JP2015073015A - 電極箔、電解コンデンサおよび電極箔の製造方法 - Google Patents

電極箔、電解コンデンサおよび電極箔の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】大容量化、ショート発生の低減、及び誘電体層の損傷修復性の向上を実現する電極箔、その製造方法及び電解コンデンサを提供とする。【解決手段】第1弁金属又はその合金からなり、その表層部に多数の凹部と、該凹部が形成されていない表面とを有する基材と、該凹部の内壁及び前記表面に形成された誘電体層と、を備えた電極箔である。前記表面上に設けた誘電体層の上、及び、前記凹部の深さの1/2より上側の凹部上側領域における前記誘電体層の上に保護層が形成されている。前記誘電体層は、少なくとも保護層の下に形成されている部分において、前記第1弁金属を最も多く含有し、前記第1弁金属とは異なる弁金属である第2弁金属を次に多く含有している。前記保護層は、前記第2弁金属を最も多く含有し、前記第1弁金属を次に多く含有している。【選択図】図3

Description

本発明は、電極箔、電極箔を用いた電解コンデンサおよび電極箔の製造方法に関する。
電解コンデンサとしては、パーソナルコンピュータのCPU周りに使用される低ESRの固体電解コンデンサや、大型機器用インバータ電源、ハイブリッドカー等の自動車用インバータ電源に使用される高耐圧のアルミ電解コンデンサなどが挙げられる。これらの電解コンデンサには、小型大容量化が強く望まれている。
電解コンデンサの大容量化を図るには、アルミニウム箔からなる基材にエッチングで多数の凹部を形成し、あるいは基材上に蒸着によって複数の柱状体を形成して、表面積の拡大を図ることが有効である。また基材の表面に、誘電率の高い酸化チタンからなる誘電膜を形成することも有効である。
上記の大容量化技術に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
特開2012−124347号公報
特許文献1に記載の技術では、表面に多数の凹部を形成したアルミニウムからなる基材に対し、ジルコニウム又はハフニウムをスパッタし、金属層(ジルコニウム層又はハフニウム層)を形成する。その後、化成することにより誘電膜を形成するが、当該誘電膜中におけるジルコニウム又はハフニウムの含有量は凹部の開口部から凹部の深さ方向に向かって段階的に減少している。
このような構成では、漏れ電流を低減する効果は得られるが、電解コンデンサに急激に大きな電圧が印加された場合にショートが発生してしまうという課題がある。
また、特許文献1では、金属層はスパッタ等のドライプロセスにて形成されるため、凹部の開口部側の内壁には金属層を付着させやすいが、凹部の底部側の内壁には金属層を付着させるのが難しい。電解コンデンサにおけるジルコニウムの含有量が小さくなるため、静電容量の向上に限界があるという問題がある。
そこで本発明は、電解コンデンサの大容量化を実現するとともに、急激に大きな電圧が印加された場合でもショート発生を回避することが可能な電極箔、その製造方法、及びその電極箔を用いた電解コンデンサを提供することを目的とする。
本発明の第1の発明は、第1弁金属又はその合金からなり、その表層部に多数の凹部と、該凹部が形成されていない表面とを有する基材と、該凹部の内壁及び前記表面に形成された誘電体層と、を備えた電極箔である。前記表面上に設けた誘電体層の上、及び、前記凹部の深さの1/2より上側の凹部上側領域における前記誘電体層の上に保護層が形成されており、前記誘電体層は、少なくとも保護層の下に形成されている部分において、前記第1弁金属を最も多く含有し、前記第1弁金属とは異なる弁金属である第2弁金属を次に多く含有しており、前記保護層は、前記第2弁金属を最も多く含有し、前記第1弁金属を次に多く含有している。
前記保護層は炭素、硫黄、及び窒素のうちの少なくとも1つを含有することができる。
前記第1弁金属をアルミニウムとし、前記第2弁金属をジルコニウム又はハフニウムとすることができる。
前記保護層にアルミニウムを0.5〜25原子%含有させることができる。
前記凹部の深さの1/2より下側の凹部下側領域においても、前記保護層を前記誘電体層の上に形成することができる。
前記基材はその表層部に柱状体を有し、互いに隣接する前記柱状体の間の空間により前記凹部が形成されていることとすることができる。
本発明の第2の発明は、陽極部と、陰極部と、該陽極部と陰極部の間に形成された誘電膜を有するコンデンサ素子と、前記陽極部に電気的に接続された陽極端子と、前記陰極部に電気的に接続された陰極端子と、前記陽極端子及び陰極端子の一部が外部に露出するように前記コンデンサ素子を収容する外装体と、を備えた電解コンデンサである。前記陽極部と陰極部の少なくとも一方と前記誘電膜は、第1の発明に係る電極箔からなっている。
