JP2015136269A - 電力変換器 - Google Patents
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Abstract
【課題】本明細書は、電動車両に搭載された電力変換器に含まれる昇圧用電圧コンバータのスイッチング素子が短絡故障した場合であってもバッテリを切り離さずに走行を継続することのできる技術を提供する。【解決手段】本明細書が開示する電圧変換器2は、バッテリ14の電力を昇圧する電圧コンバータ回路3を備えている。電圧コンバータ回路3は、その入力側と出力側の高電位端間に接続されているリアクトル12と、リアクトル12の出力側とグランド線との間に直列に接続されている第1スイッチング素子T8及び第2スイッチング素子T9を備えている。電圧変換器2の備えられたコントローラ15は、第2スイッチング素子T9を導通状態に保持したまま、第1スイッチング素子T8で導通と遮断を繰り返してバッテリ14の電圧を昇圧し、第1スイッチング素子T8が短絡故障した場合に第2スイッチング素子T9を導通状態から遮断状態に切り換える。【選択図】図1
Description
本発明が開示する技術は、電動車両に搭載される電力変換器に関する。ここで、「電動車両」とは、モータを備えるがエンジンは備えない電気自動車のほか、モータとともにエンジンを備えるハイブリッド車及び燃料電池車を含む。
電動車両は、バッテリの直流電力を交流に変換するインバータ回路(電力変換器)を備える。電動車両に搭載されるモータは、定格出力が数十キロワットであり、高出力となる。そのため、電動車両用の電力変換器の中には、インバータ回路だけでなく、バッテリの電圧を昇圧してインバータ回路に供給する電圧コンバータ回路も備えるタイプがある(例えば特許文献1)。なお、特許文献1の電圧コンバータ回路は、バッテリの電圧を昇圧してインバータ回路に供給する昇圧動作と、インバータ回路から供給される回生電力を降圧してバッテリに供給する降圧動作を行うことができるチョッパ型の昇降圧コンバータ回路である。
なお、課題や目的が異なるが本明細書で開示する電力変換器の回路と似た構造の回路があるのでここで説明しておく。特許文献2に開示される電力変換器の電圧コンバータ回路は、直列に接続された4個のスイッチング素子を備えている。4個のスイッチング素子の直列回路は、インバータ側の高電位端と、バッテリ側とインバータ側の双方に共通のグランド線との間に接続されている。説明の便宜上、4個のスイッチング素子を、高電位側から第1、第2、第3、及び、第4スイッチング素子と称する。その電圧コンバータ回路は、第2スイッチング素子と第3スイッチング素子の中間点と、グランド線の間に、第1リアクトルと第1電源(バッテリ)の直列回路が接続されている。また、第1スイッチング素子と第2スイッチング素子の中間点と、第3スイッチング素子と第4スイッチング素子の中間点の間に、第2リアクトルと第2電源(キャパシタ)の直列回路が接続されている。その回路は、第1電源を使った昇降圧チョークコンバータ回路と第2電源を使った昇降圧チョークコンバータ回路を混在させたものである。その回路は、上記の4つのスイッチング素子のオンオフを切り替えることで、第1及び第2の電源を昇圧する。さらに、上記の4つのスイッチング素子のオンオフを切り替えることで、第1及び第2の電源を並列若しくは直列に接続し、電力変換器の先に接続されたインバータ回路に電力を供給する。特許文献2の技術は、特に、第1電源で第2電源をプリチャージするためのスイッチング素子の制御技術に着目している。
電力変換器のインバータ回路やコンバータ回路は、多数のスイッチング素子を含む。高出力に対応するため、トランジスタには大きな電流が流れ、その負荷は大きい。そのため、トランジスタが故障する虞がある。特に、チョッパ型の昇圧コンバータ回路は、バッテリにリアクトルとスイッチング素子が直列に接続されているため、スイッチング素子が短絡故障すると、バッテリが短絡してしまう。そのような場合、単純に電力変換器をバッテリから切り離してしまえばよいが、それでは走行性能が著しく低下してしまう。本明細書は、電力変換器、特にチョッパ型の昇圧コンバータ回路を含む電力変換器において、昇圧用のスイッチング素子が短絡した場合に、走行性能の低下を可能な限り抑制することのできる技術を提供する。
