JP2015155381A - 含フッ素芳香族化合物及びその製造方法 - Google Patents
含フッ素芳香族化合物及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2015155381A JP2015155381A JP2014030064A JP2014030064A JP2015155381A JP 2015155381 A JP2015155381 A JP 2015155381A JP 2014030064 A JP2014030064 A JP 2014030064A JP 2014030064 A JP2014030064 A JP 2014030064A JP 2015155381 A JP2015155381 A JP 2015155381A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fluorine
- compound
- compound represented
- containing aromatic
- organic semiconductor
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
- 0 CC(*)(C=*)C=N Chemical compound CC(*)(C=*)C=N 0.000 description 3
Landscapes
- Nitrogen Condensed Heterocyclic Rings (AREA)
- Thin Film Transistor (AREA)
Abstract
Description
本発明は、有機半導体材料に応用可能な、新規含フッ素芳香族化合物及びその製造方法に関する。
有機化合物を半導体材料とする有機半導体素子は、従来のシリコン等の無機半導体材料を用いた半導体素子と比べて、その加工性が容易であることから、低価格なデバイスの実現が期待されている。また、有機化合物の半導体材料は、構造的に柔軟であることから、プラスチック基板と組み合わせて用いることで、フレキシブルなディスプレイ等のデバイスを実現することが期待されている。
有機半導体の加工プロセスは、蒸着によるドライプロセスと、塗布やプリンタブル、インクジェットなど、有機溶媒を用いたウェットプロセスとが知られている。従来の有機半導体材料は有機溶媒に対して溶解性が低く、ウェットプロセスの適用が困難であったため、ドライプロセスが広く利用されてきた。一方、ウェットプロセスは、容易で安価であり、環境負荷が小さい製造プロセスとなる。
有機半導体材料にはキャリア移動度の向上が求められている。有機半導体材料のキャリア移動度の向上のための手段としては、未だ有効な手段は確立していないが、分子間相互作用を強くすることや、分子の配列を制御することが重要と考えられている。例えば、縮合多環系化合物であるアセン化合物は、平面構造により共役系が拡張され、πスタックによる強い分子間相互作用を持つとして、有機半導体材料としての利用が試みられている(非特許文献1)。
縮合多環系化合物のうちアセン化合物は有機半導体材料として優れた機能が期待されている。たとえば、特許文献1には、ウェットプロセスによりアセン化合物を有機半導体材料として使用するために、アセン骨格にアルキル基等の基を導入することで、有機溶媒への溶解性を高める手法が開示されている。特許文献2には、重金属を用いたカップリング反応によるパーフルオロアルキル基を有するアセン化合物の製造方法が開示されている。
他の縮合多環系化合物としては、たとえば、特許文献3には、コア骨格の一部にO、S、Se、又はTeを含み、さらにアルキル基などの置換基を導入した複素環式化合物が開示され、電子素子や光電子素子に利用できる旨の開示がある。
D.J.Gundlach,S.F.Nelson,T.N.Jachson et al.,Appl.Phys.Lett.,(2002),80,2925.
しかし特許文献1及び2には、本発明の骨格を有するヘリセン型の縮合多環系化合物については、一切開示がない。
また、特許文献3に記載の複素環式化合物では、開示される骨格構造や、該骨格に導入される置換基の構造から、有機溶媒への溶解性が低く、ウェットプロセスには適用が困難と考えられる。
また、特許文献3に記載の複素環式化合物では、開示される骨格構造や、該骨格に導入される置換基の構造から、有機溶媒への溶解性が低く、ウェットプロセスには適用が困難と考えられる。
本発明は、ドライプロセス及びウェットプロセスのいずれにも適用可能であり、かつキャリア移動度が高い構造を有する縮合多環系化合物及びその製造方法と、当該化合物を含む有機半導体材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、低極性溶媒にも比較的可溶な特定構造の含フッ素芳香族化合物を新たに見出し、当該含フッ素芳香族化合物を含む有機半導体材料として本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下に関するものである。
<1>
下式(A)で表される含フッ素芳香族化合物又は式(B)で表される含フッ素芳香族化合物。
<1>
下式(A)で表される含フッ素芳香族化合物又は式(B)で表される含フッ素芳香族化合物。
[上記式中、
Rf1〜Rf6は各々独立して、炭素数1〜12の含フッ素アルキル基である。
X1〜X4は各々独立して、窒素原子又はCHである。
Rはハロゲン原子、又は炭素数1〜12のアルキル基である。
nは0〜4の整数である。
mは0〜2の整数である。]
<2>
前記式(A)で表される含フッ素芳香族化合物が、下記式(A2)で表される含フッ素芳香族化合物である、上記<1>に記載の含フッ素芳香族化合物。
Rf1〜Rf6は各々独立して、炭素数1〜12の含フッ素アルキル基である。
X1〜X4は各々独立して、窒素原子又はCHである。
Rはハロゲン原子、又は炭素数1〜12のアルキル基である。
nは0〜4の整数である。
mは0〜2の整数である。]
<2>
前記式(A)で表される含フッ素芳香族化合物が、下記式(A2)で表される含フッ素芳香族化合物である、上記<1>に記載の含フッ素芳香族化合物。
[上記式中、Rf1、R、nは前記と同じ意味を示す。]
<3>
前記式(B)で表される含フッ素芳香族化合物が、下記式(B2)で表される含フッ素芳香族化合物である、上記<1>に記載の含フッ素芳香族化合物。
<3>
前記式(B)で表される含フッ素芳香族化合物が、下記式(B2)で表される含フッ素芳香族化合物である、上記<1>に記載の含フッ素芳香族化合物。
[上記式中、Rf3、X1〜X4、R及びmは前記と同じ意味を示す。]
<4>
下式で表される化合物。
<4>
下式で表される化合物。
<5>
上記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の含フッ素芳香族化合物を含む有機半導体材料。
<6>
上記<5>に記載の有機半導体材料を含む有機半導体薄膜。
<7>
前記有機半導体薄膜が結晶性の薄膜である上記<6>に記載の有機半導体薄膜。
<8>
半導体層として、上記<7>に記載の有機半導体薄膜の層を含む有機半導体素子。
<9>
上記<8>に記載の有機半導体素子を含む有機半導体トランジスタ。
<10>
下式(A1)で表される化合物を式Rf1−Si(CH3)3で表される化合物と反応させて下式(A1−1)で表される化合物を得て、該式(A1−1)で表される化合物を脱保護処理して下式(A1−2)で表される化合物を得て、該式(A1−2)で表される化合物を芳香族化及び酸化させる、下式(A2)で表される含フッ素芳香族化合物の製造方法。
上記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の含フッ素芳香族化合物を含む有機半導体材料。
<6>
上記<5>に記載の有機半導体材料を含む有機半導体薄膜。
<7>
前記有機半導体薄膜が結晶性の薄膜である上記<6>に記載の有機半導体薄膜。
<8>
半導体層として、上記<7>に記載の有機半導体薄膜の層を含む有機半導体素子。
<9>
上記<8>に記載の有機半導体素子を含む有機半導体トランジスタ。
<10>
下式(A1)で表される化合物を式Rf1−Si(CH3)3で表される化合物と反応させて下式(A1−1)で表される化合物を得て、該式(A1−1)で表される化合物を脱保護処理して下式(A1−2)で表される化合物を得て、該式(A1−2)で表される化合物を芳香族化及び酸化させる、下式(A2)で表される含フッ素芳香族化合物の製造方法。
[上記式中、
Rf1は炭素数1〜12の含フッ素アルキル基である。
Rはハロゲン原子、又は炭素数1〜12のアルキル基である。
