JP2015204425A - 電界効果トランジスタおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】窒化物半導体を用いたエンハンスメント型のFETが、制御性および再現性よくより容易に製造できるようにする。【解決手段】第1窒化物半導体からなるチャネル層101と、第1窒化物半導体より大きなバンドギャップエネルギーの第2窒化物半導体からなりチャネル層101の上に形成された障壁層102とを備える。ゲート形成領域121のチャネル層101および障壁層102は、主表面を−c面とし、ソース形成領域122およびドレイン形成領域123のチャネル層101および障壁層102は、主表面を+c面としている。【選択図】 図1
Description
本発明は、窒化物半導体を用いた電界効果トランジスタおよびその製造方法に関するものである。
GaNなどの窒化物半導体を用いた電界効果トランジスタ(FET;Field Effect Transistor)として、例えば、ヘテロ構造電界効果トランジスタ(HFET;Heterostructure Field Effect Transistor)がある。この窒化物半導体FETは、次世代の高温・高出力・高耐圧の高周波トランジスタとして非常に有望であり、実用化に向けて現在盛んに研究が行われている。
GaNを用いたGaN系のHFETなどの窒化物半導体FETは、通常、極性面方向である+c面((0001)面)方向に形成される。このように成長した窒化物半導体のヘテロ構造では、ヘテロ界面に大きな分極電荷が存在するものとなる。この結果、窒化物半導体FETでは、一般に、キャリア供給のためのドーピング処理が施されていなくても、伝導に寄与するキャリアが、チャネル電子(2次元電子)としてチャネルに誘起される。
このような特徴を有する窒化物半導体FETは、大電流が得られやすいという有利な面がある一方、一般に、デバイス動作としては、しきい値が負の、いわゆるデプレション型(あるいは、ノーマリーオン型)のデバイス動作に向いている。つまり、ゲート電極に電圧を印加しない状態(すなわちゲート電圧がゼロの時)であっても、ドレイン電圧の印加によってドレイン電流が流れ、ゲート電極に負の電圧を印加することによって、ドレイン電流がゼロになる(すなわちピンチオフする)というトランジスタ動作に向いている。
一方、上述した動作と相反する動作のデバイスとして、いわゆるエンハンスメント型(ノーマリーオフ型)がある。この、ゲート電極に電圧を印加しない状態(ゲート電圧がゼロの時)においては、ドレイン電圧の印加によっても、ドレイン電流が流れず、ゲート電極に正の電圧を印加することによってドレイン電流が流れるというトランジスタ動作のデバイス動作は、一般的な窒化物半導体FETにとっては不利である。このように、しきい値が正のエンハンスメント型のデバイス動作は、一般的な窒化物半導体FETとしては不利ではあるが、実現が可能であることが示されている(非特許文献1参照)。
電力応用においては、デプレション型のデバイス動作と同時に、エンハンスメント型のデバイス動作を実現することが必須である。このため、エンハンスメント型のデバイスの研究が、デプレション型のデバイスの研究と同時に盛んに進められている。
エンハンスメント型動作を得るための基本的な要請は、まず、ゲートに電圧を印加しない状態において、ゲート電極下には電子(キャリア)が存在しないことがあげられる。これは、しきい値が正となるための条件である。加えて、ゲート電極以外の領域においては、電子が存在することがあげられる。これは、正のゲート電圧印加によるオン状態において、ドレイン電流を得るための条件である。
上述した条件を満たすための最も一般的な代表的な技術に、ゲート電極領域下の一部の領域の障壁層半導体の層厚を、これ以外の領域の障壁層半導体の層厚よりも小さくする、リセスゲート構造がある(非特許文献2参照)。
M. A. Khan et al. , "Enhancement and depletion mode GaN/AlGaN heterostructure field effect transistors",Appl. Phys. Lett. ,vol.68, no.4, pp.514-516, 1996.