本発明の第3の発明は、第1弁金属又はその合金からなる基材の表層部に多数の凹部を形成して、前記基材の表層部に、前記凹部と、前記凹部が形成されていない表面とを設ける凹部形成工程と、前記凹部形成工程の後、前記凹部の深さの1/2より上側の凹部上側領域と前記表面に、前記第1弁金属とは異なる弁金属である第2弁金属を最も多く含有すると共に前記第1弁金属を次に多く含有している酸化物からなる保護層をメッキにより形成するメッキ工程と、前記メッキ工程の後、前記保護層が形成された前記基材を化成して、前記保護層と基材との間に、誘電体層を形成する化成工程と、を備えた、電極箔の製造方法である。
前記化成工程により、前記誘電体層に、第1弁金属を最も多く含有させると共に前記第2弁金属を次に多く含有させることができる。
前記凹部形成工程において、母材に第1弁金属からなる多数の柱状体を形成することによって、互いに隣接する前記柱状体の間の空間を前記多数の凹部とすることができる。
電解コンデンサに急激に大きな電圧が印加された場合にショートが発生してしまうことがあるが、本発明によれば誘電体層の上に保護層を形成することによりショートを防止している。より具体的には、少なくとも、特に電界集中しやすくショート発生の可能性が高い凹部上側領域(凹部の深さの1/2より上側の領域)に保護層を形成しているので、ショート防止の効果が高い。特に、導電率が1.0×10−10〜50S/cmの場合にその効果がより高くなる。
また、誘電体層にクラックなどの損傷が発生すると漏れ電流の増大などの問題を引き起こしてしまうが、本発明によれば誘電体層の上に保護層が存在し、保護層の構成元素のうち最も組成が多いものと2番目に多いものが、それぞれ誘電体層の構成元素のうち2番目に多いものと最も多いものと同一となっている。よって、誘電体層の損傷箇所に保護層の構成元素のうち最も多いもの又は/及び2番目に多いものを拡散させることができ、損傷を十分に修復することができる。即ち、損傷の修復性を高めることができる。
保護層は炭素、硫黄及び窒素のうちの少なくとも1つを含有しているので、保護層を絶縁性でも導電性でもなく、高抵抗性とすることができる。よって、ショート防止の効果をより高くすることができる。
酸化ジルコニウムや酸化ハフニウムは、酸化チタンと同様に、酸化アルミニウムよりも高い誘電率を有する。また、酸化ジルコニウムや酸化ハフニウムは、酸化チタンよりも、酸素との結合エネルギーがアルミニウムに近いため、これらの金属は同時に化成することができる。逆に、アルミニウムとチタンでは、アルミニウムが優先的に化成され酸化アルミニウムとなりやすい。よって、本発明によれば、電解コンデンサの大容量化を実現することができる。
保護層はアルミニウムを0.5〜25原子%含有しているので、保護層の導電性を向上させるという効果を有している。
凹部の深さの1/2より下側の凹部下側領域においても、保護層を誘電体層の上に形成することにより、ショート防止効果をより高めることができる。また、損傷が凹部下側領域に発生した場合でも、損傷の修復性をより高めることができる。
基材をエッチングするのではなく、母材の表層部に蒸着により柱状体を形成し、互いに隣接する柱状体の間の空間により凹部を形成することにより、基材の表面積を拡大することができ、大容量化を実現することができる。
電解コンデンサの陽極部と陰極部の少なくとも一方と誘電膜に本発明の第1の発明に係る電極箔を用いることにより、電解コンデンサの大容量化、急激に大きな電圧が印加された場合におけるショート発生の回避、損傷の修復性の向上を達成することができる。
ところで、スパッタにより堆積層(保護層に相当)を形成しようとすると、形成されるのは導電性の高い金属層(例えばジルコニウム層)となる。スパッタプロセスの原理上、凹部の開口部側の内壁には金属層を付着させやすいが、凹部の底部側の内壁には金属層を付着させるのが難しい。凹部の底部側に金属層が形成されていないと、化成後の誘電膜におけるジルコニウムの含有量が小さくなるため、静電容量を大きくすることができないという問題がある。
本発明に係る製造方法においては、溶液プロセス(メッキ法)を用いて保護層を形成している。保護層は金属層ではなく酸化物層であるが、絶縁性を有しておらず、導電率が1.0×10−10〜50S/cmの高抵抗性を有しているのが好ましい。また、保護層は誘電体層よりも大きな導電率を有している。仮に、メッキにより形成する保護層が金属であれば、保護層の導電性が高いので、電気メッキの電流は相対的に突出している凹部の開口部に集中してしまい、電気メッキによる堆積物である保護層は一貫して開口部を中心として堆積し、凹部の底部側へ堆積させることは困難である。
それに対して、本発明に係る製造方法においても、メッキの初期段階では凹部の開口部に電流が集中するので開口部近傍から保護層が形成されるが、電気メッキにより形成されるのは高抵抗性である酸化物であるので、保護層にはメッキの電流が流れにくい。そのため、初期段階以降は保護層が形成されていない基材の凹部内壁や基材表面にメッキの電流が流れ、その部分に保護層が形成される。よって、基材の凹部内壁や基材表面の全面に保護層を容易に形成することができ、電解コンデンサの大容量化を達成することができる。
