[実施例1]
《画像形成装置例の全体的な概略構成》
図1は本発明の一実施形態例である画像形成装置100の外観斜視図、図2は縦断右面図である。この画像形成装置100は、複数のカートリッジとして第1から第4の4つのカートリッジP(PY、PM、PC、PK)を有する、電子写真プロセスを用いた4色フルカラーのレーザープリンタ(電子写真画像形成装置)である。
即ち、この画像形成装置100は、外部ホスト装置400から出力されてインターフェイス部300を介して制御部200に入力する電気的画像信号に基づいてシート状の記録媒体Sに4色フルカラー画像あるいはモノカラー画像を形成することができる。以下、記録材を用紙と記す。外部ホスト装置400はパソコン、イメージリーダ、相手方ファクシミリ装置等である。
制御部200は画像形成装置100の電子写真画像形成プロセスを制御する制御手段であり、外部ホスト装置400と各種の電気的情報の授受をする。また各種のプロセス機器やセンサから入力する電気的情報の処理、各種のプロセス機器への指令信号の処理、所定のイニシャルシーケンス制御、所定の電子写真画像形成プロセスのシーケンス制御等を司る。
以下の説明において、画像形成装置100に関して、前側(正面側)とは装置開閉ドア(本体ドア)31を配設した側である。後側(背面側)とはそれとは反対側である。前後方向とは、画像形成装置100の後側から前側に向かう方向(前方向)と、その逆の方向(後方向)である。左右とは画像形成装置100を前側から見て左または右である。左右方向とは、右から左に向かう方向(左方向)と、その逆の方向(右方向)である。上と下とは重力方向において上と下である。上方向とは下から上に向かう方向、下方向とは上から下に向かう方向である。
また、長手方向とはカートリッジが有する回転体(回転可能な像担持体や現像剤担持部材)の回転軸線方向に実質平行な方向である。短手方向とは前記長手方向に実質直交する方向(直交方向)である。また、長手方向の一端側が駆動側、他端側が非駆動側である。本実施例においては、長手方向の右端側が駆動側、左端側が非駆動側である。
画像形成装置100の装置本体(本体フレーム)100Aの内部にはカートリッシ収容部100Bが設けられている。このカートリッシ収容部100Bには装置本体100Aの後側から前側にかけて、第1から第4の4つのカートリッジPY、PM、PC、PKが水平に並べられて所定の装着位置に所定に装着されている(インライン構成、タンデム型)。カートリッジPの装着位置とはカートリッシ収容部100BにおいてカートリッジPが画像形成動作可能な位置である。
カートリッジPは用紙Sに画像を形成する画像形成プロセスに寄与するものであり、画像形成装置100の装置本体100Aに取り外し可能に装着されて使用される。本実施例における各カートリッジPは、何れも、潜像が形成される回転可能な像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、ドラムと記す)1を有する。そして、そのドラム1に作用する電子写真画像形成プロセス手段としての、帯電手段2と、現像手段3と、クリーニング手段4と、を有する、所謂一体型のプロセスカートリッジである。
本実施例において、帯電手段2は接触帯電ローラである。現像手段3はドラム1に対して現像剤を供給して潜像を現像剤像として現像する現像剤担持体としての現像ローラ3aと現像剤を収納している現像剤収納部3b等を有する接触型或いは非接触型の現像器である。クリーニング手段4はクリーニング部材としてのクリーニングブレード4aと廃トナー収納部4b等を有するブレードクリーニング器である。各カートリッジPはそれぞれ上記のような画像形成プロセス機器を備えた同様の電子写真プロセス機構を有しており、収納された現像剤(以下、トナーと記す)の色が各々異なる。
即ち、第1のカートリッジPYは、現像器3にイエロー(Y)色のトナーが収容されており、ドラム1面にY色トナー像を形成する。第2のカートリッジPMは、現像器3にマゼンタ(M)色のトナーが収容されており、ドラム1面にM色トナー像を形成する。第3のカートリッジPCは、現像器3にシアン(C)色のトナーが収容されており、ドラム1面にC色トナー像を形成する。第4のカートリッジPKは、現像器3にブラック(K)色のトナーが収容されており、ドラム1面にK色トナー像を形成する。
カートリッジPY、PM、PC、PKの上方部には、各カートリッジPのドラム1に露光して潜像を形成するための露光装置ユニット(露光手段)としてのレーザースキャナユニット11が配設されている。このスキャナユニット11は、外部ホスト装置400から制御部200に入力された各色の画像情報に対応して変調されたレーザー光Lを出力し、カートリッジ枠体5の上面に設けた露光窓6を通して、各カートリッジPのドラム1面を走査露光する。
カートリッジPY、PM、PC、PKの下方部には、各カートリッジPのドラム1に対向してトナー像が一次転写され、そのトナー像を用紙Sに二次転写する転写ユニット(転写部材)としての中間転写ユニット12が配設されている。
このユニット12は、中間転写体(第2の像担持体:中間の記録媒体)としての、誘電体製で、可撓性を有するエンドレスベルト13と、このベルト13を懸回張設して循環移動させる駆動ローラ14、ターンローラ15、テンションローラ16とを有する。駆動ローラ14とターンローラ15は装置本体100A内の後側に配設してある。テンションローラ16は装置本体100A内の前側に配設してある。
各カートリッジPはそれぞれ所定の装着位置に所定に装着されている状態において、それぞれのドラム1の下面が、ベルト13の上方側ベルト部分の上面に接している。ベルト13の内側には、上方側ベルト部分を介して各カートリッジPのドラム1にそれぞれ対向させて4個の一次転写ローラ17が配設されている。
各カートリッジPにおいてドラム1とベルト13とのニップ部がそれぞれ一次転写ニップ部T1である。駆動ローラ14には、ベルト13を介して二次転写ローラ22が当接している。二次転写ローラ22とベルト13とのニップ部が二次転写ニップ部T2である。
中間転写ユニット12の下方部には、トナー像が転写される用紙Sをストックし、中間転写ユニット12に対して一枚ずつ用紙Sを搬送する給紙ユニット18が配設されている。
この給紙ユニット18は、用紙Sを積載して収納した給紙トレイ19、給紙ローラ20、分離パッド21、レジストローラ対20a等を有する。給紙トレイ19は装置本体100Aの前側から出し入れ(挿脱)自由である(フロントローデング)。19aは給紙トレイ19の前面板に設けられた取手部である。
装置本体100A内の後側の上部には、トナー像が転写された用紙Sに熱と圧をかけて定着させ排紙させる定着ユニット(定着手段)である定着装置23と排紙ローラ対24が配設されている。装置本体100Aの上面は排紙トレイ25として形成されている。定着装置23は定着フィルムアセンブリ23aと加圧ローラ23bを有するものを用いている。排紙ローラ対24は排紙ローラ24aと排紙コロ24bである。
カートリッジ収容部100Bにおいて各カートリッジPはそれぞれ画像形成動作可能な装着位置に位置していて、後述するように、押圧部材42(図22(a))により押圧される。そして、装置本体100A側の所定の位置決め部41および回転止めピン801に固定された状態に保持されている。
また、後述するように、そのカートリッジPの駆動入力部(駆動連結部)53、54(図8)に対して装置本体100A側の駆動出力部(本体駆動伝達部材)39、40a(図24、25)が結合している。これによりカートリッジPに駆動力が伝達可能になっている。
また、後述するように、そのカートリッジPの電気接点(給電接点部)55(図7)に対して装置本体100A側の給電系統(給電部材)75(図18)が導通化している。
《画像形成動作》
フルカラー画像を形成するための動作は次のとおりである。第1〜第4の各カートリッジPY、PM、PC、PKのドラム1が図2において矢印の反時計方向に所定の制御速度で回転駆動される。ベルト13も矢印の時計方向(ドラム1の回転に順方向)にドラム1の速度に対応した速度で回転駆動される。スキャナユニット11も駆動される。
この駆動に同期して、各カートリッジPにおいてそれぞれ所定の制御タイミングで帯電ローラ2がドラム1の表面を所定の極性、電位に一様に帯電する。スキャナユニット11は各ドラム1の表面を各色の画像信号に応じて変調されたレーザー光Lで走査露光する。これにより、各ドラム1の表面に対応色の画像信号に応じた静電潜像が形成される。形成された潜像は現像器3によりトナー像(現像剤像)として現像される。
上記のような電子写真画像形成プロセス動作により、第1のカートリッジPYのドラム1にはフルカラー画像のY色成分に対応するY色トナー像が形成される。そのトナー像がカートリッジPYの一次転写ニップ部T1においてベルト13上に一次転写される。
第2のカートリッジPMのドラム1にはフルカラー画像のM色成分に対応するM色トナー像が形成される。そのトナー像がカートリッジPMの一次転写ニップ部T1においてベルト13上にすでに転写されているY色トナー像に重畳されて一次転写される。
第3のカートリッジPCのドラム1にはフルカラー画像のC色成分に対応するC色トナー像が形成される。そのトナー像がカートリッジPMの一次転写ニップ部T1においてベルト13上にすでに転写されているY色+M色トナー像に重畳されて一次転写される。
第4のカートリッジPKのドラム1にはフルカラー画像のK色成分に対応するK色トナー像が形成される。そのトナー像がカートリッジPMの一次転写ニップ部T1においてベルト13上にすでに転写されているY色+M色+C色トナー像に重畳されて一次転写される。
かくして、ベルト13上にY色+M色+C色+K色の4色重畳の未定着トナー像が合成形成される。各カートリッジPにおいて、ベルト13に対するトナー像の一次転写後のドラム1面に残留した転写残トナーはクリーニング器4により除去される。
一方、所定の制御タイミングで給紙ローラ20が駆動される。これにより、給紙ローラ20と分離パッド21との協働で、給紙トレイ19に積載されている用紙Sが1枚分離給送され、レジストローラ20aにより所定の制御タイミングで二次転写ニップ部T2に導入される。これにより、用紙Sが二次転写ニップ部T2を挟持搬送されていく過程でベルト13上の4色重畳のトナー像が用紙Sの面に順次に一括転写される。
用紙Sはベルト13の面から分離されて搬送路20bを通って定着装置23へ導入され、定着ニップ部Nで加熱、加圧される。これにより、各色トナー像の混色及び用紙Sへの定着がなされる。そして、用紙Sは、定着装置23を出て、フルカラー画像形成物として排紙ローラ対24で排紙トレイ25上に排出される。記録材分離後のベルト13の表面に残留した二次転写残トナーはクリーニング手段26にて除去される。
《カートリッジ交換方式》
第1〜第4の各カートリッジPY、PM、PC、PKは、画像形成に使用されるにつれて、それぞれ、現像器3に収容されている現像剤が消費される。そして、カートリッジを購入した使用者にとって満足できる品質の画像を形成することが出来なくなる程度まで現像剤が消費された際に、カートリッジとしての商品価値が喪失する。
そこで、例えば、個々のカートリッジの現像剤残量を検知する手段(不図示)を具備させて、制御部200において、検知残量値を、予め設定したカートリッジ寿命予告や寿命警告のための閾値と比較させる。そして、検知残量値が閾値よりも少ない残量値となったカートリッジについては、表示部(不図示)に、そのカートリッジについての寿命予告あるいは寿命警告を表示させる。これにより使用者に、交換用のカートリッジの準備を促す、あるいはカートリッジの交換を促して、出力画像の品質を維持するようにしている。
本実施例の画像形成装置100において、カートリッジPの交換は、ユーザビリティ向上のために、カートリッジPを引き出しトレイ(移動部材)35に乗せ、フロントアクセスにより交換する方式(引き出し方式)である。
