JP2015190587A - 油圧駆動装置 - Google Patents

油圧駆動装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2015190587A
JP2015190587A JP2014069180A JP2014069180A JP2015190587A JP 2015190587 A JP2015190587 A JP 2015190587A JP 2014069180 A JP2014069180 A JP 2014069180A JP 2014069180 A JP2014069180 A JP 2014069180A JP 2015190587 A JP2015190587 A JP 2015190587A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydraulic
arm
cylinder
hydraulic pump
boom
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014069180A
Other languages
English (en)
Inventor
羽賀 正和
Masakazu Haga
正和 羽賀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Construction Machinery Co Ltd filed Critical Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Priority to JP2014069180A priority Critical patent/JP2015190587A/ja
Publication of JP2015190587A publication Critical patent/JP2015190587A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Operation Control Of Excavators (AREA)
  • Fluid-Pressure Circuits (AREA)

Abstract

【課題】圧力損失の発生や圧油の消費を抑制しつつ、腕部材の動作を精度よく制御する。
【解決手段】油圧駆動装置は、作業腕を構成する腕部材の動作を制御する油圧駆動装置であって、原動機と、原動機により駆動される油圧ポンプと、油圧ポンプに閉回路接続され、油圧ポンプから吐出される圧油により駆動され、一の腕部材の動作方向に対して、互いに異なる伸縮方向に動作することで一の腕部材を駆動する少なくとも2つの油圧シリンダと、油圧ポンプから少なくとも2つの油圧シリンダのそれぞれに供給される圧油の方向および流量を制御する流れ制御装置とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、油圧駆動する油圧ショベル(建設機械)等のフロント作業装置および油圧駆動するロボットのアーム等の作業腕の動作を制御する油圧駆動装置に関する。
従来、複数の油圧シリンダを駆動することにより、フロント作業装置の動作を制御する制御装置が知られている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の建設機械は、油圧シリンダ等と、油圧ポンプとを開回路により接続した開回路方式の油圧回路を備えている。
特開平11−181836号公報
特許文献1に記載の開回路方式の油圧回路では、メータリング特性を有する方向制御弁により油圧シリンダに供給される圧油量を調整している。このため、フロント作業装置に対する負荷の影響で油圧シリンダの圧力が変化すると、圧油量が変化して油圧シリンダの動作速度が変化するため、正確な制御が困難である。
ところで、油圧アクチュエータと油圧ポンプとを閉回路で接続する閉回路方式の油圧回路を備えた建設機械が知られている。閉回路方式では、油圧ポンプと油圧モータとの組み合わせが多い。油圧シリンダはロッド側油室の受圧面積とボトム側油室の受圧面積とが異なるため、油圧シリンダのロッド側およびボトム側のいずれか一方の油室に供給される圧油量と、油圧シリンダのロッド側およびボトム側のいずれか他方の油室から排出される圧油量との間に受圧面積差に応じた流量差が生じる。このため、油圧ポンプと油圧シリンダとを閉回路で接続する場合、絞りやリリーフ弁等により、圧油量を調整する必要があり、絞りやリリーフ弁等により大きな圧力損失が発生したり、圧油が無駄に消費されるおそれがある。
請求項1に記載の油圧駆動装置は、作業腕を構成する腕部材の動作を制御する油圧駆動装置であって、原動機と、原動機により駆動される油圧ポンプと、油圧ポンプに閉回路接続され、油圧ポンプから吐出される圧油により駆動され、一の腕部材の動作方向に対して、互いに異なる伸縮方向に動作することで一の腕部材を駆動する少なくとも2つの油圧シリンダと、油圧ポンプから少なくとも2つの油圧シリンダのそれぞれに供給される圧油の方向および流量を制御する流れ制御装置とを備える。
請求項2に記載の油圧駆動装置は、請求項1に記載の油圧駆動装置において、2つの油圧シリンダは、それぞれ片ロッドシリンダであり、2つの油圧シリンダのうち、一方の油圧シリンダのロッド側と、他方の油圧シリンダのボトム側とを接続する第1油路と、一方の油圧シリンダのボトム側と、他方の油圧シリンダのロッド側とを接続する第2油路とを含む油圧回路を備え、油圧回路には、油圧ポンプへの戻り側油路が接続されている。
請求項3に記載の油圧駆動装置は、請求項1または2に記載の油圧駆動装置において、原動機は、電動機であり、流れ制御装置は、電動機の回転方向と回転速度を制御する電動機制御装置を含んで構成される。
請求項4に記載の油圧駆動装置は、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の油圧駆動装置において、油圧ポンプは、両傾転型の可変容量ポンプであり、流れ制御装置は、2つの油圧シリンダのそれぞれに供給される圧油の方向を逆転させるように油圧ポンプの傾転角を変化させる傾転角制御装置を含んで構成される。
請求項5に記載の油圧駆動装置は、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の油圧駆動装置において、油圧ポンプから吐出される圧油を、油圧ポンプの吐出側油路から油圧ポンプへの戻り側油路へリリーフするリリーフ手段を備える。
請求項6に記載の油圧駆動装置は、請求項5に記載の油圧駆動装置において、リリーフ手段と油圧ポンプへの戻り側油路との間に、リリーフ手段から戻り側油路への流れを許容する逆流防止弁が設けられている。
請求項7に記載の油圧駆動装置は、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の油圧駆動装置において、作業腕は、ブームおよびアームを含んで構成され、一の腕部材は、少なくともブームおよびアームのいずれか一方である。
請求項8に記載の油圧駆動装置は、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の油圧駆動装置において、油圧ポンプと油圧シリンダとの間の圧油の流れを遮断する保持弁を備える。
請求項9に記載の油圧駆動装置は、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の油圧駆動装置において、作業腕の先端に設けられる作業機の所定部が予め設定された目標軌跡に沿って移動するように、流れ制御装置を制御することで腕部材の回動を制御する軌跡制御装置を備える。
本発明によれば、作業腕を構成する腕部材の動作を精度よく制御することができ、圧力損失の発生や圧油の消費を抑制できる。
本発明による油圧駆動装置が適用される建設機械の一例である油圧ショベルを示す側面図。 本発明の第1の実施の形態に係る油圧駆動装置の構成を示す図。 上側アームシリンダおよび下側アームシリンダの構成の一例を示す側面模式図。 上側アームシリンダおよび下側アームシリンダの動作を模式的に示す図。 アームシリンダ、ブームシリンダおよびバケットシリンダを駆動する油圧回路を示す図。 コントローラにより実行される軌跡制御プログラムによる処理の一例を示すフローチャート。 斜面のならし作業を示す図。 本発明の第2の実施の形態に係る油圧駆動装置の構成を示す図。 (a)はアーム操作レバーの操作量と押しのけ容積との関係を示す図、(b)はアーム操作レバーの操作量と電動機の目標回転速度との関係を示す図。 本発明の第3の実施の形態に係る油圧駆動装置の構成を示す図。 本発明の第4の実施の形態に係る油圧駆動装置の構成を示す図。
―第1の実施の形態―
図1は、本発明による油圧駆動装置が適用される建設機械の一例である油圧ショベルを示す側面図である。なお、説明の便宜上、図1に示したように前後および上下方向を規定する。図1に示すように、油圧ショベルは、走行体101と、走行体101上に旋回可能に搭載された旋回体102とを備える。旋回体102の前部にはフロント作業装置(作業腕)103が設けられている。
