JP2015167976A - 熱延鋼板の巻取温度制御方法 - Google Patents

熱延鋼板の巻取温度制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱延鋼板の水冷熱伝達係数における熱伝達係数モデル部を適切に補正して、高精度で熱延鋼板の巻取温度を制御することができる熱延鋼板の巻取温度制御方法を提供する。
【解決手段】熱間圧延設備において圧延された熱間圧延材をランナウトテーブル上で冷却水により冷却して所定の巻取温度に制御するにあたり、熱伝達係数のモデル式として、冷却水の水温、熱延鋼板温度、および冷却水の水量密度の関数として表される熱伝達係数モデル部に、熱伝達係数学習値を乗じ、さらに熱延鋼板の搬送速度が特定のしきい値以上のときに、搬送速度の増加にともなって熱伝達係数を大きくする補正項を加味したものを用いる。
【選択図】 図5

Description

本発明は、熱間圧延機において圧延された熱延鋼板をランナウトテーブル上で冷却制御して巻取温度を制御する熱延鋼板の巻取温度制御方法に関する。熱延鋼板はそれぞれコイラーで巻き取る際の巻取温度目標が定められており、巻取温度制御装置は、熱延鋼板の巻取温度が目標の公差範囲内に入るように、ランナウトテーブルでの熱延鋼板の冷却パターンを決定する。そして、冷却装置が、巻取温度制御装置で決定された冷却パターン通りに熱延鋼板の冷却を行う制御を実施する。
巻取温度制御は、熱延鋼板を長手方向に定長単位で区切った制御単位(切板と呼ばれる)毎に、仕上圧延機(仕上げミル)出側の温度実績およびランナウトテーブル(ROT)上の予定通過速度をもとにして、ROT冷却中の熱延鋼板の伝熱計算を複数回行い、巻取温度目標を達成するための最適な冷却パターンを収束計算により決定するフィードフォワード(FF)制御と、巻取温度実績から冷却水量を修正するフィードバック(FB)制御とから成り立っている。
伝熱計算を行う際に用いる熱延鋼板の水冷熱伝達係数は、一般的に、水温や水量密度、鋼板表面温度等の関数としてモデル式を用いて算出される熱伝達係数モデル部に、同一鋼種の最近の冷却実績から実際の熱伝達係数を逆算して得られる学習項(熱伝達係数学習部)を乗じた値が採用される。
熱伝達係数学習部については、特許文献1を始め、伝熱計算への反映のさせ方に関して様々な手法が考案されている。
一方、水冷中における熱伝達係数モデル部については、特許文献2のように、水量密度、水温、鋼板温度の関数として表現されるモデルや、特許文献3のように、水量密度、材料表面温度、材料表面温度と水温との差、鋼板速度の関数として表現されるモデル、特許文献4や特許文献5のように、遷移沸騰領域における熱伝達の挙動の変化を考慮した関数を導入したモデル、特許文献6のように、板厚、FDT(仕上圧延出側温度)目標値、CT(巻取温度)目標値で熱伝達係数を補正するモデル、特許文献7のように、水量密度・板厚・材料温度・冷却水温度の関数として表されるモデルなど、様々な形のモデル式が提案されている。
これらのモデル式において、特許文献4の表面温度補正項のように、沸騰熱伝達における物理現象を表現している項もあるが、水温や水量密度の補正項などは、実験から合わせ込んだ値が採用されている。また、その他の補正項(速度・板厚・FDT目標・CT目標)も、実績に合わせ込む形で導入された物理的な意味を持たない補正項である。
伝熱計算においては、熱伝達係数モデル部で予測する熱伝達係数の精度が悪くても、熱伝達係数学習部によってある程度精度を高めることが可能である。これは、操業条件および鋼種が類似する鋼板の冷却では、熱伝達係数が近い値を示すためであり、適切な熱伝達係数学習値を計算に反映すれば、モデル部の精度不良があったとしてもそれをカバーすることができる。このため、現状の巻き取り温度制御は、熱伝達係数学習部に頼った計算が行われているのが実情であり、熱伝達係数モデルの精度向上に関する提案は少ない。
特公平6−88060号公報 特開平6−218414号公報 特開平9−10822号公報 特開2000−317513号公報 特開2004−331992号公報 特開平9−267113号公報 特開2000−167615号公報
