JP2015169275A - 高負荷伝動用vベルト及びその製造方法 - Google Patents

高負荷伝動用vベルト及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2015169275A
JP2015169275A JP2014044828A JP2014044828A JP2015169275A JP 2015169275 A JP2015169275 A JP 2015169275A JP 2014044828 A JP2014044828 A JP 2014044828A JP 2014044828 A JP2014044828 A JP 2014044828A JP 2015169275 A JP2015169275 A JP 2015169275A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
belt
high load
load transmission
fiber
short fibers
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014044828A
Other languages
English (en)
Inventor
智仁 市来
Tomohito Ichiki
智仁 市来
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bando Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Bando Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bando Chemical Industries Ltd filed Critical Bando Chemical Industries Ltd
Priority to JP2014044828A priority Critical patent/JP2015169275A/ja
Publication of JP2015169275A publication Critical patent/JP2015169275A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

【課題】優れた耐久性を有する高負荷伝動用Vベルトを提供する。【解決手段】高負荷伝動用Vベルト10の各ブロック14は、センターピラー14cの表層部分を含む全体積のうち20体積%以上の部分が無機短繊維23を15〜80質量%含む繊維強化樹脂で形成されている。センターピラー14cの表層部分を形成する繊維強化樹脂は、無機短繊維のうち繊維長さが1〜25mmの無機短繊維の半数以上が、ベルト厚さ方向を基準として?40?以内の配向角を有してベルト厚さ方向に配向している。【選択図】図2

Description

本明細書に開示した技術は、一対の張力帯と複数のブロックとを備えた高負荷伝動用Vベルト及びその製造方法に関する。
自動車等のベルト式無段変速装置に用いられる高負荷伝動用Vベルトとして、一対の無端状の張力帯と、それらの一対の張力帯に沿ってベルト長さ方向に並ぶように設けられた複数のブロックとを備えたものが知られている。
特許文献1には、高負荷伝動用Vベルトのブロックが金属製の補強部材とそれを被覆する炭素短繊維で補強された繊維強化樹脂で形成された樹脂被覆部とを有し、ブロックの両側面において炭素短繊維が縦方向に配向した構成が開示されている。
特許文献2には、高負荷伝動用Vベルトのブロックが補強部材を有さず、炭素繊維で強化された樹脂のみで形成された構成が開示されている。
特許文献3には、高負荷伝動用Vベルトのブロックが、炭素繊維を一方向に並べたものや炭素繊維の織布に樹脂を含浸させたプリプレグを積層した繊維強化樹脂で形成された構成が開示されている。
特開2011−236994号公報 特開2004−3531号公報 特開2010−133551号公報
本発明の課題は、優れた耐久性を有する高負荷伝動用Vベルトを提供することである。
本発明の高負荷伝動用Vベルトは、ベルト幅方向に並ぶと共に、各々、ベルト長さ方向に延びるように設けられた一対の無端状の張力帯と、前記一対の張力帯に沿ってベルト長さ方向に並ぶように設けられていると共に、各々、ベルト厚さ方向の外周側及び内周側をそれぞれベルト幅方向に延びる外周側ビーム及び内周側ビームと、前記外周側ビーム及び前記内周側ビームの中央部間をベルト厚さ方向に延びて連結するセンターピラーとを有すると共に、前記センターピラーのベルト幅方向の両側における前記外周側ビーム及び前記内周側ビーム間に前記一対の張力帯が嵌合した複数のブロックとを備えた高負荷伝動用Vベルトであって、前記複数のブロックのそれぞれは、前記センターピラーの表層部分を含む全体積のうち20体積%以上の部分が無機短繊維を15〜80質量%含む繊維強化樹脂で形成されており、前記センターピラーの表層部分を形成する繊維強化樹脂は、前記無機短繊維のうち繊維長さが1〜25mmの無機短繊維の半数以上が、ベルト厚さ方向を基準として±40°以内の配向角を有する。
本発明の高負荷伝動用Vベルトの製造方法は、金型を用いてブロックを成形する際に、無機短繊維とマトリクス樹脂とを含む溶融させた成形材料を、一箇所以下の屈曲部を有するランナーを介して前記金型のキャビティに供給する。
本発明によれば、複数のブロックのそれぞれが、センターピラーの表層部分を含む全体積のうち20体積%以上の部分が無機短繊維を15〜80質量%含む繊維強化樹脂で形成されており、また、センターピラーの表層部分を形成する繊維強化樹脂が、無機短繊維のうち繊維長さが1〜25mmの無機短繊維のうち半数以上が、ベルト厚さ方向を基準として±40°以内の配向角を有するので、無機短繊維によるセンターピラーの補強効果が著しく高められ、その結果、従来に比べて非常に優れた耐久性を有する高負荷伝動用Vベルトを得ることができる。
