JP2015143732A - 光学部品の固定構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】レンズ等の光学部品を高い精度で装置筐体に接着固定する、光学部品の固定構造を提供する。【解決手段】光軸に平行な貫通穴を有する光学部品を、筐体内部の光軸方向に垂直な筐体壁と該筐体壁に対向する筐体壁との間に、前記貫通穴に充填した接着剤で両側接着により固定する。【選択図】図2
Description
本発明は光学部品の固定構造に係り、特にRGB三原色光源モジュール装置に係るものである。
本技術分野の背景技術として下記の特許文献1がある。この公報には、「レンズ本体の光軸を挟んで互いに反対側の位置に第1、第2の被支持面を有し、光ヘッド本体の支持部に第1、第2の被支持面を当接支持し、被支持体と支持部との間に弾性部材による弾性力を介在させて、押圧当接する、レンズ支持構造」が開示されている。
また、別の背景技術として下記の特許文献2がある。この公報には、「回折光学素子が固定されるホルダーを光ピックアップ装置のハウジングに対して直線変位可能及び回転変
位可能に設け、ホルダーをハウジングに対して押圧する板バネの弾性力によってホルダーを調整可能状態に保持することを特徴する光学素子の固定構造」が開示されている。
位可能に設け、ホルダーをハウジングに対して押圧する板バネの弾性力によってホルダーを調整可能状態に保持することを特徴する光学素子の固定構造」が開示されている。
前記特許文献1においては、コの字溝にレンズ側面の突出部をバネ押さえで突当て、光軸方向前後と左右調整可能としている。しかし、ばねで押圧する構造だけのため、振動や衝撃で、光軸方向にレンズが位置ずれする可能性がある。
前記特許文献2においては、ホルダー付き回折格子をハウジングのV字溝にバネ押えし、光軸方向前後と光軸回り回転を調整した後に、ホルダー両側側面とハウジングを接着剤で固定しており、光軸方向には位置ずれしにくくなる。しかし、両側に塗布された接着剤の熱膨張収縮や、塗布の量・位置がばらついた場合、V字溝からホルダーが浮き上がり、光軸垂直方向にミクロンレベルで位置ずれする可能性がある。
そこで本発明では、RGBの三原色レーザビームを重ね合わせて色を表示するレーザーモジュールへの適用を念頭に、三原色レーザビーム間の位置ずれ許容量が厳しい製品にも適用できる固定構造を提供するものである。
上記課題を解決するために、光学部品の固定に際し、接着剤の膨張収縮を光軸方向に制限する接着構造とし、原理的にレンズの光軸垂直方向の位置ずれを低減する。これにより光軸方向のレンズの位置ずれが低減でき、三原色レーザビームの焦点位置、つまりビーム直径の変動を低減した光学部品の固定構造を提供することができる。
また本発明の手段の一例は、光学部品を筐体に固定するための光学部品の固定構造であって、光軸方向に平行な貫通穴を有する光学部品を、筐体内部の光軸に垂直な筐体壁と該筐体壁に対向する筐体壁との間に、貫通穴に充填した接着剤で両側固定するよう接着したことを特徴とする光学部品の固定構造である。
また本発明の手段の一例は、光軸方向に平行な貫通穴を有する光学部品を、筐体内部の光軸に垂直な筐体壁と該筐体壁に対向する筐体壁との間に挿入し、その貫通穴の途中上面に設けた接着剤注入穴から、UV硬化型接着剤を充填し、前述の筐体壁と前述の筐体対向壁との両側に接着剤を接触させることを特徴とする光学部品の固定構造である。またその際、第一に前述の筐体壁および前述の筐体対向壁と前述の光学部品の間に充填されたUV硬化型接着剤をUV照射して硬化し、第二に前述の光学部品の接着剤注入穴に充填されたUV硬化型接着剤をUV照射して硬化させること特徴とする光学部品の固定方法である。
本発明のさらなる手段及びそれによる効果は以下明細書全体により明らかとなるであろう。
本発明によれば、位置ずれ、特に光軸垂直方向のずれを防止した光学部品の固定構造、及び光学部品の固定方法を提供することができるという効果がある。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