すなわち、装置本体100Aの前面側には、装置本体100Aの内部のカートリッシ収容部100BへカートリッジPを挿入させる、逆に、カートリッジPを取り出すために、カートリッジPを通過させる開口30を設けてある。
そして、図1、2のように、この開口30を閉じる閉じ位置(閉鎖位置)Aと、図3、4のように、開口30を開放する開放位置Bとの間を移動可能な本体ドア(開閉部材)31を設けてある。31aはドア31に設けた開閉用指掛け部である。即ち、本体ドア31は、開口30を閉じる閉じ位置Aと開放する開放位置Bとを取り得る。
本実施例においては、このドア31は、ドア下辺側の横軸(ヒンジ軸)32を中心に装置本体100Aに対して開閉回動可能である。すなわち、ドア31は、ヒンジ軸32を中心に立て起こし方向に回動して、図1、2のように、装置本体100Aに対して閉じ込んだ状態にすることができる。このドア31を閉じることにより開口30が閉鎖される。
また、ヒンジ軸32を中心に、ドア31を装置本体100Aの手前側にほぼ水平に倒し回動して、図3、4のように、装置本体100Aから開いた状態にすることができる。これにより、装置本体前面の開口30が大きく開放される。31aはドア31に設けた開閉用指掛け部である。
装置本体100Aは骨格となるメインフレーム(本体フレーム)を有する。そして、図13〜15、17、19、23等に示すように、そのフレームの左右の側板である左フレーム80Lと右フレーム80Rの内側には、対向させて、前後方向を長手とする左右一対のトレイ保持部材(移動手段)34L、34Rが配設されている。
トレイ保持部材34L、34Rの上には、枠型部材であるカートリッジトレイ35が、左右フレーム80L、80R間を、図4に示された移動可能位置(押し込み位置)Dと図5、6の着脱位置(引き出し位置)Eの間でスライド移動可能に保持されている。カートリッジPY、PM、PC、PKはこのトレイ35に載置されて支持されている。
ここでトレイ35は、トレイ35に載置されたカートリッジPが有するドラム1の軸線方向(カートリッジPの長手方向)とは直交(交差)する方向(垂直な方向)にスライド移動可能に設けられた移動部材である。即ち、トレイ35の移動可能位置Dと着脱位置Eとの間の移動方向が、カートリッジPの長手方向と直交する方向である。またトレイ35は移動可能位置Dと着脱位置Eとの間の移動方向において、複数のカートリッジPを並べて載置可能である。
つまり、移動部材であるトレイ35はカートリッジPを一つまたは複数支持し移動するものであり、互いに対向し装置本体100Aの骨格を成す2つの側板80L、80Rの間で移動可能である。
トレイ35は、ドア31が図1、2のように閉じ位置Aに位置している際には、各カートリッジPを画像形成動作可能な装着位置に位置付けた画像形成位置(収納位置)に位置している。本実施例においては、トレイ35の画像形成位置Cは、各カートリッジPのドラム1と中間転写ユニット12のベルト13が接触する位置である(図2)。
そして、ドア31の開き回動に連動して、トレイ保持部材34L、34Rが、後述するように、前方向と上方に所定量移動する。これにより、カートリッジPY、PM、PC、PKを支持しているトレイ35が上記の画像形成位置Cから図3、4のように前方向と上方に移動して移動可能位置Dに位置転換される。このトレイ35の移動に伴ってトレイ35に支持されている各カートリッジPのドラム1が図4のようにベルト13から離間する。ドア31とトレイ保持部材34L、34Rの連動機構は後述する。
そして、後述するように、ドア31の開き回動に連動して、各カートリッジPの電気接点55に対する装置本体100A側の給電系統75の導通が解除される(給電解除)。また、各カートリッジPの駆動入力部53、54に対する装置本体100A側の駆動出力部(本体駆動伝達部材)39、40の結合が解除された状態になる(駆動解除)。更に、各カートリッジPを位置決め固定している押圧部材42の押圧が解除される(押圧解除)。
この状態で、トレイ35を移動可能位置Dから着脱位置Eの位置に引き出す際には、図3、4のように、開かれている開口30から露呈している、トレイ前枠片35bの部分に設けた取手部(移動規制解除手段)35aを掴む。取手部35aを所定に掴むことにより、図15の(a)→(b)のように、トレイ35の飛び出し防止爪(移動規制手段)101が本体側爪掛け部(本体側係合部)102から外れる。
飛び出し防止爪101はトレイ35の一端側に設けられた規制部材である。トレイ35の着脱位置Eにおいて本体側爪掛け部102と係合してトレイ35の引き出し方向への移動を規制する規制位置Q(図26)と本体側爪掛け部102との係合を解除した解除位置Rとの間を移動可能である。トレイ35の上記取手部35aは飛び出し防止爪101を規制位置Qから解除位置Rに移動させる解除部材としても機能している。
また、トレイ押圧部材104がばね103に付勢されてトレイ35に付勢力を与えることで、トレイ引き出し方向へトレイ35が自動的に一定量押し出される。そのため、ユーザーが把手部35aを離しても飛び出し防止爪101が再度本体側爪掛け部102に係合することはない。
これにより、トレイ35は装置本体100Aの内部の移動可能位置Dから装置本体100Aの外部に引き出せる様になり、トレイ保持部材34L、34Rに対して滑走して前方向に水平にスライド移動可能となる。依って、トレイ35を、図5、6のように、開口30から装置本体100Aの外側の所定の引き出し位置、即ちトレイ35からカートリッジPを所定に着脱することができる着脱位置Eに突出している状態にすることができる
これにより、トレイ35に保持されている第1〜第4の4つカートリッジPY、PM、PC、PKの全体が開口30を通過して装置本体100Aの外側に露出し、全カートリッジPの上面が開放される。トレイ35は、移動可能位置Dから十分な所定量、引き出されると、不図示のストッパ部分によりそれ以上の引き出し移動が阻止される。またトレイ35は、所定の着脱位置Eまで水平に引き出されている状態がトレイ保持部材34L、34R、および、後述する連結アーム37L、37Rにより保たれる。
トレイ35は、着脱位置Eにおいて、個々のカートリッジPを真上(上方)に取り出し可能に支持している。また、トレイ35は、個々のカートリッジの真下(下方)に向かう移動を規制することによって支持する。そこで、交換すべき使用済みのカートリッジを、図6の破線で示した様に、トレイ35から上方に持ち上げて抜き外す。そして、新しいカートリッジをトレイ35に対して上から嵌め入れて載せる。つまり、トレイ35が装置本体100Aの外側に引き出された時、カートリッジPは装置本体100Aに対して着脱が可能である。
本実施例の画像形成装置100においては、トレイ35は、移動可能位置Dから着脱位置Eへ移動する方向において、上流側から下流側へ、カートリッジPY、PM、PC、PKをこの順番に並べて支持している。つまり、Y色、M色、C色、K色の現像剤を収納しているカートリッジPY、PM、PC、PKをこの順番に支持している。即ち、現像剤の色が互いに異なる複数のカートリッジPのうちのK色の現像剤を収納しているカートリッジPKは、トレイ35の移動可能位置Dから着脱位置Eへ移動する移動方向において最下流側に支持されている。
カートリッジPKは、他のカートリッジと比較して現像剤の消費の多い、即ち、交換頻度の高いカートリッジである。このカートリッジPKが装置本体100Aの手前側でもって、トレイ35に支持されている。従って、カートリッジPKを交換する際には、トレイ35を僅かに装置本体100Aの外側に引き出せば、カートリッジPKを装置本体100Aの外側に露出させることができる。即ち、カートリッジPKを交換する際に、ストッパによって引き出し位置を規制されるまでトレイ35を十分に引き出すことは必要ない。よって、カートリッジPKの交換操作性が向上した。
つまり、トレイ35の引き出し方向において最下流側に位置するカートリッジPKをトレイ35に対して着脱する際には、トレイ35が十分に着脱位置Eに位置していなくても良い。即ち、複数のカートリッジPはトレイ35が移動可能位置Dから着脱位置Eまで移動される間において移動方向下流側のカートリッジから順次に取り外し可能であり、着脱位置Eにおいて全てのカートリッジが取り外し可能となる。
《カートリッジ》
図7と図8はそれぞれカートリッジPの外観斜視図である。図7はカートリッジPを非駆動側から見た斜視図、図8はカートリッジPを駆動側から見た斜視図である。
カートリッジPは、ドラム1の軸線方向を左右方向とし、この左右方向を長手とする横長箱型のアセンブリである。ドラム1はカートリッジ枠体5の右側面部と左側面部に配設した軸受部51、52間に回転可能に支持させて配設してある。右軸受部51にはドラム駆動入力部(駆動連結部)としてのカップリング嵌合部53を具備させてある。また、右側面部には、現像ローラ3aを駆動するための現像駆動入力部(駆動連結部)としてのカップリング嵌合部54を具備させてある。またトレイ35に載置した時の前後方向の位置決めを行う、前後方向の仮位置決め溝59Rが配置されてある。
左側面部には、カートリッジPの左右方向の位置決め突起部57、前後方向の仮位置決め溝59L、および、カートリッジ電気接点(給電接点部)55、カートリッジアース接点(接点部材)58を配設してある。左側面部と右側面部にはカートリッジ枠体5の一部をそれぞれ左右方向に延長して張り出させて、庇部56を具備させてある。カートリッジ枠体5の上面には長手に沿って露光窓6を配設してある。
上記のカートリッジPにおいて、カップリング嵌合部53、54を具備させた右側面部が駆動側であり、その反対側の電気接点55を配設してある左側面部が非駆動側である。即ち、カートリッジPは、トレイ35に載置された状態において、トレイ35の着脱位置Eと移動可能位置Dとの間の移動方向に対してトレイ移動面において直交方向の一端側(右側)に駆動連結部53、54を有する。そして、他端側(左側)に給電接点部55を有している。
《トレイ》
図9はトレイ35の外観斜視図である。このトレイ35は、矩形の大枠部を有し、その大枠部内を3枚の仕切り板35fで前後方向に略等分に4つに仕切って、後枠35c側から前枠35b側へ順に、第1〜第4の横長小枠部35(1)〜35(4)を形成させてある。その各小枠部35(1)〜35(4)がそれぞれ第1〜第4の4つカートリッジPY、PM、PC、PKを保持させる部分である。
各カートリッジPは、トレイ35の対応する小枠部内に上から挿入され、カートリッジPの仮位置決め溝59L、59Rの斜面部がトレイ35の仮位置決め突起35gの先端の円弧部に受け止められる。また、左右側の庇部56の下面がトレイ35の左右枠35d、35eの上面に受け止められることで、トレイ35に載って支持される。即ち、トレイ35は各カートリッジPを真上(上方)に取り出し可能に支持している。また、各カートリッジPを真下(下方)に向かって移動させることによってカートリッジPはトレイ35に支持される。
トレイ35は各カートリッジPの前後方向(トレイ挿抜方向)をカートリッジPの仮位置決め溝59L、59Rの斜面部とトレイ35の仮位置決め時35gの円弧部を接触させることで位置決めしている。そして、左右方向(ドラム軸線方向)はカートリッジPのドラム軸線方向の寸法とトレイ横長小枠部35(1)〜35(4)の寸法の差だけガタをもたせラフに保持している。この構成により、カートリッジPの交換を容易にすることができる。
またトレイ35は、小型軽量化・低コスト化のため、剛性の低いプラスチックの材質(例えばABSなど)で作成されており、またトレイ35の左右側板の高さが低く構成されている。トレイ35の左右側板の高さについては、右側は後述するように駆動入力部53、54と駆動出力部39、40が結合するためのスペースを確保する必要がある。また、左側は後述するように電気接点55と長手方向の位置決め57がそれぞれ給電系統75と左フレーム80に当接するためのスペースを確保する必要がある。そのため、小型軽量化・低コスト化の観点に加え、装置本体構成の観点からも高さを低くするのが妥当である。
