JP2015124453A - 紡績糸およびこの紡績糸からなる保温性布帛 - Google Patents

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Abstract

【課題】紡糸操業性に悪影響を及ぼすことがなく製造可能であり、しかも優れた保温効果を備える糸条を提供する。特に秋冬衣料として好適で、室内外あるいは静止時、運動時といった様々な着用シーンに対応可能な全天候型保温性布帛を提供する。【解決手段】2種の熱可塑性繊維によって構成される紡績糸であって、該熱可塑性繊維が、遠赤外線放射性微粒子を含有してなる繊維と近赤外線吸収剤を含有してなる繊維である。また、前記紡績糸において、遠赤外線放射性微粒子を含有してなる繊維と近赤外線吸収剤を含有してなる繊維において、いずれか一方の繊維が芯層に配され、他方の繊維が鞘層に配されてなる芯鞘構造であることが好ましい。前記熱可塑性樹脂がポリエステル系樹脂であり、撚係数が、2.0〜4.0である保湿性布帛。【選択図】なし

Description

本発明は、室内外ともに対応可能で、特に秋冬に好適な保温性布帛を提供しうる紡績糸に関するものである。
従来、保温を目的とした織編物は数多く上市されており、中空糸等によるデッドエアーの利用や吸湿発熱効果の利用、太陽光を熱に変換して利用する方法等、様々な手法を用いた素材が提案されている。しかしながら、デッドエアーの利用は、空気を含ませることで放熱を抑えるという消極的な手法であるため、寒さに対する保温性には限界があり、また空気層を利用するため、織編物が嵩高になってしまうという問題があった。また、吸湿発熱効果の利用については、不感蒸泄等の湿気を吸収することで発熱するものであるが、湿気を吸収した際には発熱するものの、持続性が低く、すぐに放熱してしまうという問題があった。一方、太陽光を熱に変換する方法は、晴天時の屋外においては十分な効果が認められるものの、雨天時や室内ではその効果がほとんど期待出来ないという問題があった。
これに対して、近年、遠赤外線放射性微粒子を利用して繊維に保温効果を付与する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、遠赤外線放射性微粒子を3重量%以上含有又は付着させた繊維が開示されている。また、特許文献2には、ポリエステルに平均粒径2.5〜5.0μmの雲母と平均粒径8.0〜13.0μmの雲母を重量比4/6〜8/2の割合で合計3〜8重量%含有させた遠赤外線照射性ポリエステルが開示されている。更に、特許文献3には、特定の遠赤外線照射率を示す遠赤外線放射性微粒子を1〜10重量%含有するポリマーからなる鞘部と、当該微粒子を10〜70重量%含有するポリマーからなる芯部より構成される遠赤外線放射性機能性繊維が開示されている。また、特許文献4には、遠赤外線放射性微粒子を含有する熱可塑性重合体を鞘部に含む芯鞘構造の機能性繊維であって、遠赤外線放射性微粒子が繊維全体の3重量%である機能性繊維が開示されている。
しかしながら、特許文献1〜4のように、遠赤外線放射性微粒子のみを利用して繊維の保温効果を高めるには、遠赤外線放射性微粒子を多量に含有又は付着させる必要があり、紡糸の際に糸切れやガイド摩耗等が生じやすくなり、紡糸操業性を悪化させるという問題があった。また、特許文献4の技術では、遠赤外線放射性微粒子を芯鞘構造の鞘部に局在化させることにより、紡糸操業性の改善が図られているものの、依然として満足できるものではない。
さらに、特許文献1〜4のように、遠赤外線放射特性を有する微粒子のみを利用して繊維に保温効果を付与する技術では、実現可能な保温効果には限界があり、十分な暖かさを実現するには至っていないのが現状である。
特開昭63−227828号公報 特開平9−77961号公報 特開昭63−152413号公報 特開平2−154009号公報