W.B. Lanford et al. , "Recessed-gate enhancement-mode GaN HEMT with high threshold voltage", ELECTRONICS LETTERS, vol.41, no.7, 2005.
R. Dimitrov et al. , "Two-dimensional electron gases in Ga-face and N-face AlGaNOGaN heterostructures grown by plasma-induced molecular beam epitaxy and metalorganic chemical vapor deposition on sapphire", JOURNAL OF APPLIED PHYSICS, vol.87, no.7, pp.3375-3380, 2000.
しかし、リセスゲート構造によりリセス領域(障壁層半導体の層厚を小さくした領域)の電子を空乏させるためには、一般に当該領域の障壁層半導体の層厚を5nm以下の非常に小さい層厚とする必要がある。また、FETのしきい値は、障壁層の膜厚に強く依存するため、正のしきい値(すなわちエンハンスメント型動作)を実現する際の作製プロセス上のマージンが狭い。これらのため、制御性および再現性よく、窒化物半導体を用いたエンハンスメント型のFETを作製するのが困難であるという問題があった。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、窒化物半導体を用いたエンハンスメント型のFETが、制御性および再現性よくより容易に製造できるようにすることを目的とする。
本発明に係る電界効果トランジスタは、第1窒化物半導体からなるチャネル層と、第1窒化物半導体より大きなバンドギャップエネルギーの第2窒化物半導体からなりチャネル層の上に形成された障壁層と、障壁層の上に形成されたゲート電極と、ゲート電極が形成されたゲート形成領域を挟んだソース形成領域およびドレイン形成領域の障壁層の上に形成されたソース電極およびドレイン電極とを備え、ゲート形成領域のチャネル層および障壁層は、主表面を−c面とされ、ソース形成領域およびドレイン形成領域のチャネル層および障壁層は、主表面を+c面とされている。
上記電界効果トランジスタにおいて、チャネル層から障壁層の積層方向の一部領域に不純物が導入された不純物層が形成されているようにしてもよい。
上記電界効果トランジスタにおいて、第1窒化物半導体より大きなバンドギャップエネルギーの第3窒化物半導体からなりチャネル層の下に形成された下部障壁層を備え、ゲート形成領域の下部障壁層は、主表面を−c面とされ、ソース形成領域およびドレイン形成領域の下部障壁層は、主表面を+c面とされているようにしてもよい。
上記電界効果トランジスタにおいて、ゲート電極は、ゲート絶縁層を介して障壁層の上に形成されているようにするとよい。
また、本発明に係る電界効果トランジスタの製造方法は、サファイアからなる基板の上のゲート形成領域を挟んだソース形成領域およびドレイン形成領域にAlNを堆積し、基板のゲート形成領域に基板表面が露出する露出領域と、ソース形成領域およびドレイン形成領域に形成されたAlN層の領域とを備える素子形成面を形成する第1工程と、基板の素子形成面の上に、ゲート形成領域の主表面は−c面とし、ソース形成領域およびドレイン形成領域の主表面は+c面とし、第1窒化物半導体をエピタキシャル成長してチャネル層を形成する第2工程と、チャネル層の上に、ゲート形成領域の主表面は−c面とし、ソース形成領域およびドレイン形成領域の主表面は+c面とし、第1窒化物半導体より大きなバンドギャップエネルギーの第2窒化物半導体をエピタキシャル成長して障壁層を形成する第3工程と、ゲート形成領域の障壁層の上にゲート電極を形成する第4工程と、ソース形成領域およびドレイン形成領域の障壁層の上にソース電極およびドレイン電極を形成する第5工程とを備える。
以上説明したことにより、本発明によれば、窒化物半導体を用いたエンハンスメント型のFETが、制御性および再現性よくより容易に製造できるようになるという優れた効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
