JP2015089070A - 文書ファイルに対する情報埋め込み装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 原文書の品質の劣化を抑えつつ、文字や画像など大容量のデータを不可視の状態で埋め込むことができ、専用抽出ツールを使用せず一般に普及している閲覧ソフトウェアだけで埋め込まれている情報を抽出可能な文書ファイルに対する情報埋め込み装置を提供する。
【解決手段】 文書ファイル内のあらかじめベクトル画像が配置されている画像領域内に、ラスター画像または文字コード形式の付加情報を配置する付加情報配置手段10と、付加情報の表示優先度をあらかじめ配置されているベクトル画像の表示優先度より下げて下位に配置するように変更する表示優先度変更手段20と、埋め込み後の文書ファイル閲覧時に、付加情報が抽出可能になり、ベクトル画像は抽出不能になるように、表示優先度変更手段20により表示優先度が変更された文書ファイルを所定の形式の埋め込み文書ファイルに変換する文書形式変換手段30を備える。
【選択図】 図2
【解決手段】 文書ファイル内のあらかじめベクトル画像が配置されている画像領域内に、ラスター画像または文字コード形式の付加情報を配置する付加情報配置手段10と、付加情報の表示優先度をあらかじめ配置されているベクトル画像の表示優先度より下げて下位に配置するように変更する表示優先度変更手段20と、埋め込み後の文書ファイル閲覧時に、付加情報が抽出可能になり、ベクトル画像は抽出不能になるように、表示優先度変更手段20により表示優先度が変更された文書ファイルを所定の形式の埋め込み文書ファイルに変換する文書形式変換手段30を備える。
【選択図】 図2
Description
本発明は、PDF(Portable Document Format:登録商標)等の文書ファイルに情報を埋め込む技術に関する。
近年、PDF文書ファイルは契約書など公的文書としても活用されるようになり、電子的に捺印を行ったり、文書に暗号化を施し開封、印刷、編集などをパスワードで制御したりするセキュリティ機能が付加可能になっている。しかし、一旦パスワードが入手され開封可能になると無尽蔵に複製が作られてしまうという問題が起こり得るため、電子透かしによるトラッキングも必要になる。PDF文書に可視の電子透かしを埋め込む技術も開発されているが(特許文献1参照)、不可視の電子透かしを埋め込む技術は開発されておらず、レイアウトする個々の画像そのものに不可視の電子透かしを埋め込むしか手段がなかった。
PDF文書に不可視の情報を付加する方法として、透明テキストを配置する方法があるが(特許文献2参照)、配置可能なテキストはPDF内に配置されたラスター形式文字データに対してOCR処理により認識された文字列に限定されるという問題があった。また、PDF文書に添付ファイルとして画像データや文書データを添付できるが、PDFリーダー等の閲覧ソフトウェア上で添付されていることが明示されるため、不可視の状態で埋め込まれているとはいえない。
一方、画像やテキストに対する不可視の電子透かし技術においては、原コンテンツの品質に改変および劣化を加えるという問題、埋め込み情報量に制約があり画像データなど大容量のデータの埋め込みが困難であるという問題、埋め込み方式に対応した専用抽出ソフトを入手できないと抽出が不可能であるという問題があった。
そこで、本発明は、原文書の品質の劣化を抑えつつ、文字や画像など大容量のデータを不可視の状態で埋め込むことができ、専用抽出ツールを使用せず一般に普及している閲覧ソフトウェアだけで埋め込まれている情報を抽出可能な文書ファイルに対する情報埋め込み装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明第1の態様では、ベクトル画像が配置された文書ファイルに対して、ラスター画像または文字コード形式の文字の少なくとも一方を含む付加情報を不可視の状態で記録する装置であって、前記文書ファイル内のあらかじめベクトル画像が配置されている画像領域内に、前記付加情報を配置する付加情報配置手段と、前記付加情報の表示優先度をあらかじめ配置されているベクトル画像の表示優先度より下げて下位に配置するように変更する表示優先度変更手段と、埋め込み後の文書ファイル閲覧時に、前記付加情報が抽出可能になり、前記ベクトル画像が抽出不能になるように、前記表示優先度変更手段により表示優先度が変更された文書ファイルを所定の形式に変換する文書形式変換手段と、を備えることを特徴とする文書ファイルに対する情報埋め込み装置を提供する。
本発明第1の態様によれば、文書ファイル内のあらかじめベクトル画像が配置されている画像領域内に、ラスター画像または文字コード形式の付加情報を配置し、付加情報の表示優先度をあらかじめ配置されているベクトル画像の表示優先度より下げて下位に配置するように変更し、埋め込み後の文書ファイル閲覧時に、付加情報が抽出可能になり、ベクトル画像が抽出不能になるように、文書ファイルを所定の形式に変換するようにしたので、原文書の品質の劣化を抑えつつ、ベクトル画像の下位にラスター画像や文字コードを不可視の状態で埋め込むことができ、専用抽出ツールを使用せず一般に普及している閲覧ソフトウェアにより、埋め込まれているラスター画像や文字コードを抽出可能にする。
また、本発明第2の態様では、本発明第1の態様の文書ファイルに対する情報埋め込み装置において、前記付加情報配置手段は、前記文書ファイル内に、ベクトル形式への変換が指定された画像が存在する場合に、当該画像を、ベクトル形式に変換して前記ベクトル画像を得ることを特徴とする。
本発明第2の態様によれば、文書ファイル内に、ベクトル形式への変換が指定された画像が存在する場合に、当該画像を、ベクトル形式に変換してベクトル画像を得るようにしたので、閲覧時に、元の文書ファイルに存在したラスター形式等の画像が抽出されることを防ぐことができる。
また、本発明第3の態様では、本発明第1または第2の態様の文書ファイルに対する情報埋め込み装置において、前記ベクトル画像は、背景色と同一色で均一に塗りつぶされたものであることを特徴とする。
本発明第3の態様によれば、文書ファイル内に配置されたベクトル画像が背景色と同一色で均一に塗りつぶされたものであるので、閲覧者にとっては、背景に付加情報が隠されたような状態となり、付加情報の存在を知る者のみが、閲覧ソフトウェアにより、埋め込まれているラスター画像や文字コードを抽出可能となる。
また、本発明第4の態様では、文字が配置された文書ファイルに対して、文字コード形式の付加情報を不可視の状態で記録する装置であって、前記文書ファイル内のあらかじめ文字が配置されている文字領域を包含する文字領域に、前記付加情報を前記文書ファイルの背景色で配置する付加情報配置手段と、前記付加情報の表示優先度をあらかじめ配置されている文字の表示優先度より下げて下位に配置するように変更する表示優先度変更手段と、埋め込み後の文書ファイル閲覧時に、前記付加情報が抽出可能になり、あらかじめ配置されている文字が抽出不能になるように、前記表示優先度変更手段により表示優先度が変更された文書ファイルを所定の形式に変換する文書形式変換手段と、を備えることを特徴とする文書ファイルに対する情報埋め込み装置を提供する。
