JP2015120469A - 車両用サスペンション装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両のスモールオーバーラップ衝突時にキャビンに大きな衝突荷重が及ぶことを回避するのに有効な車両用サスペンション装置を提供する。
【解決手段】車両用サスペンション装置10では、サスペンションメンバ30に固定されるブラケット31の一対のブラケット片のそれぞれは、ボルト・ナット締結体25のボルト軸部がブッシュ22の貫通穴と当該一対のブラケット片のそれぞれの長穴とに挿入されてナット部と螺合されることにより生じる締結軸力によってブッシュ22を保持し、且つ、ボルト軸部が長穴内の第1位置にあるときよりも第2位置にあるときの方が締結軸力が小さくなるように一対のブラケット片のそれぞれのボルト軸部の軸方向についての板厚が設定されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両に搭載されるサスペンション装置に関する。
下記特許文献1に示された車両用サスペンション装置の一つ(以下、「従来装置」と称呼される。)においては、前輪を支持するサスペンションアームが車両前後方向の異なる二箇所(前方連結部及び後方連結部)でサスペンションメンバに連結されている。具体的に述べると、サスペンションアームでは、前方連結部に設けられた第1ブッシュと、後方連結部に設けられた第2ブッシュと、のそれぞれが、サスペンションメンバに設けられた各ブラケットに対してボルト・ナット締結体によって各ブラケットに締結固定されている。
また、この従来装置は、車両衝突時の衝突荷重によってサスペンションメンバなどを変形させることにより当該衝突荷重を吸収する構造を有する。具体的に述べると、この従来装置は、車両のオフセット衝突の際、衝突対象物(例えば、壁の端部及び柱等)からの衝突荷重がサスペンションメンバのうち前輪よりも車両前方に位置するメンバ前端部に作用した場合には、サスペンションメンバが車両後方に向けて押し潰されるように圧縮変形することによって当該衝突荷重を吸収するように構成されている。
特開2009−113541号公報
ところで、車両のオフセット衝突の一つとして、車体と衝突対象物との接触領域が車幅方向の両端の一方側にシフトした衝突形態、所謂「スモールオーバーラップ衝突」と称呼される形態が知られている。このスモールオーバーラップ衝突では、衝突対象物からサスペンションメンバへと衝突荷重が直接的に加わらず、衝突対象物から「車幅方向端部に存在する前輪及びキャビン(客室構成部材)の端部等」に衝突荷重が直接的に加わる場合が多い。このため、上記従来装置では、衝撃荷重を吸収することができないばかりか、前輪が衝突対象物とともにそのまま車両後方のキャビンに向けて移動する虞がある。従って、スモールオーバーラップ衝突時においてキャビンに大きな衝突荷重が及ぶことを回避し得るサスペンション装置が望まれる。
本発明は、上述の課題に対処するために成されたものである。即ち、本発明の目的の1つは、車両のスモールオーバーラップ衝突時にキャビンに大きな衝突荷重が及ぶことを回避するのに有効な車両用サスペンション装置を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明に係る車両用サスペンション装置は、車体に固定されたサスペンションメンバと、サスペンションアームと、ブラケットとを含む。サスペンションアームは、前輪を支持するためのナックルとサスペンションメンバとの間に介装される。このサスペンションアームは、サスペンションメンバに連結される第1被連結部と第1被連結部よりも車両後方においてサスペンションメンバに連結される第2被連結部とを有する。ブラケットは、サスペンションメンバに固定されるとともにサスペンションアームの第1被連結部と第2被連結部を保持する。
