JP2015116149A - 微小血管−組織間相互作用観察のための三次元ゲルチップ - Google Patents

微小血管−組織間相互作用観察のための三次元ゲルチップ Download PDF

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行子 松永
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Abstract

【課題】生体外のチップ上で生体環境内を模擬した微小血管を作製し、微小血管組織とがん細胞等の他の生体組織との相互作用の挙動をリアルタイムで観測可能なデバイスを提供する。
【解決手段】生体組織モデル間の相互作用を観測するためのマイクロ流路チップであって、上面が開放されている溝を有する基材、前記溝の中央部に存在する生体ゲル部、前記溝内の生体ゲル部の端部に隣接して存在する複数の溶液リザーバ部、及び前記生体ゲル部内に、少なくとも1つの前記溶液リザーバ部と連結した複数のマイクロ流路を有し、前記複数のマイクロ流路が前記溶液リザーバ部から供給された細胞を含み、その流路内の表面に生体組織モデルを形成している、前記マイクロ流路チップ。前記複数のマイクロ流路の少なくとも1つが内皮細胞及び/又は癌細胞を含み、その流路内に、各々微小血管織及び/又は癌組織を形成しているマイクロ流路チップ。
【選択図】なし

Description

本発明は、生体組織モデル間の相互作用を観測するためのマイクロ流路チップ、より詳細には、ゲルマイクロ流路内に形成した微小血管組織とがん組織等の他の生体組織との相互作用を観測するための三次元ゲルチップに関する。
がん、糖尿病などあらゆる疾患、生活習慣病に血管新生(血管形成、退縮、透過などの微小血管内皮細胞の運動性)が関わっている。そのため、抗血管新生薬開発などの創薬研究において血管新生をin vitroで再現した実験系が求められている。既存の血管新生研究では、市販のポリスチレン製シャーレ、もしくはマトリゲルなどのゲル上で培養した微小血管内皮細胞に対してアッセイが行われている。これは、ランダムな血管網であり実際の微小血管を模擬していない。一方、マウスから単離した結果をゲル内で培養することで、血管から伸びてきた(新生した)微小血管を対象として実験系が構築されているが、これは、1)ヒトの細胞を用いることができない、2)動物を利用するため並列化実験が困難(ハイスループット性に欠ける)、3)血管新生するまでに1週間以上の期間を要する等の問題があった。
近年では、微小血管を模擬した微小血管チップの開発が報告されているが、微小血管構築までに時間がかかるうえ、複数種の組織間相互作用を観測することができない。また、全ての既存実験系は、管腔構造を有していない場合が多いので、管腔内に培養液などを灌流できない。特に、癌組織中の特定の微小血管をターゲットとした抗がん剤及び抗血管新生薬の開発には、できるだけ単純化した系で周辺組織と微小血管との相互作用を観察できることが求められている。
Millerら、Nat.Mater.、11(9)、768、2012
そこで、本発明は、生体外のチップ上で生体環境内を模擬した微小血管を作製し、微小血管組織とがん細胞等の他の生体組織との相互作用の挙動をリアルタイムで観測可能なデバイスを提供することを課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、生体ゲル内に複数のマイクロ流路を形成し、当該流路に容易に対象細胞を提供して組織化でき、それによって単一微小血管と他の組織との相互作用をリアルタイムで観測可能であることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、一態様において、
(1)生体組織モデル間の相互作用を観測するためのマイクロ流路チップであって、
上面が開放されている溝を有する基材、
前記溝の中央部に存在する生体ゲル部、
前記溝内の生体ゲル部の端部に隣接して存在する複数の溶液リザーバ部、及び
前記生体ゲル部内に、少なくとも1つの前記溶液リザーバ部と連結した複数のマイクロ流路を有し、
