JP2015111054A - 光学素子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板上のナノ粒子の粒子径を制御し、そのばらつきを抑えることにより、LSPR(Localized Surface Plasmon Resonance)による電場増強の良好な光学素子を提供する。
【解決手段】光学素子は、基板上に金属を粒子状に堆積させる工程、及び、前記粒子状の金属を、炭素及びケイ素を含む化合物の存在下にて加熱する工程、を含んで製造される。このような製造方法により、基板上の金属粒子の粒子径が制御され、粒子径のばらつきが抑制され、良好なLSPRによる電場増強を形成しうる光学素子を容易に製造することができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、光学素子及びその製造方法に関する。
近年、医療診断や飲食物の検査等に用いられるセンサーチップの需要が増大しており、高感度かつ小型のセンサーチップの開発が求められている。このような要求に応えるために、電気化学的な手法をはじめ様々なタイプのセンサーチップが検討されている。これらの中で、集積化が可能であること、低コスト、測定環境を選ばないこと等の理由から、表面プラズモン共鳴(SPR:Sureface Plasmon Resonance)を利用した分光分析、特に表面増強ラマン散乱分光(SERS:Surface Enhanced Raman Scattering)を用いたセンサーチップに対する関心が高まっている。
表面プラズモンとは、表面固有の境界条件により光とカップリングを起こす電子波の振動モードである。表面プラズモンを励起する方法としては、金属表面に回折格子を刻み、光とプラズモンを結合させる方法やエバネッセント波を利用する方法がある。例えば、SPRを利用したセンサとしては、全反射型プリズムと、当該プリズムの表面に形成された標的物質に接触する金属膜と、を具備して構成されるものがある。このような構成により、抗原抗体反応における抗原の吸着の有無など、標的物質の吸着の有無を検出している。
ところで、金属表面に伝搬型の表面プラズモンが存在する一方、金属微粒子には局在型の表面プラズモンが存在する。局在型の表面プラズモン、つまり、表面の金属微細構造上に局在する表面プラズモンが励起された際には、著しく増強された電場が誘起されることが知られている。
更に、金属粒子を用いた局在型表面プラズモン共鳴(LSPR:Localized Surface Plasmon Resonance)によって形成される増強電場にラマン散乱光が照射されると表面増強ラマン散乱現象によってラマン散乱光が増強されることが知られており、高感度のセンサー(検出装置)が提案されている。この原理を用いることで、各種の微量な物質を検出することが可能になる。
LSPRを利用したセンサーは、製造が容易で、可視光領域で強いLSPR効果が得られるため、基板に銀や金などの金属を蒸着又はスパッタリングすることで作成された銀や金のアイランド(島状)構造のチップが用いられることがある。特許文献1には、100〜450℃の範囲内に温度調整された基板上に1nm/分未満の平均高さ成長速度で金属系粒子を成長させる工程を含む、チップの製造方法が開示されている。
特開2013−079442号公報
しかし、これらのアイランド構造を有するチップでは金属粒子の大きさのばらつきが大きいことに起因して、吸光度スペクトルの幅が広くなり、狙いの波長での吸光度が小さくなり、LSPR(LSPR:Localized Surface Plasmon Resonance)による電場増強が、必ずしも十分に大きくなっていないという課題が
あった。
本発明の幾つかの態様に係る目的の1つは、基板上の金属粒子の粒子径を制御し、そのばらつきを抑えることにより、LSPRによる電場増強の良好な光学素子、及びその製造方法を提供することにある。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するために為されたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
本発明に係る光学素子の一態様は、基板上に金属を粒子状に堆積させる工程、及び、前記粒子状の金属を、炭素及びケイ素を含む化合物の存在下にて加熱する工程、を含んで製造される。
このような光学素子によれば、基板上の金属粒子の粒子径が制御され、粒子径のばらつきが抑制されているので、良好なLSPRによる電場増強を得ることができる。そのため、このような光学素子によれば、SERSを用いたセンサーチップとして好適に使用することができる。
本発明に係る光学素子において、前記炭素及びケイ素を含む化合物は、アルコキシ基、ハロゲン基、及び水酸基から選択される少なくとも1種の基を有してもよい。
