JP2015090799A - 有機el素子並びにそれを備えた画像表示装置及び照明装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】SPPモード光の発生を抑制し、かつ金属層における光の吸収も抑制することができる有機EL素子並びにそれを備えた画像表示装置及び照明装置を提供する。【解決手段】本発明の有機EL素子10は、第1電極2と、発光層を含む有機層3と、第2電極4と、低屈折率層5と、高屈折率層7と、金属層6とを順に具備する有機EL素子であって、前記第2電極4は透光性導電材料からなり、前記高屈折率層7の屈折率が前記低屈折率層5の屈折率よりも高いことを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、有機EL素子並びにそれを備えた画像表示装置及び照明装置に関するものである。
有機EL素子は、広視野角、高速応答、鮮明な自発光表示等の特徴を有し、また、薄型軽量で低消費電力であること等の理由から、次世代の照明装置や画像表示装置等の柱として期待されている。
有機EL素子は、有機発光層で発生した光が取り出される向きに応じて、支持基板側から光が取り出されるボトムエミッション型と、支持基板の反対側から光が取り出されるトップエミッション型とに分けられる。
ボトムエミッション型の有機EL素子において、発光層で発光した光のうち、透明基板に垂直に入射した光は透明基板を透過して素子の外部に取り出される。また、発光層で発光した光のうち、透明基板(例えば、ガラス(代表的な屈折率:1.52))と空気(屈折率:1.0)との界面に臨界角以下の小さい入射角(入射光線と入射する界面の法線がなす角度)で入射した光は、その界面で屈折して素子の外部に取り出される。本明細書では、これらの光を外部モード(External Mode)光という。
これに対して、発光層で発光した光のうち、透明基板と空気との界面に臨界角より大きい入射角で入射した光はその界面で全反射されて素子の外部に取り出されず、最終的に材料に吸収されうる。本明細書では、この光を基板モード(Substrate Mode)光という。
また、発光層で発光した光のうち、透明導電性酸化物からなる透明電極(例えば、酸化インジウム錫(ITO(代表的な屈折率:1.82))と透明基板との界面に臨界角より大きい入射角で入射した光もその界面で全反射されて素子の外部に取り出されず、最終的に材料に吸収されうる。本明細書では、この光を導波モード(Waveguide Mode)光という。
また、金属陰極のような金属層が有機EL素子中に存在する場合、発光層で発光した光のうち、金属層に入射して金属表面の自由電子振動と結合し、表面プラズモンポラリトン(SPP;Surface Plasmon Polariton)として金属電極の表面に捕捉された光も素子の外部に取り出されず、最終的に材料に吸収されうる。本明細書では、この光をSPPモード(SPP Mode)光という。
有機EL素子の光取り出し効率(発光層で発光した光に対して素子の外部に取り出される光の割合)は一般に20%程度に留まっている(例えば、特許文献1)。すなわち、発光層で発光した光のうち、約80%が損失となっており、これらの損失を低減して光の取り出し効率を向上させることが大きな課題となっている。
ここで、基板モード光の取り出しについては透明基板上に光拡散シートなどを設けることで対処できる(例えば、特許文献2)が、導波モード光及びSPPモード光の低減や取り出し、特にSPPモード光の低減や取り出しについては研究が緒に就いたばかりといえる。
SPPモード光の対策としては、まだ十分な検討はされていないが、金属の表面にSPPとして捕捉された光を、金属層/低屈折率媒質/高屈折率媒質というOtto型配置によって、捕捉されたSPPモード光を高屈折率媒質中に取り出すことが提案されている。
特開2008−210717号公報 特開2011−243625号公報
しかしOtto型配置では、捕捉されたSPPモード光を完全に取り出すことはできない。このことについて、図1を用いて説明する。
図1はOtto型配置の有機EL素子90を模式的に示した図である。基板91に、陽極92、有機層93、陰極94、低屈折率層95、金属層96が順に積層されている。ここで、有機層93又は陰極94の屈折率が低屈折率層95の屈折率より大きい。この時、金属層96/低屈折率層95/有機層93又は陰極94が金属/低屈折媒質/高屈折率媒質のOtto型配置となっている。
まず金属の表面に捕捉されたSPPモード光を取り出す説明の前に、金属の表面にSPPモード光として光が捕捉される原理について説明する。Otto型配置の有機EL素子において、金属層96の表面(低屈折率層95との界面)に光が捕捉される過程は二通り存在する。
一つ目の過程は、矢印A1で示した、有機層93で発光した光が直接金属層96に捕捉される過程である。有機層93で発光した光は、発光体を振動するダイポールとみなすことができるので、この発光点のダイポール場を介して、ダイポールが金属層96の表面に存在するSPPモード光とエネルギーのやり取りを行うことで、金属層96の表面にSPPモード光(矢印A2)として光が捕捉される(以下、過程1という)。このようなダイポールからSPPモード光へのエネルギー移動は、一般的な有機EL素子において、発光分子と金属層が近い場合に生じることが広く知られている。
二つ目の過程は、低屈折率層95中のエバネッセント波を介して金属層96に補足される過程である。次に、これについて説明する。
金属層/低屈折率媒質/高屈折率媒質からなるOtto型配置において、金属層表面に生成されるSPPモード光の波数の、層の面内方向成分の実部をk’spとすると、この分散関係は、金属層の比誘電率の実部εと、金属層表面に接触する低屈折率媒質の比誘電率εによって決まり、近似的に次式(1)によって与えられる(kは前記発光層で発光する光のピーク波長における真空中の光の波数)。
Figure 2015090799
また高屈折率媒質中を伝播角θで伝播する光の、面内方向成分の大きさは、高屈折率媒質の比誘電率をεとして式(2)で表される。
Figure 2015090799
従って、εが十分大きい場合、式(2)における角度θを適当に選ぶことによって、この金属層表面のSPPモード光の波数と、伝播光の分散曲線とが発光光の角周波数の位置に交点を有することができる(以下このときのθをθとおく)。この場合、高屈折率媒質中伝播光のモードとSPPモードが結合して互いにエネルギーをやり取りできるようになり、金属層表面のSPPモード光を高屈折率媒質中に伝播光として取り出すことができるようになる。より具体的に言い換えると、金属層表面に生じたSPPモード光が、低屈折媒質側に沁み出す自身の電磁場を介して、高屈折率媒質中へエネルギー移動を起こし、角度θで高屈折率媒質中を伝播する伝播光となる。
従って、有機EL素子90のように、例えば、有機層93(比誘電率ε)の近傍に有機層93から遠い側から順に金属層96(比誘電率の実部ε)/低屈折率層95(比誘電率ε)を設けると、金属層96表面に励起されたSPPモード光はOtto型配置構造において低屈折率層95中に生成されるエバネッセント波を介して所定の角度θで有機層93中に放射される伝播光として有機層中93に取り出すことが可能となる。
ただし、SPPモード光と有機層93中の伝播光モードが結合していることは、SPPモード光からの取り出しだけでなく、有機層93中の光がSPPとして金属層96表面に捕捉される過程も同時に生じうることを意味している。
