JP2015091976A - インク組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】発色性、安定性および定着性に優れ、特にテキスタイル用インクジェット記録用インクとして優れるインク組成物を提供する。
【解決手段】顔料を水に分散可能とした平均粒径が50nm以上300nm以下の分散体と、ガラス転位温度が−10℃以下であり、且つ酸価が100mgKOH/g以下である高分子微粒子とを含むインク組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、発色性、安定性および定着性に優れ、特にテキスタイル用インクジェット記録用インクとして優れるインク組成物に関する。
インクジェット記録に用いられるインクは、被記録体である紙への印字において、にじみがないこと、乾燥性がよいこと、様々な被記録体表面に均一に印字できること、カラー印字等の多色系の印字において隣り合った色が混じり合わないことなどの特性が要求されている。
従来のインクにおいて、特に顔料を用いたインクの多くは、主に浸透性を抑えることで、紙表面に対するインクのぬれを抑え、紙表面近くにインク滴をとどめることで印字品質を確保する検討がなされ、実用化されている。しかしながら、紙に対するぬれを抑えるインクでは、紙種の違いによるにじみの差が大きく、特に様々な紙の成分が混じっている再生紙では、その各成分に対するインクのぬれ特性の差に起因するにじみが発生する。また、このようなインクでは、印字の乾燥に時間がかかり、カラー印字等の多色系の印字において隣り合った色が混色してしまうという課題を有し、更に、色材として顔料を用いたインクでは、顔料が紙等の表面に残るため、耐擦性が悪くなるという課題もある。
このような課題を解決するため、インクの紙への浸透性を向上させることが試みられており、ジエチレングリコールモノブチルエーテルの添加(特許文献1参照)、アセチレングリコール系の界面活性剤であるサーフィノール465(日信化学製)の添加(特許文献2参照)、あるいはジエチレングリコールモノブチルエーテルとサーフィノール465の両方を添加すること(特許文献3参照)などが検討されている。また、ジエチレングリコールのエーテル類をインクに用いることなどが検討されている(特許文献4参照)。
また、顔料を用いたインクでは、顔料の分散安定性を確保しながらインクの浸透性を向上することが一般に難しく、浸透剤の選択の幅が狭いため、従来グリコールエーテルと顔料との組み合わせとして、顔料にトリエチレングリコールモノメチルエーテルを用いた例(特許文献5参照)や、エチレングリコール、ジエチレングリコールあるいはトリエチレングリコールのエーテル類を用いた例(特許文献6参照)などもある。
さらに、テキスタイル用としては、例えば染料を用いたもの(特許文献7参照)や結着剤に関するもの(特許文献8参照)などがある。
また、本出願人は、普通紙上での低にじみ性と高発色性、および専用紙上での十分な発色性と定着性のいずれかあるいは双方を備える水性インク組成物として、顔料を特定の水分散性ポリマーで被覆したポリマー被覆顔料を含むインク組成物を特許文献9で開示している。
米国特許第5156675号明細書 米国特許第5183502号明細書 米国特許第5196056号明細書 米国特許第2083372号明細書 特開昭56−147861号公報 特開平9−111165号公報 特開平2007−515561号公報 特開平2007−126635号公報 特開平2005−272790号公報
しかしながら、従来の水性インクは、印字品質が不十分であり、特にテキスタイル用インクジェット記録用インクとしては定着性が不十分であり、色濃度や発色性も不十分だった。また、従来の顔料分散体は、保存安定性が低く不安定であり、界面活性剤やグリコールエーテル等の親水部と疎水部を有する物質が存在すると、顔料からのポリマーの吸脱着が起こりやすくなり、インクの保存安定性が劣るという課題があった。通常の水性インクは、紙に対するにじみを低減させるため、界面活性剤やグリコールエーテル等の親水部と疎水部を有する物質が必要である。これらの物質を用いないインクでは、紙に対する浸透性が不十分となり、均一な印字を行うためには紙種が制限され、印字画像の低下を引き起こしやすくなるという課題があった。
さらに、従来の顔料分散体に本発明で用いるような添加剤(アセチレングリコール系やアセチレンアルコール系の界面活性剤、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテル若しくは1,2−アルキレングリコールまたはこれらの混合物)を用いると、長期の保存安定性が得られず、インクの再溶解性が悪いためインクが乾燥してインクジェットヘッドのノズルの先等で詰まり易くなるという課題を有していた。
そこで本発明は、このような課題を解決するもので、その目的とするところは、発色性、安定性および定着性に優れ、特にテキスタイル用インクジェット記録用インクとして優れ、また、インクジェットヘッドからのインクの吐出安定性に優れるインク組成物を提供することにある。
本発明のインク組成物は、下記の通りである。
(1) 顔料を水に分散可能とした平均粒径が50nm以上300nm以下の分散体と、ガラス転位温度が−10℃以下で、且つ酸価が100mgKOH/g以下である高分子微粒子とを含んでなるインク組成物。
(2) 前記高分子微粒子が、構成成分として、70重量%以上のアルキル(メタ)アクリレートおよび/または環状アルキル(メタ)アクリレートを用いて重合されたことを特徴とする上記(1)記載のインク組成物。
(3) 前記高分子微粒子が、構成成分として、70重量%以上のアルキル(メタ)アクリレートおよび/または環状アルキル(メタ)アクリレートと、5重量%以上25重量%以下のスチレンとを用いて重合されたことを特徴とする上記(1)記載のインク組成物。
(4) 前記アルキル(メタ)アクリレートおよび/または環状アルキル(メタ)アクリレートが、炭素数1〜24のアルキル(メタ)アクリレートおよび/または炭素数3〜24の環状アルキル(メタ)アクリレートであることを特徴とする上記(2)または(3)記載のインク組成物。
(5) 更に、融点が80℃以上のポリアルキレンワックスを含んでなることを特徴とする上記(1)記載のインク組成物。
(6) 前記分散体が、分散剤なしに分散されたカーボンブラックを水に分散可能とした平均粒径が50nm以上300nm以下のものである上記(1)〜(5)の何れか一項に記載のインク組成物。
(7) 前記分散体が、構成成分として50重量%以上のベンジルアクリレートと、15重量%以下のメタクリル酸および/またはアクリル酸とを用いて重合されたポリマーを用いて分散されたことを特徴とする上記(1)記載のインク組成物。
(8) 前記分散体が、有機顔料をポリマーで水に分散可能とした平均粒径が50nm以上300nm以下のものであり、該ポリマーのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるスチレン換算重量平均分子量が10000以上200000以下である上記(1)〜(7)の何れか一項に記載のインク組成物。
(9) 前記分散体が、塩生成基含有モノマーと、マクロマーおよび/または疎水性モノマーとを含むモノマー混合物を共重合させてなる水不溶性ポリマーで包含した有機顔料を含み、且つ、
前記高分子微粒子が、構成成分として少なくともエチルアクリレートと(メタ)アクリル酸とが重合されてなることを特徴とする上記(1)記載のインク組成物。
(10) 前記分散体が、乳化重合によって形成した樹脂層に包含された有機顔料を含み、且つ、
前記高分子微粒子が、構成成分として少なくともエチルアクリレートと(メタ)アクリル酸とが重合されてなることを特徴とする上記(1)記載のインク組成物。
(11) 前記高分子微粒子のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるスチレン換算重量平均分子量が100000以上1000000以下である上記(1)〜(10)のいずれか一項に記載のインク組成物。
(12) 1、2−アルキレングリコールを含んでなる上記(1)〜(11)のいずれか一項に記載のインク組成物。
(13) アセチレングリコール系界面活性剤および/またはアセチレンアルコール系界面活性剤を含んでなる上記(1)〜(12)のいずれか一項に記載のインク組成物。
(14) 前記高分子微粒子の含有量(重量%)が、前記顔料の含有量(重量%)より多い、上記(1)〜(13)のいずれか一項に記載のインク組成物。
(15) インクジェット記録方式に用いられることを特徴とする上記(1)〜(14)のいずれか一項に記載のインク組成物。
本発明は、発色性、安定性および定着性に優れ、特にテキスタイル用インクジェット記録用インクとして優れることなどの特性が要求されていることに鑑み、鋭意検討した結果によるものである。
本発明の好ましい実施の形態(a)
本発明インク組成物は、顔料を水に分散可能とした平均粒径が50nm以上300nm以下の分散体と、ガラス転位温度が−10℃以下であり、且つ酸価が100mgKOH/g以下である高分子微粒子とを含んでなることを特徴とする。
まず、本発明のインク組成物(以下、単に「本発明のインク」という)に含まれる顔料分散体および高分子微粒子と、任意で含まれていても良い添加物について説明する。
顔料分散体および高分子微粒子の平均粒径は光散乱法で測定する。光散乱法による顔料分散体の平均粒径が50nm未満では発色性が低下する。また、300nmを超えると定着性が低下する。好ましくは60nm〜230nm、より好ましくは70nm〜230nm、さらに好ましくは80nm〜130nmである。
一方、高分子微粒子の粒径は50nm以上500nm以下が好ましく、より好ましくは60nm以上300nm以下である。高分子微粒子の粒径が50nm未満では定着性が低下し、500nmを超えるとインクジェットヘッドからの吐出が不安定になりやすい。
また、本発明のインクが含んでなる高分子微粒子のガラス転位温度は、−10℃以下が好ましく、特にテキスタイル用インクとしての顔料の定着性が向上する。−10℃を超えると顔料の定着性が徐々に低下してくる。より好ましくは−15℃以下であり、更に好ましくは−20℃以下、更により好ましくは−25℃以下であり、特に好ましくは−30℃以下である。
さらに、上記高分子微粒子の酸価は、100mgKOH/g以下が好ましく、酸価が100mgKOH/gを超えると、テキスタイル用として布に印捺した場合の洗濯堅牢性が低下する。より好ましくは50mgKOH/g以下であり、さらに好ましくは30mgKOH/g以下である。
また、上記高分子微粒子の分子量は10万以上が好ましく、より好ましくは20万以上である。10万未満ではテキスタイル用として布に印捺した場合の洗濯堅牢性が低下する。
本発明のインクが含んでなる分散体は、分散剤なしに分散されたカーボンブラックを水に分散可能とした平均粒径が50nm以上300nm以下のものであることが好ましい。分散剤なしに分散したカーボンブラックを用いることで、印刷物の発色性が向上する。分散剤なしに水に分散する方法は、カーボンブラックの表面をオゾンや次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化する方法などがある。このカーボンブラックの平均粒径は50nm〜150nmが好ましい。50nm未満では発色性は得られにくい。また、150nmを超えると定着性が低下してくる。好ましい粒径は60nm〜130nm、より好ましい粒径は70nm〜130nm、さらに好ましくは80nm〜120nmである。
また、本発明のインクが含んでなる分散体は、有機顔料をポリマーで水に分散可能とした平均粒径が50nm以上300nm以下のものであり、該ポリマーのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるスチレン換算重量平均分子量が10000以上200000以下であることが好ましい。スチレン換算重量平均分子量が10000以上200000以下であることで、特にテキスタイル用インクとしての顔料の定着性が向上し、顔料インクの保存安定性も向上する。また、前述の顔料の分散に用いるポリマーは少なくとも70%以上、好ましくは少なくとも80%以上が(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリル酸の共重合によるポリマーであることが好ましい。
また、上記分散剤とは別に、分散を安定させるために、分散安定剤として水分散性または水溶解性のポリマーや界面活性剤を添加することもよい。
また、本発明のインクが含んでなる高分子微粒子のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるスチレン換算重量平均分子量が100000以上1000000以下であることが好ましい。スチレン換算重量平均分子量が100000以上1000000以下であることで、特にテキスタイル用インクとしての顔料の定着性が向上する。
本発明のインクは、1、2−アルキレングリコールを用いることが好ましい。1、2−アルキレングリコールを用いることでにじみが低減し、印刷品質が向上する。1、2−アルキレングリコールの例としては1、2−ヘキサンジオール、1、2−ペンタンジオール、4−メチル−1、2−ペンタンジールのように、炭素数5または6の1、2−アルキレングリコールが好ましい。中でも、炭素数6の1、2−ヘキサンジオールおよび4−メチル−1、2−ペンタンジオールが好ましい。これら1、2−アルキレングリコールの添加量は、0.3重量%(以下単に「%」ということもある。)〜30%が好ましく、より好ましくは0.5%〜10%である。
また、本発明のインクは、グリコールエーテルを用いることも好ましい。グリコールエーテルとしては、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルおよびジプロピレングリコールモノブチルエーテルから選ばれる1種以上を用いることが好ましい。グリコールエーテルの添加量は0.1%〜20%が好ましく、より好ましくは0.5%〜10%である。
また、本発明のインクは、アセチレングリコール系界面活性剤および/またはアセチレンアルコール系界面活性剤を用いることが好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤および/またはアセチレンアルコール系界面活性剤を用いることで、さらににじみが低減し、印刷品質が向上する。また、これらの添加により印字の乾燥性が向上し、高速印刷が可能となる。
アセチレングリコール系界面活性剤および/またはアセチレンアルコール系界面活性剤は、2、4、7、9−テトラメチル−5−デシン−4、7−ジオールおよび2、4、7、9−テトラメチル−5−デシン−4、7−ジオールのアルキレンオキシド付加物、2、4−ジメチル−5−デシン−4−オールおよび2、4−ジメチル−5−デシン−4−オールのアルキレンオキシド付加物から選ばれた1種以上が好ましい。これらは、エアプロダクツ(英国)社のオルフィン104シリーズ、オルフィンE1010などのEシリーズ、日信化学製サーフィノール465あるいはサーフィノール61などとして入手可能である。
また、本発明のインクは、1、2−アルキレングリコールとアセチレングリコール系界面活性剤および/またはアセチレンアルコール系界面活性剤、グリコールエーテルとアセチレングリコール系界面活性剤および/またはアセチレンアルコール系界面活性剤のように複数を用いることでよりにじみが低減する。
また、本発明のインクは、前記高分子微粒子の含有量(重量%)が、前記顔料の含有量(重量%)より多いことが好ましい。顔料より重量単位で多くの高分子微粒子を添加することにより、特にテキスタイル用インクとしての顔料の定着性が向上する。さらに、テキスタイル用としては、布に印刷した後に、水または界面活性剤入りの水で洗浄する工程を入れることで、インク中の水溶性成分を洗い流すことで、高分子微粒子の布への定着が強固になり、耐擦性をさらに向上させることができる。
また、本発明においては、少なくとも水と、色材と保湿剤を用いることが好ましい。
このようにして、上記インクジェット記録用インクを作成することによって、発色性、安定性および定着性に優れ、特にテキスタイル用インクジェット記録用インクとして優れるインクジェット記録用インクとすることができる。
本発明に用いることができる顔料としては黒色インク用として、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類が特に好ましいが、銅酸化物、鉄酸化物(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料を用いることもできる。
また、カラーインク用としては、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83(ジスアゾイエローHR)、93、94、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、128、138、153、155、180、185、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22(ブリリアントファーストスカーレット)、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、202、206、209、219、C.I.ピグメントバイオレット19、23、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーG)、15:4、15:6(フタロシアニンブルーE)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36等が使用できるこのように、色剤としては種々の顔料を用いることができる。
また、上記顔料は、分散機を用いて分散するが、分散機としては市販の種々の分散機を用いることができる。ただし、好ましくはコンタミが少ないという観点から、非メディア分散がよい。その具体例としては、湿式ジェットミル(ジーナス社)、ナノマーザー(ナノマーザー社)、ホモジナイザー(ゴーリン社)、アルティマイザー(スギノマシン社)およびマイクロフルイダイザー(マイクロフルイディクス社)などが挙げられる。
本発明のインクに用いる顔料の添加量は、0.5%〜30%が好ましく、1.0%〜15%がより好ましい。0.5%未満の添加量では、印字濃度が確保できなくなり、また30%を超える添加量では、インクの粘度増加や粘度特性に構造粘性が生じ、インクジェットヘッドからのインクの吐出安定性が悪くなる傾向になる。
また、本発明のインクは、その放置安定性の確保のため、インクジェットヘッドからの安定吐出のため、目詰まり改善のためあるいはインクの劣化防止のためなどの目的で保湿剤、溶解助剤、浸透制御剤、粘度調整剤、pH調整剤、溶解助剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、腐食防止剤、分散に影響を与える金属イオンを捕獲するためのキレート等種々の添加剤を添加することもできる。
また、本発明のインクは、ピエゾ素子のような、加熱がおこらない電歪素子を用いた方法により吐出されることが好ましく、サーマルヘッドのような加熱が起こる場合は、添加している高分子微粒子や、顔料の分散などに用いるポリマーが変質して吐出が不安定になりやすい。特にテキスタイル用のインクジェットインクのように大量のインクを長時間に渡って吐出させる場合は、加熱がおこるヘッドは好ましくない。
本発明のインクは、特にテキスタイル用インクジェット記録用インクとして優れるが、これ以外にも、コンシューマー・ビジネス用インクジェットインク、産業用インクジェットインク等のインクジェット用インク以外に、筆記具などに適用することが可能である。
本発明のその他の好ましい実施の形態
本発明のインクは、上述した実施の形態(a)に記載した構成を基本として、さらに以下に述べるとおり種々の好ましい実施の形態とすることもできる。
本発明の好ましい実施の形態(b)
本発明のインクは、顔料を水に分散可能とした平均粒径が50nm以上300nm以下の分散体と、ガラス転位温度が−10℃以下であり、酸価が100mgKOH/g以下であり、且つその構成成分として70重量%以上のアルキル(メタ)アクリレートおよび/または環状アルキル(メタ)アクリレートを含有してなる高分子微粒子とを含んでなることを特徴とする。構成成分として70重量%以上のアルキル(メタ)アクリレートおよび/または環状アルキル(メタ)アクリレートを含有してなる高分子微粒子を含むことにより、テキスタイル用として布に印捺した場合の乾摩擦と湿摩擦の摩擦堅牢性が向上する。
アルキル(メタ)アクリレートおよび/または環状アルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数が1〜24のアルキル(メタ)アクリレートおよび/または炭素数が3〜24の環状アルキル(メタ)アクリレートが好ましく、その例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシ(メタ)アクリレートおよびベヘニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
本発明の好ましい実施の形態(c)
さらに、本発明のインクにおいては、高分子微粒子は上記本発明の好ましい実施の形態(b)に記載した70重量%以上のアルキル(メタ)アクリレートおよび/または環状アルキル(メタ)アクリレートに加えてさらに、構成成分として、5重量%以上25重量%以下のスチレンを含有することが好ましい。当該構成により、乾摩擦と湿摩擦の摩擦堅牢性が向上し、インクジェットインクの成分として用いた場合の吐出安定性が向上する。
本発明の好ましい実施の形態(d)
本発明のインクは、顔料を水に分散可能とした平均粒径が50nm以上300nm以下の分散体と、ガラス転位温度が−10℃以下であり、且つ酸価が100mgKOH/g以下である高分子微粒子と、融点が80℃以上のポリアルキレンワックスとを含んでなることを特徴とする。これにより、より耐擦性が優れたインクジェット記録用インクとすることができる。特に、テキスタイル用インクに要求される特性である耐擦性の向上が顕著になる。通常、テキスタイル用顔料インクの場合は、布に前処理剤により前処理を施して発色性を向上させ、印捺した後にさらに後処理剤で耐擦性を向上させる工程を行う。しかし、本発明のインクで印捺する場合は、前処理および後処理がなくても、発色性が高く耐擦性に優れ、大幅に工程を簡略化でき、そのためのエネルギーや処理剤、洗浄用の水や洗浄剤をなくすことができる。
本発明で使用されるポリアルキレンワックスの融点は、上記したとおり、耐擦性を向上させる観点から80℃以上であることが好ましく、より好ましくは100℃以上である。また、このポリアルキレンワックスとしては、ポリエチレンワックスやポリプロピレンワックスが好ましい。また、このポリアルキレンワックスは、エチレンやプロピレンのホモポリマー系の他に、プロピレン、酸化エチレン、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニルまたは無水マレイン酸などの不飽和モノマーの共重合型などが挙げられる。また、摩擦係数を低減させるためにポリ四フッ化エチレンとの混合体などを用いることができる。また、多くの種類が、三井化学株式会社、ハネウエル社、シャムロックテクノロジー社、三洋化成工業、イーストマンケミカル社、アライドシグナルズ社あるいはクラリアント社などのメーカーから市販されている。
本発明の好ましい実施の形態(e)
本発明のインクは、構成成分として、50重量%以上のベンジルアクリレートと、15重量%以下のメタクリル酸および/またはアクリル酸とが重合されたポリマーを用いて、顔料を水に分散可能とした分散体の平均粒径が50nm以上300nm以下の分散体と、ガラス転位温度が−10℃以下で、且つ酸価が100mgKOH/g以下である高分子微粒子とを含むことを特徴とする。ベンジルアクリレートは、ポリマーTgと屈折率に起因して他のアクリル酸エステルを使用した場合と比べて高い発色性が得られる。ベンジルアクリレートは、50重量%未満では定着性が低下してくるため、好ましい配合量の範囲は50重量%以上である。より好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上である。また、15重量%以下のメタクリル酸および/またはアクリル酸との重合が好ましい。15重量%を超えるとインクジェットインクの発色性が低下する。より好ましい範囲は10重量%以下である。また、メタクリル酸とアクリル酸を比較した場合は、アクリル酸を用いることが定着性の観点からより好ましい。
本発明の好ましい実施の形態(f)
本発明のインクは、塩生成基含有モノマーと、マクロマーおよび/または疎水性モノマーとを含むモノマー混合物を共重合させてなる水不溶性ポリマーに包含された有機顔料を含む分散体と、構成成分として少なくともエチルアクリレートと(メタ)アクリル酸とが重合されてなり、ガラス転位温度が−10℃以下で、かつ酸価が100mgKOH/g以下である高分子微粒子とを含むことを特徴とする。
高分子微粒子の構成成分としては、少なくともエチルアクリレートと(メタ)アクリル酸とを用いることが好ましい。また、高分子微粒子を作製する際のエチルアクリレートの配合量は、60重量%〜80重量%(以下単に「%」ということもある)であることが好ましい。高分子微粒子中のエチルアクリレートの配合比を、前記範囲内とすることにより、布帛に印刷した場合の耐擦性において、乾燥と湿潤の両条件下での性能を好適に保つことができる。
また、高分子微粒子の他の構成成分としては、エチルアクリレートおよび(メタ)アクリル酸と共重合が可能なもので、調製する高分子微粒子が前述のガラス転移温度と酸価の条件を満たすものであれば、任意に選択が可能である。特に、芳香族基、脂環式炭化水素基、ヘテロ環基等の「嵩高い」分子構造を持つ基を有する、不飽和ビニル単量体を配合することが好ましい。芳香族基としては、ベンジル基、フェニル基およびナフチル基等が、脂環式炭化水素基としては、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基およびアダマンタン基等が、ヘテロ環基としては、テトラヒドロフラン基等が、それぞれあげられる。これら「嵩高い」基を有する成分を導入することにより、高分子微粒子の機械的強度を高め、印刷物の耐擦性を向上させることができる。
また、本実施形態(f)においては、高分子微粒子のガラス転位温度は、−50℃〜0℃が好ましく、特にテキスタイル用インクとしての顔料の定着性が向上する。0℃を超えると顔料の定着性が徐々に低下し、−50℃未満になるとインクジェットヘッドからの吐出が不安定になりやすい。より好ましくは−25℃〜−5℃、最も好ましくは−25℃〜−10℃である。また、高分子微粒子の酸価は、50mgKOH/g以下が好ましく、酸価が50mgKOH/gを超えると、テキスタイル用として布に印捺した場合の洗濯堅牢性が低下する。より好ましくは30mgKOH/g以下である。酸価は、ポリマーの構成単位から計算で算出することができる。または、適当な溶剤(例えばメチルエチルケトン)にポリマーを溶解して、滴定する方法でも求めることができる。更に、高分子微粒子の分子量は、10万以上が好ましく、さらに好ましくは20万以上である。10万未満ではテキスタイル用として布に印捺した場合の洗濯堅牢性が低下する。