本発明は、紡糸操業性に悪影響を及ぼすことがなく製造可能であり、しかも優れた保温効果を備える糸条を提供することを課題とする。さらには、特に秋冬衣料として好適で、室内外あるいは静止時、運動時といった様々な着用シーンに対応可能な全天候型保温性布帛を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究の結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、2種の熱可塑性繊維によって構成される紡績糸であって、該熱可塑性繊維が、遠赤外線放射性微粒子を含有してなる繊維と近赤外線吸収剤を含有してなる繊維であることを特徴とする紡績糸に関するものである。
また、本発明は、上記した紡績糸により構成されることを特徴とする保温性布帛に関するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の紡績糸を構成する繊維は、熱可塑性樹脂により構成される熱可塑性繊維である。熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系、ポリアミド系等が挙げられる。なかでも、機械的強度等の物性に優れ、汎用性が高いことから、ポリエステル系樹脂を好ましく用いる。ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレートに代表されるポリエステル系樹脂が挙げられる。また、粘度、熱的特性、相溶性を鑑みてポリエステル系樹脂に、イソフタル酸、5−スルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、コハク酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸、およびエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂肪族ジオールや、グリコール酸、ヒドロキシ酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸などのヒドロキシカルボン酸、ε―カプロラクタンなどの脂肪族ラクトン等を共重合したものであってもよい。
本発明の紡績糸は、2種の熱可塑性繊維によって構成され、一方の繊維は遠赤外線放射性微粒子を含有してなる繊維であり、他方の繊維は、近赤外線吸収剤を含有してなる繊維である。
遠赤外線微粒子とは、遠赤外線を放射可能な物質からなる微粒子であり、例えば、マイカ,タルク,方解石等の鉱物、酸化錫,アルミナ,二酸化珪素などの酸化物系セラミックス、炭化珪素,炭化ホウ素等の炭化物系セラミックス、白金,タングステンなどの金属類、炭素,グラファイトなどの非金属類が挙げられる。中でも特にマイカなど硬度の低い微粒子は、ガイド摩耗等が起こり難く、より好ましい。なお、これらの遠赤外線放射微粒子は、1種単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
遠赤外線放射性微粒子の平均粒子径については、特に限定されないが、例えば10μm以下、好ましくは0.1〜5μm、さらに好ましくは0.3〜3μmが挙げられる。遠赤外線放射性微粒子の平均粒子径が前記範囲内であれば、紡糸操業性に悪影響を及ぼすことなく、より優れた保温効果を奏させることができる。ここで平均粒子径は、レーザー回折散乱法粒度分布測定装置を用いて測定される体積平均粒子径である。
機能性繊維中の遠赤外線放射性微粒子の含有量についてであるが、本発明においては、遠赤外線放射性微粒子を多く含まなくとも、後述する近赤外線吸収剤を含有する繊維と併用して紡績糸とするため、優れた保温効果を奏するという利点がある。すなわち、本発明では、近赤外線吸収剤が発する熱を保温効果の向上そのものに利用できるだけでなく、その熱を遠赤外線放射性微粒子の温度上昇にも利用でき、遠赤外線放射性微粒子からは温度上昇に応じてより多くの遠赤外線が発せられるため、結果としてより優れた保温効果が奏される。かかる観点から、遠赤外線放射性微粒子の含有量として、好ましくは0.2〜5質量%、より好ましくは0.5〜2.5質量%、更に好ましくは0.5〜2質量%が挙げられる。また、このように遠赤外線放射性微粒子の含有量を低減させることにより、紡糸操業性も一層良好になる。
