JP2015110379A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】蓄電器の劣化を抑制しながら、第1及び第2電動機を適切に制御することができ、それにより、車輪のトルクの変動を防止することができるハイブリッド車両の制御装置を提供する。
【解決手段】蓄電器から出力される出力電力を、所定の第1電力ELMT1以下に制限する第1制限制御と、所定期間内に、出力電力を第1電力ELMT1よりも大きい所定の第2電力ELMT2以下に制限する第2制限制御と、が選択的に実行される。また、第1制限制御の実行中に、第1及び第2電動機が第1電力ELMT1に基づいて制御され、第2制限制御の実行中に、第1電動機が第2電力ELMT2に基づいて制御されるとともに、第2電動機が第1電力ELMT1に基づいて制御される。
【選択図】図8
【解決手段】蓄電器から出力される出力電力を、所定の第1電力ELMT1以下に制限する第1制限制御と、所定期間内に、出力電力を第1電力ELMT1よりも大きい所定の第2電力ELMT2以下に制限する第2制限制御と、が選択的に実行される。また、第1制限制御の実行中に、第1及び第2電動機が第1電力ELMT1に基づいて制御され、第2制限制御の実行中に、第1電動機が第2電力ELMT2に基づいて制御されるとともに、第2電動機が第1電力ELMT1に基づいて制御される。
【選択図】図8
Description
本発明は、動力源としての内燃機関、内燃機関に機械的に連結された第1電動機、車輪に機械的に連結された第2電動機、ならびに、第1及び第2電動機に電気的に接続された蓄電器を備えるハイブリッド車両の制御装置に関する。
従来、この種のハイブリッド車両の制御装置として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。このハイブリッド車両では、第1電動機が、インナーロータ及びアウターロータを有する発電可能な2ロータタイプの電動機で構成されており、このインナーロータが内燃機関のクランク軸に、アウターロータが車両の駆動輪に、それぞれ機械的に連結されている。また、第2電動機が、一般的なワンロータタイプの発電可能な電動機で構成されており、そのロータが、第1電動機のアウターロータを介して、駆動輪に機械的に連結されている。さらに、第1及び第2電動機は、電気回路を介して、充放電可能なバッテリに電気的に接続されている。
この従来の制御装置では、ハイブリッド車両の運転モードとして複数の運転モードが設定されており、第1及び第2電動機の出力トルクの指令値が、設定された運転モードに基づいて設定されるとともに、設定された第1及び第2電動機の出力トルクの指令値に基づいて、バッテリの出力要求が算出される。また、算出されたバッテリの出力要求が瞬時出力よりも大きいときには、出力要求が瞬時出力になるように、第1及び第2電動機の出力トルクの指令値が補正される。
上記の瞬時出力は、バッテリが瞬時的に出力可能な最大出力であり、検出されたバッテリの温度などに応じて、定格出力よりも大きな値に算出される。また、上記の第1及び第2電動機の出力トルクの指令値の補正は、その開始から出力可能時間が経過するまでの間、実行され、この出力可能時間は、バッテリの温度などに応じて算出される。以上により、この従来の制御装置では、バッテリが劣化するのを防止しながら、その性能を十分に発揮させるようにしている。
上述したように、従来の制御装置では、バッテリの出力電力の制限値が、一時的に、その定格出力よりも大きな瞬時出力に設定される。このため、この制限値の持替えに伴い、駆動輪に連結された第1及び第2電動機に供給される電力が一時的に変化する場合があり、その場合には、それにより駆動輪のトルクが変動するおそれがある。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、蓄電器の劣化を抑制しながら、第1及び第2電動機を適切に制御することができ、それにより、車輪のトルクの変動を防止することができるハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、動力源としての内燃機関3、内燃機関3に機械的に連結された第1電動機(実施形態における(以下、本項において同じ)フロントモータ4)、車輪(左後輪WRL、右後輪WRR)を駆動するために車輪に機械的に連結された第2電動機(第1リヤモータ41、第2リヤモータ61)、ならびに、第1及び第2電動機に電気的に接続された蓄電器(バッテリ92)を備えるハイブリッド車両Vの制御装置1であって、第1及び第2電動機を制御する電動機制御手段(ECU2、PDU91、図9、図10)と、蓄電器から入出力される電力を制御する電力制御手段(ECU2、PDU91、図8〜図10)と、を備え、電力制御手段は、蓄電器から出力される出力電力を、所定の第1電力(第1上限電力ELMT1)以下に制限する第1制限制御と、所定期間内に、出力電力を第1電力よりも大きい所定の第2電力(第2上限電力ELMT2)以下に制限する第2制限制御と、を選択的に実行し(図8〜図10)、電動機制御手段は、電力制御手段による第1制限制御の実行中に、第1及び第2電動機を第1電力に基づいて制御し(図9のステップ12、図10のステップ23)、第2制限制御の実行中に、第1電動機を第2電力に基づいて制御するとともに、第2電動機を第1電力に基づいて制御する(図9のステップ13、図10のステップ23)ことを特徴とする。
この構成によれば、蓄電器から出力される出力電力を所定の第1電力以下に制限する第1制限制御と、所定期間内に、出力電力を所定の第1電力よりも大きい所定の第2電力以下に制限する第2制限制御とが、電力制御手段によって選択的に実行される。このように、出力電力を制限する制限値として、第1電力と、より大きな第2電力が設定されており、この第2電力を制限値とする第2制限制御を所定期間内に限定して実行するので、蓄電器の劣化を抑制することができる。
また、電動機が、電力制御手段による第1制限制御の実行中には第1電力に基づいて、第2制限制御の実行中には第2電力に基づいて、電動機制御手段により制御される。これにより、蓄電器から第1電動機に電力を十分に供給でき、第1電動機を適切に制御することができる。さらに、第1及び第2制限制御の実行中のいずれにおいても、車輪を駆動するための第2電動機が、電動機制御手段により、第1電力に基づいて制御される。したがって、前述した従来の場合と異なり、蓄電器の出力電力の制限値の持替えに伴って第2電動機への供給電力が一時的に変化するようなことがないので、第2電動機を適切に制御することができ、それにより、車輪のトルクの変動を防止することができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のハイブリッド車両Vの制御装置1において、電動機制御手段は、第1電動機を第1電動機が発生又は消費する電力の目標値である目標電力に基づいて制御する電力基準制御(図9のステップ12)と、第1電動機を第1電動機の回転数の目標値である目標回転数に基づいて制御する回転数基準制御(ステップ13)と、を選択的に実行し、電力制御手段は、電動機制御手段による電力基準制御の実行中に、第1制限制御を実行し(図8のステップ3、4、図9のステップ12、図10のステップ23)、電動機制御手段が回転数基準制御を実行している期間を所定期間として、第2制限制御を実行する(図8のステップ6、7、図9のステップ13、図10のステップ23)ことを特徴とする。
この構成によれば、第1電動機を第1電動機が発生又は消費する電力の目標値である目標電力に基づいて制御する電力基準制御と、第1電動機を第1電動機の回転数の目標値である目標回転数に基づいて制御する回転数基準制御とが、電動機制御手段によって選択的に実行される。また、電動機制御手段による電力基準制御の実行中に、第1制限制御が実行されるとともに、電動機制御手段が回転数基準制御を実行している期間を所定期間として、第2制限制御が実行される。このため、この回転数基準制御の実行期間が比較的短い場合には、前述した請求項1に係る発明による効果、すなわち、蓄電器の劣化を抑制することができるという効果を有効に得ることができる。
前記の目的を達成するために、請求項3に係る発明は、動力源としての内燃機関3、内燃機関3に機械的に連結された第1電動機(実施形態における(以下、本項において同じ)フロントモータ4)、車輪(左後輪WRL、右後輪WRR)を駆動するために車輪に機械的に連結された第2電動機(第1リヤモータ41、第2リヤモータ61)、ならびに、第1及び第2電動機に電気的に接続された蓄電器(バッテリ92)を備えるハイブリッド車両Vの制御装置1であって、第1及び第2電動機を制御する電動機制御手段(ECU2、PDU91、図9、図10)と、蓄電器から出力される出力電力を所定の第1電力(第1上限電力ELMT1)以下に制限する第1制限制御を実行する第1制限手段(ECU2、PDU91、図8のステップ3、4、図9のステップ12、図10のステップ23)と、所定期間内に、出力電力を第1電力よりも大きい所定の第2電力(第2上限電力ELMT2)以下に制限する第2制限制御を実行する第2制限手段(ECU2、PDU91、図8のステップ6、7、図9のステップ13、図10のステップ23)と、を備え、電動機制御手段は、第1電動機が消費する電力を、第1及び第2電力の一方に基づいて制御し(図9)、第2電動機が消費する電力を第1電力に基づいて制御する(図10)ことを特徴とする。
この構成によれば、蓄電器から出力される出力電力を所定の第1電力以下に制限する第1制限制御が、第1制限手段によって実行されるとともに、所定期間内に、出力電力を第1電力よりも大きい所定の第2電力以下に制限する第2制限制御が、第2制限手段によって実行される。このように、請求項1に係る発明と同様、出力電力を制限する制限値として、第1電力と、より大きな第2電力が設定されており、この第2電力を制限値とする第2制限制御を所定期間内に限定して実行するので、蓄電器の劣化を抑制することができる。
また、電動機制御手段により、第1電動機が消費する電力を第1及び第2電力の一方に基づいて制御するので、第1電動機に電力を十分に供給でき、第1電動機を適切に制御することができる。さらに、電動機制御手段により、第2電動機が消費する電力を第1電力に基づいて制御するので、請求項1に係る発明と同様、蓄電器の出力電力の制限値の持替えに伴って第2電動機の消費電力が一時的に変化するようなことがないので、第2電動機を適切に制御することができ、それにより、車輪のトルクの変動を防止することができる。