まず、よく知られているチョッパ型の昇圧コンバータ回路を説明する。昇圧コンバータ回路は、入力側(バッテリ側)の高電位端と出力側(インバータ側)の高電位端の間に電力エネルギを蓄えるリアクトルが接続されている。なお、入力側の低電位端と出力側の低電位端は直結されており、その線をグランド線と呼ぶ。リアクトルの出力側とグランド線の間にスイッチング素子が接続されている。また、リアクトルの出力側とグランド線の間にコンデンサが接続されている。なお、リアクトルとコンデンサの高電位側との間には逆流防止のダイオードが接続されている。ダイオードは、アノードがリアクトルと接続しており、カソードがコンデンサ及びコンバータの出力側の高電位端と接続している。
本明細書が開示する電力変換器は、チョッパ型の昇圧コンバータ回路とインバータ回路を備える。そして、昇圧コンバータ回路において、リアクトルの出力側とグランド線の間に接続されているスイッチング素子に、別のスイッチング素子を直列に挿入する。即ち、リアクトルの出力側とグランド線の間に第1及び第2スイッチング素子を直列に接続する。なお、第1及び第2スイッチング素子の直列回路は、上記したコンデンサと並列になる。昇圧コンバータ回路のコントローラは、昇圧コンバータが正常の間は、第2スイッチング素子を導通状態に保持したまま、第1スイッチング素子で導通と遮断を繰り返してバッテリの電圧を昇圧する。そして、コントローラは、第1スイッチング素子が短絡故障した場合、第2スイッチング素子を導通状態から遮断状態に切り換える。そうすると、バッテリの短絡は回避される。他方、昇圧コンバータの出力側には、バッテリの電力がダイレクトに出力されることになる。即ち、昇圧動作は継続できないが、バッテリを短絡させることなく、バッテリの電力をダイレクトに出力側に伝えることができる。インバータ回路は、バッテリの出力電圧の電力を交流電力に変換してモータに出力する。上記の電力変換器は、昇圧された直流電力を使った当初の性能には劣るが昇圧コンバータ回路のスイッチング素子の短絡後もバッテリを切り離すことなく走行を継続することができる。
上記の構成では、第1スイッチング素子が通常の昇圧動作を行うためのトランジスタである。短絡時にバッテリの短絡を遮断する第2スイッチング素子は、単なるリレーでもよいし、半導体スイッチであってもよい。しかし、第1スイッチング素子と第2スイッチング素子が同型のトランジスタであることが望ましい。その場合、第1スイッチング素子が短絡故障しても、それと同型の第2スイッチングで全く同じ昇圧動作を継続することができる。また、スイッチング素子は電磁リレーなどのスイッチと比較して動作が高速であるので、短絡が検知されたときに直ちにバッテリの短絡を遮断できる。さらに、トランジスタは、アーク放電が発生しない点で電磁リレーに比べて優位である。
前述したように、電動車両用の電力変換器では、インバータ回路から供給される回生電力を降圧してバッテリに供給する降圧動作も有していることが好ましい。上記の技術をチョッパ型の昇降圧コンバータ回路に適用する場合、第3のスイッチング素子を、リアクトルと出力側の高電位端の間に接続すればよい。この場合、昇降圧コンバータ回路(電圧コンバータ回路)は3個のスイッチング素子を備えることになる。他方、3相交流モータを駆動するインバータ回路は、2個のスイッチング素子の直列回路が3セット並列に接続された構成をしている。近年、発熱量の大きいスイッチング素子を樹脂でモールドしたパッケージ(パワーカード)が使われている。そこで、電圧コンバータ回路及びインバータ回路に用いられる複数のスイッチング素子を一つのパッケージに収めたパワーカードを使うと、インバータ回路と電圧コンバータ回路を含む電力変換器が次のとおりコンパクトに実現できる。即ち、第1、第2、及び、第3スイッチング素子及びインバータ回路のスイッチング素子が複数のパワーカードに分散して組み込まれ、複数のパワーカードが複数の冷却器と交互に積層される。そうすると、複数のスイッチング素子をコンパクトに集約することができると共に、発熱量の大きいスイッチング素子の冷却も効率よく実現することができる。
本明細書は、インバータ回路と、チョッパ型の昇圧用電圧コンバータ回路を有する電動車両の電力変換器に関し、昇圧用電圧コンバータのスイッチング素子が短絡故障した場合であっても走行を継続することのできる技術を提供する。本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
