JP2015198096A - 太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
Description
図2に示される太陽電池モジュール101においては、シリコン基板102の受光面(表面)102Aとは反対側の面(裏面)102Bに、P型半導体からなる正極電極103が設けられているとともに、受光面(表面)102Aに、N型半導体からなる負極電極104が設けられて、一つの太陽電池セル105が形成されている。そして、このような複数個の太陽電池セル105が並列配置していると共に、太陽電池セル105同士が配線部材(インターコネクタ)107によって直列に接続され、その複数個の太陽電池セル105が、透明な表側基材108と裏側基材109との間に封止材106によって封止された構造となっている。
このような太陽電池モジュール101は、太陽電池セル105の受光面102Aにおける負極電極104が設けられた領域では、シリコン基板102への太陽光の入射が負極電極104によって遮られてしまい、その領域はシャドウロスとなって発電に寄与しない。このため、負極電極104の面積が大きいほど発電効率が低くなるという問題点を有していた。
そこで、最近に至り、シリコン基板の受光面とは反対側の面(裏面)に正極電極及び負極電極の両者を配した、いわゆるバックコンタクト方式の太陽電池モジュールが開発されている(例えば特許文献1を参照)。
ここで、裏側基材212は、絶縁基材218の表面(太陽電池セル205と対向する面)に導電層220を形成したものである。例えばこの導電層220は、絶縁基材218の表面上に積層された導電性金属膜220bと、導電性金属膜220b上に積層された回路層220aとからなり、回路層220aにより所定の回路パターンが形成されている。そして、シリコン基板202の正負の各電極203、204と導電層220との間は、裏側封止材216を貫通する導電性接続部材222A、222B(例えば半田)によってそれぞれ電気的に接続されている。
なお、裏側基材212の導電層220の回路パターンは、各太陽電池セル205の正負の各電極203、204の位置に応じて、隣り合う太陽電池セル205が直列接続となるように定められている。また、回路パターンを構成する回路層220aは、一般に、汎用性が高く且つ導電性接続部材222A、222Bとの電気的接続性が良好な銅や、電解めっきによるニッケルで構成される傾向にある。
また、単純に架橋剤を含まない封止材を用いた場合、モジュール化後にホットスポット現象等で発熱した場合、耐熱性が不足しているため、モジュールにずれが生じるという問題があった。
本発明のバックコンタクト方式太陽電池モジュールの基本構造としては、太陽電池セルにおける受光面とは反対側にだけ電極が配置される、従来公知の構造が適用出来る。このため本実施形態では、上述した図1の構造のバックコンタクト方式太陽電池モジュールを例に挙げて説明する。なお、本発明が適用される太陽電池モジュールは、太陽電池セルの受光面とは反対側にだけ電極が配置されるバックコンタクト型の太陽電池モジュールに限定されない。
導電性接続部材222A、222Bの材質は特に限定されるものではないが、材料コストと接続抵抗の点で低融点ハンダが好適である。ここで用いる低融点ハンダの融点を、太陽電池モジュールの作製温度と同程度(120〜160℃)とすれば、モジュール化と電気接続が同時になされるため、プロセスコストの観点から好ましい。
本実施形態の表側封止材にはシランカップリング剤が含有されていてもよい。シランカップリング剤は、表側封止材と、その表面及び裏面の部材との密着性を向上させる作用がある。シランカップリング剤としては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシプロピルシラン、トリメトキシメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、トリクロロプロピルシラン、トリエトキシフェニルシラン等が挙げられる。
熱安定性の向上のために用いられる酸化防止剤としては、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等が挙げられる。
また、バックコンタクト方式の太陽電池モジュールは太陽電池セル、裏側封止材、裏側基材の位置合わせに正確性が必要なため、裏側封止材と裏側基材はあらかじめ一体化してあることが好ましい。裏側封止材と裏側基材とを一体化する手法としては、裏側基材と裏側封止材の密着を上げるために、裏側基材に接着剤を塗布するドライラミネーション法等各種表面処理を施すことも方法があるが、コストアップにつながるため、コスト的に押出ラミネート加工が最適である。
本実施形態の裏側封止材は架橋剤以外の添加剤は必要に応じ適宜添加することができる。
