JP2015186453A - 核酸増幅チップ - Google Patents

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枝 亮 日
谷 政 彦 長
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Abstract

【課題】蛍光を効率よく検出する。
【解決手段】核酸増幅チップ1は、2本鎖核酸の増幅のための複数のウェル3が形成された基板2を備え、ウェルは、当該ウェルの上方から当該ウェル内の前記2本鎖核酸に励起光を照射して生成される蛍光を当該ウェルの上方に進行させるものであり、ウェルの深さbを当該ウェルの径aで割ったアスペクト比は0.5より大きく設定される。
【選択図】図1

Description

本発明は、2本鎖核酸を増幅させる核酸増幅チップに関する。
膨大な数の遺伝子配列の中から特定の遺伝子配列を選択的に増幅させる技術として、PCR(Polymerase Chain Reaction)法と呼ばれる技術が知られている。PCR法では、2本鎖DNAを1本鎖DNAに変性させた後、特定の1本鎖DNAの特定の部位にのみ結合するプライマを用いて、特定の2本鎖DNAのみを増幅させる技術である。増幅させた特定の2本鎖DNAに蛍光分子を結合させると、2本鎖DNAの増幅数が多いほど蛍光量が増加するため、この蛍光量を測定することで、増幅した2本鎖DNAを有する病原体等を特定することができる。
PCR法は、増幅に要する時間が2時間ほどと短く、増幅のプロセスも簡易であるため、全自動の卓上用のPCR測定装置で2本鎖DNAの増幅と特定とを行うことができる。従来のPCR測定装置では、例えばチューブの中に、検体、複数の試薬、酵素およびプライマなどを収納して、蛍光の光量を測定していた。PCR法では、2本鎖DNAを1本鎖DNAに変性させる際には高い温度に設定し、また1本鎖DNAにプライマを結合させた後は冷却する必要があり、温度を迅速に変化させることが測定時間の短縮化のためにも重要となる。
このような背景から、マイクロ流路やマイクロウェルを有する核酸増幅チップを用いて、使用する試薬の量を減らす工夫がなされている(特許文献1〜6参照)。
特開2010−516281号公報 特開2004−97200号公報 特開2009−60859号公報 特開2007−189962号公報 特開2006−345798号公報 特開平5−317030号公報
しかしながら、マイクロ流路では、試薬が予め決められた流路を通過するため、増幅の状態を調整することはできない。また、流路は通常一つしかないため、プライマごとに別個のチップを設けなければならず、手間がかかってしまう。
また、マイクロ流路とマイクロウェルの共通の問題として、試薬の使用量がごくわずかであるため、核酸増幅させた2本鎖DNAに照射される励起光によって発光する蛍光の光量もあまり強くない。よって、蛍光をできるだけ効率よく検出できるようにするのが望まれる。上述した特許文献1〜6には、蛍光を効率よく検出するための工夫や技術については何ら開示されていない。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、核酸増幅させた2本鎖DNAに照射される励起光によって発光する蛍光を効率よく検出可能な核酸増幅チップを提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様では、2本鎖核酸の増幅のための複数のウェルが形成された基板を備え、
前記ウェルは、当該ウェルの上方から当該ウェル内の前記2本鎖核酸に励起光を照射して生成される蛍光を当該ウェルの上方に進行させるものであり、
前記ウェルの深さbを当該ウェルの径aで割ったアスペクト比は0.5より大きく設定される核酸増幅チップが提供される。
前記ウェルの内壁面の表面粗さRaは、5μm以下であってもよい。
前記ウェルの内壁面に入射される蛍光に対する反射率は50%以上であってもよい。
前記基板は、ポリプロピレンをベース材料として、前記ポリプロピレンよりも反射率の高い有機物材料を含有させたものであってもよい。
前記ウェルの内壁面は曲面であってもよい。
前記ウェルの深さ方向の断面形状は、楕円をその短軸に平行な線で切断した当該楕円の半分以下の曲線または放物線であってもよい。
前記ウェルには、検体と、この検体に含まれる2本鎖核酸を抽出する試薬と、特定の1本鎖核酸の特定の部位に結合するプライマと、励起光の照射時に2本鎖核酸の数に応じた蛍光を生じさせる試薬と、前記2本鎖核酸の転写を促す酵素と、が収納されていてもよい。