上述したように、熱延鋼板の伝熱計算を行う上で、熱延鋼板の水冷中の熱伝達係数は、物理現象に基づいた適切なモデルで表現できておらず、熱伝達係数モデル部には改善の余地があり、熱伝達係数学習部に頼った計算が行われているが、操業条件や鋼種が複雑化している場合、モデル誤差の影響が大きくなり、熱伝達係数学習部ではカバーできない誤差が生じる。
これは、冷却実績から熱伝達係数を逆算して学習する処理は、結局は熱伝達係数モデル部のモデル式を使って逆算されており、熱伝達係数モデル部の誤差が学習値に影響を与えるためである。
すなわち、先行技術では、熱延鋼板の速度に依存して熱伝達係数が変化する現象が適切にモデルに反映されていない。このため、同一の鋼種であっても鋼板速度が異なる場合や、同一鋼板内でも巻取中の加減速が大きい場合には、鋼板速度による温度予測精度が悪化する。
具体的には、上記特許文献3では、鋼板速度の増加に対して熱伝達係数を小さくする速度補正(v−0.08)が提案されているが、実際に、熱伝達係数モデル部に、鋼板速度を除く、水温、水量密度、鋼板表面温度の項を適用したモデルで熱伝達係数の学習値を実績から逆算し、その学習値と鋼板搬送速度の相関を調べると、速度が大きい場合に熱延鋼板がよく冷える(熱伝達係数が大きい)という現象が確認され、特許文献3の速度補正は実際に生じている現象と合致していない。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、熱延鋼板の水冷熱伝達係数における熱伝達係数モデル部を適切に補正して、高精度で熱延鋼板の巻取温度を制御することができる熱延鋼板の巻取温度制御方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために検討した結果、熱伝達係数が変化する要因として重要なのが熱延鋼板の速度であり、熱延鋼板の搬送速度を適切に熱伝達係数に反映させることにより高精度で熱延鋼板の巻取温度を制御できることを見出した。
従来、熱伝達係数学習部は、鋼種、板厚、FDT目標、CT目標によってグループ分けされており、同一グループであっても、実績から逆算した熱伝達係数は板厚によって大きく変化するという結果が得られていたが、熱伝達係数は、鋼板表面での熱移動のしやすさを表現したものであり、本来であれば板厚によって変化しない。板厚によって変化する操業条件で代表的なものは搬送速度であり、一般的な操業パターンとして、板厚が厚い鋼板は搬送速度が遅く、板厚が薄い鋼板は搬送速度が速い。このことから、熱伝達係数が変動する要因は、板厚ではなく熱延鋼板の搬送速度であるとの考えに至った。
そして、物理現象を詳細に考察し、熱延鋼板の搬送速度と熱伝達係数の関係を的確に把握してこれらをモデル式に正しく反映することにより、本発明に至った。
本発明は、以上のような知見に基づいて完成されたものであり、以下の(1)〜(3)を提供する。
(1)熱間圧延設備において圧延された熱間圧延材をランナウトテーブル上で冷却水により冷却して所定の巻取温度に制御する熱延鋼板の巻取温度制御方法であって、
熱伝達係数のモデル式として、冷却水の水温、熱延鋼板温度、および冷却水の水量密度の関数として表される熱伝達係数モデル部に、熱伝達係数学習値を乗じ、さらに熱延鋼板の搬送速度が特定のしきい値以上のときに、搬送速度の増加にともなって熱伝達係数を大きくする補正項を加味したものを用いて、熱延鋼板の巻取温度を制御することを特徴とする、熱延鋼板の巻取温度制御方法。
(2)前記熱伝達係数のモデル式として、以下の式を用いることを特徴とする(1)に記載の熱延鋼板の巻取温度制御方法。
α=KKW・f(T)・f(W)・f(T)・K
V<Vthのとき:K=1
V≧Vthのとき:K=1+f(V)
ただし、α:熱伝達係数[W/m・K]、KKW:熱伝達係数学習値[−]、T:冷却水の水温[K]、T:鋼板温度[K]、W:冷却水の水量密度[m/m・min]、V:熱延鋼板の搬送速度[m/s]、Vth:熱延鋼板の搬送速度しきい値[m/s]、f(V):搬送速度増加により増加する搬送速度の関数である。
