JP2015179068A - 情報取得装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 光源からの光を効率的に利用できる情報取得装置を提供することを目的とする。【解決手段】 情報取得装置は、テラヘルツ波を検体に照射して前記検体の情報を取得する情報取得装置であって、光源1からの光が入射することによりテラヘルツ波を発生する光伝導素子2と、光伝導素子で発生したテラヘルツ波と光伝導素子を透過又は前記光伝導素子で反射した光とを分離して、その分離されたテラヘルツ波を検体に照射するテラヘルツ波照射部120と、検体からのテラヘルツ波を検出する検出部3と、テラヘルツ波照射部で分離された光を検出部に照射する光照射部130と、を有する。【選択図】 図1
Description
本発明は、テラヘルツ波を用いて、検体の情報を取得する情報取得装置に関する。
近年、ミリ波帯からテラヘルツ(THz)波帯まで(30GHz以上30THz以下)のうち少なくとも一部の周波数帯域を有する電磁波(以後、単に「テラヘルツ波」という)を用いた非破壊なセンシング技術が開発されている。この周波数帯の電磁波の応用分野として、安全な透視検査を行うイメージング技術、物質内部の吸収スペクトルや複素誘電率を求めて分子の結合状態などを調べる分光技術等が挙げられる。また、キャリア濃度や移動度、導電率などの物性を調べる計測技術、生体分子の解析技術などが開発されている。
特許文献1には、テラヘルツ波時間領域分光法(THz−TDS:THz−Time Domain Spectroscopy)を用いた情報取得装置が開示されている。具体的には、光源からの光を2つに分け、一方をポンプ光としてテラヘルツ波の発生部に照射し、他方をプローブ光として検出部に照射してテラヘルツ波の検出を行う情報取得装置である。
THz−TDS法では、プローブ光が検出部に到達する時間とポンプ光が発生用の光伝導素子に到達する時間との相対的な時間差を変更することにより、テラヘルツ波の時間波形を取得する。テラヘルツ波の伝搬路に測定対象となる検体を設置すると、検体の物性や光学特性に応じて時間波形が変化するため、時間波形の変化から検体を検査できる。
特許文献1に記載の情報取得装置で用いられるテラヘルツ波の発生部として、光伝導素子が広く用いられる。これは、低温成長によるSi、GaAs、InGaAs等の半導体を含む光伝導膜を用いるもので、光照射により励起されたキャリアが移動して流れる変位電流によってテラヘルツ波を発生する方式である。光として周波数差をもつ2つのレーザ光を入射させる差周波発生方式、フェムト秒パルスレーザ光の照射で光整流によりテラヘルツ波パルスを発生する方式が知られている。
特許文献1のように光源からの光を2つに分岐する場合、テラヘルツ波発生に用いるポンプ光のパワーが元のパワーよりも弱くなるため、光伝導素子から発生するテラヘルツ波のパワーも弱くなる。テラヘルツ波のパワーを大きくするために、より高い出力をもつ光源を用いる必要があるが、装置の大型化、高コスト化につながることがあった。テラヘルツ波のパワーは情報取得装置における測定精度に影響するため、光源からの励起光を効率的に利用してよりパワーの強いテラヘルツ波を得ることが求められていた。
本発明は上記課題に鑑み、光源からの光を効率的に利用できる情報取得装置を提供することを目的とする。
本発明の一側面としての情報取得装置は、テラヘルツ波を検体に照射して前記検体の情報を取得する情報取得装置であって、光源からの励起光が入射することによりテラヘルツ波を発生する光伝導素子と、前記光伝導素子で発生したテラヘルツ波と前記光伝導素子を透過又は前記光伝導素子で反射した励起光とを分離して、その分離されたテラヘルツ波を前記検体に照射するテラヘルツ波照射部と、前記検体からのテラヘルツ波を検出する検出部と、前記照射部で分離された励起光を前記検出部に照射する励起光照射部と、を有することを特徴とする。
本発明の一側面としての情報取得装置によれば、光源からの光を効率的に利用できる。
(第1の実施形態)
第1の実施形態の情報取得装置の構成について、図1を参照して説明する。本実施形態の情報取得装置は、図1のようなTHz−TDS法を用いたテラヘルツ波時間領域分光装置(THz−TDS装置)である。
第1の実施形態の情報取得装置の構成について、図1を参照して説明する。本実施形態の情報取得装置は、図1のようなTHz−TDS法を用いたテラヘルツ波時間領域分光装置(THz−TDS装置)である。
