JP2015105398A - 皮膜形成装置及び皮膜形成方法 - Google Patents

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一樹 滝澤
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Abstract

【課題】プラズマを用いて処理対象部材に皮膜を形成するとき、処理対象部材に一様なイオンフラックスでイオンを注入する。
【解決手段】処理対象部材に皮膜を形成するとき、処理対象部材を囲む処理空間の第1の方向からプラズマを形成させる。さらに、前記処理空間の前記第1の方向と異なる第2の方向から、前記第1の方向からプラズマを形成させるタイミングに遅延させてプラズマを形成させる。前記第1の方向から形成させるプラズマと、前記第2の方向から形成させるプラズマの形成開始後に、前記処理対象部材にパルス電圧を印加させることにより、処理対象部材にイオンを注入させて処理対象部材に皮膜を形成させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、プラズマを用いて処理対象部材に皮膜を形成する皮膜形成装置及び皮膜形成方法に関する。
近年、3次元の立体形状の部材に皮膜を形成するために、プラズマイオン注入法を用いる技術が知られている。プラズマイオン注入法では、プラズマ中のイオンを、高電圧のパルス電圧を印加した処理対象部材の表面に衝突させ、物体表面にイオンを注入させる方法である。従来のイオンビームに比べて複雑な3次元形状の部材であっても皮膜を形成することができる点で優れている。
従来から知られているプラズマイオン注入法を用いたイオン注入装置(特許文献1)では、処理対象部材を処理空間内に支持装置で宙吊り状態に支持し、この処理対象部材に高電圧パルス電源から高電圧パルスを印加する。一方、陰極体で固体原料を溶融させ、固体原料融液を保持させた状態で、陰極体の上方に設けられた陽極体との間で放電させて固体原料融液からプラズマを発生させる。このプラズマの発生により生じたイオンを、高電圧パルスの印加された処理対象部材に引き寄せ、処理対象部材にイオンを注入させる。
特許第4069199号公報
上記イオン注入装置により、3次元形状の処理対象部材であっても皮膜を形成することができる。しかし、3次元形状の処理対象部材のサイズが大きく、部材の形状が複雑な場合、処理対象部材のすべての部分に皮膜を形成することは難しい。皮膜を処理対象部材のすべての部分に形成することができても、皮膜の成分を一定にすることは難しい。例えば、処理対象部材の表面にダイヤモンドライクカーボンの皮膜を形成するとき、この皮膜内の水素の含有率が場所によって変動する。このような変動は、注入しようとするイオンのエネルギーや密度が不均一な分布を持つことに依拠する。すなわち、イオンを注入するとき、処理対象部材に向かうイオンの流れであるイオンフラックスが場所によって異なる。
そこで、本発明は、プラズマを用いて処理対象部材に皮膜を形成するとき、処理対象部材に一様なイオンフラックスでイオンを注入することができる皮膜形成装置及び皮膜形成方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、プラズマを用いて処理対象部材の表面に皮膜を形成する皮膜形成装置である。当該装置は、
処理対象部材を配置した処理空間を囲む処理容器と、
前記処理容器の互いに異なる複数の外面上に設けられた複数のプラズマ生成素子と、
前記複数のプラズマ生成素子に電力を供給する高周波電源と、
前記処理対象部材にパルス電圧を印加するための電圧を出力するDC電源と、
前記複数のプラズマ生成素子の少なくとも1つに供給する電力の、処理対象部材に印加されるパルス電圧に対する先行のタイミングを、前記少なくとも1つのプラズマ生成素子以外の他のプラズマ生成素子に供給される電力の、前記パルス電圧に対する先行のタイミングに対して異ならせる制御部と、を備える。
このとき、前記制御部は、前記複数のプラズマ生成素子に供給する電力のうち、最先に供給される電力の終了後に前記パルス電圧を立ち上げることが好ましい。
また、前記制御部は、前記複数のプラズマ生成素子に付与する電力のうち、最も遅く供給される電力の付与中もしくは電力の付与後に前記パルス電圧を立ち上げる、ことが好ましい。
さらに、前記複数のプラズマ生成素子は、前記処理容器の天井壁面に設けられた第1のプラズマ生成素子と、前記処理容器の側壁面に設けられた複数の第2のプラズマ生成素子とを含むことが好ましい。