本発明のインクが含んでなる分散体は、水不溶性ポリマー(A)を用いたものであることを特徴とする。水不溶性ポリマー(A)は、発色性を向上させるために用いられる。
ここで、水不溶性ポリマーとは、ポリマーを105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が10g以下、好ましくは5g以下、さらに好ましくは1g以下であるポリマーをいう。溶解量は、ポリマーが塩生成基を有する場合は、その種類に応じて、ポリマーの塩生成基を酢酸または水酸化ナトリウムで100%中和したときの溶解量である。
本発明のインクが含んでなる水不溶性ポリマー(A)は、(a)塩生成基含有モノマー(以下「(a)成分」ということがある)と、(b)マクロマー(以下「(b)成分」ということがある)および/または(c)疎水性モノマー(以下「(c)成分」ということがある)とを含むモノマー混合物(以下「モノマー混合物」ということがある)を共重合させてなる水不溶性ポリマーである。この水不溶性ポリマーは、(a)成分由来の構成単位と、(b)成分由来の構成単位および/または(c)成分由来の構成単位を有する。
(a)塩生成基含有モノマーは、得られる分散体の分散安定性を高める観点から用いられる。塩生成基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基、アンモニウム基等があげられる。
(a)塩生成基含有モノマーとしては、カチオン性モノマー、アニオン性モノマー等があげられる。その例としては、特開平9−286939号公報5頁24行から8欄29行に記載されているもの等があげられる。
カチオン性モノマーの代表例としては、不飽和アミン含有モノマー、不飽和アンモニウム塩含有モノマー等があげられる。中でも、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(N’,N’−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミドおよびビニルピロリドンが好ましい。
アニオン性モノマーの代表例としては、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等があげられる。
不飽和カルボン酸モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等があげられる。不飽和スルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等があげられる。不飽和リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等があげられる。
上記アニオン性モノマーの中では、分散安定性、吐出安定性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸およびメタクリル酸がより好ましい。
(b)マクロマーは、ポリマー(A)が顔料を包含した場合に、ポリマー(A)の分散安定性を高める観点から用いられる。マクロマーとしては、分子量500〜10万、好ましくは1000〜1万の重合可能な不飽和基を有するモノマーであるマクロマーがあげられる。尚、ここでいう該ポリマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるスチレン換算重量平均分子量である。
(b)マクロマーの中では、ポリマー(A)の分散安定性等の観点から。片末端に重合性官能基を有する、スチレン系マクロマーおよび芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマーが好ましい。
スチレン系マクロマーとしては、スチレン系モノマー単独重合体、またはスチレン系モノマーと他のモノマーとの共重合体があげられる。スチレン系モノマーとしては、スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ビニルナフタレン、クロロスチレン等があげられる。芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマーとしては、芳香族基含有(メタ)アクリレートの単独重合体またはそれと他のモノマーとの共重合体があげられる。芳香族基含有(メタ)アクリレートとしては、ヘテロ原子を含む置換基を有してもよい、炭素数7〜22、好ましくは炭素数7〜18、更に好ましくは炭素数7〜12のアリールアルキル基、または、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい。炭素数6〜22、好ましくは炭素数6〜18、更に好ましくは炭素数6〜12のアリール基を有する(メタ)アクリレートであり、ヘテロ原子を含む置換基としては、ハロゲン原子、エステル基、エーテル基、ヒドロキシ基等があげられる。例えばベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート等があげられ、特にベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。
また、これらのマクロマーの片末端に存在する重合性官能基としては、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が好ましく、共重合される他のモノマーとしては、アクリロニトリル等が好ましい。
スチレン系マクロマー中におけるスチレン系モノマー、または芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマー中における芳香族基含有(メタ)アクリレートの含有量は、顔料との親和性を高める観点から、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。
(b)マクロマーは、オルガノポリシロキサン等の他の構成単位からなる側鎖を有するものであってもよい。この側鎖は、例えば下記式(1)で表される片末端に重合性官能基を有するシリコーン系マクロマーを共重合することにより得ることができる。
CH2=C(CH3)−COOC36−〔Si(CH32O〕t−Si(CH33
・・・式(1)
(式中のtは8〜40の数を示す。)
(b)成分として商業的に入手し得るスチレン系マクロマーとしては、例えば、東亜合成株式会社の商品名、AS−6(S)、AN−6(S)、HS−6(S)等があげられる。
(c)疎水性モノマーは、発色性、光沢性向上の観点から用いられる。疎水性モノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレート、芳香族基含有モノマー等があげられる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数1〜22、好ましくは炭素数6〜18のアルキル基を有するものが好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソまたはターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等があげられる。
尚、本明細書において、「(イソまたはターシャリー)」および「(イソ)」は、これらの基が存在する場合としない場合の双方を意味し、これらの基が存在しない場合には、ノルマルを示す。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート、メタクリレートまたはそれらの両方を示す。
芳香族基含有モノマーとしては、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよく、炭素数6〜22、好ましくは炭素数6〜12の芳香族基を有するビニルモノマーが好ましく、例えば、前記のスチレン系モノマー(c−1成分)、前記の芳香族基含有(メタ)アクリレート(c−2成分)があげられる。ヘテロ原子を含む置換基としては、前記のものがあげられる。
(c)成分の中では、光沢性や発色性の観点から、スチレン系モノマー(c−1成分)が好ましく、スチレン系モノマーとして前記のものがあげられ、特にスチレンおよび2−メチルスチレンが好ましい。(c)成分中の(c−1)成分の含有量は、発色性および光沢性向上の観点から、好ましくは10重量%〜100重量%(以下単に「%」ということもある。)、より好ましくは20%〜80%である。
また、芳香族基含有(メタ)アクリレート(c−2)成分として、前記のものがあげられ、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が好ましい。(c)成分中の(c−2)成分の含有量は、光沢性の向上の観点から、好ましくは10%〜100%、より好ましくは20%〜80%である。また、(c−1)成分と(c−2)成分を併用することも好ましい。
モノマー混合物には、更に、(d)水酸基含有モノマー(以下「(d)成分」ということがある)が含有されていてもよい。(d)水酸基含有モノマーは、分散安定性を高めるという優れた効果を発現させるものである。
(d)成分としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=20〜30、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。以下同じ。)(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜30)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(n=1〜15)・プロピレングリコール(n=1〜15)(メタ)アクリレート等があげられる。これらの中では、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレートが好ましい。
モノマー混合物には、更に、(e)下記式(2)で表されるモノマー(以下「(e)成分」ということがある)が含有されていてもよい。
CH2=C(R1)COO(R2O)p3・・・式(2)
(式中、R1は水素原子または炭素数1〜5の低級アルキル基、R2はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基、R3はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の1価の炭化水素基、pは平均付加モル数を意味し、1〜60の数、好ましくは1〜30の数を示す。)
(e)成分は、インクの発色性、光沢性を向上させるという優れた効果を発現する。
式(2)において、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、ハロゲン原子および硫黄原子があげられる。
1の好適例としては、メチル基、エチル基、(イソ)プロピル基等があげられる。
2Oの好適例としては、オキシエチレン基、オキシ(イソ)プロピレン基、オキシテトラメチレン基、オキシヘプタメチレン基、オキシヘキサメチレン基およびこれらオキシアルキレンの2種以上の組み合わせからなる炭素数2〜7のオキシアルキレン基が挙げられる。
3の好適例としては、炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20の脂肪族アルキル基、芳香族環を有する炭素数7〜30のアルキル基およびヘテロ環を有する炭素数4〜30のアルキル基があげられる。
(e)成分の具体例としては、メトキシポリエチレングリコール(1〜30:式(2)中のpの値を示す。以下同じ。)(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート2−エチルヘキシルエーテル、(イソ)プロポキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシ(エチレングリコール・プロピレングリコール共重合)(1〜30、その中のエチレングリコール:1〜29)(メタ)アクリレート等があげられる。これらの中では、オクトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート2−エチルヘキシルエーテルが好ましい。
商業的に入手し得る(d)、(e)成分の具体例としては、新中村化学工業株式会社の多官能性アクリレートモノマー(NKエステル)M−40G、同90G、同230G、日本油脂株式会社のブレンマーシリーズ、PE−90、同200、同350、PME−100、同200、同400、同1000、PP−500、同800、同1000、AP−150、同400、同550、同800、50PEP−300、50POEP−800B等があげられる。
上記(a)〜(e)成分は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
水不溶性ポリマー製造時における、上記(a)〜(e)成分のモノマー混合物中における含有量(未中和量としての含有量。以下同じ。)または水不溶性ポリマー中における(a)〜(e)成分に由来する構成単位の含有量は、次の通りである。
(a)成分の含有量は、得られる分散体の分散安定性の観点から、好ましくは2%〜40%、より好ましくは2%〜30%、更に好ましくは3%〜20%である。
(b)成分の含有量は、特に着色剤との相互作用を高める観点から、好ましくは1%〜25%、より好ましくは5%〜20%である。
(c)成分の含有量は、光沢性および写像性の観点から、好ましくは5%〜98%、より好ましくは10%〜60%である。
水不溶性ポリマー中の(a)、(b)、(c)成分の重量比((a)/[(b)+(c)])は、光沢性および写像性の観点から、好ましくは0.01〜1、より好ましくは0.02〜0.67、更に好ましくは0.03〜0.50である。
(d)成分の含有量は、得られる分散体の分散安定性の観点から、好ましくは5%〜40%、より好ましくは7%〜20%である。
(e)成分の含有量は、得られる分散体の分散安定性の観点から、好ましくは5%〜50%、より好ましくは10%〜40%である。
モノマー混合物中における〔(a)成分+(d)成分〕の合計含有量は、得られる分散体の分散安定性の観点から、好ましくは6%〜60%、より好ましくは10%〜50%である。〔(a)成分+(e)成分〕の合計含有量は、得られる分散体の分散安定性の観点から、好ましくは6%〜75%、より好ましくは13%〜50%である。また、〔(a)成分+(d)成分+(e)成分〕の合計含有量は、得られる分散体の分散安定性の観点から、好ましくは6%〜60%、より好ましくは7%〜50%である。
本発明の好ましい実施の形態(g)
本発明のインクは、乳化重合によって形成した樹脂層に包含された有機顔料を含む分散体と、構成成分として少なくともエチルアクリレートと(メタ)アクリル酸とが重合されてなり、ガラス転位温度が−10℃以下で、かつ酸価が100mgKOH/g以下である高分子微粒子とを含むことを特徴とする。
本発明のインクが含んでなる高分子微粒子は、上述の実施の形態(f)に記載した高分子微粒子を好ましく用いることができる。
本発明のインクが含んでなる分散体は、乳化重合によって形成した樹脂層で包含された有機顔料を含むことを特徴とする。乳化重合による樹脂層で有機顔料を包含することにより顔料の分散安定性が向上する。
本発明の有機顔料を包含する樹脂層を形成するための乳化重合では、一般的な非反応性の界面活性剤を用いることもできるが、イオン性重合性界面活性剤を用いることが好ましい。重合性、即ち反応性を有する界面活性剤を用いれば、界面活性剤自身が樹脂層の構成成分となるため、調製した分散体中に残存する界面活性剤量を低減することが可能となる。これにより、残存する界面活性剤を分散体から除去する工程を省略することができる。また、さらには、イオン性重合性界面活性剤由来のイオン性基によって、分散体の分散安定性が向上するという効果も発現する。
イオン性重合性界面活性剤は、イオン性基と疎水性基とさらに重合性基を有する界面活性剤である。イオン性基としては、アニオン性基およびカチオン性基があげられ、分散体の用途、必要とされる特性によって適宜決定される。イオン性重合性界面活性剤は、イオン性基として、アニオン性基、カチオン性基のいずれかを有するかによって、夫々アニオン性重合性界面活性剤、カチオン性重合性界面活性剤と称される。
アニオン性基としては、スルホン基、スルフィン基、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸エステル基、スルフィン酸エステル基、リン酸エステル基、およびこれらの塩の群から選択されたものを好適に例示できる。塩としては、Na塩、K塩、Ca塩、有機アミン塩等をあげることができる。
カチオン性基としては、一級アンモニウムカチオン、二級アンモニウムカチオン、三級アンモニウムカチオン、および第四級アンモニウムカチオンからなる群から選択されたカチオン性基が好ましい。一級アンモニウムカチオンとしてはモノアルキルアンモニウムカチオン(RNH3 +)等を、二級アンモニウムカチオンとしてはジアルキルアンモニウムカチオン(R2NH2 +)等を、三級アンモニウムカチオンとしてはトリアルキルアンモニウムカチオン(R3NH+)等を、第四級アンモニウムカチオンとしては(R4+)等をあげることができる。ここで、Rは疎水性基であり、以下に示すものをあげることができる。また、上記カチオン性基の対アニオンとしては、Cl-、Br-、I-、CH3OSO3 -、C25OSO3 -等をあげることができる。
疎水性基としては、炭素数が8〜16のアルキル基およびフェニル基、フェニレン基等のアリール基からなる群から選ばれる一種または二種以上であることが好ましく、分子中にアルキル基およびアリール基の両者を有していてもよい。
重合性基としては、ラジカル重合が可能な不飽和炭化水素基が好ましく、具体的には、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペニル基、ビニリデン基、およびビニレン基からなる群から選択された基であることが好ましい。なかでも特に、アリル基、メタクリロイル基、アクリロイル基が好ましい。
本発明において用いるアニオン性重合性界面活性剤の具体例としては、特公昭49−46291号公報、特公平1−24142号公報、または特開昭62−104802号公報に記載のアニオン性のアリル誘導体、特開昭62−221431号公報に記載のアニオン性のプロペニル誘導体、特開昭62−34947号公報または特開昭55−11525号公報に記載のアニオン性のアクリル酸誘導体、特公昭46−34898号公報または特開昭51−30284号公報に記載のアニオン性のイタコン酸誘導体等をあげることができる。
本発明において用いるアニオン性重合性界面活性剤としては、例えば下記一般式(31):
Figure 2015091976
(式中、R21およびR31は、夫々独立して、水素原子または炭素数1〜12の炭化水素基であり、Z1は炭素−炭素単結合または、式:
−CH2−O−CH2
で表される基であり、mは2〜20の整数であり、Xは式:
−SO31
で表される基であり、M1はアルカリ金属、アンモニウム塩、またはアルカノールアミンである。)で表される化合物、または、例えば、下記一般式(32):
Figure 2015091976
(式中、R22およびR32は、夫々独立して、水素原子または炭素数1〜12の炭化水素基であり、Dは炭素−炭素単結合または、式:
−CH2−O−CH2
で表される基であり、nは2〜20の整数であり、Yは式:
−SO32
で表される基であり、M2はアルカリ金属、アンモニウム塩、またはアルカノールアミンである。)で表される化合物が好ましい。
前記式(31)で表されるアニオン性重合性界面活性剤としては、特開平5−320276号公報、または特開平10−316909号公報に記載の化合物をあげることができる。式(31)におけるmの値を適宜調整することによって、顔料粒子を包含する樹脂層表面の新水性を調整することが可能である。式(31)で表される好ましい重合性界面活性剤としては、下記式(310)で表される化合物をあげることができる。さらに具体的には、下記式(31a)〜(31d)で表される化合物をあげることができる。
Figure 2015091976
(式中、R31、m、およびM1は式(31)で表される化合物と同様である。)
Figure 2015091976
Figure 2015091976
Figure 2015091976
Figure 2015091976
上記アニオン性重合性界面活性剤としては、市販品を用いることもできる。旭電化工業株式会社のアデカリアソープSE−10Nは、式(310)で表される化合物のうち、M1がNH4、R31がC919、m=10で表される化合物である。同じくアデカリアソープSE−20Nは、式(310)で表される化合物のうち、M1がNH4、R31がC919、m=20で表される化合物である。
また、本発明において用いるアニオン性重合性界面活性剤としては、例えば下記一般式(33):
Figure 2015091976
(式中、pは9または11であり、qは2〜20の整数であり、Aは−SOM3で表される基であり、M3はアルカリ金属、アンモニウム塩またはアルカノールアミンである。)
で表される化合物をあげることもできる。式(33)で表される好ましいアニオン性重合性界面活性剤としては、以下の化合物をあげることができる。
Figure 2015091976
(式中、rは9または11、sは5または10である。)
上記アニオン性重合性界面活性剤としては、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社のアクアロンKHシリーズ(アクアロンKH−5、およびアクアロンKH−10)(以上、商品名)等をあげることができる。アクアロンKH−5は、上記式(33)において、rが9およびsが5である化合物と、rが11およびsが5である化合物との混合物である。アクアロンKH−10は、上記式(33)において、rが9およびsが10である化合物と、rが11およびsが10である化合物との混合物である。
また、本発明において用いるアニオン性重合性界面活性剤としては、下記一般式(34)で表される化合物をあげることもできる。
Figure 2015091976
(式中、Rは炭素数8〜15のアルキル基であり、nは2〜20の整数であり、Xは−SO3Bで表される基であり、Bはアルカリ金属、アンモニウム塩またはアルカノールアミンである。)
上記アニオン性重合性界面活性剤としては、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、旭電化工業株式会社のアデカリアソープSRシリーズ(アデカリアソープSR−10、同SR−20、同SR−1025)(以上、商品名)等をあげることができる。アデカリアソープSRシリーズは、上記式(34)において、BがNH4で表される化合物であって、SR−10はn=10、SR−20はn=20である化合物である。
また、本発明において用いるアニオン性重合性界面活性剤としては、下記一般式(A)で表される化合物をあげることもできる。
Figure 2015091976
(上記式(A)中、R4は水素原子または炭素数1〜12の炭化水素基を表し、lは2〜20の整数であり、M4はアルカリ金属、アンモニウム塩、またはアルカノールアミンを表す。)
上記アニオン性重合性界面活性剤としては、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社のアクアロンHSシリーズ(アクアロンHS−10、同HS−20、および同HS−1025)(以上、商品名)があげられる。
また、本発明において用いるアニオン性重合性界面活性剤としては、例えば、下記一般式(35)で表されるアルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム塩をあげることができる。
Figure 2015091976
上記アニオン性界面活性剤としては、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、三洋化成工業株式会社のエレミノールJS−2をあげることができる。これは上記一般式(35)において、m=12で表される化合物である。
また、本発明において用いるアニオン性重合性界面活性剤としては、例えば、下記一般式(36)で表されるメタクリロイルオキシポリオキシアルキレン硫酸エステルナトリウム塩をあげることができる。下記式で、nは1〜20である。
Figure 2015091976
上記アニオン性界面活性剤としては、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、三洋化成工業株式会社のエレミノールRS−30をあげることができる。これは上記一般式(36)において、n=9で表される化合物である。
また、本発明において用いるアニオン性重合性界面活性剤としては、例えば、下記一般式(37)で表される化合物をあげることができる。
Figure 2015091976
上記アニオン性界面活性剤としては、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、日本乳化剤株式会社のAntox MS−60をあげることができる。
以上に例示したアニオン性重合性界面活性剤は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
カチオン性重合性界面活性剤としては、例えば、一般式R[4-(l+m+n)]1 l2 m3 n+・X-で表される化合物をあげることができる(前記一般式中、Rは重合性基であり、R1、R2、R3は夫々炭素数が8〜16のアルキル基、フェニレン基等のアリール基であり、X-はCl-、Br-、I-、CH3OSO3 -、C25OSO3 -であり、l、mおよびnは夫々1または0である)。ここで重合性基としては、前述したものをあげることができる。
本発明において用いるカチオン性重合性界面活性剤の具体例としては、メタクリル酸ジメチルアミノエチルクロライド塩、メタクリル酸ジメチルアミノエチルオクチルクロライド塩、メタクリル酸ジメチルアミノエチルセチルクロライド塩、メタクリル酸ジメチルアミノエチルデシルクロライド塩、メタクリル酸ジメチルアミノエチルドデシルクロライド塩、メタクリル酸ジメチルアミノエチルテトラデシルクロライド塩等をあげることができる。以上例示したカチオン性重合性界面活性剤は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
本発明の有機顔料を包含する樹脂層を形成するための乳化重合では、樹脂層の構成成分として疎水性モノマーを用いることも可能である。疎水性モノマーとは、その構造中に少なくとも疎水性基および重合性基を有する化合物を指し、疎水性基が脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、および芳香族炭化水素基の群から選択されたものを例示できる。
上記の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、およびプロピル基等を、脂環式炭化水素基としては、シクロヘキシル基、ジシクロペンテニル基およびイソボルニル基等を、芳香族炭化水素基としては、ベンジル基、フェニル基、およびナフチル基等をあげることができる。
上記疎水性モノマーの重合性基は、前述のイオン性重合性界面活性剤で記載のものと同じものをあげることができる。
