JP2015163601A - 高純度ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】有機半導体材料の合成中間体として使用可能な程十分高純度なジハロゲノベンゾビスチアゾール化合物及びその製造方法の提供。【解決手段】硫黄含有量が1重量%以下の式(1)の高純度ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物及び製造方法。塩基の存在下テトラアミノベンゼン化合物(塩基含む)とハロゲン化剤を、ハロゲン化炭化水素溶媒中で反応させ、粗ジハロゲノベンゾビスチアゾール化合物を得、得られた該化合物とハロゲン化炭化水素を接触処理し、高純度ジハロゲノベンゾビスチアゾールを得る。【選択図】なし
Description
本発明は、硫黄含有量が低減された高純度なジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物に関する。ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物は、例えば、各種有機半導体材料を製造するための原料として有用な化合物である。
従来、ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物の製造方法としては、例えば、1,2,4,5−テトラアミノベンゼン四臭化水素塩と臭化チオニルとを反応させて、収率87%で4,8−ジブロモベンゾビスチアジアゾ−ルを製造する方法が開示されている(例えば、非特許文献1参照)。
また、2,5−ジブロモ−3,4−ジアミンベンゾチアゾールと塩化チオニルとを反応させた後、得られた固体を水、メタノールで洗浄後、粗生成物を200℃、10−6Torrで昇華・精製して、収率74%で4,8−ジブロモベンゾビスチアジアゾ−ルを得る方法が開示されている(例えば、非特許文献2参照)。
4,8−ジブロモベンゾビスチアジアゾ−ルは、有用な有機半導体材料の中間体として、好適に使用されることも知られている(例えば、特許文献1参照)。
Organic Lett.,Vol.12,No.15,p.3340(2010)
Tetrahedron,Vol.53,No.29,p.10169(1997)
しかしながら、非特許文献1の方法を本発明者らが追試実験をしたところ、次の4,8−ジブロモベンゾビスチアジアゾ−ルとトリ(n−ブチル)(チエニル)スズとの反応がほとんど進行しないことが分かった(後述する比較例1及び2参照)。
また、非特許文献2では、過酷な条件下(分解温度260℃に対して、昇華温度が200℃)にて昇華・精製を行わなければならないため、工業的に好適な製造方法と言えるものではなかった。さらに、この処理方法では、低沸点成分や揮発成分が昇華で同伴するという問題もあった。
更に、非特許文献1及び2において、ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物中の不純物については、全く注意が払われておらず、その純度や精製方法、分析方法などについても何ら言及されていなかった。
本発明の課題は、即ち、工業的に好適な製造方法で、有機半導体材料の合成中間体として使用できるほど十分に高純度なジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物及びその製造方法を提供することにある。
本発明の課題は、下記の測定方法で測定される硫黄含有量が、1重量%以下である一般式(1)
(式中、Xはハロゲン原子を示す。)
で示される高純度ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物によって解決される。
で示される高純度ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物によって解決される。
ただし、硫黄含有量が、0重量%である場合を除く。
硫黄測定方法;
ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物と1,2−ジクロロベンゼンとを混合し、加熱溶解させた後に、室温まで冷却して濾過する。
ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物と1,2−ジクロロベンゼンとを混合し、加熱溶解させた後に、室温まで冷却して濾過する。
得られた濾液中の硫黄を高速液体クロマトグラフィーで分析し、標準品の硫黄のピーク面積値とから作成された検量線を用いて、ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物中の硫黄量を測定する。
本発明の課題は、又、塩基の存在下、一般式(2)
で示されるテトラアミノベンゼン化合物(その酸塩も含む)とハロゲン化剤とを、ハロゲン化炭化水素溶媒中で反応させて、粗ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物を得、次いで、得られた粗ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物とハロゲン化炭化水素とを接触処理させる、高純度ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物の製造方法によっても解決される。
本発明により、硫黄含有量が低減された高純度なジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物を提供することができる。また、本発明により、有機半導体材料の合成中間体として使用できるほど、十分に高純度なこのジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物を提供することができる。
(高純度ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物)
本発明の高純度ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物は、一般式(1)で示される化合物であり、以下の測定方法で測定される硫黄含有量が、1重量%以下であるジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物を示す。有機半導体材料の合成中間体として使用する上で、硫黄含有量は0.5重量%以下であることが好ましく、0.3重量%以下であることがさらに好ましい。ただし、硫黄含有量が、0重量%である場合を除く。
