JP2015168814A - 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い耐衝撃性を維持しながら、流動性に優れ、優れた外観を有する成形品を得ることのできる熱可塑性樹脂組成物を提供すること。【解決手段】ポリカーボネート樹脂(A)40〜75重量部、ゴム質重合体の存在下に、少なくとも芳香族ビニル系単量体(b1)81〜95重量%およびシアン化ビニル系単量体(b2)5〜19重量%を含む単量体混合物(b)をグラフト共重合して得られるグラフト共重合体(B)10〜35重量部、並びに、少なくとも芳香族ビニル系単量体(c1)およびシアン化ビニル系単量体(c2)を含む単量体混合物(c)を共重合してなるビニル系共重合体(C)15〜45重量部を含む熱可塑性樹脂組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、ポリカーボネート樹脂、グラフト共重合体およびビニル系共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物に関する。
ポリカーボネート樹脂は、耐熱性、耐衝撃性に優れることから、自動車分野、家電分野、OA機器分野、建材分野をはじめとする多岐の分野にわたって幅広く使用されている。一方、ABS樹脂に代表されるゴム強化スチレン樹脂は、優れた加工性、機械的特性を有することから、自動車分野、家電分野、OA機器分野など広範な分野において、各種構成部材の成形材料として使用されている。これらの特性を活かして、ポリカーボネート樹脂とゴム強化スチレン樹脂をアロイ化することが一般的である。
ポリカーボネート樹脂/ゴム強化スチレン樹脂アロイとして、これまでに、例えば、グラフト率が10〜100%で、30℃におけるメチルエチルケトン可溶分の固有粘度が0.2〜0.8dl/gであるゴム変性熱可塑性樹脂、芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物/他のビニル系単量体の重量比が50〜90/10〜20/0〜30であり、30℃におけるメチルエチルケトン可溶分の固有粘度が0.3〜0.6dl/gである熱可塑性樹脂、ポリカーボネート樹脂ならびに熱老化防止剤を主成分とし、組成物全体におけるシアン化ビニル化合物含量が3〜12重量%である熱可塑性樹脂組成物(例えば、特許文献1参照)、ポリカーボネート樹脂、グラフト共重合体、ならびに、芳香族ビニル系単量体74〜85重量%およびシアン化ビニル系単量体15〜26重量%を共重合してなり、平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上高い組成を有する共重合体が10〜50重量%存在するビニル系共重合体を含有する熱可塑性樹脂組成物(例えば、特許文献2参照)、ゴム質重合体強化グラフト樹脂と、ポリカーボネート樹脂と、シアン化ビニル化合物に由来する構造単位および芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含む重合体であって、シアン化ビニル化合物に由来する構造単位および芳香族ビニル化合物に由来する構造単位含有量の異なる特定量の重合体からなる重合体と、を含有する熱可塑性樹脂組成物(例えば、特許文献3参照)が提案されている。近年の樹脂成形品の大型化、薄肉化、形状の複雑化に伴い、ポリカーボネート樹脂/ゴム強化スチレン樹脂アロイに対する成形加工性の要求は厳しくなっており、特許文献1〜3に提案されるポリカーボネート樹脂/ゴム強化スチレン樹脂アロイは、成形加工性が不十分である課題があった。すなわち、流動性が不十分であり、射出成形時、ゲートからの距離が離れるほど、成形圧力不足により金型充填量が減少し、ひけが発生する課題があった。また、このようなひけの箇所では、ゴムの収縮により成形品表面が梨肌状となり、ゴムが凝集している場合には、梨肌がより顕著になるなど、成形品外観に課題があった。成形品表面における梨肌は、塗装やメッキを施した場合により光を反射しやすくなるために、さらに顕著になることから、さらに流動性に優れ、成形品の外観を向上させることのできる材料が求められていた。
本発明は、高い耐衝撃性を維持しながら、流動性に優れ、優れた外観を有する成形品を得ることのできる熱可塑性樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討した結果、ポリカーボネート樹脂と、ある特定範囲のシアン化ビニル系共重合体をグラフト共重合して得られるグラフト共重合体と、ビニル系共重合体とを含むことにより、流動性に優れ、優れた耐衝撃性と成形品外観を有する成形品を得ることのできる熱可塑性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明は以下の(1)〜(5)で構成される。
(1)ポリカーボネート樹脂(A)40〜75重量部、ゴム質重合体の存在下に、少なくとも芳香族ビニル系単量体(b1)81〜95重量%およびシアン化ビニル系単量体(b2)5〜19重量%を含む単量体混合物(b)をグラフト共重合して得られるグラフト共重合体(B)10〜35重量部、並びに、少なくとも芳香族ビニル系単量体(c1)およびシアン化ビニル系単量体(c2)を含む単量体混合物(c)を共重合してなるビニル系共重合体(C)15〜45重量部を含む熱可塑性樹脂組成物。
(2)前記ビニル系共重合体(C)が、芳香族ビニル系単量体(c1)79〜95重量%およびシアン化ビニル系単量体(c2)5〜21重量%を含む単量体混合物(c)を共重合してなる(1)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(3)前記単量体混合物(b)中におけるシアン化ビニル系単量体(b2)含有率と前記単量体混合物(c)中におけるシアン化ビニル系単量体(c2)含有率との差が2重量%以内である(1)または(2)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(4)前記ビニル系共重合体(C)の重量平均分子量Mwが7.5×104〜12.5×104の範囲にある(1)〜(3)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
(1)ポリカーボネート樹脂(A)40〜75重量部、ゴム質重合体の存在下に、少なくとも芳香族ビニル系単量体(b1)81〜95重量%およびシアン化ビニル系単量体(b2)5〜19重量%を含む単量体混合物(b)をグラフト共重合して得られるグラフト共重合体(B)10〜35重量部、並びに、少なくとも芳香族ビニル系単量体(c1)およびシアン化ビニル系単量体(c2)を含む単量体混合物(c)を共重合してなるビニル系共重合体(C)15〜45重量部を含む熱可塑性樹脂組成物。
(2)前記ビニル系共重合体(C)が、芳香族ビニル系単量体(c1)79〜95重量%およびシアン化ビニル系単量体(c2)5〜21重量%を含む単量体混合物(c)を共重合してなる(1)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(3)前記単量体混合物(b)中におけるシアン化ビニル系単量体(b2)含有率と前記単量体混合物(c)中におけるシアン化ビニル系単量体(c2)含有率との差が2重量%以内である(1)または(2)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(4)前記ビニル系共重合体(C)の重量平均分子量Mwが7.5×104〜12.5×104の範囲にある(1)〜(3)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、流動性に優れる。本発明の熱可塑性樹脂組成物により、高い耐衝撃性を維持しながら、優れた成形品外観を有する成形品を得ることができる。特に、高い流動性に加えて、優れた外観を有することから、従来成形できなかった大型成形品や薄肉成形品、複雑形状成形品を射出成形によって容易に得ることができる。
以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物とそれを成形してなる成形品について、具体的に説明する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)を含む。ポリカーボネート樹脂(A)を含むことにより、成形品の耐熱性および耐衝撃性を向上させることができる。本発明に用いられるポリカーボネート樹脂(A)は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンで代表的に例示される芳香族ジヒドロキシ化合物と、ホスゲンで代表的に例示されるカーボネート前駆体との反応によって得られる。
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAと記載することがある。)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタンなどで例示されるビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどで例示されるビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンなどで例示されるカルド構造含有ビスフェノール類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテルなどで例示されるジヒドロキシジアリールエーテル類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィドなどで例示されるジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシドなどで例示されるジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホンなどで例示されるジヒドロキシジアリールスルホン類;ハイドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、ビスフェノールAがより好ましい。