すなわち、有機層93を伝播する光が、高屈折率媒質(有機層93又は陰極94)と低屈折率層95の界面に所定の角度θで入射し全反射すると、低屈折率層中にエバネッセント波が発生し、このエバネッセント波が金属層96の表面に存在するSPPモード光とエネルギーのやり取りを行うことで、有機層93中の伝播光が金属層96の表面にSPPモード光として捕捉される(以下、過程2という)。
なお、所定の角度θ以外の角度で全反射した光も低屈折率層95中にエバネッセント波を生み出すが、このエバネッセント波の分散曲線とSPPモード光の分散曲線とは発光光の各周波数位置に交点を持たないため、エネルギーのやり取りを行うことができない。
つまり、Otto型配置においては、過程1で発生したSPPモード光(矢印A2)は、SPPモード光の電磁場を介し(矢印A3)、所定の角度θで有機層93に取り出される(矢印A4)。このようにして取り出された光の一部は陽極92、基板91を介して外部へ取り出されうる(矢印A4e)。
一方外部へ取り出されずに有機層93側へ反射で戻された光(矢印A4’)は、低屈折率層95側へ入射すると、過程2によって再びSPPモード光として捕捉され(矢印A5)、金属層表面を伝播する間に熱として散逸しうる(矢印A6)。さらに、発光点からSPPモード光とならずに有機層中93へ放射されて伝播する光も、伝播角θのもの(矢印B1、B1’)は、同様に過程2によって再びSPPモードとして捕捉されうる(矢印B2、B3)。
従ってOtto型配置では、発生したSPPモード光を全て取り出すことができないという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、SPPモード光の発生を抑制し、かつ金属層における光の吸収も抑制することができる有機EL素子並びにそれを備えた画像表示装置及び照明装置を提供することを目的とする。
低屈折率層と金属層の間に、低屈折率層よりも屈折率の高い高屈折率層を備えた第2電極側構造を導入することで、SPPモード光として捕捉される光を抑制し、かつ金属層における光の吸収も抑制することを実現した。
上記課題を解決するため、概要を説明した本発明は以下の構成を採用する。
(1)第1電極と、発光層を含む有機層と、第2電極と、低屈折率層と、高屈折率層と、金属層とを順に具備する有機EL素子であって、前記第2電極は透光性導電材料からなり、前記高屈折率層の屈折率が前記低屈折率層の屈折率よりも高いことを特徴とする有機EL素子。
(2)前記高屈折率層の屈折率が、前記有機層よりも高いことを特徴とする(1)に記載の有機EL素子。
(3)前記高屈折率層の膜厚が、10〜300nmであることを特徴とする(1)〜(2)のいずれか一項に記載の有機EL素子。
(4)前記低屈折率層の屈折率はさらに、前記有機層の屈折率よりも低いことを特徴とする(1)〜(3)のいずれか一項に記載の有機EL素子。
(5)前記低屈折率層の屈折率は、前記第2電極の屈折率よりも低いことを特徴とする(4)に記載の有機EL素子。
(6)前記第1電極の有機層と反対側に、屈折率変調構造を有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれか一項に記載の有機EL素子。
(7)前記屈折率変調構造が、回折格子、レンズ、フォトニック結晶のいずれかであることを特徴とする(6)に記載の有機EL素子。
(8)前記第1電極の有機層と反対側に、拡散散乱体を有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれか一項に記載の有機EL素子。
(9)(1)〜(8)のいずれか一項に記載の有機EL素子を備えたことを特徴とする画像表示装置。
(10)(1)〜(8)のいずれか一項に記載の有機EL素子を備えたことを特徴とする照明装置。
本発明によれば、SPPモード光の発生を抑制し、かつ金属層における光の吸収も抑制することができる有機EL素子並びにそれを備えた画像表示装置及び照明装置を提供することができる。
Otto型配置の有機EL素子90の断面を模式的に示した断面模式図である。 本発明の一実施形態に係る有機EL素子を説明するための断面模式図である。 Otto型配置の有機EL素子90におけるSPPモード光の波数k’spとエバネッセント波の波数kの関係と、本発明の有機EL素子10におけるSPPモード光の波数k’’spとエバネッセント波の波数kの関係とを模式的に示した図である。 本発明の有機EL素子10(図4(b))とOtto型配置の有機EL素子90(図4(a))を用いて、SPPの電磁場振幅の膜厚方向分布を模式的に示した図である。 本発明の一実施形態に係る有機EL素子の第1電極側構造に係る変形例を模式的に示した断面模式図である。 本発明の有機EL素子を備えた画像表示装置の一例を説明するための断面模式図である。 本発明の有機EL素子を備えた照明装置の一例を説明するための断面模式図である。 シミュレーションで用いた本発明の有機EL素子のモデル構造を示す断面模式図である。 シミュレーションで用いた本発明の有機EL素子のモデル構造のうち、発光点から金属層側について具体的に示す断面模式図であって、実施例において高屈折率層7の厚さを一定とした場合の断面模式図である。 図9で示した有機EL素子10の光取り出し効率を、FDTD法を用いてコンピューターシュミレーションで求めた結果を示す図である。 シミュレーションで用いた本発明の有機EL素子のモデル構造のうち、発光点から金属層側について具体的に示す断面模式図であって、実施例において低屈折率層5の厚さを一定とした場合の断面模式図である。 図11で示した有機EL素子10の光取り出し効率を、FDTD法を用いてコンピューターシュミレーションで求めた結果を示す図である。 シミュレーションで用いた本発明の有機EL素子のモデル構造のうち、発光点から金属層側について具体的に示す断面模式図であって、実施例において高屈折率層7の厚さを一定とし、陰極4を金属とした場合の断面模式図である。 図13で示した有機EL素子10の光取り出し効率を、FDTD法を用いてコンピューターシュミレーションで求めた結果を示す図である。 シミュレーションで用いた本発明の有機EL素子のモデル構造のうち、発光点から金属層側について具体的に示す断面模式図であって、実施例において低屈折率層5の厚さを一定とし、陰極4を金属とした場合の断面模式図である。 図15で示した有機EL素子10の光取り出し効率を、FDTD法を用いてコンピューターシュミレーションで求めた結果を示す図である。
以下、本発明を適用した有機EL素子並びにそれを備えた画像表示装置及び照明装置について、図面を用いてその構成を説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
本発明の有機EL素子は、いわゆるボトムエミッション構造でもトップエミッション構造でも、いずれを適用してもよい。
本発明において、第1電極及び第2電極は一方が陽極で他方が陰極であるが、以下では、第1電極を陽極、第2電極を陰極とする構成を例に挙げて説明する。
また、本発明の有機EL素子は本発明の効果を損ねない範囲で以下に記載していない層や構造を備えてもよい。例えば、第1電極側(基板、第1電極および有機層)に、導波モード光を効率的に基板に垂直な方向に取り出すため、屈折率変調構造等を用いてもよい。
(有機EL素子の構造)
図2は本発明の一実施形態に係る有機EL素子の一例を説明するための断面模式図である。図2に示す有機EL素子は、基板1と、陽極(第1電極)2と、発光層を含む有機層3と、陰極(第2電極)4と、低屈折率層5と、高屈折率層7と、金属層6とを順に具備する有機EL素子10であって、陰極4は透光性導電材料からなり、高屈折率層7の屈折率が低屈折率層5の屈折率よりも高い。
