JP2015137253A - フッ素含有カルボン酸誘導体 - Google Patents

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鈴木 秀幸
Hideyuki Suzuki
秀幸 鈴木
公男 東山
Kimio Higashiyama
公男 東山
貴靖 山内
Takayasu Yamauchi
貴靖 山内
由光 谷川
Yoshimitsu Tanigawa
由光 谷川
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Abstract

【課題】種々の神経因性疼痛を含む慢性疼痛などの疼痛の予防及び/又は治療のための医薬の有効成分などに有用なフッ素含有カルボン酸誘導体の提供。
【解決手段】一般式(I)で表されるフッ素含有カルボン酸誘導体、又はその塩若しくはそのエステル。
Figure 2015137253

(R1は少なくとも1個のフッ素原子で置換されたC1〜5個のアルキル基(例えば2-フルオロエチル基、2,2-ジフルオロエチル基等);R2及びR3は各々独立にH、アルキル基、アルケニル基、又はアシル基)
【選択図】なし

Description

本発明は、種々の神経因性疼痛を含む慢性疼痛などの疼痛の予防及び/又は治療のための医薬の有効成分などに有用なフッ素含有カルボン酸誘導体に関する。
慢性疼痛の治療には抗鬱薬やモルヒネなどの中枢抑制作用薬や非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)などが用いられており、最近では、抗てんかん薬であるガバペンチンやプレガバリンが汎用されるようになっている。しかしながら、ガバペンチンやプレガバリンなどのγ−アミノ酸誘導体は中枢神経系に対する抑制が強く、眠気や眩暈が高頻度に発生する。中枢神経に対する作用の減弱を狙って多くのγ−アミノ酸誘導体が合成されているが、所望の化合物は得られていない。その中にあって、プレガバリンの炭素原子をケイ素原子に置換した誘導体が合成され、特徴ある活性を示している(国際公開WO 2012/144551; Bioorg. Med. Chem. Lett., 22, pp.7602-7604, 2012)。
プレガバリンの炭素上の水素をフッ素に置換した化合物は、フッ素の高い電気陰性度に起因する特異で新規な作用を有する可能性がある。すでに幾つかのフッ素置換化合物(β-トリフルオロメチル-γ-アミノ酪酸)などの合成が報告されているが、活性については述べられていない(J. Fluorine Chemistry, 131, pp.224-228, 2010; ACS Catalysis, 3, pp.502-506, 2013)。
国際公開WO 2012/144551
Bioorg. Med. Chem. Lett., 22, pp.7602-7604, 2012 J. Fluorine Chemistry, 131, pp.224-228, 2010 ACS Catalysis, 3, pp.502-506, 2013 J. Org. Chem. 44, pp.771-777, 1979 J. Fluorine Chem., 101, pp.5-10, 2000 Bioorg. Med. Chem. Lett., 19, pp.3919-3923, 2009 Tetrahedron, 51, pp.1903-1920, 1995
本発明の課題は、医薬の有効成分などに有用なフッ素含有カルボン酸を提供することにある。より具体的には、本発明の課題は、種々の神経因性疼痛を含む慢性疼痛などの疼痛の予防及び/又は治療のための医薬の有効成分などに有用なフッ素含有カルボン酸誘導体を提供することにある。
本発明者らは有用なフッ素含有カルボン酸誘導体を提供すべく鋭意研究を行ったところ、下記の一般式(I)で表される化合物が強力な鎮痛作用を有しており、中枢神経に対する抑制作用が顕著に軽減されていることから、医薬の有効成分として極めて有用であることを見出した。本発明は上記の知見を基にして完成されたものである。
すなわち、本発明により、下記の一般式(I):
Figure 2015137253
(式中、R1は少なくとも1個のフッ素原子で置換された炭素数1〜5個のアルキル基を示し;R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、又はアシル基を示す)で表される化合物、又はその塩若しくはそのエステルが提供される。
本発明の好ましい態様によれば、R1は2-フルオロエチル基、2,2-ジフルオロエチル基、又は2,2,2-トリフルオロエチル基を示し;R2及びR3が水素原子である上記の化合物、又はその塩若しくはそのエステルが提供される。
別の観点からは、本発明により、上記一般式(I)で表される化合物又は生理学的に許容されるその塩若しくはそのエステルを有効成分として含む医薬が提供される。
この発明の好ましい態様によれば、疼痛、好ましくは慢性疼痛、さらに好ましくは神経因性疼痛の予防及び/又は治療のために用いる上記の医薬が提供される。
また、上記医薬の製造のための上記一般式(I)で表される化合物又は生理学的に許容されるその塩若しくはそのエステルの使用;ヒトを含む哺乳類動物の疾病、好ましくは疼痛、さらに好ましくは慢性疼痛の予防及び/又は治療方法であって、上記一般式(I)で表される化合物又は生理学的に許容されるその塩若しくはそのエステルの予防及び/又は治療有効量をヒトを含む哺乳類動物に投与する工程を含む方法が本発明により提供される。
本発明の化合物は鎮痛作用を有しており、中枢神経に対する抑制作用が顕著に軽減されていることから、神経因性疼痛などの疼痛に対して高い有効性と安全性を有する医薬の有効成分として有用である。
実施例で合成したIT-S-21103A及びIT-S-21103BのCDスペクトル解析の結果を示した図である。
R1は少なくとも1個のフッ素原子で置換された炭素数1〜5個のアルキル基を示し、好ましくは少なくとも1個のフッ素原子で置換された炭素数1〜4個のアルキル基を示す。本明細書においてアルキル基の用語は直鎖状、分枝鎖状、若しくは環状、又はそれらの組み合わせからなるアルキル基を包含する。R1としては、少なくとも1個のフッ素原子で置換された直鎖状の炭素数1〜4個のアルキル基が特に好ましい。
