JP2015109806A - 新規ret融合体の検出法 - Google Patents
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Abstract
【課題】癌の新たな原因遺伝子であるポリヌクレオチドを解明し、これにより、当該ポリヌクレオチド又はそれがコードするポリペプチドの検出方法、及びそのためのキット及びプライマーセットを提供することを課題とする。【解決手段】癌患者の一部に存在している、PIBF1遺伝子の一部とRET遺伝子の一部との融合遺伝子が癌の原因遺伝子であることを見出し、当該遺伝子であるポリヌクレオチド及びそれがコードするポリペプチドの検出方法を構築した。前記検出方法では、PIBF1遺伝子の一部とRET遺伝子の一部との融合遺伝子、あるいは、それがコードする融合タンパク質を検出する。前記プライマーセット又は検出用キットは、PIBF1をコードする部分から設計されるセンスプライマーと、RETをコードする部分から設計されるアンチセンスプライマーとを含む。【選択図】なし
Description
本発明は、RETキナーゼ領域を含む新規の融合遺伝子または各融合遺伝子によってコードされる融合タンパク質の検出方法に関する。
レアレンジドデュアリングトランスフォーメーション(rearranged during transformation;RET)遺伝子は染色体10番長腕のセントロメア付近に存在し、21個のエキソンからなる。コードする蛋白質は受容体型チロシンキナーゼであり、中央部に細胞膜貫通領域を有し、そのカルボキシル末端側にチロシンキナーゼ領域、アミノ末端側に細胞外領域を有する。カルボキシル末端のスプライシングの違いにより1072アミノ酸(RET9)、1106アミノ酸(RET43)、1114アミノ酸(RET51)の3種類の蛋白質が存在することが知られている(非特許文献1)。RETはリガンド/GFR複合体を介して二量体を形成することで自己のチロシンをリン酸化し活性化する(非特許文献1)。
甲状腺乳頭癌において、RET遺伝子が染色体内逆位もしくは染色体間転座により他の遺伝子(H4、ELE1など)と融合し、癌化能を持った融合型チロシンキナーゼRET/PTCが発現していることが報告されている(非特許文献2)。これらの融合はRETのチロシンキナーゼ領域のアミノ末端側で生じており、RETは細胞外領域及び細胞膜貫通領域を失い、融合パートナーとの融合蛋白質を形成している。融合パートナー分子の多くは複合体形成ドメインを有していることから、融合体自身も複合体を形成していると考えられており、この複合体形成がRETのチロシンキナーゼ活性の恒常的な自己リン酸化を引き起こし、細胞内シグナルが異常に活性化され癌化及び細胞増殖を惹き起こしていると考えられている(非特許文献2)。実際に、RET/PTC融合遺伝子をマウス正常細胞NIH3T3細胞に導入すると癌細胞様に形質転換すること、さらにはRETキナーゼ抑制化合物がRET/PTC融合遺伝子を発現した甲状腺癌細胞株の細胞増殖を抑制できることから、RET/PTC融合体が甲状腺癌の治療標的分子となる可能性が示唆されている(非特許文献3−5)。これまでに10種類以上のRET/PTC融合遺伝子が甲状腺癌において存在する事が報告されている。また、非小細胞肺癌患者において、KIF5B遺伝子とRET遺伝子が融合した遺伝子が発現しているとの報告がある(特許文献1)。
プロゲステロンイムノモジュレーターバインディングファクター1(Progesterone Immunomodulator binding factor 1)遺伝子は染色体13番長腕に存在し18個のエクソンからなる。PIBF1は妊娠初期トロホブラスト細胞の浸潤に関わることが知られている(非特許文献6)。
これまでにPIBF1とRETが融合しているという報告はなされていない。
甲状腺乳頭癌において、RET遺伝子が染色体内逆位もしくは染色体間転座により他の遺伝子(H4、ELE1など)と融合し、癌化能を持った融合型チロシンキナーゼRET/PTCが発現していることが報告されている(非特許文献2)。これらの融合はRETのチロシンキナーゼ領域のアミノ末端側で生じており、RETは細胞外領域及び細胞膜貫通領域を失い、融合パートナーとの融合蛋白質を形成している。融合パートナー分子の多くは複合体形成ドメインを有していることから、融合体自身も複合体を形成していると考えられており、この複合体形成がRETのチロシンキナーゼ活性の恒常的な自己リン酸化を引き起こし、細胞内シグナルが異常に活性化され癌化及び細胞増殖を惹き起こしていると考えられている(非特許文献2)。実際に、RET/PTC融合遺伝子をマウス正常細胞NIH3T3細胞に導入すると癌細胞様に形質転換すること、さらにはRETキナーゼ抑制化合物がRET/PTC融合遺伝子を発現した甲状腺癌細胞株の細胞増殖を抑制できることから、RET/PTC融合体が甲状腺癌の治療標的分子となる可能性が示唆されている(非特許文献3−5)。これまでに10種類以上のRET/PTC融合遺伝子が甲状腺癌において存在する事が報告されている。また、非小細胞肺癌患者において、KIF5B遺伝子とRET遺伝子が融合した遺伝子が発現しているとの報告がある(特許文献1)。
プロゲステロンイムノモジュレーターバインディングファクター1(Progesterone Immunomodulator binding factor 1)遺伝子は染色体13番長腕に存在し18個のエクソンからなる。PIBF1は妊娠初期トロホブラスト細胞の浸潤に関わることが知られている(非特許文献6)。
これまでにPIBF1とRETが融合しているという報告はなされていない。
「トレンド・イン・ジェネティクス(TRENDS in Genetics),((英国),2006年,22巻,p.627−636)」
「ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・エンドクリノロジー(European journal of endoclinology),((英国),2006年,155巻,p.645−653)
「キャンサー・リサーチ(CANCER RESEARCH),((米国),2002年,62巻,p.7284−7290)」
「ジャーナル・オブ・クリニカル・エンドクリノロジー・アンド・メタボリズム(The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism),((米国),2006年,91巻,p.4070−4076)」
「ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY),((米国),2007年,282巻,p.29230−29340)」
「ジャーナル・オブ・リプロダクティブイムノロジ―(Journal of Reproductive Immunology)((アイルランド), 2011年、90巻、p.50−57)」
癌の新たな原因遺伝子であるポリヌクレオチドを解明し、これにより、当該ポリヌクレオチド又はそれがコードするポリペプチドの検出方法、およびそのためのキット又はプライマーセットを提供することを課題とする。
本発明は、肺癌患者から得た検体からPIBF1遺伝子の一部と、キナーゼであるRET遺伝子の一部とが融合した新規の融合遺伝子を単離同定し(実施例1)、これらの融合遺伝子が肺癌患者検体に存在すること(実施例2及び3)、またこれらの融合遺伝子を発現させるためレトロウイルスを作成し(実施例4)、感染細胞が腫瘍形成能を有し、癌の原因遺伝子であることを見出した(実施例5及び6)。本発明者は、これらの知見から、これらの融合遺伝子の検出法を構築し(実施例2及び3)、そのためのキットおよびプライマーセットを提供し、これらの融合遺伝子またはそれにコードされる融合タンパク質を検出することにより、PIBF1−RET阻害剤治療の対象となる癌患者を選別することを可能とした。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[7]に関する。
[1] 被験者から得た試料中の、下記(1)〜(3)に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド又は該ポリペプチドの存在を検出する工程を含むことを特徴とする、プロゲステロンイムノモジュレーターバインディングファクター1(Progesterone Immunomodulator binding factor 1)遺伝子とリアレンジドデュアリングトランスフォーメーション(rearranged during transformation;RET)遺伝子との融合遺伝子又は該融合遺伝子によってコードされる融合蛋白質の検出方法:
(1)配列番号2のアミノ酸番号78〜911若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2のアミノ酸番号78〜911若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2のアミノ酸番号78〜911若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983で表されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2のアミノ酸番号78〜911若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
[2] 前記ポリペプチドが、下記(1)〜(3)に記載のポリペプチドである[1]に記載の検出方法:
(1)配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
[3] 下記(1)〜(3)に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを特異的に増幅できるように設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマーを含む、PIBF1遺伝子とRET遺伝子との融合遺伝子の検出用キット:
(1)配列番号2のアミノ酸番号78〜911若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2のアミノ酸番号78〜911若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2のアミノ酸番号78〜911若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983で表されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2のアミノ酸番号78〜911若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
[4] 前記ポリペプチドが、下記(1)〜(3)に記載のポリペプチドである[3]に記載の検出用キット:
(1)配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)ポリペプチド配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
[5] PIBF1遺伝子をコードする部分から設計されるセンスプライマー及びRET遺伝子をコードする部分から設計されるアンチセンスプライマーを含む、PIBF1遺伝子とRET遺伝子との融合遺伝子を検出するためのプライマーセットであって、「1」又は[2]に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子からなるアンチセンスプライマー及び該ポリヌクレオチドの相補鎖にストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸分子からなるセンスプライマーを含むプライマーセット。
