム粒子、架橋アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、架橋スチレンブタジエンゴム粒子、アクリルゴム粒子などが挙げられる。コアシェル型ゴム粒子は、コア層とシェル層とを有するゴム粒子であり、例えば、外層のシェル層がガラス状ポリマーで構成され、内層のコア層がゴム状ポリマーで構成される2層構造、又は外層のシェル層がガラス状ポリマーで構成され、中間層がゴム状ポリマーで構成され、コア層がガラス状ポリマーで構成される3層構造のものなどが挙げられる。ガラス状ポリマー層は、例えば、メチルメタクリレート重合物などで構成され、ゴム状ポリマー層は、例えば、ブチルアクリレート重合物(ブチルゴム)などで構成される。ゴム粒子は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。コアシェル型ゴム粒子の具体例としては、スタフィロイドAC3832、AC3816N、IM−401改1、IM−401改7−17(商品名、ガンツ化成(株)製)、メタブレンKW−4426(商品名、三菱レイヨン(株)製)が挙げられる。架橋アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)粒子の具体例としては、XER−91(平均粒径0.5μm、JSR(株)製)などが挙げられる。架橋スチレンブタジエンゴム(SBR)粒子の具体例としては、XSK−500(平均粒径0.5μm、JSR(株)製)などが挙げられる。アクリルゴム粒子の具体例としては、メタブレンW300A(平均粒径0.1μm)、W450A(平均粒径0.2μm)(三菱レイヨン(株)製)を挙げることができる。
ゴム粒子の平均粒径は、好ましくは0.005〜1μm、より好ましくは0.2〜0.6μmである。ゴム粒子の平均粒径は、動的光散乱法を用いて測定することができる。例えば、適当な有機溶剤にゴム粒子を超音波などにより均一に分散させ、濃厚系粒径アナライザー(FPAR−1000;大塚電子(株)製)を用いて、ゴム粒子の粒度分布を質量基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。
樹脂組成物中のゴム粒子の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.3〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%である。
<難燃剤>
樹脂組成物にさらに難燃剤を含有させることにより、難燃性を付与することができる。難燃剤としては、例えば、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。難燃剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。樹脂組成物層中の難燃剤の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは1質量%〜15質量%である。
<他の成分>
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて他の成分を含有してもよい。斯かる他の成分としては、有機銅化合物、有機亜鉛化合物及び有機コバルト化合物等の有機金属化合物、並びに有機フィラー、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、及び着色剤等の樹脂添加剤等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、例えば、上記の配合成分を、必要により溶媒等を添加し、回転ミキサーなどを用いて混合することにより調製することができる。
本発明の樹脂組成物は、先述のとおり、粗化処理後に表面粗さの小さい絶縁層をもたらすことができる。本発明の樹脂組成物を硬化して絶縁層を形成し、その絶縁層表面を粗化処理した後の算術平均粗さ(Ra値)は、後述する<粗化処理後の算術平均粗さ(Ra値)の測定>に記載の方法に従って測定することができる。
該算術平均粗さ(Ra値)は、電気信号の伝送ロスを軽減する観点から、好ましくは200nm以下、より好ましくは190nm以下、さらに好ましくは180nm以下、さらにより好ましくは170nm、160nm、150nm以下、140nm以下、又は130nm以下である。Ra値の上限は、導体層との密着性を安定化させる観点から、10nm以上、20nm以上、30nm以上などとなる。
本発明の樹脂組成物は、粗化処理後の表面粗さが上記のとおり低いもかかわらず、その上に十分なピール強度を有する導体層を形成することができる絶縁層をもたらす。本発明の樹脂組成物を硬化して絶縁層を形成し、その絶縁層表面を粗化処理し、メッキして得られる導体層と絶縁層とのピール強度は、後述する<メッキ導体層のピール強度の測定>に記載の方法に従って測定することができる。
該ピール強度は、好ましくは0.45kgf/cm以上、より好ましくは0.5kgf/cm以上、さらに好ましくは0.55kgf/cm以上である。該ピール強度の上限は特に限定されないが、通常、1.5kgf/cm以下、1.0kgf/cm以下などとなる。
