JP2015204235A - エネルギー装置のための光制御ユニット及びエネルギー照射装置 - Google Patents

エネルギー装置のための光制御ユニット及びエネルギー照射装置 Download PDF

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Abstract

【課題】汎用的な光ファイバーを使用しながら入射光束の入射角及び開口数に相当する値を変化させて出射ビームの放射形状を自在に制御する単一リング線又は輪帯形状型側射エネルギー装置を提供する。
【解決手段】ファイバー軸に沿った断面に平行な平面内に存在する平行光を所望の入射角でファイバー内に入射させると同時に、前記平行光の入射角に変化をつけて異なる入射角で入射させることにより、ファイバー出射端からは全周性の単一リング線又は輪帯形状の放射光が形成され、側射型の放射が可能となる。単一リング線又は輪帯全体の直径、及び輪帯の帯幅は、ファイバー内に入射させる平行光の入射角に対応することから、出射光がどの程度の広がりとなるかをファイバー入射側で自在に制御することが可能である。これにより、ファイバー操作者はターゲットの位置や形状に合わせて側射ビームを的確且つ容易に命中させることができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、レーザー光などのエネルギーを照射する装置の光制御ユニット及びエネルギー照射装置自体に係わり、さらに詳しくは、エネルギーの出射方向が側方に向けられた輪帯形状の放射を可能にする技術に関する。
レーザー光などを側方又は斜方に向けて放射するための装置は、出射光を拡散させるニーズのある分野で用いられてきており、具体的には例えば、加工装置、照明装置、医療用レーザービーム装置など多岐にわたる。
中でも医療用レーザービーム装置は、従来より、長尺状のファイバーを生体管腔臓器中に挿入し、ファイバー先端からファイバー軸に沿って前方にレーザーを出射して病変部を照射する直射型ファイバーが知られている。しかし、複雑な内部形状の生体管腔臓器においてファイバーの前方ダイレクトに病変部があるとは限らず、常にレーザー光の進行方向に病変部が存在するようにファイバーの向きを変える必要がある。一方で、ファイバーの向きを変えたくとも狭い管腔臓器中ではその動きが制限されたり、特定の局部では動かすことさえ許されなかったりする。その結果、内視鏡の観察視野内で病変部を確認できても、その病変部に向けてレーザービームを完全に照射できないことがある。
このため、単に前方照射するのではなく、一定の角度範囲でレーザービームを拡散させるレーザービーム側射用ファイバーが提案されてきた(例えば、下記特許文献1〜4)。
だが、従来の側射用ファイバーは、ファイバー先端の出射面をファイバー軸(光軸)に対して例えば45度などの傾斜面になるようにカットしたり、ファイバー先端部にプリズム機構を設けてレーザービーム光を回折させることによって側方照射を実現させるしかなかった。或いは、ファーバー内部にレーザー反射手段を設置し、レーザービームの往復運動に伴ってこのレーザー反射手段により出射角度を変化させることで側射ビームを得ていた。これまでは、側方に向けてレーザービームを照射するにあたり、ファイバーの先端形状を特別に加工させたり、光路を変化させるための所定の機構が必要となっていたのである。
特開2001−120671号公報 特許2615006号公報 特開平H11−276606号公報 特開2000−000319号公報
従来の側射用ファイバーにおける傾斜面形状は、確かに、レーザービームの方向を側方に向けたことになるが、実用面からすれば不充分なものに過ぎない。すなわち、従来の発想によるレーザービーム側射用ファイバーはあくまで一定の角度範囲内の側射であって、その傾斜面形状が全周にわたり照射可能なように適合できているわけではなく、全方位の側射のためには傾斜面の方向転換をする必要がある。また、照射時間が経過するにつれ管腔臓器の焼灼によりファイバー出射端が臓器と接着しやすいために、当初の傾斜面形状を維持するのは困難である。
プリズム機構を備えたファーバーの場合も、プリズムヘッドを回転させてビームを所望の方向に向けなければならず、ファイバー先端部又は関連するファイバー部分の大きさを不可避的に増大させてしまうことになる。これでは、狭い管腔臓器中での使用のためにできるだけコンパクト化したいという本質的な課題の解決に整合しない。また、血管収縮が生じればプリズムヘッドの自由な回転ができないなど、レーザー使用時間が長くなるほど操作者の意図する側射が思うようにできないという点ではファイバーの先端形状を傾斜面にする場合と同じ課題がある。さらに、全周性の側射として充分な出力パワーを得るには、一般的に市場に流通しているプリズムでは錯乱光の多さから効率が悪いという課題もある。
しかも、出射端の傾斜面形状やプリズムヘッドなどの構造をレーザー使用の開始後に取り代えることは本来的に不可能である。ファイバーを管腔臓器に挿入した後に確認される複雑な病変部の形状にあわせて、レーザービームが適切に病変部に照射されるようにするため、取り付けられているプリズムヘッド交換したり傾斜面形状を変更することなどできない。