本実施形態の情報取得装置は、光源1、光伝導素子2、検出部3、変更部9、テラヘルツ波照射部120、光源1からの光の一部を前記検出部3に照射する光照射部130、を有する。光源1からの光を分岐せずに光伝導素子2に照射することによりテラヘルツ波が発生する。その際、光伝導素子2に吸収されなかった光がテラヘルツ波を同軸で出射するため、その光をプローブ光として検出部3に入射する構成である。ここで、光とテラヘルツ波とが同軸とは、光伝導素子2からの光の光軸と、光伝導素子2から発生したテラヘルツ波の光軸と、が同一直線上にあることを言う。なお、「テラヘルツ波の光軸」とは、伝搬するテラヘルツ波のビームの中心を示す線である。
光源1は、テラへルツ波の発生及び検出を行うための光を出力する部分で、本実施形態の光源1は、フェムト秒レーザ光を出力する。光源1は、ファイバレーザでもよい。光源1からの光は、レンズ4を介して光伝導素子2に照射される。
光伝導素子2は、光源1から光が入射することによりテラヘルツ波を発生する。本実施形態では、フェムト秒レーザが入射して、テラヘルツ波のパルス波が発生する。光伝導素子2は、半導体膜と、半導体膜に設けられた微小な間隙(ギャップ部)を有するアンテナ15とを有する。
ここで、例えば光源1から出力したフェムト秒レーザの中心波長が1.5μmである場合には、その波長の光が光伝導素子で効率よく吸収されるように、バンドギャップに相当する波長(以下、バンドギャップ波長と呼ぶ)が1.5μm以上の半導体膜を用いる。このような半導体膜として、例えば、低温成長(LT−)InGaAs等を含むものが挙げられる。しかし、このような三元系の半導体を使用した光伝導素子は、素子抵抗が比較的低い。
一方、バンドギャップ波長が1.5μmより小さい半導体膜を用いた光伝導素子においても、光をほとんど吸収しないものの、テラヘルツ波を発生する。これは、フェムト秒レーザを照射させるような超高速な励起過程の場合に発生する、結晶中に存在する欠陥による中間準位を介した励起及び多光子吸収の効果等による励起フォトキャリアの移動で発生するものである。このような半導体膜として、低温成長(LT−)GaAs、Si、GaP等を含むものが挙げられる。本実施形態では、光伝導素子2を透過した光をプローブ光として用いるため、光の吸収が少ない後述の半導体膜を用いて光伝導素子2を形成することが望ましい。
そこで本実施形態では、光伝導素子2としてGaAs基板上もしくはSi基板上にLT−GaAsをエピタキシャル成長して半導体膜を形成し、半導体膜上にギャップ部を有するアンテナ15を形成したものを用いる。アンテナ15は、AuGeNi/Au等を用いて形成する。
なお、光源1からの光の波長は、半導体膜に用いる半導体から以下の範囲とすることが望ましい。すなわち、半導体膜に用いる半導体のうち、バンドギャップが大きいAlN/GaN/InN系の半導体が挙げられる。GaNのバンドギャップ波長は約0.37μmである。また、バンドギャップが小さい半導体としてAlSb/GaSb系の半導体があり、GaSbのバンドギャップ波長は約1.85μmである。光は超短パルスレーザであるため波長に幅があるが、光の吸収を低減するために、光の中心波長がバンドギャップ波長程度より長いことが望ましい。そこで、光源1からの光は、その中心波長が、0.4μm以上2.0μm以下であることが望ましい。
光源1からの光を分離せずに、ポンプ光として光伝導素子2のアンテナ15のギャップ部に照射すると、入射した光のパワーの数10%のパワーの光13が射出される。すなわち、光源1からの光のパワーが平均200mWであった場合、例えば30mW以上80mW以下程度の光13が光伝導素子2を透過して、光を照射した面と対向する面より射出される。光伝導素子2に光に対する無反射コーティングを施せば、光の透過率をさらに向上できる。なお、光伝導素子2を透過した光13のパワーの程度は、光伝導素子2の構成によって変化し得る。
アンテナ15のギャップ部には不図示の電圧源より電圧が印加されている。この電圧を変調することにより、発生するテラヘルツ波の変調を行うこともできる。例えば、ロックインアンプを用いてテラヘルツ波を検出する場合には、アンテナ15のギャップ部に印加する電圧による変調を行ってもよい。もちろん、光チョッパーを用いてテラヘルツ波の変調を行ってもよい。