R1が示すフルオロアルキル基において、フッ素原子の個数及び置換位置は特に限定されないが、末端の炭素原子がフッ素原子により置換されていることが好ましい。末端の炭素原子が1個、2個、又は3個のフッ素原子で置換されている場合は本発明の好ましい態様である。より具体的には、R1が示すフルオロアルキル基が、例えばモノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2-フルオロエチル基、2,2-ジフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、3-フルオロプロピル基、3,3-ジフルオロプロピル基、又は3,3,3-トリフルオロプロピル基となる場合などが好ましく、R1が示すフルオロアルキル基がモノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2-フルオロエチル基、2,2-ジフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、又は3,3,3-トリフルオロプロピル基となる場合がさらに好ましい。特に好ましいのは、、R1が示すフルオロアルキル基トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、又は3,3,3-トリフルオロプロピル基となる場合である。また、R1が示すフルオロアルキル基はパーフルオルアルキル基であってもよく、R1がペンタフルオロエチル基などであってもよい。
R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、又はアシル基を示す。R2及びR3が示すアルキル基の炭素原子数は特に限定されないが、例えば1〜18個、好ましくは1〜12個、さらに好ましくは1〜6個、特に好ましくは1〜4個程度である。本明細書において、アルケニル基は直鎖状、分枝鎖状、環状、又はそれらの組み合わせからなるアルケニル基を包含する。アルケニル基の炭素原子数は特に限定されないが、例えば2〜18個、好ましくは2〜12個、さらに好ましくは2〜6個、特に好ましくは2〜4個程度である。アルケニル基に含まれる二重結合の数は、例えば1〜3個、好ましくは1又は2個、特に好ましくは1個程度である。
本明細書において、アシル基としてはアルキルカルボニル基又はアリールカルボニル基を包含するが、アルキルカルボニル基を構成するアルキル基又はアリールカルボニル基を構成するアリール基には置換基が存在していてもよい。アリール基としてはフェニル基やナフチル基のほか、環構成ヘテロ原子を1個以上含むアリール基(ピリジル基やピリミジル基など)であってもよい。置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基、オキソ基、カルボキシル基などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。R2及びR3が示すアシル基としては、例えばアセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基、p-メトキシベンゾイル基などを例示することができるが、これらに限定されることはない。
一般式(I)で表される化合物は酸付加塩又は塩基付加塩を形成する場合がある。酸付加塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩などの鉱酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、シュウ酸塩、リンゴ酸塩などの有機酸塩などを用いることができるが、これらに限定されることはない。塩基付加塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、若しくはカルシウム塩などの金属塩、アンモニウム塩、又はトリエチルアミン塩若しくはエタノールアミン塩などの有機アミン塩などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。これらの塩のうち、生理学的に許容される塩は本発明の化合物を医薬の有効成分として用いる場合に好ましい。
一般式(I)で表される化合物におけるカルボキシル基はエステルを形成していてもよい。エステルの具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、ベンジル基、アセトキシメチル基、1-(アセトキシ)エチル基、プロピオニルオキシメチル基、1-(プロピオニルオキシ)エチル基、ブチリルオキシメチル基、1-(ブチリルオキシ)エチル基、イソブチリルオキシメチル基、1-(イソブチリルオキシ)エチル基、バレリルオキシメチル基、1-(バレリルオキシ)エチル基、イソバレリルオキシメチル基、1-(イソバレリルオキシ)エチル基、ピバロイルオキシメチル基、1-(ピバロイルオキシ)エチル基、メトキシカルボニルオキシメチル基、1-(メトキシカルボニルオキシ)エチル基、エトキシカルボニルオキシメチル基、1-(エトキシカルボニルオキシ)エチル基、プロポキシカルボニルオキシメチル基、1-(プロポキシカルボニルオキシ)エチル基、イソプロポキシカルボニルオキシメチル基、1-(イソプロポキシカルボニルオキシ)エチル基、ブトキシカルボニルオキシメチル基、1-(ブトキシカルボニルオキシ)エチル基、イソブトキシカルボニルオキシメチル基、1-(イソブトキシカルボニルオキシ)エチル基、t-ブトキシカルボニルオキシメチル基、1-(t-ブトキシカルボニルオキシ)エチル基、シクロペンタンカルボニルオキシメチル基、1-(シクロペンタンカルボニルオキシ)エチル基、シクロヘキサンカルボニルオキシメチル基、1-(シクロヘキサンカルボニルオキシ)エチル基、シクロペンチルオキシカルボニルオキシメチル基、1-(シクロペンチルオキシカルボニルオキシ)エチル基、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシメチル基、1-(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル基、ベンゾイルオキシメチル基、1-(ベンゾイルオキシ)エチル基、フェノキシカルボニルオキシメチル基、1-(フェノキシカルボニルオキシ)エチル基、(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソレン-4-イル)メチル基、又は2-トリメチルシリルエチル基などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