以上の理由からトレイ35の材質、形状が決定されトレイ35の剛性が低くなるため、トレイ35の剛性を確保するためにトレイ35の左右側板部の下にトレイ補強板(トレイ35の強度を補強するための補強部材)351L、351Rを取り付けている。
これにより、たとえばトレイ35が着脱位置Eに位置しユーザーがカートリッジPを交換する際に誤ってトレイ35に強い力をかけてしまってもトレイ35の破損を防ぐことができる。強い力とは、たとえば、必要以上の力でカートリッジPを挿抜させる、意図せずぶつかるなどである。また、本構成では補強板351L、351Rは厚み1mm前後の鋼板を想定しているが、トレイ35より剛性の高いプラスチック材料などでもよい。
また、トレイ35にカートリッジPをセットするとドラム1のアース確保のためのカートリッジ側アース接点58(図7)とトレイ側アース接点352(導通部材:図9)が接触し導通する。アース経路に関しては後述する。
トレイ35の左右枠35d、35eの下面は、補強板351L,351Rを介し、それぞれ左右のトレイ保持部材34L、34Rの上面に載って支持される。これにより、トレイ35は、左右のフレーム80L、80Rの内側間に支持されるとともに、トレイ保持部材34L、34Rの上面を滑走してトレイ保持部材34L、34Rに対して前後方向に水平にスライド移動可能である。
図5、6の様に、トレイ35を着脱位置Eに引き出して、トレイ35に保持されているカートリッジPのうち交換すべきカートリッジについて交換する。交換したら、トレイ35を逆に十分に押し込み移動させて装置本体100Aの内部に収納し、図3、4の引き出し前の状態に戻す。このとき、トレイ35を右側トレイ押圧手段103(図15)および、左側トレイ押圧手段105によって後方側から前方側に付勢することで、ユーザーがトレイ35を所定の位置まで十分に押し戻す操作を確実に誘導することが可能である。これについては後述する。
トレイ35が所定の位置まで十分に押し戻されると、トレイ35の飛び出し防止爪(移動規制手段)101が本体側爪掛け部(本体側係合部)102に係合する(図15の(b)→(a))。これにより、トレイ35は着脱位置Eから装置本体100Aの内部の移動可能位置Dに押し戻されてその位置に位置規制される。この飛び出し防止爪101およびトレイ押圧手段103は本体側板80Rからドラム軸線方向略同一の距離に配置され、トレイ引き出し方向の上流側にトレイ押圧手段103、下流側に飛び出し防止爪101が補強板351Rを挟むように配置される。
そして、開かれているドア31を図1、2の様に閉じることで、画像形成装置100は画像形成可能な状態となる。即ち、ドア31の開放位置Bから閉じ位置Aへの閉じ回動に連動して、トレイ保持部材34L、34Rが後方向と下方に所定量移動することで、トレイ35は移動可能位置Dから画像形成位置Cへ移動する。
また、トレイ保持部材34L、34Rが下方向に移動する前に、本体側板80L近傍に配置され、飛び出し防止爪101の左右方向略対向位置に配置された左側のトレイ移動規制手段(ロック部材)106がドア31の閉じ動作と連動して突出する。そして、トレイ35と接触する。このトレイ移動規制手段106は、左側トレイ押圧手段105によって装置本体前方向に付勢されているトレイ35を押し戻す形で所定の位置にトレイ35を規制する。これにより、トレイ35に支持されている各カートリッジPは装置本体100Aの内部のカートリッジ収容部100Bにおける各対応の装着位置に位置する。
トレイ押圧手段105とトレイ移動規制手段106は、本体側板80Lからドラム軸線方向略同一の距離に配置され、トレイ引き出し方向の上流側にトレイ押圧手段105、下流側にトレイ移動規制手段106が補強板351Rを挟むように配置される。
そして、このドア31の閉じ回動に連動して、各カートリッジPの駆動入力部53、54に対して装置本体100A側の駆動出力部39、40が結合する。このとき、各カートリッジPは駆動出力部39、40から押圧力を受けて、被駆動側(左側)に片寄せされ、各カートリッジPの左右方向の位置決め突起部57が左フレーム80Lに突き当たり左右方向の位置決めがなされる。
次に、各カートリッジPは押圧部材42(図22)により押圧されて所定の位置決め部41に固定された状態に保持される。さらに、各カートリッジPの電気接点55に対して装置本体100A側の給電系統75(図17)が接触して導通化する。上記のドア31の閉じ回動に連動する一連の動作に関しては後述する。
《ドアとトレイ保持部材の連動機構》
ドア31とトレイ保持部材34L、34Rの連動機構について、図10〜12、17、19、22を用いて説明する。
図10は、ドア31とトレイ保持部材34L、34Rの連動機構部分の斜視図であり、説明の便宜上、装置本体100Aの左右フレーム80L、80Rを不図示としている。ドア31のヒンジ部32L、32Rは、装置本体100Aに対して左右方向に水平に同軸線上に配列されていて、その左右両端部は装置本体100Aの左右に設けられた不図示の軸受け部材間に回転可能に軸受され保持されている。軸受け部材は左右フレーム80L、80R(図17)であってもよい。
また、ドア31の左右両端部寄りには、それぞれ、連結アーム37L、37Rを配設してある。連結アーム37L、37Rのヒンジ部38L、38Rは、装置本体100Aに対して左右方向に水平に同軸線上に配列され、それぞれ、装置本体左右に設けられた不図示の軸受け部材に対して回動可能に保持されている。軸受け部材は左右フレーム80L、80Rであってもよい。
また、左フレーム80L(図17)の外側と、右フレーム80R(図19)の外側には、前後方向を長手とする左右一対の連結ロッド201L、201Rが配設されている。連結ロッド201L、201Rは、それぞれ、装置本体左右に設けられた不図示のガイド部材によって、前後方向にのみ移動可能に支持されている。
連結アーム37L、37Rにはそれぞれ横向き軸37a、37bを具備させてある。そして、左側の連結アーム37Lの横向き軸37aは左側の連結ロッド201Lの前側に具備させた縦長孔201Aに嵌入して係合させてある。横向き軸37bはドア31の左側面部に設けられた溝31Bに嵌入して係合させてある。また、右側の連結アーム37Rの横向き軸37aは右側の連結ロッド201Rの前側に具備された縦長孔201Aに嵌入して係合させてある。横向き軸37bはドア31の右側面部に設けられた溝31Bに嵌入して係合させてある。
また、左右のトレイ保持部材34L、34Rは、それぞれ、前後に間隔を開けて植設した2本のピン軸34c、34dを、装置本体100Aの左右フレーム80L、80Rのそれぞれに設けたガイド穴36(図11)に係合させてある。このピン軸34c、34dとカイド穴36の係合により、トレイ保持部材34L、34Rはそれぞれ左右フレーム80L、80Rに支持される。
そして、左側のトレイ保持部材34Lのピン軸34cは、ガイド穴36を貫通し、左側の連結ロッド201Lに具備させた縦長孔201Bに嵌入して係合させてある。また、右側のトレイ保持部材34Rについては不図示であるけれども、右側のトレイ保持部材34Rのピン軸34cは、ガイド穴36を貫通し、右側の連結ロッド201Rに具備させた縦長孔201Bに嵌入して係合させてある。
この様に、ドア31とトレイ保持部材34L、34Rは、連結アーム37L、37R、連結ロッド201L、201Rを介して連結してある。これにより、ドア31が開閉されると、左右のトレイ保持部材34L、34Rには前後方向への移動力が作用することになる。このとき連結アーム37L、37Rのヒンジ部38L、38Rはドア31のヒンジ部32L、32Rと同軸上にあってもよい。さらに、連結アーム37L、37Rを設けず、ドア31と連結ロッド201L、201Rを直接連結してもよい。
図11は、左側のトレイ保持部材34Lについての2本のピン軸34c、34dとカイド穴36を示している。右側のトレイ保持部材34Rについては不図示であるけれども、左側のトレイ保持部材34Lと同様であり、そのピン軸34c、34dとカイド穴36は左側のトレイ保持部材34Lと対称に構成されている。従って、左右のトレイ保持部材34L、34Rは、それぞれ、カイド穴36のガイド範囲において左フレーム80Lと右フレーム80Rに対して移動する自由度がある。
図12はカイド穴36部分の拡大図である。いずれのガイド穴36も、前後方向で水平な第1ガイド領域36aと、この第1ガイド領域36aのピン軸前進方向に連設した、昇り傾斜の第2ガイド領域36bを有している。また、第2ガイド領域36bの頂上部に連設した、ピン軸34c、34dを受け止めて安定に保持する第3ガイド領域36cを有している。
ピン軸34c、34d、即ち左右のトレイ保持部材34L、34Rは、ドア31の開き回動に連動して次のように移動する。即ち、第1ガイド領域36aにより水平方向に距離a1移動した後、第2ガイド領域36bにより斜め上方(水平方向に距離a2、垂直方向に距離b1)移動する。そして、最後に第3ガイド領域36cにより水平方向に距離a3移動する。
図11(a)は、ドア31が閉じ位置Aに位置していて装置本体100A(開口30)に対して十分に閉められている状態時を示している。この状態においては、左右のトレイ保持部材34L、34Rは、連結アーム37L、37R、連結ロッド201L、201Rを介して装置本体100A内の後方向へ移動されている。ピン軸34c、34dはカイド穴36の第1ガイド領域36aの後端部に位置している。
そのために、左右のトレイ保持部材34L、34Rは、それぞれ、左フレーム80Lと右フレーム80Rとに対して所定の下げ位置(第二の位置)に保持されている。従って、トレイ保持部材34L、34Rに保持させてあるトレイ35も所定の下げ位置、即ち画像形成位置C(図2)に保持されている。
このときトレイ35は、図15(a)に示したように、トレイ右側板近傍で後方から右側トレイ押圧手段104に付勢され、前方で飛び出し防止爪101が本体フレーム80Rに配置された本体側爪掛け部102に係合している。またトレイ左側板近傍で後方から左側トレイ押圧手段105により付勢され、前方で左側トレイ移動規制部材106が係合している。これによりトレイの左右それぞれが本体に対し精度よく位置決めされている。
また、押圧個所や位置決めを行っている個所がそれぞれ座屈変形に抗する剛性を補強板351L、351Rで得られているトレイ側板付近であるため、トレイは変形をせずに精度よく所定の位置にセットされる。これにより、トレイの前後方向位置はたわみの影響を受けず安定して位置決めすることができる。
トレイ35が画像形成位置Cに保持されることで、トレイ35に保持されている各カートリッジPY、PM、PC、PKは、それぞれ、カートリッジ収容部100Bにおいて画像形成動作可能な装着位置に位置している。そして、各カートリッジPの左右側の上面部分が押圧部材42(図22)により押圧されている。これにより、駆動側の軸受部51と非駆動側の軸受部52との下面部分が、装置本体100A側の左右の位置決め部材81L、81Rに設けられた位置決め部41(図13、17、22)に押圧されて固定される。
また、カートリッジPに設けられた回転止め溝561(図22)に対し側板80にかしめられた回転止めピン801(図13、14、17、19、22)が嵌合し、軸受部51および52を回転中心とする回転動作を規制する。即ち、各カートリッジPが装置本体100Aに対して所定の位置決め状態に保持される。