本発明によれば、核酸増幅させた2本鎖DNAに照射される励起光によって発光する蛍光を効率よく検出できる。
本発明の一実施形態に係る核酸増幅チップ1の上面図。 図1のA−A線断面図。 (a)ウェル3のアスペクト比が小さい例、(b)はウェル3のアスペクト比が大きい例を示す図。 (a)〜(c)はウェル3の表面粗さRaを説明する図。 (a)は3種類の材料1〜3についての反射率を示すグラフ、(b)は3種類の材料1〜3についての透過率を示すグラフ。 図5(a)と図5(b)のグラフの特性をまとめた図。 ウェル3の断面形状を放物線または楕円の例を示す図。 (a)は2本鎖核酸に結合した蛍光物質から斜め上方に進行する蛍光の光路軌跡を示し、(b)は2本鎖核酸に結合した蛍光物質から斜め下方に進行する蛍光の光路軌跡を示す図。 (a)はウェル3の開口側が平坦面である例、(b)はウェル3の底面が平坦面である例を示す図。 本実施形態による核酸増幅チップ1を用いたPCR法の処理手順の一例を示すフローチャート。 相補的に結合した2本鎖DNAを示す図。 相補的に結合した2本鎖DNAが1本鎖DNAに分離されることを示す図 。 1本鎖DNAにプライマが結合した様子を示す図。 2つの2本鎖DNAが生成された様子を示す図。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから適宜変更したり、誇張してある。
図1は本発明の一実施形態に係る核酸増幅チップ1の上面図、図2は図1のA−A線断面図である。本実施形態に係る核酸増幅チップ1は、例えばPCR法による2本鎖DNAの核酸増幅を行うものであり、図1に示すように、基板2の一主面に沿って離隔して配置される複数のウェル3を備えている。図1では、一主面に4つのウェル3を設ける例を示しているが、ウェル3の数には特に制限はない。
核酸増幅チップ1は、例えば矩形状の基板2を用いて構成されており、基板2の一辺は10〜15mm程度で、その厚さは0.5〜3.0mm程度である。また、ウェル3の開口径は1〜2mm程度、ウェル3の深さは1.0〜2.0mm程度である。なお、核酸増幅チップ1の縦横サイズと厚さ、およびウェル3の開口径と深さには特に制限はない。ただし、本実施形態では、一つのウェル3内に収納可能な試薬の量をできるだけ少なくすることを念頭に置いており、例えば、ウェル3内に収納される試薬の総量を0.5〜3.0μリットル程度に抑えることを想定している。
後述するように、核酸増幅チップ1は、ウェル3内の温度を短時間で50℃以上上下させる必要があるため、基板2の材料として、熱伝導性に優れていることと、例えば0〜100℃程度の温度範囲での耐熱性が求められる。
本実施形態による核酸増幅チップ1が増幅する対象となる核酸とは、DNA(デオキシリボ核酸)、RNA(リボ核酸)、その他のオリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチドなどである。以下では、DNAを増幅する例について説明する。
本実施形態では、核酸増幅チップ1の上方から各ウェル3に向けて、所定の波長の励起光を照射し、この励起光が各ウェル3内で増幅した2本鎖核酸に結合している蛍光物質に当たったときに発光される蛍光を、核酸増幅チップ1の上方に置かれた検出器で検出する。検出器は、蛍光の光量を検出することで、2本鎖核酸の増幅度合いを把握できる。本実施形態の特徴の一つは、検出器でできるだけ多くの蛍光が検出できるように、核酸増幅チップ1で生じた蛍光を上方に進行させることが可能なウェル3を設けたことである。
(ウェル3のアスペクト比)
本実施形態によるウェル3は、図2に示すように、その深さbをウェル3の径aで割ったアスペクト比b/aを0.5より大きく設定している。このようなアスペクト比b/aを設定する理由は、ウェル3の深さが浅いほど、ウェル3内で生じた蛍光の発光方向が分散しやすくなるためである。励起光は、ウェル3の底面の法線方向すなわちウェル3の上方から入射されるが、2本鎖核酸に結合した蛍光物質に励起光が当たったことにより発光される蛍光は、必ずしもウェル3の上方に向かって進むとは限らない。ウェル3のアスペクト比b/aが小さいと、図3(a)に示すように、ウェル3の深さ方向よりも底面方向に分散配置される2本鎖核酸の割合が相対的に増え、結果として、ウェル3の底面の法線方向に対して斜めに進行する蛍光の割合が増えてしまう。すなわち、ウェル3のアスペクト比b/aが小さいほど、種々の方向に分散する蛍光の割合が増えてしまい、核酸増幅チップ1の上方に配置される検出器で検出される蛍光も少なくなる。
