JP2015193692A - インクジェットインク組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
〔1〕
分散染料と、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物と、を含み、
前記ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物の含有量に対するナトリウムイオン濃度の比(Na(ppm)/NSF(質量%))が、75〜550である、インクジェットインク組成物。
〔2〕
陽イオン交換膜によって陽イオンを除去する脱陽イオン処理工程を経て作製された、前項〔1〕に記載のインクジェットインク組成物。
〔4〕
前記ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物の含有量が、前記分散染料の固形分濃度100質量部に対して、10〜300質量部である、前項〔1〕又は〔2〕に記載のインクジェットインク組成物。
〔5〕
大気開放系記録装置で用いられる、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
〔6〕
シリコーン系界面活性剤をさらに含み、
該シリコーン系界面活性剤の含有量が、前記分散染料の固形分100質量部に対して、5.0〜45質量部である、前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
〔7〕
保湿剤、キレート剤、及びpH調整剤をさらに含み、
前記分散染料と、前記ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物と、を含む混合液に、前記シリコーン系界面活性剤を混合して、分散液を得る分散工程と、
前記分散液を60℃以上に加熱して、25℃以下に冷却する熱処理工程と、
該熱処理工程後の前記分散液に、前記保湿剤、前記キレート剤、及び前記pH調整剤を混合して、濾過処理する仕上げ工程と、を経て作製された、前項〔5〕に記載のインクジェットインク組成物。
〔8〕
分散染料と、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物と、を含む混合液に、シリコーン系界面活性剤を混合して、分散液を得る分散工程と、
前記分散液を60℃に加熱して、25℃に冷却する熱処理工程と、
該熱処理工程後の前記分散液に、保湿剤、キレート剤、及びpH調整剤を混合して、濾過処理する仕上げ工程と、を有する、インクジェットインク組成物の製造方法。
本実施形態のインクジェットインク組成物(以下、「インク組成物」ともいう。)は、分散染料と、分散剤であるナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物と、を含み、前記ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物の含有量に対するナトリウムイオン濃度の比(Na(ppm)/NSF(質量%))が、75〜550である。
分散染料としては、以下のようなものが挙げられる。
本実施形態のインク組成物は、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物を分散剤として含むことにより、気液界面での異物の発生を抑制できる。
インク組成物におけるナトリウムイオンの含有量は、インク組成物の総量100質量%に対して、好ましくは350〜2500ppmであり、より好ましくは500〜2000ppmである。ナトリウムイオンの含有量が350ppm以上であることにより、気液界面の異物がより生じにくい傾向にある。また、ナトリウムイオンの含有量が2500ppm以下であることにより、分散染料由来の異物の発生をより抑制できる傾向にある。ナトリウムイオンの含有量は実施例に記載の方法により測定することができる。また、ナトリウムイオンの含有量は、後述する脱陽イオン処理工程により制御することができる。
インク組成物は、界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、及びアセチレングリコール系界面活性剤が挙げられる。
インク組成物は、保湿剤をさらに含んでもよい。インク組成物が保湿剤を含むことにより、インク連続供給システム等の大気開放系において、インク組成物が空気に触れている状態で保存しても、分散染料由来の異物の発生や、気液界面での異物の発生をより抑制できる傾向にある。
インク組成物は、キレート剤をさらに含んでもよい。キレート剤としては、特に限定されないが、例えば、エチレンジアミン四酢酸塩、エデト酸二塩、ピロリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、クエン酸、酒石酸、グルコン酸が挙げられる。キレート剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