本発明第4の態様によれば、文書ファイル内のあらかじめ文字が配置されている文字領域を包含する文字領域に、文字コード形式の付加情報を文書ファイルの背景色で配置し、付加情報の表示優先度をあらかじめ配置されている文字の表示優先度より下げて配置するように変更し、埋め込み後の文書ファイル閲覧時に、付加情報が抽出可能になり、あらかじめ配置されている文字が抽出不能になるように、文書ファイルを所定の形式に変換するようにしたので、原文書の品質の劣化を抑えつつ、文字の下に文字コード形式の付加情報を不可視の状態で埋め込むことができ、専用抽出ツールを使用せず一般に普及している閲覧ソフトウェアにより、文字を複製しようとした際、埋め込まれている文字コードを抽出可能にする。文字コード形式の付加情報を文書ファイルの背景色とすることにより、文字が重なっていても、閲覧時には、付加情報は背景に溶け込み見えなくなる。
また、本発明第5の態様では、文字が配置された文書ファイルに対して、文字コード形式の付加情報を不可視の状態で記録する装置であって、前記文書ファイル内のあらかじめ文字が配置されている文字領域に包含される文字領域に、前記付加情報を前記文書ファイルの背景色で配置する付加情報配置手段と、前記付加情報の表示優先度をあらかじめ配置されている文字の表示優先度より下げて下位に配置するように変更する表示優先度変更手段と、埋め込み後の文書ファイル閲覧時に、前記付加情報が抽出不能になり、あらかじめ配置されている文字が抽出可能になるように、前記表示優先度変更手段により表示優先度が変更された文書ファイルを所定の形式に変換する文書形式変換手段と、を備えることを特徴とする文書ファイルに対する情報埋め込み装置を提供する。
本発明第5の態様によれば、文書ファイル内のあらかじめ文字が配置されている文字領域に包含される文字領域に、文字コード形式の付加情報を文書ファイルの背景色で配置し、付加情報の表示優先度をあらかじめ配置されている文字の表示優先度より下げて配置するように変更し、埋め込み後の文書ファイル閲覧時に、付加情報が抽出不能になり、あらかじめ配置されている文字が抽出可能になるように、文書ファイルを所定の形式に変換するようにしたので、原文書の品質の劣化を抑えつつ、文字の下に文字コード形式の付加情報を抽出不能とすることができ、専用抽出ツールを使用せず一般に普及している閲覧ソフトウェアにより、文字を複製しようとした際、表示されている文字コードを抽出可能にする。文字コード形式の付加情報を文書ファイルの背景色とすることにより、文字が重なっていても、閲覧時には、付加情報は背景に溶け込み見えなくなる。
また、本発明第6の態様では、ラスター画像が配置された文書ファイルに対して、ラスター画像形式の付加情報を不可視の状態で記録する装置であって、前記付加情報を、あらかじめラスター画像が配置されている画像領域と少なくとも一部が重なるように、配置する付加情報配置手段と、前記付加情報の表示優先度をあらかじめ配置されているラスター画像の表示優先度より下げて下位に配置させるように変更するとともに、前記ラスター画像を複数の領域に分割する表示優先度変更手段と、埋め込み後の文書ファイル閲覧時に、前記複数の領域に分割されたラスター画像が抽出可能になるように、前記表示優先度変更手段により表示優先度が変更された文書ファイルを所定の形式に変換する文書形式変換手段と、を備えることを特徴とする文書ファイルに対する情報埋め込み装置を提供する。
本発明第6の態様によれば、ラスター画像形式の付加情報を、あらかじめラスター画像が配置されている画像領域と少なくとも一部が重なるように配置し、付加情報の表示優先度をあらかじめ配置されているラスター画像の表示優先度より下げて配置させるように変更するとともに、ラスター画像を複数の領域に分割し、埋め込み後の文書ファイル閲覧時に、複数の領域に分割されたラスター画像が抽出可能になるように、文書ファイルを所定の形式に変換するようにしたので、原文書の品質の劣化を抑えつつ、ラスター画像の下にラスター画像を不可視の状態で埋め込むことができ、専用抽出ツールを使用せず一般に普及している閲覧ソフトウェアにより、既配置のラスター画像の抽出を困難にする。
また、本発明第7の態様では、ベクトル画像、ラスター画像、文字の3種のオブジェクトが利用可能であって、異種または同種の少なくとも2つ以上のオブジェクトを、表示優先度を設定して重ねて記録可能であり、指定された位置に対応する表示優先度の異なる複数のオブジェクトを抽出可能な文書ファイルであって、表示用の情報が表示優先度の最も高いオブジェクトとして記録され、不可視の状態で埋め込まれる付加情報が、前記表示用の情報より低い表示優先度のオブジェクトとして記録されていることを特徴とする埋め込み文書ファイルを提供する。
本発明第7の態様によれば、ベクトル画像、ラスター画像、文字の3種のオブジェクトが利用可能であって、異種または同種の少なくとも2つ以上のオブジェクトを、表示優先度を設定して重ねて記録可能であり、指定された位置に対応する表示優先度の異なる複数のオブジェクトを抽出可能な文書ファイルであって、表示用の情報が表示優先度の最も高いオブジェクトとして記録され、不可視の状態で埋め込まれる付加情報が、前記表示用の情報より低い表示優先度のオブジェクトとして記録されているので、表示されたオブジェクトを選択することにより、不可視の状態で埋め込まれた付加情報が取得され、利用者に予期せぬ驚きや注意を与えることが可能となる。
本発明によれば、原文書の品質の劣化を抑えつつ、文字や画像など大容量のデータを不可視の状態で埋め込むことができ、専用抽出ツールを使用せず一般に普及している閲覧ソフトウェアだけで埋め込まれている情報を抽出することが可能となる。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
<1.装置構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る文書ファイルに対する情報埋め込み装置のハードウェア構成図である。本実施形態に係る文書ファイルに対する情報埋め込み装置は、汎用のコンピュータで実現することができ、図1に示すように、CPU(Central Processing Unit)1と、コンピュータのメインメモリであるRAM(Random Access Memory)2と、CPU1が実行するプログラムやデータを記憶するためのハードディスク、フラッシュメモリ等の大容量の記憶装置3と、キーボード、マウス等のキー入力I/F(インターフェース)4と、データ記憶媒体等の外部装置とデータ通信するためのデータ入出力I/F(インターフェース)5と、液晶ディスプレイ等の表示デバイスである表示部6と、を備え、互いにバスを介して接続されている。