図1は、実施形態に係る高負荷伝動用Vベルトの一部分の斜視図である。 図2は、実施形態に係る高負荷伝動用Vベルトのベルト幅方向の断面図である。 図3は、実施形態に係る高負荷伝動用Vベルトの側面図である。 図4は、ブロックの正面図である。 図5(a)は、補強部材を有するブロックの断面図であり、及び図5(b)は、補強部材を有さないブロックの断面図である。 図6は、ブロックにおける無機短繊維の配向方向を示す正面図である。 図7は、ブロックの成形材料のペレットの斜視図である。 図8は、金型のランナー構造を示す図である。 図9(a)は、ベルト外周面を形成する部分にゲートが設けられたブロック成形用のキャビティを示す平面図であり、及び図9(b)は、ベルト内周面を形成する部分にゲートが設けられたブロック成形用のキャビティを示す平面図である。 図10(a)、(b)は、プレス成形によるブロックの作製方法の一例を示す図である。 図11は、プレス成形によるブロックの作製方法の他の例を説明する図である。 図12は、高負荷伝動用Vベルトを試験評価するためのベルト走行試験機の構成を示す図である。
(高負荷伝動用Vベルト)
図1〜3は、実施形態に係る高負荷伝動用Vベルト10を示す。この実施形態に係る高負荷伝動用Vベルト10は、自動車のベルト式無段変速装置の他、駆動力の伝達手段として種々の機器に用いられる。
実施形態の高負荷伝動用Vベルト10は、ベルト幅方向に並ぶと共に、各々、ベルト長さ方向に延びるように設けられた一対の無端状の張力帯11と、それらの一対の張力帯11に沿ってベルト長さ方向に並ぶように設けられた複数のブロック14とを備える。
各張力帯11は、熱膨張材質製の保形層11aとそこにベルト幅方向にピッチを有する螺旋を形成するように配されて埋設された心線11bとを有する。
保形層11aは、例えば、メタクリル酸亜鉛で強化された水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴム(H−NBR)等のゴム組成物で形成されている。
心線11bは、アラミド繊維等の高強度高弾性率を示す繊維の撚り糸や組紐で構成されている。心線11bには、保形層11aとの接着のためにRFL水溶液(レゾルシン・ホルマリン・ラテックス水溶液)に浸漬した後に加熱する接着処理及び/又はゴム糊に浸漬した後に乾燥させる接着処理が施されている。
保形層11aのベルト厚さ方向の外周側は、上側帆布13aで被覆されていてもよい。また、保形層11aのベルト厚さ方向の内周側は、下側帆布13bで被覆されていてもよい。これらの上側帆布13a及び下側帆布13bは、例えばナイロン製の織布により構成されており、保形層11aとの接着のためにRFL水溶液に浸漬した後に加熱する接着処理及び/又はゴム糊に浸漬した後に乾燥させる接着処理が施されている。
図4はブロック14を示す。
ブロック14は、ベルト厚さ方向の外周側及び内周側をそれぞれベルト幅方向に延びる上ビーム14a(外周側ビーム)及び下ビーム14b(内周側ビーム)と、それらの上ビーム14a及び下ビーム14bの中央部間をベルト厚さ方向に延びて連結するセンターピラー14cとを有し、正面視においてHを横倒しにした形状に形成されている。そして、ブロック14のセンターピラー14cのベルト幅方向の両側における上ビーム14a及び下ビーム14b間に嵌合部15が構成され、それらの嵌合部15に一対の張力帯11がそれぞれ嵌合している。以上により実施形態の高負荷伝動用Vベルト10は、一対の無端状の張力帯11に、そのベルト長さ方向に沿って設けられた複数のブロック14のそれぞれが係止固定された構成を有する。そして、ブロック14の両側面がプーリとの接触面16a,16bに構成されている。上ビーム14a、下ビーム14b、及びセンターピラー14cのベルト厚さ方向の寸法は、それぞれ例えば約20〜30mm、約20〜30mm、及び約10〜16.5mm程度である。また、センターピラー14cのベルト幅方向の寸法Wは、例えば3.6〜6.5mm程度である。
ブロック14は、センターピラー14cの表層部分を含む全体積のうち20体積%以上の部分が無機短繊維23を15〜80質量%含む繊維強化樹脂で形成されている。ここで、本出願において、「表層部分」とは、表面から深さ0.05mm以内の部分を意味する。
繊維強化樹脂を構成するマトリクス樹脂は、ナイロン6,6樹脂やナイロン4,6樹脂等の熱可塑性樹脂であってもよいが、耐熱性の観点から熱硬化性樹脂が好ましく、ガラス転移温度(Tg)が100℃以上の熱硬化性樹脂がより好ましい。具体的には、かかる熱硬化性樹脂として、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
ブロック14を形成する繊維強化樹脂を構成する熱硬化性樹脂のマトリクス樹脂は、上記に列挙したもののうちフェノール樹脂が好ましい。この場合、フェノール樹脂を構成するフェノール類としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノールなどのアルキルフェノール;1−ナフトール、2−ナフトールなどのナフトール類;ヒドロキシビフェニルなどのヒドロキシアリール化合物;多価フェノールやサリチル酸などの水酸基以外の官能基を有するフェノール化合物等が挙げられる。フェノール類は、単一種で構成されていても、また、複数種で構成されていても、どちらでもよい。このように繊維強化樹脂のマトリクス樹脂がフェノール樹脂であることにより、高負荷伝動用Vベルト10の高い耐熱性及び耐摩耗性を得ることができる。
ブロック14を形成する繊維強化樹脂に含まれる無機短繊維23としては、例えば、炭素短繊維、ガラス短繊維、チタン酸カリウムや炭酸カルシウムなどからなるウィスカ等が挙げられる。これらのうち炭素短繊維及びガラス短繊維が好ましい。無機短繊維23は、単一種で構成されていても、また、複数種で構成されていても、どちらでもよい。
炭素短繊維は、PAN系炭素短繊維であってもよく、また、ピッチ系炭素短繊維であってもよく、さらに、それらの併用であってもよい。炭素短繊維の繊維径は例えば5〜15μmである。炭素短繊維は、引張強さが2300MPa以上であることが好ましく、切断時伸度が0.4%以上であることが好ましく、引張弾性率が230GPa以上であることが好ましい。
ガラス短繊維の繊維径は例えば6〜12μmである。炭素短繊維は、引張強さが3200MPa以上であることが好ましく、切断時伸度が4.0%以上であることが好ましく、引張弾性率が70GPa以上であることが好ましい。