インク組成物は、pH調整剤をさらに含んでもよい。pH調整剤としては、特に限定されないが、例えば、無機酸(例えば、硫酸、塩酸、硝酸等)、無機塩基(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等)、有機塩基(トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、トリプロパノールアミン)、有機酸(例えば、アジピン酸、クエン酸、コハク酸等)が挙げられる。pH調整剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
インク組成物は、防腐剤をさらに含んでもよい。防腐剤としては、特に限定されないが、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類(メチルパラベン、メチルパラベンナトリウム、エチルパラベン、ベンジルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン、プロピルパラベン及びイソプロピルパラベン等)、クロロブタノール、ベンジルアルコール、2−フェニルエチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸、安息香酸ナトリウムが挙げられる。防腐剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
インク組成物は、さらに必要に応じて、防黴剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、又は溶解助剤、その他、通常のインクにおいて用いることができる各種添加剤を含んでもよい。なお、各種添加剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本実施形態のインク組成物は、大気開放系記録装置で用いられるものであることが好ましい。「大気開放系記録装置」とは、インク組成物と大気とが接するような構造を有するインク収容容器を備える記録装置をいう。さらに言えば、大気開放系記録装置は、インク組成物を液体で補充できるような開放系(常に新鮮な空気に触れている)であり、従来のインクカートリッジのようにインク組成物の補充ができない機構になっている(完全に密閉系になっているか、もしくは空気層はあるが体積的には極めて小さく、かつ直接的な空気の出入りがない状態のもの)とは区別される。大気開放系記録装置では、インク組成物と大気とが接するため、インクの乾燥などにより、特に気液界面で異物が発生しやすい。そのため、本発明が特に有用となる。大気開放系記録装置としては、特に限定されないが、例えば、インク連続供給システムを備える記録装置が挙げられる。
ンク収容室214に収容されたインク組成物中に空気導入口212から空気が導入される
ことで、インク組成物中に気泡が発生するようになっている。また、インク収容容器20
0中では、大気とインク組成物とが接触可能な構造を有する。なお、空気導入口212か
ら空気が導入されることで、インク組成物中に気泡が発生するように、インク収容室21
4にインクが収容された状態において、そのインク組成物と空気導入口212が接する構
造を有していてもよい。
ができる。またインク供給路400は、合成ゴム等の可撓性を有する部材で形成すること
ができ、ホース又はチューブとすることができる。
のであり、記録ヘッド300及びインク収容容器200が、インク供給路400を介して
接続され、インク収容容器200から記録ヘッド300へインク組成物を吸引し供給する
というものである。
子を示している。記録装置は、水平面sf上に設置されている。なお「イ
ンクジェット記録装置が使用状態にある」とは、媒体に対してインク組成物を吐出して正
常に付着できる状態にあることを意味しており、必ずしも水平面に設置された状態に限ら
ない。インク収容容器200のインク導出部216と記録ヘッド300とは、インク供給
路400を介して接続されている。
、底面壁270C3と、からなる。インク収容容器200は、その内部に、空気導入流路
及びインク流路を有する。当該空気導入流路は、大気開放口217から、図示しない大気
流路を介して大気導入口218を通り、インク収容室214へ空気を導入するための流路
である。インク流路インク注入口204は、当該インク流路インク注入口204からイン
ク収容室214へインク組成物の充填を行うための開閉機構を有する開口である。
、外部(大気)に向かって開口する大気開放口217と、大気導入口218を一端とし且
つ空気室側開口251を他端とする空気収容室230と、空気室側開口251を一端とし
且つ空気導入口212を他端とするインク室連通路250と、で構成される。大気開放口
217は大気に連通し、空気収容室230は一端である大気導入口218で開口し、大気
開放口217及び大気導入口218は図示しない流路を介して連通している。つまり、空
気収容室230は外部(大気)と連通している。インク室連通路250は、一端である空
気室側開口251が空気収容室230で開口し、他端である空気導入口212がインク収
容室214で開口している。つまり、空気収容室230はインク収容室214と連通して
