JP2015071848A - 微細セルロース繊維の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低い投入エネルギーでも、微細セルロース繊維を高い収率で得ることができ、高い生産性で微細セルロース繊維を製造することができる方法を提供する。【解決手段】セルロース繊維を解繊処理することにより、数平均繊維径が200nm以下の微細セルロース繊維を製造する方法において、該セルロース繊維として、カチオン性基が0.05〜3.0mmol/g導入されたセルロース繊維を用い、高速回転式分散機及び高圧式分散機で解繊処理をする微細セルロース繊維の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、数平均繊維径が200nm以下の微細セルロース繊維を製造する方法に関し、具体的には、高速回転式分散機と高圧式分散機を用いて機械的解繊処理を行うことにより、微細セルロース繊維を効率的に製造する方法に関する。
本発明はまた、この製造方法により得られた微細セルロース繊維を含有する分散液、セルロース繊維シート、及びセルロース繊維複合材料に関する。
近年、工業製品、構造材料、化粧品、食品、ガスバリア材料等において、生分解性があり、微細なセルロース繊維の分散液を製造することが検討されている。セルロースはその伸びきり鎖結晶が故に、低線膨張係数と高弾性率と高強度とを発現することが知られている。また、微細化することにより、樹脂と複合化して複合材料とした際、高透明性を示す材料としても注目されている。このような高透明性、低線膨張係数を有するセルロース繊維の複合材料(セルロース繊維複合材料)の用途の例としては、フラットパネルディスプレイや有機LED照明、太陽光発電パネルなどに代表される電気・電子デバイス向けの基板材料がある。
従来、このようなセルロースの微細繊維を得るために、例えば、特許文献1には、木粉を高圧式ホモジナイザー、高速回転式ホモジナイザー、超音波ホモジナイザーなどで機械的に解繊する方法が提案されている。しかし、この方法では、解繊性を高めるためには大きなエネルギーが必要である。また、所望の微細繊維を得るために、解繊処理後に遠心分離操作を行うが、その際の更なる回収率の向上、生産性の向上が求められている。
また、例えば特許文献2では、セルロース繊維として四級アンモニウム基を含有する化合物でカチオン変性されたカチオン性ミクロフィブリル化植物繊維を用いて、リファイナーにより解繊して微細セルロース繊維を得ている。しかしながら、この方法では微細な繊維が得られるものの、繊維の回収率及び生産性の問題が残っていた。
特開2009―167397号公報 特開2011−162608号公報
本発明は、工業的スケールにおいても、従来法よりも更に高い生産性で微細セルロース繊維を得ることができる方法を提供することを課題とする。
本発明者が鋭意検討した結果、解繊処理に供するセルロース繊維として特定のセルロース繊維を用い、かつ特定の解繊処理を行うことにより、高い生産性で微細セルロース繊維を製造できることが分かり本発明に到達した。
すなわち、本発明は、
セルロース繊維を解繊処理することにより、数平均繊維径が200nm以下の微細セルロース繊維を製造する方法において、該セルロース繊維として、カチオン性基が0.05〜3.0mmol/g導入されたセルロース繊維を用い、高速回転式分散機及び高圧式分散機で解繊処理をすることを特徴とする微細セルロース繊維の製造方法、
この製造方法により得られた微細セルロース繊維を含有する分散液、
この製造方法により得られた微細セルロース繊維を含有するセルロース繊維シート、
及び
この製造方法により得られた微細セルロース繊維とマトリックス材料とを含有するセルロース繊維複合材料、
に存する。
本発明によれば、低い投入エネルギーでも、微細セルロース繊維を高い収率で得ることができ、所望の微細セルロース繊維を、工業的スケールにおいても高い生産性で製造することができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はこれらの内容に特定はされるものではない。
[微細セルロース繊維の製造方法]
本発明の微細セルロース繊維の製造方法は、セルロース繊維を解繊処理することにより、数平均繊維径が200nm以下の微細セルロース繊維を製造する方法において、該セルロース繊維として、カチオン性基が0.05〜3.0mmol/g導入されたセルロース繊維を用い、高速回転式分散機及び高圧式分散機で解繊処理をすることを特徴とする。
まず、セルロース繊維について説明する。以下、解繊処理を施すセルロース繊維を「セルロース繊維原料」という。また、本発明の微細セルロース繊維の製造方法により得られた微細セルロース繊維を「本発明の微細セルロース繊維」という。
本発明の微細セルロース繊維は、以下のセルロース繊維原料にカチオン性基を導入する工程と、カチオン性基が導入されたセルロース繊維原料を解繊処理する工程を経て製造される。
<セルロース繊維原料>
本発明において、セルロース繊維原料は、下記に示すようなセルロース含有物から一般的な精製工程を経て不純物を除去したものであることが好ましい。
(セルロース含有物)
セルロース含有物としては、例えば、針葉樹や広葉樹等の木質(木粉等)、コットンリンターやコットンリント等のコットン、さとうきびや砂糖大根等の絞りかす、亜麻、ラミー、ジュート、ケナフ等の靭皮繊維、サイザル、パイナップル等の葉脈繊維、アバカ、バナナ等の葉柄繊維、ココナツヤシ等の果実繊維、竹等の茎幹繊維などの植物由来原料、バクテリアが産生するバクテリアセルロース、バロニアやシオグサ等の海草やホヤの被嚢等の天然セルロースが挙げられる。これらの天然セルロースは、結晶性が高いので低線膨張率、高弾性率になり好ましい。特に、植物由来原料から得られるセルロース含有物が好ましい。