本発明の樹脂組成物は、種々の用途に使用できる。例えば、本発明の樹脂組成物は、接着フィルム、プリプレグ等のシート状積層材料、回路基板、プリント配線板(2層配線板、多層プリント配線板等)、ソルダーレジスト、アンダーフィル材、ダイボンディング材、半導体封止材、穴埋め樹脂、部品埋め込み樹脂等、樹脂組成物が必要とされる広範囲な用途に使用できる。中でも、プリント配線板の絶縁層を形成するための樹脂組成物(プリント配線板の絶縁層用樹脂組成物)として好適に使用することができ、ビルドアップ方式によるプリント配線板の製造において、絶縁層を形成するための樹脂組成物(プリント配線板のビルドアップ絶縁層用樹脂組成物)としてより好適に使用することができ、メッキにより導体層を形成するための樹脂組成物(メッキにより導体層を形成するプリント配線板のビルドアップ絶縁層用樹脂組成物)としてさらに好適に使用することができる。
[シート状積層材料]
本発明の樹脂組成物は、ワニス状態で塗布して各種用途に使用することもできるが、工業的には一般に、該樹脂組成物で形成された樹脂組成物層を含むシート状積層材料の形態で用いることが好適である。
シート状積層材料としては、以下に示す接着フィルム、プリプレグが好ましい。
一実施形態において、接着フィルムは、支持体と、該支持体と接合している樹脂組成物層(接着層)とを含んでなり、樹脂組成物層(接着層)が本発明の樹脂組成物から形成される。
樹脂組成物層の厚さは、用途によっても異なるが、プリント配線板の絶縁層の形成に使用する場合、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは60μm以下、さらにより好ましくは50μm以下である。樹脂組成物層の厚さの下限は、用途によっても異なるが、プリント配線板の絶縁層として使用する場合、通常、10μm以上である。
支持体としては、例えば、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔、離型紙が挙げられ、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔が好ましい。
支持体としてプラスチック材料からなるフィルムを使用する場合、プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル、ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミドなどが挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
支持体として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
支持体は、樹脂組成物層と接合する側の表面にマット処理、コロナ処理を施してあってもよい。また、支持体としては、樹脂組成物層と接合する側の表面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型層付き支持体は、市販品を用いてもよく、例えば、アルキド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、リンテック(株)製の「SK−1」、「AL−5」、「AL−7」などが挙げられる。
支持体の厚さは、特に限定されないが、5〜75μmの範囲が好ましく、10〜60μmの範囲がより好ましい。なお、支持体が離型層付き支持体である場合、離型層付き支持体全体の厚みが上記範囲であることが好ましい。
接着フィルムは、例えば、有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーターなどを用いて支持体上に塗布し、更に乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)及びシクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びカルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ及びブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)及びN−メチルピロリドン等のアミド系溶媒等を挙げることができる。有機溶剤は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の方法により実施してよい。乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂ワニス中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%〜60質量%の有機溶剤を含む樹脂ワニスを用いる場合、50〜150℃で3〜10分間乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
接着フィルムにおいて、樹脂組成物層の支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)には、支持体に準じた保護フィルムをさらに積層することができる。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1μm〜40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。接着フィルムは、ロール状に巻きとって保存することが可能である。接着フィルムが保護フィルムを有する場合、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
一実施形態において、プリプレグは、シート状繊維基材に本発明の樹脂組成物を含浸させて形成される。