カーボネート前駆体としては、例えば、ホスゲン、カルボニルハライド、カーボネートエステル、ハロホルメートなどが挙げられ、具体的には、ホスゲン;ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネートなどのジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのジアルキルカーボネート類;二価フェノールのジハロホルメートなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、ホスゲンが好ましい。
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂(A)のメルトボリュームレートは、特に限定されることなく、いかなるものでも使用することができるが、ISO 1133に準拠して、温度:300℃、荷重:1.2kgの条件で測定したメルトボリュームレートが8〜15cm3/10分の範囲にあることが好ましい。メルトボリュームレートが8cm3/10分以上であると、熱可塑性樹脂組成物の流動性をより向上させることができる。一方、メルトボリュームレートが15cm3/10分以下であると、成形品の耐衝撃性および耐熱性をより向上させることができる。13cm3/10分以下がより好ましい。
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂(A)の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、界面重合法(ホスゲン法)、溶融エステル交換法、溶液重合法(ピリジン法)、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などの任意の方法を用いることができる。
代表的な製造方法として、界面重合法による製造方法を例示する。反応に不活性な有機溶媒、アルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、芳香族ジヒドロキシ化合物をホスゲンと反応させた後、重合触媒を添加し、界面重合を行うことによってポリカーボネート樹脂を得る。必要に応じて、分子量調節剤(末端停止剤)や芳香族ジヒドロキシ化合物の酸化を防止する酸化防止剤を用いてもよい。分子量調節剤の添加時期は、ホスゲン化時から重合反応開始時までの間であれば特に限定されない。なお、反応温度は例えば0〜40℃で、反応時間は例えば2〜5時間とすることが一般的である。
ここで、界面重合法に用いられる有機溶媒としては、界面重合反応に不活性であり、水と混ざり合わず、ポリカーボネート樹脂を溶解することができればいかなるものでも使用できる。例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの塩素化炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
アルカリ水溶液に用いられるアルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
分子量調節剤としては、例えば、m−メチルフェノール、p−メチルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノールなどの一価のフェノール性水酸基を有する化合物や、フェニルクロロフォルメートなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。分子量調節剤の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物100モルに対して、好ましくは0.1〜1モルである。
重合触媒としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン、ピリジンなどの第三級アミン類;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライドなどの第四級アンモニウム塩などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物におけるポリカーボネート樹脂(A)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)、後述するグラフト共重合体(B)およびビニル系共重合体(C)の合計100重量部に対して、40〜75重量部である。ポリカーボネート樹脂(A)の含有量が40重量部未満であると、成形品の耐衝撃性と耐熱性が低下する。45重量部以上が好ましく、50重量部以上がより好ましい。一方、ポリカーボネート樹脂(A)の含有量が75重量部を超えると、熱可塑性樹脂組成物の流動性が低下する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ゴム質重合体の存在下に、少なくとも芳香族ビニル系単量体(b1)81〜95重量%およびシアン化ビニル系単量体(b2)5〜19重量%を含む単量体混合物(b)をグラフト共重合して得られるグラフト共重合体(B)を含む。グラフト共重合体(B)を含むことにより、成形品の耐衝撃性を向上させることができる。
グラフト共重合体(B)に用いられるゴム質重合体としては、特に制限はないが、ジエン系ゴム、アクリル系ゴム、エチレン系ゴムなどが例示され、具体的には、ポリブタジエン、ポリ(ブタジエン−スチレン)、ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)、ポリイソプレン、ポリ(ブタジエン−アクリル酸ブチル)、ポリ(ブタジエン−アクリル酸メチル)、ポリ(ブタジエン−メタクリル酸メチル)、ポリ(ブタジエン−アクリル酸エチル)、エチレン−プロピレンラバー、エチレン−プロピレン−ジエンラバー、ポリ(エチレン−イソブチレン)、ポリ(エチレン−アクリル酸メチル)、ポリ(エチレン−アクリル酸メチル)などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。なかでも、耐衝撃性をより向上させることができることから、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合ゴムが好ましく用いられる。
ゴム質重合体の重量平均粒子径は特に制限はないが、100〜1500nmであることが好ましい。ゴム質重合体の重量平均粒子径が100nm以上であると、成形品の耐衝撃性をより向上させることができる。150nm以上がより好ましい。一方、ゴム質重合体の重量平均粒子径が1500nm以下であると、熱可塑性樹脂組成物の流動性をより向上させることができる。1200nm以下がより好ましい。
なお、ゴム質重合体の重量平均ゴム粒子径は、「Rubber Age Vol.88 p.484〜490(1960),by E.Schmidt,P.H.Biddison」記載のアルギン酸ナトリウム法、即ち、アルギン酸ナトリウムの濃度によりクリーム化するポリブタジエン粒子径が異なることを利用して、クリーム化した重量割合とアルギン酸ナトリウム濃度から得られる粒子径の重量分布を用いて求めることができる。
本発明に用いられるグラフト共重合体(B)のグラフト成分の重合原料となる単量体混合物(b)は、少なくとも芳香族ビニル系単量体(b1)およびシアン化ビニル系単量体(b2)を含み、単量体混合物の合計100重量%中、芳香族ビニル系単量体(b1)を81〜95質量%、シアン化ビニル系単量体(b2)を5〜19質量%含むことが重要である。芳香族ビニル系単量体(b1)含有量が81重量%未満であり、シアン化ビニル系単量体(b2)含有量が19重量%を超える場合には、得られる樹脂組成物の流動性が低下し、成形品表面が梨肌状になる、色調が低下するなど、成形品外観が低下する。一方、芳香族ビニル系単量体(b1)含有量が95重量%を超え、シアン化ビニル系単量体(b2)含有量が5重量%未満である場合には、成形品の耐衝撃性が低下する。芳香族ビニル系単量体(b1)含有量が90重量%以下、シアン化ビニル系単量体(b2)含有量が10重量%以上であることが好ましく、芳香族ビニル系単量体(b1)含有量が86重量%以下、シアン化ビニル系単量体(b2)含有量が14重量%以上であることがより好ましい。
芳香族ビニル系単量体(b1)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、o−エチルスチレン、o−クロロスチレンおよびo,p−ジクロロスチレンなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
シアン化ビニル系単量体(b2)としては、例えば、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルおよびエタクリロニトリルなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、アクリロニトリルが好ましい。