[6] 配列番号1の塩基番号1から1833間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドからなるセンスプライマー及び配列番号1の塩基番号1834から2916間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドに対して相補的であるオリゴヌクレオチドからなるアンチセンスプライマーのプライマーセット。
[7] 配列番号3の塩基番号1から2049間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドからなるセンスプライマー及び配列番号3の塩基番号2050から3132間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドに対して相補的であるオリゴヌクレオチドからなるアンチセンスプライマーのプライマーセット。
[1] 被験者から得た試料中の、下記(1)〜(3)に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド又は該ポリペプチドの存在を検出する工程を含むことを特徴とする、プロゲステロンイムノモジュレーターバインディングファクター1(Progesterone Immunomodulator binding factor 1)遺伝子とリアレンジドデュアリングトランスフォーメーション(rearranged during transformation;RET)遺伝子との融合遺伝子又は該融合遺伝子によってコードされる融合蛋白質の検出方法:
(1)配列番号2のアミノ酸番号78〜911若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2のアミノ酸番号78〜911若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2のアミノ酸番号78〜911若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983で表されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2のアミノ酸番号78〜911若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
[2] 前記ポリペプチドが、下記(1)〜(3)に記載のポリペプチドである[1]に記載の検出方法:
(1)配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
[3] 下記(1)〜(3)に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを特異的に増幅できるように設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマーを含む、PIBF1遺伝子とRET遺伝子との融合遺伝子の検出用キット:
(1)配列番号2のアミノ酸番号78〜911若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2のアミノ酸番号78〜911若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2のアミノ酸番号78〜911若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983で表されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2のアミノ酸番号78〜911若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
[4] 前記ポリペプチドが、下記(1)〜(3)に記載のポリペプチドである[3]に記載の検出用キット:
(1)配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)ポリペプチド配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
[5] PIBF1遺伝子をコードする部分から設計されるセンスプライマー及びRET遺伝子をコードする部分から設計されるアンチセンスプライマーを含む、PIBF1遺伝子とRET遺伝子との融合遺伝子を検出するためのプライマーセットであって、「1」又は[2]に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子からなるアンチセンスプライマー及び該ポリヌクレオチドの相補鎖にストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸分子からなるセンスプライマーを含むプライマーセット。
[6] 配列番号1の塩基番号1から1833間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドからなるセンスプライマー及び配列番号1の塩基番号1834から2916間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドに対して相補的であるオリゴヌクレオチドからなるアンチセンスプライマーのプライマーセット。
[7] 配列番号3の塩基番号1から2049間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドからなるセンスプライマー及び配列番号3の塩基番号2050から3132間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドに対して相補的であるオリゴヌクレオチドからなるアンチセンスプライマーのプライマーセット。
また、本発明は、
下記(1)〜(3)に記載のポリペプチド(以下、「本発明のポリペプチド」と略すこともある)又は該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(以下、「本発明のポリヌクレオチド」と略すこともある):
(1)配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)に示されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)に示されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)、配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)に示されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2若しくは配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
に関する。 また、本発明は、
下記工程を含むことを特徴とするRETキナーゼ領域を含む融合遺伝子陽性の癌(特には肺癌又は甲状腺癌)の存在の検出方法;
被験者から得た試料中の、下記(1)乃至(3)に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在を検出する工程、
(1)配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)で表されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
に関する。
また、本発明は、
下記工程を含むことを特徴とするPIBF1遺伝子とRET遺伝子とを含む融合遺伝子陽性の癌(特には肺癌又は甲状腺癌)の診断方法:
被験者から得た試料中の、下記(1)〜(3)に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在を検出する工程、
(1)配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)に示されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)に示されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)、配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)に示されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2若しくは配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
に関する。
下記(1)〜(3)に記載のポリペプチド(以下、「本発明のポリペプチド」と略すこともある)又は該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(以下、「本発明のポリヌクレオチド」と略すこともある):
(1)配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)に示されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)に示されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)、配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)に示されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2若しくは配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
に関する。 また、本発明は、
下記工程を含むことを特徴とするRETキナーゼ領域を含む融合遺伝子陽性の癌(特には肺癌又は甲状腺癌)の存在の検出方法;
被験者から得た試料中の、下記(1)乃至(3)に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在を検出する工程、
(1)配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)で表されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
に関する。
また、本発明は、
下記工程を含むことを特徴とするPIBF1遺伝子とRET遺伝子とを含む融合遺伝子陽性の癌(特には肺癌又は甲状腺癌)の診断方法:
被験者から得た試料中の、下記(1)〜(3)に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在を検出する工程、
(1)配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)に示されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)に示されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)、配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)に示されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2若しくは配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
に関する。
また、本発明は、
下記工程を含むことを特徴とする癌(特には肺癌又は甲状腺癌)の存在の検出方法:
(1)被験者から得た試料を鋳型とし、前記[5]〜[7]に記載されたプライマーセットを用いてPCRを行う工程、及び
(2)PCR産物の存在を検出する工程、
に関する。
下記工程を含むことを特徴とする癌(特には肺癌又は甲状腺癌)の存在の検出方法:
(1)被験者から得た試料を鋳型とし、前記[5]〜[7]に記載されたプライマーセットを用いてPCRを行う工程、及び
(2)PCR産物の存在を検出する工程、
に関する。
また、本発明は、
下記工程を含むことを特徴とする癌(特には肺癌又は甲状腺癌)の診断方法:
