JP2015204063A - ファクタリングシステムおよびファクタリング方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】「でんさいネット」のサービスを利用したファクタリングサービスを実現する。
【解決手段】売掛債権について電子記録債権を発生させるためのファクタリングデータ121を支払企業30から受け付けるファクタリング受付部101と、「でんさいネット」に対して電子記録債権の発生記録および譲渡記録の請求を行うためのインタフェースを有する電子記録債権処理部104と、売掛債権の買取の申込を納入企業40から受け付けて買取指示データ122を作成する買取処理部102と、電子記録債権のうち一括買取によるファクタリングの対象となるものを抽出して買取指示データ122を作成する一括買取処理部103とを有し、電子記録債権処理部104は、「でんさいネット」に対してファクタリングデータ121に基づいて電子記録債権の発生記録の請求を行い、買取指示データ122に基づいて納入企業40から金融機関10への譲渡記録の請求を行う。
【選択図】図1
【解決手段】売掛債権について電子記録債権を発生させるためのファクタリングデータ121を支払企業30から受け付けるファクタリング受付部101と、「でんさいネット」に対して電子記録債権の発生記録および譲渡記録の請求を行うためのインタフェースを有する電子記録債権処理部104と、売掛債権の買取の申込を納入企業40から受け付けて買取指示データ122を作成する買取処理部102と、電子記録債権のうち一括買取によるファクタリングの対象となるものを抽出して買取指示データ122を作成する一括買取処理部103とを有し、電子記録債権処理部104は、「でんさいネット」に対してファクタリングデータ121に基づいて電子記録債権の発生記録の請求を行い、買取指示データ122に基づいて納入企業40から金融機関10への譲渡記録の請求を行う。
【選択図】図1
Description
本発明は、電子記録債権の利用技術に関し、特に、電子記録債権を用いてファクタリングサービスを実現するファクタリングシステムおよびファクタリング方法に適用して有効な技術に関するものである。
近年、事業者の資金調達や決済の手段として、電子記録債権の利用が急速に拡がっている。電子記録債権とは、電子記録債権法(平成19年法律第102号)により、事業者の資金調達の円滑化等を図るために創設された新しい類型の金銭債権であり、電子債権記録機関(以下では単に「記録機関」と記載する場合がある)の記録原簿への電子記録をその発生・譲渡等の要件とする、既存の指名債権・手形債権などとは異なる新たな金銭債権である。
この電子記録債権を用いた資金調達や決済の手法の一つとして、金融機関等によるいわゆるファクタリングサービス(売掛債権の買取と債権回収)の実施も検討されており、 これに関連する技術として、例えば、特開2011−175571号公報(特許文献1)には、電子債権記録機関のデータベースに記録される電子記録債権を利用して一括ファクタリングを行うことが記載されている。
すなわち、債務者の端末から一括ファクタリングにかかる債権が特定された明細データを受け取る。また、明細データの仕入企業を債権者とし、支払企業を債務者とし、債権者および債務者の双方からの請求による発生記録の請求として、債権者および債務者を示す当事者コードの各々を発生記録の請求者コードに記載する。また、明細データの債権買取事業者を譲受人とし、債権者を譲渡人とし、譲受人および譲渡人の双方からの請求による発生記録の請求として、債権買取事業者および債権者を示す当事者コードの各々を譲渡記録の請求者コードに記載する。このように、明細データに含まれる個々の債権ごとに債権データに変換し、これに基づいて、電子記録債権の発生記録および譲渡記録を同時に行う。
電子記録債権法では、利用者の利便性確保の観点から、記録機関が複数設立されることを前提としている。各記録機関によって提供されるサービスの内容については自由設計性が確保されており、電子記録債権法の枠内で各記録機関によって定められた業務規程等に応じて、サービス内容やデータの仕様などは記録機関毎にそれぞれ異なり得る。
例えば、現在いわゆるメガバンクにより複数設立されている記録機関(以下では「メガバンク記録機関」と記載する場合がある)によって提供されるサービスでは、基本的に当該メガバンク記録機関を通じてのみ譲渡記録を行うことが可能であり(クローズドタイプ)、他の記録機関によって提供されるサービス、例えば、他の「メガバンク記録機関」によって提供されるサービスや、全国銀行協会が設立している全銀行参加型(ユニバーサルタイプ)の記録機関により提供されるサービス(以下では「でんさいネット(登録商標)」と記載する場合がある)との連携などは想定されていない独自サービスである。
特許文献1などの従来技術によれば、電子記録債権を用いてファクタリングの仕組みを構築することができるが、主に、個別の「メガバンク記録機関」によるサービス内で閉じた範囲でのファクタリングサービスの実現に特化したものとなっており、サービスを利用することができる主体やサービス内容などに制約事項も多い。一方で、「でんさいネット」などの全銀行参加型の記録機関により提供されるサービスでは、電子記録債権の利用や流通という点で既に社会インフラ化した汎用サービスではあるが、主に手形の代替としての仕組みであることから、そのままではファクタリングサービスの代替として利用することはできない。
そこで本発明の目的は、「でんさいネット」のサービスを利用したファクタリングサービスを実現するファクタリングシステムおよびファクタリング方法を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
本発明の代表的な実施の形態によるファクタリングシステムは、金融機関において、全金融機関参加型の電子債権記録機関により発行された電子記録債権を利用したファクタリングを行うファクタリングシステムであって、以下の特徴を有するものである。