そこで本発明は、エネルギー照射部を特殊な形状にしたり、ファイバー内で光を屈曲させるための機構を別途設けることなく、すなわち汎用的に使用されている光ファイバーを使用しながら、入射光束の入射角及び開口数に相当する値を変化させることで出射ビームの放射形状を自在に制御可能な、全周性の単一リング線又は輪帯型エネルギー放射装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために本発明に係る光制御ユニットは、ファイバー軸に沿った断面に平行な平面内に存在する平行光束を、ファイバー内で導光可能な入射角範囲内の入射角θ2で入射させることにより単一リング線形状の光がファイバー出射端から放射されるようにし、前記入射角θ2を制御して、ファイバー軸と単一リング線との間の距離を決定することを特徴とする。
また、本発明に係る光制御ユニットは、輪帯放射光を出力させることも可能であり、前記ファイバー軸に対する前記平行光束の入射角θ2を変化させることにより、前記入射角θ2とは異なる入射角θ1,θ3(但し、θ1〜θ3の間はファイバー内で導光可能な入射角範囲内にあり、θ1>θ2>θ3とする)を決定し、θ1からθ3の間の入射角をもつ複数の平行光束をファイバー内に入射されるようにすることで、ファイバー内で伝播した前記複数の平行光束がファイバー出射端から出射されたとき輪帯形状となる。このとき、光制御ユニットは、入射角の差(θ1−θ3)を制御することより輪帯の幅を決定し、入射角θ2を制御することより前記ファイバー軸から前記輪帯の幅の中央点までの距離を決定する。
また、本発明に係るファイバーは、ファイバー軸に沿った断面に平行な平面内に存在する平行光束を、ファイバー内で導光可能な入射角範囲内の入射角θ2で入射させることにより、単一リング線形状の光がファイバー出射端から前記入射角θ2に対応する出射角θ2´でファイバー軸周りに放射されるようにし、前記ファイバー出射端の先に設置する拡散部品が、前記出射角θ2´とは異なる出射角θ1´及び出射角θ3´(但し、θ1´>θ2´>θ3´とする)で前記単一リング線形状の光を拡散させることにより輪帯放射光を形成することを特徴とする。
本発明によれば、ファイバー軸に沿った断面に平行な平面内に存在する平行光を所望の入射角でファイバー内に入射させたり、更に前記平行光の入射角に変化をつけて異なる入射角で入射させることにより、ファイバー内を伝播した平行光が出射端から放射されるときは全周性の単一リング線又は輪帯放射光という円形型の放射光が形成され、その結果、管腔内では側射型のエネルギー放射が可能となる。したがって、ファイバー自体に特殊な加工を施すことなく汎用ファイバーを使用した側射型エネルギー放射装置を構築することができる。
また、単一リング線又は輪帯放射光となる円形の直径、及び輪帯放射光となる場合の輪帯幅は、ファイバー内に平行光を入射させるときの入射角に対応することから、出射光がどの程度の広がりとなるかをファイバー入射側で自在に制御することが可能である。これにより、ファイバー操作者はターゲットの位置や形状に合わせて側射ビームを的確且つ容易に命中させることができる。
本発明に係る光制御ユニットがファイバー内に平行光を入射させるときの反射の原理を幾何学的に説明するための図である。 ファイバー内に入射する平行光に対する複数の入射角をあらわした図である。 本発明に係る光制御ユニットを用いた入射光と出射光の関係を示す図である。 本発明に係る光制御ユニットで放射される出射光が単一リング線の放射光であることを示す図である。 本発明に係る光制御ユニットで放射される出射光が輪帯形状の放射光であることを示す図である。 入射光として異なる3つの入射角の平行光束が入射されるときのファーバー側面図及び底面図である。 輪帯形状の放射光をもつファイバーを血管などの生体管腔臓器内に挿入させ、輪帯形状の放射光が生体管腔臓器内を照射したときの様子をあらわした図である。 エネルギー伝搬効率と入射角の関係をグラフにした図である。 入射角θの制御を可能にする構成例を示した図である。 入射角θ及びΔθの制御を可能にする構成例を示した図である。 Δθの制御をズーミング機能で実現する構成例を示した図である。 大きさの異なる入射角θ2,θ2´の各平行光線束を同時に入射させたときの出射パターンをあらわした模式図である。 大きさの異なる入射角θ2の平行光線束を同時に入射させて形成される複数の輪帯を平面スクリーン上に形成したときの放射図、及び複数の輪帯が血管内壁で照射されたときを表した図である。 光拡散部品を用いて輪帯形状の放射光を生成する例を示す図である。 光拡散部品を用いて輪帯形状の放射光を生成する別の例を示す図である。 ファイバーが血管と非同軸の状態で出射光が放射された様子、及びファイバーにガイド機構を追加した例を示す図である。
以下に図面を参照しながら、本発明に係る光制御ユニットで制御される側射エネルギー装置の一実施形態について説明する。本実施形態では、生体血管内での静脈瘤をレーザー焼灼するレーザー光を用いた光ファイバー10(以下、「ファイバー10」という。)を例にして説明していく。ファイバー10に対して入射させるレーザー光を放出する光源は、半導体レーザーやガスレーザーや固体レーザーを含む。なお、本発明はレーザー光に限らず、スーパルミネッセンスダイオードなどのLEDにも適用可能である。また光源からの入射光の波長は、光ファイバーが伝送可能な、紫外線から可視域および赤外線までが想定される。
