JP2015189233A - 光透過性積層フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】断熱性に優れるとともに金属酸化物薄膜の屈折率低下、密着性低下および経時でのクラック発生を抑えた光透過性積層フィルムおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】ポリオレフィンフィルム12の面上に、ゾル―ゲル法により形成された金属酸化物薄膜および金属薄膜が含まれる複数の薄膜が積層されてなる薄膜層14を有し、金属酸化物薄膜中の有機残渣量が0.13〜0.29g/gの範囲内である光透過性積層フィルムとする。金属酸化物薄膜の硬化率は、88%以上であること、金属酸化物薄膜を形成する金属酸化物前駆体に含まれるキレート化剤の量は、金属原子1モルに対して0.12〜0.32モルの範囲内であり、金属酸化物薄膜を形成する金属酸化物前駆体に照射される光エネルギーの光量は、100〜250mJ/cmの範囲内であることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、遮熱断熱性に優れる光透過性積層フィルムおよびその製造方法に関するものである。
ビル・住宅等の建築物の窓ガラスや自動車等の車両の窓ガラスなどには日射を遮蔽する目的で遮熱性を有する光透過性積層フィルムが施工されることがある。この種の光透過性積層フィルムとしては、透明高分子フィルムの面に金属酸化物薄膜と金属薄膜とが積層されたものなどが知られている。
特許第5363508号公報
光透過性積層フィルムにおいて、基材フィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)を用いると、基材フィルムが赤外線を吸収して断熱性が低下する問題がある。これに対し、赤外線を吸収しにくいポリオレフィンフィルムを基材フィルムとして用いると、PETフィルムと比べポリオレフィンフィルムは耐熱性に劣るため、金属酸化物薄膜を形成する際の熱によってシワが発生するおそれがある。この熱シワを抑えるために金属酸化物薄膜を形成する際の温度や照射する光エネルギーを低く抑えると、金属酸化物薄膜の屈折率および密着性が低下し、経時でクラックが発生する。
本発明が解決しようとする課題は、断熱性に優れるとともに金属酸化物薄膜の屈折率低下、密着性低下および経時でのクラック発生を抑えた光透過性積層フィルムおよびその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため本発明に係る光透過性積層フィルムは、ポリオレフィンフィルムの面上に、ゾル―ゲル法により形成された金属酸化物薄膜および金属薄膜が含まれる複数の薄膜が積層されてなる薄膜層を有し、前記金属酸化物薄膜中の有機残渣量が0.13〜0.29g/gの範囲内であることを要旨とするものである。
この場合、前記金属酸化物薄膜の硬化率は88%以上であることが好ましい。また、前記ポリオレフィンフィルムは二軸延伸ポリプロピレンフィルムであることが好ましい。そして、前記金属酸化物薄膜を形成する金属酸化物前駆体に含まれるキレート化剤の量は金属原子1モルに対して0.12〜0.32モルの範囲内であることが好ましい。また、前記金属酸化物薄膜を形成する金属酸化物前駆体に照射される光エネルギーの光量は100〜250mJ/cmの範囲内であることが好ましい。
そして、本発明に係る光透過性積層フィルムの製造方法は、ポリオレフィンフィルムの面上に、ゾルゲル硬化時に光エネルギーを用いるゾル―ゲル法により形成される金属酸化物薄膜および金属薄膜が含まれる複数の薄膜が積層されてなる薄膜層を形成する積層工程を有し、前記金属酸化物薄膜を形成する金属酸化物前駆体に含まれるキレート化剤の量が金属原子1モルに対して0.12〜0.32モルの範囲内であり、前記金属酸化物薄膜を形成する金属酸化物前駆体に照射される光エネルギーの光量が100〜250mJ/cmの範囲内であることを要旨とするものである。
本発明に係る光透過性積層フィルムによれば、薄膜層を形成する基材フィルムがポリオレフィンフィルムであり、PETフィルムを用いたものと比べて赤外線の吸収が抑えられるため、断熱性に優れる。そして、薄膜層の金属酸化物薄膜における有機残渣が少ないため、金属酸化物薄膜の屈折率低下、密着性低下および経時でのクラック発生が抑えられる。
この場合、金属酸化物薄膜の硬化率が88%以上であると、金属酸化物薄膜の経時でのクラック発生が抑えられやすい。これは、金属酸化物薄膜中に残存する金属酸化物前駆体の量が少ないため、残存する金属酸化物前駆体の経時での反応による硬化収縮が抑えられるためと推察される。
そして、ポリオレフィンフィルムが二軸延伸ポリプロピレンフィルムであると、力学特性や耐熱性に優れ、他のポリオレフィンフィルムよりも熱シワが発生しにくい。
そして、金属酸化物薄膜を形成する金属酸化物前駆体に含まれるキレート化剤の量が特定範囲内であり少ないと、金属酸化物薄膜における有機残渣を少なくできる。また、金属酸化物薄膜を形成する金属酸化物前駆体に照射される光エネルギーの光量が特定範囲内であり少ないと、ポリオレフィンフィルムの熱シワが抑えられやすい。