疎水性モノマーの具体例としては、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、ジメチルスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、t−ブチルスチエン、ブロムスチレン、p−クロルメチルスチレン等のスチレン誘導体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、イソプロピルアクリレート、アクリル酸n−ブチル、ブトキシエチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、フェノキシエチルアクリレート、アクリル酸シクロヘキシル、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、アクリル酸テトラヒドロフルヒル、およびイソボルニルアクリレート、イソアミルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、ベヘニルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノールEO付加物アクリレート、イソオクチルアクリレート、イソミリスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、2−エチルヘキシルジグリコールアクリレート、オクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノアクリレート等の単官能アクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、イソプロピルメタクリレート、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、n−アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸イソデシル、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、t−ブチルシクロヘキシルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、ブトキシメチルメタクリレート、およびイソボルニルメタクリレート、オクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート等の単官能メタクリル酸エステル類;アリルベンゼン、アリル−3−シクロヘキサンプロピオネート、1−アリル−3,4−ジメトキシベンゼン、アリルフェノキシアセテート、アリルフェニルアセテート、アルルシクロヘキサン、および多価カルボン酸アリル等のアリル化合物;フマル酸、マレイン酸、およびイタコン酸等の不飽和エステル類;N−置換マレイミド、環状オレフィン等のラジカル重合性基を有するモノマー等があげられる。
本発明の有機顔料を包含する樹脂層を形成するための乳化重合では、樹脂層の構成成分として、前記各種界面活性剤および疎水性モノマーの他に、本発明の効果を損ねない範囲でその他の重合性モノマー成分を用いることができる。本発明において用いることができるその他の重合性モノマーとしては、例えば架橋性モノマーをあげることができる。架橋性モノマーを重合成分に加えて疎水性モノマーと共重合させることにより、ポリマーの機械的強度や耐熱性、耐溶剤性等を高めることができる。これによって、例えばインクジェット記録用インクにおいては、顔料粒子の分散性や、インクの保存安定性および吐出性をも高めることができる。
本発明において用いることができる架橋性モノマーとしては、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペニル基、ビニリデン基、およびビニレン基から選ばれる1種以上の不飽和炭化水素基を2個以上有する化合物があげられる。架橋性モノマーの具体例としては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、アリルアクリレート、ビス(アクリロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(アクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、テトラブロモビスフェノールAジアクリレート、トリグリセロールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシエトキシジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシエトキシポリエトキシ)フェニル]プロパン、テトラブロモビスフェノールAジメタクリレート、ジシクロペンタニルジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリグリセロールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、アリルメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、イアリルイソフタレート、およびジエチレングリコールビスアリルカーボネート等があげられる。
本発明の有機顔料を包含する樹脂層を形成するための乳化重合反応は、公知の重合開始剤を用いて行うことができる。重合開始剤の具体例としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−イソプロピルブルチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリアン酸)、およびジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、またはペルオキシド化合物、例えばブチルペルオキシド、プロピルペルオキシド、ブチリルペルオキシド、ベンゾイルイソブチリルペルオキシド、およびベンゾイルペルオキシド、または水溶性の重合開始剤、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、および4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等があげられる。また、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等と、亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄等とを組み合わせたレドックス系開始剤を用いることもできる。
以下、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
尚、以下の実施例Aは上記した好ましい実施の形態(a)に対応している。
[実施例A]
(実施例A−1)
(1)顔料分散体A1の製造
顔料分散体A1はカーボンブラック(ピグメントブラック7)である米国キャボット社製モナーク880を用いた。特開平8−3498号公報と同様な方法でカーボンブラックの表面を酸化させて水に分散可能にし、分散体A1とした。マイクロトラック粒度分布測定装置UPA250(日機装製)を用いて粒径を測定したところ110nmであった。
(2)高分子微粒子の作製
反応容器に滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、攪拌機を備え、イオン交換水100部を入れ、攪拌しながら窒素雰囲気70℃で、重合開始剤の過流酸カリを0.2部を添加しておき、イオン交換水7部にラウリル硫酸ナトリウムを0.05部、グリシドキシアクリレート4部、エチルアクリレート15部、ブチルアクリレート15部、テトラヒドロフルフリルアクリレート6部、ブチルメタクリレート5部およびt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れたモノマー溶液を、70℃に滴下して反応させて1次物質を作製する。その1次物質に、過流酸アンモニウム10%溶液2部を添加して攪拌し、さらにイオン交換水30部、ラウリル硫酸カリ0.2部、エチルアクリレート30部、メチルアクリレート25部、ブチルアクリレート6部、アクリル酸5部、t−ドデシルメルカプタン0.5部よりなる反応液を70℃で攪拌しながら添加して重合反応させた後、水酸化ナトリウムで中和しpH8〜8.5にして0.3μmのフィルターでろ過した高分子微粒子水分散液を作製してエマルジョンA(EM−A)とした。この高分子微粒子水分散液の一部を取り乾燥させた後、示差操作型熱量計(セイコー電子製EXSTAR6000DSC)によりガラス転位温度を測定したところ−15℃であった。株式会社日立製作所製L7100システムのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、溶剤をTHFとして測定したときのスチレン換算分子量は150000であった。酸価は20mgKOH/gであった。酸価の測定は以下の方法により測定した。上記高分子微粒子水分散液の水酸化ナトリウム中和前の状態で採取し、その固形分濃度を熱天秤(セイコー電子工業製TG−2121)により正確に測定する。次に、この高分子微粒子水分散液約10gを精密に量り採り、共栓三角フラスコに入れて2−プロパノール−テトラヒドロフラン混液(1:2)100mlを加えて溶解し、これに、フェノールフタレン試液を指示薬として、30秒間持続する淡紅色を呈するまで0.1mol/Lの2−プロパノール製水酸化カリウム溶液で滴定する方法によって測定する。酸価は式(1)により求める。
酸価(mgKOH/g)=(5.611×a×f)/S・・・式(1)
S:試料の採取量(g)
a:0.1mol/Lの2−プロパノール製水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
f:0.1mol/Lの2−プロパノール製水酸化カリウム溶液のファクタ
尚、aは滴定値(ml)−ブランク値(ml)
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表2に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体A1を用い、表2に示すビヒクル成分と混合することによって作製した。尚、本発明の実施例および比較例中の残量の水にはインクの腐食防止のためトップサイド240(パーマケムアジア社製)を0.05%、インクジェットヘッド部材の腐食防止のためベンゾトリアゾールを0.02%、インク系中の金属イオンの影響を低減するためにEDTA(エチレンジアミン四酢酸)・2Na塩を0.04%それぞれイオン交換水に添加したものを用いた。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例A−1のインクを用い、インクジェットプリンターとしてセイコーエプソン株式会社製PX−V600を用いて、綿にベタ印字したサンプルを作成する。そのサンプルをテスター産業株式会社の学振式摩擦堅牢性試験機AB−301Sを用いて荷重200gで100回擦る摩擦堅牢性を行なった。インクのはがれ具合を確認する日本工業規格(JIS)JIS L0849によって、乾燥と湿潤の2水準で評価した。また、同様にドライクリーニング試験をJIS L0860のB法によって評価した。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表1に示す。
(5)吐出安定性の測定
インクジェットプリンターとしてセイコーエプソン株式会社製PX−V600を用いて、35℃35%雰囲気で富士ゼロックス社製XeroxP紙A4判にマイクロソフトワードで文字サイズ11の標準、MSPゴシックで4000字/ページの割合で100ページ印刷して評価した。全く印字乱れがないものをAA、1箇所印字乱れがあるものをA、2〜3箇所印字乱れがあるものをB、4〜5箇所印字乱れがあるものをC、6箇所以上印字乱れがあるものをDとして結果を表1に示す。
(実施例A−2)
(1)顔料分散体A2の製造
まず、顔料分散体A2はピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン顔料:クラリアント製)を用いた。攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、ベンジルアクリレート75部、アクリル酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したベンジルアクリレート150部、アクリル酸15部、ブチルアクリレート5部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部および過硫酸ナトリウム1部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作製した。このポリマーの一部を取り乾燥させた後、示差操作型熱量計(セイコー電子製EXSTAR6000DSC)によりガラス転位温度を測定したところ40℃であった。
また、上記分散ポリマー溶液40部とピグメントブルー15:3を30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン30部を混合した。その後超高圧ホモジナイザー(株式会社スギノマシン製アルティマイザーHJP−25005)を用いて200MPaで15パスして分散した。その後、別の容器に移してイオン交換水を300部添加して、さらに1時間攪拌した。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去して、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してpH9に調整した。その後、0.3μmのメンブレンフィルターでろ過しイオン交換水で調整して顔料濃度が15%である顔料分散体A2とした。実施例A−1と同じ方法で粒径を測定したところ80nmであった。
(2)高分子微粒子の作製
反応容器に滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、攪拌機を備え、イオン交換水100部を入れ、攪拌しながら窒素雰囲気70℃で、重合開始剤の過流酸カリを0.2部を添加しておき、イオン交換水7部にラウリル硫酸ナトリウムを0.05部、エチルアクリレート19部、ブチルアクリレート15部、テトラヒドロフルフリルアクリレート6部、ブチルメタクリレート5部およびt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れたモノマー溶液を、70℃に滴下して反応させて1次物質を作製する。その1次物質に、過流酸アンモニウム10%溶液2部を添加して攪拌し、さらにイオン交換水30部、ラウリル硫酸カリ0.2部、エチルアクリレート30部、メチルアクリレート25部、ブチルアクリレート16部、アクリル酸5部、t−ドデシルメルカプタン0.5部よりなる反応液を70℃で攪拌しながら添加して重合反応させた後、水酸化ナトリウムで中和しpH8〜8.5にして0.3μmのフィルターでろ過した高分子微粒子水分散液を作成してエマルジョンB(EM−B)とした。この高分子微粒子水分散液の一部を取り乾燥させた後、示差操作型熱量計(セイコー電子製EXSTAR6000DSC)によりガラス転位温度を測定したところ−17℃であった。実施例1と同様に分子量を測定したところ200000であった。酸価は20mgKOH/gであった。酸価は実施例A−1と同じ方法によって測定した。
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表2に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体A2を用い、表2に示すビヒクル成分と混合することによって、実施例A−1と同様に作製した。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例A−2のインクを用い、実施例A−1と同じ方法および同じ評価方法で耐擦性試験とドライクリーニング性試験を行なった。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表1に示す。
(5)吐出安定性の測定
実施例A−2のインクを用い、実施例A−1と同じ方法および同じ評価方法で吐出安定性の測定を行なった。吐出安定性の測定結果を表1に示す。
(実施例A−3)
(1)顔料分散体A3の製造
まず、顔料分散体A3はピグメントバイオレット19(キナクリドン顔料:クラリアント製)を用いて顔料分散体A2と同様に作製し、顔料分散体A3とした。実施例A−1と同じ方法で粒径を測定したところ90nmであった。
(2)高分子微粒子の作製
実施例A−2と同じ高分子微粒子を用いた。
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表2に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体A3を用い、表2に示すビヒクル成分と混合することによって、実施例A−1と同様に作製して評価した。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例A−3のインクを用い、実施例A−1と同じ方法および同じ評価方法で耐擦性試験とドライクリーニング性試験を行なった。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表1に示す。
(5)吐出安定性の測定
実施例A−3のインクを用い、実施例A−1と同じ方法および同じ評価方法で吐出安定性の測定を行なった。吐出安定性の測定結果を表1に示す。
(実施例A−4)
(1)顔料分散体A4の製造
まず、顔料分散体A4はピグメントイエロー14(アゾ系顔料:クラリアント製)を用いて顔料分散体A2と同様に作製し、顔料分散体A4とした。実施例A−1と同じ方法で粒径を測定したところ115nmであった。
(2)高分子微粒子の作製
実施例A−2と同じ高分子微粒子を用いた。
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表2に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体A4を用い、表2に示すビヒクル成分と混合することによって、実施例1と同様に作成して評価した。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例A−4のインクを用い、実施例A−1と同じ方法および同じ評価方法で耐擦性試験とドライクリーニング性試験を行なった。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表1に示す。
(5)吐出安定性の測定
実施例A−4のインクを用い、実施例A−1と同じ方法および同じ評価方法で吐出安定性の測定を行なった。吐出安定性の測定結果を表1に示す。
(比較例A−1)
比較例A−1は、実施例A−1においてエチルアクリレートの一部をスチレンに変更する以外は同様にして、ガラス転移温度が0℃の高分子微粒子を用いた以外は実施例A−1と同様にインクを作製して評価した。この高分子微粒子を用いて作製したエマルジョンをエマルジョンB(EM−B)とした。インク組成を表2に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例A−1と同様に行なった。結果を表1に示す。
(比較例A−2)
比較例A−2は、実施例A−2においてエチルアクリレートおよびブチルアクリレートの一部をスチレンに変更する以外は同様にしてガラス転移温度が10℃の高分子微粒子を用いた以外は実施例A−2と同様にインクを作製して評価した。この高分子微粒子を用いて作製したエマルジョンをエマルジョンC(EM−C)とした。インク組成を表2に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例A−1と同様に行なった。結果を表1に示す。
(比較例A−3)
比較例A−3は、実施例A−3おいて、顔料の粒径が350nmおよび45nmの分散体を作成した以外は実施例A−3と同様にインクを作製して評価した。実施例A−1と同じ方法で粒径を測定した。粒径が350nmの分散体を顔料分散体A3A、粒径が45nmの分散体を顔料分散体A3Bとした。インク組成を表2に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例A−1と同様に行なった。結果を表1に示す。
(比較例A−4)
比較例A−4は、実施例A−4において、添加する高分子微粒子の酸価を120mgKOH/gおよび150mgKOH/gにした以外は実施例A−4と同様にインクを作製して評価した。酸価を120mgKOH/gにした高分子微粒子を用いて作製したエマルジョンをエマルジョンD(EM−D)とし、酸価を120mgKOH/g高分子微粒子を用いて作製したエマルジョンをエマルジョンE(EM−E)とした。インク組成を表2に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例A−1と同様に行なった。結果を表1に示す。
Figure 2015091976
Figure 2015091976
(実施例A−5)
(1)顔料分散体A5の製造
顔料分散体A5はカーボンブラック(PBk7)である三菱化学工業株式会社製MA100を用いた。特開平8−3498号公報と同様な方法でカーボンブラックの表面を酸化させて水に分散可能にし、分散体A5とした。実施例A−1と同じ方法で粒径を測定したところ120nmであった。
(2)高分子微粒子の作製
反応容器に滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、攪拌機を備え、イオン交換水100部を入れ、攪拌しながら窒素雰囲気70℃で、重合開始剤の過流酸カリを0.3部を添加しておき、イオン交換水7部にラウリル硫酸ナトリウムを0.05部、エチルアクリレート20部、ブチルアクリレート15部、ラウリルアクリレート6部、ブチルメタクリレート5部およびt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れたモノマー溶液を、70℃に滴下して反応させて1次物質を作製する。その1次物質に、過流酸アンモニウム10%溶液2部を添加して攪拌し、さらにイオン交換水30部、ラウリル硫酸カリ0.2部、エチルアクリレート30部、ブチルアクリレート25部、ラウリルアクリレート16部、アクリル酸5部、t−ドデシルメルカプタン0.5部よりなる反応液を70℃で攪拌しながら添加して重合反応させた後、水酸化ナトリウムで中和しpH8〜8.5にして0.3μmのフィルターでろ過した高分子微粒子水分散液を作成してエマルジョンG(EM−G)とした。この高分子微粒子水分散液の一部を取り乾燥させた後、示差操作型熱量計(セイコー電子製EXSTAR6000DSC)によりガラス転位温度を測定したところ−19℃であった。実施例1と同じ方法で分子量を測定したところ180000であった。酸価は18mgKOH/gであった。酸価は実施例1と同じ方法によって測定した。
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表4に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作成した分散体A5を用い、表4に示すビヒクル成分と混合することによって、実施例A−1と同様に作製して評価した。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例A−5のインクを用い、実施例A−1と同じ方法および同じ評価方法で耐擦性試験とドライクリーニング性試験を行なった。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表3に示す。
(5)吐出安定性の測定
実施例A−5のインクを用い、実施例A−1と同じ方法および同じ評価方法で吐出安定性の測定を行なった。吐出安定性の測定結果を表3に示す。
(実施例A−6)
(1)顔料分散体A6の製造
まず、顔料分散体A6はピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン顔料:クラリアント製)を用いた。攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン45部、ポリエチレングリコール400アクリレート30部、ベンジルアクリレート10部、アクリル酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン150部、ポリエチレングリコール400アクリレート100部、アクリル酸15部、ブチルアクリレート5部、t−ドデシルメルカプタン1部および過硫酸ナトリウム5部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器に水を添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。このポリマーの一部を取り乾燥させた後、示差操作型熱量計(セイコー電子製EXSTAR6000DSC)によりガラス転位温度を測定したところ45℃であった。
また、上記分散ポリマー溶液40部とピグメンとブルー15:3を30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部を混合し、ジルコニアビーズを用いたアイガーミルを用いて2時間かけて分散する。その後、別の容器に移してイオン交換水を300部添加して、さらに1時間攪拌する。そして、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してpH9に調整する。その後、0.3μmのメンブレンフィルターでろ過し、固形分(分散ポリマーとピグメンとブルー15:3)が20%である分散体A6とした。実施例A−1と同じ方法で粒径を測定したところ100nmであった。実施例A−1と同じ方法で分子量を測定したところ210000であった。
(2)高分子微粒子の作製
反応容器に滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、攪拌機を備え、イオン交換水100部を入れ、攪拌しながら窒素雰囲気70℃で、重合開始剤の過流酸カリを0.3部を添加しておき、イオン交換水7部にラウリル硫酸ナトリウムを0.05部、エチルアクリレート20部、ブチルアクリレート25部、ラウリルアクリレート6部、ブチルメタクリレート5部およびt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れたモノマー溶液を、70℃に滴下して反応させて1次物質を作製する。その1次物質に、過流酸アンモニウム10%溶液2部を添加して攪拌し、さらにイオン交換水30部、ラウリル硫酸カリ0.2部、エチルアクリレート20部、ブチルアクリレート20部、ラウリルアクリレート20部、アクリル酸5部、t−ドデシルメルカプタン0.5部よりなる反応液を70℃で攪拌しながら添加して重合反応させた後、水酸化ナトリウムで中和しpH8〜8.5にして0.3μmのフィルターでろ過した高分子微粒子水分散液を作成してエマルジョンF(EM−F)とした。この高分子微粒子水分散液の一部を取り乾燥させた後、示差操作型熱量計(セイコー電子製EXSTAR6000DSC)によりガラス転位温度を測定したところ−21℃であった。実施例A−1と同じ方法で分子量を測定したところ200000であった。酸価は18mgKOH/gであった。酸価は実施例A−1と同じ方法によって測定した。