本発明の高純度ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物は、一般式(1)で示される化合物であり、以下の測定方法で測定される硫黄含有量が、1重量%以下であるジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物を示す。有機半導体材料の合成中間体として使用する上で、硫黄含有量は0.5重量%以下であることが好ましく、0.3重量%以下であることがさらに好ましい。ただし、硫黄含有量が、0重量%である場合を除く。
ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物の硫黄含有量を1重量%以下とすることで、良好な収率で触媒反応が進行し、有機半導体材料の合成中間体として使用することができる。
(高純度ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物の硫黄含有量の測定方法)
高純度ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物の硫黄含有量の測定は、以下の手順で行う。
(1)ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物と1,2−ジクロロベンゼンとを混合し、加熱溶解(140℃〜160℃)させた後、室温(20℃〜30℃)まで冷却して濾過する。
(2)得られた濾液中の硫黄を高速液体クロマトグラフィーで分析する。
(3)標準品の硫黄のピーク面積値とから作成された検量線を用いて、ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物中の硫黄量を測定する。
高純度ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物の硫黄含有量の測定は、以下の手順で行う。
(1)ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物と1,2−ジクロロベンゼンとを混合し、加熱溶解(140℃〜160℃)させた後、室温(20℃〜30℃)まで冷却して濾過する。
(2)得られた濾液中の硫黄を高速液体クロマトグラフィーで分析する。
(3)標準品の硫黄のピーク面積値とから作成された検量線を用いて、ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物中の硫黄量を測定する。
本測定方法において、1,2−ジクロロベンゼンの使用量は適宜調節するが、ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物1gに対して、100mL〜1L使用することが好ましい。前記範囲とすることで、ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物中の硫黄が完全に溶解し、1回の測定で効率よく硫黄含有量を測定することができる。
本測定方法において、1,2−ジクロロベンゼンの使用量や濃縮量、ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物の使用量、測定機器等を適宜変更することにより、0重量%を除く任意の濃度の硫黄含有量を測定することができるが、工業的に好適な範囲の使用量及び濃縮量において、測定可能な硫黄含有量は、ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物に対して10ppm以上、好ましくは30ppm以上である。
ここで、標準品の硫黄のピーク面積値とから作成された検量線とは、標準品(市販品)硫黄を1,2−ジクロロベンゼンに溶解した溶液を、一定量採取して分析することにより、硫黄のピーク面積と硫黄量の相関を表すものである。
(高純度ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物の合成)
本発明の高純度ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物は、塩基の存在下、一般式(2)
本発明の高純度ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物は、塩基の存在下、一般式(2)
で示されるテトラアミノベンゼン化合物(その酸塩も含む)とハロゲン化剤とを、ハロゲン化炭化水素溶媒中で反応させて、粗ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物を得、次いで、得られた粗ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物とハロゲン化炭化水素とを接触処理させることによって製造される。
以下、塩基の存在下、テトラアミノベンゼン化合物(その酸塩も含む)とハロゲン化剤とを、ハロゲン化炭化水素溶媒中で反応させて、粗ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物を得る工程を「本発明の反応」、そして、得られた粗ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物とハロゲン化炭化水素とを接触処理させる工程を「本発明の処理」と称する。
(「本発明の反応」について)
本発明の反応において使用するテトラアミノベンゼン化合物は、そのまま又はその酸塩として使用しても良く、酸塩を形成させる際の酸としては、例えば、フッ化水素、塩化水素、臭化水素酸、ヨウ化水素酸などのハロゲン化水素酸が挙げられるが、好ましくはハロゲン化剤とハロゲン原子が同一のハロゲン化水素酸が使用される。ハロゲン化水素塩となっているテトラアミノベンゼン化合物としては、例えば、1,2,4,5−テトラアミノベンゼン塩酸塩、1,2,4,5−テトラアミノベンゼン臭化水素酸塩などが挙げられる。