周知のとおり、ファイバーによる光の伝搬の仕方には複数の種類があり、屈折率分布が一様なクラッドとコアからなるファイバーをステップド・インデックス型光ファイバーというのに対し、屈折率分布がゆるやかに変化するファイバーをグラジエント・インデックス型光ファイバーという。また、中空の管状形状の内壁で繰り返し反射をするタイプのファイバーを中空ファイバーという。なお、インデックスとは屈折率を意味する。本発明に関係するファイバーは、ステップド・インデックス型光ファイバー、グラジエント・インデックス型光ファイバー、中空ファイバーを含む任意のタイプの光ファイバーのうち特定のタイプに限定されるものではなく、いずれのタイプのファイバーにも使用され得る。また、コア径を小さくしていくと伝搬できるモードが基本モードだけであるというような単一のモードのみを通すシングルモード光ファイバー、及び、複数のモードで光を伝搬するマルチモード光ファイバーのいずれであっても本発明が適用される。
以下の実施形態では、説明の簡略化を目的として、ステップド・インデックス型で伝搬するマルチモード光ファイバーを例に説明する。
ファイバー10は高い屈折率(α)をもつコアと、低い屈折率(β)をもつクラッドの二層構造になっている。2つの異なる屈折率α、βに基づき得られる臨界角よりも、ファイバー軸からの入射角が小さいレーザー光をコアの部分に入射させると、コアとクラッドの境界面でレーザー光が全反射する。その結果、光は、反射による損失無しにコア内に閉じ込められてファーバー内で伝搬しながら進むことができる。
ファイバー内で全反射させるための入射角範囲はコアとクラッドの屈折率の関係から決定されるが、できるだけコア内への入射を容易にしたいことから、入射角範囲の全体を使用した入射が行われ、しかもファイバー軸に対称に光を入射させて使うのが殆どである。全反射可能な入射角範囲のうち一部の範囲に限定し、特定の方向のみから入射させるという使い方は従来では行われていない。
これに対し、本実施形態のファイバーは、ファイバー軸(即ち、光軸)に沿った断面に平行な平面内の複数の平行光(少なくともモードフィールド径、即ちコア径に等しい光束径の平行光)を、ファイバー軸に対して斜めの方向から入射させる。このときの入射角をθとすると、使用する入射角範囲(θ±Δθ)は全反射可能な入射角範囲のうちのごく限定した一部の使用である。
ファイバーに平行光が入射されたときの反射状態を幾何学的に説明するための図1(A)及び図1(B)を参照されたい。直径2aのコアをもつファイバー10の入射端7に対し、2aよりも大きな光束径を持つ平行レーザー光5が入射角θi0で入射されている。コア1における入射端7でレーザー光5は屈折角θ0で屈折し、ある入射レーザー光6がコア1とクラッド2の境界面Z0に到達したとする。図1(B)は、境界面Z0を含み且つファイバー10の光軸の垂直断面をSとしたとき、各レーザー光6を断面Sに射影させたときのベクトルをあらわしている。ファイバー軸をZ軸としたとき、断面SはZ軸に直交するX軸及びY軸を有する。特に留意すべき点は、ファイバー軸に沿った断面に平行な平面内の複数の平行光レーザー、つまりXZ平面に平行な面内の光5が、ファイバー軸に対して所望の入射角度θi0でコア1に向けて進入していることである。
XZ平面に平行な面内のレーザー光が、ファイバー軸に対して斜めの方向から入射されているということは、断面Sにおける各レーザー光6の射影はX軸に平行となる。
今、このレーザー光6の射影に沿う単位ベクトルをLS0とすると、LS0=(1,0)である。括弧内の値は、X軸及びY軸の各値をあらわす。
断面Sに射影されたレーザー光6のY軸方向におけるX軸からの距離をy0とし、レーザー光6がコア・クラッド境界面に到達した位置(第1回目の全反射する位置)の点Pと原点Oを結ぶ直線OPと、Y軸の為す角をγ0とする。点Pにおけるコア・クラッド境界面に対する法線ベクトルN0は、
0=(-sinγ0,-cosγ0
であらわされる。
X軸方向の単位ベクトルLS0と同様に、点Pで全反射するレーザー光6を断面S上に射影したときのY軸方向の射影に沿う単位ベクトルをLS1とすると、LS1はLS0とN0を用いて、
S1=−2(N0・LS0)N0+LS0
=2sinγ0(-sinγ0,-cosγ0)+(1,0)
=(1−2sin2γ0,−2sinγ0 cosγ0
=(cos2γ0,−sin2γ0
と与えられる。
また、γ0=arc-1(y0/a)であるため、−a≦y0≦aのとき、0≦γ0≦2πである。このことから、XZ平面と平行な面で入射したレーザー6の光線束は、コア・クラッド境界面での1回目の全反射により、断面SにおけるX軸からの距離y0に応じてXY平面内であらゆる角度を有することとなる。平行なレーザー光6がX軸上のコア径2aのうちどの部分からコア内に入射したかによってコア内壁面での全反射位置(したがって、断面Sにおける距離y0)が定まるが、本実施の形態のファイバー10の場合、入射レーザー5の光束径をモードフィールド径であるコア径又はそれ以上にしているため、レーザー6の光線束全体に関する断面Sにおける距離y0は、−a〜aの全区間を満たす。これは、XZ平面と平行な面内にあり、少なくともコア径の光束径をもつ平行光をファイバー光軸に対して斜めの方向からコア内に入射させたとき、ファイバー出射端8から最終的に出射されるレーザービームはファイバー軸まわりに360度の全方向で放射されること、すなわち全周性型の光ファイバーとなることを意味する。