そして、本発明に係る光透過性積層フィルムの製造方法によれば、ゾルゲル硬化時に光エネルギーを用いるゾル―ゲル法により形成する金属酸化物薄膜の金属酸化物前駆体に照射される光エネルギーの光量が100〜250mJ/cmの範囲内であり少ないことから、ポリオレフィンフィルムの熱シワが抑えられる。この場合において、金属酸化物前駆体に含まれるキレート化剤の量が金属原子1モルに対して0.12〜0.32モルの範囲内であり少ないため、金属酸化物薄膜の有機残渣を少なくできる。これにより、金属酸化物薄膜の屈折率低下、密着性低下および経時でのクラック発生が抑えられる。
本発明の一実施形態に係る光透過性積層フィルムの断面図である。
本発明に係る光透過性積層フィルムについて詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る光透過性積層フィルム10は、ポリオレフィンフィルム12の面上に、金属酸化物薄膜および金属薄膜が含まれる複数の薄膜が積層されてなる薄膜層14を有している。なお、光透過性とは、波長領域360〜830nmにおける透過率の値が50%以上であることをいう。
ポリオレフィンフィルム12は、薄膜層14を形成する基材となる基材フィルムである。基材フィルムがポリオレフィンフィルムからなるため、光透過性積層フィルム10は、基材フィルムによる赤外線の吸収が抑えられて断熱性に優れるものとなる。ポリオレフィンフィルム12のポリオレフィンとしては、鎖状ポリオレフィン、環状ポリオレフィンが挙げられる。鎖状ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−αオレフィン共重合体などが挙げられる。環状ポリオレフィンとしては、シクロオレフィンポリマーなどが挙げられる。ポリオレフィンとしては、光透過性、耐久性、加工性などの観点から、ポリプロピレンが好ましい。中でも、力学特性、耐熱性に優れ、他のポリオレフィンフィルムよりも熱シワが発生しにくく、比較的安価な二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)が好ましい。ポリオレフィンフィルム12の厚みは、用途、光学特性、耐久性などを考慮して適宜定めればよい。
薄膜層14は、金属酸化物薄膜および金属薄膜が含まれる複数の薄膜が積層されてなるものである。薄膜層14に含まれる金属酸化物薄膜および金属薄膜の数やその位置は特に限定されるものではない。より好ましい薄膜層14の構成としては、金属酸化物薄膜および金属薄膜が交互に配置される構成、金属酸化物薄膜が薄膜層14の両端にそれぞれ配置される構成、これらの組み合わせなどが挙げられる。
薄膜層14の層数は、光透過性、日射遮蔽性などの光学特性の要求などに応じて適宜設定すればよい。薄膜層14の層数としては、各薄膜の材料や膜厚、製造コストなどを考慮すると、2〜10層の範囲内であることが好ましい。また、光学特性を考慮すると、奇数層がより好ましく、特に3層、5層、7層、9層が好ましい。また、コストの面から3層がより好ましい。
より好ましい層構成を具体的に示すと、ポリオレフィンフィルム側から順に、金属酸化物薄膜/金属薄膜(2層)、金属酸化物薄膜/金属薄膜/金属酸化物薄膜(3層)、金属酸化物薄膜/金属薄膜/金属酸化物薄膜/金属薄膜/金属酸化物薄膜(5層)、金属酸化物薄膜/金属薄膜/金属酸化物薄膜/金属薄膜/金属酸化物薄膜/金属薄膜/金属酸化物薄膜(7層)などである。
金属薄膜は、日射遮蔽層(遮熱層)として機能するものであり、遠赤外線を反射しやすい金属から構成される。金属酸化物薄膜は、金属薄膜よりも屈折率の高い高屈折率薄膜であり、金属薄膜とともに積層されることで光透過性を高める機能を有する。屈折率は、633nmの光に対する屈折率をいう。
金属薄膜の一方面または両面には、バリア薄膜が形成されていてもよい。バリア薄膜は金属薄膜に付随する薄膜であり、金属薄膜とともに1層として数える。バリア薄膜は、金属薄膜を構成する元素が金属酸化物薄膜中に拡散するのを抑制する。
金属酸化物薄膜は、ゾル−ゲル法により形成される。ゾル−ゲル法により形成される金属酸化物の前駆体としては、有機金属化合物が挙げられる。金属酸化物薄膜は、金属酸化物前駆体である有機金属化合物を含有するコーティング液をポリオレフィンフィルムの面上にコーティングし、これを必要に応じて乾燥させて有機金属化合物を含有する被膜を形成した後、被膜中の有機金属化合物を加水分解・縮合反応させることにより得られる。
有機金属化合物としては、金属アルコキシド、金属アシレート、金属キレートなどが挙げられる。これらのうちでは、コーティング液の安定性に優れるなどの観点から、金属キレートが好ましい。金属キレートは、キレート化剤(キレート配位子)が金属または金属イオンに配位したものであり、予め錯形成したものであってもよいし、金属アルコキシド、金属アシレートなどの他の有機金属化合物に対し所定量のキレート化剤(キレート配位子)が配合されて錯形成したものであってもよい。
金属キレートは、キレート化剤(キレート配位子)により安定化されたものであり、加水分解・縮合反応が抑えられている。このような金属キレートを加水分解・縮合反応させる手段として、紫外線、電子線、X線等の光エネルギーの照射を用いることができる。この場合、キレート化剤(キレート配位子)として、光吸収性(例えば、紫外線吸収性)のものを用いる。有機金属化合物が金属キレートである場合には、ゾルゲル硬化時に光エネルギーを用いるゾル−ゲル法を採用することができる。光エネルギーのうちでは、低温、短時間で金属酸化物を生成できる、熱による負荷を基材フィルムに与えにくいなどの観点から、紫外線が好ましい。