まず、本発明の第1の実施形態を説明する。
図1は、RGB三原色光源モジュール装置101を示す斜視図である。RGB三原色光源モジュール装置101は、RGBモジュールケース(筐体)102と、緑色LD103と緑色用レンズ110と、赤色LD104と赤色用レンズ111と、青色LD105と青色用レンズ112と、第1の合成ミラー106と、第2の合成ミラー107と、2方向首振りミラー108と、を有する。
上記構成のRGB三原色光源モジュール装置101において、緑色LD103から出射され緑色用レンズ110で遠方に集光された緑色出射光113と、赤色LD104から出射され赤色用レンズ111で遠方に集光された赤色出射光114は、第1の合成ミラー106で合成され、その合成光と青色LD105から出射され青色用レンズ112で遠方に集光された青色出射光115とは第2の合成ミラー107で合成されて、緑赤青色の3色の合成ビームとなり、2方向首振りミラー108で反射される。2方向首振りミラー108は、RGB三原色光源モジュール装置101の外部に設けられたスクリーン109に3色RGB合成ビーム116を2次元走査して、画像を構成し投射する。
なお本実施例はRGB三原色光源モジュール装置を例として説明するが、他の3色のレーザー光源の組み合わせでも適用可能であることは言うまでもない。また光学部品の固定構造全般に適用できるものであることは言うまでもない。
上記光学系を実現するために、RGBモジュールケース102に対し、緑色LD103と緑色用レンズ110と、赤色LD104と赤色用レンズ111と、青色LD105と青色用レンズ112と、第1の合成ミラー106と、第2の合成ミラー107が、位置を調整される。その後、これらの部品はRGBモジュールケース102に対し、接着剤等で固定される。
例えば図1の緑色LD103と緑色用レンズ110と、赤色LD104と赤色用レンズ111と、青色LD105と青色用レンズ112のいずれの光学部品においても、筐体に取付ける際に、設計上で定められた位置からずれを発生しないようにする必要がある。
図2は、第1実施例の光学部品の固定構造を示す斜視図であり、レンズホルダ7を装置の筺体1の該当部分へ組付け、接着固定した状態を示す斜視図である。なお、図2以後の図面においてはXYZ軸が記入されており、図面の間の関係を明確にしている。以下では、例えばZ軸上で+の方向をZ+方向と記述する。
図2に示す本実施形態の光学部品の固定構造は、筐体1と、LD3が予め固定されたLDホルダ2と、レンズ8が予め固定されたレンズホルダ7と、それらの位置を調整して接着固定するUV硬化型接着剤4、9a、9bを有する。ここで、LDホルダ2は例えば図1の緑色LD103に、レンズホルダ7は例えば図1のレンズ110に該当する。また、筐体1は、レーザディスプレイに用いられるRGB三原色光源モジュール装置の緑色LD103及びレンズ110ミラー等を接着固定する筐体の一部分を図示している。
図2の3はLD、21は光軸、11は光学部品が固定される部分である穴を示す。
図3は、光学部品の組立手順を示す斜視図であり、図2のLDホルダ2及びレンズホルダ7を装置の筺体1へ組付ける時の組立手順を説明するための斜視図である。また図4(a)と図4(b)は、光学部品の調芯方法を示す第1と第2の断面図である。図5(a)と図5(b)と図5(c)は、光学部品の組立手順を示す第1と第2と第3の断面図である。図2の固定構造の斜視図とは異なり、図4(a)乃至図5(c)は組立手順に応じて、X+方向に見た側方断面図である。
図中の12は筐体壁、13は筐体対向壁、31a、31bはUV照射の様子、71a、71bは接着剤注入穴、72a、72bは貫通穴である。
なお図中の番号の説明は各図で共通である。
第一に、光軸21に対するビームの調芯方法を説明する。図1で示した装置に使用される図2の光学部品の固定構造を図3及び図4(a)に示す。まず、LD3が予め固定されたLDホルダ2は、矢印のZ押付け41が示すように、筐体1の筐体光軸穴18に対して押付けられる。