プリプレグに用いるシート状繊維基材は特に限定されず、ガラスクロス、アラミド不織布、液晶ポリマー不織布等のプリプレグ用基材として常用されているものを用いることができる。プリント配線板の絶縁層の形成に用いる場合には、厚さが50μm以下の薄型のシート状繊維基材が好適に用いられ、特に厚さが10μm〜40μmのシート状繊維基材が好ましく、10μm〜30μmのシート状繊維基材がより好ましく、10〜20μmのシート状繊維基材が更に好ましい。
プリプレグは、ホットメルト法、ソルベント法等の公知の方法により製造することができる。
プリプレグの厚さは、上述の接着フィルムにおける樹脂組成物層と同様の範囲とし得る。
シート状積層材料において、樹脂組成物層の最低溶融粘度は、最低溶融粘度温度にもよるが、プリント配線板の製造に際して樹脂の染みだしを抑制する観点から、好ましくは300ポイズ以上、より好ましくは500ポイズ以上、さらに好ましくは700ポイズ以上、900ポイズ以上、又は1000ポイズ以上である。樹脂組成物層の最低溶融粘度の上限は、プリント配線板の製造に際して良好な回路埋め込み性を達成する観点から、好ましくは20000ポイズ以下、より好ましくは15000ポイズ以下、さらに好ましくは10000ポイズ以下、9000ポイズ以下、8000ポイズ以下、7000ポイズ以下、6000ポイズ以下、又は5000ポイズ以下である。特定の三級アミノ基を有するシラン化合物で表面処理された無機充填材を使用する本発明においては、上記好適な範囲の最低溶融粘度を示す樹脂組成物層を有利に形成することができ、プリント配線板の製造に際して良好なラミネート性を示すシート状積層材料をもたらすことができる。また、得られるシート状積層材料において、樹脂組成物層の表面に結晶の析出などもないことから、斯かる樹脂組成物層から形成される絶縁層は、その上に微細な配線を好適に形成することができる。
シート状積層材料において、樹脂組成物層の最低溶融粘度温度は、プリント配線板の製造方法の具体的な設計(シート状積層材料と内層基板との積層温度等)に応じて最適値は異なるが、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下、135℃以下、又は130℃以下である。該最低溶融粘度の下限は、特に限定されないが、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、75℃以上、又は80℃以上である。
ここで、樹脂組成物層の「最低溶融粘度」とは、樹脂組成物層の樹脂が溶融した際に樹脂組成物層が呈する最低の粘度をいう。詳細には、一定の昇温速度で樹脂組成物層を加熱して樹脂を溶融させると、初期の段階は溶融粘度が温度上昇とともに低下し、その後、ある温度を超えると温度上昇とともに溶融粘度が上昇する。「最低溶融粘度」とは、斯かる極小点の溶融粘度をいう。樹脂組成物層の最低溶融粘度及び最低溶融粘度温度は、動的粘弾性法により測定することができ、例えば、後述する<樹脂組成物層の最低溶融粘度及び最低溶融粘度温度の測定>に記載の方法に従って測定することができる。
シート状積層材料において、樹脂組成物層の最低溶融粘度は、プリント配線板の具体的な設計(内層回路基板の回路厚さ、ライン/スペース比等)、プリント配線板の製造方法の具体的な設計(シート状積層材料と内層基板との積層温度等)に応じて、良好な回路埋め込み性を達成するための最適値が異なる。よって、シート状積層材料を製造するにあたっては、樹脂組成物層が所期の最低溶融粘度を示すように設計する。しかしながら、従来の樹脂組成物を使用したシート状積層材料に関しては、保存時に徐々に樹脂組成物層の粘度が増す場合があり、プリント配線板の製造に使用する際には所期の値よりも著しく高い最低溶融粘度を示す場合がある。
これに対し、特定の三級アミノ基を有するシラン化合物で表面処理された無機充填材を使用する本発明においては、保存時の樹脂組成物層の粘度の上昇が抑制され、所期の最低溶融粘度を有利に保つことができる。一実施形態において、本発明のシート状積層材料は、その製造直後の樹脂組成物層の最低溶融粘度をV1(ポイズ)とし、室温(25℃)にて8日間保存した後の樹脂組成物層の最低溶融粘度をV2(ポイズ)とするとき、V2/V1の比(以下、「増粘倍率」ともいう。)は、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.4以下、さらに好ましくは1.3以下、さらにより好ましくは1.2以下である。増粘倍率の下限は好ましくは1である。また、粘度上昇量(V2−V1)は、好ましくは1000ポイズ未満、より好ましくは800ポイズ以下、さらに好ましくは600ポイズ以下、さらにより好ましくは500ポイズ以下、400ポイズ以下、又は300ポイズ以下である。粘度上昇量(V2−V1)の下限は低いほど好ましく、0ポイズであってもよい。
本発明のシート状積層材料は、プリント配線板の絶縁層を形成するため(プリント配線板の絶縁層用)に好適に使用することができ、ビルドアップ方式によるプリント配線板の製造において、絶縁層を形成するため(プリント配線板のビルドアップ絶縁層用)により好適に使用することができ、メッキにより導体層を形成するため(メッキにより導体層を形成するプリント配線板のビルドアップ絶縁層用)にさらに好適に使用することができる。
[プリント配線板]
本発明のプリント配線板は、本発明の樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含む。
一実施形態において、本発明のプリント配線板は、上述の接着フィルムを用いて、下記(I)乃至(V)の工程を含む方法により製造することができる。
(I)内層基板上に、接着フィルムを、該接着フィルムの樹脂組成物層が内層基板と接合するように積層する工程
