JP2015188850A - 地熱水の処理方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】地熱水のシリカを十分に除去することができ、また、生成する汚泥中のシリカ純度も高い地熱水の処理方法及び装置を提供する。
【解決手段】原水と返送汚泥とを接触させ、原水中のシリカを重合させる重合反応工程と、重合反応工程からの液にアニオンポリマーを添加するアニオンポリマー添加工程と、該アニオンポリマー添加工程からの液にカチオンポリマーを添加するカチオンポリマー添加工程と、該カチオンポリマー添加工程からの液を固液分離する固液分離工程と、固液分離工程で分離された汚泥の少なくとも一部を前記重合反応工程に返送する汚泥返送工程とを有する地熱水の処理方法及び装置。
【選択図】図1
【解決手段】原水と返送汚泥とを接触させ、原水中のシリカを重合させる重合反応工程と、重合反応工程からの液にアニオンポリマーを添加するアニオンポリマー添加工程と、該アニオンポリマー添加工程からの液にカチオンポリマーを添加するカチオンポリマー添加工程と、該カチオンポリマー添加工程からの液を固液分離する固液分離工程と、固液分離工程で分離された汚泥の少なくとも一部を前記重合反応工程に返送する汚泥返送工程とを有する地熱水の処理方法及び装置。
【選択図】図1
Description
本発明は、シリカを過飽和で含有する地熱水の処理方法及び処理装置に係り、特に地熱水中のシリカを効率的に除去し、かつ含水率の低いシリカ含有固形物を回収できるようにした地熱水の処理方法及び装置に関する。
地熱発電は、地中の高温地熱流体を噴出させ、分離された水蒸気を用いて発電を行うものであるが、この場合、水蒸気とともにシリカを数百ppmの濃度で含む地熱水(地熱熱水)が噴出する。噴出した地熱水は、地下還元井を経て地中に還流されるが、地熱流体の温度が250℃〜350℃であるのに対し、還流される地熱水の温度はオープン還元式で90℃〜95℃、高温還元式で110℃〜140℃、フラッシュバイナリー式やダブルフラッシュ式で90℃〜95℃と低温であるため、地熱水におけるシリカの溶解度は相対的に低下する。しかも、水蒸気との分離に伴いシリカが濃縮されることから、地熱水に含まれるシリカの一部は過飽和状態となる。
この過飽和シリカはシリカスケールとして地熱発電所内の熱水経路や前記地下還元井の内壁等に析出、付着しやすいため、熱交換器の熱効率低下や前記熱水経路の閉塞、あるいは前記地下還元井の容量減少等の原因となっている。しかも、このシリカスケールは前記内壁等に強固に付着して除去が困難であるため、シリカスケールの付着が進行した場合には、前記熱水経路あるいは地下還元井の使用を中断し、シリカスケールを除去しなければならない。このように、地熱水中におけるシリカの存在は、地熱水の利用上大きな障害となっている。
地熱水中に含有されるシリカを除去し、前記熱水経路あるいは地下還元井に対するシリカスケールの付着を防止するための方法として、特公平3−24278(特開昭58−86864)には、噴出直後または蒸気生産後の地熱水を滞留槽に滞留させて該地熱水中の過飽和シリカを重合シリカへ変えた後、凝集沈殿槽にて無機凝集剤(Al塩、Fe塩、Ca塩又はMg塩)で凝集沈殿処理し、熱水中のシリカを飽和溶解度以下まで除去する方法が記載されている。
また、特開平7−24475には、地熱水にシリカ吸着性を有するシードを添加し、地熱水中のシリカをシードに吸着させた後、固液分離し、得られた固形分の一部をシードとして再使用する地熱水の処理方法であって、地熱水に必要に応じ塩化カルシウムを添加した後、地熱水中のシリカがゲル化するまで地熱水を加熱濃縮し、得られたゲルの一部を前記シードとして再使用する方法が記載されている。
特許文献1のように、地熱水を滞留させて重合させた後、Al塩、Fe塩、Ca塩又はMg塩を添加してシリカを凝集させ、除去する方法では、シリカを効率よく除去でき、かつ含水率の低い汚泥を得ることができるが、上記塩を添加したことにより汚泥中のシリカ純度が低くなり、セメント原料等の有価物として有効利用するのは難しい。