金属酸化物前駆体に照射する光エネルギーの光量は、基材フィルムであるポリオレフィンフィルムの耐熱性が低いことを考慮して、250mJ/cm以下であることが好ましい。この範囲であると、基材フィルムの熱シワが抑えられる。一方で、光エネルギーの光量が少なすぎると、金属酸化物前駆体の加水分解・縮合反応が十分に進行しない。そうすると、金属酸化物薄膜の屈折率低下、密着性低下および経時でのクラック発生が起きやすい。したがって、この観点から、光エネルギーの光量は、100mJ/cm以上であることが好ましい。
光エネルギーの光量が少ないと、金属酸化物前駆体の加水分解・縮合反応が不十分になるおそれがある。したがって、金属酸化物前駆体に含まれるキレート化剤(キレート配位子)の量を少なくし、金属酸化物前駆体の安定性を下げる必要がある。その一方で、金属酸化物前駆体の安定性が悪いと、ゾル−ゲル法による金属酸化物薄膜の形成が困難となる。これらの観点から、金属酸化物前駆体に含まれるキレート化剤(キレート配位子)の量は、金属原子1モルに対して0.12〜0.32モルの範囲内であることが好ましい。より好ましくは金属原子1モルに対して0.17〜0.27モルの範囲内である。
金属酸化物前駆体に含まれるキレート化剤(キレート配位子)の量を少なくすると、金属酸化物薄膜中の有機残渣量を低減することができる。金属酸化物薄膜中の有機残渣量を少なくすることにより、金属酸化物薄膜の屈折率低下、密着性低下および経時でのクラック発生が抑えられる。有機残渣は、金属から遊離している有機成分であり、ゾル−ゲル反応していない未反応の有機金属化合物の有機分は含まれない。有機残渣は、例えば余分に配合されたキレート化剤などの金属に配位していないキレート化剤、溶媒、有機金属化合物の分解物から遊離した有機物、キレート化剤の分解物などである。有機残渣の種類は、金属酸化物薄膜を所定の温度に加熱したときの揮発成分から調べることができる。有機残渣量は、その揮発成分を定量することにより求めることができる。具体的には、金属酸化物薄膜を150℃×86分の条件で加熱し、その揮発成分をGC−MSにより定性・定量することができる。
ゾル−ゲル法により形成された金属酸化物薄膜中の有機残渣量は、金属酸化物薄膜の屈折率低下、密着性低下および経時でのクラック発生が抑えられる観点から、0.29g/g以下とする。より好ましくは0.26g/g以下、さらに好ましくは0.23g/g以下である。一方、金属酸化物前駆体の安定性の観点から、所定量以上のキレート化剤(キレート配位子)が金属酸化物前駆体に含まれていることが必要である。この観点から、金属酸化物薄膜中の有機残渣量は0.13g/g以上とする。より好ましくは0.16g/g以上、さらに好ましくは0.19g/g以上である。
この場合、ゾル−ゲル法により形成された金属酸化物薄膜の硬化率は88%以上であることが好ましい。金属酸化物薄膜の硬化率が88%以上であると、金属酸化物薄膜の経時でのクラック発生が抑えられやすい。これは、金属酸化物薄膜中に残存する金属酸化物前駆体の量が少ないため、残存する金属酸化物前駆体の経時での反応による硬化収縮が抑えられるためと推察される。この観点から、金属酸化物薄膜の硬化率は、より好ましくは92%以上である。金属酸化物薄膜の硬化率は、光透過性積層フィルムを23℃×42%RH環境下で5日間アセチルアセトンに浸漬した後の浸漬前に対する蛍光X線分析による金属強度比から算出される。
紫外線吸収性のキレート化剤(キレート配位子)としては、βジケトン類、アルコキシアルコール類、アルカノールアミン類などが挙げられる。βジケトン類としては、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、マロン酸ジエチルなどが挙げられる。アルコキシアルコール類としては、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−メトキシ−2−プロパノールなどが挙げられる。アルカノールアミン類としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。これらは1種または2種以上混合されていても良い。
コーティング液には、溶媒が含まれていてもよい。溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘプタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、酢酸エチルなどの有機酸エステル、アセトニトリル、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのシクロエーテル類、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどの酸アミド類、ヘキサンなどの炭化水素類、トルエンなどの芳香族類などが挙げられる。これらは1種または2種以上混合されていても良い。