(セルロース含有物の精製方法)
本発明に用いられるセルロース繊維原料は好ましくは上記のセルロース含有物を通常の方法で精製して得られる。
この精製方法としては、例えば、セルロース含有物をベンゼン−エタノール混合溶媒や炭酸ナトリウム水溶液で脱脂した後、亜塩素酸塩で脱リグニン処理を行い(ワイズ法)、アルカリで脱ヘミセルロース処理をする方法が挙げられる。また、ワイズ法の他に、過酢酸を用いる方法(pa法)、過酢酸と過硫酸を併用する過酢酸過硫酸混合物を用いる方法(pxa法)、塩素・モノエタノールアミン法なども精製方法として利用される。また、適宜、更に漂白処理等を行ってもよい。
セルロース含有物は、一般的な化学パルプの製造方法、例えばクラフトパルプ、サルファイドパルプ、アルカリパルプ、硝酸パルプの製造方法に従って精製処理することもでき、また、セルロース含有物を蒸解釜で加熱処理して脱リグニン等の処理を行い、更に漂白処理等を行う方法であってもよい。
すなわち、セルロース繊維原料としては、広葉樹クラフトパルプ、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ、広葉樹漂白クラフトパルプ、針葉樹漂白クラフトパルプ、リンターパルプなどのパルプを用いてもよい。
尚、セルロース含有物を木材チップや木粉などの状態に破砕してもよく、この破砕は、精製処理前、処理の途中、処理後、いずれのタイミングで行ってもかまわない。
セルロース含有物を精製して得られるセルロース繊維原料の精製度合いに特に定めはないが、油脂、リグニンが少なく、セルロース成分の含有率が高い方がセルロース繊維原料の着色が少なく好ましい。セルロース含有物を精製して得られるセルロース繊維原料のセルロース成分の含有率は好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上である。
また、セルロース成分は結晶性のα−セルロース成分と非結晶性のヘミセルロース成分に分類できる。結晶性のα−セルロースの比率が高い方が、セルロース繊維複合材料とした際に低線膨張係数、高弾性率、高強度の効果が得られやすいため好ましい。セルロース含有物を精製して得られるセルロース繊維原料の結晶性のα−セルロース成分と非結晶性のヘミセルロース成分との比率(重量比率)は好ましくは70対30以上、より好ましくは75対25以上、さらに好ましくは80対20以上で、結晶性のα−セルロース成分の比率が高いことが好ましい。
(セルロース繊維原料の繊維径)
本発明に用いられるセルロース繊維原料の繊維径は特に制限されるものではなく、数平均繊維径としては1μmから1mmである。一般的な精製を経たものは50μm程度である。例えばチップ等の数cm大のものを精製したものである場合、リファイナーやビーター等の離解機で機械的処理を行い、50μm程度にすることが好ましい。
<カチオン性基の導入>
本発明においては、通常、上記セルロース繊維原料に対して、カチオン性基を導入する。解繊処理の後にカチオン性基を導入することも可能であるが、解繊処理を施す前のセルロース繊維原料にカチオン性基が導入されていると、セルロース繊維原料の解繊処理効率が向上し、低い投入エネルギーでの微細化が可能となるため、本発明では、解繊処理前のセルロース繊維原料にカチオン性基を導入することが好ましい。
(カチオン性基)
カチオン性基は、セルロース繊維を構成するセルロースの水酸基の一部をカチオン性基で置換することにより導入される。
カチオン性基とは、その基内に、アンモニウム、ホスホニウム、スルホニウムなどのオニウムを有する基であって、通常は、分子量が1000以下程度の基である。カチオン性基として具体的には、アンモニウム、ホスホニウム、スルホニウム、これらアンモニウム、ホスホニウムまたはスルホニウムを有する基が挙げられる。本発明において、カチオン性基としては、アンモニウムを有する基が好ましく、特に、四級アンモニウムを含む基が好ましい。
本発明において、カチオン性基は、その1種のみがセルロース繊維原料に導入されていてもよく、2種以上が導入されていてもよい。
これらのカチオン性基は、カチオン性基を有する化合物をセルロース繊維原料に反応させることにより導入することができる。
即ち、カチオン性基は、上記のアンモニウム、ホスホニウムまたはスルホニウムなどのカチオン性基と、セルロースの水酸基と反応する基とを有する化合物を、セルロース繊維原料に反応させることにより導入することが好ましく、ここで、セルロースの水酸基と反応する基としては、その水酸基と反応して共有結合を形成する反応基であれば特に限定はなく、例えば、エポキシ基又はそれを形成し得るハロヒドリン基、活性ハロゲン基、活性ビニル基、メチロール基等が挙げられる。これらの内、反応性の点からエポキシ基又はそれを形成し得るハロヒドリン基が好ましい。
セルロース繊維原料にカチオン性基を導入するために用いられる、カチオン性基と、セルロースの水酸基と反応する基を有する化合物(以下、「カチオン性基を有する化合物」と称す場合がある。)としては、例えば、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド等のグリシジルトリアルキルアンモニウムハライド或いはそのハロヒドリン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カチオン性基を有する化合物とセルロース繊維原料との反応方法(以下、「カチオン化反応」と称す場合がある。)としては、例えば、グリシジルトリアルキルアンモニウムハライドを用いる場合、反応溶媒中で、セルロース繊維原料にグリシジルトリアルキルアンモニウムハライドと触媒である水酸化アルカリ金属塩を作用させることにより反応させる方法が挙げられる。