このような光学素子によれば、基板上の金属粒子の粒子径のばらつきがさらに抑制されているので、さらに良好なLSPRによる電場増強を得ることができる。
このような光学素子によれば、可視光領域の波長の励起光によって、強いLSPRによる増強電場を形成することができる。
本発明に係る光学素子において、前記粒子状の金属を加熱する工程では、前記金属を80℃以上150℃以下に加熱してもよい。
本発明に係る光学素子において、前記金属を堆積させる工程は、成膜装置により行われてもよく、前記成膜装置の堆積速度を0.1Å/秒以上0.5Å/秒以下、堆積時間を100秒以上3000秒以下で行われてもよい。
本発明に係る光学素子の一態様は、基板と、前記基板上に粒子状に堆積された金属を、炭素及びケイ素を含む化合物の存在下にて加熱して形成された金属粒子と、を含み、前記金属粒子の平均粒子径が40nm以上70nm以下であり、前記基板の表面の面積に対する前記金属粒子の占有面積率が30%以上60%以下であり、前記金属粒子の粒子径のばらつきが0.3以下の変動係数を有する。
このような光学素子によれば、基板上の金属粒子の平均粒子径、占有面積率及び粒子径のばらつきが適切であるので、良好なLSPRによる電場増強を得ることができる。そのため、このような光学素子によれば、SERSを用いたセンサーチップとして好適に使用することができる。
本発明に係る光学素子において、前記金属粒子の平均粒子径が51nm以上58nm以下であってもよく、前記基板の表面の面積に対する前記金属粒子の占有面積率が50%以上55%以下であってもよく、前記金属粒子の粒子径のばらつきが0.25以上0.3以下の変動係数を有してもよい。
本発明に係る光学素子において、前記金属は、銀であってもよい。
本発明に係る光学素子の製造方法の一態様は、基板上に金属を粒子状に堆積させる工程と、前記粒子状の金属を、炭素及びケイ素を含む化合物の存在下にて加熱する工程と、を含む。
このような製造方法によれば、基板上の金属粒子の粒子径が制御され、粒子径のばらつきが抑制され、良好なLSPRによる電場増強を形成しうる光学素子を容易に製造することができる。
基板及び基板上に粒子状に堆積された金属の断面の模式図。 実施形態に係る光学素子の要部の断面の模式図。 変動係数が吸光度の波長依存性に与える影響を説明するための模式図。 実施例に係る粒子状の銀及び銀粒子のSEM観察結果。 実施例に係る処理前基板と処理後基板の吸収スペクトル。 実施例に係る処理前基板と処理後基板のアデニン及びピリジンのSERSスペクトル。 実施例に係るアデニンのSERS強度に対する金属粒子の平均粒子径、占有面積率及び粒子径の変動係数のプロット。
以下に本発明のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
1.光学素子の製造方法
本実施形態の光学素子の製造方法は、基板上に金属を粒子状に堆積させる工程と、粒子状の金属を、炭素及びケイ素を含む化合物の存在下にて加熱する工程と、を含む。図1は、基板1上に金属が粒子状に堆積された状態の断面の模式図である。図2は、粒子状の金属10を炭素及びケイ素を含む化合物の存在下にて加熱することにより、金属粒子20が形成された状態の断面の模式図である。
1.1.基板上に金属を粒子状に堆積させる工程
基板1上に金属を粒子状に堆積させる工程は、例えば、真空蒸着装置、スパッタ装置等の成膜装置を用いて行われる。以下、光学素子100、基板1、粒子状の金属10、及び成膜条件の順に説明する。
1.1.1.光学素子
本実施形態の製造方法によって製造される光学素子の一例である光学素子100について説明する。図2に示すように、光学素子100は、基板1と、基板1の表面上に形成された金属粒子20と、を含む。
光学素子100は、基板1と、基板1の表面上に形成された金属粒子20と、を含み、本実施形態の製造方法によって、後述する平均粒子径、占有面積率、及び粒子径のばらつきの変動係数を有する構造が形成される結果、SERS等の局在型表面プラズモン共鳴(LSPR:Surface Plasmon Resonance)による電場増強効果を利用した様々な分析法に適用することができる。
より具体的には、光学素子100は、金属粒子20が形成された基板1の表面に対して励起光が照射されることにより、金属粒子20の近傍にLSPRを発生させることができる。光学素子100に照射される励起光は、特に限定されないが、例えば350nm以上1000nm以下であり、より具体的には532nm、633nm、785nmである。また、励起光に含まれる光の波長の分布は、広くても狭くても(例えば、単波長でも)よい。
金属粒子20又はその近傍に標的物質が吸着した状態で励起光を照射すると、標的物質の振動エネルギーの分だけ、励起光の波長からずれた波長の光(ラマン散乱光)が散乱される。係る散乱は、表面増強ラマン散乱(SERS:Surface Enhanced