遠赤外線放射性微粒子は、繊維を構成する熱可塑性樹脂、すなわち原料となる熱可塑性樹脂に直接、錬り込み、混合して、溶融紡糸することによって繊維を構成する熱可塑性樹脂に含有させるとよい。
次に、近赤外線吸収剤を含有してなる繊維について説明する。近赤外線吸収剤とは、近赤外線領域(700〜2000nm)の光を吸収するものであり、具体的には、シアニン化合物、フタロシアニン化合物、ジチオール金属錯体、ナフトキノン化合物、アントラキノン化合物、ジインモニウム化合物、アゾ化合物等が挙げられる。中でも蓄熱・保温効果をより発揮させる観点から、アントラキノン化合物からなるものが好適である。
繊維が近赤外線吸収剤を含有していることにより、光エネルギーを熱エネルギーへ変換することができる。エネルギーの変換は、近赤外線の反射率を測定することにより確認でき、具体的には、近赤外線吸収剤を含有してなる繊維において、波長700〜850nmの反射率が50%以下であると、当該エネルギー変換が効率的に行われていると判断できる。一方、反射率が50%を超えると、光を熱エネルギーに変換する特性が弱くなり蓄熱効果が得られない。
近赤外線吸収剤を含有させるには、以下の方法により行うとよい。
まず、近赤外線吸収剤が所定量分散してなる水分散液を用意する。液の分散性を高める目的で界面活性剤を用いるとよい。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系のいずれのものでも使用可能である。中でも分散性、吸尽速度などの点から、アニオン系界面活性剤を含む界面活性剤、カチオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤を含む界面活性剤が好適である。具体的に、アニオン系界面活性剤としてスルホン酸塩(ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルムアルデヒド縮合物など)などが、カチオン系界面活性剤として第4級アンモニウム塩などが、ノニオン系界面活性剤としてエーテル型のもの(ポリアルキレンアルキルエーテルなど)などが例示できる。
なお、水分散液のpHは4〜7の範囲にあることが好ましく、4〜6の範囲にあることがより好ましい。pHがこの範囲を外れると、水分散液の安定性が低下し、粒子その他の固形分が凝集することがある。特に、pHが7を超えると、100〜135℃の温度下で行う吸尽処理中に近赤外線吸収剤が加水分解し、所望の蓄熱・保温効果等の機能性を繊維に付与し難くなる。水分散液のpHは、酸性化合物を配合することにより適宜調整できる。酸性化合物としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸などの有機酸、及び塩酸、硫酸、リン酸、硝酸などの無機酸などがあげられる。中でも酢酸が好ましい。また、硫酸塩などの緩衝剤を併用することが好ましい。水分散液には、必要に応じて各種機能性付与剤を含有させてもよい。例えば、得られる布帛の耐光性向上を考慮して、紫外線吸収能を有する紫外線吸収剤を併用することも好ましい。また、繊維の色合わせのために、各種染料を含有させることも好ましい。
水分散液を用意した後は、繊維を水分散液に浸漬させる。この場合、熱可塑性繊維をバラ毛、塊、トウ、スライバ、フィラメント糸などの形状で直接的に水分散液に浸漬する。
設備としては、浸漬後の吸尽処理が後述のように100〜135℃の温度下で行われるため、密閉できる高圧容器を用いるとよい。例えば、繊維を直接的に浸漬する場合にはバラ毛染色機、オーバーマイヤー染色機などが、糸形状のものについてはチーズ染色機などを使用できる。