特許文献2のように、シリカゲルを生成させてシードとして地熱水に添加する方法では、重合反応面積を高めることで水中の溶存シリカを効率よく除去でき、かつ純度の高いシリカが回収できるが、添加したシリカゲルが地熱水から除去されない場合は、シリカゲルがスケールの核として処理水とともに還元井に戻ることになり、却ってシリカスケーリングリスクが高まる可能性がある。なお、単なるシリカゲルの循環による重合反応では、シリカポリマー表面のシラノール基の活性化反応(≡Si−OH+OH−⇔≡Si−O−+H2O)や、シラノール基活性サイトと分子状シリカモノマーの重合反応(≡Si−O−+Si(OH)4⇔≡Si−O−Si(OH)3+OH−)等の反応が十分には進行しにくい。
本発明は、上記従来の問題点を解消し、地熱水のシリカを十分に除去することができ、また、生成する汚泥中のシリカ純度も高い地熱水の処理方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明の地熱水の処理方法は、地熱水と返送汚泥とを接触させ、地熱水中のシリカを重合させる重合反応工程と、重合反応工程からの液にアニオンポリマーを添加するアニオンポリマー添加工程と、該アニオンポリマー添加工程からの液にカチオンポリマーを添加するカチオンポリマー添加工程と、該カチオンポリマー添加工程からの液を固液分離する固液分離工程と、固液分離工程で分離された汚泥の少なくとも一部を前記重合反応工程に返送する汚泥返送工程とを有する。
本発明の地熱水の処理装置は、地熱水と返送汚泥とを接触させ、地熱水中のシリカを重合させる重合反応槽と、重合反応槽からの液にアニオンポリマーを添加するアニオンポリマー添加槽と、該アニオンポリマー添加槽からの液にカチオンポリマーを添加するカチオンポリマー添加槽と、該カチオンポリマー添加槽からの液を固液分離する固液分離手段と、固液分離手段で分離された汚泥の少なくとも一部を前記重合反応工程に返送する汚泥返送手段とを有する。
本発明では、重合反応工程におけるpHを7.0〜8.7とすることが好ましい。なお、原水pHが7.0より低い場合は、酸添加工程を加えて前記pHとなるように調整する。上記の酸としては、特に制限はないが、塩酸、硫酸などを用いることができる。
本発明では、返送汚泥の一部または全量にアルカリをpH8.5〜11となるように添加した後、重合反応工程に返送することが好ましい。
本発明では、カチオンポリマー添加工程からの液又は固液分離工程からの分離水の濁度を測定してカチオンポリマー添加量を調節することが好ましい。
本発明では、地熱水をpH7.0〜8.7とすることにより、地熱水中のシリカを重合させ、次いで、アニオンポリマーを添加し、その後カチオンポリマーを添加してフロックを生成させ、このフロックを固液分離により地熱水と分離する。このアニオンポリマーの添加により、重合したシリカが地熱水中に均一に分散し、その後のカチオンポリマーの添加により、重合シリカがアニオンポリマーを巻き込んだ形で凝集し、固液分離性の良好なフロックが成長する。このフロックを固液分離することにより、シリカ濃度の低い処理水が得られる。
本発明では、Al塩、Fe塩、Ca塩又はMg塩を一切添加せずに、シリカの重合反応及び凝集反応を進行させるため、純度の高いシリカを回収することができ、セメント原料等の有価物としての利用が可能となる。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明で処理対象となる地熱水は、噴出直後又は蒸気生産後の熱水(通常80℃以上、pHは7.0〜9.0)である。この地熱水中には、通常シリカが500〜1000mg/L程度含まれている。
本発明では、このシリカを図1の通り、以下の4ステップで除去する。
1)地熱水を重合反応槽1に導入し、後段の工程からのシリカ除去物の汚泥(その少なくとも一部は化学反応槽2で改質されている。)を添加しシリカを重合反応させる。この重合反応によりSS量が増加する。
2)第1凝集槽3でアニオンポリマーを添加し、均一に分散させる。
3)第2凝集槽4でカチオンポリマーを添加し、重合シリカとアニオンポリマーを架橋させて沈降性の良いフロックを形成(凝集)させる。
4)固液分離手段(図1では沈殿槽)5でフロックを除去する。