[実施の形態1]
はじめに、本発明の実施の形態1について図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1における電界効果トランジスタの構成を示す構成図である。図1では、断面を模式的に示している。
はじめに、本発明の実施の形態1について図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1における電界効果トランジスタの構成を示す構成図である。図1では、断面を模式的に示している。
この電界効果トランジスタは、第1窒化物半導体からなるチャネル層101と、第1窒化物半導体より大きなバンドギャップエネルギーの第2窒化物半導体からなりチャネル層101の上に形成された障壁層102とを備える。また、この電界効果トランジスタは、障壁層102の上に形成されたゲート電極103を備える。実施の形態1では、障壁層102の上に、ゲート絶縁層104を介してゲート電極103が形成されている。
また、ゲート電極103が形成されたゲート形成領域121を挟んだソース形成領域122およびドレイン形成領域123の障壁層102の上には、ソース電極105およびドレイン電極106を備える。
上述した構成において、実施の形態1では、ゲート形成領域121のチャネル層101および障壁層102は、主表面を−c面((000−1)面)とし、ソース形成領域122およびドレイン形成領域123のチャネル層101および障壁層102は、主表面を+c面としている。窒化物半導体の−c面は、窒素原子面(窒素原子極性面)であり、窒化物半導体の+c面は、III族原子面(III族原子極性面)である。
上記構成とした実施の形態1によれば、ソース形成領域122およびドレイン形成領域123においては、チャネル層101と障壁層102とのヘテロ界面近傍のチャネル層101に2次元電子131が形成されるようになる。
例えば、表面方向の面方位がIII族原子面となる窒化物半導体は、分子線エピタキシー(MBE;Molecular Beam Epitaxy)法によって、主表面を(0001)面としたサファイア基板上に、5nm以上のAlNバッファー層を積層した後に、GaN、AlGaN等の窒化物半導体をエピタキシャル成長することで形成できる(非特許文献3参照)。
また、表面方向の面方位が窒素原子面となる窒化物半導体は、MBE法によって、主表面を(0001)面としたサファイア基板上にGaNをエピタキシャル成長することで実現できる(非特許文献3参照)。また、GaNに限らず、AlGaN等の窒化物半導体においてAl組成が0.5未満の窒化物半導体をエピタキシャル成長してもよい。Al組成が0.5未満の窒化物半導体とすることは、サファイア表面上にMBE法によって成長した場合に、窒化物半導体の表面方向の面方位が窒素原子面となるための条件である。
なお、有機金属気相成長(MOVPE;Metal Organic Vapor Phase Epitaxy)法によって、サファイア(0001)基板、シリコンカーバイド(0001)基板、シリコン(111)基板上に窒化物半導体をエピタキシャル成長すると、一般には、表面の面方位はIII族原子面となる。
次に、ゲート形成領域121およびソース形成領域122,ドレイン形成領域123の各々の領域における、チャネル層101と障壁層102とのヘテロ構造におけるポテンシャルの状態について、図2を用いて説明する。図2において、(a)は、ソース形成領域122,ドレイン形成領域123における、チャネル層101と障壁層102とのヘテロ構造におけるポテンシャル形状および電子分布の状態を示している。また、図2において、(b)は、ゲート形成領域121におけるチャネル層101と障壁層102とのヘテロ構造におけるポテンシャル形状を示している。
図2の(a)に示すように、窒化物半導体からなるチャネル層101,障壁層102の表面方向の面方位が、III族原子面の領域では、チャネル層101と障壁層102とのヘテロ界面に、正の分極電荷201が存在する結果、チャネル層101のヘテロ界面近傍に2次元電子131が誘起される。
