JP2015167173A - エッチング方法および装置 - Google Patents

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一浩 唐橋
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利夫 瀬木
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Jiro Matsuo
二郎 松尾
智志 浜口
Tomoshi Hamaguchi
智志 浜口
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啓蔵 木下
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Abstract

【課題】クラスターに含まれるエネルギーの低い原子または分子と被エッチング材料との化学反応によりエッチングを行うことにより、高異方性であってかつ被エッチング材料の表面の損傷が少なく高い表面精度の得られるエッチングを行うこと。【解決手段】被エッチング材料と化学反応を起こして金属錯体を作ることが可能な反応ガスの原子または分子を凝集させてクラスターを生成し、クラスターを、イオン化することなく、被エッチング材料の表面に供給することによって当該表面における反応ガスの原子または分子の密度を高くし、その状態において反応ガスと被エッチング材料とが化学反応を起こして金属錯体を作ることによってエッチングを行う。【選択図】 図10

Description

本発明は、被エッチング材料の表面のエッチング方法および装置に関する。
従来より、半導体集積回路装置およびMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスなどの微小構造を有するデバイスの製造工程において、薄膜の加工などのためにエッチング(ドライエッチング)が行われる。
薄膜の加工において、高い精度を得るためには異方性の高いことが必要であり、そのようなエッチング方法として、反応性ガスエッチング、反応性イオンエッチング、イオンビームエッチングなどが用いられる。
また、難エッチング材料である磁性体金属薄膜、例えば、Ni、Co、CoFeBなどをエッチングする方法としては、高エネルギーのアルゴンイオンを用いたイオンミリング法がしばしば用いられる。また、プラズマを用いた反応性イオンエッチングも用いられ、この場合に反応ガスとしてCOがしばしば用いられる。アルゴンミリングの場合には、物理的スパッタリングも用いているため、マスク材料および下地材料と被エッチング材料との選択性がなく、パターン側壁へのエッチング物の再堆積のため異方性が低い。そのため微細加工が困難である。これら従来の方法では、高エネルギーのイオンを用いるため、被エッチング材料の表面に損傷を与え、磁性膜の磁気特性を劣化させる。COなどを含むプラズマを用いた場合には、酸素を含んだイオンなどによって磁気特性の劣化が著しい。
また、高エネルギーのイオンを用いることによる被エッチング材料の表面の損傷を小さくする方法として、ガスをクラスターとして供給することが提案されている(特許文献1)。
特許文献1のエッチング方法では、反応ガスを用いて生成されたクラスターをチャンバー内に導入し、フィラメントからの熱電子による電子衝撃によってクラスターをイオン化し、イオン化されたクラスターを加速電極に印加された1kV程度の高電圧で加速し、試料の表面に衝突させる。
また、特許文献2には、2種類以上のガスの原子または分子が凝集したクラスターをイオン化して加速し、そのクラスターイオンビームを物質の表面に照射するエッチング方法が開示されている。
特許文献3には、イオン化された酸素ガスのクラスターを高電圧によって加速し、クラスターイオンビームによって基板の銅膜をエッチングする方法が開示されている。
特開平3−163825号公報 特開2005−175369号公報 特開2013−80901号公報
しかし、特許文献1の方法による場合には、ガスのクラスターを用いているものの、クラスターをイオン化し高電圧の加速電極で加速して試料の表面に衝突させるので、依然としてエネルギーの高いクラスターイオンビームによって材料表面には相応の損傷が発生する。
また、特許文献2、3の方法による場合においても、クラスターサイズ分布のあるエネルギーの高いクラスターイオンビームを用いるため、サイズの小さなクラスターに含まれる1原子および1分子当たりのエネルギーは平均エネルギーに比べて大きくなる。それによって材料の表面に損傷が生じ、表面の精密度は十分でない。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、クラスターに含まれるエネルギーの低い原子または分子と被エッチング材料との化学反応によりエッチングを行うことにより、高異方性であってかつ被エッチング材料の表面の損傷が少なく、マスク材料および下地材料に対して高い選択性のあるエッチング方法および装置を提供することを目的とする。
本明細書に開示された一実施形態のエッチング方法は、被エッチング材料の表面のエッチング方法であって、前記被エッチング材料と化学反応を起こす反応ガスの原子または分子を凝集させてクラスターを生成し、前記クラスターを、イオン化することなく、前記被エッチング材料の表面に供給することによって当該表面における前記反応ガスの原子または分子の密度を高くし、その状態において前記反応ガスと前記被エッチング材料とが化学反応を起こすことによってエッチングを行う。