本発明の反応において使用するテトラアミノベンゼン化合物は、そのまま又はその酸塩として使用しても良く、酸塩を形成させる際の酸としては、例えば、フッ化水素、塩化水素、臭化水素酸、ヨウ化水素酸などのハロゲン化水素酸が挙げられるが、好ましくはハロゲン化剤とハロゲン原子が同一のハロゲン化水素酸が使用される。ハロゲン化水素塩となっているテトラアミノベンゼン化合物としては、例えば、1,2,4,5−テトラアミノベンゼン塩酸塩、1,2,4,5−テトラアミノベンゼン臭化水素酸塩などが挙げられる。
本発明の反応に使用するハロゲン化剤としては、例えば、塩化チオニル、臭化チオニルであり、好ましくは、臭化チオニルが使用される。なお、これらのハロゲン化剤は、ハロゲン原子が同一であれば、二種以上を混合して使用しても良い。
前記ハロゲン化剤の使用量は、テトラアミノベンゼン化合物1モルに対して、好ましくは2〜100モル、更に好ましくは3〜50モル、より好ましくは4〜20モルである。前記範囲とすることで、収率、操作性、及び経済性良く反応を実施することができる。
本発明の反応に使用する塩基としては、例えば、ピリジン、N−メチルピリジン、2−クロロピリジン、2−ブロモピリジン、ピペリジン、ピリミジン、キノリン、アクリジン、ピコリン、ビピリジン、2,6−ルチジン等の芳香族アミン類、トリメチルアミン、N,N−ジメチルエチルアミン、N,N−ジエチルメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルプロピルアミン、N,N−ジメチルブチルアミン、N,N−ジメチルペンチルアミン、N,N−ジエチルプロピルアミン、N,N−ジプロピルエチルアミン、N,N−ジプロピルメチルアミン、N,N−ジエチルペンチルアミン、N−エチル−N−メチルペンチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、等の脂肪族3級アミン類等が挙げられるが、好ましくは、芳香族アミン類、更に好ましくは、ピリジンが使用される。なお、これらの塩基は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記塩基の使用量は、テトラアミノベンゼン化合物1モルに対して、好ましくは2モル〜100モル、更に好ましくは3モルか〜50モル、より好ましくは4モル〜20モルである。前記範囲とすることで、収率や操作性、経済性良く反応を実施することができる。
本発明の反応において使用するハロゲン化炭化水素としては、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエチレン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族ハロゲン化炭化水素が挙げられるが、好ましくは、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエチレンが使用される。なお、これらのハロゲン化炭化水素は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記ハロゲン化炭化水素は、テトラアミノベンゼン化合物1モルに対して、好ましくは
1L〜100L、更に好ましくは4L〜10Lである。前記範囲とすることで、収率や操作性、経済性良く反応を実施することができる。
1L〜100L、更に好ましくは4L〜10Lである。前記範囲とすることで、収率や操作性、経済性良く反応を実施することができる。
本発明の反応は、例えば、テトラアミノベンゼン、ハロゲン化剤、塩基及びハロゲン化炭化水素溶媒を混合して、攪拌しながら反応させるなどの方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは−30℃〜200℃、更に好ましくは0℃〜100℃であり、反応圧力は特に制限されない。反応温度を前記範囲とすることで、副反応を抑制しつつ、円滑に反応を進行させ、効率良く目的物を取得できる。
本発明の反応終了後、反応物を濾過し、粗ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物を濾過により取得するが、必要に応じて乾燥を行った後に次の処理で使用する。
(「本発明の処理」について)
本発明の処理において使用する(本発明の反応によって得られた粗ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物と接触処理させる)ハロゲン化炭化水素としては、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエチレン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族ハロゲン化炭化水素が挙げられるが、好ましくは、クロロホルム、1,2−ジクロロエチレン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、更に好ましくは、クロロホルム、1,2−ジクロロエチレン、クロロベンゼンが使用される。なお、これらのハロゲン化炭化水素は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
本発明の処理において使用する(本発明の反応によって得られた粗ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物と接触処理させる)ハロゲン化炭化水素としては、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエチレン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族ハロゲン化炭化水素が挙げられるが、好ましくは、クロロホルム、1,2−ジクロロエチレン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、更に好ましくは、クロロホルム、1,2−ジクロロエチレン、クロロベンゼンが使用される。なお、これらのハロゲン化炭化水素は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記ハロゲン化炭化水素の使用量は、粗ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物1gに対して、好ましくは1mL〜10L、更に好ましくは10mL〜500mLである。前記範囲とすることで、収率、操作性、及び経済性良く処理を実施することができる。