1)地熱水を重合反応槽1に導入し、後段の工程からのシリカ除去物の汚泥(その少なくとも一部は化学反応槽2で改質されている。)を添加しシリカを重合反応させる。この重合反応によりSS量が増加する。
2)第1凝集槽3でアニオンポリマーを添加し、均一に分散させる。
3)第2凝集槽4でカチオンポリマーを添加し、重合シリカとアニオンポリマーを架橋させて沈降性の良いフロックを形成(凝集)させる。
4)固液分離手段(図1では沈殿槽)5でフロックを除去する。
上記重合反応槽1での重合反応が十分に進行するほど、第2凝集槽4におけるシリカとアニオンポリマーの荷電中和に必要なカチオンポリマーの添加量を低減できる。重合反応槽1の滞留時間は0.1〜1h特に0.3〜0.6h程度が好ましい。重合反応槽1のpHは7.0〜8.7、特に7.4〜8.3が好ましい。pHが低すぎると重合反応が進行しにくくなり、pHが高すぎてもシリカがイオン化しやすくなり、重合したとしても溶解しやすくなる。また、水中のホウ素や重炭酸イオンがpH緩衝剤となるため、原水pHから乖離するほど酸・アルカリ使用量に大きく影響する。
第1凝集槽3におけるアニオンポリマー添加量は、アモルファス(全)シリカ濃度を800mg/Lから400mg/L程度にまで低減する場合は、1〜10mg/L程度、特に2〜5mg/Lが好ましい。アニオンポリマー添加量は、地熱水中のシリカ濃度に比例して、この添加量を基準として決定するのが好ましい。アニオンポリマーの添加量が多すぎると、アニオンポリマー由来の荷電を中和するために第2凝集槽4におけるカチオンポリマーの必要添加量が増加してしまう。アニオンポリマーの添加量が少なすぎると、フロックの強度が十分でなく、沈降性が悪化する。上記のアニオンポリマーとしては、特に制限はないが、ポリアクリル酸、アクリル酸とアクリルアミドの共重合体、ポリアクリルアミド加水分解物、アクリルアミドと2−メチルプロパンスルホン酸の共重合体、これらの重合体の塩などを用いることができ、その添加量はポリマーのアニオン度にもよるが、1〜10mg/L特に2〜5mg/L程度が好ましい。
第2凝集槽4におけるカチオンポリマー添加量は、少なすぎると固液分離後の処理水中に濁質が残留する。一方、過剰に添加してもフロックが分散し、濁質が多く発生する。沈降性の良好なフロックを生成させるためには、カチオンポリマー添加後の液又は固液分離処理後の処理水の濁度を測定し、この濁度が最小化するようにカチオンポリマーの添加量を調整することが好ましい。ここで、固液分離手段5が遠心分離機の場合は滞留時間が短いため、固液分離後の処理水の濁度を測定すればよいが、沈殿槽の場合は滞留時間が長く、カチオンポリマーの注入量の制御に大きく影響するため、沈殿槽を用いた場合の濁度測定箇所は、フロックが除去された上澄液が採取できるフィードウェル5aの上部が好ましい。
濁度計としては、透過光法、散乱光法、表面散乱光法等のいずれでもよいが、シリカスケールの影響を受けにくい非接触式の表面散乱光法が望ましい。ただし、耐熱性に限度があるため、純水や水道水で希釈・冷却してから測定する等の対策を講じるのが好ましい。また、採取した水に含まれる微量の成長フロックを除去し、難沈降性または非沈降性の濁質のみの濃度を測定するため、たとえば、沈殿槽フィードウェルと同等の水面積負荷を有する上向流速の固液分離槽を経た水について希釈・測定するのが望ましい。濁度の最小化の目安は20NTU以下、さらに望ましくは10NTU以下を目標とするのがよい。
通常は固液分離処理水の濁度が最小とするためにカチオンポリマー添加量を増やすよう制御するが、カチオンポリマー添加量を増やしても固液分離処理水の濁度が上昇傾向にある場合はカチオンポリマー添加量過剰とみなし、添加量を低減するように制御を切り替えるように制御するのが好ましい。上記のカチオンポリマーとしては、特に制限はないが、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリ(メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル)、ポリ(2−ビニル−1−メチルピリニジウム)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム)、ジアルキルアミン−エピクロルヒドリン重縮合物、ポリリジン、キトサンなどを用いることができ、その添加量はポリマーのカチオン度にもよるが、