(II)接着フィルムの樹脂組成物層を熱硬化して硬化物を形成する工程
(III)硬化物に穴あけ加工する工程
(IV)硬化物の表面を粗化処理する工程
(V)硬化物の粗化面に導体層を形成する工程
工程(I)で用いる「内層基板」とは、主として、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等の基板、又は該基板の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)が形成された回路基板をいう。またプリント配線板を製造する際に、さらに絶縁層及び/又は導体層が形成されるべき中間製造物の内層回路基板も本発明でいう「内層基板」に含まれる。
接着フィルムと内層基板との積層は、ロール圧着やプレス圧着等で、接着フィルムの樹脂組成物層が内層基板と接合するようにラミネート処理することが好ましい。中でも、減圧下でラミネートする真空ラミネート法がより好ましい。ラミネートの方法は、バッチ式でも連続式であってもよい。
ラミネート処理は、一般に、圧着圧力を1kgf/cm2〜11kgf/cm2(0.098MPa〜1.078MPa)の範囲とし、圧着温度を70〜140℃の範囲とし、圧着時間を5〜180秒間の範囲とし、空気圧が20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下で実施することが好ましい。ラミネート処理は、市販されている真空ラミネーターを用いて実施することができる。市販されている真空ラミネーターとしては、例えば、(株)名機製作所製の真空加圧式ラミネーター、ニチゴー・モートン(株)製のバキュームアップリケーター等が挙げられる。
工程(II)において、接着フィルムの樹脂組成物層を熱硬化して硬化物(絶縁層)を形成する。
樹脂組成物層の熱硬化条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常採用される条件を使用してよい。
例えば、樹脂組成物層の熱硬化条件は、樹脂組成物の種類等によっても異なるが、硬化温度は120〜240℃の範囲(好ましくは150〜210℃の範囲、より好ましくは170〜190℃の範囲)、硬化時間は5〜90分間の範囲(好ましくは10〜75分間、より好ましくは15〜60分間)とすることができる。
樹脂組成物層を熱硬化させる前に、樹脂組成物層を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱してもよい。例えば、樹脂組成物層を熱硬化させるのに先立ち、50℃以上120℃未満(好ましくは60℃以上110℃以下、より好ましくは70℃以上100℃以下)の温度にて、樹脂組成物層を5分間以上(好ましくは5〜150分間、より好ましくは15〜120分間)予備加熱してもよい。
なお、支持体は、該工程(II)の前(すなわち、樹脂組成物層を熱硬化させる前)に除去してもよいし、該工程(II)の後(すなわち、樹脂組成物層を熱硬化して硬化物を形成した後)に除去してもよい。支持体を工程(II)の後に除去する場合、後述する工程(III)の前、後述する工程(III)と工程(IV)の間、後述する工程(IV)と工程(V)の間のいずれにおいて除去してもよい。
工程(III)において、硬化物に穴あけ加工する。これにより、硬化物にビアホール等のホールを形成することができる。
ビアホールは、層間の電気接続のために設けられ、絶縁層の特性を考慮して、ドリル、レーザー、プラズマ等を用いる公知の方法により形成することができる。例えば、支持体上からレーザー光を照射して、硬化物にビアホールを形成することができる。
レーザー光源としては、例えば、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー等が挙げられる。中でも、加工速度、コストの観点から、炭酸ガスレーザーが好ましい。
穴あけ加工は、市販されているレーザー装置を用いて実施することができる。市販されている炭酸ガスレーザー装置としては、例えば、日立ビアメカニクス(株)製のLC−2E21B/1C、三菱電機(株)製のML605GTWII、松下溶接システム(株)製の基板穴あけレーザ加工機が挙げられる。
工程(IV)において、硬化物の表面を粗化処理する。
工程(III)において形成されたビアホール内部(特にビアホール底部)には、一般に、樹脂残渣(スミア)が付着している。斯かるスミアは、層間の電気接続不良の原因となるため、工程(IV)においてスミアを除去することが好ましい。この点、特定の三級アミノ基を有するシラン化合物で表面処理された無機充填材を使用する本発明においては、先述のとおり、活性エステル系硬化剤を含む硬化剤を使用する場合など、除去し難いスミアの発生に帰着し易い場合であっても、スミアを効果的に除去することができる。