前記複数のマイクロ流路が前記溶液リザーバ部から供給された細胞を含み、その流路内の表面に生体組織モデルを形成している、
前記マイクロ流路チップ;
(2)前記複数のマイクロ流路の少なくとも1つが内皮細胞を含み、その流路内に微小血管組織を形成している、上記(1)に記載のマイクロ流路チップ;
(3)前記複数のマイクロ流路の少なくとも1つががん細胞を含み、その流路内にがん組織を形成している、上記(1)に記載のマイクロ流路チップ;
(4)前記生体ゲル部内に2つのマイクロ流路を有しており、それらが、
第1の溶液リザーバ部から供給された微小血管内皮細胞を含み、その流路内に微小血管組織を形成している第1のマイクロ流路;及び、
第2の溶液リザーバ部から供給されたがん細胞を含み、その流路内にがん組織を形成している第2のマイクロ流路である、上記(1)に記載のマイクロ流路チップ;
(5)前記複数のマイクロ流路が、互いに並行に伸びている、上記(1)〜(4)のいずれか1に記載のマイクロ流路チップ;
(6)前記複数のマイクロ流路が、前記生体ゲル部を貫通している、又は非貫通である、上記(1)〜(5)のいずれか1に記載のマイクロ流路チップ;
(7)前記生体ゲル部が、前記複数のマイクロ流路以外の部分に細胞を内包する、上記(1)〜(6)のいずれか1に記載のマイクロ流路チップ;
(8)前記生体ゲル部が、コラーゲンゲルである、上記(1)〜(7)のいずれか1に記載のマイクロ流路チップ;
(9)前記基材が、ポリジメチルシロキサンである、上記(1)〜(8)のいずれか1に記載のマイクロ流路チップ;
を提供するものである。
(10)上記(1)〜(9)のいずれか1に記載のマイクロ流路チップを用いて、生体組織モデル間の相互作用を観測する方法;
(11)光学的測定手段によって前記生体ゲル部をリアルタイムで観測することを含む、上記(10)に記載の方法;
(12)前記光学的測定手段が、顕微鏡又は共焦点レーザー顕微鏡である、上記(11)に記載の方法;
(13)1のマイクロ流路に存在するがん組織と、別のマイクロ流路内に形成された微小血管組織において、
a)前記がん組織の前記微小血管組織への侵入又は遊走
b)前記がん組織の増殖、及び
c)前記微小血管組織の発芽又は退縮
のいずれか1以上の挙動を観測することを含む、上記(10)〜(12)のいずれか1に記載の方法;
(14)前記複数のマイクロ流路の少なくとも1以上に薬剤を供給し、当該薬剤の存在による前記相互作用の変化を比較することを含む、上記(10)〜(13)のいずれか1に記載の方法
を提供するものである。
本発明によれば、生体ゲル部の形成された2つ以上のマイクロ流路内に生体組織のモデルを構築できるため、より生体内に近い組織間相互作用を観測することができる。その際、光学的に透明な基材を用いることによって、かかる相互作用を共焦点レーザー顕微鏡等の光学的測定手段でリアルタイムで観測することが可能となる。本発明のマイクロ流路チップは、オープンチャンバー型であるため、測定後に生体ゲル部を取り出して、組織切片を作製するなどの処理も可能である。
また、本発明では、従来に比べ生体外で短時間で生体組織モデルを構築することができ、また、上記マイクロ流路が、生体ゲル内にトンネル構造を有する三次元ゲル流路であるため、生体組織が微小血管組織である場合には、微小血管内に培養液を灌流させ、三次元の微小血管内を流れる物質の挙動をモニタリングすることができる。加えて、当該マイクロ流路中に、任意の薬剤を提供し、当該薬剤刺激に対する組織の挙動及び組織間相互作用に与える影響等を観測することができるため、例えば、抗がん作用等のスクリーニングを容易に行うこともできる。
さらに、細胞密度を調節するために、上記マイクロ流路を生体ゲル部を貫通する態様又は非貫通とする態様とすることも選択でき、或いは、当該流路以外の生体ゲル部に更なる細胞を内包させることもでき、ユーザーの望む実験系に応じて種々の変更が容易である点でも優れている。