フロント作業装置103は、複数の腕部材、すなわちブーム104、アーム105、および、バケット106を備える。ブーム104は、旋回体102のフレームにおいて、旋回体102に対して上下方向に回動可能に取り付けられている。ブーム104は、ブーム基端側の上方におけるブーム104の左右において一対設けられた上側ブームシリンダ140Uと、ブーム基端側の下方におけるブーム104の左右に一対設けられた下側ブームシリンダ140Lとによって駆動されて起伏する。
アーム105は、ブーム104の先端において、ブーム104に対して上下方向に回動可能に取り付けられている。アーム105は、ブーム先端側の上方に設けられた上側アームシリンダ150Uと、ブーム先端側の下方に設けられた下側アームシリンダ150Lとによって駆動されて起伏する。バケット106は、アーム105の先端において、アーム105に対して上下方向に回動可能に取り付けられている。バケット106は、アーム105の上方に設けられたバケットシリンダ160によって駆動される。上側ブームシリンダ140U、下側ブームシリンダ140L、上側アームシリンダ150U、下側アームシリンダ150Lおよびバケットシリンダ160は、それぞれピストンの一端面からロッドが突設された片ロッドシリンダである。片ロッドシリンダは、両ロッドシリンダと異なり、ピストンの他端面にロッドが突設されていない。
旋回体102のフレームには、運転室107と、エンジンや電動機、各種油圧装置が収容される機械室108と、カウンタウエイト109とが搭載されている。機械室108は運転室107の後方に配置され、カウンタウエイト109は機械室108の後方に配置されている。機械室108は建屋カバーによって覆われている。
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る油圧駆動装置の構成を示す図であり、各腕部材を駆動する各油圧シリンダのボトム側油室とロッド側油室とを模式的に図示している。図2では、一の腕部材であるアーム105の動作を制御するアーム制御装置の構成を示しており、ブーム104の動作を制御するブーム制御装置の構成は、アーム制御装置と同様であるため、その図示を省略している。油圧ショベルは、電動機(電気モータ)190Aと、電動機190Aにより駆動される油圧ポンプ130Aと、油圧ポンプ130Aから吐出される作動油が供給される油圧回路HC1と、コントローラ120と、インバータ191Aと、蓄電装置193Aとを備えている。蓄電装置193Aはキャパシタや二次電池等の蓄電素子を複数備えている。
油圧回路HC1は閉回路方式の油圧回路であって、上側アームシリンダ150Uおよび下側アームシリンダ150Lと、油圧ポンプ130Aとが閉回路接続されている。上側アームシリンダ150Uと下側アームシリンダ150Lとは同一の構成とされ、それぞれシリンダチューブ151と、ロッド152とを有している。
油圧回路HC1は、図5(a)に示すように、第1油路131と第2油路132とを含んで構成されるシリンダ側回路HC11と、第1管路Laと第2管路Lbとを含んで構成されるポンプ側回路HC12と、シリンダ回路HC11とポンプ側回路HC12との間に設けられ、油圧ポンプ130Aとアームシリンダ150U,150Lとの間の圧油の流れを遮断する保持弁133Aとを備えている。第1油路131は、下側アームシリンダ150Lのロッド側油室154と上側アームシリンダ150Uのボトム側油室153とを接続している。第2油路132は、下側アームシリンダ150Lのボトム側油室153と上側アームシリンダ150Uのロッド側油室154とを接続している。シリンダ側回路HC11には、油圧ポンプ130Aの吐出側油路および油圧ポンプ130Aへの戻り側油路のいずれかを構成する第1管路Laおよび第2管路Lbが接続されている。
油圧ポンプ130Aは電動機190Aに直結されており、電動機190Aの回転速度が上昇すると油圧ポンプ130Aの回転速度が上昇し、ポンプ吐出量が増加する。油圧ポンプ130Aは、ピストンポンプ、ベーンポンプやギヤポンプなどの固定容量型の双方向回転ポンプであり、電動機190Aが正方向に回転(以下、正転とも記す)あるいは逆方向に回転(以下、逆転とも記す)することで、上側アームシリンダ150Uのロッド152が伸長あるいは収縮し、下側アームシリンダ150Lのロッド152が収縮あるいは伸長する。つまり、上側アームシリンダ150Uと、下側アームシリンダ150Lとは、アーム105の動作方向に対して、互いに異なる伸縮方向に動作する構成とされている。
保持弁133Aは、閉位置と開位置の2位置で切り換え可能な電磁式切換弁である。閉位置では、上側アームシリンダ150Uおよび下側アームシリンダ150Lと、油圧ポンプ130Aとの間の圧油の流れは遮断される。開位置では、上側アームシリンダ150Uおよび下側アームシリンダ150Lと、油圧ポンプ130Aとの間の圧油の流れが許容される。なお、油圧ポンプ130Aと保持弁133Aとの間にはオーバーロードリリーフ弁183Aが設けられ、最高圧力がオーバーロードリリーフ弁183Aにより制限される。
図3を参照して、上側アームシリンダ150Uおよび下側アームシリンダ150Lの構成について説明する。図3は、上側アームシリンダ150Uおよび下側アームシリンダ150Lの構成の一例を示す側面模式図である。図3では、上側アームシリンダ150Uの伸縮量と下側アームシリンダ150Lの伸縮量が同一とされている姿勢のときの図である。なお、以下、水平面と直交する面内における各部の位置関係について説明する。
ブーム104の先端に設けられたアーム105の回転中心Paからブーム104の長手方向に沿って延在するように、基準線BLが設定されている。基準線BLに直交する第1直交線OL1と、第2直交線OL2とが設定されている。第1直交線OL1はブーム104の先端近傍に設定され、第2直交線OL2は第1直交線OL1からブーム基端側に所定距離だけ離れた位置に設定されている。
第1直交線OL1上における、基準線BLから上方に距離a1だけ離れた位置が、上側アームシリンダ150Uのロッド152の回動支点PU1として設定されている。第1直交線OL1上における、基準線BLから下方に距離a2だけ離れた位置が、下側アームシリンダ150Lのロッド152の回動支点PL1として設定されている。距離a1と距離a2とは等しい(a1=a2)。
第2直交線OL2上における、基準線BLから上方に距離b1だけ離れた位置が、上側アームシリンダ150Uのシリンダチューブ151の回動支点PU2として設定されている。第2直交線OL2上における、基準線BLから下方に距離b2だけ離れた位置が、下側アームシリンダ150Lのシリンダチューブ151の回動支点PL2として設定されている。距離b1と距離b2とは等しい(b1=b2)。
本実施の形態では、上側アームシリンダ150Uと下側アームシリンダ150Lとが同一の構成とされている。すなわち、上側アームシリンダ150Uのロッド152の外径d1と、下側アームシリンダ150Lのロッド152の外径d2とは等しい(d1=d2)。上側アームシリンダ150Uのシリンダチューブ151の内径D1と、下側アームシリンダ150Lのシリンダチューブ151の内径D2とは等しい(D1=D2)。
ところで、アーム105を駆動させる油圧シリンダを1つだけ備え、この油圧シリンダと油圧ポンプとを閉回路接続した油圧ショベル(以下、比較例と記す)では、以下のような問題が生じる。比較例では、油圧シリンダのロッド側油室の受圧面積とボトム側油室の受圧面積とが異なるため、油圧シリンダのロッド側およびボトム側のいずれか一方の油室に供給される圧油量と、油圧シリンダのロッド側およびボトム側のいずれか他方の油室から排出される圧油量との間に受圧面積差に応じた流量差が生じる。このため、比較例では、絞りやリリーフ弁等により、圧油量を大幅に調整する必要があり、絞りやリリーフ弁等により大きな圧力損失が発生したり、圧油が無駄に消費されるおそれがあった。
これに対して本実施の形態では、一の腕部材の動作方向に対して、互いに異なる伸縮方向に動作する油圧シリンダを少なくとも2つ備えることで、各油圧シリンダへ供給される圧油量の合計と、各油圧シリンダから排出される圧油量の合計との差を小さくすることができる。その結果、圧力損失の発生や圧油の消費を抑制できる。
比較例において、たとえば、ロッド側油室に圧油が供給され、ボトム側油室から圧油が排出された場合、すなわち油圧シリンダが収縮する場合について説明する。ボトム側油室の受圧面積Abおよびロッド側油室の受圧面積Arは、ロッドの外径をd、シリンダチューブの内径をDとすると、以下の式(1),(2)によって表される。
Ab=π/4×D ・・・(1)
Ar=π/4×(D−d) ・・・(2)
ここで、πは円周率を表す。
油圧シリンダの縮み速度をVとすると、油圧シリンダへ供給される圧油量Qiおよび油圧シリンダから排出される圧油量Qoは、以下の式(3),(4)によって表される。
Qi=Ar×V ・・・(3)
Qo=Ab×V ・・・(4)
式(1)〜(4)により、圧油量Qoと圧油量Qiとの差は、以下の式(5)によって表される。
Qo−Qi=π/4×d×V ・・・(5)
これに対して、本実施の形態では、以下のとおり供給される圧油量と排出される圧油量との差を低減できる。なお、ロッド152の外径をd1=d2=dとし、シリンダチューブ151の内径をD1=D2=Dとして、図4を参照して説明する。図4は、上側アームシリンダ150Uおよび下側アームシリンダ150Lの動作を模式的に示す図であり、各油圧シリンダのボトム側油室とロッド側油室とを模式的に図示している。