nは0〜4の整数である。]
<11>
下式(B1)で表される化合物を式Rf3−Si(CH3)3で表される化合物と反応させて下式(B1−1)で表される化合物を得て、該式(B1−1)で表される化合物を脱保護処理して下式(B1−2)で表される化合物を得て、該式(B1−2)で表される化合物を芳香族化及び酸化させる、下式(B2)で表される含フッ素芳香族化合物の製造方法。
Rf1は炭素数1〜12の含フッ素アルキル基である。
Rはハロゲン原子、又は炭素数1〜12のアルキル基である。
nは0〜4の整数である。]
<11>
下式(B1)で表される化合物を式Rf3−Si(CH3)3で表される化合物と反応させて下式(B1−1)で表される化合物を得て、該式(B1−1)で表される化合物を脱保護処理して下式(B1−2)で表される化合物を得て、該式(B1−2)で表される化合物を芳香族化及び酸化させる、下式(B2)で表される含フッ素芳香族化合物の製造方法。
[上記式中、
Rf3は、炭素数1〜12の含フッ素アルキル基である。
X1〜X4は各々独立して、窒素原子又はCHである。
Rはハロゲン原子、又は炭素数1〜12のアルキル基である。
mは0〜2の整数である。]
Rf3は、炭素数1〜12の含フッ素アルキル基である。
X1〜X4は各々独立して、窒素原子又はCHである。
Rはハロゲン原子、又は炭素数1〜12のアルキル基である。
mは0〜2の整数である。]
本発明における含フッ素芳香族化合物は有機半導体材料として有用な化合物である。該化合物は、コア骨格に窒素原子を有することでHOMOレベルが低くなり、耐酸化性が向上する。また、芳香族骨格を形成する炭素原子に含フッ素アルキル基を導入することにより化合物の有機溶媒への溶解性が高まり、ウェットプロセスを使った有機半導体薄膜の製造が可能になる。さらに、電子吸引性基である含フッ素アルキル基は、凝集力が強く、フルオロフィリック効果に基づき分子間相互作用を強め、有機半導体材料として高いキャリア移動度を発揮しうる。
すなわち、本発明における含フッ素芳香族化合物を含む有機半導体材料は、高性能な有機半導体薄膜を形成でき、有機半導体素子に適用することができる有用な化合物である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
本明細書においては、式(1)で表される化合物を「化合物(1)」とも記載する。他の式で表される化合物についても、同様に記載する。
本明細書においては、式(1)で表される化合物を「化合物(1)」とも記載する。他の式で表される化合物についても、同様に記載する。
<含フッ素芳香族化合物>
本発明にかかる含フッ素芳香族化合物は、下式(A)で表される含フッ素芳香族化合物又は式(B)で表される含フッ素芳香族化合物である。
本発明にかかる含フッ素芳香族化合物は、下式(A)で表される含フッ素芳香族化合物又は式(B)で表される含フッ素芳香族化合物である。
[上記式中、
Rf1〜Rf6は各々独立して、炭素数1〜12の含フッ素アルキル基である。
X1〜X4は各々独立して、窒素原子又はCHである。
Rはハロゲン原子、又は炭素数1〜12のアルキル基である。
nは0〜4の整数である。
mは0〜2の整数である。]
Rf1〜Rf6は各々独立して、炭素数1〜12の含フッ素アルキル基である。
X1〜X4は各々独立して、窒素原子又はCHである。
Rはハロゲン原子、又は炭素数1〜12のアルキル基である。
nは0〜4の整数である。
mは0〜2の整数である。]
本発明にかかる含フッ素芳香族化合物は有機半導体材料として有用に用いる化合物である。有機半導体材料としては、本発明の含フッ素芳香族化合物のみからなる材料であってもよく、含フッ素芳香族化合物とともに、他の成分を含む材料であってもよい。他の成分は、後述する。
式(A)又は式(B)で表されるような縮合多環系化合物は、縮合環の数が増えるにつれて、π−πスタッキングによる強い分子間相互作用により、キャリア移動度の増加が見込まれる。その一方、強い分子間相互作用は有機溶媒への溶解性の低下も招く。
本発明においては、化合物(A)又は化合物(B)の短軸方向すなわち芳香族環の縮合方向と垂直の方向に、含フッ素アルキル基Rf1〜Rf6を有することにより、有機溶媒への溶解性を飛躍的に高めた。また、Rf1〜Rf6の置換位置が、上記の位置であることにより、Rf1〜Rf6同士の立体障害が起こりにくく、また、化合物の対称性が高まるため、縮合環同士の分子間相互作用に効果的である。さらに、同一のベンゼン環に結合する含フッ素アルキル基同士はパラ位の関係にあり、このことは、含フッ素芳香族化合物を有機半導体材料として用いた場合に基板に対する配向性の向上と、薄膜の結晶性の観点から好ましい。
本発明においては、化合物(A)又は化合物(B)の短軸方向すなわち芳香族環の縮合方向と垂直の方向に、含フッ素アルキル基Rf1〜Rf6を有することにより、有機溶媒への溶解性を飛躍的に高めた。また、Rf1〜Rf6の置換位置が、上記の位置であることにより、Rf1〜Rf6同士の立体障害が起こりにくく、また、化合物の対称性が高まるため、縮合環同士の分子間相互作用に効果的である。さらに、同一のベンゼン環に結合する含フッ素アルキル基同士はパラ位の関係にあり、このことは、含フッ素芳香族化合物を有機半導体材料として用いた場合に基板に対する配向性の向上と、薄膜の結晶性の観点から好ましい。
含フッ素アルキル基とは、アルキル基の水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された基をいう。含フッ素アルキル基Rf1〜Rf6の炭素数は1〜12である。Rf1〜Rf6におけるアルキル鎖が長いほど、有機溶媒への溶解性は高くなる。また、縮合環の数が増えるにつれて、π−πスタッキングによる強い分子間相互作用により、キャリア移動度の増加が見込まれる。一般的に、π−πスタッキングによる強い分子間相互作用は有機溶媒への溶解性の低下を招くが、本発明において、直鎖状パーフルオロアルキル基の炭素数とπ−πスタッキングによるアセン材料の有機溶媒への溶解性を調査した結果、炭素数1〜12の含フッ素アルキル基を導入すると、π−πスタッキングによる強い分子間相互作用を損なうことなく、アセン系材料の有機溶媒への溶解性が飛躍的に向上することが明らかとなった。
Rf1〜Rf6の炭素数は、1〜6が好ましく、1〜3がより好ましい。
Rf1〜Rf6の炭素数は、1〜6が好ましく、1〜3がより好ましい。
また、Rf1〜Rf6は直鎖状でも分岐状でもよいが、フッ素原子の相互作用による分子間相互作用の向上の点で、直鎖状であることが好ましい。
含フッ素アルキル基のフッ素含有率(フッ素含有率とは、フッ素原子と水素原子の総数に対するフッ素原子の割合をいう。)は限定されないが、フッ素原子の相互作用による分子間相互作用の向上の点から、80%以上が好ましく、100%(すなわち、アルキル基の全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル基)が好ましい。
すなわち、Rf1〜Rf6としては、分子間相互作用と溶解性向上とのバランスの観点から、式−(CF2)lF(ただし、lは1〜12の整数であり、1〜6の整数が好ましく、1〜3の整数が特に好ましい)で表される直鎖状のパーフルオロアルキル基が好ましく、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基が特に好ましい。
なお、化合物(A)におけるRf1〜Rf2、また、化合物(B)におけるRf3〜Rf6は、互いに同一の基でも異なる基でもよいが、製造しやすさの観点、化合物の対称性が高い程、結晶の対称性が高くなる観点、また、結晶パッキング構造の対称性が高くなる観点から、同一の基であることが好ましい。
X1〜X4は各々独立して、窒素原子又はCHである。化合物の安定性すなわち化合物のHOMOレベルを低下し耐酸化性を向上させる観点から、窒素原子が多いことが好ましく、X1〜X4の少なくとも2以上が窒素原子であることがより好ましく、X1〜X4の全てが窒素原子であることが最も好ましい。
Rはハロゲン原子、又は炭素数1〜12のアルキル基である。nは0〜4の整数である。mは0〜2の整数である。
nが2以上の場合及びmが2の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。溶解性向上と分子配向性の点から、nは0〜2が好ましい。
またRの置換位置としては、結晶性と溶解性の観点から、化合物の対称性が高まる位置であることが好ましい。具体的には、化合物(A)の骨格を例にとると、下記式に示す3位、4位、10位、及び11位から選ばれる1つ以上の位置が好ましい。