図面を参照して実施例の電力変換器を説明する。図1に実施例の電力変換器2を含む電動車両100の電力系のブロック図を示す。電動車両100は、2個のモータ5a、5bを備える。そのため、電力変換器2は、2個のインバータ回路4a、4bを備える。なお、2個のモータ5a、5bの出力は、動力分配機構6で合成または分配されて車軸7(即ち駆動輪)へ伝達される。
電力変換器2は、システムメインリレー13を介してバッテリ14と接続されている。電力変換器2は、バッテリ14の電圧を昇圧する電圧コンバータ回路3と、昇圧後の直流電力を交流に変換する2セットのインバータ回路4a、4bを含む。電力変換器2を介して変換された電力によりモータ5a、5bが駆動する。また、モータ5a、5bからの回生電力を電力変換器2を介してバッテリ14に蓄電することもできる。この場合、電圧コンバータ回路3は、降圧回路として動作する。つまり、モータ5a、5bからの回生電力がインバータ回路4a、4bにより直流電力に変換された後、電圧コンバータ回路3により降圧され、バッテリ14に蓄電される。
電圧コンバータ回路3の回路構成について説明する。電圧コンバータ回路3の高電位側のラインにおける出力側と入力側の間には、リアクトル12及びスイッチング素子T7が接続されている。そして、低電位側のラインは、電圧コンバータ回路3の入力側と出力側が直接接続されている。以下、低電位側のラインをグランド線Gと称する。即ち、電圧コンバータ回路3の入力側(バッテリ14側)の低電位端と出力側(インバータ回路4a、4bの側)の低電位端を直接に接続するラインがグランド線Gに相当する。リアクトル12の一端は、入力側(バッテリ14側)の高電位端に接続され、その他端(出力側)にはスイッチング素子T7が接続されている。また、電圧コンバータ回路3は、スイッチング素子T8、T9の直列回路を含んでいる。その直列回路の一端は、リアクトル12とスイッチング素子T7の間(リアクトル12の出力側)に接続され、他端は、グランド線Gに接続されている。また、リアクトル12の入力側とグランド線Gの間には、フィルタコンデンサ8が接続され、リアクトル12の出力側とグランド線Gの間には平滑コンデンサ9が接続されている。なお、各スイッチング素子T7、T8、T9には、逆並列にダイオードが接続されている。また、電圧コンバータ回路3の各スイッチング素子には、コントローラ15からパルス信号が送られ、各スイッチング素子のオンオフがコントロールされている。ここで、スイッチング素子を「オン」の状態にするとは、スイッチング素子を「導通状態」にすることを示し、「オフ」の状態にするとは、スイッチング素子を「遮断状態」にすることを示す。
インバータ回路4aの回路構成について説明する。インバータ回路4aは、2個のスイッチング素子の直列回路が3セット並列に接続された構成を有している(T1とT4、T2とT5、T3とT6)。各スイッチング素子にはダイオードが逆並列に接続されている。3セットの直列回路の高電位側がインバータ回路4aの高電位側の入力端に接続されており、3セットの直列回路の低電位側がインバータ回路4aの低電位側の入力端に接続されている。3セットの直列回路の中点から3相交流(U相、V相、W相)が出力される。
インバータ回路において、直流電力の高電位入力側からモータまでの電流経路は上アームと呼ばれており、モータから直流電力の低電位入力側までの電流経路は下アームと呼ばれている。つまり、インバータ回路4aの上アームは電圧コンバータ回路3の高電位側の出力端と接続され、インバータ回路4aの下アームは電圧コンバータ回路3のグランド線Gと接続される。図1のスイッチング素子T1、T2、T3は「上アーム」に含まれ、スイッチング素子T4、T5、T6は「下アーム」に含まれる。なお、以下では、説明の便宜のため、インバータ回路4a、4bの高電位側のラインと、電圧コンバータ回路3の出力側高電位端とを結ぶ線を高電位ラインPLと称する。反対に、インバータ回路4a、4bの低電位側のラインと、電圧コンバータ回路3のグランド線Gとを結ぶ線を低電位ラインと称する。
インバータ回路4bの回路構成は、インバータ回路4aの回路構成と同じであるため、図1では具体的な回路の図示は省略している。インバータ回路4bも、インバータ回路4aと同様に、2個のスイッチング素子の直列回路が3セット並列に接続された構成を有している。コンバータ回路4a、4bの各スイッチング素子には、電圧コンバータ回路3と同様にコントローラ15からパルス信号が送られ、各スイッチング素子のオンオフがコントロールされる。なお、インバータ回路4a、4bの動作はよく知られている技術であるので、説明は省略する。