1〜20mg/L特に2〜10mg/L程度が好ましい。
1〜20mg/L特に2〜10mg/L程度が好ましい。
なお、第1凝集槽3でカチオンポリマーを添加し、第2凝集槽4でアニオンポリマーを添加してもシリカ除去処理は可能であるが、この場合はカチオンポリマー必要量の目安がはっきりしない。図1のフローによれば、フロックがある程度成長してから、液の濁度を測定してカチオンポリマーの必要量を決定することができるので、カチオンポリマーの添加量を適切に制御することができる。
固液分離手段5としては、沈殿槽、遠心分離機、MF膜等を使用することができるが、膜濾過ではコロイド状シリカによる目詰まりのおそれがあるので、沈殿槽又は遠心分離機が望ましい。固液分離手段5では処理水の濁度管理が非常に重要となる。上澄液の濁度を測定し、測定値が上昇した時は後段の非常用濾過装置で濾過する等の対応を行うのが好ましい。
固液分離手段5での固液分離により発生する汚泥は、汚泥ポンプ6によりその一部を引き抜いて遠心濃縮機等を用いて減容し、次いで遠心脱水機等を用いて脱水する。汚泥の残部は、返送ライン7,7aを介して重合反応槽1に返送するが、このとき、汚泥中のシリカのシラノール基を解離させて活性化するため、返送汚泥の一部または全量をライン7bを介して化学反応槽2に送り、ここで化学反応槽2のpHが8.5〜10程度となるように水酸化ナトリウムを添加するのが好ましい。シリカポリマー表面のシラノール基の活性化反応は、次式で表わされる。
≡Si−OH+OH−⇔≡Si−O−+H2O
≡Si−OH+OH−⇔≡Si−O−+H2O
こうして活性化された汚泥は、ライン8を介して重合反応槽1に送られ、同じく重合反応槽1に流入する熱水中のシリカモノマーと反応して、重合反応が進行する。
重合反応槽1におけるシラノール基活性サイトと分子状シリカモノマーの重合反応は次式で表わされる。
≡Si−O−+Si(OH)4⇔≡Si−O−Si(OH)3+OH−
≡Si−O−+Si(OH)4⇔≡Si−O−Si(OH)3+OH−
重合反応槽1内のSS濃度には特に制限はないが、SS濃度が高いほど熱水中のシリカモノマーとの反応場が増えるため、2000〜10000mg/L程度とするのが望ましく、この範囲に入るように返送汚泥量を制御するのが望ましい。返送量の目安としては、汚泥SS濃度にもよるが、熱水流入量に対し、1/10〜1/4容量程度が望ましい。
化学反応槽2への返送汚泥流入比率及び化学反応槽2へのNaOH添加量は特に限定しないが、化学反応槽2内のpHがシラノール基の活性化が起きやすいpH8.5〜10.0となるように調整するのが好ましい。残りの返送汚泥は活性こそ低いものの、シリカ重合の反応場として依然重要な役割を果たす。
なお、本発明では、化学反応槽2は必須ではなく、シリカ除去の要求レベルによっては省略されてもよい。化学反応槽2を省略する場合は、重合反応槽1にNaOHを重合反応槽1のpHが7〜8.7特に7.4〜8.3となるように添加する。
一般に、シリカ重合反応ではpH計、撹拌羽根、装置内壁等へのシリカスケールの付着・成長が問題となる。スケール付着を抑制するには、重合反応槽1の内面をスケールが付着しにくい素材(例:フッ素樹脂コーティングした素材)で構成したり、pH計を2重化し、定期的にアルカリ浸漬洗浄する、返送汚泥量を増やしてシリカモノマーの汚泥への優先的な重合を促進するなどの対策をとるのが好ましい。
熱水によってはヒ素が含まれており、熱水から除去して回収するシリカ汚泥がヒ素を含むことがある。この汚泥中のヒ素大部分は、ヒ素を含まないタービン復水等により洗浄することで除去することができる。汚泥の洗浄方法としては、遠心脱水機で回収シリカ汚泥を脱水した後、洗浄水を注入して脱水ケーキに付着したヒ素を押し出す方法などがあげられる。