nが2以上の場合及びmが2の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。溶解性向上と分子配向性の点から、nは0〜2が好ましい。
またRの置換位置としては、結晶性と溶解性の観点から、化合物の対称性が高まる位置であることが好ましい。具体的には、化合物(A)の骨格を例にとると、下記式に示す3位、4位、10位、及び11位から選ばれる1つ以上の位置が好ましい。
Rとしてのハロゲン原子としては、F、Cl、Br、及びIが挙げられ、反応性の点からBr、Iが好ましい。ハロゲン原子を有する含フッ素芳香族化合物は、化合物そのものが有用であるだけでなく、ハロゲン原子の反応性を利用して、該ハロゲン原子を任意の置換基に変換できる。すなわち、所望の置換基を導入する中間体として有用である。さらに、該中間体からは所望の機能を有する有機半導体材料が得られる。
Rとしての炭素数1〜12のアルキル基としては、有機溶媒に対する溶解性向上の観点から炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。アルキル基は、直鎖状でも分枝状でもよく、結晶性の向上及び分子配向性の点から直鎖状が好ましい。
本発明に係る含フッ素芳香族化合物は、含フッ素アルキル基Rf1〜Rf6が同一の基である化合物、すなわち、下式(A2)で表される化合物及び式(B2)で表される化合物であることがより好ましい。
式(A2)中、Rf1、R、nの定義、具体例及び好ましい態様は、上記式(A)と同様である。
式(B2)中、Rf3、X1〜X4、R及びmの定義、具体例及び好ましい態様は、上記式(B)と同様である。
化合物(A2)としては、下式で表される化合物が特に好ましい。
上述したように、本発明における含フッ素芳香族化合物は、縮合環のπ−πスタックによる強い分子間相互作用によって高いキャリア移動度を実現することができ、さらには、化合物中の含フッ素アルキル基の存在によって有機溶媒への溶解性を向上することができる。
したがって、本発明における含フッ素芳香族化合物は、高キャリア移動度を有する有機半導体材料として有用であり、簡便かつ基板を損傷させないウェットプロセスを用いて、高性能の有機半導体薄膜を大量に製膜することが可能となる。さらには、該有機半導体薄膜を使った、優れた有機半導体素子及び有機半導体デバイスを得ることが可能となる。
したがって、本発明における含フッ素芳香族化合物は、高キャリア移動度を有する有機半導体材料として有用であり、簡便かつ基板を損傷させないウェットプロセスを用いて、高性能の有機半導体薄膜を大量に製膜することが可能となる。さらには、該有機半導体薄膜を使った、優れた有機半導体素子及び有機半導体デバイスを得ることが可能となる。
<含フッ素芳香族化合物の製造方法>
本発明に係る含フッ素芳香族化合物は新規な化合物である。含フッ素芳香族化合物のうち、Rf1〜Rf6基が同一である、上記化合物(A2)及び化合物(B2)の製造方法について説明する。
本発明に係る含フッ素芳香族化合物は新規な化合物である。含フッ素芳香族化合物のうち、Rf1〜Rf6基が同一である、上記化合物(A2)及び化合物(B2)の製造方法について説明する。
<化合物(A2)の製造方法>
化合物(A2)は、下式(A1)で表される化合物を式Rf1−Si(CH3)3で表される化合物と反応させて下式(A1−1)で表される化合物を得て、該式(A1−1)で表される化合物を脱保護処理して下式(A1−2)で表される化合物を得て、該式(A1−2)で表される化合物を芳香族化及び酸化させることにより、得ることができる。
化合物(A2)は、下式(A1)で表される化合物を式Rf1−Si(CH3)3で表される化合物と反応させて下式(A1−1)で表される化合物を得て、該式(A1−1)で表される化合物を脱保護処理して下式(A1−2)で表される化合物を得て、該式(A1−2)で表される化合物を芳香族化及び酸化させることにより、得ることができる。
上記式中、Rf1、R、nの定義、具体例及び好ましい態様は、上記式(A)と同様である。
出発原料である化合物(A1)には公知のキノン系化合物を用いることができ、また、公知の方法に従い合成できる。具体的には下記式化合物等が挙げられる。
化合物(A1)に反応させるR1−Si(CH3)3(以下「−Si(CH3)3」を「TMS」とも記載する。)で表される化合物は化合物(A1)に対して2.0〜2.5モル/グラム等量が好ましい。さらに、炭酸塩を化合物(1)に対して0.3〜0.4モル/グラム等量加え、有機溶媒中で、室温で6〜18時間反応させて化合物(A1−1)を得る。
炭酸塩としては、炭酸アルカリ塩などが挙げられ、中でも炭酸カリウムが特に好ましい。有機溶媒としてはアミド系溶媒などが挙げられ、中でもN,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。
炭酸塩としては、炭酸アルカリ塩などが挙げられ、中でも炭酸カリウムが特に好ましい。有機溶媒としてはアミド系溶媒などが挙げられ、中でもN,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。
化合物(A1−1)のTMS基を脱保護してアルコール体(A1−2)に変換する反応方法としては限定されず、例えば、濃塩酸を用いた酸処理による脱保護反応が挙げられる。この場合、例えば化合物(A1−1)に対して、濃塩酸を1〜5モル/グラム等量加え、有機溶媒中で、還流下3〜24時間反応させる方法が好ましい。
有機溶媒としては、水溶性有機溶媒が好ましく、エタノール、テトラヒドロフランが特に好ましい。
TMS基の脱保護は、テトラブチルアンモニウムフルオリドのようなフッ化物源を用いても実施できる。化合物(A1−1)に対して、テトラブチルアンモニウムフルオリドを1〜5モル/グラム等量加え、有機溶媒中で、0℃で0.5〜5時間反応させる方法が好ましい。TMS基を脱保護するとアルコール体(A1−2)が得られる。
有機溶媒としては、水溶性有機溶媒が好ましく、エタノール、テトラヒドロフランが特に好ましい。
TMS基の脱保護は、テトラブチルアンモニウムフルオリドのようなフッ化物源を用いても実施できる。化合物(A1−1)に対して、テトラブチルアンモニウムフルオリドを1〜5モル/グラム等量加え、有機溶媒中で、0℃で0.5〜5時間反応させる方法が好ましい。TMS基を脱保護するとアルコール体(A1−2)が得られる。
化合物(A1−2)の芳香族化も公知の方法を適用でき限定されないが、本発明においては、一般的な芳香族化反応に用いられる重金属(例として塩化スズ)を用いる方法は適用しないのが好ましい。芳香族化は、真空中220℃以上の熱処理による水酸基の脱離を経由した芳香族化が好ましい。また、例えば、トリフェニルホスフィン/四臭化炭素を用い、水酸基の脱離工程を経由した芳香族化反応が好ましい。具体的には有機溶媒中で、四臭化炭素を化合物(A1−2)に対して3〜10モル/グラム等量加え、0℃で保持し、さらに、トリフェニルホスフィンを化合物(A1−2)に対して2〜10モル/グラム等量加え、有機溶媒中で、還流下3〜24時間反応させる方法が挙げられる。
有機溶媒としては、塩素系溶媒が好ましく、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素が挙げられ、ジクロロメタンが特に好ましい。
有機溶媒としては、塩素系溶媒が好ましく、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素が挙げられ、ジクロロメタンが特に好ましい。
上記芳香族化の後、酸化反応を行なう。化合物(A1−2)が芳香族化されると、窒素原子の一部がNHに変換された中間体化合物(化合物(A1−3)とも称する)が生成するため、NHを再びNに変換するために酸化反応を行なう。化合物(A1−3)としては、例えば下記化合物が推定される。
酸化反応は、例えばMnO2を用いる方法が挙げられる。
上記反応により化合物(A2)が生成する。
<化合物(B2)の製造方法>
化合物(B2)は、下式(B1)で表される化合物を式Rf3−Si(CH3)3で表される化合物と反応させて下式(B1−1)で表される化合物を得て、該式(B1−1)で表される化合物を脱保護処理して下式(B1−2)で表される化合物を得て、該式(B1−2)で表される化合物を芳香族化及び酸化させることにより、得ることができる。
化合物(B2)は、下式(B1)で表される化合物を式Rf3−Si(CH3)3で表される化合物と反応させて下式(B1−1)で表される化合物を得て、該式(B1−1)で表される化合物を脱保護処理して下式(B1−2)で表される化合物を得て、該式(B1−2)で表される化合物を芳香族化及び酸化させることにより、得ることができる。