スイッチング素子T1からT9としては、トランジスタが利用される。典型的には、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)が用いられる。しかし、このトランジスタは、他のトランジスタ、例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であってもよい。あるいは、将来的には異なるタイプのスイッチング素子が電力変換器に用いられるかもしれない。本明細書が開示する技術は、スイッチング素子のタイプに依存しない。
電圧コンバータ回路3の動作について説明する。電圧コンバータ回路3は、バッテリ14の電圧を昇圧してインバータ回路4a、4bに電力を供給する昇圧動作と、インバータ回路4a、4bから入力された直流電力を降圧してバッテリ14に電力を供給する降圧動作の双方を行うことができる。典型的なチョッパ型の昇降圧コンバータ回路は、グランド線側に接続されたスイッチング素子は一つである。本明細書で開示する電圧コンバータ回路3をその昇降圧コンバータ回路と同様の動作を行うようにするためには、グランド線G側に接続されたスイッチング素子T8、T9のどちらかを常時オンの状態にする。以下の説明では、スイッチング素子T9を常時オンの状態として説明をする。なお、スイッチング素子T8、T9のどちらを常時オンとしても電圧コンバータ回路3は同様の動作をすることができることに留意されたい。また、常時オンの状態とするスイッチング素子T9のことを、説明の便宜上、以下では短絡スイッチと称する場合がある。
先ず、昇圧動作について説明する。短絡スイッチ(スイッチング素子T9)をオンに保持したままスイッチング素子T8のオンオフをコントロールすることで昇圧動作を行うことができる。なお、このとき、スイッチング素子T7はオフに保持される。スイッチング素子T8をオンにすることで、リアクトル12の出力側がグランド線Gと通電する。このため、リアクトル12に流れる電流が増加し、リアクトル12に磁気エネルギが蓄積される。この状態で、スイッチング素子T8をオフにすると、リアクトル12が増加した電流を減少させないように働き、蓄積した磁気エネルギを放出する。その結果、電圧コンバータ回路3の出力側(インバータ回路4a、4bと接続される側)の電圧がバッテリ14の電圧より高圧となる。上記のオンオフを繰り返すことで、平均してバッテリ14の電圧より高い電圧が電圧コンバータ回路3の出力側から出力される。昇圧された電力は、インバータ回路4a、4bを介して交流電力に変換され、モータ5a、5bに供給される。
次に、降圧動作について説明する。スイッチング素子T7のオンオフをコントロールすることで降圧動作を行うことができる。なお、このとき、スイッチング素子T8はオフに保持される。スイッチング素子T7をオンにすることで、モータ5a、5bからの回生電力により、リアクトル12に電流が流れ、リアクトル12に磁気エネルギが蓄積される。リアクトル12のバッテリ側の電位がバッテリ電位をわずかに超えたところでスイッチング素子T7をオフにする。そうすると、リアクトル12は、蓄積した磁気エネルギを放出し、これによって電流を流し続ける方向に起電力が発生する。この起電力によって発生する電流は、スイッチング素子T8及びT9に並列に接続されたダイオードとフィルタコンデンサ8との間で還流し、徐々に減衰する。上記のオンオフを繰り返すことで、平均して回生電力より低い電圧であってバッテリ電圧よりわずかに高い電圧が電圧コンバータ回路3の入力側(バッテリ14と接続される側)から出力される。降圧された電力は、バッテリ14に充電される。
上記の電圧コンデンサ回路3において、スイッチング素子T8が短絡故障を起こした場合、そのスイッチング素子T8を介してバッテリ14が短絡してしまう。以下では、上述の説明で常時オンの状態としていたスイッチング素子T9(短絡スイッチ)を利用することで、バッテリ14の短絡を防止する技術について説明する。