以上より本発明は、大容量化を実現することができると共に、ショート発生の低減、誘電体層の損傷修復性の向上を達成することができる。
本発明の第1実施形態における電解コンデンサの斜視図 本発明の第1実施形態における電極箔の断面図 本発明の第1実施形態におけるコンデンサ素子の要部を示す模式断面図 本発明の第1実施形態における電極箔の製造工程を示す断面図 本発明の第1実施形態の別の例における電極箔用の基材の断面図 本発明の第1実施形態のさらに別の例におけるコンデンサ素子の断面図 本発明の第2実施形態における電解コンデンサの斜視図 本発明の第3実施形態における電極箔の模式断面図 本発明の第1実施形態のコンデンサ素子の要部の組成を示す図 参考例のコンデンサ素子の要部の組成を示す図 本発明の第1実施形態のコンデンサ素子の要部のTEM画像の写真
(第1実施形態)
以下、第1実施形態における電極箔と、その製造方法および電極箔を用いた電解コンデンサについて説明する。
図1に示す第1実施形態の電解コンデンサ1は、陽極部2と、この陽極部2の表面に形成された誘電体層(図3の図番3)と、この誘電体層3上の少なくとも一部に形成された保護層(図3の図番40)と、保護層40から露出した誘電体層3や保護層40の上に形成された固体電解質層(ポリピロール)とこの固体電解質層上に形成された陰極引出層(カーボン層、銀層)とからなる陰極部4と、を備えたコンデンサ素子5を複数枚積層している。コンデンサ素子5同士の間や、コンデンサ素子5と陰極端子6Bとの間は導電性接着材(銀ペースト)で固定されている。
電解コンデンサ1は陽極部2および陰極部4の電極をそれぞれ引き出す陽極端子6Aおよび陰極端子6Bと、これらの陽極端子6Aおよび陰極端子6Bの一部が外部に露出するようにコンデンサ素子5をモールドして収容する外装体7と、を備えている。
図2は電極箔2Eの断面図である。図2においては後述する誘電体層3や保護層40を省略している。また、図3は電極箔2Eを具えたコンデンサ素子5の要部の模式断面図である。陽極部2には、図2や図3に示すように、アルミニウムからなる基材8を用いており、基材8はその表層部8Sに、多数の凹部9と、これらの凹部9が形成されていない表面11を有している。凹部9の内壁12および基材8の表面11に誘電体層3が形成されている。誘電体層3は、固体電解質層を形成する領域に形成されていればよく、陽極部2と陽極端子6Aとの接合部分には誘電体層3を形成しないか、又は接合時に除去する。
凹部9の深さdの1/2より上側(開口部10側)の凹部上側領域9Uにおいて、誘電体層3の上に高抵抗性を有する保護層40が形成されている。
誘電体層3は、第1弁金属の酸化物と第2弁金属の酸化物とからなり、例えば、第1弁金属がアルミニウムで第2弁金属がジルコニウムである場合、酸化ジルコニウムと酸化アルミニウムとの化合物(AlZrx2y2、ただしx2>0、y2>0)からなり、誘電体層3中における組成(原子%)は、アルミニウム(第1弁金属)が最も多く、ジルコニウム(アルミニウムとは異なる弁金属である第2弁金属)が次に多くなっている。
また、保護層40は、第1弁金属の酸化物と第2弁金属の酸化物とからなり、例えば、第1弁金属がアルミニウムで第2弁金属がジルコニウムである場合、酸化ジルコニウムと酸化アルミニウムとの化合物(AlZrx1y1、ただしx1>0、y1>0)からなり、保護層40中における組成(原子%)は、ジルコニウム(アルミニウムとは異なる弁金属である第2弁金属)が最も多く、アルミニウム(第1弁金属)が次に多くなっている。
そして、保護層は炭素、硫黄及び窒素のうちの少なくとも1つを0.01〜5.0原子%含有している。詳細には、硫黄又は窒素よりも炭素の量が多くする方がより好ましく、具体的には、硫黄および窒素は0.01〜1.0原子%、炭素は0.1〜5.0原子%が望ましい。このようにすることで、保護層の導電性を向上させることができる。
なお、図3では凹部9の深さdの1/2より下側(底部14側)の凹部下側領域9Dには保護層40が形成されていない部分があり、誘電体層3が保護層40から露出しているが、凹部上側領域9U及び凹部下側領域9Dの全域において誘電体層3の上に保護層40を形成するのが好ましい(図6参照)。
以下、電極箔2Eの製造方法について図4を参照して説明する。
まず、基材8として厚み30〜120μm、純度99.9%以上の高純度アルミニウム箔を準備した。図4(a)は基材8の主面のうち一方の主面の表層8Sの近傍の断面図である。
次に、同図(b)に示すように、基材8の表層部8Sを粗面化し、多数の凹部9Aを形成する(凹部形成工程)。この工程により表層部8Sは、多数の凹部9Aと、凹部9Aが形成されていない表面11Aとを有することとなる。凹部9Aは、深さがdであり、内壁12Aを有している。また、凹部9Aは、基材8の両方の主面に形成してもよく、一方の主面にのみ形成してもよい。
凹部9Aは例えばブラストで機械的に形成したり、塩酸液に浸漬して化学的に形成(化学的エッチング)したりすることができる。