一方、図2の(b)に示すように、窒化物半導体からなるチャネル層101,障壁層102の表面方向の面方位が、窒素原子面の領域では、チャネル層101と障壁層102とのヘテロ界面に、負の分極電荷202が存在するため、チャネル層101のヘテロ界面近傍には2次元電子は誘起されていない。この2次元電子が存在しない状態(電子空乏)は、障壁層102の層厚に依らずに実現される。
上述したように、実施の形態1では、ゲート形成領域121は、電子空乏の状態となり、ゲート電極103の下には電子が存在しない状態(しきい値が正となるための条件)となる。一方、ゲート電極103以外の領域であるソース形成領域122およびドレイン形成領域123においては、電子が存在し、正のゲート電圧印加によるオン状態においてドレイン電流を得るための条件が成立する。このように、実施の形態によれば、エンハンスメント型動作を得るための基本的な状態が得られるようになる。
ここで、ゲート電極103下に電子が存在しないという状態が、一般に任意の層厚の障壁層102に対して実現されるのが本発明の特徴である。この特徴により、窒化物半導体を用いた電界効果トランジスタにおいて、エンハンスメント型動作を実現するための構造を作製する際に十分に広い作製プロセス上のマージンが確保され、制御性および再現性よくエンハンスメント型の電界効果トランジスタを作製することが可能となる。
なお、チャネル層101から障壁層102の積層方向の所望とする一部領域に、n型あるいはp型の不純物を導入して不純物層(不純物導入領域)を形成することで、所望とする正のしきい値を実現することができる。また、実施の形態1のようにゲート絶縁層104を用いることで、ゲート耐圧が高く、ゲートリーク電流の低い良好な特性のエンハンスメント型の電界効果トランジスタとすることができる。なお、ゲート絶縁層を用いずに、ショットキーゲート電極構造としてもよい。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2について、図3,図4A〜図4Dを用いて説明する。図3は、本発明の実施の形態2における電界効果トランジスタの構成を示す構成図である。また、図4A〜図4Dは、本発明の実施の形態2における電界効果トランジスタの一部製造方法について説明する各構成の状態を示す構成図である。図3,図4A〜図4Dでは、断面を模式的に示している。
次に、本発明の実施の形態2について、図3,図4A〜図4Dを用いて説明する。図3は、本発明の実施の形態2における電界効果トランジスタの構成を示す構成図である。また、図4A〜図4Dは、本発明の実施の形態2における電界効果トランジスタの一部製造方法について説明する各構成の状態を示す構成図である。図3,図4A〜図4Dでは、断面を模式的に示している。
この電界効果トランジスタは、まず、主表面を(0001)としたサファイアからなる基板301と、基板301のソース形成領域122およびドレイン形成領域123に形成されたAlN層302とを備える。また、基板301およびAlN層302の上に形成されたチャネル層101と、チャネル層101の上に形成された障壁層102とを備える。また、この電界効果トランジスタは、障壁層102の上に形成されたゲート電極103を備える。実施の形態1では、障壁層102の上に、ゲート絶縁層104を介してゲート電極103が形成されている。
また、ゲート電極103が形成されたゲート形成領域121を挟んだソース形成領域122およびドレイン形成領域123の障壁層102の上には、ソース電極105およびドレイン電極106を備える。また、障壁層102積層方向の一部領域に、n型あるいはp型の不純物を導入した不純物層303を備える。
上述したチャネル層101,障壁層102,ゲート電極103,ゲート絶縁層104,ソース電極105,およびドレイン電極106は、前述した実施の形態1と同様である。この実施の形態2においても、ゲート形成領域121のチャネル層101および障壁層102は、主表面を−c面とし、ソース形成領域122およびドレイン形成領域123のチャネル層101および障壁層102は、主表面を+c面としている。