請求項4に係る発明は、請求項3に記載のハイブリッド車両Vの制御装置1において、電動機制御手段は、第1電動機を第1電動機が発生又は消費する電力の目標値である目標電力に基づいて制御する電力基準制御(図9のステップ12)と、第1電動機を第1電動機の回転数の目標値である目標回転数に基づいて制御する回転数基準制御(ステップ13)と、を選択的に実行し、第1制限手段は、電動機制御手段による電力基準制御の実行中に、第1制限制御を実行し(図8のステップ3、4、図9のステップ12、図10のステップ23)、第2制限手段は、電動機制御手段が回転数基準制御を実行している期間を所定期間として、第2制限制御を実行する(図8のステップ6、7、図9のステップ13、図10のステップ23)ことを特徴とする。
この構成によれば、第1電動機を第1電動機が発生又は消費する電力の目標値である目標電力に基づいて制御する電力基準制御と、第1電動機を第1電動機の回転数の目標値である目標回転数に基づいて制御する回転数基準制御とが、電動機制御手段によって選択的に実行される。また、電動機制御手段による電力基準制御の実行中に、第1制限制御が実行されるとともに、電動機制御手段が回転数基準制御を実行している期間を所定期間として、第2制限制御が実行される。このため、この回転数基準制御の実行期間が比較的短い場合には、前述した請求項3に係る発明による効果、すなわち、蓄電器の劣化を抑制することができるという効果を有効に得ることができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1に示すハイブリッド車両Vは、左右の前輪WFL、WFR及び左右の後輪WRL、WRRを有する四輪車両であり、ハイブリッド車両Vには、左右の前輪WFL、WFRを駆動するための前輪駆動装置DFSと、左右の後輪WRL、WRRを駆動するための後輪駆動装置DRSが搭載されている。以下、左右の前輪WFL、WFR及び左右の後輪WRL、WRRをそれぞれ総称して、適宜「前輪WFL、WFR」及び「後輪WRL、WRR」という。
前輪駆動装置DFSは、本出願人による特許第5362792号に開示されたものと同じものであるので、以下、簡単に説明する。図2に示すように、前輪駆動装置DFSは、動力源としての内燃機関(以下「エンジン」という)3と、発電可能な電動機で構成されたフロントモータ4と、エンジン3及びフロントモータ4の動力をハイブリッド車両Vの前輪WFL、WFRに伝達するためのデュアルクラッチトランスミッションを有している。エンジン3は、複数の気筒を有するガソリンエンジンであり、クランク軸3aを有している。エンジン3の吸入空気量、燃料噴射量、燃料噴射時期及び点火時期などは、図4に示す制御装置1の後述するECU2によって制御される。周知のように、吸入空気量はスロットル弁(図示せず)を介して、燃料噴射量及び燃料噴射時期は燃料噴射弁(図示せず)を介して、点火時期は点火プラグ(図示せず)を介して、それぞれ制御される。
フロントモータ4は、ブラシレスDCモータであり、三相コイルなどで構成されたステータ4aと、磁石などで構成されたロータ4bを有している。ステータ4aは、ハイブリッド車両Vに固定されたケーシングCAに取り付けられるとともに、パワードライブユニット(以下「PDU」という)91を介して、充放電可能なバッテリ92に電気的に接続されている。このPDU91は、インバータなどの電気回路で構成されており、ECU2に電気的に接続されている(図4参照)。上記のロータ4bは、ステータ4aに対して回転自在である。
以上の構成のフロントモータ4では、ECU2によるPDU91の制御によって、バッテリ92からPDU91を介してステータ4aに電力が供給されると、それに伴い、この電力が動力に変換され、ロータ4bが回転する(力行)。この場合、ステータ4aに供給される電力が制御されることによって、ロータ4bの動力が制御される。また、ステータ4aへの電力供給を停止した状態で、動力の入力によりロータ4bが回転しているときに、ECU2によるPDU91の制御によって、ロータ4bに入力された動力が電力に変換され、発電が行われるとともに、発電した電力が、バッテリ92に充電されたり、後述する第1及び第2リヤモータ41、61に供給されたりする。
前記デュアルクラッチトランスミッションは、第1変速機構11及び第2変速機構31を有している。第1変速機構11は、入力された動力を、1速段、3速段、5速段及び7速段のうちの1つにより変速して前輪WFL、WFRに伝達するものであり、これらの1速段〜7速段の変速比は、その段数が大きいほど、より高速側に設定されている。具体的には、第1変速機構11は、エンジン3のクランク軸3aと同軸状に配置された第1クラッチC1、遊星歯車装置12、第1入力軸13、3速ギヤ14、5速ギヤ15、及び7速ギヤ16を有している。
第1クラッチC1は、湿式多板クラッチであり、ECU2による制御により、締結・解放され、締結状態では、クランク軸3aと第1入力軸13の一端部との間を接続する一方、解放状態では、両者3a、13の間を遮断する。遊星歯車装置12は、シングルピニオン式のものであり、サンギヤ12aと、リングギヤ12bと、両ギヤ12a、12bに噛み合う3つのピニオンギヤ12c(2つのみ図示)と、ピニオンギヤ12cを回転自在に支持する回転自在のキャリヤ12dとを有している。サンギヤ12aは、第1入力軸13の他端部に一体に取り付けられている。第1入力軸13の他端部にはさらに、前述したフロントモータ4のロータ4bが一体に取り付けられており、第1入力軸13、サンギヤ12a及びロータ4bは、互いに一体に回転自在である。
また、リングギヤ12bには、ブレーキBRが設けられている。このブレーキBRは、電磁式のものであり、ECU2によりON/OFFされ、ON状態のときに、リングギヤ12bを制動するとともに、OFF状態のときに、リングギヤ12bの回転を許容する。ブレーキBRの制動力は、ECU2により制御される。キャリヤ12dは、中空の回転軸17に一体に取り付けられている。3速ギヤ14は、回転軸17に一体に取り付けられており、回転軸17及びキャリヤ12dと一体に回転自在である。また、5速ギヤ15及び7速ギヤ16は、第1入力軸13に回転自在に設けられている。
また、第1入力軸13には、第1シンクロクラッチSC1及び第2シンクロクラッチSC2が設けられている。第1シンクロクラッチSC1は、スリーブS1a、シフトフォーク及びアクチュエータ(いずれも図示せず)を有している。第1シンクロクラッチSC1は、ECU2による制御により、スリーブS1aを第1入力軸13の軸線方向に移動させることによって、3速ギヤ14又は7速ギヤ16を、第1入力軸13に選択的に連結する。第2シンクロクラッチSC2は、第1シンクロクラッチSC1と同様に構成されており、ECU2による制御により、スリーブS2aを第1入力軸13の軸線方向に移動させることによって、5速ギヤ15を第1入力軸13に連結する。
また、3速ギヤ14、5速ギヤ15及び7速ギヤ16には、第1受動ギヤ18、第2受動ギヤ19及び第3受動ギヤ20がそれぞれ噛み合っており、これらの第1〜第3受動ギヤ18〜20は、第1入力軸13と平行に配置された出力軸21に一体に取り付けられている。出力軸21は、ギヤ21aやファイナルギヤFG、左右の前駆動軸SFL、SFRを介して、左右の前輪WFL、WFRに連結されている(図2には便宜上、右前駆動軸SFR及び右前輪WFRのみ図示)。
以上の構成の第1変速機構11では、遊星歯車装置12、3速ギヤ14及び第1受動ギヤ18によって1速段及び3速段のギヤ段が構成され、5速ギヤ15及び第2受動ギヤ19によって5速段のギヤ段が、7速ギヤ16及び第3受動ギヤ20によって7速段のギヤ段が、それぞれ構成されている。また、第1入力軸13に入力された動力は、これらの1速段、3速段、5速段及び7速段のうちの1つによって変速され、出力軸21、ギヤ21a、ファイナルギヤFG、及び左右の前駆動軸SFL、SFRを介して、前輪WFL、WFRに伝達される。
前述した第2変速機構31は、入力された動力を、2速段、4速段及び6速段のうちの1つにより変速して前輪WFL、WFRに伝達するものであり、これらの2速段〜6速段の変速比は、その段数が大きいほど、より高速側に設定されている。具体的には、第2変速機構31は、第2クラッチC2、第2入力軸32、第2入力中間軸33、2速ギヤ34、4速ギヤ35、及び6速ギヤ36を有しており、第2クラッチC2及び第2入力軸32は、クランク軸3aと同軸状に配置されている。
第2クラッチC2は、第1クラッチC1と同様、湿式多板クラッチであり、ECU2による制御によって、締結・解放され、締結状態では、クランク軸3aと第2入力軸32の一端部との間を接続する一方、解放状態では両者3a、32の間を遮断する。第2入力軸32は、中空状に形成されており、その他端部には、ギヤ32aが一体に取り付けられている。上記の第2入力中間軸33は、第2入力軸32及び前述した出力軸21と平行に配置されている。第2入力中間軸33には、ギヤ33aが一体に取り付けられており、ギヤ33aには、アイドラギヤ37が噛み合っている。アイドラギヤ37は、第2入力軸32のギヤ32aに噛み合っている。なお、図2では、図示の便宜上、アイドラギヤ37は、ギヤ32aから離れた位置に描かれている。第2入力中間軸33は、これらのギヤ33a、アイドラギヤ37及びギヤ32aを介して、第2入力軸32に連結されている。
2速ギヤ34、4速ギヤ35及び6速ギヤ36は、第2入力中間軸33に回転自在に設けられており、前述した第1受動ギヤ18、第2受動ギヤ19及び第3受動ギヤ20にそれぞれ噛み合っている。さらに、第2入力中間軸33には、第3シンクロクラッチSC3及び第4シンクロクラッチSC4が設けられている。両シンクロクラッチSC3及びSC4は、第1シンクロクラッチSC1と同様に構成されている。第3シンクロクラッチSC3は、ECU2による制御により、そのスリーブS3aを第2入力中間軸33の軸線方向に移動させることによって、2速ギヤ34又は6速ギヤ36を、第2入力中間軸33に選択的に連結する。第4シンクロクラッチSC4は、ECU2による制御により、そのスリーブS4aを第2入力中間軸33の軸線方向に移動させることによって、4速ギヤ35を第2入力中間軸33に連結する。
