JP2015193555A - 3級アミノ基を有するカルバゾ−ル化合物の製造方法および化合物 - Google Patents

3級アミノ基を有するカルバゾ−ル化合物の製造方法および化合物 Download PDF

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博一 桑原
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Abstract

【課題】3級アミノ基を有するカルバゾール化合物を、副生成物の生成を抑えて高い収率で得ることができ、製造工程を簡素化することができる製造方法を提供すること。【解決手段】9−ブトキシカルボニルカルバゾール構造を含む化合物に3級アミノ基を導入する工程と、前記化合物からブトキシカルボニル基を脱離させる工程を用いて3級アミノ基を有するカルバゾ−ル化合物を製造する。【選択図】なし

Description

本発明は、有機半導体材料として有用な3級アミノ基を有するカルバゾ−ル化合物の製造方法および化合物に関する。
3級アミノ基を有するカルバゾ−ル化合物は、有機半導体材料として有用であり、有機発光素子を構成する発光材料、電子輸送材料、正孔輸送材料等として広く利用することができる。こうした3級アミノ基を有するカルバゾール化合物の製造方法については、副生成物の生成を抑えて収率を高めるとともに工程を簡素化する工夫が種々なされてきている。
非特許文献1には、下記式に示すように、カルバゾール環にヨウ素原子を置換させたカルバゾール化合物と2級アミンを直接反応させてカルバゾール環に3級アミノ基を導入する、カルバゾール化合物の製造方法が開示されている。しかしながら、この製造方法では、カルバゾール環の9位のNH基が反応系内の他の化合物と反応してしまい、目的物との分離が困難な不純物が副生成してしまうという問題がある。
Figure 2015193555
一方、特許文献1には、下記式に示すように、カルバゾール環に臭素原子を置換させたカルバゾール化合物のNH基をベンゾイル基で保護した後、2級アミンと反応させて3級アミノ基を導入するカルバゾール化合物の製造方法が記載されている。この製造方法によれば、カルバゾール環のNH基がベンゾイル基で保護されているため、非特許文献1の方法で問題になる副生成物の生成を抑えることができる。しかしながら、ベンゾイル基は、アミノ化工程で用いる反応がウルマン(Ullmann)反応のように弱塩基を用いる反応であればカルバゾール環から脱離せずに保持されるが、バックワルド−ハートウィッグ反応(Buchwald-Hartwig reaction)のように強塩基(たとえば、ナトリウムtert−ブトキシド)を用いる反応では、ベンゾイル基がカルバゾール環から脱離してしまう。このため、ベンゾイル基を保護基に用いる方法では、アミノ化の方法が反応性の乏しい弱塩基を用いる方法に制限され、収率を工業レベルに高めることが難しい。
Figure 2015193555
また、非特許文献2には、カルバゾール環に臭素原子を置換させたカルバゾール化合物をアミノ化する際、カルバゾール環のNH基をベンジル基で保護するカルバゾール化合物の製造方法が開示されている。ベンジル基は、結合が強固な保護基であり、強い酸や塩基に化合物が曝されても脱離し難い。このため、この方法によれば、アミノ化工程で比較的強い塩基を用いた場合でも、ベンジル基がカルバゾール環に保持され、副生成物の生成を抑えることができる。
Figure 2015193555
US2006/051690A1号明細書
Journal of Photochemistry and Photobiology, A: Chemistry (2005), 174(2), 125-129 Advanced Functional Materials (2003), 13(6), 445-452
上記のように3級アミノ基を有するカルバゾール化合物を製造する際、カルバゾール環のアミノ基をベンジル基で保護するとアミノ化工程での副生成物の生成を抑えることができる。しかしながら、本発明者らがベンジル基を保護基として用いるカルバゾール化合物の製造方法を実際に評価したところ、以下のような問題があることを初めて見出した。
すなわち、この製造方法では、カルバゾール環の窒素原子とベンジル基の結合が強固であるため、アミノ化を行った後、酸を用いてベンジル基を脱離させる際、脱離反応が進行し難く、目的のカルバゾール化合物が十分な収率で得られないことが判明した。特にアミノ化工程で複数のアミノ基をカルバゾール環に導入した場合には、より一層ベンジル基が脱離し難くなり、目的物の収率が低くなることも明らかになった。また、さらに検討を進めたところ、ベンジル基を保護基として用いるカルバゾール化合物の製造方法では、カルバゾール環にジトリルアミノ基を導入した場合にも収率が低くなることが判明した。これは、ベンジル基の脱離に用いられるAlCl3がルイス酸であるため、脱離工程でベンジル基の反応性が高くなり、ベンジル基とアミノ基のトリル基とが反応して重合体が生成されことによるものと考えられた。さらに、ベンジル基を保護基として用いるカルバゾール化合物の製造方法では、アミノ化工程で残った未反応物(主に2級アミン)とベンジル基が脱離工程で副反応することを避けるため、アミノ工程後に目的物を精製することが不可欠である。このため、精製コストや時間がかさむうえ、アミノ化しつつベンジル基の脱保護を行って工程を簡素化することもできないという欠点もあった。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、副生成物の生成が抑えられ、3級アミノ基を有するカルバゾール化合物を高い収率を得ることができ、さらに製造工程を簡素化することができる3級アミノ基を有するカルバゾ−ル化合物の製造方法を提供すること、また、その製造方法の中間体として用いられる化合物を提供することを目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、カルバゾール環の9位のNH基を保護する保護基としてブトキシカルボニル基を用いることにより、アミノ化工程での副生成物の生成が抑えられると同時に保護基の脱離を容易に行うことができ、3級アミノ基を有するカルバゾール化合物が高い収率で得られることを見出した。さらに、この方法により、保護基としてベンジル基を用いる場合に比べて製造工程が簡素化できることを見出した。具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1] 9−ブトキシカルボニルカルバゾール構造を含む化合物に3級アミノ基を導入する工程と、前記化合物からブトキシカルボニル基を脱離させる工程を含むことを特徴とする3級アミノ基を有するカルバゾ−ル化合物の製造方法。
[2] 前記9−ブトキシカルボニルカルバゾール構造を含む化合物が、カルバゾール環の1〜8位の少なくとも1つに反応性基を有することを特徴とする[1]に記載の製造方法。
[3] 前記反応性基がハロゲン原子であることを特徴とする[2]に記載の製造方法。
[4] 前記3級アミノ基の導入を、前記9−ブトキシカルボニルカルバゾール構造を含む化合物と2級アミンを反応させることにより行うことを特徴とする[1]〜[3]いずれか1項に記載の製造方法。
[5] 前記9−ブトキシカルボニルカルバゾール構造を含む化合物と前記2級アミンを反応させる際、パラジウム触媒を用いることを特徴とする[4]に記載の製造方法。
[6] 前記2級アミンが、ジアリールアミン、ジアルキルアミン、アルキルアリールアミン、カルバゾール、アクリダン、フェノキサジン、フェノチアジンまたは5,10−ジヒドロフェナジンであることを特徴とする[4]または[5]に記載の製造方法(ただし、前記ジアリールアミン、前記ジアルキルアミンおよび前記アルキルアリールアミンに存在するアリール基およびアルキル基はそれぞれ置換されていてもよく、また、前記カルバゾールの1〜8位、前記アクリダンの1〜9位、前記フェノキサジンの1〜4および6〜9位、前記フェノチアジンの1〜4および6〜9位、並びに前記5,10−ジヒドロフェナジンの1〜9位は置換されていてもよい。)。
[7] 前記2級アミンが、ジアリールアミンであることを特徴とする[4]または[5]に記載の製造方法(ただし、前記ジアリールアミンに存在するアリール基は置換されていてもよい。)。
[8] ブトキシカルボニル基の脱離を、3級アミノ基を導入した9−ブトキシカルボニルカルバゾール構造を含む化合物と酸性化合物とを接触させることにより行うことを特徴とする[1]〜[7]のいずれか1項に記載の製造方法。
[9] 前記3級アミノ基を導入する工程において精製を行うことなく、前記ブトキシカルボニル基を脱離させる工程を実施することを特徴とする[1]〜[8]のいずれか1項に記載の製造方法。
[10] 前記3級アミノ基を導入する工程を実施しつつ、前記ブトキシカルボニル基を脱離させる工程も実施することを特徴とする[1]〜[9]のいずれか1項に記載の製造方法。
[11] 下記一般式(1)で表される化合物。
Figure 2015193555
[一般式(1)において、R1〜R8は各々独立に水素原子または置換基を表すが、R1〜R8の少なくとも1つは3級アミノ基を表す。R1とR2、R2とR3、R3とR4、R4とR5、R5とR6、R6とR7、R7とR8はそれぞれ互いに結合して環状構造を形成していてもよい。]
[12] 前記一般式(1)のR3およびR6の少なくとも一方が3級アミノ基であることを特徴とする[11]に記載の化合物。
[13] 前記3級アミノ基がジアリールアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、カルバゾール−9−イル基、アクリダン−10−イル基、フェノキサジン−10−イル基、フェノチアジン−10−イル基または5,10−ジヒドロフェナジン−10−イル基であることを特徴とする[11]または[12]に記載の化合物(ただし、前記ジアリールアミノ基、前記ジアルキルアミノ基および前記アルキルアリールアミノ基に存在するアリール基およびアルキル基はそれぞれ置換されていてもよく、また、前記カルバゾール−9−イル基の1〜8位、アクリダン−10−イル基の1〜9位、フェノキサジン−10−イル基の1〜4および6〜9位、フェノチアジン−10−イル基の1〜4および6〜9位、並びに5,10−ジヒドロフェナジン−10−イル基の1〜9位は置換されていてもよい。)。