キレート化剤(キレート配位子)および溶媒は、金属酸化物薄膜の有機残渣になり得る成分であることから、金属酸化物薄膜中の有機残渣量を低減する観点から、これらはゾルゲル硬化時において比較的揮発しやすい成分であることが好ましい。この場合、基材フィルムがポリオレフィンフィルムであり、PETフィルムなどと比べて耐熱性が低いことから、これらは沸点がより低いものであることが好ましい。そうすると、キレート化剤(キレート配位子)としては、金属酸化物前駆体の安定性と有機残渣量を低減する観点から、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチルなどが好ましい。また、溶媒としては、有機残渣量を低減する観点から、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコールなどが好ましい。また、金属酸化物前駆体と有機残渣量を低減する観点から、ブタノール、イソプロピルアルコールなどが好ましい。そして、キレート化剤(キレート配位子)および溶媒の組み合わせとしては、アセチルアセトンブタノールの組み合わせ、アセチルアセトンイソプロピルアルコールの組み合わせ、アセチルアセトンブタノール−イソプロピルアルコールの混合溶剤の組み合わせが好ましい。
金属酸化物薄膜の金属酸化物としては、チタンの酸化物、亜鉛の酸化物、インジウムの酸化物、スズの酸化物、インジウムとスズとの酸化物、マグネシウムの酸化物、アルミニウムの酸化物、ジルコニウムの酸化物、ニオブの酸化物、セリウムの酸化物などが挙げられる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。また、これら金属酸化物は、2種以上の金属酸化物が複合した複合酸化物であっても良い。これらのうちでは、可視光に対する屈折率が比較的大きいなどの観点から、チタンの酸化物、インジウムとスズとの酸化物、亜鉛の酸化物、スズの酸化物などが好ましい。
金属酸化物前駆体となる有機金属化合物としては、とりわけ、高屈折率を有する金属酸化物になり得るものを好適に用いることができる。このような有機金属化合物としては、有機チタン化合物などが挙げられる。
有機チタン化合物としては、具体的には、例えば、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラメトキシチタンなどのM−O−R結合(Rはアルキル基を示し、Mはチタン原子を示す)を有するチタンのアルコキシドや、イソプロポキシチタンステアレートなどのM−O−CO−R結合(Rはアルキル基を示し、Mはチタン原子を示す)を有するチタンのアシレートや、ジイソプロポキシチタンビスアセチルアセトナート、ジヒドロキシビスラクタトチタン、ジイソプロポキシビストリエタノールアミナトチタン、ジイソプロポキシビスエチルアセトアセタトチタンなどのチタンのキレートなどを例示することができる。これらは1種または2種以上混合されていても良い。また、これらは単量体、多量体の何れであっても良い。
コーティング法としては、均一なコーティングが行いやすいなどの観点から、マイクログラビア法、グラビア法、リバースロールコート法、ダイコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スピンコート法、バーコート法など、各種のウェットコーティング法を好適なものとして例示することができる。これらは適宜選択して用いることができ、1種または2種以上併用しても良い。
金属酸化物薄膜の膜厚は、日射遮蔽性、視認性、反射色などを考慮して調節することができる。金属酸化物薄膜の膜厚の下限値は、反射色の赤色や黄色の着色を抑制しやすくなる、高透明性が得られやすくなるなどの観点から、好ましくは、10nm以上、より好ましくは、15nm以上、さらに好ましくは、20nm以上であると良い。一方、金属酸化物薄膜の膜厚の上限値は、反射色の緑色の着色を抑制しやすくなる、高透明性が得られやすくなるなどの観点から、好ましくは、90nm以下、より好ましくは、85nm以下、さらに好ましくは、80nm以下であると良い。
ゾル−ゲル法により形成される金属酸化物薄膜が基材フィルムとなるポリオレフィンフィルム12に接して形成される場合には、密着性の観点から、ポリオレフィンフィルム12の金属酸化物薄膜を形成する面の原子組成比(O/C比)が0.08以上に設定されていることが好ましい。
ポリオレフィンフィルム12の表面の原子組成比(O/C比)は、X線光電子分光分析(XPS)により測定することができる。この場合、XPSの測定範囲は150μm角程度であるが、表面処理を行ったポリオレフィンフィルム12の面のぬれ指数を面全体について測定し、その表面処理が面全体に均一に行われていることを併せて確認すればよい。
ポリオレフィンフィルム12の面の原子組成比(O/C比)を上記範囲にする方法としては、例えばポリオレフィンフィルム12の面にプラズマ処理やコロナ処理、紫外線処理などの表面処理を施す方法が挙げられる。これらのうちでは、湿熱環境下で優れた密着力がより一層維持されるなどの観点から、大気圧プラズマがより好ましい。
上記の原子組成比(O/C比)は、金属酸化物薄膜のポリオレフィンフィルム12への密着性に優れるとともに湿熱環境下でも優れた密着力が維持されるなどの観点から、より好ましくは0.10以上である。また、湿熱環境下で優れた密着力がより一層維持されるなどの観点から、さらに好ましくは0.12以上である。