ブロック14を形成する繊維強化樹脂における無機短繊維23の含有率は15〜80質量%であるが、無機短繊維23による補強効果を高める観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上であり、また、ブロック14の成形性の観点から、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。
ブロック14を形成する繊維強化樹脂には、マトリクス樹脂及び無機短繊維23の他、スラグ繊維、岩石繊維、金属繊維等が含まれていてもよい。
ブロック14は、図5(a)に示すように、上ビーム14a、下ビーム14b、及びセンターピラー14cに対応する部分27a,27b,27cを有する正面視においてHを横倒しにした形状の補強部材27と、補強部材27の少なくともセンターピラー14cに対応する部分27cを被覆するように設けられた繊維強化樹脂で形成された樹脂被覆部29とを有していてもよい。この場合、比重の大きい補強部材27が占める割合が高いと、軽量化を図ることができず、また、ブロック14が重くなるためにベルト走行時の回転による遠心力が大きくなり、プーリとの噛み合わせが悪くなって高負荷耐久性が低くなる一方、補強部材27が占める割合が低いと、十分な補強効果が得られないことから、ブロック14の繊維強化樹脂で形成された部分の全体積における割合は、それらのバランスの観点から、好ましくは20〜60体積%、より好ましくは30〜40体積%以上であり、また、100体積%も好ましい。樹脂被覆部29の厚さは、ブロック14の部位によっても異なるが、例えば0.8〜1.5mm程度である。補強部材27は、例えばアルミニウム合金等の金属で形成されていてもよく、また、樹脂被覆部29とは別の繊維強化樹脂で形成されていてもよい。なお、この場合、ブロック14は、補強部材27全体が樹脂被覆部29で被覆されていてもよく、また、補強部材27のセンターピラー14c及びプーリとの接触面16a、16bに対応する部分を含む一部分が樹脂被覆部29で被覆されていて残りの部分が露出していてもよい。
また、ブロック14は、図5(b)に示すように、全体積の100体積%が繊維強化樹脂で形成されていてもよい。つまり、ブロック14は、繊維強化樹脂のみで形成されていてもよい。
ブロック14におけるセンターピラー14cの表層部分を形成する繊維強化樹脂は、図6に示すように、無機短繊維23のうち繊維長さが1〜25mmの無機短繊維23のうち半数以上が、ベルト厚さ方向を基準として±40°以内の配向角θを有し、ベルト厚さ方向に配向している。
高負荷伝動用Vベルト10をベルト走行させた際には、ブロック14のセンターピラー14c、とりわけセンターピラー14cと上ビーム14aとの結合部のコーナー17a、及びセンターピラー14cと下ビーム14bとの結合部のコーナー17bにはベルト幅方向又はベルト進行方向に強い応力が作用する。これに対し、実施形態に係る高負荷伝動用Vベルト10によれば、ブロック14におけるセンターピラー14cの表層部分を形成する繊維強化樹脂では、無機短繊維23のうち繊維長さが1〜25mmの無機短繊維23のうち半数以上が、ベルト厚さ方向を基準として±40°以内の配向角θを有してベルト厚さ方向に配向している。そのため、無機短繊維23の配向方向に対して垂直な方向の応力に対するセンターピラー14cの補強効果が著しく高められ、センターピラー14c並びにその両端の上ビーム14a及び下ビーム14bとの結合部のコーナー17a,17bに強い応力が作用しても、ブロック14が容易に破損することはなく、その結果、従来に比べて非常に優れた耐久性を得ることができる。
ブロック14におけるセンターピラー14cの補強効果を高める観点からは、ブロック14におけるセンターピラー14cの表層部分のみならず、センターピラー14cを形成する繊維強化樹脂全体に含まれる無機短繊維23のうち繊維長さが1〜25mmの無機短繊維23のうち半数以上が、ベルト厚さ方向を基準として±40°以内の配向角θを有していることが好ましい。また、同様の観点から、繊維長さが1〜25mmの無機短繊維23のうち好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上が±40°以内の配向角θを有していることが好ましい。さらに、同様の観点から、繊維長さが1〜25mmの無機短繊維23のうち半数以上が±30°以内の配向角θを有していることが好ましい。
ここで、ブロック14におけるセンターピラー14cの表層部分を形成する繊維強化樹脂に含まれる無機短繊維23のうち繊維長さが1〜25mmの無機短繊維23の配向角θの測定及び無機短繊維23の配向方向の判断は、次のようにして行う。
まず、X線透視装置(X線CT)を用い、ブロック14を厚さ方向に走査するように各深さにおける50倍に拡大した画像を撮影する。
次いで、撮影したブロック14の表面から深さ0.05mmまでの画像において、図4に示す領域D、E、F、G、H、及びIの合計6箇所、つまり、センターピラー14cの両側部のそれぞれにおける外周部(D,G)、中央部(E,H)、及び内周部(F,I)について、直径1.8mmの円内に含まれる繊維長さが1〜25mmの無機短繊維23のベルト厚さ方向を基準とした配向角θを測定する。
そして、領域D、E、F、G、H、及びIのそれぞれにおいて、配向角θが±40°以内である無機短繊維23の本数の割合を算出し、それらを平均して50%以上であれば、繊維長さが1〜25mmの無機短繊維23のうち半数以上が、ベルト厚さ方向を基準として±40°以内の配向角θを有し、無機短繊維23がベルト厚さ方向に配向しているものとする。
ブロック14を形成する繊維強化樹脂に含まれる無機短繊維23のうち繊維長さが1mm以上の無機短繊維23の本数の割合(以下「長繊維率」という。)は、好ましくは5%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上である。ここで、長繊維率は、ブロック14を形成する繊維強化樹脂を高温で焼成して残存した無機短繊維23から無作為に選択した1000本の無機短繊維23のうち繊維長さが1mm以上の無機短繊維23の本数の割合として求めることができる。
ブロック14を形成する繊維強化樹脂に含まれる無機短繊維23の平均繊維長さは、無機短繊維23による補強効果を高める観点から、好ましくは0.25mm以上、より好ましくは0.5mm以上であり、また、成形性の観点から、好ましくは20mm以下、より好ましくは10mm以下である。ここで、長繊維率は、ブロック14を形成する繊維強化樹脂を高温で焼成して残存した無機短繊維23から無作為に選択した1000本の無機短繊維23の繊維長さの数平均として求めることができる。