また、一般式(I)で表される化合物は1個の不斉炭素を有しており、さらに置換基の種類に応じて1個又は2個以上の不斉炭素を有する場合があるが、これらの不斉炭素に基づく任意の光学異性体、光学異性体の任意の混合物、ラセミ体、2個以上の不斉炭素に基づくジアステレオ異性体、ジアステレオ異性体の任意の混合物などは、いずれも本発明の範囲に包含される。一般式(I)で表される化合物が二重結合を含む場合には幾何異性体が存在するが、純粋な形態のZ体又はE体のほか、それらの任意の割合の混合物も本発明の範囲に包含される。さらに、遊離化合物又は塩の形態の化合物の任意の水和物又は溶媒和物も本発明の範囲に包含される。
さらに、一般式(I)で表される化合物において、水素原子の一部又は全部が重水素で置換されていてもよい。例えば、佐治木らの方法(Sajiki et al., Tetrahedron Letters, 46, pp.6995-6998, 2005; 有機合成化学協会誌, 65, pp.1179-1189, 2007年)に従って、パラジウム炭素触媒などの金属触媒及び重水などの重水素化溶媒の存在下で少量の水素分子(H2)を作用させることにより水素原子(軽水素)を重水素に置換することができる。反応は例えば80〜150℃程度の温度で数時間から数日間行えばよい。重水素化された化合物の構造及び重水素による置換位置は1H-NMRおよび13C-NMRにより容易に確認することができる。重水素化率は特に制限されないが、例えば90%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上であり、必要に応じて上記の反応を適宜繰り返せすことにより、さらに重水素化率を高めた化合物を製造することができる。
一般式(I)で表される本発明の化合物は、フッ素化された適宜の出発原料を用い、本明細書の実施例に具体的に示した方法により合成することができる。アミノ酸及びカルボキシル基を有する化合物の合成方法としては、例えばプレガバリン及びその類縁体の合成方法(米国特許第5,563,175号、同第5,840,956号、同第5,637,767号、同第5,629,447号、同第5,616,793号、及び同第5,563,175号など)を参照することもできる。
一般式(I)で表される本発明の化合物の用途は特に限定されないが、例えば、医薬の有効成分として使用することができる。医薬の用途としては、例えば、てんかん、疼痛、炎症、胃腸障害、不眠症、精神障害、又は糖尿病性末梢神経障害などの予防及び/又は治療などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。本発明の化合物は、例えばプレガバリンやガバペンチンと同様の薬理作用を有することが期待されることから、例えば国際公開WO 2010/017498の段落[0003]などに記載された具体的用途に使用することができる。上記特許文献の開示の全てを参照により本明細書の開示に含める。
本発明の医薬の好適な適用対象として神経因性疼痛を挙げることができる。神経因性疼痛は末梢性と中枢性の痛覚からなる(米国特許第 6211171号)。種々の末梢神経や、神経根、脊髄や脳の一部の障害や、ヘルペス(herpes zoster)のようなウイルスの感染、制癌剤の使用など様々な要因によって、異痛症(allodynia)、神経過敏性疼痛(hyperalgesia)や慢性の疼痛(prolonged response duration)のような種々の神経因性疼痛が引き起こされる。リウマチや痛風のような炎症も強い痛みを伴うことが多い。糖尿病性疼痛、帯状疱疹後疼痛、線維筋痛症、むずむず病(restless legs syndromes)も神経因性疾患と考えられる。また、痒みも痛みと非常に類似しているところがある。
本発明の医薬の適用対象となる神経因性疼痛は特に限定されないが、例えば、糖尿病性疼痛、帯状疱疹後疼痛、線維筋痛症などに適用することもできる。また、本発明の医薬の適用対象は神経因性疼痛に限定されることはなく、種々の末梢性あるいは中枢性の神経障害性疼痛として有痛性糖尿病ニューロパチー、複合性局所疼痛症候群、化学療法による神経障害、癌性疼痛、HIV感覚神経障害、HIV脊髄症、幻肢痛、三叉神経痛、坐骨神経痛、口腔顔面痛、急性または慢性炎症性の脱髄性多発神経根症、アルコール性神経障害、手根管症候群、指関節痛、ばね指、医原性神経障害、腫瘍による神経圧迫または浸潤による神経障害、放射線照射後神経障害、中毒性末梢神経障害、外傷性末梢神経損傷後疼痛、舌咽神経痛、自己免疫性神経障害、急性又は慢性又は難治性の筋・筋膜疼痛、脳卒中後疼痛、外傷性脊髄損傷後疼痛、多発性硬化症やパーキンソン病に伴う痛み、脊柱管狭窄やヘルニア痛やいわゆる腰痛、頚椎症や靭帯骨化症に起因する痛み、口内炎、肩周囲関節炎、関節リウマチや変形性関節症の痛み、侵害受容器性の疼痛、切り傷、擦り傷、骨折痛、打撲、透析の際の透析針の挿入による痛みや透析に起因する痒み、老人性あるいは神経性掻痒症、頭皮の痒み、アトピー性皮膚炎、むずむず病(restless legs syndromes)、手足のしびれ、抜歯後の疼痛、術後の疼痛、あるいは術前投与による疼痛予防などに用いることができる。さらに、虫刺されなどによる急性局所アレルギー症状の掻痒感を軽減するためにも使用することができる。
一般式(I)で表される本発明の化合物又は生理学的に許容されるその塩を医薬として用いる場合には、医薬として上記化合物又は生理学的に許容されるその塩、あるいはそれらの水和物や溶媒和物をそのままヒトを含む哺乳類動物に投与してもよいが、好ましくは、当業者に周知の方法によって製造可能な経口用あるいは非経口用の医薬組成物として投与することができる。経口投与に適する医薬用組成物としては、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、液剤、及びシロップ剤等を挙げることができ、非経口投与に適する医薬組成物としては、例えば、座剤、吸入剤、軟膏剤、クリーム剤、貼付剤、経皮吸収剤、又は経粘膜吸収剤等を挙げることができる。
これらの医薬組成物の製造には、当業者に利用可能な1種又は2種以上の製剤用添加物を用いることができる。製剤用添加物としては、例えば、賦形剤、崩壊剤ないし崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、色素、希釈剤、基剤、溶解剤ないし溶解補助剤、安定化剤、噴射剤、及び粘着剤等を挙げることができるが、これらは医薬組成物の形態に応じて当業者が適宜選択することができ、2種以上を組み合わせて用いてもよい。医薬の投与量は特に限定されず、患者の体重や年齢、疾患の種類や症状、投与経路など通常考慮すべき種々の要因に応じて、適宜増減することができる。例えば、経口投与の場合には成人一日あたり 0.001 〜10,000 mg程度の範囲で用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は以下の実施例に限定されることはない。
