JP2015129315A - 複合樹脂発泡粒子及びその成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】剛性、耐熱性、及び復元性に優れる複合樹脂発泡粒子成形体及び該成形体を製造し得る複合樹脂発泡粒子を提供すること。【解決手段】スチレン系樹脂とプロピレン系樹脂との複合樹脂発泡粒子である。複合樹脂発泡粒子中のプロピレン系樹脂成分は、スチレン系樹脂成分とプロピレン系樹脂成分との合計100質量%に対して40質量%以下(ただし、10質量%以下を除く。)である。複合樹脂発泡粒子を構成する気泡膜1の断面の透過型電子顕微鏡写真においてプロピレン系樹脂からなる連続相2中にスチレン系樹脂からなる分散相3が分散されている。分散相3の長径が0.01〜1μmであり、かつ分散相3の長径と短径との比(長径/短径)が1〜10である。【選択図】図1
Description
本発明は複合樹脂発泡粒子及びその発泡粒子を型内成形してなる複合樹脂発泡粒子成形体に関する。
熱可塑性樹脂からなる発泡体は、軽量性、緩衝性、及び断熱性等の特性を付加できるため、包装材料、建築材料、及び断熱材料等として広く利用されている。
なかでも、スチレン系樹脂からなる発泡体は、安価で発泡性が良く、さらに断熱性、保温性、及び剛性に優れることから、包装材料、建築材料、及び断熱材料に好適である。しかし、スチレン系樹脂からなる発泡体は、耐熱性および復元性が劣るという欠点を有している。そのため、これらの耐熱性及び復元性を要する用途には、例えばプロピレン系樹脂からなる発泡体が使用されている。
なかでも、スチレン系樹脂からなる発泡体は、安価で発泡性が良く、さらに断熱性、保温性、及び剛性に優れることから、包装材料、建築材料、及び断熱材料に好適である。しかし、スチレン系樹脂からなる発泡体は、耐熱性および復元性が劣るという欠点を有している。そのため、これらの耐熱性及び復元性を要する用途には、例えばプロピレン系樹脂からなる発泡体が使用されている。
一方、プロピレン系樹脂からなる発泡体は、スチレン系樹脂からなる発泡体に比べて剛性が劣る。また、型内成形において、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を二次発泡させると共に相互に融着させるためには、ポリスチレン系樹脂発泡粒子の型内成形に比べて高温加熱、すなわち高い飽和蒸気圧の水蒸気による加熱を必要とする。そのため、高耐圧仕様の金型と、高プレス圧の専用の成型機が必要であり、その結果、使用するエネルギーコストも大きくなってしまう。
このような課題を解決するために、プロピレン系樹脂成分とスチレン系樹脂成分との複合樹脂発泡粒子成形体が提案されている。
例えば、特許文献1には、ポリプロピレン系樹脂にビニル系単量体を含浸させて、グラフト重合して得られる、[ポリプロピレン系樹脂含有量]/[ビニル系単量体からなる重合体含有量]の比が95〜60重量%/5〜40重量%であるスチレン改質プロピレン系樹脂が提案されている。
また、特許文献2及び3には、ポリプロピレン系樹脂にビニル系単量体を含浸させてグラフト重合して得られる、[ポリプロピレン系樹脂含有量]/[ビニル系単量体からなる重合体含有量]の比が50〜20重量%/50〜80重量%であるスチレン改質プロピレン系樹脂が提案されている。
また、特許文献4には、[ポリプロピレン系樹脂含有量]/[ビニル系単量体からなる重合体含有量]の比が76.9〜14.3重量%/23.1〜85.7重量%であるスチレン改質プロピレン系樹脂が提案されている。
例えば、特許文献1には、ポリプロピレン系樹脂にビニル系単量体を含浸させて、グラフト重合して得られる、[ポリプロピレン系樹脂含有量]/[ビニル系単量体からなる重合体含有量]の比が95〜60重量%/5〜40重量%であるスチレン改質プロピレン系樹脂が提案されている。
また、特許文献2及び3には、ポリプロピレン系樹脂にビニル系単量体を含浸させてグラフト重合して得られる、[ポリプロピレン系樹脂含有量]/[ビニル系単量体からなる重合体含有量]の比が50〜20重量%/50〜80重量%であるスチレン改質プロピレン系樹脂が提案されている。
また、特許文献4には、[ポリプロピレン系樹脂含有量]/[ビニル系単量体からなる重合体含有量]の比が76.9〜14.3重量%/23.1〜85.7重量%であるスチレン改質プロピレン系樹脂が提案されている。
しかしながら、上述の特許文献1に示された技術においては、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子に比べて型内成形する際の加熱温度の低下や剛性の向上は見られるものの、未だ改良の余地がありさらなる改善が望まれている。また、従来手法ではオレフィン系樹脂とスチレン系樹脂のモルフォロジーを制御することが困難で目標物性を得にくいという問題がある。
また、上述の特許文献2〜4において得られる複合樹脂発泡粒子成形体に関しては、ビニル系単量体からなる重合体含有量が多い場合に剛性が優れるものは得られるが、圧縮時の永久歪が大きく復元性において改善の余地がある。
また、上述の特許文献2〜4において得られる複合樹脂発泡粒子成形体に関しては、ビニル系単量体からなる重合体含有量が多い場合に剛性が優れるものは得られるが、圧縮時の永久歪が大きく復元性において改善の余地がある。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、剛性、耐熱性、及び復元性に優れる複合樹脂発泡粒子成形体及び該成形体を製造し得る複合樹脂発泡粒子を提供しようとするものである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために種々検討を重ねた結果、スチレン系樹脂とプロピレン系樹脂との複合樹脂発泡粒子を構成する気泡膜断面の透過型電子顕微鏡写真において確認されるプロピレン系樹脂とスチレン系樹脂のモルフォロジー等を最適化することによって、上記本発明の課題を解決することができる複合樹脂発泡粒子が提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の一態様は、スチレン系樹脂とプロピレン系樹脂との複合樹脂発泡粒子であって、
該複合樹脂発泡粒子中のプロピレン系樹脂成分の含有量は、スチレン系樹脂成分とプロピレン系樹脂成分との合計100質量%に対して40質量%以下(ただし、10質量%以下を除く。)であり、
上記複合樹脂発泡粒子を構成する気泡膜断面の透過型電子顕微鏡写真においてプロピレン系樹脂からなる連続相中にスチレン系樹脂からなる多数の分散相が分散されており、
該分散相の最大径の平均値が0.01〜1μmであり、かつ該分散相の最大径の平均値と最小径の平均値との比が1〜10であることを特徴とする複合樹脂発泡粒子にある。
即ち、本発明の一態様は、スチレン系樹脂とプロピレン系樹脂との複合樹脂発泡粒子であって、
該複合樹脂発泡粒子中のプロピレン系樹脂成分の含有量は、スチレン系樹脂成分とプロピレン系樹脂成分との合計100質量%に対して40質量%以下(ただし、10質量%以下を除く。)であり、
上記複合樹脂発泡粒子を構成する気泡膜断面の透過型電子顕微鏡写真においてプロピレン系樹脂からなる連続相中にスチレン系樹脂からなる多数の分散相が分散されており、
該分散相の最大径の平均値が0.01〜1μmであり、かつ該分散相の最大径の平均値と最小径の平均値との比が1〜10であることを特徴とする複合樹脂発泡粒子にある。
本発明の他の態様は、上記複合樹脂発泡粒子を型内成形してなる複合樹脂発泡粒子成形体であって、密度が10〜200kg/m3、独立気泡率が70%以上、融着率が60%以上であることを特徴とする複合樹脂発泡粒子成形体にある。
上記複合樹脂発泡粒子においては、プロピレン系樹脂成分の含有量が、スチレン系樹脂成分とプロピレン系樹脂成分との合計100質量%に対して40質量%以下(ただし、10質量%以下を除く。)である。そして、上記複合樹脂発泡粒子を構成する気泡膜断面の透過型電子顕微鏡写真においては、プロピレン系樹脂からなる連続相中にスチレン系樹脂からなる多数の分散相が分散されている。さらに該分散相の最大径の平均値が0.01〜1μmであり、かつ該分散相の最大径の平均値と最小径の平均値との比が1〜10である。そのため、耐熱性に優れるポリプロピレン系樹脂と剛性に優れるポリスチレン系樹脂の特徴が生かされ、上記複合樹脂発泡粒子は、特に復元性に優れる。該複合樹脂発泡粒子を用いると、耐熱性、剛性、復元性に優れた複合樹脂発泡粒子成形体を得ることができる。
また、上記複合樹脂発泡粒子を型内成形してなる上記複合樹脂発泡粒子成形体においては、密度が10〜200kg/m3、独立気泡率が70%以上、融着率が60%以上である。そのため、上記複合樹脂発泡粒子成形体は、圧縮物性等の機械的強度に優れ、密度バラツキが小さい。
次に、上記複合樹脂発泡粒子及びその成形体を実施するための形態について、説明する。
上記複合樹脂発泡粒子においては、該発泡粒子を形成する気泡膜が、プロピレン系樹脂を主成分とする連続相中にスチレン系樹脂を主成分とする複数で多数の分散相が分散されてなる改質樹脂から構成されている。
上記複合樹脂発泡粒子の内部断面を透過型電子顕微鏡にて観察した場合において、その断面は、略円形および/または不定形の粒状の上記分散相が上記連続相中に分散した海島構造を形成する。上記複合樹脂発泡粒子において、上記分散相は、その最大径の平均値が0.01〜1μmとなるように分散されている。換言すれば、上記複合樹脂発泡粒子の連続相中に分散された多数の分散相について、各分散相における最大径の平均値が0.01〜1μmである。即ち、複数の分散相について、各分散相における最大径を測定すると、これらの最大径の平均値が0.01〜1μmになる。また、上記複合樹脂発泡粒子において、上記分散相は、最大径の平均値/最小径の平均値が1〜10となるように分散されている。換言すれば、上記複合樹脂発泡粒子の連続相中に分散された多数の分散相について、各分散相における最小径の平均値に対する最大径の平均値の比(最大径の平均値/最小径の平均値)が1〜10である。即ち、複数の分散相について、各分散相における最大径と最小径を測定し、これらの最大径の平均値及び最小径の平均値を算出すると、その比(最大径の平均値/最小径平均値)が1〜10になる。そのため、上記複合樹脂発泡粒子は、優れた復元性を示すことができる。以下、最大径の平均値をDMAXave、最小径の平均値をDMINaveという。なお、上記複合樹脂発泡粒子の断面において、分散相であるスチレン系樹脂は例えばほぼ円形(円形を含む)、或いはほぼ楕円形(楕円形を含む)で連続相中に分散されていることが好ましい。
上記複合樹脂発泡粒子においては、該発泡粒子を形成する気泡膜が、プロピレン系樹脂を主成分とする連続相中にスチレン系樹脂を主成分とする複数で多数の分散相が分散されてなる改質樹脂から構成されている。
上記複合樹脂発泡粒子の内部断面を透過型電子顕微鏡にて観察した場合において、その断面は、略円形および/または不定形の粒状の上記分散相が上記連続相中に分散した海島構造を形成する。上記複合樹脂発泡粒子において、上記分散相は、その最大径の平均値が0.01〜1μmとなるように分散されている。換言すれば、上記複合樹脂発泡粒子の連続相中に分散された多数の分散相について、各分散相における最大径の平均値が0.01〜1μmである。即ち、複数の分散相について、各分散相における最大径を測定すると、これらの最大径の平均値が0.01〜1μmになる。また、上記複合樹脂発泡粒子において、上記分散相は、最大径の平均値/最小径の平均値が1〜10となるように分散されている。換言すれば、上記複合樹脂発泡粒子の連続相中に分散された多数の分散相について、各分散相における最小径の平均値に対する最大径の平均値の比(最大径の平均値/最小径の平均値)が1〜10である。即ち、複数の分散相について、各分散相における最大径と最小径を測定し、これらの最大径の平均値及び最小径の平均値を算出すると、その比(最大径の平均値/最小径平均値)が1〜10になる。そのため、上記複合樹脂発泡粒子は、優れた復元性を示すことができる。以下、最大径の平均値をDMAXave、最小径の平均値をDMINaveという。なお、上記複合樹脂発泡粒子の断面において、分散相であるスチレン系樹脂は例えばほぼ円形(円形を含む)、或いはほぼ楕円形(楕円形を含む)で連続相中に分散されていることが好ましい。
上記複合樹脂発泡粒子を構成する気泡膜において、スチレン系樹脂を主成分とする連続相中にプロピレン系樹脂を主成分とする分散相が分散している場合、プロピレン系樹脂とスチレン系樹脂が相互連続相になっている場合、プロピレン系樹脂を主成分とする連続相中に分散しているスチレン系樹脂を主成分とする分散相のDMAXaveが1μmを超える場合、又はDMAXave/DMINaveが10を超える場合には、複合樹脂発泡粒子の物性として、復元性に優れるポリプロピレン系樹脂の物性ではなく、脆くて硬いポリスチレン系樹脂の物性が強く反映されてしまう。そのため、そのような複合樹脂発泡粒子から得られた成形体は、外力が加わると割れ易くなり、復元性が劣ってしまう。
一方、スチレン系樹脂を主成分とする分散相のDMAXaveが0.01μm未満の場合には、発泡剤の保持性が悪化する。そのため、上記複合樹脂発泡粒子に残存する発泡剤量が減少し、型内成形する際の加熱温度が高くなってしまう。また、この場合には、ポリスチレン系樹脂の物性が十分に反映されなくなり、剛性が劣ってしまう。
なお、上記分散相のDMAXaveは、より好ましくは0.03〜1μm、更に好ましくは0.05〜1μmであることがよい。また、上記分散相のDMAXaveとDMINaveとの比(DMAXave/DMINave)は、より好ましくは1〜7、更に好ましくは1〜5がよく、特に好ましくは2〜5がよい。
一方、スチレン系樹脂を主成分とする分散相のDMAXaveが0.01μm未満の場合には、発泡剤の保持性が悪化する。そのため、上記複合樹脂発泡粒子に残存する発泡剤量が減少し、型内成形する際の加熱温度が高くなってしまう。また、この場合には、ポリスチレン系樹脂の物性が十分に反映されなくなり、剛性が劣ってしまう。
なお、上記分散相のDMAXaveは、より好ましくは0.03〜1μm、更に好ましくは0.05〜1μmであることがよい。また、上記分散相のDMAXaveとDMINaveとの比(DMAXave/DMINave)は、より好ましくは1〜7、更に好ましくは1〜5がよく、特に好ましくは2〜5がよい。
上記複合樹脂発泡粒子を形成している気泡膜における分散相のDMAXave及びDMINaveは、次の操作を行って測定できる。
具体的には、まず、複合樹脂発泡粒子から観察用のサンプルを該複合樹脂発泡粒子の中心部から切り出す。次いで、切り出した観察用サンプルをエポキシ樹脂に包埋し、四酸化ルテニウム染色を行った後、ウルトラミクロトームにより超薄切片を作製する。この超薄切片をグリッドに載せ、複合樹脂発泡粒子内部断面のモルフォロジーを透過型電子顕微鏡(日本電子社製のJEM1010)により観察する。そして、倍率50000倍の顕微鏡写真に基づいて、分散相の気泡膜断面における染色された最大径及び最小径を測定する。なお、最大径及び最小径は、分散相の形状が円の場合にはその直径を意味する。一方、分散相がその他の形状の場合には、最大径及び最小径は、それぞれ分散相の外接長方形の長辺及び短辺を意味する。