粗化処理の手順、条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常使用される公知の手順、条件を採用することができる。例えば、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理、中和液による中和処理をこの順に実施して硬化物表面を粗化処理することができる。膨潤液としては特に限定されないが、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液であり、該アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液がより好ましい。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン(株)製のスウェリング・ディップ・セキュリガンスP、スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU等が挙げられる。膨潤液による膨潤処理は、特に限定されないが、例えば、30〜90℃の膨潤液に硬化物を1分間〜20分間浸漬することにより行うことができる。硬化物の樹脂の膨潤を適度なレベルに抑える観点から、40〜80℃の膨潤液に硬化物を5秒〜15分浸漬させることが好ましい。酸化剤としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤による粗化処理は、60℃〜80℃に加熱した酸化剤溶液に硬化物を10分間〜30分間浸漬させて行うことが好ましい。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5質量%〜10質量%が好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン(株)製のコンセントレート・コンパクトCP、ドージングソリューション セキュリガンスP等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。また、中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン(株)製のリダクションショリューシン・セキュリガントPが挙げられる。中和液による処理は、酸化剤溶液による粗化処理がなされた処理面を30〜80℃の中和液に5分間〜30分間浸漬させることにより行うことができる。作業性等の点から、酸化剤溶液による粗化処理がなされた対象物を、40〜70℃の中和液に5分〜20分浸漬する方法が好ましい。
特定の三級アミノ基を有するシラン化合物で表面処理された無機充填材を使用する本発明においては、先述のとおり、粗化処理後に表面粗さの低い硬化物(絶縁層)が得られる。粗化処理後の硬化物表面の算術平均粗さ(Ra値)に関しては先述のとおりである。
工程(V)において、硬化物の粗化面に導体層を形成する。
導体層に使用する導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、導体層は、金、白金、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。導体層は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成された層が挙げられる。中でも、導体層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
導体層は、単層構造であっても、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。導体層が複層構造である場合、硬化体の粗化面と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層であることが好ましい。
導体層の厚さは、所望のプリント配線板のデザインによるが、一般に3〜35μm、好ましくは5〜30μmである。
導体層は、所望の配線パターンを有する。例えば、セミアディティブ法等の従来公知の技術により、硬化物の粗化面に、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。以下、導体層をセミアディティブ法により形成する例を示す。
まず、硬化物の粗化面に、無電解めっきによりめっきシード層を形成する。次いで、形成されためっきシード層上に、所望の配線パターンに対応してめっきシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出しためっきシード層上に、電界めっきにより金属層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なめっきシード層をエッチングなどにより除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
特定の三級アミノ基を有するシラン化合物で表面処理された無機充填材を使用する本発明においては、先述のとおり、粗化処理後の硬化物の表面粗さが小さいにもかかわらず、該硬化物の上に十分なピール強度を有する導体層を形成することができる。ピール強度に関しては先述のとおりである。
他の実施形態において、本発明のプリント配線板は、上述のプリプレグを用いて製造することができる。製造方法は基本的に接着フィルムを用いる場合と同様である。
[半導体装置]
本発明のプリント配線板を用いて半導体装置を製造することができる。
半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
本発明の半導体装置は、本発明のプリント配線板の導通箇所に、半導体チップを実装することにより製造することができる。「導通箇所」とは、「プリント配線板における電気信号を伝える箇所」であって、その場所は表面であっても、埋め込まれた箇所であってもいずれでも構わない。また、半導体チップは半導体を材料とする電気回路素子であれば特に限定されない。