(3)前記f(V)は、以下の式で表されることを特徴とする(2)に記載の熱延鋼板の巻取温度制御方法。
(V)=a×(V−Vth)
ただし、a,bは正の整数である。
本発明によれば、熱伝達係数のモデル式として、熱延鋼板の搬送速度が特定のしきい値以上のときに、搬送速度の増加にともなって熱伝達係数を大きくする補正項を加味したものを用いたので、熱延鋼板の搬送速度に応じた熱伝達係数の変化を適切に反映することができる。このため、熱延鋼板巻取り中の加減速による温度予測精度のばらつきの改善、および、同一鋼種で搬送速度が異なる鋼板の温度予測精度の向上を実現することができ、熱延鋼板の巻取温度を高精度で制御することが可能となる。
本発明の熱延鋼板の巻取温度制御方法を実施するための圧延冷却設備の一例を示す概略図である。 特許文献3、数式5の速度補正項の鋼板搬送速度による変化を示す図である。 実操業における鋼板搬送速度と熱伝達係数学習値との相関を示す図である。 沸騰熱伝達のみを考慮した従来の熱伝達モデル(a)と、対流熱伝達の影響をも考慮した本発明の熱伝達モデル(b)とを示す図である。 図3の鋼板搬送速度と熱伝達係数学習値との相関について詳細に検討した結果を示す図である。
以下、添付図面を参照して本発明について具体的に説明する。
図1は、本発明の熱延鋼板の巻取温度制御方法を実施するための圧延冷却設備の一例を示す概略図である。この圧延冷却設備1は、仕上圧延機21(最終スタンドのみを図示する)の下流側に設けられたランナウトテーブル22に設けられている。仕上圧延機21で圧延された熱延鋼板Sは、ランナウトテーブル22上を走行して巻取機(ダウンコイラー)23に巻取られる。
圧延冷却設備1は、上下に配置され冷却水を熱延鋼板Sに注水する冷却部2を有している。冷却部2には冷却水供給手段(図示せず)から冷却水が供給される。これらの冷却部2はそれぞれ複数の冷却バンク3に分割されている。そして、このような冷却部2の各バンク3への注水量を調節することにより熱延鋼板Sに対する冷却量が制御される。
また、圧延冷却設備1は、仕上圧延機21を出て冷却設備1に送り込まれる熱延鋼板Sの温度を測定する冷却設備入側温度計4と、仕上圧延後の熱延鋼板Sの板厚を測定する板厚計5と、冷却設備への熱延鋼板Sの供給速度である仕上圧延機21の熱延鋼板Sの搬出速度を測定する鋼板速度検出器6と、巻取り時の熱延鋼板Sの温度を測定する出側温度計7と、冷却設備からの熱延鋼板Sの搬出速度である巻取機23の熱延鋼板の巻取速度を測定する巻取速度検出器8とを有している。また、圧延冷却設備1は、熱延鋼板Sを所望の巻取温度に冷却制御するために冷却部2への注水パターンを算出する冷却制御部9と、冷却制御部9による注水パターンの算出のために熱伝達係数の学習値を演算して冷却制御部9に出力する学習値演算部10と、冷却制御部9から出力された注水量に基づいて冷却部2に注水指令を出力するバンク開閉入出力部11とを有する。
次に、圧延冷却設備1による冷却制御動作について説明する。
冷却制御部9は、熱延鋼板Sを全長にわたって所望の巻取温度に冷却するために冷却部2の各バンク3への注水パターンを算出し、これによって熱延鋼板Sの巻取温度を制御する。このときの制御は、熱延鋼板Sを長手方向に定長単位である切板毎に、仕上圧延機21出側の冷却設備入側温度計4で得られる温度実績をもとに冷却パターンを決定するフィードフォワード(FF)制御と、出側温度計7で得られる巻取温度実績をもとに冷却量を修正するフィードバック(FB)制御とから成り立っている。例えば、FF制御では、冷却設備入側温度計4で得られる温度実績と熱延鋼板の熱伝達係数を用いて求められる予測温度降下量、さらには、板厚計5により求められる熱延鋼板Sの板厚、および鋼板速度検出器6および巻取速度検出器8で測定された搬送速度に基づいて注水パターンを算出する。