[14] 前記3級アミノ基がジアリールアミノ基であることを特徴とする[11]または[12]に記載の化合物(ただし、前記ジアリールアミノ基に存在するアリール基は置換されていてもよい。)。
[15] 下記一般式(5)で表される化合物。
Figure 2015193555
[一般式(5)において、R11〜R18は各々独立に水素原子または置換基を表すが、R13およびR16の少なくとも一方は下記一般式(6)〜(9)のいずれかで表される構造を有する。R11とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R15とR16、R16とR17、R17とR18はそれぞれ互いに結合して環状構造を形成していてもよい。]
Figure 2015193555
Figure 2015193555
[一般式(6)〜(9)において、R31〜R38、R41〜R48、R51〜R58、R61〜R65、R71〜R80は、各々独立に水素原子または置換基を表す。R31とR32、R32とR33、R33とR34、R35とR36、R36とR37、R37とR38、R41とR42、R42とR43、R43とR44、R45とR46、R46とR47、R47とR48、R51とR52、R52とR53、R53とR54、R55とR56、R56とR57、R57とR58、R61とR62、R62とR63、R63とR64、R64とR65、R54とR61、R55とR65、R71とR72、R72とR73、R73とR74、R75とR76、R76とR77、R77とR78、R79とR80は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。*は結合位置を表す。]
[16] 一般式(5)で表される化合物からなるドナー材料。
[17] 遅延蛍光体用であることを特徴とする[16]に記載のドナー材料。
[18] 一般式(5)で表される化合物のカルバゾール環の9位をアクセプターで置換することを特徴とする蛍光体の製造方法。
[19] 一般式(5)で表される化合物と下記一般式(10)で表される化合物とを反応させることにより、下記一般式(11)で表される遅延蛍光体を製造することを特徴とする[18]に記載の蛍光体の製造方法。
一般式(10)
X−A
[一般式(10)において、Xはハロゲン原子を表し、Aはアクセプターを表す。]
Figure 2015193555
[一般式(11)において、R11〜R18は各々独立に水素原子または置換基を表すが、R13およびR16の少なくとも一方は一般式(6)〜(9)のいずれかで表される構造を有する。Aはアクセプターを表す。R11とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R15とR16、R16とR17、R17とR18はそれぞれ互いに結合して環状構造を形成していてもよい。]
[20] 前記蛍光体が遅延蛍光体であることを特徴とする[18]または[19]に記載の蛍光体の製造方法。
本発明の製造方法によれば、3級アミノ基を有するカルバゾール化合物を、副生成物の生成を抑えて高い収率で製造することができる。また、3級アミノ基を有するカルバゾール化合物の製造工程を簡素化することができる。
分子軌道計算から求めた、各種ドナーのΔESTをドナーごとに示したグラフである。 有機エレクトロルミネッセンス素子の層構成例を示す概略断面図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。また、本発明に用いられる化合物の分子内に存在する水素原子の同位体種は特に限定されず、例えば分子内の水素原子がすべて1Hであってもよいし、一部または全部が2H(デューテリウムD)であってもよい。
<3級アミノ基を有するカルバゾール化合物の製造方法>
本発明の3級アミノ基を有するカルバゾール化合物の製造方法は、9−ブトキシカルボニルカルバゾール構造を含む化合物に3級アミノ基を導入する工程(アミノ化工程)と、化合物からブトキシカルボニル基を脱離させる工程(脱離工程)を含む。以下、各工程について説明するが、ここではアミノ化工程に先立って行う、カルバゾール構造を含む化合物のカルバゾール環の9位にブトキシカルボニル基を導入する工程(保護工程)についてまず説明する。なお、本発明の製造方法は、以下の工程に限定されるものではない。
[1]保護工程
保護工程では、カルバゾール構造を有する化合物のカルバゾール環の9位に、保護基としてブトキシカルボニル基を導入し、9−ブトキシカルボニルカルバゾール構造を含む化合物を得る。
この保護工程は、具体的にはカルバゾール構造を有する化合物とブトキシカルボニル基を有する化合物とを反応溶媒中で反応させ、9−ブトキシカルボニルカルバゾール構造を含む化合物を生成する。
出発物質となるカルバゾール構造を含む化合物は、カルバゾール環を有する化合物であればよく、カルバゾール環に置換基が導入されていてもよいし、カルバゾール環に導入された置換基同士が互いに結合して環状構造を形成していてもよい。また、置換基同士が結合して形成する環状構造は、カルバゾール環の構成原子に連結した環状構造であってもよいし、カルバゾール環に縮合した縮合環であってもよい。なお、以下の説明では、このカルバゾール構造を含む化合物を「カルバゾール化合物」といい、このカルバゾール構造を含む化合物のカルバゾール環の9位にブトキシカルボニル基が結合した化合物(9−ブトキシカルボニルカルバゾール構造を含む化合物)を「ブトキシカルボニルカルバゾール化合物」ということがある。
カルバゾール構造を有する化合物(カルバゾール化合物)は、少なくとも1つの反応性基を有する。これにより、後工程のアミノ化工程で、反応性基を有する位置に選択的に3級アミノ基を導入することができる。反応性基は、カルバゾール環に存在していてもよいし、カルバゾール環に置換した置換基に存在していてもよいし、置換基同士が結合して形成する環状構造に存在していてもよいが、カルバゾール環の1〜8位の少なくとも1つに存在することが好ましい。
カルバゾール環における反応性基の位置は、目的とするカルバゾール化合物に応じて適宜選択することができる。例えば、有機半導体材料として有用なカルバゾール化合物を合成する場合には、出発物質のカルバゾール化合物は、カルバゾール環の2位、3位、6位、7位のいずれかに反応性基を有することが好ましく、3位および6位の少なくとも一方に反応性基を有することがより好ましい。
反応性基としては、アミノ化工程で脱離して3級アミノ基と変換し得るものであればよく、p−トルエンスルホナート基、トリフルオロメタンスルホナート基、ビナコラートボリル基、ホウ酸基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等の擬ハロゲン基、ホウ酸基、ハロゲン原子を挙げることができ、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であることが好ましく、臭素原子であることがより好ましい。
カルバゾール構造を有する化合物としては、例えば下記一般式(2)で表される化合物を用いることが好ましい。一般式(2)で表される化合物とブトキシカルボニル基を有する化合物との反応により、下記一般式(3)で表される化合物、すなわちブトキシカルボニルカルバゾール化合物を得ることができる。
Figure 2015193555
一般式(2)、(3)において、R1’〜R8’は各々独立に水素原子または置換基を表すが、R1’〜R8’の少なくとも1つは反応性基を表す。R1’とR2’、R2’とR3’、R3’とR4’、R4’とR5’、R5’とR6’、R6’とR7’、R7’とR8’はそれぞれ互いに結合して環状構造を形成していてもよい。R1’〜R8’がとりうる置換基の説明と好ましい範囲、置換基同士が結合して形成する環状構造については後述する。
ブトキシカルボニル基を有する化合物としては、例えばジ−tert−ブチルジカーボネート、
tert−ブトキシカルボニルアミド、tert−ブトキシカルボニルアジド等を用いることができる。
反応に供するブトキシカルボニル基を有する化合物の割合は、カルバゾール化合物1モルに対して10〜1モルであることが好ましく、3〜1モルであることがより好ましい。
カルバゾール化合物とブトキシカルボニル基を有する化合物を反応させる際の反応溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に制限されないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン等の炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の極性溶媒および水が挙げられ、これらの混合溶媒も使用できる。反応溶媒の量は、カルバゾール化合物に対して1000〜3倍量であることが好ましく、100〜5倍量であることがより好ましい。
反応条件は、使用する原料、溶媒の種類等に応じて適宜設定することができる。例えば、反応温度は、200〜−100℃であることが好ましく、100〜0℃であることがより好ましい。反応時間は、24〜1時間であることが好ましく、12〜1時間であることがより好ましい。また、反応は攪拌下で行うことが好ましい。
[2]アミノ化工程
アミノ化工程では、保護工程で得た9−ブトキシカルボニルカルバゾール構造を含む化合物に3級アミノ基を導入する。
ここで、9−ブトキシカルボニルカルバゾール構造を含む化合物(ブトキシカルボニルカルバゾール化合物)のブトキシカルボニル基は、カルバゾール環の9位のNH基をアミノ化工程での反応から保護する保護基として機能する。ブトキシカルボニル基は、アミノ化工程を比較的強い塩基の存在下で行った場合でも脱離し難く、カルバゾール環のNH基を確実に保護することができる。これにより、強い塩基を用いて反応を促進させつつ副生成物の生成も抑えることができ、この工程での目的物、3級アミノ基を有するブトキシカルボニルカルバゾール化合物を高い収率で得ることができる。