そして、成形に供する一群の複合樹脂発泡粒子から無作為に5個の発泡粒子を選択し、さらに各複合樹脂発泡粒子の上述の通り観察される気泡膜断面において、それぞれ無作為に選んだ20個の分散相について最大径及び最小径を測定し、各々100個の値の算術平均を求めることにより、分散相のDMAXave及びDMINaveとする。
具体的には、まず、複合樹脂発泡粒子から観察用のサンプルを該複合樹脂発泡粒子の中心部から切り出す。次いで、切り出した観察用サンプルをエポキシ樹脂に包埋し、四酸化ルテニウム染色を行った後、ウルトラミクロトームにより超薄切片を作製する。この超薄切片をグリッドに載せ、複合樹脂発泡粒子内部断面のモルフォロジーを透過型電子顕微鏡(日本電子社製のJEM1010)により観察する。そして、倍率50000倍の顕微鏡写真に基づいて、分散相の気泡膜断面における染色された最大径及び最小径を測定する。なお、最大径及び最小径は、分散相の形状が円の場合にはその直径を意味する。一方、分散相がその他の形状の場合には、最大径及び最小径は、それぞれ分散相の外接長方形の長辺及び短辺を意味する。
そして、成形に供する一群の複合樹脂発泡粒子から無作為に5個の発泡粒子を選択し、さらに各複合樹脂発泡粒子の上述の通り観察される気泡膜断面において、それぞれ無作為に選んだ20個の分散相について最大径及び最小径を測定し、各々100個の値の算術平均を求めることにより、分散相のDMAXave及びDMINaveとする。
上記複合樹脂発泡粒子において、上記分散相を構成する上記スチレン系樹脂としては、スチレンモノマーの重合体、スチレンモノマーと該スチレンモノマーと共重合可能なモノマー成分との共重合体が挙げられる。該スチレンモノマーと共重合可能なモノマー成分としては、例えばアクリル酸のアルキルエステル(但し、アルキルの炭素数は1〜10)、メタクリル酸のアルキルエステル(但し、アルキルの炭素数は1〜10)、スチレン誘導体、及びニトリル基含有不飽和炭化水素等が挙げられる。これらの1種又は2種以上の組み合わせを用いることができる。
アクリル酸のアルキルエステルとしては、具体的には、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等がある。
メタクリル酸のアルキルエステルとしては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル等がある。
スチレン誘導体としては、例えばα−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−オクチルスチレン、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム等がある。
ニトリル基含有不飽和化合物としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等がある。
メタクリル酸のアルキルエステルとしては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル等がある。
スチレン誘導体としては、例えばα−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−オクチルスチレン、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム等がある。
ニトリル基含有不飽和化合物としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等がある。
上記スチレン系樹脂としては、具体的には、ポリスチレン、ゴム変性ポリスチレン、アクリロニトリル―ブタジエン―スチレン樹脂、アクリロニトリル―スチレン樹脂、及びアクリロニトリル―エチレン―スチレン樹脂から選ばれる1種又は2種以上の混合物が挙げられる。好ましくは、ポリスチレン、及び/又はスチレンとブチルアクリレート等のアクリル系モノマーとの共重合体が挙げられる。
また、上記スチレン系樹脂において、スチレンモノマーと該スチレンモノマーと共重合可能なモノマー成分との共重合体中のスチレンモノマー成分量は、50質量%以上であることが好ましい。尚、本明細書では、スチレンモノマー及びスチレンモノマーと共重合可能なモノマー成分を、スチレン系モノマーと総称する。
また、上記スチレン系樹脂において、スチレンモノマーと該スチレンモノマーと共重合可能なモノマー成分との共重合体中のスチレンモノマー成分量は、50質量%以上であることが好ましい。尚、本明細書では、スチレンモノマー及びスチレンモノマーと共重合可能なモノマー成分を、スチレン系モノマーと総称する。
次に、上記複合樹脂発泡粒子において、上記連続相を構成するポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン成分を例えば70質量%以上含有するプロピレン系(共)重合体樹脂である。具体的には、例えばプロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−ブテンブロック共重合体、プロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体等のプロピレン系重合体が挙げられる。上記連続相を構成するプロピレン系樹脂としては、これらの重合体を2種以上組み合わせた樹脂であってもよい。上記プロピレン系樹脂が上記にて例示した重合体からなる樹脂であれば良好な発泡粒子を製造することが可能になる。これらの中でも、好ましくは、プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体がよく、更に好ましくはメタロセン系重合触媒を用いて重合された共重合体がよい。
上記複合樹脂発泡粒子においては、スチレン系樹脂成分とプロピレン系樹脂成分との合計が100質量%とすると、プロピレン系樹脂成分が20〜40質量%であることが好ましい。プロピレン系樹脂成分が多すぎてスチレン系樹脂成分が少なすぎる場合は、所期の発泡倍率が得られない虞や剛性が不十分になる虞がある。一方、プロピレン系樹脂成分が少なすぎてスチレン系樹脂成分が多すぎる場合は、耐熱性が不十分になる虞や、上記特定のモルフォロジーを満足しても復元性が不十分になる虞がある。
また、上記複合樹脂発泡粒子において、上記プロピレン系樹脂の融点は、115〜140℃であることが好ましい。
この場合には、上記複合樹脂発泡粒子を型内成形する際の成形温度を下げることができる。上記観点から、ポリプロピレン系樹脂の融点は115〜130℃であることがより好ましい。一方、ポリプロピレン系樹脂の融点が低すぎる場合には耐熱性が低下するおそれがある。
この場合には、上記複合樹脂発泡粒子を型内成形する際の成形温度を下げることができる。上記観点から、ポリプロピレン系樹脂の融点は115〜130℃であることがより好ましい。一方、ポリプロピレン系樹脂の融点が低すぎる場合には耐熱性が低下するおそれがある。
上記ポリプロピレン系樹脂の融点は、例えば次のようにして測定できる。
まずキシレン200mlを収容しているフラスコに、複合樹脂発泡粒子1.0gを添加し、マントルヒーターで8時間加熱し、ソックスレー抽出を行う。抽出したキシレン溶液をアセトン600mlへ投下し、デカンテーション及び減圧蒸発乾固を行い、アセトン不溶分としてポリプロピレン系樹脂を得る。次いで、得られたポリプロピレン系樹脂2〜4mgについて、DSC測定装置(ティ・エイ・インスツルメント社製の2010型など)を用い、JIS K7121(1987年)に基づきより一定の熱処理を行う条件にて熱流束示差走査熱量測定を行う。該測定により、加熱速度10℃/分の条件で得られたDSC曲線上の吸熱ピークの頂点の温度を融点として求めることができる。
まずキシレン200mlを収容しているフラスコに、複合樹脂発泡粒子1.0gを添加し、マントルヒーターで8時間加熱し、ソックスレー抽出を行う。抽出したキシレン溶液をアセトン600mlへ投下し、デカンテーション及び減圧蒸発乾固を行い、アセトン不溶分としてポリプロピレン系樹脂を得る。次いで、得られたポリプロピレン系樹脂2〜4mgについて、DSC測定装置(ティ・エイ・インスツルメント社製の2010型など)を用い、JIS K7121(1987年)に基づきより一定の熱処理を行う条件にて熱流束示差走査熱量測定を行う。該測定により、加熱速度10℃/分の条件で得られたDSC曲線上の吸熱ピークの頂点の温度を融点として求めることができる。
また、上記複合樹脂発泡粒子において、上記スチレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、30万〜50万であることが好ましい。
この場合には、複合樹脂発泡粒子の型内成形時に、複合樹脂発泡粒子同士の融着性を向上させることができると共に、成形体の寸法安定性を向上させることができる。上記観点から、スチレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は30万〜45万であることがより好ましい。
この場合には、複合樹脂発泡粒子の型内成形時に、複合樹脂発泡粒子同士の融着性を向上させることができると共に、成形体の寸法安定性を向上させることができる。上記観点から、スチレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は30万〜45万であることがより好ましい。
上記スチレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法(高分子測定用ミックスゲルカラム)により測定でき、例えば次のようにして求めることができる。
具体的には、まず、キシレン200mlを収容しているフラスコに、複合樹脂発泡粒子1.0gを添加し、マントルヒーターで8時間加熱し、ソックスレー抽出を行う。抽出したキシレン溶液をアセトン600mlへ投下し、デカンテーション、減圧蒸発乾固を行い、アセトン可溶分としてスチレン系樹脂を得る。次いで、得られたスチレン系樹脂35mgをテトラヒドロフラン5.5mlに溶解させ、GPC測定装置(東ソー(株)製のGPC−8020 ModelIIなど)を用いて、溶離液:テトラヒドロフラン(THF)、流量:2ml/分、カラム:東ソー(株)製のTSK−GEL GMHという測定条件にて測定を行い、標準ポリスチレンで校正することにより重量平均分子量を求めることができる。
具体的には、まず、キシレン200mlを収容しているフラスコに、複合樹脂発泡粒子1.0gを添加し、マントルヒーターで8時間加熱し、ソックスレー抽出を行う。抽出したキシレン溶液をアセトン600mlへ投下し、デカンテーション、減圧蒸発乾固を行い、アセトン可溶分としてスチレン系樹脂を得る。次いで、得られたスチレン系樹脂35mgをテトラヒドロフラン5.5mlに溶解させ、GPC測定装置(東ソー(株)製のGPC−8020 ModelIIなど)を用いて、溶離液:テトラヒドロフラン(THF)、流量:2ml/分、カラム:東ソー(株)製のTSK−GEL GMHという測定条件にて測定を行い、標準ポリスチレンで校正することにより重量平均分子量を求めることができる。
また、上記複合樹脂発泡粒子の物理発泡剤の含有量は、上記複合樹脂発泡粒子100質量部に対して0.5質量部以上であることが好ましい。
この場合には、複合樹脂発泡粒子の型内成形時に、複合樹脂発泡粒子同士の融着性を向上させることができる。上記観点から、物理発泡剤の含有量は上記複合樹脂発泡粒子100質量部に対して1質量部以上であることがより好ましい。また、成形サイクルを短縮させるという観点から、物理発泡剤の含有量は上記複合樹脂発泡粒子100質量部に対して5質量部以下が好ましい。
この場合には、複合樹脂発泡粒子の型内成形時に、複合樹脂発泡粒子同士の融着性を向上させることができる。上記観点から、物理発泡剤の含有量は上記複合樹脂発泡粒子100質量部に対して1質量部以上であることがより好ましい。また、成形サイクルを短縮させるという観点から、物理発泡剤の含有量は上記複合樹脂発泡粒子100質量部に対して5質量部以下が好ましい。
上記複合樹脂発泡粒子の物理発泡剤の含有量は、例えば次のようにして求めることができる。
具体的には、発泡性複合樹脂粒子の予備発泡後に、温度23℃、相対湿度50%の開放状態で24時間放置する。その後、複合樹脂発泡粒子中の物理発泡剤の含有量を測定する。物理発泡剤の含有量(質量%)は、複合樹脂発泡粒子をジメチルホルムアミドに溶解させ、ガスクロマトグラフィにより測定することができる。なお、ガスクロマトグラフィによりおける分析条件は、例えば以下の通りである。
使用機器:(株)島津製作所製のガスクトマトグラフGC−8A
カラム材質:内径3mm、長さ4000mmのガラスカラム
カラム充填剤:〔液相名〕DOP−B、〔液相含浸率〕30質量%、〔担体名〕ガスクロマトグラフ用珪藻土ChromosorbP、〔担体粒度〕60/80メッシュ、[担体処理方法〕AW(酸処理)
注入口温度:100℃
カラム温度:50℃
検出部温度:100℃
キャリアーガス:N2、流量50m/min
検出器:FID(水素炎イオン化検出器)
定量:内部標準法
具体的には、発泡性複合樹脂粒子の予備発泡後に、温度23℃、相対湿度50%の開放状態で24時間放置する。その後、複合樹脂発泡粒子中の物理発泡剤の含有量を測定する。物理発泡剤の含有量(質量%)は、複合樹脂発泡粒子をジメチルホルムアミドに溶解させ、ガスクロマトグラフィにより測定することができる。なお、ガスクロマトグラフィによりおける分析条件は、例えば以下の通りである。
使用機器:(株)島津製作所製のガスクトマトグラフGC−8A
カラム材質:内径3mm、長さ4000mmのガラスカラム
カラム充填剤:〔液相名〕DOP−B、〔液相含浸率〕30質量%、〔担体名〕ガスクロマトグラフ用珪藻土ChromosorbP、〔担体粒度〕60/80メッシュ、[担体処理方法〕AW(酸処理)
注入口温度:100℃
カラム温度:50℃
検出部温度:100℃
キャリアーガス:N2、流量50m/min
検出器:FID(水素炎イオン化検出器)
定量:内部標準法
次に、上記複合樹脂発泡粒子の製造方法について説明する。特定のモルフォロジーを有する上記複合樹脂発泡粒子は、後述の改質工程、含浸工程、及び発泡工程を経て製造することができる。
上記改質工程においては、プロピレン系樹脂粒子(以下、適宜「核粒子」という)を例えば懸濁剤、界面活性剤、及び水溶性重合禁止剤等を含む水性媒体中に懸濁させ、懸濁液を作製する。次いで、該懸濁液にスチレン系モノマーを添加し、核粒子に該スチレン系モノマーを含浸させ、重合開始剤の存在下で懸濁重合させる。これにより、プロピレン系樹脂成分とスチレン系樹脂成分とから構成される複合樹脂粒子を得る。
なお、上記工程においては、上記複合樹脂粒子の重合中および/または重合後に物理発泡剤を含浸させ、上記発泡工程においては、上記物理発泡剤が含浸された発泡性複合樹脂粒子を加熱し発泡させて複合樹脂発泡粒子を得る。
なお、上記工程においては、上記複合樹脂粒子の重合中および/または重合後に物理発泡剤を含浸させ、上記発泡工程においては、上記物理発泡剤が含浸された発泡性複合樹脂粒子を加熱し発泡させて複合樹脂発泡粒子を得る。
上記複合樹脂発泡粒子を得るにあたっては、発泡前段階の発泡性樹脂粒子を得る上記改質工程における操作手順が重要となる。