本発明の半導体装置を製造する際の半導体チップの実装方法は、半導体チップが有効に機能しさえすれば、特に限定されないが、具体的には、ワイヤボンディング実装方法、フリップチップ実装方法、バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法、異方性導電フィルム(ACF)による実装方法、非導電性フィルム(NCF)による実装方法、などが挙げられる。ここで、「バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法」とは、「半導体チップをプリント配線板の凹部に直接埋め込み、半導体チップとプリント配線板上の配線とを接続させる実装方法」のことである。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、「部」は質量部を意味する。
〔測定方法・評価方法〕
まずは各種測定方法・評価方法について説明する。
<ピール強度、算術平均粗さ(Ra値)測定用サンプルの調製>
(1)内層回路基板の下地処理
内層回路を形成したガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板厚さ0.3mm、松下電工(株)製「R5715ES」)の両面をメック(株)製「CZ8100」にて1μmエッチングして銅表面の粗化処理を行った。
(2)接着フィルムの積層
実施例及び比較例で作製した接着フィルムを、バッチ式真空加圧ラミネーター((株)名機製作所製「MVLP-500」)を用いて、樹脂組成物層が内層回路基板と接合するように、内層回路基板の両面にラミネート処理した。ラミネート処理は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とし後、100℃、圧力0.74MPaにて30秒間圧着することにより行った。
(3)樹脂組成物層の熱硬化
接着フィルムの積層後、100℃で30分間、次いで180℃で30分間の条件で樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成した。
(4)絶縁層の穴あけ加工
CO2レーザー加工機((株)HITACHI製「LC−2E21B/1C」)を使用して、支持体上から絶縁層を穴あけ加工してビアホールを形成した。絶縁層表面におけるビアホールのトップ径(直径)は49μmであった。なお、穴あけ加工の条件は、周波数2000Hz、パルス幅23μs、ショット数3であった。穴あけ加工の後、支持体を剥離除去した。
(5)粗化処理
穴あけ加工の後、絶縁層を形成した内層回路基板を、膨潤液(アトテックジャパン(株)製「スエリングディップ・セキュリガントP」、ジエチレングリコールモノブチルエーテル含有の水酸化ナトリウム水溶液)に60℃で10分間浸漬し、次いで酸化剤溶液(アトテックジャパン(株)製「コンセントレート・コンパクトCP」、過マンガン酸カリウム濃度約6質量%、水酸化ナトリウム濃度約4質量%の水溶液)に80℃で20分間浸漬し、最後に中和液(アトテックジャパン(株)製「リダクションソリューション・セキュリガントP」、硫酸ヒドロキシルアミン水溶液)に40℃で5分間浸漬した。次いで、80℃で30分間乾燥させた。得られた基板を「評価基板a」と称する。
(6)導体層の形成
セミアディティブ法に従って、絶縁層の粗化面に導体層を形成した。
すなわち、粗化処理後の基板を、PdCl2を含む無電解メッキ液に40℃で5分間浸漬した後、無電解銅メッキ液に25℃で20分間浸漬した。次いで、150℃にて30分間加熱してアニール処理を行った後、エッチングレジストを形成し、エッチングによりパターン形成した。その後、硫酸銅電解メッキを行い、厚さ30μmの導体層を形成し、アニール処理を200℃にて60分間行った。得られた基板を「評価基板b」と称する。
<スミア除去性の評価>
評価基板aについて、ビアホール底部の周囲を走査電子顕微鏡(SEM)にて観察し、得られた画像からビアホール底部の壁面からの最大スミア長を測定した。スミア除去性は、以下の基準に従って評価した。
評価基準:
◎:最大スミア長が2μm未満
○:最大スミア長が2μm以上3.5μm未満
×:最大スミア長が3.5μm以上
<粗化処理後の算術平均粗さ(Ra値)の測定>
評価基板aについて、非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ社製「WYKO NT3300」)を用いて、VSIコンタクトモード、50倍レンズにより測定範囲を121μm×92μmとして得られる数値によりRa値を求めた。無作為に選んだ10点の平均値を求めることにより測定した。
<メッキ導体層のピール強度の測定>
絶縁層と導体層のピール強度の測定は、評価基板bについて、JIS C6481に準拠して行った。具体的には、評価基板bの導体層に、幅10mm、長さ100mmの部分の切込みをいれ、この一端を剥がしてつかみ具で掴み、室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重(kgf/cm)を測定し、剥離強度を求めた。測定には、引っ張り試験機((株)TSE製「AC−50C−SL」)を使用した。
<樹脂組成物層の最低溶融粘度及び最低溶融粘度温度の測定>
実施例及び比較例で作製した接着フィルムの樹脂組成物層について、動的粘弾性測定装置((株)ユー・ビー・エム製「Rheosol−G3000」)を使用して溶融粘度を測定した。試料樹脂組成物1gについて、直径18mmのパラレルプレートを使用して、開始温度60℃から200℃まで昇温速度5℃/分にて昇温し、測定間隔温度2.5℃、振動数1Hz、歪み1degの測定条件にて動的粘弾性率を測定し、最低溶融粘度(V1;ポイズ)及び最低溶融粘度温度を求めた。ラミネート性は、以下の基準に従って評価した。
評価基準:
○:最低溶融粘度V1が300ポイズ以上20000ポイズ以下
△:最低溶融粘度V1が300ポイズ未満
