JP2015072050A - 摺動部品およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた部品強度を有すると共に、優れた潤滑性能を摺動初期から長期に亘って発揮することができる新規な摺動部品およびその製造方法の提供。【解決手段】摺動部品100の摺動面10にその表面硬度と同等かそれ以上の硬度である粒子70を衝突させて塑性変形させて微小な凹部20を複数形成した後、この摺動面10に固体潤滑材30粒子を散布または塗布して付着させ、その摺動面10を、転圧加圧手段によって平滑化する。これによって、部品強度を低下させることなく、優れた潤滑性能を摺動初期から長期に亘って発揮することができる。【選択図】図5

Description

本発明は、油圧ポンプなどの流体圧駆動機器などを構成する摺動部品と、その製造方法に関するものである。
自動車や産業機械などに用いられている油圧ポンプなどの流体圧駆動機器には、省エネルギー化を目的とした駆動流体の低粘度化が進められている。このため、前記流体圧駆動機器を構成する摺動部品表面には、摺動面間の摩擦抵抗の低減および焼付き防止のための潤滑表面処理や表面加工が施されている。例えば、以下の特許文献1には、金属摺動面上に複数の凹部を加工形成し、その中に固体潤滑材を埋設することで摺動面間の摩擦抵抗の低減および焼付き防止を目的とした摺動部品が提案されている。
特許第3960672号公報
前記特許文献1の方法によると、摺動面上に形成された孔または凹部に、珪酸ナトリウムを被着させて塊状にした固体潤滑材を埋設させることで、摺動面は珪酸ナトリウムおよび固形潤滑材の機能により、高温かつ乾燥条件環境下においても良好な摺動性能を発揮するとしている。
しかし、摺動面上に固体潤滑材を多数埋設するためには、埋設数量に比例した加工工程と固体潤滑材の埋め込み作業が必要となり、さらに摺動部品自体が小さなものであった場合、その作業性が非常に悪くなってしまう。
また、摺動性能を向上させるためには、摺動面積に対して固体潤滑材が占める面積を増やしていくことが有効であるが、埋設する固体潤滑材を大きくする方法や埋設数量を増やす方法では部品構造物としての強度が低下することに繋がる。さらに、摺動初期においては、固体潤滑材同士の間に存在する金属平坦部への固体潤滑材供給が十分でなく、摩耗や焼き付きなどの起点となりやすい。
そこで、本発明はこれらの課題を解決するために案出されたものであり、その目的は、部品強度を低下させることなく、優れた潤滑性能を摺動初期から長期に亘って発揮することができる新規な摺動部品およびその製造方法を提供するものである。
前記課題を解決するために第1の発明は、相手材と摺動する摺動面を有する摺動部品であって、前記摺動面は、微小な凹部が複数形成されていると共に、加圧手段によって平滑化されており、前記凹部には固体潤滑材が充填されていると共に、前記凹部を除く平坦部にはその表面から内部に亘って固体潤滑材が含浸された潤滑材含浸層が形成されていることを特徴とする摺動部品である。このような構成によれば、後に実証するように部品強度を低下させることなく、優れた潤滑性能を摺動初期から長期に亘って発揮することができる。
第2の発明は、前記摺動面上に形成された前記凹部の合計開口面積率が、前記摺動面全体の20〜91%であることを特徴とする摺動部品である。このような構成によれば、凹部以外の平坦部への固体潤滑材の供給を十分に行えると共に、摺動負荷面圧や摺動面発熱量を小さく抑えることができる。