光伝導素子2に光を照射した面と対向する面には、Siレンズ16が備えられている。光源1からの光を光伝導素子2に照射することにより発生したテラヘルツ波12は、Siレンズ16を介して射出され、テラヘルツ波照射部120によって検体11に照射される。テラヘルツ波照射部120は、光伝導素子2から発生したテラヘルツ波12と光伝導素子2を透過した光とを分離して、分離したテラヘルツ波12を検体11に照射する部分である。具体的には、テラヘルツ波12は、放物面鏡5によって集光されて分離部10に到達する。分離部10に到達したテラヘルツ波は、分離部10で反射されて検体11に照射される。検体11からのテラヘルツ波は、集光されて検出部3に入射する。
検出部3は、検体11からのテラヘルツ波を検出する部分で、本実施形態では発生用の光伝導素子2と同様の光伝導素子を用いる。すなわち、検出部3は、LT−GaAs膜を含む光伝導膜と、電極を兼ねるアンテナとを備えた光伝導素子である。検出部3としての光伝導素子も、発生部としての光伝導素子1と同様に、Si基板上にLT−GaAs膜をエピタキシャル成長させたもの等でもよい。また、検出部3には検体11からのテラヘルツ波をアンテナのギャップ部に結合させるSiレンズ17が設けられる。なお、検出部3はこれに限らず、非線形光学結晶を用いたテラヘルツ波検出器など、光伝導素子以外の既知のテラヘルツ波の検出器を用いることができる。
上述したように、光伝導素子2からはテラヘルツ波12と同軸を伝搬する光13がSiレンズ16を介して出射される。図1には、この光13の中心軸を点線で示している。光伝導素子2を透過した光13は、図1で示したように放物面鏡5を介して分離部10に到達する。分離部10まではテラヘルツ波12と光13とは互いに同軸である。分離部10に到達した光13は、分離部10を透過した後、レンズ7、ミラー6、レンズ8、変更部9、レンズ14を有し、光源1からの光の一部を検出部3に照射する光照射部130を介してプローブ光として検出部3に入射される。このとき、光13は、検出部3としての光伝導素子に対してテラヘルツ波12とは反対側から入射する。
変更部9は、テラヘルツ波12が検出部3に入射するタイミングに対するプローブ光13が検出部3に入射するタイミングを変更する部分である。具体的には、ポンプ光が光源1から発生用の光伝導素子2に到達するまでの時間とプローブ光13が検出部3に到達するまでの時間との差を調整する。これにより、THz−TDS装置として動作させてテラヘルツ波12の時間波形を観測することが可能となる。
本実施形態の変更部9は、プローブ光を折り返す折り返し光学系と、折り返し光学系を移動する可動部とを有する遅延ステージで、遅延ステージを移動することによりプローブ光の光路長を変更する。変更部9における光路長の変更量は、制御部18によって制御されている。可動部には回転する系等を適用しても良い。また、この方法に限らず、プローブ光の伝播経路中の屈折率等を変化させることで光路長を変化させる方法等も適用できる。
テラヘルツ波12と光13とが入射すると、検出部3がテラヘルツ波の検出を行う。テラヘルツ波12の信号は、テラヘルツ波12と光13とが検出部3に同時に照射されたときにアンテナに流れる電流を出力信号としてアンプなどの信号取得部101が取得することにより検出される。処理部102は、信号取得部101が取得した出力信号を用いて検体11の情報であるテラヘルツ波12の時間波形を形成する。処理部102には、取得した時間波形を用いて検体11の光学特性や形状等の情報を取得する機能をさらに設けてもよい。
ここで、テラヘルツ波照射部120に含まれる分離部10について説明する。分離部10は、光伝導素子2で発生したテラヘルツ波12と光伝導素子2を透過した光13とを分離する部分で、本実施形態では照射された光を波長毎に分離する波長分離素子を用いる。具体的には、ガラス基板上にITO膜(インジウムスズ酸化物)を成膜したものを使用している。このような構成にすることにより、テラヘルツ波12は分離部10で反射され、光13は分離部10を透過する。
なお、本実施形態ではテラヘルツ波12と光13との分離を板状部材で行っているが、放物面鏡5を透光性材料(例えば、ガラス、樹脂など)にし、表面にITOコーティングしたものなどでもよい。この場合は、ミラー等を配置した光学系を適切に配置して、放物面鏡5を透過した光13が検出部3としての光伝導素子に照射されるように光照射部130の構成を変更すればよい。また、分離部10としては、ワイヤーグリッド、メッシュ等の既知の波長分離素子を用いることもできる。