上記構成のサスペンション装置において、サスペンションアームの第1被連結部は、互いに平行なブッシュ両端面の間を貫通する貫通穴を有するブッシュを備える。ブラケットは、ブッシュをブッシュ両端面にて挟み込むように対向配置された一対のブラケット片を含む。一対のブラケット片のそれぞれには第1位置から当該第1位置よりも車幅方向外側の第2位置まで延びる長穴が形成されている。一対のブラケット片のそれぞれは、ボルト・ナット締結体のボルト軸部がブッシュの貫通穴と当該一対のブラケット片のそれぞれの長穴とに挿入されてナット部と螺合されることにより生じる締結軸力によってブッシュを保持し、且つ、ボルト軸部が長穴内の第1位置にあるときよりも第2位置にあるときの方が締結軸力が小さくなる或いは無くなるように一対のブラケット片のそれぞれのボルト軸部の軸方向についての板厚が設定されている。ブッシュは、車両衝突時の衝突荷重が前輪に作用してサスペンションアームが車両後方向の荷重を含む特定荷重を受けた場合に、ボルト・ナット締結体のボルト軸部が一対のブラケット片のそれぞれの長穴内を締結軸力によって生じる摩擦力に抗して第1位置から第2位置へと移動するようにボルト軸部の挙動を規制・誘導する。
このサスペンション装置によれば、通常時(車両衝突前)においては、一対のブラケット片のそれぞれの長穴内の第1位置にボルト・ナット締結体のボルト軸部が存在する状態で、当該ボルト軸部とナット部とを螺合させることによって、一対のブラケット片にブッシュが締結固定された初期設定状態が形成され得る。サスペンション装置のこの初期設定状態において車両衝突が発生し、ブッシュを車幅方向外側に付勢する荷重が、ボルト・ナット締結体と一対のブラケット片のそれぞれの外面との間に生じる摩擦力と、一対のブラケット片の対向面(内面)とブッシュ両端面との間に生じる摩擦力とを合わせた力に打ち勝った場合に、ボルト・ナット締結体のボルト軸部は各ブラケットの長穴内を第1位置から第2位置へと移動する。このとき、ボルト軸部がブラケットの長穴内を第2位置まで移動すると、ブラケットとブッシュとを締結固定するための締結軸力が解放される。従って、ボルト軸部が第2位置にあるときは、車両衝突時にブッシュに作用している荷重のうち第1位置にて締結軸力による摩擦力に対抗するために使用していた荷重を、ボルト軸部によってブラケットの穴縁を破断させる荷重として利用することができる。このとき、車両衝突時にサスペンションアームに作用している荷重が、ブラケットを長穴の穴縁にて破断させるのに必要な荷重を上回った場合にブラケットが破断する。従って、第1被連結部のブッシュがボルト・ナット締結体とともにブラケット(サスペンションメンバ)から完全に離脱するため、サスペンションアームは第2被連結部を中心に前輪とともに車両後方へと外転することができる。
この場合、前輪を当該前輪のホイールハウス外へと押し出すことによって当該前輪がキャビンを押し潰す入力源となることを防止することができ、また前輪が存在していたホイールハウスの空間を衝撃吸収のための空間として利用することができる。その結果、スモールオーバーラップ衝突時にホイールハウスが完全に潰れる前に車体骨格によって衝撃を吸収することができ、キャビンの変形を抑えることができる。更に、サスペンションアームの外転によって前輪と一体的に移動する衝突対象物とサスペンションメンバとの車幅方向の離間距離が大きくなり、キャビンは衝突対象物から遠ざかるように斜め前方へと押し出される。その結果、スモールオーバーラップ衝突時にキャビンに作用する衝突荷重を減らすことが可能になる。
以上のように、本発明によれば、車両のスモールオーバーラップ衝突時にキャビンに大きな衝突荷重が及ぶことを回避するのに有効な車両用サスペンション装置が提供されることとなった。
図1は、本発明に係る車両用サスペンション装置10の構成を模式的に示す図である。 図2は、図1中の第1アーム連結機構11を矢印A方向から視た図である。 図3は、図2中の第1アーム連結機構11のB−B線に関する断面構造を示す図である。 図4は、図1中のブラケット31の斜視図である。 図5は、図2中のブラケット31を矢印C方向から視た側面図である。 図6は、ブラケット31のブラケット片33に設けられた長穴35の形状を示す図である。 図7は、ボルト・ナット締結体25が初期位置から中間位置までブラケット31に対して相対移動した状態を示す図であり、(a)が図2に対応しており、(b)が図3に対応している。 図8は、ボルト・ナット締結体25が図7中の中間位置から更にブラケット31に対して相対移動した状態を示す図であり、(a)が図2に対応しており、(b)が図3に対応している。 図9は、ボルト・ナット締結体25のボルト軸部25bによってブラケット31が破断した状態を示す図であり、(a)が図2に対応しており、(b)が図3に対応している。 図10は、サスペンション装置10のスモールオーバーラップ衝突時の動作を示す図である。 図11は、図6中のブラケット31の変更例にかかるブラケット131の構成を示す図である。 図12は、図5中のブラケット31の変更例にかかるブラケット231の構成を示す図である。