ここで、本発明において凹部の合計開口面積率を摺動面全体の20〜91%と規定したのは、20%未満では、摺動面が摩滅した際に、固体潤滑材を供給するための凹部が少ないことで平坦面への固体潤滑材供給が十分に行われなくなるおそれがあるからである。反対に、91%を超えると平坦部(接触面)の面積を十分確保することができなくなって摺動負荷面圧や摺動面発熱量が増大して固体潤滑材の酸化変質による固体潤滑機能の低下や摺動面の摩耗および焼き付きを招くおそれがあるからである。ただし、91%というのは同サイズの凹部(ディンプル)が隣接して並んだ場合の理論上の最大値であり、実際には凹部(ディンプル)がランダムに並ぶため、面積率は低くなる。従って、摺動面に占める凹部の合計開口面積率は、好ましくは50〜80%、より好ましくは60〜70%の範囲である。
第3の発明は、前記固体潤滑材が二硫化モリブデンまたは二硫化モリブデンを主とする混合物であることを特徴とする摺動部品である。このように固体潤滑材が二硫化モリブデンまたは二硫化モリブデンを主とする混合物を用いることによって安定した潤滑性能を長期に亘って発揮することができる。
第4の発明は、摺動部品の摺動面にその表面硬度と同等かそれ以上の硬度である粒子を衝突させて塑性変形させて微小な凹部を複数形成する第1の工程と、当該第1の工程で微小な凹部を複数形成された摺動面に固体潤滑材粒子を散布または塗布して付着させる第2の工程と、当該第2の工程で固体潤滑材粒子が付着した摺動面を、転圧加圧手段によって平滑化する第3の工程とを含むことを特徴とする摺動部品の製造方法である。このような製造方法によって前記第1の発明のような長期に亘って優れた潤滑性能を発揮できる摺動部品を容易に製造することができる。
第5の発明は、前記固体潤滑材粒子の粒径が、前記摺動面の算術平均粗さRaと同等か、それよりも小さいことを特徴とする摺動部品の製造方法である。このような粒径の固体潤滑材粒子を用いれば、これらの摺動面への散布または塗布時に固体潤滑材粒子が表面粗さ谷部に入り込みやすくなるため、ローラーバニシングなどの転圧加工によって表面粗さ山部を押し潰した際に、より効率的に母材の組織との混合組織を形成することができる。
本発明の摺動部品によれば、部品強度を低下させることなく、優れた潤滑性能を摺動初期から長期に亘って発揮することができる。
本発明に係る摺動部品100の摺動面10の実施の一形態を示す拡大断面図である。 ピーニング処理前の摺動面10の状態を示す拡大断面図である。 摺動面10に対し、ピーニング処理を行っている状態を示す概念図である。 ピーニング処理後の摺動面10に固体潤滑材30を塗布した状態を示す概念図である。 固体潤滑材30を塗布した後の摺動面10にローラーバニシング処理を行っている状態を示す概念図である。 ピーニング処理装置を示す説明図である。 ピーニング処理に用いる硬質粒子70の例を示す顕微鏡写真図である。 (A)は、二硫化モリブデンを塗布する前の表面をバニシング処理した試験片の顕微鏡写真図、(B)は、二硫化モリブデンを塗布してからバニシング処理をした試験片の顕微鏡写真図である。 摩擦試験機を示す説明図である。 摩擦試験結果を示すグラフ図である。 摩擦試験結果を示すグラフ図である。 摩耗試験前における純チタン試験片の摺動面の顕微鏡写真図である。 摩耗試験前におけるステンレス試験片の摺動面の顕微鏡写真図である。 摩耗試験後における純チタン試験片の摺動面の顕微鏡写真図である。 摩耗試験後におけるリング試験片の摺動面の顕微鏡写真図である。 摩耗試験後におけるステンレス試験片の摺動面の顕微鏡写真図である。 摩耗試験後におけるリング試験片の摺動面の顕微鏡写真図である。 アルミ合金試験片の摩擦試験結果を示すグラフ図である。 アルミ合金試験片の摩擦試験結果を示すグラフ図である。 (A)乃至(D)は、このようなアルミ合金試験片(ディスク)の試験前の摺動面を写した顕微鏡写真図である。 アルミ合金試験片(ディスク)の試験後の摺動面の顕微鏡写真図である。 相手材(炭素鋼:リング)の試験後の摺動面の顕微鏡写真図である。 バニシング処理してから固体潤滑材を塗布した試験片の摺動面の顕微鏡写真図である。 バニシング処理してから固体潤滑材を塗布した試験片の摺動摩擦試験結果を示すグラフ図である。 バニシング処理してから固体潤滑材を塗布した試験片(ディスク)および相手材(リング)の摺動面の顕微鏡写真図である。