ポリオレフィンフィルム12の面の原子組成比(O/C比)は、表面酸化の程度が大きく表面が硬くなるもしくは粗くなる、表面処理によるポリオレフィンフィルム12の変形が大きい、ポリオレフィンフィルム12に与えるダメージが大きい、ブロッキング(ロール状に巻回されたポリオレフィンフィルム12の原反フィルムが層間で接着する)が発生しやすいなどの理由で、上限として0.25以下であることが好ましい。より好ましくは0.20以下である。
ゾル−ゲル法により形成される金属酸化物薄膜が基材フィルムとなるポリオレフィンフィルム12に接して形成される場合には、ポリオレフィンフィルム12と金属酸化物薄膜との間の密着力は3.0N/25mm以上であることが好ましい。これにより、ポリオレフィンフィルム12と金属酸化物薄膜との間の密着力は良好となる。この密着力は、JIS Z0237に準拠して行われる180°剥離試験により測定される。具体的には、金属酸化物薄膜または金属薄膜の表面に粘着剤を塗布し、粘着剤を介して被着材に貼り付け、ポリオレフィンフィルム12の端部を把持して180°方向に引っ張り、粘着剤と被着材の界面、ポリオレフィンフィルム12と金属酸化物薄膜の界面などで剥離したときの荷重の大きさを求める。引張速度は300mm/分とする。剥離試験において、例えば3.0N/25mm以上の荷重で粘着剤と被着材の界面が剥離したときには、剥離しなかったポリオレフィンフィルム12と金属酸化物薄膜の界面の密着力は粘着剤と被着材の界面の密着力よりも高いため、3.0N/25mm以上であるといえる。一方、3.0N/25mm以上の荷重でポリオレフィンフィルム12と金属酸化物薄膜の界面が剥離したときには、この値がこの界面における密着力となる。
ポリオレフィンフィルム12と金属酸化物薄膜との間の密着力は、より好ましくは5.0N/25mm以上、さらに好ましくは10.0N/25mm以上である。
ポリオレフィンフィルム12と金属酸化物薄膜との間の密着力を特定値以上とするには、例えばポリオレフィンフィルム12の金属酸化物薄膜を形成する面に表面処理を行う、易接着層を形成する、などによりその表面に水酸基や酸素基などの官能基を形成し、その官能基を有する表面に金属酸化物薄膜をゾル−ゲル法により形成するとよい。
薄膜層14が形成された面と反対のポリオレフィンフィルム12の面上にはハードコート層が形成されていてもよい。ハードコート層は、ポリオレフィンフィルム12の表面に傷が付くのを抑えるものであり、ポリオレフィンフィルム12よりも硬い層であればよい。ハードコート層を構成する材料としては、硬化性樹脂を含有する硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられる。硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。また、ポリオレフィンフィルム12に対しハードコート層が設けられる側とは反対側に、光透過性積層フィルムを窓ガラスなどの被着体に貼着するために用いられる粘着剤層が設けられていてもよい。粘着剤は、表面の粘着性を利用して圧力をかけて接着するものであり、感圧接着剤として、固化により剥離抵抗力を発揮する接着剤とは区別される。粘着剤としては、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤などが挙げられる。粘着剤層18は、粘着剤組成物を塗工することにより形成することができる。
本発明に係る光透過性積層フィルムは、ポリオレフィンフィルムの面上に、ゾルゲル硬化時に光エネルギーを用いるゾル―ゲル法により形成される金属酸化物薄膜および金属薄膜が含まれる複数の薄膜が積層されてなる薄膜層を形成する積層工程を経て製造することができる。この場合、金属酸化物薄膜を形成する金属酸化物前駆体に含まれるキレート化剤の量は金属原子1モルに対して0.12〜0.32モルの範囲内であり、金属酸化物薄膜を形成する金属酸化物前駆体に照射される光エネルギーの光量は100〜250mJ/cmの範囲内である。
本発明に係る光透過性積層フィルムは、ビル・住宅等の建築物の窓ガラスや自動車等の車両の窓ガラス、壁紙・ロールスクリーン・カーテンなどの紙製品や布製品、壁紙・石膏ボードなどの建材などに好適に施工される。
なお、光透過性積層フィルム10では、薄膜層14はポリオレフィンフィルム12の一方の面上にのみ設けられているが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、薄膜層14はポリオレフィンフィルム12の両面上にそれぞれ設けられていてもよい。
以下、金属薄膜、バリア薄膜について詳細に説明する。
金属薄膜の金属としては、銀、金、白金、銅、アルミニウム、クロム、チタン、亜鉛、スズ、ニッケル、コバルト、ニオブ、タンタル、タングステン、ジルコニウム、鉛、パラジウム、インジウムなどの金属や、これら金属の合金などが挙げられる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
金属薄膜の金属としては、積層時の可視光透過性、熱線反射性、導電性などに優れるなどの観点から、銀または銀合金が好ましい。より好ましくは、熱、光、水蒸気などの環境に対する耐久性が向上するなどの観点から、銀を主成分とし、銅、ビスマス、金、パラジウム、白金、チタンなどの金属元素を少なくとも1種以上含んだ銀合金であると良い。さらに好ましくは、銅を含む銀合金(Ag−Cu系合金)、ビスマスを含む銀合金(Ag−Bi系合金)、チタンを含む銀合金(Ag−Ti系合金)等であると良い。銀の拡散抑制効果が大きい、コスト的に有利であるなどの利点がある。金属薄膜における銅、ビスマス、チタン等の副元素割合は、ICP分析法を用いて測定することができる。