本明細書に開示された一実施形態のエッチング装置は、金属である被エッチング材料の表面をエッチングするエッチング装置であって、その内部に前記被エッチング材料を配置するためのエッチングチャンバーと、前記被エッチング材料と化学反応を起こして金属錯体を作ることが可能な反応ガスの原子または分子を凝集させてクラスターを生成するクラスター生成手段と、を有し、前記エッチングチャンバー内において、前記クラスター生成手段により生成されたクラスターを、イオン化することなく、前記被エッチング材料の表面に供給することによって当該表面における前記反応ガスの原子または分子の密度を高くし、その状態において前記反応ガスと前記被エッチング材料とが化学反応を起こすことによってエッチングを行わせる。
好ましくは、前記クラスターを前記被エッチング材料の表面に供給するときの前記クラスターの各原子のエネルギーを、0.05〜0.1eVの範囲の低エネルギーとする。
本発明によると、クラスターに含まれるエネルギーの低い原子または分子と被エッチング材料との化学反応によりエッチングを行うことにより、高異方性であってかつ被エッチング材料の表面の損傷が少なく、マスク材料および下地材料に対して高い選択性のあるエッチング方法および装置を提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係るエッチング装置の構成の例を示す図である。 クラスター化に用いられるノズルの例を示す断面図である。 低エネルギーのクラスターによるエッチングの様子を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係るエッチング装置の構成の例を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係るエッチング装置の構成の例を示す図である。 2つのパルスバルブの切り替えの様子を示すタイミング図である。 クラスターが表面に衝突した瞬間をシミュレーションにより示す図である。 クラスターが表面に衝突した後の変化をシミュレーションにより示す図である。 クラスターが表面に衝突した後の状態をシミュレーションにより示す図である。 エッチング方法の流れの例を示すフローチャートである。 エッチング方法の流れの他の例を示すフローチャートである。 エッチング方法の流れの他の例を示すフローチャートである。
〔エッチング方法および装置の概要〕
本発明に係る方法および装置は次に示すような種々の形態をとることができる。なお、次に示す形態は一例を示すものであり、これに限定されるものではない。
エッチング方法は例えば次のとおりである。
すなわち、被エッチング材料と化学反応を起こす反応ガスの原子または分子を凝集させてクラスターを生成し、クラスターを、イオン化することなく、被エッチング材料の表面に供給することによって当該表面における反応ガスの原子または分子の密度を高くし、その状態において反応ガスと被エッチング材料とが化学反応を起こすことによってエッチングを行う。
また、被エッチング材料と化学反応を起こして金属錯体を作ることが可能な反応ガスの原子または分子を凝集させてクラスターを生成し、クラスターを、イオン化することなく、被エッチング材料の表面に供給することによって当該表面における反応ガスの原子または分子の密度を高くし、その状態において反応ガスと被エッチング材料とが化学反応を起こして金属錯体を作ることによってエッチングを行う。
例えば、クラスターを被エッチング材料の表面に供給するときのクラスターの各原子のエネルギーを、0.05〜0.1eVの範囲とする。
また、反応ガスを真空容器中に噴出させ断熱膨張させることによりクラスターを生成し、その祭に、反応ガスに当該反応ガスよりも分子量の小さい軽量ガスを混合し、当該軽量ガスの混合量を調整することによってクラスターのエネルギーを調整する。
また、反応ガスは、CO、CH3 OH(メタノール)、O2 、H2 O、およびNH3 の化学種のうちの少なくとも1種類を含む。軽量ガスは、H2 、He、またはNeのいずれかから選択されたガスである。金属は、Ni、Fe、Coのいずれかまたはこれらのいずれかを含む合金である。
反応ガスのクラスターの被エッチング材料の表面への供給を、パルス状に行う。反応ガスのクラスターの被エッチング材料の表面への供給と、O2 またはNH3 を含むクラスターの被エッチング材料の表面への供給とを、パルス状に交互に行う。
反応ガスにはCOを含み、クラスターとは別に、被エッチング材料の表面に、O2 、H2 、NH3 、CH3 OH(メタノール)、およびそれらの分子から生成されるラジカルのうちの、少なくとも1種類を供給する。
エッチング装置は例えば次のとおりである。
すなわち、金属である被エッチング材料の表面をエッチングするエッチング装置であって、その内部に被エッチング材料を配置するためのエッチングチャンバーと、被エッチング材料と化学反応を起こして金属錯体を作ることが可能な反応ガスの原子または分子を凝集させてクラスターを生成するクラスター生成手段と、を有し、エッチングチャンバー内において、クラスター生成手段により生成されたクラスターを、イオン化することなく、被エッチング材料の表面に供給することによって当該表面における反応ガスの原子または分子の密度を高くし、その状態において反応ガスと被エッチング材料とが化学反応を起こすことによってエッチングを行わせる。
例えば、反応ガスとしてCO、CH3 OH(メタノール)、O2 、H2 O、およびNH3 の化学種のうちの少なくとも1種類を含むガスを収納してクラスター生成手段に供給するための反応ガス容器が設けられる。
反応ガスよりも分子量の小さいガスである軽量ガスを収納して反応ガスに混合するための軽量ガス容器が設けられ、軽量ガスの混合量を調整することによってクラスターのエネルギーを調整するようになっている。
反応ガスのクラスターの被エッチング材料の表面への供給をパルス状に行うための第1のパルス化手段が設けられている。また、O2 またはNH3 を含むクラスターの被エッチング材料の表面への供給をパルス状に行うための第2のパルス化手段と、反応ガスのクラスターの被エッチング材料の表面への供給とO2 またはNH3 を含むクラスターの被エッチング材料の表面への供給とをパルス状に交互に行うように第1のパルス化手段および第2のパルス化手段を制御するパルス制御手段が設けられている。