繊維に吸尽処理することにより、近赤外線吸収剤を繊維に付着させる。繊維表面だけに当該吸収剤を付着させても所定の効果を奏することができるが、より高い効果を得るには、繊維表面と共に繊維内部へ当該吸収剤を固着させることが好ましい。
吸尽処理は、100〜135℃の温度下で行う。吸尽処理の温度が100℃未満になると、近赤外線吸収剤を繊維に十分に固着させ難くなり、所望の蓄熱・保温効果を得難くなる。一方、135℃を超えると、近赤外線吸収剤が加水分解し易くなるだけでなく、繊維が熱によって脆化し易くなり、糸質物性が低下することがあり、実用強度を有する繊維製品が得にくくなる。吸尽処理の時間としては、通常、10〜60分間程度が好ましい
本発明においては、繊維に近赤外線吸収剤を付着することで、太陽光を効率的に熱に変換し、十分な暖かさを付与できるとともに、雨天時や室内など太陽光の届きにくい場合でも、繊維が含有する遠赤外線放射性微粒子により暖かさを維持することができる。さらに、遠赤外線放射性微粒子を含有する繊維と、近赤外線吸収剤を含有する繊維との2種の繊維によって紡績糸を構成させることにより、近赤外線吸収剤による吸光熱変換効果による熱エネルギーを暖かさに利用することに加えて、近接する遠赤外線放射性微粒子そのものの温度を上昇させることへも利用され、遠赤外線放射効果をさらに高める相乗効果も奏する。
本発明の紡績糸を構成する繊維の形態は、特に限定されず、短繊維のみを採用してもよいが、長繊維と短繊維との両者を採用して複合した複合紡績糸としてもよい。
また、単繊維の繊度は、用途等に応じて適宜選択すればよく、0.1〜5dtex程度が好ましい。また、単繊維の繊度を小さくすることによって、繊維表面積を増加させ、遠赤外線放射性能を向上させ、さらに繊維同士の間に空気層が増加するため、デッドエアーによる保温性も付加されるため、0.1〜3dtexがより好ましい。
繊維として、長繊維を用いる場合、例えば、仮撚による捲縮を有するものを用いると、デッドエアーによる保温性の点で有効である。
短繊維を用いる場合、短繊維の繊維長は、32〜51mmmがよい。
繊維の断面形状は、特に限定するものではなく、円形以外に、三角、六角、扁平等の異形断面、さらに中空部を有する中空断面であってもよい。
本発明の紡績糸は、上記した2種の繊維によって構成されるが、2種の繊維が併用してなる紡績糸の形態としては、例えば、遠赤外線放射機能剤を含有する繊維と近赤外線吸収剤を含有する繊維とが均一に混合してなる混紡糸が挙げられる。また、遠赤外線放射性微粒子を含有する繊維と近赤外線吸収剤を含有する繊維において、いずれか一方の繊維が芯層に配され、他方の繊維が鞘層に配されてなる芯鞘構造が挙げられる。
紡績糸において、遠赤外線放射機能剤を含有する繊維と近赤外線吸収剤を含有する繊維との質量比率は、20/80〜80/20の範囲がよく、より好ましくは70/30〜30/70である。なお、紡績糸の形態として、芯鞘構造のものを採用する場合は、鞘層が良好に芯層を被覆する形状にするためには、鞘層の比率は、少なくとも60質量%以上とすることが好ましい。
本発明の紡績糸の撚り係数は、2.0〜4.0の範囲とすることが好ましい。撚り係数を2.0以上とすることにより、強度を保持することができ、一方、撚り係数を4.0以下とすることにより、撚りが強くなり過ぎず甘撚りとなってソフト性が向上し、暖かみを発揮できる。なお、撚り係数は、下式により算出されるものである。
撚り係数A=T/N1/2
T:インチあたりの撚り回数
N:番手
本発明の紡績糸は、混紡糸の形態あるいは芯鞘構造の形態を挙げたが、これらの紡績糸を得る方法は、公知の方法を採用して製造するとよい。例えば、短繊維からなる芯鞘構造の紡績糸を得る方法としては、それぞれの短繊維からなる粗糸を用意して、一方の粗糸を芯側に、他方の粗糸を鞘側に配しながら、同時に精紡する。またはそれぞれの短繊維からなるスライバーを用意し、一方のスライバーを芯側に、他方のスライバーを鞘側に配しながら、同時に粗紡し、後に得られた複合粗糸を精紡することによって製造することができる。