<1.装置構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る文書ファイルに対する情報埋め込み装置のハードウェア構成図である。本実施形態に係る文書ファイルに対する情報埋め込み装置は、汎用のコンピュータで実現することができ、図1に示すように、CPU(Central Processing Unit)1と、コンピュータのメインメモリであるRAM(Random Access Memory)2と、CPU1が実行するプログラムやデータを記憶するためのハードディスク、フラッシュメモリ等の大容量の記憶装置3と、キーボード、マウス等のキー入力I/F(インターフェース)4と、データ記憶媒体等の外部装置とデータ通信するためのデータ入出力I/F(インターフェース)5と、液晶ディスプレイ等の表示デバイスである表示部6と、を備え、互いにバスを介して接続されている。
図2は、本実施形態に係る文書ファイルに対する情報埋め込み装置の構成を示す機能ブロック図である。図2において、10は付加情報配置手段、20は表示優先度変更手段、30は文書形式変換手段、40は文書ファイル記憶手段、50は付加情報記憶手段、60は埋め込み文書ファイル記憶手段である。
付加情報配置手段10は、文書ファイル内の指定された位置に、付加情報記憶手段50内の指定された付加情報を配置する。付加情報とは、本来記録されていた情報に付加して文書ファイルに埋め込まれる文字や画像情報である。本実施形態では、付加情報として、文字は文字コード形式、画像はラスター(ビットマップ)形式のものを用いている。表示優先度変更手段20は、付加情報の表示優先度を他の配置対象物より下げて配置させるように変更する。文書形式変換手段30は、付加情報を埋め込んだ文書ファイルの形式を変換して、所定の形式の埋め込み文書ファイルを作成する。
文書ファイル記憶手段40は、コンピュータで処理可能な文書ファイルを記憶した記憶手段であり、記憶装置3により実現される。付加情報記憶手段50は、文書ファイルに埋め込むための付加情報を記憶した記憶手段であり、記憶装置3により実現される。埋め込み文書ファイル記憶手段60は、元の文書ファイルに対して付加情報の埋め込み処理が行われ、文書形式の変換が行われた埋め込み文書ファイルを記憶する記憶手段であり、記憶装置3により実現される。埋め込み文書ファイルとしては、様々な形式のものが利用可能であるが、本実施形態では、汎用的なフォーマットであるPDF形式を用いている。付加情報配置手段10、表示優先度変更手段20、文書形式変換手段30は、CPU1が、記憶装置3に記憶されているプログラムを実行することにより実現される。
図2に示した各構成手段は、現実には図1に示したように、コンピュータおよびその周辺機器等のハードウェアにプログラムを搭載することにより実現される。すなわち、コンピュータが、プログラムに従って各手段の内容を実行することになる。なお、本明細書において、コンピュータとは、CPU等の演算処理部を有し、データ処理が可能な装置を意味する。
図1に示した記憶装置3には、CPU1を動作させ、コンピュータを、文書ファイルに対する情報埋め込み装置として機能させるためのプログラムが実装されている。このプログラムを実行することにより、CPU1は、付加情報配置手段10、表示優先度変更手段20、文書形式変換手段30としての機能を実現することになる。また、記憶装置3は、文書ファイル記憶手段40、付加情報記憶手段50、埋め込み文書ファイル記憶手段60として機能するだけでなく、文書ファイルに対する情報埋め込み装置としての処理に必要な様々なデータを記憶する。
<2.処理動作>
次に、図1、図2に示した文書ファイルに対する情報埋め込み装置の処理動作について説明する。図3は、本発明の一実施形態に係る文書ファイルに対する情報埋め込み装置の処理概要を示すフローチャートである。まず、付加情報配置手段10が、付加情報を配置する処理を行う(ステップS10)。具体的には、まず、キー入力I/F4を介した利用者の指示に従い、文書ファイルに対する情報埋め込み装置は、文書ファイル記憶手段40から指定された文書ファイルを読み込む。
次に、図1、図2に示した文書ファイルに対する情報埋め込み装置の処理動作について説明する。図3は、本発明の一実施形態に係る文書ファイルに対する情報埋め込み装置の処理概要を示すフローチャートである。まず、付加情報配置手段10が、付加情報を配置する処理を行う(ステップS10)。具体的には、まず、キー入力I/F4を介した利用者の指示に従い、文書ファイルに対する情報埋め込み装置は、文書ファイル記憶手段40から指定された文書ファイルを読み込む。
図4に、付加情報埋め込み前の文書ファイルの一例を示す。図4は、文書ファイル内のある1ページを表示部6に表示させた場合の、オブジェクトの配置状態を示している。図4の例では、4つのオブジェクトが配置されている。4つのオブジェクトとして、左上と右上には文字列が配置され、左下にはベクトル画像、右下にはラスター画像が配置されている。なお、4つの矩形は、それぞれベクトル画像やラスター画像が配置された画像領域、文字列が配置された文字領域を示している。画像領域は、基本的には、配置される画像と同サイズであるが、文字領域は、配置される文字列の外形に所定の幅を加えたサイズとなっている。図4に表示されている既配置の文字列、ベクトル画像およびラスター画像は、埋め込むための情報ではなく、表示や印刷され、利用者に情報を伝えるためのものである。
図4に示した文書ファイルは、公知の種々の形式で作成することができる。例えば、MS-Word(登録商標)、PowerPoint(登録商標)、Illustrator(登録商標)、InDesign(登録商標)等の形式のものを利用可能である。
ステップS10の付加情報の配置は、既に配置されているオブジェクト、付加情報として埋め込まれるオブジェクトに応じて様々な形態がある。ここでは、既に配置されているオブジェクトと、付加情報として埋め込まれるオブジェクトの組合せに応じた4つの例をステップS11〜ステップS14として説明する。
まず、ベクトル画像に重ねてラスター画像の配置を行う(ステップS11)。付加情報として埋め込むラスター画像は、付加情報記憶手段50に記録されている画像ファイルより取得する。ラスター画像配置後の文書ファイルの状態を図5に示す。図5左下に示すように、既配置のベクトル画像の上に付加情報記憶手段50より取得したラスター画像を配置する。具体的にはキー入力I/F4を介して正確な配置位置を指定した後、配置指示を行うと、付加情報配置手段10は、付加情報記憶手段50より取得したラスター画像を文書ファイル内で指定された位置に配置する。図5の例では、ラスター画像が配置されている画像領域は、ベクトル画像が配置されている画像領域よりも小さく、ベクトル画像が配置されている画像領域に完全に収まるようになっている。