反応ガスとしてCOを含むガスを収納してクラスター生成手段に供給するための反応ガス容器が設けられており、前記被エッチング材料の表面に、O2 、NH3 、H2 、およびCH3 OH(メタノール)のうちの少なくとも1種類からラジカルを生成して供給するためのラジカル供給装置が設けられている。
エッチングチャンバーの内部に配置される被エッチング材料の温度を制御するための温度制御手段が設けられており、温度制御手段によって、被エッチング材料と反応ガスとの化学反応を促進する温度に保持されている。
次に、エッチング装置についての実施形態を説明する。
〔第1の実施形態のエッチング装置〕
図1には本発明の第1の実施形態に係るエッチング装置1の構成が模式的に示されている。図2にはノズルの例が示され、図3には低エネルギーのクラスターによるエッチングの様子が示されている。
図1において、エッチング装置1は、装置本体3およびガス供給装置4からなる。
装置本体3は、ハウジング11、ノズル12、スキマー13、仕切り壁14、排気口15,16、および真空圧力計17などを備える。
ガス供給装置4は、ガス容器21a〜c、バルブ22a〜c,24a〜c、減圧器(レギュレータ)23a〜c、マスフローコントローラ25a〜c、および圧力計26などを備える。
本実施形態において、ガス容器21aにはHe(ヘリウム)、ガス容器21bにはCO(一酸化炭素)ガス容器21cにはNH3 (アンモニア)が、いずれもガスの状態で充填されている。それぞれのガスは、バルブ22a〜c,24a〜cおよび減圧器23a〜cを通って圧力が調整され、マスフローコントローラ25a〜cによって流量が調整され、管路KRa〜cを経て1つの管路KR1に流入して混合され、混合ガス(ガス)GSとなる。
なお、Heは、後で述べるように「軽量ガス」の例であり、ガス容器21aは「軽量ガス容器」の例である。ガスGSの圧力PSは、0.1MPa〜2MPa程度であり、具体的には、例えば0.8MPa程度に設定し、マスフローコントローラ25a,25b,25cによって混合ガスの組成を制御する。
ハウジング11は、仕切り壁14によって2つのチャンバー(室)に仕切られた真空容器であり、その内部にクラスター生成チャンバーCHCおよび照射チャンバー(エッチングチャンバー)CHEが形成されている。クラスター生成チャンバーCHCには、ノズル12およびスキマー13が配置される。照射チャンバーCHEには、被エッチング材料ZEが配置される。
ハウジング11には、クラスター生成チャンバーCHCおよび照射チャンバーCHEのそれぞれの内部のガスを排気するために、排気口15,16が設けられる。排気口15,16は、図示しない真空ポンプなどに接続され、チャンバー内部のガスを強制的に排気する。これによって各チャンバー内は高真空状態となる。
本実施形態において、被エッチング材料ZEは、例えば半導体集積回路装置、MEMS、プリント基板などの電子部品の一部であり、エッチングすべき表面HMには薄膜が形成されている。薄膜として、ここでは磁性体金属であるニッケル(Ni)の薄膜である例を説明する。しかし、これは、コバルト(Co)、鉄(Fe)、コバルト・鉄・ボロン(CoFeB)などの他の磁性体金属、または、銅(Cu)、アルミニウム(Al)などの金属、またはこれらの合金の薄膜であってもよい。また、シリコン(Si)、酸化シリコン(SiO2 )、ダイヤモンドなどの薄膜であってもよい。また、薄膜でなくてもよい。
なお、図示は省略したが、ハウジング11には被エッチング材料ZEを含めた全体を取り付けるための材料ホルダーが設けられている。材料ホルダーには、加熱用の電熱ヒータなどが取り付けられ、電熱ヒータに供給する電力を制御することよって、被エッチング材料ZEの温度を制御できる。これによって、被エッチング材料ZEと反応ガスとの化学反応を促進する温度に保持される。例えば、後で述べるように、被エッチング材料ZEの表面HMでカルボニル反応が行われる場合は、その化学反応を促進するために、被エッチング材料ZEが100〜200℃程度に加熱される。
電熱ヒータの制御に際しては、例えば、交流電力を適当なスイッチング手段によって位相制御すればよい。これらは本発明における「温度制御手段」の例である。
〔クラスターの生成〕
図2を参照して、ノズル12は、円錐形状のコニカルノズルであり、ガス供給装置4から管路KR1を介して供給されるガスGSをクラスター生成チャンバーCHC内に噴出させ、断熱膨張によってクラスター(ガスクラスター)CTを生成する。つまり、ノズル12によって、ガスGSの原子または分子をファンデルワールス力により凝集させてクラスターCTを生成する。ノズル12のオリフィス径d1は、十分の数mm〜1mm程度、例えば0.5mm程度である。生成されるクラスターCTは、1つのクラスターCTについて分子の個数が5000〜100000個程度である。
なお、ここで用いるガスGSは、上に述べたように、CO、He、NH3 の3種類のガスによる混合ガスである。このうち、エッチング面と化学反応をおこすガス(反応ガス)はCOである。NH3 は、COの化学反応における触媒としての作用が期待される。
Heは、COに較べて質量が小さいことを利用して、生成されるクラスターCTに含まれる分子または原子の速度を増大させ、これによってクラスターCTの分子または原子の運動エネルギーを調整または制御するための軽量ガスである。つまり、ガスGSにおけるHeの混合比または混合量を調整することにより、生成されるクラスターCTの構成分子の運動エネルギーが調整される。
例えば、COのみのクラスターCTであれば、1個の原子の運動エネルギーは0.05eV程度であるが、Heを混合することによって、0.05eV〜0.1eV程度の範囲で運動エネルギーを調整することができる。
このような軽量ガスとして、He以外に、例えば、H2 (水素)、Ne(ネオン)などを用いることができる。