実施の形態2では、ゲート形成領域121では、窒素原子面(−c面)とし、ソース形成領域122およびドレイン形成領域123では、III族原子面(+c面)とするために、基板301のソース形成領域122およびドレイン形成領域123にAlN層302を形成している。基板301のゲート形成領域121は、サファイア面となっている。
なお、AlN層302を形成した段階において、AlN層302の表面と、ゲート形成領域121の基板301の露出面とは、ほぼ同一の平面となる平坦な状態とすることが望ましい。例えば、ソース形成領域122およびドレイン形成領域123は、基板301をAlN層302と同じ厚さエッチング除去して薄層化し、この後、AlN層302を形成すればよい。
実施の形態2によれば、まず、ゲート形成領域121においては、チャネル層101が基板301に接してエピタキシャル成長している。一方、ソース形成領域122およびドレイン形成領域123においては、チャネル層101が、AlN層302の上にエピタキシャル成長している。ここで、上述したように、AlN層302の最上面との位置と、ゲート形成領域121における基板301の最上面の位置とは、一致している状態が理想であるが、両者の間に相異(段差)がが5nm以下であればよい。段差が5nm以下であれば、チャネルが形成される障壁層102/チャネル層101のヘテロ構造の界面において形成される段差は高々5nm以下であり、この程度の段差であれば、電子輸送を大きく妨げてトランジスタの特性を著しく劣化させてることが生じない。
次に、実施の形態2における電界効果トランジスタの製造方法について説明する。まず、図4Aに示すように、ゲート形成領域121における基板301上に、マスクパターン401を形成する。例えば、基板301の上に、スパッタ法などにより酸化シリコン膜を堆積形成し、形成した酸化シリコン膜を、公知のリソグラフィー技術およびエッチング技術によいパターニングすることで、酸化シリコンからなるマスクパターン401を形成すればよい。
次に、マスクパターン401をマスクとして、基板301をエッチングし、図4Bに示すように、ソース形成領域122およびドレイン形成領域123の基板301を薄層化し、マスクパターン401の直下に、凸部301aを形成する。例えば、収束イオンビーム(FIB;Focused Ion Beam)法等の加工方法により、マスクパターン401の形成されていない領域の基板301を、この後形成するAlN層302の厚さだけ切削すればよい。例えば、厚さ10nmエッチングし、厚さ10nmの凸部301aを形成すればよい。
次に、MBE法によりAlNを堆積することで、図4Cに示すように、基板301およびマスクパターン401の上に、AlN膜402を形成する。AlN膜402は、凸部301aと同じ厚さに形成する。例えば、厚さ10nmに形成すればよい。この後、マスクパターン401を除去(リフトオフ)することで、図4Dに示すように、ソース形成領域122およびドレイン形成領域123に、層厚10nmのAlN層302が形成された状態が得られる。このとき、凸部301aの最上面301bの位置と、AlN層302の最上面302aとの位置とは、一致して1つの平面を形成する状態となる。
以上のようにしてAlN層302を形成した後、MBE法により、GaNを層厚3μmエピタキシャル成長し、引き続いて、Al0.3Ga0.7Nを層厚20nmエピタキシャル成長することで、チャネル層101および障壁層102を形成する。ここで、Al0.3Ga0.7Nのエピタキシャル成長においては、下端より成長方向に4〜12nmの位置の厚さ8nmの領域に、5×1018cm-3程度のホール濃度を生じるように、Mgをドーピングし、不純物層303を形成する。
以上のように障壁層102を形成した後、ソース電極105およびドレイン電極106を形成する。例えば、各電極位置に開口部を備えるマスクパターンを形成し、次いで、蒸着などにより電極金属を堆積し、この後、マスクパターンをリフトオフすることで、ソース電極105およびドレイン電極106が形成できる。