すなわち、ファクタリングシステムは、ファクタリングの対象となる売掛債権について、前記売掛債権に係る前記電子記録債権を発生させるための情報であるファクタリングデータを、前記売掛債権の債務者から受け付けるファクタリング受付部と、前記電子債権記録機関に対して、前記電子記録債権の発生記録および譲渡記録の請求を行うためのインタフェースを有する電子記録債権処理部と、前記金融機関に対する前記売掛債権の買取の申込を、前記売掛債権の債権者から受け付けて、第1の買取指示データを作成する買取処理部と、前記売掛債権に係る前記電子記録債権のうち、一括ファクタリングの対象となるものを抽出して第2の買取指示データを作成する一括買取処理部と、を有する。
前記電子記録債権処理部は、前記電子債権記録機関に対して、前記ファクタリングデータに基づいて、前記電子記録債権の発生記録の請求を行い、また、前記第1の買取指示データおよび前記第2の買取指示データに基づいて、前記売掛債権の債権者から前記金融機関への、前記売掛債権に係る前記電子記録債権の譲渡記録の請求を行う。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
すなわち、本発明の代表的な実施の形態によれば、「でんさいネット」のサービスを利用して、全銀行参加型の電子記録債権の利点を活かしつつ、ファクタリングサービスを実現することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下においては、本発明の特徴を分かり易くするために、従来の技術と比較して説明する。
<概要>
例えば、納入企業と支払企業との間の取引による売掛金の決済など、事業者の決済や資金調達の手段として、従来は手形が用いられてきた。この場合、手形を所持する債権者(納入企業)は支払期日にこれを現金化することができるが、支払期日より前に手形を金融機関に裏書譲渡(手形譲渡による遡及権付き(リコース付き)の債権譲渡)して割引することで、早期に現金化することも可能である。
例えば、納入企業と支払企業との間の取引による売掛金の決済など、事業者の決済や資金調達の手段として、従来は手形が用いられてきた。この場合、手形を所持する債権者(納入企業)は支払期日にこれを現金化することができるが、支払期日より前に手形を金融機関に裏書譲渡(手形譲渡による遡及権付き(リコース付き)の債権譲渡)して割引することで、早期に現金化することも可能である。
一方、このような売掛債権毎の手形の振出に代えて、金融機関等によるいわゆるファクタリングサービス(売掛債権の買取と債権回収)も利用されている。ファクタリングサービスでは、例えば、納入企業が支払企業に対して商品等を納入する取引を行うことにより発生した売掛債権を、債権者(納入企業)がファクタリング会社等に遡及権なし(ノンリコース)で債権譲渡する一方で、ファクタリング会社は、債権者(納入企業)に代って債務者(支払企業)から売掛債権を回収する。債権者(納入企業)は、償還期日もしくは償還期日前に、ファクタリング会社から所定の割引率により割引された額の償還を受けることができる。売掛債権の譲渡時にファクタリング会社から償還請求権ではなく割引された代金を直接受け取る買取型のファクタリングも可能である。
このようなファクタリングサービスに対し、債権者(納入企業)が売掛債権を都度債権譲渡するのではなく、複数の売掛債権を包括的・自動的にファクタリングサービスの対象とするいわゆる一括ファクタリングも行われている。一括ファクタリングの場合は、一般的に、債権者(納入企業)が発生した売掛債権を都度ファクタリング会社に債権譲渡する手続を回避するため、売掛債権の発生と同時にファクタリング会社に自動的に債権譲渡されるような契約が締結される。
ここで、納入企業が支払企業に対して有する売掛債権を電子記録債権として発生させることで、電子記録債権の利便性を享受しつつ、ファクタリングサービスを実現するということが検討されている。しかしながら、上述したように、電子記録債権は主に手形の代替としての仕組みであり、債権譲渡による割引は通常はリコース付きとなり、ファクタリングサービスによる場合のノンリコースでの債権譲渡とは異なる。また、納入企業や支払企業が、電子債権記録機関を介して独自に売掛債権に係る電子記録債権の発生記録を行うことができるため、ファクタリング会社による買取の対象となる電子記録債権が発生したことをシステム的に把握する仕組みや、さらに、当該電子記録債権を自動的にファクタリング会社に対して譲渡するというような仕組みを当然ながら有していない。
上述したように、特許文献1などの従来技術によれば、「メガバンク記録機関」というクローズドタイプの記録機関であることにより、個別の要件・ニーズに応じて柔軟な対応が可能であるという特性を活かして、電子記録債権を用いたファクタリングの仕組みを構築可能としている。しかしながら、個別の「メガバンク記録機関」によるサービス内で閉じた範囲でのファクタリングサービスに特化したものとなっていることから、支払企業や納入企業はいずれも当該メガバンクに口座や契約を有している必要がある。さらに、支払企業については信用力のある優良企業に限定される傾向が強くなる。
また、「メガバンク記録機関」の電子記録債権を用いることから、例えば、納入企業(債権者)が、売掛債権に係る電子記録債権について、ファクタリングサービスにより現金化するのではなく、自身の仕入先などに対する支払に活用しようとしても、当該仕入先も同様に当該メガバンクに口座や契約を有していない限り、当該電子記録債権を譲渡することによって支払に充てることはできない。特に、納入企業が多数の仕入先と取引しているような場合には、全ての仕入先に当該メガバンクとの契約を求めることは困難である。
そこで、「でんさいネット」などの既に社会インフラ化した全銀行参加型(ユニバーサルタイプ)の記録機関により提供される電子記録債権を用いることで、窓口となる銀行の選択の自由度の高さや、売掛債権に係る電子記録債権の高い流通性などのメリットを享受しつつ、資金調達や決済の手段としてのファクタリングサービスを実現することが望まれる。「でんさいネット」では、電子記録債権の譲渡による割引の仕組みにおいて、ノンリコースでの譲渡も可能とされており、これを活用することで、売掛債権の発生の都度、個別に電子記録債権を譲渡することによるファクタリングサービスを構築することができる。