以上の構成の第2変速機構31では、2速ギヤ34及び第1受動ギヤ18によって2速段のギヤ段が構成され、4速ギヤ35及び第2受動ギヤ19によって4速段のギヤ段が、6速ギヤ36及び第3受動ギヤ20によって6速段のギヤ段が、それぞれ構成されている。また、第2入力軸32に入力された動力は、ギヤ32a、アイドラギヤ37及びギヤ33aを介して第2入力中間軸33に伝達され、第2入力中間軸33に伝達された動力は、これらの2速段、4速段及び6速段のうちの1つによって変速され、出力軸21、ギヤ21a、ファイナルギヤFG、及び左右の前駆動軸SFL、SFRを介して、左右の前輪WFL、WFRに伝達される。
また、デュアルクラッチトランスミッションは、ハイブリッド車両Vを後進させるべく、エンジン3の動力の回転方向を逆方向に変換して前輪WFL、WFRに伝達するためのリバース機構RAを有している。このリバース機構RAの説明については省略する。
図3に示すように、前記後輪駆動装置DRSは、第1リヤモータ41、第1遊星歯車装置51、第2リヤモータ61及び第2遊星歯車装置71を有している。これらの第1リヤモータ41、第1遊星歯車装置51、第2遊星歯車装置71、及び第2リヤモータ61は、左右の後輪WRL、WRRの間に、左側からこの順で並んでおり、左右の後駆動軸SRL、SRRと同軸状に設けられている。左右の後駆動軸SRL、SRRは、軸受け(図示せず)に回転自在に支持されるとともに、それらの一端部がそれぞれ、左右の後輪WRL、WRRに連結されている。
上記の第1リヤモータ41は、フロントモータ4と同様、いわゆるモータジェネレータとして構成されたブラシレスDCモータであり、ステータ42と、回転自在のロータ43を有している。ステータ42は、ハイブリッド車両Vに固定されたケーシングcaに取り付けられるとともに、前述したPDU91を介して、フロントモータ4のステータ4a及びバッテリ92に電気的に接続されている。ロータ43は、中空の回転軸44に一体に取り付けられている。回転軸44は、左後駆動軸SRLの外側に相対的に回転自在に配置されるとともに、軸受け(図示せず)に回転自在に支持されている。
第1リヤモータ41では、ECU2によるPDU91の制御によって、バッテリ92からの電力や、フロントモータ4で発電した電力が、PDU91を介してステータ42に供給されると、それに伴い、この電力が動力に変換され、ロータ43が回転する(力行)。この場合、ステータ42に供給される電力が制御されることによって、ロータ43の動力が制御される。また、ステータ42への電力供給を停止した状態で、動力の入力によりロータ43が回転しているときに、ECU2によるPDU91の制御によって、ロータ43に入力された動力が電力に変換され、発電が行われるとともに、発電した電力がバッテリ92に充電される。
第1遊星歯車装置51は、第1リヤモータ41の動力を減速して左後輪WRLに伝達するためのものであり、第1サンギヤ52、第1リングギヤ53、2連ピニオンギヤ54及び第1キャリヤ55を有している。第1サンギヤ52は、前述した回転軸44に一体に取り付けられており、第1リヤモータ41のロータ43と一体に回転自在である。第1リングギヤ53は、第1サンギヤ52よりも大きな歯数を有しており、中空の回転軸81に一体に取り付けられている。回転軸81は、軸受け(図示せず)に回転自在に支持されている。2連ピニオンギヤ54は、第1ピニオンギヤ54a及び第2ピニオンギヤ54bを一体に有しており、その数が3つ(2つのみ図示)である。また、2連ピニオンギヤ54は、第1キャリヤ55に回転自在に支持されており、その第1ピニオンギヤ54aが第1サンギヤ52に、第2ピニオンギヤ54bが第1リングギヤ53に、それぞれ噛み合っている。第1キャリヤ55は、左後駆動軸SRLの他端部に一体に取り付けられており、左後駆動軸SRLと一体に回転自在である。
第2リヤモータ61及び第2遊星歯車装置71は、第1リヤモータ41及び第1遊星歯車装置51とそれぞれ同様に構成されているため、以下、その構成について簡単に説明する。第2リヤモータ61及び第2遊星歯車装置71は、後述するワンウェイクラッチ83を中心として、第1リヤモータ41及び第1遊星歯車装置51と対称に設けられている。第2リヤモータ61のステータ62は、前記ケーシングcaに取り付けられるとともに、PDU91を介して、フロントモータ4のステータ4a、バッテリ92及び第1リヤモータ41のステータ42に電気的に接続されている。また、第2リヤモータ61のロータ63は、中空の回転軸64に一体に取り付けられている。回転軸64は、右後駆動軸SRRの外側に相対的に回転自在に配置されるとともに、軸受け(図示せず)に回転自在に支持されている。
第2リヤモータ61では、ECU2によるPDU91の制御によって、バッテリ92の電力や、フロントモータ4で発電した電力が、PDU91を介してステータ62に供給されると、それに伴い、この電力が動力に変換され、ロータ63が回転する(力行)。この場合、ステータ62に供給される電力が制御されることによって、ロータ63の動力が制御される。また、ステータ62への電力供給を停止した状態で、動力の入力によりロータ63が回転しているときに、ECU2によるPDU91の制御によって、ロータ63に入力された動力が電力に変換され、発電が行われるとともに、発電した電力がバッテリ92に充電される。
第2遊星歯車装置71は、第2リヤモータ61の動力を減速して右後輪WRRに伝達するためのものであり、第2サンギヤ72、第2リングギヤ73、2連ピニオンギヤ74及び第2キャリヤ75を有している。第2サンギヤ72、第2リングギヤ73及び2連ピニオンギヤ74の歯数は、第1サンギヤ52、第1リングギヤ53及び2連ピニオンギヤ54の歯数とそれぞれ同じに設定されている。
第2サンギヤ72は、前述した回転軸64に一体に取り付けられており、第2リヤモータ61のロータ63と一体に回転自在である。第2リングギヤ73は、第2サンギヤ72よりも大きな歯数を有しており、中空の回転軸82に一体に取り付けられている。回転軸82は、軸受け(図示せず)に回転自在に支持されており、前述した回転軸81と若干の隙間を存した状態で軸線方向に対抗している。2連ピニオンギヤ74は、第2キャリヤ75に回転自在に支持されており、その第1ピニオンギヤ74aが第2サンギヤ72に、第2ピニオンギヤ74bが第2リングギヤ73に、それぞれ噛み合っている。第2キャリヤ75は、右後駆動軸SRRの他端部に一体に取り付けられており、右後駆動軸SRRと一体に回転自在である。
後輪駆動装置DRSはさらに、ワンウェイクラッチ83及び油圧ブレーキ84を有している。ワンウェイクラッチ83は、インナーレース83a及びアウターレース83bを有しており、第1及び第2遊星歯車装置51、71の間に配置されている。なお、図3では、図示の便宜上、インナーレース83aが外側に、アウターレース83bが内側に、それぞれ描かれている。インナーレース83aは、前述した回転軸81、82に係合していて、それにより、インナーレース83a、回転軸81、82、第1及び第2リングギヤ53、73は、一体に回転自在である。また、アウターレース83bは、ケーシングcaに取り付けられている。ワンウェイクラッチ83は、回転軸81、82に逆転させる動力が伝達されたときには、回転軸81、82をケーシングcaに接続することによって、回転軸81、82、第1及び第2リングギヤ53、73の逆転を阻止する一方、回転軸81、82に正転させる動力が伝達されたときには、回転軸81、82とケーシングcaの間を遮断することによって、回転軸81、82、第1及び第2リングギヤ53、73の正転を許容する。
油圧ブレーキ84は、多板式のクラッチで構成されており、ケーシングca及び回転軸81、82に取り付けられるとともに、第1及び第2遊星歯車装置51、71の外周に配置されている。油圧ブレーキ84は、ECU2で制御されることにより、第1及び第2リングギヤ53、73を制動する制動動作と、第1及び第2リングギヤ53、73の回転を許容する回転許容動作とを、選択的に実行する。油圧ブレーキ84の制動力は、ECU2によって制御される。
また、ハイブリッド車両Vには、エアコンのコンプレッサなどから成る補機93と、12Vバッテリ(図示せず)が搭載されており、補機93はPDU91を介して、12VバッテリはDC/DCコンバータ(図示せず)を介して、フロントモータ4のステータ4a及びバッテリ92に電気的に接続されている。補機93には、フロントモータ4で発電した電力や、バッテリ92の電力が供給され、補機93に供給される電力は、ECU2により、PDU91を介して制御される。
さらに、図4に示すように、ECU2には、クランク角センサ101から、CRK信号が入力される。このCRK信号は、エンジン3のクランク軸3aの回転に伴い、所定のクランク角ごとに出力されるパルス信号である。ECU2は、このCRK信号に基づき、エンジン3の回転数(以下「エンジン回転数」という)NEを算出する。また、ECU2には、モータ回転数センサ102から、フロントモータ4の回転数(以下「フロントモータ回転数」という)NFMを表す検出信号が、電流電圧センサ103から、バッテリ92に入出力される電流・電圧値を表す検出信号が、入力される。ECU2は、この検出信号に基づいて、バッテリ92の充電状態SOCを算出する。
さらに、ECU2には、アクセル開度センサ104からハイブリッド車両Vのアクセルペダル(図示せず)の踏み込み量であるアクセル開度APを表す検出信号が、車輪速センサ105から、前輪WFL、WFRの回転数(以下「前輪回転数」という)NWF及び後輪WRL、WRRの回転数(以下「後輪回転数」という)NWRを表す検出信号が、入力される。ECU2は、検出された前輪回転数NWF及び後輪回転数NWRに基づいて、ハイブリッド車両Vの車速VPを算出する。また、ECU2には、勾配センサ106から、ハイブリッド車両Vが走行している路面の傾斜角を表す検出信号が入力される。
ECU2は、I/Oインターフェース、CPU、RAM及びROMなどからなるマイクロコンピュータで構成されており、上述した各種のセンサ101〜106からの検出信号に応じ、ROMに記憶された制御プログラムに従って、ハイブリッド車両Vの動作を制御する。
以上の構成の前輪駆動装置DFSの動作モードには、エンジン3のみをハイブリッド車両Vの動力源として用いるENG走行モードと、フロントモータ4のみを動力源として用いるEV走行モードと、エンジン3をフロントモータ4でアシストするアシスト走行モードと、エンジン3の動力の一部を用いてフロントモータ4でバッテリ92を充電する充電走行モードと、車両Vの減速走行中の走行エネルギを用いてフロントモータ4でバッテリ92を充電する減速回生モードなどが含まれる。各動作モードにおける前輪駆動装置DFSの動作は、ECU2によって制御される。また、この前輪駆動装置DFSの動作は、前記特許第5362792号に開示されているので、以下、これらを代表して、ENG走行モードのみについて簡単に説明する。