これに対して、図3(b)に示すように、ウェル3のアスペクト比b/aを大きくすると、ウェル3の底面方向よりも深さ方向に分散配置される2本鎖核酸の割合が相対的に増えることから、ウェル3の底面の法線方向に進行する蛍光の割合も増大する。よって、ウェル3のアスペクト比が高いほど、蛍光はより上方に進行しやすくなる。
本発明者の検討結果によると、ウェル3内に収納される試薬の総量を0.5〜3.0μリットルとしたときに、検出器にて蛍光の光量を正しく検出可能なアスペクト比b/aは0.5より大きい場合であり、より望ましくは1.0より大きい場合であることがわかった。
このように、ウェル3のアスペクト比b/aを0.5より大きく、より望ましくは1.0より大きくすることで、蛍光の光量の検出精度を向上できる。
なお、ウェル3の径aとは、ウェル3の開口部が円形の場合は直径、楕円形の場合は例えば長軸の長さ、四角形の場合は例えば対角線の長さである。また、ウェル3の深さbは、ウェル3の開口部をなす開口面から鉛直方向に最深部までの長さである。
(ウェル3の表面粗さRa)
2本鎖核酸に結合した蛍光物質に励起光が当たったときに発光される蛍光の中には、ウェル3の底面の法線方向から斜めに進行するものも存在することから、ウェル3のアスペクト比b/aを0.5より大きくすると、蛍光がウェル3の側面に当たる可能性もありうる。この場合、図4(a)に示すように、当たった蛍光をウェル3の上方に反射させるのが望ましい。また、蛍光の一部は、ウェル3の底面の方向に進行して底面に当たるが、底面に当たった蛍光も上方に反射させるのが望ましい。ウェル3の側面や底面が図4(b)のように平坦であれば、側面や底面に当たった蛍光は入射方向に応じた方向に正反射するが、側面や底面が図4(c)のように粗面化されていれば、側面や底面に当たった蛍光は種々の方向に散乱してしまう。このため、ウェル3の側面や底面が粗面化されている場合には、ウェル3の上方に進行する蛍光の強度が弱くなってしまう。
よって、ウェル3の側面および底面からなる内壁面に当たった蛍光を、上方に反射させやすくするには、内壁面の平滑度を向上させて、表面粗さRaをできるだけ低く抑えるのが望ましい。
ウェル3は微小サイズであるため、核酸増幅チップ1の製造後に、各ウェル3の内壁面の表面粗さRaを小さくする加工処理を行うのは容易ではない。よって、核酸増幅チップ1を製造する際に表面粗さRaを小さくしてウェル3を形成するのが望ましい。例えば、ウェル3を備えた核酸増幅チップ1を射出成形により一体成形する場合は、射出成形用の金型のウェル3部分の表面をできるだけ平坦にして、この金型を用いて作製される核酸増幅チップ1内の各ウェル3の内壁面の表面粗さRaを所定値以下にするのが望ましい。所定値とは例えば5μmである。本発明者が検討したところ、ウェル3の側面および底面の表面粗さRaが5μm以下であれば、蛍光が当たったときの散乱を抑制でき、上方に反射される蛍光の割合を増やすことができて、検出器で正しく蛍光の光量を検出できることがわかった。
なお、表面粗さRaの測定には、例えば白色干渉計(Zygo社製)を用いることができる。
(ウェル3の表面反射率)
核酸増幅チップ1の材料により、入射される蛍光に対する反射率と透過率が異なるため、ウェル3の内壁面の平滑度を上げるだけでは、必ずしも蛍光を効率よく上方に反射させることができない場合がありうる。したがって、ウェル3の内壁面の反射性能をより向上させるには、核酸増幅チップ1の材料を反射性能に優れたものにするのが望ましい。
図5(a)は3種類の材料1〜3についての反射率を示すグラフである。このグラフの横軸は光の波長、縦軸は反射率である。蛍光の波長は500nm程度の中心波長を持つため、横軸の波長範囲は400〜600nmとしている。
材料1はPP(ポリプロピレン)である。材料2はPPにワックスを添加させたものである。材料3はPPにワックスと酸化マグネシウム(MgO)を添加させたものである。ワックスはPPよりも反射率が高い有機物であり、具体的な材料としては、例えば樹脂改質用シリコーンDow Corning Toray BY27シリーズ(東レ社製)である。酸化マグネシウムは白色の固体であり、酸化マグネシウムを添加することで、核酸増幅チップ1の白色度が増し、反射性能が向上する。材料2におけるワックスの添加割合は、例えば3%程度であり、材料3における酸化マグネシウムの添加割合は、例えば50%程度である。