このとき、前記第2のプラズマ生成素子のそれぞれには、互いに同じタイミングで同じ期間電力を供給することが好ましい。
前記処理容器は、断面が円形あるいは多角形形状の筒形状を成し、前記第2のプラズマ生成素子は、前記処理容器の側壁面上の、前記筒形状の長手方向の同じ位置に、前記処理対象部材を囲むように設けられていることが好ましい。
前記プラズマ生成素子のそれぞれは、一端から電力が供給され、他端が接地したプラズマ生成用電極板であることが好ましい。
前記プラズマ生成素子は、前記処理容器の天井壁面に設けられた第1のプラズマ生成素子である第1の電極板と、前記処理容器の側壁面に設けられた複数の第2のプラズマ生成素子である第2の電極板とを含み、前記制御部は、前記第2の電極板のうち、前記第1の電極板の電力の供給端に最も近くに位置する電極板に供給する電力が、前記第2の電極板のうち、前記第1の電極板の接地端に最も近くに位置する電極板に供給する電力に対して大きくなるように、電力を供給することが好ましい。
本発明の他の一態様は、プラズマを用いて処理対象部材の表面に皮膜を形成する皮膜形成方法である。当該方法は、
処理対象部材を囲む処理空間の第1の方向からプラズマを形成させるステップと、
前記処理空間の前記第1の方向と異なる第2の方向から、前記第1の方向からプラズマを形成させるタイミングに遅延させてプラズマを形成させるステップと、
前記第1の方向から形成させるプラズマと、前記第2の方向から形成させるプラズマの形成開始後に、前記処理対象部材にパルス電圧を印加させることにより、前記処理対象部材に、前記プラズマによって前記処理空間内のガスからつくられるイオンを注入させて処理対象部材に皮膜を形成するステップと、を有する。
上述の皮膜形成装置及び皮膜形成方法によれば、処理対象部材に一様なイオンフラックスでイオンを注入することができる。
本実施形態の皮膜形成装置の概略の装置構成を説明する図である。 (a)〜(d)は、図1に示す皮膜形成装置のプラズマ生成素子に給電する電力のタイミングと、処理対象部材に印加するパルス電圧のタイミングを示すタイミングチャートである。 (a)は、ダイヤモンドライクカーボンの皮膜のX線光電子分光法による測定結果の例を示す図であり、(b)は、皮膜に入射するイオンのエネルギーに対するsp混成軌道とsp混成軌道の比率の変化を示す図である。 プラズマの生成終了後に行うパルス電圧の電極板への印加のタイミングに対する皮膜の成分の変化を示す図である。 電極板へ印加するパルス電圧のレベルに対する皮膜の成分の変化を示す図である。 図1に示す皮膜形成装置におけるプラズマの生成を説明する図である。 本実施形態の電極板を用いたプラズマ生成素子に供給される電力に対するプラズマ中の電子密度の測定結果の一例を示す図である。 図1に示す皮膜形成装置のプラズマ生成用電極板の配置を説明する図である。 (a),(b)は、電極板により生成されるプラズマ中の電子密度を説明する図である。
以下、本発明の皮膜形成装置及び皮膜形成方法について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態である皮膜形成装置10の概略の装置構成を説明する図である。
図1に示す皮膜形成装置10は、プラズマを用いて処理対象部材11の表面に皮膜を形成する装置である。
皮膜形成装置10は、処理容器12と、プラズマ生成素子14a,14b,14cと、高周波電源16a,16b,16cと、DC(直流)電源18と、タイミング制御部20と、スイッチ素子22a,22b,22c,22dとを主に備える。
処理容器12は、アルミニウム等の材質で形成され、処理空間を内部に作る。処理容器12には、皮膜形成用の原料ガスであり、プラズマの生成用ガスとなるガスを導入する導入管23が設けられ、さらに、排気管25が設けられている。導入管23は、原料ガスのガス源27と接続され、排気管25は排気装置29と接続されている。処理空間は、1〜100Paの減圧状態に維持できるように処理容器12は構成されている。処理容器12が囲む処理空間には、処理対象部材11が配置されている。
プラズマ生成素子14aは、処理容器12の天井の壁の外面上に設けられている。プラズマ生成素子14b,14cは、処理容器12の側壁の外面上に設けられ、プラズマ生成素子14bとプラズマ生成素子14cとは、互いに対向する壁面に設けられている。プラズマ生成素子14a,14b,14cのそれぞれは、図示されないマッチングボックスを介してスイッチ素子22a,22b,22cと接続されている。図1に示す実施形態では、プラズマ生成素子14a〜14cとしてプラズマ生成用電極板(以降、電極板という)が用いられている。以降、プラズマ生成素子の符号14a,14b,14cを、電極板の符号として用いる。