次に、文字列に重ねてより大きな領域を占める文字列の配置を行う(ステップS12)。付加情報として埋め込む文字列は、文字コード形式の付加情報である。ステップS12においては、既配置の文字列が配置されている文字領域を包含する領域に、付加情報である文字列を配置する。ここでは、特に付加情報として背景同色文字列を配置するものとする。背景同色文字列とは、文書ファイルの背景色と同一色の文字列であって、文字列が配置されている文字領域も背景色と同一色としたものである。付加情報として背景色と同一色でない文字列を埋め込むと、既配置の文字列との双方が重なって表示されてしまい、読み難くなる。
付加情報である文字列の配置後の文書ファイルの状態を図6に示す。図6左上に示すように、既配置の文字列の上に付加情報記憶手段50より取得した背景同色文字列を配置する。具体的にはキー入力I/F4を介して正確な配置位置を指定した後、配置指示を行うと、付加情報配置手段10は、付加情報記憶手段50より取得した背景同色文字列を文書ファイル内で指定された位置に配置する。図6の例では、背景同色文字列が配置されている文字領域は、既配置の文字列が配置されている文字領域よりも大きく、既配置の文字列が配置されている文字領域を包含するようになっている。背景同色文字列を配置した状態で、既配置の文字列は背景同色文字列に完全に隠れるため、図6において、既配置の文字列の存在領域を破線で示している。なお、上述のように、背景同色文字列は、文字領域も背景と同一色であるため、実際には、実線で示した矩形の形状も認識することはできず、既配置の文字列と背景同色文字列が背景に溶け込むことになる。
次に、文字列に重ねてより小さな領域を占める文字列の配置を行う(ステップS13)。ステップS13においては、既配置の文字列が配置されている文字領域に包含される文字領域に、付加情報である文字列を配置する。ここでも、ステップS12と同様、付加情報として背景同色文字列を配置するものとする。付加情報である文字列の配置後の文書ファイルの状態を図7に示す。図7右上に示すように、既配置の文字列の上に付加情報記憶手段50より取得した背景同色文字列を配置する。具体的にはキー入力I/F4を介して正確な配置位置を指定した後、配置指示を行うと、付加情報配置手段10は、付加情報記憶手段50より取得した背景同色文字列を文書ファイル内で指定された位置に配置する。図7の例では、背景同色文字列が配置されている文字領域は、既配置の文字列が配置されている文字領域よりも小さく、既配置の文字列が配置されている文字領域に包含されるようになっている。なお、上述のように、背景同色文字列は、文字領域も背景と同一色であるため、実際には、実線で示した背景同色文字列を示す矩形内の部分が背景と同色で表示される。
続いて、ラスター画像に重ねてラスター画像の配置を行う(ステップS14)。ステップS11と同様、付加情報として埋め込むラスター画像は、付加情報記憶手段50に記録されている画像ファイルより取得する。ラスター画像配置後の文書ファイルの状態を図8に示す。図8右下に示すように、既配置のラスター画像の上に付加情報記憶手段50より取得したラスター画像を配置する。具体的にはキー入力I/F4を介して正確な配置位置を指定した後、配置指示を行うと、付加情報配置手段10は、付加情報記憶手段50より取得したラスター画像を文書ファイル内で指定された位置に配置する。図8の例では、付加情報として埋め込むラスター画像が配置されている画像領域は、既配置のラスター画像が配置されている画像領域よりも小さく、既配置のラスター画像が配置されている画像領域に包含されるようになっている。
ここでは、付加情報を配置する処理(ステップS10)として、4つの態様を示し、ベクトル画像に重ねてラスター画像の配置(ステップS11)、文字列に重ねてより大きな領域を占める文字列の配置(ステップS12)、文字列に重ねてより小さな領域を占める文字列の配置(ステップS13)、ラスター画像に重ねてラスター画像の配置(ステップS14)の順で処理を行ったが、上記ステップS11〜S14の処理は、どのような順序で行っても良い。また、S11〜S14の処理は、全て行う必要はなく、1つ以上行えば良い。
次に、配置した付加情報の表示優先度変更を行う(ステップS20)。具体的には、まず、利用者が、図8に示したように付加情報が全て配置された状態で、表示優先度変更の指示を行う。すると、表示優先度変更手段20は、配置された付加情報の表示優先度を、既に配置されていた文字列、ベクトル画像、ラスター画像のオブジェクトより下げて下位に配置させるように変更する。したがって、既に配置されていた文字列、ベクトル画像、ラスター画像のオブジェクトは、表示優先度が上がり、上位に配置される。表示優先度変更後の文書ファイルの状態を図9に示す。図9において、破線で囲んだ部分は、他のオブジェクトにより隠れている部分を示す。図8と比較するとわかるように、図9では、付加情報は、表示優先度が低い状態に変更され、他のオブジェクトにより隠された状態となっている。
図9に示すように、右下のラスター画像同士を重ねた部分では、表示優先度が高くなるように変更された既配置のラスター画像が横3×縦2の6つの領域に分割されている。これは、ステップS20において表示優先度変更手段20により行われる。具体的には、ラスター画像同士が重なっていて、その表示優先度を変更する場合、表示優先度変更手段20は、高い表示優先度に変更するラスター画像を、設定された所定数の領域に分割する。そして、分割された各ラスター画像を同一の表示優先度に設定する。このようにして、ラスター画像同士が重なった場合には、既配置のラスター画像が分割されて表示されることになる。ただし、分割境界線を視認できないため、見かけ上は分割されている状態を認識できない。何個の領域に分割するかについては、事前に設定しておくことができる。
図9左下では、ベクトル画像とラスター画像が重なっているが、PDFリーダーでは、ベクトル画像を選択、抽出することができない。このため、本実施形態では、表示優先度が高くなるラスター画像を、ベクトル画像に変換することができるようになっている。具体的には、付加情報配置手段10は、文書ファイル記憶手段40から、文書ファイルを読み込んだ際、ベクトル形式に変換することが指定されたラスター画像が存在した場合には、そのラスター画像を、ベクトル画像に変換する。ラスター画像からベクトル画像への変換の手法は、公知の様々な手法を用いることができる。本実施形態では、付加情報配置手段10は、元のラスター画像を粗い画素の表現に変換し、さらに変換後の各画素を、その画素の色で塗りつぶされた正方形ベクトルデータに変換する。この正方形ベクトルデータとしてはEPS(Encapsulated Post Script)形式を用いることができる。この結果、元のラスター画像は、ベクトル画像の一種であるEPS画像に変換される。文書ファイル記憶手段40から読み込まれた文書ファイルのうち、指定されたラスター画像については、このようにベクトル画像への変換が行われ、図4左下に示したような既配置のベクトル画像とすることができる。このようにして、抽出されたくないラスター画像をベクトル画像に変換しておくことにより、文書ファイルの閲覧時に、画像が抽出されることを防ぐことができる。