上記のように陰極4側の構造について屈折率の比較を行う場合には、有機層3の屈折率とは、有機EL材料からなる発光層を含む全ての層の平均の屈折率をいう。
まず、従来のOtto型配置の有機EL素子90と本発明の有機EL素子10の相違点を明確にするために、過程1および過程2による光の捕捉が、本発明の有機EL素子10においてどのような振舞いをするかについて説明する。以降では有機EL素子90との比較のために、有機EL素子10の低屈折率層5、金属層6は、それぞれ有機EL素子90の低屈折率層95、金属層96と同一の部材からなる場合を考え、比誘電率の実部をそれぞれε、εとしている。
図3は、Otto型配置の有機EL素子90におけるSPPモード光の波数k’spとエバネッセント波の波数kの関係と、本発明の有機EL素子10におけるSPPモード光の波数k’’spとエバネッセント波の波数kの関係とを模式的に示した図である。
Otto型配置の有機EL素子90において、そのSPPモード光の波数k’spは式(1)で表され、有機層3中の伝播光の波数kの面内成分は式(2)でそれぞれ表される。有機層3の比誘電率εが十分大きい場合、式(1)と式(2)の分散曲線において、図3で示すように発光光の振動数ωで交点を有するような伝播角θが存在するようになり、有機層中をこの伝播角θで伝播する光のエネルギーがSPPモード光として捕捉されるようになる。
一方、本発明の有機EL素子10は低屈折率層5と金属層6との間に高屈折率層7を導入することにより、金属層6の表面に生成されるSPPモード光の波数は、金属層6の比誘電率の実部εと、金属層6表面に接触する高屈折率層7の比誘電率εによって決まり、近似的に次式(3)によって与えられる(kは前記発光層で発光する光のピーク波長における真空中の光の波数)。
Figure 2015090799
すなわち、ε<0であることに注意すると、金属層6に隣接する層が低屈折率層5である場合の式(1)と比較して、ε>εであることから、SPPモード光の波数がk’spに比べ大きくなっていることが分かる。
つまり本発明の有機EL素子におけるSPPモード光の波数k’’spは、図3中の分散曲線で示すように大きくなり、有機層3中を伝播する光の分散曲線(式(2))と、どのような伝播角θでも交点を有しなくなる。
すなわち、SPPモードと有機層3中の伝播光モードは結合せず、有機層3中の伝播光が過程2により金属層6表面にSPPモード光として捕捉されることが無くなる。
図4は、本発明の有機EL素子10とOtto型配置の有機EL素子90を用いて、SPPの電磁場振幅の膜厚方向分布を模式的に示した図である。
本発明の有機EL素子10は、低屈折率層と金属層の間に高屈折率層を有するために、過程1によるSPPへ捕捉も抑制される。これについて説明する。
有機EL素子90において、金属層96表面を伝播するSPPの、低屈折率層95中における波数の垂直方向性分は、波数の面内方向成分k’spを用いて
Figure 2015090799
となる。したがって、金属層/低屈折率層界面から距離zの低屈折率層95中でのSPPの電磁場振幅Sは、z=0での値を1として近似的に
Figure 2015090799
となる。ただし、各界面におけるフレネル反射の影響は無視する。
同様に、有機EL素子10において、高屈折率層/低屈折率層界面から距離zの低屈折率層中におけるSPPの電磁場振幅Sは、z=0での値を1として近似的に
Figure 2015090799
となる。
ここで前述したようにk’sp<k’’spであるから、有機EL素子10の低屈折率層中における電磁場振幅(図4(b))の方が、有機EL素子90の低屈折率層中の電磁場振幅(図4(a))より急激に減衰していることがわかる。さらに、有機EL素子10では金属層6表面のSPPモードは有機層3中の伝播光モードと結合していないので、SPPモードの電磁場は有機層3中でエバネッセント波となり、指数関数的に急激に減衰する。一方、有機EL素子90においては金属層96表面のSPPモードと有機層93中の伝播光モードが結合しているため、有機層93中の電磁場はエバネッセント波とならず、指数関数的な減少は起こらない。すなわち、有機EL素子10では、有機層中の発光点に達するSPPの電磁場が非常に小さく抑えられている。このために、低屈折率層と金属層の間に高屈折率層を有する有機EL素子10では、過程1による発光点からSPPへのエネルギー移動が有機EL素子90に比べて大きく抑制される。
ここで示したように、本発明の有機EL素子10では、高屈折率層7を備えた第2電極構造を導入することにより、過程1および過程2の経路で、光が金属層6の表面にSPPモード光として捕捉されることがなくなる。つまり、従来のOtto型配置構造の有機EL素子90では、過程2の経路で捕捉された光の一部をロスしていたが、本発明の有機EL素子10では、そもそも過程1および過程2の経路で光が金属層6の表面に捕捉されることが無いため、光をロスすることなく効率的に光を取り出すことができる。
前述の過程1および過程2を抑制する作用は、高屈折率層7を金属層6と陰極4の間に形成し、低屈折率層5を有しない有機EL素子でも得られると考えられる。しかし、このような有機EL素子では、有機層3の発光点から陰極側に放射された光は金属層6の表面に入射しそのまま金属反射されて、有機層3側に伝播光として戻されるため、過程1および過程2を抑制する効果は小さい。
これに対して、本発明の有機EL素子10では、低屈折率層5を導入することで陰極4と低屈折率層5の界面で全反射による反射を利用することができる。
金属反射は、吸収によりその光の一部をロスするが、全反射の場合は入射した光を全て反射するためロスがほとんどない。
つまり高屈折率層7と低屈折率層5を、陰極4と金属層6の間に導入する第2電極構造により、金属層6の表面に捕捉させる光を無くすだけでなく、反射する際のロスを減少させ、光をより効率的に取り出すことができる。
(各層の構成)
本発明の有機EL素子10は、ボトムエミッション型(陽極2から見て有機層3と反対側に基板1がある場合)、トップエミッション型(金属層6から見て低屈折率層5と反対側に基板がある場合)の有機EL素子のいずれにも適用できる。
ボトムエミッション型に適用する場合には、基板1は透光性の基板であり、通常、可視光に対して透明であることが必要である。ここで、「可視光に対し透明である」とは、発光層から発する波長の可視光を透過することができればよいという意味であり、可視光領域全域にわたり透明である必要はない。400〜700nmの可視光における透過率が50%以上で、平滑な基板が好ましい。また、透過率が70%以上であることがより好ましい。
基板1を構成する材料として具体的には、ガラス、ポリマー等が挙げられる。ガラスとしては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等が挙げられる。またポリマーとしては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。
なお、発光光が可視光でない場合も、少なくとも発光波長領域に対して、可視光の場合と同様に透明であることが必要である。透過率としては、発光が最大強度となる波長に対し、50%以上であることが好ましく、70%以上であることが更に好ましい。
トップエミッション型に適用するためには、上記記載と同様なものの他に、不透明な材料も使用できる。具体的には、例えばCu、Ag、Au、Pt、W,Ti、Ta、Nb、Alの単体、またはこれらの元素を含んだ合金、あるいはステンレスなどの金属材料、Si、SiC、AlN、GaN、GaAs、サファイアなどの非金属材料、その他のトップエミッション型の有機EL素子で通常用いられる基板材料を用いることができる。また、素子の発光に伴い生じる熱を逃がすため、熱伝導率の高い材料を基板に用いることが好ましい。