いる。なお、インク室連通路250は、メニスカス(液面架橋)を形成可能な程度に流路
断面積が小さいことが好ましい。
4で開口し、他端である大気開放口217が外部に向かって開口している。つまり、イン
ク収容容器200の使用状態において、インク室連通路250(詳細には、空気導入口2
12近傍)には、大気と直接に接する液面が形成され、空気導入口212からインク収容
室214のインク中に空気(気泡)を導入することでインク収容室214に空気(気泡G
)を導入するものである。これによりインク収容容器200から記録ヘッド300へ安定
してインク組成物を供給することができる。
200のインク貯蔵量の減少に伴って行われるとともに、上記の空気導入動作により安定
的に行われる。
ジェット記録装置の使用状態におけるインク収容容器200の状態である。インク収容容
器200はその使用状態では、インク注入口204が水平方向に向かって開口している(
ここで、開口は栓部材202によって塞がれている。)。図1は、使用状態におけるイン
ク収容容器200を示している。また、使用状態においては、インク収容室214と空気
収容室230とが水平方向に並んでいる。さらに、使用状態においては、空気導入口21
2が、インク収容室214に収容されたインク組成物の液面より下方に位置する。
て開口するように設置された状態である。注入状態においては、インク収容室214と空
気収容室230とが鉛直方向に並んでいる。さらに、注入状態においては、空気導入口2
12が、使用状態においてインク収容室214に収容されたインク組成物の液面が直線L
M1(「第1状態表示線LM1」(図1参照))にあるときの液量がインク収容室214
に収容されている場合に、インク収容室214に収容されたインク組成物の液面より上方
に位置している。
において水平となる直線LM2(「第2状態表示線LM2」(図1参照))の近傍に到達
した場合に、インクの充填を停止すればよい。このようにしてインク注入口204からイ
ンク組成物をインク収容室214に注入された後に、インク注入口204を栓部材202
で密封する。さらに、記録ヘッド300からインク収容室214のインクが吸引されるこ
とでインク収容室214は負圧となる。
1よりも下側に位置する。図1において空気導入口212は、インク収容室214を区画
形成する容器本体211のうち、使用状態においてインク収容室214を挟んで下側に位
置する底面壁370C3に形成されている。これにより、インク収容室214のインクが
消費され、インク収容室214内のインク組成物の液面が低下しても、大気と接する液面
(大気接触液面)LAが長時間(インク組成物の液面が第1状態表示線LM1に達する程
度の時間)に亘り一定の高さに維持される。また、使用状態において、空気導入口212
は、記録ヘッド300のノズル孔(図示せず)の形成された位置よりも鉛直方向において
低い位置になるように配置される。
なると、インク収容室214のインク組成物がインク供給路400を介して記録ヘッド3
00に供給される。
路250を介してインク収容室214に気泡Gとして導入される。これによりインク収容
室214のインク液面LFは低下する。一方、大気と接する大気接触液面LAの高さは一
定に維持される。
本実施形態のインクジェットインク組成物の製造方法は、分散染料と、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物と、を含む混合液に、シリコーン系界面活性剤を混合して、分散液を得る分散工程と、分散液を60℃以上に加熱して、25℃以下に冷却する熱処理工程と、該熱処理工程後の分散液に、保湿剤、キレート剤、及びpH調整剤を混合して、濾過処理する仕上げ工程と、を有する。
下記の実施例及び比較例において使用したインク組成物用の主な材料は、以下の通りである。
〔分散染料〕
C.I.ディスパースレッド60
〔分散剤〕
ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物
スチレン−アクリル酸共重合物
〔界面活性剤〕
BYK348(シリコーン系界面活性剤、ビックケミー社製)
オルフィンPD002W(アセチレングリコール系界面活性剤、日信化学工業社製)
〔保湿剤〕
グリセリン
トリエチレングリコール
〔pH調整剤〕
トリエタノールアミン
〔キレート剤〕
EDTA・2Na
〔防腐剤〕
プロキセルGXL(Arch Chemicals社製)
[インク組成物の調製]
分散染料と、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物と、水と、を含む混合液に、界面活性剤を混合して、分散液を調製した。その後、各インク組成物に対し脱陽イオン処理工程を行った。得られた分散液を60℃に加熱して、25℃に冷却した。次いで、得られた分散液に、保湿剤、キレート剤、及びpH調整剤を混合して、濾過処理し、各インク組成物を得た。ただし、実施例13では、上記の加熱及び冷却を行わなかった。なお、下記の表1中、数値の単位は質量%であり、合計は100.0質量%である。