図4(a)は、上側アームシリンダ150Uの伸縮量と、下側アームシリンダ150Lの伸縮量とが同一とされている姿勢を示している。この姿勢から、図4(b)に示すように、上側アームシリンダ150Uが収縮し、下側アームシリンダ150Lが伸長することで、アーム105が上方に回動する場合について説明する。
上側アームシリンダ150Uの縮み速度をV1とすると、上側アームシリンダ150Uへ供給される圧油量Qi1および上側アームシリンダ150Uから排出される圧油量Qo1は、以下の式(6),(7)によって表される。
Qi1=Ar×V1 ・・・(6)
Qo1=Ab×V1 ・・・(7)
下側アームシリンダ150Lの伸び速度をV2とすると、下側アームシリンダ150Lへ供給される圧油量Qi2および上側アームシリンダ150Uから排出される圧油量Qo2は、以下の式(8),(9)によって表される。
Qi2=Ab×V2 ・・・(8)
Qo2=Ar×V2 ・・・(9)
式(1),(2),(6)〜(9)により、上側アームシリンダ150Uおよび下側アームシリンダ150Lのそれぞれへ供給される圧油量の合計(Qi1+Qi2)と、上側アームシリンダ150Uおよび下側アームシリンダ150Lのそれぞれから排出される圧油量の合計(Qo1+Qo2)との差は、以下の式(10)によって表される。
(Qo1+Qo2)−(Qi1+Qi2)=π/4×d×(V1−V2)・・(10)
ここで、上側アームシリンダ150Uの縮み速度V1と、下側アームシリンダ150Lの伸び速度V2とは、ほぼ同じである(V1≒V2)。少なくとも、速度差|V1−V2|と、比較例における油圧シリンダの伸び速度Vとの大小関係は、V>|V1−V2|となる。つまり、本実施の形態によれば、アーム105を駆動する油圧シリンダ150U,150Lに供給される圧油量と油圧シリンダ150U,150Lから排出される圧油量との差を低減できる。本実施の形態において、V1とV2との差に起因して僅かに生じる圧油量の調整は、後述するリリーフ弁185a,185bによって行われる。なお、本実施の形態によれば、比較例に比べて、吐出側および戻り側の流量の差が小さいため、リリーフ弁185a,186bで発生する圧力損失を低く抑えることができる。
図5(a)はアームシリンダを駆動する油圧回路HC1を示す図であり、図5(b)はブームシリンダを駆動する油圧回路HC2を示す図であり、図5(c)はバケットシリンダを駆動する油圧回路HC3を示す図である。図5(a)は、図2に示したアームシリンダの油圧回路HC1を示す図であり、油圧回路HC1は上側アームシリンダ150Uおよび下側アームシリンダ150Lの伸縮方向が互いに異なるように構成されている。
図5(a)に示すように、オーバーロードリリーフ弁183Aは、第1管路Laと第2管路Lbとの間に介装されている。オーバーロードリリーフ弁183Aは、第1リリーフ弁185aと、第2リリーフ弁185bと、第1逆流防止弁186aと、第2逆流防止弁186bとを含んで構成されている。第1逆流防止弁186aは、第1リリーフ弁185aと第2管路Lbとの間に設けられている。第1逆流防止弁186aは、第1リリーフ弁185aから第2管路Lbへの流れは許容し、第2管路Lbからの流れ(逆流)は禁止する。第2逆流防止弁186bは、第2リリーフ弁185bと第1管路Laとの間に設けられている。第2逆流防止弁186bは、第2リリーフ弁185bから第1管路Laへの流れは許容し、第1管路Laからの流れ(逆流)は禁止する。
第1管路Laと第2管路Lbには、第2逆流防止弁186b、第1逆流防止弁186aを介してチャージポンプ189から吐出される圧油が供給される。チャージポンプ189の吐出側には、チャージポンプ用リリーフ弁188が設けられている。チャージポンプ用リリーフ弁188の設定圧力は、第1リリーフ弁185aおよび第2リリーフ弁185bの設定圧力よりも低い。チャージポンプ189はエンジン190Eにより駆動され、チャージポンプ189から吐出される圧油は、第1逆流防止弁186aまたは第2逆流防止弁186bを通過して、油圧回路HC1に補充される。
上述した吐出側および戻り側の流量差の調整は以下のようにして行われる。
たとえば、油圧ポンプ130Aが正転する場合に、油圧ポンプ130Aの吐出側と戻り側との間に流量差が生じることで吐出側油路である第1管路La内の圧力が第2管路Lb内の圧力に比べて高くなり、第1リリーフ弁185aが作動すると、第1リリーフ弁185aでリリーフした圧油は逆流防止弁186aを介して戻り側油路である第2管路Lbに流れる。一方、油圧ポンプ130Aが逆転する場合に、油圧ポンプ130Aの吐出側と戻り側との間に流量差が生じることで吐出側油路である第2管路Lb内の圧力が第1管路La内の圧力に比べて高くなり、第2リリーフ弁185bが作動すると、第2リリーフ弁185bでリリーフした圧油は第2逆流防止弁186bを介して戻り側油路である第1管路Laに流れる。つまり、本実施の形態では、油圧ポンプ130Aから吐出される圧油を油圧ポンプ130Aの吐出側油路から油圧ポンプ130Aの戻り側油路へリリーフするリリーフ弁185a,185bを備えているため、僅かに生じる流量差を解消することができる。
図5(b)に示すように、油圧回路HC2は閉回路方式の油圧回路であって、上述した油圧回路HC1と同様の構成とされている。すなわち、油圧回路HC2は、一対の上側ブームシリンダ140Uおよび一対の下側ブームシリンダ140Lと、油圧ポンプ130Bとが閉回路接続されている。一対の上側ブームシリンダ140Uと一対の下側ブームシリンダ140Lとは同一の構成とされ、それぞれシリンダチューブと、ロッドとを有している。
油圧回路HC2は、一対の上側ブームシリンダ140Uのそれぞれのボトム側油室143および一対の下側ブームシリンダ140Lのそれぞれのロッド側油室144に接続される第1油路141を備えている。油圧回路HC2は、一対の上側ブームシリンダ140Uのそれぞれのロッド側油室144および一対の下側ブームシリンダ140Lのそれぞれのボトム側油室143に接続される第2油路142とを備えている。
油圧ポンプ130Bは、油圧ポンプ130Aと同様に固定容量型の双方向回転ポンプであり、電動機190Bに直結されている。電動機190Bが正転あるいは逆転することで、上側ブームシリンダ140Uのロッドが伸長あるいは収縮し、下側ブームシリンダ140Lのロッドが収縮あるいは伸長する。つまり、上側ブームシリンダ140Uと、下側ブームシリンダ140Lとは、ブーム104の動作方向に対して、互いに異なる伸縮方向に動作する構成とされている。電動機190Bの回転速度が上昇すると油圧ポンプ130Bの回転速度が上昇し、ポンプ吐出量が増加する。
油圧回路HC2には、上側ブームシリンダ140Uおよび下側ブームシリンダ140Lと、油圧ポンプ130Bとの間に保持弁133Bが設けられている。保持弁133Bは、閉位置と開位置の2位置で切り換え可能な電磁式切換弁である。閉位置では、上側ブームシリンダ140Uおよび下側ブームシリンダ140Lと、油圧ポンプ130Bとの間の圧油の流れは遮断される。開位置では、上側ブームシリンダ140Uおよび下側ブームシリンダ140Lと、油圧ポンプ130Bとの間の圧油の流れが許容される。
図5(c)に示すように、油圧回路HC3は開回路方式の油圧回路であって、バケットシリンダ160と、油圧ポンプ165とが開回路接続されている。油圧回路HC3は、バケットシリンダ160のロッド側油室164に接続される第1油路161と、バケットシリンダ160のボトム側油室163に接続される第2油路162とを備えている。
油圧ポンプ165は、一方向回転ポンプである。油圧回路HC3には、バケットシリンダ160と油圧ポンプ165との間にメータリング特性を有している方向制御弁166が設けられている。方向制御弁166は、油圧ポンプ165から吐出された圧油の方向と流量を制御してバケットシリンダ160の駆動を制御する。
方向制御弁166は、操作量に応じた操作信号を発生する電気式のバケット操作レバー169の操作量に応じて駆動される。なお、方向制御弁166を油圧パイロット式とし、バケット操作レバー169のパイロット弁からのパイロット圧に応じて方向制御弁166を駆動させる構成とすることもできる。
コントローラ120は、CPUや記憶装置であるROMおよびRAM、その他の周辺回路などを有する演算処理装置を含んで構成されている。コントローラ120は、油圧ショベル100のシステム全体の制御を行っており、操作レバーに応じた各油圧シリンダの制御や後述する軌跡制御も行っている。
図5(a)および図5(b)に示すように、コントローラ120には、インバータ191A,191Bと、蓄電装置193A,193Bとが接続されている。インバータ191A,191Bは、直流電力を交流電力に、または、交流電力を直流電力に変換する電力変換装置である。インバータ191A,191Bは、蓄電装置193A,193Bに接続されている。蓄電装置193A,193Bは、コントローラ120からの信号に応じて放電する。蓄電装置193A,193Bは、図示しない電力源により、あるいは、インバータ191A,191Bで変換された直流電力により充電される。