基板1の厚さは、要求される機械的強度にもより、特に限定はされないが、好ましくは、0.01mm〜10mm、より好ましくは0.05mm〜2mmである。
陽極2は陰極4との間で電圧を印加し、陽極2より有機層3に正孔を注入するための電極であり、仕事関数の大きい金属、合金、導電性化合物、あるいはこれらの混合物からなる材料を用いることが好ましく、陽極2に接する有機層3のHOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)準位との差が過大にならないように仕事関数が4eV以上6eV以下のものを用いるのが好ましい。陽極2の材料としては透光性でかつ導電性の材料であれば特に制限はないが、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化錫、酸化亜鉛などの透明無機酸化物、PEDOT:PSS、ポリアニリンなどの導電性高分子および任意のアクセプタなどでドープした導電性高分子、カーボンナノチューブなどの導電性光透過性材料、薄膜金属、薄膜状に形成された金属ナノワイヤ、これらを含む複合材料を挙げることができる。ここにおいて、陽極2は、基板1上に例えば、スパッタ法、真空蒸着法、塗布法などによって形成することができる。
陽極2の厚さは特に限定はされないが、例えば10〜2000nmであり、好ましくは50〜1000nmである。10nmより薄いと陽極2のシート抵抗が増大し、また、2000nmより厚いと有機層3の平坦度を保てなくなると共に、陽極2の透過率が低下する。
有機層3は、有機EL材料からなる発光層の他、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層等を備えてもよい。発光層の材料としては、有機EL素子用の材料として知られる任意の材料を用いることができる。
正孔注入層は陽極2から有機層3への正孔注入を助ける層であり、イオン化エネルギーが通常5.5eV以下と低い。このような正孔注入層としてはより低い電界強度で正孔を有機層3に注入する材料が好ましいが、形成する材料としては、上記の機能を担えるものであれば特に制限はなく、公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。また、正孔輸送層は発光領域まで正孔を輸送する層であって、正孔移動度が大きい。このような正孔輸送層として形成する材料は、上記の機能を担えるものであれば特に制限はなく、公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。
電子注入層は陰極4から有機層3への電子注入を助ける層である。このような電子注入層としてはより低い電界強度で電子を有機層3に注入する材料が好ましいが、形成する材料としては、上記の機能を担えるものであれば特に制限はなく、公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。また、電子輸送層は発光領域まで電子を輸送する層であって、電子移動度が大きい。このような電子輸送層として形成する材料は、上記の機能を担えるものであれば特に制限はなく、公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。
有機層3は、蒸着法、転写法などの乾式プロセスによって成膜してもよいし、スピンコート法、スプレーコート法、ダイコート法、グラビア印刷法など、湿式プロセスによって成膜してもよい。
有機層3の厚さは特に限定はされないが、例えば50〜2000nmであり、好ましくは100〜1000nmである。50nmより薄いと突き抜け電流による内部量子効率の低下や、金属層6による損失性表面波モードカップリング(lossy surface wave mode coupling)など、SPPカップリング以外の消光が起こり、また、2000nmより厚いと駆動電圧が上昇する。
陰極4は、発光層に電子を注入するための電極であり、仕事関数の小さい金属、合金、導電性化合物、あるいはこれらの混合物からなる材料を用いることが好ましく、陰極4に接する有機層3のLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)準位との差が過大にならないように仕事関数が1.9eV以上5eV以下のものを用いるのが好ましい。
陰極4の材料としては、Otto型配置の陰極側構造を形成するために、透光性の導電材料とする必要がある。そのため、上記の陽極材料と同じものを用いることができる。
陰極4の厚さは特に限定はされないが、例えば30nm〜1μmであり、好ましくは50〜500nmである。30nmより薄いとシート抵抗が増加して、駆動電圧が上昇し、また、1μmより厚いと成膜時の熱や放射線によるダメージ、膜応力による機械的ダメージが電極や有機層に蓄積するからである。
低屈折率層5は、陰極4の有機層3とは反対側の面に備えられており、有機層3よりも屈折率の低い材料からなることが好ましい。
低屈折率層5の屈折率が有機層3よりも小さいと、陰極4に金属を用いた場合でも、低屈折率層5/陰極4/有機層3が低屈折率媒質/金属/高屈折率媒質のKretschmann配置となるため、陰極4の低屈折率層5界面に捕捉されたSPPモード光を取り出すことができる。
また、低屈折率層5は、陰極4を構成する透光性導電材料よりも屈折率の低い材料からなることが好ましい。
発光層で発光した光が陰極4側に伝播し、陰極4と低屈折率層5との界面に達したとき、臨界角以上の角度で入射すると全反射が起き、金属層6での金属反射による光のロスを抑えることができる。
このような低屈折率層5の材料としては、有機層3よりも屈折率の低い材料であれば特に制限はなく、例えば、有機層3の全ての層の平均屈折率が1.72の場合、この屈折率条件を満たすSOG、フッ化マグネシウム(MgF(代表的な屈折率1.38))等の金属フッ化物、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE(代表的な屈折率1.35))等の有機フッ素化合物、二酸化ケイ素(SiO(代表的な屈折率1.45))、各種の低融点ガラス、多孔性物質が挙げられる。また、低屈折率層5は空気層を含む層からなり、陰極4を構成する透光性導電材料より低い屈折率を有するものでもよい。
金属層6は、陰極4の、有機層3とは反対側に低屈折率層5および高屈折率層7を介して備えられている。
金属膜6の材料としては有機層3中で生じた発光光を陽極側へ反射することができればよいのでほとんどの金属の単体または合金を用いることができるが、比複素誘電率の実部が絶対値が大きな負の値を持つような材料が好ましい。かかる材料としては例えば、Au、Ag、Cu、Zn、Al、Mg、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の単体や、AuとAgとの合金、AgとCuとの合金、真鍮等の合金が挙げられる。また、金属層6は、2層以上の積層構造であってもよい。
金属層6の厚さは特に限定はされないが、例えば20〜2000nmであり、好ましくは50〜500nmである。20nmより薄いと反射率が低くなり正面輝度が低下し、また、2000nmより厚いと成膜時の熱や放射線ダメージ、膜応力による機械的ダメージが電極や有機層に蓄積する。
高屈折率層7の材料としては、低屈性率層5よりも高い屈折率を有する材料であれば特に制限はされない。