本実施形態の裏側封止材にはシランカップリング剤が含有されていてもよい。シランカップリング剤は、表側封止材と、その表面及び裏面の部材との密着性を向上させる作用がある。シランカップリング剤としては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシプロピルシラン、トリメトキシメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、トリクロロプロピルシラン、トリエトキシフェニルシラン等が挙げられる。
上記紫外線吸収剤に加え、耐候性向上のために光安定剤を添加してもよい。光安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート等が挙げられる。
ここでMRFは、JIS K7210:1999の規定に基づき測定できる。
導電層220は、導電接続部材222A、222Bを介して各太陽電池セル205の各電極203、204と電気的に接続されて、複数の太陽電池セル205を直列に接続する回路パターンを有するものである。
導電性金属膜220b(ベース膜)としては、コストや導電性の観点からアルミニウムが好適である。
導電性金属膜220b(ベース膜)への銅またはニッケル層220aの形成方法は特に限定されるものではなく、無電解メッキ、電解メッキ、蒸着、CVD、スパッタリングなど各種公知の方法を用いることができる。導電層220の回路パターニングは銅またはニッケル層を形成した後に、フォトリソ等の公知の方法で実施可能である。
本実施例および比較例で使用した材料を以下に示す。
(エチレン−αオレフィン共重合体)
MFR:30g/10min.のエチレン−αオレフィン共重合体
MFR:16.5g/10min.のエチレン−αオレフィン共重合体
(有機過酸化物)t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート
(架橋助剤)トリアリルイソシアヌレート
(シランカップリング剤)γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
(酸化防止剤)トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト
(紫外線吸収剤)2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン
(光安定剤)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート
表側封止材として、MFR30g/10min.エチレン−αオレフィン共重合体を樹脂として用い、樹脂100質量部に対して有機過酸化物を1質量部、シランカップリング剤を0.2質量部、酸化防止剤を0.1質量部、紫外線吸収剤を0.1質量部、光安定剤を0.1質量部となるように加え、Tダイ法により厚み0.4mmの表側封止材を作製した。
さらに、裏側封止材として、MFR30g/10min.エチレン−αオレフィン共重合体を樹脂として用い、樹脂100質量部に対してシランカップリング剤を0.2質量部、酸化防止剤を0.1質量部、紫外線吸収剤を0.1質量部、光安定剤を0.1質量部となるように加え、Tダイ法により厚み0.2mmの裏側封止材を作製した。
さらに、絶縁基材として厚さ250μmのPETフィルムを用意し、導電層に相当するものとして膜厚0.8μmで電解めっき銅が被覆された厚さ35μmのアルミニウム箔を用意し、積層し裏側基材を作製した。
そして、太陽電池セルと、表側基材として3mm厚の太陽電池用強化ガラス板を用意し、ガラス板、表側封止材、太陽電池セル、裏側封止材、裏側基材、の順で積層し、真空ラミネーターで150℃に加熱し、真空吸引し10分間かけてモジュール化を行った。
実施例1における裏側封止材の樹脂がMFR16.5g/10min.のエチレン−αオレフィン共重合体である以外は、実施例1と同一として、評価用試料を作製した。
[比較例2]
実施例1における裏側封止材に有機過酸化物を1質量部添加した以外は、実施例1と同一として、評価用試料を作製した。
[比較例3]
実施例1における裏側封止材の樹脂がMFR16.5g/10min.のエチレン−αオレフィン共重合体で、有機過酸化物を1質量部添加した以外は、実施例1と同一として、評価用試料を作製した。
実施例1における表側封止材の樹脂がMFR16.5g/10min.のエチレン−αオレフィン共重合体である以外は、実施例1と同一として、評価用試料を作製した。
[比較例5]
実施例1における表側封止材の樹脂がMFR16.5g/10min.のエチレン−αオレフィン共重合体で、裏側封止材の樹脂がMFR16.5g/10min.のエチレン−αオレフィン共重合体である以外は、実施例1と同一として、評価用試料を作製した。
[比較例6]
実施例1における表側封止材の樹脂がMFR16.5g/10min.のエチレン−αオレフィン共重合体で、裏側封止材に有機化酸化物を1質量部添加した以外は、実施例1と同一として、評価用試料を作製した。
実施例1における表側封止材の樹脂がMFR16.5g/10min.のエチレン−αオレフィン共重合体で、裏側封止材の樹脂がMFR16.5g/10min.のエチレン−αオレフィン共重合体で、有機過酸化物を1質量部添加した以外は、実施例1と同一として、評価用試料を作製した。