本発明の紡績糸を用いて製編織することにより、保温性布帛を得る。製編織して得られた布帛は、通常の精練、リラックス、染色、仕上加工するとよい。本発明においては、それぞれ機能を発揮する2種の繊維を併用して1本の紡績糸として構成することによって、製造する布帛についても組織の制約が少なく、かつ布帛の薄地化を容易に行える。
保温性布帛においては、本発明の紡績糸のみを用いて製編織してもよいが、本発明の紡
績糸以外の他のマルチフィラメント糸や紡績糸等を併用してもよい。他の糸条と併用する場合は、本発明の紡績糸が布帛中に少なくとも30質量%以上含むようにする。本発明の紡績糸が、布帛中に占める割合が30質量%未満となると、目的とする保温性が十分に奏しにくい傾向となる。
本発明の保温性布帛の厚みは0.5〜2.5mmであることが好ましい。0.5mm以上とすることにより、生地に程よい厚みをもたせて十分に保温性能を発揮させることができ、一方、2.5mm以下とすることにより、生地が厚く重くなることを防止して衣料用として好適な布帛とすることができる。また、布帛の目付は、100〜300g/mが好ましい。100g/m以上とすることによって十分な保温性能を発揮しやすく、一方、100g/m以下とすることにより、上記した厚みの上限の理由と同様に、生地が重くなることを防止して衣料用として好適な布帛とすることができる。
本発明の保温性布帛は、室内および室外等の様々な着用環境にも対応可能であり、特に秋冬の気温が低い季節に適し、また、低い温度雰囲気下で作業等行う際に着用する保温性衣料として適するものであり、生地を肉厚にすることなく高い保温効果が得られるため、インナーやスポーツ衣料等の軽快に動けることが要される衣料用途に好適である。
本発明の紡績糸によれば、遠赤外線放射効果および吸光熱変換蓄熱効果に優れるため、この紡績糸により得られる保温性布帛は、室内外における様々な着用環境にも対応可能な秋冬の布帛として、また、低い温度雰囲気下で作業等を行う際に着用する保温性衣料として、生地を肉厚にすることなく高い保温効果が得られる。したがって、インナーやスポーツ衣料等の用途にも特に好適である。
次に、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、実施例、比較例における布帛は、下記に準じて評価した。
〔遠赤外線放射性〕
試験方法は、赤外分光光度計FT−IR装置を使用し、測定波長域は5〜20μmの遠赤外線放射強度を測定した。その際、同条件での黒体の遠赤外線放射強度も測定し、各波長における黒体との放射強度の比率から、平均放射率を算出した。(測定温度40℃)
◎:比較生地の平均放射率との差が5%以上
○:比較生地の平均放射率との差が2%以上〜5%未満
×:比較生地の平均放射率との差が2%未満
〔保温性〕
光吸収熱変換性を測定し、保温性を評価した。すなわち、温度20℃、湿度65%の恒温恒湿の室内において、エネルギー源として写真用100W白色光源を用い、編地の表面温度をサーモビュアJTG−4200(日本電子株式会社製、赤外線センサー)にて測定した。
◎:比較生地との表面平均温度の差が3℃以上。
○:比較生地との表面平均温度の差が1℃以上〜3℃未満。
×:比較生地との表面平均温度の差が1℃未満。
実施例1
繊度1.7dtex、繊維長38mのポリエチレンテレフタレート短繊維のステープルをスライバー状の繊維束とした後、スライバーをコイリング運動によって下部から積重ね圧縮してバンプ巻きとした。該バンプ巻きをキャリヤーに装填しオーバーマイヤー染色機の中に投入し下記処方1で近赤外線吸収剤の吸尽処理を温度130℃、時間30分、浴比1:10で行った。
<処方1>
近赤外線吸収剤(日本化薬社製「KP DEEPER NR(商品名)」、アントラキノン化合物) 6%owf
分散剤(日華化学社製「ニッカサンソルト130E(商品名)」) 0.5g/L
酢酸 0.1cc/L