電極板14a,14b,14cの周囲には、処理容器12の隔壁と絶縁するための絶縁部材24a,24b,24cが設けられている。一方、電極板14a,14b,14cの処理空間に面する側には、誘電体26a,26b,26cが設けられ電極板14a,14b,14cを覆っている。誘電体26a,26b,26cには、例えば石英板が用いられる。誘電体26a,26b,26cを設けるのは、生成するプラズマによる電極板14a,14b,14cの腐食を防ぎ、かつ効率よくプラズマへエネルギーを供給するためである。
電極板14a,14b,14cは金属製の板材であり、例えば銅板である。電極板14a,14b,14cの各面のうち面積の最も大きい主表面が処理空間に向くように配置されている。電極板14a,14b,14cは一方向に延在し、延在方向の一端は電力が供給される給電端であり、他端は接地されて接地端となっている。電極板14a,14b,14cのそれぞれは、スイッチ素子22a,22b,22cを介して高周波電源16a,16b,16cと接続されている。高周波電源16a,16b,16cは、例えば1〜100MHzの範囲の高周波(例えば13.56MHz)を出力する。したがって、電極板14a,14b,14cの一端に電力が給電されると、電極板14a,14b,14cの主表面に沿って電流が流れ、この電流により処理空間内に高周波の磁場が形成され、この磁場によってプラズマが形成される。スイッチ素子22a,22b,22cは、後述するタイミング制御部20の指示に従って給電のON/OFFを制御する。
本実施形態では、プラズマ生成素子として電極板14a,14b,14cを用いる。電極板14a,14b,14cは、流れる電流により高周波の磁場を生成することで、処理空間でプラズマを生成する方式であり、従来の平行平板電極による電場の形成あるいはアンテナの共振による電磁波の形成を利用してプラズマを生成する方式と異なる。電極板を用いる本実施形態の方式では、供給する電力が同じ場合、発生するプラズマ中の電子密度が他の方式に比べて高い。本実施形態は、例えば平行平板電極を用いる方式に比べて1桁高いプラズマ中の電子密度を有する。このため、処理対象部材11の周囲に形成されるプラズマのシース厚は薄くなる。したがって、処理対象部材11の異なる表面が互いに対向し近接した場合であっても、近接した2つの表面にイオン注入を行うことができる。この点で、電極板を用いる本実施形態のプラズマ生成方式は3次元形状を有する処理対象部材11に皮膜を形成する上で有効である。
DC電源18は、DC(直流)電圧を出力する。DC電源18は、スイッチ素子22dと接続されている。スイッチ素子22dは、後述するタイミング制御部20の指示に従ってパルス電圧を出力して、処理対象部材11にパルス電圧を印加する。すなわち、DC電源18は、処理対象部材11にパルス電圧を印加するための電圧を提供する。電圧は、例えば0.5〜4kVである。処理対象部材11は、処理容器12内に設けられた基台の支持部材で支持されて、処理空間内に配置されている。処理対象部材11は、DC電源18とスイッチ素子22dを介して接続されている。したがって、タイミング制御部20の指示に従ってスイッチ素子22dがパルス電圧を出力したとき、処理対象部材11は、パルス電圧を印加され、この印加電圧により帯電する。これにより、処理対象部材11へのイオン注入が開始される。
タイミング制御部20は、電極板14aに供給する電力の、処理対象部材11に印加するパルス電圧に対する先行のタイミングを、電極板14b、14cに供給する電力の、処理対象部材11に印加するパルス電圧に対する先行のタイミングに対して異ならせて、電極板14a,14b,14cに電力を供給する。
図2(a)〜(d)は、皮膜形成装置10の電極板14a,14b,14cに給電する電力のタイミングと、処理対象部材11に印加するパルス電圧のタイミングを示すタイミングチャートである。
電極板14a,14b,14cへの電力の供給期間は、例えば10〜500μ秒であり、例えば100〜3000Wの電力が電極板14a,14b,14cに供給される。一方、処理対象部材11に印加されるパルス電圧(負の電圧)のパルス幅は例えば0.1〜500μ秒であり、例えば0.5〜4kVの電圧が印加される。