上記改質工程においては、まず、プロピレン系樹脂粒子を水性媒体中に懸濁させた懸濁液中に、スチレン系モノマーを上記プロピレン系樹脂粒子100質量部に対して150〜400質量部添加する。次いで、上記プロピレン系樹脂粒子に該スチレン系モノマーを含浸させ、加熱により重合させて、複合樹脂粒子を得る。このとき、スチレン系モノマーを分割して添加し、温度80℃未満で添加するスチレンモノマー量をC(質量%)、温度80℃以上で添加するスチレンモノマー量をD(質量%)、プロピレン系樹脂粒子量をE(質量%)とした時、下記の式(1)〜(3)を満足する多段重合プロセスを採用することにより、プロピレン系樹脂により構成される連続相にスチレン系樹脂により構成される比較的小さな分散粒径を有する分散相が分散されているモルフォロジーを形成した複合樹脂粒子を得ることができる。
0.50<C/E≦4 式(1)
C/(C+D+E)≧0.2×C/D 式(2)
C/(C+D+E)<0.1×C/D+0.4 式(3)
上記改質工程においては、まず、プロピレン系樹脂粒子を水性媒体中に懸濁させた懸濁液中に、スチレン系モノマーを上記プロピレン系樹脂粒子100質量部に対して150〜400質量部添加する。次いで、上記プロピレン系樹脂粒子に該スチレン系モノマーを含浸させ、加熱により重合させて、複合樹脂粒子を得る。このとき、スチレン系モノマーを分割して添加し、温度80℃未満で添加するスチレンモノマー量をC(質量%)、温度80℃以上で添加するスチレンモノマー量をD(質量%)、プロピレン系樹脂粒子量をE(質量%)とした時、下記の式(1)〜(3)を満足する多段重合プロセスを採用することにより、プロピレン系樹脂により構成される連続相にスチレン系樹脂により構成される比較的小さな分散粒径を有する分散相が分散されているモルフォロジーを形成した複合樹脂粒子を得ることができる。
0.50<C/E≦4 式(1)
C/(C+D+E)≧0.2×C/D 式(2)
C/(C+D+E)<0.1×C/D+0.4 式(3)
なお、上記複合樹脂粒子においては、上記分散相の断面写真にて確認されるDMAXaveは0.01〜1μmであることが好ましく、0.03〜1μmであることがより好ましく、0.05〜1μmであることがさらにより好ましい。また、上記複合樹脂粒子において、上記分散相のDMAXaveとDMINaveとの比(DMAXave/DMINave)は1〜3であることが好ましく、1〜2であることがより好ましい。
上記の複合樹脂粒子の分散相のDMAXaveおよびDMINaveは、上記複合樹脂粒子の中心部を観察用のサンプルとし、透過型電子顕微鏡(日本電子社製のJEM1010)により、倍率10000倍に拡大して得た顕微鏡写真に基づき測定されることを除いては、前述した複合樹脂発泡粒子を形成している気泡膜における分散相のDMAXave及びDMINaveの測定方法と同様にして求めることができる。
上記の複合樹脂粒子の分散相のDMAXaveおよびDMINaveは、上記複合樹脂粒子の中心部を観察用のサンプルとし、透過型電子顕微鏡(日本電子社製のJEM1010)により、倍率10000倍に拡大して得た顕微鏡写真に基づき測定されることを除いては、前述した複合樹脂発泡粒子を形成している気泡膜における分散相のDMAXave及びDMINaveの測定方法と同様にして求めることができる。
上記改質工程において、温度80℃未満で添加するスチレンモノマーとプロピレン系樹脂粒子との配合重量比であるC/Eが0.50以下の場合には、プロピレン系樹脂を主成分とする連続相中にスチレン系樹脂を主成分とする分散相が分散されている複合樹脂粒子及び発泡性複合樹脂粒子を得ることはできる。しかし、分散相の分散粒径が大きくなりすぎるため、発泡性複合樹脂粒子を加熱し発泡させる際にスチレン系樹脂の分散相同士の合一が起きていると考えられる。その結果、プロピレン系樹脂とスチレン系樹脂とは共連続相を形成してしまうか、或いはスチレン系樹脂を主成分とする連続相中にプロピレン系樹脂を主成分とする分散相が形成してしまうか、或いはプロピレン系樹脂を主成分とする連続相中にスチレン系樹脂を主成分とする分散相が上記の好ましい分散粒径の範囲内で分散できなくなる。そのため、得られる複合樹脂発泡粒子を構成する気泡膜において、プロピレン系樹脂を主成分とする連続相中にスチレン系樹脂を主成分とする分散相が特定の範囲で分散しているモルフォロジーを形成することができなくなる虞がある。その結果、良好な物性を示す複合樹脂発泡粒子成形体が得られなくなる虞がある。
一方、C/Eが4を超える場合には、スチレン系モノマーをポリプロピレン系樹脂粒子に充分に含浸させることができず、懸濁系が不安定化してスチレン系樹脂の塊状物が発生する虞がある。上記観点から、上記改質工程において、C/Eの値は、0.55〜1.6がより好ましく、0.65〜1.2がさらにより好ましい。
一方、C/Eが4を超える場合には、スチレン系モノマーをポリプロピレン系樹脂粒子に充分に含浸させることができず、懸濁系が不安定化してスチレン系樹脂の塊状物が発生する虞がある。上記観点から、上記改質工程において、C/Eの値は、0.55〜1.6がより好ましく、0.65〜1.2がさらにより好ましい。
また、上記改質工程にて、C/(C+D+E)≧0.1×C/D+0.4の場合には、複合樹脂発泡粒子を型内成形してなる成形体の耐熱性又は復元性等が不十分になる虞がある。一方、C/(C+D+E)<0.2×C/Dの場合には、所期の発泡倍率が得られない虞がある。また、この場合には、複合樹脂発泡粒子を型内成形してなる成形体の剛性が不十分になる虞がある。上記観点からC/(C+D+E)の値は、より好ましくはC/(C+D+E)≦0.1×C/D+0.35がよく、更に好ましくはC/(C+D+E)≦0.1×C/D+0.3であることがよい。
また、プロピレン系樹脂により構成される連続相にスチレン系樹脂により構成される比較的小さな分散粒径を有する分散相が分散されているモルフォロジーを形成した複合樹脂粒子をより一層容易に得ることができ、復元性に優れた複合樹脂発泡粒子成形体が得られるという観点から、上記改質工程において、C/(C+D)は、0.5以上であることが好ましく、0.5〜0.8であることがより好ましい。
また、プロピレン系樹脂により構成される連続相にスチレン系樹脂により構成される比較的小さな分散粒径を有する分散相が分散されているモルフォロジーを形成した複合樹脂粒子をより一層容易に得ることができ、復元性に優れた複合樹脂発泡粒子成形体が得られるという観点から、上記改質工程において、C/(C+D)は、0.5以上であることが好ましく、0.5〜0.8であることがより好ましい。
また、上記改質工程において、温度80℃を超えてからスチレンモノマーを添加した場合には、スチレン系モノマーがポリプロピレン系樹脂粒子に充分に含浸される前に重合してしまい樹脂の塊状物が発生する虞もある。したがって、改質工程におけるスチレンモノマーの添加開始温度は、好ましくは30〜70℃であり、より好ましくは40〜65℃である。
また温度80℃未満で添加するスチレンモノマー量をC(質量%)、温度80℃以上で添加するスチレンモノマー量をD(質量%)、プロピレン系樹脂粒子量をE(質量%)とした時、上述のように上記式(1)〜(3)を満足することにより、プロピレン系樹脂により構成される連続相にスチレン系樹脂により構成される比較的小さな分散粒径を有する分散相が分散されているモルフォロジーを形成した複合樹脂粒子を得ることができる。その結果、優れた復元性を示す複合樹脂発泡粒子成形体を得ることが可能になる。また、温度70℃未満で添加するスチレンモノマー量をC(質量%)とした場合においても、上記式(1)〜(3)を満足することがより好ましく、温度65℃未満で添加するスチレンモノマー量をC(質量%)とした場合においても、上記式(1)〜(3)を満足することがさらにより好ましい。
このように、上記改質工程においては、上記式(1)〜(3)を満足する範囲内での多段重合プロセスを採用することが好ましい。
このように、上記改質工程においては、上記式(1)〜(3)を満足する範囲内での多段重合プロセスを採用することが好ましい。
なお、上記改質工程において、上述の式(1)〜(3)を満足する多段懸濁重合プロセスを採用することにより、スチレン系樹脂により構成される比較的小さな分散粒径を有する分散相が形成される理由は、次のように考えられる
即ち、懸濁系が不安定化してスチレン系樹脂の塊状物が発生しない温度80℃未満で添加するスチレンモノマーの量を増やすことにより、スチレン系モノマーが含浸されやすいポリスチレンがプロピレン系樹脂粒子中に形成される。そこで、スチレン系モノマーの油滴径が大きくなる前に、プロピレン系樹脂粒子に大部分のスチレン系モノマーが、スチレン系モノマー油滴径が小さい状態でプロピレン系樹脂からなる核粒子中に含浸され、重合される。その結果、スチレン系樹脂により構成される比較的小さな分散粒径を有する分散相が形成されると推定される。
そして、上記のように比較的小さな分散粒径を有する分散相が形成されることにより、該複合樹脂粒子を発泡して分散相が引き延ばされた場合でも、スチレン系樹脂の分散相同士の合一が起きず、プロピレン系樹脂とスチレン系樹脂とは共連続相を形成しない。そのため、後工程の発泡工程を経て上記特定のモルフォロジーを有する複合樹脂発泡粒子を得ることができる。
即ち、懸濁系が不安定化してスチレン系樹脂の塊状物が発生しない温度80℃未満で添加するスチレンモノマーの量を増やすことにより、スチレン系モノマーが含浸されやすいポリスチレンがプロピレン系樹脂粒子中に形成される。そこで、スチレン系モノマーの油滴径が大きくなる前に、プロピレン系樹脂粒子に大部分のスチレン系モノマーが、スチレン系モノマー油滴径が小さい状態でプロピレン系樹脂からなる核粒子中に含浸され、重合される。その結果、スチレン系樹脂により構成される比較的小さな分散粒径を有する分散相が形成されると推定される。
そして、上記のように比較的小さな分散粒径を有する分散相が形成されることにより、該複合樹脂粒子を発泡して分散相が引き延ばされた場合でも、スチレン系樹脂の分散相同士の合一が起きず、プロピレン系樹脂とスチレン系樹脂とは共連続相を形成しない。そのため、後工程の発泡工程を経て上記特定のモルフォロジーを有する複合樹脂発泡粒子を得ることができる。
また、上記含浸工程においては、上記複合樹脂粒子を構成しているスチレン系樹脂のガラス転移温度をTgとすると、温度Tg(℃)〜Tg+40(℃)の範囲内で、重合中の又は重合後の樹脂粒子を収容する容器内に物理発泡剤を圧入し、樹脂粒子中に物理発泡剤を含浸させることが好ましい。
発泡剤の含浸温度を上記範囲内とすることにより、複合樹脂粒子に発泡剤が充分に含浸され発泡性が良好なものとなる。そして、得られる複合樹脂発泡粒子においても独立気泡率が高く、復元性がより優れるものとなる。また、発泡剤の含浸温度を上記範囲内とすることは、発泡剤含浸時の発泡性複合樹脂粒子の凝結(樹脂粒子同士が合一)防止の観点からも好ましい。発泡剤の含浸温度は、Tg+5(℃)〜Tg+25(℃)の範囲内であることがより好ましい。
発泡剤の含浸温度を上記範囲内とすることにより、複合樹脂粒子に発泡剤が充分に含浸され発泡性が良好なものとなる。そして、得られる複合樹脂発泡粒子においても独立気泡率が高く、復元性がより優れるものとなる。また、発泡剤の含浸温度を上記範囲内とすることは、発泡剤含浸時の発泡性複合樹脂粒子の凝結(樹脂粒子同士が合一)防止の観点からも好ましい。発泡剤の含浸温度は、Tg+5(℃)〜Tg+25(℃)の範囲内であることがより好ましい。
スチレン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、例えば次のようにして測定できる。
即ち、まず、キシレン200mlを収容するフラスコに、複合樹脂粒子1.0gを添加し、マントルヒーターで8時間加熱し、ソックスレー抽出を行う。抽出したキシレン溶液をアセトン600mlへ投下し、デカンテーション、減圧蒸発乾固を行い、アセトン可溶分としてスチレン系樹脂を得る。得られたスチレン系樹脂2〜4mgについて、DSC測定装置(ティ・エイ・インスツルメント社製の2010型など)を用い、JIS K7121(1987年)に基づきより一定の熱処理を行う条件にて熱流束示差走査熱量測定を行う。そして、加熱速度10℃/分の条件で得られるDSC曲線の中間点ガラス転移温度としてガラス転移温度が求められる。
即ち、まず、キシレン200mlを収容するフラスコに、複合樹脂粒子1.0gを添加し、マントルヒーターで8時間加熱し、ソックスレー抽出を行う。抽出したキシレン溶液をアセトン600mlへ投下し、デカンテーション、減圧蒸発乾固を行い、アセトン可溶分としてスチレン系樹脂を得る。得られたスチレン系樹脂2〜4mgについて、DSC測定装置(ティ・エイ・インスツルメント社製の2010型など)を用い、JIS K7121(1987年)に基づきより一定の熱処理を行う条件にて熱流束示差走査熱量測定を行う。そして、加熱速度10℃/分の条件で得られるDSC曲線の中間点ガラス転移温度としてガラス転移温度が求められる。
次に、上記発泡工程においては、物理発泡剤を含浸させた発泡性複合樹脂粒子を得た後、物理発泡剤が含浸された発泡性複合樹脂粒子を予備発泡機などにより加熱し発泡させることが好ましい。
なお、発泡粒子を得るその他の方法としては、複合樹脂粒子と物理発泡剤とを密閉容器内で水等の分散媒体に分散させ、撹拌下に加熱して複合樹脂粒子を軟化させるとともに複合樹脂粒子に物理発泡剤を含浸させた後、物理発泡剤を含浸した軟化状態の複合樹脂粒子を上記密閉容器内より低圧下(通常大気圧下)に放出して発泡させる方法がある。しかし、この場合には、上述のように発泡性樹脂粒子のモルフォロジーを調整しても、発泡粒子を構成する気泡膜においてプロピレン系樹脂とスチレン系樹脂が共連続相になり、復元性に優れる複合樹脂発泡粒子成形体を得ることが困難になる虞がある。
なお、発泡粒子を得るその他の方法としては、複合樹脂粒子と物理発泡剤とを密閉容器内で水等の分散媒体に分散させ、撹拌下に加熱して複合樹脂粒子を軟化させるとともに複合樹脂粒子に物理発泡剤を含浸させた後、物理発泡剤を含浸した軟化状態の複合樹脂粒子を上記密閉容器内より低圧下(通常大気圧下)に放出して発泡させる方法がある。しかし、この場合には、上述のように発泡性樹脂粒子のモルフォロジーを調整しても、発泡粒子を構成する気泡膜においてプロピレン系樹脂とスチレン系樹脂が共連続相になり、復元性に優れる複合樹脂発泡粒子成形体を得ることが困難になる虞がある。
核粒子に用いるプロピレン系樹脂には、上記連続相を構成する上述のプロピレン系樹脂を採用することができる。剛性、復元性、耐熱性の観点から、プロピレン系樹脂は、プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体であることが好ましい。
また、上記核粒子には、本発明の効果を損なわない限り、気泡調整剤、顔料、スリップ剤、帯電防止剤、及び難燃剤等の添加剤を含有することができる。