仮に、トレイ35の前後方向の位置がガタをもって配置されていたり、あるいは押圧手段104、105の付勢力などにより変形したりしていた場合を考える。このような場合は、図22(c)、(d)に示したように、軸受51および52と位置決め部41の接触や、回転止め溝561と回転止めピン801の嵌合がなされず、カートリッジPが所定の位置にセットされず印字することができない。よって、トレイ35は前述の通り剛性のある個所で精度よく位置決めする必要がある。
この状態において、各カートリッジPのドラム下面がベルトユニット12のベルト13の上方側ベルト部分の上面に対して安定に接している(図2)。このとき各カートリッジPのカップリング嵌合部53、54には、それぞれ、装置本体100A側のドラム駆動カップリング39と現像駆動カップリング40が嵌入している状態にある。また各カートリッジPの電気接点55に対しては、それぞれ、装置本体100A側から給電を行うことが可能な状態にある。
図11(b)はドア31を途中まで開いた状態を示している。図11(a)のドア閉じ状態からドア31が開かれていくと、これに連動して、左右のトレイ保持部材34L、34Rは装置本体100A内を前方向に引かれる。これにより、トレイ保持部材34L、34Rは、ピン軸34c、34dが、ガイド穴36の第1ガイド領域36aでガイドされて、先ず水平方向に距離a1前方向に移動する。図11(b)はこの状態時を示している。
このトレイ保持部材34L、34Rの距離a1の移動過程において、まず、各カートリッジPの電気接点55と装置本体100A側の給電系統75との電気的接続が解除される。次に、各カートリッジPの押圧部材42による押圧位置決めも解除される。さらに、各カートリッジPに対するドラム駆動カップリング39と、現像駆動カップリング40が解除される。このとき、トレイ35がトレイ保持部材34L、34Rの動きに追従しないように、装置本体右側では飛び出し防止爪101が本体側爪掛け部102に係合し、本体左側ではトレイ移動規制部材106がトレイ35と当接し位置決めされている。
ドア31の引き続く開き回動に連動して、トレイ保持部材34L、34Rは更に装置本体100A内を前方向に引かれる。これにより、トレイ保持部材34L、34Rは、ピン軸34c、34dがガイド穴36の第2ガイド領域36bでガイドされて、斜め上方に移動していく。このとき、トレイ35は前述の通り前後に位置決めされているため、トレイ35が水平方向に移動することはなく、トレイ35はトレイ保持部材34L、34Rの垂直方向の移動にのみ追従する。これにより、カートリッジPが有するドラム1と装置本体100A側のベルト13が離間する(図4)。
図11(c)は、ドア31が十分に開かれた状態を示している。この状態においては、トレイ保持部材34L、34Rは第2ガイド領域36bによる斜め上方移動を終えて、ピン軸34c、34dが水平の第3ガイド領域36cに位置している。即ち、トレイ保持部材34L、34Rは斜め上方に移動した後に水平方向に移動する。
これは、その後、トレイ保持部材34L、34Rからトレイ35を引き出してカートリッジPを交換する際に、カートリッジPやトレイ保持部材34L、34Rの高さ方向の位置を安定させるためである。また、トレイ保持部材34L、34Rが元に戻ろうとする動きを防止するためである。
また、図11(b)から(c)に遷移する過程において、トレイ保持部材34L、34Rが斜め上方移動を終え、ピン軸34c、34dが水平の第3ガイド領域36cを滑走しているとき、トレイ移動規制部材106が側板80Lの外側へ退避する。これにより、トレイ35の左側の位置の規制が解除される。
上記のようにトレイ保持部材34L、34Rは斜め上方に移動した後に水平方向に移動することで、それぞれ、左フレーム80Lと右フレーム80Rとに対して所定の上げ位置(第一の位置)に保持される。従って、トレイ保持部材34L、34Rに保持させてあるトレイ35も所定の上げ位置、即ち画像形成位置C(図2)から移動可能位置D(図4)に位置転換されて保持される。
この状態において、トレイ35は、位置規制が解除されることで、トレイ保持部材34L、34Rに対して前後方向に水平にスライド移動可能となる。即ち、トレイ35は、カートリッジPを交換可能な着脱位置EとカートリッジPを装置本体100Aの内側に装着するための移動可能位置Dとの間をスライド移動させることが可能となる。
トレイ35を装置本体100Aの内部から引き出す際、トレイ35上に載置されているカートリッジPの左右方向の位置決め突起部57は左フレーム80Lの内側を水平に移動していく。そのため、左フレーム80L上の位置決め突起部57が通過する軌跡領域は、穴や凹凸形状のない平面であることが望ましい。
即ち、左フレーム80L上に必要な穴を位置決め突起部57が通過する軌跡領域には配置しないことで、位置決め突起部57の傷や削れを防止し、スムーズにトレイ35を引き出すことが出来る。穴とは、たとえば、本体電気接点ばね75(図17)が通る穴や、トレイ保持部材34のガイド穴36などである。
図17および図19はカートリッジPの交換が可能な着脱位置Eにトレイ35を引き出した状態を示す斜視図である。このとき、装置本体100Aから大きく飛び出した位置にあるトレイ35を連結アーム37L、37Rの支持部121L、121Rによって支えている。これにより、トレイ35の装置本体100Aの手前側がトレイ35及びカートリッジPの自重によって下方に大きく撓んでドラム1の表面が傷付くことを防ぐことができる。また、トレイ35の引き出しによって装置本体100Aの重量バランスが崩れて前方へ転倒することを防ぐことができる。
連結アーム37L、37Rはドア31と連動して回動する。そのため、連結アーム37L、37Rの支持部121L、121Rを、ドア31の閉鎖時には装置本体100Aの内部に位置し、ドア31の開放時には装置本体100Aの外部に位置するように設けることが可能である。これにより装置本体100Aのサイズをアップすることなく、トレイ35を着脱位置Eにおいて安定に保持し、カートリッジ交換時のユーザビリティを向上することができる。
このとき、トレイ35を着脱位置Eにおいて支持する支持部121L、121Rの形状および支点の数は、図17および図19に示した通りでなくてもよい。また、ドア31にトレイ35の支持部(引き出されたトレイ35を支持する部分)が一体に設けられていてもよい。
《トレイ位置規制手段》
トレイ位置規制手段について、図13〜16、26を用いて説明する。図13は、トレイ35を装置本体100Aの外側の着脱位置Eから装置本体100Aの内側の移動可能位置D(図4)まで十分に収納した状態を示す図である。図14は、トレイ35が移動可能位置Dまで十分には収納されていない状態を示す図である。図15はトレイ35を移動可能位置Dまで十分に収納させることを誘導する移動規制手段の動作説明図である。
トレイ35が十分には押し込まれていない図14の状態においては、ドア31の閉じ回動に連動して連結アーム37L、37Rが回動する際、図16(a)のように連結アーム37L、37Rの支持部121L、121Rがトレイ35下面に突き当たる。そのため、ドア31を閉めてトレイ保持部材34L、34Rを装置本体100Aの後方下側へ押し下げることができない。
これに対し、トレイ35を十分に押し込んだ図13の状態においては、ドア31の閉じ回動に連動して連結アーム37L、37Rが回動する時、図16(b)のように連結アーム37L、37Rの支持部121L、121Rはトレイ35に干渉しない。そのため、ドア31を閉めてトレイ保持部材34R、34L及びトレイ35を押し下げることができる。
トレイ35は図15に示した様に、右側は後方から押圧部材104を介してばね103によって付勢されており、左側はトレイ押圧手段105により付勢されている。その為、ユーザーがトレイ35を十分に押し込まなかった場合には、ばね103およびトレイ押圧手段105のストローク量に応じて図15(b)の様に一定量以上飛び出した状態となる。このときトレイ35の位置は、図14及び図16(a)の状態となる。
従って、ユーザーがトレイ35を移動可能位置Dまで十分に収納せずに、誤ってドア31を閉じようとした場合には、確実に連結アーム37L、37Rの支持部121L、121Rがトレイ35に干渉して、間違いの修正を促すことが可能である。
これに対し、トレイ35を移動可能位置Dまで十分に押し込んだ図13及び図16(b)の状態では、飛び出し防止爪101が本体側係合手段102に係合する。そのため、移動可能位置Dまで十分に押し込んだトレイ35を、図15(a)のように、装置本体100A内に保持することが可能である。このときトレイ35は飛び出し防止爪101がある側(右側)は精度よく位置決めされているが、対向側(左側)はトレイ押圧手段105により後方から押圧されていることから、変形や寸法公差などによる位置の誤差が発生している可能性がある。
トレイ35を移動可能位置Dにセットした後、ユーザーは前ドア31を閉じる。ドア31を閉める動作に伴い、連結ロッド201Lが前後方向にスライド移動する。この動作に伴いトレイ移動規制部材106の端部が連結ロッド201Lと接触して回動し、所定の位置で固定され、押圧手段105に付勢されるトレイ35に接触し位置を規制する。これにより、左側に関してもトレイ35の強度や寸法公差による位置のずれを抑え、精度よく位置決めすることができる。
その後、引き続きドア31を閉めていくと、トレイ保持部材34L、34Rが下にさがるのに伴いトレイ35およびトレイ35に載置されたカートリッジPも下にさがる。この動作により、図22(a)のようにカートリッジPの軸受部51、52が位置決め部41に保持され、カートリッジPの回転止め溝561は回転止めピン801に嵌合することで、カートリッジPは装置本体Aに精度よく位置決めされる。
トレイ35の前後方向が前述のように左右とも精度よく装置本体100Aに位置決めされていることで、カートリッジPは左右とも図22(c)、(d)のように各位置決め機構から脱落することなく、図22(a)のように正規の位置にセットされる。
トレイ35の剛性と押圧する個所・位置規制する個所について説明を加える。トレイ35を移動可能位置Dから引き出し方向へ付勢する、飛び出し防止爪101よりも引き出し方向の上流側に設けられた少なくとも一つの押圧手段(付勢部材)104、105を有する。この押圧手段104、105は飛び出し防止爪101が規制位置Qにあるときトレイ35に対して他端側が一端側より引き出し方向の下流側へ飛び出す方向の回転力を与える合力をもつ。
仮にトレイ押圧手段104がトレイ35の左右方向の中心付近を付勢していたとすると、トレイ後枠35cあるいは仕切り板35fは左右側板間の両持ち梁の中央部に荷重をかけられていることとなる。そのために、トレイ35に変形が生じ、カートリッジPの位置がずれる可能性がある。
そのため、トレイ押圧手段はトレイ35の左右方向端部付近に配置するのがよい。また、トレイ35を挿抜することから、トレイ35の挿抜軌跡上にない装置本体100Aの後側がトレイ押圧手段104の配置の自由度が高いため、後側に配置するのが妥当である。同様に、トレイ35の位置を規制する飛び出し防止爪101の左右方向配置に関しても、左右方向端部付近が望ましい。また前後方向に関しては、トレイ挿抜時に側板80などに摺擦する範囲を減らす目的で装置本体100Aの前側が望ましい。
一方、トレイ35は小型軽量化・低コスト化のために剛性が低くなっている。その補強のため補強板351L,351Rをトレイ35の左右側板下側に配置されている。前述のように、トレイ左右側板のトレイ端部付近後方に右側トレイ押圧手段104および左側トレイ押圧手段105、前方に飛び出し防止爪101およびトレイ移動規制部材106が載置されている。これらの部材から受ける力による座屈変形を板金で受けることで変形を防止することができる。
また、位置規制部材101、106と押圧部材104、105を左右にそれぞれ設けることで、左右独立に位置決めできる。そのため、トレイ35の寸法公差や変形による左右の位置ずれを考慮せずに精度よくトレイ35を装置本体100Aに位置決めすることが可能である。