アミノ化工程は、ブトキシカルボニルカルバゾール化合物と2級アミンとのカップリング反応を用いて行うことが好ましい。カップリング反応としては、特に限定されず、芳香族化合物とアミンとを結合させる公知のカップリング反応がいずれも使用できるが、中でも、パラジウム触媒と塩基の存在下でカップリング反応を行う、いわゆるバックワルド−ハートウィッグ反応を用いることが好ましい。これにより、目的の3級アミノ基を有するカルバゾール化合物を高い収率で得ることができる。
カップリング反応によるアミノ化工程は、具体的には、保護工程で得たブトキシカルボニルカルバゾール化合物と2級アミンとを、金属触媒および塩基の存在下で反応させる。これにより、9−ブトキシカルボニルカルバゾール化合物の反応性基が脱離して該反応性基が結合していた位置に2級アミンが結合する。その結果、3級アミノ基を有するブトキシカルボニルカルバゾール化合物が生成される。
保護工程で得たブトキシカルボニルカルバゾール化合物が上記の一般式(3)で表される化合物である場合、このアミノ化工程により、下記一般式(1)で表される3級アミノ基を有するブトキシカルボニルカルバゾール化合物を得ることができる。
Figure 2015193555
一般式(1)において、R1〜R8は各々独立に水素原子または置換基を表すが、R1〜R8の少なくとも1つは3級アミノ基を表す。R1とR2、R2とR3、R3とR4、R4とR5、R5とR6、R6とR7、R7とR8はそれぞれ互いに結合して環状構造を形成していてもよい。
1〜R8の少なくとも1つが表す3級アミノ基は、一般式(3)で表される化合物の反応性基が脱離した位置に2級アミンが結合することで形成されたものである。したがって、一般式(1)で表される化合物のカルバゾール環における3級アミノ基の位置は、一般式(3)で表される化合物のカルバゾール環における反応性基の位置に対応する。R1〜R8がとりうる3級アミノ基、3級アミノ基以外の置換基および置換基同士が結合して形成する環状構造については後述する。
2級アミンとしては、特に限定されず、目的とするカルバゾール化合物に応じて適宜選択することができるが、ジアリールアミン、ジアルキルアミン、アルキルアリールアミン、カルバゾール、アクリダン、フェノキサジン、フェノチアジンまたは5,10−ジヒドロフェナジンであることが好ましく、ジアリールアミンであることがより好ましい。これにより、有機半導体材料として好適なカルバゾール化合物を得ることができる。また、ジアリールアミン、ジアルキルアミンおよびアルキルアリールアミンに存在するアリール基およびアルキル基はそれぞれ置換されていてもよく、カルバゾールの1〜8位、アクリダンの1〜9位、フェノキサジンの1〜4および6〜9位、フェノチアジンの1〜4および6〜9位、5,10−ジヒドロフェナジンの1〜9位は置換されていてもよい。アリール基、アルキル基、カルバゾールに置換しうる置換基の説明と好ましい範囲については、後述するR1〜R8がとりうる置換基の説明と好ましい範囲を参照することができる。
反応に供する2級アミンの割合は、ブトキシカルボニルカルバゾール化合物1モルに対して10〜1モルであることが好ましく、3〜1モルであることがより好ましい。
金属触媒としては、銅触媒、パラジウム触媒を用いることができ、パラジウム触媒を用いることが好ましい。これにより、この工程での目的物、3級アミノ基を有するブトキシカルボニルカルバゾール化合物を高い収率で得ることができる。
パラジウム触媒としては、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム、トリスジベンジリデンアセトンジパラジウム等を挙げることができ、酢酸パラジウム、またはトリスジベンジリデンアセトンジパラジウムを用いることが好ましい。
反応溶媒におけるパラジウム触媒の添加量は、ブトキシカルボニルカルバゾール化合物に対して
100〜0.5モル%であることが好ましく、30〜1モル%であることがより好ましい。
また、反応溶媒には、パラジウム触媒と複合体を形成するリガンドを添加してもよい。リガンドとしては、トリ(tert−ブチル)ホスホニウム テトラフルオロボレート、2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2′−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル等を挙げることができる。
塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム等の一般的な塩基を用いることができ、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド、ビス(トリメチルシリル)ナトリウムアミド等の強塩基を用いることが好ましい。これにより、3級アミノ基を有するブトキシカルボニルカルバゾール化合物を高い収率で得ることができる。また、ブキシカルボニルカルバゾール化合物のブトキシカルボニル基は、これらの塩基を用いても保護基として確実に保持され、副生成物の生成を抑えることができる。
塩基の使用量は、ブトキシカルボニルカルバゾール化合物に対して10〜1当量であることが好ましく、3〜1当量であることがより好ましい。
カップリング反応を行う反応溶媒は、反応に不活性なものであれば特に制限されず、保護工程で例示した反応溶媒のうちから適宜選択することができる。溶媒の使用量としては、9−ブトキシカルボニルカルバゾール構造を有する化合物に対して1000〜10倍量であることが好ましく、
100〜10倍量であることがより好ましい。
反応条件は、使用する原料、溶媒の種類等に応じて適宜設定することができる。例えば、反応温度は、300〜−100℃であることが好ましく、200〜0℃であることがより好ましい。反応時間は、100〜1時間であることが好ましく、24〜1時間であることがより好ましい。また、反応は攪拌下で行うことが好ましい。
[3]脱離工程
脱離工程では、3級アミノ基を有するブトキシカルボニルカルバゾール化合物からブトキシカルボニル基を脱離させ、目的の3級アミノ基を有するカルバゾール化合物を得る。
脱離工程は、例えば3級アミノ基を有するブトキシカルボニルカルバゾール化合物を酸性化合物に接触させることにより行うことができる。
ブトキシカルボニルカルバゾール化合物は、3級アミノ基の置換数が比較的多くても、酸性化合物との接触によってブトキシカルボニル基が比較的容易に脱離する。また、この脱離工程は、ベンジル基におけるルイス酸のような、保護基とアミンとの反応を促進する化合物を使用するものではないため、副生成物の生成も抑えられる。このため、この脱離工程で、3級アミノ基の置換基種や置換数に関わらず、3級アミノ基を有するカルバゾール化合物を高い収率で得ることができる。
ブトキシカルボニル基の脱離に用いる酸性化合物としては、塩酸、トリフルオロ酢酸、塩酸−酢酸エチル溶液、塩酸―メタノール溶液、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の強酸を好ましく用いることができる。
酸性化合物の使用量は、ブトキシカルボニルカルバゾール化合物に対して100〜0.1当量であることが好ましく、10〜0.1当量であることがより好ましい。
カップリング反応を行う反応溶媒は、反応に不活性なものであれば特に制限されず、保護工程で例示した反応溶媒のうちから適宜選択することができる。溶媒の使用量としては、3級アミノ基を有す9−ブトキシカルボニルカルバゾール構造を有する化合物に対して1000〜5倍量であることが好ましく、100〜10倍量であることがより好ましい。
反応条件は、使用する原料、溶媒の種類等に応じて適宜設定することができる。例えば、反応温度は、300〜−100℃であることが好ましく、200〜−80℃であることがより好ましい。反応時間は、100〜1時間であることが好ましく、24〜1時間であることがより好ましい。また、反応は攪拌下で行うことが好ましい。
この脱離工程は、アミノ化工程で得た3級アミノ基を有するブトキシカルボニルカルバゾール化合物を精製し、この精製物の溶液に酸性化合物を添加することで行ってもよいし、アミノ化工程を行った後の反応溶液に、直接酸性化合物を添加することで行ってもよい。後者の方法を用いることにより、脱離工程前の精製工程を省くことができるため、製造工程を簡素化することができる。ここで、アミノ化工程を行った後の反応溶液には未反応の2級アミンが残っているが、上記のように、脱離工程で用いる酸性化合物はブトキシカルボニル基と2級アミンとの反応を促進するものではないため、反応溶液に直接酸性化合物を添加する方法を用いた場合でも高い収率を得ることができる。
以上の工程により、3級アミノ基を有するカルバゾール化合物が製造される。例えば、アミノ化工程で得た3級アミノ基を有するブトキシカルボニルカルバゾール化合物が一般式(1)で表される化合物である場合には、下記一般式(4)で表されるカルバゾール化合物を得ることができる。
Figure 2015193555
一般式(4)において、R1〜R8は各々独立に水素原子または置換基を表すが、R1〜R8の少なくとも1つは3級アミノ基を表す。R1とR2、R2とR3、R3とR4、R4とR5、R5とR6、R6とR7、R7とR8はそれぞれ互いに結合して環状構造を形成していてもよい。
一般式(4)および上記の一般式(1)において、3級アミノ基は、R1〜R8のうちの1つのみであってもよいし、2つ以上であってもよい。
3級アミノ基がR1〜R8のうちの1つのみであるときは、R3またはR6が3級アミノ基であることが好ましく、R3が前記一般式(2)で表される基であることがより好ましい。