反応溶媒としては、水、或いは一般的な有機溶剤が用いられるが、特に水、或いは低級アルコール、具体的にはメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール等の炭素数1〜4程度の低級アルコールの1種又は2種以上、或いはこれらの低級アルコールと水との混合溶媒を使用することができ、その使用量は、セルロース繊維原料に対し1〜30重量倍程度とすることが好ましい。
触媒の水酸化アルカリ金属塩としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の1種又は2種以上が使用できる。
カチオン化反応は、通常0℃以上、好ましくは20℃以上、通常90℃以下、好ましくは80℃以下で、通常30分以上、好ましくは1時間以上、通常10時間以下、好ましくは4時間以下行う。
尚、カチオン性基を有する化合物と触媒の使用量は、用いるセルロース繊維原料、反応系の溶媒組成、反応器の機械的条件、その他の要因によって適宜調整する。
反応終了後、残存する水酸化アルカリ金属塩を鉱酸、或いは有機酸により中和した後、常法により洗浄、精製してカチオン性基を有するセルロース繊維原料を得ることができる。
カチオン性基を有する化合物との反応でセルロース繊維原料に導入されるカチオン性基としては、具体的には下記式(1)で表される基であることが好ましい。
Figure 2015071848
(式(1)中、R,RおよびRはそれぞれ独立にアルキル基(好ましくは炭素数1〜10のアルキル基、特に好ましくはメチル基)を表し、XはCl等のハロゲンイオンを表す。Ceは、セルロースを表し、Ce−O−の−O−はセルロースの水酸基とグリシジルトリアルキルアンモニウムハライドとの反応で生じたエーテル結合である。)
カチオン性基の導入量としては、セルロース繊維原料のセルロースに対する、カチオン性基の置換度として、0.05〜3.0mmol/gであり、0.14mmol/g以上が好ましく、0.21mmol/g以上がより好ましく、2.14mmol/g以下が好ましく、2.07mmol/g以下がより好ましい。カチオン性基の導入量がこの範囲であることによって、セルロース繊維原料間に静電反発力が作用して解繊処理効率が向上し、生産性高く微細セルロース繊維を製造することができる。
カチオン性基の置換度は、元素分析によりカチオン性基に含まれる窒素等の元素を定量したり、また固体NMRによってカチオン性基に特有な分子構造のピークを定量することによって求めることができる。
<解繊処理>
本発明では、カチオン性基が導入されたセルロース繊維原料(以下「カチオン化セルロース繊維原料」と称す場合がある。)に対し、高速回転式分散機及び高圧式分散機で解繊処理を施す。本発明の微細セルロース繊維の製造方法は、高速回転式分散機及び高圧式分散機を併用することに特徴があるため、その順番は問わないが、高速回転式分散機で先に処理する方が、高濃度のセルロース繊維原料の解繊処理効率やセルロース繊維による系内の詰まり防止の点で好ましい。
高速回転式分散機及び高圧式分散機による解繊処理を施すことにより、本発明の微細セルロース繊維を含む本発明の分散液が得られる。
(高速回転式分散機による解繊処理)
カチオン化セルロース繊維原料は、後述する好ましい固形分濃度の分散液とした後、高速回転式分散機で解繊処理することが好ましい。
高速回転式分散機は、高速で回転する回転体の近傍に生じるせん断力、衝撃力、キャビテーションにより、被処理物を分散させて微細化するものである。回転体には、各種形状の攪拌羽根があり、また、槽自体が回転するもの等、高速回転式分散機としては各種のものが公知である。
高速回転式分散機は、回転体と固定部の間の空隙に処理対象となるカチオン化セルロース繊維原料の分散液を通過させて解繊処理するタイプのもの、或いは、一定方向に回転する内側回転体と内側回転体の外側を逆方向に回転する外側回転体とを有し、内側回転体と外側回転体の間の空隙に処理対象となるカチオン化セルロース繊維原料の分散液を通過させて解繊処理するタイプのものが好ましい。
高速回転式分散機としては、例えばエム・テクニック社のクレアミックス、大平洋機工(株)製のマイルダー、プライミクス(株)製のTKロボミックス、大平洋機工(株)製の櫛歯型高速回転式分散機(キャビトロン)、大平洋機工(株)製の高速回転式分散機(シャープフローミル)、プライミクス(株)製の薄膜旋回型高速回転式分散機(フィルミックス等を挙げることができ、その他高速回転式分散機と同等の効果が得られるものとして三井鉱山(株)製の媒体攪拌型分散機(SCミル)を用いることができる。
このように高速回転させながらカチオン化セルロース繊維原料の分散液を狭い空隙に通すことにより、高いせん断速度(単位s-1)を発生させることができるため、単に高速回転させた場合と比べて(即ち、家庭用のジューサーミキサーのように、上記空隙が大きくせん断速度が低い機械的手段を使用した場合と比べて)、微細化処理を効果的に行える。高速回転式分散機のカチオン化セルロース繊維原料が通過する上記空隙の大きさは10mm以下が好ましく、より好ましくは5mm以下、更に好ましくは2mm以下であり、通常0.01mm以上である。
高速回転式分散機の操作回転数としては1000〜40000rpmが好ましく、12000〜22000rpmがより好ましい。
高速回転式分散機による解繊処理は、1回のみ行ってもよいが、2回以上繰り返して行ってもよい。ここでいう2回以上の解繊処理とは、高速回転式分散機で1回処理したものを再度処理することを意味し、1回処理することを1パス、1回処理した後、2回目の処理を行うことを2パス、同様にして3回処理することを3パスと称する。