図5(a)からわかるように、蛍光の波長範囲を含む400〜600nmの光に対しては、材料1よりも材料2の方が反射率が高く、材料2よりも材料3の方が反射率が高くなる。
図5(b)は上述した材料1〜3についての透過率を示すグラフである。このグラフの横軸は光の波長、縦軸は透過率である。図5(b)からわかるように、蛍光の波長範囲を含む400〜600nmの光に対しては、材料1よりも材料2の方が透過率が低く、材料2よりも材料3の方が透過率が低くなる。
なお、図5(a)の反射率と図5(b)の透過率の測定は、紫外可視分光光度計UV2550/2450(株式会社島津製作所製)を用いて行った。
図6は図5(a)と図5(b)のグラフの特性をまとめた図である。図示のように、蛍光の波長範囲を含む400〜600nmの光に対しては、材料1の反射率は10〜15%、材料1の透過率は80〜85%、材料2の反射率は50〜60%、材料2の透過率は47〜50%、材料3の反射率は90〜97%、材料3の透過率は7〜12%である。
反射率が50%未満では、ウェル3内で増幅された2本鎖核酸の数にもよるが、検出器で正しく蛍光の光量を検出できないおそれがある。よって、図6の結果から判断すると、PPにワックスやMgOを添加すると、反射率が高くなる場合もあるため、核酸増幅チップ1の材料としては、PPにワックスを添加したり、さらにMgOを添加してもよい。
図5では、基板2の材料としてPPを用いる例を説明したが、PP以外に、PC(ポリカーボネート)、PE(ポリエチレン)、ポリエステルなどを用いてもよい。また、添加材として、上述した酸化マグネシウムを用いれば、反射率だけでなく、熱伝導性を向上させることもできる。また、熱伝導性を向上させる目的で、酸化マグネシウム以外の材料を添加してもよい。
(ウェル3の形状)
図2では、ウェル3の側面が底面に対して略鉛直方向に延びている例を示したが、側面に当たった蛍光を上方に反射させるには、ウェル3の側面および底面は曲面の方が望ましい。ここで、曲面とは、ウェル3の底面の中央部を通過する全方向の断面形状がいずれも曲線であることを意味し、曲面の具体的な断面形状としては、放物線や楕円の一部曲線などである。楕円の一部曲線とは、楕円をその短軸に平行な線で切断した当該楕円の半分以下の曲線である。
ウェル3の断面形状を放物線または楕円の一部曲線にすると、図7に示すように、ウェル3の開口部に近いほど、断面の接線の傾き角度が小さくなる。すなわち、ウェル3の開口部に近いほど、ウェル3の底面の法線方向と接線との為す角度はより小さくなる。図7では、ウェル3の開口部側の為す角度をθ1、ウェル3の底面側の為す角度をθ2としており、θ2>θ1である。よって、開口部に近い側の側面に当たった光の反射角度も小さくなり、法線方向に近い角度方向すなわち上方に蛍光が進行していく。
図8はウェル3の断面形状が楕円の一部曲線である場合の断面図であり、図8(a)は2本鎖核酸に結合した蛍光物質から斜め上方に進行する蛍光の光路軌跡を示し、図8(b)は2本鎖核酸に結合した蛍光物質から斜め下方に進行する蛍光の光路軌跡を示す図である。
図8(a)の場合、斜め上方に進行する蛍光は、例えばウェル3の左側曲面に当たり、上方に反射される。一方、図8(b)の場合、斜め下方に進行する蛍光は、例えばウェル3の左側曲面で反射された後、右側曲面でさらに反射されて、上方に進行する。蛍光の光路は、図8(a)や図8(b)に限られないが、ウェル3の断面形状を曲線にすることで、ウェル3内の2本鎖核酸に結合した蛍光物質に励起光が当たったことにより生じる蛍光の多くは、ウェル3の上方に進行する。よって、ウェル3の断面形状を曲線にすることで、検出器で検出される蛍光の割合を増やすことができる。
なお、ウェル3の側面および底面の全体が曲面である必要はない。例えば、図9(a)のように、ウェル3の開口部側は平坦面であってもよい。あるいは図9(b)のように、ウェル3の底面の少なくとも一部は平坦面であってもよい。すなわち、蛍光が当たる可能性の高い側面部分の少なくとも一部を曲面にするのが望ましい。本発明者の検討によれば、ウェル3の側面および底面の総面積に対して、約67%以上を曲面にすれば、蛍光を効率的に上方に進行させることができる。約67%以上とした根拠は下記の通りである。ウェル3の側面を曲面にすれば、図8に示したように蛍光がウェル3の上方に進行しやすくなる。アスペクト比b/a≧0.5で、かつウェル3の底面が平坦面であるとすると、ウェル3の側面および底面の総面積に対する曲面の割合は67%以上となる。