凹部形成工程の後、図4(c)に示すように、凹部9Aが形成された基材8に対し、電解メッキを行う。例えば、第1弁金属がアルミニウムで第2弁金属がジルコニウムである場合、酸化ジルコニウムと酸化アルミニウムとの化合物(AlZrx1y1)からなる保護層40を形成する(メッキ工程)。保護層40の最大厚みは5〜300nmであり、化成後の誘電体層3の平均厚みの50分の1以上の厚みに形成することが好ましい。これより少なくなると、ショート発生の低減や誘電体層の損傷修復性の向上の効果が殆ど得られなくなるからである。
保護層40は、少なくとも基材8の表面11Aと凹部9Aの凹部上側領域9UAの内壁12Aに形成する。また、保護層40は、凹部9Aの凹部下側領域9DAの内壁12Aの少なくとも一部にも形成するのが良い。
次に、図4(d)に示すように、保護層40が形成された基材8を化成する(化成工程)。化成工程では、基材8を陽極として電解液に入れ、陽極酸化することにより、基材8の保護層40からの露出領域近傍と基材8の保護層40との接触領域近傍が誘電体層3となる。すなわち、基材8の凹部9の内壁12の上と、基材8の表層部8Sのうち凹部9が形成されていない表面11の上に誘電体層3が形成されることとなる。そして、基材8の表面の上に設けた誘電体層3の上、及び、凹部9の深さの1/2より上側の凹部上側領域9Uにおける誘電体層3の上に保護層40が形成されることとなる。
例えば、第1弁金属がアルミニウムで第2弁金属がジルコニウムである場合、誘電体層3は酸化ジルコニウムと酸化アルミニウムとの化合物(AlZrx2y2)からなる。化成用の電解液には、硼酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、アジピン酸アンモニウム等の水溶液が用いられる。
なお、図1及び図3を見れば分かるように、図1の電解コンデンサ1の陽極部2と誘電膜が図3の電極箔2Eから構成されている。
(実施例A)
第1実施形態に係る実施例AとしてサンプルA1を以下の製造方法により作製した。
まず、図4(a)に示すように、基材8として厚み110μm、純度99.95%の高純度アルミニウム箔を準備した。
(凹部形成工程)
次に、図4(b)に示すように、基材8の表層部8Sを粗面化し、多数の凹部9Aを形成する(凹部形成工程)。
本実施例では、塩酸主体の電解液中で基材8をカーボン電極板間に設置し電解(電気化学的エッチング)する方法を用いた。電気化学的エッチングでは電解の電流波形、液の組成、温度等によりエッチング形状が異なるため、電解コンデンサの性能に合わせたエッチングの方法を選択する。
まず、基材8の表層部8Sをエッチングすることにより、微細なピット(凹部9A)を形成する。本実施例では、三角波による交流エッチングとした。
エッチング液として、塩素イオン含有の酸性水溶液に、添加剤として硫酸イオンを配合したものを用いる。エッチング工程では、このエッチング液にプレーン(未エッチング加工)状態の基材8を浸漬する。
エッチング処理は、基材8の両側に、1枚ずつカーボン電極をセットし、この2枚のカーボン電極に交流電流を印加して行う。このとき、基材8の単位面積当たりのエッチング減量を10mg/cmになるように交流電源条件を調整する。
静電容量を大きくするために、通常は30〜35μm程度の深さまでエッチングする。少なくとも10μm以上の深さまでエッチングすることにより、十分な静電容量を確保できる。本実施例では、凹部9Aの開口部10Aからの深さdは平均で30〜45μmとした。このように作製したサンプルの平均細孔径(凹部9Aの直径)は80〜300nm程度であった。加えて、箔の深さ方向において、下部よりも上部の方の空隙率を高めることによって、次に行うメッキ工程において、保護層を形成しやすくすることができる。
エッチング処理の後、脱塩素処理を施し、乾燥することにより、エッチング処理された基材8、即ち、凹部9Aが形成された基材8を作製した。
なお、直流エッチングした場合は、図5のように比較的真直ぐな凹部13Aが形成された基材8となる。また、基材8に高純度アルミニウム箔を用いたが、箔強度向上、静電容量向上のため、例えばアルミニウム−ジルコニウム合金箔、アルミニウム−シリコン合金箔を用いることも可能である。
(メッキ工程)
凹部形成工程の後、図4(c)に示すように、凹部9Aが形成された基材8に対し、電解メッキを施して酸化物からなる保護層40(AlZrx1y1、ただしx1>0、y1>0)を形成した(メッキ工程)。
はじめに、第1弁金属ハロゲン化物、第2弁金属ハロゲン化物、有機溶媒、添加剤を混合することで、メッキ浴を作製した。弁金属ハロゲン化物は、保護層を形成するための弁金属原料として用いられる。好適な弁金属ハロゲン化物としては、例えばフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物などが挙げられる。これらの中で、保護層を容易に形成する観点、経済性を考慮すれば、塩化物がより好ましい。そこで、本実施例では、第1弁金属ハロゲン化物として塩化アルミニウムを、第2弁金属ハロゲン化物として、塩化ジルコニウムを用いた。