本発明の処理における接触処理とは、粗ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物とハロゲン化炭化水素を撹拌や抽出などによって十分に接触させる処理を示す。この接触処理は、不純物が十分に取り除かれ、高純度ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物とする態様ならば特に限定されないが、以下の(1)、(2)、及び(3)からなる群より選ばれた少なくとも1つを含む方法が好ましい実施態様である。
(1)粗ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物とハロゲン化炭化水素との接触処理を、混合加熱攪拌により行う方法、
(2)粗ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物とハロゲン化炭化水素との接触処理を、ソックスレー抽出によって行う方法、
(3)粗ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物とハロゲン化炭化水素との接触処理を、再結晶によって行う方法
なお、これらの反応処理は、単独で行っても複数の処理を組み合わせて行っても良く、まず混合加熱攪拌による処理を行った後に、ソックスレー抽出又は再結晶を行う方法がより好ましい。
(1)粗ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物とハロゲン化炭化水素との接触処理を、混合加熱攪拌により行う方法、
(2)粗ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物とハロゲン化炭化水素との接触処理を、ソックスレー抽出によって行う方法、
(3)粗ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物とハロゲン化炭化水素との接触処理を、再結晶によって行う方法
なお、これらの反応処理は、単独で行っても複数の処理を組み合わせて行っても良く、まず混合加熱攪拌による処理を行った後に、ソックスレー抽出又は再結晶を行う方法がより好ましい。
(1)混合加熱攪拌により行う方法
粗ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物をハロゲン化炭化水素溶媒に加えて混合し、加熱攪拌させた後、得られた溶液を室温(20℃〜30℃)まで冷却して濾過する。この際、硫黄はハロゲン化炭化水素溶媒に溶けるため、濾液側に分離される。取得した濾物を乾燥し、高純度のジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物を得ることができる。本方法において、加熱温度は、使用する溶媒や圧力に応じて適宜変更するが、40℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましく、60℃以上であることがさらに好ましい。
粗ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物をハロゲン化炭化水素溶媒に加えて混合し、加熱攪拌させた後、得られた溶液を室温(20℃〜30℃)まで冷却して濾過する。この際、硫黄はハロゲン化炭化水素溶媒に溶けるため、濾液側に分離される。取得した濾物を乾燥し、高純度のジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物を得ることができる。本方法において、加熱温度は、使用する溶媒や圧力に応じて適宜変更するが、40℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましく、60℃以上であることがさらに好ましい。
(2)ソックスレー抽出によって行う方法
本発明の高純度のジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物を得る一例を、図1を用いて説明する。粗ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物(固体)を円筒濾紙に入れ、ソックスレー抽出装置内に設置し、フラスコにハロゲン化炭化水素溶媒を入れ、加熱還流を行う。この加熱温度は、使用する溶媒や圧力に応じて適宜変更することができる。フラスコ内で発生したハロゲン化炭化水素溶媒の蒸気は側管(3)を通じて、冷却器(4)に達し、凝結する。凝結したハロゲン化炭化水素溶媒は円筒濾紙(5)内に滴下し、滴下した溶媒によって、円筒濾紙内の固体からジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物は抽出され、溶液として溜る。一定量溶液が溜まるとサイフォン(6)によって、溜まった溶液はフラスコ (1) に流れ落ちる。この繰返しにより、抽出されたジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物がフラスコ(1)に濃縮されていき、フラスコ内に固体として沈殿する。ソックスレー抽出終了後、室温に冷却し、抽出液中の沈殿物を濾取する。この際、硫黄はハロゲン化炭化水素溶媒に溶けるため、濾液側に分離される。取得した沈殿物を乾燥し、高純度のジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物を得ることができる。