(1)被験者から得た試料を鋳型とし、前記[5]〜[7]に記載されたプライマーセットを用いてPCRを行う工程、及び
(2)PCR産物の存在を検出する工程、
に関する。また、更に、上記方法により癌(特には肺癌又は甲状腺癌)を有すると診断された患者に対して、本発明のポリペプチドを抑制する物質(好ましくはPIBF1−RET阻害剤)を投与することを含む方法に関する。
下記工程を含むことを特徴とする癌(特には肺癌又は甲状腺癌)の診断方法:
(1)被験者から得た試料を鋳型とし、前記[5]〜[7]に記載されたプライマーセットを用いてPCRを行う工程、及び
(2)PCR産物の存在を検出する工程、
に関する。また、更に、上記方法により癌(特には肺癌又は甲状腺癌)を有すると診断された患者に対して、本発明のポリペプチドを抑制する物質(好ましくはPIBF1−RET阻害剤)を投与することを含む方法に関する。
また、本発明は、
下記工程を含むことを特徴とする、染色体の再構成(genomic rearrangement)を検出する方法:
被験者から得た試料中の、下記(1)〜(3)に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在を検出する工程、
(1)配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)に示されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)に示されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)に示されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2若しくは配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
に関する。
下記工程を含むことを特徴とする、染色体の再構成(genomic rearrangement)を検出する方法:
被験者から得た試料中の、下記(1)〜(3)に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在を検出する工程、
(1)配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)に示されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)に示されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)に示されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2若しくは配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
に関する。
さらに、本発明は、
下記工程を含むことを特徴とする、染色体の再構成(genomic rearrangement)を検出する方法:
(1)i)被験者から得た試料、ii)PIBF1遺伝子をコードする5’側ゲノム領域を含む標識プローブ、及びiii)RET遺伝子をコードする3’ゲノム領域を含む蛍光標識プローブを用い、インサイチュハイブリダイゼーションを行う工程、及び
(2)前記標識のシグナルの重なりを検出する工程、
に関する。
下記工程を含むことを特徴とする、染色体の再構成(genomic rearrangement)を検出する方法:
(1)i)被験者から得た試料、ii)PIBF1遺伝子をコードする5’側ゲノム領域を含む標識プローブ、及びiii)RET遺伝子をコードする3’ゲノム領域を含む蛍光標識プローブを用い、インサイチュハイブリダイゼーションを行う工程、及び
(2)前記標識のシグナルの重なりを検出する工程、
に関する。
また、本発明は、
下記工程を含むことを特徴とする癌(特には肺癌又は甲状腺癌)の存在の検出方法:
(1)i)被験者から得た試料、ii)PIBF1遺伝子をコードする5’側ゲノム領域を含む標識プローブ、及びiii)RET遺伝子をコードする3’ゲノム領域を含む蛍光標識プローブを用い、インサイチュハイブリダイゼーションを行う工程、及び
(2)前記標識のシグナルの重なりを検出する工程、
に関する。
下記工程を含むことを特徴とする癌(特には肺癌又は甲状腺癌)の存在の検出方法:
(1)i)被験者から得た試料、ii)PIBF1遺伝子をコードする5’側ゲノム領域を含む標識プローブ、及びiii)RET遺伝子をコードする3’ゲノム領域を含む蛍光標識プローブを用い、インサイチュハイブリダイゼーションを行う工程、及び
(2)前記標識のシグナルの重なりを検出する工程、
に関する。
また、本発明は、
下記工程を含むことを特徴とする癌(特には肺癌又は甲状腺癌)の診断方法:
(1)i)被験者から得た試料、ii)PIBF1遺伝子をコードする5’側ゲノム領域を含む標識プローブ、及びiii)RET遺伝子をコードする3’ゲノム領域を含む蛍光標識プローブを用い、インサイチュハイブリダイゼーションを行う工程、及び
(2)前記標識のシグナルの重なりを検出する工程、
に関する。また、上記方法の更なる工程として、上記方法により癌(特には肺癌又は甲状腺癌)を有すると診断された患者に対して、本発明のポリペプチドを抑制する物質(好ましくはPIBF1−RET阻害剤)を投与する工程を含んでもよい。
また、別の態様として、本発明は、上記の診断方法により癌(特には肺癌又は甲状腺癌)陽性と診断された患者に対してPIBF1−RET阻害剤を投与することを含む癌(特には肺癌又は甲状腺癌)の治療方法、に関する。
下記工程を含むことを特徴とする癌(特には肺癌又は甲状腺癌)の診断方法:
(1)i)被験者から得た試料、ii)PIBF1遺伝子をコードする5’側ゲノム領域を含む標識プローブ、及びiii)RET遺伝子をコードする3’ゲノム領域を含む蛍光標識プローブを用い、インサイチュハイブリダイゼーションを行う工程、及び
(2)前記標識のシグナルの重なりを検出する工程、
に関する。また、上記方法の更なる工程として、上記方法により癌(特には肺癌又は甲状腺癌)を有すると診断された患者に対して、本発明のポリペプチドを抑制する物質(好ましくはPIBF1−RET阻害剤)を投与する工程を含んでもよい。
また、別の態様として、本発明は、上記の診断方法により癌(特には肺癌又は甲状腺癌)陽性と診断された患者に対してPIBF1−RET阻害剤を投与することを含む癌(特には肺癌又は甲状腺癌)の治療方法、に関する。
また、本発明は、被験者から得た試料中の、下記(1)〜(3)に記載のポリペプチドの存在を検出する工程を含むことを特徴とする、PIBF1とRETとの融合タンパク質の検出方法:
(1)配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)に示されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)に示されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)、配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)に示されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2若しくは配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
に関する。
(1)配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)に示されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)に示されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)、配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)に示されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2若しくは配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
に関する。
また、本発明は、
下記工程を含むことを特徴とするPIBF1とRETとの融合タンパク質陽性の癌(特には肺癌又は甲状腺癌)の存在の検出方法:
被験者から得た試料中の、下記(1)〜(3)に記載のポリペプチドの存在を検出する工程、
(1)配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)に示されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)に示されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)、配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)に示されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2若しくは配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
に関する。
下記工程を含むことを特徴とするPIBF1とRETとの融合タンパク質陽性の癌(特には肺癌又は甲状腺癌)の存在の検出方法:
被験者から得た試料中の、下記(1)〜(3)に記載のポリペプチドの存在を検出する工程、
(1)配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)に示されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)に示されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)、配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)に示されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2若しくは配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
に関する。
また、本発明は、
下記工程を含むことを特徴とするPIBF1とRETとの融合タンパク質陽性の癌(特には肺癌又は甲状腺癌)の診断方法:
被験者から得た試料中の、下記(1)〜(3)に記載のポリペプチドの存在を検出する工程、
(1)配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)に示されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)に示されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)、配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)に示されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2若しくは配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
に関する。また、上記方法の更なる工程として、PIBF1とRETとの融合タンパク質陽性の癌(特には肺癌又は甲状腺癌)を有すると診断された患者に対して、上記(1)〜(3)に記載のポリペプチドを抑制する物質(好ましくはPIBF1−RET阻害剤)を投与する工程を含んでもよい。
また、別の態様として、本発明は、上記の診断方法によりPIBF1とRETとの融合タンパク質陽性の癌(特には肺癌又は甲状腺癌)を有すると診断された患者に対して、上記(1)〜(3)に記載のポリペプチドを抑制する物質(好ましくはPIBF1−RET阻害剤)を投与することを含む癌(特には肺癌又は甲状腺癌)の治療方法、に関する。