例えば、低屈折率層5がフッ化マグネシウム(MgF2、屈折率1.38)からなる場合、高屈折率層7の材料としては、屈折率が1.38より高いSOG(代表的な屈折率:1.1〜2.0)、シリカ(SiO)をはじめとするケイ素酸化物(代表的な屈折率:1.45)や酸化マグネシウム(MgO)(代表的な屈折率:1.74)、酸化亜鉛(ZnO)(代表的な屈折率:2.02)をはじめとする酸化物、窒化アルミニウム(AlN)をはじめとする窒化物、アルミニウム酸窒化物(AlON)やケイ素酸窒化物をはじめとする酸窒化物、ポリエチレンナフタレート(PEN(代表的な屈折率:1.77))やメラミン樹脂等をはじめとする高分子化合物樹脂、などから選択して用いることができる。また、これらよりなる多孔質性材料、混合物、また、無機材料の微粒子を透明媒質中に分散させたものなどを用いることができる。
また、低屈性率層5の屈折率が1.38より低い場合には、前記の材料の他に、例えば、フッ化マグネシウム(MgF)(代表的な屈折率:1.38)をはじめとする金属ハロゲン化物、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE(代表的な屈折率:1.35))をはじめとするフッ素系樹脂、ポリメチルメタクリレート(代表的な屈折率:1.49)などからも選択して用いることができる。
高屈折率層7の膜厚が、10nm〜300nmであることが好ましく、20〜100nmであることがより好ましく、30〜60nmであることがさらに好ましい。10nm以下では、高屈折率層の膜厚が薄いため、k’’spが十分に大きくならず、過程1および過程2の経路で金属層6の表面に捕捉される光が一部生じて光取り出し効率が低下する。また300nm以上では、高屈折率層7中を光が導波して光取り出し効率が低下する。
本発明の有機EL素子は、第1電極側(基板、第1電極、有機層および素子外部)に、第2電極側構造によって有機層まで取り出されたSPPモード光を導波モードにすることなく効率的に基板に導くための、凹凸形状、複数のマイクロレンズ、回折格子、フォトニック結晶、反射構造体等の屈折率変調構造や、低屈折率領域と高屈折率領域がランダムに分散した拡散散乱体などの第1電極側構造を用いてもよい。
図5に、図2に示す有機EL素子10の陽極(第1電極)側構造の変形例を示す。図5(a)は基板1と陽極2の間に、互いに屈折率の異なる透光性材料17と18からなる屈折率変調構造を用いる一例である。変調構造が周期性を持つ場合は、回折格子、フォトニック結晶構造として機能し、導波モード光を効率的に取り出すことができる。図5(b)は、陽極2と屈折率の異なる透光性材料17を用いて、同様の屈折率変調構造とする一例である。図5(c)は、互いに屈折率の異なる陽極2と有機層3を用いて、同様の屈折率変調構造とする一例である。図5(d)は、互いに屈折率の異なる有機層3と誘電体層8を用いて、同様の屈折率変調構造とする一例である。図5(e)、図5(f)は、互いに屈折率の異なる有機層3と誘電体層8/陽極2の積層構造、または、互いに屈折率の異なる有機層3と誘電体層8/陽極2/基板1の一部の積層構造を用いて同様の屈折率変調構造とする例である。
なお、屈折率変調構造とは、具体的には、異なる屈折率の物質が素子面内の少なくとも一方向に繰り返して配置されることによりできる複数の屈折率界面が、素子面に対して垂直または垂直に近い構造を意味する。
屈折率変調構造は、周期性を有する構造であっても、周期性を有しない非周期的な構造であってもよい。屈折率変調構造が周期性を有する場合、屈折の効果に加えて、透過型回折格子(以下、単に「回折格子」ということがある)としての回折効果(素子面に対して所定の角度に屈折される効果)や、フォトニック結晶としての効果(特定の周波数の光の面内導波を禁制する効果)によって、導波モード光を素子面に垂直な方向に取り出すことが可能となる。
非周期的な構造の場合は、この第1電極側構造に入射した光がランダムな方向・位相で回折されるため、特定の放射角度光が強め合って放射されることはない。従って、第1電極側にこのような構造を持つことによって、拡散性の高い(角度依存性がなだらかな)配光特性を得ることができる。
つまり、第1電極側構造が周期的な構造の場合は、回折格子による出射光の強め合いの効果により、ある特定の放射角の光強度が強くなる配向特性を得ることができるのに対し、第1電極側構造が非周期的な構造の場合は、拡散性の高い配向特性を得ることができる。そのため、第1電極側構造は、必要とされる配光特性に応じて周期性を有する構造にするか、非周期的な構造にするかを選択することができる。
(画像表示装置)
次に、上記の有機EL素子を備えた画像表示装置100について説明を行う。上記の有機EL素子10を備えた画像表示装置について説明する。また、有機EL素子はボトムエミッション構造でもトップエミッション構造でも良いが、以下ではボトムエミッション構造の例で説明を行う。
図6は、上記の有機EL素子を備えた画像表示装置の一例を説明した図である。
図6に示した画像表示装置100は、いわゆるパッシブマトリクス型の画像表示装置であり、有機EL素子10の他に、陽極配線104、陽極補助配線106、陰極配線108、絶縁膜110、陰極隔壁112、封止プレート116、シール材118とを備えている。
本実施の形態において、有機EL素子10の基板1上には、複数の陽極配線104が形成されている。陽極配線104は、一定の間隔を隔てて平行に配置される。陽極配線104は、透明導電膜により構成され、例えばITOを用いることができる。また陽極配線104の厚さは例えば、100nm〜150nmとすることができる。そして、それぞれの陽極配線104の端部の上には、陽極補助配線106が形成される。陽極補助配線106は陽極配線104と電気的に接続されている。このように構成することにより、陽極補助配線106は、基板1の端部側において外部配線と接続するための端子として機能し、外部に設けられた図示しない駆動回路から陽極補助配線106を介して陽極配線104に電流を供給することができる。陽極補助配線106は、例えば、厚さ500nm〜600nmの金属膜によって構成される。
また、有機EL素子10上には、複数の陰極配線108が設けられている。複数の陰極配線108は、それぞれが平行となるよう、かつ、陽極配線104と直交するように配設されている。陰極配線108には、Al又はAl合金を使用することができる。陰極配線108の厚さは、例えば、100nm〜150nmである。また、陰極配線108の端部には、陽極配線104に対する陽極補助配線106と同様に、図示しない陰極補助配線が設けられ、陰極配線108と電気的に接続されている。よって、陰極配線108と陰極補助配線との間に電流を流すことができる。
更に基板1上には、陽極配線104を覆うように絶縁膜110が形成される。絶縁膜110には、陽極配線104の一部を露出するように矩形状の開口部120が設けられている。複数の開口部120は、陽極配線104の上にマトリクス状に配置されている。この開口部120において、陽極配線104と陰極配線108の間に有機EL素子10が設けられる。すなわち、それぞれの開口部120が画素となる。従って、開口部120に対応して表示領域が形成される。ここで、絶縁膜110の膜厚は、例えば、200nm〜1000nmとすることができ、開口部120の大きさは、例えば、100μm×100μmとすることができる。
有機EL素子10は、開口部120において陽極配線104と陰極配線108の間に位置している。そしてこの場合、有機EL素子10の陽極2が陽極配線104と接触し、陰極4が陰極配線108と接触する。有機EL素子10の厚さは、例えば、150nm〜200nmとすることができる。