ナトリウムイオンの含有量の測定は、インク組成物を水分希釈したサンプルを下記装置を用いて測定することにより行った。
ICP発光分光分析装置(ICP−AES)型式:ICPS−7500
・メーカー:島津製作所製
シーケンシャルタイプ
・波長範囲:160〜850nm
・周波数:27.120MH
上記のようにして得られたインク組成物(10mL)を、インクパックに空気層がないように密閉状態で封入し、60℃で、5日間放置した。その後、インク組成物を金属メッシュフィルター(口径10μm)で濾過し、金属メッシュフィルターに残留した異物の1mm四方あたりの個数を数えた。得られた個数に基づいて、下記評価基準により、インク組成物中の異物の発生を評価した。
(評価基準)
A:1mm四方あたりの結晶異物個数が5個未満であった。
B:1mm四方あたりの結晶異物個数が5個以上30未満であった。
C:1mm四方あたりの結晶異物個数が30個以上50個未満であった。
D:1mm四方あたりの結晶異物個数が50個以上であった。
上記のようにして得られたインク組成物(10mL)を、ガラス瓶にて気液界面が存在する状態で、60℃、5日間放置した。その後、インク組成物を金属メッシュフィルター(口径10μm)で濾過し、金属メッシュフィルターに残留した異物の1mm四方あたりの個数を数えた。得られた個数に基づいて、下記評価基準により、インク組成物の気液界面における異物の発生を評価した。
(評価基準)
A:1mm四方あたりの結晶異物個数が5個未満であった。
B:1mm四方あたりの結晶異物個数が5個以上30未満であった。
C:1mm四方あたりの結晶異物個数が30個以上50個未満であった。
D:1mm四方あたりの結晶異物個数が50個以上であった。
インク連続供給システムを有するインクジェット式記録装置(セイコーエプソン社製)を用い、被記録媒体に、上記インク組成物を用いてDuty100%で記録を行った。その記録領域に直接接するように、色材としてDisperse Yellow 54を用いたこと以外は、実施例1と同様の組成により調整したイエローインク組成物を用いて、Duty100%で記録を行い、2色の記録領域が直接接する記録物を得た。この記録領域の色の境界を目視にて観察した。記録後のブリード程度(色のはみ出し量)に基づいて、下記評価基準により、耐ブリード性を評価した。
(評価基準)
A:色のはみ出し量が0.1cm未満であった。
B:色のはみ出し量が0.1cm以上0.2cm未満であった。
C:色のはみ出し量が0.2cm以上0.3cm未満であった。
D:色のはみ出し量が0.3cm以上であった。
Claims (7)
- 分散染料と、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物と、を含み、
前記ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物の含有量に対するナトリウムイオン濃度の比(Na(ppm)/NSF(質量%))が、75〜550である、インクジェットインク組成物。 - 陽イオン交換膜によって陽イオンを除去する脱陽イオン処理工程を経て作製された、請求項1に記載のインクジェットインク組成物。
- 前記ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物の含有量が、前記分散染料の固形分濃度100質量部に対して、10〜300質量部である、請求項1又は2に記載のインクジェットインク組成物。
- 大気開放系記録装置で用いられる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
- シリコーン系界面活性剤をさらに含み、
該シリコーン系界面活性剤の含有量が、前記分散染料の固形分100質量部に対して、5.0〜45質量部である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。 - 保湿剤、キレート剤、及びpH調整剤をさらに含み、
前記分散染料と、前記ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物と、を含む混合液に、前記シリコーン系界面活性剤を混合して、分散液を得る分散工程と、
前記分散液を60℃以上に加熱して、25℃以下に冷却する熱処理工程と、
該熱処理工程後の前記分散液に、前記保湿剤、前記キレート剤、及び前記pH調整剤を混合して、濾過処理する仕上げ工程と、を経て作製された、請求項5に記載のインクジェットインク組成物。 - 分散染料と、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物と、を含む混合液に、シリコーン系界面活性剤を混合して、分散液を得る分散工程と、
前記分散液を60℃に加熱して、25℃に冷却する熱処理工程と、
該熱処理工程後の前記分散液に、保湿剤、キレート剤、及びpH調整剤を混合して、濾過処理する仕上げ工程と、を有する、インクジェットインク組成物の製造方法。
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