Rf3、X1〜X4、R及びmの定義、具体例及び好ましい態様は、上記式(B)と同様である。
出発原料である化合物(B1)には公知のキノン系化合物を用いることができ、具体的には下記式化合物等が挙げられる。
化合物(B1)を式Rf3−Si(CH3)3で表される化合物と反応させて化合物(B1−1)を得る方法、化合物(B1−1)を脱保護処理して化合物(B1−2)を得る方法、化合物(B1−2)を芳香族化及び酸化させる方法は、上記化合物(A2)の製造方法において記載した方法とそれぞれ同様である。
化合物(B1−2)を芳香族化した場合も同様に、窒素原子の一部がNHに変換された中間体化合物(化合物(B1−3)とも称する)が生成する。化合物(B1−3)としては、例えば下記化合物(B1−3−1)や化合物(B1−3−2)が推定される。
本発明における含フッ素芳香族化合物の合成方法によれば、含フッ素アルキル基の導入に際し、重金属を用いたカップリング反応を用いないため、合成された化合物中に含まれる重金属の割合を少なくできる。すなわち、本発明の方法により得られた含フッ素芳香族化合物においては、化合物中に含まれる重金属量を、25重量ppm以下、好ましくは、20重量ppm以下に低減できる。
<有機半導体材料>
有機半導体材料は、先述した含フッ素芳香族化合物を含む材料であり、例えば、他の有機半導体材料に混合して用いたり、種々のドーパントを含んでいてもよい。ドーパントとしては、例えば有機EL素子の発光層として用いる場合には、クマリン、キナクリドン、ルブレン、スチルベン系誘導体、蛍光色素等を用いることができる。
有機半導体材料は、先述した含フッ素芳香族化合物を含む材料であり、例えば、他の有機半導体材料に混合して用いたり、種々のドーパントを含んでいてもよい。ドーパントとしては、例えば有機EL素子の発光層として用いる場合には、クマリン、キナクリドン、ルブレン、スチルベン系誘導体、蛍光色素等を用いることができる。
また、含フッ素アルキル基間の親和力により隣接分子が凝集し(フルオロフィリック効果)、より効率的な電荷移動に寄与する。したがって、本発明の含フッ素芳香族化合物を用いれば、高いキャリア移動度を保持した有機半導体薄膜、及びこれを利用したトランジスタ等の電子素子の作製が実現できる。
本発明の含フッ素芳香族化合物は、電子求引性置換基である含フッ素アルキル基が導入されたことから、導電性が変化しうる。たとえば、本発明の含フッ素芳香族化合物は、含フッ素アルキル基によって電子遷移エネルギーを変化させることでき、導電型を制御することが可能な有機半導体材料となりうる。
<有機半導体薄膜>
本発明に係る有機半導体材料は、ドライプロセス又はウェットプロセスを用い、通常の製造方法にしたがって、基板上に有機半導体に膜を形成できる。該膜としては、薄膜、厚膜、又は結晶性を有する膜が挙げられる。
本発明に係る有機半導体材料は、ドライプロセス又はウェットプロセスを用い、通常の製造方法にしたがって、基板上に有機半導体に膜を形成できる。該膜としては、薄膜、厚膜、又は結晶性を有する膜が挙げられる。
ドライプロセスで薄膜を形成する場合、真空蒸着法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、スパッタリング法、レーザー蒸着法、気相輸送成長法等の公知の方法を用いて製膜することができる。
これらの薄膜等は、光電変換素子、薄膜トランジスタ素子、発光素子など種々の機能素子の電荷輸送性部材として機能することから、該薄膜を有する多様な電子デバイスを作製できる。
これらの薄膜等は、光電変換素子、薄膜トランジスタ素子、発光素子など種々の機能素子の電荷輸送性部材として機能することから、該薄膜を有する多様な電子デバイスを作製できる。
ドライプロセスとして、真空蒸着法、MBE法、又は気相輸送成長法を用いて薄膜を形成する場合には、有機半導体材料を加熱して昇華した蒸気を、高真空、真空、低真空、又は常圧で基板表面に輸送する。薄膜の形成は、公知の方法や条件に従って実施でき、具体的には、基板温度20〜200℃、薄膜成長速度0.001〜1000nm/secが好ましい。該条件とすることで、結晶性があり、かつ、薄膜の表面平滑性がある膜を形成しうる。
基板温度は、低温であると薄膜がアモルファス状になりやすく、高温であると薄膜の表面平滑性が低下する傾向にある。また、薄膜成長速度が遅いと結晶性が低下しやすく、速すぎると薄膜の表面平滑性が低下する傾向がある。
基板温度は、低温であると薄膜がアモルファス状になりやすく、高温であると薄膜の表面平滑性が低下する傾向にある。また、薄膜成長速度が遅いと結晶性が低下しやすく、速すぎると薄膜の表面平滑性が低下する傾向がある。
ウェットプロセスを適用する場合、本発明の含フッ素芳香族化合物を含む有機半導体材料を有機溶媒に溶解して溶液化した組成物を、ウェットプロセスで基板上に被覆した後に乾燥することによって有機半導体薄膜を形成することができる。
本発明の含フッ素芳香族化合物は、従来の有機半導体材料に比して有機溶媒に対する溶解性が改善され、ウェットプロセスの適用ができる利点を有する化合物である。その理由は、含フッ素化合物中のパーフルオロアルキル基の存在により、本発明に係る有機半導体材料は親油性を示すことから、種々の有機溶媒に可溶となるためである。ウェットプロセスによる膜形成は、半導体結晶にダメージを与えることなく加工できる利点がある。
本発明の含フッ素芳香族化合物は、従来の有機半導体材料に比して有機溶媒に対する溶解性が改善され、ウェットプロセスの適用ができる利点を有する化合物である。その理由は、含フッ素化合物中のパーフルオロアルキル基の存在により、本発明に係る有機半導体材料は親油性を示すことから、種々の有機溶媒に可溶となるためである。ウェットプロセスによる膜形成は、半導体結晶にダメージを与えることなく加工できる利点がある。
ウェットプロセスにおける製膜方法(基板を被覆する方法)としては、塗布、噴霧、及び接触等が挙げられる。具体的には、スピンコート法、キャスト法、ディップコート法、インクジェット法、ドクターブレード法、スクリーン印刷法、ディスペンス法等の公知の方法が挙げられる。また、平板状結晶や厚膜状態の形態を取る場合には、キャスト法等が採用できる。製膜方法及び有機溶媒は、作製するデバイスに適した組み合わせを選択することが好ましい。
ウェットプロセスにおいては、含フッ素芳香族化合物の溶液と基板との界面に、温度勾配、電場、及び磁場から選ばれる少なくとも1つを印加して、結晶成長を制御することができる。該方法を採用すれば、より高結晶性の有機半導体薄膜を製造でき、かつ、高結晶性の薄膜の性能に基づく優れた半導体特性を得ることができる。また、ウェットプロセス製膜時に、環境雰囲気を溶媒雰囲気にすることにより、溶媒乾燥における蒸気圧を制御して、高結晶性の有機半導体薄膜を製造することもできる。
ウェットプロセスにおいて、本発明の含フッ素芳香族化合物を溶解することができる有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類;又はこれらの混合物等の、非ハロゲン系の溶媒の例が挙げられる。なお混合溶媒とする場合は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類やシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類を併用することができる。
有機溶媒としては、含ハロゲン溶媒も例示できる。例えば、塩素化炭化水素類、フッ素化炭化水素類、塩素化フッ素化炭化水素類、含フッ素エーテル化合物が例示できる。具体的には、塩化メチレン、クロロホルム、2,3,3−トリクロロヘプタフルオロブタン、1,1,1,3−テトラクロロテトラフルオロプロパン、1,1,1−トリクロロペンタフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、ジクロロペンタフルオロプロパン、n−C6F13−C2H5、n−C4F9OCH3、n−C4F9OC2H5等が挙げられる。
溶媒は1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合には、非ハロゲン系溶媒と、含ハロゲン溶媒とを併用するのが好ましく、これらを任意の割合で混合した溶媒が好ましい。
溶媒は1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合には、非ハロゲン系溶媒と、含ハロゲン溶媒とを併用するのが好ましく、これらを任意の割合で混合した溶媒が好ましい。