このように本実施形態では、パルス電圧に対して先行するプラズマの生成のタイミングを電極板に応じて変更するが、このタイミングを変更することにより、処理対象部材11に入射するイオンのエネルギーが変化し、これにより、処理対象部材11に形成される皮膜の成分が変化することを本願発明者が見出し、本発明を想到した。
図3(a)は、X線光電子分光法(XPS)を用いて得られるダイヤモンドライクカーボンの皮膜の測定結果の例を示す図である。図3(a)では、プラズマ形成中にパルス電圧を立ち上げて形成した皮膜と、プラズマ形成終了から50μ秒後にパルス電圧を立ち上げて形成した皮膜と、プラズマ形成終了から200μ秒後にパルス電圧を立ち上げて形成した皮膜とのXPSの測定データが示されている。さらに、図3(a)では、公知の炭素を主成分とする物質(炭素の酸化物質、sp混成軌道からなるダイヤモンド構造物質、sp混成軌道からなるグラファイト構造物質)のXPSのデータが示されている。
図3(a)によると、プラズマ形成開始からのパルス電圧の供給のタイミングを遅くするほど、XPSのデータのピーク値の位置は、sp混成軌道からなるグラファイト構造物質のピーク値の方向にシフトしていくことがわかる。
一方、図3(b)は、皮膜に入射するイオンのエネルギーに対する、sp混成軌道とsp混成軌道の比率の変化を示す公知のグラフを示している。このグラフからわかるように、皮膜に入射するイオンのエネルギーによって、sp混成軌道とsp混成軌道の比率が変わる。したがって、図3(a)に示すように、プラズマ形成開始からのパルス電圧の供給のタイミングを変えることにより、皮膜のピーク値の位置が変化するといった事実は、パルス電圧のタイミングを変えることにより、皮膜に入射するイオンのエネルギーが変化すると考えられ得る。
図4は、プラズマの生成終了後に行うパルス電圧の電極板への印加のタイミングを変えたとき、形成される皮膜の成分が異なることを示す図である。図中の横軸は、プラズマの生成終了時点からパルス電圧を印加するまでの時間である。図中の縦軸は、グロー放電発光分析法を用いて評価した炭素原子と水素原子の発光強度の比から算出される値であり、水素含有量を表す指標である。図4の例では、ダイヤモンドライクカーボンを処理対象部材上に皮膜として形成するために、原料ガスをC22とし、処理空間を1Paの原料ガスの雰囲気として1つの電極に13.56MHzの高周波電力を500W、50μ秒間供給し、処理対象部材11に繰り返し周期1kHzで、−2kVのパルス電圧を20μ秒印加した。
図4に示されるように、プラズマの生成終了後に行うパルス電圧の電極板への印加のタイミングを変えることにより、ダイヤモンドライクカーボン中の水素成分の含有量が変化することがわかる。水素含有量は、膜密度及び膜硬度に影響を与え、水素含有量が高いほど膜密度は低くなり、膜硬度は低くなる。
これより、プラズマの生成終了後に行うパルス電圧の電極板への印加のタイミングを変えることによりイオンのエネルギーが変化して、膜密度及び膜硬度を変更する。
図6は、皮膜形成装置10におけるプラズマの生成を説明する図である。
また、タイミング制御部20は、電極板14aに供給する電力より大きな電力を電極板14b,14cに供給する最中に処理対象部材11へ印加するパルス電圧を立ち上げることもできる。この場合、パルス電圧の立ち上げ時にプラズマが生成されているので、プラズマ中の高いイオンエネルギーを持つイオンを用いて処理対象部材11へのイオン注入を実現することができる。したがって、プラズマPaで生成されたイオンを用いて行うイオンフラックスが依然として不均一なイオンフラックスであっても、パルス電圧中に生成されたプラズマPb,Pc中のイオン密度が高いため、均一なイオンフラックスを実現することができる。また、タイミング制御部20は、電極板14aに供給する電力より大きな電力を電極板14b,14cに供給した後(供給終了後)に処理対象部材11へ印加するパルス電圧を立ち上げることもできる。この場合、電極板14b,14cへの電力の供給終了後、0〜300μ秒以内にパルス電圧を立ち上げるとよい。
図2(a)〜(d)に示すようなタイミングで電極板への高周波電力の供給と、処理対象部材11へのパルス電圧の印加を1サイクルとして、サイクルを繰り返し行うことにより、皮膜の厚さを厚くする。これにより、プラズマの生成時にイオンあるいはイオンから生成されたラジカルの堆積により処理対象部材11の表面に皮膜が形成されるとともに、パルス電圧の処理対象部材11への印加により、皮膜さらには処理対象部材11中にイオンが注入されて処理対象部材11の表面改質及び皮膜の成分が定まる。