以上のプロセスを経ることで、少ない薬剤消費量で地熱水からシリカ重合物を回収することができ、シリカ濃度が低減された処理水を得ることができる。処理水は還元井に戻すが、その際に硫酸を添加してpHを低減することでさらにスケーリングリスクを低減できる。回収シリカの脱水ケーキは含水率80%程度となるが、自然乾燥や熱風乾燥を経たのちに、セメント原料等に利用することができる。
以下、実施例及び比較例について説明する。以下の実施例及び比較例では図2に示す試験装置を用いた。
この試験装置では、原水が原水槽11から原水ポンプ12によって容量5Lのプレ恒温槽13に導入される。このプレ恒温槽13はヒータ13aによって還元井への戻り温度とほぼ同等の90〜95℃に保たれる。
プレ恒温槽13内の原水は、中和槽14に導入され、塩酸タンク15内の20wt%濃度の塩酸がポンプ16によって添加され、pH約6とされ、一時的にシリカの重合反応を遅らせる。中和槽14内の液は第1反応槽17に導入(移流)される。第1反応槽(重合反応槽)17には、ライン18を介して化学反応槽33からの改質汚泥が添加可能とされ、ライン19を介して、沈殿槽29からの沈降汚泥が添加可能とされ、ライン20a及びポンプ20を介して苛性ソーダタンク21から25wt%濃度の苛性ソーダ水溶液が添加可能とされている。
第1反応槽17内の液は、第2反応槽22に移流され、さらに該第2反応槽22から第1凝集槽23に移流される。この第1凝集槽23には、アニオンポリマータンク24からポンプ25を介してアニオンポリマー水溶液が添加可能とされている。アニオンポリマー水溶液としては、栗田工業株式会社製クリフロックPA−331の0.1%水溶液を用いた。
第1凝集槽23内の液は、第2凝集槽26に移流される。第2凝集槽26には、カチオンポリマータンク27からポンプ28を介してカチオンポリマー水溶液が添加可能とされている。カチオンポリマー水溶液としては、栗田工業株式会社製ゼータエースP−702の1%水溶液を用いた。
第2凝集槽26内の液は、沈殿槽29の下部に導入され、沈殿槽29の上部から上澄水が処理水として流出する。沈殿槽29で沈降した汚泥は、ライン30及び汚泥ポンプ31を介して取り出される。取り出された汚泥の一部は、前記ライン19を介して第1反応槽17に返送される。汚泥の残部はライン32を介して化学反応槽33に導入される。この化学反応槽33には、前記苛性ソーダタンク21内の苛性ソーダがポンプ20及びライン20bを介して添加可能とされている。化学反応槽33内において苛性ソーダが添加及び混合された汚泥は、前記ライン18を介して第1反応槽17に返送可能とされている。
槽14,17,22,23,26,29,33は、100℃の恒温槽40によって加温されている。槽14,17,22,23,26,33には撹拌機Mが設けられている。槽14,17にはpH計が設けられ、槽14,17内が所定pHとなるようにポンプ16,20の薬注量が制御される。槽13には温度計TIが設けられている。
各槽の容積V、滞留時間(RT)、pH等は次の通りである。
中和槽14:V=100mL、RT=1min、pH約6
第1反応槽17:V=2L、RT=16〜20min、pH:表1の通り
第2反応槽22:V=2L、RT=16〜20min、
pH:第1反応槽17とほぼ同等
第1凝集槽23:V=500mL、RT=4〜5min
第2凝集槽26:V=500mL、RT=4〜5min
沈殿槽29:水平断面積A=10cm2、LV=6m/h
化学反応槽33:V=50mL、RT<5min、pH:表1の通り
原水槽11内の原水としては、全シリカ濃度800mg/L(25℃、pH12)の珪酸ナトリウム水溶液を用いた。
第1反応槽17:V=2L、RT=16〜20min、pH:表1の通り
第2反応槽22:V=2L、RT=16〜20min、
pH:第1反応槽17とほぼ同等
第1凝集槽23:V=500mL、RT=4〜5min
第2凝集槽26:V=500mL、RT=4〜5min
沈殿槽29:水平断面積A=10cm2、LV=6m/h
化学反応槽33:V=50mL、RT<5min、pH:表1の通り
原水槽11内の原水としては、全シリカ濃度800mg/L(25℃、pH12)の珪酸ナトリウム水溶液を用いた。
[実施例1]