単量体混合物(b)には、本発明の効果を失わない程度に、芳香族ビニル系単量体(b1)およびシアン化ビニル系単量体(b2)と共重合可能な他のビニル系単量体(b3)が含まれうる。他のビニル系単量体としては、例えば、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド化合物、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸クロロメチルおよび(メタ)アクリル酸2−クロロエチルなどの不飽和カルボン酸アルキルエステル化合物などが挙げられ、それぞれの目的に応じて選択することができる。例えば、耐熱性や難燃性をさらに向上させるためにはN−フェニルマレイミドが好ましく用いられ、硬度を向上させるためにはメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。これらを2種以上用いてもよい。
グラフト共重合体(B)は、ゴム質重合体の存在下に、単量体混合物(b)をグラフト重合して得られるものであるが、ビニル系単量体混合物(b)全量がグラフトしている必要はなく、通常はグラフトしていない共重合体との混合物として得られたものを使用する。グラフト共重合体(B)のグラフト率に制限はないが、成形品の耐衝撃性をより向上させる観点から、5〜150重量%が好ましく、10〜100重量%がより好ましい。グラフト共重合体(B)のグラフト率を前述の好ましい範囲に調整する手段として、グラフト共重合体(B)の重合において、ゴム質重合体および単量体混合物(b)の合計100重量部に対して、後述する連鎖移動剤を0.05〜0.5重量部、後述する乳化剤を0.5〜5重量部、後述する開始剤を0.1〜0.5重量部用いることが好ましい。ここで、グラフト共重合体(B)のグラフト率は、次の方法により求めることができる。
まず、80℃で4時間真空乾燥を行ったグラフト共重合体(B)の所定量(m;約1g)にアセトン100mlを加え、70℃の湯浴中で3時間還流する。この溶液を8800r.p.m.(10000G)で40分間遠心分離した後、不溶分を濾過し、この不溶分を80℃で4時間真空乾燥し、重量(n)を測定する。グラフト率は下記式より算出する。ここで、Lはグラフト共重合体のゴム含有率(重量%)である。
グラフト率(%)={[(n)−((m)×L/100)]/[(m)×L/100]}×100 。
グラフト率(%)={[(n)−((m)×L/100)]/[(m)×L/100]}×100 。
グラフト共重合体(B)を構成するゴム質重合体および単量体混合物(b)の合計100重量%中におけるゴム質重合体の含有量は、5〜80重量%が好ましい。ゴム質重合体の含有量を5重量%以上とすることにより、得られる成形品の耐衝撃性をより向上させることができる。20重量%以上がより好ましい。一方、ゴム質重合体の含有量を80重量%以下とすることにより、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性をより向上させることができる。70重量%以下がより好ましい。
グラフト共重合体(B)のグラフト成分における各単量体由来の構造単位含有率は、グラフト共重合体(B)を構成する単量体混合物(b)100重量%中における各単量体の含有量にほぼ等しい。したがって、グラフト共重合体(B)のグラフト成分において、シアン化ビニル系単量体由来の構造単位含有率は、5〜19重量%が好ましい。
ここで、グラフト共重合体(B)のグラフト成分におけるシアン化ビニル系単量体由来の構造単位含有率は、以下の方法で算出することができる。グラフト共重合体(B)1gにアセトン100mlを加え、70℃の温度の湯浴中で3時間還流し、この溶液を8800r.p.m.(10000G)で40分間遠心分離した後、不溶分を濾過し、この不溶分を60℃の温度で5時間減圧乾燥する。その後、加熱プレスにより40μm程度のフィルム状にし、フーリエ変換赤外分光光度計(日本光学株式会社製、“FT/IR4100”)で分析して得られるチャートに現れる各ピークの高さから、グラフト共重合体の組成を求めることができる。各構造単位とピークとの対応関係は次の通りである。
スチレン由来の構造単位:ベンゼン核の振動に帰属される1605cm−1のピーク
アクリロニトリル由来の構造単位:−C≡N伸縮に帰属される2240cm−1のピーク。
スチレン由来の構造単位:ベンゼン核の振動に帰属される1605cm−1のピーク
アクリロニトリル由来の構造単位:−C≡N伸縮に帰属される2240cm−1のピーク。
本発明に用いられるグラフト共重合体(B)の製造方法に特に制限はなく、例えば乳化重合法、懸濁重合法、連続塊状重合法、連続溶液重合法等の任意の方法を用いることができる。これらを2種以上組み合わせてもよい。乳化重合法または塊状重合法が好ましく、過度の熱履歴によるゴム成分の劣化および着色を抑制することができる観点から、乳化重合法がより好ましい。
乳化重合法によりグラフト共重合体(B)を製造する場合、ゴム質重合体ラテックスの存在下に、単量体混合物(b)を乳化グラフト重合することが一般的である。乳化重合法において用いられる乳化剤に特に制限はなく、各種の界面活性剤が使用できる。界面活性剤としては、カルボン酸塩型、硫酸エステル塩型、スルホン酸塩型などのアニオン系界面活性剤が好ましく使用される。これらを2種以上用いてもよい。
アニオン系界面活性剤の具体例としては、カプリル酸塩、カプリン酸塩、ラウリン酸塩、ミスチリン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、オレイン酸塩、リノール酸塩、リノレン酸塩、ロジン酸塩、ベヘン酸塩、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、その他高級アルコール硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルジフェニールエーテルジスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩縮合物、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンラウリル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩などが挙げられる。ここでいう塩としては、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、リチウム塩などのアルカリ金属塩などが挙げられる。なかでも、パルチミン酸、ステアリン酸、オレイン酸のカリウム塩またはナトリウム塩が好ましく用いられる。
重合に用いる開始剤は特に制限はなく、過酸化物、アゾ系化合物または過硫酸塩などが使用される。
過酸化物の具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルイソプロピルカルボネート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオクテート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどが挙げられる。
アゾ系化合物の具体例としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2−シアノ−2−プロピルアゾホルムアミド、1,1’−アゾビスシクロヘキサン−1−カーボニトリル、アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、1−t−ブチルアゾ−2−シアノブタン、2−t−ブチルアゾ−2−シアノ−4−メトキシ−4−メチルペンタンなどが挙げられる。
過硫酸塩の具体例としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどが挙げられる。
これらの開始剤を2種以上用いてもよい。乳化重合法には、過硫酸カリウム、クメンハイドロパーオキサイドなどが好ましく用いられる。また、開始剤はレドックス系でも用いることができる。
グラフト共重合体(B)の重合度およびグラフト率調整を目的として、連鎖移動剤を使用することもできる。連鎖移動剤の具体例としては、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタンなどのメルカプタン、テルピノレンなどのテルペンなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらのなかでも、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンが好ましく用いられる。