一方、レンズ8が予め固定されたレンズホルダ7は、筐体1の角穴11に挿入され、角穴11内の筐体ストッパ14aと14bに対し、矢印のY押付け51が示すようにY−方向に押付け仮固定される。
次に、図4(b)に示すように、指定された光軸21に対して、調整光軸25との結像高さ(H)24が望ましい値となるように、LD3を発光させながら、矢印のX調芯42の方向及びY調芯43の方向に調芯してビームを位置決めし、LDホルダ2を固定する。
このとき、単一のレンズとレンズホルダの組み合わせであれば、光軸と調整光軸は一致することが最良となる。しかし複数のレンズとレンズホルダ対を備える光学系では、それぞれのずれ量が異なるものとなり、全てを光軸方向に絶対値として完全に一致させるには多大な調整時間が必要となる。そこで、調整光軸25の考え方を導入し、複数のレンズとレンズホルダ対間でのずれの相対値を低減するよう調整することで、実質的に光軸の等しい光学系を実現することができる。たとえば、3つの光学系を有する場合に1つを目標として残り2つを調整すれば、3つをそれぞれ絶対値として光軸方向に合わせる場合に比べ、調整の点数を原理的に減らすことができる。したがって、調整光軸25の結合高さ(H)24は0ではなく、有限の微小値(一例として数μm〜数十μm程度)を有するように構成することが望ましい。
このように、厳密には光軸と調整光軸は方向がずれたものとなるが、Z方向の調整という意味においては少なくともY方向に係る光軸と調整光軸はほぼ同一視できるため、光軸方向として説明を行っている。
更に、目標とする結像距離(L)23となるように、レンズ8が予め固定されたレンズホルダ7を矢印のZ調芯52の光軸21の方向に調芯して、ビームの結像位置22となるように位置決めし、レンズホルダ7を固定する。以上のようにすることで、ビーム結像高さ(H)24はLD3のX、Y方向の位置で、ビーム結像距離(L)23はレンズホルダ7のZ位置で、独立に調芯が可能となる。
第二に、具体的な接着固定方法を図5(a)乃至図5(c)を用いて、工程毎に説明する。
(1)LDホルダ2の固定工程
まず、図4(b)の方法で調芯されたLDホルダ2の位置を、位置決め冶具(図示無し)の位置として記憶する。次に、LDホルダ2の位置決め冶具をZ−方向に一旦退避し、筐体1の筐体光軸穴18周辺に熱硬化型接着剤5を塗布し、先に記憶した位置に復帰させる。その後、筐体1とLDホルダ2の接触面周囲に、UV硬化型接着剤4を塗布し、UV硬化させ、LDホルダ2を筐体1に仮固定する。最後に、位置決め冶具を外し、LDホルダ2が仮固定された筐体1を加熱し、熱硬化型接着剤5を完全硬化させ、冷却する。
まず、図4(b)の方法で調芯されたLDホルダ2の位置を、位置決め冶具(図示無し)の位置として記憶する。次に、LDホルダ2の位置決め冶具をZ−方向に一旦退避し、筐体1の筐体光軸穴18周辺に熱硬化型接着剤5を塗布し、先に記憶した位置に復帰させる。その後、筐体1とLDホルダ2の接触面周囲に、UV硬化型接着剤4を塗布し、UV硬化させ、LDホルダ2を筐体1に仮固定する。最後に、位置決め冶具を外し、LDホルダ2が仮固定された筐体1を加熱し、熱硬化型接着剤5を完全硬化させ、冷却する。
(2)レンズホルダ7の調芯・接着剤塗布工程
まず、図5(a)でLDホルダ2が接着固定された筐体1の角穴11に、レンズホルダ7を挿入し、位置決め冶具(図示無し)を用いて、レンズホルダ7の位置を主に矢印のZ調芯52の光軸21の方向に調芯して、目標とするビーム結像高さ(H)24と、ビーム結像距離(L)23になるように位置決めする。
まず、図5(a)でLDホルダ2が接着固定された筐体1の角穴11に、レンズホルダ7を挿入し、位置決め冶具(図示無し)を用いて、レンズホルダ7の位置を主に矢印のZ調芯52の光軸21の方向に調芯して、目標とするビーム結像高さ(H)24と、ビーム結像距離(L)23になるように位置決めする。