また、有機溶媒としては、ジアルキルスルホンが好ましい。ジアルキルスルホンとしては、例えば、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジプロピルスルホンなどが挙げられる。また、エチルメチルスルホン、エチルイソプロピルスルホンも使用でき、これら有機溶媒を混合して使用することも可能である。ここでは、メッキ効率の観点から、ジメチルスルホンを用いた。有機溶媒としては、これら例示のみに限定されるものではなく、弁金属ハロゲン化物を溶解でき、かつ、効率よくメッキできるものであればよい。
添加剤として、メッキ浴の安定性、メッキ効率の向上等を鑑み、例えば、ジメチルアミン塩酸塩、ハロゲン化アンモニウム等を用いることができる。
メッキ浴の構成比(モル比)としては、有機溶媒>(第1弁金属ハロゲン化物+第2弁金属ハロゲン化物)>添加剤という濃度を用いた。
次に、メッキ工程を順次説明する。メッキ槽内にメッキ浴を入れ、このメッキ浴中に陽極および陰極(凹部9Aが形成された基材8)を挿入し、両極に通電することにより、第1弁金属および第2弁金属を電析させる。
陽極材料としては、第1弁金属または第2弁金属、あるいはその両方からなる材料であることが望ましい。このような材料にすることで、メッキにより減少したメッキ浴中の弁金属化合物を補充することができる。あるいは、不活性な材料を用いることもできるが、この場合は、メッキ浴に弁金属ハロゲン化物等を補充する必要がある。
メッキ温度は、電析効率の観点から、弁金属ハロゲン化物が有機溶媒に溶解する温度以上、150℃以下であることが好ましい。本実施例のように、有機溶媒としてジメチルスルホンを用いた場合、85〜120℃の間にすると、膜質のよいメッキ膜(保護層)を形成することができる。
第1弁金属としてアルミニウム、第2弁金属ジルコニウムとする場合、効率よく電析させる観点から、電流密度を、3〜120mA/cmの間にすることが好ましい。より好ましくは、5〜60mA/cmにする方がよく、このようにすることで、剥離、クラック等のない均一なメッキ膜(保護層)を形成することができる。
例えば、30mA/cmの電流密度で電解すると、約175nmの保護層を形成することができた。このとき、電解量を小さくすると薄い保護層が、電解量を大きくすると厚い保護層を任意に形成することが可能である。
ここでの説明では、メッキ浴中に、第1弁金属ハロゲン化物及び第2弁金属ハロゲン化物の両方を混合しているが、少なくとも第2弁金属ハロゲン化物が溶解されていれば良く、メッキ浴中に第1弁金属ハロゲン化物を混合しない場合は、他の方法にて供給される。例えば、メッキの陽極の基板にアルミニウムを用いた場合であれば、基板をメッキ浴に浸漬した後、わずかであるが基板が溶解する。この溶解したアルミニウム化合物を、保護層の第1弁金属原料として用いることができる。また、別の方法としては、メッキの陽極の基板に第1弁金属を含む材料を用いることができる。このようにすることで、メッキ中に陽極の基板から溶け出した第1弁金属がメッキ浴中に溶解することになる。また記載していない他の方法であっても良い。
また、第1弁金属、第2弁金属としては、Al、Ta、Ti、Nb、Si、Zr、Hf等から選ばれる弁作用金属であれば、ショート防止かつ静電容量の大きな電極箔とすることができる。ただし、(1)基材としてAl箔を用いれば容易に凹部9Aを形成できること、(2)第1弁金属にAlを用いて第2弁金属にZr又はHfを用いることにより誘電体層3の誘電率を向上させることができること、(3)後述するように、Al、Zr、Hfは酸化物の生成Gibbs自由エネルギーΔG°が近いので電解コンデンサ1の大容量化と漏れ電流の低減を実現できること、を考慮するとAl、Zr、Hfを第1弁金属、第2弁金属として用いるのが好ましい。また、保護層には第1弁金属、第2弁金属が含有されているが、これ以外に、第1及び第2弁金属とは異なる弁金属である第3弁金属を含有していても構わない。
本実施例では、保護層形成の方法として、メッキ法を用いて説明したが、第2弁金属を最も多く含有し、前記第1弁金属を次に多く含有すれば、この手法に制限されるものではない。例えば、無電解メッキ、塗布法、真空プロセス等を用いることで、同構成の保護層を形成できる可能性がある。
(化成工程)
次に、保護層40が形成された基材8を化成した(化成工程)。
化成工程では、基材8を陽極として電解液に入れ、陽極酸化して凹部9Aの開口部10Aと基材8の表面11A、および凹部9Aの内壁12Aに酸化皮膜を形成する。この酸化皮膜が誘電体層3となる。本実施例においては、化成用の電解液に、7%アジピン酸アンモニウム水溶液を用いた。陽極酸化時の印加電圧(化成電圧)は、本実施例では化成電圧18V、保持時間30分、70℃、0.05A/cmで化成を行った。このような化成工程を経ることで、約35nmの誘電体層3(AlZrx2y2、ただしx2>0、y2>0)が形成された。
以上のように電極箔2EとしてサンプルA1が完成した。