乳化重合法により製造されたグラフト共重合体(B)ラテックスに凝固剤を添加することにより、ラテックス分を凝固させ、グラフト共重合体(B)を回収することができる。凝固剤としては、酸または水溶性塩が用いられる。凝固剤の具体例としては、硫酸、塩酸、リン酸、酢酸などの酸、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化バリウム、塩化アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムナトリウムなどの水溶性の塩などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。なお、酸で凝固した場合は、酸をアルカリにより中和した後にグラフト共重合体(B)を回収する方法を用いることもできる。ラテックス分を凝固させて得られたグラフト共重合体(B)スラリーは、脱水・洗浄・再脱水・乾燥工程を経て、パウダー形状とすることが、取り扱い性の点から好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物におけるグラフト共重合体(B)の含有量は、前述のポリカーボネート樹脂(A)、グラフト共重合体(B)および後述するビニル系共重合体(C)の合計100重量部に対して、10〜35重量部である。グラフト共重合体(B)の含有量が10重量部未満であると、成形品の耐衝撃性が低下する。13重量部以上が好ましく、15重量部以上がより好ましい。一方、グラフト共重合体(B)の含有量が35重量部を超えると、熱可塑性樹脂組成物の流動性が低下し、成形品外観が低下する。30重量部以下が好ましく、25重量部以下がより好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、芳香族ビニル系単量体(c1)およびシアン化ビニル系単量体(c2)を含む単量体混合物(c)を共重合してなるビニル系共重合体(C)を含む。ビニル系共重合体(C)を含むことにより、熱可塑性樹脂組成物の流動性を向上させることができる。
本発明に用いられるビニル系共重合体(C)の原料となる単量体混合物(c)は、少なくとも芳香族ビニル系単量体(c1)およびシアン化ビニル系単量体(c2)を含む。単量体混合物(c)の合計100重量%中、芳香族ビニル系単量体(c1)を79〜95重量%、シアン化ビニル系単量体(c2)を5〜21重量%含むことが好ましい。芳香族ビニル系単量体(c1)含有量が79重量%以上であり、シアン化ビニル系単量体(c2)含有量が21重量%以下であると、熱可塑性樹脂組成物の流動性をより向上させることができる。また、ポリカーボネート樹脂(A)とビニル系共重合体(C)との相溶性が向上し、成形品の耐衝撃性をより向上させることができる。一方、芳香族ビニル系単量体(c1)含有量が95重量%以下であり、シアン化ビニル系単量体(c2)含有量が5重量%以上であると、シアン化ビニル系単量体由来の構造に起因する分子間力により、成形品の耐衝撃性をより向上させることができる。芳香族ビニル系単量体(c1)含有量が90重量%以下、シアン化ビニル系単量体(c2)含有量が10重量%以上であることが好ましく、芳香族ビニル系単量体(c1)含有量が86重量%以下、シアン化ビニル系単量体(c2)含有量が14重量%以上であることがより好ましい。
芳香族ビニル系単量体(c1)としては、前述のグラフト共重合体(B)を構成する芳香族ビニル系単量体(b1)として例示したものを挙げることができ、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
シアン化ビニル系単量体(c2)としては、前述のグラフト共重合体(B)を構成するシアン化ビニル系単量体(b2)として例示したものを挙げることができ、アクリロニトリルが好ましい。
単量体混合物(c)には、本発明の効果を失わない程度に、芳香族ビニル系単量体(c1)およびシアン化ビニル系単量体(c2)と共重合可能な他のビニル系単量体が含まれうる。他のビニル系単量体としては、前述のグラフト共重合体(B)を構成する他のビニル系単量体として例示したものを挙げることができる。例えば、耐熱性や難燃性をさらに向上させるためにはN−フェニルマレイミドが好ましく用いられ、硬度を向上させるためにはメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、ビニル系共重合体(C)を構成する単量体混合物(c)の組成は、グラフト共重合体(B)のグラフト成分を構成する単量体混合物(b)の組成と同一であっても異なっていてもよいが、グラフト共重合体(B)とビニル系共重合体(C)の相溶性を高め、熱可塑性樹脂組成物の流動性および成形品の耐衝撃性をより高いレベルで両立する観点から、単量体混合物(b)中におけるシアン化ビニル系単量体(b2)含有率と、単量体混合物(c)中におけるシアン化ビニル系単量体(c2)含有率との差が2重量%以内であることが好ましい。これらの差が2重量%以内であれば、グラフト共重合体(B)とビニル系共重合体(C)の相溶性が向上することから熱可塑性樹脂組成物および成形品中におけるグラフト共重合体(B)の分散性が向上し、熱可塑性樹脂組成物の流動性および成形品の耐衝撃性の物性バランスがより向上する。さらに、成形品中におけるグラフト共重合体(B)の分散性向上により、成形品の外観がより向上する。
また、ビニル系共重合体(C)の重量平均分子量Mwは、7.5×104〜12.5×104の範囲が好ましい。ビニル系共重合体(C)のMwが7.5×104以上であると、得られる成形品の耐衝撃性をより向上させることができる。8.0×104以上がより好ましい。一方、ビニル系共重合体(C)のMwが12.5×104以下であると、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性を向上させることができる。11.5×104以下がより好ましい。
また、ビニル系共重合体(C)の数平均分子量Mnは、3.5×104〜7.5×104の範囲が好ましい。ビニル系共重合体(C)のMnが3.5×104以上であると、得られる成形品の耐衝撃性をより向上させることができる。4.0×104以上がより好ましい。一方、ビニル系共重合体(C)のMnが7.5×104以下であると、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性を向上させることができる。6.5×104以下がより好ましい。
ここで、ビニル系共重合体(C)の重量平均分子量Mwおよび数平均分子量Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算の分子量として求めることができる。
また、ビニル系共重合体(C)の分散度Mw/Mnは、1.0以上2.5未満の範囲が好ましい。
ビニル系共重合体(C)の重量平均分子量Mwや数平均分子量Mnを前述の好ましい範囲に調整する手段として、ビニル系共重合体(C)の重合において、単量体混合物(c)の合計100重量部に対して、後述する連鎖移動剤を0.1〜1.0重量部、後述する開始剤を0.05〜0.5重量部用いることが好ましい。連鎖移動剤を0.25〜0.5重量部用いることがより好ましい。
ビニル系共重合体(C)における各単量体由来の構造単位含有率は、ビニル系共重合体(C)を構成する単量体混合物(c)100重量%中における各単量体の含有量にほぼ等しい。したがって、ビニル系共重合体(C)において、シアン化ビニル系単量体由来の構造単位含有率は、5〜21重量%が好ましい。
ここで、ビニル系共重合体(C)におけるシアン化ビニル系単量体由来の構造単位含有率は、以下の方法で算出することができる。ビニル系共重合体(C)1gを加熱プレスにより40μm程度のフィルム状にし、フーリエ変換赤外分光光度計(日本光学株式会社製、“FT/IR4100”)で分析して得られるチャートに現れる各ピークの高さから、グラフト共重合体の組成を求めることができる。各構造単位とピークとの対応関係は次の通りである。
スチレン由来の構造単位:ベンゼン核の振動に帰属される1605cm−1のピーク
アクリロニトリル由来の構造単位:−C≡N伸縮に帰属される2240cm−1のピーク。
スチレン由来の構造単位:ベンゼン核の振動に帰属される1605cm−1のピーク
アクリロニトリル由来の構造単位:−C≡N伸縮に帰属される2240cm−1のピーク。
なお、ポリカーボネート樹脂(A)、グラフト共重合体(B)およびビニル系共重合体(C)を含む熱可塑性樹脂組成物からビニル系共重合体(C)の組成を分析する場合には、熱可塑性樹脂組成物1gにアセトン100mlを加え、70℃の温度の湯浴中で3時間還流し、この溶液を8800r.p.m.(10000G)で40分間遠心分離した後、不溶分を濾過し、可溶分を60℃の温度で5時間減圧乾燥した後、上記操作を行えばよい。この時、アセトン可溶分には、グラフト共重合体(B)中においてビニル系単量体混合物(b)から重合された共重合体部分に由来する樹脂成分も一部含まれるが、ポリカーボネート樹脂(A)とビニル系共重合体(C)が大多数となることから、アセトン可溶分のシアン化ビニル系単量体由来の構造単位含有率は、その主成分をなすビニル系共重合体(C)におけるシアン化ビニル系単量体(c2)含有率とほぼ等しいと考えられる。
本発明に用いられるビニル系共重合体(C)の製造方法に特に制限はなく、例えば、乳化重合法、懸濁重合法、連続塊状重合法、連続溶液重合法等の任意の方法を用いることができる。これらの2種以上組み合わせてもよい。懸濁重合法または塊状重合法が好ましく、重合制御の容易さ、後処理の容易さを考慮すると、懸濁重合法が最も好ましい。
懸濁重合に用いられる懸濁安定剤としては、粘土、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム等の無機系懸濁安定剤、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、メタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体等の有機系懸濁安定剤などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、溶融時の熱着色安定性の面で有機系懸濁安定剤が好ましく、メタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体がより好ましい。