本発明の高純度のジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物を得る一例を、図1を用いて説明する。粗ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物(固体)を円筒濾紙に入れ、ソックスレー抽出装置内に設置し、フラスコにハロゲン化炭化水素溶媒を入れ、加熱還流を行う。この加熱温度は、使用する溶媒や圧力に応じて適宜変更することができる。フラスコ内で発生したハロゲン化炭化水素溶媒の蒸気は側管(3)を通じて、冷却器(4)に達し、凝結する。凝結したハロゲン化炭化水素溶媒は円筒濾紙(5)内に滴下し、滴下した溶媒によって、円筒濾紙内の固体からジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物は抽出され、溶液として溜る。一定量溶液が溜まるとサイフォン(6)によって、溜まった溶液はフラスコ (1) に流れ落ちる。この繰返しにより、抽出されたジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物がフラスコ(1)に濃縮されていき、フラスコ内に固体として沈殿する。ソックスレー抽出終了後、室温に冷却し、抽出液中の沈殿物を濾取する。この際、硫黄はハロゲン化炭化水素溶媒に溶けるため、濾液側に分離される。取得した沈殿物を乾燥し、高純度のジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物を得ることができる。
(3)再結晶によって行う方法
粗ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物をハロゲン化炭化水素溶媒に加え、加熱還流させて完全に溶解させる。この加熱温度は、使用する溶媒や圧力に応じて適宜変更することができる。前記溶液を室温(20℃〜30℃)まで冷却し、沈殿物を濾取する。この際、硫黄はハロゲン化炭化水素溶媒に溶けるため、濾液側に分離される。取得した濾物を乾燥し、高純度のジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物を得ることができる。
粗ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物をハロゲン化炭化水素溶媒に加え、加熱還流させて完全に溶解させる。この加熱温度は、使用する溶媒や圧力に応じて適宜変更することができる。前記溶液を室温(20℃〜30℃)まで冷却し、沈殿物を濾取する。この際、硫黄はハロゲン化炭化水素溶媒に溶けるため、濾液側に分離される。取得した濾物を乾燥し、高純度のジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物を得ることができる。
本発明の処理によって高純度ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物が得られるが、これは、前記の硫黄測定方法で測定される硫黄含有量が、1重量%以下であることが特定された高純度ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物である。ただし、硫黄含有量が0重量%である場合を除く。
なお、前記の高純度ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物は、ベンゾビスチアジアゾールを主骨格とする有機半導体材料の製造において使用できる(例えば後述する実施例5、6、7及び8参照)。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、略称は以下の通りである。
DBBBT;4,8−ジブロモベンゾビスチアジアゾール
粗体、粗DBBBT;前述の3種類の接触処理(混合加熱攪拌、ソックスレー抽出、再結晶)をいずれも行っていない4,8−ジブロモベンゾビスチアジアゾール
C8TBBT;4,8−ビス(5−オクチル−2−チエニル)ベンゾビスチアジアゾール
粗体、粗DBBBT;前述の3種類の接触処理(混合加熱攪拌、ソックスレー抽出、再結晶)をいずれも行っていない4,8−ジブロモベンゾビスチアジアゾール
C8TBBT;4,8−ビス(5−オクチル−2−チエニル)ベンゾビスチアジアゾール
また、高速液体カラムクロマトグラフィーの分析条件は以下の通りである。
(硫黄の分析)
カラム:CHIRALPAK IA(ダイセル化学製) 4.6×250mmID
移動相:n−ヘキサン
測定波長:300nm
カラム温度:30℃
流速:1.0mL/min
(DBBBT及びC8TBBTの分析)
カラム:CHIRALPAK IA(ダイセル化学製) 4.6×250mmID
移動相:(A)n−ヘキサン:(B)クロロホルム
Bの濃度:20%(0min)→90%(10min)→90%(24min)→20%(25min)→20%(40min)
測定波長:345nm
カラム温度:40℃
流速:1.0mL/min
(硫黄の分析)
カラム:CHIRALPAK IA(ダイセル化学製) 4.6×250mmID
移動相:n−ヘキサン
測定波長:300nm
カラム温度:30℃
流速:1.0mL/min
(DBBBT及びC8TBBTの分析)
カラム:CHIRALPAK IA(ダイセル化学製) 4.6×250mmID
移動相:(A)n−ヘキサン:(B)クロロホルム
Bの濃度:20%(0min)→90%(10min)→90%(24min)→20%(25min)→20%(40min)
測定波長:345nm
カラム温度:40℃
流速:1.0mL/min
実施例1(高純度4,8−ジブロモベンゾビスチアジアゾール(DBBBT)の合成)
攪拌装置、滴下漏斗及び還流冷却器を備えた内容積1000mLの4つ口フラスコに、1,2,4,5−テトラアミノベンゼン四臭化水素塩19.9g(0.0431mol)とクロロホルム300mLを混合した後、臭化チオニル33.4mL(0.431mol)、ピリジン48mL(0.60mol)の順で加え、攪拌しながら室温(20℃〜30℃)で3時間、還流下(55℃〜65℃)で12時間反応させた。
攪拌装置、滴下漏斗及び還流冷却器を備えた内容積1000mLの4つ口フラスコに、1,2,4,5−テトラアミノベンゼン四臭化水素塩19.9g(0.0431mol)とクロロホルム300mLを混合した後、臭化チオニル33.4mL(0.431mol)、ピリジン48mL(0.60mol)の順で加え、攪拌しながら室温(20℃〜30℃)で3時間、還流下(55℃〜65℃)で12時間反応させた。
反応終了後、反応液を室温まで冷却し、メタノール300mLを加えた後に反応液を濾過した。濾物を塩酸、水、メタノールの順で洗浄した後、減圧下にて70℃で乾燥させて、粗DBBBT11.3gを得た。
攪拌装置及び還流冷却器を備えた内容積500mLの4つ口フラスコに、得られた粗DBBBT11.3g及びクロロホルム300mLを加え、撹拌させながら還流下(55℃〜65℃)で3時間反応させた。得られた溶液を室温(20℃〜30℃)まで冷却して濾過し、濾物をクロロホルムで洗浄した。得られた固体を減圧下にて60℃で乾燥させ、DBBBT9.9gを得た(粗体取得収率;65%)。