図2を参照して、電力変換器2のシステム起動時に短絡故障が検出されたときの動作について説明する。先ず、電動車両100が停止している状態で、システムメインリレー13がオンされる(S1)。これにより、電力変換器2にバッテリ14から電力が供給される。次に、コントローラ15は、スイッチング素子T9(短絡スイッチ)をオンにする(S2)。次に、コントローラ15は、昇圧用のスイッチング素子T8が短絡しているか否かを確認する(S3)。なお、トランジスタであるスイッチング素子の短絡は、トランジスタに設けられた電流検出用端子により検出される。実施例で用いられるトランジスタであるIGBTには、典型的には電流検出用端子として、センスエミッタ端子が設けられている。このセンスエミッタ端子を用いて短絡を検出することができる。この技術はよく知られているので詳細な説明は省略する。以下、スイッチング素子T8が短絡しているか否かで短絡スイッチの動作を切り替える。
スイッチング素子T8が短絡していない場合、短絡スイッチのオン状態は継続される(S4)。その後、電圧コンバータ回路3は上記で説明したように通常の昇降圧動作を行う(S5)。これにより、電動車両100は、通常の走行状態となる(S6)。
一方、スイッチング素子T8が短絡している場合、短絡スイッチをオフにする(S7)。これにより、リアクトル12の出力側とグランド線Gの間は遮断される。したがって、スイッチング素子T8が短絡していても、バッテリ14の短絡が回避される。そして、電動車両100は、フェール走行のモードに設定される(S8)。ここで、フェール走行とは、バッテリ14の電力を昇圧しないで電動車両100を走行させる状態のことをいう。具体的には、アクセル開度等に基づいてモータの出力を決定するコントローラが、バッテリ14の出力電圧で対応可能な範囲にモータの出力を制限する。
短絡スイッチをオフにした場合、高電位ラインPLに接続されたスイッチング素子T7に並列に接続されたダイオードにより、電圧コンバータ回路3の出力側には、バッテリ14の電力がダイレクトに出力することになる。したがって、バッテリ14の電圧により電動車両100の走行を継続することができる。
図3を参照して通常走行時に短絡故障が検出された時の動作について説明する。通常走行では、電圧変換器2の内部で過電流(予定されている電流よりも大きい電流が流れること)が生じていないかコントローラ15が常に監視している。具体的には、コントローラ15は、先に述べたセンスエミッタを流れる電流を定期的に計測している。コントローラ15は、センスエミッタの電流値を計測し(S11)、昇圧用のスイッチング素子T8が短絡しているか否かを確認する(S12)。スイッチング素子T8が短絡していない場合、短絡スイッチのオン状態は継続され(S13)、電動車両100の通常走行が継続される。一方で、スイッチング素子T8が短絡している場合、コントローラ15は短絡スイッチをオフにする(S14)。上記と同様、リアクトル12の出力側とグランド線Gの間は遮断される。また、バッテリ14の電力は、ダイレクトに電圧コンバータ回路3の出力側に出力される。そして、電動車両100はフェール走行のモードに移行する(S15)。
上記のアルゴリズムを電圧コンバータ回路3に採用することで、昇圧用のスイッチング素子T8が短絡しても、バッテリ14が短絡することが回避される。また、昇圧用のスイッチング素子T8が短絡しても、電動車両100の走行は、フェール走行モードで継続することができる。この場合、バッテリ14の電圧がダイレクトに出力されるため、電動車両100の走行性能は、正常のときと比較して劣ることになる。しかし、バッテリを切り離すことなく、車両を走行させることができる。
実施例の電力変換器2のハードウエア構成について説明する。大電流を扱うスイッチング素子は、発熱量も大きい。複数のスイッチング素子を効率よく冷却するため、電力変換器2は、8個のパワーカードPC1からPC8と複数の冷却器21を交互に積層した積層ユニット200を備える。図4に積層ユニット200の模式的斜視図を示す。ここで、パワーカードとは、複数のスイッチング素子を樹脂でモールドしたパッケージである。そのパッケージには、その内部に収容されたスイッチング素子を外部の素子と接続するための端子が設けられている。なお、各端子は図1に示す回路構成となるように互いに接続されるが、図4では、その接続構造が省略されていることに留意されたい。また、リアクトル12、フィルタコンデンサ8、平滑コンデンサ9の図示が省略されていることに留意されたい。
図4に示されるように、各パワーカードはその両側を冷却器21により挟まれている。複数の冷却器21の内部は冷媒が通る空洞である。各冷却器21の長手方向(図中のX軸方向)の両側に孔が設けられており、隣接する冷却器21が連結管24a、24bで連結されている。積層方向の端に位置する冷却器21には冷媒供給管22と冷媒排出管23が接続されている。冷媒供給管22から供給された冷媒は、連結管24aを通じて全ての冷却器21に分配される。冷媒は、各冷却器21の内部を通過する間に隣接するパワーカードの熱を吸収し、他方の連結管24bを通じて冷媒排出管23へと送られる。なお、冷媒は、液体であり、例えば、水、あるいは、LLC(Long Life Coolant)である。