一方、R1〜R8のうちの2つ以上が3級アミノ基であるときは、3級アミノ基は、R1〜R4の少なくとも1つと、R5〜R8の少なくとも1つであることが好ましい。このとき、3級アミノ基は、R1〜R4のうちの1〜3つ、R5〜R8のうちの1〜3つであることが好ましく、R1〜R4のうちの1または2つ、R5〜R8のうちの1または2つであることがより好ましい。R1〜R4のうち3級アミノ基の数と、R5〜R8のうち3級アミノ基の数は同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。R1〜R4のうちでは、R2またはR3が3級アミノ基であることが好ましく、少なくともR3が3級アミノ基であることがより好ましい。また、R5〜R8のうちでは、R6またはR7が3級アミノ基であることが好ましく、少なくともR6が3級アミノ基であることがより好ましい。好ましい化合物は、一般式(1)のR3とR6が3級アミノ基である化合物である。一般式(1)、(4)中に存在する3級アミノ基は、同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。また、一般式(1)で表される基は対称構造をとっていることも好ましい。すなわち、R1とR8、R2とR7、R3とR6、R4とR5は、それぞれ同一であることが好ましい。
なお、上記の一般式(2)、(3)における反応性基の好ましい置換位置は、一般式(1)、(4)における3級アミノ基の好ましい置換位置と同じであり、上記のアミノ基の好ましい置換位置についての説明をR1’〜R8’に対応させて参照することができる。
1〜R8がとりうる3級アミノ基としては、ジアリールアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、カルバゾール−9−イル基、アクリダン−10−イル基、フェノキサジン−10−イル基、フェノチアジン−10−イル基または5,10−ジヒドロフェナジン−10−イル基であることが好ましく、ジアリールアミノ基であることがより好ましい。これにより、有機半導体材料として好適なカルバゾール化合物を得ることができる。また、ジアリールアミノ基、ジアルキルアミノ基およびアルキルアリールアミノ基に存在するアリール基およびアルキル基はそれぞれ置換されていてもよく、また、カルバゾール−9−イル基の1〜8位、アクリダン−10−イル基の1〜9位、フェノキサジン−10−イル基の1〜4および6〜9位、フェノチアジン−10−イル基の1〜4および6〜9位、並びに5,10−ジヒドロフェナジン−10−イル基の1〜9位は置換されていてもよい。アリール基、アルキル基、カルバゾール−9−イル基に置換しうる置換基の説明と好ましい範囲については、以下のR1〜R8がとりうる置換基の説明と好ましい範囲を参照することができる。
1〜R8がとりうる置換基には上記の3級アミノ基が含まれ、R1’〜R8’には上記の反応性基が含まれるが、これら以外にR1〜R8およびR1’〜R8’がとりうる置換基として、例えばヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20のアルキル置換アミノ基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のアルキルスルホニル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、アミド基、炭素数2〜10のアルキルアミド基、炭素数3〜20のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のトリアルキルシリルアルキル基、炭素数5〜20のトリアルキルシリルアルケニル基、炭素数5〜20のトリアルキルシリルアルキニル基およびニトロ基等が挙げられる。これらの具体例のうち、さらに置換基により置換可能なものは置換されていてもよい。より好ましい置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数3〜40の置換もしくは無置換のヘテロアリール基である。さらに好ましい置換基は、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルコキシ基、炭素数6〜15の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数3〜12の置換もしくは無置換のヘテロアリール基である。
1とR2、R2とR3、R3とR4、R4とR5、R5とR6、R6とR7、R7とR8が互いに結合して環状構造を形成するとき、上記のR1’とR2’、R2’とR3’、R3’とR4’、R4’とR5’、R5’とR6’、R6’とR7’、R7’とR8’が互いに結合して環状構造を形成するとき、環状構造は芳香環であっても脂肪環であってもよく、またヘテロ原子を含むものであってもよく、さらに環状構造は2環以上の縮合環であってもよい。ここでいうヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群より選択されるものであることが好ましい。形成される環状構造の例として、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、イミダゾリン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、シクロヘキサジエン環、シクロヘキセン環、シクロペンタエン環、シクロヘプタトリエン環、シクロヘプタジエン環、シクロヘプタエン環などを挙げることができる。
以下において、本発明の3級アミノ基を有するカルバゾール化合物の製造方法で製造される化合物の具体例を例示する。下記化合物においてPhはフェニル基を表し、p−Tolylはp−トリル基を表す。ただし、本発明において製造されるカルバゾール化合物はこれらの具体例によって限定的に解釈されるべきものではない。
Figure 2015193555
[一般式(1)で表される化合物]
一般式(1)で表される化合物は新規化合物である。
Figure 2015193555
一般式(1)において、R1〜R8は各々独立に水素原子または置換基を表すが、R1〜R8の少なくとも1つは3級アミノ基を表す。R1とR2、R2とR3、R3とR4、R4とR5、R5とR6、R6とR7、R7とR8はそれぞれ互いに結合して環状構造を形成していてもよい。R1〜R8の説明と好ましい範囲については上記した通りである。
一般式(1)で表される化合物は、本発明の3級アミノ基を有するカルバゾール化合物の製造方法において上記のアミノ化工程で得られる中間体であり、この一般式(1)で表される化合物に上記の脱離工程行うことにより、3級アミノ基を有するカルバゾール化合物を製造することができる。
[3級アミノ基を有するカルバゾール化合物の応用例]
例えば上記一般式(4)で表されるカルバゾール化合物のように、本発明の製造方法によって製造される3級アミノ基を有する脱保護されたカルバゾール化合物は、それ自体有機半導体材料として有用である。また、3級アミノ基を有するカルバゾール構造は、アクセプター性の原子団と組み合わせることにより、アクセプターにエネルギーを供給するドナーとして機能する。したがって、本発明の製造方法によって製造される3級アミノ基を有する脱保護されたカルバゾール化合物は、ドナー部位とアクセプター部位とを有する化合物を製造する際、ドナー部位を供給する原料、すなわちドナー材料としても有用である。3級アミノ基を有するカルバゾール構造をドナー部位とする化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光材料、ホスト材料、電子輸送材料、正孔輸送材料等として優れた特性を発揮し、有用性が極めて高い。
上記一般式(4)で表されるカルバゾール化合物の中でも特に下記一般式(5)で表される化合物は新規化合物であって、蛍光体のドナー部位を供給する原料(ドナー材料)としての有用性が高い。とりわけ下記一般式(5)で表される化合物は、遅延蛍光体のドナー部位を供給する原料(遅延蛍光体用ドナー材料)として有用である。
Figure 2015193555
一般式(5)において、R11〜R18は各々独立に水素原子または置換基を表すが、R13およびR16の少なくとも一方は下記一般式(6)〜(9)のいずれかで表される構造を有する。R11とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R15とR16、R16とR17、R17とR18はそれぞれ互いに結合して環状構造を形成していてもよい。一般式(5)におけるR11〜R18の説明と好ましい範囲については、一般式(1)におけるR1〜R8の説明と好ましい範囲を参照することができる。
Figure 2015193555
Figure 2015193555
一般式(6)〜(9)において、R31〜R38、R41〜R48、R51〜R58、R61〜R65、R71〜R80は、各々独立に水素原子または置換基を表す。置換基の説明と好ましい範囲については、上記のR1〜R8がとりうる置換基の説明と好ましい範囲を参照することができる。R31とR32、R32とR33、R33とR34、R35とR36、R36とR37、R37とR38、R41とR42、R42とR43、R43とR44、R45とR46、R46とR47、R47とR48、R51とR52、R52とR53、R53とR54、R55とR56、R56とR57、R57とR58、R61とR62、R62とR63、R63とR64、R64とR65、R54とR61、R55とR65、R71とR72、R72とR73、R73とR74、R75とR76、R76とR77、R77とR78、R79とR80は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。環状構造の説明と好ましい範囲については、上記のR1とR2等が互いに結合して環状構造を形成する際の説明と好ましい範囲を参照することができる。*は、一般式(5)のカルバゾールを構成するベンゼン環への結合位置を表す。
一般式(5)で表される化合物から遅延蛍光体を製造するには、一般式(5)で表される化合物のカルバゾール環の9位をアクセプターで置換すればよい。具体的に説明すると、一般式(5)で表される化合物と例えば下記一般式(10)で表される化合物とを反応させることにより、下記一般式(11)で表される遅延蛍光体を製造することができる。