次に、ソース電極105およびドレイン電極106の間に、ゲート絶縁層104を形成する。例えば、原子層堆積(ALD;Atomic Layer Deposition)法によりAl2O3を堆積することで、層厚25nmのゲート絶縁層104とすればよい。さらに、ゲート絶縁膜104上に、ゲート電極金属を蒸着することによるリフトオフ法によりゲート電極103を形成すればよい。ゲート長は例えば1μmとすればよい。
上述した実施の形態2における実際に作製した電界効果トランジスタの静特性評価を行ったところ、+3.0Vなるしきい値を有するエンハンスメント型のデバイス動作が確認された。また、上述した製造方法により実施の形態2における電界効果トランジスタを繰り返し作製し、静特性評価を行ったところ、同じ特性のエンハンスメント型の動作が得られることが確認された。
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3について図5を用いて説明する。図5は、本発明の実施の形態3における電界効果トランジスタの構成を示す構成図である。図5では、断面を模式的に示している。
次に、本発明の実施の形態3について図5を用いて説明する。図5は、本発明の実施の形態3における電界効果トランジスタの構成を示す構成図である。図5では、断面を模式的に示している。
この電界効果トランジスタは、まず、主表面を(0001)としたサファイアからなる基板301と、基板301のソース形成領域122およびドレイン形成領域123に形成されたAlN層302とを備える。また、基板301およびAlN層302の上に形成されたチャネル層101と、チャネル層101の上に形成された障壁層102とを備える。また、この電界効果トランジスタは、障壁層102の上に形成されたゲート電極103を備える。実施の形態1では、障壁層102の上に、ゲート絶縁層104を介してゲート電極103が形成されている。
また、ゲート電極103が形成されたゲート形成領域121を挟んだソース形成領域122およびドレイン形成領域123の障壁層102の上には、ソース電極105およびドレイン電極106を備える。また、障壁層102積層方向の一部領域に、n型あるいはp型の不純物を導入した不純物層303を備える。また、実施の形態3では、チャネル層101の下に形成された下部障壁層501を備える。下部障壁層501は、チャネル層101を構成する第1窒化物半導体より大きなバンドギャップエネルギーの第3窒化物半導体から構成されている。下部障壁層501は、例えば、障壁層102と同じ第2窒化物半導体から構成してもよい。
上述したチャネル層101,障壁層102,ゲート電極103,ゲート絶縁層104,ソース電極105,およびドレイン電極106は、前述した実施の形態1と同様である。この実施の形態3においても、ゲート形成領域121のチャネル層101および障壁層102は、主表面を−c面とし、ソース形成領域122およびドレイン形成領域123のチャネル層101および障壁層102は、主表面を+c面としている。同様に、下部障壁層501も、ゲート形成領域121では主表面を−c面とし、ソース形成領域122およびドレイン形成領域123では主表面を+c面としている。
また、実施の形態3でも、ゲート形成領域121では、窒素原子面(−c面)とし、ソース形成領域122およびドレイン形成領域123では、III族原子面(+c面)とするために、前述した実施の形態2と同様に、基板301のソース形成領域122およびドレイン形成領域123にAlN層302を形成している。
実施の形態3における電界効果トランジスタは、チャネル層101を下部障壁層501と障壁層102とで挾む、ダブルヘテロ構造としている。このようにダブルヘテロ構造とすることで、前述した実施の形態2のヘテロ構造に比較して、一般に、より高い正のしきい値が得られるという特徴がある。
一方、実施の形態2と比較すると、実施の形態3では、ヘテロ構造の結晶成長の難易度がより高いという不利な点が存在する。ただし、実施の形態3における下部障壁層501によって、より高耐圧のトランジスタ特性が得られるという有利な点が存在する。