なお、ブロック14を形成する繊維強化樹脂には、繊維長さが1mm未満の無機短繊維23も含まれるが、それらの無機短繊維23は配向方向のばらつきが大きく、それらによる補強効果は等方的であることから、ブロック14の全方向に対して高い補強効果を得ることができる。
(高負荷伝動用Vベルトの製造方法)
実施形態に係る高負荷伝動用Vベルト10における張力帯11の成形加工方法及び張力帯11とブロック14との組み立て方法は、例えば特許文献1に開示された公知の方法を採用することができる。
以下では、実施形態に係る高負荷伝動用Vベルト10のブロック14の成形方法について説明する。図7はペレットPを示す図であり、図8は、金型のランナー構造を示す図である。
まず、ブロック14の成形材料として、図7に示すように、無機短繊維23の繊維束にマトリクス樹脂Rが含浸して構成されたペレットPを準備する。無機短繊維23を含む成形材料を用いてブロック14を成形する場合、ブロック14の成形時に無機短繊維23の折損が不可避であり、それによって無機短繊維23による補強効果が減殺されるが、かかる無機短繊維23の繊維束にマトリクス樹脂Rが含浸したペレットPをブロック14の成形材料として用いることにより、ブロック14の成形時における無機短繊維23の折損を効果的に抑制することができ、それによってブロック14を形成する繊維強化樹脂が繊維長さの長い無機短繊維23を多く含むこととなり、その結果、無機短繊維23による高い補強効果を得ることができる。ペレットPの長さ、つまり、無機短繊維23の長さは、無機短繊維23による補強効果を高める観点から、好ましくは5mm以上、より好ましくは8mm以上であり、また、ブロック14の成形性の観点から、好ましくは12mm以下、より好ましくは10mm以下である。なお、このようなペレットPは、無機繊維の長繊維束に液状のマトリクス樹脂Rを含浸させた後に固化させ、それを長さ方向に一定長さで切断することにより得ることができる。
ペレットPにおける無機短繊維23の含有率は、ブロック14を形成する繊維強化樹脂における無機短繊維23の含有率と同一であることから15〜80質量%であり、無機短繊維23による補強効果を高める観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上であり、また、ブロック14の成形性の観点から、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。
次いで、成形材料のペレットPをブロック成形機に投入して加熱することによりマトリクス樹脂Rを溶融させ、そのマトリクス樹脂Rを溶融させた成形材料Mを、成形型30を型締めして形成されたブロック成形用のキャビティ31にゲート33から供給する。
この際に、図8に示すように、ポット(図示せず)内で溶融された成形材料Mは、ブロック成形機のプランジャーによってスプルー38に注入され、ランナー36を通ってゲート33からキャビティ31内へと供給される。ランナー36を通過する成形材料Mに含まれる無機短繊維23の伸長方向は、ほぼ成形材料Mの進行方向に平行になっている。
ここで、発明者らの検討によって、ランナー36の屈曲部を通過する際に無機短繊維23の折損が生じることが分かっている。そのため、本実施形態の方法においては、図8に示すように、ランナー36の屈曲部を1箇所以下にすることにより、ブロック14に含まれる無機短繊維23の長さを長くしつつ、無機短繊維23の配向性も制御しやすくなる。
また、本工程で、図9(a)に示すようにゲート33がベルト外周面又は図9(b)に示すようにベルト内周面を形成する部分に設けられていると、成形材料Mがセンターピラー14cの長さに沿って一定方向にスムーズに流れるので、センターピラー14cを形成する樹脂被覆部29に含まれる無機短繊維23をセンターピラー14cの長さに沿ったベルト厚さ方向に配向させることができる。なお、ゲート33は幅方向の中央に設けられていることが好ましいが、中央からずれた位置に設けられていてもよい。
また、キャビティ31への成形材料Mの供給速度を制御することにより、センターピラー14cを形成する樹脂被覆部29に含まれる無機短繊維23をセンターピラー14cの長さに沿ったベルト厚さ方向に配向させることもでき、その供給速度を0.5mm/秒以上とすることが好ましい。
このブロック14の成形は、トランスファー成形や射出成形で行うことができるが、トランスファー成形で行うことが好ましい。
なお、補強部材27を有するブロック14を成形する場合には、図9(a)及び(b)に仮想線で示すように、成形型を型締めする前に、キャビティ31を形成する部分に予め補強部材27をプリセットする。
そして、成形型内において成形材料Mが冷却されて固化した後、型開きしてブロック14を取り出す。取り出したブロック14は、組み立て工程に送られるが、成形材料Mのマトリクス樹脂Rが熱硬化性樹脂の場合には、その後、ブロック14をアフターキュア処理して繊維強化樹脂を十分に硬化させることが好ましい。アフターキュア温度は例えば160〜230℃であり、また、アフターキュア時間は例えば2〜4時間である。
なお、上記高負荷伝動用Vベルト10の製造方法では、マトリクス樹脂Rを溶融させた成形材料Mを、成形型を型締めして形成されたブロック成形用のキャビティ31にゲート33から供給してブロック14を成形するが、特にこれに限定されるものではない。
例えば、プレス成形を用いてブロックを成形してもよい。一例として、まず図10(a)に示すように、成形型30のゲート33の直上に成形材料Mからなるタブレット50を載置する。このタブレット50は、多数の上述のペレットを金型で固める等により作製したものである。
次いで、図10(b)に示すように、例えば加熱した板状の押圧部材52を用いてタブレット50に圧力を加える。これにより、ゲート33からキャビティ31内へと成形材料Mが供給される。この方法によっても、無機短繊維23の折損を効果的に抑えることができる。
あるいは、図11に示すように、無機短繊維23の繊維束にマトリクス樹脂Rが含浸したペレットPを用い、センターピラー14cを成形する部分に、無機短繊維23がセンターピラー14cの長さに沿ってベルト厚さ方向に配向するようにペレットPを配置してプレス成形によりブロック14を成形してもよい。