電動機190A,190Bは、インバータ191A,191Bで変換された三相交流電力により駆動されて回転トルクを発生する。また、電動機190A,190Bは、フロント作業装置103が自重により降下し、油圧ポンプ130A,130Bが油圧モータとして動作したときに、三相交流電力を発生する発電機として機能する。
コントローラ120からの制御信号に応じてインバータ191A,191Bが制御されることで、電動機190A,190Bが正転方向または逆転方向に回転する。
コントローラ120には、ブーム操作レバー149、アーム操作レバー159およびバケット操作レバー169のそれぞれの操作量、操作方向を検出する操作量センサ149s,159s,169sが接続されている。なお、各操作レバーは個別に設けてもよいし、単一の操作レバーによって2つの腕部材を操作できるように構成してもよい。たとえば、ブーム操作レバー149とバケット操作レバー169の機能を単一の操作レバーが備えるようにしてもよい。
コントローラ120の記憶装置には、ブーム操作レバー149の操作量の増加にしたがって大きくなる電動機190Bの目標電動機回転速度の特性がルックアップテーブル形式で記憶されている。コントローラ120は、ブーム操作レバー149が操作されると、電動機190Bの目標電動機回転速度の特性テーブルを参照し、操作量センサ149sで検出された操作量に応じた目標電動機回転速度を演算し、目標電動機回転速度信号をインバータ191Bに出力する。操作量センサ149sで下げ側の操作方向が検出されると、コントローラ120は、電動機190Bが正方向に回転するようにインバータ191Bを制御する。操作量センサ149sで上げ側の操作方向が検出されると、コントローラ120は、電動機190Bが逆方向に回転するようにインバータ191Bを制御する。
コントローラ120の記憶装置には、アーム操作レバー159の操作量の増加にしたがって大きくなる電動機190Aの目標電動機回転速度の特性がルックアップテーブル形式で記憶されている。コントローラ120は、アーム操作レバー159が操作されると、電動機190Aの目標電動機回転速度の特性テーブルを参照し、操作量センサ159sで検出された操作量に応じた目標電動機回転速度を演算し、目標電動機回転速度信号をインバータ191Aに出力する。操作量センサ159sで下げ側の操作方向が検出されると、コントローラ120は、電動機190Aが正方向に回転するようにインバータ191Aを制御する。操作量センサ159sで上げ側の操作方向が検出されると、コントローラ120は、電動機190Aが逆方向に回転するようにインバータ191Aを制御する。
コントローラ120の記憶装置には、バケット操作レバー169の操作量の増加にしたがって大きくなる制御電流の特性がルックアップテーブル形式で記憶されている。コントローラ120は、バケット操作レバー169が操作されると、制御電流の特性テーブルを参照し、操作量センサ169sで検出された操作量に応じた制御電流を演算し、操作量センサ169sで検出された操作方向に対応するソレノイドに制御電流を出力する。この制御電流により方向制御弁166のスプールが動作し、バケットシリンダ160への圧油の流量が方向制御弁166により調整されて、バケットシリンダ160が駆動される。
コントローラ120には、電動機速度センサ174A,174B(図5参照)と、エンジン速度センサ194(図5参照)と、ブーム角度センサ171(図2参照)と、アーム角度センサ172(図2参照)と、ストロークセンサ173(図2参照)と、が接続され、各センサからの信号がコントローラ120に入力される。
電動機速度センサ174Aは、電動機190Aの実回転速度を検出して、実電動機回転速度信号をコントローラ120に出力する。コントローラ120は、電動機190Aの目標電動機回転速度信号と実電動機回転速度信号との偏差を求め、この偏差に基づき実電動機回転速度が目標電動機回転速度に一致するように、電動機190Aの目標トルクを求める。コントローラ120から目標トルク信号がインバータ191Aに出力されると、インバータ191Aは電動機190Aの出力トルクが目標トルクとなるように電動機190Aを制御する。
同様に、電動機速度センサ174Bは、電動機190Bの実回転速度を検出して、実電動機回転速度信号をコントローラ120に出力する。コントローラ120は、電動機190Bの目標電動機回転速度信号と実電動機回転速度信号との偏差を求め、この偏差に基づき実電動機回転速度が目標電動機回転速度に一致するように、電動機190Bの目標トルクを求める。コントローラ120から目標トルク信号がインバータ191Bに出力されると、インバータ191Bは電動機190Bの出力トルクが目標トルクとなるように電動機190Bを制御する。
コントローラ120は、操作量センサ159sに基づいてアーム操作レバー159の操作がなされたか否かを判定する。アーム操作レバー159が操作されていると判定された場合、コントローラ120は保持弁133Aを開位置に切り換える切換信号を保持弁133Aに出力する。アーム操作レバー159が操作されていないと判定された場合、コントローラ120は保持弁133Aを閉位置に切り換える切換信号を保持弁133Aに出力する。
同様に、コントローラ120は、操作量センサ149sに基づいてブーム操作レバー149の操作がなされたか否かを判定する。ブーム操作レバー149が操作されていると判定された場合、コントローラ120は保持弁133Bを開位置に切り換える切換信号を保持弁133Bに出力する。ブーム操作レバー149が操作されていないと判定された場合、コントローラ120は保持弁133Bを閉位置に切り換える切換信号を保持弁133Bに出力する。
エンジン速度センサ194は、エンジン190Eの実回転速度を検出して、実回転速度信号をコントローラ120に出力する。コントローラ120は、図示しない回転速度設定ダイヤルからの信号に応じて目標回転速度を設定し、目標回転速度信号をエンジンコントローラ195に出力する。エンジンコントローラ195は、エンジン速度センサ194で検出された実エンジン回転速度と、コントローラ120からの目標エンジン回転速度とを比較して、実エンジン回転速度を目標エンジン回転速度に近づけるために燃料噴射装置(不図示)を制御する。
図2に示すように、ブーム角度センサ171は、ブーム104の基端部に設けられ、旋回体102に対するブーム104の角度を検出して、ブーム角度信号をコントローラ120に出力する。アーム角度センサ172は、ブーム104の先端部に設けられ、ブーム104に対するアーム105の角度を検出して、アーム角度信号をコントローラ120に出力する。ストロークセンサ173は、バケットシリンダ160に設けられ、バケットシリンダ160のロッドのストローク量を検出して、ストローク信号をコントローラ120に出力する。
コントローラ120は、ストロークセンサ173からのストローク信号に基づいて、バケットシリンダ160の回動速度を演算する。
コントローラ120は、位置演算部121と、目標軌跡設定部122と、軌跡制御部123とを機能的に備える。位置演算部121は、フロント作業装置103を構成する各腕部材であるブーム104、アーム105およびバケット106の位置を演算する。コントローラ120の記憶装置には、各腕部材および旋回体102、走行体101の各部寸法の情報が記憶されている。コントローラ120は、各部の寸法と、ブーム角度センサ171、アーム角度センサ172およびストロークセンサ173で検出した情報を用いてバケット106の先端Pbを含む各腕部材の所定位置を演算する。
目標軌跡設定部122は、バケット106の先端Pbの目標軌跡の設定演算を行う。目標軌跡の設定の一例を説明する。図1に示すように、オペレータがバケット106の先端Pbを第1の位置P1に配置し、位置設定スイッチ(不図示)を操作するとともに深さ設定スイッチ(不図示)により掘削深さh1の数値を入力すると、目標軌跡設定部122は第1の位置P1から掘削深さh1だけ離れた位置を第1設定点P1Tとして記憶装置に記憶させる。オペレータがバケット106の先端Pbを第1の位置P1とは異なる第2の位置P2に配置し、位置設定スイッチ(不図示)を操作するとともに深さ設定スイッチ(不図示)により掘削深さh2の数値を入力すると、目標軌跡設定部122は第2の位置P2から掘削深さh2だけ離れた位置を第2設定点P2Tとして記憶装置に記憶させる。なお、第1設定点P1Tは、基準位置である旋回中心点BPからの水平方向距離X1と、旋回中心点BPからの鉛直方向距離Y1とで特定され、記憶装置に記憶される。同様に、第2設定点P2Tは、基準位置である旋回中心点BPからの水平方向距離X2と、旋回中心点BPからの鉛直方向距離Y2とで特定され、記憶装置に記憶される。
目標軌跡設定部122は、第1の位置P1から深さh1だけ下方に位置した第1設定点P1Tと、第2の位置P2から深さh2だけ下方に位置した第2設定点P2Tとを結んだ直線式を計算して、目標軌跡線TLとして設定する。
軌跡制御部123は、バケット106の先端Pbが目標軌跡線TLに沿って動くように、ブーム104およびアーム105の目標速度を演算する。なお、バケット操作レバー169が操作されている場合、軌跡制御部123は、バケット106の回動速度も加味して、ブーム104およびアーム105の目標速度を演算する。