前記DBBBT(固体)3gを円筒濾紙に入れ、図1で示すソックスレー抽出装置内に設置し、フラスコにクロロベンゼン250mLを入れ、還流下(130℃〜140℃)で14時間撹拌した。得られた濾液を室温(20℃〜30℃)まで冷却した後、析出した固体を濾過した。濾過後、濾物を減圧下にて70℃で乾燥させ、暗赤褐色の固体として、DBBBT2.23gを得た(精製回収率;74%)。
得られたDBBBT0.05gと1,2−ジクロロベンゼン30mLを混合し、150℃で加熱し、硫黄を溶出させた後、室温(20℃〜30℃)まで冷却して濾過した。次いで、濾液中の硫黄を高速液体クロマトグラフィーで分析し、標準品の硫黄のピーク面積値とから作成された検量線を用いて、ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物中の硫黄量を測定したところ、硫黄含有量は検出限界以下であり、得られたDBBBTが高純度品であることが分かった。
実施例2(高純度4,8−ジブロモベンゾビスチアジアゾール(DBBBT)の合成)
攪拌装置、滴下漏斗及び還流冷却器を備えた内容積500mLの4つ口フラスコに、1,2,4,5−テトラアミノベンゼン四臭化水素塩20.0g(0.0431mol)とクロロホルム300mLを混合した後、臭化チオニル34.0mL(0.431mol)、ピリジン49mL(0.60mol)の順で加え、攪拌しながら室温(20℃〜30℃)で1時間、還流下(55℃〜65℃)で12時間反応させた。
攪拌装置、滴下漏斗及び還流冷却器を備えた内容積500mLの4つ口フラスコに、1,2,4,5−テトラアミノベンゼン四臭化水素塩20.0g(0.0431mol)とクロロホルム300mLを混合した後、臭化チオニル34.0mL(0.431mol)、ピリジン49mL(0.60mol)の順で加え、攪拌しながら室温(20℃〜30℃)で1時間、還流下(55℃〜65℃)で12時間反応させた。
反応終了後、反応液を室温まで冷却し、メタノール300mLを加えた後に反応液を濾過した。濾物を塩酸、水、メタノールの順で洗浄した後、減圧下にて70℃で乾燥させて、粗DBBBT11.3gを得た。
攪拌装置及び還流冷却器を備えた内容積500mLの4つ口フラスコに、得られた粗DBBBT11.3g及びクロロホルム300mLを加え、撹拌させながら還流下(55℃〜65℃)で1時間反応させた。得られた溶液を室温(20℃〜30℃)まで冷却して濾過し、濾物をクロロホルムで洗浄した。得られた固体を減圧下にて60℃で乾燥させた。
得られたDBBBT(固体)を2分割して、一方を円筒濾紙に入れ、図1で示すソックスレー抽出装置内に設置し、フラスコにクロロベンゼン250mLを入れ、還流下(130℃〜140℃)で14時間撹拌した。得られた濾液を室温(20℃〜30℃)まで冷却した後、析出した固体を濾過した。濾過後、濾物を減圧下にて60℃で乾燥させ、暗赤褐色の固体としてDBBBTを得た。分割したもう一方のDBBBTについて、同様にソックスレー抽出を行った。合わせて、DBBBT8.2gを得た(精製体の取得収率;55%)。
同様の実験をさらに3回行い、合計4回の実験で合わせて28.1gの精製体のDBBBTを得た。
得られたDBBBT50mgと1,2−ジクロロベンゼン約5gを各々精秤して混合し、150℃で15分間加熱し、硫黄を溶出させた後、室温(20℃〜30℃)まで冷却して濾過した。次いで、濾液中の硫黄を高速液体クロマトグラフィーで分析し、標準品の硫黄のピーク面積値とから作成された検量線を用いて、ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物中の硫黄量を測定したところ、硫黄含有量は32ppmであった。このように高濃度のDBBBT溶液を用いて、硫黄含有量を測定することができた。
実施例3(高純度4,8−ジブロモベンゾビスチアジアゾール(DBBBT)の合成)
攪拌装置、滴下漏斗及び還流冷却器を備えた内容積1000mLの4つ口フラスコに、1,2,4,5−テトラアミノベンゼン四臭化水素塩19.9g(0.0431mol)とクロロホルム300mLを混合した後、臭化チオニル33.4mL(0.431mol)、ピリジン48mL(0.60mol)の順で加え、攪拌しながら室温(20℃〜30℃)で3時間、還流下(55℃〜65℃)で12時間反応させた。
攪拌装置、滴下漏斗及び還流冷却器を備えた内容積1000mLの4つ口フラスコに、1,2,4,5−テトラアミノベンゼン四臭化水素塩19.9g(0.0431mol)とクロロホルム300mLを混合した後、臭化チオニル33.4mL(0.431mol)、ピリジン48mL(0.60mol)の順で加え、攪拌しながら室温(20℃〜30℃)で3時間、還流下(55℃〜65℃)で12時間反応させた。
反応終了後、反応液を室温(20℃〜30℃)まで冷却し、メタノール300mLを加えた後に反応液を濾過した。濾物を塩酸、水、メタノールの順で洗浄した後、減圧下にて70℃で乾燥させて、粗DBBBT11.3gを得た。
攪拌装置及び還流冷却器を備えた内容積500mLの4つ口フラスコに、得られた粗DBBBT11.3g及びクロロホルム300mLを加え、撹拌させながら還流下(55℃〜65℃)で3時間反応させた。得られた溶液を室温(20℃〜30℃)まで冷却して濾過し、濾物をクロロホルムで洗浄した。得られた固体を減圧下にて60℃で乾燥させDBBBT9.9gを得た(粗体取得収率;65%)。
攪拌装置、還流冷却器を備えた内容積300mLのナスフラスコに前記DBBBT1g及びクロロベンゼン100mLを加え、撹拌させながら還流下(130℃〜140℃)で6時間反応させた。得られた溶液を室温(20℃〜30℃)まで冷却して濾過し、濾物を減圧下にて70℃で乾燥させ、暗赤褐色の固体として、DBBBT0.86g(精製回収率;86%)を得た。
得られたDBBBT0.05gと1,2−ジクロロベンゼン30mLを混合し、150℃で加熱溶解させた後、室温(20℃〜30℃)まで冷却して濾過した。次いで、濾液中の硫黄を高速液体クロマトグラフィーで分析し、標準品の硫黄のピーク面積値とから作成された検量線を用いて、ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物中の硫黄量を測定したところ、硫黄含有量は検出限界以下であり、得られたDBBBTが高純度品であることが分かった。