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表4に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体1を用い、表4に示すビヒクル成分と混合することによって、実施例A−1と同様に作製して評価した。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例A−6のインクを用い、実施例A−1と同じ方法および同じ評価方法で耐擦性試験とドライクリーニング性試験を行なった。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表3に示す。
(5)吐出安定性の測定
実施例A−6のインクを用い、実施例A−1と同じ方法および同じ評価方法で吐出安定性の測定を行なった。吐出安定性の測定結果を表3に示す。
(実施例7)
(1)顔料分散体A7の製造
まず、顔料分散体A7はピグメントレッド122(ジメチルキナクリドン顔料:クラリアント製)を用いて顔料分散体A2と同様に作製した。実施例A−1と同じ方法で粒径を測定したところ80nmであった。
(2)高分子微粒子の作製
実施例A−6と同じ高分子微粒子を用いた。
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表4に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体A7を用い、表4に示すビヒクル成分と混合することによって、実施例A−1と同様に作製して評価した。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例A−7のインクを用い、実施例A−1と同じ方法および同じ評価方法で耐擦性試験とドライクリーニング性試験を行なった。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表3に示す。
(5)吐出安定性の測定
実施例A−7のインクを用い、実施例A−1と同じ方法および同じ評価方法で吐出安定性の測定を行なった。吐出安定性の測定結果を表3に示す。
(実施例A−8)
(1)顔料分散体A8の製造
まず、顔料分散体A8はピグメントイエロー180(ベンズイミダゾロン系ジスアゾ顔料:クラリアント製)を用いて顔料分散体A2と同様に作成した。実施例A−1と同じ方法で粒径を測定したところ130nmであった。
(2)高分子微粒子の作製
実施例A−6と同じ高分子微粒子を用いた。
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表4に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体A8を用い、表4に示すビヒクル成分と混合することによって、実施例A−1と同様に作製して評価した。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例A−8のインクを用い、実施例A−1と同じ方法および同じ評価方法で耐擦性試験とドライクリーニング性試験を行なった。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表3に示す。
(5)吐出安定性の測定
実施例A−8のインクを用い、実施例A−1と同じ方法および同じ評価方法で吐出安定性の測定を行なった。吐出安定性の測定結果を表3に示す。
(参考例A−5)
参考例A−5は、実施例A−5において添加する高分子微粒子の分子量を90000および1100000にした以外は実施例A−5と同様にインクを作製して評価した。分子量が90000エマルジョンをエマルジョンH(EM−H)とし、分子量が90000エマルジョンをエマルジョンI(EM−I)とした。インク組成を表4に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例A−5と同様に行なった。結果を表3に示す。高分子微粒子の粒径の測定は実施例A−1と同じ方法で行なった。
(参考例A−6)
参考例A−6は、実施例A−6において1、2−アルキレングリコールとしての1、2−ヘキサンジオールをグリセリンに置換した以外は実施例A−6と同様にインクを作製して評価した。インク組成を表4に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例A−5と同様に行なった。結果を表3に示す。
(参考例A−7)
参考例A−7は、実施例A−7おいて、アセチレングリコール系の界面活性剤およびアセチレンアルコール系界面活性剤をグリセリンに置換した以外は実施例A−7と同様にインクを作製して評価した。インク組成を表4に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例A−5と同様に行なった。結果を表3に示す。
(参考例A−8)
参考例A−8は、実施例A−8において、添加する高分子微粒子の量を対顔料比で80%および50%にした以外は実施例A−8と同様にインクを作製して評価した。インク組成を表4に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例A−5と同様に行なった。結果を表3に示す。
Figure 2015091976
Figure 2015091976
次に、本発明によるその他の好ましい実施形態における実施例について説明する。
[実施例B]
以下の実施例Bは、その他の好ましい実施形態(b)に対応する。
(実施例B−1)
(1)顔料分散体B1の製造
顔料分散体B1は、カーボンブラック(ピグメントブラック7)である米国キャボット社製モナーク880を用いた。特開平8−3498号公報と同様な方法でカーボンブラックの表面を酸化させて水に分散可能にし、分散体Bとした。マイクロトラック粒度分布測定装置UPA250(日機装製)を用いて粒径を測定したところ110nmであった。
(2)高分子微粒子の作製
反応容器に滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、攪拌機を備え、イオン交換水100部を入れ、攪拌しながら窒素雰囲気70℃で、重合開始剤の過流酸カリを0.2部を添加しておき、イオン交換水7部にラウリル硫酸ナトリウムを0.05部、グリシドキシアクリレート4部、エチルアクリレート15部、ブチルアクリレート15部、テトラヒドロフルフリルアクリレート6部、ブチルメタクリレート5部およびt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れたモノマー溶液を、70℃に滴下して反応させて1次物質を作製する。その1次物質に、過流酸アンモニウム10%溶液2部を添加して攪拌し、さらにイオン交換水30部、ラウリル硫酸カリ0.2部、エチルアクリレート30部、メチルアクリレート25部、ブチルアクリレート6部、アクリル酸5部、t−ドデシルメルカプタン0.5部よりなる反応液を70℃で攪拌しながら添加して重合反応させた後、水酸化ナトリウムで中和しpH8〜8.5にして0.3μmのフィルターでろ過した高分子微粒子水分散液を作製してエマルジョンA(EM−A)とした。この高分子微粒子水分散液の一部を取り乾燥させた後、示差操作型熱量計(セイコー電子製EXSTAR6000DSC)によりガラス転位温度を測定したところ−15℃であった。株式会社日立製作所製L7100システムのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、溶剤をTHFとして測定したときのスチレン換算分子量は150000であった。また、滴定法による酸価は20mgKOH/gであった。
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表6に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体B1を用い、表6に示すビヒクル成分と混合することによって作製した。尚、本発明の実施例および比較例中の残量の水にはインクの腐食防止のためトップサイド240(パーマケムアジア社製)を0.05%、インクジェットヘッド部材の腐食防止のためベンゾトリアゾールを0.02%、インク系中の金属イオンの影響を低減するためにEDTA(エチレンジアミン四酢酸)・2Na塩を0.04%それぞれイオン交換水に添加したものを用いた。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例B−1のインクを用い、インクジェットプリンターとしてセイコーエプソン株式会社製PX−V600を用いて、綿布にベタ印字したサンプルを作成し、150℃で5分間加熱処理する。そのサンプルをテスター産業株式会社の学振式摩擦堅牢性試験機AB−301Sを用いて荷重200gで100回擦る摩擦堅牢性を行なった。インクのはがれ具合を確認する日本工業規格(JIS)JIS L0849によって、乾燥と湿潤の2水準で評価した。また、同様にドライクリーニング試験をJIS L0860のB法によって評価した。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表5に示す。
(5)吐出安定性の測定
インクジェットプリンターとしてセイコーエプソン株式会社製PX−V600を用いて、35℃35%雰囲気で富士ゼロックス社製XeroxP紙A4判にマイクロソフトワードで文字サイズ11の標準、MSPゴシックで4000字/ページの割合で100ページ印刷して評価した。全く印字乱れがないものをAA、1箇所印字乱れがあるものをA、2箇所〜3箇所印字乱れがあるものをB、4箇所〜5箇所印字乱れがあるものをC、6箇所以上印字乱れがあるものをDとして結果を表5に示す。
(実施例B−2)
(1)顔料分散体B2の製造
顔料分散体B2は、ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン顔料:クラリアント製)を用いた。攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、ベンジルアクリレート75部、アクリル酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したベンジルアクリレート150部、アクリル酸15部、ブチルアクリレート5部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部および過硫酸ナトリウム1部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作製した。このポリマーの一部を取り乾燥させた後、示差操作型熱量計(セイコー電子製EXSTAR6000DSC)によりガラス転位温度を測定したところ40℃であった。
また、上記分散ポリマー溶液40部とピグメントブルー15:3を30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン30部を混合した。その後超高圧ホモジナイザー(株式会社スギノマシン製アルティマイザーHJP−25005)を用いて200MPaで15パスして分散した。その後、別の容器に移してイオン交換水を300部添加して、さらに1時間攪拌した。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去して、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してpH9に調整した。その後、0.3μmのメンブレンフィルターでろ過しイオン交換水で調整して顔料濃度が15%である顔料分散体B2とした。実施例B−1と同じ方法で粒径を測定したところ80nmであった。
(2)高分子微粒子の作製
反応容器に滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、攪拌機を備え、イオン交換水100部を入れ、攪拌しながら窒素雰囲気70℃で、重合開始剤の過流酸カリを0.2部を添加しておき、イオン交換水7部にラウリル硫酸ナトリウムを0.05部、エチルアクリレート19部、ブチルアクリレート15部、テトラヒドロフルフリルアクリレート6部、ブチルメタクリレート5部およびt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れたモノマー溶液を、70℃に滴下して反応させて1次物質を作製する。その1次物質に、過流酸アンモニウム10%溶液2部を添加して攪拌し、さらにイオン交換水30部、ラウリル硫酸カリ0.2部、エチルアクリレート30部、メチルアクリレート25部、ブチルアクリレート16部、アクリル酸5部、t−ドデシルメルカプタン0.5部よりなる反応液を70℃で攪拌しながら添加して重合反応させた後、水酸化ナトリウムで中和しpH8〜8.5にして0.3μmのフィルターでろ過した高分子微粒子水分散液を作成してエマルジョンB(EM−B)とした。この高分子微粒子水分散液の一部を取り乾燥させた後、示差操作型熱量計(セイコー電子製EXSTAR6000DSC)によりガラス転位温度を測定したところ−17℃であった。実施例B−1と同様に分子量を測定したところ200000であった。また、滴定法による酸価は20mgKOH/gであった。
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表6に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体B2を用い、表6に示すビヒクル成分と混合することによって、実施例B−1と同様に作製した。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例B−2のインクを用い、実施例B−1と同じ方法および同じ評価方法で耐擦性試験とドライクリーニング性試験を行なった。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表5に示す。
(5)吐出安定性の測定
実施例B−2のインクを用い、実施例B−1と同じ方法および同じ評価方法で吐出安定性の測定を行なった。吐出安定性の測定結果を表5に示す。
(実施例3)
(1)顔料分散体B3の製造
顔料分散体B3は、ピグメントバイオレット19(キナクリドン顔料:クラリアント製)を用いて、顔料分散体B2と同様に作製し、顔料分散体B3とした。実施例B−1と同じ方法で粒径を測定したところ90nmであった。
(2)高分子微粒子の作製
実施例B−2と同じ高分子微粒子を用いた。
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表6に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体B3を用い、表6に示すビヒクル成分と混合することによって、実施例B−1と同様に作製して評価した。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例B−3のインクを用い、実施例B−1と同じ方法および同じ評価方法で耐擦性試験とドライクリーニング性試験を行なった。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表5に示す。
(5)吐出安定性の測定
実施例B−3のインクを用い、実施例B−1と同じ方法および同じ評価方法で吐出安定性の測定を行なった。吐出安定性の測定結果を表5に示す。
(実施例B−4)
(1)顔料分散体B4の製造
顔料分散体B4は、ピグメントイエロー14(アゾ系顔料:クラリアント製)を用いて顔料分散体B2と同様に作製し、顔料分散体B4とした。実施例B−1と同じ方法で粒径を測定したところ115nmであった。
(2)高分子微粒子の作製
実施例B−2と同じ高分子微粒子を用いた。
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表4に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体B4を用い、表4に示すビヒクル成分と混合することによって、実施例B−1と同様に作成して評価した。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例B−4のインクを用い、実施例B−1と同じ方法および同じ評価方法で耐擦性試験とドライクリーニング性試験を行なった。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表5に示す。
(5)吐出安定性の測定
実施例B−4のインクを用い、実施例B−1と同じ方法および同じ評価方法で吐出安定性の測定を行なった。吐出安定性の測定結果を表5に示す。
(比較例B−1)
比較例B−1は、実施例B−1においてエチルアクリレートの全量(45部)をベンジルメタクリレート45部に変更する以外は同様にして、ガラス転移温度が0℃の高分子微粒子を用いた以外は実施例B−1と同様にインクを作製して評価した。この高分子微粒子を用いて作製したエマルジョンをエマルジョンC(EM−C)とした。インク組成を表6に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例B−1と同様に行なった。結果を表5に示す。
(比較例B−2)
比較例B−2は、実施例B−2においてエチルアクリレート全量(49部)をベンジルメタクリレートに代え、ブチルアクリレートの10部をベンジルメタクリレート10部に変更する以外は同様にしてガラス転移温度が10℃の高分子微粒子を用いた以外は実施例B−2と同様にインクを作製して評価した。この高分子微粒子を用いて作製したエマルジョンをエマルジョンD(EM−D)とした。インク組成を表6に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例B−1と同様に行なった。結果を表5に示す。
(比較例B−3)
比較例B−3は、実施例B−3おいて、顔料の粒径が350nmおよび45nmの分散体を作成した以外は実施例B−3と同様にインクを作製して評価した。実施例B−1と同じ方法で粒径を測定した。粒径が350nmの分散体を顔料分散体B3A、粒径が45nmの分散体を顔料分散体B3Bとした。インク組成を表6に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例B−1と同様に行なった。結果を表5に示す。
(比較例B−4)
比較例B−4は、実施例B−4において、添加する高分子微粒子の酸価を120mgKOH/gおよび150mgKOH/gにした以外は実施例B−4と同様にインクを作製して評価した。酸価を120mgKOH/gにした高分子微粒子を用いて作製したエマルジョンをエマルジョンE(EM−E)とし、酸価を120mgKOH/g高分子微粒子を用いて作製したエマルジョンをエマルジョンF(EM−F)とした。インク組成を表6に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例B−1と同様に行なった。結果を表5に示す。
(参考例B−5)
参考例B−5は、実施例B−2において、高分子微粒子のエチルアクリレートの42部をスチレン42部に代え、ブチルメタクリレートの全量およびメチルアクリレートの15部を2−エチル−ヘキシルアクリレートに代えて、ガラス転位温度が−17℃になるように添加量を調整してその構成成分として70重量%以上のアルキル(メタ)アクリレートおよび/または環状アルキル(メタ)アクリレートを含有しない(65.3%)高分子微粒子を作製した以外は実施例B−2と同様にしてインクを作製して評価した。この高分子微粒子を用いて作製したエマルジョンをエマルジョンG(EM−G)とした。インク組成を表6に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例B−1と同様に行なった。結果を表5に示す。
(参考例B−6)
参考例B−6は、実施例B−2において、高分子微粒子のエチルアクリレートの40部をスチレン40部に代え、メチルアクリレートの全量をラウリルアクリレートに代え、ブチルアクリレートの15部もラウリルアクリレート15部に代え、ガラス転位温度が−17℃になるように添加量を調整してその構成成分として70重量%以上のアルキル(メタ)アクリレートおよび/または環状アルキル(メタ)アクリレートを含有しない(66.9%)高分子微粒子を作製した以外は実施例B−2と同様にしてインクを作製して評価した。この高分子微粒子を用いて作製したエマルジョンをエマルジョンH(EM−H)とした。インク組成を表6に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例B−1と同様に行なった。結果を表5に示す。
Figure 2015091976
Figure 2015091976
(実施例B−5)
(1)顔料分散体B5の製造
顔料分散体B5は、カーボンブラック(PBk7)である三菱化学工業株式会社製MA100を用いた。特開平8−3498号公報と同様な方法でカーボンブラックの表面を酸化させて水に分散可能にし、分散体B5とした。実施例B−1と同じ方法で粒径を測定したところ120nmであった。
(2)高分子微粒子の作製
反応容器に滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、攪拌機を備え、イオン交換水100部を入れ、攪拌しながら窒素雰囲気70℃で、重合開始剤の過流酸カリを0.3部を添加しておき、イオン交換水7部にラウリル硫酸ナトリウムを0.05部、エチルアクリレート20部、ブチルアクリレート15部、ラウリルアクリレート6部、ブチルメタクリレート5部およびt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れたモノマー溶液を、70℃に滴下して反応させて1次物質を作製する。その1次物質に、過流酸アンモニウム10%溶液2部を添加して攪拌し、さらにイオン交換水30部、ラウリル硫酸カリ0.2部、エチルアクリレート30部、ブチルアクリレート25部、ラウリルアクリレート16部、アクリル酸5部、t−ドデシルメルカプタン0.5部よりなる反応液を70℃で攪拌しながら添加して重合反応させた後、水酸化ナトリウムで中和しpH8〜8.5にして0.3μmのフィルターでろ過した高分子微粒子水分散液を作成してエマルジョンI(EM−I)とした。この高分子微粒子水分散液の一部を取り乾燥させた後、示差操作型熱量計(セイコー電子製EXSTAR6000DSC)によりガラス転位温度を測定したところ−19℃であった。実施例B−1と同じ方法で分子量を測定したところ180000であった。また、滴定法による酸価は18mgKOH/gであった。
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表8に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作成した分散体B5を用い、表8に示すビヒクル成分と混合することによって、実施例B−1と同様に作製して評価した。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例B−5のインクを用い、実施例B−1と同じ方法および同じ評価方法で耐擦性試験とドライクリーニング性試験を行なった。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表7に示す。
(5)吐出安定性の測定
実施例B−5のインクを用い、実施例B−1と同じ方法および同じ評価方法で吐出安定性の測定を行なった。吐出安定性の測定結果を表7に示す。
(実施例B−6)
(1)顔料分散体B6の製造
顔料分散体B6は、ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン顔料:クラリアント製)を用いた。攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン45部、ポリエチレングリコール400アクリレート30部、ベンジルアクリレート10部、アクリル酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン150部、ポリエチレングリコール400アクリレート100部、アクリル酸15部、ブチルアクリレート5部、t−ドデシルメルカプタン1部および過硫酸ナトリウム5部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器に水を添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。このポリマーの一部を取り乾燥させた後、示差操作型熱量計(セイコー電子製EXSTAR6000DSC)によりガラス転位温度を測定したところ45℃であった。
また、上記分散ポリマー溶液40部とピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン顔料:クラリアント製)を30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部を混合し、ジルコニアビーズを用いたアイガーミルを用いて2時間かけて分散する。その後、別の容器に移してイオン交換水を300部添加して、さらに1時間攪拌する。そして、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してpH9に調整する。その後、0.3μmのメンブレンフィルターでろ過し、固形分(分散ポリマーとピグメンとブルー15:3)が20%である分散体5とした。実施例B−1と同じ方法で粒径を測定したところ100nmであった。実施例B−1と同じ方法で分子量を測定したところ210000であった。
(2)高分子微粒子の作製
反応容器に滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、攪拌機を備え、イオン交換水100部を入れ、攪拌しながら窒素雰囲気70℃で、重合開始剤の過流酸カリを0.3部を添加しておき、イオン交換水7部にラウリル硫酸ナトリウムを0.05部、エチルアクリレート20部、ブチルアクリレート25部、ラウリルアクリレート6部、ブチルメタクリレート5部およびt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れたモノマー溶液を、70℃に滴下して反応させて1次物質を作製する。その1次物質に、過流酸アンモニウム10%溶液2部を添加して攪拌し、さらにイオン交換水30部、ラウリル硫酸カリ0.2部、エチルアクリレート20部、ブチルアクリレート20部、ラウリルアクリレート20部、アクリル酸5部、t−ドデシルメルカプタン0.5部よりなる反応液を70℃で攪拌しながら添加して重合反応させた後、水酸化ナトリウムで中和しpH8〜8.5にして0.3μmのフィルターでろ過した高分子微粒子水分散液を作成してエマルジョンJ(EM−J)とした。この高分子微粒子水分散液の一部を取り乾燥させた後、示差操作型熱量計(セイコー電子製EXSTAR6000DSC)によりガラス転位温度を測定したところ−21℃であった。また、滴定法による酸価は18mgKOH/gであった。