また、比較例として、実施例Aの製造方法からメッキ工程を削除して保護層を形成しなかったサンプルX1も用意した。
(組成分析)
サンプルA1、及び、サンプルX1について、厚さ方向の組成分析を行った結果をそれぞれ図9、10に示す。同図においては、X線光電子分光(XPS)分析結果から求めた、電極箔の表面からの深さ(距離)換算値(nm)と原子濃度(原子%)との関係を示している。電極箔の表面からの深さ換算値は、下記方法で算出した。すなわち所定膜厚の二酸化ケイ素膜を形成した基材をレファレンスとして用い、アルゴンスパッタを行いながらXPS分析により原子濃度を測定する。そしてケイ素の原子濃度が急激に減少し、ほぼゼロになる時の時間と、実際の二酸化ケイ素膜の厚みから、分析時間と厚みの関係を導き出す。そしてこの関係を用いて、各サンプルの電極箔の原子濃度分析時間から、電極箔の表面からの深さ換算値を算出した。以下、電極箔の表面からの深さは、この深さ換算値を示し、膜厚はこの換算値から算出した値とする。
図9、10において、縦軸は原子濃度(原子%)を示し、横軸は表面からの深さ換算値(nm)を示す。
まず、サンプルA1について説明する。図9より、表面から約100nmの深さの領域(i)は保護層であり、ここでは、第1弁金属であるアルミニウムより、第2弁金属であるジルコニウムが多く含有されている。表面からの深さが約100nm〜約180nmのさらに内部の領域(ii)は誘電体層であり、ここでは、第2弁金属であるジルコニウムより、第1弁金属であるアルミニウムの方が多く含有されている。また、表面からの深さが約180nm以上の領域(iii)は基材部分であり、第1弁金属であるアルミニウムを多く含有していることがわかる。また、特に保護層である領域(i)では、炭素を0.1〜5.0原子%の範囲で含有していることが分かり、硫黄及び窒素においても0.01〜1.0原子%が含有されている。なお、窒素については、含有量が少なくデータをプロットすると横軸と重なるため、データのプロットを省略した。このように、保護層にメッキ液由来の炭素、硫黄、窒素のいずれかが含まれることにより、保護層を絶縁性でも導電性でもなく、高抵抗性とすることができる。また保護層だけではなく、誘電体層にも、炭素、硫黄、窒素のいずれかを含有する場合においても、本発明の効果を発揮することができる。
次に、比較例のサンプルX1について説明する。図10より、表面から約80nmの深さの領域(ii)は誘電体層であり、ここでは、弁金属としては第1弁金属であるアルミニウムのみが観察された。また、表面からの深さ約80nm以上の領域(iii)は基材部分であり、第1弁金属であるアルミニウムを含有していることがわかる。このように保護層が存在しないサンプルX1においては、領域(i)は存在せず、第2弁金属も存在しない。また全ての領域において、炭素、硫黄、窒素は観察されていない。
図11は、サンプルA1において凹部9が形成されていない表面11上に形成された誘電体層3、保護層40を撮影したTEM画像である。同図に示すように、基材8の上に、誘電体層3、保護層40、陰極部4が順次形成されている。
(静電容量)
実施例AのサンプルA1と比較例のサンプルX1について、静電容量を測定した。
静電容量の測定に際して、それぞれの電極箔を1×2cmにカットしたものを用いた。容量測定条件としては、LCRメーターを用い、15%アジピン酸アンモニウム水溶液、30℃、測定周波数120Hzで行った。
その結果、本実施例のように18V化成したサンプルA1は、保護層のないサンプルX1と比較して、静電容量は1.5%増加した。また例えば100V化成したサンプルA1
は、サンプルX1と比較して、11%増加し、容量が増大していることが分かった。
上述のように、実施例AのサンプルA1は比較例のサンプルX1よりも静電容量が大きくなっている。これは誘電体層3の構成元素のうち第2弁金属であるジルコニウムが第1弁金属であるアルミニウムに次いで原子%が大きいからである。
保護層は炭素、硫黄及び窒素のうち炭素を0.1〜5.0原子%含有している。炭素に限らず硫黄または窒素を保護層が含有しているので、保護層40は絶縁性でも導電性でもなく、高抵抗性を有することとなる。
なお、保護層40におけるアルミニウムの含有量は0.5〜25原子%とすることが好ましい。この範囲よりも少なくなると保護層40が絶縁体となり、この範囲より大きくなると保護層40の耐食性が低下するからである。
また本実施例では、誘電膜3としてジルコニウムを含有させたが、ジルコニウムに代えてハフニウムを用いてもよい。ハフニウムはジルコニウムと同じ第四属遷移金属であり、化学的特性が似ている上に、酸化物の生成Gibbs自由エネルギーΔG°が約−270kJ eq−1であり、チタン酸化物の約−220kJ eq−1より、アルミニウム酸化物及びジルコニウム酸化物の約−260kJ eq−1に近い。したがって、ハフニウムを用いた場合も、同様の原理により電解コンデンサ1の大容量化と漏れ電流の低減を実現できると考えられる。