図1−a及び図1−bは、本発明の代表的な態様におけるマイクロ流路チップの概略を示す模式図である。 図2は、作製したPDMS基材の形状を示す図である。 図3は、マイクロ流路チップの作製手順を示すチャートである。 図4は、チャンネルの大きさに依存した微小血管組織の経時変化を示した画像である。 図5は、微小血管(MV)とマウス肺癌由来腫瘍細胞株(LLC)との相互作用を示した画像である。 図6は、微小血管(MV)とB16F10マウスメラノーマ細胞(B16)との相互作用を示した画像である。 図7は、微小血管組織と腫瘍細胞との相互作用の挙動を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施することができる。
図1−a及び1−bは、本発明の代表的な態様におけるマイクロ流路チップ
の概略を示すものである。
図1−aにおいて、基材11は、マイクロ流路チップの骨格を形成する部材であり、上面が開放されている溝12を有している。基材11の材料は、後述の生体ゲルや細胞を含む溶液を格納し得る材料であれば当該技術分野において公知のものを用いることができるが、ポリジメチルシロキサン(PDMS)やポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)等の光学的に透明でありかつ生体適合性を有する高分子材料であることが好ましい。特に、ポリジメチルシロキサンが好ましい。また、図示していないが、基材11の底部にカバーガラス等を設けてもよい。ただし、共焦点レーザー顕微鏡等による光学的観測手段を用いる場合には、これらは透明である必要があり、その際のカバーガラスの厚さは0.1mm程度である。
基材11の溝部12の中央部には、生体ゲル部13が形成されている。生体ゲル部13の内部には後述のように複数のマイクロ流路15を有するため、当該生体ゲル部13は、コラーゲンゲルであることが好ましい。細胞を培養して生体組織を形成することができるものであれば、フィブリンゲル、キトサンゲル、ゼラチンゲルなどのコラーゲンゲル以外の材料を用いることもできる。また、当該生体ゲル中に任意の細胞や薬剤等を分散させて含有することも可能であり、これにより、例えば、マイクロ流路15が2つの場合に、これらの流路内の組織間の相互作用のみならず、生体ゲル中に分散した別個の細胞の影響を観測する際に有用である。
基材11の溝部12の端部には、細胞を含む溶液を注入するための溶液リザーバー14が設けられている。当該溶液リザーバー14は、マイクロ流路15で所望の生体組織を形成するために培養される細胞を含む溶液を供給するためのものであり、従ってマイクロ流路15の出口と連結している。また、生体組織モデルを構築後に、その相互作用に特定の薬剤等が与える影響等を観測するために、当該薬剤等を溶液リザーバー14から提供することもできる。図1−aでは、溶液リザーバー14の外周は円形となっている態様で示されているが、上記のようにマイクロ流路15内に溶液を供給することができるものであれば、その形状や大きさ、深さ等は特に限定されない。
生体ゲル部13の内部には、図1−bに示すように複数のマイクロ流路15が形成されている。当該図では、代表的な例として、2つのマイクロ流路15が形成されているが、3以上のマイクロ流路とすることも可能である。マイクロ流路15の両端が生体ゲル部13を貫通していずれも溶液リザーバー14に連結している態様(貫通型)であってもよく、その一方の端部のみ溶液リザーバー14に連結し、他方は生体ゲル部13内で閉鎖されている態様(非貫通型)のいずれであってもよい。図1−bに示すように非貫通型の場合には、細胞を流路内壁に集積化でき、高密度に培養することができるため、短時間で立体組織を構築する場合に有用である。貫通型の場合には、例えば、微小血管を形成させる場合に、流れ場を確立することで、微小血管内部のせん断応力(メカニカルストレス)を再現でき、より生体に近い環境を模倣することができるという利点がある。
また、複数のマイクロ流路15は、生体ゲル部13内で互いに並行に伸びていることが好ましい。その流路形状は、構築する生体組織が微小血管である場合等には円筒状断面の直線が好ましいが、特に限定されるものではなく、その用途等に応じて様々の形状に形成することも可能である。例えば、S字状の湾曲、放射状、楕円、長方形等とすることもでき、断面を角型等とすることもできる。