また、ビニル系共重合体(C)の懸濁重合に使用される開始剤および連鎖移動剤としては、前記グラフト共重合体(B)の開始剤および連鎖移動剤として例示したものを挙げることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物におけるビニル系共重合体(C)の含有量は、前述のポリカーボネート樹脂(A)、グラフト共重合体(B)およびビニル系共重合体(C)の合計100重量部に対して、15〜45重量部である。ビニル系共重合体(C)の含有量が15重量部未満であると、熱可塑性樹脂組成物の流動性が低下する。17重量部以上が好ましく、20重量部以上がさらに好ましい。一方、ビニル系共重合体(C)の含有量が45重量部を超えると、成形品の耐衝撃性が低下する。40重量部以下が好ましく、35重量部以下がより好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(B)が弱アルカリ性を呈することがある。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)のアルカリ分解、熱分解を防ぐ酸性化合物を、さらに含んでもよい。酸性化合物としては、特に制限はないが、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、イタコン酸、安息香酸、安息香酸メチル、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、リン酸、リン酸二水素ナトリウムなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、無水マレイン酸、無水コハク酸、リン酸、リン酸二水素ナトリウムが好ましく、リン酸、リン酸二水素ナトリウムがより好ましい。
酸性化合物の含有量は、(A)〜(C)の合計100重量部に対し、1.0重量部以下が好ましい。酸性化合物の含有量が1.0重量部以下であれば、成形品の外観をより向上させることができる。なお、酸性化合物は、グラフト共重合体(B)の重合時に配合してもよいし、(A)〜(C)および必要に応じてその他成分を溶融混練して熱可塑性樹脂組成物を得る際に配合してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明の特性を損なわない範囲で、前記(A)〜(C)以外の樹脂成分、耐衝撃改良剤、充填材、艶消し改良剤などを含むことができる。また、本発明の特性を損なわない範囲で、必要に応じて、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、含硫黄化合物系酸化防止剤、含リン有機化合物系酸化防止剤、フェノール系熱酸化防止剤、アクリレート系熱酸化防止剤などの熱酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サクシレート系紫外線吸収剤などの紫外線吸収剤、デカブロモビフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA、塩素化ポリエチレン、臭素化エポキシオリゴマー、臭素化ポリカーボネート、三酸化アンチモン、縮合リン酸エステルなどの難燃剤・難燃助剤、銀系抗菌剤などの抗菌剤、抗カビ剤、カーボンブラック、酸化チタン、離型剤、潤滑剤、顔料および染料などを含むこともできる。
(A)〜(C)以外の樹脂成分としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンエチレンテレフタレート、ポリアリレート、液晶ポリエステル、ポリ乳酸、ポリカプロラクトンなどのポリエステル樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン4,6、ナイロン6T、ナイロン9T、ナイロン11などのポリアミド樹脂、その他ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリアセタール樹脂、結晶性スチレン樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂などを挙げることができる。これらを2種以上用いてもよい。
耐衝撃改良剤としては、例えば、天然ゴム、低密度ポリエチレンや高密度ポリエチレンなどのポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/メチルアクリレート共重合体、エチレン/エチルアクリレート共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/ブチルアクリレート共重合体、エチレン/エチルアクリレート/一酸化炭素共重合体、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/メチルアクリレート/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/ブチルアクリレート/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/オクテン−1共重合体、エチレン/ブテン−1共重合体などのエチレン系エラストマ、ポリエチレンテレフタレート/ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート/ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロック共重合体などのポリエステルエラストマ、メチルアクリレート/ブタジエン/スチレン共重合体(MBS)またはアクリル系のコアシェルエラストマ、スチレン系エラストマが例示される。これらを2種以上用いてもよい。
充填材の形状は、繊維状、板状、粉末状、粒状などのいずれであってもよい。具体的には、ポリアクリロニトリル(PAN)系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ガラス繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカーなどの繊維状またはウィスカー状充填材、マイカ、タルク、カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ガラスマイクロバルーン、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、モンモリロナイト、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ポリリン酸カルシウム、グラファイトなどの粉状、粒状または板状の充填材などが挙げられる。これらの中でも、ガラス繊維が好ましく用いられる。ガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものなら特に限定はなく、例えば、長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバーなどを挙げることができる。なお、前記充填材はその表面が任意のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の表面処理剤により処理されていてもよい。また、エチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆あるいは集束処理されていてもよく、アミノシランやエポキシシランなどのカップリング剤などで処理されていてもよい。
艶消し改良剤としては、例えば、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−イソプレン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合体ゴム、およびこれらのゴム中の共役ジエン単位を水素化したゴムなどの不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合体ゴムが例示される。これらの不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合体ゴムとともに、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(ランダム、ブロック)、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリクロロプレンゴムなどの共役ジエン系重合体ゴムおよびその水素化物、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM)などの、硫黄加硫系や有機過酸化物加硫系などのゴム工業で常用される架橋剤で架橋できるゴムを用いてもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、例えば、前記(A)〜(C)および必要に応じてその他成分を溶融混練することにより得ることができる。溶融混練方法に特に制限はなく、加熱装置およびベントを有する溶融混練装置を用いて溶融混練する方法が好ましい。溶融混練装置としては、例えば、単軸または二軸のスクリューを有する押出機などが挙げられる。二軸押出機を用いる場合は、スクリューの回転方向は同一方向でも逆方向でもよい。溶融混練時の加熱温度は、230〜320℃の範囲が一般的である。