パス回数を重ねるに従い、分散液の温度が上昇するので、高速回転式分散機で処理された後の分散液は、冷却管などの熱交換器を通過させて冷却することが好ましい。或いは、冷却装置などの熱交換器で高速回転式分散機内の分散液を冷却しながら解繊処理することが好ましい。
パス回数については、後述の高圧式分散機における処理条件によっても異なるが、生産性や投入エネルギー(kWh/kg−セルロース)の観点から2パス以上が好ましい。
処理温度については、特に限定しないが、100℃以下の条件で処理することが好ましい。
2回以上の複数回解繊処理する場合、その方法としては、原料槽からポンプで送液されたカチオン化セルロース繊維原料の分散液を高速回転式分散機で解繊処理し、高速回転式分散機から吐出された解繊処理済の分散液を冷却管などの熱交換器を経由して原料槽に返し、送液ポンプなどによって、再び、高速回転式分散機に送液して解繊処理を行なう連続循環処理を行う方法であってもよい。
(高圧式分散機による解繊処理)
カチオン化セルロース繊維原料は、後述する好ましい固形分濃度の分散液とした後、高圧式分散機で解繊処理することが好ましい。
高圧式分散機としては、インベンシスシステム(株)製の高圧ホモジナイザー、吉田機械興業(株)製のナノマイザー(ナノヴェイタ)、MFIC Corp.製のマイクロフルイダイザー、(株)スギノマシン製のアルティマイザーシステム、(株)美粒製の音レス高圧乳化分散装置、みずほ工業社製のマイクロフルイダイザー、ゴーリン社製の高圧ホモジナイザー等が使用できる。
これらの装置は、吸入した処理対象(カチオン化セルロース繊維原料の分散液)を高圧で微細な流路内に通したとき、流路内で生じる高いせん断力や流路の工夫により生じる流体と壁面との衝突や、流体同士の衝突による衝撃力や、微細な流路から吐出されるときに生じるキャビテーション等により、微細化処理するものである。
高圧式分散機の操作圧力としては10〜500MPaが好ましく、20〜350MPaがより好ましく、30〜300MPaが更に好ましい。
高圧式分散機による解繊処理は、1回のみ行ってもよいが、2回以上の複数回、例えば2〜100回繰り返して行ってもよい。ここでいう2回以上の解繊処理とは、高圧式分散機で1回処理したものを再度処理することを意味し、1回処理することを1パス、1回処理した後、2回目の処理を行うことを2パス、同様にして3回処理することを3パスと称する。
パス回数を重ねるに従い、分散液の温度が上昇するので、高圧式分散機で処理された後の分散液は、冷却管などの熱交換器を通過させて冷却することが好ましい。或いは、冷却装置などの熱交換器で高圧式分散機内の分散液を冷却しながら解繊処理することが好ましい。
パス回数については、前述の高速回転式分散機における処理条件によっても異なるが、生産性や投入エネルギー(kWh/kg−セルロース)の観点から1〜20パスが好ましい。
処理温度については、特に限定しないが、100℃以下の条件で処理することが好ましい。
2回以上の複数回解繊処理する場合、その方法としては、原料槽からポンプで送液された分散液を高圧式分散機で解繊処理し、高圧式分散機から吐出された解繊処理済の分散液を冷却管などの熱交換器を経由して原料槽に返し、送液ポンプなどによって、再び、高圧式分散機に送液して解繊処理を行なう連続循環処理を行う方法であってもよい。
(その他の解繊処理)
本発明の微細セルロース繊維の製造方法は、高速回転式分散機及び高圧式分散機を併用することを特徴としているが、高速回転式分散機及び高圧式分散機以外の解繊装置を用いた解繊処理を更に行ってもよい。
高速回転式分散機及び高圧式分散機以外の解繊装置とは、例えば、セルロース繊維原料を微細化する分散機として、ミキサーなどのブレンダータイプの分散機、ボールミルやビーズミル、グラインダーや超音波ホモジナイザー、フリーザーミルなどの0℃以下の低温条件下での微細化装置などが挙げられる。
(分散液の溶媒)
解繊処理に供するカチオン化セルロース繊維原料の分散液の溶媒(分散媒)としては、有機溶媒、水、有機溶媒と水との混合液を使用することができる。有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、芳香族炭化水素、エーテル、グリコールエーテル、非プロトン性極性溶媒、環状エーテル等の有機溶媒の1種又は2種以上を用いることができる。
アルコール類としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール等のプロパノール、n−ブタノール等のブタノール、エチレングリコールなどが挙げられる。
ケトン類(ケトン基を有する液体を指す)としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジ−tert−ブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘキシルメチルケトン、アセトフェノン、アセチルアセトン、ジオキサン等が挙げられる。この中でも、好ましくは、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンであり、より好ましくは、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンである。
芳香族系炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
エーテルとしては、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル等が挙げられる。この中でも、好ましくは、ジエチルエーテルである。
グリコールエーテルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