以上に説明した高負荷伝動用Vベルト10及びその製造方法は、実施形態の1つであって、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
(高負荷伝動用Vベルト)
以下の実施例1〜5及び比較例1〜6の高負荷伝動用Vベルトを作製した。実施例1〜7に係る高負荷伝動用Vベルトの構成は表1にも示す。また、比較例1〜6に係る高負荷伝動用Vベルトの構成は表2にも示す。
<実施例1>
ブロックの成形材料として、無機短繊維であるPAN系炭素短繊維に所定の方法で硬化剤であるヘキサミンを含有したフェノール樹脂が含浸された繊維束(住友ベークライト(株)製 商品名:CF9010L、繊維長さ5mm、繊維径7μm)を準備した。この組成は、マトリクス樹脂であるヘキサミンを含むフェノール樹脂50質量%、無機短繊維であるPAN系炭素短繊維50質量%であった。また、補強部材として、アルミニウム合金製で且つブロックの体積の65体積%のものを準備し、キャビティ内にセットした。金型のランナーの屈曲部は1箇所のみとした。
そして、成形材料を成形機に投入し、マトリクス樹脂を溶融させ、180℃に設定された金型のスプルー及びランナーを通って、ベルト外周面を形成する部分に設けられたゲートからキャビティ内へ成形材料を流し込み加熱硬化させた。この成形品は、194℃×2hのアフターキュアを行なった。
一方、ジメタクリル酸亜鉛が添加されて強化されたH−NBRを用いたゴム組成物で保形層を形成し、接着処理を施したアラミド繊維の組紐で心線を構成すると共に、接着処理を施したナイロン繊維の織布で上側帆布及び下側帆布を構成した張力帯を成形した。
上記ブロック204個及び上記張力帯一対を用いて上記実施形態と同様の構成の高負荷伝動用Vベルトを作製し、それを実施例1とした。
実施例1の高負荷伝動用Vベルトのベルト長さは612mm、ベルトピッチ幅(心線位置におけるベルト幅)は25mm、ベルト厚さは12.8mm、及びベルト角度は26°であり、ブロックピッチは3mm、及びブロック間の間隔は0.05mmであった。
実施例1の高負荷伝動用Vベルトのブロックを形成する繊維強化樹脂におけるPAN系炭素短繊維の含有率は50質量%であった。また、ブロックの繊維強化樹脂で形成された部分の全体積における割合は35体積%であった。
実施例1の高負荷伝動用Vベルトのブロックについて、X線透視装置(東芝ITコントロールシステム(株)製 型番:TOSCANER30902μhd)を用い、ブロックを厚さ方向に走査するように各深さにおける50倍に拡大した画像を撮影した。次いで、撮影したブロックの表面から深さ0.05mmまでの画像において、図4に示す領域D、E、F、G、H、及びIの合計6箇所のそれぞれにおける外周部(D,G)、中央部(E,H)、及び内周部(F,I)について、直径1.8mmの円内に含まれる繊維長さが1〜25mmの無機短繊維のベルト厚さ方向を基準とした配向角を測定した。そして、領域D、E、F、G、H、及びIのそれぞれにおいて、配向角が±40°以内である無機短繊維の本数の割合を算出し、それらを平均したところ50%以上であったことから、繊維長さが1〜25mmの無機短繊維のうち半数以上が、ベルト厚さ方向を基準として±40°以内の配向角を有し、無機短繊維がベルト厚さ方向に配向しているものと判断した。
実施例1の高負荷伝動用Vベルトのブロックを450℃で5時間焼成して残存した無機短繊維から無作為に選択した1000本の無機短繊維のうち繊維長さが1mm以上の無機短繊維の本数の割合(長繊維率)は55.4%であった。また、そのうち最長の繊維長さ(最長繊維長)は1.4mmであった。
<実施例2>
ブロックの成形材料として、無機短繊維であるPAN系炭素短繊維に所定の方法で硬化剤であるヘキサミンを含有したフェノール樹脂が含浸された繊維束(住友ベークライト(株)製 商品名:CF9010L、繊維長さ12mm、繊維径7μm)にヘキサミンを含むフェノール樹脂をブレンドし、無機短繊維であるPAN系炭素短繊維15質量%となる材料を作製した。また、補強部材として、アルミニウム合金製で且つブロックの体積の65体積%のものを準備し、キャビティ内にセットした。金型のランナーの屈曲部は1箇所のみとした。
そして、成形材料を成形機に投入し、マトリクス樹脂を溶融させ、180℃に設定された金型のスプルー及びランナーを通って、ベルト外周面を形成する部分に設けられたゲートからキャビティ内へ成形材料を流し込み加熱硬化させた。この成形品は、194℃×2hのアフターキュアを行なった。
実施例2の高負荷伝動用Vベルトのブロックについて、実施例1と同様に無機短繊維の配向性を評価したところ、繊維長さが1〜25mmの無機短繊維のうち半数以上が、ベルト厚さ方向を基準として±40°以内の配向角を有し、無機短繊維がベルト厚さ方向に配向しているものと判断した。
実施例2の高負荷伝動用Vベルトのブロックについて、実施例1と同様に長繊維率を求めたところ56.7%であった。また、最長繊維長は3.6mmであった。
<実施例3>
所定の方法で硬化剤であるヘキサミンを含有したフェノール樹脂が含浸された繊維長さ25mmの繊維束を使ってメタノール溶剤中でフェノール樹脂分を除去し、乾燥後再ペレット化した。その組成は、ヘキサミンを含むフェノール樹脂30質量%、PAN系炭素短繊維が70質量%となる材料を作製した。
次にこの材料を100℃に加熱した円筒状の金型で圧縮し円筒状のタブレットを作製し、180℃に設定されたブロック金型のベルト外周面を形成する部分に設けられたゲート部分に上記タブレットを設置して、スプルー及びランナーを流動させることなくキャビティ内へ成形材料を流し込み加熱硬化させた。この成形品は、194℃×2hのアフターキュアを行なった。
実施例3の高負荷伝動用Vベルトのブロックについて、実施例1と同様に無機短繊維の配向性を評価し、繊維長さが1〜25mmの無機短繊維のうち半数以上が、ベルト厚さ方向を基準として±40°以内の配向角を有し、無機短繊維がベルト厚さ方向に配向しているものと判断した。
実施例3の高負荷伝動用Vベルトのブロックについて、実施例1と同様に長繊維率を求めたところ94.2%であった。また、最長繊維長は24.8mmであった。
<実施例4>