実施例の電力変換器2では、図1の破線で囲んだように、2個のスイッチング素子を1セットとして収容する7セットのパワーカードPC1からPC7及び1個のスイッチング素子を収容するパワーカードPC8が構成される。ハードウエアとしては、2個又は1個のスイッチング素子と、これに付随するダイオードが一つのパワーカードに収容されている。具体的には、2個又は1個のスイッチング素子とダイオードが樹脂で封止されており、その樹脂パッケージの内部でスイッチング素子が接続されているとともに、各スイッチング素子にダイオードが逆並列に接続されている。
パワーカードPC1について説明する。図4に示すように、パワーカードPC1は、積層方向(Z軸方向)に薄い平板形状である。後述するパワーカードPC2からPC8も同様に平板形状である。図1において符号PC1が示す破線の範囲が、パワーカードPC1に含まれる回路に相当する。パワーカードPC1には、インバータ回路4aのスイッチング素子T1とT4の直列回路が収容されている。そして、パワーカードPC1には、図1に示した高電圧ラインPLと接続される正極端子P1と、インバータ回路の低電位ラインと接続される負極端子N1が設けられている。また、パワーカードPC1には、モータ5aのU相に接続される中間端子M1が設けられている。中間端子M1は、スイッチング素子T1とT4の間に接続される。図1に示される各端子P1、N1、M1は、図4に示されるパワーカードPC1の上面から突出する3本の端子に対応している。なお、正極端子P1、負極端子N1、中間端子M1という呼称は、他のパワーカードでも用いる。
インバータ回路4aの他のスイッチング素子T2、T3、T5、T6も、パワーカードPC1と同様にパワーカードPC2、PC3に収容されている。パワーカードPC2、PC3の構造は、パワーカードPC1と同様である。図1の破線の範囲に示すように、パワーカードPC2にはスイッチング素子T2、T5の直列回路が収容され、パワーカードPC3にはスイッチング素子T3、T6の直列回路が収容される。パワーカードPC2、PC3には、高電圧ラインPLに接続される正極端子P1、低電位ラインに接続される負極端子N1、モータの各相に接続される中間端子M1がパワーカードPC1と同様に設けられている。パワーカードPC2の中間端子M1はモータ5aのV相に接続され、パワーカードPC3の中間端子M1はモータ5aのW相に接続される。
インバータ回路4bのスイッチング素子もインバータ回路4aと同様に、各スイッチング素子2個の直列回路が夫々、パワーカードPC4、PC5、PC6の中に収容されている。パワーカードPC4、PC5、PC6の構成は夫々、パワーカードPC1、PC2、PC3の構成と同様であり、パワーカードPC4、PC5、PC6の中間端子は夫々モータ5bのU相、V相、W相に接続される。
パワーカードPC7について説明する。図1において符号PC7が示す破線の範囲が、パワーカードPC7に含まれる回路に相当する。パワーカードPC7には、電圧コンバータ回路3のスイッチング素子T7とT8の直列回路が収容されている。その構造は、パワーカードPC1と同様である。図1に示すように、正極端子P1は、高電圧ラインPLに接続され、負極端子N1は、後述するパワーカードPC8の正極端子P1に接続される。そして、中間端子M1は、リアクトル12の出力側と接続される。
また、電圧コンバータ回路3の残り1個のスイッチング素子T9は、図1の破線の範囲に示すようにパワーカードPC8に収容されている。パワーカードPC8には、1個のスイッチング素子T9とそのスイッチング素子T9に逆並列に接続されたダイオードが収容されている。パワーカードPC8には、スイッチング素子T9の一方の端子が接続された正極端子P1と他方の端子が接続された負極端子N1が設けられている。図1に示すように、正極端子P1は、パワーカードPC7の負極端子に接続され、負極端子N1はグランド線Gに接続される。図4に示すように、パワーカードPC8の上面には正極端子P1と負極端子N1が2本突出している。なお、パワーカードPC8の長手方向(X軸方向)の幅は、他のパワーカードPC1等に比べて短くなっている。