上述した電極箔に化学重合、電解重合、分散液の塗布・乾燥などによりポリピロールからなる導電性高分子層を形成し、さらにカーボン層、銀層を形成してコンデンサ素子を完成させた。
その後、コンデンサ素子を所定数だけ積層して、陽極部を陽極端子にレーザ溶接により固定すると共に、コンデンサ素子の各陰極部と陰極端子とを導電性接着材(銀ペースト)により固定した。次いで、陽極端子および陰極端子の一部が外部に露出するようにコンデンサ素子を外装体によりモールドして電解コンデンサを完成させた。
ここで、サンプルA1は、保護層のないサンプルX1と比較して、急激に電圧を印加したときのショート発生を低減させるという効果が見られた。
(第2実施形態)
第1実施形態では、電極箔2Eをチップ型の電解コンデンサ1の陽極部2及び誘電膜として用いたが、図7に示す巻回型の電解コンデンサ15の陽極箔16や陰極箔17として用いることができる。陽極箔16、陰極箔17のいずれか一方として第1実施形態の電極箔2Eを用いてもよく、双方に用いても良い。
巻回型の電解コンデンサ15は、陽極箔16(陽極部)と陰極箔17(陰極部)とを、間にセパレータ18を介して巻回したコンデンサ素子19と、このコンデンサ素子19に含浸させた電解液や固体電解質層などの陰極材料(図示せず)と、陽極箔16の電極を引き出す陽極端子20と、陰極箔17の電極を引き出す陰極端子21と、陽極端子20と陰極端子21の一部を外部に露出させるようにコンデンサ素子19を収容する外装体22と、この外装体22を封止する封止部材23と、を備えている。陰極材料としては、導電性高分子からなる固体電解質や、電解液が挙げられ、これらの双方を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の電解コンデンサにおいても、第1実施形態の電解コンデンサと同様に大容量化を実現できると共に、ショート発生の低減、誘電体層の損傷修復性の向上を達成することができる。
(第3実施形態)
第3実施形態の第1実施形態との違いは、電極箔の構造および形成方法である。
図8に示すように第3実施形態の電極箔24は、アルミニウムからなる母材25と、この母材25の表面に形成されたアルミニウムからなる複数の柱状体26と、この柱状体26の表面に形成された誘電体層(図示せず)と、誘電体層の上に形成された保護層(図示せず)を備えている。柱状体26は母材25の両面に形成してもよく、一方の表面にのみ形成してもよい。母材25はアルミニウム以外にも、アルミニウム合金やチタン、タンタルなどの弁金属やその他導電性材料で構成してもよい。
柱状体26は、単純な円筒形状や四角柱形状でもよいが、複数のアルミニウム微粒子27が枝分かれするように連なった海ぶどうのような構造であってもよい。
母材25と柱状体26により基材31が構成されている。即ち、基材31はその表層部31Sに柱状体26を有し、互いに隣接する柱状体26の間の空間により凹部32が形成されている。そして、柱状体26の外縁のうち凹部32を構成していない部分が、凹部32が形成されていない表面33を構成している。
これらの柱状体26に形成された誘電体層は、酸化ジルコニウムと酸化アルミニウムとからなり、酸化アルミニウムを最も多く含有し、酸化ジルコニウムを次に多く含有している。
柱状体26は、エッチング、メッキ、真空蒸着などで形成できる。本実施形態の柱状体26は、真空蒸着で形成した。真空槽内を150〜300℃に保ち、活性ガスと不活性ガスの混合ガスを導入することによって、蒸発したアルミニウム微粒子27の表面に薄い酸化皮膜(この酸化皮膜は、後述する化成工程において形成される誘電体層に取り込まれて一体化する)が形成され、粒子形状を維持しながら母材25上に積層していく。また、柱状体の深さ方向tにおいて、下部よりも上部の方の空隙率を高めることによって、次に形成する保護層を形成しやすくすることができる。
以上のように柱状体26を形成した後、メッキにより柱状体26の上方からジルコニウムを含む保護層を形成する。保護層は酸化ジルコニウムを最も多く含有し、酸化アルミニウムを次に多く含有している。保護層の最大厚みは1〜100nmであることが好ましい。これより薄くなると、急激な電圧印加時のショート抑制効果が殆ど得られなくなるからである。
ショート発生を低減させるため、保護層は、柱状体26の先端28に優先的に形成することが好ましい。ショートは柱状体26の先端28近傍で発生しやすいからである。本実施形態では、保護層の厚みを平均10nmとした。
次に、保護層が形成された基材31を第1実施形態と同様に化成する。
以上のように形成した電極箔24、及びこれを用いた電解コンデンサ(チップ型、巻回型を問わず)は、第1実施形態と同様に大容量化を実現できると共に、ショート発生の低減、誘電体層の損傷修復性の向上を達成することができる。
上述した実施例Aにおいては、保護層としてジルコニウムとアルミニウムの合金を用いたが、例えば、アルミニウム(第1弁金属)と、アルミニウムとは異なる弁金属(第2弁金属)であるハフニウムとの合金を用いても良い。この場合、誘電体層は、少なくとも保護層の下に形成されている部分において、アルミニウム(第1弁金属)を最も多く含有し、ハフニウム(第2弁金属)を次に多く含有している。また、保護層は、ハフニウム(第2弁金属)を最も多く含有し、アルミニウム(第1弁金属)を次に多く含有している。