表示優先度の変更が行われたら、次に、文書形式変換手段30が、文書形式の変換を行う(ステップS30)。具体的には、付加情報が変換後の文書ファイルの閲覧時に既配置の画像領域、文字領域内で選択および抽出可能になるように、文書ファイルを異なる文書ファイル形式(例えば普及しているPDF文書)に変換して埋め込み文書ファイルを得る。これは、公知のPDF文書形式変換ソフトウェアと同様のアルゴリズムを利用することにより実現される。具体的には、MS-Word(登録商標)、PowerPoint(登録商標)、Illustrator(登録商標)、InDesign(登録商標)等の種々の形式で収録されている表示優先度変更後の文書ファイルを構成する文字コード形式(Shift-JISなど)の文字列データ、ラスター画像データ(BMP形式など)、ベクトル画像データの各々を国際標準のPostScript(登録商標)形式に統一変換する。なお、Illustrator(登録商標)文書は、元々PostScript形式で記述されているので本変換は不要である。このPostScript形式への変換は、下位に隠れていて表示されない文字列データや画像データに対しても、あるいは背景同色文字列データや画像データに対しても漏れなく一律に行われ、表示優先度の情報も継承される。この変換の過程で、文字列データを構成する文字コードはShift-JIS以外のAdobeコードに変換されることが多く、ラスター画像データを構成するビットマップはJPEG形式で圧縮されることが多い。また、レイアウト制御データが挿入される都合上、文字列データやラスター画像データは適宜分断されることも多い。続いて、PostScript形式に変換された文字列データ、ラスター画像データ、ベクトル画像データに文字列データが参照するフォントデータ、ラスター画像データが参照する色変換テーブルなどを加え、各々にZIP形式の可逆圧縮を施して単一のファイルにまとめることにより、国際標準のPDF文書ファイルが得られる。これらの一連の処理は、Adobe Acrobat(登録商標)等の編集ソフトウェアを用いることにより実現できる。埋め込み文書ファイルは、埋め込み文書ファイル記憶手段60に記憶される。
<3.抽出処理>
次に、得られた埋め込み文書ファイルからの付加情報の抽出について説明する。埋め込み文書ファイルからの付加情報の抽出は、図1に示したようなハードウェア構成のコンピュータにおいて、閲覧ソフトウェアや、編集ソフトウェアを起動させることにより行う。ただし、コンピュータとしては、図1に示した構成のものに限定されず、PDFファイルが閲覧可能で、PDFファイルよりオブジェクトを抽出可能であればタブレットコンピュータなどの携帯端末を使用することもできる。
次に、得られた埋め込み文書ファイルからの付加情報の抽出について説明する。埋め込み文書ファイルからの付加情報の抽出は、図1に示したようなハードウェア構成のコンピュータにおいて、閲覧ソフトウェアや、編集ソフトウェアを起動させることにより行う。ただし、コンピュータとしては、図1に示した構成のものに限定されず、PDFファイルが閲覧可能で、PDFファイルよりオブジェクトを抽出可能であればタブレットコンピュータなどの携帯端末を使用することもできる。
まず、閲覧ソフトウェアを用いて付加情報を抽出する場合について説明する。図10は、オブジェクト重畳時における、閲覧ソフトウェアであるPDFリーダーによる抽出可否を示す図である。文字と文字が重なった場合、上位の文字領域が下位の文字領域より小さい場合は、図10(a)に示すように、大きい領域の下位の文字だけが抽出可能となる。また、文字と文字が重なった場合、上位の文字領域が下位の文字領域より大きい場合は、図10(b)に示すように、大きい領域の上位の文字だけが抽出可能となる。図10(a)は、図9の左上の付加情報である背景同色文字列と既配置の文字列の重なり状態に対応し、図10(b)は、図9の右上の既配置の文字列と付加情報である背景同色文字列の重なり状態に対応している。
図10(c)に示すように、ベクトル画像とラスター画像が重なった場合、下位のラスター画像は、常に抽出可能となる。図10(c)の例では、ベクトル画像が上位、ラスター画像が下位であるが、逆に、ラスター画像が上位、ベクトル画像が下位であっても、ラスター画像は常に抽出可能となる。図10(c)は、図9の左下の既配置のベクトル画像と付加情報であるラスター画像の重なり状態に対応している。
ラスター画像とラスター画像が重なった場合、上位のラスター画像の画像領域が下位のラスター画像の画像領域以上である場合は、図10(d)に示すように、大きいか等しい画像領域の上位のラスター画像だけが抽出可能となる。ただし、これは、2つのラスター画像の画像領域が合同または相似形であって同一位置に配置された場合であり、下位のラスター画像の画像領域が上位のラスター画像の画像領域より小さい場合であっても、下位のラスター画像が、上位のラスター画像からはみ出した位置に配置されている場合は、そのはみ出した部分を指定することにより下位のラスター画像も抽出することができる。図10(d)は、図9右下の既配置のラスター画像と付加情報であるラスター画像の重なり状態に対応している。
図11は、閲覧ソフトウェアを用いた場合の、付加情報の抽出処理を示すフローチャートである。まず、閲覧ソフトウェアを起動する(ステップS51)。閲覧ソフトウェアとしては、Adobe Reader(登録商標)等を用いることができる。
次に、画面上で上位または下位の文字列を選択する(ステップS52)。これは、閲覧ソフトウェアの機能に従って、キー入力I/F4を介して指定することにより実現される。上位、下位の文字列のうち、文字領域が大きい方が選択される。例えば、図9左上のように、上位の既配置の文字領域よりも下位の付加情報である文字領域の方が大きい場合、上位の既配置の文字列は選択できず、下位の付加情報である文字列が選択可能となる。また、図9右上のように、上位の既配置の文字列の文字領域よりも下位の付加情報である文字列の文字領域の方が小さい場合、下位の付加情報である文字列は選択できず、上位の既配置の文字列が選択可能となる。また、上位と下位の文字列の文字領域が同一の大きさである場合は上位および下位の双方の文字列が同時に選択可能となる。
上位または下位の文字列が選択されたら、コピー&ペーストで「メモ帳」などのテキストエディタへ転送する(ステップS53)。これにより、テキストエディタには、抽出された文字列が記録される。上位および下位の双方の文字列が同時に選択されている場合は、双方の文字列が抽出されて記録される。上位および下位の双方の文字列が同時に選択されている場合、文書形式変換手段30が用いているアルゴリズムにより、抽出および記録の形式が異なる。例えば、文書形式変換手段30が、Adobe Acrobat Distiller(登録商標)と同様のアルゴリズムを用いてPDFのテキスト形式に変換する場合、双方の文字列は、適宜フレーズ単位に分断され、混合される。具体的には、レイアウト規則が変更された位置(句読点・スペース、半角と全角間の相互変更など)で文字列が分断される。そして、例えば、上位の文字列10文字に続いて、下位の文字列10文字、上位の文字列10文字...という具合に交互にコピー&ペーストされて混合される。文書形式変換手段30が、Adobe Acrobat PDF Maker(登録商標)と同様のアルゴリズムを用いてPDFのテキスト形式に変換する場合、双方の文字列は、上位の文字列、下位の文字列が正しく区別されて、抽出される。