このようなガスGSが、ノズル12の上流側において0.1MPa〜2MPa程度の圧力PS、例えば1.0MPa程度の圧力PSに調整され、ノズル12の下流側からクラスター生成チャンバーCHC内に噴出される。
クラスター生成チャンバーCHCおよびノズル12は、本発明における「クラスター生成手段」の例である。
なお、ノズル12の温度を低下させてクラスターCTの運動エネルギーを低下させるために、ノズル12に冷却装置または温度制御装置を取り付けてもよい。
スキマー13は、クラスターCTのビームの中心部分を切り出して、クラスターCTを照射チャンバーCHE内に導入する。スキマー13と被エッチング材料ZEとの距離は、例えば10〜30cm程度である。
〔クラスターの被エッチング材料への照射〕
図3を参照して、照射チャンバーCHE内に導入されたクラスターCTは、照射チャンバーCHE内の残留分子と衝突することなく、被エッチング材料ZEの表面HMに照射される。つまり、クラスターCTは、照射チャンバーCHE内においてイオン化されることなく、また高電圧で加速されることもなく、低エネルギーの状態で被エッチング材料ZEの表面HMに照射される(供給される)。このように、照射チャンバーCHE内に導入されたクラスターCTは、運動エネルギーを増大されることなく、被エッチング材料ZEの表面HMに到達することとなり、表面HMにおいてクラスターCTの分子による多体衝突が起こる。
被エッチング材料ZEの表面HMに低エネルギーのクラスターCTが照射されることにより、表面HMの一部の領域が一時的にクラスターCTで覆われ、表面HMにおけるガスGSの原子または分子の密度が高くなる(高密度効果)。この状態において、反応ガスであるCOと被エッチング材料ZEとが化学反応を起こし、これによってエッチングが進行する。
このとき、クラスターCTは表面HMに衝突することによって崩壊するが、運動エネルギーが低いため衝突時の衝撃が弱く、クラスターCTはすぐには崩壊しない。つまり、クラスターCTの状態を維持する時間TCが長くなり、したがって被エッチング材料ZEの表面HMをクラスターCTが覆っている時間TCが長くなる。つまり、クラスターCTが衝突してから崩壊するまでの時間TCは、クラスターCTが表面HMに付着したような状態となる。その結果、被エッチング材料ZEの表面HMと反応ガスとの化学反応が起こり易くなり、化学反応の進行が促進される。
すなわち、クラスターCTに含まれる原子および分子の運動エネルギーを、0.05〜0.1eV程度の範囲としておくことにより、被エッチング材料ZEの表面HMをクラスターCTが所定の時間TC覆うこととなり、高密度効果によって反応ガスであるCOとの化学反応が促進され、エッチングが効果的に行われる。
クラスターCTの状態を維持する時間TCを長くするために、クラスターCTに0.1〔eV/atom〕を越える運動エネルギーを持つ化学種を含まないことが好ましい。なお、このときの時間TCは、後で述べる発明者らの行ったシミュレーションによると、0.1〜1nsec(ナノセカンド)程度であると推測される。
〔エッチング面での化学反応〕
ところで、被エッチング材料ZEの表面(エッチング面)HMには、ニッケル(Ni)の薄膜が形成され、その上に、例えばタンタル(Ta)などのマスク材料MKを用いたマスク(MK)のパターンが形成されている。表面HMのNiは、低エネルギーのクラスターCTの照射によって、クラスターCTのガス成分であるCOと次の(1)式のような化学反応を起こし、配位結合の弱い力によって結合する金属錯体(有機金属錯体)を生成する。
Ni+4CO → Ni(CO)4 …(1)
つまり、NiとCOとの金属カルボニル反応によって、その化合物(有機金属錯体)であるニッケルカルボニルが生成される。
この金属カルボニル反応は、反応確率が小さいため、高効率で反応を促進するためには金属との反応界面において高密度状態を実現する必要がある。例えば通常の気体であれば高圧状態を維持する必要がある。
本実施形態では、金属材料である被エッチング材料ZEの表面HMとCOとの化学反応によって金属錯体を生成し、生成した金属錯体を蒸発により飛ばしてしまうのである。
また、表面HMに衝突するCO分子の反応は、(1)式の反応に加えて次の(2)式の反応も競合反応として存在する。
2Ni+CO → NiC+NiO …(2)
この場合に、NiOは、CO分子にとって次の(3)式の反応により除去され易い。
NiO+CO → Ni+CO2 …(3)
しかし、NiC(ニッケルカーバイト)が残った場合、つまりNiの表面にC(炭素)が蓄積すると、(1)式の金属カルボニル反応を阻害し、エッチングを停止させる場合がある。
この場合に、化学種としてO2 (酸素)が存在する場合には、表面に蓄積したNiCを次の(4)式の反応によって除去して正常なNi表面を再生し、(1)式の金属カルボニル反応を再び進行させることができる。
NiC+O2 → Ni+CO2 …(4)
この場合に、O2 は、表面HMに付着したカーボンを除去してクリーニングするクリーニングガスとして作用する。
被エッチング材料ZEの表面HMがNi以外の磁性体金属、例えばコバルト(Co)または鉄(Fe)であった場合においても、上と同様に、Co2(CO)8 、Fe(CO)8などのカルボニル化合物が生成される。
また、クラスターCTのガス成分であるNH3 は、表面HMに吸着することで(1)式の金属カルボニル反応の触媒となる可能性がある。
また、クラスターCTのガスGSの化学種として、CO2 (二酸化炭素)、CH3 OH(メタノール)を含んだ場合に、これらの化学種は分子内部にCOを含んでおり、クラスターCTと金属との衝突界面の高密度状態においてカルボニル化合物を生成する可能性がある。
〔第1の実施形態による効果〕
エッチング装置1を用いたエッチング方法によると、上の(1)式により生成されたニッケルカルボニルは、揮発性が高く、常温で気体であるので、被エッチング材料ZEの表面HMに再付着することなく蒸発して飛散し、被エッチング材料ZEの表面HMから容易に除去される。
