JP2015139930A - バー状部品の製造方法およびバー状部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】炭素繊維強化樹脂製のパイプを有するバー状部品を構成する場合において、バー状部品の製造コストの低減を図りつつ、パイプの破損を防止することができるバー状部品の製造方法、および、当該バー状部品を提供すること。【解決手段】パイプ10を含むバー状部品22の製造方法は、粗面加工が施された外周面16Aを有する金属円環16を含む芯材の外周面に炭素繊維25のシート26と熱可塑性樹脂フィルムとを巻き付けて積層する工程と、芯材の外周面に巻き付けられたシート26および熱可塑性樹脂フィルムを加圧しながら加熱することで熱可塑性樹脂フィルムを溶融させる工程と、溶融して炭素繊維25に含浸した熱可塑性樹脂を冷却することで、金属円環16の外周面16Aに対して端部10A、10Bが外嵌固定されたパイプ10を形成する工程とを含む。【選択図】図7

Description

この発明は、たとえば車両のステアリング装置を構成するバー状部品の製造方法および当該バー状部品に関する。
下記特許文献1で開示されたラックアンドピニオン式電動パワーステアリング装置におけるラックハウジングの円筒部は、たとえば熱硬化性樹脂を含有し炭素繊維を一方向に配向したプリプレグを金属製の芯金に巻回した後硬化させ、外径の切削加工を行うことで形成される。
一方、下記非特許文献1で開示された円環部材形成法では、炭素繊維系コンポジット材料(たとえばCFRTP)で構成された2枚のシート(CFRTPシート)を入れ子にセットし加熱する。その後、入れ子を射出金型にセットし、成形機の型締め力を利用して2枚のCFRTPシートを円弧形状にプレス加工し、これらのシート同士を熱溶着することで円環部材を形成する。
特開2013−208927号公報
発明推進協会公開技報公技番号2013−503060号
特許文献1のラックハウジングの円筒部では、熱硬化性樹脂を用いて形成されることから、熱硬化性樹脂の硬化のために長時間を要するので、製造コストが増大する虞がある。また、円筒部に用いた熱硬化性樹脂は、靭性が不十分であるため、外部から応力がかかることによって円筒部が破損する虞がある。
一方、非特許文献1の円環部材は、熱硬化性樹脂よりも短時間で成形可能で靭性が高い熱可塑性樹脂を含有するCFRTPシートを用いている。しかし、CFRTPシートは、炭素繊維に樹脂が含有したシート状であって硬いため、常温では曲げることができない。したがって、円環部材を形成するためには、2枚のCFRTPシートを加熱した後、成型機の型締め力を利用して円弧形状に加工し、2枚のCFRTPシート同士を溶着させる工程を経る必要がある。そのため、加工に手間がかかり、結果として製造コストが増大する虞がある。
この発明は、かかる背景のもとでなされたものであり、炭素繊維強化樹脂製のパイプを有するバー状部品を構成する場合において、バー状部品の製造コストの低減を図りつつ、パイプの破損を防止することができるバー状部品の製造方法、および、当該バー状部品を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、炭素繊維強化熱可塑性樹脂製のパイプ(10)と、前記パイプの軸方向(X)における端部(10A,10B)に締結される金属部品(17,18)とを含むバー状部品(22)の製造方法であって、前記軸方向に延びる金属製のマンドレル(24)に対して、粗面加工が施された外周面(16A)を有する金属円環(16)を外嵌することによって、前記マンドレルと前記金属円環とを含む芯材(23)を準備する工程と、炭素繊維(25)のシート(26)と熱可塑性樹脂フィルム(40)とを前記芯材の外周面(23A)に巻き付けて積層する工程と、前記芯材の外周面に巻き付けられた前記シートおよび前記熱可塑性樹脂フィルムを加圧しながら加熱することで前記熱可塑性樹脂フィルムを溶融させる工程と、溶融して前記炭素繊維に含浸した熱可塑性樹脂を冷却することで、前記金属円環の外周面に対して前記端部が外嵌固定された前記パイプを形成する工程と、前記芯材のうち前記マンドレルだけを前記パイプから引き抜く工程と、前記金属部品と前記金属円環の内周面(16B)とをねじ締結させる工程と、を含むことを特徴とする、バー状部品の製造方法である。
請求項2記載の発明は、炭素繊維強化熱可塑性樹脂製のパイプ(10)と、前記パイプの軸方向(X)における端部(10A,10B)に締結される金属部品(17,18)とを含むバー状部品(22)の製造方法であって、前記軸方向に延びる金属製のマンドレル(24)に対して、粗面加工が施された外周面(16A)を有する金属円環(16)を外嵌することによって、前記マンドレルと前記金属円環とを含む芯材(23)を準備する工程と、炭素繊維(25)のシート(26)と熱可塑性樹脂フィルム(40)とを前記芯材の外周面(23A)に巻き付けて積層する工程と、前記芯材の外周面に巻き付けられた前記シートおよび前記熱可塑性樹脂フィルムを加熱してから加圧することで前記熱可塑性樹脂フィルムを溶融させる工程と、溶融して前記炭素繊維に含浸した熱可塑性樹脂を冷却することで、前記金属円環の外周面に対して前記端部が外嵌固定された前記パイプを形成する工程と、前記芯材のうち前記マンドレルだけを前記パイプから引き抜く工程と、前記金属部品と前記金属円環の内周面(16B)とをねじ締結させる工程と、を含むことを特徴とする、バー状部品の製造方法である。
請求項3記載の発明は、前記シートと前記熱可塑性樹脂フィルムとを前記芯材の外周面に巻き付けて積層する工程は、前記シートと前記熱可塑性樹脂フィルムとを前記芯材の外周面に交互に巻き付けて積層する工程を含むことを特徴とする、請求項1または2記載のバー状部品の製造方法である。