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表8に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体B6を用い、表8に示すビヒクル成分と混合することによって、実施例B−1と同様に作製して評価した。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例B−6のインクを用い、実施例B−1と同じ方法および同じ評価方法で耐擦性試験とドライクリーニング性試験を行なった。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表7に示す。
(5)吐出安定性の測定
実施例B−6のインクを用い、実施例B−1と同じ方法および同じ評価方法で吐出安定性の測定を行なった。吐出安定性の測定結果を表7に示す。
(実施例B−7)
(1)顔料分散体B7の製造
顔料分散体B7は、ピグメントレッド122(ジメチルキナクリドン顔料:クラリアント製)を用いて顔料分散体B2と同様に作製した。実施例B−1と同じ方法で粒径を測定したところ80nmであった。
(2)高分子微粒子の作製
実施例B−6と同じ高分子微粒子を用いた。
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表8に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体B7を用い、表8に示すビヒクル成分と混合することによって、実施例B−1と同様に作製して評価した。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例B−7のインクを用い、実施例B−1と同じ方法および同じ評価方法で耐擦性試験とドライクリーニング性試験を行なった。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表7に示す。
(5)吐出安定性の測定
実施例B−7のインクを用い、実施例B−1と同じ方法および同じ評価方法で吐出安定性の測定を行なった。吐出安定性の測定結果を表7に示す。
(実施例B−8)
(1)顔料分散体B8の製造
顔料分散体B8は、ピグメントイエロー180(ベンズイミダゾロン系ジスアゾ顔料:クラリアント製)を用いて顔料分散体B2と同様に作成した。実施例B−1と同じ方法で粒径を測定したところ130nmであった。
(2)高分子微粒子の作製
実施例B−6と同じ高分子微粒子を用いた。
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表8に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体B8を用い、表8に示すビヒクル成分と混合することによって、実施例B−1と同様に作製して評価した。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例B−8のインクを用い、実施例B−1と同じ方法および同じ評価方法で耐擦性試験とドライクリーニング性試験を行なった。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表7に示す。
(5)吐出安定性の測定
実施例B−8のインクを用い、実施例B−1と同じ方法および同じ評価方法で吐出安定性の測定を行なった。吐出安定性の測定結果を表7に示す。
(参考例B−7)
参考例B−7は、実施例B−5において添加する高分子微粒子の分子量を90000および1100000にした以外は実施例B−5と同様にインクを作製して評価した。分子量が90000エマルジョンをエマルジョンK(EM−K)とし、分子量が90000エマルジョンをエマルジョンL(EM−L)とした。インク組成を表8に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例B−5と同様に行なった。結果を表7に示す。高分子微粒子の粒径の測定は実施例B−1と同じ方法で行なった。
(参考例B−8)
参考例B−8は、実施例B−6において1、2−アルキレングリコールとしての1、2−ヘキサンジオールをグリセリンに置換した以外は実施例B−6と同様にインクを作製して評価した。インク組成を表8に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例B−5と同様に行なった。結果を表7に示す。
(参考例B−9)
参考例B−9は、実施例B−7おいて、アセチレングリコール系の界面活性剤およびアセチレンアルコール系界面活性剤をグリセリンに置換した以外は実施例B−7と同様にインクを作製して評価した。インク組成を表8に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例B−5と同様に行なった。結果を表7に示す。
(参考例B−10)
参考例B−10は、実施例B−8において、添加する高分子微粒子の量を対顔料比で80%および50%にした以外は実施例B−8と同様にインクを作製して評価した。インク組成を表8に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例B−5と同様に行なった。結果を表7に示す。
Figure 2015091976
Figure 2015091976
[実施例C]
以下の実施例Cは、その他の好ましい実施形態(c)に対応する。
(実施例1)
(1)顔料分散体C−1の製造
顔料分散体C1はカーボンブラック(ピグメントブラック7)である米国キャボット社製モナーク880を用いた。特開平8−3498号公報と同様な方法でカーボンブラックの表面を酸化させて水に分散可能にし、分散体C1とした。マイクロトラック粒度分布測定装置UPA250(日機装製)を用いて粒径を測定したところ110nmであった。
(2)高分子微粒子の作製
反応容器に滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、攪拌機を備え、イオン交換水100部を入れ、攪拌しながら窒素雰囲気70℃で、重合開始剤の過流酸カリを0.2部を添加しておき、イオン交換水7部にラウリル硫酸ナトリウムを0.05部、エチルアクリレート15部、ブチルアクリレート15部、テトラヒドロフルフリルアクリレート6部、ブチルメタクリレート5部およびt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れたモノマー溶液を、70℃に滴下して反応させて1次物質を作製する。その1次物質に、過流酸アンモニウム10%溶液2部を添加して攪拌し、さらにイオン交換水30部、ラウリル硫酸カリ0.2部、エチルアクリレート30部、2−エチル−ヘキシルアクリレート15部、スチレン10部、ブチルアクリレート6部、アクリル酸5部、t−ドデシルメルカプタン0.5部よりなる反応液を70℃で攪拌しながら添加して重合反応させた後、水酸化ナトリウムで中和しpH8〜8.5にして0.3μmのフィルターでろ過した高分子微粒子水分散液を作製してエマルジョンA(EM−A)とした。この高分子微粒子水分散液の一部を取り乾燥させた後、示差操作型熱量計(セイコー電子製EXSTAR6000DSC)によりガラス転位温度を測定したところ−15℃であった。株式会社日立製作所製L7100システムのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、溶剤をTHFとして測定したときのスチレン換算分子量は150000であった。また、滴定法による酸価は20mgKOH/gであった。このエマルジョンAの固形分中のスチレンの割合は9.3%である。
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表10に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体C1を用い、表10に示すビヒクル成分と混合することによって作製した。尚、本発明の実施例および比較例中の残量の水にはインクの腐食防止のためトップサイド240(パーマケムアジア社製)を0.05%、インクジェットヘッド部材の腐食防止のためベンゾトリアゾールを0.02%、インク系中の金属イオンの影響を低減するためにEDTA(エチレンジアミン四酢酸)・2Na塩を0.04%それぞれイオン交換水に添加したものを用いた。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例C−1のインクを用い、インクジェットプリンターとしてセイコーエプソン株式会社製PX−V600を用いて、綿布にベタ印字したサンプルを作成し、150℃で5分間加熱処理する。そのサンプルをテスター産業株式会社の学振式摩擦堅牢性試験機AB−301Sを用いて荷重200gで100回擦る摩擦堅牢性を行なった。インクのはがれ具合を確認する日本工業規格(JIS)JIS L0849によって、乾燥と湿潤の2水準で評価した。また、同様にドライクリーニング試験をJIS L0860のB法によって評価した。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表9に示す。
(5)吐出安定性の測定
インクジェットプリンターとしてセイコーエプソン株式会社製PX−V600を用いて、35℃35%雰囲気で富士ゼロックス社製XeroxP紙A4判にマイクロソフトワードで文字サイズ11の標準、MSPゴシックで4000字/ページの割合で100ページ印刷して評価した。全く印字乱れがないものをAA、1箇所印字乱れがあるものをA、2箇所〜3箇所印字乱れがあるものをB、4箇所〜5箇所印字乱れがあるものをC、6箇所以上印字乱れがあるものをDとして結果を表9に示す。(実施例C−2)
(1)顔料分散体C2の製造
まず、顔料分散体C2はピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン顔料:クラリアント製)を用いた。攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、ベンジルアクリレート75部、アクリル酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したベンジルアクリレート150部、アクリル酸15部、ブチルアクリレート5部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部および過硫酸ナトリウム1部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作製した。このポリマーの一部を取り乾燥させた後、示差操作型熱量計(セイコー電子製EXSTAR6000DSC)によりガラス転位温度を測定したところ40℃であった。
また、上記分散ポリマー溶液40部とピグメントブルー15:3を30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン30部を混合した。その後超高圧ホモジナイザー(株式会社スギノマシン製アルティマイザーHJP−25005)を用いて200MPaで15パスして分散した。その後、別の容器に移してイオン交換水を300部添加して、さらに1時間攪拌した。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去して、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してpH9に調整した。その後、0.3μmのメンブレンフィルターでろ過しイオン交換水で調整して顔料濃度が15%である顔料分散体C2とした。実施例C−1と同じ方法で粒径を測定したところ80nmであった。
(2)高分子微粒子の作製
反応容器に滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、攪拌機を備え、イオン交換水100部を入れ、攪拌しながら窒素雰囲気70℃で、重合開始剤の過流酸カリを0.2部を添加しておき、イオン交換水7部にラウリル硫酸ナトリウムを0.05部、エチルアクリレート9部、ブチルアクリレート15部、テトラヒドロフルフリルアクリレート6部、ブチルメタクリレート5部およびt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れたモノマー溶液を、70℃に滴下して反応させて1次物質を作製する。その1次物質に、過流酸アンモニウム10%溶液2部を添加して攪拌し、さらにイオン交換水30部、ラウリル硫酸カリ0.2部、エチルアクリレート30部、2−エチル−ヘキシルアクリレート15部、スチレン10部、ブチルアクリレート16部、アクリル酸5部、t−ドデシルメルカプタン0.5部よりなる反応液を70℃で攪拌しながら添加して重合反応させた後、水酸化ナトリウムで中和しpH8〜8.5にして0.3μmのフィルターでろ過した高分子微粒子水分散液を作成してエマルジョンB(EM−B)とした。この高分子微粒子水分散液の一部を取り乾燥させた後、示差操作型熱量計(セイコー電子製EXSTAR6000DSC)によりガラス転位温度を測定したところ−17℃であった。実施例C−1と同様に分子量を測定したところ200000であった。また、滴定法による酸価は20mgKOH/gであった。このエマルジョンBの固形分中のスチレンの割合は9.0%である。
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表10に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体C2を用い、表10に示すビヒクル成分と混合することによって、実施例C−1と同様に作製した。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例C−2のインクを用い、実施例C−1と同じ方法および同じ評価方法で耐擦性試験とドライクリーニング性試験を行なった。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表9に示す。
(5)吐出安定性の測定
実施例C−2のインクを用い、実施例C−1と同じ方法および同じ評価方法で吐出安定性の測定を行なった。吐出安定性の測定結果を表9に示す。
(実施例C−3)
(1)顔料分散体C3の製造
まず、顔料分散体C3はピグメントバイオレット19(キナクリドン顔料:クラリアント製)を用いて顔料分散体C2と同様に作製し、顔料分散体C3とした。実施例C−1と同じ方法で粒径を測定したところ90nmであった。
(2)高分子微粒子の作製
実施例C−2と同じ高分子微粒子を用いた。
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表10に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体C3を用い、表10に示すビヒクル成分と混合することによって、実施例C−1と同様に作製して評価した。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例C−3のインクを用い、実施例C−1と同じ方法および同じ評価方法で耐擦性試験とドライクリーニング性試験を行なった。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表9に示す。
(5)吐出安定性の測定
実施例C−3のインクを用い、実施例C−1と同じ方法および同じ評価方法で吐出安定性の測定を行なった。吐出安定性の測定結果を表9に示す。
(実施例C−4)
(1)顔料分散体C4の製造
まず、顔料分散体C4はピグメントイエロー14(アゾ系顔料:クラリアント製)を用いて顔料分散体C2と同様に作製し、顔料分散体C4とした。実施例C−1と同じ方法で粒径を測定したところ115nmであった。
(2)高分子微粒子の作製
実施例C−2と同じ高分子微粒子を用いた。
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表10に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体C4を用い、表10に示すビヒクル成分と混合することによって、実施例C−1と同様に作成して評価した。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例C−4のインクを用い、実施例C−1と同じ方法および同じ評価方法で耐擦性試験とドライクリーニング性試験を行なった。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表9に示す。
(5)吐出安定性の測定
実施例C−4のインクを用い、実施例C−1と同じ方法および同じ評価方法で吐出安定性の測定を行なった。吐出安定性の測定結果を表9に示す。
(比較例C−1)
比較例C−1は、実施例C−1においてエチルアクリレートの全量(45部)をベンジルメタクリレート45部に変更する以外は同様にして、ガラス転移温度が0℃の高分子微粒子を用いた以外は実施例C−1と同様にインクを作製して評価した。この高分子微粒子を用いて作製したエマルジョンをエマルジョンC(EM−C)とした。インク組成を表10に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例C−1と同様に行なった。結果を表9に示す。
(比較例C−2)
比較例C−2は、実施例C−2においてエチルアクリレート全量(49部)をベンジルメタクリレートに代え、ブチルアクリレートの10部をベンジルメタクリレート10部に変更する以外は同様にしてガラス転移温度が10℃の高分子微粒子を用いた以外は実施例C−2と同様にインクを作製して評価した。この高分子微粒子を用いて作製したエマルジョンをエマルジョンD(EM−D)とした。インク組成を表10に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例C−1と同様に行なった。結果を表9に示す。
(比較例C−3)
比較例C−3は、実施例C−3おいて、顔料の粒径が350nmおよび45nmの分散体を作成した以外は実施例C−3と同様にインクを作製して評価した。実施例C−1と同じ方法で粒径を測定した。粒径が350nmの分散体を顔料分散体C3A、粒径が45nmの分散体を顔料分散体C3Bとした。インク組成を表10に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例C−1と同様に行なった。結果を表9に示す。
(比較例C−4)
比較例C−4は、実施例C−4において、添加する高分子微粒子の酸価を120mgKOH/gおよび150mgKOH/gにした以外は実施例C−4と同様にインクを作製して評価した。酸価を120mgKOH/gにした高分子微粒子を用いて作製したエマルジョンをエマルジョンE(EM−E)とし、酸価を120mgKOH/g高分子微粒子を用いて作製したエマルジョンをエマルジョンF(EM−F)とした。インク組成を表10に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例C−1と同様に行なった。結果を表9に示す。
(参考例C−5)
参考例C−5は、実施例C−2において、エチルアクリレートの全量およびブチルアクリレートの一部をスチレン30部に代え、ブチルメタクリレートの全量およびメチルアクリレートの一部を2−エチル−ヘキシルアクリレートに代えて、ガラス転位温度が−17℃になるように添加量を調整して作製した以外は実施例C−2と同様にしてインクを作製して評価した。この高分子微粒子を用いて作製したエマルジョンをエマルジョンG(EM−G)とした。インク組成を表10に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例C−1と同様に行なった。結果を表9に示す。このエマルジョンGの固形分中のスチレンの割合は36.0%である。
(参考例C−6)
参考例C−6は、実施例C−2において、スチレン10部をスチレン5部、メチルメタクリレート5部に代え、ブチルアクリレートの一部もエチルアクリレートに代え、ガラス転位温度が−17℃になるように添加量を調整して作製した以外は実施例C−2と同様にしてインクを作製して評価した。この高分子微粒子を用いて作製したエマルジョンをエマルジョンH(EM−H)とした。インク組成を表10に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例C−1と同様に行なった。結果を表9に示す。このエマルジョンHの固形分中のスチレンの割合は4.5%である。
Figure 2015091976
Figure 2015091976
(実施例C−5)
(1)顔料分散体C5の製造
顔料分散体C5はカーボンブラック(PBk7)である三菱化学工業株式会社製MA100を用いた。特開平8−3498号公報と同様な方法でカーボンブラックの表面を酸化させて水に分散可能にし、分散体C5とした。実施例C−1と同じ方法で粒径を測定したところ120nmであった。
(2)高分子微粒子の作製
反応容器に滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、攪拌機を備え、イオン交換水100部を入れ、攪拌しながら窒素雰囲気70℃で、重合開始剤の過流酸カリを0.3部を添加しておき、イオン交換水7部にラウリル硫酸ナトリウムを0.05部、エチルアクリレート20部、ブチルアクリレート15部、ラウリルアクリレート6部、ブチルメタクリレート5部およびt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れたモノマー溶液を、70℃に滴下して反応させて1次物質を作製する。その1次物質に、過流酸アンモニウム10%溶液2部を添加して攪拌し、さらにイオン交換水30部、ラウリル硫酸カリ0.2部、エチルアクリレート30部、2−エチル−ヘキシルアクリレート15部、スチレン10部、ラウリルアクリレート16部、アクリル酸5部、t−ドデシルメルカプタン0.5部よりなる反応液を70℃で攪拌しながら添加して重合反応させた後、水酸化ナトリウムで中和しpH8〜8.5にして0.3μmのフィルターでろ過した高分子微粒子水分散液を作成してエマルジョンI(EM−I)とした。この高分子微粒子水分散液の一部を取り乾燥させた後、示差操作型熱量計(セイコー電子製EXSTAR6000DSC)によりガラス転位温度を測定したところ−19℃であった。実施例C−1と同じ方法で分子量を測定したところ180000であった。また、滴定法による酸価は18mgKOH/gであった。このエマルジョンIの固形分中のスチレンの割合は8.2%である。
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表12に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作成した分散体C5を用い、表12に示すビヒクル成分と混合することによって、実施例C−1と同様に作製して評価した。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例C−5のインクを用い、実施例C−1と同じ方法および同じ評価方法で耐擦性試験とドライクリーニング性試験を行なった。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表11に示す。
(5)吐出安定性の測定
実施例C−5のインクを用い、実施例C−1と同じ方法および同じ評価方法で吐出安定性の測定を行なった。吐出安定性の測定結果を表11に示す。
(実施例C6)
(1)顔料分散体C6の製造
まず、顔料分散体C6はピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン顔料:クラリアント製)を用いた。攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン45部、ポリエチレングリコール400アクリレート30部、ベンジルアクリレート10部、アクリル酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン150部、ポリエチレングリコール400アクリレート100部、アクリル酸15部、ブチルアクリレート5部、t−ドデシルメルカプタン1部および過硫酸ナトリウム5部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器に水を添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。このポリマーの一部を取り乾燥させた後、示差操作型熱量計(セイコー電子製EXSTAR6000DSC)によりガラス転位温度を測定したところ45℃であった。
また、上記分散ポリマー溶液40部とピグメントブルー15:3を30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部を混合し、ジルコニアビーズを用いたアイガーミルを用いて2時間かけて分散する。その後、別の容器に移してイオン交換水を300部添加して、さらに1時間攪拌する。そして、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してpH9に調整する。その後、0.3μmのメンブレンフィルターでろ過し、固形分(分散ポリマーとピグメントブルー15:3)が20%である分散体C6とした。実施例C−1と同じ方法で粒径を測定したところ100nmであった。実施例C−1と同じ方法で分子量を測定したところ210000であった。
(2)高分子微粒子の作製
反応容器に滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、攪拌機を備え、イオン交換水100部を入れ、攪拌しながら窒素雰囲気70℃で、重合開始剤の過流酸カリを0.3部を添加しておき、イオン交換水7部にラウリル硫酸ナトリウムを0.05部、エチルアクリレート10部、ブチルアクリレート25部、ラウリルアクリレート6部、ブチルメタクリレート5部およびt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れたモノマー溶液を、70℃に滴下して反応させて1次物質を作製する。その1次物質に、過流酸アンモニウム10%溶液2部を添加して攪拌し、さらにイオン交換水30部、ラウリル硫酸カリ0.2部、エチルアクリレート20部、2−エチル−ヘキシルアクリレート15部、スチレン10部、ラウリルアクリレート15部、アクリル酸5部、t−ドデシルメルカプタン0.5部よりなる反応液を70℃で攪拌しながら添加して重合反応させた後、水酸化ナトリウムで中和しpH8〜8.5にして0.3μmのフィルターでろ過した高分子微粒子水分散液を作成してエマルジョンJ(EM−J)とした。この高分子微粒子水分散液の一部を取り乾燥させた後、示差操作型熱量計(セイコー電子製EXSTAR6000DSC)によりガラス転位温度を測定したところ−21℃であった。また、滴定法による酸価は18mgKOH/gであった。このエマルジョンJの固形分中のスチレンの割合は9.0%である。