一方で、上述したように、「でんさいネット」は、手形の代替としての仕組みであり、そのままではファクタリングサービスの代替として利用することはできず、また、ファクタリング会社による買取の対象となる電子記録債権が発生したことをシステム的に把握する仕組みや、さらに、当該電子記録債権を自動的にファクタリング会社に対して譲渡するという仕組みも当然ながら有していない。また、全銀行参加型の汎用サービスであることから、個別の金融機関のニーズに対する柔軟性は低く、「でんさいネット」自体にファクタリングサービスを実現するための仕組みを独自に組み込むことはできない。
そこで、本発明では、「でんさいネット」に対するインタフェースを有するファクタリングシステムを構築し、手形の代替の仕組みとして既に社会インフラ化している「でんさいネット」に対して、追加的にファクタリングサービスの機能を実現する。
すなわち、本発明の一実施の形態であるファクタリングシステムは、「でんさいネット」などの全銀行参加型(ユニバーサルタイプ)の記録機関に参加している窓口金融機関を介して提供される電子記録債権のサービスを利用して、ファクタリングサービスを提供するシステムである。本実施の形態では、後述するように、「でんさいネット」の窓口金融機関が、ファクタリングサービスを提供するファクタリング機関としての役割も有することで、電子記録債権を利用したファクタリングサービスを提供可能とする。なお、本実施の形態では、これらの役割を銀行等の同一の金融機関により担うものとしているが、可能な場合には、例えば、別の法人がファクタリング機関としての役割を担っていてもよい。
本実施の形態のファクタリングシステムにより、例えば、納入企業が支払企業に対して商品等を納入するなどの取引を行うことにより発生した売掛債権等の債権を、「でんさいネット」に参加する金融機関を介して電子記録債権として発生させる。納入企業(債権者)は、これをファクタリング機関としての役割も有する当該金融機関に債権譲渡する一方、金融機関は、納入企業に代って支払企業(債務者)から売掛債権を回収するというファクタリングサービスを提供する。
本実施の形態では、さらに、支払企業と納入企業、および金融機関の三者間での契約に基づいて、発生した1つ以上の売掛債権を自動的に金融機関に債権譲渡し、金融機関が一括して回収するというファクタリングサービスを行うことも可能とする。なお、本実施の形態では、納入企業が売掛債権を金融機関に債権譲渡した際に、償還請求権ではなく割引された代金を直接受け取る買取型のファクタリングサービスを対象としているが、本発明の概念はこれに限定されるものではなく、納入企業が償還請求権を得るいわゆる一括ファクタリングにも適用することが可能である。
<システム構成>
図1は、本発明の一実施の形態であるファクタリングシステムの構成例について概要を示した図である。ファクタリングシステム100は、図示しないネットワークを介して、電子記録債権のサービスを利用したファクタリングサービスを利用者である支払企業30や納入企業40等に対して提供するファクタリング機関、および「でんさいネット」の窓口金融機関としての役割を有する金融機関10により運用される情報処理システムである。
図1は、本発明の一実施の形態であるファクタリングシステムの構成例について概要を示した図である。ファクタリングシステム100は、図示しないネットワークを介して、電子記録債権のサービスを利用したファクタリングサービスを利用者である支払企業30や納入企業40等に対して提供するファクタリング機関、および「でんさいネット」の窓口金融機関としての役割を有する金融機関10により運用される情報処理システムである。
ファクタリングシステム100は、例えば、1台以上のサーバ機器もしくはクラウドコンピューティングサービス上に構築された仮想サーバなどにより実装されるサーバシステムであり、図示しないOS(Operating System)やDBMS(DataBase Management System)、Webサーバプログラムなどのミドルウェア上で稼働するソフトウェアにより実装されるファクタリング受付部101、買取処理部102、一括買取処理部103、電子記録債権処理部104、帳票出力部105、および決済処理部106などの各部を有する。
また、データベースのテーブル等により構成される支払企業マスタデータベース(DB)111、納入企業マスタDB112、契約マスタDB113、買取対象債権DB114、および電子記録債権DB115などの各データストアを有する。また、ファクタリングシステム100から入出力されたり、ファクタリングシステム100において処理用の中間データとして生成されたりするファイル等のデータとして、例えば、ファクタリングデータ121、買取指示データ122、記録データ123、還元帳票124、決済データ125などの各データストアを有する。
ファクタリング受付部101は、支払企業30のユーザが使用する情報処理端末である支払企業端末31から、図示しないセキュアなネットワークを介して、ファクタリングの対象となる債権(納入企業40が支払企業30に対して有する売掛債権)、すなわちファクタリング機関としての金融機関10による買取の対象となる債権の情報をファクタリングデータ121として受け付ける機能を有する。
本実施の形態では、ファクタリングデータ121は、「でんさいネット」におけるデータフォーマットと同様のフォーマット、すなわち、「でんさいネット」の窓口金融機関としての金融機関10が電子記録債権に係る処理を行うために受け付けることができるフォーマットにより受け付けるものとする。これにより、ファクタリングのための独自のインタフェースを設けることなく、標準化と効率化を図ることができる。
なお、支払企業端末31からファクタリングシステム100へのアクセスについては、例えば、支払企業端末31側に導入した図示しない専用のクライアントアプリケーションを用いてもよいし、ファクタリングシステム100上に図示しないWebサーバプログラムを有することで、支払企業端末31上の図示しないWebブラウザを用いてファクタリングシステム100にアクセスするようにしてもよい。