請求項4記載の発明は、前記シートと前記熱可塑性樹脂フィルムとを前記芯材の外周面に巻き付けて積層する工程は、前記芯材の外周面の径方向(R)における最も内側に前記熱可塑性樹脂フィルムを巻き付ける工程を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のバー状部品の製造方法である。
請求項5記載の発明は、前記シートと前記熱可塑性樹脂フィルムとを前記芯材の外周面に巻き付けて積層する工程は、前記金属円環の一部が前記軸方向における外側へはみ出るように前記シートと前記熱可塑性樹脂フィルムとを前記芯材の外周面に巻き付けて積層する工程を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のバー状部品の製造方法である。
請求項6記載の発明は、前記金属部品に設けられた雄ねじ部(20)にねじ締結される雌ねじ部(19)を、前記金属円環の内周面に形成する工程を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のバー状部品の製造方法である。
請求項7記載の発明は、前記バー状部品は、ラックアンドピニオン式のステアリング装置(1)に含まれるラックバー(8)を構成していることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のバー状部品の製造方法である。
請求項8記載の発明は、前記パイプは、ラック(15)を有し、前記ラックは、前記シートおよび前記熱可塑性樹脂フィルムを加圧する工程で形成されることを特徴とする、請求項7記載のバー状部品の製造方法である。
請求項9記載の発明は、前記金属部品は、ラック(15)を有することを特徴とする、請求項7記載のバー状部品の製造方法である。
請求項10記載の発明は、請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする、バー状部品である。
なお、上記において、括弧内の数字等は、後述する実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
請求項1記載の発明によれば、バー状部品は、炭素繊維強化熱可塑性樹脂製のパイプを含んでいる。また、バー状部品の製造の際に準備され金属円環が外嵌された芯材の外周面には、炭素繊維のシートと熱可塑性樹脂フィルムとがそれぞれ巻き付けられて積層される。次に、熱可塑性樹脂フィルムが加圧されながら加熱されることで溶融し、熱可塑性樹脂フィルムにおける熱可塑性樹脂が炭素繊維に含浸する。熱可塑性樹脂は、加熱後に冷却されることで、炭素繊維に含浸された状態で固化し、これにより、炭素繊維のシートと熱可塑性樹脂フィルムとが一体化する。
芯材の外周面に巻き付けられる段階における炭素繊維のシートには、熱可塑性樹脂が含浸されていないので、加熱しなくても、このシートを芯材の外周面に巻き付けることが可能である。そして、炭素繊維のシートとともに芯材の外周面に巻き付けられた熱可塑性樹脂フィルムを加圧および加熱することによって、熱可塑性樹脂の炭素繊維への含浸と、パイプの形成とを同時に行うことができる。
よって、あらかじめ熱可塑性樹脂を含浸させた炭素繊維のシートを用いる場合とは異なり、炭素繊維のシートを芯材の外周面に巻き付ける際に要する加熱等の手間を省くことができ、結果として製造コストの低減を図ることができる。
また、熱可塑性樹脂フィルムの熱可塑性樹脂は、熱硬化性樹脂よりも靭性が高い。そして、炭素繊維のシートでは、炭素繊維が配向する方向と積層されるシートの枚数とを任意に調整することによりパイプの強度を向上させることができる。よって、パイプの破損を防止することができる。
以上の結果、炭素繊維強化樹脂製のパイプを有するバー状部品の製造コストの低減を図りつつ、パイプの破損を防止することができる。
請求項2記載の発明のように炭素繊維のシートおよび熱可塑性樹脂フィルムを加熱してから加圧することで熱可塑性樹脂フィルムを溶融させる場合であっても、請求項1と同様にバー状部品の製造コストの低減を図りつつ、パイプの破損を防止することができる。
請求項3記載の発明によれば、炭素繊維のシートと熱可塑性樹脂フィルムとを芯材の外周面に巻き付けて積層する工程では、炭素繊維のシートと熱可塑性樹脂フィルムとを芯材の外周面に交互に巻き付けて積層するので、その後に加熱および加圧によって溶融した熱可塑性樹脂を各シートの炭素繊維に均一に含浸させることができる。
請求項4記載の発明によれば、炭素繊維のシートと熱可塑性樹脂フィルムとを芯材の外周面に巻き付けて積層する工程では、熱可塑性樹脂フィルムが芯材の外周面の径方向における最も内側に巻き付けられる。そのため、溶融した熱可塑性樹脂フィルムの熱可塑性樹脂は、粗面加工(凹凸加工)によって金属円環の外周面に形成された凹部に入り込みやすいので、パイプと金属円環との連結部の強度が向上される。
請求項5記載の発明によれば、炭素繊維のシートと熱可塑性樹脂フィルムとを芯材の外周面に巻き付けて積層する工程では、金属円環の一部が軸方向における外側へはみ出るようにシートと熱可塑性樹脂フィルムとを芯材の外周面に巻き付けて積層する。そのため、パイプが金属部品に対して曲がろうとしたときに、金属部品は、パイプではなく金属円環に接触することになるので、パイプの端部が金属部品に接触することを防止できる。これにより、金属部品との接触によるパイプの破損を防止することができる。
請求項6記載の発明によれば、パイプの軸方向における端部が外嵌固定された金属円環の内周面と金属部品とは、金属部品に設けられた雄ねじ部が金属円環の内周面の雌ねじ部にねじ締結されることによって、強固に締結される。雌ねじ部を金属円環の内周面に形成する工程は、金属円環がマンドレルに外嵌される前に行われてもよいし、マンドレルがパイプから引き抜かれた後に行われてもよい。