以下、本発明にかかる車両用サスペンション装置(以下、単に「サスペンション装置」ともいう)の一実施形態を図面を参照しながら説明する。当該図面において、車両前方及び車両後方をそれぞれ矢印X1及び矢印X2で示し、車両左方及び車両右方をそれぞれ矢印Y1及び矢印Y2で示し、車両上方及び車両下方をそれぞれ矢印Z1及び矢印Z2で示している。車体に組付けられる前の状態のサスペンション装置、及び車体に組付けられた後の状態のサスペンション装置に対して、これらの方向が適用され得る。
図1に示されるように、本実施形態のサスペンション装置10は、サスペンションアーム(「ロアアーム」ともいう)20及びサスペンションメンバ30を備えている。このサスペンション装置10は、客室構成部材であるキャビン60よりも車両前方X1に配置されている。サスペンション装置10は、典型的には金属材料のプレス成型品として、或いは金属製の複数の要素が接合によって一体化された構造体として構成され得る。
サスペンションアーム20は、サスペンションメンバ30と右前輪50のナックルとの間に介装されている。サスペンションアーム20は、サスペンションメンバ30側に第1被連結部21及び第2被連結部23を備え、右前輪50側に第3被連結部24を備えている。
第1被連結部21は、第2被連結部23よりも車両前方に設けられた前方連結部であり、第1アーム連結機構11を介してサスペンションメンバ30に連結されている。第2被連結部23は、第1被連結部21よりも車両後方に設けられた後方連結部であり、第2アーム連結機構12を介してサスペンションメンバ30に連結されている。第1アーム連結機構11と第2アーム連結機構12は、弾性部材(典型的にはゴム材料からなる部材)を含むブッシュ23aと、公知のボルト・ナット締結体とを用いて構成されている。第3被連結部24は、ボールジョイント24aにおいて右前輪50のナックル(図示省略)に連結されている。サスペンションメンバ30は、直接的に或いはインシュレータ等の防振部材を介して間接的に、車体に固定される。ここでいうサスペンションアーム20及びサスペンションメンバ30がそれぞれ、本発明の「サスペンションアーム」及び「サスペンションメンバ」に相当する。なお、右前輪50のナックルアーム(図示省略)は、ハンドル操作に応じて作動するステアリングギアボックス(図示省略)にステアリングタイロッド40を介して連結されている。
図2又は図3が参照されるように、第1アーム連結機構11は、第1被連結部21に設けられたブッシュ22と、サスペンションメンバ30に固定されるとともに第1被連結部21を保持するブラケット31と、ブッシュ22とブラケット31とを締結固定するための公知のボルト・ナット締結体25と、を備えている。
ボルト・ナット締結体25は、ボルト頭部25aと、ボルト頭部25aから延出するボルト軸部25bと、ボルト軸部25bに螺合可能なナット部(座金等を含む)25cと、によって構成されている。
ブッシュ22は、弾性部材(典型的にはゴム材料からなる部材)を含むものであり、互いに平行なブッシュ両端面22a,22bの間を貫通する貫通穴22cを有する。この貫通穴22cにボルト・ナット締結体25のボルト軸部25bが挿入される。