[比較例8]
実施例1における表側封止材の有機過酸化物の添加をなくした以外は、実施例1と同一として、評価用資料を作成した。
[比較例9]
実施例1における表側封止材の有機過酸化物の添加をなくして、裏側封止材がMFR16.5g/10min.の樹脂がエチレン−αオレフィン共重合体である以外は、実施例1と同一として、評価用試料を作製した。
[比較例10]
実施例1における表側封止材の有機過酸化物の添加をなくして、裏側封止材に有機過酸化物を1質量部添加した以外は、実施例1と同一として、評価用試料を作製した。
実施例1における表側封止材の有機過酸化物の添加をなくして、裏側封止材の樹脂がMFR16.5g/10min.のエチレン−αオレフィン共重合体で有機過酸化物を1質量部添加した以外は、実施例1と同一として、評価用試料を作製した。
[比較例12]
実施例1における表側封止材の樹脂がMFR16.5g/10min.のエチレン−αオレフィン共重合体で有機過酸化物の添加をなくした以外は、実施例1と同一として、評価用試料を作製した。
[比較例13]
実施例1における表側封止材の樹脂がMFR16.5g/10min.のエチレン−αオレフィン共重合体で有機過酸化物の添加をなくし、裏側封止材の樹脂がMFR16.5g/10min.のエチレン−αオレフィン共重合体とした以外は、実施例1と同一として、評価用試料を作製した。
実施例1における表側封止材の樹脂がMFR16.5g/10min.のエチレン−αオレフィン共重合体で有機過酸化物の添加をなくし、裏側封止材に有機過酸化物を1質量部添加した以外は、実施例1と同一として、評価用試料を作製した。
[比較例15]
実施例1における表側封止材の樹脂がMFR16.5g/10min.のエチレン−αオレフィン共重合体で有機過酸化物の添加をなくし、裏側封止材の樹脂がMFR16.5g/10min.のエチレン−αオレフィン共重合体で有機過酸化物を1質量部添加した以外は、実施例1と同一として、評価用試料を作製した。
(外観)
ガラス板、表側封止材、太陽電池セル、裏側封止材、裏側基材、の順で積層し、真空ラミネーターで150℃に加熱し、真空吸引し10分間かけてモジュール化を行った際に、裏側封止材と裏側基材の周辺を目視で確認し、直径0.5mm以上の気泡が存在しない場合を○とし、直径0.5mm以上の気泡が存在する場合を×とした。
(耐熱性)
ガラス板、表側封止材、太陽電池セル、裏側封止材、裏側基材、の順で積層し、真空ラミネーターで150℃に加熱し、真空吸引し10分間かけてモジュール化を行った後に裏側基材を固定し、180°傾けた状態で130℃環境下にて24時間保管し、ズレが1mm未満の場合を○、ズレが1mm以上生じた場合を×とした。
各実施例および各比較例の評価結果を表1に示す。
201…バックコンタクト方式の太陽電池モジュール、202…太陽電池セル、
202A…太陽電池セルの受光面(表面)、202B…太陽電池セルの裏面、203…電極(正極)、204…電極(負極)、205…太陽電池セル、210…表側基材、
212…裏側基材、214…表側封止材、216…裏側封止材、216a…貫通孔、
218…絶縁基材、220…導電層、220a…銅またはニッケル層、220b…導電性金属膜、222A…導電接続部材、222B…導電接続部材
Claims (5)
- 太陽電池セルの受光面側に配置された表側封止材と、上記太陽電池セルの受光面とは反対側に配置された裏側封止材とを備え、
上記表側封止材は、架橋剤を含むMFR30g/10min.以上の樹脂であり、
上記裏側封止材は、架橋剤を含まないMFR30g/10min.以上の樹脂であることを特徴とする太陽電池モジュール。 - 上記表側封止材及び上記裏側封止材の樹脂は、密度0.86g/cm3以上0.90g/cm3以下の樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール。
- 上記表側封止材に含まれる上記架橋剤は、樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上2.0質量部以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池モジュール。
- 上記表側封止材及び上記裏側封止材の樹脂は、エチレン−αオレフィン共重合体からなることを特徴とする、請求項1〜請求項3いずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
- 上記太陽電池セルは、上記受光面とは反対側にだけ電極が配置されるバックコンタクト型であることを特徴とする請求項1〜請求項4いずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
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