非プロトン性極性溶媒としては、ジメチルスルフォキシド(DMSO)、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。
環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、フラン、ジベンゾフランなどが挙げられる。この中でも好ましくはフランである。
なお、分散媒として使用される溶媒は、後の工程で溶媒を除去する工程があることから沸点が高すぎないことが好ましい。溶媒の沸点は300℃以下が好ましく、200℃以下が好ましく、180℃以下が更に好ましい。また、取扱い性などの点から、70℃以上が好ましい。
セルロース繊維原料分散液の溶媒は、有機溶媒と水との混合液又は水であることが好ましく、特に水であることが好ましい。
(分散液の固形分濃度)
解繊処理に供するカチオン化セルロース繊維原料分散液の固形分濃度(セルロース繊維原料濃度)は通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは0.2重量%以上、特に好ましくは0.3重量%以上、また通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、特に好ましくは6重量%以下とすることが好ましい。この解繊処理に供するカチオン化セルロース繊維原料分散液中の固形分濃度が低過ぎると処理するカチオン化セルロース繊維原料の量に対して液量が多くなり過ぎ効率が悪く、固形分濃度が高過ぎると流動性が悪くなるため、解繊処理に供するカチオン化セルロース繊維原料分散液は適宜水を添加するなどして濃度調整する。
(遠心分離)
上記の解繊処理後の分散液に、遠心分離を行って、解繊不良のセルロース繊維を分離、除去してもよい。遠心分離を行うことで、より均一で細かい微細セルロース繊維の上澄み液が得られる。遠心分離の条件については、適用した解繊処理および要求される微細化の程度によるので特に限定されるものではないが、例えば3000G以上、好ましくは10000G以上の遠心力をかけることが好ましい。また、処理時間としては、例えば1分以上、好ましくは5分以上遠心力をかけることが好ましい。遠心力が小さすぎたり、処理時間が短すぎたりすると、解繊不良のセルロース繊維の分離・除去が不十分となる場合がある。
また、遠心分離を行う際、遠心力をかける分散液の粘度が高いと、分離効率が落ちるため好ましくない。この分散液の粘度としては、25℃において測定されるずり速度10s−1における粘度が500mPa・s以下、特に100mPa・s以下であることが好ましい。
<微細セルロース繊維>
上記解繊処理及び必要に応じて解繊処理後の遠心分離により得られる本発明の微細セルロース繊維の数平均繊維径は、通常200nm以下、より好ましくは100nm以下、特に好ましくは50nm以下、最も好ましくは10nm以下であり、通常2nm以上である。微細セルロース繊維の数平均繊維径がこの範囲であることにより、ファイバー径がナノサイズであり、光の散乱が小さいため、高い透明性を示すという効果が得られる。また、マトリックス材料と複合化した際に高強度、高弾性率、低線膨張係数が得られる。
また、本発明のセルロース繊維の数平均繊維長は、通常100μm以下、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下、特に好ましくは5μm以下である。微細セルロース繊維の数平均繊維長が上記上限以下であることにより、微細セルロース繊維同士の絡みがなくなり、繊維同士による塊が少なくなるという効果が得られる。
微細セルロース繊維の繊維径、繊維長は、本発明の微細セルロース繊維分散液の溶媒を乾燥除去した後、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、原子間力顕微鏡(AFM)等の各種顕微鏡等で観察することにより計測して求めることができる。
[セルロース繊維集合体]
次に、本発明の微細セルロース繊維を用いたセルロース繊維集合体(以下、「本発明のセルロース繊維集合体」と称す場合がある。)について説明する。
<セルロース繊維集合体の製造>
本発明のセルロース繊維集合体は、本発明の微細セルロース繊維を含むものである。通常、本発明のセルロース繊維集合体は、後述の乾燥後は、本発明の微細セルロース繊維のみからなるが、他の繊維や粒子を含有するものであってもよい。
本発明のセルロース繊維集合体は、解繊処理により微細化された本発明の微細セルロース繊維を用いて製造される。ここで、本発明において、セルロース繊維集合体とは、通常、微細セルロース繊維を含むセルロース繊維分散液を濾過することにより、あるいは、適当な基材に該分散液を塗布したものから分散媒を揮発させるなどの方法で除去させて得られる、セルロース繊維の集合物を言い、例えばシート、粒子、ゲルなどを言う。
なお、このセルロース繊維集合体の製造に際して、解繊処理後の微細セルロース繊維分散液を遠心分離処理して、極微細なセルロース繊維のみを含む上澄み液を得、この上澄み液をセルロース繊維集合体の製造に用いると、得られたセルロース繊維集合体から高透明なセルロース繊維複合材料を得ることができる。
(シート)
本発明の微細セルロース繊維を用いて、本発明の微細セルロース繊維を含有する本発明のセルロース繊維シートとすることができる。セルロース繊維シートとすることで、樹脂を含浸させて繊維樹脂複合材料としたり、樹脂シートではさんで繊維樹脂複合材料とすることができる。セルロース繊維シートは、具体的には、前述の解繊処理を施した、本発明の微細セルロース繊維を含む微細セルロース繊維分散液を濾過することにより、或いは適当な基材に塗布することにより製造される。