ブラケット31は、サスペンションメンバ30に固定される本体部32と、本体部32から互いに平行状に離間しつつ延出端領域31aに向けて延出する平板状の一対のブラケット片33,34と、を備えている。ブラケット片33,34の平面部分はともに車両上下方向Z1,Z2に延在している(図1参照)。ブラケット片33,34はブッシュ22をブッシュ両端面22a,22bにて挟み込むように対向配置されている。ブラケット片33,34によって区画される区画領域31bは、ブッシュ22を保持するための空間として構成されている。ブラケット片33,34の平面部分にはそれぞれ、長穴35及び長穴36が形成されている。これら長穴35及び長穴36はいずれも、ブッシュ22が区画領域31bに配置された状態でブッシュ22の貫通穴22cに連通するように形成されている。また、これら長穴35及び長穴36はいずれも、ボルト軸部25bの軸径を上回り、且つボルト頭部25a及びナット部(ワッシャを含む)25cの外径を下回る形状を有する。このため、ブラケット31は、区画領域31bにブッシュ22が挿入された状態で、ボルト・ナット締結体25のボルト軸部25bがブッシュ22の貫通穴22cとともにブラケット片33,34の長穴35,36に挿入されてナット部25cと螺合することにより生じる締結軸力によってブッシュ22に締結固定される。これにより、ブラケット31のブラケット片33,34がブッシュ22を保持する。この場合、ブッシュ22の、ボルト軸力に対する反発力がブラケット片33,34の双方に常時に作用している。このブラケット31が本発明の「ブラケット」に相当する。
図5及び図6に示されるように、ブラケット31のブラケット片33,34の外面はともに段差面を有する。具体的に説明すると、ブラケット片33の外面は、第1平面33aと、延出端領域31aのうち第1平面33aよりもブラケット片34寄りの位置に延在する第2平面33cと、第1平面33aと第2平面33cとを接続する傾斜状の傾斜面33bと、を含む。同様に、ブラケット片34の外面は、第1平面34aと、延出端領域31aのうち第1平面34aよりもブラケット片33寄りの位置に延在する第2平面34cと、第1平面34aと第2平面34cとを接続する傾斜状の傾斜面34bと、を含む。これにより、ブラケット31では、ボルト軸部25bの軸方向についてブラケット片33の外面とブラケット片34の外面との間の離間距離(以下、「外面離間距離」ともいう)は、第1平面33a,34aにおける外面離間距離D1よりも第2平面33c,34cにおける外面離間距離D2の方が小さい。一方で、このブラケット31では、ブラケット片33,34の内面はともに平坦面になっている。換言すると、ブラケット片33の板厚(ボルト軸部25bの軸方向の板厚)は、第1平面33aに相当する部位よりも第3平面33cに相当する部位の方が小さい。同様に、ブラケット片34の板厚(ボルト軸部25bの軸方向の板厚)は、第1平面34aに相当する部位よりも第3平面34cに相当する部位の方が小さい。
図6に示されるように、ブラケット片33の長穴35は、第1位置から当該第1位置よりも車幅方向外側の第2位置まで延びる長尺状の穴である。この長穴35は、長手方向に連続した3つの第1穴部35a、第2穴部35b及び第3穴部35cを備えている。
第1穴部35aは、ブラケット片33の第1平面33aの位置に形成された略円形の穴部分であり、ボルト軸部25bの軸径を上回る穴径d1を有する。第2穴部35bは、第1穴部35aと第3穴部35cとを接続するべくブラケット片33の第1平面33aの位置に形成され、第1穴部35aの穴径を下回る開口幅を有する。この第2穴部35bは、ボルト軸部25bを第1穴部35aに保持するのに有効である。従って、この第2穴部35bによれば、ボルト軸部25bの位置決めを容易に行うことができ、ボルト軸部25bの組付けミスによる締結不良の発生を回避することができる。第3穴部35cは、ブラケット片33の第1平面33a、傾斜面33b及び第2平面33cの3箇所にわたって形成された穴部分であり、穴径d1と同寸法の開口幅d2と、穴径d1を上回る開口長さd3と、を有する。このため、ボルト・ナット締結体25のボルト軸部25bは、強い荷重を受けると長穴35内を第1穴部35aから第2穴部35bを経て第3穴部35cまで移動することができる。
なお、ブラケット片34の長穴36はブラケット片33の長穴35と同形状である。即ち、長穴36は、長手方向に連続した、第1穴部35aと同形状の第1穴部36aと、第2穴部35bと同形状の第2穴部36bと、第3穴部35cと同形状の第3穴部36cと、を備えている。また、ブラケット片34の長穴36は、ブラケット片33の長穴35と対向する位置に設けられている。