請求項7記載の発明によれば、バー状部品は、ラックアンドピニオン式のステアリング装置に含まれるラックバーを構成していてもよい。
請求項8記載の発明によれば、パイプは、ラックを有している。これにより、ラックバーに占める炭素繊維強化熱可塑性樹脂製のパイプの割合を増大させることができるため、ラックバーの軽量化を図ることができる。また、ラックは、パイプを切削することで形成されるのではなく、炭素繊維のシートと熱可塑性樹脂フィルムとを加圧する際に形成されることから、炭素繊維が切断されることはないので、ラック形成に起因するパイプの破損を防止することができる。
請求項9記載の発明のように、金属部品がラックを有していてもよい。
請求項10記載の発明によれば、請求項1〜7のいずれかの記載の製造方法によって製造されたバー状部品では、製造コストの低減を図りつつ、パイプの破損を防止することができる。
図1は、本発明の一実施形態におけるバー状部品22を備えるステアリング装置1の概略正面図である。 図2は、バー状部品22の製造工程を示す模式的な断面図である。 図3は、図2の工程後の芯材23および被成形体36を模式的に示した断面図である。 図4は、図3において一点鎖線で囲った部分を拡大した図である。 図5は、図3の次の工程を示す模式的な断面図である。 図6は、図5の次の工程を示す模式的な断面図である。 図7は、図6の次の工程を示す模式的な断面図である。 図8は、図7において一点鎖線で囲った部分を拡大した図である。 図9(a)は、図8において一点鎖線で囲った部分を拡大した図であり、図9(b)は、図9(a)に比較例を適用した図である。 図10は、第1変形例のラックバー8およびその周辺を示した図である。
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態におけるバー状部品22を備えるステアリング装置1の概略正面図である。
図1を参照して、ステアリング装置1は、操舵部材2と、ステアリングシャフト3と、中間軸5と、ピニオン軸7と、ラックバー8と、ハウジング9とを主に含んでいる。
操舵部材2として、たとえば、ステアリングホイールを用いることができる。操舵部材2には、ステアリングシャフト3の一端が連結されている。ステアリングシャフト3の他端と中間軸5の一端とが自在継手4によって連結されている。また、中間軸5の他端とピニオン軸7の一端とが自在継手6によって連結されている。
ピニオン軸7の他端の外周面にはピニオン14が一体的に設けられている。ラックバー8は、車両の幅方向(図1の左右方向)に延びる略円柱状である。ここで、ラックバー8が延びる方向を軸方向Xとする。図1のステアリング装置1の姿勢を基準として軸方向Xの左方には、符号「X1」を付し、軸方向Xの右方には、符号「X2」を付す。
ラックバー8の外周面の周上1箇所には、ピニオン14と噛み合うラック15が形成されている。ピニオン軸7のピニオン14およびラックバー8のラック15は、互いに噛み合うことでラックアンドピニオン式の転舵機構Aを構成している。
ラックバー8は、ハウジング9に収容されている。ハウジング9は、車体に固定される略円筒体である。ラックバー8の両端部は、ハウジング9の両側へ突出し、各端部にはそれぞれ継手11を介してタイロッド12が結合されている。各タイロッド12は、対応するナックルアーム(図示せず)を介して対応する転舵輪13に連結されている。
操舵部材2が操作されてステアリングシャフト3が回転されると、この回転がピニオン14およびラック15によって、軸方向Xに沿ったラックバー8の直線運動に変換される。これにより、転舵輪13の転舵が達成される。
ラックバー8は、パイプ10と、金属円環16と、2つの金属部品である円筒状の第1金属部品17および第2金属部品18とを主に含んでいる。第1金属部品17および第2金属部品18は、ラックバー8を構成することから、ラックバー8が受ける荷重(引張圧縮、曲げおよびねじり)に耐えられる程度の強度および剛性が求められる。そのため、第1金属部品17および第2金属部品18の材料としてS45C等の炭素鋼が用いられる。第2金属部品18は、ラック15を有している。ラック15は、炭素鋼によって円柱状の第2金属部品18を形成した後に、第2金属部品18を切削加工することで形成される。
パイプ10は、マトリックス樹脂として熱可塑性樹脂を使用した炭素繊維強化熱可塑性樹脂製(いわゆるCFRTP製)であり、軸方向Xに延びる略円筒状である。パイプ10は、たとえばラックバー8においてラック15よりも左方X1に設けられており、軸方向Xにおいて第1金属部品17と第2金属部品18との間に配置されている。
金属円環16は、軸方向Xに延びる円環状をなす金属製の部材である。金属円環16は、パイプ10の左方X1側の端部10Aおよび右方X2側の端部10Bに応じて1つずつ(合計2つ)設けられていて、端部10Aおよび端部10Bのそれぞれに対して1つずつ挿通(内嵌)されている。言い換えると、パイプ10の端部10Aおよび端部10Bは、金属円環16の外周面16Aに対して外嵌されている。端部10Aおよび端部10Bにおいて、パイプ10の内周面10Cは、金属円環16の外周面16Aとほぼ同じ大きさまで拡径されている。金属円環16の内周面16Bの直径は、端部10Aと端部10Bとの間の領域におけるパイプ10の内周面10Cの直径とほぼ等しい。
第1金属部品17は、ラックバー8の左方X1側の端部として、左方X1の継手11に隣接している。第1金属部品17は、パイプ10の端部10Aに対して左方X1側から隣接している。第1金属部品17の右方X2側の端部には、小径部21が一体的に設けられている。小径部21は、右方X2へ向けて軸方向Xに延びる円柱状である。小径部21は、第1金属部品17(小径部21以外の部分)よりも小径である。