また、n回目の全反射時における、レーザービーム光の射影LSn及び法線Nnは、以下の式であたえられる。
Sn=(cos2nγ0,−sin2nγ0),
n={−sin2(n+1)γ0,−cos2(n+1)γ0
つまり、法線とY軸との為す角は全反射ごとに2γ0だけ増加し、また法線とレーザービーム光を射影したベクトルとの為す角ζは全反射しても常に保存される。そのため、1度目のコア・クラッド境界面で全反射した光線はn回目の反射時においても同様に全反射してファイバー内で伝搬される。したがって、1度目のコア・クラッド境界面で全反射する条件が、ファイバー内で行われる全反射すべての伝搬の条件となり、出射時のレーザービームの放射状態を決定づけることになる。1度目のコア・クラッド境界面で全反射する条件(即ち、レーザービームの入射条件)を制御するための入射系の構造については後述する。
次に、本実施形態のファイバー10が、出射光としてレーザービームを単一リング線又は輪帯形状に形成する原理を説明する。
図2(1)〜(3)は、ファイバー入射端7に向かって斜めから平行光が入射される様子を示している。上述したようにすべての平行光は、ファイバーの断面と平行な面に存在しているとする。
図2(2)に示す3本の平行光線(2A、2B、2C)は、ファイバー軸Oに対して入射角θ0を有する。図中に示す点d1、点d2はコアの最端点であり、この最端点を通るレーザービーム光が2A及び2Cである。2Bはコア径の中心、即ち、ファイバー長手方向のファイバー軸を通るレーザービーム光である。図示するとおり、レーザービーム2Bの入射角(θ2)は、θ2=θ0である。一方、図2(1)及び(3)は、図2(2)の平行光線(2A、2B、2C)の傾き程度を大きく又は小さくして入射させたときの図であり、図2(1)のレーザービーム1Bの入射角をθ1とし、図2(3)のレーザービーム3Bの入射角をθ3とすれば、これら平行光線の入射角の関係は、θ1>θ0,θ3<θ0である。
なお、図2(1)〜(3)において、図示した3本の平行光線は説明のためであって、実際にはコア径の間で平行光線が無数に通過することは言うまでもない。また、図1(A)で示したように平行光はファイバー入射端7で所定の屈折角で屈折するが、説明を簡略化するため及び本質的な原理に変わりはないのでファイバー入射端7での屈折を省略している。
図2(1)〜(3)に示すような異なる入射角θ1,θ2,θ3でコアの端点d1、d2及び中央点Oの各々を通過するA〜Cの平行光を集めると、図2(4)のようになる。ここで、ファイバー軸上の中央点Oを通るレーザービーム光(1B、2B、3B)を抽出したのが図2(5)である。ファイバー入射端7においてファイバー軸上のコア中央点Oを通過して入射するレーザービーム光(1B、2B、3B)は、ファイバー入射端7を焦点として集光するレンズを用いていることと光学系と等価であることがわかる。そこで、入射系を光学レンズで表し、血管内でファイバー10から出射光が放射された様子をあらわしたのが図3である。なお、図6(A)は、図2で示した異なる入射角θ1,θ2,θ3の平行光が入射されることを示した図である。
図3に示すように、XZ平面と平行にファイバー入射端7に向けて斜め方向からコア径の中央点Oを通過するレーザー光は、光源からの光を入射角θ、2*sin-1(NA)=Δθで集光するレンズ30を通して入射されていることに等しい。図2(5)と照らしあわせると、図3のθが図2中のθ0に対応する。また、図3中のレーザー光11,12,13が、図2中の1B,2B,3Bにそれぞれ対応する。
出射光におけるファイバー軸からの広がり角は、入射したときの角度のまま保存されるため、出射レーザー光の出射角θ´は入射角θと等しくなる。したがって、入射条件でコア内に入射されたレーザー光12は、ファイバー内でn回の全反射を繰り返しながら伝搬し、ファイバー出射端8からレーザー光12´として放射される。同様に、入射レーザー光11,13は、出射レーザー光11´,13´として放射される。
また、図1(A)、(B)を参照しながら説明したとおり、コアの中央点Oを通過しない他の平行レーザー光は、断面Sにおいて任意のy0をもって射影されたことと等価であるため、ファイバーのコア曲面のどこで全反射されるかによってγ0が決まり、それぞれ旋回しながら放射される。上述したように、コア内に入射した平行なレーザー光の断面S上におけるX軸からの距離y0がコア径の全区間を満たすことからレーザー光12´は360°の全方向で放射される。その結果、最終的にファイバー出射端8においてはファイバー軸(Z)回りの放射光(0≦γ0≦2π)、すなわち図4に示すような全周性の単一リング線を形成する光が放射光となって出射される。
同じように、出射レーザー光11´,13´それぞれについても、全周性の単一リング線を形成する。ここで、ファイバー入射端7でコアの中央点Oを通過するレーザー光は、2×開口数(NA)=Δθの入射条件で入射されているので、出射レーザー光も同一の条件で放射される。すなわち、図3に示すとおり、ファイバー出射端O´を中心とした、Δθ´(=Δθ)の範囲にのみ出射レーザー光が存在する。
言い換えると、ファイバー出射端O´からのレーザー光は、Δθ´だけ離れた出射レーザー光13´と出射レーザー光11´との間に放射される多数の光線群であり、そしてファイバー軸(Z)を回転軸とする0〜360°回りの放射光がある。このため、図5に示すようにファイバー出射端の上方でZ軸に垂直なXY平面スクリーンがあるとすると、出射レーザー光の全体は、“輪帯形状”となって放射されることになる。