次に、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら説明する。図1乃至図4は、本発明に係る摺動部品100およびその製造方法の実施の一形態を示したものである。本発明に係る摺動部品100は、前述したように例えば自動車や産業機械などに用いられている油圧ポンプなどの流体圧駆動機器用の摺動部品などとして用いられ、図1に示すようにその母材11表面の摺動面10は、例えば開口幅が数μm〜数十μm程度の微小な球形状の凹部20が多数形成されている共に、転圧加圧手段によって平滑化処理がなされている。
そして、さらにこれら各凹部20には、二硫化モリブデン(MoS)などの固体潤滑材30が充填されていると共に、この凹部20を除く平坦部40にはその表面から内部に亘って同じく二硫化モリブデンなどの固体潤滑材30が含浸された潤滑材含浸層50が形成された構造となっている。
ここで、この摺動部品100を構成する材料としては特に限定されるものでなく、炭素鋼やステンレススチール、チタンやアルミニウムなどの金属の他に樹脂などの他の材料も用いることができる。また、その摺動面10の表面形状も特に限定されるものでなく、平坦面の他、曲面あるいは球面であっても良い。また、固体潤滑材30としては、二硫化モリブデン(MoS)の他に、この二硫化モリブデンと他の固体潤滑材、例えばPTFE(polytetrafluoroethylene)、グラファイトなどとの混合物であっても良い。
そして、このような摺動面10を有する本発明の摺動部品100は、例えば図2乃至図5に示すような主に3つの工程からなる製造方法によって容易に製造することができる。すなわち、先ず第1の工程として、図2および図3に示すように一般的にショットピーニングやショットブラストなどと呼ばれる公知の加工装置を用いてその摺動面10に対して、そのノズル60から圧縮空気によって粒径数μm〜数十μmのガラスビーズやアルミナビーズなどの硬質粒子70を高速噴射してその表面に衝突させる。
すると、その硬質粒子70の衝突による衝撃によって摺動面10の表面に、その粒径に対応した、例えば開口幅が数μm〜数十μm程度の微小な球形状の凹部20が複数形成される。この工程で使用される硬質粒子70の形状は、大別して球形のものとグリッド形状と呼ばれる多角(多面)形のものがあるが、本発明のように摺動面10へ投射する場合、グリッド形状のものを使用すると、硬質粒子70が衝突部に食い込んで摺動面上に残留し、摺動状態を悪化させるため、球形のものを用いるのが好ましい。なお、この凹部20の開口幅は、衝突させる硬質粒子70の粒径を変えるだけで容易に調整できる。
次に、第2の工程として、図4に示すように、粒子状の固体潤滑材30をエタノールなどのアルコール溶媒と混合し、懸濁状態にしたものを摺動面10に散布または塗布した後、アルコールを揮発させてその摺動面10を固体潤滑材30で被覆する。これによって、すべての凹部20内に固体潤滑材30が一気に充填されると同時に、凹部20間の平坦部40の表面も固体潤滑材30で覆われることになる。
このとき、固体潤滑材30の粒子を摺動面10の算術平均表面粗さRaと同等か、それよりも小さくすることによって粒子状の固体潤滑材30が表面粗さの谷部に入り込みやすくなって後の工程(第3の工程)の転圧加工時に表面粗さ山部を押し潰した際に、より効果的に金属組織(母材)との混合組織を形成することができる。