[ENG走行モード]
ENG走行モードでは、エンジン3の燃料噴射量、燃料噴射時期及び点火時期を制御することによって、エンジン3の動力(以下「エンジン動力」という)が制御される。また、エンジン動力は、第1又は第2変速機構11、31により変速され、左右の前輪WFL、WFRに伝達される。なお、ENG走行モード中、エンジン動力の一部を用いたフロントモータ4の発電は行われない。
ENG走行モードでは、エンジン3の燃料噴射量、燃料噴射時期及び点火時期を制御することによって、エンジン3の動力(以下「エンジン動力」という)が制御される。また、エンジン動力は、第1又は第2変速機構11、31により変速され、左右の前輪WFL、WFRに伝達される。なお、ENG走行モード中、エンジン動力の一部を用いたフロントモータ4の発電は行われない。
まず、第1変速機構11により1速段、3速段、5速段及び7速段のうちの1つでエンジン動力を変速する場合の動作について、順に説明する。この場合、上記のいずれの変速段においても、第1クラッチC1を締結状態に制御することによって、第1入力軸13とクランク軸3aの間を接続するとともに、第2クラッチC2を解放状態に制御することによって、クランク軸3aと第2入力軸32の間を遮断する。
1速段の場合には、ブレーキBRをON状態に制御することによって、リングギヤ12bを回転不能に保持するとともに、第1及び第2シンクロクラッチSC1、SC2によって、第1入力軸13に対する3速ギヤ14、5速ギヤ15及び7速ギヤ16の連結を解除する。
以上により、エンジン動力は、第1クラッチC1、第1入力軸13、サンギヤ12a、ピニオンギヤ12c、キャリヤ12d、回転軸17、3速ギヤ14及び第1受動ギヤ18を介して、出力軸21に伝達され、さらにギヤ21a、ファイナルギヤFG及び左右の前駆動軸SFL、SFRを介して、左右の前輪WFL、WFRに伝達される。その際、エンジン動力は、サンギヤ12aとリングギヤ12bとの歯数比と、3速ギヤ14と第1受動ギヤ18との歯数比とに応じた変速比で減速された後、出力軸21に伝達される。その結果、エンジン動力は、上記の2つの歯数比に応じて定まる1速段の変速比で変速され、左右の前輪WFL、WFRに伝達される。
3速段の場合には、ブレーキBRをOFF状態に制御することによって、リングギヤ12bの回転を許容するとともに、第1及び第2シンクロクラッチSC1、SC2の制御によって、3速ギヤ14のみを第1入力軸13に連結する。
以上により、エンジン動力は、第1入力軸13から3速ギヤ14及び第1受動ギヤ18を介して、出力軸21に伝達される。この場合、上記のように3速ギヤ14が第1入力軸13に連結されているため、サンギヤ12a、キャリヤ12d及びリングギヤ12bは一体に回転する。このため、3速段の場合には、1速段の場合と異なり、エンジン動力は、遊星歯車装置12で減速されることなく、3速ギヤ14と第1受動ギヤ18との歯数比に応じて定まる3速段の変速比で変速され、左右の前輪WFL、WFRに伝達される。なお、5速段及び7速段の場合の動作は、3速段の場合の動作と基本的には同様であるので、その詳細な説明を省略する。
次に、エンジン動力を第2変速機構31により2速段、4速段及び6速段のうちの1つで変速する場合の動作について、簡単に説明する。この場合、これらのいずれの変速段においても、第1クラッチC1を解放状態に制御することによって、クランク軸3aと第1入力軸13の間を遮断するとともに、第2クラッチC2を締結状態に制御することによって、第2入力軸32とクランク軸3aの間を接続する。
2速段の場合には、第3及び第4シンクロクラッチSC3、SC4の制御によって、2速ギヤ34のみを第2入力中間軸33に連結する。これにより、エンジン動力は、第2クラッチC2、第2入力軸32、ギヤ32a、アイドラギヤ37、ギヤ33a、第2入力中間軸33、2速ギヤ34及び第1受動ギヤ18を介して、出力軸21に伝達され、さらにギヤ21a、ファイナルギヤFG及び左右の前駆動軸SFL、SFRを介して、左右の前輪WFL、WFRに伝達される。その際、エンジン動力は、2速ギヤ34と第1受動ギヤ18との歯数比に応じて定まる2速段の変速比で変速され、左右の前輪WFL、WFRに伝達される。なお、4速段及び6速段の場合の動作は、2速段の場合の動作と基本的には同様であるので、その詳細な説明を省略する。
また、後輪駆動装置DRSの動作モードには、駆動モード、回生モード及び左右輪トルク差モードなどが含まれる。各動作モードにおける後輪駆動装置DRSの動作は、ECU2によって制御される。以下、これらの動作モードについて順に説明する。
[駆動モード]
この駆動モードは、左右の後輪WRL、WRRを第1及び第2リヤモータ41、61の動力で駆動する動作モードである。駆動モードでは、第1及び第2リヤモータ41、61で力行を行うとともに、両者41、61に供給される電力を制御する。また、左右の後輪WRL、WRRを正転させる場合には、第1及び第2リヤモータ41、61のロータ43、63を正転させるとともに、油圧ブレーキ84で第1及び第2リングギヤ53、73を制動する。図5は、駆動モード中、左右の後輪WRL、WRRを正転させた場合における各種の回転要素の間の回転数の関係及びトルクの釣合関係の一例を示している。
この駆動モードは、左右の後輪WRL、WRRを第1及び第2リヤモータ41、61の動力で駆動する動作モードである。駆動モードでは、第1及び第2リヤモータ41、61で力行を行うとともに、両者41、61に供給される電力を制御する。また、左右の後輪WRL、WRRを正転させる場合には、第1及び第2リヤモータ41、61のロータ43、63を正転させるとともに、油圧ブレーキ84で第1及び第2リングギヤ53、73を制動する。図5は、駆動モード中、左右の後輪WRL、WRRを正転させた場合における各種の回転要素の間の回転数の関係及びトルクの釣合関係の一例を示している。
前述した各種の回転要素の間の連結関係から明らかなように、第1サンギヤ52の回転数は、第1リヤモータ41(ロータ43)の回転数と等しく、第1キャリヤ55の回転数は、左後輪WRLの回転数と、第1リングギヤ53の回転数は、第2リングギヤ73の回転数と、それぞれ等しい。また、第2サンギヤ72の回転数は、第2リヤモータ61(ロータ63)の回転数と等しく、第2キャリヤ75の回転数は、右後輪WRRの回転数と等しい。また、周知のように、第1サンギヤ52の回転数、第1キャリヤ55の回転数及び第1リングギヤ53の回転数は、共線図において、互いに同じ一つの直線上に位置する共線関係にあり、第1サンギヤ52及び第1リングギヤ53は、第1キャリヤ55の両外側に位置する。このことは、第2サンギヤ72、第2キャリヤ75及び第2リングギヤ73についても同様に当てはまる。
以上から、各種の回転要素の間の回転数の関係は、図5に示す共線図のように表される。なお、同図及び後述する他の共線図では、値0を示す横線から縦線上の白丸までの距離が、各回転要素の回転数に相当する。また、図5において、TM1は、力行に伴って発生する第1リヤモータ41の出力トルク(以下「第1リヤモータ力行トルク」という)であり、TM2は、力行に伴って発生する第2リヤモータ61の出力トルク(以下「第2リヤモータ力行トルク」という)である。また、RRLは、左後輪の反力トルクであり、RRRは、右後輪WRRの反力トルク、ROWは、ワンウェイクラッチ83の反力トルクである。
前述したように、ワンウェイクラッチ83は、第1及び第2リングギヤ53、73の逆転を阻止するように構成されている。また、図5から明らかなように、第1リヤモータ力行トルクTM1は、第1サンギヤ52を正転させるように作用するとともに、第1リングギヤ53を逆転させるように作用する。以上により、第1リヤモータ力行トルクTM1は、第1リングギヤ53に作用するワンウェイクラッチ83の反力トルクROWを反力とし、第1キャリヤ55及び左後駆動軸SRLを介して、左後輪WRLに伝達され、その結果、左後輪WRLが駆動される。同様に、第2リヤモータ力行トルクTM2は、第2リングギヤ73に作用するワンウェイクラッチ83の反力トルクROWを反力とし、第2キャリヤ75及び右後駆動軸SRRを介して、右後輪WRRに伝達される。その結果、右後輪WRRが駆動される。
[回生モード]
この回生モードは、ハイブリッド車両Vの減速走行中などに、ハイブリッド車両Vの走行エネルギを用いて第1及び第2リヤモータ41、61で発電(回生)を行うとともに、回生した電力をバッテリ92に充電する動作モードである。回生モードでは、第1及び第2リヤモータ41、61で回生する電力を制御するとともに、油圧ブレーキ84で第1及び第2リングギヤ53、73を制動する。図6は、回生モードにおける各種の回転要素の間の回転数の関係及びトルクの釣合関係を示している。同図において、BM1は、回生に伴って発生する第1リヤモータ41の出力(制動)トルク(以下「第1リヤモータ回生トルク」という)であり、BM2は、回生に伴って発生する第2リヤモータ61の出力(制動)トルク(以下「第2リヤモータ回生トルク」という)である。また、TRLは、左駆動輪WRLの慣性トルクであり、TRRは、右駆動輪WRRの慣性トルク、RBRは、前述したように油圧ブレーキ84の反力トルクである。
この回生モードは、ハイブリッド車両Vの減速走行中などに、ハイブリッド車両Vの走行エネルギを用いて第1及び第2リヤモータ41、61で発電(回生)を行うとともに、回生した電力をバッテリ92に充電する動作モードである。回生モードでは、第1及び第2リヤモータ41、61で回生する電力を制御するとともに、油圧ブレーキ84で第1及び第2リングギヤ53、73を制動する。図6は、回生モードにおける各種の回転要素の間の回転数の関係及びトルクの釣合関係を示している。同図において、BM1は、回生に伴って発生する第1リヤモータ41の出力(制動)トルク(以下「第1リヤモータ回生トルク」という)であり、BM2は、回生に伴って発生する第2リヤモータ61の出力(制動)トルク(以下「第2リヤモータ回生トルク」という)である。また、TRLは、左駆動輪WRLの慣性トルクであり、TRRは、右駆動輪WRRの慣性トルク、RBRは、前述したように油圧ブレーキ84の反力トルクである。