トレイ35の位置決め手段の左右の構成について説明を加える。仮にトレイ35の左右を精度よく位置決めする手段として両方とも飛び出し防止爪101を用いるとすると、寸法公差およびトレイ35のたわみ等により、片側のみ本体側係合手段102と係合し対向側が係合しない片じまり状態が発生しうる。
この状態では、トレイ35の飛び出し量が足りないため、トレイ35が所定の位置にないにもかかわらず、図16(b)のようにトレイ35と連結アーム37が干渉せずにドア31を閉じることができ得る。よって、カートリッジPが正規の位置にセットされず印字ができなくなる可能性がある。
また、仮にトレイ35の左右を精度よく位置決めする手段として両方ともトレイ移動規制部材106を用いるとする。この場合は、ユーザーはトレイ35を移動可能位置Dまで押し込んだとしてもロックがかからず、ドア31を一定角度閉じてトレイ移動規制部材106がトレイ35を支える位置にくるまでトレイ35を支えておく必要があり、ユーザビリティ上良くない。
よって、トレイ35の位置決め手段は上記のような機構であることが望ましい。即ち、片側が飛び出し防止爪101のようなユーザーによるトレイ35の挿抜動作でロックがかかる方式であり、トレイ35の片側が位置決めされたのちに別手段で位置決めする対向側がトレイ移動規制部材106のような機構であることが望ましい。
なお、本実施例においてはトレイ35側に飛び出し防止爪101を設け装置本体100A側に本体側爪掛け部102を設けた構成を挙げたが、装置本体100A側から飛び出し防止爪が突出し、トレイ35側に爪掛け部がある構成などであってもよい。また、トレイ移動規制部材106はドア31と連動する構成をとっているが、たとえばトレイ35をセットしたことを検知しアクチュエータが動作しロックする構成などであってもよい。また、それぞれの個数および形状もこの実施例に示した通りでなくてもよい。
ドラム1のアース経路について説明を加える。図27は左側トレイ押圧手段105からカートリッジアース接点58までの導通を示した図である。カートリッジPはトレイ35にセットされる際にカートリッジ側アース接点(接点部材)58とトレイアース接点(導通部材)352が接触し導通する。トレイアース接点352は、鋼板で構成される導電性を有する補強板351Lと常時当接しており、導通している。
トレイ35が装置本体100Aにセットされ、移動可能位置Dに挿入されると、鋼線で構成された導電性を有するコイルばねのトレイ押圧手段105と補強板351Lが接し、導通する。トレイ押圧手段105は側板80Lと導通している。補強板351Lは、トレイ35が移動可能位置Dから画像形成位置Cに遷移しても脱落しない程度に上下方向に十分長い掛かり量をトレイ押圧手段105に対し持っている。以上のようにカートリッジPのアースが確保される。
即ち、本実施例では、付勢部材であるコイルばね105は導電性を有する。トレイ35には移動可能位置Dにおいて導電性のコイルばね105と電気的に接続する導通部材としてのトレイアース接点352が設けられている。このトレイアース接点352はカートリッジPがトレイ35に装着された際に、カートリッジPの設けられた接点部材であるカートリッジ側アース接点58と電気的に接続する。そして、補強板351Lが導電性を有し上記の導通部材を兼ねている。
ここで、本実施例ではアース経路に補強板351Lを用いたが、補強板351Lを非導電部材とし、別途鋼線などで導通経路を設け、押圧手段105と導通させてもよい。
図26は本実施例における飛び出し防止爪101と本体側係合手段102の形態を示している。飛び出し防止爪101はトレイ35の前枠35bの右側面35bRの設けられた穴部35bHから、可動の取手部35aの動作に連動して出没する出入りする爪部材である。本体側係合手段102は装置本体100Aの右フレーム80Rに設けられた縦長穴である。トレイ35側の爪101が穴部35bHから突出して本体側係合手段としての長穴102に係合することで、トレイ35が移動可能位置Dに位置を決めされる。爪101が穴部35bHに引っ込むことで長穴102との係合が外れる。
これにより、トレイ35は、飛び出し防止爪101と本体側係合手段102とが係合している状態において、移動可能位置Dから画像形成位置Cへの位置転換、及び、画像形成位置Cから移動可能位置Dへの位置転換が可能である。
トレイ35は移動可能位置Dに位置している状態においては、飛び出し防止爪101が本体側係合手段102に係合している。これにより、トレイ35は移動可能位置Dに係止されて移動規制されている。
この状態において、取手部35aが手前に引かれると、飛び出し防止爪101が穴部35bHに引っ込むことで本体側係合手段102との係合が外れる。これにより、トレイ35は移動規制が解除され、押圧部材104を介してばね103の付勢力で前方に少し押し出された状態になる。ユーザーは引き続いて取手部35aを引いてトレイ35を着脱位置Eにスライド移動させることが出来る。
また、逆に、トレイ35を着脱位置Eから装置本体100A内に押し動かしていく。トレイ35が移動可能位置Dに到達する少し時点においてトレイ35の後枠35cが押圧部材104に当接する。その押圧部材104のばね103による付勢力に抗してきトレイ35を引き続き押し込み移動すると、トレイ35が移動可能位置Dに到達したとき飛び出し防止爪101が本体側係合手段102に係合する。これにより、トレイ35は移動可能位置Dに係止されて移動規制される。
《インターフェイス部》
各カートリッジPと装置本体100Aのインターフェイス部の構成、即ち、給電構成、押圧部材の構成、駆動カップリング部材の構成、について説明する。
(給電構成)
図17、18は、装置本体100Aから各カートリッジPに給電を行う方法を説明する図である。装置本体100A内の左側(非駆動側:他端側)には、各カートリッジPの電気接点(給電接点部)55に給電するために、給電部材(電気接点ユニット)である本体電気接点ばね75(75a、75b、75c、75d)がそれぞれ設けられている。
図17の(a)は、ドア31を開け、トレイ35を着脱位置Eに引き出した状態を左側から見た斜視図である。トレイ35には各カートリッジPが装置本体100Aの水平方向に沿って支持されている。その各カートリッジPの左側の側面にはそれぞれ垂直方向に同じ位置にカートリッジPの電気接点55が設けられている。
装置本体100Aの左フレーム80Lの外側に設けられた本体側給電部74と電気的に接続された本体電気接点ばね75a〜75dが装置本体100Aの水平方向に沿って、また垂直方向に同じ位置に複数個並んで設けられている。図17の(b)は、1つの本体電気接点ばね75近傍の拡大図であり、(c)は、それを左フレーム80Lの内側から見た斜視図である。
本体電気接点ばね75a〜75dは、それぞれ、一端は本体側給電部74と電気的に接続している。その他端を本体電気接点ばねホルダ76に抱えられ、カートリッジ電気接点当接部77が、本体電気接点ばねホルダ76に開けられた穴部76dを通ってカートリッジP側に飛び出している。
本体電気接点ばねホルダ76の左右両端部76a、76bは装置本体100Aに設けられた不図示の軸受け部材間に回転可能に軸受され保持されている。本体電気接点ばねホルダ76は本体電気接点ばね75の付勢力によって、カートリッジ電気接点当接部77がカートリッジに当接する側に回転しようとする。このとき、本体電気接点ばねホルダ76の軸部76cは、連結ロッド201Lのカム面201Dによって、その回転を規制される。
図18の(a)、(b)は、カートリッジPの電気接点55と本体電気接点ばね75の電気的接続と切断の様子を示したものである。即ち、それぞれ、カートリッジPの電気接点55、本体電気接点ばね75、本体電気接点ばねホルダ76、本体側給電部74、連結ロッド201Lを、装置本体上面から見た断面図の一部である。
図18の(a)は、ドア31が閉められた状態で、トレイ35の画像形成位置Cへの下降移動により、各カートリッジPが画像形成動作可能な装着位置に下降している状態を示している。このとき、本体電気接点ばね75のカートリッジ電気接点当接部77は、左フレーム80Lに開けられた穴を通ってカートリッジP側に飛び出し、カートリッジPの電気接点55に接触している。
即ち、本体電気接点ばね75は、ドア31が閉じ位置Aに位置する際に、カートリッジPの電気接点55に対して給電し得る給電位置Jに位置して、本体電気接点ばね75とカートリッジPの電気接点55は電気的に接続されている。
図18の(b)は、ドア31が開けられた状態で、トレイ35の画像形成位置Cから移動可能位置Dへの上昇移動により、各カートリッジPが画像形成動作可能な装着位置からから上昇した位置にいる状態を示している。ドア31の開き回動に連動して、連結ロッド201Lが本体前方に移動すると、カム面201Dによって、本体電気接点ばねホルダ76は本体電気接点ばね75をカートリッジPの電気接点55から離間させる方向に回動する。
即ち、本体電気接点ばね75は、ドア31が開放位置Bに位置する際に、カートリッジPの電気接点55から離間する離間位置Kに位置して、本体電気接点ばね75とカートリッジPの電気接点55は電気的に切断された状態になる。
また、このとき、カートリッジ電気接点当接部77は、左フレーム80Lに開けられた穴よりも装置本体の外側に退避している。これにより、本体電気接点ばね75と接触することなく、トレイ35を引き出すことが可能である。
連結ロッド201Lのカム面201Dは、ストレート部201e、201gと、斜面部201fから形成される。これにより、本体電気接点ばね75は、ドア31が装置本体100Aに対して十分に閉められている状態(閉じ位置A)では、カートリッジPの電気接点55に当接した状態(給電位置J)を維持する。また、ドア31が十分に開かれている状態(開放位置B)では、カートリッジPの電気接点55から離間した状態(離間位置K)を維持する。
このとき、電気接点ばねホルダ76の回動によって生じる本体電気接点ばね75のストローク量、即ち、ドア閉時のカートリッジ電気接点55に接する給電位置Jからドア開時の離間位置Kまでのストローク量については次のことが言える。
即ち、このストロークは、寸法ばらつき範囲の限界的な条件下であっても、トレイ35の引き出し時にカートリッジ電気接点55と接触せず、ドア閉時にカートリッジ電気接点55と電気的に接続するのに十分な値である必要がある。このストローク量を大きくするほど寸法ばらつきに対するマージンが増えるが、同時に、ドア31開き時に本体電気接点ばね75を圧縮する量が増えるため、ドア31を開くユーザー操作力の増大に繋がる。そのため、可能な限り本体電気接点ばね75のストローク量を減らす、即ち、関連する部品同士の位置精度を保証することが重要である。
本実施例においては、前述のとおり、各カートリッジPの左右方向の位置決め突起部57を左フレーム80Lに突き当てて、各カートリッジPの左右方向の位置を決めている。そのため、本体電気接点ばねホルダ76の軸部や連結ロッド201Lの左右方向の位置決めも左フレーム80Lに突き当てて行うことで、カートリッジ電気接点55から本体電気接点ばね75までの寸法ばらつきを低減することができる。つまり、本体電気接点ばね75のストローク量を低減し、ドア31を開閉する際のユーザー操作力を低減させることが出来る。
上述した図17、18では、各カートリッジPの1箇所の被給電部である電気接点55に対して1つの本体電気接点ばね75を用いて給電を行う方法を示している。しかし、各カートリッジPに複数の被給電部がある場合も同様に構成可能である。その場合、一つの本体電気接点ばねホルダ76が複数の本体電気接点ばね75を抱える構成であっても、また、一つのカートリッジPに対して複数の本体電気接点ばねホルダ76が設けられた構成であってもよい。