ボルト・ナット締結体25は、図6中の実線で示す初期位置では、ブラケット31のうち外面離間距離がD1である部位に配置される。このとき、ボルト・ナット締結体25のボルト軸部25bは、長穴35の第1穴部35aと長穴36の第1穴部36aとの双方に係合している。即ち、ボルト軸部25bが一対のブラケット片33,34のそれぞれの長穴35,36内の第1位置に存在する。この場合、ボルト・ナット締結体25のボルト軸部25bがナット部25cと螺合することにより生じる締結軸力は、ブラケット片33,34の双方を互いに近接する方向に押圧する押圧荷重となる。この押圧荷重は、例えば通常の車両走行時(車両衝突前)や製品の状態で運搬される運搬時等のような通常環境下でサスペンションアーム20が荷重を受けた場合、ブラケット31に対するブッシュ22の相対移動を阻止することができる大きさに設定されている。従って、通常環境下ではブラケット31に対するブッシュの相対移動は生じない。仮に、通常環境下でボルト軸部25bが長穴35内を第3穴部35cまで移動したとしても、ブラケット片33,34の穴縁35d,36dによってボルト軸部25bの移動が規制されるため、ボルト軸部25bが長穴35,36から外れる虞が無い。
これに対して、ボルト・ナット締結体25は、図6中の初期位置から矢印方向に移動した位置(二点鎖線で示す位置)では、ブラケット31のうち外面離間距離がD2(<D1)である部位に配置される。このとき、ボルト・ナット締結体25のボルト軸部25bは、長穴35の第3穴部35cと長穴36の第3穴部36cとの双方に係合している。この場合、ボルト・ナット締結体25はブラケット片33,34の板厚が相対的に小さい部位に係合しているため、ブラケット片33の外面とナット部25cとの対向部分、及び、ブラケット片34の外面とボルト頭部25aとの対向部分に隙間が形成される。従って、ボルト・ナット締結体25によって生じる締結軸力は初期位置の場合よりも小さくなる(実質的にゼロになる)。
上記構成のサスペンション装置10では、車両前方X1に進行している車両の例えば右前部に衝突対象物100が衝突する態様(所謂「スモールオーバーラップ衝突」と称呼される態様)が想定される。衝突対象物100として典型的には、自車両以外の他の車両をはじめ、壁、柱、ガイドレール、建築物等の固定物が挙げられる。衝突対象物100から右前輪50に衝突荷重F(図1参照)が作用して、サスペンションアーム20が車両後方X2への後方荷重を含む特定荷重を受けた場合、サスペンションアーム20が第2被連結部23を中心に車幅方向外側へ回転しようとするため、第1被連結部21のブッシュ22は、ブラケット31に対して車幅方向外側(ブラケット31から引き離される方向)への力を受ける(付勢される)。このとき、ブッシュ22を車幅方向外側に付勢する荷重が、ボルト・ナット締結体25とブラケット31のブラケット片33,34のそれぞれの外面との間に生じる摩擦力Faと、ブラケット片33,34の対向面(内面)とブッシュ両端面22a,22bとの間に生じる摩擦力Fbとを合わせた力に打ち勝った場合に、ボルト・ナット締結体25のボルト軸部25bがブラケット31の長穴35,36内を第1位置から第2位置に向けて移動する。即ち、サスペンションアーム20に作用している荷重の一部が前述の摩擦力Fa及び摩擦力Fbの双方に対抗する荷重として消費される。ブッシュ22はボルト・ナット締結体25のボルト軸部25bが摩擦力に抗して第1位置から第2位置へと移動するようにボルト軸部25bの挙動を規制し誘導する。このとき、ボルト軸部25bは、第2位置に向けて移動する過程で、長穴35,36内の第2穴部35b,36bを押し広げる。
ボルト軸部25bがブラケットの長穴35,36内を第2位置まで移動すると、ブラケット31とブッシュ22とを締結固定するための締結軸力が下がる。従って、ボルト軸部25bが第2位置にあるときは、車両衝突時にブッシュ22に作用している荷重のうち第1位置にて摩擦力に対抗するために使用していた荷重を、ボルト軸部25bによってブラケット31を長穴35,36の穴縁35d,36dにて破断させる荷重として利用することができる。