ブロックの成形材料として、無機短繊維であるPAN系炭素短繊維に所定の方法で硬化剤であるヘキサミンを含有したフェノール樹脂が含浸された繊維束(住友ベークライト(株)製 商品名:CF9010L、繊維長さ12mm、繊維径7μm)を準備した。この組成は、マトリクス樹脂であるヘキサミンを含むフェノール樹脂50質量%、無機短繊維であるPAN系炭素短繊維50質量%であった。また、補強部材として、アルミニウム合金製で且つブロックの体積の80体積%のものを準備し、キャビティ内にセットした。金型のランナーの屈曲部は1箇所のみとした。
そして、成形材料を成形機に投入し、マトリクス樹脂を溶融させ、180℃に設定された金型のスプル−及びランナーを通って、ベルト外周面を形成する部分に設けられたゲートからキャビティ内へ成形材料を流し込み加熱硬化させた。この成形品は、194℃×2hのアフターキュアを行なった。
実施例4の高負荷伝動用Vベルトのブロックについて、実施例1と同様に無機短繊維の配向性を評価し、繊維長さが1〜25mmの無機短繊維のうち半数以上が、ベルト厚さ方向を基準として±40°以内の配向角を有し、無機短繊維がベルト厚さ方向に配向しているものと判断した。
実施例4の高負荷伝動用Vベルトのブロックについて、実施例1と同様に長繊維率を求めたところ5.6%であった。また、最長繊維長は9.2mmであった。
<実施例5>
ブロックの成形材料として、無機短繊維であるガラス短繊維に所定の方法で硬化剤であるヘキサミンを含有したフェノール樹脂が含浸された繊維束(住友ベークライト(株)製 商品名:GF9201L、繊維長さ12mm、繊維径12μm)を準備した。この組成は、マトリクス樹脂であるヘキサミンを含むフェノール樹脂50質量%、無機短繊維であるガラス短繊維50質量%であった。また、補強部材として、アルミニウム合金製で且つブロックの体積の65体積%のものを準備し、キャビティ内にセットした。金型のランナーの屈曲部は1箇所のみとした。
そして、成形材料を成形機に投入し、マトリクス樹脂を溶融させ、180℃に設定された金型のスプルランナー部を通って、ベルト外周面を形成する部分に設けられたゲートからキャビティ内へ成形材料を流し込み加熱硬化させた。この成形品は、194℃×2hのアフターキュアを行なった。
実施例5の高負荷伝動用Vベルトのブロックについて、実施例1と同様に無機短繊維の配向性を評価し、繊維長さが1〜25mmの無機短繊維のうち半数以上が、ベルト厚さ方向を基準として±40°以内の配向角を有し、無機短繊維がベルト厚さ方向に配向しているものと判断した。
実施例5の高負荷伝動用Vベルトのブロックについて、実施例1と同様に長繊維率を求めたところ58.8%であった。また、最長繊維長は3.9mmであった。
<比較例1>
実施例1のようなヘキサミンを含有したフェノール樹脂が含浸された繊維束にヘキサミンを含むフェノール樹脂を80質量%ブレンドしたペレットを用いたことを除いて実施例3と同様に高負荷伝動用Vベルトを作製し、それを比較例1とした。
比較例1の高負荷伝動用Vベルトのブロックを形成する繊維強化樹脂におけるPAN系炭素短繊維の含有率は10質量%であった。また、ブロックの繊維強化樹脂で形成された部分の全体積における割合は35体積%であった。
比較例1の高負荷伝動用Vベルトのブロックについて、実施例1と同様に無機短繊維の配向性を評価し、繊維長さが1〜25mmの無機短繊維のうち半数以上が、ベルト厚さ方向を基準として±40°以内の配向角を有し、無機短繊維がベルト厚さ方向に配向しているものと判断した。
比較例1の高負荷伝動用Vベルトのブロックについて、実施例1と同様に長繊維率を求めたところ62.2%であった。また、最長繊維長は12.3mmであった。
<比較例2>
実施例1のようなヘキサミンを含有したフェノール樹脂が含浸された繊維束と補強部材として、アルミニウム合金製で且つブロックの体積の65体積%のものを準備し、キャビティ内にセットした。金型のランナーの屈曲部を2箇所としたことを除いて実施例1と同様に高負荷伝動用Vベルトを作製し、それを比較例2とした。
比較例2の高負荷伝動用Vベルトのブロックを形成する繊維強化樹脂におけるPAN系炭素短繊維の含有率は50質量%であった。また、ブロックの繊維強化樹脂で形成された部分の全体積における割合は35体積%であった。
比較例2の高負荷伝動用Vベルトのブロックでは、繊維長さが1mm以上のPAN系炭素短繊維が存在しなかったため、配向性の評価を行うことができなかった。
従って、比較例2の高負荷伝動用Vベルトのブロックについて、実施例1と同様に長繊維率を求めたところ0%であった。また、最長繊維長は0.8mmであった。
<比較例3>
ブロックの体積の82体積%の補強部材を用いたことを除いて実施例1と同様に高負荷伝動用Vベルトを作製し、それを比較例3とした。
比較例3の高負荷伝動用Vベルトのブロックを形成する繊維強化樹脂におけるPAN系炭素短繊維の含有率は50質量%であった。また、ブロックの繊維強化樹脂で形成された部分の全体積における割合は18体積%であった。
比較例3の高負荷伝動用Vベルトのブロックについて、実施例1と同様に無機短繊維の配向性を評価し、繊維長さが1〜25mmの無機短繊維のうち半数以上が、ベルト厚さ方向を基準として±40°以内の配向角を有し、無機短繊維がベルト厚さ方向に配向しているものと判断した。
比較例3の高負荷伝動用Vベルトのブロックについて、実施例1と同様に長繊維率を求めたところ53.3%であった。また、最長繊維長は1.6mmであった。
<比較例4>
長さ8mmのペレットを用い且つキャビティへの成形材料の供給速度を0.1mm/秒としたことを除いて実施例1と同様に高負荷伝動用Vベルトを作製し、それを比較例4とした。
比較例4の高負荷伝動用Vベルトのブロックを形成する繊維強化樹脂におけるPAN系炭素短繊維の含有率は50質量%であった。また、ブロックの繊維強化樹脂で形成された部分の全体積における割合は35体積%であった。
比較例4の高負荷伝動用Vベルトのブロックについて、実施例1と同様に無機短繊維の配向性を評価し、繊維長さが1〜25mmの無機短繊維のうち半数以上が、ベルト厚さ方向を基準として±40°以内の配向角を有さず、無機短繊維がベルト厚さ方向に配向していないものと判断した。
比較例4の高負荷伝動用Vベルトのブロックについて、実施例1と同様に長繊維率を求めたところ68.9%であった。また、最長繊維長は3.7mmであった。
<比較例5>