図2に示す試験装置に上記原水を6L/hにて供給し、処理した。沈殿槽29で生じた汚泥を600mL/hの割合にて第1反応槽17に直接に返送し、化学反応槽33には汚泥を供給しなかった。アニオンポリマー添加量をポリマー量として4mg/Lとした。
図2に示す試験装置に上記原水を6L/hにて供給し、処理した。沈殿槽29で生じた汚泥を600mL/hの割合にて第1反応槽17に直接に返送し、化学反応槽33には汚泥を供給しなかった。アニオンポリマー添加量をポリマー量として4mg/Lとした。
カチオンポリマー添加量については、沈殿槽29からの処理水(上澄水)の濁度が10NTU以下になるように5〜40mg/Lの範囲で制御した。この間の平均添加量は表1に示す通りである。以下の実施例2,3及び比較例1,2でも同様である。
1週間継続して処理を行い、この間、沈殿槽29内の汚泥界面高さが一定となるように必要に応じ沈殿槽29から汚泥を引き抜いた。1週間継続して処理を行った後、沈殿槽29内の汚泥を1L採取し、界面沈降試験し、汚泥最大界面沈降速度を求めた。また、沈殿槽29内から採取した汚泥を1kg/cm2のプレス脱水装置で60min脱水処理した後の汚泥の含水率を測定した。さらに、処理水全シリカ濃度を測定した。結果を表1に示す。
[実施例2]
沈殿槽29からの汚泥のうち500mL/h分を第1反応槽17に直接に返送し、100mL/h分を化学反応槽33に導入した後、第1反応槽17に返送した。第1反応槽17のpHが7.8となるようにNaOHの添加量を調整した結果、化学反応槽33のpHは11前後で推移した。その他は実施例1と同一条件にて原水を処理し、同様の測定を行った。結果を表1に示す。
沈殿槽29からの汚泥のうち500mL/h分を第1反応槽17に直接に返送し、100mL/h分を化学反応槽33に導入した後、第1反応槽17に返送した。第1反応槽17のpHが7.8となるようにNaOHの添加量を調整した結果、化学反応槽33のpHは11前後で推移した。その他は実施例1と同一条件にて原水を処理し、同様の測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
沈殿槽29からの返送汚泥600mL/hの全量を化学反応槽33に導入し、第1反応槽17に返送した。第1反応槽17のpHが7.8となるようにNaOHの添加量を調整した結果、化学反応槽33のpHは10前後で推移した。その他は実施例1と同一条件にて原水を処理し、同様の測定を行った。結果を表1に示す。
沈殿槽29からの返送汚泥600mL/hの全量を化学反応槽33に導入し、第1反応槽17に返送した。第1反応槽17のpHが7.8となるようにNaOHの添加量を調整した結果、化学反応槽33のpHは10前後で推移した。その他は実施例1と同一条件にて原水を処理し、同様の測定を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
汚泥を全く返送せず、またアニオンポリマーを添加せず、カチオンポリマー添加量を40mg/Lとした。その他は実施例1と同一条件にて原水を処理し、同様の測定を行った。結果を表1に示す。
汚泥を全く返送せず、またアニオンポリマーを添加せず、カチオンポリマー添加量を40mg/Lとした。その他は実施例1と同一条件にて原水を処理し、同様の測定を行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
比較例1において、アニオンポリマーを4mg/L添加したこと以外は同一条件にて原水を処理し、同様の測定を行った。結果を表1に示す。
比較例1において、アニオンポリマーを4mg/L添加したこと以外は同一条件にて原水を処理し、同様の測定を行った。結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例1において、第1反応槽17のpHを6としたこと、カチオンポリマーを35mg/L添加したこと以外は同一条件にて原水を処理し、同様の測定を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、第1反応槽17のpHを6としたこと、カチオンポリマーを35mg/L添加したこと以外は同一条件にて原水を処理し、同様の測定を行った。結果を表1に示す。
[比較例4]