具体的に説明すると、ボルト・ナット締結体25が図2及び図3に示す初期位置から図7に示す中間位置までブラケット31に対して相対移動した場合、ボルト軸部25bによる所定の締結軸力がブラケット片33,34の双方に作用した状態が維持される。ところが、ボルト・ナット締結体25がブラケット31の第1平面33a及び傾斜面33bを経て第2平面33cに至るまでブラケット31の外面上を更に摺動することによって、図7に示す中間位置から図8に示す位置までブラケット31に対して相対移動した場合、ブラケット31のブラケット片33,34の双方に作用する締結軸力が弱まる、或いは締結軸力が生じなくなる(ゼロになる)。即ち、ボルト・ナット締結体25がブラケット31のうち外面離間距離がD1である部位から外れて外面離間距離がD2である部位まで移動すると、ブラケット片33,34の双方を互いに近接する方向に押圧する押圧荷重が下がる或いは無くなる。
従って、車両衝突時にブッシュ22に作用している荷重の一部は、前述の摩擦力Fa及び摩擦力Fbの双方に対抗する荷重としてはもはや消費されなくなり、車両衝突時にブッシュ22に作用している全荷重が当該ブッシュ22をブラケット31から引き離すための荷重として使用される。そして、この荷重がブラケット31を長穴35,36の穴縁35d,36dにて破断させるのに必要な荷重を上回った場合に、図9に示されるようにブラケット31が破断する。この場合、第1被連結部21のブッシュ22がボルト・ナット締結体25とともにブラケット31(サスペンションメンバ30)から完全に離脱する。一方で、第2アーム連結機構12は、右前輪50に衝突荷重F(図1参照)が作用しても第2被連結部23とサスペンションメンバ30との連結剛性は維持されるように構成されている。また、右前輪50のナックルアームとステアリングタイロッド40との連結は維持される。
このとき、サスペンションアーム20は、第1被連結部21がサスペンションメンバ30から外れた状態で、第2被連結部23を回転中心として右前輪50とともに車両後方X2に向けて右回りに外転(「回動」ともいう)することができる。即ち、サスペンションアーム20が受ける荷重の一部が当該サスペンションアーム20の回転動作に利用される(変換される)。この場合、右前輪50を当該右前輪のホイールハウス外へと押し出すことによって当該右前輪がキャビン60を押し潰す入力源となることを防止することができ、また右前輪50が存在していたホイールハウスの空間を衝撃吸収のための空間として利用することができる。その結果、スモールオーバーラップ衝突時にホイールハウスが完全に潰れる前に車体骨格によって衝撃を吸収することができ、キャビン60の変形を抑えることができる。更に、サスペンションアーム20の外転によって右前輪50と一体的に移動する衝突対象物100とサスペンションメンバ30との車幅方向の離間距離が大きくなり、キャビン60は衝突対象物100から遠ざかるように斜め前方へと押し出される。その結果、スモールオーバーラップ衝突時にキャビン60に作用する衝突荷重を減らすことが可能になる。
本発明は、上記の典型的な実施形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記実施の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
上記のブラケット31の長穴35,36の形状については、別の形状を採用することもできる。例えば、ブラケット31の長穴35に代えて、図11に示すブラケット131の長穴131を採用することもできる。この長穴131は、第1位置135aから第2位置135bまで一定の開口幅を有する1つの開口部として構成される。
上記のブラケット31では、ブラケット片33,34のそれぞれの板厚が第1平面33a,34aに相当する第1部位よりも第3平面33c,34cに相当する第2部位の方が小さくなる場合について記載したが、本発明ではブラケット片33,34のいずれか一方の板厚が第1部位よりも第2部位の方が小さくなるようにすることもできる。
上記のブラケット31では、一対のブラケット片33,34の平面部分がともに車両上下方向に延在する場合について記載したが、本発明では、各ブラケット片の平面部分が延在する方向はこれに限定されるものではない。例えば、各ブラケット片の平面部分が車両前後方向に延在するように構成されたブラケットや、各ブラケット片の平面部分が車両上下方向或いは車両前後方向に対して交差する方向に延在するように構成されたブラケットを採用することもできる。