本発明の目的を損なわない範囲で、溶融混練時の温度勾配などを自由に設定することも可能である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形することにより、本発明の成形品を得ることができる。成形方法は特に限定されず、射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成形、圧縮成形、ガスアシスト成形などを挙げることができる。これらの中でも、射出成形により好適に成形される。射出成形は、好ましくは240〜300℃の温度範囲で実施することができる。また、射出成形時の金型温度は、好ましくは30〜80℃である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、流動性に優れ、耐衝撃性および外観に優れた成形品を得ることができるため、大型または形状の複雑な成形品に好適である。すなわち、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、パワーウインドパネル、センターコンソール、センタークラスター、コンソールシャッター、レバーコントローラー、コンソールボックスなどの自動車内装用部品に加え、これまで検討すらされずにいるリアスポイラー、ドアミラー、ルーフ、フェンダー、バンパーなどの自動車外装用部品へも好適に使用することができる。また、電気電子用途、OA機器用途、住宅・建材用途、スーツケースやカバンなどの用途にも好適に使用することができる。
本発明をさらに具体的に説明するため、以下に実施例を挙げる。各実施例、比較例および原材料の評価方法は以下の通りである。
(1)分子量
ビニル系共重合体(C)の数平均分子量および重量平均分子量を、GPCを用いて以下の条件で測定した。なお、検量線はポリスチレン換算分子量とした。
溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
試料濃度:50mg/ml
装置:Waters製 2695セパレーションモジュール
カラム:東ソー製 TSKgel SuperHZM−M、SuperHZM−N、SuperHZ−L(計3本)
カラム温度:40℃
溶媒流量:0.350ml/分
検出器:Waters製 2414示差屈折率検出器。
ビニル系共重合体(C)の数平均分子量および重量平均分子量を、GPCを用いて以下の条件で測定した。なお、検量線はポリスチレン換算分子量とした。
溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
試料濃度:50mg/ml
装置:Waters製 2695セパレーションモジュール
カラム:東ソー製 TSKgel SuperHZM−M、SuperHZM−N、SuperHZ−L(計3本)
カラム温度:40℃
溶媒流量:0.350ml/分
検出器:Waters製 2414示差屈折率検出器。
(2)グラフト共重合体のグラフト成分およびビニル系共重合体におけるシアン化ビニル系単量体由来の構造単位含有率
グラフト共重合体のグラフト成分におけるシアン化ビニル系単量体由来の構造単位含有率を、以下の方法で算出した。各参考例で得られたグラフト共重合体1gにアセトン100mlを加え、70℃の温度の湯浴中で3時間還流し、この溶液を8800r.p.m.(10000G)で40分間遠心分離した後、不溶分を濾過し、この不溶分を60℃の温度で5時間減圧乾燥した。その後、加熱プレスにより40μm程度のフィルム状にし、フーリエ変換赤外分光光度計(日本光学株式会社製、“FT/IR4100”)で分析して得られたチャートに現れた各ピークの高さからグラフト共重合体の組成を求めた。各構造単位とピークとの対応関係は次の通りである。
スチレン由来の構造単位:ベンゼン核の振動に帰属される1605cm−1のピーク
アクリロニトリル由来の構造単位:−C≡N伸縮に帰属される2240cm−1のピーク。
グラフト共重合体のグラフト成分におけるシアン化ビニル系単量体由来の構造単位含有率を、以下の方法で算出した。各参考例で得られたグラフト共重合体1gにアセトン100mlを加え、70℃の温度の湯浴中で3時間還流し、この溶液を8800r.p.m.(10000G)で40分間遠心分離した後、不溶分を濾過し、この不溶分を60℃の温度で5時間減圧乾燥した。その後、加熱プレスにより40μm程度のフィルム状にし、フーリエ変換赤外分光光度計(日本光学株式会社製、“FT/IR4100”)で分析して得られたチャートに現れた各ピークの高さからグラフト共重合体の組成を求めた。各構造単位とピークとの対応関係は次の通りである。
スチレン由来の構造単位:ベンゼン核の振動に帰属される1605cm−1のピーク
アクリロニトリル由来の構造単位:−C≡N伸縮に帰属される2240cm−1のピーク。
ビニル系共重合体(C)におけるシアン化ビニル由来の構造単位含有率を、以下の方法で算出した。各参考例で得られたビニル系共重合体(C)1gを加熱プレスにより40μm程度のフィルム状にし、グラフト共重合体のグラフト成分におけるシアン化ビニル系単量体由来の構造単位含有率の算出方法と同様に、フーリエ変換赤外分光光度計により組成を求めた。
(3)流動性評価
各実施例および比較例により得られた樹脂ペレットを80℃の熱風乾燥機中で3時間乾燥した後、ISO1133に準拠し、温度:240℃、荷重:98Nの条件でメルトフローレート(MFR)を測定した。
各実施例および比較例により得られた樹脂ペレットを80℃の熱風乾燥機中で3時間乾燥した後、ISO1133に準拠し、温度:240℃、荷重:98Nの条件でメルトフローレート(MFR)を測定した。
(4)耐衝撃性評価
各実施例および比較例により得られたシャルピー衝撃強度評価用試験片(全長80mm、厚さ4mm、幅10mm、ノッチ部の幅8mm)について、シャルピー衝撃強度をISO179に準拠して測定した。10個の試験片についてシャルピー衝撃強度を測定し、その数平均値を算出した。
各実施例および比較例により得られたシャルピー衝撃強度評価用試験片(全長80mm、厚さ4mm、幅10mm、ノッチ部の幅8mm)について、シャルピー衝撃強度をISO179に準拠して測定した。10個の試験片についてシャルピー衝撃強度を測定し、その数平均値を算出した。
(5)耐熱性評価
各実施例および比較例により得られた荷重たわみ温度評価用試験片(全長80mm、厚さ4mm、幅10mm)について、ISO75に準拠し、荷重:1.8MPaの条件で荷重たわみ温度を測定した。3個の試験片について荷重たわみ温度を測定し、その数平均値を算出した。
各実施例および比較例により得られた荷重たわみ温度評価用試験片(全長80mm、厚さ4mm、幅10mm)について、ISO75に準拠し、荷重:1.8MPaの条件で荷重たわみ温度を測定した。3個の試験片について荷重たわみ温度を測定し、その数平均値を算出した。
(6)成形品外観評価
各実施例および比較例により得られた樹脂ペレットを金属金型で挟み、加圧プレス機で220℃、3分間加熱加圧した溶融物を引っ張り、縦100mm×横300mm×厚み0.3〜0.5μmのシートを作製した。得られたシートの外観を目視観察し、縦100mm×横300mmの面積中にある0.5μm程度以上のブツの数を計数し、下記基準で評価した。
5:目視観察で認められるブツの個数が5未満
4:目視観察で認められるブツの個数が5個以上10個未満
3:目視観察で認められるブツの個数が10個以上15個未満
2:目視観察で認められるブツの個数が15個以上20個未満
1:目視観察で認められるブツの個数が20個以上 。
各実施例および比較例により得られた樹脂ペレットを金属金型で挟み、加圧プレス機で220℃、3分間加熱加圧した溶融物を引っ張り、縦100mm×横300mm×厚み0.3〜0.5μmのシートを作製した。得られたシートの外観を目視観察し、縦100mm×横300mmの面積中にある0.5μm程度以上のブツの数を計数し、下記基準で評価した。
5:目視観察で認められるブツの個数が5未満
4:目視観察で認められるブツの個数が5個以上10個未満
3:目視観察で認められるブツの個数が10個以上15個未満
2:目視観察で認められるブツの個数が15個以上20個未満
1:目視観察で認められるブツの個数が20個以上 。
各実施例、比較例に使用した材料を以下に示す。
ポリカーボネート樹脂(A)
(A−1)ISO 1133に準拠して、温度:300℃、荷重:1.2kgの条件で測定したメルトボリュームレートが12cm3/10分の出光興産社製“タフロン”(登録商標)A2200を使用した。
(A−1)ISO 1133に準拠して、温度:300℃、荷重:1.2kgの条件で測定したメルトボリュームレートが12cm3/10分の出光興産社製“タフロン”(登録商標)A2200を使用した。
グラフト共重合体(B)または(B’)
グラフト共重合体(B−1)〜(B−2)および(B’−3)〜(B’−4)を以下の通り準備した。
グラフト共重合体(B−1)〜(B−2)および(B’−3)〜(B’−4)を以下の通り準備した。
(製造例1)グラフト共重合体(B−1)
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径350nm)45重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン46.7重量部とアクリロニトリル8.3重量部からなる単量体混合物とクメンハイドロパーオキサイド0.25重量部、t−ドデシルメルカプタン0.2重量部を加えて、ステアリン酸カリウム1.5重量部を使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、90℃の温度の0.3重量%希硫酸水溶液中に添加して凝集させた後、水酸化ナトリウム水溶液により中和し、洗浄・脱水・乾燥工程を経て、グラフト共重合体(B−1)を調製した。得られたグラフト共重合体(B−1)のグラフト率は25%であった。また、グラフト共重合体(B−1)のアセトン不溶分において、アクリロニトリル由来成分、スチレン由来成分の割合は、両者の合計100重量%中、それぞれ14.8重量%、85.2重量%であった。