下記工程を含むことを特徴とするPIBF1とRETとの融合タンパク質陽性の癌(特には肺癌又は甲状腺癌)の診断方法:
被験者から得た試料中の、下記(1)〜(3)に記載のポリペプチドの存在を検出する工程、
(1)配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)に示されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)に示されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)、配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)に示されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2若しくは配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
に関する。また、上記方法の更なる工程として、PIBF1とRETとの融合タンパク質陽性の癌(特には肺癌又は甲状腺癌)を有すると診断された患者に対して、上記(1)〜(3)に記載のポリペプチドを抑制する物質(好ましくはPIBF1−RET阻害剤)を投与する工程を含んでもよい。
また、別の態様として、本発明は、上記の診断方法によりPIBF1とRETとの融合タンパク質陽性の癌(特には肺癌又は甲状腺癌)を有すると診断された患者に対して、上記(1)〜(3)に記載のポリペプチドを抑制する物質(好ましくはPIBF1−RET阻害剤)を投与することを含む癌(特には肺癌又は甲状腺癌)の治療方法、に関する。
本発明の検出方法は、PIBF1遺伝子と、RET遺伝子との融合遺伝子陽性の癌(特には肺癌又は甲状腺癌)を検出する方法として利用できる。また、本発明の検出方法は、染色体の再構成を検出する方法として利用できる。また、本発明の検出方法によれば、本発明のポリペプチドを抑制する物質(好ましくはPIBF1−RET阻害剤)の適用対象者であるか否かを鑑別することができ、これにより、本発明のポリペプチドを抑制する物質(好ましくはPIBF1−RET阻害剤)による治療の有効性が期待されるテーラーメード医療が実践できる。本発明の検出用キット及びプライマーセットは、本発明の検出方法に用いることができる。
《本発明の検出方法》
本発明の検出方法には、(I)融合遺伝子の検出方法と、(II)前記融合遺伝子によってコードされる融合タンパク質の検出方法とが含まれる。
本発明の検出方法には、(I)融合遺伝子の検出方法と、(II)前記融合遺伝子によってコードされる融合タンパク質の検出方法とが含まれる。
(I)融合遺伝子の検出方法
本発明における融合遺伝子の検出方法は、被験者から得た試料中の、本明細書のポリヌクレオチドの存在を検出する工程を含む。
本発明における融合遺伝子の検出方法は、被験者から得た試料中の、本明細書のポリヌクレオチドの存在を検出する工程を含む。
被験者から得た試料としては、被験者からの採取物(生体から分離した試料)、具体的には、任意の採取された体液(好ましくは血液)、肺胞・気管支洗浄液、生検された試料、喀痰試料を用いるが、好適には、被験者の肺患部の生検試料又は喀痰試料を用いる。試料からゲノムDNAを抽出して用いることができ、またその転写産物(ゲノムが転写及び翻訳される結果生じる産物;例えばmRNA、cDNA、蛋白質)を用いることができる。特にはmRNA又はcDNAを調製して用いることが好ましい。
融合遺伝子の検出方法における「本明細書のポリヌクレオチドの存在を検出する工程」において、その検出対象となる本明細書のポリヌクレオチド(以下、「検出対象ポリヌクレオチド」と称する)は、「PIBF1遺伝子とRET遺伝子との融合遺伝子」であり、これはPIBF1の一部とRETキナーゼ領域を含むRETの一部との融合タンパク質であるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのことをいう。検出対象ポリヌクレオチドである「PIBF1遺伝子とRET遺伝子との融合遺伝子」としては、PIBF1の機能ドメインの一つであるコイルド−コイルドメインとRETの機能ドメインの一つであるキナーゼドメインを有する融合遺伝子があげられる。
癌を引き起こす融合遺伝子としてPTC−RET(Clin. Cancer Res.2009;7119−7123)、KIF5B−ALK(Clin. Cancer Res. 2009;3143−3149)、KIF5B−RET(Nature medicine 2012;375−377)、EML4‐ALK(Nature 2007;561−566)などが知られており、これらの融合遺伝子はN末端側にコイルド−コイルドメインを持つ遺伝子とC末端側にリガンド結合部位を欠損したキナーゼが結合した融合遺伝子であり、3T3細胞に強制的に発現させると形質転換を引き起こすことが知られている。例えば、リガンド結合部位を有さないKIF5B−RET融合遺伝子を発現させた3T3細胞は、リガンド非依存的にRETキナーゼ活性化に重要である905番目のチロシン自己リン酸化が引き起こされ活性化される。この自己リン酸化は、RET阻害剤であるVandetanibにより抑制され細胞死を引き起こすことが知られている(Nature medicine 2012;375−377)。また、同様にリガンド結合部位を有さないEML4−ALK融合遺伝子を内在的に発現している細胞株でもALKのキナーゼ活性に重要である1604番目のリン酸化が引き起こされており、ALKに阻害活性をもつTAE684によりリン酸化が抑制され増殖が抑制されることが知られている(Clin.Cancer Res.2008;4275−4283)。さらに、EML4−ALK融合遺伝子を発現している肺癌患者に対し、ALKキナーゼ阻害剤であるCrizotinibが有効な治療薬であることが示唆されている(Drug Des. Devel. Ther. 2011; 471−485)。これらの融合遺伝子の活性化機構として、コイルド−コイルドメインを介したホモ二量体化により、融合しているキナーゼドメインのリガンド非依存的な恒常的活性化が引き起こされることが示唆されている。さらには、このように活性化された融合遺伝子は融合しているキナーゼの阻害剤を使用することにより、融合遺伝子の機能を阻害することができることが示唆される。
したがって、当該融合遺伝子についても、RETのキナーゼドメインとPIBF1のコイルド−コイルドメインを有する融合遺伝子が癌化を引き起こす重要なドメインと予測される。
そのため前記「検出対象ポリヌクレオチド」としては、例えば、PIBF1−RET融合遺伝子のうち、PIBF1のコイルド−コイルドメインからRETのキナーゼドメインに該当する配列である、下記(1)乃至(3)に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが好ましい。
(1)配列番号2のアミノ酸番号78〜911若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2のアミノ酸番号78〜911若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド(以下、機能的等価改変体と称する)、
(2)配列番号2のアミノ酸番号78〜911又は配列番号4のアミノ酸番号78〜983で表されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド(以下、相同ポリペプチドと称する)、並びに、
(3)配列番号2のアミノ酸番号78〜911又は配列番号4のアミノ酸番号78〜983)で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
(1)配列番号2のアミノ酸番号78〜911若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2のアミノ酸番号78〜911若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド(以下、機能的等価改変体と称する)、
(2)配列番号2のアミノ酸番号78〜911又は配列番号4のアミノ酸番号78〜983で表されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド(以下、相同ポリペプチドと称する)、並びに、
(3)配列番号2のアミノ酸番号78〜911又は配列番号4のアミノ酸番号78〜983)で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
好ましい前記「検出対象ポリヌクレオチド」としては、下記(1)乃至(3)に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが挙げられる:
(1)配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2又は配列番号4で表されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド(以下、相同ポリペプチドと称する)、並びに、
(3)配列番号2又は配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
(1)配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2又は配列番号4で表されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド(以下、相同ポリペプチドと称する)、並びに、
(3)配列番号2又は配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
配列番号2で表されるアミノ酸配列は、配列番号1で表される塩基配列によりコードされる配列である。配列番号4で表されるアミノ酸配列は、配列番号3で表される塩基配列によりコードされる配列である。配列番号2で表されるアミノ酸からなるポリペプチドである蛋白質を「PIBF1−RET融合ポリペプチドv1」と称し、配列番号4で表されるアミノ酸からなるポリペプチドである蛋白質を「PIBF1−RET融合ポリペプチドv2」と称する。「PIBF1−RET融合ポリペプチドv1」及び「PIBF1−RET融合ポリペプチドv2」を総称して「PIBF1−RET融合ポリペプチド」と称する。PIBF1−RET融合ポリペプチドv1をコードする遺伝子を「PIBF1−RET融合ポリヌクレオチドv1」と称し、PIBF1−RET融合ポリペプチドv2をコードする遺伝子を「PIBF1−RET融合ポリヌクレオチドv2」と称する。PIBF1−RET融合ポリペプチドをコードする遺伝子を「PIBF1−RET融合ポリヌクレオチド」と称する。
さらに好ましい前記検出対象ポリヌクレオチドとしては、配列番号1又は配列番号3に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドが挙げられる。
配列番号1に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドは、PIBF1遺伝子(GenBank登録番号:NM_006346.2)の塩基番号306(エキソン2のファーストメチオニンに対応)から2138(エキソン14の3’末端に対応)とRET遺伝子(GenBank登録番号:NM_020630.4)の塩基番号2327(エキソン12の5’末端に対応)から3409(エキソン19のストップコドンに対応)までの塩基配列からなるポリヌクレオチドである。配列番号1に示される塩基配列の内、塩基番号1〜1833の配列はPIBF1遺伝子に由来し、塩基番号1834〜2916の配列はRET遺伝子に由来する。この融合ポリヌクレオチドを、P14R12又はPIBF1−RET_v1とも称する。配列番号1の塩基番号1〜2916は、融合タンパク質のオープンリーディングフレーム(ORF)であり、このORFにコードされるアミノ酸配列を配列番号2に示す。