本発明における含フッ素芳香族化合物を有機溶媒に溶解させて、ウェットプロセスを行う場合には、有機溶媒中の有機半導体材料量は0.01質量%以上が好ましく、0.2質量%程度以上が、作業効率の観点等から好ましい。さらに、有機溶媒中の有機半導体材料量は、0.01〜10重量%が好ましく、0.2〜10重量%が特に好ましい。
また、本発明の含フッ素芳香族化合物は有機溶媒に対する溶解性に優れるため、上記の製造方法で得た含フッ素芳香族化合物をカラムクロマトグラフィーや再結晶などの簡易な精製方法によって、高純度化してもよい。
また、本発明の含フッ素芳香族化合物は有機溶媒に対する溶解性に優れるため、上記の製造方法で得た含フッ素芳香族化合物をカラムクロマトグラフィーや再結晶などの簡易な精製方法によって、高純度化してもよい。
ウェットプロセスによる基板上の被覆は、大気下又は不活性ガス雰囲気下で行うことができる。特に半導体材料の溶液が酸化しやすい場合には、不活性ガス雰囲気下にすることが好ましく、窒素やアルゴン等を用いることができる。
基板上を被覆した後、溶媒を揮発させることで有機半導体薄膜が形成される。当該薄膜中の溶媒残存量が多いと薄膜の安定性や半導体特性が低下するおそれがあるため、薄膜形成の後に、再度加熱処理や減圧処理を施し、残存している溶媒を除去することが好ましい。
基板上を被覆した後、溶媒を揮発させることで有機半導体薄膜が形成される。当該薄膜中の溶媒残存量が多いと薄膜の安定性や半導体特性が低下するおそれがあるため、薄膜形成の後に、再度加熱処理や減圧処理を施し、残存している溶媒を除去することが好ましい。
ウェットプロセスに使用しうる基板の形状は特に限定されず、通常はシート状の基板や板状の基板が好ましい。基板に用いられる材料も特に限定されずセラミックス、金属基板、半導体、樹脂、紙、不織布等が挙げられる。
基板がセラミックス基板である場合の例としては、ガラス、石英、酸化アルミニウム、サファイア、チッ化ケイ素、炭化ケイ素等の基板が挙げられる。金属基板としては金、銅、銀等の基板が挙げられる。半導体基板としては、シリコン(結晶性シリコン、アモルファスシリコン)、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、ガリウムリン、チッ化ガリウム等の基板が挙げられる。樹脂基板としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニル、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、環状ポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、ノルボルネン等の基板が挙げられる。
本発明の含フッ素芳香族化合物を用いた有機半導体薄膜は、結晶性の薄膜とすることができる。結晶性の薄膜は高い結晶性によって高いキャリア移動度が望め、それによる優れた有機半導体デバイス特性を発現する点から好ましい。
薄膜の結晶状態は、当該薄膜の斜入射X線回折測定、透過型電子線回折、薄膜のエッジ部にX線を入射させ回折を測定する方法により知ることができる。特に薄膜分野の結晶解析手法である斜入射X線回折が用いられる。X線回折において、測定する格子面の方向によって、Out−of−planeXRD法とIn−planeXRD法がある。Out−of−planeXRD法は基板に対して平行な格子面を観察する手法である。In−planeXRD法は基板に対して垂直な格子面を観察する手法である。薄膜が結晶性であるとは、薄膜を形成する有機半導体材料に由来する回折ピークが観察されることを意味する。具体的には有機半導体材料の結晶格子に基づく回折、分子長さ由来の回折、あるいは分子が基板に対して平行、あるいは垂直に並ぶ配向性を有する際に現れる特徴的な回折ピークが観察されることを意味する。非結晶状態の膜の場合はこの回折は観察されず、回折ピークが現れた薄膜は結晶性の薄膜であることを意味する。
薄膜の結晶状態は、当該薄膜の斜入射X線回折測定、透過型電子線回折、薄膜のエッジ部にX線を入射させ回折を測定する方法により知ることができる。特に薄膜分野の結晶解析手法である斜入射X線回折が用いられる。X線回折において、測定する格子面の方向によって、Out−of−planeXRD法とIn−planeXRD法がある。Out−of−planeXRD法は基板に対して平行な格子面を観察する手法である。In−planeXRD法は基板に対して垂直な格子面を観察する手法である。薄膜が結晶性であるとは、薄膜を形成する有機半導体材料に由来する回折ピークが観察されることを意味する。具体的には有機半導体材料の結晶格子に基づく回折、分子長さ由来の回折、あるいは分子が基板に対して平行、あるいは垂直に並ぶ配向性を有する際に現れる特徴的な回折ピークが観察されることを意味する。非結晶状態の膜の場合はこの回折は観察されず、回折ピークが現れた薄膜は結晶性の薄膜であることを意味する。
有機半導体素子に使用する有機半導体薄膜層の厚さは、通常10〜1,000nmであるのが好ましい。
<有機半導体素子、有機半導体トランジスタ>
本発明における含フッ素芳香族化合物は高いキャリア移動度を有する。よって、該化合物を含む有機半導体材料は該化合物の高いキャリア移動度を損なうことなく、有機半導体薄膜を形成することができる。
有機半導体薄膜の層を積層することにより形成した半導体層を含む有機半導体素子は、様々な半導体デバイスに非常に有用である。
本発明における含フッ素芳香族化合物は高いキャリア移動度を有する。よって、該化合物を含む有機半導体材料は該化合物の高いキャリア移動度を損なうことなく、有機半導体薄膜を形成することができる。
有機半導体薄膜の層を積層することにより形成した半導体層を含む有機半導体素子は、様々な半導体デバイスに非常に有用である。
半導体デバイスの例としては、有機半導体トランジスタ、有機半導体レーザー、有機光電変換デバイス、有機分子メモリ等が挙げられる。このうち半導体デバイスとしては有機半導体トランジスタが好ましく、さらに電界効果トランジスタ(FET)がより好ましい。
有機半導体トランジスタは、通常、基板、ゲート電極、絶縁体層(誘電体層)、ソース電極、ドレイン電極、及び半導体層で構成される。その他にバックゲートやバルクなどが含まれていてもよい。
有機半導体トランジスタ中の構成要素が配置される順序等については、特に限定されない。また、上記構成要素のうち、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、及び半導体層は複数層設けてもよい。複数層の半導体層が存在する場合には、同一平面内に設けても、積層して設けてもよい。
有機半導体トランジスタ中の構成要素が配置される順序等については、特に限定されない。また、上記構成要素のうち、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、及び半導体層は複数層設けてもよい。複数層の半導体層が存在する場合には、同一平面内に設けても、積層して設けてもよい。
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
実施例において、合成した化合物は、以下の分析方法及び分析条件により構造を同定した。
実施例において、合成した化合物は、以下の分析方法及び分析条件により構造を同定した。
核磁気共鳴分析は、日本電子社製フーリエ変換高分解能核磁気共鳴装置(JNM−AL400)により同定を行った。
1H NMR(300MHz) 溶媒:クロロホルム−d(CDCl3),メタノール−d4(CD3OD)又はアセトン−d6(Acetone−d6)。内部標準:テトラメチルシラン(TMS).
13C NMR(75MHz) 溶媒:クロロホルム−d(CDCl3),メタノール−d4(CD3OD)又はアセトン−d6(Acetone−d6)。内部標準:クロロホルム−d(CDCl3).
19F NMR(283MHz) 溶媒:クロロホルム−d(CDCl3),メタノール−d4(CD3OD)又はアセトン−d6(Acetone−d6)。内部標準:ヘキサフルオロベンゼン(C6F6)を−163ppmとした(CFCl3を0ppmとする).
1H NMR(300MHz) 溶媒:クロロホルム−d(CDCl3),メタノール−d4(CD3OD)又はアセトン−d6(Acetone−d6)。内部標準:テトラメチルシラン(TMS).
13C NMR(75MHz) 溶媒:クロロホルム−d(CDCl3),メタノール−d4(CD3OD)又はアセトン−d6(Acetone−d6)。内部標準:クロロホルム−d(CDCl3).
19F NMR(283MHz) 溶媒:クロロホルム−d(CDCl3),メタノール−d4(CD3OD)又はアセトン−d6(Acetone−d6)。内部標準:ヘキサフルオロベンゼン(C6F6)を−163ppmとした(CFCl3を0ppmとする).