Raman Scattering)であり、ラマン散乱光が102〜1014倍に増強される。そしてこのSERS光を分光処理することにより、標的物質の種類(分子種)に固有のスペクトル(指紋スペクトル)を高感度で得ることができる。標的物質としては、細菌、ウィルス、タンパク質、核酸、各種抗原・抗体などの生体関連物質や、無機分子、有機分子、高分子を含む各種の化合物が挙げられる。
例えば光学素子100の光の増強度を利用して、無機分子、有機分子、高分子等の各種の微量物質のラマン散乱光の増強に用いることができる。
光学素子100は、高い増強度を有するため、例えば、医療・健康、環境、食品、公安等の分野において、標的物質を高感度、高精度、迅速かつ簡便に検知するためのセンサーに用いることができる。
1.1.2.基板
本実施形態の製造方法において用いる基板1は、特に限定されない。基板1としては、例えば、ガラス基板、シリコン基板、樹脂基板などが挙げられる。基板1は、少なくともその表面が絶縁性であることが好ましい。また、基板1は、複数の層が積層された構造を有してもよい。
複数の層が積層された基板1の例としては、ガラス基板上に金属層が形成され、該金属層上に誘電体層が形成されたものが挙げられ、この場合の基板1の表面は、誘電体層とすることができる。この例においては、金属層は、例えば、銀、金、アルミニウム、銅、白金、及びそれらの合金等により形成されることができる。また、誘電体層は、例えば、SiO2、Al23、TiO2、高分子、ITO(Indium Tin Oxide)などで形成されることができる。この例における金属層及び誘電体層の厚さは任意であるが、伝搬型プラズモン共鳴(PSPR)や干渉効果を考慮して設計することができる。基板1に、このような複数層の積層構造を採用する場合には、光学素子100において、局在型プラズモンのみならず、伝搬型プラズモンや干渉効果を利用した電場の増強が得られる場合がある。
粒子状の金属10が設けられる基板1表面の平面的な形状は特に限定されない。粒子状の金属10が設けられる基板1表面は、凹凸を有してもよいが、後述する加熱工程において良好な構造変化や占有面積率を達成する観点から、平面であることがより好ましい。
ここで、平面との表現を用いているが、係る表現は、表面が、わずかの凹凸もなく平坦(スムース)な数学的に厳密な平面を指すものではない。例えば、表面には、構成する原子に起因する凹凸や、構成する物質の二次的な構造(結晶、粒塊、粒界等)に起因する凹凸などが存在する場合が有り、微視的にみれば厳密な平面ではない場合がある。しかし、そのような場合でも、より巨視的な視点でみれば、これらの凹凸は目立たなくなり、表面
を平面と称しても差し支えない程度に観測される。したがって、本明細書では、このようなより巨視的な視点でみた場合に平面と認識できれば、これを平面と称することとする。
また、本明細書では、基板1の粒子状の金属10や金属粒子20が形成される面の法線方向あるいは基板1の厚さ方向を、粒子状の金属10や金属粒子20について述べる場合において、厚さ方向、高さ方向等と称する場合がある。また、基板1、粒子状の金属10及び金属粒子20を平面的に見る(平面視する)とは、当該厚さ方向、高さ方向に沿う方向から見ることを指す。
1.1.3.粒子状の金属
本工程において堆積される粒子状の金属10は、平面的に見た場合に、円形、楕円形、多角形、不定形又はそれらを組合わせた形状であることができる。図1に示すように、粒子状の金属10は、基板1の表面に、いわゆるアイランド状に形成される。そのため、平面的に見た場合に、隣り合う粒子状の金属10の間には基板1の表面が露出する状態となる。
粒子状の金属10は、例えば、銀、金、アルミニウム、銅、白金、及びそれらの合金等により形成されることができる。これらの材質のうち、金属粒子20となった場合に、可視光領域の光の照射により局在型プラズモン共鳴(LSPR)を生じることができる点で、粒子状の金属10の材質は、銀、金であることがより好ましい。
粒子状の金属10は、平面的に見た場合に、2nm以上70nm未満の平均粒子径を有する。係る平均粒子径は、SEM(Scanning Electron Microscope)や、TEM(Transmission Electron Microscope)などを用い、画像処理等の定法により求めることができる。なお、平均粒子径は、画像処理等により得られる平均円相当径としてもよい。粒子状の金属10の高さ方向の大きさ(高さ)は、特に限定されず、例えば、1nm以上60nm以下とすることができる。
そして、粒子状の金属10は、後述する「1.2.金属粒子を炭素及びケイ素を含む化合物の存在下にて加熱する工程」を経ることにより、金属粒子20となる。