図6から明らかなように、第1及び第2サンギヤ52、72にそれぞれ伝達された第1及び第2リヤモータ回生トルクBM1、BM2は、油圧ブレーキ84の反力トルクRBRを反力として、第1及び第2キャリヤ55、75にそれぞれ伝達され、さらに、左右の後駆動軸SRL、SRRを介して、左右の後輪WRL、WRRに伝達される。その結果、左右の後輪WRL、WRRが制動される。
[左右輪トルク差モード]
この左右輪トルク差モードは、ハイブリッド車両Vの旋回時に、左右の後輪WRL、WRRにトルク差を生じさせる動作モードである。左右輪トルク差モードでは、第1及び第2リヤモータ41、61の一方で力行を、他方で回生を行い、一方に供給される電力及び他方で回生する電力を制御するとともに、油圧ブレーキ84で第1及び第2リングギヤ53、73を制動する。図7は、第1リヤモータ41で力行を行うとともに、第2リヤモータ61で回生を行った場合における各種の回転要素の間の回転数の関係及びトルクの釣合関係を示している。同図における各種のパラメータは、図5及び図6を参照して説明したとおりである。
この左右輪トルク差モードは、ハイブリッド車両Vの旋回時に、左右の後輪WRL、WRRにトルク差を生じさせる動作モードである。左右輪トルク差モードでは、第1及び第2リヤモータ41、61の一方で力行を、他方で回生を行い、一方に供給される電力及び他方で回生する電力を制御するとともに、油圧ブレーキ84で第1及び第2リングギヤ53、73を制動する。図7は、第1リヤモータ41で力行を行うとともに、第2リヤモータ61で回生を行った場合における各種の回転要素の間の回転数の関係及びトルクの釣合関係を示している。同図における各種のパラメータは、図5及び図6を参照して説明したとおりである。
図7と、これまでの説明から明らかなように、第1リヤモータ力行トルクTM1が、第1遊星歯車装置51を介して左後輪WRLに伝達されることにより、左後輪WRLが駆動されるとともに、第2リヤモータ回生トルクBM2が、第2遊星歯車装置71を介して右後輪WRRに伝達されることにより、右後輪WRRが制動される。その結果、左右の後輪WRL、WRRの間で逆方向のトルクが発生し、ハイブリッド車両Vに右回りのヨーモーメントが発生する。
上記とは逆に、第1リヤモータ41で回生を、第2リヤモータ61で力行を、それぞれ行った場合には、ハイブリッド車両Vに左回りのヨーモーメントが発生する。
また、前輪駆動装置DFS及び後輪駆動装置DRS全体の動作モードとして、全輪駆動モードが設定されている。この全輪駆動モードは、ハイブリッド車両Vのすべての車輪WFL、WFR、WRL、WRRを駆動する動作モードである。全輪駆動モードにおける前輪駆動装置DFS及び後輪駆動装置DRSの動作は、ECU2によって制御される。
全輪駆動モードによる動作は、ハイブリッド車両Vのスリップ時や、加速時、登坂走行中に実行される。スリップ時か否かの判定は、検出された前輪回転数NWFと後輪回転数NWRとの差異などに基づいて行われる。また、加速時か否かの判定は、検出されたアクセル開度APに基づいて行われる。さらに、登坂走行中か否かの判定は、検出された路面の傾斜角に基づいて行われる。また、全輪駆動モードでは、基本的には、エンジン動力の一部を用いてフロントモータ4で発電が行われるとともに、発電した電力が、補機93、第1及び第2リヤモータ41、61に供給される。
これにより、エンジン動力の一部は、フロントモータ4で一旦、電力に変換され、PDU91を介して、第1及び第2リヤモータ41、61に供給されるとともに、両モータ41、61で動力に変換された状態で後輪WRL、WRRに伝達される。このように、エンジン3から後輪WRL、WRRへの動力の伝達は、一旦、電力に変換してから、動力に戻して伝達する、いわゆる電気パスによって行われる。また、エンジン動力の残りは、前述した第1又は第2変速機構11、31を介して、変速した状態で前輪WFL、WFRに伝達される。以下、第1及び第2リヤモータ41、61を総称して、適宜「リヤモータ41、61」という。
全輪駆動モード中、エンジン3、フロントモータ4及びリヤモータ41、61は、前輪WFL、WFR及び後輪WRL、WRRの全体に伝達される駆動力が後述する全輪要求駆動力PAWREQになるように、協調制御される。全輪駆動モード中、より具体的には、エンジン動力は、次のようにして制御される。すなわち、まず、算出された車速VP及びアクセル開度APに応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって、前輪WFL、WFR及び後輪WRL、WRRの全体を駆動するために要求される全輪要求駆動力PAWREQを算出する。次いで、算出された全輪要求駆動力PAWREQに、値1.0よりも小さい所定の後輪配分比率を乗算することによって、後輪WRL、WRRを駆動するために要求される後輪要求駆動力PRWREQを算出する。次に、算出された後輪要求駆動力PRWREQに基づき、所定のマップ(図示せず)を検索することによって、リヤモータ41、61に供給される電力の目標値であるリヤモータ目標電力ERMOBJを算出する。これにより、リヤモータ目標電力ERMOBJは、リヤモータ41、61から後輪WRL、WRRに伝達される駆動力が後輪要求駆動力PRWREQになるように、算出される。
次いで、後述するようにして、補機93に供給される電力である補機必要電力EACを算出するとともに、電気パス損失電力EEPを算出する。次に、算出されたリヤモータ目標電力ERMOBJ、補機必要電力EAC及び電気パス損失電力EEPの和を、フロントモータ要求電力EFMREQとして算出する。次いで、算出されたフロントモータ要求電力EFMREQに基づき、所定のマップ(図示せず)を検索することによって、フロントモータ要求駆動力PFMREQを算出する。これにより、フロントモータ要求駆動力PFMREQは、フロントモータ要求電力EFMREQを動力に換算した値に算出される。
次に、全輪要求駆動力PAWREQに、所定の前輪配分比率を乗算することによって、前輪WFL、WFRを駆動するために要求される前輪要求駆動力PFWREQを算出する。この前輪配分比率は、値1.0から前記後輪配分比率を減算した値に設定されている。以上により、前輪要求駆動力PFWREQと後輪要求駆動力PRWREQの和は、全輪要求駆動力PAWREQと等しくなる。次いで、算出されたフロントモータ要求駆動力PFMREQ及び前輪要求駆動力PFWREQの和を、エンジン3に要求される駆動力であるエンジン要求駆動力PENREQとして算出する。次に、算出されたエンジン要求駆動力PENREQに基づき、エンジン3の吸入空気量や燃料噴射量を制御することによって、エンジン動力が、エンジン要求駆動力PENREQになるように制御される。
また、前記補機必要電力EAC及び電気パス損失電力EEPは、次のようにして算出される。すなわち、全輪駆動モード中に補機93に供給される電力は、上述したように、エンジン動力の一部を用いてフロントモータ4で発電した電力である。補機必要電力EACは、補機93に供給される電力であり、センサ(図示せず)で検出された補機93のON/OFF状態に基づいて算出される。また、前述した電気パスでは、動力の伝達が、一旦、電力に変換してから、動力に戻して行われるため、フロントモータ4で動力が電力に変換される際の損失(発電効率)と、変換した電力がPDU91を介してリヤモータ41、61に供給される際の損失(電力伝達効率)と、リヤモータ41、61に供給された電力が動力に変換される際の損失(力行効率)とが、発生する。電気パス損失電力EEPは、これらの損失を電力に換算した値であり、リヤモータ目標電力ERMOBJに応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって算出される。
なお、全輪駆動モード中、算出されたバッテリ92の充電状態SOCが所定値よりも小さいときには、エンジン動力の一部を用いてフロントモータ4で発電した電力の一部をバッテリ92に充電するために、この充電分の電力が、前記フロントモータ要求電力EFMREQにさらに加算される。また、全輪駆動モード中、ハイブリッド車両Vの加速時や登坂走行中で、それにより全輪要求駆動力PAWREQが比較的大きいときには、リヤモータ41、61に、フロントモータ4で発電した電力に加え、バッテリ92の電力を供給することによって、リヤモータ41、61でエンジン3がアシストされる。この場合には、バッテリ92からリヤモータ41、61に供給される電力分が、フロントモータ要求電力EFMREQから減算される。さらに、全輪駆動モード中、全輪要求駆動力PAWREQが非常に大きいときには、フロントモータ4で発電せずに、エンジン動力の全部が前輪WFL、WFRに伝達されるとともに、バッテリ92の電力のみをリヤモータ41、61に供給することによって、リヤモータ41、61でエンジン3がアシストされる。
次に、図8を参照しながら、バッテリ92から入出力される入出力電力(以下「バッテリ入出力電力」という)を制限するための入出力電力制限処理について説明する。本処理は、ECU2によって、所定の制御周期(例えば10msec)で繰り返し実行される。まず、図8のステップ1(「S1」と図示。以下同じ)では、充電状態SOCに応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって、第1上限電力ELMT1を算出する。第1上限電力ELMT1は、バッテリ92の劣化を回避しながら、バッテリ92から入出力することが可能なバッテリ入出力電力の上限値であり、上記のマップでは、第1上限電力ELMT1として、バッテリ92への電力の入力(充電)時用の第1上限電力と、出力時用の第1上限電力が設定されている。また、このマップでは、充電状態SOCが大きいほど、電力の入力時用の第1上限電力は、より小さな値に設定されており、電力の出力時用の第1上限電力は、より大きな値に設定されている。
次いで、回転数基準制御フラグF_NMFCOが「1」であるか否かを判別する(ステップ2)。この回転数基準制御フラグF_NMFCOは、後述するフロントモータ4の回転数基準制御の実行中であることを「1」で表すものである。なお、フロントモータ4の制御として、この回転数基準制御と、後述する電力基準制御が、選択的に実行される。このステップ2の答えがNO(F_NMFCO=0)で、フロントモータ4の回転数基準制御の実行中でないとき、すなわち、フロントモータ4の電力基準制御の実行中であるときには、フロントモータ4の制御に用いられるバッテリ入出力電力の上限値であるFM制御用バッテリ上限電力FECOLMTを、前記ステップ1で算出された第1上限電力ELMT1に設定する(ステップ3)。次いで、リヤモータ41、61の制御に用いられるバッテリ入出力電力の上限値であるRM制御用バッテリ上限電力RECOLMTを、第1上限電力ELMT1に設定し(ステップ4)、本処理を終了する。