ファクタリング受付部101では、受け付けたファクタリングデータ121のフォーマットのチェックや、マスタDBと突合する等による妥当性検証、ファクタリングの限度額の確認などの各種チェックを行う。チェックの結果不具合がある場合には、支払企業端末31に対してその旨を通知して修正を依頼するようにしてもよい。チェックが完了したファクタリングデータ121は、対応する電子記録債権を発生させるために後述する電子記録債権処理部104に受け渡される。なお、電子記録債権処理部104により電子記録債権として記録機関に記録された売掛債権、すなわち、金融機関10がファクタリングにより買取の対象とする債権の情報は、買取対象債権DB114に登録される。
買取処理部102は、納入企業40のユーザが使用する情報処理端末である納入企業端末41から、図示しないネットワークを介して、ファクタリングの対象となる売掛債権についての買取要求を受け付けて、都度買取処理を行う機能を有する。具体的には、指定された売掛債権に係る電子記録債権について、納入企業40から金融機関10への譲渡処理を行うための買取指示データ122を生成し、後述する電子記録債権処理部104に受け渡す。
なお、納入企業端末41からファクタリングシステム100へのアクセスについては、支払企業端末31と同様に、例えば、納入企業端末41側に導入した図示しない専用のクライアントアプリケーションを用いてもよいし、ファクタリングシステム100上に図示しないWebサーバプログラムを有することで、納入企業端末41上の図示しないWebブラウザを用いてファクタリングシステム100にアクセスするようにしてもよい。また、FAX等により金融機関10が買取要求を受け付けて、金融機関10の担当者が、当該担当者が使用する情報処理端末である金融機関端末11を使用して、図示しないイントラネット等のネットワークを介してファクタリングシステム100にアクセスして入力を代行する構成としてもよい。
一括買取処理部103は、ファクタリングの対象となる債権について自動的に買取処理を行う(以下では「一括買取」と記載する場合がある)機能を有する。具体的には、買取対象債権DB114に登録されている債権、すなわち、ファクタリングによる買取の対象となるものとして支払企業30により指定された債権から、一括買取の対象となる債権の情報を抽出し、これらのそれぞれについて納入企業40から金融機関10への譲渡処理を行うための買取指示データ122を生成し、後述する電子記録債権処理部104に受け渡す。一括買取の対象となる債権か否かについては、事前の契約により対象の納入企業40が一括買取を希望しているか否かによる。本実施の形態では、この情報は、例えば、納入企業マスタDB112を参照することで把握が可能である。
電子記録債権処理部104は、図示しないネットワークを介して、全銀行参加型の記録機関である全金融機関参加型電子債権記録機関20(本実施の形態では「でんさいネット」)に対する請求や照会、電子記録債権の決済などの各種処理を行う機能を有する。例えば、ファクタリング受付部101から受け渡されたファクタリングデータ121に基づいて電子記録債権の発生記録の請求を行う機能や、買取処理部102および一括買取処理部103から受け渡された買取指示データ122に基づいて対象の電子記録債権の譲渡記録の請求を行う機能、全金融機関参加型電子債権記録機関20上の記録原簿に記録されている電子記録債権の照会を行う機能などを有する。また、金融機関10が買い取った売掛債権の決済期日において、口座間決済を指示する機能を有する。これにより、債務者である支払企業30の口座から決済金額が出金されるとともに、金融機関10のファクタリング用決済口座に入金される。
本実施の形態では、これらの機能は、例えば、「でんさいネット」に参加している窓口金融機関が有する「DENTRANS(登録商標)」などの、全金融機関参加型電子債権記録機関20にアクセスするためのインタフェースを提供するASP(Application Service Provider)サービスなどからなる電子記録債権インタフェース12を介して、電子記録債権処理部104が自動で行う、もしくは電子記録債権処理部104から出力された処理データに基づいて金融機関10の担当者等が電子記録債権インタフェース12にアクセスして手動で行う構成とすることができる。電子記録債権インタフェース12は、例えば、ファクタリングシステム100とは独立した情報処理端末上に構成される。
電子記録債権処理部104は、さらに、発生記録や譲渡記録についての処理結果として電子記録債権インタフェース12から得られる記録データ123に基づいて、買取対象債権DB114に対してファクタリングによる買取の対象の売掛債権の情報の登録や更新などを行う。また、ファクタリングの対象ではない一般の債権も含む全ての電子記録債権についてのマスタ情報を保持する電子記録債権DB115に対しても債権の情報の登録や更新などの処理を行う。
帳票出力部105は、買取対象債権DB114や電子記録債権DB115、各種マスタDBなどを参照して、日次等の所定のタイミングで、ファクタリングの処理に係る各種還元帳票124を作成して出力する機能を有する。還元帳票124は、データファイルの形式や紙媒体に印刷された形式など、必要に応じて適当な形式で出力する。
決済処理部106は、ファクタリングに係る売掛債権の買取代金の決済処理を行う機能を有する。具体的には、ファクタリングに係る債権について、金融機関10が買取を行った際に、債権者であった納入企業40の口座に対して買取代金を入金する振込処理を行うための決済データ125を生成する。決済データ125に基づく実際の振込処理は、金融機関10の図示しない勘定系システムにより行われる。上述したように、本実施の形態では、買取型のファクタリングサービスを対象としていることから、金融機関10がファクタリングに係る売掛債権の譲渡を受けた際に、買取代金を納入企業40に支払う構成をとるが、納入企業40が償還請求権を得るいわゆる一括ファクタリングに適用する場合には、償還期日もしくは納入企業40から割引の要求を受けた時点で、代金を支払うことになる。
<ファクタリング処理の概要>
図2は、本実施の形態におけるファクタリング処理のうち、売掛債権を金融機関10が都度買取する場合の処理の概要について示した図である。事前に、支払企業30と納入企業40、および金融機関10の三者間で、事前に、ファクタリングサービスを行う旨の基本契約が締結される(図中(1))。このとき、ファクタリングシステム100上の支払企業マスタDB111および納入企業マスタDB112上に当該支払企業30および納入企業40の情報が登録されていない場合には新たに登録するとともに、契約マスタDB113に当該基本契約の情報を登録する。