図2(a)は、本実施形態のTHz−TDS装置を用いて取得したテラヘルツ波12の時間波形である。図2(b)は、図2(a)の時間波形をフーリエ変換して取得した強度スペクトルである。なお、図2(a)に示した時間波形は、光源1からの光のパルス幅が30fsの場合に取得したものである。
テラヘルツ波12の半値幅はおよそ300fs、SN比がゼロとなるフーリエ周波数は5THz程度である。なお、テラヘルツ波の検出においては、検出部3に照射されるプローブ光13は、第二次高調波発生素子(不図示)によって周波数(波長はおよそ750nm)を2倍に変換した後、検出部3に入射させている。ただし、第二次高調波発生素子は使用しなくてもテラヘルツ波の検出は可能である。
このような情報取得装置を用いて、検体11の情報として検体11に照射されたテラヘルツ波の時間波形を取得できる。この時間波形を処理することにより、検体11の光学特性や状態、形状などを調べることができる。また、検体11をラスタースキャンすることで、テラヘルツ波による検体11のイメージング像を取得できる。
本実施形態の情報取得装置では、光源1からの光を分岐せずに発生用の光伝導素子2に照射することができ、さらに光伝導素子2を透過して射出した光をプローブ光として用いることができる。そのため、光源1からの光を効率的に利用できる。
また、従来のように、光源1からの光を分岐してパワーが減少した光を照射してテラヘルツ波を発生させる場合に比べて、より強い光を光伝導素子2に照射できる。そのため、光源1を変更することなくテラヘルツ波12のパワーを向上できる。特に、本実施形態のように、中間準位を介した励起や多光子吸収の効果を用いる光伝導素子をテラヘルツ波発生部として用いる場合には、非線形現象のため発生するテラヘルツ波のパワーは入射する光のパルスの尖頭値の1.4乗から2乗に比例する。そのため、光源1からの光を分岐せずに利用できる効果は大きい。
(第2の実施形態)
第2の実施形態の情報取得装置について、図3を参照して説明する。本実施形態の情報取得装置は、テラヘルツ波照射部320の構成が第1の実施形態と異なる。具体的には、本実施形態のテラヘルツ波照射部320は、分離部39が小型のレンズ31と穴空き放物面鏡36とで構成されており、分離部39で分離されたテラヘルツ波30は、穴空き放物面鏡36及び放物面鏡35を介して検体11に照射される。小型のレンズ31はボールレンズである。なお、図3において、第1の実施形態と同様の構成は、符番を省略もしくは同一符番を付しており、同様の構成については説明を省略する。
第2の実施形態の情報取得装置について、図3を参照して説明する。本実施形態の情報取得装置は、テラヘルツ波照射部320の構成が第1の実施形態と異なる。具体的には、本実施形態のテラヘルツ波照射部320は、分離部39が小型のレンズ31と穴空き放物面鏡36とで構成されており、分離部39で分離されたテラヘルツ波30は、穴空き放物面鏡36及び放物面鏡35を介して検体11に照射される。小型のレンズ31はボールレンズである。なお、図3において、第1の実施形態と同様の構成は、符番を省略もしくは同一符番を付しており、同様の構成については説明を省略する。
本実施形態の分離部39は、ボールレンズ31と穴37が設けられた穴空き放物面鏡(ミラー)36とを有する。BK7等のガラス製のボールレンズ31は、テラヘルツ発生側の光伝導素子のSiレンズ16の近くに配置されている。ボールレンズ31は、Siレンズ16の頂点に接着してもよい。なお、本実施形態のボールレンズ31の直径は3mm程度であり広帯域ARコーティング行ったものを用いているが、これに限るものではない。
このボールレンズ31によって、光伝導素子2を透過した光34が集光されて、平行光として伝搬する。その後、光34は、テラヘルツ波30を反射させるための穴空き放物面鏡36の一部に穿孔された穴37を通過して複数の反射ミラー38を含む光学系、変更部9、反射ミラー33、レンズ14を含む光照射部330を伝搬して検出部3に照射される。穴37の穴径は、本実施形態では3mmφ程度とする。光照射部330は、光源1からの光の一部をプローブ光として検出部3に照射する部分である。
一方、光伝導素子2で発生したテラヘルツ波30は、その一部がボールレンズ31に吸収されたり穴37を抜けたりするものの、大部分は分離部39の穴空き放物面鏡36で反射されて放物面鏡35を通って検体11に照射される。検体11に照射されたテラヘルツ波は、光学系とSiレンズ17を通って検出部3に入射する。