このようなハードウエア構成にすることで、実施例の電力変換器2は、電圧コンバータ回路3とインバータ回路4a、4bのスイッチング素子をコンパクトに収容することができる。即ち、第1、第2、及び、第3スイッチング素子及びインバータ回路のスイッチング素子が複数のパワーカードに分散して組み込まれ、複数のパワーカードが複数の冷却器と交互に積層される。このような構成により、複数のスイッチング素子をコンパクトに集約することができると共に、発熱量の大きいスイッチング素子の冷却も効率よく実現することができる。
また、本実施例が開示する電力変換器において、短絡スイッチをトランジスタから電磁リレー等に変えても同様の動作を実現することができる。しかし、その場合、電磁リレーは他のスイッチング素子が収容されたパワーカードとは別に配置する必要があり、電力変換器の構造が複雑化することになる。したがって、本実施例で示すように、短絡スイッチにトランジスタを用いることで、他のスイッチング素子と同様にパワーカード内に短絡スイッチを収容することができる。これにより、電力変換器のコンパクト化に寄与することができる。
さらにまた、短絡スイッチにトランジスタを用いる利点として、トランジスタの動作が、電磁リレー等と比較して高速であることが挙げられる。電圧コンバータのスイッチング素子の短絡が検知されたときに直ちにバッテリの短絡を遮断できる。さらに、トランジスタは、アーク放電が発生しない点で電磁リレーに比べて優位である。
以下、実施例で示した技術に関する留意点を述べる。上記の実施例において、短絡スイッチとしてスイッチング素子T9を選んだが、スイッチング素子T8を選んでもよい。この場合、スイッチング素子T9が電圧コンバータ回路3が昇圧動作をするときにオンオフが切り替えられるスイッチング素子となる。
また、上記の実施例では、パワーカードPC1からPC7において、2つのスイッチング素子を1つのパワーカードに収容していたが、このような構成に限らない。すべてのスイッチング素子において、パワーカードPC8のように、1つのスイッチング素子を1つのパワーカードに収容してもよい。この場合、積層ユニットとして、横方向(パワーカードの長手方向)に2つ若しくは2つ以上のパワーカードを並べ、その横に並べたパワーカードを冷却器と交互に積層する構成が考えられる。また、上記の実施例では、電力変換器に2つのモータが接続されていたが、そのような構成に限らない。1つのモータが接続されていてもよいし、2つ以上のモータが接続されていてもよい。
実施例における「スイッチング素子T8」が特許請求の範囲における「第1スイッチング素子」の一例であり、「スイッチング素子T9」が特許請求の範囲における「第2スイッチング素子」の一例であり、「スイッチング素子T7」が特許請求の範囲における「第3スイッチング素子」の一例である。なお、繰り返しとなるが、「第1スイッチング素子」に対応するのが「スイッチング素子T9」であり、「第2スイッチング素子」に対応するのが「スイッチング素子T8」であっても、本発明の構成及び効果を変えるものではない。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2:電力変換器
3:電圧コンバータ回路
4a、4b:インバータ回路
5a、5b:モータ
6:動力変換機構
7:車軸
8:フィルタコンデンサ
9:平滑コンデンサ
12:リアクトル
13:システムメインリレー
14:バッテリ
15:コントローラ
21:冷却器
22:冷媒供給管
23:冷媒排出管
24a、24b:連結管
100:電動車両
200:積層ユニット
P1、P2:正極端子
N1、N2:負極端子
QU、QV、QW:出力端子
QG:信号端子
T1−T9:スイッチング素子
3:電圧コンバータ回路
4a、4b:インバータ回路
5a、5b:モータ
6:動力変換機構
7:車軸
8:フィルタコンデンサ
9:平滑コンデンサ
12:リアクトル
13:システムメインリレー
14:バッテリ
15:コントローラ
21:冷却器
22:冷媒供給管
23:冷媒排出管
24a、24b:連結管
100:電動車両
200:積層ユニット
P1、P2:正極端子
N1、N2:負極端子
QU、QV、QW:出力端子
QG:信号端子
T1−T9:スイッチング素子
Claims (3)
- バッテリの電力を昇圧する電圧コンバータ回路と、
電圧コンバータ回路によって昇圧された電力を交流に変換して走行用モータに供給するインバータ回路と、