一方、上記ステップ2の答えがYESで、フロントモータ4の回転数基準制御の実行中であるときには、充電状態SOCに応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって、第2上限電力ELMT2を算出する(ステップ5)。この第2上限電力ELMT2は、比較的短い所定時間内に、バッテリ92の劣化を回避しながら、バッテリ92から入出力することが可能なバッテリ入出力電力の上限値であり、上記のマップでは、第2上限電力ELMT2として、バッテリ92への電力の入力時用の第2上限電力と、出力時用の第2上限電力が設定されている。また、このマップでは、充電状態SOCが大きいほど、電力の入力時用の第2上限電力はより大きな値に、電力の出力時用の第2上限電力はより小さな値に、それぞれ設定されており、第2上限電力ELMT2は、全体として、第1上限電力ELMT1よりも大きな値に設定されている。
次いで、FM制御用バッテリ上限電力FECOLMTを、上記ステップ5で算出された第2上限電力ELMT2に設定する(ステップ6)とともに、RM制御用バッテリ上限電力RECOLMTを、第1上限電力ELMT1に設定し(ステップ7)、本処理を終了する。
以上のように、本処理によれば、フロントモータ4の電力基準制御の実行中には、FM制御用バッテリ上限電力FECOLMT及びRM制御用バッテリ上限電力RECOLMTの双方が、第1上限電力ELMT1に設定される(ステップ3、4)。また、回転数基準制御の実行中には、FM制御用バッテリ上限電力FECOLMTが、より大きな第2上限電力ELMT2に設定される(ステップ6)とともに、RM制御用バッテリ上限電力RECOLMTが、第1上限電力ELMT1に設定される(ステップ7)。
次に、図9を参照しながら、フロントモータ4を制御するための処理について説明する。本処理は、ECU2によって、前記制御周期で繰り返し実行される。まず、図9のステップ11では、前述した回転数基準制御フラグF_NMFCOが「1」であるか否かを判別する。この答えがNOのとき(F_NMFCO=0)、すなわち、電力基準制御の実行中であるときには、図8のステップ3で第1上限電力ELMT1に設定されたFM制御用バッテリ上限電力FECOLMTに基づいて、フロントモータ4の電力基準制御を実行し(ステップ12)、本処理を終了する。この電力基準制御では、フロントモータ4が発生(発電)又は消費(力行)する電力が、その目標値であるフロントモータ目標電力EFMOBJになるように、また、バッテリ入出力電力がFM制御用バッテリ上限電力FECOLMT以下になるように、PDU91が制御される。以下、各種の動作モードにおけるフロントモータ目標電力EFMOBJの算出手法について説明する。
前述した前輪駆動装置DFSの動作モードであるEV走行モード中には、フロントモータ目標電力EFMOBJは、フロントモータ4から前輪WFL、WFRに伝達される動力が前輪要求駆動力PFWREQになるように、算出される。この前輪要求駆動力PFWREQは、車速VP及びアクセル開度APに応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって算出される。アシスト走行モード中には、最良な燃費が得られるように制御されるエンジン動力の前輪要求駆動力PFWREQに対する不足分を補う(力行)ように、フロントモータ目標電力EFMOBJは算出される。また、充電走行モード中には、最良な燃費が得られるように制御されるエンジン動力の前輪要求駆動力PFWREQに対する余剰分を消費する(発電)ように、フロントモータ目標電力EFMOBJは算出される。
さらに、全輪駆動モード中には、前述したように、エンジン動力の一部を用いて、フロントモータ4で発電が行われ、発電した電力が、補機93やリヤモータ41、61に供給されるとともに、エンジン動力の残りが前輪WFL、WFRに伝達される。以上から、全輪駆動モード中には、フロントモータ目標電力EFMOBJは、次のようにして算出される。すなわち、まず、前述したようにして前輪要求駆動力PFWREQを算出するとともに、算出された前輪要求駆動力PFWREQを、前述したエンジン要求駆動力PENREQから減算することによって、フロントモータ目標駆動力PFMOBJを算出する。次いで、フロントモータ目標駆動力PFMOBJに基づき、所定のマップ(図示せず)を検索することによって、フロントモータ目標電力EFMOBJが算出される。これにより、フロントモータ目標電力EFMOBJは、フロントモータ目標駆動力PFMOBJを電力に換算した値に算出される。
また、全輪駆動モードなどの各種の動作モードにおいて、フロントモータ目標電力EFMOBJは、バッテリ入出力電力がFM制御用バッテリ上限電力FECOLMT以下になるように、補正(制限)される。例えば、EV走行モード中には、フロントモータ目標電力EFMOBJは次のように補正される。すなわち、EV走行モード中には、バッテリ92からフロントモータ4及び補機93に電力が供給(消費)されるため、FM制御用バッテリ上限電力FECOLMTと、フロントモータ4に供給される電力XSと、補機93に供給される電力Lとの間に、FECOLMT≧XS+Lが成立するように、フロントモータ目標電力EFMOBJが補正される。
この補正にあたり、FM制御用バッテリ上限電力FECOLMTと対比される、フロントモータ4に供給される電力XSとして、補正前のフロントモータ目標電力EFMOBJが用いられるとともに、補機93に供給される電力Lとして、前述した補機必要駆動力PACに基づいて所定のマップ(図示せず)を検索することで算出された補機必要電力が、用いられる。このことは、後述する全輪駆動モード中におけるフロントモータ目標電力EFMOBJの補正についても、同様に当てはまる。以上により、バッテリ92から出力(供給)される電力が、FM制御用バッテリ上限電力FECOLMT(=ELMT1)以下になるように制限される。
また、例えば、全輪駆動モード中には、フロントモータ目標電力EFMOBJは次のように補正(制限)される。すなわち、全輪駆動モード中、前述したようにフロントモータ4で発電した電力が、バッテリ92、補機93、リヤモータ41、61に供給される場合には、FM制御用バッテリ上限電力FECOLMTと、フロントモータ4で発電する電力XJと、補機93に供給される電力Lと、リヤモータ41、61に供給される電力Yとの間に、FECOLMT≧XJ−L−Yが成立するように、フロントモータ目標電力EFMOBJが補正される。この補正にあたり、FM制御用バッテリ上限電力FECOLMTと対比される、リヤモータ41、61に供給される電力Yとして、後述するリヤモータ目標電力ERMOBJが用いられる。以上により、バッテリ92に入力(充電)される入力電力が、FM制御用バッテリ上限電力FECOLMT(=ELMT1)以下になるように制限される。なお、この場合、バッテリ92への入力電力を制限する状況にあることから、後述するリヤモータ41、61の制御において、リヤモータ41、61に供給される電力Yとして用いられるリヤモータ目標電力ERMOBJは、補正(制限)されない。
一方、前記ステップ11の答えがYES(F_NMFCO=1)で、回転数基準制御の実行中であるときには、図8のステップ6で第2上限電力ELMT2に設定されたFM制御用バッテリ上限電力FECOLMTに基づいて、回転数基準制御を実行し(ステップ13)、本処理を終了する。この回転数基準制御は、前述したエンジン3を動力源として用いる全輪駆動モードなどにおける第1変速機構11の変速段の変更中に、ブレーキBRによるリングギヤ12bの制動や、第1シンクロクラッチSC1などの各種のシンクロクラッチによる各種のギヤの連結をスムーズに行うために、実行されるものである。また、回転数基準制御は、エンジン3の運転状態に応じて変速要求が発生したときに開始され、その後、変速先の変速段に対応するギヤの連結が完了したときに終了される。
さらに、回転数基準制御では、検出されたフロントモータ回転数NFMがその目標回転数になるように、また、バッテリ入出力電力がFM制御用バッテリ上限電力FECOLMT(=ELMT2)以下になるように、フロントモータ4で発生(回生)又は消費(力行)する電力が、PDU91を介して制御される。この目標回転数は、変速先の変速段に対応するギヤの回転数が、このギヤが連結される連結対象の回転数と等しくなるように、算出される。例えば、変速段を1速段にシフトダウンする場合には、リングギヤ12bがケーシングCAに連結されるので、リングギヤ12bの回転数が値0になるように、サンギヤ12aとリングギヤ12bのギヤ比や、前輪回転数NWF、変速前の変速段のギヤ比などに応じて、目標回転数が算出される。また、変速段を3速段にシフトアップする場合には、3速ギヤ14が第1入力軸13に連結されるので、3速ギヤ14の回転数が第1入力軸13の回転数と等しくなるように、前輪回転数NWF、3速ギヤ14と第1受動ギヤ18のギヤ比などに応じて、目標回転数が算出される。
以上により、変速段のシフトダウン時には、フロントモータ回転数NFMを上昇させるために、フロントモータ4で回転数基準制御としての力行が行われ、シフトアップ時には、フロントモータ回転数NFMを低下させるために、フロントモータ4で回転数基準制御としての回生が行われる。フロントモータ4で電力基準制御としての発電が行われていた場合において、その後の回転数基準制御において、変速段のシフトダウンに伴ってフロントモータ4で力行を行うときには、回転数基準制御の開始直前(電力基準制御の終了時)に、フロントモータ4の発電電力が値0に制御され、その後、回転数基準制御が開始されるとともに、フロントモータ4の発電電力が完全に値0になったときに、バッテリ92からフロントモータ4への電力供給が開始される。また、回転数基準制御の終了時、バッテリ92からフロントモータ4に供給される電力が値0になり、その後、電力基準制御が開始されるとともに、フロントモータ4に供給される電力が完全に値0になったときに、フロントモータ4での発電が再開される。