例1
以下のスキームに従って3-アミノメチル-5,5,5-トリフルオロペンタン酸を合成した。
Figure 2015137253
(a)3,3,3-トリフルオロプロピオンアルデヒド
(3,3,3-トリフルオロプロプ-1-エニルオキシメチル)ベンゼン (2.02 g, 10 mmol)に水(0.54 g, 30 mmol)、35%塩酸 (0.11 g, 3 mmol)を加え、反応温度100-120℃で加熱撹拌した。留出してくる沸点55-57℃の留分を集めて3,3,3-トリフルオロプロピオンアルデヒド(1.04 g, 9.3 mmol, 93%)を得た。各種機器データは文献値と一致した(特許第5003072号、特許第4372091号)
(b)5,5,5-トリフルオロ-3-ニトロメチルペンタン酸エチルエステル
LiCl (959 mg, 22.6 mmol) を反応容器に入れて窒素置換した後、-45℃でジメトキシエタン (12.2 mL)、トリエチルホスホノアセテート (4.53 mL, 22.6 mmol)を加え、トリエチルアミン (3.17 mL, 22.6 mmol)を徐々に滴下した。10分後、ジメトキシエタン (28.3 mL)に溶解した3,3,3-トリフルオロプロピオンアルデヒド (1.27 g, 11.3 mmol) を徐々に加え、一晩撹拌した。その後、ニトロメタン (43.5 mL, 170 mmol)、DBU (8.5 mL, 56.6 mmol)を徐々に加えた。2日後、反応溶液にクロロホルムと水を加えて有機層を分離後、水層をクロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:n-ヘキサン=4:1)にて精製して黄色油状物質(1.79 g, 7.38 mmol, 65%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ 1.28 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 2.36-2.46 (m, 2H), 2.60 (d, J = 6.4 Hz, 2H), 2.98 (sep, J = 6.3 Hz , 1H), 4.18 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 4.61 (d, J = 6.0 Hz, 2H)
13C NMR (CDCl3) δ 14.0, 28.6 (q, J = 2.7 Hz), 34.8 (q, J = 28.8 Hz), 34.9, 61.1, 77.0, 126.0 (q, J = 277.1 Hz), 171.5
FT-IR (neat) cm-1: 2988, 1733, 1558, 1380
MS m/z: CI, 244 (M++1), 113 (base peak)
HRMS (CI) m/z: [M+1]+ Calcd for C8H13NO4F3: 244.0796, Found 244.0777
(c)5,5,5-トリフルオロ-3-ニトロメチルペンタン酸
-5℃のテトラヒドロフラン (14.8 mL) に溶解した5,5,5-トリフルオロ-3-ニトロメチルペンタン酸エチルエステル (801 mg , 3.3 mmol)に水(37 mL)に溶解した水酸化ナトリウム(3.7 g, 82.5 mmol)を徐々に加えた。一晩撹拌後、10%クエン酸水溶液で反応溶液を酸性にした後、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=20:1)にて精製して黄色油状物質(638 mg, 2.91 mmol, 90%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ 2.37-2.48 (m, 2H), 2.70 (dd, J = 6.3, 0.6 Hz, 2H), 2.99 (sep, J = 6.3 Hz, 1H), 4.62 (d, J = 6.0 Hz, 2H), 6.68 (br, 1H)
13C NMR (CDCl3) δ 28.4 (q, J = 2.6 Hz), 34.8, 34.8 (q, J = 29.0 Hz), 77.5, 126.1 (q, J = 277.2 Hz), 176.4
FT-IR (neat) cm-1: 3048, 1716, 1556, 1382
MS m/z: ESI , 214 (M+-1), 62 (base peak)
HRMS (ESI) m/z: [M-1]+ Calcd for C6H7F3NO4: 214.033, Found 214.029
(d)3-アミノメチル-5,5,5-トリフルオロペンタン酸
5,5,5-トリフルオロ-3-ニトロメチルペンタン酸 (1.13 g , 5.28 mmol)を乾燥メタノール (10.5 mL)に溶解し、10% Pd/C (339 mg, 30% w/w)をゆっくり加えた。その後、水素置換下で中圧還元装置にて5 atmで接触還元を行った。20時間後、セライトでろ過し、ろ液を減圧留去した。得られた結晶を混合溶媒(イソプロパール/水)で再結晶して白色結晶(758 mg ,4.09 mmol, 78%)を得た。
mp: 170-171 ℃
1H NMR (D2O) δ 2.33-2.54 (m, 5H), 3.08 (dd, J = 13.2, 6.9 Hz, 1H), 3.18 (dd, J = 13.2, 5.0 Hz, 1H)
13C NMR (D2O) δ 29.5 (q, J = 2.4 Hz), 35.3 (q, J = 28.0 Hz), 40.5, 43.4, 127.3 (q, J = 276.7 Hz), 179.9
FT-IR (KBr) cm-1: 3350, 2793, 3351, 1547
MS m/z: ESI, 184 (M+-1), 369 (base peak)
HRMS (ESI) m/z: [M-1]+ Calcd for C6H9F3NO2: 184.0585, Found 184.0568
Anal. Calcd: C, 38.92; H, 5.44; N, 7.57. Found: C, 38.65; H, 5.40; N, 7.52.