オーバーマイヤー染色機で洗浄、オイリングした後スライバーをマングルで脱水開繊し、コンベヤ式乾燥機で乾燥して、近赤外線吸収剤を含有したポリエチレンテレフタレート短繊維を、紡績工程にて近赤外線吸収剤含有ポリエチレンテレフタレート短繊維スライバーを得た。この近赤外線吸収剤を含有したスライバーを芯層に配するものとした。
一方、繊度1.7dtex、繊維長38mの遠赤外線放射機能剤を含有するポリエチレンテレフタレート短繊維スライバーを用意した。この短繊維を構成するポリエチレンテレフタレート樹脂には、平均粒子径3μmの鉱石(マイカ)の粒子を1.5質量%含有してなるものである。この遠赤外線放射機能剤を含有するスライバーを鞘層に配するものとした。
各スライバーを粗紡機に導入し、フライヤーヘッドから見て、遠赤外線放射機能剤を含有するスライバーをドラフト域外側に、近赤外線吸収剤を含有したスライバーを内側に配置して各々をドラフトし、近赤外線吸収剤を含有したスライバーを芯層側、遠赤外線放射機能剤を含有するスライバーを鞘層側に配しながら、両者を重ね合わせ、芯層の質量比率が30%、鞘層の重量比率が70%の複合粗糸を得た。そして、得られた複合粗糸を通常の条件で精紡し、撚係数3.0、番手40Sの芯鞘構造紡績糸を得た。
上記紡績糸を福原精機製ダブルニット機LPJ−H型を用い、30“24Gでスムースを編成した。その後、常法により精錬―リラックス―染色―仕上加工を行い、生地厚さ0.8mm、目付240g/mの丸編地を得た。得られた丸編地(布帛)の手触り感は、非常にソフト感に優れていた。
一方、比較生地としては、レギュラーポリエチレンテレフタレート短繊維からなる紡績糸(撚係数3.0、番手40S)のみを用いて、実施例1と同条件にて編成、仕上加工を行い、厚み0.9mm、目付245g/mの丸編地を作成し、評価した。
実施例2
実施例1において、芯層の質量比率が60%、鞘層の重量比率が40%としたこと以外は、実施例1と同様にして紡績糸を作成し、また、保温性布帛を作成した。なお、得られた丸編地(布帛)の手触り感は、非常にソフト感に優れていた。
比較例1
実施例1において、芯層に配するスライバーとして、レギュラーポリエチレンテレフタレート短繊維のみからなるスライバーを使用したこと以外は、実施例1と同条件にて布帛を作成した。
比較例2
実施例1において、鞘層に配するスライバーとして、レギュラーポリエチレンテレフタレート短繊維のみからなるスライバーを使用したこと以外は、実施例1と同条件にて布帛を作成した。
実施例1、2および比較例1、2の評価結果を表1に示す。

Claims (7)

  1. 2種の熱可塑性繊維によって構成される紡績糸であって、該熱可塑性繊維が、遠赤外線放射性微粒子を含有してなる繊維と近赤外線吸収剤を含有してなる繊維であることを特徴とする紡績糸。
  2. 遠赤外線放射性微粒子を含有してなる繊維と近赤外線吸収剤を含有してなる繊維において、いずれか一方の繊維が芯層に配され、他方の繊維が鞘層に配されてなる芯鞘構造であることを特徴とする請求項1記載の紡績糸。
  3. 熱可塑性繊維を構成する熱可塑性樹脂がポリエステル系樹脂であることを特徴とする請求項1または2記載の紡績糸。
  4. 近赤外線吸収剤を含有してなる繊維は、吸尽処理を施すことにより近赤外線吸収剤を付着させていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の紡績糸。
  5. 撚係数が、2.0〜4.0であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の紡績糸。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載の紡績糸により構成されていることを特徴とする保温性布帛。
  7. 布帛の厚みが0.5〜2.5mm、目付が100〜300g/mであることを特徴とする請求項6記載の保温性布帛。
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