1.1.4.成膜条件
基板1上に粒子状の金属10を形成する工程は、例えば、真空蒸着装置、スパッタ装置等の成膜装置を用いて行われる。成膜装置は、物理蒸着及び化学蒸着のいずれの態様であってもよい。成膜装置としては、例えば、半導体の製造に一般的に用いられる装置を適用してもよい。
本工程は、成膜装置を用いて基板1上に、金属を堆積させることにより行われる。本工程では、基板1上に金属の膜が形成されるよりも少ない量の金属を堆積させる。
一般に成膜装置は、堆積速度なる特性を有している。成膜装置の堆積速度(成膜速度)は、例えば、成膜の対象物に対して金属を膜状に堆積させて、特定の厚さに堆積させるまでに要する時間(堆積時間)を測定して求めることができる。金属の膜が形成されるよりも少ない量の金属が堆積される際の堆積速度は、前述のようにして膜が形成される状態で求められた堆積速度に相当する。堆積速度は、装置の種類や各種の条件によって変更することができる。
本工程は、基板1上に金属10を粒子状に形成できる範囲で行われる。本工程において設定される条件としては、堆積速度、堆積時間、基板温度、チャンバー内圧力、基板の種
類、金属の種類等が挙げられる。基板1上に粒子状の金属10を形成するために設定されるこれらの条件は、互いに相関している。装置の条件の設定範囲の例としては、堆積速度は0.01Å/秒以上1000Å/秒以下、堆積時間は0.1秒以上3600秒以下、基板温度は−100℃以上1000℃以下、チャンバー内圧力は10-9Pa以上10-3Pa以下とすることができる。
平均粒子径として2nm以上70nm未満の値を有する粒子状の金属10を形成するためには、上記各種の条件のうち、堆積速度を0.1Å/秒以上0.5Å/秒以下、堆積時間を100秒以上3000秒以下とすることにより、その他の条件について広い範囲を選択することができる。
以上のようにして基板1上に金属10を粒子状に堆積させることができる。
1.2.粒子状の金属を炭素及びケイ素を含む化合物の存在下にて加熱する工程
本実施形態の光学素子100の製造方法は、上述のようにして基板1上に形成された粒子状の金属10を、炭素及びケイ素を含む化合物の存在下にて加熱する工程を含む。
1.2.1.炭素及びケイ素を含む化合物
炭素及びケイ素を含む化合物としては、ケイ素(Si)原子と炭素(C)原子とが直接結合した有機シラン化合物、及び、ケイ素(Si)原子と炭素(C)原子とが、酸素(O)原子、硫黄(S)原子、窒素(N)原子、リン(P)原子等を介して結合した有機シラン化合物が挙げられる。
炭素及びケイ素を含む化合物は、ケイ素原子に結合する基として、アルコキシ基、ハロゲン基、及び水酸基を少なくとも1つ有してもよい。さらに、炭素及びケイ素を含む化合物は、これらの基の他に、ケイ素原子に対して、アルキル基、アルケニル基、アリール基等が少なくとも一つ結合した構造を有してもよい。またこれらの基は、分岐を有しても有さなくてもよく、置換でも非置換でもよい。さらに、炭素及びケイ素を含む化合物は、シロキサン結合、ケイ素−ケイ素結合等により複数のケイ素が含まれてもよい。
炭素及びケイ素を含む化合物の具体例としては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジエトキシシラン、t−アミルメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビス−o−トリルジメトキシシラン、ビス−m−トリルジメトキシシラン、ビス−p−トリルジメトキシシラン、ビス−p−トリルジエトキシシラン、ビスエチルフェニルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、tert−ブチルトリエトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、iso−ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエ
トキシシラン、クロルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、2−ノルボルナントリメトキシシラン、2−ノルボルナントリエトキシシラン、2−ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、トリメチルフエノキシシラン、メチルトリアリルオキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシシ
ラン)、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルテトラエトキシジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、ヘキサプロピルジシロキサン、ヘキサフェニルジシロキサン、ナトリウムメチルシリコネートなどが挙げられる。