添加剤としては、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタン、石膏、ゼオライト、ホウ酸亜鉛、水酸化アルミニウム、カーボン等の無機物の他、リン酸系核剤、フェノール系核剤、アミン系核剤等の発泡助剤、スリップ剤、帯電防止剤、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモビスフェノールA、トリメチルホスフェート、水酸化アルミニウムなどの難燃剤、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、三酸化アンチモンなどの難燃助剤、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛及び炭素繊維などの着色剤などがある。上記添加剤は、単独または2種以上の組合せで添加することができる。
また、上記核粒子には、本発明の効果を損なわない限り、気泡調整剤、顔料、スリップ剤、帯電防止剤、及び難燃剤等の添加剤を含有することができる。
添加剤としては、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタン、石膏、ゼオライト、ホウ酸亜鉛、水酸化アルミニウム、カーボン等の無機物の他、リン酸系核剤、フェノール系核剤、アミン系核剤等の発泡助剤、スリップ剤、帯電防止剤、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモビスフェノールA、トリメチルホスフェート、水酸化アルミニウムなどの難燃剤、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、三酸化アンチモンなどの難燃助剤、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛及び炭素繊維などの着色剤などがある。上記添加剤は、単独または2種以上の組合せで添加することができる。
上記核粒子は、上記プロピレン系樹脂を押出機で溶融混練した後、ストランドカット方式、ホットカット方式、及び水中カット方式等によりペレタイズして得ることができる。所望の粒子径が得られる方法であれば他の方法を採用することもできる。
上記核粒子の粒子径は、好ましくは0.1〜3.0mmがよく、より好ましくは0.3〜1.5mmがよい。この場合には、得られる複合樹脂粒子の粒径が小さすぎず、発泡性複合樹脂粒子の発泡剤の逸散速度を一層遅く調整することができる。またこの場合には、核粒子の生産性を向上させることができ、さらに得られる複合樹脂発泡粒子の型内成形時に金型への充填性を向上させることができる。なお、核粒子を製造するために押出機を用いてペレタイズする場合の粒子径の調整は、例えば粒子径の範囲内の口径を有する孔から樹脂を押出し、カットスピードを変えて特定の粒子径の範囲内の長さに切断することにより行うことができる。
上記核粒子の粒子径は、好ましくは0.1〜3.0mmがよく、より好ましくは0.3〜1.5mmがよい。この場合には、得られる複合樹脂粒子の粒径が小さすぎず、発泡性複合樹脂粒子の発泡剤の逸散速度を一層遅く調整することができる。またこの場合には、核粒子の生産性を向上させることができ、さらに得られる複合樹脂発泡粒子の型内成形時に金型への充填性を向上させることができる。なお、核粒子を製造するために押出機を用いてペレタイズする場合の粒子径の調整は、例えば粒子径の範囲内の口径を有する孔から樹脂を押出し、カットスピードを変えて特定の粒子径の範囲内の長さに切断することにより行うことができる。
上記核粒子の粒子径は、核粒子を顕微鏡写真により観察し、200個以上の核粒子について各々の核粒子の最大径を測定し、測定された最大径の算術平均値を算出することにより、測定することができる。
上記核粒子は、通常、水性媒体中に懸濁させて懸濁液とする。水性媒体中への分散は、例えば撹拌機を備えた密閉容器を用いて行うことができる。上記水性媒体としては、例えば脱イオン水等が挙げられる。
上記核粒子は、懸濁系の安定化、得られる樹脂粒子の粒子径分布調整を目的として、懸濁剤とともに水性媒体中に分散させることが好ましい。
上記核粒子は、懸濁系の安定化、得られる樹脂粒子の粒子径分布調整を目的として、懸濁剤とともに水性媒体中に分散させることが好ましい。
上記懸濁剤としては、例えばリン酸三カルシウム、ハイドロキシアパタイト、ピロリン酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化第2鉄、水酸化チタン、水酸化マグネシウム、リン酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、及びベントナイト等の微粒子状の無機懸濁剤を用いることができる。また、例えばポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース等の有機懸濁剤を用いることもできる。好ましくは、リン酸三カルシウム、ハイドロキシアパタイト、及びピロリン酸マグネシウムがよい。これらの懸濁剤は単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記懸濁剤の使用量は、懸濁剤の種類にもよるが、懸濁重合系の水性媒体(反応生成物含有スラリーの水)100質量部に対して、固形分量で概ね0.05〜10質量部であり、好ましくは0.3〜5質量部である。
また、上記懸濁液には界面活性剤を添加することができる。
上記界面活性剤としては、例えばアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、及び両性界面活性剤等を用いることができる。
上記界面活性剤としては、例えばアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、及び両性界面活性剤等を用いることができる。
上記アニオン系界面活性剤としては、例えばアルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、α‐オレフィンスルホン酸ナトリウム、及びドデシルフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等を用いることができる。
上記ノニオン系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等を用いることができる。
上記カチオン系界面活性剤としては、ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩を用いることができる。また、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム等を用いることもできる。
上記両性界面活性剤としては、ラウリルベタイン、及びステアリルベタイン等のアルキルベタインを用いることができる。また、ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアルキルアミンオキサイドを用いることもできる。
上述の界面活性剤は、単独で、又は複数組み合わせて用いることができる。
上記ノニオン系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等を用いることができる。
上記カチオン系界面活性剤としては、ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩を用いることができる。また、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム等を用いることもできる。
上記両性界面活性剤としては、ラウリルベタイン、及びステアリルベタイン等のアルキルベタインを用いることができる。また、ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアルキルアミンオキサイドを用いることもできる。
上述の界面活性剤は、単独で、又は複数組み合わせて用いることができる。
好ましくは、アニオン系界面活性剤を用いることがよい。より好ましくは、炭素数8〜20のアルキルスルホン酸アルカリ金属塩(好ましくはナトリウム塩)がよい。これにより、懸濁を充分に安定化させることができる。
また、上記懸濁液には、必要に応じて、例えば塩化リチウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム等の無機塩類からなる電解質を添加することができる。
また、靭性、機械的強度に優れる複合樹脂発泡粒子成形体を得るためには、上記懸濁液に水溶性重合禁止剤を添加することが好ましい。
また、靭性、機械的強度に優れる複合樹脂発泡粒子成形体を得るためには、上記懸濁液に水溶性重合禁止剤を添加することが好ましい。
上記水溶性重合禁止剤としては、例えば亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸アンモニウム、L−アスコルビン酸、クエン酸等を用いることができる。
上記水溶性重合禁止剤は上記核粒子内に含浸し難く、水性媒体中に溶解する。したがって、上記核粒子に含浸した上記スチレン系モノマーの重合は行われるが、上記核粒子に含浸されていない水性媒体中の上記スチレン系モノマーの微小液滴、及び上記核粒子に吸収されつつある上記核粒子表面付近の上記スチレン系モノマーの重合を抑制することができる。そのため、上記発泡性複合樹脂粒子の表面部分は中心部にくらべてスチレン系樹脂量を少なくすることができる。
上記水溶性重合禁止剤は上記核粒子内に含浸し難く、水性媒体中に溶解する。したがって、上記核粒子に含浸した上記スチレン系モノマーの重合は行われるが、上記核粒子に含浸されていない水性媒体中の上記スチレン系モノマーの微小液滴、及び上記核粒子に吸収されつつある上記核粒子表面付近の上記スチレン系モノマーの重合を抑制することができる。そのため、上記発泡性複合樹脂粒子の表面部分は中心部にくらべてスチレン系樹脂量を少なくすることができる。
水溶性重合禁止剤の添加量は、水性媒体(反応生成物含有スラリーなどの水を含む系内の全ての水をいう)100質量部に対して0.001〜0.1質量部が好ましく、より好ましくは0.002〜0.02質量部がよい。上記水溶性重合禁止剤が多すぎる場合には、残存するスチレン系モノマーが増加し、良好な複合樹脂発泡粒子成形体が得られなくなる虞がある。
上記核粒子に含浸させるスチレン系モノマーとしては、上述のスチレンモノマー、又は、スチレンモノマー及びこれと共重合が可能なモノマー成分を用いることができる。
上記核粒子内でスチレン系モノマーを均一に重合させるためには、スチレン系モノマーを核粒子に含浸させて重合させる。この場合には、スチレン系モノマーの重合と共に架橋が生じることがある。スチレン系モノマーの重合において重合開始剤を用いるが、必要に応じて架橋剤を併用することができる。また、重合開始剤及び/又は架橋剤を使用する際には、予めスチレン系モノマーに重合開始剤及び/又は架橋剤を溶解しておくことが好ましい。
上記核粒子内でスチレン系モノマーを均一に重合させるためには、スチレン系モノマーを核粒子に含浸させて重合させる。この場合には、スチレン系モノマーの重合と共に架橋が生じることがある。スチレン系モノマーの重合において重合開始剤を用いるが、必要に応じて架橋剤を併用することができる。また、重合開始剤及び/又は架橋剤を使用する際には、予めスチレン系モノマーに重合開始剤及び/又は架橋剤を溶解しておくことが好ましい。
上記重合開始剤としては、スチレン系モノマーの懸濁重合法に用いられる重合開始剤、例えばビニルモノマーに可溶で、10時間半減期温度が50〜120℃である重合開始剤を用いることができる。具体的には、例えばクメンヒドロキシパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、及びラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等を用いることができる。これらの重合開始剤は1種類または2種類以上組み合わせて用いることができる。
上記重合開始剤は、溶剤に溶解させて添加し、上記核粒子に含浸させることもできる。
上記重合開始剤を溶解する溶剤としては、例えばエチルベンゼン及びトルエン等の芳香族炭化水素、ヘプタン及びオクタン等の脂肪族炭化水素等が用いられる。
上記重合開始剤は、スチレン系モノマー100質量部に対して0.01〜3質量部で使用することが好ましい。
上記重合開始剤を溶解する溶剤としては、例えばエチルベンゼン及びトルエン等の芳香族炭化水素、ヘプタン及びオクタン等の脂肪族炭化水素等が用いられる。
上記重合開始剤は、スチレン系モノマー100質量部に対して0.01〜3質量部で使用することが好ましい。
また、上記架橋剤としては、重合温度では分解せず、架橋温度で分解する10時間半減期温度が重合温度よりも5℃〜50℃高い架橋剤を用いることができる。具体的には、例えばジクミルパーオキサイド、2,5−t−ブチルパーベンゾエート、1,1−ビス−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン等の過酸化物を用いることができる。上記架橋剤は、単独または2種類以上併用して用いることができる。上記架橋剤の配合量は、スチレン系モノマー100質量部に対して0.1〜5質量部であることが好ましい。
なお、上記重合開始剤及び上記架橋剤としては、同じ化合物を採用することもできる。
なお、上記重合開始剤及び上記架橋剤としては、同じ化合物を採用することもできる。
また、スチレン系モノマーには、必要に応じて可塑剤、油溶性重合禁止剤、難燃剤、染料等を添加することができる。
可塑剤としては、例えばグリセリントリステアレート、グリセリントリオクトエート、グリセリントリラウレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノステアレート、ブチルステアレート等の脂肪酸エステルを用いることができる。また、グリセリンジアセトモノラウレート等のアセチル化モノグリセライド、硬化牛脂及び硬化ひまし油等の油脂類、シクロヘキサン及び流動パラフィン等の有機化合物等を用いることもできる。
油溶性重合禁止剤としては、例えばパラ−t−ブチルカテコール、ハイドロキノン、ベンゾキノン等を用いることができる。
可塑剤としては、例えばグリセリントリステアレート、グリセリントリオクトエート、グリセリントリラウレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノステアレート、ブチルステアレート等の脂肪酸エステルを用いることができる。また、グリセリンジアセトモノラウレート等のアセチル化モノグリセライド、硬化牛脂及び硬化ひまし油等の油脂類、シクロヘキサン及び流動パラフィン等の有機化合物等を用いることもできる。
油溶性重合禁止剤としては、例えばパラ−t−ブチルカテコール、ハイドロキノン、ベンゾキノン等を用いることができる。
また、上記スチレン系モノマー又は上記溶剤には、気泡調整剤を添加することができる。
上記気泡調整剤としては、例えば脂肪族モノアミド、脂肪酸ビスアミド、タルク、シリカ、ポリエチレンワックス、メチレンビスステアリン酸、メタクリル酸メチル系共重合体、及びシリコーンなどを用いることができる。
脂肪族モノアミドとしては、例えばオレイン酸アミド、及びステアリン酸アミド等を用いることができる。
脂肪酸ビスアミドとしては、例えばエチレンビスステアリン酸アミド等を用いることができる。