そのため、化学反応による生成物がエッチングの行われた凹部の側壁SHに堆積することがなく、また側壁SHと反応することもない。また、クラスターCTの崩壊による未反応分子は、単独の分子BCとして散乱するため、凹部の側壁SHなどでそれら分子BCが反応することもない。そのため、被エッチング材料ZEに対して、エッチングが垂直に行われ、高い異方性のエッチングが実現される。マスク材料MKおよび下地材料ZSとしてクラスターCTの反応ガスとは反応しない材料を選択することによって、マスク材料MKおよび下地材料ZSに対しては化学反応が進行しないため、被エッチング材料ZEとの選択性の高いエッチングが可能となる。つまり、エッチングプロセスにおいて、マスク材料MKの減少が少なく、エッチング反応は下地材料ZSが露出した段階で停止する。
この点、クラスターを用いた場合であっても、従来のように化学反応によらない場合には異方性が得られず、選択性の低いエッチングとなってしまう。
また、クラスターCTの運動エネルギーが低いため、被エッチング材料ZEの表面HMに損傷(ダメージ)を与えることがなく、または表面HMの損傷が少ない。
この点、磁性体金属をエッチングする場合に、衝撃によって損傷ができると、磁気特性が変わってしまい、素子に必要な機能または性能が得られなくなる。本実施形態による場合は、速度が遅く運動エネルギーの小さい原子および分子によるクラスターCTが表面HMに到達し、そこで衝撃を与えることなく、化学反応によってエッチングを行うので、磁性体金属であってもその特性が変わってしまうことがない。
このように、本実施形態のエッチング装置1によると、高異方性であり、かつ被エッチング材料ZEの表面HMの損傷が少なく、高い表面精度が得られ、表面HMのNiに微細なパターンを高い精度で形成することができる。
また、反応ガスとは分子の質量の異なる軽量ガスを混合し、そのガス(混合ガス)GSをノズル12から噴出させてクラスターCTを生成することにより、クラスターCTの運動エネルギーを制御することができる。これにより、被エッチング材料ZEの表面HMに損傷を与えることがなく、しかもクラスターCTの反応ガスとエッチング面の材料との間での化学反応を最適化し、表面HMにおける化学反応によるエッチングの促進を図ることができる。
また、クラスターCTをイオン化したり加速する必要がなく、エッチング装置1の構成が簡単である。
本実施形態によると、Niなどの磁性体金属に対してもエッチングを行うことができるので、磁性体金属を用いた電子部品、例えばMRAM(磁気抵抗メモリ)などの製造工程に適用することができる。これにより、MRAMなどの高集積化および高性能化が可能となる。さらに、高集積化されたMRAMの高速非揮発性ストレージメモリの特徴を生かし、待機電力の大幅な減少を図った省エネルギーシステムを構築することが可能となる。
〔第2の実施形態のエッチング装置〕
第2の実施形態のエッチング装置1Bは、上に述べた第1の実施形態のエッチング装置1と共通の部分が多いので、主としてその相違部分について説明する。第3の実施形態のエッチング装置1Cについても同様である。
図4には本発明の第2の実施形態に係るエッチング装置1Bの構成が模式的に示されている。図4において、図1と同じ機能を有する部分には同じ符号を付して説明を省略する。
図4において、エッチング装置1Bは、装置本体3Bおよびガス供給装置4Bからなる。
ガス供給装置4Bにおいては、第1の実施形態におけるガス供給装置4のHeおよびCOの供給装置のみが設けられ、NH3 の供給装置は設けられていない。NH3 またはこれに代わるガスは、次に述べるラジカル供給装置18によって供給される。
すなわち、装置本体3Bにおいて、ハウジング11Bには、ラジカル供給装置18が接続され取り付けられる。ラジカル供給装置18は、照射チャンバーCHE内に、NH3 、O2 などを分子または解離したラジカルとして供給するラジカル源として機能する。
つまり、例えば、ラジカル供給装置18により、NH3 などのガスからラジカルが生成され、このラジカルが、ガス供給装置4Bとは別に、照射チャンバーCHEに導入される。
ラジカル供給装置18によって照射チャンバーCHEに供給されたラジカルは、被エッチング材料ZEの表面HMに吸着し、これらラジカルによる吸着層KSが形成される。吸着層KSが形成された表面HMを、COを含むクラスターCTが照射することにより、上に述べた(1)式などの化学反応が促進され、エッチングが行われる。
なお、ラジカル供給装置18によって、O2 またはNH3 に代えて、H2 またはCH3 OH(メタノール)を供給し、これらの分子から生成されるラジカルのうちの少なくとも1種類を供給するようにしてもよい。また、ラジカル供給装置18によって、C、OH、CH3 、CH、NH2 、またはNHを供給してもよい。
第2の実施形態のエッチング装置1Bによると、第1の実施形態の場合と同様な効果が得られ、さらに、被エッチング材料ZEの表面HMにクラスターCTが照射された際に、表面HMにおける化学反応がより一層促進され、エッチングの進行が促進される。
〔第3の実施形態のエッチング装置〕
図5には本発明の第3の実施形態に係るエッチング装置1Cの構成が模式的に示されている。また、図6には2つのパルスバルブの切り替えの様子が示されている。
図5において、エッチング装置1Cは、装置本体3Cおよびガス供給装置4Cからなる。
ガス供給装置4Cにおいては、第1の実施形態におけるガス供給装置4のCOの供給装置、および、O2 (酸素)の供給のための、ガス容器21d、バルブ22d,24d、減圧器23d、マスフローコントローラ25d、および圧力計26dなどを備える。
本実施形態において、COは反応ガスであり、O2 はクリーニングガスである。COとO2 とは、混合することなく、別々の管路KRb,Rdを介し独立して設けられたパルスバルブ19b,dに供給される。