を備えている電動車両の電力変換器であって、
前記電圧コンバータ回路は、
入力側の高電位端と出力側の高電位端の間に接続されているリアクトルと、
入力側の低電位端と出力側の低電位端を直結するグランド線と、
前記リアクトルの前記出力側と、前記グランド線との間に直列に接続されている第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子と、
前記リアクトルの前記出力側と前記グランド線の間に接続されているコンデンサと、
前記第1及び第2スイッチング素子を制御するコントローラと、
を備えており、前記コントローラは、
前記第2スイッチング素子を導通状態に保持したまま、前記第1スイッチング素子で導通と遮断を繰り返して前記バッテリの電圧を昇圧し、
前記第1スイッチング素子が短絡故障した場合に前記第2スイッチング素子を導通状態から遮断状態に切り換える、
ことを特徴とする電力変換器。 - 前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子が同型のトランジスタである請求項1に記載の電力変換器。
- 前記電圧コンバータ回路は、前記リアクトルと出力側の高電位端の間に接続されている第3スイッチング素子を備えており、
前記第1、第2、及び、第3スイッチング素子及び前記インバータ回路のスイッチング素子が複数のパワーカードに組み込まれており、
前記複数のパワーカードが複数の冷却器と交互に積層されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の電力変換器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014007443A JP2015136269A (ja) | 2014-01-20 | 2014-01-20 | 電力変換器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014007443A JP2015136269A (ja) | 2014-01-20 | 2014-01-20 | 電力変換器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015136269A true JP2015136269A (ja) | 2015-07-27 |
Family
ID=53767745
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014007443A Pending JP2015136269A (ja) | 2014-01-20 | 2014-01-20 | 電力変換器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2015136269A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017034925A (ja) * | 2015-08-05 | 2017-02-09 | トヨタ自動車株式会社 | 電源システム |
JP2018110478A (ja) * | 2016-12-29 | 2018-07-12 | トヨタ自動車株式会社 | 電源システム |
-
2014
- 2014-01-20 JP JP2014007443A patent/JP2015136269A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2017034925A (ja) * | 2015-08-05 | 2017-02-09 | トヨタ自動車株式会社 | 電源システム |
CN106427580A (zh) * | 2015-08-05 | 2017-02-22 | 丰田自动车株式会社 | 电源*** |
US10023052B2 (en) | 2015-08-05 | 2018-07-17 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Power supply system |
JP2018110478A (ja) * | 2016-12-29 | 2018-07-12 | トヨタ自動車株式会社 | 電源システム |
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