×:最低溶融粘度V1が20000ポイズより高い
<樹脂組成物層の保存安定性の評価>
25℃で8日間保存した後の接着フィルムの樹脂組成物層について、上記と同様にして最低溶融粘度(V2;ポイズ)を求めた。保存安定性は、以下の基準に従って評価した。
評価基準:
○:増粘倍率(V2/V1)が1.5以下で粘度上昇量(V2−V1)が1000ポイズ未満
×:増粘倍率(V2/V1)が1.5より大きいか、又は粘度上昇量(V2−V1)が1000ポイズ以上
<樹脂組成物層上の結晶析出の評価>
各実施例及び比較例で作製した接着フィルムについて、樹脂組成物層の表面を目視にて観察し、結晶析出の有無を観察した。結晶析出が確認されない場合を「○」、結晶析出が確認された場合を「×」と評価した。
<調製例1:無機充填材1の調製>
球形シリカ((株)アドマテックス製「SOC2」、平均粒径0.5μm)100部をヘンシェル型混粉機に投入し、下記式1で表される構造を有する2−[1−(トリメトキシシリル)エチル]ピリジンと下記式2で表される構造を有する2−[2−(トリメトキシシリル)エチル]ピリジンの混合物(信越化学工業(株)製「X−12−1170」、分子量227.3、式1で表される化合物/式2で表される化合物(質量比)=85/15、純度>98.0質量%)0.6部を噴霧しながら球形シリカを10分間攪拌し、無機充填材1を調製した。
<調製例2:無機充填材2の調製>
球形シリカ((株)アドマテックス製「SO−C2」、平均粒径0.5μm)100部をヘンシェル型混粉機に投入し、2−[1−(トリメトキシシリル)エチル]ピリジンと2−[2−(トリメトキシシリル)エチル]ピリジンの混合物(信越化学工業(株)製「X−12−1170」、分子量227.3)0.1部を噴霧しながら球形シリカを10分間攪拌した後に、下記式で表される構造を有するフェニルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製「KBM−103」、分子量198.3)0.5部を噴霧しながら10分間攪拌し、無機充填材2を調製した。
<調製例3:無機充填材3の調製>
2−[1−(トリメトキシシリル)エチル]ピリジンと2−[2−(トリメトキシシリル)エチル]ピリジンの混合物(信越化学工業(株)製「X−12−1170」、分子量227.3)に代えて、下記式で表される構造を有するN,N−ジメチル−3−(トリメトキシシリル)−プロピルアミン(Gelest,Inc.製、分子量207.1)を使用した以外は調製例2と同様にして、無機充填材3を調製した。
<調製例4:無機充填材4の調製>
2−[1−(トリメトキシシリル)エチル]ピリジンと2−[2−(トリメトキシシリル)エチル]ピリジンの混合物(信越化学工業(株)製「X−12−1170」、分子量227.3)に代えて、下記式で表される構造を有するN,N−ジエチル−3−(トリメトキシシリル)−プロピルアミン(Gelest,Inc.製、分子量235.2)を使用した以外は調製例2と同様にして、無機充填材4を調製した。
<調製例5:無機充填材5の調製>
2−[1−(トリメトキシシリル)エチル]ピリジンと2−[2−(トリメトキシシリル)エチル]ピリジンの混合物(信越化学工業(株)製「X−12−1170」、分子量227.3)に代えて、フェニルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製「KBM103」、分子量198.3)を使用した以外は調製例1と同様にして、無機充填材5を調製した。
<調製例6:無機充填材6の調製>
2−[1−(トリメトキシシリル)エチル]ピリジンと2−[2−(トリメトキシシリル)エチル]ピリジンの混合物(信越化学工業(株)製「X−12−1170」、分子量227.3)に代えて、イミダゾールシラン(日鉱日鉄(株)製「IM−1000」)を使用した以外は調製例1と同様にして、無機充填材6を調製した。
<実施例1>
ビキシレノール型エポキシ樹脂(エポキシ当量190、三菱化学(株)製「YX4000HK」)14部、液状ビスフェノール型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学(株)製「ZX1059」、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品)5部、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量269、日本化薬(株)製「NC3000H」)14部をソルベントナフサ32部に撹拌しながら加熱溶解させ、その後室温にまで冷却した。得られた混合溶液に、ゴム粒子(ガンツ化成(株)製「AC3816N」)1.5部をソルベントナフサ6部に20℃で12時間静置膨潤して得られる混合物と、無機充填材1を140部添加し、さらに難燃剤(三光(株)製「HCA−HQ」、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10−ヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイド、平均粒径1μm)5部を添加し、3本ロールで混練し分散させた。