上述した図17、18では、本体電気接点ばねホルダ76の左右両端部76a、76bが軸受け部材間に回転可能に軸受され保持されている。そして、本体電気接点ばねホルダ76の回転移動によって、本体電気接点ばね75をカートリッジPの電気接点55に対して当接または離間させる構成を示している。しかし、本体電気接点ばねホルダ76は、後述する駆動カップリング部材の構成と同様に、本体左右方向に水平に移動して本体電気接点ばね75をカートリッジPの電気接点55に対して当接または離間させる構成であってもよい。
(押圧部材の構成)
図13、14、17、19のように、装置本体100A内の右側と左側の両側には、それぞれ、左右の位置決め部材81L、81Rが設けられている。この左右の位置決め部材81L、81Rには、それぞれ、各カートリッジPの駆動側の軸受部51と非駆動側の軸受部52の下面部分を受け止める位置決め部41が設けられている。そして、装置本体100A内の右側と左側の両側には、各カートリッジPの駆動側の軸受部51と非駆動側の軸受部52を各対応する位置決め部41に嵌合させて固定するために、各カートリッジPの左右側上面をそれぞれ押圧する押圧部材42が設けられている。
図23は、ドア31を閉めた状態を左側から見た斜視図である。図19は、ドア31を開け、トレイ35を引き出した図17の状態を右側から見た斜視図である。図20は、押圧機構の構成を示す部分斜視図である。
図17、19、23に示したように、左右フレーム80L、80Rの両外側には、それぞれ、押圧部材ロッド46L、46Rが設けられている。また、連結ロッド201L、201Rと押圧部材ロッド46L、46Rをそれぞれ連動させるためのロッドリンク部材202L、202Rが設けられている。
左右の押圧部材ロッド46L、46Rは、それぞれ、前後に間隔を開けて植設した2つの横長孔46Aを、装置本体100Aの左右フレーム80L、80Rのそれぞれに設けたピン軸47に係合させてある。このピン軸47と横長孔46Aの係合により、押圧部材ロッド46L、46Rはそれぞれ左右フレーム80L、80Rに対して、前後方向に移動可能に支持される。
左右のロッドリンク部材202L、202Rは、装置本体100Aの左右フレーム80L、80Rのそれぞれに設けたリンク回転軸83に対して回動可能に保持されている。ロッドリンク部材202L、202Rにはそれぞれ横向き軸202a、202bを具備させてある。
そして、左側のロッドリンク部材202Lの横向き軸202aは左側の連結ロッド201Lに具備させた縦長孔201Bに嵌入して係合させてあり、横向き軸202bは左側の押圧部材ロッド46Lに設けられた縦長孔46Bに嵌入して係合させてある。
同様に、右側のロッドリンク部材202Rの横向き軸202aは左側の連結ロッド201Rに具備させた縦長孔201Bに嵌入して係合させてあり、横向き軸202bは左側の押圧部材ロッド46Rに設けられた縦長孔46Bに嵌入して係合させてある。
これにより、連結ロッド201L、201Rの前後方向の移動に連動して、ロッドリンク部材202L、202Rを介して、押圧部材ロッド46L、46Rが前後方向に移動する。つまり、ドア31の開閉回動に連動して、押圧部材ロッド46L、46Rが前後方向に移動する。
ドア31が閉められた状態(図23)から、ドア31が開かれると(図17)、前述のように連結ロッド201L、201Rは装置本体100Aの前側に移動する。このとき、ロッドリンク部材202L、202Rを介して、押圧部材ロッド46L、46Rは装置本体100Aの後ろ側に移動する。逆にドア31が開かれた状態(図17)から、ドア31が閉められると(図23)、連結ロッド201L、201Rは装置本体100Aの後ろ側に移動する。そして、ロッドリンク部材202L、202Rを介して、押圧部材ロッド46L、46Rは装置本体100Aの前側に移動する。
また、それぞれの押圧部材42は、左右フレーム80L、80Rの両方の内側にそれぞれ設けられた押圧部材ホルダ44L、44Rに対して装置本体100Aの上下方向に移動可能に設けられている。そして、押圧バネ43によって、それぞれのカートリッジPの左右側上面を押圧する方向に付勢されている。
図20に示したように、左右の押圧部材ホルダ44L、44Rは、それぞれ、前後方向の中央部に設けたピン軸44aを、装置本体100Aの左右フレーム80L、80Rのそれぞれに設けた縦長孔45に係合させてある。
さらに、左右の押圧部材ホルダ44L、44Rは、それぞれ、前後に間隔を開けて植設した2つのピン軸44bを、左右フレーム80L、80Rのそれぞれに設けられた縦長孔82を貫通させある。そして、左右の押圧部材ロッド46L、46Rのそれぞれに設けたガイド穴48に係合させてある。
これにより、左右の押圧部材ホルダ44L、44Rは、それぞれ、左右の押圧部材ロッド46L、46Rによって、装置本体の上下方向の位置が規制され、左右フレーム80L、80Rの縦長孔45によって、前後方向の位置が規制される。つまり、左右の押圧部材ホルダ44L、44Rは、左右の押圧部材ロッド46L、46Rの前後方向の移動に伴って、上下方向にのみ移動する。
図21は押圧部材ロッド46Lのカイド穴48部分を本体左側面側から見た拡大図である。いずれのガイド穴48も、前後方向で水平な第1ガイド領域48aと、この第1ガイド領域48aのピン軸前進方向に連設した、昇り傾斜の第2ガイド領域48bを有している。また、第2ガイド領域48bの頂上部に連設した、ピン軸44bを受け止めて安定に保持する第3ガイド領域48cを有している。
図21の(a)は、ドア31が装置本体100Aに対して十分に閉められている状態時を示している。この状態においては、押圧部材ロッド46Lは装置本体100Aの前側に位置している。そのため、ピン軸44b、即ち押圧部材ホルダ44Lは、第1ガイド領域48aによって、垂直方向の位置を規制されている。このとき、それぞれの押圧部材42は、カートリッジの左側上面を押圧している。
図21(b)、(c)は、ドア31を途中まで開いた状態を示している。図21(a)のドア閉じ状態からドア31が開かれていくと、これに連動して、押圧部材ロッド46Lは装置本体100Aの後ろ側に移動する。これにより、押圧部材ホルダ44Lは、ピン軸44bがガイド穴48の第2ガイド領域48bでガイドされて、上方に移動していく。
このとき、押圧部材ホルダ44Lのピン軸44aが左フレーム80Lに設けた縦長孔45に入っているため、押圧部材ホルダ44Lが水平方向に移動することはなく、押圧部材ホルダ44Lは垂直方向にのみ移動する。これにより、押圧部材42とカートリッジの左側上面が離間する。
図21の(d)は、ドア31が十分に開かれた状態を示している。この状態においては、押圧部材ロッド46Lは装置本体の後ろ側に位置している。そのため、ピン軸44b、即ち押圧部材ホルダ44Lは、第3ガイド領域48cによって、垂直方向の位置を規制されている。即ち、押圧部材42とカートリッジの左側上面が離間した状態を維持している。
図21は、装置本体100Aの左側の押圧機構の当接、離間について説明しているが、本体右側の押圧機構も同様の構成により当接、離間する。
これにより、ピン軸44b、即ち左右の押圧部材ホルダ44L、44Rは、ドア31の開き回動に連動して、左右の押圧部材ロッド46L、46Rが水平方向に距離a4移動する間、第1ガイド領域48aによって垂直方向の位置を規制される。その後、左右の押圧部材ロッド46L、46Rが水平方向に距離a5移動する間に、第2ガイド領域48bによって垂直方向に距離b2移動する。
そして、最後に左右の押圧部材ロッド46L、46Rが水平方向に距離a6移動する間、第3ガイド領域48cによって垂直方向の位置を規制される。このとき、ピン軸44bの上下方向の移動領域に対して、左右フレーム80L、80Rのそれぞれに設けられた縦長孔82は十分に大きく、その移動を制限することはない。
図22(a)、(b)は、カートリッジPの左右側上面と押圧部材42の当接と離間の様子を示したものである。即ち、それぞれ、カートリッジP、押圧部材42、押圧バネ43、押圧部材ホルダ44を、装置本体左側面から見た断面図の一部である。
図22(a)は、ドア31が閉められた状態(閉じ位置A)で、各カートリッジPが画像形成動作可能な装着位置に押圧されて位置決め保持されている状態を示している。この状態においては、前述のように、押圧部材ロッド46に設けられた第1ガイド領域48aにより、押圧部材ホルダ44、および、押圧部材42が押し下げられる。このとき、押圧部材42は、それぞれのカートリッジPの左右側上面に突き当たる位置で停止し、それより下には移動しないため、押圧部材ホルダ44に設けられた係止部44cと押圧部材42の被係止部42aの間には距離b3の隙間が発生する。
即ち、押圧部材42は、ドア31が閉じ位置Aに位置する際に、カートリッジPに当接してカートリッジPの位置を固定する当接位置Hに位置する。これにより、押圧部材42は押圧バネ43から受ける力によって、それぞれのカートリッジPの左右側上面を押圧することで、駆動側の軸受部51と非駆動側の軸受部52は位置決め部41に嵌合して固定される。
ここで、押圧部材42のカートリッジPに当接する方向は次のとおりである。即ち、後述する駆動伝達部材であるドラム駆動カップリング39と現像駆動カップリング40のカートリッジPに連結する方向(連結方向)、および、前記の給電部材75のカートリッジPに当接する方向(当接方向)と、直交する方向(垂直な方向)である。
図22の(b)は、ドア31が開けられた状態(開放位置B)で、各カートリッジPの押圧が解除され、各カートリッジPが装着位置から上昇した位置にいる状態を示している。ドア31の開き回動に連動して、押圧部材ロッド46が本体後ろ側に移動すると、押圧部材ロッド46に設けられた第3ガイド領域48cにより、押圧部材ホルダ44が押し上げられた状態を維持する。図22の(a)の押圧状態から、押圧部材ホルダ44が距離b3だけ上方に移動すると、押圧部材ホルダ44に設けられた係止部44cと押圧部材42の被係止部42aが接触する。
そのため、それより先は押圧部材ホルダ44と押圧部材42が一体となって押し上げられる。ここで、押圧部材42の上方への移動量(b2−b3)は、前述した各カートリッジPの上方への移動量(b1)よりも大きく設けている。これにより、各カートリッジPへの押圧が解除され、押圧部材42がトレイ35の水平方向の移動を規制しない位置に退避する。
即ち、押圧部材42は、ドア31が開放位置Bに位置する際に、カートリッジPから離間する離間位置Iに位置する。これにより、ドア31の開き回動に連動して、各カートリッジPへの左右の押圧が解除されることになる。
(駆動カップリング部材の構成)
図19、25に示したように、装置本体100A内の右側には、ドラム駆動カップリング39と現像駆動カップリング40がそれぞれ設けられている。ドラム駆動カップリング39と現像駆動カップリング40は、各カートリッジPのドラム1や現像ローラ3aを回転駆動するために、カートリッジP側の駆動入力部(駆動連結部)53、54(図8)と連結する駆動出力部(駆動伝達部材)である。
図24は、ドラム駆動カップリング39が各カートリッジP側の駆動入力部53に当接、離間する様子を示した部分拡大図であり、説明のため、右フレーム80R、及び、カートリッジP)を図示していない。図25は、ドア31が開かれた状態(開放位置B)で、ドラム駆動カップリング39と現像駆動カップリング40の構成を本体右側から見た斜視図である。
ドラム駆動カップリング39と現像駆動カップリング40は、右フレーム80Rの外側に設けられた不図示の駆動ユニット軸に対して回動可能、かつ、回動軸方向に移動可能に支持されている。そして、それぞれ、カップリング押圧バネ(付勢手段:付勢部材)211によって、カップリング部39a、40aが各カートリッジ側の駆動入力部53、54に当接する方向に付勢されている。