上記気泡調整剤は、スチレン系モノマー100質量部に対して0.01〜2質量部用いることが好ましい。
上記気泡調整剤としては、例えば脂肪族モノアミド、脂肪酸ビスアミド、タルク、シリカ、ポリエチレンワックス、メチレンビスステアリン酸、メタクリル酸メチル系共重合体、及びシリコーンなどを用いることができる。
脂肪族モノアミドとしては、例えばオレイン酸アミド、及びステアリン酸アミド等を用いることができる。
脂肪酸ビスアミドとしては、例えばエチレンビスステアリン酸アミド等を用いることができる。
上記気泡調整剤は、スチレン系モノマー100質量部に対して0.01〜2質量部用いることが好ましい。
上記核粒子にスチレン系モノマーを含浸させて重合させる際に添加されるスチレン系モノマー(必要により単量体中に重合開始剤及び/または架橋剤を含む)の添加は、上述のように分割して行うことがよい。
重合温度は、使用する重合開始剤の種類によって異なるが、60〜105℃が好ましい。また、架橋温度は使用する架橋剤の種類によって異なるが、100〜150℃が好ましい。
重合温度は、使用する重合開始剤の種類によって異なるが、60〜105℃が好ましい。また、架橋温度は使用する架橋剤の種類によって異なるが、100〜150℃が好ましい。
上記物理発泡剤としては、沸点が80℃以下の有機系物理発泡剤であることが好ましい。
沸点が80℃以下の上記有機系物理発泡剤としては、メタン、エタン、プロパン、n−ブタン、イソブタン、シクロブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの飽和炭化水素化合物、メタノール、エタノールなどの低級アルコール、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルなどのエーテル化合物などを用いることができる。これらの発泡剤は、単独で、又は2種以上の混合物で用いることができる。
また、本発明の目的、効果を阻害しない範囲で二酸化炭素、窒素、空気等の無機系物理発泡剤を使用することができる。
沸点が80℃以下の上記有機系物理発泡剤としては、メタン、エタン、プロパン、n−ブタン、イソブタン、シクロブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの飽和炭化水素化合物、メタノール、エタノールなどの低級アルコール、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルなどのエーテル化合物などを用いることができる。これらの発泡剤は、単独で、又は2種以上の混合物で用いることができる。
また、本発明の目的、効果を阻害しない範囲で二酸化炭素、窒素、空気等の無機系物理発泡剤を使用することができる。
物理発泡剤の添加量は、目的の発泡倍率、発泡剤の種類により異なるが、上記複合樹脂粒子100質量部に対して概ね5〜30質量部であり、好ましくは7〜20質量部である。なお、上記物理発泡剤が少なすぎる場合は所期の発泡倍率が得られない虞があり、多すぎる場合には、発泡時に複合樹脂発泡粒子が収縮し、剛性に優れる複合樹脂発泡粒子成形体が得られない虞がある。
物理発泡剤含浸後には、発泡性複合樹脂粒子を脱水乾燥し、必要に応じて表面被覆剤を被覆させることができる。
上記表面被覆剤としては、例えばジンクステアレート、ステアリン酸トリグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド、ひまし硬化油、帯電防止剤などがある。上記表面被覆剤の添加量は、上記発泡性複合樹脂粒子100質量部に対して0.01〜2質量部であることが好ましい。
上記表面被覆剤としては、例えばジンクステアレート、ステアリン酸トリグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド、ひまし硬化油、帯電防止剤などがある。上記表面被覆剤の添加量は、上記発泡性複合樹脂粒子100質量部に対して0.01〜2質量部であることが好ましい。
また、上記複合樹脂発泡粒子を周知の成形手段により型内成形することにより、複合樹脂発泡粒子成形体を得ることができる。なお、得られる複合樹脂発泡粒子成形体においては、密度が10〜200kg/m3、独立気泡率は70%以上、融着率が60%以上であることが好ましい。
複合樹脂発泡粒子成形体の密度、独立気泡率および融着率が上記範囲内であると、複合樹脂発泡粒子成形体の圧縮物性等の機械的強度がより向上し、密度バラツキがより小さくなる。なお、上記複合樹脂発泡粒子成形体の密度は更に15〜100kg/m3であることがより好ましい。また、上記発泡粒子成形体の融着率は65〜100%であることがより好ましく、70〜95%であることがさらに好ましい。また、上記発泡粒子成形体の独立気泡率は80%以上であることがより好ましい。
複合樹脂発泡粒子成形体の密度、独立気泡率および融着率が上記範囲内であると、複合樹脂発泡粒子成形体の圧縮物性等の機械的強度がより向上し、密度バラツキがより小さくなる。なお、上記複合樹脂発泡粒子成形体の密度は更に15〜100kg/m3であることがより好ましい。また、上記発泡粒子成形体の融着率は65〜100%であることがより好ましく、70〜95%であることがさらに好ましい。また、上記発泡粒子成形体の独立気泡率は80%以上であることがより好ましい。
上記複合樹脂発泡粒子成形体の密度は、次のようにして測定することができる。
即ち、まず、温度23℃、相対湿度50%の環境下で24時間以上放置した複合樹脂発泡粒子成形体から縦100mm×横20mm×厚み20mmの試験片を切出し、該試験片の外形寸法より嵩体積(100×20×20(mm3))を求める。次いで、該試験片の重量(g)を精秤する。上記の通り求められた試験片重量を試験片の嵩体積にて除し、単位換算することにより複合樹脂発泡粒子成形体の密度(kg/m3)を求めることができる。
即ち、まず、温度23℃、相対湿度50%の環境下で24時間以上放置した複合樹脂発泡粒子成形体から縦100mm×横20mm×厚み20mmの試験片を切出し、該試験片の外形寸法より嵩体積(100×20×20(mm3))を求める。次いで、該試験片の重量(g)を精秤する。上記の通り求められた試験片重量を試験片の嵩体積にて除し、単位換算することにより複合樹脂発泡粒子成形体の密度(kg/m3)を求めることができる。
また、上記複合樹脂発泡粒子成形体の融着率は、次のようにして測定することができる。
即ち、まず、温度23℃、相対湿度50%の環境下で24時間以上放置した複合樹脂発泡粒子成形体から縦150mm×横75mm×厚み25mmの試験片を切り出す。試験片の長さ方向中央部における一方の表面(長さ150mm、幅25mmの面の一方の面)に深さ2mmの切込みを、全幅を横切るように形成する。
次いで、試験片の切り込みを広げる方向に、試験片が破断するまで、又は試験片の両端部が当接するまで折り曲げる。次に、試験片の破断面を観察し、目視により内部で破断した発泡粒子と界面で剥離した発泡粒子数をそれぞれ計測する。次いで、内部で破断した発泡粒子と界面で剥離した発泡粒子の合計個数に対する内部で破断した発泡粒子の個数割合を算出して求めることができる。なお、試験片の両端部が当接するまで折り曲げても試験片が破断しない場合の融着率は100%とする。
即ち、まず、温度23℃、相対湿度50%の環境下で24時間以上放置した複合樹脂発泡粒子成形体から縦150mm×横75mm×厚み25mmの試験片を切り出す。試験片の長さ方向中央部における一方の表面(長さ150mm、幅25mmの面の一方の面)に深さ2mmの切込みを、全幅を横切るように形成する。
次いで、試験片の切り込みを広げる方向に、試験片が破断するまで、又は試験片の両端部が当接するまで折り曲げる。次に、試験片の破断面を観察し、目視により内部で破断した発泡粒子と界面で剥離した発泡粒子数をそれぞれ計測する。次いで、内部で破断した発泡粒子と界面で剥離した発泡粒子の合計個数に対する内部で破断した発泡粒子の個数割合を算出して求めることができる。なお、試験片の両端部が当接するまで折り曲げても試験片が破断しない場合の融着率は100%とする。
また、上記複合樹脂発泡粒子成形体の独立気泡率は、次のようにして測定することができる。
即ち、まず、温度23℃、相対湿度50%の環境下で24時間以上放置した複合樹脂発泡粒子成形体から縦30mm×横30mm×厚み20mmの試験片を切り出す。そして、空気比較式比重計(東京サイエンス社製 空気比較式比重計1000型などの空気比較式比重計)により求めた試験片の容積V1(cm3)、縦、横、厚みの外形寸法の積により求めた試験片の見かけ容積V2(cm3)、試験片の重量W(g)、および複合樹脂の真密度d(g/cm3)を用いて、次の式により独立気泡率を計算して求めることができる。
独立気泡率(%)=(V1−W/d)/(V2−W/d)×100
尚、複合樹脂の真密度dは、複合樹脂発泡粒子を120℃で4hr乾燥後、熱プレスでフィルムを作製し、フィルムの重量W3(g)、水置換法により求めた試験体容積V3(cm3)を測定し、フィルムの重量W3(g)を水置換法により求めた試験体容積V3で除した値を用いる。
即ち、まず、温度23℃、相対湿度50%の環境下で24時間以上放置した複合樹脂発泡粒子成形体から縦30mm×横30mm×厚み20mmの試験片を切り出す。そして、空気比較式比重計(東京サイエンス社製 空気比較式比重計1000型などの空気比較式比重計)により求めた試験片の容積V1(cm3)、縦、横、厚みの外形寸法の積により求めた試験片の見かけ容積V2(cm3)、試験片の重量W(g)、および複合樹脂の真密度d(g/cm3)を用いて、次の式により独立気泡率を計算して求めることができる。
独立気泡率(%)=(V1−W/d)/(V2−W/d)×100
尚、複合樹脂の真密度dは、複合樹脂発泡粒子を120℃で4hr乾燥後、熱プレスでフィルムを作製し、フィルムの重量W3(g)、水置換法により求めた試験体容積V3(cm3)を測定し、フィルムの重量W3(g)を水置換法により求めた試験体容積V3で除した値を用いる。
(実施例1)
本例においては、複合樹脂発泡粒子を作製し、これを用いて、複合樹脂発泡粒子成形体を製造する。
図1に、実施例にかかる複合樹脂発泡粒子の中心部を構成する気泡膜中のプロピレン系樹脂(連続相)とスチレン系樹脂(分散相)の分散状態を模式的に示す。同図に示すごとく、複合樹脂発泡粒子の気泡膜1においては、プロピレン系樹脂からなる連続相2中にスチレン系樹脂からなる多数の分散相3が分散されてなる複合樹脂を基材樹脂とする。
以下、本例の複合樹脂発泡粒子の製造方法につき説明する。
本例においては、複合樹脂発泡粒子を作製し、これを用いて、複合樹脂発泡粒子成形体を製造する。
図1に、実施例にかかる複合樹脂発泡粒子の中心部を構成する気泡膜中のプロピレン系樹脂(連続相)とスチレン系樹脂(分散相)の分散状態を模式的に示す。同図に示すごとく、複合樹脂発泡粒子の気泡膜1においては、プロピレン系樹脂からなる連続相2中にスチレン系樹脂からなる多数の分散相3が分散されてなる複合樹脂を基材樹脂とする。
以下、本例の複合樹脂発泡粒子の製造方法につき説明する。
(1)核粒子の作製
ポリプロピレン系樹脂(PP)としてプライムポリマー社製プロピレンエチレンランダム共重合体「F−794NV」(融点135℃)を用いる。このポリプロピレン系樹脂を押出機に供給し、温度230℃で溶融混練した。その後、溶融混練物を押出機先端に設けられた口径1mmのノズル16個を有するダイスよりストランド状に引き取った。次いで、冷却して所望の長さにカットして1個当たりの平均が0.6mg/個のミニペレットを製造し、これを核粒子とした。ポリプロピレン樹脂のグレード及び融点を後述の表1に示す。
ポリプロピレン系樹脂(PP)としてプライムポリマー社製プロピレンエチレンランダム共重合体「F−794NV」(融点135℃)を用いる。このポリプロピレン系樹脂を押出機に供給し、温度230℃で溶融混練した。その後、溶融混練物を押出機先端に設けられた口径1mmのノズル16個を有するダイスよりストランド状に引き取った。次いで、冷却して所望の長さにカットして1個当たりの平均が0.6mg/個のミニペレットを製造し、これを核粒子とした。ポリプロピレン樹脂のグレード及び融点を後述の表1に示す。
(2)発泡性複合樹脂粒子の作製
撹拌装置の付いた内容積が3Lのオートクレーブに、脱イオン水1000gを入れ、更にピロリン酸ナトリウム6.0gを加えて溶解させた。その後、粉末状の硝酸マグネシウム・6水和物12.9gを加え、室温で30分撹拌してピロリン酸マグネシウムスラリーを合成した。
ピロリン酸マグネシウムスラリーを合成後、この反応生成物スラリーに界面活性剤としてラウリルスルホン酸ナトリウム(10%水溶液)5.0g、前記核粒子400gを投入し、500rpmで撹拌した。次いで、オートクレーブ内を窒素置換した後、昇温を開始し、30分かけて60℃まで昇温し、この温度60℃で40分保持した。
撹拌装置の付いた内容積が3Lのオートクレーブに、脱イオン水1000gを入れ、更にピロリン酸ナトリウム6.0gを加えて溶解させた。その後、粉末状の硝酸マグネシウム・6水和物12.9gを加え、室温で30分撹拌してピロリン酸マグネシウムスラリーを合成した。
ピロリン酸マグネシウムスラリーを合成後、この反応生成物スラリーに界面活性剤としてラウリルスルホン酸ナトリウム(10%水溶液)5.0g、前記核粒子400gを投入し、500rpmで撹拌した。次いで、オートクレーブ内を窒素置換した後、昇温を開始し、30分かけて60℃まで昇温し、この温度60℃で40分保持した。
温度60℃到達時に、重合開始剤としてのジクミルパーオキサイド(日本油脂社製「パークミルD」)0.5gをスチレン300gに溶解させたものを30分かけオートクレーブ内に添加した。次いで、130℃まで1時間30分かけて昇温し、この温度130℃で2時間保持した後、温度120℃まで30分かけて冷却した。冷却後、この温度120℃で3時間30分保持した。
温度120℃到達時に、重合開始剤としてのジクミルパーオキサイド(日本油脂社製「パークミルD」)1.5gをスチレン300gに溶解させたものを2時間30分かけオートクレーブ内に添加した。さらに温度130℃まで1時間かけて昇温し、この温度130℃で5時間保持した後、温度30℃まで6時間かけて冷却した。冷却後、内容物を取り出した後、遠心分離機で脱水・洗浄した。さらに気流乾燥装置で表面に付着した水分を除去し、複合樹脂粒子を得た。
次に、撹拌装置の付いた内容積が3Lのオートクレーブに、脱イオン水1000g、第三リン酸カルシウム5.0g、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム1%水溶液(花王社製「ペレックスSSH」)5g、上記複合樹脂粒子500gを投入し、400rpmで撹拌した。
オートクレーブ内を窒素置換した後、昇温を開始し、1時間30分かけて90℃まで昇温し、この温度90℃で3時間保持した。そして、温度90℃到達時に、発泡剤としてブタン(ノルマルブタン20体積%、イソブタン80体積%の混合物)75gを30分かけオートクレーブ内に添加した。さらに、温度105℃まで1時間かけて昇温し、そのまま温度105℃で5時間保持した後、温度30℃まで6時間かけて冷却した。