実施例3と同様に、所定の方法で硬化剤であるヘキサミンを含有したフェノール樹脂が含浸された繊維長さ25mmの繊維束を使ってメタノール溶剤中でフェノール樹脂分を除去し、乾燥後再ペレット化した。再ペレット化された材料の組成は、ヘキサミンを含むフェノール樹脂30質量%、PAN系炭素短繊維が70質量%であった。補強部材を用いず、当該材料をキャビティへ直接投入し、加熱/プレス成形したことを除いて実施例1と同様に高負荷伝動用Vベルトを作製し、それを比較例5とした。
比較例5の高負荷伝動用Vベルトのブロックを形成する繊維強化樹脂におけるPAN系炭素短繊維の含有率は70質量%であった。また、ブロックの繊維強化樹脂で形成された部分の全体積における割合は100体積%であった。
比較例5の高負荷伝動用Vベルトのブロックについて、実施例1と同様に無機短繊維の配向性を評価し、繊維長さが1〜25mmの無機短繊維のうち半数以上が、ベルト厚さ方向を基準として±40°以内の配向角を有さず、無機短繊維がベルト厚さ方向に配向していないものと判断した。
比較例5の高負荷伝動用Vベルトのブロックについて、実施例1と同様に長繊維率を求めたところ73.9%であった。また、最長繊維長は25.0mmであった。
<比較例6>
ブロックの成形材料として、無機短繊維であるガラス短繊維に所定の方法で硬化剤であるヘキサミンを含有したフェノール樹脂が含浸された繊維束(住友ベークライト(株)製 商品名:GF9201L、繊維長さ12mm、繊維径12μm)を準備した。この材料を使ってメタノール溶剤中でフェノール樹脂分を除去し、乾燥後再ペレット化した。再ペレット化された材料の組成は、ヘキサミンを含むフェノール樹脂15質量%、ガラス短繊維が85質量%であった。補強部材を用いず、当該材料をキャビティへ直接投入し、実施例1と同様の方法で成形を試みたが、成形材料が金型のキャビティまで流動せず成形することができなかった。
Figure 2015169275
Figure 2015169275
(試験評価方法)
<高負荷耐久性>
図12は、高負荷伝動用Vベルト用のベルト走行試験機40を示す。
このベルト走行試験機40は、プーリ径が67.52mmの駆動プーリ41及びプーリ径が128.97mmの従動プーリ42と、それらを収容した温調可能なチャンバー43とを有する。
実施例1〜5及び比較例1〜5のそれぞれの高負荷伝動用Vベルト10について、駆動プーリ41及び従動プーリ42に巻き掛けると共に、従動プーリ42に側方に3412Nのデッドウエイトを負荷してベルト張力を付与した。そして、その状態で、チャンバー43内を90℃の温度雰囲気とし、駆動プーリ41を駆動トルク74.0N・m及び回転数2600rpmで回転駆動させてベルト走行させ、定期的にベルト走行を中断して外観検査を行い、高負荷耐久性を、300時間以上の走行時間でもブロックの破損が認められない場合を「良」と評価し、一方、走行時間が300時間未満でブロックの破損が認められた場合を「不良」と評価した。
<摩耗量/異音評価>
実施例1〜5及び比較例1〜5のそれぞれの高負荷伝動用Vベルト10について、上記高負荷耐久性評価のベルト走行試験における走行開始から100時間後、ベルト走行を一旦中断し、高負荷伝動用Vベルト10の所定の4箇所をVゲージで測定し、異音の有無を判定した。そして、それぞれのベルト走行前後の減量を算出し、それらの平均値を摩耗量とした。
(試験評価結果)
試験評価の結果を表1及び2に示す。
高負荷耐久性は、実施例1〜5が「良」であったのに対し、比較例1〜5が「不良」であった。
摩耗量は、実施例1が0.24mm、実施例2が0.30mm、実施例3が0.25mm、実施例4が0.21mm及び実施例5が0.30mmであったのに対し、比較例1が0.27mm、比較例2が0.22mm、比較例3が0.24mm、比較例4が0.23mm、及び比較例5が0.27mmであった。
異音評価は、実施例1〜5及び比較例2〜5が「異音無し」であったのに対し、比較例1が「異音有り」であった。
以上の試験評価結果によれば、ブロックが、センターピラーの表層部分を含む全体積のうち20体積%以上の部分が無機短繊維を15〜80質量%含む繊維強化樹脂で形成されており、且つセンターピラーの表層部分を形成する繊維強化樹脂が、無機短繊維のうち繊維長さが1〜25mmの無機短繊維のうち半数以上が、ベルト厚さ方向を基準として±40°以内の配向角を有する実施例1〜5では、ブロックが、無機短繊維を10質量%しか含まない繊維強化樹脂で形成された比較例1、センターピラーの表層部分を形成する繊維強化樹脂が、繊維長さ1mm以上の無機短繊維を含まない比較例2、全体積のうち18体積%の部分しか繊維強化樹脂で形成されていない比較例3、並びにセンターピラーの表層部分を形成する繊維強化樹脂が、無機短繊維のうち繊維長さが1〜25mmの無機短繊維のうち半数以上が、ベルト厚さ方向を基準として±40°以内の配向角を有さない比較例4及び5に比べて、優れた耐久性を有することが分かる。
なお、実施例1〜5では、いずれも摩耗量が0.30mm以下と低いレベルとなっていると共に、いずれもベルト走行中に異音が生じないことが確認できた。
以上説明したように、本明細書に開示した技術は、一対の張力帯と複数のブロックとを備えた高負荷伝動用Vベルト及びその製造方法について有用である。
10 高負荷伝動用Vベルト
11 張力帯
11a 保形層
11b 心線
13a 上側帆布
13b 下側帆布
14 ブロック
14a 上ビーム(外周側ビーム)
14b 下ビーム(内周側ビーム)
14c センターピラー
15 嵌合部
16a、16b 接触面
17a,17b コーナー
23 無機短繊維
27 補強部材
29 樹脂被覆部
30 成形型
31 キャビティ
33 ゲート
40 ベルト走行試験機
41 駆動プーリ
42 従動プーリ
43 チャンバー
50 タブレット
52 押圧部材
M 成形材料
P ペレット
R マトリクス樹脂

Claims (5)

  1. ベルト幅方向に並ぶと共に、各々、ベルト長さ方向に延びるように設けられた一対の無端状の張力帯と、
    前記一対の張力帯に沿ってベルト長さ方向に並ぶように設けられていると共に、各々、ベルト厚さ方向の外周側及び内周側をそれぞれベルト幅方向に延びる外周側ビーム及び内周側ビームと、前記外周側ビーム及び前記内周側ビームの中央部間をベルト厚さ方向に延びて連結するセンターピラーとを有すると共に、前記センターピラーのベルト幅方向の両側における前記外周側ビーム及び前記内周側ビーム間に前記一対の張力帯が嵌合した複数のブロックと、