光伝導素子2からのテラヘルツ波30のうちボールレンズ31に照射された部分は、一部が反射等されるがガラスでの吸収が大きいためほとんど透過しない。しかし、テラヘルツ波30は、伝搬している間に回折が起こるため、検体11や検出部3としての光伝導素子のアンテナ部に照射される際に、テラヘルツ波の内部に円環状の抜けが生じることはない。穴空き放物面鏡36の穴37における影響も同様にテラヘルツ波30の伝搬において大きな影響を与えるものではない。情報取得装置の動作や被検体の測定に関しては、第1の実施形態と同様である。
本実施形態の情報取得装置では、光源1からの光を分岐せずに光伝導素子2に照射することができ、さらに光伝導素子2から射出した光をプローブ光として用いることができる。そのため、光源1からの光を効率的に利用できる。
また、本実施形態の分離部39は、第1の実施形態で用いた分離部10よりも小型であるため、情報取得装置の小型化に寄与できる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態の情報取得装置について、図4を参照して説明する。上述の実施形態では、テラヘルツ波を発生する光伝導素子2からの光をプローブ光として利用していた。それに対し、本実施形態では、光伝導素子2からの光をプローブ光として用いる構成に加え、光源45が出力する光を安定化するためのフィードバック系にも利用する構成をさらに追加している。光源45が出力する光を安定化することにより、発生するテラヘルツ波の安定化を可能としたものである。なお、第1の実施形態と同様の構成は、図中の符番を省略もしくは同一符番を付している。
第3の実施形態の情報取得装置について、図4を参照して説明する。上述の実施形態では、テラヘルツ波を発生する光伝導素子2からの光をプローブ光として利用していた。それに対し、本実施形態では、光伝導素子2からの光をプローブ光として用いる構成に加え、光源45が出力する光を安定化するためのフィードバック系にも利用する構成をさらに追加している。光源45が出力する光を安定化することにより、発生するテラヘルツ波の安定化を可能としたものである。なお、第1の実施形態と同様の構成は、図中の符番を省略もしくは同一符番を付している。
光伝導素子2からのテラヘルツ波12と光13とは、第1の実施形態と同様にテラヘルツ波照射部120に含まれる分離部10で分離される。テラヘルツ波12を検体11及び検出部3に導く構成は、第1の実施形態と同様であるため詳細な説明は省略する。
本実施形態の光照射部430は、光源1からの光の一部を検出部3に照射する部分で、レンズ7、ミラー6、レンズ8、光分岐部40、変更部9、レンズ14を有する。分離部10で分離された光13はレンズ7、ミラー6、レンズ8を介して光分岐部40に到達する。光分岐部40は、光伝導素子2からの光13を第1の光41と第2の光42とに分岐する。光分岐部40によって分岐された第2の光42は、第1の実施形態と同様にプローブ光として検出部3に照射される。
光分岐部40で分岐された第1の光41(第1の光41のパワーは、例えば、第2の光42のパワーの10%程度とする)は、ミラー43、44を通って、光源45にフィードバックされる。
光源45は、第1の光41を検出する光検出部46と光検出部46の検出結果を用いて光の出力を調整する出力調整部47とを含む調整機構を有する。これにより、フィードバックされた第1の光41を光検出部46で検出して、その強度変動に基づいて出力調整部47が出力を一定に保つような調整を行う。これらの調整機構には既知の方法及び装置を用いることができ、例えば、レーザ出力段に可変NDフィルタを設けるなどの方法が可能である。調整機構は光源45に内蔵されていてもよいし、調整機構の一部又は全部が外部に設けられていてもよい。
本実施形態の情報取得装置では、光源45からの光を分岐せずに光伝導素子2に照射することができる。さらに、光伝導素子2で吸収されずに射出した光をプローブ光として用いると同時に、光源45からの光を安定化するために光源45にフィードバックできる。そのため、光源45からの光を効率的に利用できる。
また、本実施形態では、光伝導素子2を透過した光をフィードバックすることにより、光伝導素子2に照射されている光のパワーにより近いものをモニターできる。そのため、光のパワーの安定化、ひいては光伝導素子2から発生するテラヘルツ波12の出力を精度よく安定化できる。