配列番号3に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドは、PIBF1遺伝子(GenBank登録番号:NM_006346.2)の塩基番号306(エキソン2のファーストメチオニンに対応)から2354(エキソン16の3’末端に対応)とRET遺伝子(GenBank登録番号:NM_020630.4)の塩基番号2327(エキソン12の5’末端に対応)から3409(エキソン19のストップコドンに対応)までの塩基配列からなるポリヌクレオチドである。配列番号3に示される塩基配列の内、塩基番号1〜2049の配列はPIBF1遺伝子に由来し、塩基番号2050〜3132の配列はRET遺伝子に由来する。この融合ポリヌクレオチドを、P16R12又は_v2とも称する。配列番号3の塩基番号1〜3132は、融合タンパク質のオープンリーディングフレーム(ORF)であり、このORFにコードされるアミノ酸配列を配列番号4に示す。
別の態様における前記検出対象ポリヌクレオチドとしては、配列番号1の塩基番号233〜2733に対応するPIBF1−RET_v1(P14R12)の部分配列及び配列番号3の塩基番号233〜2949に対応するPIBF1−RET_v2(F16R12)の部分配列などが挙げられる。
「機能的等価改変体」としては、「配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)又は配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)で表されるアミノ酸配列において、1〜10個、好ましくは1〜数個、更に好ましくは1〜7個、最も好ましくは1〜5個のアミノ酸が置換、欠失、及び/又は挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド」が好ましく、「配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)又は配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド」が特に好ましい。
「相同ポリペプチド」は、「配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)又は配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)で表されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド」であるが、該同一性が、好ましくは95%以上、更に好ましくは98%以上であるアミノ酸配列を含むポリペプチドが好ましい。
なお、本明細書における前記「同一性」とは、NEEDLE program(J Mol Biol 1970; 48: 443-453)検索によりデフォルトで用意されているパラメータを用いて得られた値Identityを意味する。前記のパラメータは以下のとおりである。
Gap penalty = 10
Extend penalty = 0.5
Matrix = EBLOSUM62
Gap penalty = 10
Extend penalty = 0.5
Matrix = EBLOSUM62
あるポリペプチドが「腫瘍形成能を有する」ことは、一例として、実施例5および6の方法で確認することが挙げられる。具体的には、当該ポリペプチドを発現するプラスミドを導入した宿主(Ba/F3細胞)がインターロイキン3非要求性の増殖能の有無を確認すること、または、当該ポリペプチドを発現するプラスミドを導入した宿主(3T3繊維芽細胞)がスフェロイドプレートを用いた足場非依存的増殖能の有無を確認することで判断する。
本発明の検出方法における検出対象ポリヌクレオチドとしては、「配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)2又は配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)で表されるアミノ酸配列を含み、しかも、腫瘍形成能を有するポリペプチド」をコードするポリヌクレオチドが好ましく、「配列番号2のアミノ酸番号78〜911(好ましくは配列番号2)又は配列番号4のアミノ酸番号78〜983(好ましくは配列番号4)で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド」をコードするポリヌクレオチドが最も好ましい。
本発明のポリヌクレオチドの検出方法における「ポリヌクレオチドの存在を検出する工程」は、被験者から得た試料のゲノム中の検出対象ポリヌクレオチド(融合点を含むゲノム配列)の存在を検出すること、あるいは、被験者から得た試料から抽出したゲノムDNAの転写産物(例えばmRNA又はcDNA)を調製し、検出対象ポリヌクレオチドに対応するmRNA又はcDNAの存在を検出することにより実施する。
ゲノムDNAの抽出は公知の方法で行うことができ、市販のDNA抽出キットを用いて簡便に行うことができる。
検出工程は公知の遺伝子解析法(例えば遺伝子検出法として常用されるPCR,LCR(Ligase chain reaction)、SDA(Strand displacement amplification)、NASBA(Nucleic acid sequence-based amplification)、ICAN(Isothermal and chimeric primer-initiated amplification of nucleic acids)、LAMP(Loop-mediated isothermal amplification)法、TMA法(Gen-Probe’s TMA system)、インサイチュハイブリダイゼーション法、更にマイクロアレイなど周知の方法)に従って実施することができる。例えば、検出対象ポリヌクレオチドにハイブリダイズする核酸をプローブとしたハイブリダイゼーション技術、又は、検出対象ポリヌクレオチドにハイブリダイズするDNAをプライマーとした遺伝子増幅技術等を利用する。
具体的には、被験者から得た試料由来の核酸、例えばmRNA等を用いて測定する。mRNA量の測定は、検出対象ポリヌクレオチド配列を特異的に増幅できるように設計したプライマーを用いて遺伝子増幅反応方法にて測定する。本発明の検出方法に用いられるプライマー、又は、検出用キットに含まれるプライマーは、検出対象ポリヌクレオチド配列を特異的に増幅できるものであれば、特には限定されず、検出対象ポリヌクレオチドの塩基配列に基づいて設計する。PCR増幅モニター法におけるプライマー設計は、プライマー設計ソフトウェア(例えば、Primer Express; PE Biosystems)などを利用してできる。また、PCR産物のサイズが大きくなると増幅効率が悪くなるため、センスプライマーとアンチセンスプライマーは、mRNA又はcDNAを対象に増幅したときの増幅産物の大きさが1kb以下になるように設定するのが適切である。
より具体的には、センスプライマー(5’−プライマー)をPIBF1をコードする部分から、アンチセンスプライマー(3’−プライマー)をRETをコードする部分から設計する。好ましくは、本発明の検出用キットに含まれるプライマーを用い、更に好ましくは、検出用キットに最も好適に含まれるプライマーを用いる。PCR増幅モニター法では、各遺伝子に対応した上記センスプライマーを混ぜることにより、1反応液により全ての融合ポリヌクレオチドを検出するマルチプレックスPCR(Multiplex PCR)を設計することもできる。各増幅技術に適した方法によって目的とした遺伝子(全体又はその特異的部分)が増幅されたか否かを確認することができる。例えば、PCR法では、PCR産物をアガロースゲル電気泳動によって分析し、エチジウムブロマイド染色等によって目的とするサイズの増幅断片が得られたか否かを確認できる。目的とするサイズの増幅断片が得られた場合は、被験者から得た試料において、検出対象ポリヌクレオチドが存在していたことになる。このように、検出対象ポリヌクレオチドの存在を検出することができる。
本発明の融合遺伝子の検出方法としては、被験者から得た試料中の、特定のポリヌクレオチドの存在を遺伝子増幅反応により検出する工程に加え、さらに目的とするサイズの増幅断片が得られたか否かを検出する工程を含むことが好ましい。
ハイブリダイゼーション技術を利用した検出は、例えば、ノーザンハイブリダイゼーション、ドットブロット法、DNAマイクロアレイ法、RNAプロテクション法などを使用して行う。ハイブリダイゼーションに用いるプローブとしては、検出対象ポリヌクレオチド又はそれらの相補鎖にストリンジェントな条件下で(好ましくはよりストリンジェントな条件下で)ハイブリダイズする連続した少なくとも32塩基の核酸分子であって、融合点を中心にその上流及び下流のそれぞれ16塩基からなる配列又はそれらの相補鎖を含むプローブを用いることができる。
インサイチュハイブリダイゼーション技術を利用した検出は、公知のFISH法(fusion assay)に従って実施することができる。または、クロモジェニックインサイチュハイブリダイゼーション(CISH)法とシルバーインサイチュハイブリダイゼーション(SISH)法を組み合わせたヒュージョンアッセイで実施することができる。
なお、本明細書における融合点とは、PIBF1の各遺伝子由来の部分とRET遺伝子由来の部分とが融合した点を意味する。
また、本明細書における「ストリンジェントな条件」とは、ハイブリダイゼーションのための条件として、「5×SSPE、5×Denhardt’s液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、200μg/mL鮭***DNA、42℃オーバーナイト」、洗浄のための条件として、「0.5×SSC、0.1%SDS、42℃」の条件である。「よりストリンジェントな条件」とは、ハイブリダイゼーションのための条件として、「5×SSPE、5×Denhardt’s液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、200μg/mL鮭***DNA、42℃オーバーナイト」、洗浄のための条件として、「0.2×SSC、0.1%SDS、65℃」の条件である。
さらには、RT−PCR等の遺伝子増幅技術を利用することができる。RT−PCR法においては、遺伝子の増幅過程においてPCR増幅モニター(リアルタイムPCR)法(Genome Res., 6(10), 986, 1996)を用いることにより、検出対象ポリヌクレオチドの存在について、より定量的な解析を行うことが可能である。PCR増幅モニター法としては、例えば、ABI PRISM7900(PEバイオシステムズ社)を用いることが出来る。リアルタイムPCRは公知の方法であり、そのための装置およびキットは市販されており、これらを利用して簡便に行える。
(II)前記融合遺伝子によってコードされる融合タンパク質の検出方法
本発明における融合タンパク質の検出方法は、被験者から得た試料における、特定のポリペプチド、すなわち、検出対象ポリヌクレオチドにコードされるポリペプチド(以下、「検出対象ポリペプチド」と称する)の存在を検出する工程を含む。当該検出対象ポリペプチドは、「PIBF1とRETとの融合タンパク質」である。
本発明における融合タンパク質の検出方法は、被験者から得た試料における、特定のポリペプチド、すなわち、検出対象ポリヌクレオチドにコードされるポリペプチド(以下、「検出対象ポリペプチド」と称する)の存在を検出する工程を含む。当該検出対象ポリペプチドは、「PIBF1とRETとの融合タンパク質」である。
このような検出する工程は、被験者から得た試料(例えば、被験者から得た癌組織や細胞)由来の可溶化液を調製し、その中に含まれる検出対象ポリペプチドを、PIBF1に対する抗体と、抗RET抗体とを組み合わせることによる免疫学的測定法又は酵素活性測定法等により実施できる。好適には、検出対象ポリペプチドに特異的なモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体を用いた、酵素免疫測定法、2抗体サンドイッチELISA法、蛍光免疫測定法、放射免疫測定法、ウェスタンブロッティング法等の手法を用いることができる。