コントローラ120は、ブーム104の目標速度に応じて、電動機190Bの目標電動機回転速度を演算し、目標電動機回転速度と実電動機回転速度との偏差を求め、偏差に基づき電動機190Bの目標トルクを求める。コントローラ120は、アーム105の目標速度に応じて、電動機190Aの目標電動機回転速度を演算し、目標電動機回転速度と実電動機回転速度との偏差を求め、偏差に基づき電動機190Aの目標トルクを求める。
図6は、コントローラ120により実行される軌跡制御プログラムによる処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、図示しない軌跡制御スイッチのONにより開始され、所定の制御周期ごとにステップS111以降の処理が繰り返し実行され、軌跡制御スイッチのOFFにより終了する。
図6に示すように、ステップS111において、各種情報を取得し、ステップS121へ進む。ステップS111で取得される各種情報には、ブーム角度センサ171で検出されたブーム角度、アーム角度センサ172で検出されたアーム角度、ストロークセンサ173で検出されたバケットシリンダ160のストローク量の情報が含まれる。また、ステップS111で取得される各種情報には、電動機速度センサ174A,174Bで検出された電動機190A,190Bの実電動機回転速度およびバケット操作レバー169の操作量の情報が含まれる。
ステップS121において、コントローラ120は、ステップS111で取得したバケットシリンダ160のストローク量の情報に基づいてバケット回動速度を演算して、ステップS131へ進む。バケット回動速度は、たとえば、ステップS111で取得したストローク量と、1制御周期前のステップS111で取得したストローク量との差から演算される。
ステップS131において、コントローラ120は、ステップS111で取得したブーム角度、アーム角度およびバケットシリンダ160のストローク量に基づいて、ブーム104、アーム105およびバケット106の位置を演算して、ステップS141へ進む。なお、演算された複数の所定位置の内の一つは、バケット106の先端Pbの位置である。
ステップS141において、コントローラ120は、演算されたバケット106の先端Pbの位置から目標軌跡線TLに対して垂線を下ろし、垂線距離、すなわちバケット106の先端Pbから垂線の足までの距離を演算して、ステップS151へ進む。
ステップS151において、コントローラ120は、垂線距離が0に近づくように、ブーム104およびアーム105の目標速度を演算して、ステップS161へ進む。なお、ステップS111においてバケット操作レバー169の操作量が検出された場合、コントローラ120は、ステップS121で演算されたバケット106の回動速度も加味して、ブーム104およびアーム105の目標速度を演算する。ステップS161において、コントローラ120は、ブーム104の目標速度に基づいて電動機190Bの目標電動機回転速度を演算し、アーム105の目標速度に基づいて電動機190Aの目標電動機回転速度を演算して、ステップS171へ進む。
ステップS171において、コントローラ120は、ステップS161で演算された電動機190Aの目標電動機回転速度と、ステップS111で取得した電動機190Aの実電動機回転速度との偏差に基づいて、電動機190Aの目標トルクを演算し、この目標トルクに対応する制御信号をインバータ191Aに出力する。
同様に、コントローラ120は、ステップS161で演算された電動機190Bの目標電動機回転速度と、ステップS111で取得した電動機190Bの実電動機回転速度との偏差に基づいて、電動機190Bの目標トルクを演算し、この目標トルクに対応する制御信号をインバータ191Bに出力する。
コントローラ120は、ステップS171の処理を実行すると、ステップS111に戻る。
第1の実施の形態に係る油圧ショベルの主要な動作をまとめると次のようになる。
<操作レバーの操作量に応じた手動動作>
フロント作業装置が停止しているときには、図5に示す保持弁133A,133Bが閉位置に切り換えられている。オペレータがアーム操作レバー159を下げ側に操作すると、操作量に応じて電動機190Aが下げ側(正方向)に回転するとともに、保持弁133Aが開位置に切り換わる。油圧ポンプ130Aが正転し、油圧ポンプ130Aから吐出された圧油が上側アームシリンダ150Uのボトム側油室153および下側アームシリンダ150Lのロッド側油室154に供給される。これにより、上側アームシリンダ150Uが伸長し、下側アームシリンダ150Lが収縮して、アーム105がブーム104に対して下方に回動する(図4(b)→図4(a)参照)。
オペレータがアーム操作レバー159を上げ側に操作すると、操作量に応じて電動機190Aが上げ側(逆方向)に回転するとともに、保持弁133Aが開位置に切り換わる。油圧ポンプ130Aが逆転し、油圧ポンプ130Aから吐出された圧油が上側アームシリンダ150Uのロッド側油室154および下側アームシリンダ150Lのボトム側油室153に供給される。これにより、上側アームシリンダ150Uが収縮し、下側アームシリンダ150Lが伸長して、アーム105がブーム104に対して上方に回動する(図4(a)→図4(b)参照)。
ブーム104の動作は、アーム105の動作と同様であり、ブーム操作レバー149の操作方向および操作量に応じて、電動機190Bが回転することでブーム104が回動する。
<軌跡制御による全自動、半自動動作>
オペレータは、各腕部材用の操作レバーを操作して、図1に示すように、バケット106の先端Pbを第1の位置P1と第2の位置P2に順番に配置し、それぞれの位置で位置設定スイッチ(不図示)を操作し、その位置での掘削深さh1,h2の数値を深さ設定スイッチ(不図示)により入力する。これにより、コントローラ120によって目標軌跡線TLが設定され、記憶装置に記憶される。
オペレータは、フロント作業装置の各操作レバーを操作して、たとえばバケット106の先端Pbの位置を第1の位置P1の近傍に配置し、軌跡制御開始スイッチを操作する。バケット106の先端Pbが目標軌跡線TLに近づくように、ブーム104およびアーム105が動作し、図7に示すように、バケット106の先端Pbが目標軌跡線TLに沿うように移動することで斜面が掘削される。オペレータがバケット操作レバー169を操作しない場合、ブーム104およびアーム105が自動的に動作される(全自動動作)。
軌跡制御運転中、オペレータはバケット操作レバー169によりバケット106を回動させることができる。バケット106が回動する場合、コントローラ120はバケット操作レバー169の操作量を加味して、ブーム104およびアーム105の目標速度を演算する。つまり、オペレータがバケット操作レバー169を操作する場合、バケット106はバケット操作レバー169の操作量に応じて回動し、ブーム104およびアーム105は、バケット106の先端Pbの位置が目標軌跡線TLに沿って移動するように、自動的に動作される(半自動動作)。
<動力回収動作>
オペレータがアーム操作レバー159やブーム操作レバー149を下げ側に操作すると、保持弁133A,133Bは開位置に切り換えられる。本実施の形態では、操作量センサ149s,159sで検出された操作量が所定値未満の場合には、コントローラ120は電動機190A,190Bに目標トルク信号を与えず、アーム105およびブーム104を自重で下方に回動するように構成されている。アーム105、ブーム104が自重で下方に回動すると、油圧ポンプ130A,130Bが油圧モータとして動作する。このとき電動機190A,190Bを発電機として動作させることで、蓄電装置193A,193Bを充電することができる。
以上説明した第1の実施の形態によれば、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)上側アームシリンダ150Uが一の伸縮方向に動作するとき、下側アームシリンダ150Lが他の伸縮方向に動作するように構成した。同様に、一対の上側ブームシリンダ140Uが一の伸縮方向に動作するとき、一対の下側ブームシリンダ140Lが他の伸縮方向に動作するように構成した。このように、本実施の形態では、一の腕部材の動作方向に対して、互いに異なる伸縮方向に動作することで当該腕部材を駆動する少なくとも2つの油圧シリンダを備えた。
これにより、絞りやリリーフ弁等により圧油量の大幅な調整を行うことなく、油圧シリンダを油圧ポンプ130A,130Bに閉回路接続できる。腕部材の動作方向に対して、単一の油圧シリンダ、あるいは互いに同じ伸縮方向に動作する複数の油圧シリンダを備える油圧ショベルに比べて、絞りやリリーフ弁等での圧力損失の発生および圧油量の消費を抑えることができる。
(2)従来、開回路方式の油圧回路では、メータリング特性を有する方向制御弁により油圧シリンダに供給される圧油量を調整している。このため、フロント作業装置に対する負荷の影響で油圧シリンダの圧力が変化すると、圧油量が変化して油圧シリンダの動作速度が変化するため、正確な制御が困難であった。
これに対して、本実施の形態では、油圧シリンダ150U,150L,140U,140Lを油圧ポンプ130A,130Bに閉回路接続し、油圧ポンプ130A,130Bから吐出される圧油の方向および流量を、方向制御弁を用いずに制御することができる。このため、フロント作業装置に対する負荷が油圧シリンダの動作速度に与える影響を小さくでき、従来に比べて正確な制御を行うことができる。ブーム104およびアーム105を手動で操作する場合や、軌跡制御によりブーム104およびアーム105が自動で動作される場合に腕部材が精密に動作するため、作業効率が向上する。