赤外吸収分光は、日本分光社製フーリエ変換赤外分光高度計(FT−IR)、FT/IR−4100を使用した。
元素分析は、パーキンエルマー社製全自動元素分析装置2400シリーズIIを使用した。
融点測定は、ヤマト科学社製融点測定器MP−21を使用した。
元素分析は、パーキンエルマー社製全自動元素分析装置2400シリーズIIを使用した。
融点測定は、ヤマト科学社製融点測定器MP−21を使用した。
(実施例1)
5,7,12,14−tetraaza−6,13−bis(trifluoromethyl)pentacene(化合物(e))の製造方法
下記スキームに従い化合物(e)を製造した。
5,7,12,14−tetraaza−6,13−bis(trifluoromethyl)pentacene(化合物(e))の製造方法
下記スキームに従い化合物(e)を製造した。
化合物(a)(5,7,12,14−tetraaza−5,14−dihydropentacene)の製造方法
Ar置換した200mL二口ナスフラスコに、2,5−dihydroxy−1,4−benzoquinone(2.80g,20mmol)、o−Phenylenediamine(8.64g,80mmol)、酢酸(50mL)を入れ、還流温度で8時間攪拌した。反応溶液を室温まで冷却してからろ過を行い、得られた固体をアセトンで洗浄、乾燥させ、化合物(a)を得た。
(参考文献:Tanq,Q.;Lianq,Z.;Liu,J.;Xu,J.;Miao,Q.,Chem.Comm.,2010,46,2977−2979.)
1H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ9.70(2H,s),7.65(2H,dd,J=3.5,6.5Hz),7.41(dd,J=3.3,6.3Hz),6.59(2H,dd,J=3.3,5.7Hz),6.48(dd,J=3.0,6.0Hz),6.32(s,2H).
13C NMRは、化合物が難溶なため測定できなかった。
(参考文献:Tanq,Q.;Lianq,Z.;Liu,J.;Xu,J.;Miao,Q.,Chem.Comm.,2010,46,2977−2979.)
1H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ9.70(2H,s),7.65(2H,dd,J=3.5,6.5Hz),7.41(dd,J=3.3,6.3Hz),6.59(2H,dd,J=3.3,5.7Hz),6.48(dd,J=3.0,6.0Hz),6.32(s,2H).
13C NMRは、化合物が難溶なため測定できなかった。
化合物(b)(5,7,11,14−tetraaza−6,13−pentacenequinone)の製造
500mLナスフラスコに、化合物(a)(4.46g,15.7mmol)、H2O(200mL)、H2SO4(50mL)、K2Cr2O7(17.65g,60mmol)を順次入れ、120℃で1時間攪拌した。室温まで冷却した反応溶液を濾過し、得られた固体を水とアセトンで洗浄した後に乾燥させることで、化合物(b)(3.96g,12.68mmol,81%yield)を得た。
(参考文献:Tanq,Q.;Liu,J.;Chan,H.−S.;Miao.Q.,Chem.Eur.J.,2009,15,3965−3969.)
1H NMR (300MHz,DMSO−d6)δ8.47(4H,dd,J=3.5,6.0Hz),8.18(4H,dd,J=3.6,6.3Hz).
13C NMRは、化合物が難溶なため測定できなかった。
(参考文献:Tanq,Q.;Liu,J.;Chan,H.−S.;Miao.Q.,Chem.Eur.J.,2009,15,3965−3969.)
1H NMR (300MHz,DMSO−d6)δ8.47(4H,dd,J=3.5,6.0Hz),8.18(4H,dd,J=3.6,6.3Hz).
13C NMRは、化合物が難溶なため測定できなかった。
化合物(c)(5,7,11,14−tetraaza−6,13−bis(trifluoromethyl)−pentacene−6,13−diol)の製造
CsF(0.109g,0.72mmol)を入れた50mL二口ナスフラスコに化合物(b)(0.562g,1.80mmol)、THF(15mL)を入れ、反応溶液を0℃に冷却した。CF3TMS(0.80mL,5.4mmol)をゆっくりと滴下し、室温で15時間攪拌した。塩化アンモニウム飽和水溶液を用いて反応を停止させたのち、酢酸エチル(20mL)を用いて3回抽出し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮した。得られた固体にTHF(10mL)を入れ、0℃に冷却した。TBAF(3.7mL,3.7mmol)をゆっくりと滴下し、0℃で3時間攪拌した。塩化アンモニウム飽和水溶液を用いて反応を停止させたのち、酢酸エチル(20mL)を用いて3回抽出し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮した。ヘキサン:酢酸エチル=2:1の展開溶媒にてカラムクロマトグラフィーを行った。得られた固体に対してヘキサン:酢酸エチル=1:2溶媒を用いて再結晶を行うことで化合物(c)(0.4063g,0.90mmol,50%yield)を得た。
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ8.41(4H,dd,J=3.5,6.5Hz),8.02(4H,dd,J=3.5,6.5Hz).
19F NMR(283MHz,CDCl3)δ−77.31(s).
13C NMRは、化合物が難溶なため測定できなかった。
IR(KBr)3459,3056,2560,1994,1613,1551,1490,1415,1352,1240,1198,1157,1128,1051,962,919,769,736,619.
m.p.>300℃ decompose
HRMS(ESI+,m/z):[M+H]+calcd for C20H10F6N4O2,453.0786;Found,453.0784.
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ8.41(4H,dd,J=3.5,6.5Hz),8.02(4H,dd,J=3.5,6.5Hz).
19F NMR(283MHz,CDCl3)δ−77.31(s).
13C NMRは、化合物が難溶なため測定できなかった。
IR(KBr)3459,3056,2560,1994,1613,1551,1490,1415,1352,1240,1198,1157,1128,1051,962,919,769,736,619.
m.p.>300℃ decompose
HRMS(ESI+,m/z):[M+H]+calcd for C20H10F6N4O2,453.0786;Found,453.0784.
化合物(d)(5,7,12,14−tetraaza−6,13−bis(trifluoromethyl)−5,14−dihydropentacene)の製造
Ar置換した(50mL)ナスフラスコに、PPh3(0.680g,2.6mmol)、Br−P+Ph3(0.889g,2.6mmol)、CHCl3(5mL)を入れ、反応溶液を0℃に冷却した。この溶液に、10mLのCHCl3に溶解させた化合物(c)(0.260g,0.576mmol)をゆっくりと滴下し、還流温度で8時間攪拌した。塩化アンモニウム飽和水溶液を加えて反応を停止させ、ジクロロメタンにて抽出、Na2SO4を用いて乾燥させ、濃縮した。得られた固体に対してクロロホルム溶媒を用いて再結晶を行うことで、化合物(d)(0.1595g,0.379mmol,66%yield)を単離した。
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ7.91(2H,dd,J=3.5,6.5Hz),7.65(2H,s),7.58(2H,dd,J=3.3,6.6Hz),6.85(2H,dd,J=3.3,5.7Hz),6.60(2H,dd,J=3.3,5.7Hz).
19F NMR(283MHz,CDCl3)δ−53.81(d,J=9.1Hz).
13C NMRは、化合物が難溶なため測定できなかった。
IR(KBr)3461,3067,2909,2812,1549,1442,1378,1333,1274,1217,1178,1139,1015,914,678,607,566,504,488.
m.p. 165−190℃ decompose
HRMS(ESI+,m/z):[M+H]+calcdfor C20H11F6N4,421.0888;Found,421.0866.
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ7.91(2H,dd,J=3.5,6.5Hz),7.65(2H,s),7.58(2H,dd,J=3.3,6.6Hz),6.85(2H,dd,J=3.3,5.7Hz),6.60(2H,dd,J=3.3,5.7Hz).
19F NMR(283MHz,CDCl3)δ−53.81(d,J=9.1Hz).
13C NMRは、化合物が難溶なため測定できなかった。
IR(KBr)3461,3067,2909,2812,1549,1442,1378,1333,1274,1217,1178,1139,1015,914,678,607,566,504,488.
m.p. 165−190℃ decompose
HRMS(ESI+,m/z):[M+H]+calcdfor C20H11F6N4,421.0888;Found,421.0866.
化合物(e)(5,7,12,14−tetraaza−6,13−bis(trifluoromethyl)pentacene)の製造
Ar置換した50mL二口ナスフラスコに、化合物(d)(0.191g,0.453mmol)、CHCl3(10mL)を入れ、凍結脱気を行った。MnO2(0.584g,6.795mmol)をすばやく入れ、還流温度で5時間攪拌した。セライト濾過を行うことでMnO2を除去し、溶液を濃縮した。得られた固体に対してMeOH:CHCl3=1:1溶媒を用いて再結晶を行うことで、化合物(e)(0.1644g,0.393mmol,87%yield)を単離した。
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ8.25(4H,dd,J=3.6,6.9Hz),7.92(4H,dd,J=3.3,7.2Hz).