そこへ、活性エステル系硬化剤(DIC(株)製「HPC−8000−65T」、活性基当量約223、不揮発成分65質量%のトルエン溶液)21.5部、トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂(DIC(株)製「LA−7054」、フェノール性水酸基当量124、不揮発成分60質量%のメチルエチルケトン(MEK)溶液)10部、フェノキシ樹脂(重量平均分子量35000、三菱化学(株)製「YL7553」、不揮発成分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)10.7部、硬化促進剤(4−ジメチルアミノピリジン(DMAP))の10質量%のMEK溶液1部、MEK7部を混合し、回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを調製した。次に、得られた樹脂ワニスをアルキド樹脂系離型層付きポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック(株)製「AL5」、厚さ38μm)の離型面上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚さが40μmとなるようにダイコーターにて均一に塗布し、80〜110℃(平均95℃)で5分間乾燥し、接着フィルムを得た。
<実施例2>
無機充填材1に代えて無機充填材2を使用した以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニス、接着フィルムを得た。
<実施例3>
無機充填材1に代えて無機充填材3を使用した以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニス、接着フィルムを得た。
<実施例4>
無機充填材1を、無機充填材4に変更した以外は、実施例1と全く同様にして樹脂ワニスを作製した。次いで、実施例1と全く同様にして接着フィルムを得た。
<実施例5>
ビキシレノール型エポキシ樹脂(エポキシ当量190、三菱化学(株)製「YX4000HK」)14部、ナフトール型エポキシ樹脂(エポキシ当量約330、新日鉄住金化学(株)製「ESN475V」)10部、ナフタレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量144、DIC(株)製「HP4032SS」)9部をソルベントナフサ32部に撹拌しながら加熱溶解させ、その後室温にまで冷却した。得られた混合溶液に、ゴム粒子(ガンツ化成(株)製「AC3816N」)1.5部をソルベントナフサ6部に20℃で12時間静置膨潤した混合物と、無機充填材4を180部混合し、さらに難燃剤(三光(株)製「HCA−HQ」、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10−ヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイド、平均粒径1μm)5部を添加し、3本ロールで混練し分散させた。そこへ、活性エステル系硬化剤(DIC(株)製「HPC−8000−65T」、活性基当量約223、不揮発成分65質量%のトルエン溶液)21.5部、シアネートエステル系硬化剤(ロンザジャパン(株)製「BA230S75」、シアネート当量約232、ビスフェノールAジシアネートのプレポリマー、不揮発成分75質量%のMEK溶液)22.6部、シアネートエステル系硬化剤(ロンザジャパン(株)製「PT30」、シアネート当量約133、フェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂、不揮発成分85質量%のMEK溶液)9.4部、フェノキシ樹脂(重量平均分子量35000、三菱化学(株)製「YL7553」、不揮発成分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)10.7部、硬化促進剤(テトラブチルホスホニウムデカン酸塩(TBP−DA))の10質量%のMEK溶液1部、MEK7部を混合し、回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを調製した。得られた樹脂ワニスを用いて、実施例1と同様にして接着フィルムを得た。
<比較例1>
無機充填材1に代えて無機充填材5を使用した以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニス、接着フィルムを得た。
<比較例2>
無機充填材1に代えて無機充填材6を使用した以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニス、接着フィルムを得た。
<比較例3>
無機充填材4に代えて無機充填材5を使用した以外は、実施例5と同様にして樹脂ワニス、接着フィルムを得た。
結果を表1に示す。
表1の結果から、特定の三級アミノ基を有するシラン化合物で表面処理された無機充填材を含有する実施例1〜5の樹脂組成物は、粗化処理後の表面粗さが小さく且つその上に十分なピール強度を有する導体層を形成することができる絶縁層をもたらすと共に、最低溶融粘度が適切な範囲にあり良好なラミネート性を示す樹脂組成物層をもたらすことが確認される。実施例1〜5の樹脂組成物はさらに、良好な保存安定性及びスミア除去性をもたらし、結晶析出もなく良好である。一方、比較例1〜3の樹脂組成物では、実施例と比較して、粗化処理後の表面粗さが大きく、導体層とのピール強度も低い絶縁層に帰着している。さらに比較例1及び3の樹脂組成物では、得られる樹脂組成物層の最低溶融粘度の値が低すぎてラミネート時に樹脂の染み出しが懸念され、スミア除去性にも劣っている。比較例2の樹脂組成物をみても、得られる樹脂組成物層の最低溶融粘度の値が高すぎてラミネート性に劣ると共に、保存安定性にも劣り、さらには結晶の析出も見られることから配線不良が懸念される。