図2は、本実施の形態におけるファクタリング処理のうち、売掛債権を金融機関10が都度買取する場合の処理の概要について示した図である。事前に、支払企業30と納入企業40、および金融機関10の三者間で、事前に、ファクタリングサービスを行う旨の基本契約が締結される(図中(1))。このとき、ファクタリングシステム100上の支払企業マスタDB111および納入企業マスタDB112上に当該支払企業30および納入企業40の情報が登録されていない場合には新たに登録するとともに、契約マスタDB113に当該基本契約の情報を登録する。
その後、支払企業30と納入企業40との間で商品購買等の取引が行われ、納入企業40から支払企業30に対して商品の納品および代金請求が行われる(図中(2))。ここで、支払企業30は、「でんさいネット」の窓口金融機関である金融機関10を介して、納入企業40に発生した売掛債権についての電子記録債権の発生記録の請求を行う(図中(3))。なお、図2の例では、支払企業30が金融機関10を介して電子記録債権の発生記録の請求を行うものとしているが、後述する図3の例のように、支払企業30が金融機関10に対してファクタリングの対象とする売掛債権の情報を通知し、これを受けて金融機関10が発生記録の請求を行うものとしてもよい。発生記録がされた旨は「でんさいネット」から納入企業40に通知され(図中(4))、納入企業40は、売掛債権に係る電子記録債権の発生を把握することができる。
納入企業40は、当該電子記録債権に基づいてファクタリングサービスにより資金調達を行うため、金融機関10に対して当該電子記録債権の買取依頼を行う(図中(5))。なお、納入企業40は、当該電子記録債権をファクタリングサービスに供して資金調達する代わりに、例えば、自身の債権者である仕入先50等に対して当該電子記録債権をさらに譲渡することで支払にあてることも可能である(図中(5−1))。
ファクタリングによる買取依頼を受けた金融機関10では、「でんさいネット」に対して、当該電子記録債権についての納入企業40から金融機関10への譲渡記録の請求を行う(図中(6))。譲渡記録がされた旨は「でんさいネット」から納入企業40に通知される(図中(7))。その後、買取日において金融機関10から納入企業40に対して所定の割引がされた買取代金が支払われる(図中(8))。さらに、当該電子記録債権の決済期日において、支払企業30から金融機関10に対して決済金額が支払われる(図中(9))。
図3は、本実施の形態におけるファクタリング処理のうち、売掛債権を金融機関10が一括買取する場合の処理の概要について示した図である。図2の例と同様に、事前に、ファクタリングサービスを行う旨の基本契約が締結される(図中(1))。ここでは、複数の売掛債権について金融機関10が都度買取するのではなく、売掛債権の発生とともに自動的に金融機関10が買取をする一括買取を利用する旨の合意がされる。また、図2の例と同様に、ファクタリングシステム100上の支払企業マスタDB111および納入企業マスタDB112上に当該支払企業30および納入企業40の情報が登録されていない場合には新たに登録するとともに、契約マスタDB113に当該基本契約の情報を登録する。このとき、納入企業マスタDB112には、対象の納入企業40が一括買取を利用することを示す情報も併せて登録する。
その後、支払企業30と納入企業40との間で商品購買等の取引が行われ、納入企業40から支払企業30に対して商品の納品および代金請求が行われる(図中(2))。ここで、支払企業30は、金融機関10に対してファクタリングの対象とする売掛債権の情報を通知し(図中(3))、これを受けて、金融機関10は当該債権についての電子記録債権の発生記録の請求を行う(図中(4))。発生記録がされた旨は「でんさいネット」から納入企業40に通知され(図中(5))、納入企業40は、売掛債権に係る電子記録債権の発生を把握することができる。
一括買取の場合は、図2の例と異なり、売掛債権に係る電子記録債権は、発生後直ちにファクタリング機関である金融機関10によって譲渡記録の請求がされて(図中(6))、債権譲渡される。譲渡記録がされた旨も「でんさいネット」から納入企業40に通知される(図中(7))。その後は、図2の例と同様であり、買取日において金融機関10から納入企業40に対して所定の割引がされた買取代金が支払われ(図中(8))、決済期日において、支払企業30から金融機関10に対して決済金額が支払われる(図中(9))。
このように、一括買取の場合は、支払企業30に代って、金融機関10が売掛債権に係る電子記録債権の発生記録の請求を行うことで、一括買取による買取対象となる電子記録債権の発生を把握することができるため、発生した電子記録債権を直ちに自身に譲渡するよう譲渡記録の請求を行うことが可能となる。なお、一括買取による買取対象の電子記録債権であるか否かは、例えば、当該電子記録債権の債権者である納入企業40が、納入企業マスタDB112の登録上、一括買取を利用する企業となっているか否かの情報を参照することで把握できる。
<ファクタリング処理の流れ>
図4は、本実施の形態におけるファクタリング処理での電子記録債権の発生処理の流れの例について示した図である。上述したように、事前に、支払企業30と納入企業40、および金融機関10の三者間で、事前に、ファクタリングサービスを行う旨の基本契約が締結される(S01)。当該基本契約に係る情報は、ファクタリングシステム100上の支払企業マスタDB111、納入企業マスタDB112および契約マスタDB113に登録もしくは更新される。一括買取によるファクタリングサービスを利用する場合にはその旨も登録される。
図4は、本実施の形態におけるファクタリング処理での電子記録債権の発生処理の流れの例について示した図である。上述したように、事前に、支払企業30と納入企業40、および金融機関10の三者間で、事前に、ファクタリングサービスを行う旨の基本契約が締結される(S01)。当該基本契約に係る情報は、ファクタリングシステム100上の支払企業マスタDB111、納入企業マスタDB112および契約マスタDB113に登録もしくは更新される。一括買取によるファクタリングサービスを利用する場合にはその旨も登録される。