(3)メータリング特性を有する方向制御弁を有する油圧回路では、ハーフ操作時に無駄な絞り損失が発生する。これに対して、本実施の形態では、メータリング特性を有する方向制御弁を用いずに、電動機190A,190Bの回転方向と回転速度とを制御することで油圧シリンダ150U,150L,140U,140Lに供給される圧油量を制御できるため、従来のような絞り損失が発生することがない。
(4)油圧ポンプ130A,130Bの駆動源には電動機190A,190Bを用いた。電動機190A,190Bの回転速度は、コントローラ120からの制御信号に応じて動作するインバータ191A,191Bによって制御するようにした。コントローラ120からの制御信号に応じて、インバータ191A,191Bにより電動機190A,190Bの回転方向を制御するようにした。電動機190A,190Bは、エンジンに比べて応答性がよいため、エンジンで油圧ポンプ130A,130Bの回転速度を制御する場合に比べて、圧油量の制御を精密に行うことができる。
(5)油圧ポンプ130Aと油圧シリンダ150U,150Lとの間の圧油の流れを遮断する保持弁133Aを設け、油圧ポンプ130Bと油圧シリンダ140U,140Lとの間の圧油の流れを遮断する保持弁133Bを設けた。これにより、操作レバーの非操作時において、油圧回路の圧力を維持して、フロント作業装置の姿勢を確実に保持することができる。
―第2の実施の形態―
図8および図9を参照して第2の実施の形態に係る油圧駆動装置について説明する。図中、第1の実施の形態と同一または相当部分には同一符号を付し、相違点について主に説明する。図8は本発明の第2の実施の形態に係る油圧駆動装置の構成を示す図である。
第1の実施の形態では、油圧ポンプ130Aが固定容量型の双方向回転ポンプとされ、コントローラ120とインバータ191Aとで電動機190Aの回転方向と回転速度を制御することで、アームシリンダ150U,150Lのそれぞれに供給される圧油の方向および流量を制御する構成とされていた。
これに対して、第2の実施の形態では、油圧ポンプ230Aが押しのけ容積qを変更できる可変容量型の双方向回転ポンプとされている。油圧ポンプ230Aの押しのけ容積qは、容積制御装置235により制御される。すなわち、第2の実施の形態では、コントローラ220とインバータ191Aとで電動機190Aの回転方向と回転速度を制御するとともに、コントローラ220と容積制御装置235とで油圧ポンプ230Aの押しのけ容積qを制御することで、アームシリンダ150U,150Lのそれぞれに供給される圧油の方向および流量を制御する構成とされている。
図9(a)はアーム操作レバー159の操作量Lと押しのけ容積qとの関係を示す図であり、図9(b)はアーム操作レバー159の操作量Lと電動機190Aの目標回転速度との関係を示す図である。
コントローラ220の記憶装置には、図9(a)に示すように、アーム操作レバー159の操作量Lが0〜最大操作量Lmaxの範囲で操作量Lの増加にしたがって大きくなる押しのけ容積の特性がルックアップテーブル形式で記憶されている。この特性では、操作量Lが0以上閾値L1以下の範囲で押しのけ容積qは最小容積qminとなり、操作量LがL1〜L2の範囲では押しのけ容積qは操作量Lの増加に応じて増加し、閾値L2以上で押しのけ容積qは最大容積qmaxとなる。
コントローラ220は、アーム操作レバー159が操作されると、押しのけ容積の特性テーブルを参照し、操作量センサ159sで検出された操作量Lに応じた押しのけ容積qを演算し、容積制御信号を容積制御装置235に出力する。容積制御装置235は、コントローラ220からの容積制御信号に基づいて、油圧ポンプ230Aの押しのけ容積qを制御する。
コントローラ220の記憶装置には、図9(b)に示すように、アーム操作レバー159の操作量Lが0〜最大操作量Lmaxの範囲で操作量Lの増加にしたがって大きくなる目標電動機回転速度の特性がルックアップテーブル形式で記憶されている。コントローラ220は、アーム操作レバー159が操作されると、目標電動機回転速度の特性テーブルを参照し、操作量センサ159sで検出された操作量に応じた目標電動機回転速度を演算し、目標電動機回転速度信号をインバータ191Aに出力する。インバータ191Aは、コントローラ220からの目標電動機回転速度信号に基づいて、電動機190Aの回転速度を制御する。
このような第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の作用効果に加え、次の作用効果を奏する。
(6)電動機190Aの回転方向と回転速度を制御するとともに、油圧ポンプ230Aの押しのけ容積qを制御することで、アームシリンダ150U,150Lのそれぞれに供給される圧油の方向および流量を制御するようにした。これにより、アーム105の動作速度の制御性を向上することができる。たとえば、操作量LがL1以下では押しのけ容積qが最小容積qminに制御されるので、操作量LがL1より大きいときに比べて、操作量Lの変化量に対するポンプ吐出量の変化量を小さくすることができ、精密にアーム105の動作を制御することができる。
なお、上述では、アーム105の動作を制御するアーム制御装置を例に説明したが、ブーム104の動作を制御するブーム制御装置も同様の構成とすることができる。
―第3の実施の形態―
図10を参照して第3の実施の形態に係る油圧駆動装置について説明する。図中、第1の実施の形態と同一または相当部分には同一符号を付し、相違点について主に説明する。図10は本発明の第3の実施の形態に係る油圧駆動装置の構成を示す図である。
第1の実施の形態では、油圧ポンプ130Aが固定容量型の双方向回転ポンプとされ、コントローラ120とインバータ191Aとで電動機190Aの回転方向と回転速度を制御することで、アームシリンダ150U,150Lのそれぞれに供給される圧油の方向および流量を制御する構成とされていた。
これに対して、第3の実施の形態では、電動機390Aが一方向にしか回転しない構成とされている。第3の実施の形態では、油圧ポンプ330Aは、両傾転型の可変容量ポンプであり、傾転角を変化させることで押しのけ容積を調整できる斜板式あるいは斜軸式の油圧ポンプである。第3の実施の形態では、油圧ポンプ330Aの傾転角を制御することで、アームシリンダ150U,150Lのそれぞれに供給される圧油の方向が制御され、油圧ポンプ330Aの傾転角と電動機390Aの回転速度を制御することで、アームシリンダ150U,150Lのそれぞれに供給される圧油の流量が制御される。
油圧ポンプ330Aの傾転角は、操作量センサ159sで検出されたアーム操作レバー159の操作方向および操作量に応じてコントローラ320から出力される制御信号に応じて動作する傾転制御装置335により制御される。傾転制御装置335は、アーム操作レバー159が下げ側に操作されると、油圧ポンプ330Aの傾転角を操作量に応じた角度+αに制御する。これにより、油圧ポンプ330Aの吐出ポートから吐出された圧油が第1管路Laを介してシリンダ側回路HC11に圧油が供給され、第2管路Lbを介して油圧ポンプ330Aの吸い込みポートに圧油が戻る。一方、傾転制御装置335は、アーム操作レバー159が上げ側に操作されると、油圧ポンプ330Aの傾転角を操作量に応じた角度−αに制御する。これにより、油圧ポンプ330Aの上記の吐出ポートと吸い込みポートとが逆になり、上記の吸い込みポートから吐出された圧油が第2管路Lbを介してシリンダ側回路HC11に圧油が供給され、第1管路Laを介して油圧ポンプ330Aの上記の吐出ポートに圧油が戻る。
第3の実施の形態では、アームシリンダ150U,150Lのそれぞれに供給される圧油の方向を逆転させるように油圧ポンプ330Aの傾転角を変化させる傾転角制御装置335を備えている。このような第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏する。
なお、上述では、アーム105の動作を制御するアーム制御装置を例に説明したが、ブーム104の動作を制御するブーム制御装置も同様の構成とすることができる。
―第4の実施の形態―
図11を参照して第4の実施の形態に係る油圧駆動装置について説明する。図中、第1および第3の実施の形態と同一または相当部分には同一符号を付し、相違点について主に説明する。図11は本発明の第4の実施の形態に係る油圧駆動装置の構成を示す図である。
第1の実施の形態では、油圧ポンプ130Aが固定容量型の双方向回転ポンプとされ、コントローラ120とインバータ191Aとで電動機190Aの回転方向と回転速度を制御することで、アームシリンダ150U,150Lのそれぞれに供給される圧油の方向および流量を制御する構成とされていた。
これに対して、第4の実施の形態では、電動機390Aが第3の実施の形態と同様に一方向にしか回転しない構成とされている。第4の実施の形態では、油圧ポンプ430Aが固定容量型の一方向回転ポンプとされ、第1の実施の形態の保持弁133Aに代えて方向切換弁433Aが設けられている。方向切換弁433Aは、中立位置(N)、上げ側位置(R)および下げ側位置(D)の3位置で切り換え可能な電磁式切換弁であり、中立位置(N)と上げ側位置(R)との中間位置や、中立位置(N)と下げ側位置(D)との中間位置で使用されるものではない。