本第1〜3実施形態においては、「弁金属からなる基材」として純度99.95%の高純度アルミニウム箔を用いたが、これに限定されず、例えばジルコニウムなどの元素を0.1%程度含有させたアルミニウム箔(弁金属の合金)を基材として用いることもできる。
陰極部としてはポリピロールの他、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリアニリンなどを用いることもできる。
本発明による電極箔は、特に大容量かつショート発生の低減、誘電体層の損傷修復性の向上が要求される電解コンデンサの電極箔、特に陽極箔として有用である。また、本発明による電極箔の製造方法によれば、そのような本発明の電極箔を容易に製造することができる。また、本発明による電解コンデンサは、特に大容量かつショート発生の低減、誘電体層の損傷修復性の向上を達成することができ、さまざまな電子機器や機械装置に適用することができる。
1 コンデンサ
2 陽極部
2E 電極箔
3 誘電体層
4 陰極部
5 コンデンサ素子
6A 陽極端子
6B 陰極端子
7 外装体
8 基材
9 凹部
9D 凹部下側領域
9U 凹部上側領域
10 開口部
11 表面
12 内壁
13A 凹部
14 底部
15 コンデンサ
16 陽極箔
17 陰極箔
18 セパレータ
19 コンデンサ素子
20 陽極端子
21 陰極端子
22 外装体
23 封止部材
24 電極箔
25 母材
26 柱状体
27 アルミニウム微粒子
28 先端
31 基材
32 凹部
33 表面
40 保護層

Claims (10)

  1. 第1弁金属又はその合金からなり、その表層部に多数の凹部と、該凹部が形成されていない表面とを有する基材と、
    該凹部の内壁及び前記表面に形成された誘電体層と、
    を備えた電極箔であって、
    前記表面上に設けた誘電体層の上、及び、前記凹部の深さの1/2より上側の凹部上側領域における前記誘電体層の上に保護層が形成されており、
    前記誘電体層は、少なくとも保護層の下に形成されている部分において、前記第1弁金属を最も多く含有し、前記第1弁金属とは異なる弁金属である第2弁金属を次に多く含有しており、
    前記保護層は、前記第2弁金属を最も多く含有し、前記第1弁金属を次に多く含有している、電極箔。
  2. 前記保護層は炭素、硫黄、及び窒素のうちの少なくとも1つを含有している、請求項1に記載の電極箔。
  3. 前記第1弁金属はアルミニウムであり、
    前記第2弁金属はジルコニウム又はハフニウムである、請求項1又は2に記載の電極箔。
  4. 前記保護層はアルミニウムを0.5〜25原子%含有している、請求項1〜3のいずれかに記載の電極箔。
  5. 前記凹部の深さの1/2より下側の凹部下側領域においても、前記保護層が前記誘電体層の上に形成されている、請求項1〜4のいずれかに記載の電極箔。
  6. 前記基材はその表層部に柱状体を有し、互いに隣接する前記柱状体の間の空間により前記凹部が形成されている、請求項1〜5のいずれかに記載の電極箔。
  7. 陽極部と、陰極部と、該陽極部と陰極部の間に形成された誘電膜を有するコンデンサ素子と、
    前記陽極部に電気的に接続された陽極端子と、
    前記陰極部に電気的に接続された陰極端子と、
    前記陽極端子及び陰極端子の一部が外部に露出するように前記コンデンサ素子を収容する外装体と、
    を備え、
    前記陽極部と陰極部の少なくとも一方と前記誘電膜は、請求項1〜6のいずれかに記載の電極箔からなる、電解コンデンサ。
  8. 第1弁金属又はその合金からなる基材の表層部に多数の凹部を形成して、前記基材の表層部に、前記凹部と、前記凹部が形成されていない表面とを設ける凹部形成工程と、
    前記凹部形成工程の後、前記凹部の深さの1/2より上側の凹部上側領域と前記表面に、前記第1弁金属とは異なる弁金属である第2弁金属を最も多く含有すると共に前記第1弁金属を次に多く含有している酸化物からなる保護層をメッキにより形成するメッキ工程と、
    前記メッキ工程の後、前記保護層が形成された前記基材を化成して、前記保護層と基材との間に、誘電体層を形成する化成工程と、
    を備えた、電極箔の製造方法。
  9. 前記化成工程により、
    前記誘電体層に、第1弁金属を最も多く含有させると共に前記第2弁金属を次に多く含有させる、請求項8に記載の電極箔の製造方法。
  10. 前記凹部形成工程において、母材に第1弁金属からなる多数の柱状体を形成することによって、互いに隣接する前記柱状体の間の空間を前記多数の凹部とする、請求項8又は9に記載の電極箔の製造方法。
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