マイクロ流路15の少なくとも1つが内皮細胞を含み、その流路内に微小血管組織を形成していることが好ましい。これにより、微小血管モデルを構築することができる。内皮細胞としては、例えば、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVECs)、マウス血管内皮細胞、ウシ血管内皮細胞などを用いることができる。さらに、幹細胞など、内皮細胞に分化し得る細胞を用いることもできる。
本発明のチップによれば、上記のように溶液リザーバー14に内皮細胞を含む溶液をマイクロピペット等で添加するのみで、(リザーバー間の静水圧等により)当該細胞を高密度に流路内に集積化することが可能となる。例えば、内皮細胞による微小血管の構築においては、培養6時間後には集積化した細胞は細胞同士が細胞間-細胞間相互作用により接着し、24時間以内には管腔構造を有する微小血管を得ることができ、これは従来法の1〜2週間と比較して極めて短期間である。
上記流路内に微小血管組織を形成させたマイクロ流路15以外のマイクロ流路に、他の生体組織を構築することで、後述のように、当該微小血管組織との相互作用を観測することができる。典型的には、図1−bに示すように、マイクロ流路15の少なくとも1つががん細胞を含み、その流路内にがん組織を形成していることが好ましい。これにより、がんの転移挙動等における血管新生との関係性、がん細胞の微小血管への侵入(intravasation)及び脱出(extravasation)等を観測することが可能となる。用いるがん細胞は、マイクロ流路15内で組織構築可能なものであれば任意のものを用いることができるが、例えば、マウス肺癌由来腫瘍細胞株LLC(Lewis Lung Carcinoma)やB16F10マウスメラノーマ細胞が挙げられる。がん細胞以外の細胞をマイクロ流路に添加することにより、微小血管組織との相互作用を観測する対象とは別の生体組織を構築することもできる。
本発明のマイクロ流路チップの作製方法としては、後述の実施例で説明するように、まず基材を作製した後に、流路のテンプレートとなる針状材料を設置し、溝部内に生体ゲルを流し込むという手法を用いることができるが、これ以外にも当該技術分野において公知の手法を用いて作製することも可能である。流路のテンプレートを適宜変更することによって、上記のように流路の貫通型・非貫通型等の形状や流路の本数などを所望の実験系に応じて容易に構築することができる。
別の態様において、本発明は、上記マイクロ流路チップを用いて生体組織モデル間の相互作用を観測する方法を提供するものである。当該相互作用を観測する手段としては、共焦点レーザー顕微鏡や蛍光顕微鏡などの光学的測定手段
が挙げられる。かかる手段を用いることによって、生体組織モデル間の相互作用をリアルタイムで観測することができる。
観測対象となる相互作用の対象としては、例えば微小血管組織とがん組織の代表的な態様では、
a)前記がん組織の前記微小血管組織への侵入又は遊走
b)前記がん組織の増殖、及び/又は
c)前記微小血管組織の発芽又は退縮
の挙動などを挙げることができる。より詳細には、がん転移のステップとしては、原発巣からのがん細胞の離脱(dissociation)、微小血管内へのがん細胞の侵入(intravasation)、微小血管内におけるがん細胞の循環(circulation)、がん細胞の微小血管外への脱出(extravasation)、がん細胞の生着・増殖(colonization and proliferation)、それによる転移巣の形成、という多段階のステップであることが知られている(例えば、Steegら、Nature Reviews Cancer、3、55−63、2003)。従って、これらの挙動も上記の観測対象に含まれ得る。これらの挙動の観測により、血管新生とがんの転移との関係性を解析することが可能となる。
上述のように、マイクロ流路の少なくとも1以上に薬剤を供給し、当該薬剤の存在による前記相互作用の変化を比較することも可能であり、これにより、がん治療薬や抗血管新生薬等のスクリーニングなどの用途におけるin vitroチップとしての用途へ適用できる。