例2
(a)6,6,6-トリフルオロ-3-ニトロメチルヘキサン酸エチルエステル
例1(b)と同様にして 4,4,4-トリフルオロブチルアルデヒドから6,6,6-トリフルオロ-3-ニトロメチルヘキサン酸エチルエステルを黄色油状物質として得た(93%)。
1H NMR (CDCl3) δ 1.28 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 1.70-1.76 (m, 2H), 2.13-2.25 (m, 2H), 2.47 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 2.49 (d, J = 5.4 Hz, 1H), 2.69 (sep, J = 6.5 Hz, 1H), 4.18 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 4.48 (dd, J = 12.6, 6.1 Hz, 1H), 4.56 (dd, J = 12.6, 6.0 Hz, 1H)
13C NMR (CDCl3) δ 14.2, 23.9 (q, J = 3.2 Hz), 31.2 (q, J = 29.3 Hz), 33.3, 35.5, 61.2, 77.9, 126.7 (q, J = 276.3 Hz), 171.1
FT-IR (neat) cm-1: 2987, 1731, 1557, 1383
MS m/z: CI, 258 (M++1), 113 (base peak)
HRMS (CI) m/z: [M-1]+ Calcd for C9H15NO4F3: 258.0953, Found 258.0943.
(b)6,6,6-トリフルオロ-3-ニトロメチルヘキサン酸
例1(c)と同様にして6,6,6-トリフルオロ-3-ニトロメチルヘキサン酸エチルエステルから6,6,6-トリフルオロ-3-ニトロメチルヘキサン酸を黄色油状物質として得た(93%)。
1H NMR (MeOD) δ 1.67−1.73 (m, 2H), 2.22-2.35 (m, 2H), 2.46 (d, J = 6.6 Hz, 2H), 2.66 (sep, J = 6.5 Hz, 1H), 4.58 (dd, J = 13.0, 6.6 Hz, 1H), 4.62 (dd, J = 13.0, 6.3 Hz, 1H)
13C NMR (D2O) δ 24.3 (q, J = 2.9 Hz), 30.7 (q, J = 28.4 Hz), 33.7, 40.6, 43.6, 128.0 (q, J = 275.7 Hz), 180.8
FT-IR (neat) cm-1: 2926, 1709, 1553, 1387
MS m/z: ESI , 228 (M+-1), 479 (base peak)
HRMS (ESI) m/z: [M-1]+ Calcd for C7H9N1F3O4: 228.0484, Found 228.0452
(c)3-アミノメチル-6,6,6-トリフルオロヘキサン酸
例1(d)と同様にして6,6,6-トリフルオロ-3-ニトロメチルヘキサン酸から3-アミノメチル-6,6,6-トリフルオロヘキサン酸を白色結晶として得た(75%)。
mp: 154-155 ℃
1H NMR (MeOD) δ 1.58-1.71 (m, 2H), 2.02-2.11 (m, 1H), 2.02-2.46 (m, 4H), 2.92 (dd, J = 12.9, 7.6 Hz, 2H), 3.00 (dd, J = 12.9, 4.2 Hz, 2H)
13C NMR (CDCl3) δ 23.9 (q, J = 2.9 Hz), 31.2 (q, J = 29.3 Hz), 32.9, 35.3, 77.7, 126.6 (q, J = 276.3 Hz), 177.0
FT-IR (KBr) cm-1: 2944, 1532
MS m/z: ESI , 198 (M+-1), 397 (base peak)
HRMS (ESI) m/z: [M-1]+ Calcd for C7H11F3NO2: 198.0742, Found 198.0696
Anal. Calcd: C, 42.21; H, 6.07; N, 7.03. Found: C, 42.02; H, 6.11; N, 7.04
例3
(a)3-シアノ-5,5,5-トリフルオロペンタン酸エチルエステル
Figure 2015137253
文献記載 (J. Org. Chem., 46, pp.2757-2764, 1981)のジエステル体1 (7.7827 g, 39.07 mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド (40 mL)に溶かし、炭酸カリウム (7.0189 g, 50.78 mmol) 及び1,1,1-トリフルオロ-2-ヨードエタン (7.70 mL, 78.12 mmol)を加え、封管中80〜90℃Cにて112時間撹拌した。室温に戻したのち水 (50 mL) を加えてジエチルエーテルで3回抽出し、併せた有機層を水で1回、飽和食塩水で1回洗浄して無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。油状残渣 (9.4694 g) をN,N-ジメチルホルムアミド (40 mL) に溶かし、臭化リチウム一水和物 (4.9216 g, 46.93 mmol) を加えて120〜130℃にて16時間撹拌した。反応混合物を室温に戻し、0.5M塩酸 (90 mL) を加え、ジエチルエーテルで4回抽出し、併せた有機層を水で2回、飽和食塩水で1回洗浄して無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (BW-200, 100 g, eluent; 10%→15%→25% ジエチルエーテル/n-ヘキサン)で精製して目的物 (5.0600 g, 24.19 mmol, 62% from 1)を無色油状物として得た。
1H NMR (CDCl3) δ = 1.30 (3H, t, J = 7.0 Hz, OCH2CH3), 2.42-2.72 (2H, m, CH2CF3), 2.73 (1H, dd, J = 7.0, 16.4 Hz, CHHCO2Et), 2.81 (1H, dd, J = 7.0, 16.4 Hz, CHHCO2Et), 3.34 (1H, br quint, J = 7 Hz, CHCN), 4.23 (2H, q, J = 7.0 Hz, OCH2CH3)