その後、支払企業30と納入企業40との間で商品購買等の取引が行われ、納入企業40から支払企業30に対して商品の納品および代金請求が行われることで売掛債権が発生する(S02)。ここで、支払企業30の支払企業端末31は、担当者等の指示に基づいて、ファクタリングの対象とする売掛債権の情報を含むファクタリングデータ121を作成し、これを金融機関10のファクタリングシステム100に送信する(S03)。なお、上記のように支払企業端末31上でファクタリングデータ121を作成してファクタリングシステム100に送信する構成に限らず、例えば、支払企業端末31の図示しないWebブラウザを利用してファクタリングシステム100にアクセスし、指示に基づいてファクタリングシステム100上でファクタリングデータ121を作成するようにしてもよい。
ファクタリングシステム100では、ファクタリング受付部101により、ファクタリングデータ121のフォーマットのチェックや、各種マスタDBと突合する等による妥当性検証、ファクタリングの限度額の確認などの各種チェックを行う(S04)。ファクタリング受付部101が自動でチェックしてもよいし、人手によるチェック結果の入力を受け付けるものであってもよい。上述したように、本実施の形態では、ファクタリングデータ121は、「でんさいネット」におけるデータフォーマットと同様のフォーマットにより受け付けるものとする。
チェックの内容には、例えば、ファクタリングデータ121のフォーマットが、ヘッダ部、データ部、トレーラ部、エンドレコードなどの「でんさいネット」のフォーマットに適合する形式となっているかのチェックや、データの数値チェックや桁数チェック、コード値の存在チェックなどが含まれる。また、債務者および債権者についての、支払企業マスタDB111および納入企業マスタDB112との突合による存在チェックや、指定された電子記録債権の振出予定日が、ファクタリングデータ121を受け付けた日から所定の営業日(例えば5営業日)以上離れているかの妥当性チェック、ファクタリングの限度額の確認などが含まれる。
図示しないが、チェックの結果不具合がある場合には、支払企業端末31に対してその旨を通知して、ファクタリングデータ121の修正や再送を依頼するようにしてもよい。修正等されたファクタリングデータ121をファクタリング受付部101が受け付けた場合は、上記のステップS04の処理を再度行う。
その後、チェックが完了したファクタリングデータ121が電子記録債権処理部104に受け渡され、電子記録債権処理部104により、全金融機関参加型電子債権記録機関20に対する電子記録債権の発生記録の請求(S05)、および全金融機関参加型電子債権記録機関20による記録原簿への発生記録(S06)の各処理が行われる。これらの処理により、対象の売掛債権に係る電子記録債権が発生する。なお、電子記録債権の振出予定日は数日先であるため、ここでの発生記録の請求は、振出予定日に発生させる予約請求となる。
ステップS05の発生記録の請求は、上述したように、電子記録債権処理部104が、「DENTRANS(登録商標)」などの「でんさいネット」にアクセスするためのインタフェースを提供するASPサービスからなる電子記録債権インタフェース12などを介して自動で行ってもよいし、電子記録債権処理部104から出力された処理データに基づいて、金融機関10の担当者等が電子記録債権インタフェース12にアクセスして手動で行う構成としてもよい。
全金融機関参加型電子債権記録機関20において売掛債権に係る電子記録債権の発生記録がされた結果の情報は、納入企業端末41に対して通知される(S07)。また、ファクタリングシステム100においても発生記録の結果を確認する(S08)。図示しないが、結果がNGで発生記録がされなかたった場合は、支払企業端末31に対してその旨を通知して、ファクタリングデータ121の修正や再送を依頼するようにしてもよい。
その後、結果がOKで発生記録がされた場合は、その結果のデータである記録データ123に基づいて、電子記録債権処理部104等により、当該電子記録債権の情報を、電子記録債権DB115に登録するとともに、金融機関10がファクタリングにより買取する対象の債権として買取対象債権DB114に登録する(S09)。さらに、帳票出力部105の日次処理等により、発生した買取対象の債権の一覧情報等を還元帳票124として、データファイルもしくは紙媒体により出力する(S10)。以上の一連の処理により、ファクタリング対象、すなわち、金融機関10による買取の対象となる電子記録債権を発生させることができる。なお、実際の振出日よりも前に予約請求により発生記録がされるため、振出日までの間に発生記録を取り消すことも可能である。
図5は、本実施の形態におけるファクタリング処理での電子記録債権の譲渡処理の流れの例について示した図である。売掛債権に係る電子記録債権を金融機関10が都度買取する場合は、まず、実際の買取日よりも所定の営業日以上前に、納入企業40の納入企業端末41は、担当者等の指示に基づいて、ファクタリングの対象とする売掛債権の情報を含む買取申込を行う(S11)。なお、上述したように、買取申込に際しては、納入企業端末41から買取対象の売掛債権の情報を含むデータを送信する構成としてもよいし、FAX等により金融機関10が買取要求を受け付けて、金融機関10の担当者が金融機関端末11を使用してファクタリングシステム100への入力を代行する構成としてもよい。
ファクタリングシステム100の買取処理部102では、買取申込のデータにより特定される売掛債権、支払企業30および納入企業40が、買取対象債権DB114、支払企業マスタDB111および納入企業マスタDB112にそれぞれ登録されているかを確認した上で、都度買取に係る買取指示データ122を作成する(S12)。なお、都度買取の場合は、買取申込を受けてから所定の営業日(例えば3営業日)の後に実際の買取処理が行われる。
一方、売掛債権に係る電子記録債権を金融機関10が一括買取する場合は、ファクタリングシステム100の一括買取処理部103の日次処理等により、買取対象債権DB114から、一括買取の対象となる売掛債権の情報を抽出して、一括買取に係る買取指示データ122を作成する(S13)。ここでは、納入企業マスタDB112を参照して、一括買取を利用する納入企業40の情報を抽出し、当該納入企業40が債権者となっている売掛債権の情報を買取対象債権DB114から抽出する。