また、上記マイクロ流路チップは、図1−aに示したように、上方が開放された、いわゆるオープンチャンバー型であってもよいため、測定後に生体ゲル部を取り出して、組織切片を作製するなどの処理を行うことができる。これは従来のような内部が閉鎖された実験系では行うことができない。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
1.マイクロ流路チップの作製
A)作製例1
管をダイアモンドカッターで長さ7mm程度に切断する。丸いガラス管も同様に10mm程度に切断する。四角いガラス管の中に丸いガラス管を挿入し,さらにその中に直径120μmの針を挿入した.作製した造形物を35mmポリスチレン製シャーレに3つ平行に 並べた。その後,PDMS(1 液:2 液=10:1) を 18 g 滴下し,60℃のオープンで 150 分問加 熱し固めた。円形の PDMS を 20 mm 四方に切り出し,針とガラス管を除去する.除去後ガラス管があっ た端部を 4 mm の穴あけ器で穴をあけた。作製した PDMS を NEO カパーガラス(Thickness No.1 厚さ 0.12-0.17 μm:松浪硝 子工業株式会社)にプラズマクリーナー(三洋貿易株式会社)を用いて接着させた後,再び 75℃に加熱したオープンで 15 分問加熱し固定 させる.作製したデバイスを図2に示す。
作製したデバイス、120μmニードル、トップガラスを殺菌するためクリーンベンチの UV モードで 10 分問曝露する.次にデパイスの流 路部を 接着分子であるフィブロネクチン (FN :fibronectin)を 10μg/ml の濃度でコーテ ィングし,同時にニードルを 1%ウシ血清アル プミン(BSA :Bovine Serum Albumins)in PBS でコーティングした。室温で 40 分問放置後, FN と BSA を除去し,デバイスにニードルを通した。その後デパイスの流路部を覆うようにトップガラスをかぶせる。コラーゲン(TypeI-P, 新田ゼラチン)をデバイスの流路部に入れた。その後インキュベータにいれ 37℃環境下で 35 分放置しゲル化させた。その後,ニードルを水平に抜き、遠心分離したヒト瞬帯静脈内皮細胞(HUVECs)に 4% Dextran with EGM(EGM :Endothelial Cell Growth Media) を 1 ml 滴下し,氷上保存した。チャンネルに細胞を滴下し,20分放置し,十分に細胞がチャンネル内に集積するのを待ち、ガラスプレートを取り除き,新しい EGM を 1 ml 加えた。
B)作製例2
上記作製例1のガラス管に代えて、光造形物のテンプレート用いてデバイスを作製した。その手順を図3に示す。
デバイスの作製の際に用いる光造形物を 3D CAD ソフトの SolidWorks を用いて設計した。光造形物は DM210 樹 脂を用いて 3D プリンタを用いて作製した。光造形物のアレイ部分に直径 300 μm の針を通し,上記作製例1の実験方法と同様に 35 mm シャーレに 設置し,PDMSを滴下した、その後の手順は上記作製例1と同じである。これまでのコラーゲンチャンネルは直径 120μmの一様な直線であった。今回は細胞導入をスムーズに行うため、300 μm の金属パイプを用いて、inlet 部を 120μm から 300μm に広げることで細胞の導入をスムーズ にすること行った。
C)微小血管形成における管腔の大きさ依存性
チャンネルの大きさを120μm、60μm、及び40μmとした場合に、それぞれHUVECs細胞導入直後(0時間)、6時間、24時間、48時間経過後の結果を観察した結果を図4に示す。この結果、全てのチャンネルの大きさで管腔形成を確認できたが、連続的な管腔を保っているのはチャンネルの大きさが、120μmの場合であった。
2.がん細胞との相互作用の観測
上記で作製した2本のマイクロ流路を有するチップを用いて、微小血管(MV)と腫瘍組織との相互作用を共焦点レーザー顕微鏡で観測した。用いた腫瘍細胞は、マウス肺癌由来腫瘍細胞株(LLC)(培地:DMEM高グルコース with 10%FBS)及びB16F10マウスメラノーマ細胞(B16)(培地:DMEM高グルコース with 10%FBS)である。得られた経時変化の画像をそれぞれ図5及び図6に示す。