銅を含む銀合金を用いる場合、銅の含有量は、添加効果を得る観点から、好ましくは1原子%以上、より好ましくは2原子%以上、さらに好ましくは3原子%以上である。一方、高透明性を確保しやすくなる、スパッタターゲットが作製しやすい等の製造性などの観点から、好ましくは20原子%以下、より好ましくは10原子%以下、さらに好ましくは5原子%以下である。
ビスマスを含む銀合金を用いる場合、ビスマスの含有量は、添加効果を得る観点から、好ましくは0.01原子%以上、より好ましくは0.05原子%以上、さらに好ましくは0.1原子%以上である。一方、スパッタターゲットが作製しやすい等の製造性などの観点から、好ましくは5原子%以下、より好ましくは2原子%以下、さらに好ましくは1原子%以下である。
チタンを含む銀合金を用いる場合、チタンの含有量は、添加効果を得る観点から、好ましくは0.01原子%以上、より好ましくは0.05原子%以上、さらに好ましくは0.1原子%以上である。一方、膜にした場合、完全な固溶体が得られやすくなるなどの観点から、好ましくは2原子%以下、より好ましくは1.75原子%以下、さらに好ましくは1.5原子%以下である。
銅、ビスマスあるいはチタンを含む銀合金を用いる場合、銀、銅、ビスマス、チタン以外にも、例えば、銀の凝集・拡散抑制効果に悪影響を与えない範囲内であれば、他の元素、不可避不純物を1種または2種以上含有していても良い。
他の元素としては、Mg、Pd、Pt、Au、Zn、Al、Ga、In、Sn、Sb、Li、Cd、Hg、AsなどのAgに固溶可能な元素;Be、Ru、Rh、Os、Ir、Bi、Ge、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Si、Tl、Pbなど、Ag−Cu系合金中に単相として析出可能な元素;Y、La、Ce、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ti、Zr、Hf、Na、Ca、Sr、Ba、Sc、Pr、Eu、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、S、Se、TeなどのAgとの金属間化合物を析出可能な元素などが挙げられる。
金属薄膜の膜厚は、安定性、熱線反射性などの観点から、好ましくは3nm以上、より好ましくは5nm以上、さらに好ましくは7nm以上である。一方、金属薄膜の膜厚は、可視光の透明性、経済性などの観点から、好ましくは30nm以下、より好ましくは20nm以下、さらに好ましくは15nm以下である。
金属薄膜を形成する方法としては、具体的には、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、MBE法、レーザーアブレーションなどといった物理的気相成長法(PVD)、熱CVD法、プラズマCVD法などといった化学的気相成長法(CVD)などの気相法などを例示することができる。金属薄膜は、これらのうち何れか1つの方法を用いて形成されていても良いし、あるいは、2つ以上の方法を用いて形成されていても良い。
これら方法のうち、緻密な膜質が得られる、膜厚制御が比較的容易であるなどの観点から、好ましくは、DCマグネトロンスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法などのスパッタリング法を好適に用いることができる。
バリア薄膜は、主として、金属薄膜を構成する元素が、金属酸化物薄膜中へ拡散するのを抑制するバリア的な機能を有している。また、金属酸化物薄膜と金属薄膜との間に介在することで、両者の密着性の向上にも寄与しうる。バリア薄膜は、拡散を抑制できれば、浮島状など、不連続な部分があっても良い。
バリア薄膜は、金属または金属酸化物から構成されていればよい。バリア薄膜を構成する金属、金属酸化物の金属としては、チタン、亜鉛、インジウム、スズ、マグネシウム、アルミニウム、ジルコニウム、ニオブ、セリウムなどが挙げられる。バリア薄膜を構成する金属は、これらの金属の1種であってもよいし、これらの金属の2種以上であってもよい。また、バリア薄膜を構成する金属酸化物は、これらの金属の酸化物の1種であってもよいし、これらの金属の酸化物の2種以上が複合した複酸化物であってもよい。
バリア薄膜を構成する金属、金属酸化物の金属は、金属薄膜を構成する金属の拡散抑制効果に優れる、密着性に優れるなどの観点から、金属酸化物薄膜の金属から構成されていると良い。例えば金属酸化物薄膜の金属がチタンである場合、バリア薄膜を構成する金属、金属酸化物の金属はチタンであるとよい。
バリア薄膜は、金属酸化物薄膜よりも膜厚が薄く設定される。これは、金属薄膜を構成する金属の拡散は、原子レベルで生じるので、屈折率を十分確保するのに必要な膜厚まで厚くする必要性が低いからである。また、薄く形成することで、その分、成膜コストが安価になり、光透過性積層フィルムの製造コストの低減にも寄与することができる。
バリア薄膜の膜厚の下限値は、バリア性を確保しやすくなるなどの観点から、好ましくは、1nm以上、より好ましくは、1.5nm以上、さらに好ましくは、2nm以上であると良い。一方、バリア薄膜の膜厚の上限値は、経済性などの観点から、好ましくは、15nm以下、より好ましくは、10nm以下、さらに好ましくは、8nm以下であると良い。