13C NMR (CDCl3) δ = 13.96, 21.62, 35.32 (q, JC-F = 30.2 Hz), 35.62, 61.69, 118.71, 124.89 (q, JC-F = 275 Hz), 168.69
(b)3-シアノ-5,5,5-トリフルオロペンタン酸エチルエステルの酵素加水分解
Figure 2015137253
エステル2 (10.6278 g, 50.81 mmol)のリン酸バッファ水溶液 (0.1 M, pH 7.4, 210 mL)とジメチルスルホキシド (42 mL) 懸濁液に7.5〜10℃にてnovozyme 435 (51.1 mg, ca. 1 mg/mmol)を添加し、同温にて18時間撹拌した。novozyme 435をグラスフィルターでろ過し、酵素を水とジエチルエーテルで洗浄した。得られたろ液 (反応混合物) に10%クエン酸水溶液 (50 mL) をゆっくりと加え、液性を酸性化した。得られた水層をジエチルエーテルで7回抽出し、併せた有機層を5%炭酸ナトリウム水溶液で3回 (15 mL×3) 洗浄し、さらに有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液で1回、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去してエステル2A (4.7260 g, 22.59 mmol, 44%)を無色〜淡黄色油状物として得た。さらに光学的に純粋なエステル2Aを得るために上記酵素加水分解を複数回繰り返した。このようにして得たエステル2Aはシフト試薬の存在下において光学異性体の混在を認めなかった。
1H NMR (CDCl3)δ = 1.30 (3H, t, J = 7.0 Hz, OCH2CH3), 2.42-2.72 (2H, m, CH2CF3), 2.73 (1H, dd, J = 7.0, 16.4 Hz, CHHCO2Et), 2.81 (1H, dd, J = 7.0, 16.4 Hz, CHHCO2Et), 3.34 (1H, br quint, J = 7 Hz, CHCN), 4.23 (2H, q, J = 7.0 Hz, OCH2CH3)
13C NMR (CDCl3) δ = 13.96, 21.62, 35.32 (q, JC-F = 30.2 Hz), 35.62, 61.69, 118.71, 124.89 (q, JC-F = 275 Hz), 168.69
次いで、先に得ていたアルカリ性水層にpH 3程度になるまで10%クエン酸水溶液を注意深く加えて得られた水層を酢酸エチルで6回抽出し、併せた有機層を水で2回、飽和食塩水で1回洗浄して無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去してシアノカルボン酸3 (4.8849 g, 26.97 mmol, 53%)を白色粉末として得た。シアノカルボン酸3は室温での空気放置に不安定であるため、保存する際には冷凍保存とした。
(c)シアノカルボン酸3Aを得るための酵素加水分解
Figure 2015137253
シアノエステル2A (2.7229 g, 13.02 mmol) のリン酸バッファ水溶液 (0.1 M, pH 7.4, 55 mL) とジメチルスルホキシド (11 mL) 懸濁液に室温下でnovozyme 435 (130.1 mg, ca. 10 mg/mmol)を添加し、93時間撹拌した。常法処理により、カルボン酸3A (2.0675 g, 11.42 mmol, 88%)を白色粉末として得るとともに、エステル2A (0.1194 g, 0.57 mmol, 4%)を無色〜淡黄色油状物として回収した。シアノカルボン酸3Aは室温での空気放置に不安定であるため、ただちに次の反応に用いるか、保存する際には冷凍保存とした。
1H NMR (CDCl3) δ = 2.44-2.75 (2H, m, CH2CF3), 2.83 (1H, dd, J = 6.5, 17.9 Hz, CHHCO2H), 2.90 (1H, dd, J = 7.0, 17.9 Hz, CHHCO2H), 3.33 (1H, br quint, J = 7 Hz, CHCN), 6.91 (1H, very br s, CO2H)
(d)(+)-3-(アミノメチル)-5,5,5-トリフルオロペンタン酸 (IT-S-21103A)の合成
中圧接触還元装置専用耐圧ガラス容器(500 mL)にシアノカルボン酸3A (2.0675 g, 11.42 mmol) のメタノール (360 mL) 溶液を入れ、20% Pd(OH)2/C (0.4142 g)を加えて水素置換し、0.45MPaの水素圧にて42時間撹拌した。反応液をセライトでろ過し、ろ液を濃縮して得られた残渣をメタノール/ジエチルエーテルにて粉末化することにより、(+)-3-(アミノメチル)-5,5,5-トリフルオロペンタン酸 (IT-S-21103A, 1.7365 g, 9.38 mmol, 82%)の白色粉末を得た。さらにメタノール/イソプロパノールから再結晶することにより、光学的に純粋な化合物IT-S-21103Aの無色針状結晶を1.5196 g得た。
IT-S-21103A: colorless needles (メタノール/イソプロパノール)
Mp = 185-187 ℃
1H NMR (CD3OD) δ = 2.25-2.57 (5H, m), 3.00 (1H, dd, J = 6.8, 13.2 Hz), 3.09 (1H, dd, J = 2.8, 12.9 Hz)
(e)シアノカルボン酸3Bを得るための酵素加水分解
Figure 2015137253