次に、図3に示すレンズホルダ7に設けられた接着剤注入穴71a、71bから、UV硬化型接着剤9aを注入し、貫通穴72a、72b内部を充填させ、はみ出た接着剤で、レンズホルダ7と筐体壁12との間隔である前方ギャップ(d1)81と、レンズホルダ7と筐体対向壁13との間隔である後方ギャップ(d2)82とを接着剤でブリッジさせる。
(3)UV硬化型接着剤の2段階UV硬化
第一のUV硬化段階として、図5(b)で、レンズホルダ7と筐体壁12もしくは筐体対向壁13との間隔にブリッジされた接着剤に対して、それぞれ、前方ギャップUV照射32aと、後方ギャップUV照射33aを用いてUV照射し、接着剤をUV硬化させる。この時点では、レンズホルダ7に設けられた貫通穴72a、72bの貫通穴内部35の接着剤は、UV照射されていないため未硬化である。第二のUV硬化段階として、接着剤注入穴71a、71bから、注入穴UV照射34aを用いてUV照射し、未硬化だった貫通穴内部の接着剤をUV硬化させる。
第一のUV硬化段階として、図5(b)で、レンズホルダ7と筐体壁12もしくは筐体対向壁13との間隔にブリッジされた接着剤に対して、それぞれ、前方ギャップUV照射32aと、後方ギャップUV照射33aを用いてUV照射し、接着剤をUV硬化させる。この時点では、レンズホルダ7に設けられた貫通穴72a、72bの貫通穴内部35の接着剤は、UV照射されていないため未硬化である。第二のUV硬化段階として、接着剤注入穴71a、71bから、注入穴UV照射34aを用いてUV照射し、未硬化だった貫通穴内部の接着剤をUV硬化させる。
ここで、まず、レンズホルダ7の位置ずれを抑制できる原理を説明する。前述のように、レンズホルダ7と筐体壁12もしくは筐体対向壁13との間隔に光軸21方向にブリッジされた接着剤で固定されるため、接着剤のUV硬化収縮や熱膨張収縮は、光軸21方向(Z軸方向)に制限され、特に光軸垂直方向(X軸方向またはY軸方向)の位置ずれが原理的には発生しにくい。また、光軸21方向の熱膨張収縮量は、レンズホルダ7を筐体1に両側接着したため、片側接着の場合に比べて位置ずれを抑制することができる。以下、要因別にその理由を詳述する。
(A)レンズホルダ7を挟んで両側で接着剤固定した理由を説明する。一般に位置ずれが発生する原因のひとつとして、使用部材の熱膨張収縮がある。使用部材の熱膨張係数は、接着剤は1℃あたり100〜200ppm/K程度で、筐体1に使用される金属は、10〜30ppm/K程度である。例えば、室温20℃から高温80℃へ、または室温20℃から低温−40℃へ変化した場合、温度変化量ΔT=60℃を想定する。
(A)レンズホルダ7を挟んで両側で接着剤固定した理由を説明する。一般に位置ずれが発生する原因のひとつとして、使用部材の熱膨張収縮がある。使用部材の熱膨張係数は、接着剤は1℃あたり100〜200ppm/K程度で、筐体1に使用される金属は、10〜30ppm/K程度である。例えば、室温20℃から高温80℃へ、または室温20℃から低温−40℃へ変化した場合、温度変化量ΔT=60℃を想定する。
レンズホルダ7を筐体1に片側のみで接着固定した場合、つまり接着剤で片持ち接着した場合、接着剤の厚み500μmとその熱膨張収縮量での位置ずれ量は、500μm・200ppm/K・60K=6μmとなる。これに対し、レンズホルダ7を筐体1に両側で接着固定した場合、金属製の筐体1の筐体壁12と筐体対向壁13との間隔(d1+d0+d2)で接着剤の膨張収縮は拘束されるため、筐体1の金属としての膨張収縮量が位置ずれ量に相当し、500μm・30ppm/K・60K=0.9μmとなる。従って、熱膨張収縮による位置ずれを大幅に低減できる。