バリア薄膜は、緻密な膜を形成できる、数nm〜数十nm程度の薄膜を均一な膜厚で形成できるなどの観点から、気相法を好適に利用することができる。
気相法としては、具体的には、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、MBE法、レーザーアブレーションなどといった物理的気相成長法(PVD)、熱CVD法、プラズマCVD法などといった化学的気相成長法(CVD)などを例示することができる。上記気相法としては、真空蒸着法などと比較して膜界面の密着性に優れる、膜厚制御が容易であるなどの観点から、DCマグネトロンスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法などのスパッタリング法を好適に用いることができる。
なお、各バリア薄膜は、これら気相法のうち何れか1つの方法を利用して形成されていても良いし、あるいは、2つ以上の方法を利用して形成されていても良い。
バリア薄膜が金属酸化物から構成される場合、その金属酸化物は、薄膜形成時に金属酸化物とされてもよいし、薄膜形成後に後酸化されて金属酸化物とされてもよい。
薄膜形成時に金属酸化物として成膜する場合、具体的には、例えば、スパッタリングガスとしてのアルゴン、ネオンなどの不活性ガスに、さらに反応性ガスとして酸素を含むガスを混合し、金属と酸素とを反応させながら薄膜を形成すれば良い(反応性スパッタリング法)。一方、薄膜形成後に金属から金属酸化物にする場合、薄膜形成後に後酸化処理を行えばよい。
後酸化処理としては、加熱処理、加圧処理、化学処理、自然酸化などが挙げられる。これらのうちでは、比較的簡単かつ確実に後酸化を行うことができるなどの観点から、加熱処理が好ましい。加熱処理としては、例えば、光透過性積層フィルムを加熱炉等の加熱雰囲気中に存在させる方法、温水中に浸漬する方法、マイクロ波加熱する方法、通電加熱する方法などが挙げられる。これらは1または2以上組み合わせて行っても良い。
以下、実施例および比較例を用いて本発明を詳細に説明する。
(実施例1〜3、比較例1〜4)
以下により、OPPフィルムの一方面に薄膜層を有する光透過性積層フィルムを作製した。
(参考例)
OPPフィルムに代えてPETフィルムを用い、比較例2と同様にした。
(コーティング液の調製)
表2に記載の配合比(モル比、Ti 1モルに対するモル量)でテトラ−n−ブトキシチタン4量体(日本曹達(株)製、「B4」)とアセチルアセトンとをn−ブタノール中で混合することにより、ゾル−ゲル法によるTi酸化物薄膜の形成に使用するコーティング液を調製した。なお、コーティング液におけるテトラ−n−ブトキシチタン4量体の濃度は6質量%とした。
(薄膜層の形成)
基材フィルムとして東レ社製OPPフィルム(Y562、膜厚50μm、片面特殊処理)を用いた。OPPフィルムの特殊処理面に、マイクログラビアコーターを用いて、所定の溝容積のグラビアロールで上記コーティング液を連続的に塗工した。次いで、インラインの乾燥炉を用いて、塗工膜を乾燥させた。次いで、インラインの紫外線照射機〔高圧水銀ランプ(160W/cm)〕を用いて、上記塗工時と同線速で連続的に紫外線を照射した。これによりOPPフィルムのプラズマ処理された面上にTi酸化物薄膜(1層目)を成膜した。表2には、1層目の形成時におけるUV光量を示す。
次に、DCマグネトロンスパッタ装置を用い、1層目のTi酸化物薄膜上に、下側の金属Ti薄膜をスパッタリングにより成膜した。次いで、この下側の金属Ti薄膜上に、Ag−Cu合金薄膜をスパッタリングにより成膜した。次いで、このAg−Cu合金薄膜上に、上側の金属Ti薄膜をスパッタリングにより成膜した(2層目)。
次に、2層目の上側の金属Ti薄膜の上に、1層目の形成と同様にしてTi酸化物薄膜を成膜した(3層目)。
なお、Ti酸化物薄膜の屈折率(測定波長は633nm)は、FilmTek3000(Scientific Computing International社製)により測定した。
コーティング液の安定性を調べた。また、OPPフィルムの面上に1層のTi酸化物薄膜を形成したものを用い、有機残渣量、Ti酸化物薄膜のOPPフィルム表面への密着性を調べた。さらに、OPPフィルムの面上に3層構成の薄膜層を有する光透過性積層フィルムを用い、初期および耐久後のクラック発生の有無を調べた。これらの結果を表1に示す。
(コーティング液の安定性)
調製したコーティング液を23℃42%RH環境下で168時間静置し、目視観察にて白濁の有無を確認した。
(有機残渣量)
試験体を150℃で86分加熱し、その揮発成分を捕捉し、パーキンエルマー製のGC−MSにて揮発成分の定性・定量分析を行った。揮発成分としてはアセトン、n−ブタノール、酢酸、アセチルアセトンが検出された。
(硬化率)
試験体のTi酸化物薄膜について、蛍光X線分析によりTi強度を測定した。また、試験体を23℃×42%RH環境下で5日間アセチルアセトンに浸漬した後、蛍光X線分析によりTi強度を測定した。アセチルアセトンに浸漬した後の浸漬前に対する蛍光X線分析による金属強度比から硬化率を算出した。
(Ti酸化物薄膜のOPPフィルム表面への密着性)