その結果、MV−LLCの組合せの場合には、10時間後に腫瘍組織LLCから微小血管組織方向への遊走、及び微小血管組織から腫瘍組織方向への発芽が観察された。そして、36時間後には、微小血管組織への腫瘍細胞の侵入が観測された。一方、MV−B16の場合には、6時間後には、LLCよりも早く微小血管組織におけるランダムな発芽が見られたが、腫瘍細胞の遊走等は見られなかった。これら挙動の模式図を図7に示す。この結果は、本発明のマイクロ流路チップを用いることによって、微小血管と腫瘍組織との相互作用をリアルタイムで観測でき、非常に有用であることを示すものである。
以上、本発明の具体的態様を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。また、特許請求の範囲に記載の発明には、以上の例示した具体的態様を種々変更したものが含まれ得る。

Claims (14)

  1. 生体組織モデル間の相互作用を観測するためのマイクロ流路チップであって、
    上面が開放されている溝を有する基材、
    前記溝の中央部に存在する生体ゲル部、
    前記溝内の生体ゲル部の端部に隣接して存在する複数の溶液リザーバ部、及び
    前記生体ゲル部内に、少なくとも1つの前記溶液リザーバ部と連結した複数のマイクロ流路を有し、
    前記複数のマイクロ流路が前記溶液リザーバ部から供給された細胞を含み、その流路内の表面に生体組織モデルを形成している、
    前記マイクロ流路チップ。
  2. 前記複数のマイクロ流路の少なくとも1つが内皮細胞を含み、その流路内に微小血管組織を形成している、請求項1に記載のマイクロ流路チップ。
  3. 前記複数のマイクロ流路の少なくとも1つががん細胞を含み、その流路内にがん組織を形成している、請求項1に記載のマイクロ流路チップ。
  4. 前記生体ゲル部内に2つのマイクロ流路を有しており、それらが、
    第1の溶液リザーバ部から供給された微小血管内皮細胞を含み、その流路内に微小血管組織を形成している第1のマイクロ流路;及び、
    第2の溶液リザーバ部から供給されたがん細胞を含み、その流路内にがん組織を形成している第2のマイクロ流路である、請求項1に記載のマイクロ流路チップ。
  5. 前記複数のマイクロ流路が、互いに並行に伸びている、請求項1〜4のいずれか1に記載のマイクロ流路チップ。
  6. 前記複数のマイクロ流路が、前記生体ゲル部を貫通している、又は非貫通である、請求項1〜5のいずれか1に記載のマイクロ流路チップ。
  7. 前記生体ゲル部が、前記複数のマイクロ流路以外の部分に細胞を内包する、請求項1〜6のいずれか1に記載のマイクロ流路チップ。
  8. 前記生体ゲル部が、コラーゲンゲルである、請求項1〜7のいずれか1に記載のマイクロ流路チップ。
  9. 前記基材が、ポリジメチルシロキサンである、請求項1〜8のいずれか1に記載のマイクロ流路チップ。
  10. 請求項1〜9のいずれか1に記載のマイクロ流路チップを用いて、生体組織モデル間の相互作用を観測する方法。
  11. 光学的測定手段によって前記生体ゲル部をリアルタイムで観測することを含む、請求項10に記載の方法。
  12. 前記光学的測定手段が、顕微鏡又は共焦点レーザー顕微鏡である、請求項11に記載の方法。
  13. 1のマイクロ流路に存在するがん組織と、別のマイクロ流路内に形成された微小血管組織において、
    a)前記がん組織の前記微小血管組織への侵入又は遊走
    b)前記がん組織の増殖、及び
    c)前記微小血管組織の発芽又は退縮
    のいずれか1以上の挙動を観測することを含む、請求項10〜12のいずれか1に記載の方法。
  14. 前記複数のマイクロ流路の少なくとも1以上に薬剤を供給し、当該薬剤の存在による前記相互作用の変化を比較することを含む、請求項10〜13のいずれか1に記載の方法。
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