次に、各パラメータの値と輪帯形状との関係をみると、輪帯の内径は出射レーザー光13´によって、輪帯の外径は出射レーザー光11´によって形成されることになるので、狭角Δθ´が輪帯の帯幅D(外径−内径)に関係する。したがって、ファイバー10を血管内に挿入させたときは、図7に示すように多数の放射光線群が血管内壁に沿ってΔθ´に対応する幅の輪帯形状であらわされる放射になる。図3の断面図ではa、b部分の血管内壁が焼灼されることになる。例えば、静脈瘤が小さいために血管内壁をピンポイントで焼灼すればよいという場合は、入射条件としてのΔθを小さく設定し、輪帯の帯幅Dが小さくなるように集光制御を行えばよい。この場合、血管内壁においてa及びb部分の大きさはΔθに応じて小さくなるので出射レーザー光はピンポイントの照射が可能になる。
また、以上の説明から理解されるとおり、輪帯の内側E(輪帯の内径よりも小さな中央付近)の部分にはレーザー光は放射されないので、血管内に挿入されたファイバーからのレーザー光は血管内前方を照射せず、血管内壁のみを照射する。これが、本実施形態のファイバーが血管などの体腔内に挿入されて使用された際に全周性の“側射型”ファイバーとなる理由である。
さらに、出射角θ´(即ち、入射角θ)の大小は、ファイバー出射端8から輪帯までの距離Zout(図3参照)に関連づけて決定されるという点にも留意すべきである。これは、出射レーザー光が血管内壁に到達するまでの距離を制御することを意味する。例えば、血管内でファイバー出射端8から遠い位置の血管内壁を焼灼させようとする場合には、入射角θに小さい値を設定して出射角θ´を小さくし、その結果、Zoutが大きくなるようにして、輪帯のZ軸方向の位置がファイバー出射端8から遠ざかるようにすればよい。このように、Δθの制御によって側射する血管内壁の面積を可変にするとともに、入射角θの制御によって側射までの位置も同時に可変にすることができる。
実際に、本実施形態のファイバーを試作して効果を検証したので、その結果を以下に示す。
ファイバーにHe-Neレーザー(632.8nm、ビーム系1mm(1/e2)、ビーム広がり全角<2mrad)を斜入射(入射角:0°,6°,12°,18°,20°,24°)させた。このとき、計測系の角度分解能<1°となるようにファイバー射出端、回転ステージ、フォトディテクタを配置しておいた。検証結果は、出射端からファイバー軸回りの輪帯形状の光が出力されることを確認できた。輪帯をなす出射光の射出角はその入射角とほぼ一致し、入射角依存性を有していた。また、輪帯の帯幅に対応する射出角の広がりは5°程度となった。射出光全強度は入射角に応じて減少し、0°入射角の射出光全強度を1にした場合、12°入射時に0.82、24°入射時に0.2の光強度であった。
本発明に係るエネルギー放射装置のための光制御ユニットは、専用ファイバーではなく汎用ファイバーの利用を前提としている。したがって、使用するファイバーの種類が変われば、各ファイバーの特性もそれぞれに異なる。一般に、光ファイバーのカタログ等に記載されている開口数(NA)は、メリジオナル光(図1に示すXZ平面内を伝搬する光線に相当)における臨界角によって規定されている。このときの臨界角ωcは、カタログ値のNAをNAnominalとすると、
NAnominal = sinθic = n1sinθc = n1cosωc
となる。(但し、θic、θicは、それぞれメリジオナル光が臨界角となる際のファイバー入射角、及び屈折角とする。)
したがって、メリジオナル光を含む一般の光線がファイバー内を伝搬できるファイバー入射角θicの条件は、
Figure 2015204235
となる。このとき、sinγ0<1であるので、一般の光線のNAは常にカタログ値のNAよりも大きくなる。上記sinθi0がカタログ値のNAを超えた場合、断面SにおけるX軸からの距離y0の小さい光線から順番にファイバー内を伝搬できなくなる。
いま、θi0=0の時の伝搬効率を1とすると、伝搬効率ηは、

Figure 2015204235

Figure 2015204235

で与えられる。
図8は、NAnominalを0.2〜0.6としたとき、伝搬効率ηをθi0の関数として示した図である。図8が示すとおり、入射角θi0の増加によって伝搬効率ηは低下する。これは、上述した検証結果において、0°入射時の射出光全強度を1に対し、12°入射時に0.82となり、24°入射時に0.2というように、射出光全強度が減少している事実に対応している。
また、NAが小さいほど伝搬効率が低下しやすく、しかも僅かな入射角変化で急激な低下が生じる(NA=0.2の場合、伝搬効率が0.8→0.4になるのは入射角θi0の変動幅は約2〜3°であるのに対し、NA=0.5の場合の変動幅は約7〜8°である)。したがって、できるだけ大きなNAをもつファイバーを使用することが、エネルギーロスの観点及び入射角の制御のしやすさの観点から有効であるといえる。
上述してきたように、本発明は汎用ファイバーに入射する平行光の入射角を制御することにより(しかも、入射角θを含む入射条件のみの制御で)、全周性の側射型ファイバーを生み出すというアイデアに基づくことから、入射系の構造をどのように構成するかが重要となる。そこで、入射角θ及びΔθを制御するための構成例について次に説明する。