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径350nm)45重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン46.7重量部とアクリロニトリル8.3重量部からなる単量体混合物とクメンハイドロパーオキサイド0.25重量部、t−ドデシルメルカプタン0.2重量部を加えて、ステアリン酸カリウム1.5重量部を使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、90℃の温度の0.3重量%希硫酸水溶液中に添加して凝集させた後、水酸化ナトリウム水溶液により中和し、洗浄・脱水・乾燥工程を経て、グラフト共重合体(B−1)を調製した。得られたグラフト共重合体(B−1)のグラフト率は25%であった。また、グラフト共重合体(B−1)のアセトン不溶分において、アクリロニトリル由来成分、スチレン由来成分の割合は、両者の合計100重量%中、それぞれ14.8重量%、85.2重量%であった。
(製造例2)グラフト共重合体(B−2)
スチレンを45.1重量部に、アクリロニトリルを9.9重量部に変更したこと以外は製造例1と同様にしてグラフト共重合体(B−2)を調製した。得られたグラフト共重合体(B−2)のグラフト率は27%であった。また、グラフト共重合体(B−2)のアセトン不溶分において、アクリロニトリル由来成分、スチレン由来成分の割合は、両者の合計100重量%中、それぞれ17.6重量%、82.4重量%であった。
スチレンを45.1重量部に、アクリロニトリルを9.9重量部に変更したこと以外は製造例1と同様にしてグラフト共重合体(B−2)を調製した。得られたグラフト共重合体(B−2)のグラフト率は27%であった。また、グラフト共重合体(B−2)のアセトン不溶分において、アクリロニトリル由来成分、スチレン由来成分の割合は、両者の合計100重量%中、それぞれ17.6重量%、82.4重量%であった。
(製造例3)グラフト共重合体(B’−3)
スチレンを41.2重量部に、アクリロニトリルを13.8重量部に変更したこと以外は製造例1と同様にしてグラフト共重合体(B’−3)を調製した。得られたグラフト共重合体(B’−3)のグラフト率は30%であった。また、グラフト共重合体(B’−3)のアセトン不溶分において、アクリロニトリル由来成分、スチレン由来成分の割合は、両者の合計100重量%中、それぞれ24.5重量%、75.5重量%であった。
スチレンを41.2重量部に、アクリロニトリルを13.8重量部に変更したこと以外は製造例1と同様にしてグラフト共重合体(B’−3)を調製した。得られたグラフト共重合体(B’−3)のグラフト率は30%であった。また、グラフト共重合体(B’−3)のアセトン不溶分において、アクリロニトリル由来成分、スチレン由来成分の割合は、両者の合計100重量%中、それぞれ24.5重量%、75.5重量%であった。
(製造例4)グラフト共重合体(B’−4)
スチレンを52.8重量部に、アクリロニトリルを2.2重量部に変更したこと以外は製造例1と同様にしてグラフト共重合体(B’−4)を調製した。得られたグラフト共重合体(B’−4)のグラフト率は20%であった。また、グラフト共重合体(B’−4)のアセトン不溶分において、アクリロニトリル由来成分、スチレン由来成分の割合は、両者の合計100重量%中、それぞれ4.8重量%、95.2重量%であった。
スチレンを52.8重量部に、アクリロニトリルを2.2重量部に変更したこと以外は製造例1と同様にしてグラフト共重合体(B’−4)を調製した。得られたグラフト共重合体(B’−4)のグラフト率は20%であった。また、グラフト共重合体(B’−4)のアセトン不溶分において、アクリロニトリル由来成分、スチレン由来成分の割合は、両者の合計100重量%中、それぞれ4.8重量%、95.2重量%であった。
ビニル系共重合体(C)
ビニル系共重合体(C−1)〜(C−8)を以下の通り準備した。
ビニル系共重合体(C−1)〜(C−8)を以下の通り準備した。
(製造例5)ビニル系共重合体(C−1)
アクリルアミド80重量部、メタクリル酸メチル20重量部、過硫酸カリウム0.3重量部、純水1800重量部を反応容器中に仕込み、撹拌しながら、反応容器内温度を70℃に保った。単量体が完全に重合体に転化するまで反応を続けた後、水酸化ナトリウム20重量部と純水2000重量部を加え、70℃で2時間撹拌した後、室温にまで冷却することで懸濁重合用媒体となるアクリルアミド−メタクリル酸メチル共重合体水溶液を得た。
アクリルアミド80重量部、メタクリル酸メチル20重量部、過硫酸カリウム0.3重量部、純水1800重量部を反応容器中に仕込み、撹拌しながら、反応容器内温度を70℃に保った。単量体が完全に重合体に転化するまで反応を続けた後、水酸化ナトリウム20重量部と純水2000重量部を加え、70℃で2時間撹拌した後、室温にまで冷却することで懸濁重合用媒体となるアクリルアミド−メタクリル酸メチル共重合体水溶液を得た。
容量が20lで、バッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、0.05重量部の前記アクリルアミド−メタクリル酸メチル共重合体を150重量部のイオン交換水に溶解した溶液を入れ、400rpmで撹拌し、系内を窒素ガスで置換した。次に85重量部のスチレン、15重量部のアクリロニトリル、0.31重量部のt−ドデシルメルカプタン、0.31重量部の2,2’−アゾビスイソブチルニトリルの混合溶液を、反応系を撹拌しながら添加し、67℃にて共重合反応を開始した。共重合開始から2時間後から50分間かけて100℃に昇温して5分間保持した後、冷却し、得られたスラリーを洗浄・脱水・乾燥して、ビニル系共重合体(C−1)を調製した。得られたビニル系共重合体(C−1)のアクリロニトリル由来成分、スチレン由来成分の割合は、両者の合計100重量%中、それぞれ15.5重量%、84.5重量%であった。また、得られたビニル系共重合体(C−1)の数平均分子量Mnは4.9×104、重量平均分子量Mwは9.6×104、分子量分布Mw/Mnは2.0であった。
(製造例6)ビニル系共重合体(C−2)
スチレンを82重量部に、アクリロニトリルを18重量部に、t−ドデシルメルカプタンを0.33重量部に変更したこと以外は製造例5と同様にしてビニル系共重合体(C−2)を調製した。得られたビニル系共重合体(C−2)のアクリロニトリル由来成分、スチレン由来成分の割合は、両者の合計100重量%中、それぞれ18.4重量%、81.6重量%であった。また、得られたビニル系共重合体(C−2)の数平均分子量Mnは5.0×104、重量平均分子量Mwは9.4×104、分子量分布Mw/Mnは1.9であった。
スチレンを82重量部に、アクリロニトリルを18重量部に、t−ドデシルメルカプタンを0.33重量部に変更したこと以外は製造例5と同様にしてビニル系共重合体(C−2)を調製した。得られたビニル系共重合体(C−2)のアクリロニトリル由来成分、スチレン由来成分の割合は、両者の合計100重量%中、それぞれ18.4重量%、81.6重量%であった。また、得られたビニル系共重合体(C−2)の数平均分子量Mnは5.0×104、重量平均分子量Mwは9.4×104、分子量分布Mw/Mnは1.9であった。
(製造例7)ビニル系共重合体(C−3)
スチレンを79重量部に、アクリロニトリルを21重量部に、t−ドデシルメルカプタンを0.37重量部に変更したこと以外は製造例5と同様にしてビニル系共重合体(C−3)を調製した。得られたビニル系共重合体(C−3)のアクリロニトリル由来成分、スチレン由来成分の割合は、両者の合計100重量%中、それぞれ21.2重量%、78.8重量%であった。また、得られたビニル系共重合体(C−3)の数平均分子量Mnは4.7×104、重量平均分子量Mwは8.9×104、分子量分布Mw/Mnは1.9であった。
スチレンを79重量部に、アクリロニトリルを21重量部に、t−ドデシルメルカプタンを0.37重量部に変更したこと以外は製造例5と同様にしてビニル系共重合体(C−3)を調製した。得られたビニル系共重合体(C−3)のアクリロニトリル由来成分、スチレン由来成分の割合は、両者の合計100重量%中、それぞれ21.2重量%、78.8重量%であった。また、得られたビニル系共重合体(C−3)の数平均分子量Mnは4.7×104、重量平均分子量Mwは8.9×104、分子量分布Mw/Mnは1.9であった。
(製造例8)ビニル系共重合体(C−4)
スチレンを76重量部に、アクリロニトリルを24重量部に、t−ドデシルメルカプタンを0.39重量部に変更したこと以外は製造例5と同様にしてビニル系共重合体(C−4)を調製した。得られたビニル系共重合体(C−4)のアクリロニトリル由来成分、スチレン由来成分の割合は、両者の合計100重量%中、それぞれ24.1重量%、75.9重量%であった。また、得られたビニル系共重合体(C−4)の数平均分子量Mnは4.8×104、重量平均分子量Mwは9.2×104、分子量分布Mw/Mnは1.9であった。