1.2.2.炭素及びケイ素を含む化合物の存在下での加熱
本工程は、粒子状の金属10が形成された基板1を、密閉空間に配置し、粒子状の金属10及び基板1の粒子状の金属10が設けられた面に対して炭素及びケイ素を含む化合物が接触する状態で行われる。密閉空間としては、特に限定されない。密閉空間としては、上述の粒子状の金属10を形成する工程で使用した成膜装置のチャンバーを用いてもよい。また、密閉空間を形成しうる密閉容器を用いてもよい。
密閉空間に、粒子状の金属10が形成された基板1と、炭素及びケイ素を含む化合物とを導入する(導入順序は限定されない。)ことによって、粒子状の金属10及び基板1の粒子状の金属10が設けられた面に対して炭素及びケイ素を含む化合物を接触させることができる。この状態における密閉空間の圧力は、特に限定されず、例えば、10-2Pa以上106Pa以下とすることができる。また、加熱・冷却により、密閉空間の圧力は変動してもよい。
密閉空間内には、炭素及びケイ素を含む化合物以外に他の物質が存在してもよい。そのような他の物質としては、窒素、酸素、二酸化炭素、水等の大気に含まれる成分、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス、及びそれらの混合物などが挙げられる。なお、密閉空間内に水(水蒸気)が存在すると、炭素及びケイ素を含む化合物と水とが反応し、本工程に支障が生じることがあるため、窒素置換等により密閉空間内の水分量はできるだけ除去したほうがよい。
密閉空間内に導入される炭素及びケイ素を含む化合物の量は、粒子状の金属10の量や、基板1の粒子状の金属10が設けられた面の面積等に応じて適宜選択されるが、これらに対して過剰な量が導入されてもよい。このようにすれば、確実に粒子状の金属10及び基板1の表面に対して炭素及びケイ素を含む化合物を接触させることができる。
本工程では、粒子状の金属10及び基板1の粒子状の金属10が設けられた面に対して炭素及びケイ素を含む化合物を接触させた状態で、粒子状の金属10及び基板1を、80℃以上150℃以下の温度に加熱する。粒子状の金属10及び基板1が加熱される温度(到達温度)が80℃未満であると、粒子状の金属10又は基板1の粒子状の金属10が設けられた面と、炭素及びケイ素を含む化合物と、の反応が生じにくい場合があり、金属粒子20を形成できなくなる場合がある。また、粒子状の金属10及び基板1が加熱される温度(到達温度)が150℃よりも高いと、炭素及びケイ素を含む化合物の分解が生じることがあり、金属粒子20を形成できなくなる場合がある。
本工程の加熱時間は、粒子状の金属10及び/又は基板1の粒子状の金属10が設けられた面と炭素及びケイ素を含む化合物との反応が生じる範囲であれば限定されず、反応が終了するまでの時間より長くても短くてもよい。発明者らは、加熱時間を1.5時間〜3時間とすれば、金属粒子20を得るのに充分であることを確認している。
具体的な加熱方法としては、真空チャンバーを用いる場合には、加熱機構により基板1を加熱して、基板1及び粒子状の金属10を当該温度に加熱することができる。また、密閉容器を用いる場合には、密閉容器全体を加熱できる恒温槽に密閉容器を導入して加熱することにより、粒子状の金属10及び基板1を当該温度に加熱することができる。
本工程において、粒子状の金属10及び/又は基板1の表面と、炭素及びケイ素を含む
化合物との反応が生じ、粒子状の金属10は、金属粒子20に変化する。なお、本工程において、基板1の表面及び粒子状の金属10のいずれか一方と、炭素及びケイ素を含む化合物とが反応してもよいし、両者と反応してもよい。
1.2.3.金属粒子
本工程によって形成される金属粒子20は、粒子状の形状を有する。金属粒子20は、平面的に見た場合に、円形、楕円形、多角形、不定形又はそれらを組合わせた形状であることができる。金属粒子20は、基板1の表面に、いわゆるアイランド状に形成される。そのため、平面的に見た場合に、隣り合う金属粒子20の間には基板1の表面(又は反応後の表面)が露出する状態となる。
金属粒子20は、粒子状の金属10に採用した金属と、炭素及びケイ素を含む化合物との反応生成物を含む材質により形成されてもよい。この場合には、金属粒子20は、粒子状の金属10に採用した金属を核とし、反応生成物を殻とする構造であってもよい。粒子状の金属10の材質として銀、金を採用した場合には、金属粒子20は、可視光領域の光の照射によりLSPRを生じることができる。
本工程の反応により生じた金属粒子20は、反応前の粒子状の金属10に比較して、平均粒子径が大きくなり、各粒子の粒子径のばらつきが小さくなっている。