入射角θ及びΔθを制御する最も単純な構成は回転機構を用いて実装することである。図9は、光源レーザー20を回転ステージ21上に置いて、光源レーザー20の光軸と本実施の形態のファイバー22の軸を一致させ、ファイバー入射端7が回転ステージ21の回転中心Oに一致するように配置した模式図である。回転ステージ21の回転により光源レーザー20が動くため、光源レーザー20からの入射光の入射角θは回転ステージ20の回転分だけ変化させることができる。あるいは図10に示すように、光源レーザー30自体は回転ステージ21とは別の場所に設置し、光源レーザー30に結合した光源ファイバー31を伝わるレーザー光を回転ステージ21上まで導く構成であってもよい。
さらに、図10に示した入射系の構成は、光源ファイバー31の出射端をリレーレンズに連結し、光源ファイバー31の出射端からの射出光をこのリレーレンズ32で受けるように構成させている。図11は、リレーレンズ32の詳細な構成を示している。まず、光源ファイバー31の出射端からの射出光を、リレーレンズ32の前段部33でコリメートし、その後、再集光レンズ34で集光させる。いま、コリメート光のビーム直径をD、再集光レンズの焦点距離をf、FをFナンバーとすると、幾何光学的な集光半角θは、
F=f/D,
NA=1/(2F),
θ=sin-1(NA)
となる。
したがって、リレーレンズ32のコリメータ部33に続く再集光レンズ部34を、焦点距離が連続又は離散的に変化するレンズ系(例えば、ズームレンズなど)とし、その幾何学的な集光位置を変化させることなく焦点距離を可変にすればΔθが変化し、本実施形態のファイバーから出射する輪帯の帯幅を制御できる。
<応用例>
次に、上述した実施形態を変形した応用例について説明する。
図12は、大きさの異なる2つの入射角θ2,θ2´の各平行光線束を同時にファイバー10内に入射させたときの出射パターンをあらわした模式図である。ファイバー出射端からは、入射角がθ2の平行光線束60に対応する単一リング線60´と、入射角がθ2´の平行光線束61に対応する単一リング線61´とが放射されるが、入射角θ2,θ2´の大きさが異なるため、ファイバー軸方向(Z軸)に差異がある2つの単一リング線が出射される。
次に、上記ファイバー軸方向に差異がある2つの単一リング線の各入射角θ2,θ2´をそれぞれΔθ,Δθ´変化させて輪帯が放射されるようにし、ファイバー軸に垂直な平面スクリーンに投影したのが図13(A)、更にこれを血管などの管腔内に挿入した時の放射の様子をあらわしているのが図13(B)である。図13(A)が示すように、大きさの異なる入射角θ2,θ2´の輪帯放射光を平面スクリーンに投影すると同心円状の輪帯となり、図13(B)が示すように、血管内壁では出射端8からのファイバー軸方向の距離が異なる2つの輪帯が同時に存在することになる。本例では2つの入射角θ2,θ2´で説明したが、異なる入射角の数に相当する数の輪帯が入射角に応じてファイバー軸方向にずれて同時に形成される。
そして、異なる入射角の平行光線束を同時に入射させてはいるが、各輪帯が他の輪帯とは独立に制御可能であることに留意されたい。つまり、複数の輪帯の各々に関し、輪帯幅、ファイバー軸方向の距離、照射強度、波長、パルスレートなどを独立に制御することができる点が有益である。これにより、例えば各輪帯の照射強度を変えて、1つめの輪帯で腫瘍患部のテスト照射、2つめの輪帯で本照射というような使い方ができる。さらに、本発明を金属管内での使用する場合には、例えば、1つめの輪帯で被照射部に対して余熱を与え、2つめの輪帯で本照射、3つめの輪帯でアニーリング(焼きなまし)を行うなども可能である。このような使用方法は、意義の異なる処理のために行われる複数の照射を、各輪帯への独立した制御によって一工程の照射で完了できるという効果を生じさせるものである。
なお、平行光線束60及び平行光線束61の入射角θ2が同一場合でも、それぞれの波長等を変えることにより同心円状の複数の輪帯が形成されるようにすれば上述した同一の効果が奏される。
これまでは、ファイバー内へ入射させる平行光線束は、入射角がθ1の平行光線束、入射角がθ2の平行光線束、入射角がθ3の平行光線束というように、複数の入射角の平行光線束をファイバーへ入射させる前に、図9や図10で構成されるような光制御ユニットでΔθ分の回転を行って準備していた。一方、図14は、単一の入射角のみの平行光線を光制御ユニットで準備してファイバーへ向けて入射させる。例えば、40は、入射角がθ1の平行光線束であり、光制御ユニットはこの平行光線束40を光拡散シート50に向けて入射する。光拡散シート50は、入射された光40の入射角とは異なる複数の角度に光拡散させる部品である。あらかじめ、入射角がθ1に対する光拡散シート50の光拡散方向が出射角θ2及びθ3となるように設計しておけば、ファイバー内に入射する複数の入射角の平行光線束は、図6で示す上述の実施形態の構成と原理的に同一である。
したがって、光拡散シートを介して入射される平行光線束は、輪帯形状となって出射される。