図17に示したように、右フレーム80Rには、それぞれのドラム駆動カップリング39の中心に丸孔84が設けられ、ドラム駆動カップリング解除レバー213が、丸孔84に係合し、かつ、回動可能に設けられている(図24)。
図24、25に示したように、ドラム駆動カップリング解除レバー213の一端には、ピン軸213aが具備させてある。そして、それぞれのドラム駆動カップリング解除レバー213のピン軸213aは右側の連結ロッド201Rに具備させた縦長孔201Cに嵌入して係合させてある。さらに、ドラム駆動カップリング解除カム212が、ドラム駆動カップリング解除レバー213に係合し、かつ、ドラム駆動カップリング39の回動軸方向に移動可能に設けられている。
ドラム駆動カップリング解除カム212に設けられたリブ212eが不図示のホルダ部材に保持されることにより、ドラム駆動カップリング解除カム212は、ドラム駆動カップリング解除レバー213の回動方向の移動を規制されている。
図24の(a)は、ドラム駆動カップリング39部分の拡大図であり、ドア31が装置本体100Aに対して十分に閉められている状態時(閉じ位置A)を示している。この状態においては、ドラム駆動カップリング39は、カップリング押圧バネ211によって、カップリング部39aが各カートリッジ側の駆動入力部53に当接する位置まで装置本体内側に飛び出している。即ち、ドラム駆動カップリング39は、ドア31が閉じ位置Aに位置する際に、カートリッジPの駆動入力部53に対して駆動力を伝達し得る連結位置Fに位置する。
図24の(b)は、ドア31を十分に開いた状態時(開放位置B)を示している。図24の(a)のドア閉じ状態からドア31が開かれていくと、これに連動して、右側の連結ロッド201Rは装置本体100A内を前方向に引かれる。これにより、ドラム駆動カップリング解除レバー213がドラム駆動カップリング解除カム212に対して回動する。このとき、ドラム駆動カップリング解除カム212のカム面212Aによって、ドラム駆動カップリング解除カム212は回動軸に沿って本体右側に移動する。
これにより、ドラム駆動カップリング解除カム212の端面212fが、ドラム駆動カップリング39に当接し、カップリング押圧バネ211の付勢力に抗して、ドラム駆動カップリング39をカートリッジ側の駆動入力部53から離間する方向に移動させる。即ち、ドラム駆動カップリング39は、ドア31が開放位置Bに位置する際に、カートリッジPから離間する離間位置Gに位置している。
同様に、右フレーム80Rには、それぞれの現像駆動カップリング40の中心に丸孔85が設けられ、現像駆動カップリング解除レバー215が、丸孔85に係合し、かつ、回動可能に設けられている(図17、25)。
現像駆動カップリング解除レバー215の一端には、ピン軸215aが具備させてある。そして、それぞれの現像駆動カップリング解除レバー215のピン軸215aは右側の押圧部材ロッド46Rに具備させた縦長孔46Cに嵌入して係合させてある。
さらに、現像駆動カップリング解除カム214が、現像駆動カップリング解除レバー215に係合し、かつ、現像駆動カップリング40の回動軸方向に移動可能に設けられている。現像駆動カップリング解除カム214に設けられたリブ214eが不図示のホルダ部材に保持されることにより、現像駆動カップリング解除カム214は、現像駆動カップリング解除レバー215の回動方向の移動を規制されている。
ドア閉じ状態からドア31が開かれていくと、これに連動して、右側の連結ロッド201Rは装置本体100A内を前方へ移動する。そして、右側の連結ロッド201Rが装置本体内を前方へ移動すると同時に、ロッドリンク部材202Rを介して、押圧部材ロッド46Rは装置本体内を後方に移動する。これにより、現像駆動カップリング解除レバー215が現像駆動カップリング解除カム214に対して回動する。
このとき、現像駆動カップリング解除カム214のカム面214Aによって、現像駆動カップリング解除カム214は回動軸に沿って本体右側に移動する。これにより、現像駆動カップリング解除カム214の端面が、現像駆動カップリング40に当接し、カップリング押圧バネ211の付勢力に抗して、現像駆動カップリング40をカートリッジ側の駆動入力部54から離間する方向に移動させる。
この状態においては、ドラム駆動カップリング39と現像駆動カップリング40は、トレイ35の鉛直方向の移動、および、トレイ35と各カートリッジの水平方向の移動を規制しない位置まで退避する。
図24に示したように、ドラム駆動カップリング解除カム212のカム面212Aは、ストレート部212b、212dと、斜面部212cから形成される。これにより、ドラム駆動カップリング39は、ドア31が装置本体100Aに対して十分に閉められている状態(閉じ位置A)では、各カートリッジPに係合した状態(連結位置F)を維持する。また、ドア31が十分に開かれている状態(開放位置B)では、各カートリッジPから離間した状態(離間位置G)を維持する。
現像駆動カップリング解除カム214のカム面214Aも同様に構成される。従って、現像駆動カップリング40も、ドア31が装置本体100Aに対して十分に閉められている状態(閉じ位置A)では、各カートリッジPに係合した状態(連結位置F)を維持する。また、ドア31が十分に開かれている状態(開放位置B)では、各カートリッジPから離間した状態(離間位置G)を維持する。
(各インターフェイス部の動作タイミング)
以上の機構により、ドア31の閉じ位置Aから開放位置Bへの動きに連動して、各カートリッジPに対する各インターフェイス部が解除動作する。即ち、即ち、本体電気接点ばね75と、押圧部材42と、ドラム駆動カップリング39と、現像駆動カップリング40が解除される。そして、トレイ35がトレイ保持部材34によって画像形成位置Cから移動可能位置Dに持ち上げられた状態においては、トレイ35は、移動可能位置Dと着脱位置Dとの間を自由にスライド移動可能になる。
従って、トレイ35はカートリッジPを載せて装置本体100Aから外部に引き出し、逆に装置本体100Aの内部への収納が行える状態になる。
このように、本体電気接点ばね75と、押圧部材42と、ドラム駆動カップリング39と、現像駆動カップリング40と、トレイ35は、ドア31の動きに連動して動作する。ここで、各動作の動作タイミングは、前述の動作制御機構におけるカム面の形状によって、それぞれ調整することができる。
たとえば、トレイ35が鉛直方向に移動するタイミングは、図12に示したガイド穴36の中でガイド領域36bの水平方向の位置を変えることで調整可能である。ガイド領域36aを長く、ガイド領域36cを短く設定すれば、ドア31の閉じ動作の開始から終了までの動きのうち、開始に近い側(即ち閉じ動作の始め)でトレイ35を下方に移動させることができる。
同様に、本体電気接点ばね75の動作タイミングは、連結ロッド201Lのカム面201D(図18)によって調整可能である。
押圧部材42の動作タイミングは押圧部材ロッド46のガイド穴48(図21)によって調整可能である。
ドラム駆動カップリング39の動作タイミングはドラム駆動カップリング解除カム212のカム面212A(図24)によって調整可能である。
現像駆動カップリング40の動作タイミングは現像駆動カップリング解除カム214のカム面214A(図25)によって調整可能である。
本実施例においては、上記の各動作が、ドア31の閉じ動作に沿って、次の順に行われるよう、各動作の動作タイミングを設定する。
左右のトレイ保持部材34が、ガイド部36の第2ガイド領域36bによる斜め下方移動を終えて、ピン軸34c、34dが水平の第1ガイド領域36aに位置する。即ち、トレイ35が下方へ移動し、各カートリッジの駆動側の軸受部51と非駆動側の軸受部52の下面部分が、装置本体の左右の位置決め部材81L、81Rに設けられた位置決め部41に受け止められる。
ドラム駆動カップリング解除レバー213の回転により、ドラム駆動カップリング解除カム212が斜面部212cによる本体内側への移動を終える。即ち、ドラム駆動カップリング39がカップリング押圧バネ211の付勢力を受けて、カートリッジ側の駆動入力部53と連結する。同様に、現像駆動カップリング解除レバー215の回転により、現像駆動カップリング解除カム214が斜面部214cによる本体内側への移動を終える。即ち、現像駆動カップリング40がカップリング押圧バネ211の付勢力を受けて、カートリッジ側の駆動入力部54と連結する。
このとき、各カートリッジPは、ドラム駆動カップリング39および現像駆動カップリング40を介してカップリング押圧バネ211の付勢力を受け、装置本体左側に片寄せされる。即ち、各カートリッジの左右方向の位置決め突起部57が左フレーム80Lに突き当たって、左右方向の位置が決まる。
左右の押圧部材ロッド44が、押圧部材ロッド46に設けられたガイド穴48の第2ガイド領域48bによる下方移動を終える。即ち、左右の押圧部材42が下方へ移動し、各カートリッジの左右側上面を押圧する。これにより、駆動側の軸受部51と非駆動側の軸受部52を位置決め部41に嵌合させて固定する。
本体電気接点ばねホルダ76が、連結ロッド201Lの斜面部201fによる本体内側への移動を終える。即ち、本体電気接点ばね75のカートリッジ電気接点当接部77を、カートリッジ電気接点55に当接させ、電気的に接続する。
上記の各動作の動作タイミングをまとめると次のとおりである。ドア31が開放位置B(図3)から閉じ位置A(図2)へ移動するのに連動して、下記(1)乃至(4)の動作が(1)から(4)の順に行われることを特徴とする。
(1)トレイ35が移動可能位置Dから画像形成位置Cへ移動する動作(図4→図2)
(2)駆動伝達部材39、40が離間位置Gから連結位置Fに移動する動作(図24の(b)→(a))
(3)押圧部材42が離間位置Iから当接位置Hに移動する動作(図22の(b)→(a))
(4)給電部材75が離間位置Kから給電位置Jに移動する動作(図18の(b)→(a))
また、ドア31の開き動作時には、上記の逆順((4)→(3)→(2)→(1))で動作を行う。即ち、ドア31の開き動作に沿って、まず給電機構75が離間し、次に左右の押圧部材42が離間し、さらに駆動カップリング部材39、40が離間して、最後にト
レイ35が上方(画像形成位置Cから移動可能位置D)に移動する。
各動作の動作順序を上記のように設定することのメリットについて説明する。ドア31の閉じ動作時には、まず、動作(1)によって、各カートリッジPの駆動入力部53、54が、それぞれ、ドラム駆動カップリング39、現像駆動カップリング40と相対する位置に移動する。
その後、動作(2)によってドラム駆動カップリング39、現像駆動カップリング40をカートリッジの駆動入力部53、54に当接させる。これにより、各ドラム駆動カップリング39と駆動入力部53、および現像駆動カップリング40と駆動入力部54を確実に連結できる。
また、ドア31の開き動作時には、ドラム駆動カップリング39、および、現像駆動カップリング40をカートリッジの駆動入力部53、54から離間させた後に、各カートリッジをトレイ35と共に上方に移動させる。もし、駆動カップリングがカートリッジの駆動入力部に連結した状態で、カートリッジがトレイ35と共に上方に移動した場合、駆動カップリングのカートリッジと連結した側のみが上方に持上げられる。そして、装置本体100A側に支持された他端部との間でねじれが発生し、駆動カップリングが破損してしまう恐れがある。
また、駆動カップリングが右フレーム80Rから本体内側に飛び出した状態で、トレイ35が上方に移動した場合、駆動カップリングがトレイ35の右枠35eと接触して破損してしまう恐れがある。
即ち、動作(1)の後に動作(2)が行われるようにする。これにより、ドラム駆動カップリング39、および、現像駆動カップリング40が、本体側支持部とカートリッジ連結部のねじれ、もしくは、トレイ35の右枠35eとの接触によって破損することを防止できる。