そして、最後の(第3の)工程として、図5に示すように固体潤滑材30で被覆された摺動面10をローラーバニシング工具などの転圧加工工具80で押し潰しながらその平坦部40の表面を平滑化処理する。すると、その平坦部40を覆っている固体潤滑材30が、その表面粗さの山部が押し潰される際にその部分の金属組織(母材)と混ざり合ってその内部に含浸するようにして取り込まれて、その表面に潤滑材含浸層50が形成されることになる。
このような処理によって、図1に示したように固体潤滑材30が充填された複数の凹部20が形成された平滑な摺動面10を有する、本発明に係る摺動部品100を容易に製造することができる。そして、このような構造の摺動面10を有する本発明に係る摺動部品100にあっては、その摺動面10が転圧加圧手段により平滑化されている上に、複数の凹部20に充填された固体潤滑材30からその表面(平坦部40)に固体潤滑材30が供給されるだけでなく、その平坦部40の表層部に形成された潤滑材含浸層50からもその表面(平坦部40)に固体潤滑材30が継続的に供給されるため、摺動初期から長期に亘って優れた摺動特性を維持することができる。
また、この摺動面10上に形成された凹部20の合計開口面積率を摺動面10全体の20〜91%とすることによって、凹部20以外の平坦面40への固体潤滑材30の供給を十分に行えると共に、摺動負荷面圧や摺動面発熱量を小さく抑えることができる。これにより、炭素鋼のみならず、摩擦係数が大きく摺動部品には不向きとされているチタンやアルミニウムなどの金属、あるいは樹脂などであっても優れた摺動性能を発揮することが可能となる。
次に、本発明に係る摺動部品100の具体的実施例を説明する。
(実施例1)
先ず、本発明の摺動部品100に相当する試験片として、チタン製のディスク(厚さ10mm、φ50mm)を用意すると共に、摺動相手材として、外径40mm×内径30mm×高さ14mmのリング状の炭素鋼からなるリング状試験片(高周波焼き入れ、700HV、Ra<0.001μm)を用意した。
次に、図6に示すような構造をした装置を用いてそのチタン試験片の摺動面に微粒子ピーニング処理を施した。この微粒子ピーニング処理の条件(投射条件)としては、粒径が約50μmのガラスビーズおよびアルミナビーズの混合粒子(硬質粒子)を用い、粒子加速圧力0.6MPa、流量制御圧力0.3MPa、ノズルから試験片までの投射距離100mmの条件で行った。なお、図7は、この処理に用いた球形のガラスビーズおよびアルミナビーズの顕微鏡写真図である。
その後、その試験片の摺動面に、二硫化モリブデンをエタノールに懸濁した懸濁液を刷毛で塗布した後、乾燥させてエタノールを揮発させてから、バニシング加工工具を用いてその摺動面を平滑化した。図8(A)は、二硫化モリブデンを塗布する前の表面をバニシング処理した試験片の顕微鏡写真図、図8(B)は、二硫化モリブデンを塗布してからバニシング処理をした試験片の顕微鏡写真図である。これらの図からも分かるように、この転圧加工によってチタン製試験片の表面が平滑になっているのが分かる。
そして、このディスク状試験片を図9に示すような摩擦試験機の受皿にセットした後、その摺動面上に相手材となるリング状の試験片を載せた状態で受皿を回転させて両試験片を摺動させてその摩耗試験を行った。なお、この摩耗試験条件としては、垂直荷重10N、摩擦距離2000m、摩擦速度1m/sとした。また、貧潤滑状態を再現するため、その摺動面に潤滑油(5cSt@40℃)を5滴(40μl)滴下し、それ以後は潤滑材を供給しない条件下で行った。
(実施例2)
試験片として、ステンレススチール(SUS304)製のディスク(円板)を用いた他は、実施例1と同様な条件で摩耗試験を行った。
(比較例1)
実施例1のようなピーニング処理や固体潤滑材塗布処理、バニシング処理を一切行わないチタン製の試験片(NP)を用いた他は、実施例1と同様な条件で摩耗試験を行った。