ステップS12およびS13で作成された買取指示データ122は、電子記録債権処理部104に受け渡される。電子記録債権処理部104では、買取指示データ122に係る各売掛債権について、全金融機関参加型電子債権記録機関20上の記録原簿に記録されているか否かを照会する(S14、S15)。図示しないが、照会結果がNGの場合は、納入企業端末41に対してその旨を通知して、買取申込の修正や再送を依頼するようにしてもよい。
照会結果がOKの場合は、買取指示データ122に係る各売掛債権を、納入企業40から金融機関10へ譲渡する譲渡記録の請求(S16)、および全金融機関参加型電子債権記録機関20による記録原簿への譲渡記録(S17)の各処理が行われる。これらの処理により、対象の売掛債権に係る電子記録債権が金融機関10に譲渡される。なお、ここでは、都度買取と一括買取とを区別せずまとめて譲渡記録請求する。実際の買取処理は所定の営業日(例えば3営業日)の後に行われるため、ここでの譲渡記録の請求は、買取予定日に譲渡する予約請求となる。
ステップS16の譲渡記録の請求についても、上述したように、電子記録債権処理部104が「DENTRANS(登録商標)」などのサービスからなる電子記録債権インタフェース12を介して自動で行ってもよいし、電子記録債権処理部104から出力された処理データに基づいて、金融機関10の担当者等が電子記録債権インタフェース12にアクセスして手動で行う構成としてもよい。
全金融機関参加型電子債権記録機関20において売掛債権に係る電子記録債権の金融機関10への譲渡記録がされた結果の情報は、納入企業端末41に対して通知される(S18)。また、ファクタリングシステム100においても譲渡記録の結果を確認する(S19)。図示しないが、結果がNGで譲渡記録がされなかたった場合は、納入企業端末41に対してその旨を通知して、買取申込の修正や再送を依頼するようにしてもよい。
結果がOKで譲渡記録がされた場合は、その結果のデータである記録データ123に基づいて、電子記録債権処理部104等により、当該電子記録債権を買取した旨の情報によって買取対象債権DB114を更新する(S20)。さらに、帳票出力部105の日次処理等により、買取した売掛債権の一覧情報等を還元帳票124として、データファイルもしくは紙媒体により出力する(S21)。
以上の一連の処理により、ファクタリングによる都度買取および一括買取に係る債権譲渡をまとめて行うことができる。ステップS13に示すように、一括買取においては、納入企業40による個別の売掛債権の買取申込の処理を要さずに、発生した電子記録債権のうち、債権者が一括買取を利用する納入企業40であるものを抽出して、自動的に金融機関10による買取を行うことができる。
図6は、本実施の形態におけるファクタリング処理での電子記録債権の買取処理の流れの例について示した図である。上述の図5の処理により、買取対象の売掛債権について金融機関10への譲渡記録がされたものについて、買取対象債権DB114を参照して、ファクタリングシステム100の決済処理部106による日次処理等により、所定の営業日(例えば2営業日)の後に買取予定日が到来するものを抽出して、振込データを作成する(S31)。当該振込データは、買取予定日に金融機関10から納入企業40に対して振込により買取代金が支払われる売掛債権のリストである。また、帳票出力部105により、振込予定の明細からなる還元帳票124を出力する(S32)。当該還元帳票124は、振込予定明細として納入企業40に送付してもよい。
その後、電子記録債権処理部104では、電子記録債権インタフェース12を介して、振込データに係る各売掛債権について、全金融機関参加型電子債権記録機関20上の記録原簿に記録されているか否かを照会する(S33、S34)。図示しないが、照会結果がNGの場合は、納入企業端末41に対してその旨を通知して、対象の売掛債権についての確認を行うようにしてもよい。電子記録債権の記録情報に不備がある場合は、全金融機関参加型電子債権記録機関20に対して補正の請求を行う等の処置をとることができる。
照会結果がOKの場合は、振込データに係る各売掛債権について、買取対象債権DB114に対して確認した旨を登録する(S35)。その後、買取日当日の日次処理等により、買取対象債権DB114を参照して当日の振込対象の売掛債権の情報を抽出し、振込のセンターカット処理を行うための決済データ125を作成して、勘定系システムにより振込処理を行う(S36)。これにより、納入企業40が金融機関10に保有する決済口座に買取代金が入金される(S37)。なお、買取代金については、支払企業30の信用力等に応じて所定の割引がされた額となる。
図7は、本実施の形態におけるファクタリング処理での電子記録債権の決済処理の流れの例について示した図である。まず、金融機関10が買取した売掛債権について、電子記録債権DB115を参照して、ファクタリングシステム100の電子記録債権処理部104による日次処理等により、所定の営業日(例えば2営業日)の後に決済期日が到来するものを抽出して、これらについて、電子記録債権インタフェース12を介して、全金融機関参加型電子債権記録機関20から口座間決済情報をそれぞれ取得する(S41、S42)。その後、決済処理部106により、決済予定の情報を作成する(S43)。ここで作成される決済予定の情報は、決済予定明細として支払企業30に送付してもよい。
その後、例えば、決済期日の前日において、電子記録債権処理部104等により、ステップS43で作成された決済予定情報と、電子記録債権DB115の登録情報等に基づいて、支払企業30と金融機関10との間の決済のセンターカット処理を行うための決済データを作成して、勘定系システムにより振込処理を行う(S44)。ここでは、支払企業30が金融機関10に保有する決済口座から対象の売掛債権に係る金額を出金する(S45)とともに、金融機関10のファクタリング決済用の別段口座に入金する(S46)。その後、口座間決済が行われた情報を、電子記録債権処理部104により、電子記録債権インタフェース12を介して、全金融機関参加型電子債権記録機関20の記録原簿上に反映させる(S47、S48)。なお、以上の口座間決済の一連の処理は、ファクタリングに固有の処理ではなく、通常の電子記録債権の期日における口座間決済処理と同様である。