また、動作(2)によって、各カートリッジPは本体左側に片寄せされ、各カートリッジPの左右方向の位置決め突起部57が左フレーム80Lに突き当たる。
即ち、前述のように、装置本体100Aは、ドラム駆動カップリング39、および、現像駆動カップリング40をカートリッジPの駆動入力部53、54に対して付勢するカップリング押圧バネ(付勢手段)211を有している。カートリッジPはこのバネ211により駆動入力部53、54が設けられた側から給電接点部55が設けられた側に移動される。これにより、各カートリッジPは本体左側に片寄せされ、各カートリッジPの左右方向の位置決め突起部57が左フレーム80Lに突き当たる。
その後、動作(3)によって、各カートリッジPの左右側上面を押圧し、駆動側の軸受部51と非駆動側の軸受部52を位置決め部41に嵌合させて固定する。これにより、メインフレームに対して、各カートリッジの本体左右方向の位置が精度良く保証される。
ここで、動作(2)の状態では、各カートリッジPの軸受部51・52と位置決め部41は接触しているが、その間に生じる垂直抗力は小さいため、各カートリッジPを本体左側に片寄せする際に発生する摩擦力も小さい。また、軸受部51・52が位置決め部41との摺擦によって削れることもない。さらに、非駆動側に設けた本体電気接点ばね75がカートリッジ電気接点55から離間した状態であるため、各カートリッジを本体左側に片寄せする際に、非駆動側からそれを妨げる力を受けることもない。
即ち、押圧機構や給電機構によって妨げられることがないため、各カートリッジPを本体左側に片寄せするために作用させるカップリング押圧ばね211の力を必要最小限に抑えることができる。前述のように、ドア31の開き動作時には、ドラム駆動カップリング39、および、現像駆動カップリング40を、カップリング押圧ばね211の付勢力に抗して水平移動させる。そのため、カップリング押圧ばね211の力を小さく抑えることで、ドア31の開き動作時の操作力を緩和することができる。
また、動作(3)によって、各カートリッジPの左右側上面を押圧し、駆動側の軸受部51と非駆動側の軸受部52を位置決め部41に嵌合させて固定する。その後、動作(4)によって、本体電気接点ばね75とカートリッジ電気接点55を電気的に接続する。これにより、本体電気接点ばね75のカートリッジ電気接点55に対する当接力が、各カートリッジを駆動側(本体右側)に押し戻してしまうことはない。
また、動作(2)によって各カートリッジPは左右方向の位置決め突起部57が左フレーム80Lに突き当たる位置に位置決めされ、動作(3)によってその位置を固定される。これにより、本体電気接点ばね75とカートリッジ電気接点55の本体左右方向の位置関係が精度良く保証される。よって、前述のように、本体電気接点ばね75のストローク量を低減し、ドア31を開閉する際のユーザー操作力を低減させることが出来る。
上記の理由により、各動作タイミングをドア31の閉じ動作に沿って、(1)から(4)の順に行うことで、ドア31の開閉力を緩和し、各カートリッジPの位置決めを確実に行うことができる。
なお、(1)から(4)の各動作は、それぞれ十分に独立して行われる必要はない。例えば、(1)の動作途中で(2)の動作が開始されたとしても、ドラム駆動カップリング39、および、現像駆動カップリング40がカートリッジの駆動入力部53、54に当接し始めるより先に(1)の動作を終えていればよい。即ち、各カートリッジPの駆動入力部53、54がドラム駆動カップリング39、および、現像駆動カップリング40に対して相対する位置まで移動を終えていればよい。
また、ドア31の開閉力を緩和するために、(2)から(4)のそれぞれの動作の中で、カートリッジ毎に動作タイミングを少しずつ異なるタイミングにするとよい。例えば、動作(2)において、ドラム駆動カップリング39がカートリッジPY・PM・PC・PKの駆動入力部53に当接するタイミングをそれぞれ少しずつ違えることにより、ドア31にかかる負荷を分散するとよい。
また、動作(2)において、ドラム駆動カップリング39がカートリッジの駆動入力部53に当接するタイミングと、現像駆動カップリング40がカートリッジの駆動入力部54に当接するタイミングを少しずつ違える。これにより、ドア31にかかる負荷を分散するとよい。これにより、ドア31にかかる力のピークを減らし、ユーザーがドア31を操作する際の操作力を軽減することが可能となる。
(カートリッジを側板に対して位置決めすることのメリット)
本実施例においては、前述のとおり、カップリング押圧バネ(付勢部材)211のバネ力によって各カートリッジの左右方向の位置決め突起部57を左フレーム80Lに突き当てて、各カートリッジPの左右方向の位置を決めている。
即ち、装置本体100Aはトレイ35に載置されたカートリッジPをトレイ35の装置本体100Aの内部と外部との間の移動方向に対してトレイ移動面において直交する方向の一端側から他端側へ押圧付勢する付勢部材211を有する。本実施例においては、その付勢部材211がカートリッジPへの駆動伝達部材39、40に包含されている。
そして、カートリッジPを載置したトレイ35が収納位置Cにあるときに付勢部材211によりカートリッジPが押圧付勢されることで位置決め突起57が左フレーム80Lに当接して受け止められてカートリッジPの前記直交方向の位置決めがなされる。付勢部材211によるカートリッジPの押圧付勢と押圧付勢解除の動作はドア31の開閉動作に連動して行われる。
前記直交方向は本実施例においてはカートリッジPの長手方向(ドラム軸線方向)であり、左右方向である。左フレーム80Lは、トレイ35に載置されたカートリッジPの前記直交方向の他端側と対向する固定の側板である。
これにより、本体電気接点ばね75とカートリッジ電気接点55の位置精度を向上させることができる。即ち、本体電気接点ばね75のストローク量を低減し、ユーザーによるドア31開閉の操作力を低減させることが出来る。
これに加え、他のユニットの左右方向の位置決めも左フレーム80Lに設けることで、カートリッジPに対する各ユニットの位置精度を向上させるとよい。
本実施例においては、カートリッジPが位置決めされる左フレーム80Lの側にカートリッジPと導通する電気接点ユニットである本体電気接点ばね75を持つ。そして、そのドラム軸線方向の位置決めが左フレーム80Lによってなされている。即ち、左フレーム80Lの側にカートリッジPと導通する電気接点ユニット75を有する。その電気接点ユニット75の前記直交方向の位置決めが左フレーム80Lによってなされる。
レーザースキャナユニット(露光ユニット)11は、このユニット(露光装置)11を保持する露光装置保持部材(不図示)の長手方向(本体左右方向)の位置決め部を左フレーム80Lに対して突き当て位置決めさせて固定されている。即ち、露光装置保持部材の前記直交方向の位置決めが左フレーム80Lによってなされる。これにより、ドラム1に対するレーザーの照射位置精度を向上させることが出来る。
また、中間転写ベルトユニット12は、その長手方向(本体左右方向)の位置決め部(不図示)を左フレーム80Lに対して突き当て位置決めさせて固定している。即ち、ドラム1に対向して現像剤像が一次転写され、その現像剤像を記録材Sに二次転写する中間転写ユニット12の前記直交方向の位置決めが左フレーム80Lによってなされる。
これにより、ドラム1に対するベルト13や駆動ローラ14、ターンローラ15、テンションローラ16、一次転写ローラ17の位置精度を向上させることが出来る。これにより、ドラム1、ベルト13、駆動ローラ14、ターンローラ15、テンションローラ16、一次転写ローラ17の本体左右方向の寸法を低減することができる。つまり、本体左右方向の小型化およびコストダウンを実現することが出来る。
また、定着装置(定着ユニット)23は、その長手方向(本体左右方向)の位置決め部(不図示)を左フレーム80Lに対して突き当て位置決めさせて固定している。即ち、現像剤像が転写された記録材S)に熱と圧をかけて像を定着させ排紙させる定着ユニット23の前記直交方向の位置決めが左フレーム80Lによってなされる。
これにより、定着装置23の位置精度を向上させることが出来る。即ち、定着ユニット23の位置決めを左フレーム80Lで行うことによって、定着部材23a、23bとベルト13上の現像剤像の左右方向のズレを小さく抑えられる。これにより、定着部材23a、23bの本体左右方向の寸法を低減することができる。つまり、本体左右方向の小型化およびコストダウンを実現することが出来る。
また、現像剤像が転写されるシート状の記録媒体Sをストックし、一枚ずつ搬送する給紙ユニット18の前記直交方向の位置決めが左フレーム80Lによってなされている。これにより、ベルト13上の現像剤像と給紙ユニット18から搬送される記録媒体Sの左右方向のズレを小さく抑えられ、記録媒体Sに対する印字画像の左右方向のズレが低減できる。
《その他の事項》
(a)本発明において、カートリッジPは実施例の潜像が形成される像担持体1と像担持体に形成された潜像を現像剤で現像する現像手段3とを備えた一体型のプロセスカートリッジに限られない。
カートリッジPは、潜像が形成される像担持体1と像担持体に形成された潜像を現像剤で現像する現像手段以外の画像形成プロセス手段とを備えた分離型のプロセスカートリッジであってもよい。
カートリッジPは、潜像が形成される像担持体1に形成された潜像を現像剤で現像する現像手段と前記潜像を現像するために用いられる現像剤を収納収容している現像剤収納部とを有する現像カートリッジであってもよい。
トレイ35に支持させるカートリッジは、分離型のプロセスカートリッジと現像カートリッジとの対(組み合わせ)にする。そして、そのプロセスカートリッジと現像カートリッジの少なくとも一方がトレイ35に対して取り外し可能に支持される構成にすることもできる。
カートリッジには、その他、装置本体に取り外し可能に装着されて記録媒体に画像を形成する画像形成プロセスに寄与するユニットが含まれる。
(b)実施例においては画像形成装置として、異なる色の現像剤を収納した4個のカートリッジが着脱可能なフルカラー電子写真画像形成装置を例示している。しかしながら、装置に装着するカートリッジの個数はこれに限定されるものではなく、個数は適宜設定されるものである。カートリッジPの数を1つ又は2つ或いは3つ若しくは5つ以上とすることもできる。本発明はカートリッジが1つである単色の画像形成装置にも適用可能である。
(c)実施例では、装置本体100Aの設置面に対して水平方向に直線的に移動するトレイ35を説明した。しかしながら、本発明におけるトレイ(カートリッジ支持部材)35は、これに限定されるものではない。例えば、トレイ35は、ドラム1の長手方向と交差する方向で、装置本体100Aの設置面に対して水平方向、或いは、斜め上方、或いは、斜め下方へ直線的に移動可能であっても良い。トレイ35はストッパを解除することによって、装置本体100Aから取り外すことができるようにしても良い。
(d)実施例の画像形成装置100において、中間転写ユニット12を、記録材Sを保持して搬送する記録媒体搬送転写ベルト装置にすることもできる。即ち、中間転写ユニット12は、ドラム1に形成された現像剤像を直接に記録媒体Sに転写させるために記録媒体Sを搬送する記録媒体搬送部材を有する記録媒体搬送転写ベルト装置(記録媒体搬送転写手段)にすることもできる。
(e)画像形成装置は実施例のようなプリンタに限定されるものではない。例えば複写機、ファクシミリ装置等の他の画像形成装置や、或いはこれらの機能を組み合わせた複合機等の他の画像形成装置であってもよい。
(f)画像形成装置の画像形成プロセスは電子写真プロセスに限られない。像担持体として静電記録誘電体を用いる静電記録プロセス、磁気記録磁性体を用いる磁気記録プロセスなどであってもよい。