セルロース繊維シートを、微細セルロース繊維分散液を濾過することによって製造する場合、濾過に供される微細セルロース繊維分散液の微細セルロース繊維濃度は、0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上であることが好ましい。微細セルロース繊維分散液の微細セルロース繊維濃度が低すぎると濾過に膨大な時間を要するようになり非効率である。また、濾過に供される微細セルロース繊維分散液の微細セルロース繊維濃度は1.5重量%以下、好ましくは1.2重量%以下、さらに好ましくは1.0重量%以下であることが好ましい。微細セルロース繊維濃度が高すぎると均一なシートが得られない場合がある。
微細セルロース繊維分散液を濾過する場合、濾過時の濾布としては、微細化したセルロース繊維は通過せずかつ濾過速度が遅くなりすぎないことが重要である。このような濾布としては、有機ポリマーからなるシート、織物、多孔膜が好ましい。有機ポリマーとしてはポリエチレンテレフタレートやポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のような非セルロース系の有機ポリマーが好ましい。
具体的には孔径0.1〜20μm、例えば0.5〜1μmのポリテトラフルオロエチレンの多孔膜、孔径0.1〜20μm、例えば0.5〜1μmのポリエチレンテレフタレートやポリエチレンの織物等が挙げられる。
セルロース繊維シートはその製造方法により、様々な空隙率を有することができる。
セルロース繊維シートに樹脂を含浸させてセルロース繊維複合材料を得る場合には、セルロース繊維シートの空隙率が小さいと樹脂が含浸されにくくなるため、ある程度の空隙率があることが好ましい。この場合の空隙率は、通常10体積%以上、好ましくは20体積%以上である。ただし、セルロース繊維シートの空隙率が過度に高いと、セルロース繊維複合材料とした際に、セルロース繊維による十分な補強効果が得られず、線膨張率や弾性率が不足する場合があるので、80体積%以下であることが好ましい。
ここでいうセルロース繊維シートの空隙率は簡易的に下記式により求めるものである。
空隙率(体積%)={(1−B/(M×A×t)}×100
ここで、Aはセルロース繊維シートの面積(cm)、tは膜厚(cm)、Bはシートの重量(g)、Mはセルロースの密度であり、本発明ではM=1.5g/cmと仮定する。
セルロース繊維シートの膜厚は、膜厚計(PEACOK製のPDN−20)を用いて、シートの種々な位置について10点の測定を行い、その平均値を採用する。
空隙率の大きなセルロース繊維シートを得る方法としては、濾過による製膜工程において、セルロース繊維シート中の水を最後にアルコール等の有機溶媒に置換する方法を挙げることができる。
これは、濾過により水を除去し、セルロース含量が5〜99重量%になったところでアルコール等の有機溶媒を加えるものである。または、微細セルロース繊維の分散液を濾過装置に投入した後、アルコール等の有機溶媒を分散液の上部に静かに投入することによっても濾過の最後にセルロース繊維シート中の水をアルコール等の有機溶媒と置換することができる。
ここで用いるアルコール等の有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、エチレングリコール等のアルコール類の他、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサン、トルエン、四塩化炭素等の1種または2種以上の有機溶媒が挙げられる。非水溶性有機溶媒を用いる場合は、水溶性有機溶媒との混合溶媒にするか水溶性有機溶媒で置換した後、非水溶性有機溶媒で置換することが好ましい。
このようにして空隙率を制御することによりセルロース繊維シートの膜厚も制御することができる。
また、空隙率を制御する方法として、上記のアルコール等より沸点の高い溶媒を微細セルロース繊維の分散液に混合し、その溶媒の沸点より低い温度で乾燥させる方法が挙げられる。この場合は、必要に応じて、乾燥後に残っている高い沸点の溶媒を、他の溶媒に置換した後に、樹脂に含浸させてセルロース繊維複合材料とすることができる。濾過によって溶媒を除去したセルロース繊維シートは、その後、乾燥を行うが、場合によっては乾燥を行わずに次の工程に進んでも構わない。
すなわち、加熱処理した微細セルロース繊維分散液を濾過して、次に樹脂に含浸する場合、乾燥工程を経ずそのまま樹脂に含浸することもできる。
また、微細セルロース繊維分散液を濾過して、そのシートを加熱処理する場合にも、乾燥工程を経ずに行うこともできる。
ただし、空隙率、膜厚の制御、シートの構造をより強固にする意味でも乾燥を行った方が好ましい。
この乾燥は、送風乾燥であってもよく、減圧乾燥であってもよく、また、加圧乾燥であってもよい。また、加熱乾燥しても構わない。加熱する場合、温度は50℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、また、250℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましい。加熱温度が低すぎると乾燥に時間がかかったり、乾燥が不十分になる可能性があり、加熱温度が高すぎるとセルロース繊維シートが着色したり、セルロースが分解したりする可能性がある。また、加圧する場合は0.01MPa以上が好ましく、0.1MPa以上がより好ましく、また、5MPa以下が好ましく、1MPa以下がより好ましい。圧力が低すぎると乾燥が不十分になる可能性がり、圧力が高すぎるとセルロース繊維シートがつぶれたりセルロースが分解する可能性がある。
セルロース繊維シートの厚みには特に限定はないが、好ましくは1μm以上、さらに好ましくは5μm以上である。又、通常1000μm以下、好ましくは250μm以下である。
(粒子)