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表12に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体C6を用い、表12に示すビヒクル成分と混合することによって、実施例C−1と同様に作製して評価した。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例C−6のインクを用い、実施例C−1と同じ方法および同じ評価方法で耐擦性試験とドライクリーニング性試験を行なった。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表11に示す。
(5)吐出安定性の測定
実施例C−6のインクを用い、実施例C−1と同じ方法および同じ評価方法で吐出安定性の測定を行なった。吐出安定性の測定結果を表11に示す。
(実施例C−7)
(1)顔料分散体C7の製造
まず、顔料分散体C7はピグメントレッド122(ジメチルキナクリドン顔料:クラリアント製)を用いて顔料分散体C2と同様に作製した。実施例C−1と同じ方法で粒径を測定したところ80nmであった。
(2)高分子微粒子の作製
実施例C−6と同じ高分子微粒子を用いた。
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表12に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体C7を用い、表12に示すビヒクル成分と混合することによって、実施例C−1と同様に作製して評価した。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例C−7のインクを用い、実施例C−1と同じ方法および同じ評価方法で耐擦性試験とドライクリーニング性試験を行なった。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表11に示す。
(5)吐出安定性の測定
実施例C−7のインクを用い、実施例C−1と同じ方法および同じ評価方法で吐出安定性の測定を行なった。吐出安定性の測定結果を表11に示す。
(実施例C−8)
(1)顔料分散体C8の製造
まず、顔料分散体C8はピグメントイエロー180(ベンズイミダゾロン系ジスアゾ顔料:クラリアント製)を用いて顔料分散体C2と同様に作成した。実施例C−1と同じ方法で粒径を測定したところ130nmであった。
(2)高分子微粒子の作製
実施例C−6と同じ高分子微粒子を用いた。
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表12に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体C8を用い、表12に示すビヒクル成分と混合することによって、実施例C−1と同様に作製して評価した。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例C−8のインクを用い、実施例C−1と同じ方法および同じ評価方法で耐擦性試験とドライクリーニング性試験を行なった。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表11に示す。
(5)吐出安定性の測定
実施例C−8のインクを用い、実施例C−1と同じ方法および同じ評価方法で吐出安定性の測定を行なった。吐出安定性の測定結果を表11に示す。
(参考例C−7)
参考例C−7は、実施例C−5において添加する高分子微粒子の分子量を90000および1100000にした以外は実施例C−5と同様にインクを作製して評価した。分子量が90000エマルジョンをエマルジョンK(EM−K)とし、分子量が90000エマルジョンをエマルジョンL(EM−L)とした。インク組成を表12に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例C−5と同様に行なった。結果を表11に示す。高分子微粒子の粒径の測定は実施例C−1と同じ方法で行なった。
(参考例C−8)
参考例C−8は、実施例C−6において1、2−アルキレングリコールとしての1、2−ヘキサンジオールをグリセリンに置換した以外は実施例C−6と同様にインクを作製して評価した。インク組成を表12に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例C−5と同様に行なった。結果を表11に示す。
(参考例C−9)
参考例C−9は、実施例C−7おいて、アセチレングリコール系の界面活性剤およびアセチレンアルコール系界面活性剤をグリセリンに置換した以外は実施例C−7と同様にインクを作製して評価した。インク組成を表12に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例C−5と同様に行なった。結果を表11に示す。
(参考例C−10)
参考例C−10は、実施例C−8において、添加する高分子微粒子の量を対顔料比で80%および50%にした以外は実施例C−8と同様にインクを作製して評価した。インク組成を表12に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例C−5と同様に行なった。結果を表11に示す。
Figure 2015091976
Figure 2015091976
[実施例D]
以下の実施例Dは、その他の好ましい実施形態(d)に対応する。
(実施例D−1)
(1)顔料分散体D1の製造
顔料分散体D1はカーボンブラック(ピグメントブラック7)である米国キャボット社製モナーク880を用いた。特開平8−3498号公報と同様な方法でカーボンブラックの表面を酸化させて水に分散可能にし、分散体D1とした。マイクロトラック粒度分布測定装置UPA250(日機装製)を用いて粒径を測定したところ110nmであった。
(2)高分子微粒子の作製
反応容器に滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、攪拌機を備え、イオン交換水100部を入れ、攪拌しながら窒素雰囲気70℃で、重合開始剤の過流酸カリを0.2部を添加しておき、イオン交換水7部にラウリル硫酸ナトリウムを0.05部、グリシドキシアクリレート4部、エチルアクリレート15部、ブチルアクリレート15部、テトラヒドロフルフリルアクリレート6部、ブチルメタクリレート5部およびt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れたモノマー溶液を、70℃に滴下して反応させて1次物質を作製する。その1次物質に、過流酸アンモニウム10%溶液2部を添加して攪拌し、さらにイオン交換水30部、ラウリル硫酸カリ0.2部、エチルアクリレート30部、メチルアクリレート25部、ブチルアクリレート6部、アクリル酸5部、t−ドデシルメルカプタン0.5部よりなる反応液を70℃で攪拌しながら添加して重合反応させた後、水酸化ナトリウムで中和しpH8〜8.5にして0.3μmのフィルターでろ過した高分子微粒子水分散液を作製してエマルジョンA(EM−A)とした。この高分子微粒子水分散液の一部を取り乾燥させた後、示差操作型熱量計(セイコー電子製EXSTAR6000DSC)によりガラス転位温度を測定したところ−15℃であった。株式会社日立製作所製L7100システムのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、溶剤をTHFとして測定したときのスチレン換算分子量は150000であった。酸価は20mgKOH/gであった。酸価の測定は以下の方法により測定した。上記高分子微粒子水分散液の水酸化ナトリウム中和前の状態で採取し、その固形分濃度を熱天秤(セイコー電子工業製TG−2121)により正確に測定する。次に、この高分子微粒子水分散液約10gを精密に量り採り、共栓三角フラスコに入れて2−プロパノール−テトラヒドロフラン混液(1:2)100mlを加えて溶解し、これに、フェノールフタレン試液を指示薬として、30秒間持続する淡紅色を呈するまで0.1mol/Lの2−プロパノール製水酸化カリウム溶液で滴定する方法によって測定する。酸価は式(1)により求める。
酸価(mgKOH/g)=(5.611×a×f)/S・・・式(1)
S:試料の採取量(g)
a:0.1mol/Lの2−プロパノール製水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
f:0.1mol/Lの2−プロパノール製水酸化カリウム溶液のファクタ
尚、aは滴定値(ml)−ブランク値(ml)
また、ポリアルキレンワックスとして、ノプコートPEM−17(サンノプコ株式会社製のポリアルキレンワックス)を用いた。融点は、103℃である。
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクの組成を表14に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体D1を用い、表14に示すビヒクル成分と混合することによって作製した。尚、本発明の実施例および比較例中の残量の水にはインクの腐食防止のためトップサイド240(パーマケムアジア社製)を0.05%、インクジェットヘッド部材の腐食防止のためベンゾトリアゾールを0.02%、インク系中の金属イオンの影響を低減するためにEDTA(エチレンジアミン四酢酸)・2Na塩を0.04%それぞれイオン交換水に添加したものを用いた。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例D−1のインクを用い、インクジェットプリンターとしてセイコーエプソン株式会社製PX−V600を用いて、綿にベタ印字したサンプルを作成する。そのサンプルをテスター産業株式会社の学振式摩擦堅牢性試験機AB−301Sを用いて荷重200gで100回擦る摩擦堅牢性を行った。インクのはがれ具合を確認する日本工業規格(JIS)JIS L0849によって、乾燥と湿潤の2水準で評価した。また、同様にドライクリーニング試験をJIS L0860のB法によって評価した。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表13に示す。
(5)吐出安定性の測定
インクジェットプリンターとしてセイコーエプソン株式会社製PX−V600を用いて、35℃35%雰囲気で富士ゼロックス社製XeroxP紙A4判にマイクロソフトワードで文字サイズ11の標準、MSPゴシックで4000字/ページの割合で100ページ印刷して評価した。全く印字乱れがないものをAA、1箇所印字乱れがあるものをA、2〜3箇所印字乱れがあるものをB、4〜5箇所印字乱れがあるものをC、6箇所以上印字乱れがあるものをDとして結果を表13に示す。
(実施例D−2)
(1)顔料分散体D2の製造
まず、顔料分散体D2はピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン顔料:クラリアント製)を用いた。攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、ベンジルアクリレート75部、アクリル酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したベンジルアクリレート150部、アクリル酸15部、ブチルアクリレート5部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部および過硫酸ナトリウム1部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作製した。このポリマーの一部を取り乾燥させた後、示差操作型熱量計(セイコー電子製EXSTAR6000DSC)によりガラス転位温度を測定したところ40℃であった。
また、上記分散ポリマー溶液40部とピグメントブルー15:3を30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン30部を混合した。その後超高圧ホモジナイザー(株式会社スギノマシン製アルティマイザーHJP−25005)を用いて200MPaで15パスして分散した。その後、別の容器に移してイオン交換水を300部添加して、さらに1時間攪拌した。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去して、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してpH9に調整した。その後、0.3μmのメンブレンフィルターでろ過しイオン交換水で調整して顔料濃度が15%である顔料分散体D2とした。実施例D−1と同じ方法で粒径を測定したところ80nmであった。
(2)高分子微粒子の作製
反応容器に滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、攪拌機を備え、イオン交換水100部を入れ、攪拌しながら窒素雰囲気70℃で、重合開始剤の過流酸カリを0.2部を添加しておき、イオン交換水7部にラウリル硫酸ナトリウムを0.05部、エチルアクリレート19部、ブチルアクリレート15部、テトラヒドロフルフリルアクリレート6部、ブチルメタクリレート5部およびt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れたモノマー溶液を、70℃に滴下して反応させて1次物質を作製する。その1次物質に、過流酸アンモニウム10%溶液2部を添加して攪拌し、さらにイオン交換水30部、ラウリル硫酸カリ0.2部、エチルアクリレート30部、メチルアクリレート25部、ブチルアクリレート16部、アクリル酸5部、t−ドデシルメルカプタン0.5部よりなる反応液を70℃で攪拌しながら添加して重合反応させた後、水酸化ナトリウムで中和しpH8〜8.5にして0.3μmのフィルターでろ過した高分子微粒子水分散液を作成してエマルジョンB(EM−B)とした。この高分子微粒子水分散液の一部を取り乾燥させた後、示差操作型熱量計(セイコー電子製EXSTAR6000DSC)によりガラス転位温度を測定したところ−17℃であった。実施例D−1と同様に分子量を測定したところ200000であった。酸価は20mgKOH/gであった。酸価は実施例D−1と同じ方法によって測定した。また、ポリアルキレンワックスとして、三井ハイワックス2203A(三井化学株式会社製のポリアルキレンワックス)を用いた。融点は、117℃である。
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表14に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体D2を用い、表14に示すビヒクル成分と混合することによって、実施例D−1と同様に作製した。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例D−2のインクを用い、実施例D−1と同じ方法および同じ評価方法で耐擦性試験とドライクリーニング性試験を行った。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表13に示す。
(5)吐出安定性の測定
実施例D−2のインクを用い、実施例D−1と同じ方法および同じ評価方法で吐出安定性の測定を行った。吐出安定性の測定結果を表13に示す。
(実施例D−3)
(1)顔料分散体D3の製造
まず、顔料分散体D3はピグメントバイオレット19(キナクリドン顔料:クラリアント製)を用いて顔料分散体D2と同様に作製し、顔料分散体D3とした。実施例D−1と同じ方法で粒径を測定したところ90nmであった。
(2)高分子微粒子の作製
実施例D−2と同じ高分子微粒子を用いた。
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表14に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体D3を用い、表14に示すビヒクル成分と混合することによって、実施例D−1と同様に作製して評価した。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例D−3のインクを用い、実施例D−1と同じ方法および同じ評価方法で耐擦性試験とドライクリーニング性試験を行った。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表13に示す。
(5)吐出安定性の測定
実施例D−3のインクを用い、実施例D−1と同じ方法および同じ評価方法で吐出安定性の測定を行った。吐出安定性の測定結果を表13に示す。
(実施例D−4)
(1)顔料分散体D4の製造
まず、顔料分散体D4はピグメントイエロー14(アゾ系顔料:クラリアント製)を用いて顔料分散体D2と同様に作製し、顔料分散体D4とした。実施例D−1と同じ方法で粒径を測定したところ115nmであった。
(2)高分子微粒子の作製
実施例D−2と同じ高分子微粒子を用いた。
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表14に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体D4を用い、表14に示すビヒクル成分と混合することによって、実施例D−1と同様に作成して評価した。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例D−4のインクを用い、実施例D−1と同じ方法および同じ評価方法で耐擦性試験とドライクリーニング性試験を行った。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表13に示す。
(5)吐出安定性の測定
実施例D−4のインクを用い、実施例D−1と同じ方法および同じ評価方法で吐出安定性の測定を行った。吐出安定性の測定結果を表13に示す。
(比較例D−1)
比較例D−1は、実施例D−1においてエチルアクリレートの一部をスチレンに変更する以外は同様にして、ガラス転移温度が0℃の高分子微粒子を用い、ポリエチレンワックスを入れない以外は実施例D−1と同様にインクを作製して評価した。この高分子微粒子を用いて作製したエマルジョンをエマルジョンB(EM−B)とした。インク組成を表14に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例D−1と同様に行った。結果を表13に示す。
(比較例D−2)
比較例D−2は、実施例D−2においてエチルアクリレートおよびブチルアクリレートの一部をスチレンに変更する以外は同様にしてガラス転移温度が10℃の高分子微粒子を用い、ポリエチレンワックスを入れない以外は実施例D−2と同様にインクを作製して評価した。この高分子微粒子を用いて作製したエマルジョンをエマルジョンC(EM−C)とした。インク組成を表14に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例D−1と同様に行った。結果を表13に示す。
(比較例D−3)
比較例D−3は、実施例D−3おいて、顔料の粒径が350nmおよび45nmの分散体を作成し、ポリエチレンワックスを入れない以外は実施例D−3と同様にインクを作製して評価した。実施例D−1と同じ方法で粒径を測定した。粒径が350nmの分散体を顔料分散体D3A、粒径が45nmの分散体を顔料分散体D3Bとした。インク組成を表14に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例D−1と同様に行った。結果を表13に示す。
(比較例D−4)
比較例D−4は、実施例D−4において、添加する高分子微粒子の酸価を120mgKOH/gおよび150mgKOH/gにし、ポリエチレンワックスを入れない以外は実施例D−4と同様にインクを作製して評価した。酸価を120mgKOH/gにした高分子微粒子を用いて作製したエマルジョンをエマルジョンD(EM−D)とし、酸価を120mgKOH/g高分子微粒子を用いて作製したエマルジョンをエマルジョンE(EM−E)とした。インク組成を表14に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例D−1と同様に行った。結果を表13に示す。
Figure 2015091976
Figure 2015091976
(実施例D−5)
(1)顔料分散体D5の製造
顔料分散体D5はカーボンブラック(PBk7)である三菱化学工業株式会社製MA100を用いた。特開平8−3498号公報と同様な方法でカーボンブラックの表面を酸化させて水に分散可能にし、分散体D5とした。実施例D−1と同じ方法で粒径を測定したところ120nmであった。
(2)高分子微粒子の作製
反応容器に滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、攪拌機を備え、イオン交換水100部を入れ、攪拌しながら窒素雰囲気70℃で、重合開始剤の過流酸カリを0.3部を添加しておき、イオン交換水7部にラウリル硫酸ナトリウムを0.05部、エチルアクリレート20部、ブチルアクリレート15部、ラウリルアクリレート6部、ブチルメタクリレート5部およびt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れたモノマー溶液を、70℃に滴下して反応させて1次物質を作製する。その1次物質に、過流酸アンモニウム10%溶液2部を添加して攪拌し、さらにイオン交換水30部、ラウリル硫酸カリ0.2部、エチルアクリレート30部、ブチルアクリレート25部、ラウリルアクリレート16部、アクリル酸5部、t−ドデシルメルカプタン0.5部よりなる反応液を70℃で攪拌しながら添加して重合反応させた後、水酸化ナトリウムで中和しpH8〜8.5にして0.3μmのフィルターでろ過した高分子微粒子水分散液を作成してエマルジョンG(EM−G)とした。この高分子微粒子水分散液の一部を取り乾燥させた後、示差操作型熱量計(セイコー電子製EXSTAR6000DSC)によりガラス転位温度を測定したところ−19℃であった。実施例D−1と同じ方法で分子量を測定したところ180000であった。酸価は18mgKOH/gであった。酸価は実施例D−1と同じ方法によって測定した。
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表16に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作成した分散体D5を用い、表16に示すビヒクル成分と混合することによって、実施例D−1と同様に作製して評価した。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例D−5のインクを用い、実施例D−1と同じ方法および同じ評価方法で耐擦性試験とドライクリーニング性試験を行った。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表15に示す。
(5)吐出安定性の測定
実施例D−5のインクを用い、実施例D−1と同じ方法および同じ評価方法で吐出安定性の測定を行った。吐出安定性の測定結果を表15に示す。
(実施例D−6)
(1)顔料分散体D6の製造
まず、顔料分散体D6はピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン顔料:クラリアント製)を用いた。攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン45部、ポリエチレングリコール400アクリレート30部、ベンジルアクリレート10部、アクリル酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン150部、ポリエチレングリコール400アクリレート100部、アクリル酸15部、ブチルアクリレート5部、t−ドデシルメルカプタン1部および過硫酸ナトリウム5部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器に水を添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。このポリマーの一部を取り乾燥させた後、示差操作型熱量計(セイコー電子製EXSTAR6000DSC)によりガラス転位温度を測定したところ45℃であった。
また、上記分散ポリマー溶液40部とピグメントブルー15:3を30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部を混合し、ジルコニアビーズを用いたアイガーミルを用いて2時間かけて分散する。その後、別の容器に移してイオン交換水を300部添加して、さらに1時間攪拌する。そして、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してpH9に調整する。その後、0.3μmのメンブレンフィルターでろ過し、固形分(分散ポリマーとピグメントブルー15:3)が20%である分散体D6とした。実施例D−1と同じ方法で粒径を測定したところ100nmであった。実施例D−1と同じ方法で分子量を測定したところ210000であった。
(2)高分子微粒子の作製
反応容器に滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、攪拌機を備え、イオン交換水100部を入れ、攪拌しながら窒素雰囲気70℃で、重合開始剤の過流酸カリを0.3部を添加しておき、イオン交換水7部にラウリル硫酸ナトリウムを0.05部、エチルアクリレート20部、ブチルアクリレート25部、ラウリルアクリレート6部、ブチルメタクリレート5部およびt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れたモノマー溶液を、70℃に滴下して反応させて1次物質を作製する。その1次物質に、過流酸アンモニウム10%溶液2部を添加して攪拌し、さらにイオン交換水30部、ラウリル硫酸カリ0.2部、エチルアクリレート20部、ブチルアクリレート20部、ラウリルアクリレート20部、アクリル酸5部、t−ドデシルメルカプタン0.5部よりなる反応液を70℃で攪拌しながら添加して重合反応させた後、水酸化ナトリウムで中和しpH8〜8.5にして0.3μmのフィルターでろ過した高分子微粒子水分散液を作成してエマルジョンF(EM−F)とした。この高分子微粒子水分散液の一部を取り乾燥させた後、示差操作型熱量計(セイコー電子製EXSTAR6000DSC)によりガラス転位温度を測定したところ−21℃であった。実施例D−1と同じ方法で分子量を測定したところ200000であった。酸価は18mgKOH/gであった。酸価は実施例D−1と同じ方法によって測定した。
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表16に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体D6を用い、表16に示すビヒクル成分と混合することによって、実施例D−1と同様に作製して評価した。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例D−6のインクを用い、実施例D−1と同じ方法および同じ評価方法で耐擦性試験とドライクリーニング性試験を行った。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表15に示す。
(5)吐出安定性の測定
実施例D−6のインクを用い、実施例D−1と同じ方法および同じ評価方法で吐出安定性の測定を行った。吐出安定性の測定結果を表15に示す。