装置本体3Cにおいて、ハウジング11Cには、ガス流をパルス化するために2つのパルスバルブ19b,dが取り付けられ、図6に示すように、パルスバルブ19b,dが交互にオンすることにより、COおよびO2 がパルス状となって交互に流出する。これらのガスは、ノズル12から噴射することによってクラスターCTとなり、スキマー13を通って被エッチング材料ZEの表面HMに交互に照射される。
パルスバルブ19b,dが交互にオンする周期TSは、例えば、10Hz〜1kHz程度とすればよい。これ以外であってもよい。パルスバルブ19b,dがオンするそれぞれの時間T1,T2は、図6(A)に示すように互いに同じ時間であってもよく、図6(B)に示すように異なってもよい。図6(B)のようにパルスバルブ19bをパルスバルブ19dよりも長くオンした場合には、反応ガスであるCOの供給時間をクリーニングガスであるO2 の供給時間よりも長くすることができる。
パルスバルブ19b,dは、本発明における「第1のパルス化手段」「第2のパルス化手段」の例であり、これらを上に述べたように制御する装置が、本発明における「パルス制御手段」である。
なお、排気口16による高速大量の排気を行うことにより、一方のガスの供給中に他方のガスが残らないようにするのが好ましい。その場合に、例えば、図6(B)に示すように、一方のパルスバルブ19bのオンの時間T1と他方のパルスバルブ19dのオンの時間T2との間に、両方ともがオフである休止期間を設けることでもよい。また、連続ビームで流せるような条件ができている場合には、両方のオンが同時に重なってもよい。
このようにして、COおよびO2 のクラスターCTは、表面HMに対してパルス状に交互に供給される。これにより、COの供給により上の(2)式の化学反応によって被エッチング材料ZEの表面HMに蓄積したNiCは、O2 の供給により上の(4)式の反応によって除去され、Niの正常な表面HMとなる。したがって、上の(1)式の金属カルボニル反応が促進され、エッチングの進行が促進される。
本実施形態によると、第1の実施形態の場合と同様な効果が得られ、さらに、2種類のガスによるクラスターCTを交互に被エッチング材料ZEに供給することにより、表面HMにおける反応をより一層コントロールし、効率良く化学反応を起こさせることができる。
図5に示した実施形態では、2種類のガスのクラスター化のために1つのノズル12を共用したが、それぞれのガス専用に2つのノズルを設けてもよい。その場合には、2つのノズルが被エッチング材料ZEの表面HMの同じ位置にクラスターCTを照射するように、それぞれのノズルの位置および方向を調整しておけばよい。この場合に、スキマー13を2つ設けてもよい。
なお、クリーニングガスとして、O2 に代えて、NH3 を用いてもよく、さらに他の適当なガスを用いてもよい。
〔クラスターの衝突時のシミュレーション〕
次に、被エッチング材料ZEの表面HMにクラスターCTが衝突したときの状態について、コンピュータによるシミュレーションを行ったので、これについて説明する。
図7には、クラスターCT1が被エッチング材料ZEである基板KBの表面に到達した瞬間の状態が、シミュレーションによって示されている。また、図8(A)〜(E)には、それぞれ、到達後1.0、2.0、3.0、5.0、10.0〔psec(ピコセカンド)〕を経過したときの状態が示され、図9には到達後30〔psec〕を経過したときの状態が示されている。
ここに示すシミュレーションでは、基板KBをシリコン(Si)基板とした。したがって、上に述べたNiとは異なるが、衝突によるクラスターCT1の状態としては大きく変わることがない。
基板KBのサイズを21×21×1.7〔nm〕とし、基板KBの初期温度を300度Kとした。無限大の基板KBを再現するため水平方向に周期境界条件を適用した。
また、このシミュレーションでは、COの3300分子(6600原子)のクラスターCT1を取り扱った。つまり、C原子が3300個、O原子が3300個、原子の合計数は6600である。
CO分子を規則的に配置した後、冷却し、ファンデルワールス力により凝集させてクラスターCT1を作成した。
クラスターCT1の直径は、6nm (ナノメートル) 程度とした。クラスターCT1の照射時(入射時)の運動エネルギー(入射エネルギー)を、0.1〔eV/atom〕とした。この値は、CとOを合わせた全てに原子に対する1原子あたりの値であり、CO分子1個あたりでは2倍の0.2〔eV/molecule〕となる。
なお、シミュレーションにおいては、1原子あたりの入射エネルギーを、0.5、0.3、0.1、0.03〔eV/atom〕の4つの場合で行った。この場合に、1分子あたりでは、それぞれ、1.0、0.6、0.2、0.06〔eV/molecule〕となる。このうち、0.1〔eV/atom〕つまり0.2〔eV/molecule〕の場合のみを図7〜9に示した。
図7に示すように、クラスターCT1は、基板KBに到達した瞬間はほぼ球状である。
図8(A)〜(E)に示すように、クラスターCT1の入射エネルギーが0.1〔eV/atom〕であった場合には、基板KBに到達後の衝突によってクラスターCT1の全体形状は偏平なものとなっていき、基板KBの表面の一部を覆って表面に付着したような状態となる。この状態では、CO分子は高密度状態となり、基板KBの表面との間で化学反応が進行する。
これらの図で分かるように、クラスターCT1が基板KBの表面に到達してから30〔psec〕を経過しても、まだ偏平な半球状の形を保って基板KBの表面を覆っている。これから想像すると、100〔psec〕から1〔nsec〕程度の間は、クラスターCT1の状態を保って基板KBの表面に付着した状態が続くものと考えられる。
したがって、この間は、クラスターCT1のCO分子と基板KBの表面との間で化学反応が進行し、エッチングが進むものと考えられる。