なお、実施の形態3においても、実施の形態2で説明した製造方法により作製することができる。実施の形態3では、AlN層302の層厚を10nmとし、下部障壁層501は、Al0.05Ga0.95Nから構成して層厚2μmとし、チャネル層101は、GaNから構成して層厚40nmとし、障壁層102は、Al0.3Ga0.7Nから構成して層厚20nmとした。また、障壁層102においては、下端より成長方向に4〜12nmの位置の厚さ8nmの領域に、5×1018cm-3程度のホール濃度を生じるように、Mgをドーピングし、不純物層303を形成する。これらは、MBE法によりエピタキシャル成長することで形成した。
また、実施の形態2と同様に、障壁層102を形成した後、ソース電極105およびドレイン電極106を形成し、次いで、ソース電極105およびドレイン電極106の間に、層厚25nmのAl2O3からなるゲート絶縁層104を形成する。実施の形態3においても、ゲート長は1μmとする。
上述した実施の形態3における実際に作製した電界効果トランジスタの静特性評価を行ったところ、+4.0Vなるしきい値を有するエンハンスメント型のデバイス動作が確認された。また、上述した製造方法により実施の形態3における電界効果トランジスタを繰り返し作製し、静特性評価を行ったところ、同じ特性のエンハンスメント型の動作が得られることが確認された。
以上に説明したように、本発明によれば、ゲート電極下には電子が存在せず、かつ、ゲート電極以外の領域においては電子が存在する、というエンハンスメント型動作のための構成を備える電界効果トランジスタが、十分に広い作製プロセス上のマージンのもとに実現することが可能となり、窒化物半導体を用いたエンハンスメント型の電界効果トランジスタが、制御性および再現性よくより容易に製造できるようになる。
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
例えば、実施の形態2において、障壁層/チャネル層の窒化物半導体材料の組み合わせとして、障壁層をAl0.3Ga0.7Nとし、チャネル層をGaNとした構造を用いたが、これに限るものではない。例えば、障壁層/チャネル層の組み合わせが、AlXGa1-XN/GaN(0<X<1)、AlX1Ga1-X1N/InX2Ga1-X2N(0<X1<1、0≦X2≦1)、AlX1Ga1-X1N/AlX2Ga1-X2N(0<X1<1、0≦X2<0.5、X1>X2)、GaN/InXGa1-XN(0<X≦1)、InX1Ga1-X1N/InX2Ga1-X2N(0≦X1<1、0<X2≦1、X1<X2)、InXAl1-XN/GaN(0≦X<0.5)、InX1Al1-X1N/AlX2Ga1-X2N(0≦X1<0.5、0≦X2<0.5)、InX1Al1-X1N/InX2Ga1-X2N(0≦X1<1、0≦X2≦1)のいずれかであればよい。これらのいずれかの組み合わせにより障壁層/チャネル層を構成すれば、障壁層のバンドギャップがチャネル層よりも大きいものとなり、前述した実施の形態1と同様である。
また、実施の形態3において、 障壁層/チャネル層の窒化物半導体材料の組み合わせとして、障壁層をAl0.3Ga0.7Nとし、チャネル層をGaNとした構造を用いたが、これに限るものではない。例えば、障壁層/チャネル層の組み合わせが、AlXGa1-XN/GaN(0<X<1)、AlX1Ga1-X1N/InX2Ga1-X2N(0<X1<1、0≦X2≦1)、AlX1Ga1-X1N/AlX2Ga1-X2N(0<X1<1、0≦X2<0.5、X1>X2)、GaN/InXGa1-XN(0<X≦1)、InX1Ga1-X1N/InX2Ga1-X2N(0≦X1<1、0<X2≦1、X1<X2)、InXAl1-XN/GaN(0≦X<0.5)、InX1Al1-X1N/AlX2Ga1-X2N(0≦X1<0.5、0≦X2<0.5)、InX1Al1-X1N/InX2Ga1-X2N(0≦X1<1、0≦X2≦1)のいずれかであればよい。これらのいずれかの組み合わせにより障壁層/チャネル層を構成すれば、障壁層のバンドギャップがチャネル層よりも大きいものとなり、前述した実施の形態2と同様である。