ラスター画像を抽出したい場合は、閲覧ソフトウェアの起動後、画面上で上位または下位のラスター画像を選択する(ステップS54)。これは、閲覧ソフトウェアの機能に従って、キー入力I/F4を介して指定することにより実現される。下位のラスター画像を選択する場合は、上位のラスター画像と重なっておらず、表示されている部分を指定することにより選択する。これにより、コンピュータは、下位のラスター画像を認識する。ラスター画像同士が重なっている場合は、上位のラスター画像は、常に選択して抽出することが可能となる。このため、抽出されたくないラスター画像を、図9に示したように分割しておくと、各領域単位でしか選択、抽出ができないため、安易な複製を防ぐことができる。図9の例では、上位のラスター画像を抽出するためには、6回の選択作業が必要となる。上位または下位のラスター画像が選択されたら、コピー&ペーストで「ペイントツール」などの画像エディタへ転送する(ステップS55)。これにより、画像エディタには、抽出されたラスター画像が記録される。
次に、編集ソフトウェアを用いて付加情報を抽出する場合について説明する。図12は、編集ソフトウェアを用いた場合の、付加情報の抽出処理を示すフローチャートである。まず、編集ソフトウェアを起動する(ステップS61)。編集ソフトウェアとしては、上述のAdobe Acrobat等を用いることができる。
次に、文字抽出機能を実行する(ステップS62)。これは、編集ソフトウェアの機能に従って、キー入力I/F4を介して指定することにより実現される。これにより、既配置の文字列とともに、付加情報である文字列が抽出される。ステップS62においては、図11のステップS52とは異なり、重なりの状態を問わず、全ての文字列が抽出される。従って、図9の例では、図9左上の付加情報である背景同色文字列と既配置の文字列の双方が抽出されるとともに、図9右上の既配置の文字列と付加情報である背景同色文字列の双方が抽出される。
ラスター画像形式の付加情報が存在する場合は、編集ソフトウェアの起動後、画像抽出機能を実行する(ステップS63)。これは、編集ソフトウェアの機能に従って、キー入力I/F4を介して指定することにより実現される。これにより、既配置の画像とともに、付加情報であるラスター画像が抽出される。ステップS63においては、図11のステップS54とは異なり、重なりの状態を問わず、全てのラスター画像が抽出される。従って、図9の例では、図9左下の付加情報であるラスター画像が抽出されるとともに、図9右下の既配置のラスター画像と付加情報であるラスター画像の双方が抽出される。
本実施形態の情報埋め込み装置では、不可視の状態で付加情報を埋め込む。従って、埋め込み文書ファイルを表示させた場合、付加情報は表示されず、複製者は、文書ファイルに付加情報が埋め込まれていることを意識せずに利用する。しかし、図11、図12に示したような処理を行って、文字や画像の複製や貼り付けを行うと、複製者が意図した文字や画像ではなく、埋め込まれた文字や画像が抽出される。このため、安易に文書ファイルを複製した者に対して注意を促すことができる。さらに、図11に示したように閲覧ソフトウェアを用いた場合には、上位に表示されている文字や画像は、抽出することができない。この場合、注意を促すだけでなく、オリジナルのコンテンツの一部を複製することができなくなる。
また、埋め込んだ付加情報を、注意を促すために用いるのではなく、様々な用途に応用することができる。図13は、一つの応用例を示す図である。図13の応用例では、まず、図13(a)に示すように、パスワード通知書として、PDF形式等の文書ファイルを、電子メールに添付して送信する。このパスワード通知書には、「パスワードのお知らせ」と記載された文字列領域の下位に、実際のパスワードが文字列の形式で埋め込まれている。パスワードの文字列の文字領域は、「パスワードのお知らせ」と記載された文字領域よりも大きくなっている。図10(a)に示したように、下位の文字列の文字領域が上位の文字列の文字領域より大きくないと、下位の文字列が抽出できないためである。
コンピュータ上で閲覧ソフトウェアを起動し、図13(a)に示したようなパスワード通知書を閲覧した利用者は、「パスワードのお知らせ」と記載された文字領域をカーソルで選択し、コピー操作を行う。すると、コンピュータは、下位に記録されていたパスワードの文字列を、図13(b)に示すようなクリップボードと呼ばれる記憶領域に記憶させる。
次に、利用者は、クリップボードに記憶させたパスワードを利用すべき、アプリケーションソフトウェアを起動して、図13(c)に示すような認証ダイアログ画面を表示させる。そして、利用者は、認証ダイアログ画面のパスワード入力欄を指定した後、ペースト操作を行う。すると、コンピュータは、クリップボードに記憶されているパスワードをパスワード入力欄に入力する。アプリケーションソフトウェアが自動抽出機能を備えている場合は、利用者がペースト操作を行わなくても、コンピュータがクリップボードからパスワードを自動抽出することができる。図13に示した応用例を用いることにより、パスワードを不可視の状態で利用者にPDF文書で電子メールにより通達し、利用者に対して不可視の状態で、アプリケーションソフトウェアの認証系に渡すことができる。画面を覗かれてもパスワードは目視できず、キー操作のログも残らないので、第三者にパスワードが盗まれにくい。
<4.表示例>
次に、具体的な表示例について図14〜図23を用いて説明する。図14は、付加情報が配置される前の文書ファイル(図14では、「原文書ファイル」と表記)の表示例である。図14において[]内の文字列は、説明のために用いるものであり、実際の文書ファイルに配置されたものではない。図14の左上の[背景同色文字・画像]部分には、「この下に文字と画像が隠れています」という文字列が配置されている。図14の右上の[上位抽出可・文字・画像]部分には、「この下に文字が隠れています」という文字列が配置されているとともに、ラスター画像の上位に重ねて「この下に別の画像が隠れています」という文字列が配置されている。図14の左下の[下位抽出可・文字・画像]部分には、「この下に文字が隠れています」という文字列が配置されているとともに、ラスター画像の上位に重ねて「この下に別の画像が隠れています」という文字列が配置されている。図14の右下の[双方抽出可・文字・画像]部分には、「この下に文字が隠れています」という文字列が配置されているとともに、ラスター画像の上位に重ねて「この下に別の画像が隠れています」という文字列が配置されている。