スチレンを76重量部に、アクリロニトリルを24重量部に、t−ドデシルメルカプタンを0.39重量部に変更したこと以外は製造例5と同様にしてビニル系共重合体(C−4)を調製した。得られたビニル系共重合体(C−4)のアクリロニトリル由来成分、スチレン由来成分の割合は、両者の合計100重量%中、それぞれ24.1重量%、75.9重量%であった。また、得られたビニル系共重合体(C−4)の数平均分子量Mnは4.8×104、重量平均分子量Mwは9.2×104、分子量分布Mw/Mnは1.9であった。
(製造例9)ビニル系共重合体(C−5)
t−ドデシルメルカプタンを0.17重量部に変更したこと以外は製造例5と同様にしてビニル系共重合体(C−5)を調製した。得られたビニル系共重合体(C−5)のアクリロニトリル由来成分、スチレン由来成分の割合は、両者の合計100重量%中、それぞれ15.6重量%、84.4重量%であった。また、得られたビニル系共重合体(C−5)の数平均分子量Mnは7.4×104、重量平均分子量Mwは15.0×104、分子量分布Mw/Mnは2.0であった。
t−ドデシルメルカプタンを0.17重量部に変更したこと以外は製造例5と同様にしてビニル系共重合体(C−5)を調製した。得られたビニル系共重合体(C−5)のアクリロニトリル由来成分、スチレン由来成分の割合は、両者の合計100重量%中、それぞれ15.6重量%、84.4重量%であった。また、得られたビニル系共重合体(C−5)の数平均分子量Mnは7.4×104、重量平均分子量Mwは15.0×104、分子量分布Mw/Mnは2.0であった。
(製造例10)ビニル系共重合体(C−6)
t−ドデシルメルカプタンを0.19重量部に変更したこと以外は製造例6と同様にして(C−6)を調製した。得られたビニル系共重合体(C−6)のアクリロニトリル由来成分、スチレン由来成分の割合は、両者の合計100重量%中、それぞれ18.5重量%、81.5重量%であった。また、得られたビニル系共重合体(C−6)の数平均分子量Mnは7.5×104、重量平均分子量Mwは14.8×104、分子量分布Mw/Mnは2.0であった。
t−ドデシルメルカプタンを0.19重量部に変更したこと以外は製造例6と同様にして(C−6)を調製した。得られたビニル系共重合体(C−6)のアクリロニトリル由来成分、スチレン由来成分の割合は、両者の合計100重量%中、それぞれ18.5重量%、81.5重量%であった。また、得られたビニル系共重合体(C−6)の数平均分子量Mnは7.5×104、重量平均分子量Mwは14.8×104、分子量分布Mw/Mnは2.0であった。
(製造例11)ビニル系共重合体(C−7)
t−ドデシルメルカプタンを0.20重量部に変更したこと以外は製造例7と同様にしてビニル系共重合体(C−7)を調製した。得られたビニル系共重合体(C−7)のアクリロニトリル由来成分、スチレン由来成分の割合は、両者の合計100重量%中、それぞれ21.2重量%、78.8重量%であった。また、得られたビニル系共重合体(C−7)の数平均分子量Mnは7.7×104、重量平均分子量Mwは15.1×104、分子量分布Mw/Mnは1.9であった。
t−ドデシルメルカプタンを0.20重量部に変更したこと以外は製造例7と同様にしてビニル系共重合体(C−7)を調製した。得られたビニル系共重合体(C−7)のアクリロニトリル由来成分、スチレン由来成分の割合は、両者の合計100重量%中、それぞれ21.2重量%、78.8重量%であった。また、得られたビニル系共重合体(C−7)の数平均分子量Mnは7.7×104、重量平均分子量Mwは15.1×104、分子量分布Mw/Mnは1.9であった。
(製造例12)ビニル系共重合体(C−8)
t−ドデシルメルカプタンを0.21重量部に変更したこと以外は製造例8と同様にしてビニル系共重合体(C−8)を調製した。得られたビニル系共重合体(C−8)のアクリロニトリル由来成分、スチレン由来成分の割合は、両者の合計100重量%中、それぞれ24.2重量%、75.8重量%であった。また、得られたビニル系共重合体(C−8)の数平均分子量Mnは7.8×104、重量平均分子量Mwは15.2×104、分子量分布Mw/Mnは1.9であった。
t−ドデシルメルカプタンを0.21重量部に変更したこと以外は製造例8と同様にしてビニル系共重合体(C−8)を調製した。得られたビニル系共重合体(C−8)のアクリロニトリル由来成分、スチレン由来成分の割合は、両者の合計100重量%中、それぞれ24.2重量%、75.8重量%であった。また、得られたビニル系共重合体(C−8)の数平均分子量Mnは7.8×104、重量平均分子量Mwは15.2×104、分子量分布Mw/Mnは1.9であった。
(実施例1〜13、比較例1〜13)
前記ポリカーボネート樹脂(A)、グラフト共重合体(B)または(B’)、ビニル系共重合体(C)を、表3に示した比で配合し、0.5mol/lリン酸水溶液0.3重量部を加えた後、ブレンダーにて1分間撹拌混合した。得られた混合物を、スクリュー径30mmの同方向回転の二軸押出機(池貝鉄工株式会社製“PCM−30”、温度範囲:240〜250℃)に供給して溶融混練した。ダイスノズルから吐出した溶融熱可塑性樹脂組成物を、水槽を介してカッターに引き取ってカッティングし、樹脂ペレットを得た。得られた樹脂ペレットを、成形機(住友重機工業社製SE50DU射出成形機、成形温度250℃、金型温度60℃)を用いて射出成形することにより、シャルピー衝撃強度評価用試験片と荷重たわみ温度評価用試験片を作製した。前述の方法により評価した結果を表3に示す。
前記ポリカーボネート樹脂(A)、グラフト共重合体(B)または(B’)、ビニル系共重合体(C)を、表3に示した比で配合し、0.5mol/lリン酸水溶液0.3重量部を加えた後、ブレンダーにて1分間撹拌混合した。得られた混合物を、スクリュー径30mmの同方向回転の二軸押出機(池貝鉄工株式会社製“PCM−30”、温度範囲:240〜250℃)に供給して溶融混練した。ダイスノズルから吐出した溶融熱可塑性樹脂組成物を、水槽を介してカッターに引き取ってカッティングし、樹脂ペレットを得た。得られた樹脂ペレットを、成形機(住友重機工業社製SE50DU射出成形機、成形温度250℃、金型温度60℃)を用いて射出成形することにより、シャルピー衝撃強度評価用試験片と荷重たわみ温度評価用試験片を作製した。前述の方法により評価した結果を表3に示す。
各実施例および比較例の評価結果から、以下のことが明らかになった。
実施例1〜7と比較例1〜4、実施例8〜11と比較例5〜6の結果の比較から、ゴム質重合体の存在下に、少なくとも芳香族ビニル系単量体(b1)81〜95重量%およびシアン化ビニル系単量体(b2)5〜19重量%を含む単量体混合物(b)をグラフト共重合して得られるグラフト共重合体(B)を使用した場合には、成形品の衝撃強度を維持しながら、流動性を大幅に向上させることができ、成形品外観も著しく向上した。
実施例1〜3、実施例4〜7の結果の比較から、グラフト共重合体(B)を構成する単量体混合物(b)中におけるシアン化ビニル系単量体(b2)含有率とビニル系共重合体(C)を構成する単量体混合物(c)中におけるシアン化ビニル系単量体(c2)含有率との差が2重量%以内であるものを使用した場合には流動性がさらに向上し、成形品の耐衝撃性および成形品外観もさらに向上した。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、流動性に優れ、耐衝撃性および外観に優れた成形品を得ることができるため、自動車分野ではリアスポイラー、ホイールキャップ、ドアミラー、ラジエータグリルなどの自動車外装用部品やパワーウインドパネル、センターコンソール、センタークラスター、レバーコントローラー、コンソールボックスなどの自動車内装用部品、リアスポイラー、ドアミラー、ルーフ、フェンダー、バンパーなどの自動車外装用部品に好適に使用することができる。さらに、自動車分野以外でも、OA機器や家電機器、住宅建材、スーツケースやカバンなどの用途に好適に使用することができる。
Claims (5)
- ポリカーボネート樹脂(A)40〜75重量部、ゴム質重合体の存在下に、少なくとも芳香族ビニル系単量体(b1)81〜95重量%およびシアン化ビニル系単量体(b2)5〜19重量%を含む単量体混合物(b)をグラフト共重合して得られるグラフト共重合体(B)10〜35重量部、並びに、少なくとも芳香族ビニル系単量体(c1)およびシアン化ビニル系単量体(c2)を含む単量体混合物(c)を共重合してなるビニル系共重合体(C)15〜45重量部を含む熱可塑性樹脂組成物。
- 前記ビニル系共重合体(C)が、芳香族ビニル系単量体(c1)79〜95重量%およびシアン化ビニル系単量体(c2)5〜21重量%を含む単量体混合物(c)を共重合してなる請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記単量体混合物(b)中におけるシアン化ビニル系単量体(b2)含有率と前記単量体混合物(c)中におけるシアン化ビニル系単量体(c2)含有率との差が2重量%以内である請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記ビニル系共重合体(C)の重量平均分子量Mwが7.5×104〜12.5×104の範囲にある請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
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