上述したように、ウェル3内で生じた蛍光をウェル3の上方に進行させる方策として、1)アスペクト比b/a>0.5、2)ウェル3の側面および底面の表面粗さRa<5μm、3)ウェル3の側面および底面の反射率≧50%、4)ウェル3の形状が曲面、の4つが考えられる。このうち、1)は必須条件であり、残りの2)〜4)は必ずしも必須条件ではなく、適宜、1)の条件と組み合わせて実施すれば、より上方に進行する蛍光の割合を増やすことができる。
図10は本実施形態による核酸増幅チップ1を用いたPCR法による遺伝子解析の処理手順の一例を示すフローチャートである。図10のフローチャートは、不図示のPCR測定装置にて行われる。
PCR測定装置に、核酸増幅チップ1をセットするにあたって、遺伝子解析を行う対象である検体とDNA抽出用の試薬とを所定の容器に入れて混合し、その一部を核酸増幅チップ1の各ウェル3内に注入する(ステップS1)。なお、各ウェル3内には、それぞれ別個のプライマが予め収納されているものとする。プライマは、特定の1本鎖DNAの特定の部位に結合する性質を持っている。よって、例えば、核酸増幅チップ1に4個のウェル3があり、各ウェル3に別種類のプライマをそれぞれ収納しておけば、検体に4種類のプライマに対応する1本鎖DNAのいずれかが含まれているか否かを検出できることになる。なお、場合によっては、2つ以上のウェル3内に、同一のプライマを入れておいてもよい。
この他、ウェル3内には、2本鎖DNAの数に応じた光量の蛍光を発生させるための蛍光物質を含んだPCR反応用の試薬や、二本鎖DNAの転写を促す酵素であるポリメラーゼも収納される。このように、ウェル3には、検体と、DNA抽出用の試薬と、プライマと、PCR反応用の試薬および酵素とが少なくとも収納される。なお、DNA抽出用の試薬で抽出されるDNAは、図11に示すように、相補的に結合した2本鎖DNA11である。
次に、ウェル3内の温度を上げることで、図12に示すように、検体中の2本鎖DNAを1本鎖DNAに分離させる(ステップS2)。このときの温度は90℃以上に設定される。2本鎖DNAが分離されることで、2つの1本鎖DNA12が生成されることになる。
次に、温度を40〜65℃程度に下げて、図13に示すように、分離した1本鎖DNAの特定の部位にプライマ13を結合させる(ステップS3)。
その後、温度を70℃程度にまで上げて、図14に示すように、プライマ13部分の2本鎖DNAを伸長させる(ステップS4)。これら2つの1本鎖DNAのそれぞれが2本鎖DNA11になるため、元の2本鎖DNA11が2倍に増えたことになる。ステップS4の処理が終了すると、ステップS2の処理に戻って、所定回数に達するまでステップS2〜S4の処理が繰り返される。
このように、図10のステップS1〜S4の処理を行うたびに、2本鎖DNAを2倍に増やすことができる。PCR法では、ステップS1〜S4の処理を30回程度繰り返して、2本鎖DNAの数を増幅する。一つのウェル3内で増幅する2本鎖DNAは、そこに収納されているプライマに依存する1種類だけであるため、それぞれ異なるプライマを入れた複数のウェル3では、それぞれ異なる2本鎖DNAを増やすことができる。よって、例えば、検体の中に、ある特定の病原体が含まれているか否かを検査する際には、この特定の病原体に対応した1本鎖DNAに結合するプライマをいずれかのウェル3の中に入れておけば、このウェル3内の2本鎖DNAの数が増えるかどうかで、検体に特定の病原体が含まれているか否かを検出できる。
PCR測定装置では、核酸増幅チップ1内の各ウェル3に対して励起光を照射して、2本鎖核酸に結合した蛍光物質が発する蛍光の光量すなわち強度を測定する。2本鎖DNAの数が多いほど、蛍光の光量は増大するため、蛍光の光量により、各ウェル3内で2本鎖DNAが増幅したか否かを判別することができる。PCR測定装置では、各ウェル3に入れたプライマの種類を把握しているため、蛍光の光量が多かったウェル3内のプライマの種類により、検体に含まれる特定の病原体等の遺伝子配列を特定することができる。