第2金属部品18には、ラック15の摩耗を抑制するため、たとえば、浸炭焼き入れ加工や高周波焼き入れ加工等の焼き入れ処理が施されている。第2金属部品18は、パイプ10の端部10Bに対してラックバー8の右方X2側から隣接している。前述した小径部21は、第2金属部品18の左方X1側の端部にも一体的に設けられている。第2金属部品18の小径部21は、左方X1へ向けて軸方向Xに延びる円柱状である。ただし、第1金属部品17の小径部21と、第2金属部品18の小径部21とは、寸法(直径や軸方向Xにおける長さ)が異なっていてもよい。詳しくは後述するが、第1金属部品17および第2金属部品18は、それぞれの小径部21において軸方向Xにおけるパイプ10の端部10Aまたは10Bに締結されている。締結状態のパイプ10、第1金属部品17および第2金属部品18は、全体として軸方向Xに延びるバー状部品22を構成している。このバー状部品22が、ラックバー8を構成している。
ここで、自動車部品には、環境対策として軽量化が求められている。一方、ラックバー8は、前述したように炭素鋼製であるため、ステアリング装置1において大きな重量を占める。本実施形態のラックバー8では、CFRTP製のパイプ10で一部を構成しているため、ラックバー8全体を鋼などの金属で構成する場合と比べて軽い。また、CFRTPは、強度および剛性にも優れている。そのため、必要な強度および剛性を保持した上で、ステアリング装置1の大幅な軽量化を図ることができる。
次に、このようなバー状部品22の製造方法について説明する。
図2は、バー状部品22の製造工程を示す模式的な断面図である。図2における各部材の姿勢は、図1と一致している(後述する図3〜図10においても同様)。
図2を参照して、バー状部品22の製造の初期段階として、芯材23が準備される。芯材23は、円筒状のパイプ10を形成するために必要な部材である。芯材23は、マンドレル24と、前述した金属円環16とを含んでいる。マンドレル24は、金属製であり、軸方向Xに延びる円柱状である。マンドレル24の外周面24Aには、事前に離型処理が施されている。金属円環16の外周面16Aには、事前に粗面加工が施されている。そのため、外周面16Aは、多数の凹凸部27を有している。ここでの粗面加工としては、たとえば、アヤメローレット加工、キー溝加工、スプライン加工、ショットブラスト加工、酸によるエッチング、レーザーエッチング等が挙げられるが、加工コストを考慮するとアヤメローレット加工が望ましい。
図2に示す準備工程では、マンドレル24の軸方向Xにおける両側の端部に対して金属円環16を外嵌することにより芯材23が準備される。芯材23の外周面23Aは、各金属円環16の外周面16Aと、マンドレル24の外周面24Aにおいて金属円環16からはみ出た部分とを含んでいる。
次に、前述したパイプ10の材料が芯材23の外周面23Aに巻き付けられる。パイプ10の材料には、樹脂が含浸されていない(いわゆるドライの)炭素繊維25のシート26と、熱可塑性樹脂フィルム40とが用いられる。
炭素繊維25には、“トレカ”(登録商標)T300や“トレカ”(登録商標)T700に代表されるあらゆるポリアクリロニトリル(PAN)系およびピッチ系炭素繊維を用いることができる。また、炭素繊維25の一部をガラス繊維やアラミド繊維に置き換えることも可能である。
シート26としては、たとえば炭素繊維25の織物シートや、炭素繊維25が一方向(Uni-Direction)に引きそろえられた一方向強化材(いわゆるUD材)等が用いられる。織物シートは、たとえば所定の方向に直線状に延びる炭素繊維25の束(トウ)と、当該束と交差する方向に延びる炭素繊維25の束とが平織りによって互いに織り合わされていることにより形成されている。織物シートの織り方は、平織りに限定されず、綾織り、朱子織り、多軸織り等の一般的な織り方を適用することが可能である。
熱可塑性樹脂フィルム40は、熱可塑性樹脂をフィルム状に加工したものであり、常温で曲げられる程度に薄い。熱可塑性樹脂フィルム40には、ナイロン6(PA6)、ナイロン66(PA66)、芳香族ポリアミド(芳香族PA)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂等のフィルム化できるあらゆる熱可塑性樹脂を用いることができる。ラックバー8は、車両のエンジンルーム内で使用されることから瞬間的に150℃付近にまで達することがあるため、熱可塑性樹脂フィルム40としては、この様な状況下でも使用可能な耐熱性を有し、フィルム化が容易であり、靭性に優れたPA66またはPEEK樹脂を用いることが望ましい。
炭素繊維25のシート26と熱可塑性樹脂フィルム40とは、たとえばシートワインディング法によって芯材23の外周面23Aに巻き付けられ、図2に示すように、複数枚積層される。シート26および熱可塑性樹脂フィルム40を外周面23Aに巻き付ける工程が終わると、芯材23の外周面23Aでは、軸方向Xおよび芯材23の周方向のほぼ全域において、シート26および熱可塑性樹脂フィルム40が全体で所定の厚さになるまで巻き付けられて積層された状態となる。このとき、芯材23の外周面23Aの径方向Rにおける最も内側(最内層)には、熱可塑性樹脂フィルム40を巻き付けておくことが好ましい。
ここで、当該所定の厚さになるまで芯材23の外周面23Aに巻き付けられた炭素繊維25のシート26と熱可塑性樹脂フィルム40との全体を被成形体36と呼ぶ。
図3は、図2の工程後の芯材23および被成形体36を模式的に示した断面図である。図4は、図3において一点鎖線で囲った部分を拡大した図である。