コントローラ420は、操作量センサ159sで検出された操作量に基づいて、アーム操作レバー159が上げ側に操作されたか、下げ側に操作されたか、または、操作がされていないかを判定する。アーム操作レバー159が操作されていないと判定された場合、コントローラ420から制御電流は出力されず、方向切換弁433Aはばねの付勢力により中立位置(N)に切り換えられる。アーム操作レバー159が上げ側に操作されていることが判定されると、コントローラ420から方向切換弁433Aのソレノイドに制御電流が出力され、方向切換弁433Aが上げ側位置(R)に切り換わる。アーム操作レバー159が下げ側に操作されていることが判定されると、コントローラ420から方向切換弁433Aのソレノイドに制御電流が出力され、方向切換弁433Aが下げ側位置(D)に切り換わる。
方向切換弁433Aが中立位置(N)に切り換えられると、油圧ポンプ430Aとアームシリンダ150U,150Lとの間の圧油の流れが遮断される。方向切換弁433Aが上げ側位置(R)に切り換えられると、油圧ポンプ430Aから吐出された圧油は、上側アームシリンダ150Uのロッド側油室154と、下側アームシリンダ150Lのボトム側油室153のそれぞれに供給され、上側アームシリンダ150Uのボトム側油室153と、下側アームシリンダ150Lのロッド側油室154のそれぞれから排出された圧油が油圧ポンプ130Aに戻る。これにより、アーム105が上方に回動する。
方向切換弁433Aが下げ側位置(D)に切り換えられると、油圧ポンプ430Aから吐出された圧油は、上側アームシリンダ150Uのボトム側油室153と、下側アームシリンダ150Lのロッド側油室154のそれぞれに供給され、上側アームシリンダ150Uのロッド側油室154と、下側アームシリンダ150Lのボトム側油室153のそれぞれから排出された圧油が油圧ポンプ130Aに戻る。これにより、アーム105が下方に回動する。
このような第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏する。
なお、上述では、アーム105の動作を制御するアーム制御装置を例に説明したが、ブーム104の動作を制御するブーム制御装置も同様の構成とすることができる。
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
(変形例1)
上述した実施の形態では、アーム105を動作させる油圧シリンダを一対設け、ブーム104を動作させる油圧シリンダを二対設けるようにしたが、本発明はこれに限定されない。ブーム104を動作させる油圧シリンダを上下各1本としてもよい。また、一の腕部材を動作させる油圧シリンダを3つ設けるようにしてもよい。大径の油圧シリンダを1つ、小径の油圧シリンダを2つ設け、大径の油圧シリンダの伸縮方向と、小径の油圧シリンダの伸縮方向とを互いに異なるように動作させる構成とすることもできる。この場合、大径の油圧シリンダへ供給される圧油量と、小径の各油圧シリンダから排出される圧油量の合計、ならびに、大径の油圧シリンダから排出される圧油量と、小径の各油圧シリンダへ供給される圧油量の合計との差ができるだけ小さくなるように大径および小径の油圧シリンダのサイズや取付け位置を設定すればよい。
(変形例2)
上述した実施の形態では、上側アームシリンダ150Uと下側アームシリンダ150Lを同一の油圧シリンダとし、上側ブームシリンダ140Uと下側ブームシリンダ140Lとを同一の油圧シリンダとしたが、本発明はこれに限定されない。油圧シリンダの取付け位置に応じて、互いに異なる伸縮方向に動作する油圧シリンダのそれぞれのロッド外径やシリンダチューブ内径等を変更してもよい。
一方に動作する油圧シリンダへ供給される圧油量と、他方に動作する油圧シリンダから排出される圧油量とをできるだけ近づけるように、取付位置や油圧シリンダのサイズを設定すればよい。たとえば、図3において、上側アームシリンダ150Uのロッド側油室154、ボトム側油室153の受圧面積が、それぞれ下側アームシリンダ150Lのロッド側油室154、ボトム側油室153の受圧面積のN倍の場合は、a1:a2=1:Nにすることにより、下側アームシリンダ150Uの作動速度が上側アームシリンダ150Uの作動速度のN倍となるようにする。
具体的には、下側アームシリンダ150Lのロッド側油室154およびボトム側油室153の受圧面積が、上述した実施形態と同じ(等倍)であり、上側アームシリンダ150Uのロッド側油室154およびボトム側油室153の受圧面積が、上述した実施形態のN倍とする。距離a1は上述した実施形態と同じ(等倍)であり、距離a2が上述した実施形態のN倍とする。
この場合、式(6)〜(9)は、本変形例では、以下の式(6b)〜(9b)のようになる。
Qi1=(N×Ar)×V1 ・・・(6b)
Qo1=(N×Ab)×V1 ・・・(7b)
Qi2=Ab×(N×V2) ・・・(8b)
Qo2=Ar×(N×V2) ・・・(9b)
式(6b)〜(9b)により、上側アームシリンダ150Uおよび下側アームシリンダ150Lのそれぞれへ供給される圧油量の合計(Qi1+Qi2)と、上側アームシリンダ150Uおよび下側アームシリンダ150Lのそれぞれから排出される圧油量の合計(Qo1+Qo2)との差は、以下の式(10b)によって表される。
(Qo1+Qo2)−(Qi1+Qi2)=π/4×d×N×(V1−V2)
・・・(10b)
第1の実施の形態で説明したように、V1とV2とはほぼ同じである(V1≒V2)から、アームシリンダ150U,150Lへ供給される圧油量と、アームシリンダ150U,150Lから排出される圧油量との差は、ほぼ0となる。
(変形例3)
上述した実施の形態では、軌跡制御部123が、バケット106の先端Pbが目標軌跡線TLに沿って動くように、ブーム104およびアーム105の目標速度を演算する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。目標速度を演算して腕部材を制御することに代えて、目標加速度を演算して腕部材を制御してもよい。また、目標速度および目標加速度を演算して腕部材を制御してもよい。
(変形例4)
上述した実施の形態では、軌跡制御部123が、バケット回動速度を加味して、ブーム104およびアーム105の目標速度を演算する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。つまり、バケット操作レバー169が操作されている場合であっても、バケット回動速度を考慮せずに、ブーム104およびアーム105の目標速度を演算してもよい。
(変形例5)
第2の実施の形態では、アーム操作レバー159の操作量Lに応じて押しのけ容積qを制御する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。軌跡制御処理を実行する際に設定されるアーム105の目標速度、あるいは、電動機190Aの目標電動機回転速度に応じて押しのけ容積qを制御するようにしてもよい。
(変形例6)
第3の実施の形態では、原動機に電動機を用いる例について説明したが本発明はこれに限定されない。第3の実施の形態における電動機390Aに代えて、エンジンを用いるようにしてもよい。
(変形例7)
上記した実施の形態では、ブーム104の動作方向に対して、互いに異なる伸縮方向に動作することでブーム104を駆動する少なくとも2つの油圧シリンダを備え、アーム105の動作方向に対して、互いに異なる伸縮方向に動作することでアーム105を駆動する少なくとも2つの油圧シリンダを備える例について説明したが本発明はこれに限定されない。ブーム104およびアーム105のいずれか一方にのみ、腕部材の動作方向に対して、互いに異なる伸縮方向に動作することで当該腕部材を駆動する少なくとも2つの油圧シリンダを備えるようにしてもよい。
(変形例8)
バケット106の動作方向に対して、互いに異なる伸縮方向に動作することでバケット106を駆動する少なくとも2つの油圧シリンダを備えるようにしてもよい。
(変形例9)
上記した実施の形態では、油圧シリンダと油圧ポンプとの間に保持弁133A,133Bを設ける例について説明したが、保持弁133A,133Bは省略することもできる。
(変形例10)
上記した実施の形態では、油圧ショベルに本発明を適用した例について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、ホイールショベル、ホイールローダ、クレーンなど、油圧シリンダを備える種々の建設機械の油圧駆動装置に適用することができる。また、建設機械に限定されることもなく、ロボットのアーム等、油圧シリンダによって作業腕を構成する腕部材の動作を制御する種々の油圧駆動装置に適用することができる。
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。