本発明の検出方法における検出対象ポリヌクレオチド又は検出対象ポリペプチドが、被験者から得た試料から検出された場合は、当該被験者は、当該ポリヌクレオチド陽性の癌を有する対象(患者)であり、本発明のポリヌクレオチドを抑制する物質(好ましくはPIBF1−RET阻害剤)による治療の適用対象となる。検出又は診断の対象としては、癌であれば特に制限はないが、特には肺癌又は甲状腺癌などであり、より好ましくは肺癌であり、更に好ましくは細気管支肺細胞癌治療剤である。
《本発明の検出用キット、本発明のプライマーセット》
本発明の検出用キットには、少なくとも、本発明の検出方法における検出対象ポリヌクレオチドを特異的に増幅できるように設計したセンス及びアンチセンスプライマーが含まれる。センス及びアンチセンスプライマーセットは、検出対象ポリヌクレオチド増幅用のプライマーとして機能するポリヌクレオチドのセットである。
本発明の検出用キットには、少なくとも、本発明の検出方法における検出対象ポリヌクレオチドを特異的に増幅できるように設計したセンス及びアンチセンスプライマーが含まれる。センス及びアンチセンスプライマーセットは、検出対象ポリヌクレオチド増幅用のプライマーとして機能するポリヌクレオチドのセットである。
「PIBF1遺伝子とRET遺伝子との融合遺伝子」とは、PIBF1遺伝子の一部とRET遺伝子の一部とが融合した遺伝子のことをいう。
本発明のプライマーセットには、
(1)PIBF1をコードする部分から設計されるセンスプライマー及びRETをコードする部分から設計されるアンチセンスプライマーを含む、PIBF1遺伝子とRET遺伝子との融合遺伝子を検出するためのプライマーセットであって、アンチセンスプライマーは「検出対象ポリヌクレオチド」にストリンジェントな条件下(好ましくは、よりストリンジェントな条件下)でハイブリダイズする核酸分子(好ましくは、少なくとも16塩基の核酸分子)からなり、センスプライマーは「検出対象ポリヌクレオチド」の相補鎖にストリンジェントな条件(好ましくは、よりストリンジェントな条件下)でハイブリダイズする核酸分子(好ましくは、少なくとも16塩基の核酸分子)からなるプライマーセット
が含まれる。
(1)PIBF1をコードする部分から設計されるセンスプライマー及びRETをコードする部分から設計されるアンチセンスプライマーを含む、PIBF1遺伝子とRET遺伝子との融合遺伝子を検出するためのプライマーセットであって、アンチセンスプライマーは「検出対象ポリヌクレオチド」にストリンジェントな条件下(好ましくは、よりストリンジェントな条件下)でハイブリダイズする核酸分子(好ましくは、少なくとも16塩基の核酸分子)からなり、センスプライマーは「検出対象ポリヌクレオチド」の相補鎖にストリンジェントな条件(好ましくは、よりストリンジェントな条件下)でハイブリダイズする核酸分子(好ましくは、少なくとも16塩基の核酸分子)からなるプライマーセット
が含まれる。
また、前記プライマーセット(1)のより具体的な態様として、本発明のプライマーセットには、以下の(2)及び(3)のプライマーセットが含まれる。
(2)配列番号1の塩基番号1から1833間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドからなるセンスプライマー及び配列番号1の塩基番号1834から2916間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドに対して相補的であるオリゴヌクレオチドからなるアンチセンスプライマーのプライマーセット。
(3)配列番号3の塩基番号1から2049間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドからなるセンスプライマー及び配列番号3の塩基番号2045から3132間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドに対して相補的であるオリゴヌクレオチドからなるアンチセンスプライマーのプライマーセット。
(2)配列番号1の塩基番号1から1833間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドからなるセンスプライマー及び配列番号1の塩基番号1834から2916間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドに対して相補的であるオリゴヌクレオチドからなるアンチセンスプライマーのプライマーセット。
(3)配列番号3の塩基番号1から2049間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドからなるセンスプライマー及び配列番号3の塩基番号2045から3132間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドに対して相補的であるオリゴヌクレオチドからなるアンチセンスプライマーのプライマーセット。
これらのプライマーセット(1)〜(3)においては、センスプライマーとアンチセンスセンスプライマーの選択位置の間隔が1kb以下であるか、あるいは、センスプライマーとアンチセンスセンスプライマーにより増幅される増幅産物の大きさが1kb以下であることが好ましい。
また、本発明のプライマーは、通常、15〜40塩基、好ましくは16〜24塩基、更に好ましくは18〜24塩基、特に好ましくは20〜24塩基の鎖長を有する。
本発明のプライマーセットは、本発明の検出方法において、検出対象ポリヌクレオチドを増幅及び検出するために用いることができる。また、本発明のプライマーセットに含まれる各プライマーは、特に限定されるものではないが、例えば、化学合成法によって製造することができる。
「本発明のポリペプチドを抑制する物質」としては、本発明のポリペプチドを阻害する物質又は本発明のポリペプチドの発現を抑制する物質(例えば、二重鎖核酸、抗体又は抗体断片を含む蛋白質、ペプチド、又はそれ以外の化合物])等が挙げられ、好ましくはPIBF1とRETとの融合タンパク質の活性を阻害する物質(PIBF1−RET阻害剤とも称する)である。これらの物質は、癌治療剤、特には肺癌又は甲状腺癌治療剤として用いることができ、より好ましくは肺癌治療剤、さらに好ましくは細気管支肺細胞癌治療剤である。
以下、実施例によって本発明を詳述するが、本発明は該実施例によって限定されるものではない。なお、特に断りがない場合は、公知の方法に従って実施可能である。また、市販の試薬やキット等を用いる場合には市販品の指示書に従って実施可能である。
[実施例1]PIBF1−RET融合ポリヌクレオチド v1(PIBF1−RET_v1(P14R12)およびPIBF1−RET融合ポリヌクレオチド v2(PIBF1−RET_v2(P16R12)の単離
細気管支肺細胞癌患者肺癌組織由来RNA(米国アステランド社)Lg280検体RNAに対して、逆転写酵素(SuperScriptIII、ライフテクノロジーズ社)およびオリゴ(dT)プライマー(オリゴ (dT)20プライマー、ライフテクノロジーズ社)を用いて、キットのプロトコールにしたがって逆転写反応を行い、cDNAを合成した。
次に、配列番号5で示されるPIBF1_RET_cloning_Fおよび配列番号6で示されるPIBF1_RET_cloning_Rのプライマーを用いて、上記で得たcDNAを鋳型として、DNAポリメラーゼ(KOD −plus− Ver.2;東洋紡績株式会社)を行いてPCR(98℃15秒、55℃15秒、68℃4分を25サイクル)を行った。その後、10倍希釈した前述PCR産物を鋳型として、配列番号7で示されるPIBF1_RET_cloning_PacI_Fおよび配列番号8で示されるPIBF1_RET_cloning_NotI_Rのプライマー、同じDNAポリメラーゼ、同じプロトコルでPCRを行い、電気泳動したところ、約2.9kbのPCR産物と約3.1kbのPCR産物を得たことがわかった。それぞれのPCR産物をクローニングベクター(TOPO XL PCR Cloning Kit;ライフテクノロジーズ株式会社)にクローニングした。インサートはダイデオキシシーケンス法により配列を決定した(BigDye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit;ライフテクノロジーズ)。この結果、約2.9kbのPCR産物では、NCBIに登録されているPIBF1(NM_006346.2)のコーディングシーケンス(以下CDS)のN末端からエキソン14の3’末端までが、RET(NM_020630)のCDSのエキソン12の5’末端からCDSのC末端までと融合している転写産物(PIBF1−RETv1)(配列番号1)が存在していることが明らかになった。配列番号1によりコードされるポリペプチドを配列番号2に示す。また、約3.1kbのPCR産物では、NCBIに登録されているPIBF1(NM_006346.2)のコーディングシーケンス(以下CDS)のN末端からエキソン16の3’末端までが、RET(NM_020630)のCDSのエキソン12の5’末端からCDSのC末端までと融合している転写産物(PIBF1−RETv2)(配列番号3)が存在していることが明らかになった。配列番号3によりコードされるポリペプチドを配列番号4に示す。
また、PIBF1−RET_v1およびPIBF1−RET_v2のORF全長をタンパク質として発現するため、それぞれ制限酵素PacIで37℃、3時間の酵素反応を行い制限酵素処理したDNA断片を精製し、さらにNotIで37℃、3時間の酵素反応を行い制限酵素処理したDNA断片を精製した。このORFを含むDNA断片を発現ベクター(pMXs−puro;コスモバイオ社)のマルチクローニングサイトに存在するPacIおよびNotIサイトにクローニングし発現プラスミドを構築した。(PIBF1−RET_v1(P14R12)/pMXs−puroおよびPIBF1−RET_v2(P16R12)/pMXs−puro)
細気管支肺細胞癌患者肺癌組織由来RNA(米国アステランド社)Lg280検体RNAに対して、逆転写酵素(SuperScriptIII、ライフテクノロジーズ社)およびオリゴ(dT)プライマー(オリゴ (dT)20プライマー、ライフテクノロジーズ社)を用いて、キットのプロトコールにしたがって逆転写反応を行い、cDNAを合成した。
次に、配列番号5で示されるPIBF1_RET_cloning_Fおよび配列番号6で示されるPIBF1_RET_cloning_Rのプライマーを用いて、上記で得たcDNAを鋳型として、DNAポリメラーゼ(KOD −plus− Ver.2;東洋紡績株式会社)を行いてPCR(98℃15秒、55℃15秒、68℃4分を25サイクル)を行った。その後、10倍希釈した前述PCR産物を鋳型として、配列番号7で示されるPIBF1_RET_cloning_PacI_Fおよび配列番号8で示されるPIBF1_RET_cloning_NotI_Rのプライマー、同じDNAポリメラーゼ、同じプロトコルでPCRを行い、電気泳動したところ、約2.9kbのPCR産物と約3.1kbのPCR産物を得たことがわかった。それぞれのPCR産物をクローニングベクター(TOPO XL PCR Cloning Kit;ライフテクノロジーズ株式会社)にクローニングした。インサートはダイデオキシシーケンス法により配列を決定した(BigDye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit;ライフテクノロジーズ)。この結果、約2.9kbのPCR産物では、NCBIに登録されているPIBF1(NM_006346.2)のコーディングシーケンス(以下CDS)のN末端からエキソン14の3’末端までが、RET(NM_020630)のCDSのエキソン12の5’末端からCDSのC末端までと融合している転写産物(PIBF1−RETv1)(配列番号1)が存在していることが明らかになった。配列番号1によりコードされるポリペプチドを配列番号2に示す。また、約3.1kbのPCR産物では、NCBIに登録されているPIBF1(NM_006346.2)のコーディングシーケンス(以下CDS)のN末端からエキソン16の3’末端までが、RET(NM_020630)のCDSのエキソン12の5’末端からCDSのC末端までと融合している転写産物(PIBF1−RETv2)(配列番号3)が存在していることが明らかになった。配列番号3によりコードされるポリペプチドを配列番号4に示す。