本実施形態のように、複数のプラズマ生成素子である電極板が、処理容器12の天井の壁の外面に設けられた電極板14a(第1のプラズマ生成素子)と、処理容器12の側壁の外面に設けられた電極板14b,14c(第2のプラズマ生成素子)とを含むことで、処理対象部材11の上面及び側面に皮膜を確実に形成することができる。
電極板14b,14cのそれぞれには、図2(b),(c)に示すように、互いに同じタイミングで同じ期間電力を供給することが好ましい。処理対象部材11に印加されるパルス電圧を基準とした電極板14b,14cに供給される電力とのタイミングを、電極板14b、14cとの間で異ならせると、均一なイオンフラックスを実現できない。
なお、一実施形態として、処理容器11は、断面が円形あるいは多角形形状の筒形状を成しており、処理容器11の側壁面に設けられる電極板(第2のプラズマ生成素子)は、処理容器11の側壁面上の、上記筒形状の長手方向の同じ位置に、処理対象部材11を囲むように設けられている、ことが好ましい。図8に上記好ましい一実施形態が示されている。図8では、円筒状の処理容器11の側壁面上の面の周上に、電極板14b、14cの他に電極板14e,14d、さらには、図示されない側壁面上の反対側の面にも2つの電極板が設けられている。処理容器11の側壁面の周上に設けられる電極板の数は特に限定されない。これらの電極板には、互いに同じタイミングで同じ期間電力が供給されることが好ましい。
本実施形態のように、プラズマ生成素子のそれぞれは、一端から電力が供給され、他端が接地したプラズマ生成用電極板であるので、従来の平行平板電極に比べて装置構成が簡単で、生成するプラズマ密度も高いのでシース厚が薄くなり、複雑な3次元形状の処理対象部材であっても皮膜を確実に形成することができる。
なお、電極板14aでは一方向に電流が流れるため、電極板14aの給電端と接地端との間では、電位に大きな差が生じる。図9(a),(b)は、電極板14aにより生成されるプラズマ中の電子密度を説明する図である。図9(b)に示す結果は、C22(1Pa)を導入した処理空間内で生成されるプラズマの電子密度の測定結果である。このとき、電極板14aの電力の供給端に1kWの高周波電力(13.56MHz)が付与され、多端が接地されている。図9(b)に示すように、接地側では電子密度が高く、供給端では電子密度が低い。この理由については、明確ではないが、接地端では電流により生成された磁場に基づいて生成されるプラズマ(電流に由来するプラズマ)が支配的であるのに対し、供給端側では高電圧によって生成されるプラズマ(電圧に由来するプラズマ)が支配的であることに起因すると考えられる。供給端の側では、高電圧のため、供給端の側では電子のエネルギーが低く、高密度なプラズマが生成されにくいと考えられるからである。したがって、このプラズマ中のイオン密度及びイオンのエネルギー分布も接地端の側及び供給端の側では異なっている。したがって、この不均一なイオン密度及びエネルギー分布を考慮して、電極板14b、14cのうち、電極板14aの電力の供給端に最も近くに位置する電極板に供給する電力が、電極板14b,14cのうち、電極板14aの接地端に最も近くに位置する電極板に供給する電力に対して大きくなるように、電力を供給することが、均一なイオンフラックスを形成する上で好ましい。図2(b),(c)に示されるように、電力の供給端側に位置する電極板14cに供給する電力(図2(c)参照)は、接地端側に位置する電極板14bに供給する電力(図2(b)参照)に対して大きくなっている。
このような皮膜形成装置10では、処理容器11内に、真空引きされた処理空間内に原料ガスが供給され、例えば1Paの低圧状態に維持される。あるいは、絶えず原料を供給しながら、排気することで、処理空間は原料ガス雰囲気の減圧状態となる。
この状態で、電極板14aに高周波電力を供給することにより、処理対象部材11を囲む処理空間の天井の方向から(第1の方向から)プラズマを形成させる。さらに、プラズマの形成後、処理空間の側壁の方向(第2の方向から)プラズマを、電極板14aへの高周波電力の供給のタイミングに遅延させて、電極板14b,14cに高周波電力を供給することにより、プラズマを形成させる。
天井の方向から形成させるプラズマと、側壁の方向から形成させるプラズマの形成開始後に、処理対象部材11にパルス電圧を印加させる。これより、処理対象部材11にイオンを注入させて処理対象部材11に皮膜を形成させる。このような処理により、処理対象部材11に注入されるイオンのイオンエネルギーを場所によらず均一にすることができ、かつ、そのイオンの成分を場所によらず均一にすることができる。