このとき、冷却制御部9のFF制御およびFB制御において温度計算を行う際に用いる熱延鋼板の熱伝達係数は、モデル式によって決定される熱伝達係数に、鋼種や板厚、目標温度等によって区分けされた圧延材グループ毎に持つ学習値を乗じた値が採用される。この熱伝達係数の学習値は、熱伝達係数学習値演算部10で演算されて冷却制御部9の注水パターン算出に反映される。熱伝達係数学習値演算部10では、前回、同一圧延グループを圧延した際の実績に基づいて演算され更新された学習値が用いられる。
このようにして各バンク3の注水量が算出され、算出されたバンク3の注水量がバンク開閉入出力部11に出力されてバンク開閉入出力部11から各バンク3に注水指令が出力されて冷却制御が行われる。
本発明では、このような冷却制御において、上述したように、ランナウトテーブル上で水冷中の熱延鋼板の熱伝達係数が、熱延鋼板の搬送速度によって変化することを前提とする。熱延鋼板の搬送速度の影響については、先行技術(特許文献3)でも考慮しているものの、実際の物理現象をモデル式に正しく反映できていない。すなわち、特許文献3では、鋼板上面の熱伝達率hWtおよび下面の熱伝達率hWbは以下の式で表される。
(上面)
Wt=1.163×100.425(θ−θ−1−0.08{1−0.02(θ−40)}z
(下面)
Wb=7.020×100.771(θ−θ−1{1−0.02(θ−40)}z
W:水量密度[m/m・min]、θ:材料表面温度[℃]、θ:水温[℃]、v:鋼板速度[m/min]、z:補正係数
したがって、特許文献3の速度補正項(v−0.08)は、図2に示すようになり、速度が増加するに従って熱伝達係数が小さくなるように補正している。
これに対し、実操業において、鋼板速度を除く、水温、水量密度、鋼板表面温度の関数とした熱伝達係数モデルを用いて熱伝達係数の学習値を実績から逆算し、その学習値と鋼板搬送速度の相関を求めると、図3に示すように、鋼板速度増加により熱伝達係数が大きくなる。つまり、特許文献3のモデルで計算している熱伝達係数は実際の熱伝達係数とは逆の結果であり、特許文献3のモデルで計算される熱伝達係数よりも実際の熱伝達係数のほうが大きい。
そこで、実際の物理現象に基づいて、熱延鋼板水冷中の熱伝達係数がどのように変化するかを考察した。
熱延鋼板の水冷における熱伝達は、熱延鋼板が100℃(水の沸点)以上であるため、沸騰熱伝達である。一方、100℃未満の鋼板の熱伝達は、対流熱伝達と呼ばれ、流体(冷却水)が停止している状態(すなわち鋼板が停止している状態)を自然対流、流体(冷却水)が動いている状態(すなわち鋼板が動いている状態)を強制対流という。
沸騰熱伝達には、鋼板表面温度によって、核沸騰熱伝達、遷移沸騰熱伝達、膜沸騰熱伝達という3つの形態があり、上記特許文献4には、それぞれの形態での熱流束の違いに着目した熱伝達モデルが提案されている。しかし、沸騰熱伝達は、図4(a)に示すように、流体(冷却水)が静止している状態を前提としており、熱延鋼板の搬送によって生じる対流の影響は反映されていない。すなわち、従来の沸騰熱伝達を考慮した熱伝達係数のモデル式としては、一般的に、冷却水の水温、熱延鋼板温度、冷却水の水量密度の関数として表される熱伝達係数モデル部に熱伝達係数学習値を乗じたものが用いられる。具体的には、熱伝達係数α′[W/m・K]のモデル式として、以下の(1)式で表されるモデル式が用いられる。
α′=KKW・f(T)・f(W)・f(T) ・・・(1)
ただし、KKW:熱伝達係数学習値[−]、T:冷却水の水温[K]、T:鋼板温度[K]、W:冷却水の水量密度[m/m・min]
そこで、本発明では、図4(b)に示すように、沸騰熱伝達を前提としつつ、熱延鋼板の搬送による対流熱伝達の影響を加味し、熱延鋼板搬送速度の増加にともなって熱伝達係数が大きくなる実際の現象を表現できるモデル式を構築する。
このようなモデル式を構築するに当たり、図3に示す実績から逆算した学習値と鋼板搬送速度との相関についてより詳細に検討すると、図5に示すように、搬送速度が低い領域では、搬送速度に対して熱伝達係数がほぼ一定であり、搬送速度があるしきい値(搬送速度しきい値Vth)以上の領域では、搬送速度に対して熱伝達係数が増加する傾向にあることがわかる。