また、PIBF1−RET_v1およびPIBF1−RET_v2のORF全長をタンパク質として発現するため、それぞれ制限酵素PacIで37℃、3時間の酵素反応を行い制限酵素処理したDNA断片を精製し、さらにNotIで37℃、3時間の酵素反応を行い制限酵素処理したDNA断片を精製した。このORFを含むDNA断片を発現ベクター(pMXs−puro;コスモバイオ社)のマルチクローニングサイトに存在するPacIおよびNotIサイトにクローニングし発現プラスミドを構築した。(PIBF1−RET_v1(P14R12)/pMXs−puroおよびPIBF1−RET_v2(P16R12)/pMXs−puro)
[実施例2]PIBF1−RET(P14R12)融合ポリヌクレオチドv1の検出
肺癌臨床検体由来cDNA(米国アステランド社)200サンプルを基質とし、配列番号9で示されるP14R12_qPCR_Fおよび配列番号10で示されるP14R12_qPCR_Rの塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーセットとして、定量的PCRキット(Power SYBR Green PCR Master Mix;ライフテクノロジーズ社)を用い、アプライドバイオシステムズ7900HTシステムにて、定量PCR(95℃ 10分の後、95℃15秒、59℃60秒 を45サイクル)を行い遺伝子発現量を測定した。その結果、上述のサンプルLg280から合成したcDNAのみで増幅が確認された。またPIBF1−RET(P16R12)_v2配列を持つプラスミドDNAでは増幅は確認できなかった。以上から、上記方法により、肺癌臨床検体由来の試料中のPIBF1−RET(P14R12)融合ポリヌクレオチドv1の存在を検出することができ、PIBF1−RET(P14R12)ポリヌクレオチドv1陽性患者を選択できることが示された。
肺癌臨床検体由来cDNA(米国アステランド社)200サンプルを基質とし、配列番号9で示されるP14R12_qPCR_Fおよび配列番号10で示されるP14R12_qPCR_Rの塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーセットとして、定量的PCRキット(Power SYBR Green PCR Master Mix;ライフテクノロジーズ社)を用い、アプライドバイオシステムズ7900HTシステムにて、定量PCR(95℃ 10分の後、95℃15秒、59℃60秒 を45サイクル)を行い遺伝子発現量を測定した。その結果、上述のサンプルLg280から合成したcDNAのみで増幅が確認された。またPIBF1−RET(P16R12)_v2配列を持つプラスミドDNAでは増幅は確認できなかった。以上から、上記方法により、肺癌臨床検体由来の試料中のPIBF1−RET(P14R12)融合ポリヌクレオチドv1の存在を検出することができ、PIBF1−RET(P14R12)ポリヌクレオチドv1陽性患者を選択できることが示された。
[実施例3]PIBF1−RET(P16R12)融合ポリヌクレオチドv2の検出
肺癌臨床検体由来cDNA(米国アステランド社)200サンプルを基質とし、配列番号11で示されるP16R12_qPCR_Fおよび配列番号12で示されるP16R12_qPCR_Rの塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーセットとして、定量的PCRキット(Power SYBR Green PCR Master Mix;ライフテクノロジーズ社)を用い、アプライドバイオシステムズ7900HTシステムにて、定量PCR(95℃ 10分の後、95℃15秒、59℃60秒 を45サイクル)を行い遺伝子発現量を測定した。その結果、上述のサンプルLg280から合成したcDNAのみで増幅が確認された。またPIBF1−RET(P14R12)_v1配列を持つプラスミドDNAでは増幅は確認できなかった。以上から、上記方法により、肺癌臨床検体由来の試料中のPIBF1−RET(P14R12)融合ポリヌクレオチドv2の存在を検出することができ、PIBF1−RET(P14R12)ポリヌクレオチドv2陽性患者を選択できることが示された。
肺癌臨床検体由来cDNA(米国アステランド社)200サンプルを基質とし、配列番号11で示されるP16R12_qPCR_Fおよび配列番号12で示されるP16R12_qPCR_Rの塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーセットとして、定量的PCRキット(Power SYBR Green PCR Master Mix;ライフテクノロジーズ社)を用い、アプライドバイオシステムズ7900HTシステムにて、定量PCR(95℃ 10分の後、95℃15秒、59℃60秒 を45サイクル)を行い遺伝子発現量を測定した。その結果、上述のサンプルLg280から合成したcDNAのみで増幅が確認された。またPIBF1−RET(P14R12)_v1配列を持つプラスミドDNAでは増幅は確認できなかった。以上から、上記方法により、肺癌臨床検体由来の試料中のPIBF1−RET(P14R12)融合ポリヌクレオチドv2の存在を検出することができ、PIBF1−RET(P14R12)ポリヌクレオチドv2陽性患者を選択できることが示された。
[実施例4] PIBF1−RET(P14R12)融合ポリヌクレオチド_v1およびPIBF1−RET(P16R12)融合ポリヌクレオチド_v2のレトロウイルス液の作成
上記、PIBF1−RET_v1(P14R12)/pMXs−puroおよびPIBF1−RET_v1(P16R12)/pMXs−puroを各9μg、トランスフェクション試薬(FUGENEョHD、ロシュ社)を用いて、Platinum−E細胞にトランスフェクションを実施した。トランスフェクション24時間後に10%牛血清(ニチレイバイオサイエンス社)を含むD−MEM培地(Dulbecco’s Modified Eagle Medium培地;インビトロジェン社)を交換し、さらに24時間の培地上清を採取しレトロウイルス溶液を作成した。
上記、PIBF1−RET_v1(P14R12)/pMXs−puroおよびPIBF1−RET_v1(P16R12)/pMXs−puroを各9μg、トランスフェクション試薬(FUGENEョHD、ロシュ社)を用いて、Platinum−E細胞にトランスフェクションを実施した。トランスフェクション24時間後に10%牛血清(ニチレイバイオサイエンス社)を含むD−MEM培地(Dulbecco’s Modified Eagle Medium培地;インビトロジェン社)を交換し、さらに24時間の培地上清を採取しレトロウイルス溶液を作成した。
[実施例5]PIBF1−RET_v1(P14R12)融合ポリヌクレオチドおよびPIBF1−RET_v2(P16R12)融合ポリヌクレオチドによる増殖因子非依存性増殖促進作用の検討
実施例4において、PIBF1−RET_v1(P14R12)/pMXs−puroおよびPIBF1−RET_v2(P16R12)/pMXs−puroを用いて作成したウイルス溶液にポリブレン(Polybrene;Sigma社)を4μg/mLの濃度で添加したのち、BA/F3細胞に添加し感染させた。感染6時間後に10%牛血清(ニチレイバイオサイエンス社)、1ng/mLのマウスリコンビナントIL−3(R&D社)を含むRPMI1640(Roswell Park Memorial Institute 1640;インビトロジェン社)培地に交換し培養した。感染1日後に10%牛血清(ニチレイバイオサイエンス社)および1μg/mLのピューロマイシン(シグマ社)を含むRPMI1640(Roswell Park Memorial Institute 1640;インビトロジェン社)培地を用いて、5%CO2存在下、37℃で4週間培養を続け、PIBF1−RET_v1(P14R12)およびPIBF1−RET_v2(P16R12)/pMXs−puroを安定発現するBA/F3細胞を取得した。(それぞれPIBF1−RET_v1(P14R12)発現/BA/F3細胞およびPIBF1−RET_v2(P16R12)発現/BA/F3細胞と命名した。)
PIBF1−RET_v1(P14R12)発現/BA/F3細胞およびPIBF1−RET_v2(P16R12)発現/BA/F3細胞のIL−3非存在下での増殖能を検討した。PIBF1−RET_v1(P14R12)発現/BA/F3細胞、PIBF1−RET_v2(P16R12)発現/BA/F3細胞およびCDS領域を含まない空ベクターであるpMXs−puro感染BA/F3細胞(Mock/BA/F3細胞)を増殖因子IL−3の非存在下で、1ウェル当り1×103個となるように10%牛血清(ニチレイバイオサイエンス社)を含みマウスリコンビナントIL−3を含まないRPMI1640培地(インビトロジェン社)で96ウェルプレートに撒き、5%CO2存在下、37℃で培養後、翌日(Day1)および4日後(Day4)の細胞数を細胞数測定試薬(CELLTITER−GloTM Luminescent Cell Viability Assay;Promega社)をマニュアルの方法に従って測定した。検出には発光測定装置(Envision;パーキンエルマー社)を用いた。Mock/BA/F3細胞はDay1からDay4までで細胞数のカウントは増加しなかったのに対して、PIBF1−RET_v1(P14R12)発現/BA/F3細胞はDay1からDay4までで約23倍の細胞数の増加が観察された。また、PIBF1−RET_v2(P16R12)発現/BA/F3細胞はDay1からDay4までで約13倍の細胞数の増加が観察された。以上により、PIBF1−RET_v1(P14R12)融合ポリヌクレオチドおよびPIBF1−RET_v2(P16R12)融合ポリヌクレオチドは増殖因子非依存性増殖亢進作用を有することがわかった。
実施例4において、PIBF1−RET_v1(P14R12)/pMXs−puroおよびPIBF1−RET_v2(P16R12)/pMXs−puroを用いて作成したウイルス溶液にポリブレン(Polybrene;Sigma社)を4μg/mLの濃度で添加したのち、BA/F3細胞に添加し感染させた。感染6時間後に10%牛血清(ニチレイバイオサイエンス社)、1ng/mLのマウスリコンビナントIL−3(R&D社)を含むRPMI1640(Roswell Park Memorial Institute 1640;インビトロジェン社)培地に交換し培養した。感染1日後に10%牛血清(ニチレイバイオサイエンス社)および1μg/mLのピューロマイシン(シグマ社)を含むRPMI1640(Roswell Park Memorial Institute 1640;インビトロジェン社)培地を用いて、5%CO2存在下、37℃で4週間培養を続け、PIBF1−RET_v1(P14R12)およびPIBF1−RET_v2(P16R12)/pMXs−puroを安定発現するBA/F3細胞を取得した。(それぞれPIBF1−RET_v1(P14R12)発現/BA/F3細胞およびPIBF1−RET_v2(P16R12)発現/BA/F3細胞と命名した。)