100 油圧ショベル、101 走行体、102 旋回体、103 フロント作業装置、104 ブーム、105 アーム、106 バケット、107 運転室、108 機械室、109 カウンタウエイト、120 コントローラ、121 位置演算部、122 目標軌跡設定部、123 軌跡制御部、130A 油圧ポンプ、130B 油圧ポンプ、131 第1油路、132 第2油路、133A 保持弁、133B 保持弁、140L 下側ブームシリンダ、140U 上側ブームシリンダ、141 第1油路、142 第2油路、143 ボトム側油室、144 ロッド側油室、149 ブーム操作レバー、149s 操作量センサ、150L 下側アームシリンダ、150U 上側アームシリンダ、151 シリンダチューブ、152 ロッド、153 ボトム側油室、154 ロッド側油室、159 アーム操作レバー、159s 操作量センサ、160 バケットシリンダ、161 第1油路、162 第2油路、163 ボトム側油室、164 ロッド側油室、165 油圧ポンプ、166 方向制御弁、169 バケット操作レバー、169s 操作量センサ、171 ブーム角度センサ、172 アーム角度センサ、173 ストロークセンサ、174A 電動機速度センサ、183A オーバーロードリリーフ弁、185a 第1リリーフ弁、185b 第2リリーフ弁、186a 第1逆流防止弁、186b 第2逆流防止弁、188 チャージポンプ用リリーフ弁、189 チャージポンプ、190A 電動機、190B 電動機、190E エンジン、191A インバータ、191B インバータ、193A 蓄電装置、194 エンジン速度センサ、195 エンジンコントローラ、220 コントローラ、230A 油圧ポンプ、235 容積制御装置、320 コントローラ、330A 油圧ポンプ、335 傾転制御装置、390A 電動機、391A インバータ、420 コントローラ、430A 油圧ポンプ、433A 方向切換弁

Claims (9)

  1. 作業腕を構成する腕部材の動作を制御する油圧駆動装置であって、
    原動機と、
    前記原動機により駆動される油圧ポンプと、
    前記油圧ポンプに閉回路接続され、前記油圧ポンプから吐出される圧油により駆動され、一の腕部材の動作方向に対して、互いに異なる伸縮方向に動作することで前記一の腕部材を駆動する少なくとも2つの油圧シリンダと、
    前記油圧ポンプから前記少なくとも2つの油圧シリンダのそれぞれに供給される圧油の方向および流量を制御する流れ制御装置とを備える油圧駆動装置。
  2. 請求項1に記載の油圧駆動装置において、
    前記2つの油圧シリンダは、それぞれ片ロッドシリンダであり、
    前記2つの油圧シリンダのうち、一方の油圧シリンダのロッド側と、他方の油圧シリンダのボトム側とを接続する第1油路と、前記一方の油圧シリンダのボトム側と、前記他方の油圧シリンダのロッド側とを接続する第2油路とを含む油圧回路を備え、
    前記油圧回路には、前記油圧ポンプへの戻り側油路が接続されている油圧駆動装置。
  3. 請求項1または2に記載の油圧駆動装置において、
    前記原動機は、電動機であり、
    前記流れ制御装置は、前記電動機の回転方向と回転速度を制御する電動機制御装置を含んで構成される油圧駆動装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の油圧駆動装置において、
    前記油圧ポンプは、両傾転型の可変容量ポンプであり、
    前記流れ制御装置は、前記2つの油圧シリンダのそれぞれに供給される圧油の方向を逆転させるように前記油圧ポンプの傾転角を変化させる傾転角制御装置を含んで構成される油圧駆動装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の油圧駆動装置において、
    前記油圧ポンプから吐出される圧油を、前記油圧ポンプの吐出側油路から前記油圧ポンプへの戻り側油路へリリーフするリリーフ手段を備える油圧駆動装置。
  6. 請求項5に記載の油圧駆動装置において、
    前記リリーフ手段と前記油圧ポンプへの戻り側油路との間に、前記リリーフ手段から前記戻り側油路への流れを許容する逆流防止弁が設けられている油圧駆動装置。
  7. 請求項1ないし6のいずれか一項に記載の油圧駆動装置において、
    前記作業腕は、ブームおよびアームを含んで構成され、
    前記一の腕部材は、少なくとも前記ブームおよび前記アームのいずれか一方である油圧駆動装置。
  8. 請求項1ないし7のいずれか一項に記載の油圧駆動装置において、
    前記油圧ポンプと前記油圧シリンダとの間の圧油の流れを遮断する保持弁を備える油圧駆動装置。
  9. 請求項1ないし8のいずれか一項に記載の油圧駆動装置において、
    前記作業腕の先端に設けられる作業機の所定部が予め設定された目標軌跡に沿って移動するように、前記流れ制御装置を制御することで前記腕部材の回動を制御する軌跡制御装置を備える油圧駆動装置。
JP2014069180A 2014-03-28 2014-03-28 油圧駆動装置 Pending JP2015190587A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014069180A JP2015190587A (ja) 2014-03-28 2014-03-28 油圧駆動装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014069180A JP2015190587A (ja) 2014-03-28 2014-03-28 油圧駆動装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015190587A true JP2015190587A (ja) 2015-11-02

Family

ID=54425240

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014069180A Pending JP2015190587A (ja) 2014-03-28 2014-03-28 油圧駆動装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2015190587A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017196681A (ja) * 2016-04-26 2017-11-02 川崎重工業株式会社 産業用ロボット
CN112297034A (zh) * 2020-11-10 2021-02-02 安徽省六安恒源机械有限公司 一种抓臂式清污机机器人液压控制***
WO2022168582A1 (ja) * 2021-02-03 2022-08-11 株式会社小松製作所 作業機械

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017196681A (ja) * 2016-04-26 2017-11-02 川崎重工業株式会社 産業用ロボット
CN112297034A (zh) * 2020-11-10 2021-02-02 安徽省六安恒源机械有限公司 一种抓臂式清污机机器人液压控制***
WO2022168582A1 (ja) * 2021-02-03 2022-08-11 株式会社小松製作所 作業機械
KR20230117225A (ko) 2021-02-03 2023-08-07 가부시키가이샤 고마쓰 세이사쿠쇼 작업 기계
DE112022000254T5 (de) 2021-02-03 2023-09-28 Komatsu Ltd. Arbeitsmaschine

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5044727B2 (ja) 油圧ショベル及び油圧ショベルの制御方法
JP6740132B2 (ja) ショベル
JP5984165B2 (ja) 作業機械の油圧制御装置
JP6328548B2 (ja) 作業機械
CN110392755B (zh) 液压式作业机械
JP6506146B2 (ja) 作業機械の油圧駆動装置
WO2013099710A1 (ja) 作業機械の動力回生装置および作業機械
JP6867551B2 (ja) 電動式油圧作業機械の油圧駆動装置
WO2017131189A1 (ja) ショベル
JPWO2016111205A1 (ja) 建設機械
WO2013027619A1 (ja) 油圧駆動システム
JP2019031989A (ja) 建設機械
JP6013503B2 (ja) 建設機械
JP6675871B2 (ja) ショベル
WO2017061220A1 (ja) 建設機械
JP2015190587A (ja) 油圧駆動装置
JP2008151211A (ja) 建設機械のエンジン始動システム
CN111587306B (zh) 回转式液压工程机械
JP5841421B2 (ja) 作業車両
JP7143775B2 (ja) 建設機械
KR102137127B1 (ko) 건설 기계
JPWO2015178316A1 (ja) ショベル及びその制御方法
JP6526410B2 (ja) ショベル
JP6149068B2 (ja) ハイブリッド作業機の制御システム
WO2016194935A1 (ja) ハイブリッド建設機械の制御システム