一般式(10)
X−A
一般式(10)において、Xはハロゲン原子を表し、具体例としてフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができ、臭素原子、ヨウ素原子を好ましく用いることができる。Aはアクセプターを表す。ここでいうアクセプターとは、一般式(5)で表される化合物のカルバゾール環の9位に置換したときに、電子吸引能を示す原子または原子団をいう。好ましくは、電子吸引能を有する芳香族置換基である。すなわち、Aが表すアクセプターは、電子吸引能を有する芳香環か複素芳香環を少なくとも1つ有しており、その芳香環か複素芳香環でXに結合しているものであることが好ましい。芳香環か複素芳香環は縮環構造を有するものであってもよく、複素芳香環は窒素原子を含む複素芳香環であることが好ましい。芳香環および複素芳香環の具体例として、ベンゼン環、ビフェニレン環、ナフタレン環、フルオレン環、トリフェニレン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、トリアゾール環、チアゾール環、ピロール環を挙げることができる。芳香環または複素芳香環におけるカルバゾール環への結合部位は特に限定されないが、芳香環または複素芳香環を構成する原子のうち炭素原子でカルバゾール環に結合することが好ましい。Aが表すアクセプターは、電子吸引基を有する芳香族置換基であることが好ましい。ここでいう電子吸引基とは、ハメットのσp値が正である置換基を意味する。例えばシアノ基を好ましい例として挙げることができる。
Figure 2015193555
一般式(11)において、R11〜R18は各々独立に水素原子または置換基を表すが、R13およびR16の少なくとも一方は上記一般式(6)〜(9)のいずれかで表される構造を有する。Aはアクセプターを表す。R11とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R15とR16、R16とR17、R17とR18はそれぞれ互いに結合して環状構造を形成していてもよい。R11〜R18およびAの説明と好ましい範囲については、一般式(5)および一般式(10)の対応する記載を参照することができる。
一般式(5)で表される化合物は、従来用いられてきたドナー材料と比較して、ドナー自身のΔESTが小さいという特徴を有する。ΔESTは、理論計算より得られる励起三重項エネルギーと励起一重項エネルギーの差より求められる。図1は、各種ドナーのΔESTをドナーごとに示したグラフである。一般に遅延蛍光体がその機能を発現するにはΔESTが大きく関与している。通常の遅延蛍光体は、ドナーとアクセプターの組み合わせで設計される。そして、アクセプター材料を選択した時に、ドナー材料がもつΔESTが小さければ小さいほど、組み合わせでできる遅延蛍光体のΔESTは小さくなるのが一般的である。図1によると、ドナー材料としてジフェニルアミン(ΔEST=1.1)やカルバゾール(ΔEST =0.96)を選択すると、ΔESTが非常に大きくなる。従来の多くの遅延蛍光体は図1の領域「a」で示される範囲のドナー材料が用いられてきた。これらのΔESTはジフェニルアミンやカルバゾールよりも小さいが、依然として高い領域にある。これに対して、一般式(5)で表される化合物は、図1の領域「b」で表される新領域のドナー材料である。一般式(5)で表される化合物はΔESTは十分に小さいため、ドナー材料として用いることによりΔESTのより小さな遅延蛍光体を提供することが可能である。上記の本発明の製造方法によれば、一般式(5)で表される化合物を容易に製造することが可能であることから、本発明は極めて有用性が高い。
[有機エレクトロルミネッセンス素子]
以下、本発明の製造方法によって製造される3級アミノ基を有するカルバゾール化合物が適用される有機デバイスの一例として、有機エレクトロルミネッセンス素子について説明する。
有機エレクトロルミネッセンス素子は、少なくとも陽極、陰極、および陽極と陰極の間に有機層を形成した構造を有する。有機層は、少なくとも発光層を含むものであり、発光層のみからなるものであってもよいし、発光層の他に1層以上の有機層を有するものであってもよい。そのような他の有機層として、正孔輸送層、正孔注入層、電子阻止層、正孔阻止層、電子注入層、電子輸送層、励起子阻止層などを挙げることができる。正孔輸送層は正孔注入機能を有した正孔注入輸送層でもよく、電子輸送層は電子注入機能を有した電子注入輸送層でもよい。具体的な有機エレクトロルミネッセンス素子の構造例を図2に示す。図2において、1は基板、2は陽極、3は正孔注入層、4は正孔輸送層、5は発光層、6は電子輸送層、7は陰極を表わす。
以下において、有機エレクトロルミネッセンス素子の各部材および各層について説明する。
(基板)
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板に支持されていることが好ましい。この基板については、特に制限はなく、従来から有機エレクトロルミネッセンス素子に慣用されているものであればよく、例えば、ガラス、透明プラスチック、石英、シリコンなどからなるものを用いることができる。
(陽極)
有機エレクトロルミネッセンス素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極材料とするものが好ましく用いられる。このような電極材料の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In23−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極材料を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極材料の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な材料を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
(陰極)
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極材料とするものが用いられる。このような電極材料の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性および酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極材料を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極または陰極のいずれか一方が、透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陽極の説明で挙げた導電性透明材料を陰極に用いることで、透明または半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
(発光層)
発光層は、陽極および陰極のそれぞれから注入された正孔および電子が再結合することにより励起子が生成した後、発光する層であり、発光材料を単独で発光層に使用しても良いが、好ましくは発光材料とホスト材料を含む。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子および有機フォトルミネッセンス素子が高い発光効率を発現するためには、発光材料に生成した一重項励起子および三重項励起子を、発光材料中に閉じ込めることが重要である。従って、発光層中に発光材料に加えてホスト材料を用いることが好ましい。ホスト材料としては、励起一重項エネルギー、励起三重項エネルギーの少なくとも何れか一方が発光材料よりも高い値を有する有機化合物を用いることができる。その結果、発光材料に生成した一重項励起子および三重項励起子を、発光材料の分子中に閉じ込めることが可能となり、その発光効率を十分に引き出すことが可能となる。もっとも、一重項励起子および三重項励起子を十分に閉じ込めることができなくても、高い発光効率を得ることが可能な場合もあるため、高い発光効率を実現しうるホスト材料であれば特に制約なく本発明に用いることができる。本発明の有機発光素子または有機エレクトロルミネッセンス素子において、発光は発光層に含まれる発光材料から生じる。この発光は蛍光発光および遅延蛍光発光の両方を含む。但し、発光の一部或いは部分的にホスト材料からの発光があってもかまわない。
ホスト材料を用いる場合、発光材料である化合物が発光層中に含有される量は0.1重量%以上であることが好ましく、1重量%以上であることがより好ましく、また、50重量%以下であることが好ましく、20重量%以下であることがより好ましく、10重量%以下であることがさらに好ましい。
発光層におけるホスト材料としては、正孔輸送能、電子輸送能を有し、かつ発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高いガラス転移温度を有する有機化合物であることが好ましい。
本発明の製造方法により製造される脱保護されたカルバゾール化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子および有機フォトルミネッセンス素子の発光層において、発光材料として機能するものもあれば、ホスト材料として機能するものもある。
(注入層)
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、正孔注入層と電子注入層があり、陽極と発光層または正孔輸送層の間、および陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。注入層は必要に応じて設けることができる。
(阻止層)