シアノエステル2 (5.6558 g, 27.04 mmol)のリン酸バッファ水溶液 (0.1 M, pH 7.4, 112 mL) とジメチルスルホキシド (22 mL) 懸濁液に8〜11℃にてnovozyme 435 (27.7 mg, ca. 1 mg/mmol)を添加し、同温にて18時間撹拌した。エステル2Aを得る工程と同様の処理により、シアノカルボン酸3B (3.1425 g, 17.35 mmol, 64%)を白色粉末として得るとともに、エステル2 (1.6894 g, 8.08 mmol, 30%)を無色〜淡黄色油状物として回収した。上記シアノカルボン酸3B (3.1425 g, 17.35 mmol)をジクロロメタン (38 mL)に溶解し、0℃にてトリエチルアミン (3.2 mL, 22.77 mmol)、クロロギ酸エチル (2.0 mL, 21.01 mmol)、及び4-ジメチルアミノピリジン (0.1231 g, 1.01 mmol)を順次加え、同温にて1時間撹拌した。ジクロロメタンを減圧下留去し、1M塩酸(30 mL)を加えてジエチルエーテルで3回抽出し、併せた有機層を水で2回、飽和食塩水で1回洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去することによりエステル2B (3.5009 g, 16.74 mmol, 96%)を淡黄色油状物として得た。より光学的に純粋なシアノカルボン酸3Bを得るために、2Bの上記酵素加水分解→エステル化反応を複数回繰り返した。
(f)(-)-3-(アミノメチル)-5,5,5-トリフルオロペンタン酸 (IT-S-21103B)の合成
中圧接触還元装置専用耐圧ガラス容器(500 mL)を用い、シアノカルボン酸3B (1.8621 g, 10.28 mmol)をIT-S-21103Aの合成と同様に処理することで、化合物IT-S-21103B(1.5382 g, 8.31 mmol, 81%)の白色粉末を得た。さらにメタノール/イソプロパノールから再結晶することにより、光学的に純粋な化合物IT-S-21103Bの無色針状結晶を0.9793 g得た。
IT-S-21103B: colorless needles (メタノール/i-PrOH)
Mp = 186-188 ℃
1H NMRはIT-S-21103Aに一致した。
(g)IT-S-21103AおよびIT-S-21103BのCDスペクトル解析
両化合物のCDスペクトルを測定した結果、IT-S-21103Aは正の第一コットン効果を示し、(+)体であることが判明した。対照的に、IT-S-21103Bは負の第一コットン効果を示した(図1)。
例4
(a)化合物4及び5の合成
Figure 2015137253
エチルエステル2の合成法に準じて、エステル1(4.0261 g, 20.21 mmol)から化合物4(0.6576 g, 3.797mmol, 19%)を得た。同様にしてエステル1(2.8505 g, 14.31 mmol)から化合物5(1.7768 g, 9.29 mmol, 65%)を得た。
化合物4: colorless oil
1H NMR (CDCl3) δ = 1.29 (3H, t, J = 7.1 Hz, OCH2CH3), 1.96-2.15 (2H, m, CH2FCH2), 2.66 (1H, dd, J = 6.5, 17.0 Hz, CHHCO2Et), 2.76 (1H, dd, J = 7.6, 17.0 Hz, CHHCO2Et), 3.27 (1H, br quint, J = 7 Hz, CH-CN), 4.21 (2H, q, J = 7.1 Hz, OCH2CH3), 4.65 (2H, ddd, J = 4.7, 6.2, 47.0 Hz, CH2F)
13C NMR (CDCl3) δ = 13.99, 24.24 (d, JC-F = 3.3 Hz), 32.29 (d, JC-F = 19.9 Hz), 36.20, 61.32, 80.54 (t, JC-F = 168 Hz), 120.08, 169.29
5: colorless oil
1H NMR (CDCl3) δ = 1.30 (3H, t, J = 7.1 Hz, OCH2CH3), 2.10-2.41 (2H, m, CHF2CH2), 2.69 (1H, dd, J = 6.7, 17.0 Hz, CHHCO2Et), 2.78 (1H, dd, J = 7.0, 17.0 Hz, CHHCO2Et), 3.27 (1H, br quint, J = 7 Hz, CH-CN), 4.22 (2H, q, J = 7.1 Hz, OCH2CH3), 6.04 (1H, ddt, J = 3.5, 5.3, 55.4 Hz, CHF2)
13C NMR (CDCl3) δ = 13.91, 21.56 (t, JC-F = 6.1 Hz), 35.39 (t, JC-F = 22.9 Hz), 35.97, 61.46, 114.60 (t, JC-F = 240 Hz), 119.41, 168.93
(b)化合物6及び7の合成
Figure 2015137253
化合物4 (1.4800 g, 8.55 mmol)をテトラヒドロフラン (10 mL)、メタノール (10 mL)、及び水 (5 mL)に溶かし、LiOH・H2O (0.4390 g, 10.46 mmol)を加え、2時間加熱還流した。テトラヒドロフランとメタノールの大半をエバポレートし、室温に冷却し、1M 塩酸 (12 cm3)を加え、酢酸エチルで4回抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。得られた残渣(1.2859 g)をジクロルメタン (43 cm3)に溶かし、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド (EDCI, 2.0111 g, 10.49 mmol)、ベンジルアルコール (1.1001 g, 10.17 mmol)、およびジメチルアミノピリジン (0.1051 g, 0.86 mmol)を加えて室温で2時間撹拌した。続いてピリジン (1.0 cm3)および無水酢酸 (1.0 cm3)を加え、室温で21時間撹拌した。反応液を濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(BW-200, 50 g, eluent; 10%→15%→20% 酢酸エチル/n-ヘキサン)で精製し、化合物6 (1.7177 g, 7.30 mmol, 85%)を無色油状物として得た。同様にして、化合物5(1.6276 g, 8.51 mmol)から化合物7(1.4857 g, 5.87 mmol、69%)を得た。
化合物6: colorless oil
1H NMR (CDCl3) δ = 1.91-2.14 (2H, m, CH2FCH2), 2.71 (1H, dd, J = 6.5, 17.0 Hz, CHHCO2Bn), 2.81 (1H, dd, J = 7.3, 17.0 Hz, CHHCO2Bn), 3.27 (1H, br quint, J = 7 Hz, CH-CN), 4.63 (2H, ddd, J = 4.7, 6.2, 47.0 Hz, CH2F), 5.18 (2H, s, CH2Ph), 7.34-7.39 (5H, m)