実施例4(高純度4,8−ジブロモベンゾビスチアジアゾール(DBBBT)の合成)
攪拌装置、滴下漏斗及び還流冷却器を備えた内容積1000mLの4つ口フラスコに、1,2,4,5−テトラアミノベンゼン四臭化水素塩20g(0.0433mol)とクロロホルム300mLを混合した後、臭化チオニル33.6mL(0.433mol)、ピリジン49mL(0.61mol)の順で加え、攪拌しながら室温(20℃〜30℃)で3時間、還流下(55℃〜65℃)で12時間反応させた。
攪拌装置、滴下漏斗及び還流冷却器を備えた内容積1000mLの4つ口フラスコに、1,2,4,5−テトラアミノベンゼン四臭化水素塩20g(0.0433mol)とクロロホルム300mLを混合した後、臭化チオニル33.6mL(0.433mol)、ピリジン49mL(0.61mol)の順で加え、攪拌しながら室温(20℃〜30℃)で3時間、還流下(55℃〜65℃)で12時間反応させた。
反応終了後、反応液を室温まで冷却し、メタノール400mLを加えた後に反応液を濾過した。濾物を塩酸、水、メタノールの順で洗浄した後、減圧下にて70℃で乾燥させて、粗DBBBT14.8gを得た(粗体取得収率;97%)。
攪拌装置、還流冷却器を備えた内容積500mLのナスフラスコに、合成した粗DBBBT14.5gを入れ、クロロホルム300mLに加え、撹拌させながら還流下(55℃〜65℃)で5時間反応させた。室温(20℃〜30℃)に冷却した後、沈殿をろ取し、クロロホルムで洗浄した。得られた固体を70℃で減圧乾燥し、暗赤褐色の固体としてDBBBT12.7gを得た(精製回収率;88%)。
得られたDBBBT0.05gと1,2−ジクロロベンゼン30mLを混合し、150℃で加熱溶解させた後、室温(20℃〜30℃)まで冷却して濾過した。次いで、濾液中の硫黄を高速液体クロマトグラフィーで分析し、標準品の硫黄のピーク面積値とから作成された検量線を用いて、ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物中の硫黄量を測定したところ、硫黄含有量は0.3重量%であり、得られたDBBBTが高純度品であることが分かった。
比較例1(4,8−ジブロモベンゾビスチアジアゾール(DBBBT)の合成)
攪拌装置、滴下漏斗及び還流冷却器を備えた内容積1000mLの4つ口フラスコに、1,2,4,5−テトラアミノベンゼン四臭化水素塩20.0g(0.0433mol)とクロロホルム300mLを混合した後、臭化チオニル33.6mL(0.433mol)、ピリジン48mL(0.60mol)の順で加え、攪拌しながら室温で3時間、加熱還流で12時間反応を行った。
攪拌装置、滴下漏斗及び還流冷却器を備えた内容積1000mLの4つ口フラスコに、1,2,4,5−テトラアミノベンゼン四臭化水素塩20.0g(0.0433mol)とクロロホルム300mLを混合した後、臭化チオニル33.6mL(0.433mol)、ピリジン48mL(0.60mol)の順で加え、攪拌しながら室温で3時間、加熱還流で12時間反応を行った。
反応終了後、反応液を室温まで冷却し、メタノール300mLを加えた後に反応液を濾過した。濾物を塩酸、水、メタノールの順で洗浄した後、減圧下にて70℃で乾燥させて、DBBBT14.8gを得た(取得収率;97%)。
得られたDBBBT0.05gと1,2−ジクロロベンゼン30mLを混合し、150℃で加熱溶解させた後、室温(20℃〜30℃)まで冷却して濾過した。次いで、濾液中の硫黄を高速液体クロマトグラフィーで分析し、標準品の硫黄のピーク面積値とから作成された検量線を用いて、ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物中の硫黄量を測定したところ、硫黄含有量は23重量%であった。
実施例5(4,8−ビス(5−オクチル−2−チエニル)ベンゾビスチアジアゾール(C8TBBT)の合成)
撹拌装置を備えた内容量10mLのガラス製反応容器に、実施例1で合成したDBBBT100mg(0.284mmol)、トリ(n−ブチル)(5−オクチル−2−チエニル)スズ)551mg(1.14mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム60mg(0.085mmol)及びトルエン3mLを加え、攪拌しながら100℃で1時間反応させた。
撹拌装置を備えた内容量10mLのガラス製反応容器に、実施例1で合成したDBBBT100mg(0.284mmol)、トリ(n−ブチル)(5−オクチル−2−チエニル)スズ)551mg(1.14mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム60mg(0.085mmol)及びトルエン3mLを加え、攪拌しながら100℃で1時間反応させた。
反応終了後、反応液を分析したところ、C8TBBTが156mg生成していた(反応収率;94%)。
実施例6(4,8−ビス(5−オクチル−2−チエニル)ベンゾビスチアジアゾール(C8TBBT)の合成)
撹拌装置を備えた内容量10mLのガラス製反応容器に、実施例3で合成したDBBBT100mg(0.284mmol)、トリ(n−ブチル)(5−オクチル−2−チエニル)スズ)551mg(1.14mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム60mg(0.085mmol)及びトルエン3mLを加え、攪拌しながら100℃で1時間反応させた。
撹拌装置を備えた内容量10mLのガラス製反応容器に、実施例3で合成したDBBBT100mg(0.284mmol)、トリ(n−ブチル)(5−オクチル−2−チエニル)スズ)551mg(1.14mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム60mg(0.085mmol)及びトルエン3mLを加え、攪拌しながら100℃で1時間反応させた。
反応終了後、反応液を分析したところ、C8TBBTが144mg生成していた(反応収率;87%)。