なお、テラヘルツ波照射部及び光照射部の構成は、本実施形態に記載の構成に限らず、前述及び後述する別の実施形態に記載の構成にフィードバック系を追加することも可能である。また、本実施形態では光伝導素子からの光を分岐して一方をプローブ光として用い、他方を光源45にフィードバックしているが、フィードバック系のみの構成としてもよい。
(第4の実施形態)
第4の実施形態の情報取得装置について図5を参照して説明する。本実施形態は、テラヘルツ発生側の光伝導素子50の配置を変更して、光伝導素子50の光が入射する面で反射した光、及び、光伝導素子50の光が入射する面から発生したテラヘルツ波を用いる構成である。また、テラヘルツ波照射部520の構成も前述の実施形態と異なる。
第4の実施形態の情報取得装置について図5を参照して説明する。本実施形態は、テラヘルツ発生側の光伝導素子50の配置を変更して、光伝導素子50の光が入射する面で反射した光、及び、光伝導素子50の光が入射する面から発生したテラヘルツ波を用いる構成である。また、テラヘルツ波照射部520の構成も前述の実施形態と異なる。
テラヘルツ波照射部520は、分離部53と放物面鏡57とを有する。光伝導素子50で発生したテラヘルツ波512と光伝導素子50で反射した光513とは分離部53で分離される。分離部53は、光透過性を有する部材の表面にITO膜を蒸着した放物面鏡を用いる。なお、分離部53の構成はこれに限らず上述又は後述の構成を用いることができる。
光伝導素子50から発生したテラヘルツ波512は、分離部53で反射した後、集光されて平行なテラヘルツ波となって伝搬する。その後、放物面鏡57を介して検体11に照射される。検体11からのテラヘルツ波は、光学系及びSiレンズ17を通って検出部3としての光伝導素子に入射する。
また、光伝導素子50で反射した光513は、分離部53を透過して、2つの光学レンズ54、55、ミラー56、変更部9、レンズ58を有する光照射部530を介して検出部3に照射される。光照射部530は、光源1からの光の一部を検出部3に照射するプローブ光照射部である。具体的には、光513は分離部53でテラヘルツ波512と分離された後、2つの光学レンズ54、55でビーム径が変換され、ミラー56を介して変更部9に到達する。その後、第1の実施形態と同様に変更部9、光学レンズ58を通って検出部3に照射される。試料11からのテラヘルツ波の時間波形を取得する方法は、上述の実施形態と同様である。
テラヘルツ波を発生する光伝導素子50は、光源1からの光が入射する面と対向する面にSiレンズ52が配置されている。これは、テラヘルツ波を射出するためではなく、光伝導素子50に光を入射する面と対向する面でテラヘルツ波が反射して多重パルスが発生することを防ぐものである。
本実施形態の情報取得装置では、光源1からの光を分岐せずに光伝導素子50に照射することができ、さらに光伝導素子50で反射した光をプローブ光として用いることができる。そのため、光源1からの光を効率的に利用できる。
また、本実施形態では、光伝導素子50で発生したテラヘルツ波及び光伝導素子50で反射した光は、光伝導素子50の基板を透過しない。そのため、テラヘルツ波及び光のどちらにおいても、半導体結晶における分散の影響を受けずにパルス幅の狭いものが得られるという特徴がある。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
例えば、上述の実施形態では検体を透過したテラヘルツ波を検出する透過型の情報取得装置が記載されているが、検体から反射したテラヘルツ波を検出する反射型の情報取得装置にも適用できる。全反射(ATR:Attenuated Total Reflectance)型にして全反射面に検体を設置する構成でもよい。また、検体に対するテラヘルツ波の照射位置を変更する位置変更部と、検体の異なる位置毎に取得した検体の情報を用いて、検体のイメージング画像を形成する画像形成部を有する構成としてもよい。また、テラヘルツ波照射部及び光照射部を含め、テラヘルツ波、光が伝搬する種々の光学系は、上述の実施形態に限らず、必要に応じてその構成を変更できる。
光源が出力する光としてフェムト秒レーザの場合を説明したが、わずかに波長の異なる複数の単一波長レーザを光伝導素子に照射する構成としてもよい。その場合、複数の単一波長レーザの差周波に応じたテラヘルツ波が発生する。単一波長レーザの波長を変化させれば、発生するテラヘルツ波の波長を変化させることができる。