実施例1において、第1反応槽17のpHを9としたこと以外は同一条件にて原水を処理し、同様の測定を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、第1反応槽17のpHを9としたこと以外は同一条件にて原水を処理し、同様の測定を行った。結果を表1に示す。
表1から明らかな通り、実施例1〜3では、カチオンポリマー添加量が5mg/Lと低減し、汚泥界面沈降速度が20〜30m/hと改善されている。一方、比較例1〜3では、カチオンポリマー添加量が多く、汚泥界面沈降速度が減少しており、脱水汚泥含水率も実施例に比べ増加している。また、比較例4では汚泥界面沈降速度や脱水汚泥含水率は実施例とほぼ同等ではあるものの、処理水の全シリカ濃度は増えている。
このように、本発明によると、カチオンポリマーの必要量、汚泥の界面沈降速度および脱水汚泥の含水率を大幅に改善できる。
1 重合反応槽
2 化学反応槽
3 第1凝集槽
4 第2凝集槽
5 沈殿槽
2 化学反応槽
3 第1凝集槽
4 第2凝集槽
5 沈殿槽
Claims (8)
- 地熱水と返送汚泥とを接触させ、地熱水中のシリカを重合させる重合反応工程と、
重合反応工程からの液にアニオンポリマーを添加するアニオンポリマー添加工程と、
該アニオンポリマー添加工程からの液にカチオンポリマーを添加するカチオンポリマー添加工程と、
該カチオンポリマー添加工程からの液を固液分離する固液分離工程と、
固液分離工程で分離された汚泥の少なくとも一部を前記重合反応工程に返送する汚泥返送工程と
を有する地熱水の処理方法。 - 請求項1において、重合反応工程におけるpHを7.0〜8.7とすることを特徴とする地熱水の処理方法。
- 請求項1又は2において、返送汚泥の一部または全量にアルカリを添加した後、重合反応工程に返送することを特徴とする地熱水の処理方法。
- 請求項1ないし3のいずれか1項において、カチオンポリマー添加工程からの液又は固液分離工程からの分離水の濁度を測定してカチオンポリマー添加量を調節する工程を有することを特徴とする地熱水の処理方法。
- 地熱水と返送汚泥とを接触させ、地熱水中のシリカを重合させる重合反応槽と、
重合反応槽からの液にアニオンポリマーを添加するアニオンポリマー添加槽と、
該アニオンポリマー添加槽からの液にカチオンポリマーを添加するカチオンポリマー添加槽と、
該カチオンポリマー添加槽からの液を固液分離する固液分離手段と、
固液分離手段で分離された汚泥の少なくとも一部を前記重合反応工程に返送する汚泥返送手段と
を有する地熱水の処理装置。 - 請求項5において、重合反応槽におけるpHを7.0〜8.7とするpH調整手段を有することを特徴とする地熱水の処理装置。
- 請求項5又は6において、返送汚泥の一部または全量にアルカリ添加手段によってアルカリを添加した後、重合反応工程に返送する化学反応槽を備えたことを特徴とする地熱水の処理装置。
- 請求項5ないし7のいずれか1項において、カチオンポリマー添加槽からの液又は固液分離手段からの分離水の濁度を測定してカチオンポリマー添加量を調節するカチオンポリマー添加制御手段を有することを特徴とする地熱水の処理装置。
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---|---|---|---|
JP2014069025A JP2015188850A (ja) | 2014-03-28 | 2014-03-28 | 地熱水の処理方法及び装置 |
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JP2018126722A (ja) * | 2017-02-10 | 2018-08-16 | 株式会社クラレ | シリカ含有水の処理方法及びその処理装置 |
JP2020171870A (ja) * | 2019-04-08 | 2020-10-22 | オルガノ株式会社 | シリカを含有する水の凝集沈殿装置及び凝集沈殿処理方法 |
-
2014
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