次に、具体的な表示例について図14〜図23を用いて説明する。図14は、付加情報が配置される前の文書ファイル(図14では、「原文書ファイル」と表記)の表示例である。図14において[]内の文字列は、説明のために用いるものであり、実際の文書ファイルに配置されたものではない。図14の左上の[背景同色文字・画像]部分には、「この下に文字と画像が隠れています」という文字列が配置されている。図14の右上の[上位抽出可・文字・画像]部分には、「この下に文字が隠れています」という文字列が配置されているとともに、ラスター画像の上位に重ねて「この下に別の画像が隠れています」という文字列が配置されている。図14の左下の[下位抽出可・文字・画像]部分には、「この下に文字が隠れています」という文字列が配置されているとともに、ラスター画像の上位に重ねて「この下に別の画像が隠れています」という文字列が配置されている。図14の右下の[双方抽出可・文字・画像]部分には、「この下に文字が隠れています」という文字列が配置されているとともに、ラスター画像の上位に重ねて「この下に別の画像が隠れています」という文字列が配置されている。
図15は、付加情報である文字列・ラスター画像の表示例である。図15の例では、図14の文書ファイルに配置されたオブジェクトに対応する左上、右上、左下、右上の各部分に、文字列と画像が配置されている。また、図面最上部には、「違法複写厳禁」の文字列が配置されている。図15に示す画像は、全てラスター画像である。
図16は、図14に示した文書ファイルに、図15に示した付加情報を配置した状態の文書ファイルの表示例である。図16の状態は、ステップS10の処理を行い、付加情報を配置しただけであるので、ラスター画像については、上位のものだけが表示されている。文字列が重なっている部分については、上位と下位の双方の文字列が表示されている。
図17は、付加情報の表示優先度が変更された状態の文書ファイルの表示例である。すなわち、図3のステップS20の処理を行った状態である。図17に示すように、付加情報は全て表示されない状態となる。図17に示されている矩形は、元のオブジェクトと付加情報であるオブジェクトの領域を示すものであり、実際には表示されない。図18は、オブジェクト領域を示す矩形を除いたものである。見た目は、図14に示した埋め込み前の文書ファイルと同じ状態となる。
図18に示した文書ファイルに対して、図3のステップS30の文書形式変換を行うことにより、埋め込み文書ファイルが得られる。図19は、得られた埋め込み文書ファイルの閲覧ソフトウェア(Adobe Reader)による表示例である。見た目は、図14に示した情報が埋め込まれていない文書ファイルと同じである。
図19に示した文書ファイルのうち、複製者が、左下に表示された「この下に文字が隠れています」という文字列を、マウスを利用してドラッグすることにより選択したとする。そして、コピー&ペーストの操作により、テキストエディタ「メモ帳」を指定する。すると、図20に示すように、「この下に文字が隠れています」という文字列の下位に埋め込まれていた「違法複写厳禁・○○社」という文字列のみが複製される。これは、下位の文字列「違法複写厳禁・○○社」の文字領域が上位の文字列「この下に文字が隠れています」の文字領域よりも大きいためである。複製される文字列としては、図20に示すように、複製が違法である旨を注意する文章とすることが好ましい。
図19に示した文書ファイルのうち、複製者が、左下に表示された画像を、マウスを利用してクリックすることにより選択したとする。そして、コピー&ペーストの操作により、画像エディタ「ペイントツール」を指定する。すると、図21に示すように、下位に埋め込まれていたラスター画像のみが複製される。これは、上位の画像がベクトル画像で、下位の画像がラスター画像であるためである。
図19に示した文書ファイルのうち、複製者が、右下に表示された「この下に文字が隠れています」という文字列を、マウスを利用してドラッグすることにより選択したとする。そして、コピー&ペーストの操作により、テキストエディタ「メモ帳」を指定する。すると、図22に示すように、上位に配置されていた「この下に文字が隠れています」という文字列と、下位に埋め込まれていた「複写厳禁・○○社」という文字列の双方が複製される。これは、下位の文字列「複写厳禁・○○社」の領域と上位の文字列「この下に文字が隠れています」の文字領域が同一の大きさであるためである。
図19に示した文書ファイルのうち、複製者が、左上の「この下に文字と画像が隠れています」という文字列が表示された文字領域を、マウスを利用してクリックすることにより選択したとする。そして、コピー&ペーストの操作により、画像エディタ「ペイントツール」を指定する。すると、図23に示すように、下位に埋め込まれていたラスター画像のみが複製される。これは、上位の画像が背景色と同色のベクトル画像で、下位の画像がラスター画像であるためである。
<5.変形例等>
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、文字やラスター画像を、単に表示したり、取得したりするためのものとして埋め込んだが、組合せにより様々な機能を実現するものとして埋め込むようにすることも可能である。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、文字やラスター画像を、単に表示したり、取得したりするためのものとして埋め込んだが、組合せにより様々な機能を実現するものとして埋め込むようにすることも可能である。
例えば、ベクトル画像の下位に二次元バーコードを表現したラスター画像を埋め込んでおき、クリップボード経由で画像処理ソフトウェアの二次元バーコード認識機能に直接渡すことにより、文書ファイルに関する詳細な情報を非開示で取得することができる。
リッチコンテンツへの応用として、画像や説明図(ラスター画像、ベクトル画像どちらでも可)の下に解説用文字列を埋め込んだり、和文文字列の下に外国語に翻訳した文字列を埋め込んだりすることにより、クリップボード経由で音声合成ソフトに渡し、音声による各種言語による解説を行うといったバリアフリーや外国人サポートへの応用も可能である。また、譜面を表現した画像(ラスター画像、ベクトル画像どちらでも可)の下にMIDIデータを文字コード形式で埋め込むことにより、MIDIシーケンサに渡し、譜面のメロディーを耳で確認する機能を提供することもできる。
また、上記実施形態では、文書ファイルに対する情報埋め込み装置は、ベクトル画像に重ねてラスター画像の配置(図3ステップS11)、文字列に重ねてより大きな領域を占める文字列の配置(図3ステップS12)、文字列に重ねてより小さな領域を占める文字列の配置(図3ステップS13)、ラスター画像に重ねてラスター画像の配置(図3ステップS14)の4つの処理を行う構成を全て備えているが、これらの内1つ以上の構成を備えた装置として実現しても良い。