阻止層は、発光層中に存在する電荷(電子もしくは正孔)および/または励起子の発光層外への拡散を阻止することができる層である。電子阻止層は、発光層および正孔輸送層の間に配置されることができ、電子が正孔輸送層の方に向かって発光層を通過することを阻止する。同様に、正孔阻止層は発光層および電子輸送層の間に配置されることができ、正孔が電子輸送層の方に向かって発光層を通過することを阻止する。阻止層はまた、励起子が発光層の外側に拡散することを阻止するために用いることができる。すなわち電子阻止層、正孔阻止層はそれぞれ励起子阻止層としての機能も兼ね備えることができる。本明細書でいう電子阻止層または励起子阻止層は、一つの層で電子阻止層および励起子阻止層の機能を有する層を含む意味で使用される。
(正孔阻止層)
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有する。正孔阻止層は電子を輸送しつつ、正孔が電子輸送層へ到達することを阻止する役割があり、これにより発光層中での電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。正孔阻止層の材料としては、後述する電子輸送層の材料を必要に応じて用いることができる。
(電子阻止層)
電子阻止層とは、広い意味では正孔を輸送する機能を有する。電子阻止層は正孔を輸送しつつ、電子が正孔輸送層へ到達することを阻止する役割があり、これにより発光層中での電子と正孔が再結合する確率を向上させることができる。
(励起子阻止層)
励起子阻止層とは、発光層内で正孔と電子が再結合することにより生じた励起子が電荷輸送層に拡散することを阻止するための層であり、本層の挿入により励起子を効率的に発光層内に閉じ込めることが可能となり、素子の発光効率を向上させることができる。励起子阻止層は発光層に隣接して陽極側、陰極側のいずれにも挿入することができ、両方同時に挿入することも可能である。すなわち、励起子阻止層を陽極側に有する場合、正孔輸送層と発光層の間に、発光層に隣接して該層を挿入することができ、陰極側に挿入する場合、発光層と陰極との間に、発光層に隣接して該層を挿入することができる。また、陽極と、発光層の陽極側に隣接する励起子阻止層との間には、正孔注入層や電子阻止層などを有することができ、陰極と、発光層の陰極側に隣接する励起子阻止層との間には、電子注入層、電子輸送層、正孔阻止層などを有することができる。阻止層を配置する場合、阻止層として用いる材料の励起一重項エネルギーおよび励起三重項エネルギーの少なくともいずれか一方は、発光材料の励起一重項エネルギーおよび励起三重項エネルギーよりも高いことが好ましい。
(正孔輸送層)
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。使用できる公知の正孔輸送材料としては例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体およびピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物およびスチリルアミン化合物を用いることが好ましく、芳香族第3級アミン化合物を用いることがより好ましい。
(電子輸送層)
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる場合もある)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよい。使用できる電子輸送層としては例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタンおよびアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
この有機エレクトロルミネッセンス素子は、得られた素子の陽極と陰極の間に電界を印加することにより発光する。このとき、励起一重項エネルギーによる発光であれば、そのエネルギーレベルに応じた波長の光が、蛍光発光および遅延蛍光発光として確認される。また、励起三重項エネルギーによる発光であれば、そのエネルギーレベルに応じた波長が、りん光として確認される。通常の蛍光は、遅延蛍光発光よりも蛍光寿命が短いため、発光寿命は蛍光と遅延蛍光で区別できる。
一方、りん光については、本発明の化合物のような通常の有機化合物では、励起三重項エネルギーは不安定で熱等に変換され、寿命が短く直ちに失活するため、室温では殆ど観測できない。通常の有機化合物の励起三重項エネルギーを測定するためには、極低温の条件での発光を観測することにより測定可能である。
本発明の製造方法によって製造された3級アミノ基を有するカルバゾール化合物は、以上のような有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する各有機層の材料として好適に用いることができる。なお、この3級アミノ基を有するカルバゾール化合物の用途は、これに限るものではない。本発明で製造されたカルバゾール化合物は、この他の各種有機デバイスの有機半導体材料としても好適に用いることができる。
以下に合成例および実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下に示す材料、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(実施例1) 化合物1の合成
[1−1]保護工程
Figure 2015193555
3−ブロモカルバゾール(10.0g, 40.6mmol)と4−N,N−ジメチルアミノピリジン(0.50g,0.41mmol)をテトラヒドロフラン100mlに加え撹拌した。この混合物に、ジ−tert−ブチルジカーボネート((BOC)2O:11.5g,52.8mmol)をゆっくりと滴下し、35℃で終夜撹拌した。その後、反応液をエバポレーターで濃縮し、得られた濃縮物にメタノール100mlを加え、結晶を析出させた。得られた結晶を濾別した後、メタノールで洗浄し、乾燥した。これにより、中間体2aを収量12.0g、収率85%で得た。
1H NMR(600MHz,CDCl3)δ8.6−8.4(1H),8.2−8.0(2H)、7.5−7.1(4H)、1.8−1.6(9H);MS(70eV,EI)m/z=346(M+)、348(M+)
[1−2]アミノ化工程
Figure 2015193555
中間体2a(10.4g,30mmol)、ジフェニルアミン(5.58g,33mmol)、酢酸パラジウム(Pd(OAc)2:0.54g,2.4mmol)、およびナトリウムtert−ブトキシド(NaOt−Bu:6.92g,72mmol)を脱水トルエン160mlに加え、撹拌した。この反応液にトリ(tert−ブチル)ホスホニウム テトラフルオロボレート(tBu3P・HBF4:0.35g,1.2mmol)を加え100℃で終夜撹拌した。その後、水200mlを加えた反応液をセライトでろ過した後濃縮し、メタノールを加えて結晶を析出させた。得られた結晶をろ別し、水とメタノールで洗浄した。これにより、中間体3aを収量10.0g、収率77%で得た。
1H NMR(600MHz,CDCl3)δ8.6−8.1(2H),7.4−6.8(9H)、6.8−6.5(m,6H),1.8−1.6(9H);MS(70eV,EI)m/z=434(M+)
[1−3]脱離工程
Figure 2015193555
中間体3a(8.69g,20mmol)を1,4−ジオキサン100mlに加え、濃塩酸10mlを滴下した後、80℃で2時間撹拌した。この反応液を濃縮してトルエン300mlを加え、飽和炭酸水素ナトリウムで中和した後、分液した。このうち有機層を濃縮し、この濃縮物を、SiO2カラムクロマトグラフィーにより、クロロホルム:ヘキサン=1:1の混合溶媒を展開溶媒に用いて精製した。これにより、化合物1を収量5.7g、収率85%で得た。
1H NMR(600MHz,CDCl3)δ11.0−12.0(1H)、8.6−8.1(2H),7.4−6.8(9H)、6.8−6.5(m,6H);MS(70eV,EI)m/z=334(M+)
(実施例2) 化合物2の合成
[2−1]保護工程
Figure 2015193555
3−ブロモカルバゾール(10.0g, 40.6mmol)の代わりに 3,6−ジブロモカルバゾール(13.2g, 40.6mmol)を出発物質として用いること以外は、実施例1と同様の保護工程を行い、中間体2bを収量15.0g、収率87%で得た。
1H NMR(600MHz,CDCl3)δ8.6−8.4(2H),8.3−7.8(4H),1.8−1.6(9H);MS(70eV,EI)m/z=423(M+)、425(M+)、428(M+)
[2−2]アミノ化工程
Figure 2015193555
中間体2b(8.49g,30mmol)、ジフェニルアミン(11.16g,66mmol)、パラジウム触媒(シグマ−アルドリッチ社製、商品名PEPPSI−Ipr:1.02g,1.5mmol)、およびNaOt−Bu(7.21g,75mmol)を脱水トルエン160mlに加え、100℃で終夜撹拌した。その後、水200mlを加えた反応液を、セライトでろ過した後濃縮し、メタノールを加えて結晶を析出させた。得られた結晶をろ別し、水とメタノールで洗浄した。これにより、中間体3bを収量15.9g、収率88%で得た。
1H NMR(600MHz,CDCl3)δ8.4−7.8(8H),7.7−6.8(18H),1.8−1.6(9H);MS(70eV,EI)m/z=601(M+)
[2−3]脱離工程
Figure 2015193555
中間体3a(8.69g,20mmol)の代わりに中間体3b(12.03g,20mmol)を用いること以外は、実施例1と同様の脱離工程を行い、化合物2を収量9.13g、収率91%で得た。
H NMR(600MHz,CDCl)δ11.0−12.0(1H)、8.2−8.0(m,2H),7.9−7.7(2H)、7.3−6.9(m,10H)、6.9−6.5(4H);MS(70eV,EI)m/z=501(M+)
(実施例3) 化合物4の合成
[3−1]保護工程
実施例2と同様の出発物質および保護工程を用いて中間体2bを得た。
[3−2]アミノ化工程
Figure 2015193555