1.2.4.金属粒子の構造
本工程を経て形成される金属粒子20は、平面的に見た場合に、40nm以上70nm以下、好ましくは45nm以上65nm以下、より好ましくは50nm以上60nm以下、特に好ましくは51nm以上58nm以下の平均粒子径(平均粒子直径)を有する。本工程を経て形成された金属粒子20は、本工程を経る前の粒子状の金属10の平均粒子径よりも大きい平均粒子径を有する。金属粒子20の高さ方向の大きさ(高さ)は、特に限定されず、例えば、1nm以上70nm以下とすることができる。
また本工程を経ると、基板1上の金属粒子20は、30%以上60%以下の占有面積率となる。ここで占有面積率とは、平面視において、金属粒子20の面積が、基板1の金属粒子20が形成された部分の面積に対して占める割合である。本工程を経ることにより、金属粒子20の占有面積率は、本工程を経る前の基板1上の粒子状の金属10の占有面積率よりも小さくなる。すなわち、本工程によって粒子状の金属10が金属粒子20に変化する際に、基板1上での配置、形状、構造等も変化して、基板1の表面(又は基板1の反応後の表面)の露出面積が増大する。
本工程により、金属粒子20の占有面積率を小さくすることができるため、粒子間の間隔が広くなり、標的物質をその間隙に入り込みやすくすることができる。金属粒子20の粒子間の間隙は、LSPRの強度が大きいため、電場増強度が高い、いわゆるホットスポットである。そのため、本工程を経ることにより、ホットスポットへの標的物質の接近が容易になり、例えば、標的物質のラマン散乱光をより強く増強することができるようになる。占有面積率が小さすぎると、金属粒子20間の間隔が広がりすぎるため、粒子間相互作用によるLSPRの強い増強電場効果が得られなくなる場合があり、この観点からすると、金属粒子20の占有面積率は、30%以上60%以下がより好ましく、50%以上55%以下がさらに好ましい。
さらに、本工程を経ることにより、基板1上の金属粒子20の粒子径のばらつきは、0.3以下(30%以下)の変動係数となる。ここで、変動係数(CV:Coefficient of Variation)とは、下記式(1)で表される。
また、算術平均の粒子径及び粒子径(分布)の標準偏差は、それぞれ下記式(2)及び式(3)で表される。
ここで、χiは、i番目の粒子の粒子径、nは、粒子の数を表す。金属粒子20の粒子径(直径)は、SEMや、TEMなどを用い、画像処理等の定法により求めることができる。なお、粒子径は、画像処理等により得られる円相当径(円相当直径)としてもよい。また、これらの値を求める際には、nは、好ましくは30以上、より好ましくは50以上、さらに好ましくは100以上である。
図3は、変動係数が吸光度の波長依存性に与える影響を説明するための模式図である。図3(a)に示すように、変動係数が大きい、すなわち、粒子径のばらつきが大きい場合には、各金属粒子20による吸光スペクトル(図中細線)の分布が波長に対して広くなる。これに対して図3(b)に示すように、変動係数が小さい、すなわち、粒子径のばらつきが小さい場合には、各金属粒子20による吸光スペクトル(図中細線)の分布が波長に対して狭くなる。
これにより、基板1上の金属粒子20全体による吸光スペクトル(図中太線)は、変動係数が大きい場合(図3(a))に比べて、変動係数が小さい場合(図3(b))のほうが、シャープ(半値幅が小さい)であり、かつ吸光度の最大値が大きくなる。吸光度が高いほど、その波長で励起されるLSPRの電場増強度が大きいと考えられる。そのため、変動係数が小さい場合に、励起波長及び平均粒子径を適切に選ぶことにより、さらに大きいLSPRによる増強電場を得ることができる。換言すると、本工程を経ることにより、金属粒子20の粒子径が揃い、粒子径のばらつきが小さくなったことで、特定の波長でのLSPRによる電場増強が向上する。
なお、変動係数が小さいと、ある波長でのLSPRによる増強度は大きくなるが、ばらつきが小さすぎると、LSPRの吸光度が、励起光又はラマン散乱光の波長から外れやすくなる。そのため、ある程度のばらつきを有するほうが好ましい場合がある。したがって、基板1上の金属粒子20の粒子径の変動係数は、0.15以上0.3以下(15%以上30%以下)がより好ましく、0.25以上0.3以下(25%以上30%以下)がさらに好ましい。
1.3.作用効果
本実施形態の光学素子の製造方法は、基板1上に金属10を粒子状に堆積する工程と、粒子状の金属10を、炭素及びケイ素を含む化合物の存在下にて加熱する工程と、を含むことにより、基板1上の金属粒子20の粒子径が制御され、粒子径のばらつきが抑制された光学素子100を容易に製造することができる。