すなわち、搬送速度しきい値Vthは、熱伝達係数の速度依存性が変化する境界を示しており、搬送速度しきい値Vthより低い搬送速度では、熱延鋼板の上を冷却水が滑らかに流動するために搬送速度増加による熱伝達係数の変化が小さいのに対し、搬送速度しきい値Vth以上では、冷却水が乱流状態となるため、搬送速度増加により熱伝達係数の変化(増加)が大きく現れるのである。
したがって、本発明では、熱伝達係数のモデル式として、冷却水の水温、鋼板温度、冷却水の水量密度の関数として表される熱伝達係数モデル部に熱伝達係数学習値を乗じた従来のモデル式に、上記のような傾向を反映した熱伝達係数速度補正項を加味したものを用いる。
具体的には、熱伝達係数αのモデル式として、上記(1)式に熱伝達係数速度補正項Kを加味した以下の(2)式で表されるモデル式が用いられる。
α=KKW・f(T)・f(W)・f(T)・K ・・・(2)
ここで、搬送速度をV[m/s]、搬送速度しきい値をVth[m/s]とすると、
V<Vthのとき:K=1
V≧Vthのとき:K=1+f(V)となる。
ただし、f(V)は、搬送速度増加により増加する関数であり、例えば、
(V)=a×(V−Vth)(ただし、a,bは正の整数)である。a,bは、鋼種等に応じて適宜の値が設定される。
このように、本発明では、熱延鋼板の搬送速度に応じた熱伝達係数の変化を適切に反映することができるので、熱延鋼板巻取り中の加減速による温度予測精度のばらつきの改善、および、同一鋼種で搬送速度が異なる鋼板の温度予測精度の向上を実現することができ、熱延鋼板の巻取温度を高精度で制御することが可能となる。
次に、実際に本発明の効果を把握した結果について説明する。
熱伝達係数モデル部に適用する熱伝達係数として鋼板搬送速度を考慮しない上記(1)式を用いた従来例の場合、CT不良による材料試験外れ(材料試験で得られる特性値の目標外れ(歩留・格落ち))率が0.2%であった。これに対し、熱伝達係数として本発明に基づいて鋼板搬送速度を反映した上記(2)式を用いた実施例の場合、CT不良による材料試験外れ率が0.17%であった。すなわち、本発明により高精度で巻取温度を制御できることにより、従来よりもCT不良率を低減することができた。
1 圧延冷却設備
2 冷却部
3 冷却バンク
4 冷却設備入側温度計
5 板厚計
6 鋼板速度検出器
7 出側温度計
8 巻取速度検出器
9 冷却制御部
10 熱伝達係数学習値演算部
11 バンク開閉入出力部
21 仕上圧延機
22 ランナウトテーブル
23 巻取機
S 熱延鋼板

Claims (3)

  1. 熱間圧延設備において圧延された熱間圧延材をランナウトテーブル上で冷却水により冷却して所定の巻取温度に制御する熱延鋼板の巻取温度制御方法であって、
    熱伝達係数のモデル式として、冷却水の水温、熱延鋼板温度、および冷却水の水量密度の関数として表される熱伝達係数モデル部に、熱伝達係数学習値を乗じ、さらに熱延鋼板の搬送速度が特定のしきい値以上のときに、搬送速度の増加にともなって熱伝達係数を大きくする補正項を加味したものを用いて、熱延鋼板の巻取温度を制御することを特徴とする、熱延鋼板の巻取温度制御方法。
  2. 前記熱伝達係数のモデル式として、以下の式を用いることを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼板の巻取温度制御方法。
    α=KKW・f(T)・f(W)・f(T)・K
    V<Vthのとき:K=1
    V≧Vthのとき:K=1+f(V)
    ただし、α:熱伝達係数[W/m・K]、KKW:熱伝達係数学習値[−]、T:冷却水の水温[K]、T:鋼板温度[K]、W:冷却水の水量密度[m/m・min]、V:熱延鋼板の搬送速度[m/s]、Vth:熱延鋼板の搬送速度しきい値[m/s]、f(V):搬送速度増加により増加する搬送速度の関数である。
  3. 前記f(V)は、以下の式で表されることを特徴とする請求項2に記載の熱延鋼板の巻取温度制御方法。
    (V)=a×(V−Vth)
    ただし、a,bは正の整数である。
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