冷却後、内容物を取り出し、硝酸を添加し樹脂粒子の表面に付着したピロリン酸マグネシウムを溶解させた。その後、遠心分離機で脱水・洗浄し、気流乾燥装置で表面に付着した水分を除去し、平均粒径(d63)が1.3mmの発泡性複合樹脂粒子を得た。
オートクレーブ内を窒素置換した後、昇温を開始し、1時間30分かけて90℃まで昇温し、この温度90℃で3時間保持した。そして、温度90℃到達時に、発泡剤としてブタン(ノルマルブタン20体積%、イソブタン80体積%の混合物)75gを30分かけオートクレーブ内に添加した。さらに、温度105℃まで1時間かけて昇温し、そのまま温度105℃で5時間保持した後、温度30℃まで6時間かけて冷却した。
冷却後、内容物を取り出し、硝酸を添加し樹脂粒子の表面に付着したピロリン酸マグネシウムを溶解させた。その後、遠心分離機で脱水・洗浄し、気流乾燥装置で表面に付着した水分を除去し、平均粒径(d63)が1.3mmの発泡性複合樹脂粒子を得た。
得られた発泡性複合樹脂粒子を篩いにかけて直径が0.7〜2.0mmの粒子を取り出し、発泡性複合樹脂粒子100質量部に対して、帯電防止剤であるN,N―ビス(2−ヒドロキシエチル)アルキルアミン0.01質量部とステアリン酸亜鉛0.2質量部の混合物で被覆した。
尚、本例で得られた発泡性複合樹脂粒子の中心部の透過型電子顕微鏡写真(拡大倍率10000倍)を図2に示す。図2のように、スチレン系樹脂からなる分散相は、DMAXaveが1μm以下であり、プロピレン系樹脂からなる連続相中に分散している。
尚、本例で得られた発泡性複合樹脂粒子の中心部の透過型電子顕微鏡写真(拡大倍率10000倍)を図2に示す。図2のように、スチレン系樹脂からなる分散相は、DMAXaveが1μm以下であり、プロピレン系樹脂からなる連続相中に分散している。
なお、スチレン系樹脂のガラス転移温度(Tg)(℃)、ポリプロピレン系樹脂とポリスチレン系樹脂の配合割合(質量比;PP/PS)、ブレンド方法、及び、発泡剤の種類、及び発泡剤の含浸温度を後述の表1に示す。スチレン系樹脂のガラス転移温度は、先述の方法により測定した。また、温度80℃未満で添加したスチレンモノマー(SM1)の量をC(質量%)、80℃以上で添加したスチレンモノマー(SM2)の量をD(質量%)、プロピレン系樹脂粒子(PP)の量をE(質量%)とすると、C、C/E、C/(C+D+E)、及びC/Dを後述の表1に示す。
(3)複合樹脂発泡粒子の作製
次に、上記のようにして得られた発泡性複合樹脂粒子を用いて、見かけ密度33.3kg/m3の複合樹脂発泡粒子を作製した。
具体的には、まず、上記のようにして得られた発泡性複合樹脂粒子500gをDAISEN株式会社製加圧発泡機(型式:J−045)に投入した。そして、この発泡機内の槽内温度が110℃になるようにスチームを供給し、発泡性複合樹脂粒子を60秒間加熱した。これにより、発泡性複合樹脂粒子を見かけ密度33.3kg/m3まで発泡させ、見かけの発泡倍率が30倍の複合樹脂発泡粒子を得た。本例で得られた複合樹脂発泡粒子の中心部を構成する気泡膜の透過型電子顕微鏡写真(拡大倍率50000倍)を図3に示す。
次に、上記のようにして得られた発泡性複合樹脂粒子を用いて、見かけ密度33.3kg/m3の複合樹脂発泡粒子を作製した。
具体的には、まず、上記のようにして得られた発泡性複合樹脂粒子500gをDAISEN株式会社製加圧発泡機(型式:J−045)に投入した。そして、この発泡機内の槽内温度が110℃になるようにスチームを供給し、発泡性複合樹脂粒子を60秒間加熱した。これにより、発泡性複合樹脂粒子を見かけ密度33.3kg/m3まで発泡させ、見かけの発泡倍率が30倍の複合樹脂発泡粒子を得た。本例で得られた複合樹脂発泡粒子の中心部を構成する気泡膜の透過型電子顕微鏡写真(拡大倍率50000倍)を図3に示す。
なお、複合樹脂発泡粒子の見かけ密度(kg/m3)は、次のようにして測定することができる。即ち、まず、複合樹脂発泡粒子を大気圧下、相対湿度50%、23℃の条件の恒温室内にて10日間放置する。次に、1Lのメスシリンダーを用意し、空のメスシリンダー中に同恒温室内にて10日間放置した複合樹脂発泡粒子を1Lの標線まで入れ、メスシリンダー中に入れた発泡粒子の重量を測定した。この操作にて求められた見かけの体積1Lあたりの発泡粒子の重量を単位換算して複合樹脂発泡粒子の見かけ密度(kg/m3)を算出した。また、複合樹脂発泡粒子の見かけの発泡倍率は(1000/見かけ密度(kg/m3))にて算出した。
後述の表1に、複合樹脂発泡粒子について、発泡方法、気泡膜における連続相を構成する樹脂の種類、分散相を構成する樹脂の種類、スチレン系樹脂(PS)の重量平均分子量(Mw)、及び発泡剤含有量を示す。重量平均分子量及び発泡剤含有量は、先述の方法により測定した。
後述の表1に、複合樹脂発泡粒子について、発泡方法、気泡膜における連続相を構成する樹脂の種類、分散相を構成する樹脂の種類、スチレン系樹脂(PS)の重量平均分子量(Mw)、及び発泡剤含有量を示す。重量平均分子量及び発泡剤含有量は、先述の方法により測定した。
「分散相のDMAXave、DMINave」
複合樹脂発泡粒子を構成している気泡膜中の分散相のDMAXaveとDMINaveは、次の操作を行って測定できる。
具体的には、まず、複合樹脂発泡粒子の中心部から観察用のサンプルを切り出した。次いで、観察用サンプルをエポキシ樹脂に包埋し、四酸化ルテニウム染色を行った後、ウルトラミクロトームにより超薄切片を作製した。この超薄切片をグリッドに載せ、複合樹脂発泡粒子内部断面のモルフォロジーを透過型電子顕微鏡(日本電子社製のJEM1010)により観察した。そして、倍率50000倍の顕微鏡写真に基づいて、各分散相の最大径と最小径を測定する。そして、成形に供する一群の複合樹脂発泡粒子から無作為に5個の発泡粒子を選択し、さらに各複合樹脂発泡粒子中心部の気泡膜断面写真において、それぞれ無作為に選んだ20個の分散相について最大径及び最小径を測定し、各々100個の値の算術平均を求めた。これを分散相のDMAXave及びDMINaveとした。その結果を後述の表1に示す。
複合樹脂発泡粒子を構成している気泡膜中の分散相のDMAXaveとDMINaveは、次の操作を行って測定できる。
具体的には、まず、複合樹脂発泡粒子の中心部から観察用のサンプルを切り出した。次いで、観察用サンプルをエポキシ樹脂に包埋し、四酸化ルテニウム染色を行った後、ウルトラミクロトームにより超薄切片を作製した。この超薄切片をグリッドに載せ、複合樹脂発泡粒子内部断面のモルフォロジーを透過型電子顕微鏡(日本電子社製のJEM1010)により観察した。そして、倍率50000倍の顕微鏡写真に基づいて、各分散相の最大径と最小径を測定する。そして、成形に供する一群の複合樹脂発泡粒子から無作為に5個の発泡粒子を選択し、さらに各複合樹脂発泡粒子中心部の気泡膜断面写真において、それぞれ無作為に選んだ20個の分散相について最大径及び最小径を測定し、各々100個の値の算術平均を求めた。これを分散相のDMAXave及びDMINaveとした。その結果を後述の表1に示す。
(4)複合樹脂発泡粒子成形体の作製
上記で得られた複合樹脂発泡粒子を室温で1日間熟成した。その後、縦250mm×横200mm×厚み50mmの平板金型に複合樹脂発泡粒子を充填し、型物成形機(DAISEN株式会社製のD−30SF)を用いて複合樹脂発泡粒子成形体の成形を行った。成形は、所定の圧力(例えば0.22MPaのスチーム圧力)で10秒間加熱し、大気圧に戻した後、水冷を行い、面圧計が0.02MPa(ゲージ圧)に到達したときに金型を開き複合樹脂発泡粒子成形体を離型することにより行った。尚、スチーム加熱開始から、水冷開始後面圧が0.02MPa(ゲージ圧)に到達するまでに要した冷却時間(秒)を計測した。得られた成形体を40℃で1日乾燥した後、さらに室温で1日間以上養生した。成形時の成形圧(MPa)及び成形サイクル(秒)を後述の表1に示す。
また、複合樹脂発泡粒子成形体の質量を該成形体の体積で除することにより複合樹脂発泡粒子成形体の密度(kg/m3)を算出した。その結果を表1に示す。
上記で得られた複合樹脂発泡粒子を室温で1日間熟成した。その後、縦250mm×横200mm×厚み50mmの平板金型に複合樹脂発泡粒子を充填し、型物成形機(DAISEN株式会社製のD−30SF)を用いて複合樹脂発泡粒子成形体の成形を行った。成形は、所定の圧力(例えば0.22MPaのスチーム圧力)で10秒間加熱し、大気圧に戻した後、水冷を行い、面圧計が0.02MPa(ゲージ圧)に到達したときに金型を開き複合樹脂発泡粒子成形体を離型することにより行った。尚、スチーム加熱開始から、水冷開始後面圧が0.02MPa(ゲージ圧)に到達するまでに要した冷却時間(秒)を計測した。得られた成形体を40℃で1日乾燥した後、さらに室温で1日間以上養生した。成形時の成形圧(MPa)及び成形サイクル(秒)を後述の表1に示す。
また、複合樹脂発泡粒子成形体の質量を該成形体の体積で除することにより複合樹脂発泡粒子成形体の密度(kg/m3)を算出した。その結果を表1に示す。
次に、複合樹脂発泡粒子成形体について、圧縮応力、耐熱性、圧縮永久歪、独立気泡率及び内部融着率を以下のようにして測定した。その結果を後述の表1に示す。
「圧縮応力」
上記複合樹脂発泡粒子成形体から縦50mm×横50mm×厚み25mmの試験片を切出し、JIS K7220(2006年)に準じて圧縮試験を行った。尚、圧縮歪みが10%の時の圧縮応力を10%変形圧縮応力、圧縮歪みが50%の時の圧縮応力を50%変形圧縮応力とした。
「圧縮応力」
上記複合樹脂発泡粒子成形体から縦50mm×横50mm×厚み25mmの試験片を切出し、JIS K7220(2006年)に準じて圧縮試験を行った。尚、圧縮歪みが10%の時の圧縮応力を10%変形圧縮応力、圧縮歪みが50%の時の圧縮応力を50%変形圧縮応力とした。
「耐熱性」
上記複合樹脂発泡粒子成形体から縦50mm×横50mm×厚み25mmの試験片を切出し、試験片を温度80℃で22時間加熱した。そして、加熱前と加熱後の試験片について、それぞれ縦、横、及び厚みの寸法変化率を測定し、縦、横、及び厚みの各々の寸法変化率(%)の絶対値の中で最も大きな値を耐熱性の評価結果とした。
上記複合樹脂発泡粒子成形体から縦50mm×横50mm×厚み25mmの試験片を切出し、試験片を温度80℃で22時間加熱した。そして、加熱前と加熱後の試験片について、それぞれ縦、横、及び厚みの寸法変化率を測定し、縦、横、及び厚みの各々の寸法変化率(%)の絶対値の中で最も大きな値を耐熱性の評価結果とした。
「圧縮永久歪」
上記複合樹脂発泡粒子成形体から縦50mm×横50mm×厚み25mmの試験片を切出し、JIS K6767(1999年)に準じて測定を行った。
上記複合樹脂発泡粒子成形体から縦50mm×横50mm×厚み25mmの試験片を切出し、JIS K6767(1999年)に準じて測定を行った。
「独立気泡率」
上記複合樹脂発泡粒子成形体から縦30mm×横30mm×厚み20mmの試験片を切出し、空気比較式比重計(東京サイエンス社製 空気比較式比重計1000型)を使用して、前述の手順により計算して求めた。
上記複合樹脂発泡粒子成形体から縦30mm×横30mm×厚み20mmの試験片を切出し、空気比較式比重計(東京サイエンス社製 空気比較式比重計1000型)を使用して、前述の手順により計算して求めた。
「融着率」
上記複合樹脂発泡粒子成形体から縦150mm×横75mm×厚み25mmの試験片を切出し、前述の方法により算出した。
上記複合樹脂発泡粒子成形体から縦150mm×横75mm×厚み25mmの試験片を切出し、前述の方法により算出した。
(実施例2)
複合樹脂粒子を得る改質工程において、60℃で添加したスチレンモノマー量を400g、120℃で添加したスチレンモノマー量を200gとした点を除いては、実施例1と同様にして複合樹脂粒子を得た。次いで、得られた複合樹脂粒子から実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子、複合樹脂発泡粒子および複合樹脂発泡粒子成形体を得た。
実施例2においても、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に示す。
複合樹脂粒子を得る改質工程において、60℃で添加したスチレンモノマー量を400g、120℃で添加したスチレンモノマー量を200gとした点を除いては、実施例1と同様にして複合樹脂粒子を得た。次いで、得られた複合樹脂粒子から実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子、複合樹脂発泡粒子および複合樹脂発泡粒子成形体を得た。
実施例2においても、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に示す。
(実施例3)
複合樹脂粒子を得る改質工程において、ポリプロピレン系樹脂核粒子300gを投入し、60℃で添加したスチレンモノマー量を350g、120℃で添加したスチレンモノマー量を350gとした点を除いては、実施例1と同様にして複合樹脂粒子を得た。次いで、得られた複合樹脂粒子から実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子、複合樹脂発泡粒子および複合樹脂発泡粒子成形体を得た。実施例3においても、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に示す。
尚、本例で得られた発泡性複合樹脂粒子の中心部の透過型電子顕微鏡写真(拡大倍率10000倍)を図4に示す。図4に示すように、スチレン系樹脂からなる分散相は、DMAXaveが1μm以下であり、プロピレン系樹脂からなる連続相中に分散されている。
複合樹脂粒子を得る改質工程において、ポリプロピレン系樹脂核粒子300gを投入し、60℃で添加したスチレンモノマー量を350g、120℃で添加したスチレンモノマー量を350gとした点を除いては、実施例1と同様にして複合樹脂粒子を得た。次いで、得られた複合樹脂粒子から実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子、複合樹脂発泡粒子および複合樹脂発泡粒子成形体を得た。実施例3においても、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に示す。
尚、本例で得られた発泡性複合樹脂粒子の中心部の透過型電子顕微鏡写真(拡大倍率10000倍)を図4に示す。図4に示すように、スチレン系樹脂からなる分散相は、DMAXaveが1μm以下であり、プロピレン系樹脂からなる連続相中に分散されている。
(実施例4)
複合樹脂粒子を得る改質工程において、60℃で添加したスチレンモノマー量を500g、120℃で添加したスチレンモノマー量を200gとした点を除いては、実施例1と同様にして複合樹脂粒子を得た。次いで、得られた複合樹脂粒子から実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子、複合樹脂発泡粒子および複合樹脂発泡粒子成形体を得た。実施例4においても、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に示す。