19F NMR(283MHz,CDCl3)δ−50.02(s).
13C NMRは、化合物が難溶なため測定できなかった。
IR(KBr)3476,3235,3127,3084,3040,2958,2917,2848,2384,2269,1960,1831,1725,1621,1581,1526,1460,1434,1385,1345,1229,1200,1127,1040,919,704,612.
m.p.>200℃ decompose
HRMS(ESI+,m/z):[M+H]+calcd for C20H9F6N4,419.0731;Found,421.0711.
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ8.25(4H,dd,J=3.6,6.9Hz),7.92(4H,dd,J=3.3,7.2Hz).
19F NMR(283MHz,CDCl3)δ−50.02(s).
13C NMRは、化合物が難溶なため測定できなかった。
IR(KBr)3476,3235,3127,3084,3040,2958,2917,2848,2384,2269,1960,1831,1725,1621,1581,1526,1460,1434,1385,1345,1229,1200,1127,1040,919,704,612.
m.p.>200℃ decompose
HRMS(ESI+,m/z):[M+H]+calcd for C20H9F6N4,419.0731;Found,421.0711.
(参考例1)
5,7,11,14−tetraaza−6,13−bis(pentafluoroethyl)−pentacene−6,13−diol(化合物(f))の製造方法
5,7,11,14−tetraaza−6,13−bis(pentafluoroethyl)−pentacene−6,13−diol(化合物(f))の製造方法
CsF(0.060g,0.4mmol)を入れた50mL二口ナスフラスコに化合物(b)(0.312g,1.0mmol)、THF(6mL)を入れ、反応溶液を0℃に冷却した。C2F5TMS(0.437g,2.2mmol)をゆっくりと滴下し、60℃で16時間攪拌した。塩化アンモニウム飽和水溶液を用いて反応を停止させたのち、酢酸エチル(20mL)を用いて3回抽出し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮した。得られた固体にTHF(10mL)を入れ、0℃に冷却した。TBAF(1.2mL,1.2mmol)をゆっくりと滴下し、0℃で3時間攪拌した。塩化アンモニウム飽和水溶液を用いて反応を停止させたのち、酢酸エチル(20mL)を用いて3回抽出し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮した。ヘキサン:酢酸エチル=2:1の展開溶媒にてカラムクロマトグラフィーを行うことで化合物(f)(0.0357g,0.068mmol,7%yield)を得た。
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ8.39(4H,dd,J=3.5,6.5Hz),8.02(4H,dd,J=3.6,6.3Hz),5.41(2H,s).
19F NMR(283MHz,CDCl3)δ−79.84(3F,s),−121.41(2F,s).
13C NMRは、化合物が難溶なため測定できなかった。
IR(KBr)3466,3073,3056,2924,2852,1994,1966,1849,1737,1653,1612,1551,1485,1466,1405,1343,1281,1227,1205,1171,1159,1009,992,880,769,620.
m.p. 252.2°C
HRMS(ESI+,m/z):[M+H]+calcd for C22H10F10N4O2,553.0722;Found,553.0714.
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ8.39(4H,dd,J=3.5,6.5Hz),8.02(4H,dd,J=3.6,6.3Hz),5.41(2H,s).
19F NMR(283MHz,CDCl3)δ−79.84(3F,s),−121.41(2F,s).
13C NMRは、化合物が難溶なため測定できなかった。
IR(KBr)3466,3073,3056,2924,2852,1994,1966,1849,1737,1653,1612,1551,1485,1466,1405,1343,1281,1227,1205,1171,1159,1009,992,880,769,620.
m.p. 252.2°C
HRMS(ESI+,m/z):[M+H]+calcd for C22H10F10N4O2,553.0722;Found,553.0714.
<溶解性試験>
化合物のウェットプロセスへの適用性を検討するため、各種溶媒への溶解性試験を行った。実施例1の方法により得られた化合物(e)、比較例1として化合物(a)を使用し、比較例2として、縮合多環系化合物で環の数が同じ5環であるペンタセンを使用して、溶解性試験を行った。
具体的には、試料20mgを量りとり、室温で溶媒10gへの溶解性(0.2質量%)を目視により判断した。
溶媒の種類と結果を下記の表1に示す。表1において、○は可溶、×は不溶であったことを表す。なお、溶媒に「可溶」とは、溶媒温度が25℃において0.2質量%以上溶解したことを表す。
化合物のウェットプロセスへの適用性を検討するため、各種溶媒への溶解性試験を行った。実施例1の方法により得られた化合物(e)、比較例1として化合物(a)を使用し、比較例2として、縮合多環系化合物で環の数が同じ5環であるペンタセンを使用して、溶解性試験を行った。
具体的には、試料20mgを量りとり、室温で溶媒10gへの溶解性(0.2質量%)を目視により判断した。
溶媒の種類と結果を下記の表1に示す。表1において、○は可溶、×は不溶であったことを表す。なお、溶媒に「可溶」とは、溶媒温度が25℃において0.2質量%以上溶解したことを表す。
溶解性試験の結果、化合物(e)は化合物(a)やペンタセンと比較して、有機溶媒への高い溶解性を有することが明らかになった。これは、化合物(e)にトリフルオロメチル基を導入した効果であると考えられる。
この結果から、本発明に係る含フッ素芳香族化合物はウェットプロセスの適用が可能であると言える。
この結果から、本発明に係る含フッ素芳香族化合物はウェットプロセスの適用が可能であると言える。
<有機半導体材料特性>
化合物(e)の有機半導体材料としての特性評価のため蒸着電界効果型トランジスタ(蒸着FET)素子を作製し、電界効果移動度(キャリア移動度)を求めた。以下に蒸着FET素子の作製方法と半導体特性の評価手法を以下に示す。
化合物(e)の有機半導体材料としての特性評価のため蒸着電界効果型トランジスタ(蒸着FET)素子を作製し、電界効果移動度(キャリア移動度)を求めた。以下に蒸着FET素子の作製方法と半導体特性の評価手法を以下に示す。
洗浄済みのシリコン酸化膜付きシリコン基板をn−オクチルトリクロロシランのトルエン溶液に浸漬させ、シリコン酸化膜表面を処理した。上記基板に対して、実施例1で得た化合物(e)を真空蒸着(背圧〜10−4Pa、蒸着レート0.1Å/s、基板温度25℃、膜厚:60nm)することにより、有機半導体層を形成した。
この有機半導体層上部にシャドウマスクを用いて金を真空蒸着し(背圧〜10−4Pa、蒸着レート1〜2Å/s、膜厚:50nm)、ソース、ドレイン電極を形成した(チャネル長50μm、チャネル幅1mm)。電極とは異なる部位の有機半導体層及びシリコン酸化膜を削り取り、その部分に導電性ペースト(藤倉化成社製、ドータイトD−550)を付け溶媒を乾燥させた。このようにして、トップコンタクト・ボトムゲート構造の電界効果型トランジスタ(FET)素子を作製した。
得られた蒸着FET素子の電気特性はAgilent社製の半導体デバイスアナライザーB1500Aを用いて真空中(<5×10−3Pa)で評価した。作製した蒸着FET素子のシリコン基板をゲート電極として用い、シリコン基板に電圧を印加し、ソース・ドレイン電極間の電流/電圧曲線をゲート電圧をスキャンさせて測定した。
その結果、蒸着FET素子のゲート電圧によるドレイン電流のon/off動作が観測され、このドレイン電流/ゲート電圧の傾きから電界効果移動度(キャリア移動度)を求めた。化合物(e)を用いて形成した有機半導体素子は、n型トランジスタ素子としての特性を示した。この有機薄膜トランジスタの電流−電圧特性における飽和領域から、キャリア移動度を求めたところ、真空中で4.8×10−6cm2/V・sを示した。
その結果、蒸着FET素子のゲート電圧によるドレイン電流のon/off動作が観測され、このドレイン電流/ゲート電圧の傾きから電界効果移動度(キャリア移動度)を求めた。化合物(e)を用いて形成した有機半導体素子は、n型トランジスタ素子としての特性を示した。この有機薄膜トランジスタの電流−電圧特性における飽和領域から、キャリア移動度を求めたところ、真空中で4.8×10−6cm2/V・sを示した。
本発明は、ドライプロセス・ウェットプロセスのいずれにも使用可能で、高移動度が期待される含フッ素芳香族化合物を含む有機半導体材料及び新規な含フッ素芳香族化合物を提供する。
本発明によれば、縮合芳香環化合物をコアとして、含フッ素アルキル基を導入することで、有機溶媒への可溶化を図り、有機半導体材料として高いキャリア移動度がある含フッ素芳香族化合物が得られる。
さらにコア(主骨格)部分の一部を窒素原子にすることで、化合物のHOMOレベルを低下し、耐酸化性を向上させることが可能となる。
本発明の化合物を含む有機半導体材料は、有機半導体(薄膜)トランジスタ、次世代フラットパネルディスプレイ用の有機EL素子、及び軽量かつフレキシブル電源としての有機薄膜太陽電池等へ利用されうる。
本発明によれば、縮合芳香環化合物をコアとして、含フッ素アルキル基を導入することで、有機溶媒への可溶化を図り、有機半導体材料として高いキャリア移動度がある含フッ素芳香族化合物が得られる。
さらにコア(主骨格)部分の一部を窒素原子にすることで、化合物のHOMOレベルを低下し、耐酸化性を向上させることが可能となる。
本発明の化合物を含む有機半導体材料は、有機半導体(薄膜)トランジスタ、次世代フラットパネルディスプレイ用の有機EL素子、及び軽量かつフレキシブル電源としての有機薄膜太陽電池等へ利用されうる。
Claims (11)