本発明の「ボルト軸部が長穴内の第1位置にあるときよりも第2位置にあるときの方が締結軸力が小さくなるように一対のブラケット片のそれぞれのボルト軸部の軸方向についての板厚が設定される。」という主旨に鑑みた場合、上記構成のブラケット31,131に代えて図12に示すブラケット231を採用することもできる。このブラケット231では、ブラケット片33,34の外面はともに平坦面であるのに対して、ブラケット片33,34の内面はともに段差面を有する。
具体的に説明すると、ブラケット片33の内面とブラケット片34の内面との間の離間距離(以下、「内面離間距離」ともいう)は、第1平面33a,34aにおける内面離間距離D3よりも第2平面33c,34cにおける内面離間距離D4の方が小さい。この場合、ブラケット31の区画領域31bに挿入されているブッシュ22が、長穴35,36内を移動するボルト軸部25bとともに延出端領域31aに移動するとブッシュ22に対する圧縮荷重が下がる。即ち、ブッシュ22が内面離間距離がD3である位置から内面離間距離がD4である位置まで移動すると、ブラケット片33の内面とブッシュ端面22aとの対向部分や、ブラケット片34の内面とブッシュ端面22aとの対向部分との対向部分に隙間が形成される。従って、ボルト・ナット締結体25によって生じる締結軸力はブッシュ22の移動によって小さくなる或いは無くなる。その結果、このブラケット231を採用した場合には、ブラケット31,131を用いる場合と同様の作用効果を得ることが可能になる。
本発明では、サスペンションアーム20の第1被連結部21における連結構造を、当該第1被連結部21に加えて、第2被連結部23や第3被連結部24に対しても同様に適用することができる。
10…サスペンション装置、20…サスペンションアーム、21…第1被連結部、22…ブッシュ、23…第2被連結部、25…ボルト・ナット締結体、30…サスペンションメンバ、31…ブラケット、33,34…ブラケット片、35,36…長穴、50…右前輪、60…キャビン

Claims (1)

  1. 車体に固定されたサスペンションメンバと、
    前輪を支持するためのナックルと前記サスペンションメンバとの間に介装されるとともに、前記サスペンションメンバに連結される第1被連結部と前記第1被連結部よりも車両後方において前記サスペンションメンバに連結される第2被連結部とを有するサスペンションアームと、
    前記サスペンションメンバに固定されるとともに前記サスペンションアームの前記第1被連結部を保持するブラケットと、
    を含む車両用サスペンション装置において、
    前記サスペンションアームの前記第1被連結部は、互いに平行なブッシュ両端面の間を貫通する貫通穴を有するブッシュを備え、
    前記ブラケットは、前記ブッシュを前記ブッシュ両端面にて挟み込むように対向配置された一対のブラケット片を含み、
    前記一対のブラケット片のそれぞれには第1位置から当該第1位置よりも車幅方向外側の第2位置まで延びる長穴が形成され、
    前記一対のブラケット片のそれぞれは、ボルト・ナット締結体のボルト軸部が前記ブッシュの前記貫通穴と当該一対のブラケット片のそれぞれの前記長穴とに挿入されてナット部と螺合されることにより生じる締結軸力によって前記ブッシュを保持し、且つ、前記ボルト軸部が前記長穴内の前記第1位置にあるときよりも前記第2位置にあるときの方が前記締結軸力が小さくなる或いは無くなるように前記一対のブラケット片のそれぞれの前記ボルト軸部の軸方向についての板厚が設定されており、
    前記ブッシュは、車両衝突時の衝突荷重が前記前輪に作用して前記サスペンションアームが車両後方向の荷重を含む特定荷重を受けた場合に、前記ボルト・ナット締結体の前記ボルト軸部が前記一対のブラケット片のそれぞれの前記長穴内を前記締結軸力によって生じる摩擦力に抗して前記第1位置から前記第2位置へと移動するように前記ボルト軸部の挙動を規制・誘導する、車両用サスペンション装置。
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