(B)次に、第一と第二の2段階にUV硬化した理由を説明する。レンズホルダ7のZ調芯52の調節量は、LDホルダ2、レンズ8、レンズホルダ7等の加工誤差や組立誤差に起因して、±100〜200μm程度は必要である。また、UV照射を接着剤にある程度到達させるためには、前方ギャップ(d1)81と後方ギャップ(d2)82は、最低でも200〜300μm程度は必要である。従って、調芯とUV照射の両方を可能とするには、前方ギャップ(d1)81と後方ギャップ(d2)82の接着剤厚さは、300〜500μm程度は必要となる。一方、UV硬化型の接着剤はUV硬化時に、つまり液体から固体になる際に、一般に体積が1〜2%程度収縮する。つまり、接着剤厚さ500μmとした場合のUV硬化収縮1〜2%は、5〜10μm程度に相当する。また、この収縮時に発生する力は数10〜数100gf程度と大きいため、前述の位置決め冶具(図示無し)で固定していても、冶具自身がミクロンレベルで弾性変形してしまい、レンズホルダ7の位置がずれる可能性がある。以上のように、第一のUV硬化段階では、レンズホルダ7の貫通穴内部35の接着剤にはUV照射せずに、未硬化つまり液体部分を残し、この液体部分で、前述の前方ギャップ(d1)81と後方ギャップ(d2)82の接着剤のUV硬化収縮を吸収し、UV硬化によるレンズホルダ7自身の位置ずれを防止することができる。
(C)更に、接着剤の塗布方法を説明する。レンズホルダ7を挟んで両側に塗布する、前方ギャップ(d1)81と後方ギャップ(d2)82の接着剤厚さは500μm程度と薄いため、直接これらのギャップに、ディスペンサのニードルを挿入して接着剤を均一に塗布することは困難である。本構造では、レンズホルダ7に設けられた接着剤注入穴71a、71bから、UV硬化型接着剤9a、9bを注入し、貫通穴72a、72b内部を充填させ、接着剤をはみ出させることにより、前述のギャップに接着剤を均一に塗布することも可能となる。
(B)次に、第一と第二の2段階にUV硬化した理由を説明する。レンズホルダ7のZ調芯52の調節量は、LDホルダ2、レンズ8、レンズホルダ7等の加工誤差や組立誤差に起因して、±100〜200μm程度は必要である。また、UV照射を接着剤にある程度到達させるためには、前方ギャップ(d1)81と後方ギャップ(d2)82は、最低でも200〜300μm程度は必要である。従って、調芯とUV照射の両方を可能とするには、前方ギャップ(d1)81と後方ギャップ(d2)82の接着剤厚さは、300〜500μm程度は必要となる。一方、UV硬化型の接着剤はUV硬化時に、つまり液体から固体になる際に、一般に体積が1〜2%程度収縮する。つまり、接着剤厚さ500μmとした場合のUV硬化収縮1〜2%は、5〜10μm程度に相当する。また、この収縮時に発生する力は数10〜数100gf程度と大きいため、前述の位置決め冶具(図示無し)で固定していても、冶具自身がミクロンレベルで弾性変形してしまい、レンズホルダ7の位置がずれる可能性がある。以上のように、第一のUV硬化段階では、レンズホルダ7の貫通穴内部35の接着剤にはUV照射せずに、未硬化つまり液体部分を残し、この液体部分で、前述の前方ギャップ(d1)81と後方ギャップ(d2)82の接着剤のUV硬化収縮を吸収し、UV硬化によるレンズホルダ7自身の位置ずれを防止することができる。
(C)更に、接着剤の塗布方法を説明する。レンズホルダ7を挟んで両側に塗布する、前方ギャップ(d1)81と後方ギャップ(d2)82の接着剤厚さは500μm程度と薄いため、直接これらのギャップに、ディスペンサのニードルを挿入して接着剤を均一に塗布することは困難である。本構造では、レンズホルダ7に設けられた接着剤注入穴71a、71bから、UV硬化型接着剤9a、9bを注入し、貫通穴72a、72b内部を充填させ、接着剤をはみ出させることにより、前述のギャップに接着剤を均一に塗布することも可能となる。
ここで、UV硬化型接着剤は、アクリル系でもエポキシ系でも使用可能で、エポキシ系の場合、上記の2段階のUV硬化型の後に、熱硬化を加えて、接着剤を完全硬化することもでき、同様に効果を得ることができる。
以上より、特に光軸垂直方向(X軸方向またはY軸方向)の位置ずれが原理的には発生しにくく、光軸方向の熱膨張収縮量による位置ずれを抑制することができる効果がある。