また、実施の形態3において、チャネル層/下部障壁層の窒化物半導体材料の組み合わせとして、チャネル層をGaN、下部障壁層をAl0.05Ga0.95Nとした構造を用いたが、これに限るものではない。例えば、チャネル層/下部障壁層の組み合わせが、GaN/AlXGa1-XN(0<X<0.5)、InX1Ga1-X1N/AlX2Ga1-X2N(0≦X1≦1、0<X2<0.5)、AlX1Ga1-X1N/AlX2Ga1-X2N(0≦X1<X2<0.5)、InXGa1-XN/GaN(0<X≦1)、InX1Ga1-X1N/InX2Ga1-X2N(0<X1≦1、0≦X2<1、X2<X1)のいずれかであればよい。これらのいずれかの組み合わせによりチャネル層/下部障壁層を構成すれば、下部障壁層のバンドギャップがチャネル層よりも大きいものとなり、前述した実施の形態3と同様である。
また、上述した実施の形態2,3において、ゲート絶縁層をAl2O3から構成したが、これに限るものではない。ゲート絶縁層は、SiN、SiO2、AlN、ZrO2、HfO2のいずれかから構成してもよく、また、これ以外の絶縁材料から構成してもよい。
101…チャネル層、102…障壁層、103…ゲート電極、104…ゲート絶縁層、105…ソース電極、106…ドレイン電極、121…ゲート形成領域、122…ソース形成領域、123…ドレイン形成領域、131…2次元電子。
Claims (5)
- 第1窒化物半導体からなるチャネル層と、
前記第1窒化物半導体より大きなバンドギャップエネルギーの第2窒化物半導体からなり前記チャネル層の上に形成された障壁層と、
前記障壁層の上に形成されたゲート電極と、
前記ゲート電極が形成されたゲート形成領域を挟んだソース形成領域およびドレイン形成領域の前記障壁層の上に形成されたソース電極およびドレイン電極と
を備え、
前記ゲート形成領域の前記チャネル層および前記障壁層は、主表面を−c面とされ、
前記ソース形成領域および前記ドレイン形成領域の前記チャネル層および前記障壁層は、主表面を+c面とされている
ことを特徴とする電界効果トランジスタ。 - 請求項1記載の電界効果トランジスタにおいて、
前記チャネル層から前記障壁層の積層方向の一部領域に不純物が導入された不純物層が形成されていることを特徴とする電界効果トランジスタ。 - 請求項1または2記載の電界効果トランジスタにおいて、
前記第1窒化物半導体より大きなバンドギャップエネルギーの第3窒化物半導体からなり前記チャネル層の下に形成された下部障壁層を備え、
前記ゲート形成領域の前記下部障壁層は、主表面を−c面とされ、
前記ソース形成領域および前記ドレイン形成領域の前記下部障壁層は、主表面を+c面とされている
ことを特徴とする電界効果トランジスタ。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電界効果トランジスタにおいて、
前記ゲート電極は、ゲート絶縁層を介して前記障壁層の上に形成されていることを特徴とする電界効果トランジスタ。 - サファイアからなる基板の上のゲート形成領域を挟んだソース形成領域およびドレイン形成領域にAlNを堆積し、前記基板の前記ゲート形成領域に基板表面が露出する露出領域と、前記ソース形成領域およびドレイン形成領域に形成されたAlN層の領域とを備える素子形成面を形成する第1工程と、
前記基板の前記素子形成面の上に、前記ゲート形成領域の主表面は−c面とし、前記ソース形成領域および前記ドレイン形成領域の主表面は+c面とし、第1窒化物半導体をエピタキシャル成長してチャネル層を形成する第2工程と、
前記チャネル層の上に、前記ゲート形成領域の主表面は−c面とし、前記ソース形成領域および前記ドレイン形成領域の主表面は+c面とし、前記第1窒化物半導体より大きなバンドギャップエネルギーの第2窒化物半導体をエピタキシャル成長して障壁層を形成する第3工程と、
前記ゲート形成領域の前記障壁層の上にゲート電極を形成する第4工程と、
前記ソース形成領域および前記ドレイン形成領域の前記障壁層の上にソース電極およびドレイン電極を形成する第5工程と
を備えることを特徴とする電界効果トランジスタの製造方法。
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