(比較例2)
実施例1のような固体潤滑材塗布処理を行わないでピーニング処理とバニシング処理のみを行ったチタン製の試験片(SP+B)を用いた他は、実施例1と同様な条件で摩耗試験を行った。
(比較例3)
実施例1のようなピーニング処理や固体潤滑材塗布処理、バニシング処理を一切行わないステンレススチール(SUS304)製の試験片(NP)を用いた他は、実施例1と同様な条件で摩耗試験を行った。
(比較例4)
固体潤滑材塗布処理を行わないでピーニング処理とバニシング処理のみを行ったステンレススチール(SUS304)製の試験片(SP+B)を用いた他は、実施例1と同様な条件で摩耗試験を行った。
図10および図11は、このような各条件下における摩耗試験結果を示したものである。なお、縦軸は摩擦係数、横軸は摺動距離を示している。これらの図からも分かるように、比較例1乃至4に係る試験片(NP(チタン)、SP+B(チタン)、NP(SUS)、SP+B(SUS))の場合は、図10に示すように、摺動距離が50m未満で焼き付き状態となった。
これに対し、本発明に係る実施例1(SP+MoS+B(チタン))および2(SP+MoS+B(SUS304))の試験片では、図11に示すように、いずれも殆ど摩耗することなく極めて安定した摺動性能(2000m以上)を発揮した。
図12および図13は、この摩耗試験前における純チタンおよびステンレス試験片の摺動面の顕微鏡写真図である。比較例1(NP)および比較例2(SP+B)の場合、その表面粗さRaはいずれも0.4μmを超えているのに対し、本発明に係る実施例1および2(SP+MoS+B)の表面粗さRaは、それぞれ0.25μmおよび0.18μmであり、固体潤滑材で被覆した後にローラーバニシングすることによってその表面がより滑らかになることが分かる。
図14は、この摩耗試験後におけるチタン製の各試験片の表面状態を示した顕微鏡写真図である。図からも分かるように、比較例1(NP)および比較例2(SP+B)の試験片の場合は、いずれもその摺動面が大きく傷付いてしまい、表面粗さRaも大きくなっていた。これに対し、本発明に係る実施例1(SP+MoS+B)の試験片では、その表面状態および表面粗さRaは試験前(図12)と殆ど変わらなかった。
図15は、摺動相手材となったリング状試験片(炭素鋼)の表面状態を示した顕微鏡写真図である。図からも分かるように、比較例1(NP)および比較例2(SP+B)の試験片の相手材となった場合は、いずれもその摺動面が大きく傷付いてしまい、表面粗さRaも大きくなっていた。
これに対し、本発明に係る実施例1(SP+MoS+B)の試験片の相手材となった場合では、その表面状態および表面粗さRaは試験前と殆ど変わらず、チタン製試験片のみならず、その相手材も殆ど摩耗していないことがわかった。
図16は、この摩耗試験後におけるSUS304製の各試験片の表面状態を示した顕微鏡写真図である。図からも分かるように、本発明に係る処理を行わなかった比較例3および4の試験片の場合は、いずれも摩耗が大きかったのに対し、本発明に係る実施例2(SP+MoS+B)の試験片では、その表面状態および表面粗さRaは試験前と殆ど変わらなかった。
また、図17は、同じく相手材となったリング状試験片(炭素鋼)の表面状態を示した顕微鏡写真図であり、NPおよびSP+Bの試験片の相手材となった場合は、いずれもその摺動面が大きく傷付いてしまい、表面粗さRaも大きくなっていたのに対し、本発明に係る試験片の相手材となった場合では、チタンの場合と同様にその表面状態および表面粗さRaは試験前と殆ど変わらなかった。