試験体の薄膜層にメンディングテープを貼り付けした後、剥離させた。剥離後のテープ側を目視観察し、薄膜層の有無を確認した。薄膜層が剥離してテープ側に移行している場合を密着性不良「×」とし、テープ側に移行していない場合を密着性良好「○」とした。
(クラック)
ガラスに貼り付けた試験体を80℃乾熱、60℃90%RH、キセノン160Wの各条件下で1000hr曝露させた後、レーザー顕微鏡(オリンパス社製 LEXT OLS4000)での観察を行い、亀裂の有無を確認した。全ての試験条件下で亀裂が発生しなかったものを「○」、一つでも亀裂が発生したものは「×」とした。
Figure 2015189233
比較例1は、キレート化剤であるアセチルアセトンの配合量が多く、Ti酸化物前駆体の加水分解・縮合反応を促進するために照射したUV光量が多いため、基材フィルムであるOPPフィルムに熱シワが発生した。この状態になるまでUV照射したが有機残渣量は多いため、Ti酸化物薄膜の屈折率が低く、Ti酸化物薄膜のOPPフィルムへの密着性が悪い結果となった。また、初期では問題なかったが耐久後においてクラックの発生が見られた。
比較例2は、比較例1と等量のアセチルアセトンの配合であるが、OPPフィルムの熱シワを考慮して照射したUV光量を少なくしている。このため、Ti酸化物前駆体の加水分解・縮合反応が不十分であり、また、Ti酸化物薄膜中の有機残渣量が多くなっている。これにより、Ti酸化物薄膜の屈折率が低く、Ti酸化物薄膜のOPPフィルムへの密着性が悪い結果となった。また、初期では問題なかったが耐久後においてクラックの発生が見られた。
比較例3は、アセチルアセトンの配合量を少なくしたものであるが、この場合でも、Ti酸化物薄膜の屈折率、Ti酸化物薄膜のOPPフィルムへの密着性、クラックの点で問題がある。比較例4は、アセチルアセトンの配合量をさらに少なくしたものであり、この場合には、コーティング液の安定性に問題がある。このため、密着性、クラック発生に関する評価は行わなかった。
参考例は、基材フィルムがPETフィルムである。参考例によれば、有機残渣量が比較例2と同等に多くても、Ti酸化物薄膜の基材フィルムへの密着性には問題がない。また、初期および耐久後のいずれにおいてもクラックの発生が見られなかった。
これらに対し、実施例によれば、コーティング液の安定性に優れ、Ti酸化物薄膜の屈折率も高く、Ti酸化物薄膜のOPPフィルムへの密着性にも優れ、初期および耐久後のいずれにおいてもクラックの発生が見られなかった。
以上、本発明の実施形態・実施例について説明したが、本発明は上記実施形態・実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
10 光透過性積層フィルム
12 ポリオレフィンフィルム
14 薄膜層

Claims (6)

  1. ポリオレフィンフィルムの面上に、ゾル―ゲル法により形成された金属酸化物薄膜および金属薄膜が含まれる複数の薄膜が積層されてなる薄膜層を有し、前記金属酸化物薄膜中の有機残渣量が0.13〜0.29g/gの範囲内であることを特徴とする光透過性積層フィルム。
  2. 前記金属酸化物薄膜の硬化率が88%以上であることを特徴とする請求項1に記載の光透過性積層フィルム。
    ただし、前記金属酸化物薄膜の硬化率は、前記光透過性積層フィルムを23℃×42%RH環境下で5日間アセチルアセトンに浸漬した後の浸漬前に対する蛍光X線分析による金属強度比から算出される。
  3. 前記ポリオレフィンフィルムが、二軸延伸ポリプロピレンフィルムであることを特徴とする請求項1または2に記載の光透過性積層フィルム。
  4. 前記金属酸化物薄膜を形成する金属酸化物前駆体に含まれるキレート化剤の量が、金属原子1モルに対して0.12〜0.32モルの範囲内であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の光透過性積層フィルム。
  5. 前記金属酸化物薄膜を形成する金属酸化物前駆体に照射される光エネルギーの光量が、100〜250mJ/cmの範囲内であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光透過性積層フィルム。
  6. ポリオレフィンフィルムの面上に、ゾルゲル硬化時に光エネルギーを用いるゾル―ゲル法により形成される金属酸化物薄膜および金属薄膜が含まれる複数の薄膜が積層されてなる薄膜層を形成する積層工程を有し、
    前記金属酸化物薄膜を形成する金属酸化物前駆体に含まれるキレート化剤の量が金属原子1モルに対して0.12〜0.32モルの範囲内であり、
    前記金属酸化物薄膜を形成する金属酸化物前駆体に照射される光エネルギーの光量が100〜250mJ/cmの範囲内であることを特徴とする光透過性積層フィルムの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN106113720A (zh) * 2016-06-23 2016-11-16 晋江市夜视明反光材料有限公司 一种反射七彩光的反光面料及其制备方法
CN108224366A (zh) * 2016-12-15 2018-06-29 松下知识产权经营株式会社 发光元件以及发光元件的制造方法

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