絶縁膜110の上には、複数の陰極隔壁112が陽極配線104と垂直な方向に沿って形成されている。陰極隔壁112は、陰極配線108の配線同士が導通しないように、複数の陰極配線108を空間的に分離するための役割を担っている。従って、隣接する陰極隔壁112の間にそれぞれ陰極配線108が配置される。陰極隔壁112の大きさとしては、例えば、高さが2μm〜3μm、幅が10μmのものを用いることができる。
また、基板1は、封止プレート116とシール材118を介して貼り合わせられている。これにより、有機EL素子10が設けられた空間を封止することができ、有機EL素子10が大気中の水分により劣化するのを防ぐことができる。封止プレート116としては、例えば、厚さが0.7mm〜1.1mmのガラス基板を使用することができる。封止プレート116は、素子がボトムエミッション型のように光を基板1側から取り出す場合は、透明でなくてもよい。一方、素子がトップエミッション型のように光を封止プレート116側から取り出す場合は、封止プレート116は発光波長域の少なくとも一部の波長に対して透明である必要がある。
このような構造の画像表示装置100において、図示しない駆動装置により、陽極補助配線106、図示しない陰極補助配線を介して、有機EL素子10に電流を供給し、発光層を発光させることができる。そして基板1から基板1を通し、光を出射させることができる。そして、上述の画素に対応した有機EL素子10の発光、非発光を制御装置により制御することにより、画像表示装置100に画像を表示させることができる。
(照明装置)
次に、上記の有機EL素子を用いた照明装置について説明を行う。上記の有機EL素子10を備えた照明装置について説明する。また、有機EL素子はボトムエミッション構造でもトップエミッション構造でも良いが、以下ではボトムエミッション構造の例で説明を行う。
図7は、上記の有機EL素子10を備える照明装置の一例を説明した図である。
図7に示した照明装置200は、上述した有機EL素子10と、有機EL素子10の基板1上に設置され陽極2(図2参照)に接続される端子202と、陰極4(図2参照)に接続される端子203と、端子202と端子203とに接続し有機EL素子10を駆動するための点灯回路201とから構成される。
点灯回路201は、図示しない直流電源と図示しない制御回路を内部に有し、端子202と端子203を通して、有機EL素子10の陽極層2と陰極4との間に電圧を印加して電流を供給する。そして、有機EL素子10を駆動し、発光層を発光させて、基板1を通して光を出射させ、照明光として利用する。発光層は白色光を出射する発光材料より構成されていてもよく、また緑色光(G)、青色光(B)、赤色光(R)を出射する発光材料を使用した有機EL素子10をそれぞれ複数個設け、その合成光が白色となるようにしてもよい。
(有機EL素子の製造方法)
以下では、本発明の各実施形態の有機EL素子の製造方法についてそれぞれ一例に挙げて説明する。特に言及しなくても、一実施形態の有機EL素子の製造方法の工程や手法を他の実施形態の有機EL素子の製造方法に適用することもできるは言うまでもない。
まず、基板1上に、陽極2を形成する。この陽極2の形成方法は特に限定はされないが、例えば、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法などの乾式プロセスのほか、塗布法など各種の湿式プロセスも用いることができる。
なお、陽極2を形成した後に、陽極2の表面処理を行うことで、オーバーコートされる層の性能(陽極2との密着性、表面平滑性、ホール注入障壁の低減化など)を改善することができる。表面処理の具体的方法としては、高周波プラズマ処理を始めとしてスパッタリング処理、コロナ処理、UVオゾン照射処理、紫外線照射処理、または酸素プラズマ処理などが挙げられる。
更に、陽極2の表面処理の表面処理を行う代わりに、もしくは表面処理に追加して、図示しない陽極バッファ層を形成することで表面処理と同様の効果が期待できる。そして、陽極バッファ層はウェットプロセスにて作製することができ、具体的な成膜方法としてはスピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法、浸漬法、電気化学的方法などが挙げられる。
次に、陽極2の上に、有機層3を形成する。有機層3の形成には従来公知の方法を用いることができ、特に限定はされないが、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法等の方法を用いることができる。
陰極4の形成も陽極2の形成と同様の方法を用いることができ、特に限定されないが、例えば、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法などを用いることができる。
低屈折率層5の形成方法は特に限定されないが、例えば、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法などを用いることができる。
低屈折率層5を、空気層を含んでなる低屈折率層とする場合は、例えば、SOG層を形成した後に、SOG層のうち、フォトリソグラフィを用いて所定箇所だけSOG材料を残すようにSOG層をエッチング除去して、SOG層を除去した部分が空気層となるようにして、低屈折率層を形成する。
高屈折率層7の形成方法は特に限定されないが、例えば、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法などを用いることができる。
金属層6の形成方法には特に限定されないが、例えば、蒸着法、スパッタリングを用いることができる。
また本発明は、ボトムエミッション構造に限定されるものではなく、基板上に反射層6から順に、上述の工程の逆の順に形成してもよい。
以上の工程により、有機EL素子10を製造することができる。これら一連の工程後、有機EL素子10を長期安定的に駆動し、有機EL素子10を外部の水分、酸素等から保護するための保護層や保護カバー(図示せず)を装着することが好ましい。保護層としては、高分子化合物、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物、窒化ケイ素、酸化ケイ素等のシリコン化合物などを用いることができる。また、亜鉛等の比較的イオン化傾向の比較的大きい金属を犠牲層(その後の工程で除去する保護層)として用いることも可能である。そして、これらの積層体も用いることができる。また、保護カバーとしては、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板、金属などを用いることができる。この保護カバーは、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂、フリットガラスで基板1と貼り合わせて密閉する方法を採ることが好ましい。またこの際に、スペーサを用いることで所定の空間を維持することができ、外部からの力により保護カバーが接触し有機EL素子10が傷つくのを防止できるため好ましい。そして、この空間に窒素、アルゴン、ヘリウムのような不活性なガス、またはパーフルオロカーボンなど各種の不活性液体を封入すれば、上側の金属層6の酸化を防止しやすくなる。特にヘリウムを用いた場合、熱伝導が高いため、電圧印加時に有機EL素子10より発生する熱を効果的に保護カバーに伝えることができるため、好ましい。更に酸化バリウム等の乾燥剤をこの空間内に設置することにより上記一連の製造工程で吸着した水分が有機EL素子10にダメージを与えるのを抑制しやすくなる。