図3を参照して、被成形体36は、マンドレル24の外周面24Aおよび金属円環16の外周面16Aに対して密着して芯材23を取り囲んでいることから略円筒状である。被成形体36の軸方向Xにおける両端部は、金属円環16の厚さ分だけ、被成形体36の軸方向Xにおける両端部以外の部分よりも大径である。一方、被成形体36の軸方向Xにおける両端部以外の部分における被成形体36の内径は、各金属円環16の内径とほぼ等しい。
図4を参照して、芯材23の外周面23Aの軸方向Xにおける同じ位置には、炭素繊維25のシート26または熱可塑性樹脂フィルム40が何重にも積層されている。この実施例では、シート26と熱可塑性樹脂フィルム40とは、外周面23Aにおいて交互に積層されている。
図5は、図2の次の工程を示す模式的な断面図である。
図5に示す工程では、被成形体36をプレス成形することによってパイプ10を成形する。
図5を参照して、まず、被成形体36を芯材23と共にプレス金型33に配置する。プレス金型33は、図5における下側の第1金型34と、図5における上側の第2金型35とを含んでいる。第1金型34の図5における上側の面には、軸方向Xから見て略半円弧状の凹部34Aが形成されている。第2金型35の図5における下側の面には、軸方向Xから見て略半円弧状の凹部35Aが形成されている。凹部34Aおよび35Aの軸方向Xにおける両端部は、金属円環16の厚さ分だけ、凹部34Aおよび35Aの軸方向Xにおける両端部以外の部分よりも大径である。そのため、凹部34Aおよび35Aに嵌るように被成形体36をプレス金型33内に配置することができる。
被成形体36をプレス金型33内に配置した後、被成形体36を加圧しながら熱可塑性樹脂フィルム40の熱可塑性樹脂の融点付近まで加熱する。当該加圧および加熱によって、熱可塑性樹脂フィルム40が溶融する。溶融した熱可塑性樹脂フィルム40は、近接するシート26内の炭素繊維25に含浸される。
なお、前述したように、炭素繊維25のシート26と熱可塑性樹脂フィルム40とは、芯材23の外周面23Aに交互に巻き付けて積層されているため、その後に加熱および加圧によって溶融した熱可塑性樹脂を各シート26の炭素繊維25に均一に含浸させることができる。
次に、プレス金型33を冷却することで、プレス金型33内に配置された被成形体36および芯材23が冷却される。溶融して炭素繊維25に含浸した熱可塑性樹脂フィルム40(熱可塑性樹脂フィルム40を構成していた熱可塑性樹脂)は、プレス金型33内で冷却されることによって固化する。これにより、被成形体36は、プレス金型33の凹部34Aおよび凹部35Aと芯材23の外周面23Aに沿って成形され、略円筒状のパイプ10となる。この状態で、先ほど溶融した熱可塑性樹脂フィルム40は、フィルム単体で存在しておらず、パイプ10を構成する略円筒状の熱可塑性樹脂28をなしている。この状態で、パイプ10は、端部10Aおよび10Bにおいて金属円環16の外周面16Aに対して外嵌(詳しくは、後述するように外嵌固定)されている。
次に、プレス金型33の第1金型34と第2金型35とを開いて図5の上下に離し、パイプ10および芯材23をプレス金型33から取り出す。
次に、芯材23のうちマンドレル24だけをパイプ10から引き抜く。前述したように、マンドレル24の外周面24Aには、離型処理が施されているため、熱可塑性樹脂28は、プレス成形工程後にマンドレル24の外周面24Aに接着していない。そのため、マンドレル24を容易に引き抜くことができる。このとき、マンドレル24を、さらに円滑に引き抜くために、冷却によって収縮させてもよい。その場合、マンドレル24をパイプ10から引き抜く際に必要な力が一層低減される。
図6は、図5の次の工程を示す模式的な断面図である。
図6を参照して、マンドレル24がパイプ10から引き抜かれた状態では、各金属円環16が、パイプ10の端部10Aおよび端部10Bにおいて対応する方に対して内嵌された状態になっている。また、各金属円環16は、その一部(たとえば、軸方向Xにおける端部の2mm程度)がパイプ10の端部10Aおよび端部10Bから軸方向Xにおける外側へはみ出すようにしておくと好ましい。そのためには、炭素繊維25のシート26と熱可塑性樹脂フィルム40とを芯材23の外周面23Aに巻き付ける工程において、各金属円環16の当該一部には、シート26と熱可塑性樹脂フィルム40とを巻き付けないようにすればよい。
次に、金属円環16の内周面16Bに雌ねじ部19を形成する。雌ねじ部19は、内周面16Bの全域に亘って形成されている。
図7は、図6の次の工程を示す模式的な断面図である。
図7を参照して、第1金属部品17の小径部21の外周面には、雄ねじ部20が設けられている。第1金属部品17の雄ねじ部20には、左方X1側の金属円環16の雌ねじ部19がねじ締結される。これにより、第1金属部品17は、この金属円環16の内周面16Bとねじ締結され、この金属円環16を介してパイプ10の端部10Aに締結された状態になる。
一方、第2金属部品18の小径部21の外周面にも、雄ねじ部20が設けられている。第2金属部品18の雄ねじ部20には、右方X2側の金属円環16の雌ねじ部19がねじ締結される。これにより、第2金属部品18は、この金属円環16の内周面16Bとねじ締結され、この金属円環16を介してパイプ10の端部10Bに締結された状態になる。
以上により、パイプ10は、軸方向Xにおける両端部10Aおよび10Bにおいて、第1金属部品17および第2金属部品18に強固に締結された状態になり、バー状部品22の製造が完了する。
完成したバー状部品22において、金属円環16の一部は、前述したように、パイプ10から軸方向Xにおける外側へはみ出している。そのため、パイプ10が第1金属部品17および第2金属部品18に対して曲がろうとしたときに、第1金属部品17および第2金属部品18は、パイプ10ではなく金属円環16に接触することになるので、パイプ10の端部10Aおよび10Bのそれぞれが第1金属部品17および第2金属部品18において対応する方に接触することを防止できる。これにより、第1金属部品17および第2金属部品18との接触によるパイプ10の破損を防止することができる。