微細セルロース繊維を用いて、セルロース繊維粒子とすることができる。
セルロース繊維粒子は特に熱可塑性樹脂との混練によって複合化する際に好適に用いられ、その高弾性率、低線膨張率、表面平滑性といった特性を生かして、各種の構造材、特に表面の意匠性に優れた自動車用パネルや建築物の外壁パネル等に有用である。
本発明の微細セルロース繊維を粒子化する方法としては、本発明の微細セルロース繊維分散液を、例えば公知のスプレードライ装置を用いて、スプレーノズル等から噴射することにより、分散媒を除去して造粒する方法が挙げられる。この噴射方法としては、具体的には回転円盤による方法、加圧ノズルによる方法、2流体ノズルによる方法などがある。スプレードライして得られた粒子を更に他の乾燥装置を用いて乾燥させてもよい。この場合の熱エネルギー源としては、赤外線やマイクロ波を用いることもできる。
また、本発明の微細セルロース繊維分散液を凍結乾燥し、粉砕することによってもセルロース繊維粒子を得ることができる。この場合、具体的には、本発明の微細セルロース繊維分散液を液体窒素などで冷却した後、グラインダーや回転刃などで粉砕する方法が挙げられる。
セルロース繊維粒子の粒径には特に制限はないが、通常1μm以上で1mm以下が好ましい。この粒径は更に好ましくは5μm以上、100μm以下であり、特に好ましくは5μm以上、50μm以下である。セルロース繊維粒子の粒径が大き過ぎると樹脂と複合化した際、分散不良を起こし、小さ過ぎるとふわふわと舞って取り扱いが困難である。
<ゲル>
本発明の微細セルロース繊維は、セルロース以外のマトリックス材料と複合化させることにより、セルロース繊維複合材料(繊維樹脂複合材料)を得ることができる。このセルロース以外のマトリックス材料との複合化は、本発明の微細セルロース繊維分散液から分散媒を除去することなく分散媒中で行ってもよく、複合化させた後に分散媒を除去することでセルロース繊維複合材料を得ることもできる。本発明の微細セルロース繊維分散液の分散媒は、水から他の有機溶媒に、あるいは有機溶媒から水へと、セルロース以外のマトリックス材料と複合化するのに適した分散媒種へ置換を行ってから複合化を行うとより好ましい。
この複合化における分散媒の除去ないし置換の過程において、本発明の微細セルロース繊維分散液はセルロース繊維ゲルの状態をとる場合がある。
セルロース繊維ゲルは、セルロース繊維が3次元網目状構造を作り、それが分散媒によって湿潤または膨潤したものであり、網目構造は化学架橋や物理架橋により形成される。ゲルが所定量の分散媒を含有することによって、ゲル中の微細セルロース繊維の3次元網目状構造が保持される。
セルロース繊維のゲル中の分散媒の含有量は、通常10重量%以上であり、50重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましい。ゲル中の分散媒の含有量が10重量%未満であると、得られるセルロース繊維複合材料の光学的等方性および表面平滑性が損なわれる。また、上限としては、通常99重量%以下であり、97重量%以下が好ましく、95重量%以下がより好ましい。ゲル中の分散媒の含有量が99重量%を超えると、ゲルのハンドリング性が悪くなると共に、生産性が低下する。
また、セルロース繊維ゲル中における微細セルロース繊維の含有量は、通常90重量%以下であり、50重量%以下が好ましく、30重量%以下がより好ましい。ゲル中における微細セルロース繊維の含有量が90重量%を超えると、得られるセルロース繊維複合材料の光学的等方性および表面平滑性が損なわれる。また、下限としては、通常1重量%以上であり、3重量%以上が好ましく、5重量%以上がより好ましい。ゲル中における微細セルロース繊維の含有量が1重量%未満であると、ゲルのハンドリング性が悪くなると共に、生産性が低下する。
セルロース繊維ゲル中における分散媒と微細セルロース繊維との重量比(微細セルロース繊維/分散媒)は、9/1〜1/99が好ましく、より好ましくは1/1〜3/97であり、さらに好ましくは3/7〜5/95である。この割合が9/1を超えると、得られるセルロース繊維複合材料の光学的等方性および表面平滑性が損なわれる。この割合が1/99未満であると、セルロース繊維ゲルの形状を保てず、取扱いが非常に困難となる。
セルロース繊維ゲルに含まれる分散媒は、通常、本発明の微細セルロース繊維分散液の分散媒であり、一般的には水であるが、有機溶媒の1種または2種以上の混合分散媒であってもよい。また、水と有機溶媒との混合分散媒であってもよい。
セルロース繊維ゲルに含まれる分散媒は、上記分散媒含有量が上記範囲内である限り、必要に応じて他の種類の分散媒に置換することができる。つまり、ゲル製造工程後、必要に応じて、セルロース繊維ゲル中の分散媒(第一の分散媒)を、他の分散媒(第二の分散媒)に置換する分散媒置換工程を実施してもよい。
置換する方法としては、例えば、上記の濾過法により分散液中に含まれる所定量の分散媒を除去した後、アルコールなどの有機溶媒を加えることにより、アルコール等の有機溶媒が含まれるゲルを製造することができる。より具体的には、第一の分散媒が水で、第二の分散媒が有機溶媒である場合が挙げられる。
なお、上記第二の分散媒の種類は特に限定されず、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどのアルコール類の他、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサン、トルエン、四塩化炭素などの1種または2種以上の有機溶媒が挙げられる。
セルロース繊維ゲルの形状は、特に限定されず、シートまたはフィルム状(例えば、厚み10μm以上10cm以下)、粒子状など適宜制御することができる。
[セルロース繊維複合材料]