その後、期日において、ステップS43において作成された決済予定情報に基づいて、金融機関10の口座に正しく入金がされているか否かを確認する(S49)。この処理は、例えば、ファクタリングシステム100が勘定系システムにアクセスして自動で行ってもよいし、金融機関10の担当者が金融機関端末11等を用いて手動で行い、結果をファクタリングシステム100に入力するというものであってもよい。
以上に説明したように、本発明の一実施の形態であるファクタリングシステムによればは、「でんさいネット」などの全金融機関参加型電子債権記録機関20に参加している金融機関10を介して提供される電子記録債権のサービスを利用して、全銀行参加型の電子記録債権の有する高い流通性などの利点を保持しつつ、一括買取を含むファクタリングサービスを融合させて、売掛債権の活用の幅を広げることが可能である。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、上記の実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記の実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上記の各図において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、必ずしも実装上の全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
本発明は、電子記録債権を用いてファクタリングサービスを実現するファクタリングシステムおよびファクタリング方法に利用可能である。
10…金融機関、11…金融機関端末、12…電子記録債権インタフェース、
20…全金融機関参加型電子債権記録機関、
30…支払企業、31…支払企業端末、
40…納入企業、41…納入企業端末、
50…仕入先、
100…ファクタリングシステム、101…ファクタリング受付部、102…買取処理部、103…一括買取処理部、104…電子記録債権処理部、105…帳票出力部、106…決済処理部、111…支払企業マスタDB、112…納入企業マスタDB、113…契約マスタDB、114…買取対象債権DB、115…電子記録債権DB、121…ファクタリングデータ、122…買取指示データ、123…記録データ、124…還元帳票、125…決済データ
20…全金融機関参加型電子債権記録機関、
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40…納入企業、41…納入企業端末、
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Claims (4)
- 金融機関において、全金融機関参加型の電子債権記録機関により発行された電子記録債権を利用したファクタリングを行うファクタリングシステムであって、
ファクタリングの対象となる売掛債権について、前記売掛債権に係る前記電子記録債権を発生させるための情報であるファクタリングデータを、前記売掛債権の債務者から受け付けるファクタリング受付部と、
前記電子債権記録機関に対して、前記電子記録債権の発生記録および譲渡記録の請求を行うためのインタフェースを有する電子記録債権処理部と、
前記金融機関に対する前記売掛債権の買取の申込を、前記売掛債権の債権者から受け付けて、第1の買取指示データを作成する買取処理部と、
前記売掛債権に係る前記電子記録債権のうち、一括買取の対象となるものを抽出して第2の買取指示データを作成する一括買取処理部と、を有し、
前記電子記録債権処理部は、前記電子債権記録機関に対して、前記ファクタリングデータに基づいて、前記電子記録債権の発生記録の請求を行い、また、前記第1の買取指示データおよび前記第2の買取指示データに基づいて、前記売掛債権の債権者から前記金融機関への、前記売掛債権に係る前記電子記録債権の譲渡記録の請求を行う、ファクタリングシステム。 - 請求項1に記載のファクタリングシステムにおいて、
前記一括買取処理部は、前記売掛債権に係る前記電子記録債権について、その債権者が一括買取によるファクタリングを利用する債権者である場合に、一括買取の対象となるものとして抽出する、ファクタリングシステム。 - 金融機関において、コンピュータシステムにより、全金融機関参加型の電子債権記録機関により発行された電子記録債権を利用したファクタリングを行うファクタリング方法であって、
前記コンピュータシステムが、ファクタリングの対象となる売掛債権について、前記売掛債権に係る前記電子記録債権を発生させるための情報であるファクタリングデータを、前記売掛債権の債務者から受け付ける第1のステップと、
前記コンピュータシステムが、前記ファクタリングデータに基づいて、前記電子債権記録機関に対して、前記電子記録債権の発生記録の請求を行う第2のステップと、
前記コンピュータシステムが、前記金融機関に対する前記売掛債権の買取の申込を、前記売掛債権の債権者から受け付けて、第1の買取指示データを作成する第3のステップと、
前記コンピュータシステムが、前記売掛債権に係る前記電子記録債権のうち、一括買取の対象となるものを抽出して第2の買取指示データを作成する第4のステップと、
前記コンピュータシステムが、前記第1の買取指示データおよび前記第2の買取指示データに基づいて、前記電子債権記録機関に対して、前記売掛債権の債権者から前記金融機関への、前記売掛債権に係る前記電子記録債権の譲渡記録の請求を行う第5のステップと、を有する、ファクタリング方法。 - 請求項3に記載のファクタリング方法において、
前記第4のステップは、前記売掛債権に係る前記電子記録債権について、その債権者が一括買取によるファクタリングを利用する債権者である場合に、一括買取の対象となるものとして抽出する、ファクタリング方法。
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