13C NMR (CDCl3) δ = 24.22 (d, JC-F = 3.3 Hz), 32.23 (d, JC-F = 19.8 Hz), 36.14, 67.09, 80.50 (t, JC-F = 168 Hz), 120.02, 128.34 (2C), 128.47, 128.56 (2C), 135.05, 169.18
化合物7: colorless oil
1H NMR (CDCl3) δ = 2.08-2.39 (2H, m, CHF2CH2), 2.73 (1H, dd, J = 6.7, 17.0 Hz, CHHCO2Bn), 2.83 (1H, dd, J = 7.0, 17.0 Hz, CHHCO2Bn), 3.27 (1H, br quint, J = 7 Hz, CH-CN), 5.19 (2H, s, CH2Ph), 6.02 (1H, ddt, J = 3.5, 5.3, 55.4 Hz, CHF2), 7.33-7.39 (5H, m)
13C NMR (CDCl3) δ = 21.64 (t, JC-F = 5.8 Hz), 35.48 (t, JC-F = 22.9 Hz), 36.05, 67.36, 114.55 (t, JC-F = 241 Hz), 119.32, 128.45 (2C), 128.63, 128.65 (2C), 134.91, 168.82
(c) 3-(アミノメチル)-5-フルオロペンタン酸 (IT-S-21101)及び3-(アミノメチル)-5,5-ジフルオロペンタン酸 (IT-S-21102)の合成
Figure 2015137253
化合物6(1.6466 g, 7.00 mmol)をIT-S-21103Aの合成と同様に処理することで、IT-S-21101(0.7305 g, 4.897 mmol, 70%)を得た。同様にして、化合物7(1.4346 g, 5.66 mmol)からIT-S-21102(0.5980 g, 3.578 mmol, 63%)を得た。
IT-S-21101: white powder
Mp = 142-144 oC (メタノール/イソプロパノール)
1H NMR (CD3OD) δ = 1.69-1.90 (2H, m), 2.10-2.29 (1H, m), 2.36 (1H, dd, J = 8.0, 15.8 Hz), 2.46 (1H, dd, J = 4.4, 15.8 Hz), 2.93 (1H, dd, J = 7.6, 12.9 Hz), 3.06 (1H, dd, J = 3.8, 12.9 Hz), 4.55 (2H, dm, J = 47.2 Hz, CH2F)
IT-S-21102: white powder
Mp = 171-172 oC (メタノール/イソプロパノール)
1H NMR (CD3OD) δ = 1.87-2.05 (2H, m), 2.23-2.36 (1H, m), 2.40 (1H, dd, J = 7.5, 15.5 Hz), 2.47 (1H, dd, J = 4.4, 15.5 Hz), 2.96 (1H, dd, J = 7.5, 13.0 Hz), 3.06 (1H, dd, J = 4.0, 13.0 Hz), 6.04 (1H, tt, J = 4.4, 56.3 Hz, CHF2)
例5:IT-S-21103A及び21103Bの鎮痛作用
ラットseltzerモデルを用い、(+)-3-(アミノメチル)-5,5,5-トリフルオロペンタン酸(IT-S-21103A)、(-)-3-(アミノメチル)-5,5,5-トリフルオロペンタン酸 (IT-S-21103B)、及びプレガバリン(陽性対照)のそれぞれを経口にて単回投与し、1時間後の鎮痛作用を機械刺激による疼痛閾値を用いて検討した (N=8)。その結果、各薬剤ならびに陽性対照の疼痛閾値は以下の値を示した。
コントロール(0.5% MC): 1.6±0.1 g
IT-S-21103A (30 mg/kg): 3.2±0.4 g
IT-S-21103B (30 mg/kg): 4.0±0.5 g
プレガバリン(30 mg/kg): 5.0±0.5 g
例6:(-)-3-(アミノメチル)-5,5,5-トリフルオロペンタン酸(IT-S-21103B)の中枢抑制作用
ラットにおける標準的なローターロッドを用いる中枢抑制作用について(-)-3-(アミノメチル)-5,5,5-トリフルオロペンタン酸(IT-S-21103B)とプレガバリンとを比較した。プレガバリンは10〜30mg/kgにおいて著しい中枢抑制作用がみられたが、IT-S-21103Bでは薬効量の10倍 (300 mg/kg)の投与でも抑制作用は溶媒対象と同程度であり、中枢抑制作用は認められなかった。

Claims (4)

  1. 下記の一般式(I):
    Figure 2015137253
    (式中、R1は少なくとも1個のフッ素原子で置換された炭素数1〜5個のアルキル基を示し;R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、又はアシル基を示す)で表される化合物、又はその塩若しくはそのエステル。
  2. R1が2-フルオロエチル基、2,2-ジフルオロエチル基、又は2,2,2-トリフルオロエチル基を示し;R2及びR3が水素原子である請求項1に記載の化合物、又はその塩若しくはそのエステル。
  3. 請求項1に記載の一般式(I)で表される化合物又は生理学的に許容されるその塩若しくはそのエステルを有効成分として含む医薬。
  4. 疼痛の予防及び/又は治療のために用いる請求項3に記載の医薬。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN108370068A (zh) * 2015-10-29 2018-08-03 株式会社Lg化学 非水电解质添加剂、包括该非水电解质添加剂的非水电解质和包括该非水电解质的锂二次电池

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CN108370068A (zh) * 2015-10-29 2018-08-03 株式会社Lg化学 非水电解质添加剂、包括该非水电解质添加剂的非水电解质和包括该非水电解质的锂二次电池

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