図8は、図7において一点鎖線で囲った部分を拡大した図である。
熱可塑性樹脂フィルム40がプレス成形工程において加圧しながら加熱されることで、図8に示すように、熱可塑性樹脂28は、金属円環16の外周面16Aの凹凸部27に沿った形状で固化している。そのため、パイプ10の端部10Aおよび10Bは、金属円環16の外周面16Aに対して密着することができる。このとき、前述したように、最内層に熱可塑性樹脂フィルム40が巻き付けられていることから、熱可塑性樹脂28は、凹凸部27の凹部29に入り込みやすいので、パイプ10と金属円環16との連結部の強度が向上される。
このように、パイプ10は、対応する金属円環16の外周面16Aに対して、外嵌固定(抜け止め)されている。なお、この状態の金属円環16は、パイプ10の端部10Aおよび10Bに対して軸方向Xにずれないし、周方向にもずれないように位置決めされている。
そして、第1金属部品17および第2金属部品18と金属円環16とは、ねじ締結されているため、金属円環16に余計な力を加えることなく、パイプ10の端部10Aおよび10Bと第1金属部品17および第2金属部品18とを確実かつ強固に締結させることができる。そのため、金属円環16の外周面16Aがパイプ10に食い込むことがないことから、パイプ10における炭素繊維25は切断されることはないので、パイプ10の強度は、低減されない。
しかし、このように炭素繊維25が切断されないパイプ10であっても、ラックバー8の発生応力(軸方向Xにおける引張応力や圧縮応力)に対する性能を満足しないことがある。ラックバー8に軸方向Xにおける引張応力や圧縮応力がかかった場合、パイプ10と第1金属部品17および第2金属部品18のそれぞれとの締結部にも軸方向Xにおける引張応力や圧縮応力がかかる。その結果、当該締結部においてパイプ10が破損する虞がある。詳しくは、軸方向Xにおける引張応力や圧縮応力によって当該締結部付近のパイプ10内の炭素繊維25が座屈し、いわゆるキンクバンド圧縮破壊が起こる。当該圧縮破壊は、パイプ10の強度不足に起因する。具体的には、パイプ10における樹脂の靭性不足と炭素繊維25の圧縮強度不足とによる。
前述したように、本実施形態のパイプ10では、繊維強化樹脂としてCFRTPを用いている。CFRTP以外にも、代表的な繊維強化樹脂として、マトリックス樹脂にエポキシ樹脂などの一般的な熱硬化性樹脂を用いた炭素繊維強化樹脂(いわゆるCFRP)が挙げられるが、熱硬化性樹脂は、熱可塑性樹脂よりも靭性が低い。
そのため、衝撃荷重により損傷を受けたCFRPやCFRTPなどの繊維強化樹脂の圧縮強さである衝撃後圧縮(CAI:Compression After Impact)強度は、CFRTPの方がCFRPよりも高い。よって、本実施形態のようにCFRTP製のパイプ10を用いることがパイプ10の破損防止の観点から好ましい。
また、パイプ10は、炭素繊維25が延びる方向に対する圧縮強度が高く、繊維25が延びる方向と直交する方向に対する圧縮強度が低い。そのため、炭素繊維25が延びる方向が軸方向Xに向いたパイプ10を形成することで、パイプ10の強度を向上させることができる。
図9(a)は、図8において一点鎖線で囲った部分を拡大した図であり、図9(b)は、図9(a)に比較例を適用した図である。
図9(a)を参照して、前述したように、本実施形態では、シートワインディング法を用いている。そのため、炭素繊維25の延びる方向D1を軸方向Xに合わせるようにシート26の向きを調節してシート26を芯材23の外周面23Aに巻き付けることができる。また、必要なパイプ10の強度に合わせてシート26を積層する枚数の調節は、容易である。
ここで、樹脂を芯材23等に巻き付ける方法としては、シートワインディング法以外にも、繊維状の樹脂を芯材23等に巻き付けるフィラメントワインディング法等がある。
図9(b)を参照して、フィラメントワインディング法を用いた比較例におけるパイプ30では、繊維状の炭素繊維31および熱可塑性樹脂を芯材23の外周面23Aの周方向Cまたは周方向Cに対して斜めの方向D2に沿って螺旋状に巻き付ける。そのため、比較例では、炭素繊維31は、図9(b)に示すように、方向D2に沿って延びるように配向されている。よって、フィラメントワインディング法を用いる比較例では、軸方向Xと一致するように炭素繊維31を配向させることはできない。そのため、パイプ30は、軸方向Xにおける引張応力や圧縮応力によって、キンクバンド圧縮破壊される虞がある。よって、フィラメントワインディング法において当該圧縮破壊を防止するためには、パイプ30の肉厚を増大させる必要がある。これにより、ラックバー8にCFRTP製のパイプ10を用いることの軽量化効果が失われる。逆にいうと、シートワインディング法を用いることによって、フィラメントワインディング法を用いた場合よりもパイプ10の肉厚を低減させることができる。そのため、シートワインディング法を用いた場合、パイプ10の軽量化および設計性の向上が可能である。
このようにシートワインディング法を用いることで、炭素繊維25が配向する方向D1と積層されるシート26の枚数とを任意に調整することによりパイプ10の強度を向上させることができる。よって、パイプ10の破損を防止することができる。
このように、本実施形態では、熱可塑性樹脂を用いることで樹脂の靭性が向上され、シートワインディング法を用いることで炭素繊維25の圧縮強度が向上される。これにより、ラックバー8の発生応力に対するパイプ10と第1金属部品17および第2金属部品18との締結部の強度(曲げ締結強度)が向上され、キンクバンド圧縮破壊を抑制することができる。