図10では、PCR法による遺伝子増幅の処理手順を説明したが、本実施形態は、PCR法以外の遺伝子増幅手法にも適用可能である。より具体的には、本実施形態は、SMAP(SMart Amplification Process)法、LAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification)法、ICAN(Isothermal and Chimeric primer-initiated Amplification of Nucleic acids)法、NASBA(Nucleic Acid Sequence-Based Amplification)法、SDA(Strand Displacement Amplification)法、TMA(Transcription-Mediated Amplification)法、TRC(Transcription-Reverse transcription Concerted)法などに幅広く適用可能である。
これらの方法はいずれも、結果として、2本鎖DNAを増幅するため、2本鎖DNAに結合する蛍光物質を含んだ試薬をウェル3の中に入れておくことで、PCR法と同様に、特定の遺伝子配列が増幅したか否かを判別できる。
上述した実施形態では、2本鎖DNAを増幅する例を説明したが、本実施形態は、DNAではなく、RNAを増幅する場合にも適用可能である。すなわち、本実施形態による核酸増幅チップ1は、DNAまたはRNAからなる2本鎖核酸を増幅する場合に適用可能である。
このように、本実施形態では、ウェル3のアスペクト比を0.5より大きくするため、ウェル3内で増幅した2本鎖核酸に結合した蛍光物質に励起光が当たって発光した蛍光を、効率よくウェル3の上方に進行させることができ、検出器で検出される蛍光の割合を増やすことができる。よって、検出器では、蛍光の光量を精度よく検出できる。また、ウェル3の内壁面の平滑度を向上させることで、内壁面に当たった蛍光を上方に反射させやすくすることができる。さらに、核酸増幅チップ1の材料として反射性能に優れた材料を用いることで、ウェル3の内壁面での反射率を高くすることができ、より多くの蛍光を上方に進行させることができる。また、ウェル3の内壁面を曲面とすることで、内壁面に当たった蛍光をより多く上方に進行させることができる。
本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本発明の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
1 核酸増幅チップ、2 基板、3 ウェル、11 2本鎖DNA、12 1本鎖DNA、13 プライマ

Claims (7)

  1. 2本鎖核酸の増幅のための複数のウェルが形成された基板を備え、
    前記ウェルは、当該ウェルの上方から当該ウェル内の前記2本鎖核酸に励起光を照射して生成される蛍光を当該ウェルの上方に進行させるものであり、
    前記ウェルの深さbを当該ウェルの径aで割ったアスペクト比は0.5より大きく設定される核酸増幅チップ。
  2. 前記ウェルの内壁面の表面粗さRaは、5μm以下である請求項1に記載の核酸増幅チップ。
  3. 前記ウェルの内壁面に入射される前記蛍光に対する反射率は50%以上である請求項1または2に記載の核酸増幅チップ。
  4. 前記基板は、ポリプロピレンをベース材料として、前記ポリプロピレンよりも反射率の高い有機物材料を含有させたものである請求項3に記載の核酸増幅チップ。
  5. 前記ウェルの内壁面は曲面である請求項1乃至4のいずれかに記載の核酸増幅チップ。
  6. 前記ウェルの深さ方向の断面形状は、楕円をその短軸に平行な線で切断した当該楕円の半分以下の曲線または放物線である請求項5に記載の核酸増幅チップ。
  7. 前記ウェルには、検体と、この検体に含まれる2本鎖核酸を抽出する試薬と、特定の1本鎖核酸の特定の部位に結合するプライマと、励起光の照射時に2本鎖核酸の数に応じた蛍光を生じさせる試薬と、前記2本鎖核酸の転写を促す酵素と、が収納される請求項1乃至6のいずれかに記載の核酸増幅チップ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11072242B2 (en) 2017-06-28 2021-07-27 Lg Chem, Ltd. Off-prevention circuit of contactor
WO2024069938A1 (ja) * 2022-09-30 2024-04-04 株式会社Mirai Genomics 核酸増幅用反応槽、カートリッジ及び核酸検出方法

Cited By (2)

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