次に、レンズホルダ7の筐体1に対する固定方法を図6(a)、図6(b)を用いて説明する。前述の図5(a)で、筐体1の角穴11に位置決め冶具(図示無し)を用いて、レンズホルダ7を挿入し、図6(a)、図6(b)のレンズホルダ押当面73a、73bを筐体ストッパ14a、14bにそれぞれY押付け51により押当て、レンズホルダ7のY位置を位置決めする。X方向には筐体1との間に隙間があるため、X方向にはX調芯53で調芯可能である。図5bのZ調芯52の光軸方向に調芯も行い、レンズホルダ7の位置決めが完了できる。
ここで、図6(b)を用いて、板バネ61を加えた構造も説明する。レンズホルダ押当面73a、73bを筐体ストッパ14a、14bにY−方向に押付けし、UV硬化型接着剤9a、9bの塗布位置や塗布量がばらついた場合でも、板バネ61により常に押付けることにより、Y+方向の位置ずれを抑制することも可能となる。
更に次に、レンズホルダ7の位置を微調整する方法を、図6(c)により説明する。前述の図5(a)で、レンズホルダ7を位置決め冶具(図示無し)により位置決めする場合に、レンズホルダ押当面73a、73bを筐体ストッパ14a、14bにそれぞれ押当てずにX調芯53とY調芯54により、レンズホルダ7の位置を微調整することも可能である。
次に、本発明の第2の実施形態を図7を用いて説明する。
図7は、第2実施例の光学部品の固定構造を示す正面図であり、実施例1の図6(b)同様に、光学部品の固定構造をZ+方向に見た正面図である。前述の図5(a)と同様に、筐体1の角穴11に位置決め冶具(図示無し)を用いて、レンズホルダ70を挿入し、筐体V字溝15に、レンズホルダ70の側面を接触点74a、74b にそれぞれ押当て、レンズホルダ7のX位置およびY位置を一意に位置決め可能とする。図6(b)と同様に、板バネ61を加えて、Y−方向に押付けることにより、UV硬化型接着剤9a、9bの塗布位置や塗布量がばらついた場合でも、X+−方向およびY+方向の位置ずれを抑制する効果もある。
この際、特に図7に示すように、ホルダ底面を円弧状、筐体をV字状とすることで、ばねの圧縮力により自然に位置決めがされる効果が期待される。
本実施例は、実施例1あるいは2の発明の思想を適用した光学部品や三原色光源モジュール装置を、自動車のフロントガラスへの投影用に用いた例である。
すなわち、図1の109が自動車のフロントガラスに相当する。
本実施例において、走行中視線をずらさずに必要な情報をフロントガラスに投影できるため、例えばカーナビゲーションの情報を投影した際には自動車の進行方向やルートを安全に判断できるようになる。また速度や回転数を投影した際には、やはり視線をずらす必要がなくなるので、より安全に運転することが可能となる。
むろん本実施例の思想は自動車以外、例えば航空機のコックピット等に用いても良い。そのような際は投影面109はフロントガラスとは独立した透明な投影面であってもよい。
本発明の実施例は組み合わせても良いことは言うまでもない。またその思想を種々の形態に適用することも本発明の範疇に含まれるものである。
1…筐体、2…LDホルダ、3…LD、4…UV硬化型接着剤、5…熱硬化型接着剤、7…レンズホルダ、8…レンズ、9a、9b…UV硬化型接着剤、11…角穴、12…筐体壁、13…筐体対向壁、14a、14b…筐体ストッパ、15…筐体V字溝、18…筐体光軸穴、21…光軸、22…結像位置、23…結像距離L、24…結像高さH、25…調整光軸、31a、31b…UV照射、32a、32b…前方ギャップUV照射、33a、33b…後方ギャップUV照射、34a、34b…注入穴UV照射、35…貫通穴内部、41…Z押付け、42…X調芯、43…Y調芯、51…Y押付け、52…Z調芯、53…X調芯、54…Y調芯、61…板バネ、70…レンズホルダ、71a、71b…接着剤注入穴、72a、72b…貫通穴、73a、73b…押当面、74a、74b…接触点、76…レンズホルダ厚さd0、81…前方ギャップd1、82…後方ギャップd2、101…RGB三原色光源モジュール装置、102…RGBモジュールケース、103…緑色LD、104…赤色LD、105…青色LD、106…合成ミラー、107…合成ミラー、108…2方向首振りミラー、109…スクリーン、110…緑色用レンズ、111…赤色用レンズ、112…青色用レンズ、113…緑色出射光、114…赤色出射光、115 …青色出射光、116…3色RGB合成ビーム