1・・・CPU(Central Processing Unit)
2・・・RAM(Random Access Memory)
3・・・記憶装置
4・・・キー入力I/F
5・・・データ入出力I/F
6・・・表示部
10・・・付加情報配置手段
20・・・表示優先度変更手段
30・・・文書形式変換手段
40・・・文書ファイル記憶手段
50・・・付加情報記憶手段
60・・・埋め込み文書ファイル記憶手段
2・・・RAM(Random Access Memory)
3・・・記憶装置
4・・・キー入力I/F
5・・・データ入出力I/F
6・・・表示部
10・・・付加情報配置手段
20・・・表示優先度変更手段
30・・・文書形式変換手段
40・・・文書ファイル記憶手段
50・・・付加情報記憶手段
60・・・埋め込み文書ファイル記憶手段
Claims (7)
- ベクトル画像が配置された文書ファイルに対して、ラスター画像または文字コード形式の文字の少なくとも一方を含む付加情報を不可視の状態で記録する装置であって、
前記文書ファイル内のあらかじめベクトル画像が配置されている画像領域内に、前記付加情報を配置する付加情報配置手段と、
前記付加情報の表示優先度をあらかじめ配置されているベクトル画像の表示優先度より下げて下位に配置するように変更する表示優先度変更手段と、
埋め込み後の文書ファイル閲覧時に、前記付加情報が抽出可能になり、前記ベクトル画像が抽出不能になるように、前記表示優先度変更手段により表示優先度が変更された文書ファイルを所定の形式に変換する文書形式変換手段と、
を備えることを特徴とする文書ファイルに対する情報埋め込み装置。 - 前記付加情報配置手段は、前記文書ファイル内に、ベクトル形式への変換が指定された画像が存在する場合に、当該画像を、ベクトル形式に変換して前記ベクトル画像を得ることを特徴とする請求項1に記載の文書ファイルに対する情報埋め込み装置。
- 前記ベクトル画像は、背景色と同一色で均一に塗りつぶされたものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の文書ファイルに対する情報埋め込み装置。
- 文字が配置された文書ファイルに対して、文字コード形式の付加情報を不可視の状態で記録する装置であって、
前記文書ファイル内のあらかじめ文字が配置されている文字領域を包含する文字領域に、前記付加情報を前記文書ファイルの背景色で配置する付加情報配置手段と、
前記付加情報の表示優先度をあらかじめ配置されている文字の表示優先度より下げて下位に配置するように変更する表示優先度変更手段と、
埋め込み後の文書ファイル閲覧時に、前記付加情報が抽出可能になり、あらかじめ配置されている文字が抽出不能になるように、前記表示優先度変更手段により表示優先度が変更された文書ファイルを所定の形式に変換する文書形式変換手段と、
を備えることを特徴とする文書ファイルに対する情報埋め込み装置。 - 文字が配置された文書ファイルに対して、文字コード形式の付加情報を不可視の状態で記録する装置であって、
前記文書ファイル内のあらかじめ文字が配置されている文字領域に包含される文字領域に、前記付加情報を前記文書ファイルの背景色で配置する付加情報配置手段と、
前記付加情報の表示優先度をあらかじめ配置されている文字の表示優先度より下げて下位に配置するように変更する表示優先度変更手段と、
埋め込み後の文書ファイル閲覧時に、前記付加情報が抽出不能になり、あらかじめ配置されている文字が抽出可能になるように、前記表示優先度変更手段により表示優先度が変更された文書ファイルを所定の形式に変換する文書形式変換手段と、
を備えることを特徴とする文書ファイルに対する情報埋め込み装置。 - ラスター画像が配置された文書ファイルに対して、ラスター画像形式の付加情報を不可視の状態で記録する装置であって、
前記付加情報を、あらかじめラスター画像が配置されている画像領域と少なくとも一部が重なるように、配置する付加情報配置手段と、
前記付加情報の表示優先度をあらかじめ配置されているラスター画像の表示優先度より下げて下位に配置させるように変更するとともに、前記ラスター画像を複数の領域に分割する表示優先度変更手段と、
埋め込み後の文書ファイル閲覧時に、前記複数の領域に分割されたラスター画像が抽出可能になるように、前記表示優先度変更手段により表示優先度が変更された文書ファイルを所定の形式に変換する文書形式変換手段と、
を備えることを特徴とする文書ファイルに対する情報埋め込み装置。 - ベクトル画像、ラスター画像、文字の3種のオブジェクトが利用可能であって、異種または同種の少なくとも2つ以上のオブジェクトを、表示優先度を設定して重ねて記録可能であり、指定された位置に対応する表示優先度の異なる複数のオブジェクトを抽出可能な文書ファイルであって、
表示用の情報が表示優先度の最も高いオブジェクトとして記録され、不可視の状態で埋め込まれる付加情報が、前記表示用の情報より低い表示優先度のオブジェクトとして記録されていることを特徴とする埋め込み文書ファイル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013228245A JP2015089070A (ja) | 2013-11-01 | 2013-11-01 | 文書ファイルに対する情報埋め込み装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013228245A JP2015089070A (ja) | 2013-11-01 | 2013-11-01 | 文書ファイルに対する情報埋め込み装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015089070A true JP2015089070A (ja) | 2015-05-07 |
Family
ID=53051388
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2013228245A Pending JP2015089070A (ja) | 2013-11-01 | 2013-11-01 | 文書ファイルに対する情報埋め込み装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2015089070A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7480560B2 (ja) | 2020-03-31 | 2024-05-10 | 大日本印刷株式会社 | 文章抽出装置及びプログラム |
-
2013
- 2013-11-01 JP JP2013228245A patent/JP2015089070A/ja active Pending
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