本発明の有機EL素子の実施例について以下に説明する。
本発明においては、各実施形態の有機EL素子の光取り出し効率への効果の確認をシミュレーションにより行った。最初に、シミュレーションに用いた有限差分時間領域法(FDTD method:Finite Difference Time Domain Method)について説明する。FDTD法は、電磁界の時間変化を記述するMaxwellの方程式を空間的・時間的に差分化し、空間の各点における電磁界の時間変化を追跡する解析手法である。FDTD法により有機EL素子の光取出し効率を計算するには、発光層における発光を微小ダイポールからの放射と捉えて、その放射の強度を計数する。より具体的には、ダイポールの全放射強度に対する基板まで取り出された光の割合を光取り出し効率として、その振動数依存性を計算する。以降ではこの光取り出し効率を計算した結果をグラフで示す。横軸のλはダイポールの振動数を真空中の波長で表示したもの、縦軸のηは光取り出し効率である。以降の図においても同じである。
計算は、現実に近い発光現象をシミュレートするために、発光源であるダイポールをランダム(ダイポールのモーメントが全ての方向にランダム)として行った。
(実施例1)
図8は、シミュレーションで用いた有機EL素子10のモデル構造を示す断面図である。低屈折率層と金属層の間に、低屈折率層よりも屈折率の高い高屈折率層を備えた第2電極側構造によって、有機層まで取り出されたSPPモード光を導波モードにすることなく効率的に基板に導くために、陽極2側に第1電極側構造の一例である屈折率変調構造を導入した。具体的には、陽極2と有機層3との間に複数の孔部を備えた誘電体層8を設け、有機層3は少なくとも、孔部の内側面を被覆する孔部内側面被覆部を有するものとし、誘電体層8の屈折率は孔部内側面被覆部と異なるものとし、陽極2には、孔部に連通する陽極孔部を設け、有機層3はさらに、陽極孔部の陽極孔部内側面を被覆する陽極孔部内側面被覆部と、誘電体層8及び孔部内側面被覆部と陰極4との間に配置する層状部を有するものとした。
基板1はガラスからなるとして、屈折率としては1.52を用いた。陽極2および陰極4はITOからなるとして、屈折率としては550nmで1.82+0.009iを用い、その他の波長はローレンツモデルで外挿した。また、有機層3の屈折率としては1.72を用いた。また低屈折率層5は、フッ化マグネシウム(MgF)からなるとして屈折率としては屈折率1.38を用いた。また、金属層6は銀(Ag)からなるとして、屈折率としては550nmで0.125+3.34iを用い、その他の波長はドルーデモデルで外挿した。また高屈折率層7は酸化チタン(TiO)からなるとして、屈折率としては550nmで2.13を用い、その他の波長はローレンツモデルで外挿した。
また陽極2側の屈折率変調構造としては、図5(e)の構造(但し、有機層3が層状部を有する)を導入した。なお、誘電体層8は酸化ケイ素(SiO)からなるとして、屈折率としては1.45を用いた。
また、陽極2の層厚、誘電体層8の層厚、有機層3の発光点から誘電体層8までの膜厚方向の距離はそれぞれ、150nm、120nm、80nmとした。その他の層の層厚に関しては、以下の検討で種々変化させた。
また、有機EL素子10の屈折率変調構造において、誘電体層8の孔部および陽極2の陽極孔部が連通する孔は、平面視形状が円形であり、連通する孔が正方格子状に配列するものとし、隣接する陽極孔部の中心間の距離を1000nm、陽極孔部の間隙幅を400nm、陽極孔部の直径を600nmとした。電流は陽極孔部を流れるため、本実施例では陽極孔部の中心(図8の星印の箇所)を発光点とした。
また、比較のため、高屈折率層7を導入しないOtto型配置の有機EL素子90についても光取り出し効率を計算した。これらのOtto型配置の有機EL素子90も、実施例の有機EL素子10と同じ屈折率変調構造を備えるものとした。
実施例1では、図9(a)〜(c)のように、高屈折率層7の膜厚を30nmで一定とし、低屈折率層5の膜厚を変化させた。さらに比較のために、図9(d)〜(f)のように、高屈折率層7を導入しないOtto型配置の有機EL素子90の光取り出し効率も計算した。ただし図9(a)〜(f)では陽極2側の第1電極側構造は図示せず、発光点から金属層6までの構成のみを抜き出して描いてある。
ここで、図9(a)と図9(d)は高屈折率層7を有しているか否かの違いを有しているが、有機層3の発光点から金属層6までの光学距離(距離に屈折率の実部をかけた値)が同じとなっている。そのため図9(a)と図9(d)は光学的には、発光点から陽極側へ直接放射する光と、発光点から陰極側へ放射されたあと金属層6に反射されて陽極側へ進む光とによって素子内に生じる干渉パターン形状はほぼ同一である。同様の理由で、図9(b)と図9(e)、図9(c)と図9(f)はそれぞれ光学距離を同一としつつ、高屈折率層7を有しているか否かの違いを有している。
具体的には、金属層6、陰極4の膜厚は図9(a)〜(f)の全ての素子で、それぞれ100nm、50nmとした。低屈折率層5の層厚と有機層3の発光点から陰極4までの最短距離は、図9(a)〜(f)に示すとおりである。
図10は、図9で示した有機EL素子10の光取り出し効率を、FDTD法を用いてコンピューターシュミレーションで求めた結果を示す。図の符号は、それぞれ図9の符号の有機EL素子10の光取り出し効率の結果に対応する。
図10のグラフの(a)と(d)を比較すると、高屈折率層7を有しない(d)に比べ、高屈折率層7を有する(a)の光取り出し効率が向上していることが確認できる。同様に、(b)と(e)を比較すると(b)が、(c)と(f)を比較すると(c)が光取り出し効率が向上していることが分かる。つまり、同一の光学距離を有する場合において、高屈折率層7を導入することにより、光をロスすることなく効率的に光を取り出すことができるようになることが分かる。
(実施例2)
実施例2では、図11(a)〜(c)のように、低屈折率層5の膜厚を100nmで一定とし、高屈折率層7の膜厚を変化させた。さらに比較のために、図11(d)〜(f)のように、高屈折率層7を導入しないOtto型配置の有機EL素子90の光取り出し効率も計算した。ただし図11(a)〜(f)では陽極2側の第1電極側構造は図示せず、発光点から金属層6までの構成のみを抜き出して描いてある。
ここで、図11(a)と図11(d)は、有機層3の発光点から金属層6までの光学距離(距離に屈折率の実部をかけた値)が同じとなっているが、高屈折率層7を有しているか否かの違いを有している。同様に、図11(b)と図11(e)、図11(c)と図11(f)はそれぞれ光学距離を同一としているが、高屈折率層7を有しているか否かの違いを有している。
具体的には、金属層6、陰極4の膜厚は図11(a)〜(f)の全ての素子で、それぞれ100nm、50nmとした。高屈折率層7の層厚を図11(a)〜(c)において、それぞれ30nm、45nm、60nmと変化させた。また低屈折率層5の層厚と有機層3の発光点から陰極4までの最短距離は、図11(a)〜(f)に示すとおりである。
図12は、図11で示した有機EL素子10の光取り出し効率を、FDTD法を用いてコンピューターシュミレーションで求めた結果を示す。図の符号は、それぞれ図12の符号の有機EL素子10の光取り出し効率の結果に対応する。