図には示していないが、クラスターCT1の入射エネルギーが0.03〔eV/atom〕であった場合にも、基板KBの表面に到達後30〔psec〕を経過してもクラスターCT1が崩壊することなく、半球状の形を保っていた。但し、この場合には、クラスターCT1の変形が少なく、0.1〔eV/atom〕の場合ほどには偏平な形状にならなかった。
これに対して、クラスターCT1の入射エネルギーが0.5〔eV/atom〕であった場合には、基板KBの表面に到達後2.0〔psec〕を経過するとクラスターCT1の崩壊が始まり、5.0〔psec〕後にはクラスターCT1の崩壊が進み、10.0〔psec〕後にはクラスターCT1はばらばらになり、30.0〔psec〕後には原子の約80%が基板KBの表面から離れた。
また、クラスターCT1の入射エネルギーが0.3〔eV/atom〕であった場合には、基板KBの表面に到達後5.0〔psec〕でクラスターCT1の崩壊が進み、30.0〔psec〕後には原子の約50%が基板KBの表面から離れた。
したがって、クラスターCT1の入射エネルギーを0.3〔eV/atom〕程度以上の大きなものとすると、クラスターCT1がその形状を維持する時間が短く、そのためCO分子の高密度状態が十分に維持されず、基板KBの表面との間で化学反応の進行は少ないと考えられる。
因みに、従来のようにイオン化して加速した場合には、クラスターが被エッチング材料ZEに衝突した瞬間に崩壊し、主に、物理的スパッタリングによるエッチングとなる。
これに対して、クラスターCTをここで述べたように低エネルギーとした場合は、物理的なスパッタリング反応は進行せず、表面HMがクラスターCTによって覆われ、その間に化学反応が促進される。つまり、クラスターCTの崩壊の仕方が運動エネルギーの大きさによって変わり、化学反応によるエッチングに利用するための境界が、0.1〔eV/atom〕辺りにあると言える。
ここでは、クラスターCTの大きさおよび速度を制御し、クラスターCTが所定の時間にわたって表面HMに密着状態となるようにして、化学反応を起こすに最適な状態となるように制御する。
上のシミュレーションでは、0.03〔eV/atom〕および0.1〔eV/atom〕のような低エネルギーの場合に、クラスターCT1の状態が長く保たれるが、0.03〔eV/atom〕の場合には形状があまり偏平にならないため、高密度状態を実現するという点で0.1〔eV/atom〕の場合よりも必ずしも有利であるとは言えないと考えられる。
したがって、化学反応を促進してエッチングを効果的に進めるためには、クラスターCT1の入射エネルギーを、0.05〜0.1〔eV/atom〕程度の範囲とするのが好ましいと言える。
なお、クラスターCT1の入射エネルギーは、一般に、クラスターCT1の大きさに依存する。大きなクラスターとなるほど壊れにくくなる。
ここでのシミュレーションのように、直径6nm (ナノメートル) 程度のクラスターCT1が、微細構造のエッチングには望ましい。
〔フローチャートによる説明〕
次に、エッチング装置1,1B,1Cなどにより実施されるエッチング方法の流れを、フローチャートによって説明する。
図10において、まず、照射チャンバーCHE内に被エッチング材料ZEを配置する(#11)。反応ガスをクラスター化し(#12)、そのクラスターCTをイオン化することなく、そのままの速度で被エッチング材料ZEの表面HMに照射する(#13)。表面HMにおいて、クラスターCTが存在する間(時間TC)において反応ガスの分子が高密度状態となり、化学反応が進行し、これによってエッチングが行われる(#14)。
図11において、被エッチング材料ZEを配置し(#21)、反応ガスと軽量ガスとを混合し(#22)、混合ガスをクラスター化し(#23)、そのクラスターCTをイオン化することなく、そのままの速度で被エッチング材料ZEの表面HMに照射する(#24)。軽量ガスによってクラスターCTの分子の運動エネルギーが制御され、表面HMにおけるクラスターCTの存在する時間TCが調整され、表面HMにおける化学反応の進行が促進される(#25)。
図12において、被エッチング材料ZEを配置する(#31)。反応ガスをパルス化しかつクラスター化し(#32)、クラスターCTをイオン化することなく、そのままの速度で被エッチング材料ZEの表面HMに照射する(#33)。表面HMにおいて化学反応が進行しエッチングが行われる(#34)。所定の周期の後、クリーニングガスを同様にパルス化しかつクラスター化し(#35)、そのクラスターCTをイオン化することなく表面HMに照射する(#36)。クリーニングガスのクラスターCTによって表面HMに蓄積した不要物が除去され、クリーニングが行われる(#37)。目標とするエッチングが終了するまで、ステップ#32以降を所定の周期で繰り返す(#38)。
上に述べた各実施形態において、クラスターCTのビーム径は小さいので、被エッチング材料ZEの表面HMに対し必要な領域をエッチングするには、例えば、被エッチング材料ZEをノズル12に対してスキャン移動させる装置を設けたり、ノズル12を多数設けたりすればよい。
上に述べた各実施形態において、ハウジング11、ノズル12、スキマー13、ラジカル供給装置18、装置本体3,3B,3C、ガス供給装置4,4B,4C、またはエッチング装置1,1B,1Cの各部または全体の構成、構造、形状、寸法、材質、個数、配置、各部の温度、圧力、ガスの種類などは、本発明の主旨に沿って適宜変更することができる。
1,1B,1C エッチング装置
3,3B,3C 装置本体
4,4B,4C ガス供給装置
12 ノズル(クラスター生成手段)
18 ラジカル供給装置
19b パルスバルブ(第1のパルス化手段)
19d パルスバルブ(第2のパルス化手段)
21b ガス容器(反応ガス容器)
21a ガス容器(軽量ガス容器)
ZE 被エッチング材料
ZS 下地材料
MK マスク材料
HM 表面
CHC クラスター生成チャンバー(クラスター生成手段)