Claims (10)
- 光軸に平行な貫通穴を有する光学部品を、筐体内部の光軸方向に垂直な筐体壁と該筐体壁に対向する筐体壁との間に、前記貫通穴に充填した接着剤で両側接着により固定したことを特徴とする光学部品の固定構造。
- 請求項1に記載の光学部品の固定構造において、前記貫通穴は、その途中で接着剤注入穴と合流することを特徴とする光学部品の固定構造。
- 請求項1に記載の光学部品の固定構造において、前記光学部品を板バネで前記筐体に押付けることを特徴とする光学部品の固定構造。
- 請求項1に記載の光学部品の固定構造において、前記光学部品の底辺を円弧状とし、前記筐体に光軸に平行な溝を設け、前記光学部品を該溝に押付け固定することを特徴とする光学部品の固定構造。
- 請求項1に記載の光学部品の固定構造において、前記光学部品は、光を透過集光するレンズもしくは該レンズを保持するレンズホルダであることを特徴とする光学部品の固定構造。
- 請求項5に記載の光学部品の固定構造により筐体に固定された、レンズもしくは該レンズを保持するレンズホルダと、該レンズの光軸焦点付近に半導体レーザ(LD)を設けたことを特徴とする、LDモジュール。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光学部品の固定構造を適用するものであって、前記光学部品の固定構造により前記筐体に固定されたレンズもしくは該レンズを保持するレンズホルダを有する三原色光源モジュール装置であって、
第1の色のレーザ光を発生し前記三原色光源モジュール装置の筐体に固定された第1のレーザダイオードと、
前記第1の色とは異なる第2の色のレーザ光を発生し前記三原色光源モジュール装置の筐体に固定された第2のレーザダイオードと、
前記第1及び第2のいずれの色とも異なる第3の色のレーザ光を発生し前記三原色光源モジュール装置の筐体に固定された第3のレーザダイオードと、
一面から入射した前記第1のレーザ光を透過し他の一面から入射した前記第2のレーザ光を反射しながら前記第1のレーザ光と合成する第1のハーフミラーと、
一面から入射した前記第1のハーフミラーが合成したレーザ光を透過し他の一面から入射した前記第3のレーザ光を反射しながら前記第1のハーフミラーが合成したレーザ光と合成する第2のハーフミラーと、
前記第2のハーフミラーが合成したレーザ光を反射して前記三原色光源モジュール装置から送出し、レーザ光の反射方向が変化する2方向首振りミラーと
を有することを特徴とする三原色光源モジュール装置。 - 光軸方向に平行な貫通穴を有する光学部品を、筐体内部の光軸方向に垂直な筐体壁と該筐体壁に対向する筐体壁との間に挿入し、その貫通穴の途中上面に設けた接着剤注入穴から、UV硬化型接着剤を充填し、前述の筐体壁と前述の筐体対向壁との両側に接着剤を接触させることを特徴とする光学部品の固定方法。
- 第一に、前記筐体壁および前記筐体対向壁と前記光学部品の間に充填されたUV硬化型接着剤をUV照射して硬化し、
第二に、前記接着剤注入穴に充填されたUV硬化型接着剤をUV照射して硬化させることを特徴とする請求項8記載の光学部品の固定方法。 - 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光学部品の固定構造を適用することを特徴とし、そのフロントに投影面を有することを特徴とする自動車あるいは航空機。
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