    を備えた高負荷伝動用Vベルトであって、
    前記複数のブロックのそれぞれは、前記センターピラーの表層部分を含む全体積のうち20体積%以上の部分が無機短繊維を15〜80質量%含む繊維強化樹脂で形成されており、
    前記センターピラーの表層部分を形成する繊維強化樹脂は、前記無機短繊維のうち繊維長さが1〜25mmの無機短繊維の半数以上が、ベルト厚さ方向を基準として±40°以内の配向角を有する高負荷伝動用Vベルト。
  2. 請求項1に記載された高負荷伝動用Vベルトにおいて、
    前記複数のブロックのそれぞれは、前記外周側ビーム、前記内周側ビーム、及び前記センターピラーに対応する部分を有する補強部材と、前記補強部材の少なくとも前記センターピラーに対応する部分を被覆するように設けられた前記繊維強化樹脂で形成された樹脂被覆部と、を有する高負荷伝動用Vベルト。
  3. 請求項1に記載された高負荷伝動用Vベルトにおいて、
    前記複数のブロックのそれぞれは、前記繊維強化樹脂のみで形成されている高負荷伝動用Vベルト。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載された高負荷伝動用Vベルトにおいて、
    前記無機短繊維は、炭素短繊維及びガラス短繊維のうち少なくとも一方を含む高負荷伝動用Vベルト。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1つに記載された高負荷伝動用Vベルトの製造方法であって、
    金型を用いてブロックを成形する際には、無機短繊維とマトリクス樹脂とを含む溶融させた成形材料を、一箇所以下の屈曲部を有するランナーを介して前記金型のキャビティに供給する高負荷伝動用Vベルトの製造方法。
JP2014044828A 2014-03-07 2014-03-07 高負荷伝動用vベルト及びその製造方法 Pending JP2015169275A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014044828A JP2015169275A (ja) 2014-03-07 2014-03-07 高負荷伝動用vベルト及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014044828A JP2015169275A (ja) 2014-03-07 2014-03-07 高負荷伝動用vベルト及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015169275A true JP2015169275A (ja) 2015-09-28

Family

ID=54202201

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014044828A Pending JP2015169275A (ja) 2014-03-07 2014-03-07 高負荷伝動用vベルト及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2015169275A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112060495A (zh) * 2019-06-11 2020-12-11 大赛璐塑料株式会社 注塑成型体及其制造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112060495A (zh) * 2019-06-11 2020-12-11 大赛璐塑料株式会社 注塑成型体及其制造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9752648B2 (en) Toothed belt
JP5167953B2 (ja) 積層基材、繊維強化プラスチック、およびそれらの製造方法
JP2013072055A (ja) 繊維強化樹脂製構造体の製造方法。
JP2011109966A (ja) 魚釣用リールの構成部材、及びその製造方法
CN110757845A (zh) 一种制备连续纤维增强复合材料的设备及方法
KR20140082833A (ko) 고부하 전동용 v 벨트 및 그 제조방법
JP6233322B2 (ja) ブレーキパッドおよびキャリパ装置
JP6222115B2 (ja) ブレーキパッドおよびキャリパ装置
JP2015169275A (ja) 高負荷伝動用vベルト及びその製造方法
JP6497088B2 (ja) 裏板の製造方法、裏板およびブレーキパッド
WO2015115306A1 (ja) 成形品の製造方法、成形品、裏板およびブレーキパッド
CN107035794A (zh) 背板用组合物、背板、制动片和卡钳装置
JP2010133551A (ja) 高負荷伝動ベルト
JP5724424B2 (ja) 繊維強化プラスチック成形品およびその製造方法
JP5519397B2 (ja) 高負荷伝動用vベルト及びその製造方法
JP6749012B2 (ja) 繊維強化樹脂部材及びその製造方法
JP6233323B2 (ja) ブレーキパッドおよびキャリパ装置
JP2017227327A (ja) 伝動ベルト
JP2013176993A (ja) 魚釣用リールの構成部材
JP2014137083A (ja) 負荷伝動用vベルト及びその製造方法
JP4267247B2 (ja) 高負荷伝動ベルトの製造方法、製造装置及び高負荷伝動ベルト
JP6693841B2 (ja) 金属樹脂接合体、金属樹脂接合体の製造方法、金属樹脂接合体からなるブロック、金属樹脂接合体からなるブロックの製造方法、並びに、金属樹脂接合体からなるブロックを備えた伝動ベルト
WO2024024563A1 (ja) 繊維強化プラスチックおよびその製造方法
US12030218B2 (en) Fiber-reinforced resin molding material and molded article thereof
JP5597181B2 (ja) 歯付きベルト