中間体2b(8.50g,20mmol)、ジ(p−トリル)アミン(11.84g,60mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(Pd2(dba)3:0.916g,1.0mmol)、NaOt−Bu(4.61g,48mmol)、および2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2′−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル(1.37g,4mmol)を脱水トルエン100mlに加え、100℃で終夜撹拌した。その後、水200mlを加えた反応液を、セライトでろ過した後濃縮し、メタノールを加えて結晶を析出させた。得られた結晶をろ別し、水とメタノールで洗浄した。これにより、中間体3cを収量11.84g、収率90%で得た。
1H NMR(600MHz,CDCl3)δ8.4−7.8(4H),7.7−6.8(18H),2.5−2.3(12H),1.8−1.6(9H);MS(70eV,EI)m/z=657(M+)
[3−3]脱離工程
Figure 2015193555
中間体3a(8.69g,20mmol)の代わりに中間体3c(13.16g,20mmol)を用いること以外は、実施例1と同様の脱離工程を行い、化合物4を収量10.37g、収率93%で得た。
1H NMR(600MHz,CDCl3)δ11.0−12.0(1H),8.4−7.8(4H),7.7−6.8(18H),2.5−2.3(12H);MS(70eV,EI)m/z=557(M+)
(合成例4) 化合物5の合成
[4−1]保護工程
実施例1と同様の出発物質および保護工程を用いて中間体2aを得た。
[4−2]アミノ化工程
Figure 2015193555
中間体2a(6.23g,18mmol)とフェノキサジン(3.63g,20mmol)および、Pd(OAc)2(0.32g,1.4mmol)、NaOt−Bu(2.25g,23.4mmol)を脱水トルエン100mlに加え、撹拌した。この反応液にtBu3P・HBF4(0.21g,0.7mmol)を加え80℃で終夜撹拌した。反応液に水200mlを加え、セライトろ過し、濃縮してメタノールを加え結晶化させ、ろ別して、水とメタノールで洗浄して中間体3d(5.25g,収率65%)を得た。必要に応じてカラムクロマトグラフィー(SiO2,クロロホルム:ヘキサン=1:1)により精製を行った。
MS(70eV,EI)m/z=448(M+)
[4−3]脱離工程
Figure 2015193555
中間体3a(8.69g,20mmol)の代わりに中間体3d(4.49g,10mmol)を用いること以外は、実施例1と同様の脱離工程を行い、化合物5を収量2.96g、収率85%で得た。
1H NMR(600MHz,CDCl3)δ10.0−11.0(1H)、8.4−8.1(1H),7.8.−7.5(3H),7.4−7.3(2H),7.2−6.9(9H);MS(70eV,EI)m/z=348(M+)
(合成例5) 化合物6の合成
[5−1]保護工程
実施例1と同様の出発物質および保護工程を用いて中間体2aを得た。
[5−2]アミノ化工程
Figure 2015193555
中間体2a(5.19g,15mmol)と9,9−ジメチルアクリダン(3.45g,16.5mmol)および、Pd(OAc)2(0.27g,1.2mmol)、NaOt−Bu(1.87g,19.5mmol)を脱水トルエン80mlに加え、撹拌した。この反応液にtBu3P・HBF4(0.17g,0.6mmol)を加え80℃で終夜撹拌した。反応液に水150mlを加え、セライトろ過し、濃縮してメタノールを加え結晶化させ、ろ別して、水とメタノールで洗浄して中間体3e(3.92g,収率55%)を得た。必要に応じてカラムクロマトグラフィー(SiO2,クロロホルム:ヘキサン=1:1)により精製を行った
MS(70eV,EI)m/z=459(M+ − Me)
[5−3]脱離工程
Figure 2015193555
中間体3a(8.69g,20mmol)の代わりに中間体3e(2.37g,5mmol)を用いること以外は、実施例1と同様の脱離工程を行い、化合物6を収量1.87g、収率92%で得た。
1H NMR(600MHz,CDCl3)δ10.0−11.0(1H)、8.4−8.1(1H),7.7.−7.4(3H),7.3−7.1(9H),7.0−6.8(2H),1.7−1.4(6H);MS(70eV,EI)m/z=359(M+−Me)
(比較例1)
非特許文献2に記載の方法に従い、3−ブロモカルバゾールの9位にベンジル基を導入した。その後、中間体2aの代わりにベンジル基を導入した3−ブロモカルバゾールを用いること以外は実施例1と同様のアミノ化工程および脱離工程を行い、3位にジフェニルアミノ基が導入されたカルバゾール化合物(化合物1)を合成した。
(比較例2)
非特許文献2に記載の方法に従い、3,6−ジブロモカルバゾールの9位にベンジル基を導入した。その後、中間体2bの代わりにベンジル基を導入した3,6−ジブロモカルバゾールを用いること以外は実施例3と同様のアミノ化工程を行い、下記中間体5を得た。
Figure 2015193555
中間体5(5.18g,8mmol)と塩化アルミニウム(10.67g,80mmol)をアニソール47mlに加え、80℃で終夜撹拌した。この反応液を氷水500mlに添加し、さらにトルエン300mlに加え、水酸化ナトリウムでpH=10以上になるまで調製した。調製した反応液をセライトでろ過し、分液した。このうち有機層を濃縮し、この濃縮物をSiO2カラムクロマトグラフィーにより、クロロホルムを展開溶媒に用いて精製した。得られたフラクションにメタノールを加えて、目的物4の結晶を析出させた。これにより、化合物4を収量1.07g、収率24%で得た。
(比較例3)
文献(Organic Letters, 15(5), 1120-1123; 2013)に記載の方法に従い、3−ブロモカルバゾールとp−トリルスルホニルクロリドを用いて、3−ブロモカルバゾールの9位にp−トリルスルホニル基(MeC64SO2−)を導入した。その後、中間体2aの代わりにp−トリルスルホニル基を導入した3−ブロモカルバゾールを用いること以外は実施例1と同様のアミノ化工程および脱離工程を行い、3位にジフェニルアミノ基が導入されたカルバゾール化合物(化合物1)を合成した。
(比較例4)
比較例3に記載の方法と同様に、3−ブロモカルバゾールとアセチルクロリドを用いて、3−ブロモカルバゾールの9位にアセチル基(CH3CO−)を導入した。その後、中間体2aの代わりにアセチル基を導入した3−ブロモカルバゾールを用いること以外は実施例1と同様のアミノ化工程および脱離工程を行い、3位にジフェニルアミノ基が導入されたカルバゾール化合物(化合物1)を合成した。
(比較例5)
特許文献1に記載の方法に従い、3−ブロモカルバゾールの9位にベンゾイル基を導入した。その後、中間体2aの代わりにベンゾイル基を導入した3−ブロモカルバゾールを用いること以外は実施例1と同様のアミノ化工程および脱離工程を行い、3位にジフェニルアミノ基が導入されたカルバゾール化合物(化合物1)を合成した。
(比較例6)
比較例3に記載の方法と同様に、3−ブロモカルバゾールとベンジルオキシカルボニルクロリド(PhCH2OCOCl)を用いて、3−ブロモカルバゾールの9位にベンジルオキシカルボニル基(PhCH2OCO−)を導入した。その後、中間体2aの代わりにベンジルオキシカルボニル基を導入した3−ブロモカルバゾールを用いること以外は実施例1と同様のアミノ化工程および脱離工程を行い、3位にジフェニルアミノ基が導入されたカルバゾール化合物(化合物1)を合成した。
[評価]
実施例1〜3および比較例1〜6について、アミノ化工程での保護基の脱離の程度を下記基準に従って評価した。ここで、アミノ化工程での保護基の脱離の程度は薄層シリカゲルクロマトグラフィーにより調べた。また、この評価結果を脱離工程での収率と併せて表1に示す。
A:保護基の脱離は認められない
B:保護基の脱離が認められた
Figure 2015193555
表1に示すように、保護基としてブトキシカルボニル基を導入した実施例1〜3は、アミノ化工程で保護基の脱離が認められず、脱離工程での収率も85%以上と高いものであった。特にカルバゾール環の2箇所に3級アミノ基を導入した実施例2,3では、90%以上の非常に高い収率を得ることができた。
これに対して、保護基としてベンジル基を導入した比較例1、2は、アミノ化工程での保護基の脱離は認められないものの、同様のカルバゾール化合物を合成した実施例1、3の製造方法に比べて脱離工程での収率が低いものであった。特に、3級アミノ基としてジトリルアミノ基を導入した比較例2は、実施例3に比べて収率が著しく劣っていた。これは、ルイス酸であるAlCl3の存在下、メチル基の影響でアリール部位が電子リッチになっているジトリルアミノ基がベンジル基と反応して重合することによるものであると推測される。
また、保護基としてp−トリルスルホニル基を導入した比較例3、アセチル基を導入した比較例4、ベンゾイル基を導入した比較例5は、アミノ化工程で保護基の脱離が認められた。
さらに、保護基としてベンジルオキシカルボニル基を導入した比較例6は、脱離工程での収率が5%以下と非常に低いものであった。
本発明の3級アミノ基を有するカルバゾール化合物の製造方法では、有機半導体材料として有用な3級アミノ基を有するカルバゾール化合物を、簡素な工程により、高い収率で得ることができる。
このため、本発明は産業上の利用可能性が高い。
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 電子輸送層
7 陰極

Claims (20)

  1. 9−ブトキシカルボニルカルバゾール構造を含む化合物に3級アミノ基を導入する工程と、前記化合物からブトキシカルボニル基を脱離させる工程を含むことを特徴とする3級アミノ基を有するカルバゾ−ル化合物の製造方法。