また、例えば、回転数基準制御の実行中で、かつ全輪駆動モード中、フロントモータ4で力行が行われ、バッテリ92からフロントモータ4に電力が供給される場合には、補機93及びリヤモータ41、61にも、バッテリ92から電力が供給される。この場合、FM制御用バッテリ上限電力FECOLMTと、フロントモータ4に供給される電力XSと、補機93に供給される電力Lと、リヤモータ41、61に供給される電力Yとの間に、FECOLMT≧XS+L+Yが成立するように、フロントモータ4に供給(消費)される電力XSが制御(制限)される。この制限にあたり、FM制御用バッテリ上限電力FECOLMTと対比される、フロントモータ4に供給される電力XSとして、上記の目標回転数に基づいて設定された電力が用いられる。補機93に供給される電力Lについては、前述したとおりであり、リヤモータ41、61に供給される電力Yとして、後述する補正前のリヤモータ目標電力ERMOBJが用いられる。
また、回転数基準制御の実行中で、かつ全輪駆動モード中、前述したようにフロントモータ4で回生が行われる場合には、回生した電力は、補機93や、リヤモータ41、61に供給される。この場合、フロントモータ回転数NMFがその目標回転数になるように、フロントモータ4の回生電力が制御されるため、回生した電力は、比較的小さいので、バッテリ92に充電されることがほとんどないか、充電されることがあっても、その電力は非常に小さくなる。このため、この場合には、FM制御用バッテリ上限電力FECOLMTに基づく補正(制限)は行われない。
次に、図10を参照しながら、リヤモータ41、61を制御するための処理について説明する。本処理は、ECU2によって、前記制御周期で繰り返し実行される。まず、図10のステップ21では、前述したように、全輪要求駆動力PAWREQに、後輪配分比率を乗算することによって、後輪要求駆動力PRWREQを算出する。次いで、前述したように、算出された後輪要求駆動力PRWREQに基づくマップ検索によって、リヤモータ目標電力ERMOBJを算出する(ステップ22)。
次に、算出されたリヤモータ目標電力ERMOBJに、図8のステップ4又は7で第1上限電力ELMT1に設定されたRM制御用バッテリ上限電力RECOLMTに基づいて、リミット処理を施し(ステップ23)、本処理を終了する。このリミット処理は、前述したフロントモータ4の電力基準制御の実行中と回転数基準制御の実行中とで、その実行内容が異なっている。具体的には、フロントモータ4が電力基準制御としての発電の実行中で、かつ、リヤモータ41、61によるエンジン3のアシストの実行により、バッテリ92からの電力がリヤモータ41、61に供給される場合には、RM制御用バッテリ上限電力RECOLMTと、フロントモータ4で発電する電力XJと、補機93に供給される電力Lと、リヤモータ41、61に供給される電力Yとの間に、RECOLMT≧|XJ−L−Y|が成立するように、リヤモータ目標電力ERMOBJが補正(制限)される。
この場合、バッテリ92からの出力電力を制限する状況にあることから、フロントモータ4の電力基準制御としての発電の実行中にフロントモータ目標電力EFMOBJが補正(制限)されないため、フロントモータ4で発電する電力XJとして、フロントモータ目標電力EFMOBJがそのまま用いられる。また、上記の補正にあたり、RM制御用バッテリ上限電力RECOLMTと対比される、リヤモータ41、61に供給される電力Yとして、補正前のリヤモータ目標電力ERMOBJが用いられる。補機93に供給される電力Lについては、フロントモータ4の制御で前述したとおりである。
また、回転数基準制御の実行中には、フロントモータ4で発生(回生)する電力及び消費(力行)する電力とは無関係に、RM制御用バッテリ上限電力RECOLMTと、補機93に供給される電力Lと、リヤモータ41、61に供給される電力Yとの間に、RECOLMT≧L+Yが成立するように、リヤモータ目標電力ERMOBJが補正(制限)される。
以上のようにしてリヤモータ目標電力ERMOBJが算出されると、リヤモータ41、61全体に供給される電力が、PDU91を介してリヤモータ目標電力ERMOBJになるように制御される。また、フロントモータ4の電力基準制御としての発電の実行中、上述したRM制御用バッテリ上限電力RECOLMTに基づくリヤモータ目標電力ERMOBJの補正(制限)によって、バッテリ92からの出力電力が、RM制御用バッテリ上限電力RECOLMT(=ELMT1)以下になるように制限される。さらに、回転数基準制御の実行中、上述したリヤモータ目標電力ERMOBJの補正(制限)と、前述したFM制御用バッテリ上限電力FECOLMTに基づくフロントモータ4への供給電力の補正(制限)とによって、バッテリ92からの出力電力が、FM制御用バッテリ上限電力FECOLMT(=ELMT2)以下になるように制限される。
なお、上述した処理において、リヤモータ目標電力ERMOBJがRM制御用バッテリ上限電力RECOLMTに基づいて補正されないときには、上述したリヤモータ41、61への供給電力の制御によって、リヤモータ41、61の動力が、後輪要求駆動力PRWREQになるように制御される。
また、本実施形態における各種の要素と、本発明における各種の要素との対応関係は、次のとおりである。すなわち、本実施形態におけるフロントモータ4が、本発明における第1電動機に相当し、本実施形態におけるリヤモータ41、61が、本発明における第2電動機に相当するとともに、本実施形態におけるバッテリ92が、本発明における蓄電器に相当する。また、本実施形態における後輪WRL、WRRが、本発明における車輪に相当するとともに、本実施形態におけるECU2及びPDU91が、本発明における電動機制御手段、電力制御手段、第1制限手段及び第2制限手段に相当する。
以上のように、本実施形態によれば、フロントモータ4の電力基準制御の実行中、FM制御用バッテリ上限電力FECOLMT及びRM制御用バッテリ上限電力RECOLMTの双方が、第1上限電力ELMT1に設定される(図8のステップ3、4)。また、電力基準制御の実行中、フロントモータ4が、フロントモータ目標電力EFMOBJに基づいて制御されるとともに、第1上限電力ELMT1に設定されたFM制御用バッテリ上限電力FECOLMTに基づいて制御され(図9のステップ12)、リヤモータ41、61が、第1上限電力ELMT1に設定されたRM制御用バッテリ上限電力RECOLMTに基づいて制御される(図10のステップ23)。以上により、電力基準制御の実行中には、バッテリ入出力電力が、第1上限電力ELMT1以下に制限される。
また、フロントモータ4の回転数基準制御の実行中、FM制御用バッテリ上限電力FECOLMTがより大きな第2上限電力ELMT2に設定される(図8のステップ6)とともに、RM制御用バッテリ上限電力RECOLMTが、第1上限電力ELMT1に設定される(ステップ7)。さらに、回転数基準制御の実行中、フロントモータ4が、フロントモータ回転数NFMが目標回転数になるように制御されるとともに、第2上限電力ELMT2に設定されたFM制御用バッテリ上限電力FECOLMTに基づいて制御され(図9のステップ13)、リヤモータ41、61が、第1上限電力ELMT1に設定されたRM制御用バッテリ上限電力RECOLMTに基づいて制御される(図10のステップ23)。以上により、回転数基準制御の実行中には、バッテリ92からの出力電力が、第2上限電力ELMT2以下に制限される。
回転数基準制御は、前述したように、第1変速機構11の変速段の変更中に実行されるものであるので、その実行期間は非常に短い。本実施形態によれば、そのような回転数基準制御の実行期間内に限定して、より大きな第2上限電力ELMT2を用いたバッテリ92の出力電力の制限を実行するので、バッテリ92の劣化を抑制することができる。
また、電力基準制御の実行中で、バッテリ92からの出力電力が第1上限電力ELMT1以下に制限されているときには、フロントモータ4が第1上限電力ELMT1に基づいて制御される(図8のステップ3、図9のステップ12)。また、回転数基準制御の実行中で、バッテリ92からの出力電力が第2上限電力ELMT2以下に制限されているときには、フロントモータ4が第2上限電力ELMT2に基づいて制御される(図8のステップ6、図9のステップ13)。以上により、フロントモータ4に電力を十分に供給でき、フロントモータ4を適切に制御することができる。特に、回転数基準制御の実行中で、かつ全輪駆動モード中には、フロントモータ4に加え、補機93及びリヤモータ41、61にも、バッテリ92から電力が供給されるため、バッテリ92の出力電力が比較的大きくなる傾向にあるので、上述した効果を有効に得ることができる。
さらに、電力基準制御の実行中で、かつバッテリ92の出力電力が第1上限電力ELMT1以下に制限されているときにも、回転数基準制御の実行中で、かつバッテリ92からの出力電力が第2上限電力ELMT2以下に制限されているときにも、リヤモータ41、61が、第1制限電力ELMT1に基づいて制御される(図8のステップ4、7、図10のステップ23)。それに加え、回転数基準制御の実行中、前述したRM制御用バッテリ上限電力RECOLMTに基づくリヤモータ目標電力ERMOBJの補正(制限)が、フロントモータ4で発生(回生)する電力及び消費(力行)する電力とは無関係に、行われる。以上により、本実施形態によれば、以下に述べる効果を得ることができる。
図11は、RM制御用バッテリ上限電力RECOLMTと、補機93に供給される電力Lと、フロントモータ4に供給(消費)される電力XSと、バッテリ92からリヤモータ41、61に供給することが可能な電力の上限値(以下「リヤモータ供給上限電力」という)RELMTとの関係を、電力基準制御の終了時、回転数基準制御の実行中、及び電力基準制御の開始時について示している。
前述したように、電力基準制御の終了時には、フロントモータ4の発電電力が値0に制御されるので、図11に示すように、RM制御用バッテリ上限電力RECOLMTと、補機93に供給される電力Lと、リヤモータ供給上限電力RELMTとの間には、RECOLMT(=ELMT1)=L+RELMTが成立する。また、回転数基準制御の実行中には、前述したリヤモータ目標電力ERMOBJがフロントモータ4に供給される電力XSとは無関係に補正(制限)されることから明らかなように、三者RECOLMT、L及びRELMTの間には、RECOLMT(=ELMT1)=L+RELMTが成立する。