図12のグラフの(a)と(d)を比較すると、高屈折率層7を有する(a)が光取り出し効率が向上していることが確認できる。同様に、(b)と(e)を比較すると(b)が、(c)と(f)を比較すると(c)が光取り出し効率が向上していることが分かる。つまり、同一の光学距離を有する場合において、高屈折率層7を導入することにより、光をロスすることなく効率的に光を取り出すことができることが分かる。
また高屈折率層7の膜厚が30nmの(a)が(b)および(c)と比較して、光取り出し効率が向上している。これは30nmあれば、金属層6でのSPPモード光による光の捕捉を十分に抑制することができ、かつ高屈折率層7内を導波する光を少なくすることができるためと考えられる。
(実施例3)
実施例3では、図8において陰極4を銀(Ag)からなるとした以外は実施例1と同様に高屈折率層7を一定にして低屈折率層5の層厚を変化させて計算を行った。なお陰極4は、屈折率としては550nmで0.125+3.34iを用い、その他の波長はドルーデモデルで外挿した。
また高屈折率層7の膜厚を図13(a)〜(c)のように、30nmで一定とし、低屈折率層5の膜厚を変化させた時の、それぞれの光取り出し効率を計算したグラフである。さらに比較のために、図13(d)〜(f)のように、高屈折率層7を導入しないOtto型配置の有機EL素子90の光取り出し効率も計算した。ただし図13(a)〜(f)では陽極2側の第1電極側構造は図示せず、発光点から金属層6までの構成のみを抜き出して描いてある。
ここで、図13(a)と図13(d)は、有機層3の発光点から金属層6までの光学距離(距離に屈折率の実部をかけた値)が同じとなっているが、高屈折率層7を有しているか否かの違いを有している。同様に、図13(b)と図13(e)、図13(c)と図13(f)はそれぞれ光学距離を同一としているが、高屈折率層7を有しているか否かの違いを有している。
具体的には、金属層6、陰極4の膜厚は図13(a)〜(f)の全ての素子で、それぞれ100nm、15nmとした。低屈折率層5の層厚と有機層3の発光点から陰極4までの最短距離は、図13(a)〜(f)に示すとおりである。
図14は、図13で示した有機EL素子10の光取り出し効率を、FDTD法を用いてコンピューターシュミレーションで求めた結果を示す。図の符号は、それぞれ図13の符号の有機EL素子10の光取り出し効率の結果に対応する。
図14のグラフの(a)と(d)を比較すると、高屈折率層7を有する(a)が光取り出し効率が向上していることが確認できる。同様に、(b)と(e)を比較すると(b)が、(c)と(f)を比較すると(c)が光取り出し効率が向上していることが分かる。つまり、同一の光学距離を有する場合において、高屈折率層7を導入することにより、光をロスすることなく効率的に光を取り出すことができることが分かる。
(実施例4)
実施例4では、実施例3と同様に、図8において陰極4を銀(Ag)からなるとした以外は実施例2と同様に低屈折率層5を一定にして高屈折率層7の層厚を変化させて計算を行った。
実施例4では、低屈折率層5の膜厚を図15(a)〜(c)のように、130nmで一定とし、高屈折率層7の膜厚を変化させた時の、それぞれの光取り出し効率を計算したグラフである。さらに比較のために、図15(d)〜(f)のように、高屈折率層7を導入しないOtto型配置の有機EL素子90の光取り出し効率も計算した。ただし図15(a)〜(f)では陽極2側の第1電極側構造は図示せず、発光点から金属層6までの構成のみを抜き出して描いてある。
ここで、図15(a)と図15(d)は、有機層3の発光点から金属層6までの光学距離(距離に屈折率の実部をかけた値)が同じとなっているが、高屈折率層7を有しているか否かの違いを有している。同様に、図15(b)と図15(e)、図15(c)と図15(f)はそれぞれ光学距離を同一としているが、高屈折率層7を有しているか否かの違いを有している。
具体的には、金属層6、陰極4の膜厚は図15(a)〜(f)の全ての素子で、それぞれ100nm、15nmとした。高屈折率層7の層厚を図15(a)〜(c)において、それぞれ30nm、45nm、60nmと変化させた。また低屈折率層5の層厚と有機層3の発光点から陰極4までの最短距離は、図15(a)〜(f)に示すとおりである。
図16は、図15で示した有機EL素子10の光取り出し効率を、FDTD法を用いてコンピューターシュミレーションで求めた結果を示す。図の符号は、それぞれ図15の符号の有機EL素子10の光取り出し効率の結果に対応する。
図16のグラフの(a)と(d)を比較すると、高屈折率層7を有する(a)が光取り出し効率が向上していることが確認できる。同様に、(b)と(e)を比較すると(b)が、(c)と(f)を比較すると(c)が光取り出し効率が向上していることが分かる。つまり、同一の光学距離を有する場合において、高屈折率層7を導入することにより、光をロスすることなく効率的に光を取り出すことができることが分かる。
これらの結果から、低屈折率層5および高屈折率層7の膜厚を変更しても、陰極4の材料を変更しても、いずれの場合においても、高屈折率層7を導入する第2電極側構造により、光取り出し効率が向上していることが分かる。
10、90 有機EL素子
1、91 基板
2、92 陽極
3、93 有機層
4、94 陰極
5、95 低屈折率層
6、96 金属層
7 高屈折率層
8 誘電体層
17、18 透光性材料
100 画像表示装置
104 陽極配線
106 陽極補助配線
108 陰極配線
110 絶縁膜
112 陰極隔壁
116 封止プレート
118 シール材
120 開口部
200 照明装置
201 点灯回路
202 端子
203 端子

Claims (10)

  1. 第1電極と、発光層を含む有機層と、第2電極と、低屈折率層と、高屈折率層と、金属層とを順に具備する有機EL素子であって、
    前記第2電極は透光性導電材料からなり、
    前記高屈折率層の屈折率が前記低屈折率層の屈折率よりも高いことを特徴とする有機EL素子。
  2. 前記高屈折率層の屈折率が、前記有機層よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
  3. 前記高屈折率層の膜厚が、10〜300nmであることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の有機EL素子。
  4. 前記低屈折率層の屈折率はさらに、前記有機層の屈折率よりも低いことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機EL素子。
  5. 前記低屈折率層の屈折率は、前記第2電極の屈折率よりも低いことを特徴とする請求項4に記載の有機EL素子。
  6. 前記第1電極の有機層と反対側に、屈折率変調構を造有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機EL素子。
  7. 前記屈折率変調構造が、回折格子、レンズ、フォトニック結晶のいずれかであることを特徴とする請求項6に記載の有機EL素子。
  8. 前記第1電極の有機層と反対側に、拡散散乱体を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機EL素子。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の有機EL素子を備えたことを特徴とする画像表示装置。
  10. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の有機EL素子を備えたことを特徴とする照明装置。
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