複合樹脂粒子を得る改質工程において、60℃で添加したスチレンモノマー量を500g、120℃で添加したスチレンモノマー量を200gとした点を除いては、実施例1と同様にして複合樹脂粒子を得た。次いで、得られた複合樹脂粒子から実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子、複合樹脂発泡粒子および複合樹脂発泡粒子成形体を得た。実施例4においても、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に示す。
(実施例5)
複合樹脂粒子を得る改質工程において、ポリプロピレン系樹脂核粒子250gを投入し、60℃で添加したスチレンモノマー量を450gとした以外は、実施例1と同様にして複合樹脂粒子を得た。次いで、得られた複合樹脂粒子から実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子、複合樹脂発泡粒子および複合樹脂発泡粒子成形体を得た。実施例5においても、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に示す。
複合樹脂粒子を得る改質工程において、ポリプロピレン系樹脂核粒子250gを投入し、60℃で添加したスチレンモノマー量を450gとした以外は、実施例1と同様にして複合樹脂粒子を得た。次いで、得られた複合樹脂粒子から実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子、複合樹脂発泡粒子および複合樹脂発泡粒子成形体を得た。実施例5においても、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に示す。
(実施例6)
核粒子のプロピレン系樹脂として日本ポリプロ社製プロピレンエチレン共重合体(商品名「WFX4T」、融点125℃)を用い、核粒子を作製し、複合樹脂粒子を得る改質工程において、核粒子300gを投入し、60℃で添加したスチレンモノマー量を350g、120℃で添加したスチレンモノマー量を350gとした点を除いては、実施例1と同様にして複合樹脂粒子を得た。次いで、得られた複合樹脂粒子から実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子、複合樹脂発泡粒子および複合樹脂発泡粒子成形体を得た。実施例6においても、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表2に示す。
核粒子のプロピレン系樹脂として日本ポリプロ社製プロピレンエチレン共重合体(商品名「WFX4T」、融点125℃)を用い、核粒子を作製し、複合樹脂粒子を得る改質工程において、核粒子300gを投入し、60℃で添加したスチレンモノマー量を350g、120℃で添加したスチレンモノマー量を350gとした点を除いては、実施例1と同様にして複合樹脂粒子を得た。次いで、得られた複合樹脂粒子から実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子、複合樹脂発泡粒子および複合樹脂発泡粒子成形体を得た。実施例6においても、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表2に示す。
(実施例7)
まず、核粒子の樹脂として日本ポリプロ社製ポリプロピレン系樹脂「WFX4T」(融点125℃)を用いた点を除いては実施例1と同様にして、核粒子を作製した。
まず、核粒子の樹脂として日本ポリプロ社製ポリプロピレン系樹脂「WFX4T」(融点125℃)を用いた点を除いては実施例1と同様にして、核粒子を作製した。
次に、撹拌装置の付いた内容積が3Lのオートクレーブに、脱イオン水1000gを入れ、更にピロリン酸ナトリウム6.0gを加えて溶解させた。その後、粉末状の硝酸マグネシウム・6水和物12.9gを加え、室温で30分撹拌してピロリン酸マグネシウムスラリーを合成した。
ピロリン酸マグネシウムスラリーを合成後、この反応生成物スラリーに界面活性剤としてラウリルスルホン酸ナトリウム(10%水溶液)5.0g、ポリプロピレン系樹脂核粒子400gを投入し、500rpmで撹拌した。次いでオートクレーブ内を窒素置換した後、昇温を開始し、30分かけて60℃まで昇温し、この温度60℃で40分保持した。
ピロリン酸マグネシウムスラリーを合成後、この反応生成物スラリーに界面活性剤としてラウリルスルホン酸ナトリウム(10%水溶液)5.0g、ポリプロピレン系樹脂核粒子400gを投入し、500rpmで撹拌した。次いでオートクレーブ内を窒素置換した後、昇温を開始し、30分かけて60℃まで昇温し、この温度60℃で40分保持した。
温度60℃到達時に、重合開始剤としてのジクミルパーオキサイド(日本油脂社製「パークミルD」)0.5gをスチレン300gに溶解させたものを30分かけオートクレーブ内に添加した。
次いで、120℃まで1時間30分かけて昇温し、この温度120℃で2時間保持した後、温度110℃まで30分かけて冷却した。冷却後、この温度110℃で3時間30分保持した。
次いで、120℃まで1時間30分かけて昇温し、この温度120℃で2時間保持した後、温度110℃まで30分かけて冷却した。冷却後、この温度110℃で3時間30分保持した。
温度110℃到達時に、重合開始剤としてのジクミルパーオキサイド(日本油脂社製「パークミルD」)1.5gをスチレン300gに溶解させたものを2時間30分かけオートクレーブ内に添加した。さらに温度120℃まで1時間かけて昇温し、この温度120℃で5時間保持した後、温度30℃まで6時間かけて冷却した。冷却後、内容物を取り出した後、遠心分離機で脱水・洗浄し、気流乾燥装置で表面に付着した水分を除去し、複合樹脂粒子を得た。
次いで、得られた複合樹脂粒子から実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子、複合樹脂発泡粒子および複合樹脂発泡粒子成形体を得た。実施例7においても、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表2に示す。
次いで、得られた複合樹脂粒子から実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子、複合樹脂発泡粒子および複合樹脂発泡粒子成形体を得た。実施例7においても、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表2に示す。
(実施例8)
本例においては、実施例1で得られた発泡性複合樹脂粒子を用いて、見かけ密度20.0kg/m3の複合樹脂発泡粒子を作製した。
具体的には、まず、実施例1と同様にして得られた発泡性複合樹脂粒子をDAISEN株式会社製加圧発泡機(型式:J−045)に入れ、この発泡機内の槽内温度が110℃になるようにスチームを供給し、90秒間加熱した。これにより、発泡性複合樹脂粒子を見かけ密度20.0kg/m3まで発泡させ、見かけの発泡倍率50倍の複合樹脂発泡粒子を得た。次いで、得られた複合樹脂発泡粒子から実施例1と同様にして複合樹脂発泡粒子成形体を得た。実施例8においても、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表2に示す。
本例においては、実施例1で得られた発泡性複合樹脂粒子を用いて、見かけ密度20.0kg/m3の複合樹脂発泡粒子を作製した。
具体的には、まず、実施例1と同様にして得られた発泡性複合樹脂粒子をDAISEN株式会社製加圧発泡機(型式:J−045)に入れ、この発泡機内の槽内温度が110℃になるようにスチームを供給し、90秒間加熱した。これにより、発泡性複合樹脂粒子を見かけ密度20.0kg/m3まで発泡させ、見かけの発泡倍率50倍の複合樹脂発泡粒子を得た。次いで、得られた複合樹脂発泡粒子から実施例1と同様にして複合樹脂発泡粒子成形体を得た。実施例8においても、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表2に示す。
(実施例9)
本例においては、実施例1で得られた発泡性複合樹脂粒子を用いて、見かけ密度50.0kg/m3の発泡粒子を作製した。
具体的には、まず、実施例1と同様にして得られた発泡性複合樹脂粒子をDAISEN株式会社製加圧発泡機(型式:J−045)に入れ、この発泡機内の槽内温度が110℃になるようにスチームを供給し、30秒間加熱した。これにより、発泡性複合樹脂粒子を見かけ密度50.0kg/m3まで発泡させ、見かけの発泡倍率20倍の複合樹脂発泡粒子を得た。次いで、得られた複合樹脂発泡粒子から実施例1と同様にして複合樹脂発泡粒子成形体を得た。実施例9においても、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表2に示す。
なお、上述の実施例1〜9の複合樹脂発泡粒子において、連続相中に分散する分散相の断面形状は、いずれも楕円形状である。
本例においては、実施例1で得られた発泡性複合樹脂粒子を用いて、見かけ密度50.0kg/m3の発泡粒子を作製した。
具体的には、まず、実施例1と同様にして得られた発泡性複合樹脂粒子をDAISEN株式会社製加圧発泡機(型式:J−045)に入れ、この発泡機内の槽内温度が110℃になるようにスチームを供給し、30秒間加熱した。これにより、発泡性複合樹脂粒子を見かけ密度50.0kg/m3まで発泡させ、見かけの発泡倍率20倍の複合樹脂発泡粒子を得た。次いで、得られた複合樹脂発泡粒子から実施例1と同様にして複合樹脂発泡粒子成形体を得た。実施例9においても、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表2に示す。
なお、上述の実施例1〜9の複合樹脂発泡粒子において、連続相中に分散する分散相の断面形状は、いずれも楕円形状である。
(比較例1)
まず、実施例1と同様にして複合樹脂粒子を作製した。次いで、得られた複合樹脂粒子1kgを分散媒である水3.5リットルと共に撹拌機を備えた5Lの密閉容器(耐圧容器)内に仕込み、更に分散媒中に、分散剤としてのカオリン5g、及び界面活性剤としてのアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.6gを添加した。
まず、実施例1と同様にして複合樹脂粒子を作製した。次いで、得られた複合樹脂粒子1kgを分散媒である水3.5リットルと共に撹拌機を備えた5Lの密閉容器(耐圧容器)内に仕込み、更に分散媒中に、分散剤としてのカオリン5g、及び界面活性剤としてのアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.6gを添加した。
次いで、回転速度300rpmで撹拌しながら密閉容器内に、複合樹脂粒子100質量部に対して発泡剤としての二酸化炭素を4質量部圧入し、撹拌下で含浸温度165℃まで昇温させ、同温度で20分間保持した。その後、内容物を大気圧下に放出することにより、見かけ密度が33.3kg/m3の複合樹脂発泡粒子を得た。次いで、得られた複合樹脂発泡粒子から実施例1と同様にして複合樹脂発泡粒子成形体を得た。
本例で得られた複合樹脂発泡粒子の中心部を構成する気泡膜の透過型電子顕微鏡写真(拡大倍率50000倍)を図5に示す。比較例1においても、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表3に示す。
本例で得られた複合樹脂発泡粒子の中心部を構成する気泡膜の透過型電子顕微鏡写真(拡大倍率50000倍)を図5に示す。比較例1においても、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表3に示す。
(比較例2)
まず、実施例1と同様にして複合樹脂粒子を作製した。次いで、得られた複合樹脂粒子1kgを分散媒である水3.5リットルと共に撹拌機を備えた5Lの密閉容器(耐圧容器)内に仕込み、更に分散媒中に、分散剤としてのカオリン5g、及び界面活性剤としてのアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.6gを添加した。
まず、実施例1と同様にして複合樹脂粒子を作製した。次いで、得られた複合樹脂粒子1kgを分散媒である水3.5リットルと共に撹拌機を備えた5Lの密閉容器(耐圧容器)内に仕込み、更に分散媒中に、分散剤としてのカオリン5g、及び界面活性剤としてのアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.6gを添加した。
次いで、回転速度300rpmで撹拌しながら密閉容器内に、複合樹脂粒子100質量部に対して発泡剤としてのブタン(ノルマルブタン20体積%、イソブタン80体積%の混合物)を4質量部圧入し、撹拌下で含浸温度165℃まで昇温させ、同温度で20分間保持した。その後、内容物を大気圧下に放出することにより、見かけ密度が33.3kg/m3の複合樹脂発泡粒子を得た。次いで、得られた複合樹脂発泡粒子から実施例1と同様にして複合樹脂発泡粒子成形体を得た。
本例で得られた複合樹脂発泡粒子の中心部を構成する気泡膜の透過型電子顕微鏡写真(拡大倍率50000倍)を図6に示す。比較例2においても、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表3に示す。
本例で得られた複合樹脂発泡粒子の中心部を構成する気泡膜の透過型電子顕微鏡写真(拡大倍率50000倍)を図6に示す。比較例2においても、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表3に示す。
(比較例3)
本例においては、まず、核粒子の樹脂としてプライムポリマー社製プロピレンエチレン共重合体(商品名「F−794NV」、融点135℃)3kgとPSジャパン社製ポリスチレン(商品名「679」7kgを押出機に供給し、その他は実施例1と同様にして核粒子を作製した。
次に、撹拌装置の付いた内容積が3Lのオートクレーブに、脱イオン水1000g、第三リン酸カルシウム5.0g、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム1%水溶液(花王社製「ペレックスSSH」)5g、上記樹脂核粒子500gを投入し、400rpmで撹拌した。
本例においては、まず、核粒子の樹脂としてプライムポリマー社製プロピレンエチレン共重合体(商品名「F−794NV」、融点135℃)3kgとPSジャパン社製ポリスチレン(商品名「679」7kgを押出機に供給し、その他は実施例1と同様にして核粒子を作製した。
次に、撹拌装置の付いた内容積が3Lのオートクレーブに、脱イオン水1000g、第三リン酸カルシウム5.0g、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム1%水溶液(花王社製「ペレックスSSH」)5g、上記樹脂核粒子500gを投入し、400rpmで撹拌した。
オートクレーブ内を窒素置換した後、昇温を開始し、1時間30分かけて90℃まで昇温し、この温度90℃で3時間保持した。そして、温度90℃到達時に、発泡剤としてブタン(ノルマルブタン20体積%、イソブタン80体積%の混合物)75gを30分かけオートクレーブ内に添加した。さらに、温度105℃まで1時間かけて昇温し、そのまま温度105℃で5時間保持した後、温度30℃まで6時間かけて冷却した。