ここで、熱可塑性樹脂フィルム40を用いてパイプ10を形成するのに要する時間は、熱硬化性樹脂を用いてパイプ10を形成する際に必要な硬化時間よりも短い。
具体的には、CFRP製のパイプを形成する工程において熱硬化性樹脂の硬化に要する時間は、熱硬化性樹脂の流動化に要する時間および熱硬化性樹脂の昇温に要する時間を含め5時間以上であり、自動車部品製造のサイクルタイムとしては非常に長く、製造コスト増大の要因となっている。一方、本実施形態のように、CFRTPは、高温で軟化溶融するため、前述したようにプレス成形加工(熱プレス)が可能である。そのため、CFRTP製のパイプ10をプレス成形工程によって形成するために要する時間、すなわち熱可塑性樹脂フィルム40が充分流動化し炭素繊維25内に均一に含浸されるまでの時間は、1分から15分である。そのため、CFRTP製のパイプ10は、CFRP製のパイプと比較して短時間(低サイクルタイム)で製造することができる。
また、本実施形態とは異なり、熱可塑性樹脂フィルム40を用いずに予め熱可塑性樹脂を含浸させた炭素繊維のシート(つまり、CFRTPシート)を用いる場合、CFRTPシートは、常温ではタック性(粘性)がなく、曲げるのは困難である。そのため、パイプを形成するためには、プレス金型33の凹部34Aおよび35Aに沿わせるために、CFRTPシートを加熱する必要がある。さらに、加熱した2枚のCFRTPシートを溶着させる必要がある。よって、CFRTPシートを用いる場合、本実施形態で用いたシートワインディング方法を用いることができないため、加工工程に手間がかかり、結果として製造コストが増大する虞がある。
一方、本実施形態において、芯材23の外周面23Aに巻き付けられる段階における炭素繊維25のシート26には、熱可塑性樹脂が含浸されていないので、加熱しなくても、このシート26を外周面23Aに巻き付けることが可能である。そして、シート26とともに外周面23Aに巻き付けられた熱可塑性樹脂フィルム40を加圧および加熱することによって、熱可塑性樹脂の炭素繊維25への含浸と、パイプ10の形成とを同時に行うことができる。
よって、あらかじめ熱可塑性樹脂を含浸させた炭素繊維25のシート26を用いる場合とは異なり、炭素繊維25のシート26を芯材23の外周面23Aに巻き付ける際に要する加熱等の手間を省くことができ、結果として製造コストの低減を図ることができる。
また、シートワインディング法は、フィラメントワインディング法とは異なり、樹脂の繊維化が不要であるため製造コストの低減を図ることができる。
また、従来の方法として、シートワインディング法によってシート状の炭素繊維を芯材23の外周面23Aに巻き付けた後に、射出成形によって外周面23Aに巻き付けられたシート状の炭素繊維に熱可塑性樹脂を流し込み、シート状の炭素繊維の複数の層同士を接着する方法もある。本実施形態のように、プレス成形のみでパイプ10が形成される場合は、射出成形が不要であるため、射出成形を用いる従来の手法よりも成形に要する時間を短縮することができる。
以上のように、本実施形態では、CFRTP製のパイプ10を有するバー状部品22を構成する場合において、バー状部品22の製造コストの低減を図りつつ、パイプ10の破損を防止することができる。
また、パイプ10内に含まれる炭素繊維25の充填量(パイプ10の体積に占める炭素繊維25の体積の割合)は、35%〜70%が望ましい。充填量が35%を下回ると、ラックバー8に必要な強度および剛性を確保できない。一方、充填量が70%を上回ると、プレス成形工程において、熱可塑性樹脂が炭素繊維25内に充分かつ均一に含浸しない。本実施形態では、熱可塑性樹脂フィルム40の厚さおよび枚数によって調整することができるし、熱可塑性樹脂フィルム40の枚数と炭素繊維25のシート26枚数との比率によって調整することもできる。
次に、本発明の第1変形例について説明する。
図10は、第1変形例のラックバー8およびその周辺を示した図である。
図10を参照して、第1変形例のラックバー8では、パイプ10が、ラック15を有している。第1変形例の場合、ラック15は、炭素繊維25のシート26と熱可塑性樹脂フィルム40とを加圧する工程(プレス成形工程)で形成される。具体的には、第1金型34または第2金型35に、ラック15に相当するラック形状のメス型(図示しない)を設けておく(図5も参照)。プレス成形工程において、第1金型34および第2金型35のいずれかにラック形状のメス型を設けたプレス金型33を用いる。熱可塑性樹脂フィルム40を構成する熱可塑性樹脂の融点付近まで加熱し加圧することで、熱可塑性樹脂フィルム40がプレス金型33内で溶融、固化され、パイプ10の外周面10Dにラック15が形成される(図5も参照)。一方、第1変形例の第2金属部品18には、ラック15は形成されておらず、第2金属部品18は、右方X2の継手11に隣接する部分のみに配置されている。このように、CFRTPは、プレス成形工程における高温での熱プレスによって、パイプ10の成形と同時にラック15の成形することができる。
これにより、ラックバー8に占めるパイプ10の割合を増大させることができるため、ラックバー8の軽量化を図ることができる。なお、当該軽量化によって、ラックバー8の重量は、80%低減される。また、ラック15は、パイプ10を切削することで形成されるのではなく、炭素繊維25のシート26と熱可塑性樹脂フィルム40とを加圧する際に形成されることから、炭素繊維25が切断されることはないので、ラック15の形成に起因するバー状部品22の強度を向上させることができる。
ただし、パイプ10に成形したラック15は、第2金属部品18に切削加工によって成形したラック15と比較して寸法精度は劣る。