(実施例D−7)
(1)顔料分散体D7の製造
まず、顔料分散体D7はピグメントレッド122(ジメチルキナクリドン顔料:クラリアント製)を用いて顔料分散体D2と同様に作製した。実施例D−1と同じ方法で粒径を測定したところ80nmであった。
(2)高分子微粒子の作製
実施例D−6と同じ高分子微粒子を用いた。
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表16に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体D7を用い、表16に示すビヒクル成分と混合することによって、実施例D−1と同様に作製して評価した。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例D7のインクを用い、実施例D−1と同じ方法および同じ評価方法で耐擦性試験とドライクリーニング性試験を行った。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表15に示す。
(5)吐出安定性の測定
実施例D−7のインクを用い、実施例D−1と同じ方法および同じ評価方法で吐出安定性の測定を行った。吐出安定性の測定結果を表15に示す。
(実施例D−8)
(1)顔料分散体D8の製造
まず、顔料分散体D8はピグメントイエロー180(ベンズイミダゾロン系ジスアゾ顔料:クラリアント製)を用いて顔料分散体D2と同様に作成した。実施例D−1と同じ方法で粒径を測定したところ130nmであった。
(2)高分子微粒子の作製
実施例D−6と同じ高分子微粒子を用いた。
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表16に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体D8を用い、表16に示すビヒクル成分と混合することによって、実施例D−1と同様に作製して評価した。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例D−8のインクを用い、実施例D−1と同じ方法および同じ評価方法で耐擦性試験とドライクリーニング性試験を行った。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表15に示す。
(5)吐出安定性の測定
実施例D−8のインクを用い、実施例1と同じ方法および同じ評価方法で吐出安定性の測定を行った。吐出安定性の測定結果を表15に示す。
(参考例D−5)
参考例D−5は、実施例D−5において添加する高分子微粒子の分子量を90000および1100000にし、ポリエチレンワックスを入れない以外は実施例D−5と同様にインクを作製して評価した。分子量が90000エマルジョンをエマルジョンH(EM−H)とし、分子量が90000エマルジョンをエマルジョンI(EM−I)とした。インク組成を表16に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例5と同様に行った。結果を表15に示す。高分子微粒子の粒径の測定は実施例D−1と同じ方法で行った。
(参考例D−6)
参考例D−6は、実施例D−6において1、2−アルキレングリコールとしての1、2−ヘキサンジオールをグリセリンに置換し、ポリエチレンワックスを入れない以外は実施例D−6と同様にインクを作製して評価した。インク組成を表16に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例D−5と同様に行った。結果を表15に示す。
(参考例D−7)
参考例D−7は、実施例D−7おいて、アセチレングリコール系の界面活性剤およびアセチレンアルコール系界面活性剤をグリセリンに置換し、ポリエチレンワックスを入れない以外は実施例D−7と同様にインクを作製して評価した。インク組成を表16に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例D−5と同様に行った。結果を表15に示す。
(参考例D−8)
参考例D−8は、実施例D−8において、添加する高分子微粒子の量を対顔料比で80%および50%にし、ポリエチレンワックスを入れない以外は実施例D−8と同様にインクを作製して評価した。インク組成を表16に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例D−5と同様に行った。結果を表15に示す。
(参考例D−9)
参考例D−9は市販の融点が43℃(ワックスA)および68℃(ワックスB)のパラフィンワックスを添加する以外は実施例D−2と同様にインクを2水準作成して評価した。結果を表15に示す。
Figure 2015091976
Figure 2015091976
[実施例E]
以下の実施例Eは、その他の好ましい実施形態(e)に対応する。
(実施例1)
(1)顔料分散体E−1の製造
顔料分散体E1はピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン顔料:クラリアント製)を用いた。攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、ベンジルアクリレート75部、アクリル酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したベンジルアクリレート150部、アクリル酸15部、ブチルアクリレート5部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部および過硫酸ナトリウム1部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作製した。このポリマーの一部を取り乾燥させた後、示差操作型熱量計(セイコー電子製EXSTAR6000DSC)によりガラス転位温度を測定したところ40℃であった。
また、上記分散ポリマー溶液40部とピグメントブルー15:3を30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン30部を混合した。その後超高圧ホモジナイザー(株式会社スギノマシン製アルティマイザーHJP−25005)を用いて200MPaで15パスして分散した。その後、別の容器に移してイオン交換水を300部添加して、さらに1時間攪拌した。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去して、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してpH9に調整した。その後、0.3μmのメンブレンフィルターでろ過しイオン交換水で調整して顔料濃度が15%である顔料分散体E1とした。マイクロトラック粒度分布測定装置UPA250(日機装製)を用いて粒径を測定したところ80nmであった。
(2)高分子微粒子の作製
反応容器に滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、攪拌機を備え、イオン交換水100部を入れ、攪拌しながら窒素雰囲気70℃で、重合開始剤の過流酸カリを0.2部を添加しておき、イオン交換水7部にラウリル硫酸ナトリウムを0.05部、エチルアクリレート19部、ブチルアクリレート15部、テトラヒドロフルフリルアクリレート6部、ブチルメタクリレート5部およびt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れたモノマー溶液を、70℃に滴下して反応させて1次物質を作製する。その1次物質に、過流酸アンモニウム10%溶液2部を添加して攪拌し、さらにイオン交換水30部、ラウリル硫酸カリ0.2部、エチルアクリレート30部、メチルアクリレート25部、ブチルアクリレート16部、アクリル酸5部、t−ドデシルメルカプタン0.5部よりなる反応液を70℃で攪拌しながら添加して重合反応させた後、水酸化ナトリウムで中和しpH8〜8.5にして0.3μmのフィルターでろ過した高分子微粒子水分散液を作成してエマルジョンA(EM−A)とした。この高分子微粒子水分散液の一部を取り乾燥させた後、示差操作型熱量計(セイコー電子製EXSTAR6000DSC)によりガラス転位温度を測定したところ−27℃であった。株式会社日立製作所製L7100システムのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、溶剤をTHFとして測定したときのスチレン換算分子量は200000であった。
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表18に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体E1を用い、表18に示すビヒクル成分と混合することによって作製した。尚、本発明の実施例および比較例中の残量の水にはインクの腐食防止のためトップサイド240(パーマケムアジア社製)を0.05%、インクジェットヘッド部材の腐食防止のためベンゾトリアゾールを0.02%、インク系中の金属イオンの影響を低減するためにEDTA(エチレンジアミン四酢酸)・2Na塩を0.04%それぞれイオン交換水に添加したものを用いた。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例E−1のインクを用い、インクジェットプリンターとしてセイコーエプソン株式会社製PX−V630を用いて、綿にベタ印字したサンプルを作成する。そのサンプルをテスター産業株式会社の学振式摩擦堅牢性試験機AB−301Sを用いて荷重200gで100回擦る摩擦堅牢性を行なった。インクのはがれ具合を確認する日本工業規格(JIS)JIS L0849によって、乾燥と湿潤の2水準で評価した。また、同様にドライクリーニング試験をJIS L0860のB法によって評価した。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表17に示す。
(5)吐出安定性の測定
実施例E−1のインクを用い、インクジェットプリンターとしてセイコーエプソン株式会社製PX−V630を用いて、35℃35%雰囲気で富士ゼロックス社製XeroxP紙A4判にマイクロソフトワードで文字サイズ11の標準、MSPゴシックで4000字/ページの割合で100ページ印刷して評価した。全く印字乱れがないものをAA、1箇所印字乱れがあるものをA、2〜3箇所印字乱れがあるものをB、4〜5箇所印字乱れがあるものをC、6箇所以上印字乱れがあるものをDとして結果を表17に示す。
(実施例E−2)
(1)顔料分散体E2の製造
まず、顔料分散体E2はピグメントバイオレット19(キナクリドン顔料:クラリアント製)を用いて顔料分散体E1と同様に作製し、顔料分散体E2とした。実施例E−1と同じ方法で粒径を測定したところ90nmであった。
(2)高分子微粒子の作製
実施例E−1と同じ高分子微粒子を用いた。
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表18に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体E2を用い、表18に示すビヒクル成分と混合することによって、実施例E−1と同様に作製して評価した。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例E−2のインクを用い、実施例E−1と同じ方法および同じ評価方法で耐擦性試験とドライクリーニング性試験を行なった。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表18に示す。
(5)吐出安定性の測定
実施例E−2のインクを用い、実施例E−1と同じ方法および同じ評価方法で吐出安定性の測定を行なった。吐出安定性の測定結果を表17に示す。
(実施例E−3)
(1)顔料分散体E3の製造
まず、顔料分散体E3はピグメントイエロー14(アゾ系顔料:クラリアント製)を用いて顔料分散体E1と同様に作製し、顔料分散体E3とした。実施例E−1と同じ方法で粒径を測定したところ115nmであった。
(2)高分子微粒子の作製
実施例E−1と同じ高分子微粒子を用いた。
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表18に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体E3を用い、表18に示すビヒクル成分と混合することによって、実施例E−1と同様に作成して評価した。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例E−3のインクを用い、実施例E−1と同じ方法および同じ評価方法で耐擦性試験とドライクリーニング性試験を行なった。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表17に示す。
(5)吐出安定性の測定
実施例E−3のインクを用い、実施例E−1と同じ方法および同じ評価方法で吐出安定性の測定を行なった。吐出安定性の測定結果を表17に示す。
(比較例E−1)
比較例E−1は、実施例E−1においてエチルアクリレートの一部をスチレンに変更する以外は同様にして、ガラス転移温度が−10℃の高分子微粒子を用いた以外は実施例E−1と同様にインクを作製して評価した。この高分子微粒子を用いて作製したエマルジョンをエマルジョンB(EM−B)とした。インク組成を表18に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例E−1と同様に行なった。結果を表17に示す。
(比較例E−2)
比較例E−2は、実施例E−2おいて、顔料の粒径が350nmの分散体を作製した以外は実施例E−2と同様にインクを作製して評価した。実施例E−1と同じ方法で粒径を測定した。粒径が350nmの分散体を顔料分散体E2Aとした。インク組成を表18に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例E−1と同様に行なった。結果を表17に示す。
(比較例E−3)
比較例E−3は、実施例E−3において、添加する高分子微粒子の酸価を120mgKOH/gおよび150mgKOH/gにした以外は実施例E−3と同様にインクを作製して評価した。酸価を120mgKOH/gにした高分子微粒子を用いて作製したエマルジョンをエマルジョンC(EM−C)とし、酸価を150mgKOH/gにした高分子微粒子を用いて作製したエマルジョンをエマルジョンD(EM−D)とした。インク組成を表18に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例E−1と同様に行なった。結果を表17に示す。
Figure 2015091976
Figure 2015091976
(実施例E−4)
(1)顔料分散体E4の製造
まず、顔料分散体E4はピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン顔料:クラリアント製)を用いた。攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、ベンジルアクリレート80部、メタクリル酸5部、アクリル酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したベンジルアクリレート150部、メタクリル酸15部、アクリル酸5部、t−ドデシルメルカプタン1部および過硫酸ナトリウム5部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器に水を添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。このポリマーの一部を取り乾燥させた後、示差操作型熱量計(セイコー電子製EXSTAR6000DSC)によりガラス転位温度を測定したところ45℃であった。
また、上記分散ポリマー溶液40部とピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン顔料:クラリアント製)を30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部を混合し、ジルコニアビーズを用いたアイガーミルを用いて2時間かけて分散する。その後、別の容器に移してイオン交換水を300部添加して、さらに1時間攪拌する。そして、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してpH9に調整する。その後、0.3μmのメンブレンフィルターでろ過し、固形分(分散ポリマーと顔料)が20%である分散体E4とした。実施例E−1と同じ方法で粒径を測定したところ100nmであった。実施例E−1と同じ方法で分子量を測定したところ210000であった。
(2)高分子微粒子の作製
反応容器に滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、攪拌機を備え、イオン交換水100部を入れ、攪拌しながら窒素雰囲気70℃で、重合開始剤の過流酸カリを0.3部を添加しておき、イオン交換水7部にラウリル硫酸ナトリウムを0.05部、エチルアクリレート20部、ブチルアクリレート25部、ラウリルアクリレート6部、ブチルメタクリレート5部およびt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れたモノマー溶液を、70℃に滴下して反応させて1次物質を作製する。その1次物質に、過流酸アンモニウム10%溶液2部を添加して攪拌し、さらにイオン交換水30部、ラウリル硫酸カリ0.2部、エチルアクリレート20部、ブチルアクリレート20部、ラウリルアクリレート20部、アクリル酸5部、t−ドデシルメルカプタン0.5部よりなる反応液を70℃で攪拌しながら添加して重合反応させた後、水酸化ナトリウムで中和しpH8〜8.5にして0.3μmのフィルターでろ過した高分子微粒子水分散液を作製してエマルジョンE(EM−E)とした。この高分子微粒子水分散液の一部を取り乾燥させた後、示差操作型熱量計(セイコー電子製EXSTAR6000DSC)によりガラス転位温度を測定したところ−31℃であった。
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表20に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体E4を用い、表20に示すビヒクル成分と混合することによって、実施例E−1と同様に作製して評価した。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例E−4のインクを用い、実施例E−1と同じ方法および同じ評価方法で耐擦性試験とドライクリーニング性試験を行なった。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表19に示す。
(5)吐出安定性の測定
実施例E−4のインクを用い、実施例E−1と同じ方法および同じ評価方法で吐出安定性の測定を行なった。吐出安定性の測定結果を表19に示す。
(実施例E−5)
(1)顔料分散体E5の製造
まず、顔料分散体E5はピグメントレッド122(ジメチルキナクリドン顔料:クラリアント製)を用いて顔料分散体E4と同様に作製した。実施例E−1と同じ方法で粒径を測定したところ80nmであった。
(2)高分子微粒子の作製
実施例E−4と同じ高分子微粒子を用いた。
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表20に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体E5を用い、表20に示すビヒクル成分と混合することによって、実施例E−1と同様に作製して評価した。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例E−5のインクを用い、実施例E−1と同じ方法および同じ評価方法で耐擦性試験とドライクリーニング性試験を行なった。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表19に示す。
(5)吐出安定性の測定
実施例E−5のインクを用い、実施例E−1と同じ方法および同じ評価方法で吐出安定性の測定を行なった。吐出安定性の測定結果を表19に示す。
(実施例E−6)
(1)顔料分散体E6の製造
まず、顔料分散体E6はピグメントイエロー180(ベンズイミダゾロン系ジスアゾ顔料:クラリアント製)を用いて顔料分散体E4と同様に作製した。実施例E−1と同じ方法で粒径を測定したところ130nmであった。
(2)高分子微粒子の作製
実施例E−4と同じ高分子微粒子を用いた。
(3)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表20に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体E6を用い、表20に示すビヒクル成分と混合することによって、実施例E−1と同様に作製して評価した。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例E−6のインクを用い、実施例E−1と同じ方法および同じ評価方法で耐擦性試験とドライクリーニング性試験を行なった。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表19に示す。
(5)吐出安定性の測定
実施例E−6のインクを用い、実施例E−1と同じ方法および同じ評価方法で吐出安定性の測定を行なった。吐出安定性の測定結果を表19に示す。
(参考例E−4)
(1)顔料分散体E7の製造
顔料分散体E7はピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン顔料:クラリアント製)を用いた。攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン45部、ポリエチレングリコール400アクリレート30部、ベンジルアクリレート10部、アクリル酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン150部、ポリエチレングリコール400アクリレート100部、アクリル酸15部、ブチルアクリレート5部、t−ドデシルメルカプタン1部および過硫酸ナトリウム5部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器に水を添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
また、上記分散ポリマー溶液40部とピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン顔料:クラリアント製)を30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部を混合し、ジルコニアビーズを用いたアイガーミルを用いて2時間かけて分散する。その後、別の容器に移してイオン交換水を300部添加して、さらに1時間攪拌する。そして、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してpH9に調整する。その後、0.3μmのメンブレンフィルターでろ過し、固形分(分散ポリマーと顔料)が20%である分散体E7とした。実施例E−1と同じ方法で粒径を測定したところ100nmであった。
(2)高分子微粒子の作製
実施例E−4と同じ高分子微粒子を用いた。
(3)インクジェット記録用インクの調製
上記の方法で作製した分散体E7を用い、表20に示すビヒクル成分と混合することによって、実施例E−1と同様に作製して評価した。
(4)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
参考例E−4のインクを用い、実施例E−1と同じ方法および同じ評価方法で耐擦性試験とドライクリーニング性試験を行なった。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表19に示す。
(5)吐出安定性の測定
参考例E−4のインクを用い、実施例E−1と同じ方法および同じ評価方法で吐出安定性の測定を行なった。吐出安定性の測定結果を表19に示す。
(参考例E−5)
参考例E−5は、ピグメントレッド122(ジメチルキナクリドン顔料:クラリアント製)を用いて顔料分散体E7と同様に作製した、顔料分散体E8を用いた以外は参考例E−4と同様にインクを作製して評価した。インク組成を表20に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例E−1と同様に行なった。結果を表19に示す。
(参考例E−6)
参考例E−6は、ピグメントイエロー180(ベンズイミダゾロン系ジスアゾ顔料:クラリアント製)を用いて顔料分散体E7と同様に作製した、顔料分散体E9を用いた以外は参考例E−4と同様にインクを作製して評価した。インク組成を表20に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例E−1と同様に行なった。結果を表19に示す。
(参考例E−7)
参考例E−7は、実施例E−4において添加する高分子微粒子の分子量を90000にした以外は実施例E−4と同様にインクを作製して評価した。分子量が90000のエマルジョンをエマルジョンF(EM−F)とした。インク組成を表20に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例E−1と同様に行なった。結果を表19に示す。高分子微粒子の粒径の測定は実施例E−1と同じ方法で行なった。
(参考例E−8)
参考例E−8は、実施例E−5において添加する高分子微粒子の分子量を1100000にした以外は実施例E−5と同様にインクを作製して評価した。分子量が1100000のエマルジョンをエマルジョンG(EM−G)とした。インク組成を表20に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例E−1と同様に行なった。結果を表19に示す。高分子微粒子の粒径の測定は実施例E−1と同じ方法で行なった。
Figure 2015091976
Figure 2015091976
[実施例F]
以下の実施例Fは、その他の好ましい実施形態(f)に対応する。
(実施例F−1)
(1)ポリマー(A−1)の製造
攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を十分に窒素置換した後、メチルエチルケトン20重量部(以下単に「部」ということもある。)および重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.03部に、メタクリル酸11部、スチレンマクロマーAS−6(S)(東亜合成社)10部、スチレン39部、ベンジルメタクリレート10部、ブレンマーPP−800(日本油脂社)30部の各モノマー計100部の10%を入れて攪拌し、混合溶液を得た。