図18および図19は、試験片としてさらにアルミニウム合金のディスク(円板)を用いた他は、実施例1と同様な条件で摩耗試験を行った結果を示したものである。図18に示すように、ピーニング処理や固体潤滑材塗布処理、バニシング処理を一切行わない試験片(NP)およびバニシング処理のみ(NP+B)を行った試験の場合は、いずれも大きな摩擦を生じてしまった。また、図19に示すように、ピーニング処理とバニシング処理のみ(SP+B)を行った試験片の場合、上記に比べるとやや摩擦係数は低いものの十分とはいえない。
これに対し、3つすべての処理を行った試験片(SP+MoS+B)の場合は、いずれも摩擦係数は極めて低く、優れた潤滑性能を発揮することができた。この結果から、本発明の摺動面構造を採用すれば、従来、摺動部品として適していないといわれていたアルミ合金を摺動部品として用いることが可能となり、装置全体の軽量化などに寄与することが期待される。
図20(A)乃至(D)は、このようなアルミ合金試験片(ディスク)の試験前の摺動面を写した顕微鏡写真図である。図21および図22は、このアルミ合金試験片(ディスク)の試験後の摺動面および相手材(炭素鋼:リング)を写した顕微鏡写真図である。これらの図からも分かるように、3つすべての処理を行った試験片(SP+MoS+B)の場合は、他の試験片に比べて殆ど摩耗現象が見られず、優れた潤滑性能を発揮したのが分かる。
図23および図24は、本発明のように固体潤滑材を塗布した後にバニシング処理したのではなく、その逆、つまりバニシング処理してから固体潤滑材を塗布した試験片の摺動面の顕微鏡写真図およびその摺動摩擦試験結果を示したものである。図23からも明らかなように、バニシング処理してから固体潤滑材を塗布する方法では、その表面は平滑化されていない。また、図24に示すように、バニシング処理してから固体潤滑材を塗布した試験片ではいずれも摩擦係数が大きく、潤滑性能が劣ることが分かる。図25は、バニシング処理してから固体潤滑材を塗布した試験片(ディスク)および相手材(リング)の摺動面の顕微鏡写真図であり、ディスク側が大きく摩耗しているのが分かる。
このことから、バニシング処理してから固体潤滑材を塗布する製造方法ではなく、本発明のように固体潤滑材を塗布した後にバニシング処理することによって前述のように優れた潤滑性能を長期に亘って発揮できることが分かる。
100…摺動部品
10…摺動面
11…母材
20…凹部
30…固体潤滑材
40…平坦部
50…潤滑材含浸層
60…ノズル
70…硬質粒子
80…転圧加工工具

Claims (5)

  1. 相手材と摺動する摺動面を有する摺動部品であって、
    前記摺動面は、微小な凹部が複数形成されていると共に、加圧手段によって平滑化されており、
    前記凹部には固体潤滑材が充填されていると共に、前記凹部を除く平坦部にはその表面から内部に亘って固体潤滑材が含浸された潤滑材含浸層が形成されていることを特徴とする摺動部品。
  2. 前記摺動面上に形成された前記凹部の合計開口面積率が、前記摺動面全体の20〜91%であることを特徴とする請求項1に記載の摺動部品。
  3. 前記固体潤滑材が二硫化モリブデンまたは二硫化モリブデンを主とする混合物であることを特徴とする請求項1に記載の摺動備品。
  4. 摺動部品の摺動面にその表面硬度と同等かそれ以上の硬度である粒子を衝突させて塑性変形させて微小な凹部を複数形成する第1の工程と、
    当該第1の工程で微小な凹部を複数形成された摺動面に固体潤滑材粒子を散布または塗布して付着させる第2の工程と、
    当該第2の工程で固体潤滑材粒子が付着した摺動面を、転圧加圧手段によって平滑化する第3の工程とを含むことを特徴とする摺動部品の製造方法。
  5. 前記固体潤滑材粒子の粒径が、前記摺動面の算術平均粗さRaと同等か、それよりも小さいことを特徴とする請求項4に記載の摺動部品の製造方法。
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