また、本実施形態の製造方法によって製造された光学素子100は、基板1上に形成された金属粒子20が、40nm以上70nm以下の平均粒子径、30%以上60%以下の占有面積率、及び、0.3以下の粒子径の変動係数を有するため、LSPRによる高い電場増強度を発現することができる。これにより、各種の微量標的物質のラマン散乱光を増強することができ、標的物質を高感度、高精度、迅速かつ簡便に検知するためのセンサーに用いることができる。
2.実施例
以下に幾つかの実施例を示し、本発明をさらに説明するが、本発明は以下の例によってなんら限定されるものではない。
図4は、ガラス基板上に銀を粒子状に堆積させた状態(a)の一例、及び、(a)の粒子状の銀を、デシルトリメトキシシランの存在下、100℃で3時間加熱した状態(b)の一例をSEM観察した結果を示している。
粒子状の銀は、ガラス基板(厚さ0.2mm、大きさ10mm×10mm)に銀を堆積速度0.2Å/秒で500秒(粒子状でなく膜状に形成されると仮定した場合に10nmの厚みに相当する。)間、蒸着して形成した。蒸着装置は、ビームトロン社製、UHV蒸着成膜装置を用いた。基板温度は25℃とし、チャンバー内圧力は4.0×10-5Paとした。
得られたガラス基板の銀が堆積された面をSEM観察したところ、図4(a)に示すように、ガラス基板上に平面視による粒子径(直径)が数十nm程度の銀がアイランド状に形成されていた(以下、この基板のことを「処理前基板1」という。)。このことから、基板上に金属を粒子状に堆積させる工程では、堆積速度は0.1Å/秒以上0.5Å/秒以下程度とし、堆積時間を100秒以上3000秒以下程度として金属を堆積させることにより、アイランド状に配置された金属が得られることがわかる。
なお、図4(a)の銀が堆積されたガラス基板(処理前基板1)に、銀が堆積された面側から、可視光領域(633nm)の波長のレーザー光を照射したところ、局在表面プラズモン共鳴(LSPR)が励起され、粒子状の銀の間で強い電場増強が生成することを確認した。
このようにして得られた粒子状の銀が配置されたガラス基板(処理前基板)を、窒素雰囲気とした密閉容器(容積0.2L)に入れ、デシルトリメトキシシランを20μL加えて密閉した。そして密閉容器を100℃に設定した恒温槽に導入し、3時間加熱した。
その後、得られたガラス基板上の銀粒子(金属粒子)が形成された面をSEMによって観察した結果を図4(b)に示す。デシルトリメトキシシランとともに加熱処理をしたことにより、銀粒子(金属粒子)の粒子径が、もとの粒子状の銀(図4(a))に比較してやや大きくなり、粒子径のばらつきが小さくなっている(以下、この基板のことを「処理後基板1」という。)。図4に示すSEM像から、各粒子の粒子径(直径)を求め、平均と標準偏差、変動係数を、上述の式(1)〜(3)を使って算出した。測定した粒子の数(n)は、いずれも100とした。また、1辺が1μmの正方形の区画を設定して、占有
面積率をそれぞれ求めた。
また、上記処理前基板1及び処理後基板1と同様にして、処理前基板2及び処理後基板2を作成した
処理前基板1、2及び処理後基板1、2のそれぞれの平均粒子径、占有面積率、変動係数の値を表1に示した。
表1をみると、デシルトリメトキシシランとともに加熱処理をしたことにより、処理後基板1では、銀粒子の平均粒子径が、処理前基板1の39.9nmから57.1nmへと大きくなっており、粒子径のばらつき具合を示す変動係数が、処理前基板1の35.9%から29.9%へと小さくなっていることがわかる。処理後基板1では、粒子径がそろい、ばらつきが小さくなったことで、特定の波長でのLSPRによる電場増強が向上していることが期待される。
同様に、デシルトリメトキシシランとともに加熱処理をしたことにより、処理後基板2では、銀粒子の平均粒子径が、処理前基板2の30.8nmから51.6nmへと大きくなっており、粒子径のばらつき具合を示す変動係数が、処理前基板2の56.7%から25.1%へと小さくなっていることがわかる。処理後基板2では、粒子径がそろい、ばらつきが小さくなったことで、特定の波長でのLSPRによる電場増強が向上していることが期待される。
また基板面積に対する銀(粒子状の銀及び銀粒子)の占有面積率は、処理前基板1、2がそれぞれ74.4%、64.2%であるのに対し、処理後基板1、2ではそれぞれ54.2%、54.3%となっている。粒子(金属粒子)間の間隔がやや広がったとことにより、物質が電場増強の強い部位(ホットサイト)に入りやすい構造に変化したと考えられる。
図5に処理前基板1と処理後基板1の吸収スペクトルを示す(白色光源を用いた。)。吸光度が高いほど、その波長で励起されるLSPRの電場増強度が大きいと考えられる。処理後基板1は、処理前基板1に比べて400nm〜700nmにかけて吸光度が大きくなっており、LSPRによる電場増強が大きいことが期待できる。