実施例7(4,8−ビス(5−オクチル−2−チエニル)ベンゾビスチアジアゾール(C8TBBT)の合成)
撹拌装置を備えた内容量10mLのガラス製反応容器に、実施例4で合成したDBBBT100mg(0.284mmol)、トリ(n−ブチル)(5−オクチル−2−チエニル)スズ)551mg(1.14mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム60mg(0.085mmol)及びトルエン3mLを加え、攪拌しながら100℃で1時間反応させた。
撹拌装置を備えた内容量10mLのガラス製反応容器に、実施例4で合成したDBBBT100mg(0.284mmol)、トリ(n−ブチル)(5−オクチル−2−チエニル)スズ)551mg(1.14mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム60mg(0.085mmol)及びトルエン3mLを加え、攪拌しながら100℃で1時間反応させた。
反応終了後、反応液を分析したところ、C8TBBTが132mg生成していた(反応収率;80%)。
実施例8(4,8−ビス(5−オクチル−2−チエニル)ベンゾビスチアジアゾール(C8TBBT)の合成)
撹拌装置を備えた内容量10mLのガラス製反応容器に、実施例1で合成したDBBBT100mg(0.284mmol)に標準品の硫黄1mgを加え、DBBBT中の硫黄含有量が1重量%となるように調整した。さらに、この反応容器にトリ(n−ブチル)(5−オクチル−2−チエニル)スズ)551mg(1.14mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム60mg(0.085mmol)及びトルエン3mLを加え、攪拌しながら100℃で1時間反応させた。
撹拌装置を備えた内容量10mLのガラス製反応容器に、実施例1で合成したDBBBT100mg(0.284mmol)に標準品の硫黄1mgを加え、DBBBT中の硫黄含有量が1重量%となるように調整した。さらに、この反応容器にトリ(n−ブチル)(5−オクチル−2−チエニル)スズ)551mg(1.14mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム60mg(0.085mmol)及びトルエン3mLを加え、攪拌しながら100℃で1時間反応させた。
反応終了後、反応液を分析したところ、C8TBBTが137mg生成していた(反応収率;83%)。
比較例2(4,8−ビス(5−オクチル−2−チエニル)ベンゾビスチアジアゾール(C8TBBT)の合成)
撹拌装置を備えた内容量10mLのガラス製反応容器に、比較例1で合成した粗DBBBT100mg、トリ(n−ブチル)(5−オクチル−2−チエニル)スズ)551mg(1.14mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム60mg(0.085mmol)及びトルエン3mLを加え、攪拌しながら100℃で1時間反応させた。
撹拌装置を備えた内容量10mLのガラス製反応容器に、比較例1で合成した粗DBBBT100mg、トリ(n−ブチル)(5−オクチル−2−チエニル)スズ)551mg(1.14mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム60mg(0.085mmol)及びトルエン3mLを加え、攪拌しながら100℃で1時間反応させた。
反応終了後、反応液を分析したところ、C8TBBTは生成していなかった。
以上の通り、ハロゲン化炭化水素との接触処理により、硫黄含有量が1重量%以下まで低減された高純度なジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物を提供することができた。また、このジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物は有機半導体材料の合成中間体として使用できるほど、十分に高純度であることが分かった。
本発明は、硫黄含有量が低減された高純度なジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物に関する。ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物は、例えば、各種有機半導体材料を製造するための原料として有用な化合物である。
Claims (7)
- 塩基の存在下、一般式(2)
で示される高純度ジハロゲノベンゾビスチアジアゾ−ル化合物の製造方法。
ただし、硫黄含有量が0重量%である場合を除く。
硫黄測定方法;
ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物と1,2−ジクロロベンゼンとを混合し、加熱溶解させた後に、室温まで冷却して濾過する。
得られた濾液中の硫黄を高速液体クロマトグラフィーで分析し、標準品の硫黄のピーク面積値とから作成された検量線を用いて、ジハロゲノベンゾビスチアジアゾール化合物中の硫黄量を測定する。 - 粗ジハロゲノベンゾビスチアジアゾ−ル化合物とハロゲン化炭化水素との接触処理を、混合加熱攪拌により行う方法、ソックスレー抽出によって行う方法、及び再結晶によって行う方法からなる群から選ばれた少なくとも1つを含む方法により行うことを特徴とする、請求項1記載の高純度ジハロゲノベンゾビスチアジアゾ−ル化合物の製造方法。
- 粗ジハロゲノベンゾビスチアジアゾ−ル化合物とハロゲン化炭化水素との接触処理を、混合加熱攪拌により行う請求項2記載の高純度ジハロゲノベンゾビスチアジアゾ−ル化合物の製造方法。
- 粗ジハロゲノベンゾビスチアジアゾ−ル化合物とハロゲン化炭化水素との接触処理を、ソックスレー抽出によって行う請求項2記載の高純度ジハロゲノベンゾビスチアジアゾ−ル化合物の製造方法。
- 粗ジハロゲノベンゾビスチアジアゾ−ル化合物とハロゲン化炭化水素との接触処理を、再結晶によって行う請求項2記載の高純度ジハロゲノベンゾビスチアジアゾ−ル化合物の製造方法。
- ベンゾビスチアジアゾ−ルを主骨格とする有機半導体材料の製造における、請求項6記載の高純度ジハロゲノベンゾビスチアジアゾ−ル化合物の使用。
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