以上、本発明の皮膜形成装置及び皮膜形成方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態および例に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
10 皮膜形成装置
11 処理対象部材
12 処理容器
14a,14b,14c プラズマ生成素子(電極板)
16a,16b,16c 高周波電源
18 DC電源
20 タイミング制御部
22a,22b,22c,22d スイッチ素子
23 導入管
25 排気管
27 ガス源
29 排気装置

Claims (9)

  1. プラズマを用いて処理対象部材の表面に皮膜を形成する皮膜形成装置であって、
    処理対象部材を配置した処理空間を囲む処理容器と、
    前記処理容器の互いに異なる複数の外面上に設けられた複数のプラズマ生成素子と、
    前記複数のプラズマ生成素子に電力を供給する高周波電源と、
    前記処理対象部材にパルス電圧を印加するための電圧を出力するDC電源と、
    前記複数のプラズマ生成素子の少なくとも1つに供給する電力の、処理対象部材に印加されるパルス電圧に対する先行のタイミングを、前記少なくとも1つのプラズマ生成素子以外の他のプラズマ生成素子に供給される電力の、前記パルス電圧に対する先行のタイミングに対して異ならせる制御部と、を備えることを特徴とする皮膜形成装置。
  2. 前記制御部は、前記複数のプラズマ生成素子に供給する電力のうち、最先に供給される電力の終了後に前記パルス電圧を立ち上げる、請求項1に記載の皮膜形成装置。
  3. 前記制御部は、前記複数のプラズマ生成素子に付与する電力のうち、最も遅く供給される電力の付与中もしくは電力の付与後に前記パルス電圧を立ち上げる、請求項1または2に記載の皮膜形成装置。
  4. 前記複数のプラズマ生成素子は、前記処理容器の天井壁面に設けられた第1のプラズマ生成素子と、前記処理容器の側壁面に設けられた複数の第2のプラズマ生成素子とを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の皮膜形成装置。
  5. 前記第2のプラズマ生成素子のそれぞれには、互いに同じタイミングで同じ期間電力を供給する、請求項4に記載の皮膜形成装置。
  6. 前記処理容器は、断面が円形あるいは多角形形状の筒形状を成し、
    前記第2のプラズマ生成素子は、前記処理容器の側壁面上の、前記筒形状の長手方向の同じ位置に、前記処理対象部材を囲むように設けられている、請求項4または5に記載の皮膜形成装置。
  7. 前記プラズマ生成素子のそれぞれは、一端から電力が供給され、他端が接地したプラズマ生成用電極板である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の皮膜形成装置。
  8. 前記プラズマ生成素子は、前記処理容器の天井壁面に設けられた第1のプラズマ生成素子である第1の電極板と、前記処理容器の側壁面に設けられた複数の第2のプラズマ生成素子である第2の電極板とを含み、
    前記制御部は、前記第2の電極板のうち、前記第1の電極板の電力の供給端に最も近くに位置する電極板に供給する電力が、前記第2の電極板のうち、前記第1の電極板の接地端に最も近くに位置する電極板に供給する電力に対して大きくなるように、電力を供給する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の皮膜形成装置。
  9. プラズマを用いて処理対象部材の表面に皮膜を形成する皮膜形成方法であって、
    処理対象部材を囲む処理空間の第1の方向からプラズマを形成させるステップと、
    前記処理空間の前記第1の方向と異なる第2の方向から、前記第1の方向からプラズマを形成させるタイミングに遅延させてプラズマを形成させるステップと、
    前記第1の方向から形成させるプラズマと、前記第2の方向から形成させるプラズマの形成開始後に、前記処理対象部材にパルス電圧を印加させることにより、前記処理対象部材に、前記プラズマによって前記処理空間内のガスからつくられるイオンを注入させて処理対象部材に皮膜を形成するステップと、を有することを特徴とする皮膜形成方法。
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