また、照射部において光伝導素子で発生したテラヘルツ波と光伝導素子を透過又は光伝導素子で反射した光とを分離する場合の分離部は、上述の実施形態に記載の方法に限らない。具体例として、誘電体の多層膜を有する薄膜鏡(ペリクルミラー)が挙げられる。ポリエステルの薄膜等を有し、全体の厚さが100μm以下、望ましくは数10μm以下のペリクルミラーを照射部に配置することにより、テラヘルツ波がペリクルミラーを透過するようにする。これに対し、光はペリクルミラーで反射されるため、テラヘルツ波と光とを分離できる。
上述の実施形態では、光源からの光が光伝導素子に入射することにより発生したテラヘルツ波と光伝導素子からの光とを分離してから、テラヘルツ波を検体に照射している。この構成に限らず、テラヘルツ波と光とを検体に照射した後に分離して、それぞれ検出部に導く構成にすることもできる。この場合、検体に照射された光は、検体で反射、散乱されるため、光への影響の少ない検体を選択することが望ましい。
1 光源
2 光伝導素子
3 検出部
11 検体
120 テラヘルツ波照射部
130 光照射部
2 光伝導素子
3 検出部
11 検体
120 テラヘルツ波照射部
130 光照射部
Claims (8)
- テラヘルツ波を検体に照射して前記検体の情報を取得する情報取得装置であって、
光源からの光が入射することによりテラヘルツ波を発生する光伝導素子と、
前記光伝導素子で発生したテラヘルツ波と前記光伝導素子を透過又は前記光伝導素子で反射した光とを分離して、その分離されたテラヘルツ波を前記検体に照射するテラヘルツ波照射部と、
前記検体からのテラヘルツ波を検出する検出部と、
前記テラヘルツ波照射部で分離された光を前記検出部に照射する光照射部と、を有する
ことを特徴とする情報取得装置。 - 前記テラヘルツ波照射部で分離された光を、第1の光と第2の光とに分岐する分岐部と、
前記第1の光を検出する光検出部と、
前記光検出部の検出結果を用いて前記光源からの光の出力を調整する調整部と、を更に有し、
前記光照射部は、前記第2の光を前記検出部に照射する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報取得装置。 - 前記光伝導素子は、半導体を有し、
前記光源からの光の中心波長は、前記半導体のバンドギャップに相当する波長より長い
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報取得装置。 - 前記光源からの光の中心波長は、0.4μm以上2.0μm以下である
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の情報取得装置。 - 前記光伝導素子を透過又は前記光伝導素子で反射した光の光軸と前記光伝導素子で発生したテラヘルツ波の光軸とは、同一直線上にある
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の情報取得装置。 - 前記テラヘルツ波照射部は、前記光伝導素子で発生したテラヘルツ波と前記光伝導素子からの光とを分離する波長分離素子を有する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の情報取得装置。 - 前記テラヘルツ波照射部は、前記光伝導素子を透過又は前記光伝導素子で反射した光を集光するレンズと、前記光伝導素子で発生したテラヘルツ波を反射するミラーと、を有し、
前記ミラーは、前記レンズで集光された光が通過する穴が設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の情報取得装置。 - 前記検体に対するテラヘルツ波の照射位置を変更する位置変更部と、
前記検出部の検出結果を用いて前記検体の画像を取得する画像形成部と、を更に有する
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の情報取得装置。
Priority Applications (2)
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WO2023074761A1 (ja) * | 2021-10-27 | 2023-05-04 | 浜松ホトニクス株式会社 | 結晶形態判別方法 |
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