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、本実施形態では、第1金属部品17および第2金属部品18に設けられた雄ねじ部20にねじ締結される雌ねじ部19を金属円環16の内周面16Bに設ける工程は、マンドレル24からパイプ10が引き抜かれた後に行われているが、当該工程は、金属円環16がマンドレル24に外嵌される前に行われてもよい。
また、本実施形態では、プレス成形工程において、熱可塑性樹脂フィルム40を加圧しながら加熱したが、炭素繊維25のシート26と熱可塑性樹脂フィルム40とを加熱してから加圧しても、バー状部品22の製造コストの低減を図りつつ、パイプ10の破損を防止することができる。
また、前述した実施形態のバー状部品22は、パイプ10の両端部(端部10Aおよび端部10Bの両方)に金属部品(第1金属部品17および第2金属部品18)を締結する構成であったが、当該両端部の一方だけに金属部品が締結される構成でも構わない。
また、前述した実施形態のバー状部品22は、ラックバー8であったが、ラックバー8以外のバー状部品(たとえば各種シャフト、ロッド、パイプ状部品)として構成してもよい。
1…ステアリング装置、8…ラックバー、10…パイプ、10A…端部、10B…端部、15…ラック、16…金属円環、16A…外周面、16B…内周面、17…第1金属部品、18…第2金属部品、19…雌ねじ部、20…雄ねじ部、22…バー状部品、23…芯材、23A…外周面、24…マンドレル、25…炭素繊維、26…シート、40…熱可塑性樹脂フィルム、X…軸方向、R…径方向

Claims (10)

  1. 炭素繊維強化熱可塑性樹脂製のパイプと、前記パイプの軸方向における端部に締結される金属部品とを含むバー状部品の製造方法であって、
    前記軸方向に延びる金属製のマンドレルに対して、粗面加工が施された外周面を有する金属円環を外嵌することによって、前記マンドレルと前記金属円環とを含む芯材を準備する工程と、
    炭素繊維のシートと熱可塑性樹脂フィルムとを前記芯材の外周面に巻き付けて積層する工程と、
    前記芯材の外周面に巻き付けられた前記シートおよび前記熱可塑性樹脂フィルムを加圧しながら加熱することで前記熱可塑性樹脂フィルムを溶融させる工程と、
    溶融して前記炭素繊維に含浸した熱可塑性樹脂を冷却することで、前記金属円環の外周面に対して前記端部が外嵌固定された前記パイプを形成する工程と、
    前記芯材のうち前記マンドレルだけを前記パイプから引き抜く工程と、
    前記金属部品と前記金属円環の内周面とをねじ締結させる工程と、
    を含むことを特徴とする、バー状部品の製造方法。
  2. 炭素繊維強化熱可塑性樹脂製のパイプと、前記パイプの軸方向における端部に締結される金属部品とを含むバー状部品の製造方法であって、
    前記軸方向に延びる金属製のマンドレルに対して、粗面加工が施された外周面を有する金属円環を外嵌することによって、前記マンドレルと前記金属円環とを含む芯材を準備する工程と、
    炭素繊維のシートと熱可塑性樹脂フィルムとを前記芯材の外周面に巻き付けて積層する工程と、
    前記芯材の外周面に巻き付けられた前記シートおよび前記熱可塑性樹脂フィルムを加熱してから加圧することで前記熱可塑性樹脂フィルムを溶融させる工程と、
    溶融して前記炭素繊維に含浸した熱可塑性樹脂を冷却することで、前記金属円環の外周面に対して前記端部が外嵌固定された前記パイプを形成する工程と、
    前記芯材のうち前記マンドレルだけを前記パイプから引き抜く工程と、
    前記金属部品と前記金属円環の内周面とをねじ締結させる工程と、
    を含むことを特徴とする、バー状部品の製造方法。
  3. 前記シートと前記熱可塑性樹脂フィルムとを前記芯材の外周面に巻き付けて積層する工程は、前記シートと前記熱可塑性樹脂フィルムとを前記芯材の外周面に交互に巻き付けて積層する工程を含むことを特徴とする、請求項1または2記載のバー状部品の製造方法。
  4. 前記シートと前記熱可塑性樹脂フィルムとを前記芯材の外周面に巻き付けて積層する工程は、前記芯材の外周面の径方向における最も内側に前記熱可塑性樹脂フィルムを巻き付ける工程を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のバー状部品の製造方法。
  5. 前記シートと前記熱可塑性樹脂フィルムとを前記芯材の外周面に巻き付けて積層する工程は、前記金属円環の一部が前記軸方向における外側へはみ出すように前記シートと前記熱可塑性樹脂フィルムとを前記芯材の外周面に巻き付けて積層する工程を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のバー状部品の製造方法。
  6. 前記金属部品に設けられた雄ねじ部にねじ締結される雌ねじ部を、前記金属円環の内周面に形成する工程を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のバー状部品の製造方法。
  7. 前記バー状部品は、ラックアンドピニオン式のステアリング装置に含まれるラックバーを構成していることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のバー状部品の製造方法。
  8. 前記パイプは、ラックを有し、
    前記ラックは、前記シートおよび前記熱可塑性樹脂フィルムを加圧する工程で形成されることを特徴とする、請求項7記載のバー状部品の製造方法。
  9. 前記金属部品は、ラックを有することを特徴とする、請求項7記載のバー状部品の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする、バー状部品。
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