図15は、図14に示した光拡散シート50を、ファイバー出射端側に取付けて使用するときを示す図である。図14と同様に、図15の場合もファイバーの入射端7に向けて入射させるのは入射角θ1の平行光線束5のみである。その結果、ファイバー出射端O´からはファイバー軸まわりに360度の単一リング線形状の光45が放射される。この単一リング線形の光45を光拡散シート50に通すと、単一リング線形の光を輪帯状に拡散することができる。図14と同様に、光拡散シートの光拡散方向をあらかじめ設計しておけば、ファイバーの入射端7に向けて入射した入射角θ1の平行光線束は複数の方向に光拡散し、輪帯形状となって出射することが可能である。
なお、本実施形態においては、ファイバーのコア1に入射させる平行光線の光束径が少なくともコア径(モードフィールド径)であるとして説明してきたが、光束径をコア径未満にすることを排除するものではない。本実施形態において光束径をファイバーのコア径又はそれ以上にした理由は、出射ビームの形状が全周性の輪帯形状にするためである。出射ビームの形状を半周の輪帯や、1/4周の輪帯などになることを望む場合は、輪帯における非全周性の形状に合わせてファイバーコアに入射させる平行光線の光束径を決定すればよい。さらにまた、光束径がコア径未満であっても、ファイバー長が十分に長く、ファイバー内部における反射回数が十分に大きければ全周性になり、十分に長くなければ非全周性になる。したがって、光束径がコア径未満の場合は、ファイバー長に応じて全周性又は非全周性の何れかを生じさせることになる。
ところで、血管などの管腔体にファーバーを挿入させた場合、ファイバーと血管を同軸にあわせることは容易ではない。この場合、図16(A)に示すように、ファイバー10から放射される光は血管内壁において輪帯が歪み、出射光がファイバー出射端8から近い位置で血管内壁に到達する箇所と、遠い位置で血管内壁に到達する箇所が生じることになる。これを解決するため、図16(B)に示すように、ファイバー軸と同軸の孔を有する一定の長さのガイド70にファイバーを通してファイバー出射端8付近に取付けるとよい。ガイド70の具体的な長さは適宜決定され得るが、ファイバーの曲がりを矯正するという目的に鑑みれば、少なくともガイド70の径の数倍程度のガイド長であることが望ましい。また、ファイバー出射端からの取付け位置は、照射強度による先端部の熱蓄積の程度に応じて、又は焼灼によりファイバー出射端が内壁と接着するし易さを考慮して適宜決定すればよい。ガイド70の材質はチタンなどを含む金属製や、セラミックなどを含む樹脂製があるが、特に限定されるものではない。
このガイド70の使用によってファイバー軸が血管と軸平行になり、図4や図5に示すような放射光が形成される。なお、ガイド70の外径は管内径に近似させて管内壁にガイド70がぴったり接触させれば同軸性を確保しやすい。特に血管内に挿入させる場合は、血管の収縮性があるのでこれを利用し、血管内壁よりも大きな外径のガイド70を用いることもあり得る。さらに、ガイド70の前端又は両端は挿入をスムーズにさせる目的で曲率のある形状が望ましい。なお、図16(C)に示すような、玉が連なって構成されるガイド71も同軸性の確保及び血管内への挿入の容易性に有効である。
更なる応用例としては、ファイバーコアに入射させる平行光線のすべてを同一のエネルギー強度ではなく、平行光線の一部だけを強く(又は弱く)することによって、いわゆるアポタイゼーションの状態を作りだすことを含む。これにより、進行方向に向かって右側(又は左側)の出力強度が大きい側射型ファイバーなどを容易に作り出すことができる。
<単一リング線又は輪帯レーザーの医学的応用>
最後に、本発明の医学的応用面について説明しておく。
本実施形態では、生体血管内での静脈瘤をレーザー焼灼するレーザー光を用いたファイバーを代表例にして本発明の原理及び制御方法について述べてきた。このような生体に対する単一リング線又は輪帯レーザーの医学的応用は、下記の治療すべてに適用できるものとして期待されている。
(A)光熱的過程として、例えば、(1)温熱による癌温熱療法、(2)熱溶着による血管吻合、(3)熱凝固による凝固破壊・止血、(4)熱蒸発による切開、(5)熱蒸散による腫瘍除去など、
(B)光機械的過程として、例えば、(1)硬組織破砕作用による結石破砕、(2)空洞形成による角膜蒸散、(3)解離による穿刺照射、(4)剥離など、
(C)光化学的過程として、例えば、光線力学的治療による内視鏡的癌治療や新生血管治療など、
(D)光解離過程として、例えば、光解離蒸散による角膜蒸散など、である。
上述した治療において様々な反応を生体内で発生させる際には、電磁波のエネルギーロスをできるだけ少なくし、意図する方向への伝搬を可能にする技術が重要である。ファイバーは、血管・消化管・気管などの管腔臓器内、胸腔・腹腔・脊髄腔などの体腔内、あるいは骨や軟部組織に人工的に作成した孔内でエネルギーを伝搬させることが可能であるため有用なツールとなる。しかしながら、血管内に挿入したファイバーで内膜などの側方向に電磁波を照射しようとしても、生体内の限定された空間であることから、ファイバーの先端を対象部位に正対させることができないケースが生じてしまう。そのようなケースに対し、本実施形態で説明したファイバーのように、エネルギーが単一リング線又は輪帯形状で出射される照射は、生体内の空間という特殊な環境下でファイバー先端部を対象部位に正対させる必要がないので極めて優位性を有するものである。