次に、滴下ロートに、前記モノマーの残りの90%を入れ、前記重合連鎖移動剤0.27部、メチルエチルケトン60部およびラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))1.2部を入れて混合し、十分に窒素置換し行い、混合溶液を得た。
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら65℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて徐々に滴下した。滴下終了後65℃で2時間保温し、前記ラジカル重合開始剤0.3部をメチルエチルケトン5部に溶解した溶液を加え、更に65℃で2時間、70℃で2時間熟成させ、ポリマー溶液(A−1)を得た。
(2)顔料分散体F1の製造
前記ポリマー溶液(A−1)40部とピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン顔料:クラリアント社)を30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン30部を混合した。その後超高圧ホモジナイザー(スギノマシン社製アルティマイザーHJP−25005)を用いて200MPaで15パスして分散した。その後、別の容器に移してイオン交換水を300部添加して、さらに1時間攪拌した。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去して、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してpH9に調整した。その後、0.3μmのメンブレンフィルターでろ過しイオン交換水で調整して顔料濃度が15%である顔料分散体F1とした。マイクロトラック粒度分布測定装置UPA250(日機装社)を用いて粒径を測定したところ100nmであった。
(3)高分子微粒子の作製
反応容器に滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、攪拌機を備え、イオン交換水100部を入れ、攪拌しながら窒素雰囲気70℃で、重合開始剤の過流酸カリを0.2部を添加しておき、スチレン16部、エチルアクリレート71部、ブチルアクリレート11.5部、メタクリル酸1.5部の各モノマー計100部の40%に、イオン交換水7部とラウリル硫酸ナトリウムを0.05部、およびt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れたモノマー溶液を、70℃に滴下して反応させて1次物質を作製する。その1次物質に、過流酸アンモニウム10%溶液2部を添加して攪拌し、さらにイオン交換水30部、ラウリル硫酸カリ0.2部、前記モノマーの残り60%、t−ドデシルメルカプタン0.5部よりなる反応液を70℃で攪拌しながら添加して重合反応させた後、水酸化ナトリウムで中和しpH8〜8.5にして0.3μmのフィルターでろ過した高分子微粒子水分散液を作成してエマルジョンA(EM−A)とした。この高分子微粒子水分散液の一部を取り乾燥させた後、示差操作型熱量計(セイコー電子社製EXSTAR6000DSC)によりガラス転位温度を測定したところ−15℃であった。株式会社日立製作所製L7100システムのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、溶剤をTHFとして測定したときのスチレン換算分子量は200000であった。
また、酸価の測定は以下の方法により測定した。上記高分子微粒子水分散液の水酸化ナトリウム中和前の状態で採取し、その固形分濃度を熱天秤(セイコー電子工業製TG−2121)により正確に測定する。次に、この高分子微粒子水分散液約10gを精密に量り採り、共栓三角フラスコに入れて2−プロパノール−テトラヒドロフラン混液(1:2)100mlを加えて溶解し、これに、フェノールフタレン試液を指示薬として、30秒間持続する淡紅色を呈するまで0.1mol/Lの2−プロパノール製水酸化カリウム溶液で滴定する方法によって測定する。酸価は式(1)により求める。
酸価(mgKOH/g)=(5.611×a×f)/S・・・式(1)
S:試料の採取量(g)
a:0.1mol/Lの2−プロパノール製水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
f:0.1mol/Lの2−プロパノール製水酸化カリウム溶液のファクタ
尚、aは滴定値(ml)−ブランク値(ml)
上記方法にて求めたEM−Aの酸価は、10mgKOH/gであった。
(4)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表22に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体F1を用い、表22に示すビヒクル成分と混合することによって作製した。尚、本発明の実施例および比較例中の残量の水にはインクの腐食防止のためトップサイド240(パーマケムアジア社製)を0.05%、インクジェットヘッド部材の腐食防止のためベンゾトリアゾールを0.02%、インク系中の金属イオンの影響を低減するためにEDTA(エチレンジアミン四酢酸)・2Na塩を0.04%それぞれイオン交換水に添加したものを用いた。
(5)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例F−1のインクを用い、インクジェットプリンターとしてセイコーエプソン株式会社製PX−V630を用いて、綿にベタ印字したサンプルを作成する。そのサンプルをテスター産業株式会社の学振式摩擦堅牢性試験機AB−301Sを用いて荷重200gで100回擦る摩擦堅牢性を行った。インクのはがれ具合を確認する日本工業規格(JIS)JIS L0849によって、乾燥と湿潤の2水準で評価した。また、同様にドライクリーニング試験をJIS L0860のB法によって評価した。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表21に示す。
(6)吐出安定性の測定
実施例F−1のインクを用い、インクジェットプリンターとしてセイコーエプソン株式会社製PX−V630を用いて、35℃35%雰囲気で富士ゼロックス社製XeroxP紙A4判にマイクロソフトワードで文字サイズ11の標準、MSPゴシックで4000字/ページの割合で100ページ印刷して評価した。全く印字乱れがないものをAA、1箇所印字乱れがあるものをA、2箇所〜3箇所印字乱れがあるものをB、4箇所〜5箇所印字乱れがあるものをC、6箇所以上印字乱れがあるものをDとして結果を表21に示す。
(実施例F−2)
実施例F−2は、顔料にピグメントバイオレット19(キナクリドン顔料:クラリアント製)を使用し、顔料分散体F1と同様に作製した顔料分散体F2を用いた以外は、実施例F−1と同様にEM−Aを添加してインクを作製し、評価した。顔料分散体F2の粒径は、実施例F−1と同じ方法で測定したところ110nmであった。インク組成を表22に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例F−1と同様に行った。結果を表21に示す。
(実施例F−3)
実施例F−3は、顔料にピグメントイエロー14(アゾ系顔料:クラリアント製)を使用し、顔料分散体F1と同様に作製した顔料分散体F3を用いた以外は、実施例F−1と同様にEM−Aを添加してインクを作製し、評価した。顔料分散体F2の粒径は、実施例F−1と同じ方法で測定したところ140nmであった。インク組成を表22に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例F−1と同様に行った。結果を表21に示す。
(実施例F−4)
実施例F−4は、高分子微粒子の原料モノマー構成を、スチレン16部、エチルアクリレート66部、ブチルアクリレート7部、メタクリル酸2部、エチルカルビトールアクリレート9部に変更して作製した高分子微粒子のエマルジョンB(EM−B)を用いた以外は、実施例F−1と同様にインクを作製して評価した。エマルジョンBの高分子微粒子のガラス転移温度は−16℃であった。また、実施例F−1と同じ方法で求めた酸価は、10mgKOH/gであった。インク組成を表22に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例F−1と同様に行った。結果を表21に示す。
(実施例F−5)
実施例F−5は、高分子微粒子の原料モノマー構成を、スチレン16部、エチルアクリレート68部、ブチルアクリレート11.5部、メタクリル酸4.5部に変更して作製した高分子微粒子のエマルジョンC(EM−C)を用いた以外は、実施例F−2と同様にインクを作製して評価した。エマルジョンCの高分子微粒子のガラス転移温度は−11℃であった。また、実施例F−1と同じ方法で求めた酸価は、30mgKOH/gであった。インク組成を表22に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例F−1と同様に行った。結果を表21に示す。
(実施例F−6)
実施例F−6は、高分子微粒子の原料モノマー構成を、スチレン5部、エチルアクリレート85部、ブチルアクリレート8部、メタクリル酸2部に変更して作製した高分子微粒子のエマルジョンD(EM−D)を用いた以外は、実施例F−1と同様にインクを作製して評価した。エマルジョンDの高分子微粒子のガラス転移温度は−21℃であった。また、実施例F−1と同じ方法で求めた酸価は、10mgKOH/gであった。インク組成を表22に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例F−1と同様に行った。結果を表21に示す。
(比較例F−1)
比較例F−1は、高分子微粒子の原料モノマー構成を、スチレン16部、エチルアクリレート66部、ブチルアクリレート6部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート12部に変更して作製した高分子微粒子のエマルジョンE(EM−E)を用いた以外は、実施例F−1と同様にインクを作製して評価した。エマルジョンEの高分子微粒子のガラス転移温度は−6℃であった。また、実施例F−1と同じ方法で求めた酸価は、10mgKOH/gであった。インク組成を表22に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例F−1と同様に行った。結果を表21に示す。
(比較例F−2)
比較例F−2は、実施例F−2おいて、粒径が350nmの顔料分散体を作製、使用した以外は実施例F−2と同様にEM−Aを添加してインクを作製し、評価した。実施例F−1と同じ方法で粒径を測定した。粒径が350nmの分散体を顔料分散体F2Aとした。インク組成を表22に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例F−1と同様に行った。結果を表21に示す。
(比較例F−3)
比較例F−3は、高分子微粒子の原料モノマー構成を、スチレン40部、エチルアクリレート47部、ブチルアクリレート6部、メタクリル酸7部に変更して作製した高分子微粒子のエマルジョンH(EM−H)を用いた以外は、実施例F−2と同様にインクを作製して評価した。エマルジョンHの高分子微粒子のガラス転移温度は13℃であった。また、実施例F−1と同じ方法で求めた酸価は、10mgKOH/gであった。インク組成を表22に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例F−1と同様に行った。結果を表21に示す。
(比較例F−4)
比較例F−4は、高分子微粒子を無添加とした以外は、実施例F−1と同様にインクを作製して評価した。インク組成を表22に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例F−1と同様に行った。結果を表21に示す。
Figure 2015091976
Figure 2015091976
[実施例G]
以下の実施例Gは、その他の好ましい実施形態(g)に対応する。
(実施例G−1)
(1)顔料分散体G1の製造
ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン顔料:クラリアント社)30部をアニオン性重合性界面活性剤KH−10(第一工業製薬株式会社)3部およびイオン交換水と混合し、超高圧ホモジナイザー(スギノマシン社製アルティマイザーHJP−25005)を用いて200MPaで15パスして分散した。その後、別の容器に移してイオン交換水を300部添加して、さらに1時間攪拌した。これに、2−エチルへキシルメタクリレート50部、ベンジルメタクリレート20部、ブチルアクリレート10部を加えて撹拌混合した。これを、十分に窒素置換した、攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器に投入した。反応容器の内温を80℃に昇温した後、イオン交換水20gに重合開始剤として過硫酸カリウム0.4gを溶解した水溶液を滴下し、反応容器内に窒素を導入しながら、80℃で6時間反応させた。反応終了後、1mol/l水酸化カリウム水溶液でpHを8に調整した。次に、これを限外ろ過装置でクロスフロー法による限外ろ過を行った後、イオン交換水で顔料濃度が15%に調整して顔料分散体G1とした。マイクロトラック粒度分布測定装置UPA250(日機装社)を用いて粒径を測定したところ105nmであった。
(3)高分子微粒子の作製
反応容器に滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、攪拌機を備え、イオン交換水100部を入れ、攪拌しながら窒素雰囲気70℃で、重合開始剤の過流酸カリを0.2部を添加しておき、スチレン16部、エチルアクリレート71部、ブチルアクリレート11.5部、メタクリル酸1.5部の各モノマー計100部の40%に、イオン交換水7部とラウリル硫酸ナトリウムを0.05部、およびt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れたモノマー溶液を、70℃に滴下して反応させて1次物質を作製する。その1次物質に、過流酸アンモニウム10%溶液2部を添加して攪拌し、さらにイオン交換水30部、ラウリル硫酸カリ0.2部、前記モノマーの残り60%、t−ドデシルメルカプタン0.5部よりなる反応液を70℃で攪拌しながら添加して重合反応させた後、水酸化ナトリウムで中和しpH8〜8.5にして0.3μmのフィルターでろ過した高分子微粒子水分散液を作成してエマルジョンA(EM−A)とした。この高分子微粒子水分散液の一部を取り乾燥させた後、示差操作型熱量計(セイコー電子社製EXSTAR6000DSC)によりガラス転位温度を測定したところ−15℃であった。株式会社日立製作所製L7100システムのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、溶剤をTHFとして測定したときのスチレン換算分子量は200000であった。
また、酸価の測定は以下の方法により測定した。上記高分子微粒子水分散液の水酸化ナトリウム中和前の状態で採取し、その固形分濃度を熱天秤(セイコー電子工業製TG−2121)により正確に測定する。次に、この高分子微粒子水分散液約10gを精密に量り採り、共栓三角フラスコに入れて2−プロパノール−テトラヒドロフラン混液(1:2)100mlを加えて溶解し、これに、フェノールフタレン試液を指示薬として、30秒間持続する淡紅色を呈するまで0.1mol/Lの2−プロパノール製水酸化カリウム溶液で滴定する方法によって測定する。酸価は式(1)により求める。
酸価(mgKOH/g)=(5.611×a×f)/S・・・式(1)
S:試料の採取量(g)
a:0.1mol/Lの2−プロパノール製水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
f:0.1mol/Lの2−プロパノール製水酸化カリウム溶液のファクタ
尚、aは滴定値(ml)−ブランク値(ml)
上記方法にて求めたEM−Aの酸価は、10mgKOH/gであった。
(4)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表24に示す。本発明のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体G1を用い、表24に示すビヒクル成分と混合することによって作製した。尚、本発明の実施例および比較例中の残量の水にはインクの腐食防止のためトップサイド240(パーマケムアジア社製)を0.05%、インクジェットヘッド部材の腐食防止のためベンゾトリアゾールを0.02%、インク系中の金属イオンの影響を低減するためにEDTA(エチレンジアミン四酢酸)・2Na塩を0.04%それぞれイオン交換水に添加したものを用いた。
(5)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
実施例G−1のインクを用い、インクジェットプリンターとしてセイコーエプソン株式会社製PX−V630を用いて、綿にベタ印字したサンプルを作成する。そのサンプルをテスター産業株式会社の学振式摩擦堅牢性試験機AB−301Sを用いて荷重200gで100回擦る摩擦堅牢性を行った。インクのはがれ具合を確認する日本工業規格(JIS)JIS L0849によって、乾燥と湿潤の2水準で評価した。また、同様にドライクリーニング試験をJIS L0860のB法によって評価した。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表23に示す。
(6)吐出安定性の測定
実施例G−1のインクを用い、インクジェットプリンターとしてセイコーエプソン株式会社製PX−V630を用いて、35℃35%雰囲気で富士ゼロックス社製XeroxP紙A4判にマイクロソフトワードで文字サイズ11の標準、MSPゴシックで4000字/ページの割合で100ページ印刷して評価した。全く印字乱れがないものをAA、1箇所印字乱れがあるものをA、2箇所〜3箇所印字乱れがあるものをB、4箇所〜5箇所印字乱れがあるものをC、6箇所以上印字乱れがあるものをDとして結果を表23に示す。
(実施例G−2)
実施例G−2は、顔料にピグメントバイオレット19(キナクリドン顔料:クラリアント製)を使用し、顔料分散体G1と同様に作製した顔料分散体G2を用いた以外は、実施例G−1と同様にEM−Aを添加してインクを作製し、評価した。顔料分散体G2の粒径は、実施例G−1と同じ方法で測定したところ120nmであった。インク組成を表24に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例G−1と同様に行った。結果を表23に示す。
(実施例G−3)
実施例G−3は、顔料にピグメントイエロー14(アゾ系顔料:クラリアント製)を使用し、顔料分散体G1と同様に作製した顔料分散体G3を用いた以外は、実施例G−1と同様にEM−Aを添加してインクを作製し、評価した。顔料分散体G2の粒径は、実施例G−1と同じ方法で測定したところ145nmであった。インク組成を表24に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例G−1と同様に行った。結果を表23に示す。
(実施例G−4)
実施例G−4は、高分子微粒子の原料モノマー構成を、スチレン16部、エチルアクリレート66部、ブチルアクリレート7部、メタクリル酸2部、エチルカルビトールアクリレート9部に変更して作製した高分子微粒子のエマルジョンB(EM−B)を用いた以外は、実施例G−1と同様にインクを作製して評価した。エマルジョンBの高分子微粒子のガラス転移温度は−16℃であった。また、実施例G−1と同じ方法で求めた酸価は、10mgKOH/gであった。インク組成を表24に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例G−1と同様に行った。結果を表23に示す。
(実施例G−5)
実施例G−5は、高分子微粒子の原料モノマー構成を、スチレン16部、エチルアクリレート68部、ブチルアクリレート11.5部、メタクリル酸4.5部に変更して作製した高分子微粒子のエマルジョンC(EM−C)を用いた以外は、実施例G−2と同様にインクを作製して評価した。エマルジョンCの高分子微粒子のガラス転移温度は−11℃であった。また、実施例G−1と同じ方法で求めた酸価は、30mgKOH/gであった。インク組成を表24に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例G−1と同様に行った。結果を表21に示す。
(実施例G−6)
実施例G−6は、高分子微粒子の原料モノマー構成を、スチレン5部、エチルアクリレート85部、ブチルアクリレート8部、メタクリル酸2部に変更して作製した高分子微粒子のエマルジョンD(EM−D)を用いた以外は、実施例G−1と同様にインクを作製して評価した。エマルジョンDの高分子微粒子のガラス転移温度は−21℃であった。また、実施例G−1と同じ方法で求めた酸価は、10mgKOH/gであった。インク組成を表24に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例G−1と同様に行った。結果を表23に示す。
(比較例G−1)
比較例G−1は、高分子微粒子の原料モノマー構成を、スチレン16部、エチルアクリレート66部、ブチルアクリレート6部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート12部に変更して作製した高分子微粒子のエマルジョンE(EM−E)を用いた以外は、実施例G−1と同様にインクを作製して評価した。エマルジョンEの高分子微粒子のガラス転移温度は−6℃であった。また、実施例G−1と同じ方法で求めた酸価は、10mgKOH/gであった。インク組成を表24に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例G−1と同様に行った。結果を表23に示す。
(比較例G−2)
比較例G−2は、実施例G−2おいて、粒径が350nmの顔料分散体を作製、使用した以外は実施例G−2と同様にEM−Aを添加してインクを作製し、評価した。実施例G−1と同じ方法で粒径を測定した。粒径が350nmの分散体を顔料分散体G2Aとした。インク組成を表24に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例G−1と同様に行った。結果を表23に示す。
(比較例G−3)
比較例G−3は、高分子微粒子の原料モノマー構成を、スチレン40部、エチルアクリレート47部、ブチルアクリレート6部、メタクリル酸7部に変更して作製した高分子微粒子のエマルジョンH(EM−H)を用いた以外は、実施例G−2と同様にインクを作製して評価した。エマルジョンHの高分子微粒子のガラス転移温度は13℃であった。また、実施例G−1と同じ方法で求めた酸価は、10mgKOH/gであった。インク組成を表24に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例G−1と同様に行った。結果を表23に示す。
(比較例G−4)
比較例G−4は、高分子微粒子を無添加とした以外は、実施例G−1と同様にインクを作製して評価した。インク組成を表24に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験および吐出安定性試験は実施例G−1と同様に行った。結果を表23に示す。
Figure 2015091976
Figure 2015091976

Claims (15)

  1. 顔料を水に分散可能とした平均粒径が50nm以上300nm以下の分散体と、ガラス転位温度が−10℃以下で、且つ酸価が100mgKOH/g以下である高分子微粒子とを含んでなるインク組成物。
  2. 前記高分子微粒子が、構成成分として、70重量%以上のアルキル(メタ)アクリレートおよび/または環状アルキル(メタ)アクリレートを用いて重合されたことを特徴とする請求項1記載のインク組成物。
  3. 前記高分子微粒子が、構成成分として、70重量%以上のアルキル(メタ)アクリレートおよび/または環状アルキル(メタ)アクリレートと、5重量%以上25重量%以下のスチレンとを用いて重合されたことを特徴とする請求項1記載のインク組成物。
  4. 前記アルキル(メタ)アクリレートおよび/または環状アルキル(メタ)アクリレートが、炭素数1〜24のアルキル(メタ)アクリレートおよび/または炭素数3〜24の環状アルキル(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項2または3記載のインク組成物。
  5. 更に、融点が80℃以上のポリアルキレンワックスを含んでなることを特徴とする請求項1記載のインク組成物。
  6. 前記分散体が、分散剤なしに分散されたカーボンブラックを水に分散可能とした平均粒径が50nm以上300nm以下のものである請求項1〜5の何れか一項に記載のインク組成物。
  7. 前記分散体が、構成成分として50重量%以上のベンジルアクリレートと、15重量%以下のメタクリル酸および/またはアクリル酸とを用いて重合されたポリマーを用いて分散されたことを特徴とする請求項1記載のインク組成物。
  8. 前記分散体が、有機顔料をポリマーで水に分散可能とした平均粒径が50nm以上300nm以下のものであり、該ポリマーのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるスチレン換算重量平均分子量が10000以上200000以下である請求項1〜7の何れか一項に記載のインク組成物。
  9. 前記分散体が、塩生成基含有モノマーと、マクロマーおよび/または疎水性モノマーとを含むモノマー混合物を共重合させてなる水不溶性ポリマーで包含した有機顔料を含み、且つ、
    前記高分子微粒子が、構成成分として少なくともエチルアクリレートと(メタ)アクリル酸とが重合されてなることを特徴とする請求項1記載のインク組成物。
  10. 前記分散体が、乳化重合によって形成した樹脂層に包含された有機顔料を含み、且つ、
    前記高分子微粒子が、構成成分として少なくともエチルアクリレートと(メタ)アクリル酸とが重合されてなることを特徴とする請求項1記載のインク組成物。
  11. 前記高分子微粒子のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるスチレン換算重量平均分子量が100000以上1000000以下である請求項1〜10のいずれか一項に記載のインク組成物。
  12. 1、2−アルキレングリコールを含んでなる請求項1〜11のいずれか一項に記載のインク組成物。
  13. アセチレングリコール系界面活性剤および/またはアセチレンアルコール系界面活性剤を含んでなる請求項1〜12のいずれか一項に記載のインク組成物。
  14. 前記高分子微粒子の含有量(重量%)が、前記顔料の含有量(重量%)より多い、請求項1〜13のいずれか一項に記載のインク組成物。
  15. インクジェット記録方式に用いられることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載のインク組成物。
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