さらに、前述したように、電力基準制御の開始時には、フロントモータ4の入出力電力が値0に制御されるので、この場合にも、三者RECOLMT、L及びRELMTの間に、RECOLMT(=ELMT1)=L+RELMTが成立する。以上により、図11に示すように、電力基準制御が終了されてから、回転数基準制御が実行され、電力基準制御が再開されるまでの間において、リヤモータ供給上限電力RELMTは、一定の状態で推移する。
また、図12は、RM制御用バッテリ上限電力RECOLMTと、補機93に供給される電力Lと、フロントモータ4に供給される電力XSと、リヤモータ供給上限電力RELMTとの関係を、比較例について示している。この比較例は、本実施形態と異なり、回転数基準制御の実行中に、RM制御用バッテリ上限電力RECOLMTを第1上限電力ELMT1ではなく、第2上限電力ELMT2に設定するとともに、リヤモータ目標電力ERMOBJを、RECOLMT≧XS+L+Yが成立するように補正(制限)した場合の例である。
この比較例では、回転数基準制御の実行中、上述したようにしてRM制御用バッテリ上限電力RECOLMTの設定及びリヤモータ目標電力ERMOBJの補正が行われることから、図12に示すように、RM制御用バッテリ上限電力RECOLMTと、フロントモータ4に供給される電力XSと、補機93に供給される電力Lと、リヤモータ供給上限電力RELMTとの間に、RECOLMT(=ELMT2)=XS+L+RELMTが成立する。一方、電力基準制御の終了時及び再開時については、三者RECOLMT、L及びRELMTの関係は、本実施形態と同じである。
以上により、比較例では、図12に示すように、電力基準制御の終了時から回転数基準制御の開始時の間において、リヤモータ供給上限電力RELMTが増大し、その後、回転数基準制御の終了時から電力基準制御の開始時の間において、リヤモータ供給上限電力RELMTが減少する。このように、電力基準制御と回転数基準制御の間の移行時に、リヤモータ供給上限電力RELMTが増減するので、それにより、リヤモータ41、61に供給される電力が一時的に変化し、後輪WRL、WRRの駆動力が一時的に変動するおそれがある。
これに対して、本実施形態によれば、図11を参照して説明したように、電力基準制御と回転数基準制御の間の移行時に、リヤモータ供給上限電力RELMTが増減せずに、一定になる。したがって、バッテリ92の出力電力の制限値である第1及び第2上限電力ELMT1、ELMT2の持替えに伴ってリヤモータ41、61への供給電力が一時的に変化するようなことがないので、リヤモータ41、61を適切に制御することができ、それにより、後輪WRL、WRRの駆動トルクの変動を防止することができる。
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、本発明における蓄電器は、バッテリ92であるが、キャパシタでもよい。また、実施形態では、第1及び第2リヤモータ41、61をそれぞれ、第1及び第2遊星歯車装置51、71を介して、左右の後輪WRL、WRRに連結しているが、両者51、71を介さずに、左右の後輪WRL、WRRに直結してもよい。さらに、実施形態では、エンジン3及びフロントモータ4を前輪WFL、WFRに、デュアルクラッチトランスミッションを介して連結しているが、他の適当な変速装置を介して連結してもよい。
また、実施形態では、本発明における内燃機関及び第1電動機に相当するエンジン3及びフロントモータ4を前輪WFL、WFRに連結するとともに、本発明における第2電動機に相当するリヤモータ41、61を後輪WRL、WRRに連結しているが、これとは逆に、内燃機関及び第1電動機を後輪WRL、WRRに連結するとともに、第2電動機を前輪WFL、WFRに連結してもよい。さらに、実施形態では、第2電動機として、第1及び第2リヤモータ41、61から成る2つのモータを用いているが、単一のモータを用いてもよい。
また、実施形態は、フロントモータ4、リヤモータ41、61及びバッテリ92に、補機93が接続されたハイブリッド車両Vに、本発明を適用した例であるが、本発明は、補機が接続されていないタイプのハイブリッド車両にも、適用可能である。この場合、前述した全輪駆動モードによる制御動作において、補機に関連するパラメータは削除される。さらに、実施形態では、本発明における所定期間として、回転数基準制御の実行期間を用いているが、他の適当な期間を用いてもよい。例えば、ハイブリッド車両の動力源として、リヤモータのみを用いるとともに、フロントモータをスタータとしてエンジンを始動する場合に、このエンジンの始動の実行期間を、本発明における所定期間として設定してもよい。このようなエンジンの始動は、非常に短い期間で行われるので、実施形態による前述した効果、すなわち、バッテリの劣化を抑制することができるという効果を、同様に得ることができる。
また、実施形態では、内燃機関は、ガソリンエンジンであるエンジン3であるが、ディーゼルエンジンや、LPGエンジンなどでもよい。さらに、実施形態では、ハイブリッド車両Vの前輪WFL、WFRの数及び後輪WRL、WRRの数は、それぞれ2つであるが、これに限らず、それぞれ1つでもよく、あるいは、前輪及び後輪の一方の数が1つで、他方の数が2つでもよく、あるいは、それぞれ3つ以上でもよい。
また、実施形態は、エンジン3及びフロントモータ4が左右の前輪WFL、WFRに連結されたハイブリッド車両Vに、本発明を適用した例であるが、本発明はこれに限らず、エンジン及びフロントモータが車輪に連結されていない、いわゆるシリーズ方式のハイブリッド車両にも適用可能である。この場合、内燃機関は、第1電動機の発電用の動力源として用いられる。また、この場合における所定期間として、例えば、第2電動機で車輪を駆動するとともに、第1電動機をスタータとして内燃機関を始動する場合に、この内燃機関の始動の実行期間が設定される。さらに、以上の実施形態のバリエーションを適宜、組み合わせてもよいことは、もちろんである。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
V ハイブリッド車両
WRL 左後輪(車輪)
WRR 右後輪(車輪)
1 制御装置
2 ECU(電動機制御手段、電力制御手段、第1制限手段、第2制限手段)
3 エンジン
4 フロントモータ(第1電動機)
41 第1リヤモータ(第2電動機)
61 第2リヤモータ(第2電動機)
91 PDU(電動機制御手段、電力制御手段、第1制限手段、第2制限手段)
92 バッテリ(蓄電器)
ELMT1 第1上限電力(第1電力)
ELMT2 第2上限電力(第2電力)
WRL 左後輪(車輪)
WRR 右後輪(車輪)
1 制御装置
2 ECU(電動機制御手段、電力制御手段、第1制限手段、第2制限手段)
3 エンジン
4 フロントモータ(第1電動機)
41 第1リヤモータ(第2電動機)
61 第2リヤモータ(第2電動機)
91 PDU(電動機制御手段、電力制御手段、第1制限手段、第2制限手段)
92 バッテリ(蓄電器)
ELMT1 第1上限電力(第1電力)
ELMT2 第2上限電力(第2電力)
Claims (4)
- 動力源としての内燃機関、該内燃機関に機械的に連結された第1電動機、車輪を駆動するために該車輪に機械的に連結された第2電動機、ならびに、前記第1及び第2電動機に電気的に接続された蓄電器を備えるハイブリッド車両の制御装置であって、
前記第1及び第2電動機を制御する電動機制御手段と、
前記蓄電器から入出力される電力を制御する電力制御手段と、を備え、
該電力制御手段は、前記蓄電器から出力される出力電力を、所定の第1電力以下に制限する第1制限制御と、所定期間内に、前記出力電力を前記第1電力よりも大きい所定の第2電力以下に制限する第2制限制御と、を選択的に実行し、
前記電動機制御手段は、前記電力制御手段による前記第1制限制御の実行中に、前記第1及び第2電動機を前記第1電力に基づいて制御し、前記第2制限制御の実行中に、前記第1電動機を前記第2電力に基づいて制御するとともに、前記第2電動機を前記第1電力に基づいて制御することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 前記電動機制御手段は、前記第1電動機を該第1電動機が発生又は消費する電力の目標値である目標電力に基づいて制御する電力基準制御と、前記第1電動機を該第1電動機の回転数の目標値である目標回転数に基づいて制御する回転数基準制御と、を選択的に実行し、
前記電力制御手段は、前記電動機制御手段による前記電力基準制御の実行中に、前記第1制限制御を実行し、前記電動機制御手段が前記回転数基準制御を実行している期間を前記所定期間として、前記第2制限制御を実行することを特徴とする、請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。 - 動力源としての内燃機関、該内燃機関に機械的に連結された第1電動機、車輪を駆動するために該車輪に機械的に連結された第2電動機、ならびに、前記第1及び第2電動機に電気的に接続された蓄電器を備えるハイブリッド車両の制御装置であって、
前記第1及び第2電動機を制御する電動機制御手段と、
前記蓄電器から出力される出力電力を所定の第1電力以下に制限する第1制限制御を実行する第1制限手段と、
所定期間内に、前記出力電力を前記第1電力よりも大きい所定の第2電力以下に制限する第2制限制御を実行する第2制限手段と、を備え、
前記電動機制御手段は、前記第1電動機が消費する電力を、前記第1及び第2電力の一方に基づいて制御し、前記第2電動機が消費する電力を前記第1電力に基づいて制御することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 前記電動機制御手段は、前記第1電動機を該第1電動機が発生又は消費する電力の目標値である目標電力に基づいて制御する電力基準制御と、前記第1電動機を該第1電動機の回転数の目標値である目標回転数に基づいて制御する回転数基準制御と、を選択的に実行し、
前記第1制限手段は、前記電動機制御手段による前記電力基準制御の実行中に、前記第1制限制御を実行し、
前記第2制限手段は、前記電動機制御手段が前記回転数基準制御を実行している期間を前記所定期間として、前記第2制限制御を実行することを特徴とする、請求項3に記載のハイブリッド車両の制御装置。
Priority Applications (1)
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