冷却後、内容物を取り出し、硝酸を添加し樹脂粒子の表面に付着したピロリン酸マグネシウムを溶解させた。その後、遠心分離機で脱水・洗浄し、気流乾燥装置で表面に付着した水分を除去し、発泡性複合樹脂粒子を得た。次いで、得られた発泡性複合樹脂粒子から実施例1と同様にして複合樹脂発泡粒子および複合樹脂発泡粒子成形体を得た。
本例で得られた複合樹脂発泡粒子の中心部を構成する気泡膜の透過型電子顕微鏡写真(拡大倍率50000倍)を図7に示す。また、本例で得られた発泡性複合樹脂粒子の中心部の透過型電子顕微鏡写真(拡大倍率10000倍)を図8に示す。比較例3においても、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表3に示す。
本例で得られた複合樹脂発泡粒子の中心部を構成する気泡膜の透過型電子顕微鏡写真(拡大倍率50000倍)を図7に示す。また、本例で得られた発泡性複合樹脂粒子の中心部の透過型電子顕微鏡写真(拡大倍率10000倍)を図8に示す。比較例3においても、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表3に示す。
(比較例4)
本例においては、まず、撹拌装置の付いた内容積が3Lのオートクレーブに、脱イオン水1000gを入れ、更にピロリン酸ナトリウム6.0gを加えて溶解させた。その後、粉末状の硝酸マグネシウム・6水和物12.9gを加え、室温で30分撹拌してピロリン酸マグネシウムスラリーを合成した。
ピロリン酸マグネシウムスラリーの合成後、この反応生成物スラリーに界面活性剤としてラウリルスルホン酸ナトリウム(10%水溶液)5.0g、ポリプロピレン系樹脂核粒子400gを投入し、500rpmで撹拌した。次いで、オートクレーブ内を窒素置換した後、昇温を開始し、30分かけて60℃まで昇温し、この温度60℃で30分保持した。
本例においては、まず、撹拌装置の付いた内容積が3Lのオートクレーブに、脱イオン水1000gを入れ、更にピロリン酸ナトリウム6.0gを加えて溶解させた。その後、粉末状の硝酸マグネシウム・6水和物12.9gを加え、室温で30分撹拌してピロリン酸マグネシウムスラリーを合成した。
ピロリン酸マグネシウムスラリーの合成後、この反応生成物スラリーに界面活性剤としてラウリルスルホン酸ナトリウム(10%水溶液)5.0g、ポリプロピレン系樹脂核粒子400gを投入し、500rpmで撹拌した。次いで、オートクレーブ内を窒素置換した後、昇温を開始し、30分かけて60℃まで昇温し、この温度60℃で30分保持した。
温度60℃到達時に、重合開始剤としてのジクミルパーオキサイド(日本油脂社製「パークミルD」)0.4gをスチレン200gに溶解させたものを30分かけオートクレーブ内に添加した。
次いで、135℃まで1時間30分かけて昇温し、この温度135℃で2時間保持した後、温度120℃まで30分かけて冷却した。冷却後、この温度120℃で5時間保持した。
次いで、135℃まで1時間30分かけて昇温し、この温度135℃で2時間保持した後、温度120℃まで30分かけて冷却した。冷却後、この温度120℃で5時間保持した。
温度120℃到達時に、重合開始剤としてのジクミルパーオキサイド(日本油脂社製「パークミルD」)1.8gをスチレン400gに溶解させたものを4時間かけオートクレーブ内に添加した。
さらに温度140℃まで1時間かけて昇温し、この温度140℃で3時間保持した後、温度30℃まで6時間かけて冷却した。
冷却後、内容物を取り出した後、遠心分離機で脱水・洗浄し、気流乾燥装置で表面に付着した水分を除去し、複合樹脂粒子を得た。
さらに温度140℃まで1時間かけて昇温し、この温度140℃で3時間保持した後、温度30℃まで6時間かけて冷却した。
冷却後、内容物を取り出した後、遠心分離機で脱水・洗浄し、気流乾燥装置で表面に付着した水分を除去し、複合樹脂粒子を得た。
次に、撹拌装置の付いた内容積が3Lのオートクレーブに、脱イオン水1000g、第三リン酸カルシウム 5.0g、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸 ナトリウム1%水溶液(花王社製「ペレックスSSH」)5g、上記複合樹脂粒子500gを投入し、400rpmで撹拌した。
オートクレーブ内を窒素置換した後、昇温を開始し、30分かけて70℃まで昇温し、70℃で4時間保持した後、30℃まで6時間かけて冷却した。尚、発泡剤としてブタン(ノルマルブタン20体積%、イソブタン80体積%の混合物)75gを70℃到達後、30分かけオートクレーブ内に添加した。
オートクレーブ内を窒素置換した後、昇温を開始し、30分かけて70℃まで昇温し、70℃で4時間保持した後、30℃まで6時間かけて冷却した。尚、発泡剤としてブタン(ノルマルブタン20体積%、イソブタン80体積%の混合物)75gを70℃到達後、30分かけオートクレーブ内に添加した。
冷却後、内容物を取り出し、硝酸を添加し樹脂粒子の表面に付着したピロリン酸マグネシウムを溶解させた。その後、遠心分離機で脱水・洗浄し、気流乾燥装置で表面に付着した水分を除去し、平均粒径(d63)が1.3mmの発泡性複合樹脂粒子を得た。次いで、得られた発泡性複合樹脂粒子から実施例1と同様にして複合樹脂発泡粒子および複合樹脂発泡粒子成形体を得た。比較例4においても、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表3に示す。
(比較例5)
本例においては、まず、比較例4と同様に複合樹脂粒子を得た。次いで、得られた複合樹脂粒子から実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子、複合樹脂発泡粒子および複合樹脂発泡粒子成形体を得た。比較例5においても、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表3に示す。
本例においては、まず、比較例4と同様に複合樹脂粒子を得た。次いで、得られた複合樹脂粒子から実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子、複合樹脂発泡粒子および複合樹脂発泡粒子成形体を得た。比較例5においても、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表3に示す。
(比較例6)
本例においては、複合樹脂粒子を得る改質工程において、ポリプロピレン系樹脂核粒子600gを投入し、60℃で添加したスチレンモノマー量を200g、120℃で添加したスチレンモノマー量を200gとした点を除いては、実施例1と同様にして複合樹脂粒子を得た。次いで、得られた複合樹脂粒子から実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子、複合樹脂発泡粒子および複合樹脂発泡粒子成形体を得た。比較例6においても、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表4に示す。
本例においては、複合樹脂粒子を得る改質工程において、ポリプロピレン系樹脂核粒子600gを投入し、60℃で添加したスチレンモノマー量を200g、120℃で添加したスチレンモノマー量を200gとした点を除いては、実施例1と同様にして複合樹脂粒子を得た。次いで、得られた複合樹脂粒子から実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子、複合樹脂発泡粒子および複合樹脂発泡粒子成形体を得た。比較例6においても、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表4に示す。
(比較例7)
本例においては、複合樹脂粒子を得る改質工程において、ポリプロピレン系樹脂核粒子100gを投入し、60℃で添加したスチレンモノマー量を450g、120℃で添加したスチレンモノマー量を450gとした点を除いては、実施例1と同様にして複合樹脂粒子を得た。次いで、得られた複合樹脂粒子から実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子、複合樹脂発泡粒子および複合樹脂発泡粒子成形体を得た。比較例7においても、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表4に示す。
本例においては、複合樹脂粒子を得る改質工程において、ポリプロピレン系樹脂核粒子100gを投入し、60℃で添加したスチレンモノマー量を450g、120℃で添加したスチレンモノマー量を450gとした点を除いては、実施例1と同様にして複合樹脂粒子を得た。次いで、得られた複合樹脂粒子から実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子、複合樹脂発泡粒子および複合樹脂発泡粒子成形体を得た。比較例7においても、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表4に示す。
(比較例8)
複合樹脂粒子を得る改質工程において、ポリプロピレン系樹脂核粒子250gを投入し、60℃で添加したスチレンモノマー量を50g、120℃で添加したスチレンモノマー量を700gとした以外は、実施例1と同様にして複合樹脂粒子を得た。次いで、得られた複合樹脂粒子から実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子、複合樹脂発泡粒子および複合樹脂発泡粒子成形体を得た。比較例8においても、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表4に示す。
複合樹脂粒子を得る改質工程において、ポリプロピレン系樹脂核粒子250gを投入し、60℃で添加したスチレンモノマー量を50g、120℃で添加したスチレンモノマー量を700gとした以外は、実施例1と同様にして複合樹脂粒子を得た。次いで、得られた複合樹脂粒子から実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子、複合樹脂発泡粒子および複合樹脂発泡粒子成形体を得た。比較例8においても、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表4に示す。
(比較例9)
複合樹脂粒子を得る改質工程において、ポリプロピレン系樹脂核粒子250gを投入し、60℃で添加したスチレンモノマー量を100g、120℃で添加したスチレンモノマー量を650gとした以外は、実施例1と同様にして複合樹脂粒子を得た。次いで、得られた複合樹脂粒子から、含浸させるブタン量を100gとした以外は実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を得た。次いで、得られた発泡性複合樹脂粒子を見かけ密度20.0kg/m3まで発泡させ、見かけの発泡倍率50倍の複合樹脂発泡粒子を得た以外は、実施例1と同様にして複合樹脂発泡粒子成形体を得た。比較例9においても、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表4に示す。
複合樹脂粒子を得る改質工程において、ポリプロピレン系樹脂核粒子250gを投入し、60℃で添加したスチレンモノマー量を100g、120℃で添加したスチレンモノマー量を650gとした以外は、実施例1と同様にして複合樹脂粒子を得た。次いで、得られた複合樹脂粒子から、含浸させるブタン量を100gとした以外は実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を得た。次いで、得られた発泡性複合樹脂粒子を見かけ密度20.0kg/m3まで発泡させ、見かけの発泡倍率50倍の複合樹脂発泡粒子を得た以外は、実施例1と同様にして複合樹脂発泡粒子成形体を得た。比較例9においても、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表4に示す。
(実施例及び比較例の結果)
表1及び2より知られるごとく、特定のモルフォロジーを満足する実施例1〜9の複合樹脂発泡粒子を型内成形して得られた複合樹脂発泡粒子成形体は、剛性、耐熱性、及び復元性に優れた性能を示していた。
また、実施例6、7にようにポリプロピレン系樹脂の融点が低いものを使用することで成形加熱温度を下げることが可能であった。
表1及び2より知られるごとく、特定のモルフォロジーを満足する実施例1〜9の複合樹脂発泡粒子を型内成形して得られた複合樹脂発泡粒子成形体は、剛性、耐熱性、及び復元性に優れた性能を示していた。
また、実施例6、7にようにポリプロピレン系樹脂の融点が低いものを使用することで成形加熱温度を下げることが可能であった。
一方、表3及び4より知られるごとく、比較例1及び2のようにポリスチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂が共連続相になっている複合樹脂発泡粒子や、比較例3〜5及び7のようにポリプロピレン系樹脂からなる分散相がポリスチレン系樹脂からなる連続相中に分散されているモルフォロジーを示す複合樹脂発泡粒子や、比較例8及び9のようにポリスチレン系樹脂からなる分散相がプロピレン系樹脂からなる連続相中に分散されているが、該分散相のDMAXaveが0.01〜1μmの範囲外であるか或いは該分散相のDMAXaveとDMINaveとの比(DMAXave/DMINave)が1〜10の範囲外であるモルフォロジーを示す複合樹脂発泡粒子を型内成形して得られた複合樹脂発泡粒子成形体は、剛性や復元性に劣るものであった。また、比較例6においては、発泡させることができなかった。
Claims (4)
- スチレン系樹脂とプロピレン系樹脂との複合樹脂発泡粒子であって、
該複合樹脂発泡粒子中のプロピレン系樹脂成分の含有量は、スチレン系樹脂成分とプロピレン系樹脂成分との合計100質量%に対して40質量%以下(ただし、10質量%以下を除く。)であり、
上記複合樹脂発泡粒子を構成する気泡膜断面の透過型電子顕微鏡写真においてプロピレン系樹脂からなる連続相中にスチレン系樹脂からなる多数の分散相が分散されており、
該分散相の最大径の平均値が0.01〜1μmであり、かつ該分散相の最大径の平均値と最小径の平均値との比が1〜10であることを特徴とする複合樹脂発泡粒子。 - 請求項1に記載の複合樹脂発泡粒子において、上記プロピレン系樹脂の融点が115〜140℃であることを特徴とする複合樹脂発泡粒子。
- 請求項1又は2に記載の複合樹脂発泡粒子において、上記スチレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)が30万〜50万であることを特徴とする複合樹脂発泡粒子。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合樹脂発泡粒子を型内成形してなる複合樹脂発泡粒子成形体であって、密度が10〜200kg/m3、独立気泡率が70%以上、融着率が60%以上であることを特徴とする複合樹脂発泡粒子成形体。
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