また、生体治療では菌繁殖を回避する上でディスポーザブルな構成部品が前提となることが多く、使用後のファイバーにおいても繰り返しの使用は好ましくない。その結果、ファイバー自体に特注加工がされて加工費として上乗せされる従来の高額な側射ファイバーを使用する度に破棄することとなり、極めて高いコストの負担を強いられてしまっていた。これに対し、本実施形態のように汎用のファイバーを用いながら外部の光制御ユニットでファイバーへの入射光の入射角を制御して側射ができるということは、従来の側射ファイバーに較べて格段に低価格化での実現をもたらすものである。
上述したとおり、本発明に係る光制御ユニットで制御されるファイバーなどが管腔臓器内で使用されると、輪帯形状の出射ビームは前方ではなくむしろ側方に照射されることになる。一方、従来のファイバーによる照射は前方に向けてある拡散した角度範囲での照射法である。本発明のように側方にレーザー照射することで、前方周辺の対象物を選択的に照射することの医学応用上の利点は、例えば、管腔臓器におけるファイバー先端に近接した内面を選択的に照射したり、レーザーを探査光として照射しその反射を測定して内面の情報が得られることである。ここで、管腔臓器とは血管、胆管、気管・気管支、尿管、尿道、卵管などの生体内管のほかに、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸などの消化管、鼻腔咽頭や副鼻腔などの耳鼻科領域、卵巣や子宮などの婦人科領域などが含まれており、非常に多岐にわたる臓器への適用が可能であることを意味している。
さらにまた、本実施形態で示した輪帯形状のレーザー出射を体腔内での手術において適用する一例として下肢静脈瘤に対する血管内レーザー焼灼術が挙げられる。従来ではプリズムによる偏向を利用した全周性側射型ファイバーが知られているが、プリズムは一般的に光の散乱から効率が悪く、しかも構造上ヘッド径が大きくなるため有効な静脈瘤収縮が得られず静脈が接着してしまっていた。これと本発明による輪帯形状レーザーを比較してみると、ファイバー軸上の被写体を避けて、レーザー発射端より5mm以内の静脈内腔を散乱せずに照射し、その結果、有効な静脈収縮が得られて静脈の接着が起こらないことを確認済みである。

Claims (8)

  1. 光ファイバーを用いたエネルギー放射装置のための光制御ユニットであって、ファイバー軸に沿った断面に平行な平面内に存在する平行光束を、ファイバー内で導光可能な入射角範囲内の入射角θ2で入射させることにより単一リング線形状の光がファイバー出射端から放射されるようにし、
    前記入射角θ2を制御して、ファイバー軸と単一リング線との間の距離を決定する、
    エネルギー放射装置のための光制御ユニット。
  2. 前記ファイバー軸に対する前記平行光束の入射角θ2を変化させることにより、前記入射角θ2とは異なる入射角θ1,θ3(但し、θ1〜θ3の間はファイバー内で導光可能な入射角範囲内にあり、θ1>θ2>θ3とする)を決定し、θ1からθ3の間の入射角をもつ複数の平行光束がファイバー内に入射されるようにし、
    ファイバー内で伝播した前記複数の平行光束がファイバー出射端から出射されたときの輪帯形状において、入射角の差(θ1−θ3)を制御することより輪帯の幅を決定し、入射角θ2を制御することより前記ファイバー軸から前記輪帯の幅の中央点までの距離を決定する、
    請求項1に記載の光制御ユニット。
  3. 前記入射角θ2は、
    光拡散部品により、又は
    回転ステージ上に光源を配置し、前記回転ステージの回転分に対応して光源からの光ビームの入射角を変化させることにより制御する、請求項1又は2に記載の光制御ユニット。
  4. 前記回転ステージの回転分に対応して光源からの光ビームの入射角を変化させて前記入射角θ2を制御する場合、前記入射角の差(θ1−θ3)の制御は、リレーレンズから構成される再集光部において、焦点距離が連続または離散的に変化するレンズ系によって集光角の大きさを調整する、請求項3に記載の光制御ユニット。
  5. 前記入射角θ2の異なる平行光線束を複数同時に入射させ、
    照射強度、波長、パルスレートを含む入射条件を前記各入射角θ2毎に独立して制御する、請求項1〜4の何れか1項に記載の光制御ユニット。
  6. 前記ファイバーに入射させる前記所定の光束径が前記ファイバーのモードフィールド径又はそれ以上のときは全周性の側射エネルギー装置を生じさせ、
    前記ファイバーに入射させる前記所定の光束径をモードフィールド径未満のときはファイバー長に応じて全周性又は非全周性の側射エネルギー装置を生じさせる、請求項1〜5の何れか1項に記載の光制御ユニット。
  7. ファイバー軸に沿った断面に平行な平面内に存在する平行光束を、ファイバー内で導光可能な入射角範囲内の入射角θ2で入射させることにより、単一リング線形状の光がファイバー出射端から前記入射角θ2に対応する出射角θ2´でファイバー軸周りに放射されるようにし、
    前記ファイバー出射端の先に設置する光拡散部品が、前記出射角θ2´とは異なる出射角θ1´及び出射角θ3´(但し、θ1´>θ2´>θ3´とする)で前記単一リング線形状の光を拡散させることにより輪帯放射光を形成する、ファイバー。
  8. 前記ファイバーの出射端又は出射端近傍に、ファイバーを貫通させるための孔をもつガイドを追加した請求項7に記載のファイバー。
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