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の含フッ素芳香族化合物を含む有機半導体材料。
- 請求項5に記載の有機半導体材料を含む有機半導体薄膜。
- 前記有機半導体薄膜が結晶性の薄膜である請求項6に記載の有機半導体薄膜。
- 半導体層として、請求項7に記載の有機半導体薄膜の層を含む有機半導体素子。
- 請求項8に記載の有機半導体素子を含む有機半導体トランジスタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014030064A JP2015155381A (ja) | 2014-02-19 | 2014-02-19 | 含フッ素芳香族化合物及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014030064A JP2015155381A (ja) | 2014-02-19 | 2014-02-19 | 含フッ素芳香族化合物及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015155381A true JP2015155381A (ja) | 2015-08-27 |
Family
ID=54774956
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014030064A Withdrawn JP2015155381A (ja) | 2014-02-19 | 2014-02-19 | 含フッ素芳香族化合物及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2015155381A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108864104A (zh) * | 2018-06-05 | 2018-11-23 | 复旦大学 | 一种5,7,12,14-四氮-6,13-并五苯醌电极材料及其制备方法和应用 |
Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005123737A2 (en) * | 2004-06-14 | 2005-12-29 | Arizona Board Of Regents On Behalf Of The University Of Arizona | Charge-transport materials, methods of fabrication thereof, and methods of use thereof |
WO2006059486A1 (ja) * | 2004-12-02 | 2006-06-08 | Konica Minolta Holdings, Inc. | 有機薄膜トランジスタ材料、有機薄膜トランジスタ、電界効果トランジスタ、スイッチング素子、有機半導体材料及び有機半導体膜 |
JP2007013097A (ja) * | 2005-06-01 | 2007-01-18 | Sony Corp | 有機半導体材料、有機半導体薄膜及び有機半導体素子 |
WO2011022678A1 (en) * | 2009-08-21 | 2011-02-24 | The University Of South Dakota | Fluorinated aromatic materials and their use in optoelectronics |
JP2012512140A (ja) * | 2008-12-15 | 2012-05-31 | ノヴァレッド・アクチエンゲゼルシャフト | 複素環式化合物、ならびに電子素子および光電子素子におけるそれらの使用 |
WO2013122173A1 (ja) * | 2012-02-17 | 2013-08-22 | 旭硝子株式会社 | 含フッ素芳香族化合物及びその製造方法 |
WO2013122174A1 (ja) * | 2012-02-17 | 2013-08-22 | 旭硝子株式会社 | 含フッ素芳香族化合物及びその製造方法 |
-
2014
- 2014-02-19 JP JP2014030064A patent/JP2015155381A/ja not_active Withdrawn
Patent Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005123737A2 (en) * | 2004-06-14 | 2005-12-29 | Arizona Board Of Regents On Behalf Of The University Of Arizona | Charge-transport materials, methods of fabrication thereof, and methods of use thereof |
WO2006059486A1 (ja) * | 2004-12-02 | 2006-06-08 | Konica Minolta Holdings, Inc. | 有機薄膜トランジスタ材料、有機薄膜トランジスタ、電界効果トランジスタ、スイッチング素子、有機半導体材料及び有機半導体膜 |
JP2007013097A (ja) * | 2005-06-01 | 2007-01-18 | Sony Corp | 有機半導体材料、有機半導体薄膜及び有機半導体素子 |
JP2012512140A (ja) * | 2008-12-15 | 2012-05-31 | ノヴァレッド・アクチエンゲゼルシャフト | 複素環式化合物、ならびに電子素子および光電子素子におけるそれらの使用 |
WO2011022678A1 (en) * | 2009-08-21 | 2011-02-24 | The University Of South Dakota | Fluorinated aromatic materials and their use in optoelectronics |
WO2013122173A1 (ja) * | 2012-02-17 | 2013-08-22 | 旭硝子株式会社 | 含フッ素芳香族化合物及びその製造方法 |
WO2013122174A1 (ja) * | 2012-02-17 | 2013-08-22 | 旭硝子株式会社 | 含フッ素芳香族化合物及びその製造方法 |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108864104A (zh) * | 2018-06-05 | 2018-11-23 | 复旦大学 | 一种5,7,12,14-四氮-6,13-并五苯醌电极材料及其制备方法和应用 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
TWI462359B (zh) | 場效電晶體及其製造方法 | |
KR102079292B1 (ko) | 전자 장치 | |
US9087996B2 (en) | Fluorine-containing aromatic compound and production method thereof | |
JP6302995B2 (ja) | 有機トランジスタ | |
US9067857B2 (en) | Fluorine-containing aromatic compound and manufacturing method therefor | |
JP5408474B2 (ja) | 電荷輸送性非晶質薄膜の分子配向方向の制御方法及び電荷輸送性非晶質薄膜の製造方法 | |
JP2015199716A (ja) | 多環縮環化合物、有機半導体材料、有機半導体デバイス及び有機トランジスタ | |
JP2014122189A (ja) | 含フッ素化合物及びその製造方法 | |
JP2015155381A (ja) | 含フッ素芳香族化合物及びその製造方法 | |
JP5228411B2 (ja) | [1]ベンゾカルコゲノ[3,2−b][1]ベンゾカルコゲノフェン骨格を有する化合物およびこれを用いた有機トランジスタ | |
US8901543B2 (en) | Organic semiconductor device and its production method, and compound | |
JP2011222974A (ja) | 有機半導体材料及び有機半導体素子 | |
JP2014150237A (ja) | 有機半導体材料、ならびに含フッ素芳香族化合物及びその製造方法 | |
JP2015155382A (ja) | 含フッ素芳香族化合物及びその製造方法 | |
WO2014115823A1 (ja) | 含フッ素芳香族化合物及びその製造方法、ならびに有機半導体材料 | |
JP6678515B2 (ja) | 化合物、組成物、および有機半導体デバイス | |
JP2014136700A (ja) | 含フッ素化合物および該含フッ素化合物を用いた有機薄膜トランジスタ | |
JP2009206108A (ja) | 有機半導体材料および有機薄膜デバイス | |
WO2021054161A1 (ja) | 縮合多環芳香族化合物 | |
JP5637985B2 (ja) | ジアザボロール化合物、およびそれを含有した電界効果トランジスタ | |
JP2006269770A (ja) | 有機配向膜及びそれを用いた有機半導体デバイス | |
JPWO2014098047A1 (ja) | 含フッ素化合物及びその製造方法 | |
JP7133750B2 (ja) | 含ヨウ素縮合環化合物、及び含ヨウ素縮合環化合物を用いた有機電子材料 | |
WO2017216167A1 (en) | Organic semiconductor composition and semiconducting layer obtained therefrom | |
JP2013170126A (ja) | 含フッ素芳香族化合物およびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20160719 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20170202 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20170207 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20170213 |