  2. 前記9−ブトキシカルボニルカルバゾール構造を含む化合物が、カルバゾール環の1〜8位の少なくとも1つに反応性基を有することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記反応性基がハロゲン原子であることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記3級アミノ基の導入を、前記9−ブトキシカルボニルカルバゾール構造を含む化合物と2級アミンを反応させることにより行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記9−ブトキシカルボニルカルバゾール構造を含む化合物と前記2級アミンを反応させる際、パラジウム触媒を用いることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記2級アミンが、ジアリールアミン、ジアルキルアミン、アルキルアリールアミン、カルバゾール、アクリダン、フェノキサジン、フェノチアジンまたは5,10−ジヒドロフェナジンであることを特徴とする請求項4または5に記載の製造方法(ただし、前記ジアリールアミン、前記ジアルキルアミンおよび前記アルキルアリールアミンに存在するアリール基およびアルキル基はそれぞれ置換されていてもよく、また、前記カルバゾールの1〜8位、前記アクリダンの1〜9位、前記フェノキサジンの1〜4および6〜9位、前記フェノチアジンの1〜4および6〜9位、並びに前記5,10−ジヒドロフェナジンの1〜9位は置換されていてもよい。)。
  7. 前記2級アミンが、ジアリールアミンであることを特徴とする請求項4または5に記載の製造方法(ただし、前記ジアリールアミンに存在するアリール基は置換されていてもよい。)。
  8. ブトキシカルボニル基の脱離を、3級アミノ基を導入した9−ブトキシカルボニルカルバゾール構造を含む化合物と酸性化合物とを接触させることにより行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 前記3級アミノ基を導入する工程において精製を行うことなく、前記ブトキシカルボニル基を脱離させる工程を実施することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 前記3級アミノ基を導入する工程を実施しつつ、前記ブトキシカルボニル基を脱離させる工程も実施することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 下記一般式(1)で表される化合物。
    Figure 2015193555
    [一般式(1)において、R1〜R8は各々独立に水素原子または置換基を表すが、R1〜R8の少なくとも1つは3級アミノ基を表す。R1とR2、R2とR3、R3とR4、R4とR5、R5とR6、R6とR7、R7とR8はそれぞれ互いに結合して環状構造を形成していてもよい。]
  12. 前記一般式(1)のR3およびR6の少なくとも一方が3級アミノ基であることを特徴とする請求項11に記載の化合物。
  13. 前記3級アミノ基がジアリールアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、カルバゾール−9−イル基、アクリダン−10−イル基、フェノキサジン−10−イル基、フェノチアジン−10−イル基または5,10−ジヒドロフェナジン−10−イル基であることを特徴とする請求項11または12に記載の化合物(ただし、前記ジアリールアミノ基、前記ジアルキルアミノ基および前記アルキルアリールアミノ基に存在するアリール基およびアルキル基はそれぞれ置換されていてもよく、また、前記カルバゾール−9−イル基の1〜8位、アクリダン−10−イル基の1〜9位、フェノキサジン−10−イル基の1〜4および6〜9位、フェノチアジン−10−イル基の1〜4および6〜9位、並びに5,10−ジヒドロフェナジン−10−イル基の1〜9位は置換されていてもよい。)。
  14. 前記3級アミノ基がジアリールアミノ基であることを特徴とする請求項11または12に記載の化合物(ただし、前記ジアリールアミノ基に存在するアリール基は置換されていてもよい。)。
  15. 下記一般式(5)で表される化合物。
    Figure 2015193555
    [一般式(5)において、R11〜R18は各々独立に水素原子または置換基を表すが、R13およびR16の少なくとも一方は下記一般式(6)〜(9)のいずれかで表される構造を有する。R11とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R15とR16、R16とR17、R17とR18はそれぞれ互いに結合して環状構造を形成していてもよい。]
    Figure 2015193555
    Figure 2015193555
    [一般式(6)〜(9)において、R31〜R38、R41〜R48、R51〜R58、R61〜R65、R71〜R80は、各々独立に水素原子または置換基を表す。R31とR32、R32とR33、R33とR34、R35とR36、R36とR37、R37とR38、R41とR42、R42とR43、R43とR44、R45とR46、R46とR47、R47とR48、R51とR52、R52とR53、R53とR54、R55とR56、R56とR57、R57とR58、R61とR62、R62とR63、R63とR64、R64とR65、R54とR61、R55とR65、R71とR72、R72とR73、R73とR74、R75とR76、R76とR77、R77とR78、R79とR80は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。*は結合位置を表す。]
  16. 下記一般式(5)で表される化合物からなるドナー材料。
    Figure 2015193555
    [一般式(5)において、R11〜R18は各々独立に水素原子または置換基を表すが、R13およびR16の少なくとも一方は下記一般式(6)〜(9)のいずれかで表される構造を有する。R11とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R15とR16、R16とR17、R17とR18はそれぞれ互いに結合して環状構造を形成していてもよい。]
    Figure 2015193555
    Figure 2015193555
    [一般式(6)〜(9)において、R31〜R38、R41〜R48、R51〜R58、R61〜R65、R71〜R80は、各々独立に水素原子または置換基を表す。R31とR32、R32とR33、R33とR34、R35とR36、R36とR37、R37とR38、R41とR42、R42とR43、R43とR44、R45とR46、R46とR47、R47とR48、R51とR52、R52とR53、R53とR54、R55とR56、R56とR57、R57とR58、R61とR62、R62とR63、R63とR64、R64とR65、R54とR61、R55とR65、R71とR72、R72とR73、R73とR74、R75とR76、R76とR77、R77とR78、R79とR80は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。*は結合位置を表す。]
  17. 遅延蛍光体用であることを特徴とする請求項16に記載のドナー材料。
  18. 下記一般式(5)で表される化合物のカルバゾール環の9位をアクセプターで置換することを特徴とする蛍光体の製造方法。
    Figure 2015193555
    [一般式(5)において、R11〜R18は各々独立に水素原子または置換基を表すが、R13およびR16の少なくとも一方は下記一般式(6)〜(9)のいずれかで表される構造を有する。R11とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R15とR16、R16とR17、R17とR18はそれぞれ互いに結合して環状構造を形成していてもよい。]
    Figure 2015193555
    Figure 2015193555
    [一般式(6)〜(9)において、R31〜R38、R41〜R48、R51〜R58、R61〜R65、R71〜R80は、各々独立に水素原子または置換基を表す。R31とR32、R32とR33、R33とR34、R35とR36、R36とR37、R37とR38、R41とR42、R42とR43、R43とR44、R45とR46、R46とR47、R47とR48、R51とR52、R52とR53、R53とR54、R55とR56、R56とR57、R57とR58、R61とR62、R62とR63、R63とR64、R64とR65、R54とR61、R55とR65、R71とR72、R72とR73、R73とR74、R75とR76、R76とR77、R77とR78、R79とR80は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。*は結合位置を表す。]
  19. 前記一般式(5)で表される化合物と下記一般式(10)で表される化合物とを反応させることにより、下記一般式(11)で表される遅延蛍光体を製造することを特徴とする請求項18に記載の蛍光体の製造方法。
    一般式(10)
    X−A
    [一般式(10)において、Xはハロゲン原子を表し、Aはアクセプターを表す。]
    Figure 2015193555
    [一般式(11)において、R11〜R18は各々独立に水素原子または置換基を表すが、R13およびR16の少なくとも一方は前記一般式(6)〜(9)のいずれかで表される構造を有する。Aはアクセプターを表す。R11とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R15とR16、R16とR17、R17とR18はそれぞれ互いに結合して環状構造を形成していてもよい。]
  20. 前記蛍光体が遅延蛍光体であることを特徴とする請求項18または19に記載の蛍光体の製造方法。
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