CHE 照射チャンバー(エッチングチャンバー)
GS ガス(反応ガス)
CT,CT1 クラスター

Claims (15)

  1. 被エッチング材料の表面のエッチング方法であって、
    前記被エッチング材料と化学反応を起こす反応ガスの原子または分子を凝集させてクラスターを生成し、
    前記クラスターを、イオン化することなく、前記被エッチング材料の表面に供給することによって当該表面における前記反応ガスの原子または分子の密度を高くし、その状態において前記反応ガスと前記被エッチング材料とが化学反応を起こすことによってエッチングを行う、
    ことを特徴とするエッチング方法。
  2. 金属である被エッチング材料の表面のエッチング方法であって、
    前記被エッチング材料と化学反応を起こして金属錯体を作ることが可能な反応ガスの原子または分子を凝集させてクラスターを生成し、
    前記クラスターを、イオン化することなく、前記被エッチング材料の表面に供給することによって当該表面における前記反応ガスの原子または分子の密度を高くし、その状態において前記反応ガスと前記被エッチング材料とが化学反応を起こして金属錯体を作ることによってエッチングを行う、
    ことを特徴とするエッチング方法。
  3. 前記クラスターを前記被エッチング材料の表面に供給するときの前記クラスターの各原子のエネルギーを、0.05〜0.1eVの範囲とする、
    請求項1または2記載のエッチング方法。
  4. 前記反応ガスを真空容器中に噴出させ断熱膨張させることにより前記クラスターを生成し、
    その祭に、前記反応ガスに当該反応ガスよりも分子量の小さい軽量ガスを混合し、当該軽量ガスの混合量を調整することによって前記クラスターのエネルギーを調整する、
    請求項3記載のエッチング方法。
  5. 前記反応ガスは、CO、CH3 OH(メタノール)、O2 、H2 O、およびNH3 の化学種のうちの少なくとも1種類を含む、
    請求項2ないし4のいずれかに記載のエッチング方法。
  6. 前記軽量ガスは、H2 、He、またはNeのいずれかから選択されたガスである、
    請求項5記載のエッチング方法。
  7. 前記金属は、Ni、Fe、Coのいずれかまたはこれらのいずれかを含む合金である、
    請求項5または6記載のエッチング方法。
  8. 前記反応ガスのクラスターの前記被エッチング材料の表面への供給と、O2 またはNH3 を含むクラスターの前記被エッチング材料の表面への供給とを、パルス状に交互に行う、
    請求項1ないし7のいずれかに記載のエッチング方法。
  9. 前記反応ガスにはCOを含み、
    クラスターとは別に、前記被エッチング材料の表面に、O2 、H2 、NH3 、CH3 OH(メタノール)、およびそれらの分子から生成されるラジカルのうちの、少なくとも1種類を供給する、
    請求項2ないし4のいずれかに記載のエッチング方法。
  10. 金属である被エッチング材料の表面をエッチングするエッチング装置であって、
    その内部に前記被エッチング材料を配置するためのエッチングチャンバーと、
    前記被エッチング材料と化学反応を起こして金属錯体を作ることが可能な反応ガスの原子または分子を凝集させてクラスターを生成するクラスター生成手段と、を有し、
    前記エッチングチャンバー内において、前記クラスター生成手段により生成されたクラスターを、イオン化することなく、前記被エッチング材料の表面に供給することによって当該表面における前記反応ガスの原子または分子の密度を高くし、その状態において前記反応ガスと前記被エッチング材料とが化学反応を起こすことによってエッチングを行わせる、
    ことを有することを特徴とするエッチング装置。
  11. 前記反応ガスとしてCO、CH3 OH(メタノール)、O2 、H2 O、およびNH3 の化学種のうちの少なくとも1種類を含むガスを収納して前記クラスター生成手段に供給するための反応ガス容器が設けられてなる、
    請求項10記載のエッチング装置。
  12. 前記反応ガスよりも分子量の小さいガスである軽量ガスを収納して前記反応ガスに混合するための軽量ガス容器が設けられ、
    前記軽量ガスの混合量を調整することによって前記クラスターのエネルギーを調整するようになっている、
    請求項11記載のエッチング装置。
  13. 前記反応ガスのクラスターの前記被エッチング材料の表面への供給をパルス状に行うための第1のパルス化手段と、
    O2 またはNH3 を含むクラスターの前記被エッチング材料の表面への供給をパルス状に行うための第2のパルス化手段と、
    前記反応ガスのクラスターの前記被エッチング材料の表面への供給とO2 またはNH3 を含むクラスターの前記被エッチング材料の表面への供給とをパルス状に交互に行うように前記第1のパルス化手段および前記第2のパルス化手段を制御するパルス制御手段と、が設けられている、
    請求項10ないし12のいずれかに記載のエッチング装置。
  14. 前記反応ガスとしてCOを含むガスを収納して前記クラスター生成手段に供給するための反応ガス容器が設けられており、
    前記被エッチング材料の表面に、O2 、NH3 、H2 、およびCH3 OH(メタノール)のうちの少なくとも1種類からラジカルを生成して供給するためのラジカル供給装置が設けられている、
    請求項10ないし12のいずれかに記載のエッチング装置。
  15. 前記エッチングチャンバーの内部に配置される前記被エッチング材料の温度を制御するための温度制御手段が設けられており、
    前記温度制御手段によって、前記被エッチング材料と反応ガスとの化学反応を促進する温度に保持されている、
    請求項10ないし14のいずれかに記載のエッチング装置。
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