PIBF1−RET_v1(P14R12)発現/BA/F3細胞およびPIBF1−RET_v2(P16R12)発現/BA/F3細胞のIL−3非存在下での増殖能を検討した。PIBF1−RET_v1(P14R12)発現/BA/F3細胞、PIBF1−RET_v2(P16R12)発現/BA/F3細胞およびCDS領域を含まない空ベクターであるpMXs−puro感染BA/F3細胞(Mock/BA/F3細胞)を増殖因子IL−3の非存在下で、1ウェル当り1×103個となるように10%牛血清(ニチレイバイオサイエンス社)を含みマウスリコンビナントIL−3を含まないRPMI1640培地(インビトロジェン社)で96ウェルプレートに撒き、5%CO2存在下、37℃で培養後、翌日(Day1)および4日後(Day4)の細胞数を細胞数測定試薬(CELLTITER−GloTM Luminescent Cell Viability Assay;Promega社)をマニュアルの方法に従って測定した。検出には発光測定装置(Envision;パーキンエルマー社)を用いた。Mock/BA/F3細胞はDay1からDay4までで細胞数のカウントは増加しなかったのに対して、PIBF1−RET_v1(P14R12)発現/BA/F3細胞はDay1からDay4までで約23倍の細胞数の増加が観察された。また、PIBF1−RET_v2(P16R12)発現/BA/F3細胞はDay1からDay4までで約13倍の細胞数の増加が観察された。以上により、PIBF1−RET_v1(P14R12)融合ポリヌクレオチドおよびPIBF1−RET_v2(P16R12)融合ポリヌクレオチドは増殖因子非依存性増殖亢進作用を有することがわかった。
[実施例6] PIBF1−RET_v1(P14R12)融合ポリヌクレオチドおよびPIBF1−RET_v2(P16R12)融合ポリヌクレオチドの足場非依存的増殖亢進作用の検討
実施例4において、PIBF1−RET_v1(P14R12)/pMXs−puroおよびPIBF1−RET_v2(P16R12)/pMXs−puroを用いて作成したウイルス溶液にポリブレン(Polybrene;Sigma社)を4μg/mLの濃度で添加したのち、NIH3T3細胞に添加し感染させた。添加6時間後に10%牛血清(ニチレイバイオサイエンス社)を含むD−MEM培地に交換し、感染1日後に10%牛血清(ニチレイバイオサイエンス社)および1μg/mLのピューロマイシン(シグマ社)を含むD−MEM培地(インビトロジェン社)に交換し、5%CO2存在下、37℃で4週間培養を続け、PIBF1−RET_v1(P14R12)およびPIBF1−RET_v2(P16R12)を安定発現するNIH3T3細胞を取得した。(それぞれPIBF1−RET_v1(P14R12)発現/NIH3T3細胞およびPIBF1−RET_v2(P16R12)発現/NIH3T3細胞と命名した。)
PIBF1−RET_v1(P14R12)発現/NIH3T3細胞およびPIBF1−RET_v2(P16R12)発現/NIH3T3細胞の足場非依存的増殖亢進能を検討するため、96ウェルスフェロイドプレート(スミロンセルタイトスフェロイド96U;住友ベークライト)にPIBF1−RET_v1(P14R12)発現/NIH3T3細胞、PIBF1−RET_v2(P16R12)発現/NIH3T3細胞および空ベクターであるpMXs−puroを感染させたNIH3T3細胞(Mock/3T3細胞)を、それぞれ1ウェル当り1×103個となるように10%牛血清(ニチレイバイオサイエンス社)を含むD−MEM培地(インビトロジェン社)で播種した。5%CO2存在下、37℃で培養後、翌日(Day1)および4日後(Day4)の細胞数を細胞数測定試薬(CELLTITER−GloTM Luminescent Cell Viability Assay;Promega社)をマニュアルの方法に従って測定した。検出には発光測定装置(Envision;パーキンエルマー社)を用いた。Mock/3T3細胞はDay1からDay4までで細胞数のカウントは増加しなかったのに対してPIBF1−RET_v1(P14R12)発現/NIH3T3細胞はDay1からDay4までで約1.7倍の細胞数のカウントの増加が確認された。また、PIBF1−RET_v2(P16R12)発現/NIH3T3細胞はDay1からDay4までで約2.9倍の細胞数のカウントの増加が確認された。以上のことから、CLN3−BRAF_v1発現/NIH3T3細胞およびCLN3−BRAF_v2発現/NIH3T3細胞は足場非依存的細胞増殖を示すことが明らかとなった。
実施例4において、PIBF1−RET_v1(P14R12)/pMXs−puroおよびPIBF1−RET_v2(P16R12)/pMXs−puroを用いて作成したウイルス溶液にポリブレン(Polybrene;Sigma社)を4μg/mLの濃度で添加したのち、NIH3T3細胞に添加し感染させた。添加6時間後に10%牛血清(ニチレイバイオサイエンス社)を含むD−MEM培地に交換し、感染1日後に10%牛血清(ニチレイバイオサイエンス社)および1μg/mLのピューロマイシン(シグマ社)を含むD−MEM培地(インビトロジェン社)に交換し、5%CO2存在下、37℃で4週間培養を続け、PIBF1−RET_v1(P14R12)およびPIBF1−RET_v2(P16R12)を安定発現するNIH3T3細胞を取得した。(それぞれPIBF1−RET_v1(P14R12)発現/NIH3T3細胞およびPIBF1−RET_v2(P16R12)発現/NIH3T3細胞と命名した。)
PIBF1−RET_v1(P14R12)発現/NIH3T3細胞およびPIBF1−RET_v2(P16R12)発現/NIH3T3細胞の足場非依存的増殖亢進能を検討するため、96ウェルスフェロイドプレート(スミロンセルタイトスフェロイド96U;住友ベークライト)にPIBF1−RET_v1(P14R12)発現/NIH3T3細胞、PIBF1−RET_v2(P16R12)発現/NIH3T3細胞および空ベクターであるpMXs−puroを感染させたNIH3T3細胞(Mock/3T3細胞)を、それぞれ1ウェル当り1×103個となるように10%牛血清(ニチレイバイオサイエンス社)を含むD−MEM培地(インビトロジェン社)で播種した。5%CO2存在下、37℃で培養後、翌日(Day1)および4日後(Day4)の細胞数を細胞数測定試薬(CELLTITER−GloTM Luminescent Cell Viability Assay;Promega社)をマニュアルの方法に従って測定した。検出には発光測定装置(Envision;パーキンエルマー社)を用いた。Mock/3T3細胞はDay1からDay4までで細胞数のカウントは増加しなかったのに対してPIBF1−RET_v1(P14R12)発現/NIH3T3細胞はDay1からDay4までで約1.7倍の細胞数のカウントの増加が確認された。また、PIBF1−RET_v2(P16R12)発現/NIH3T3細胞はDay1からDay4までで約2.9倍の細胞数のカウントの増加が確認された。以上のことから、CLN3−BRAF_v1発現/NIH3T3細胞およびCLN3−BRAF_v2発現/NIH3T3細胞は足場非依存的細胞増殖を示すことが明らかとなった。
本発明の検出方法は、本明細書の融合遺伝子陽性の癌患者の判定に有用である。本発明の検出用キット及びプライマーセットは、前記検出方法に用いることができる。
以下の配列表の数字見出し<223>には、「Artificial Sequence」の説明を記載する。具体的には、配列表の配列番号7及び8で表される各塩基配列は、人工的に合成したプライマー配列である。
Claims (7)
- 被験者から得た試料中の、下記(1)〜(3)に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド又は該ポリペプチドの存在を検出する工程を含むことを特徴とする、プロゲステロンイムノモジュレーターバインディングファクター1(Progesterone Immunomodulator binding factor 1)遺伝子とリアレンジドデュアリングトランスフォーメーション(rearranged during transformation;RET)遺伝子との融合遺伝子又は該融合遺伝子によってコードされる融合蛋白質の検出方法:
(1)配列番号2のアミノ酸番号78〜911若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2のアミノ酸番号78〜911若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2のアミノ酸番号78〜911若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983で表されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2のアミノ酸番号78〜911若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。 - 前記ポリペプチドが、下記(1)〜(3)に記載のポリペプチドである請求項1に記載の検出方法:
(1)配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。 - 下記(1)〜(3)に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを特異的に増幅できるように設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマーを含む、PIBF1遺伝子とRET遺伝子との融合遺伝子の検出用キット:
(1)配列番号2のアミノ酸番号78〜911若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2のアミノ酸番号78〜911若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2のアミノ酸番号78〜911若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983で表されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2のアミノ酸番号78〜911若しくは配列番号4のアミノ酸番号78〜983で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。 - 前記ポリペプチドが、下記(1)〜(3)に記載のポリペプチドである請求項3に記載の検出用キット:
(1)配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。 - PIBF1遺伝子をコードする部分から設計されるセンスプライマー及びRET遺伝子をコードする部分から設計されるアンチセンスプライマーを含む、PIBF1遺伝子とRET遺伝子との融合遺伝子を検出するためのプライマーセットであって、請求項1又は2に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子からなるアンチセンスプライマー及び該ポリヌクレオチドの相補鎖にストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸分子からなるセンスプライマーを含むプライマーセット。
- 配列番号1の塩基番号1から1833間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドからなるセンスプライマー及び配列番号1の塩基番号1834から2916間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドに対して相補的であるオリゴヌクレオチドからなるアンチセンスプライマーのプライマーセット。
- 配列番号3の塩基番号1から2049間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドからなるセンスプライマー及び配列番号3の塩基番号2050から3132間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドに対して相補的であるオリゴヌクレオチドからなるアンチセンスプライマーのプライマーセット。
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