次に、処理後基板1でLSPRによる増強度が向上しているかどうかをSERS測定により調べた。標的分子として、アデニン、ピリジンを用いた。アデニン測定用の試料とし
ては、7.4×10-7mol/Lのアデニンの水溶液を基板上に滴下し、乾燥させた基板を用いた。また、ピリジンの測定は、ピリジン飽和蒸気を基板に曝露させながらSERS測定を行った。測定条件は、波長632.8nmのレーザー光をアデニンの測定では、強度2mWを10秒間露光、ピリジンの測定では強度0.5mWを30秒間露光して測定した。
ピリジンの測定は、処理前基板1及び処理後基板1に対してそれぞれ行い、アデニンの測定は、処理前基板1、2及び処理後基板1、2に対してそれぞれ行った。図6は、処理前基板1、処理後基板1のそれぞれに対する、アデニン(a)及びピリジン(b)のSERSスペクトルである。また、各基板で観測されたSERS強度を表1に併記した。
処理前基板に比較して処理後基板では、アデニン、ピリジン共にSERS強度が大幅に向上した。アデニンでは処理前基板1、2の480カウント、530カウントから処理後基板1、2の1950カウント、2200カウントと、4倍程度向上し、ピリジンでは処理前基板1の1060カウントから処理後基板1の20280カウントと、20倍程度向上した。
これらの結果は、デシルトリメトキシシラン(炭素及びケイ素を含む化合物)の存在下で加熱処理することにより、銀粒子のアイランド構造が構造変化し、粒子径が大きくなり、粒子径のばらつきが減ったために、波長633nmの励起光でのLSPRの電場強度が向上したためと考えられる。
図7は、上記のアデニンのSERS測定に関して、アデニンのSERS強度と、粒子状の銀又は銀粒子の平均粒子径(a)、占有面積率(b)、及び変動係数(c)をプロットしたグラフである。図7(a)をみると、銀粒子の平均粒子径が40nm以上で急激にSERS強度が増大することが分かった。また、銀粒子の平均粒子径が51nm以上58nm以下で大きいSERS強度が得られることが確認できた。図7(b)をみると、銀粒子の占有面積率が60%以下で急激にSERS強度が増大することが分かった。また、銀粒子の占有面積率が50%以上55%以下で大きいSERS強度が得られることが確認できた。図7(c)をみると、銀粒子の粒子径の変動係数が0.3(30%)以下で急激にSERS強度が増大することが分かった。また、銀粒子の粒子径の変動係数が0.25(25%)以上0.3(30%)以下で大きいSERS強度が得られることが確認できた。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1…基板、10…粒子状の金属、20…金属粒子、100…光学素子

Claims (8)

  1. 基板上に金属を粒子状に堆積させる工程、及び、前記粒子状の金属を、炭素及びケイ素を含む化合物の存在下にて加熱する工程、を含んで製造された、光学素子。
  2. 請求項1において、
    前記炭素及びケイ素を含む化合物は、アルコキシ基、ハロゲン基、及び水酸基から選択される少なくとも1種の基を有する、光学素子。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    前記粒子状の金属を加熱する工程では、前記金属を80℃以上150℃以下に加熱する、光学素子。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
    前記金属を堆積させる工程は、
    成膜装置により行われ、
    前記成膜装置の堆積速度を0.1Å/秒以上0.5Å/秒以下、堆積時間を100秒以上3000秒以下で行われる、光学素子。
  5. 基板と、
    前記基板上に粒子状に堆積された金属を、炭素及びケイ素を含む化合物の存在下にて加熱して形成された金属粒子と、
    を含み、
    前記金属粒子の平均粒子径が40nm以上70nm以下であり、
    前記基板の表面の面積に対する前記金属粒子の占有面積率が30%以上60%以下であり、
    前記金属粒子の粒子径のばらつきが0.3以下の変動係数を有する、光学素子。
  6. 請求項5において、
    前記金属粒子の平均粒子径が51nm以上58nm以下であり、
    前記基板の表面の面積に対する前記金属粒子の占有面積率が50%以上55%以下であり、
    前記金属粒子の粒子径のばらつきが0.25以上0.3以下の変動係数を有する、光学素子。
  7. 請求項1又は請求項2において、
    前記金属は、銀である、光学素子。
  8. 基板上に金属を粒子状に堆積させる工程と、
    前記粒子状の金属を、炭素及びケイ素を含む化合物の存在下にて加熱する工程と、
    を含む、光学素子の製造方法。
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