上述のセルロース繊維シート、セルロース繊維粒子またはセルロース繊維ゲル等のセルロース繊維集合体をマトリックス材料と複合化することで本発明のセルロース繊維複合材料が得られる。なお、本発明のセルロース繊維複合材料は、本発明の微細セルロース繊維分散液からセルロース繊維集合体を経ることなく直接製造することもできる。すなわち、本発明のセルロース繊維複合材料は、本発明の微細セルロース繊維とマトリックス材料を含むものであればよい。
本発明のセルロース繊維複合材料は、その高透明性、低線膨張率、非着色性といった特性を生かして、各種ディスプレイ基板材料、太陽電池用基板、窓材等に有用であり、また、その高弾性率、低線膨張率、表面平滑性といった特性を生かして、各種の構造材、特に表面の意匠性に優れた自動車用パネルや建築物の外壁パネル等に有用である。
<複合化方法>
以下、セルロース繊維集合体またはセルロース繊維分散液をマトリックス材料と複合化して本発明のセルロース繊維複合材料である繊維樹脂複合材料を製造する方法について説明する。
本発明のセルロース繊維複合材料は、上述の方法で得られたセルロース繊維シート、セルロース繊維粒子またはセルロース繊維ゲル等のセルロース繊維集合体、或いは微細セルロース繊維分散液と、セルロース以外のマトリックス材料とを複合化させたものである。
ここでマトリックス材料とは、セルロース繊維シートと貼り合わせたり、空隙を埋めたり、造粒したセルロース繊維粒子を混練する高分子材料またはその前駆体(例えばモノマー)のことをいう。
このマトリックス材料として好適なものは、加熱することにより流動性のある液体になる熱可塑性樹脂、紫外線や電子線などの活性エネルギー線を照射することにより重合硬化する、活性エネルギー線硬化性樹脂(以下、「光硬化性樹脂」という場合がある)等から得られる少なくとも1種の樹脂(高分子材料)またはその前駆体である。
なお、本発明において高分子材料の前駆体とは、いわゆるモノマー、オリゴマーであり、例えば、熱可塑性樹脂の項に重合または共重合成分として後述する各単量体など(以後、「熱可塑性樹脂前駆体」と称することがある)、光硬化性樹脂の項に後述する各前駆体などが挙げられる。
セルロース繊維シート、セルロース繊維粒子またはセルロース繊維ゲル、或いは微細セルロース繊維分散液とマトリックス材料との複合化の方法としては、次の(a)〜(j)の方法が挙げられる。尚、硬化性樹脂の重合硬化工程については<重合硬化工程>の項に詳述する。
(a) セルロース繊維シート、セルロース繊維粒子またはセルロース繊維ゲルに液状の熱可塑性樹脂前駆体を含浸させて重合させる方法
(b) セルロース繊維シート、セルロース繊維粒子またはセルロース繊維ゲルに光硬化性樹脂前駆体を含浸させて重合硬化させる方法
(c) セルロース繊維シート、セルロース繊維粒子またはセルロース繊維ゲルに樹脂溶液(熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂前駆体および光硬化性樹脂前駆体から選ばれる1以上の溶質を含む溶液)を含浸させて乾燥した後、加熱プレス等で密着させ、必要に応じて重合硬化させる方法
(d) セルロース繊維シート、セルロース繊維粒子またはセルロース繊維ゲルに熱可塑性樹脂の溶融体を含浸させ、加熱プレス等で密着させる方法
(e) 熱可塑性樹脂シートとセルロース繊維シートまたはセルロース繊維ゲルとを交互に配置し、加熱プレス等で密着させる方法
(f) セルロース繊維シートまたはセルロース繊維ゲルの片面もしくは両面に液状の熱可塑性樹脂前駆体もしくは光硬化性樹脂前駆体を塗布して重合硬化させる方法
(g) セルロース繊維シートまたはセルロース繊維ゲルの片面もしくは両面に樹脂溶液(熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂前駆体、および光硬化性樹脂前駆体から選ばれる1以上の溶質を含む溶液)を塗布して、溶媒を除去後、必要に応じて重合硬化させる方法
(h) セルロース繊維粒子と熱可塑性樹脂を溶融混練した後、シート状や目的の形状に成形する方法
(i) 微細セルロース繊維分散液とモノマー溶液または分散液(熱可塑性樹脂前駆体、および光硬化性樹脂前駆体から選ばれる1以上の溶質または分散質を含む溶液または分散液)とを混合した後、溶媒除去、重合硬化させる方法。
(j) 微細セルロース繊維分散液と高分子溶液または分散液(熱可塑性樹脂溶液または分散液)を混合した後、溶媒を除去する方法。
中でもセルロース繊維シートに対しては(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)の方法が好ましく、セルロース繊維粒子に対しては(h)の方法が好ましい。
<マトリックス材料>
本発明において、セルロース繊維シート、セルロース繊維粒子、セルロース繊維ゲルまたは微細セルロース繊維分散液に複合化させるマトリックス材料であるセルロース以外の樹脂としては、熱可塑性樹脂または光硬化性樹脂等の活性エネルギー線硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂または光硬化性樹脂等の活性エネルギー線硬化性樹脂を用いることで、透明性の高い繊維樹脂複合材料を得ることができる。例えば、熱硬化性樹脂を用いた場合、硬化時間が長いため、その過程で透明性が低下する場合がある。
本発明において、熱可塑性樹脂とは、加熱によって軟化して成形できるようになり、それを冷却すれば固化する特性(これには可逆性もある)を有する樹脂を示す。
また、本発明において、活性エネルギー線(光)硬化性樹脂とは、活性エネルギー線(光エネルギー)の作用で液状から固体に変化し(光硬化)、硬化する樹脂を示す。
本発明においては、以下のマトリックス材料(高分子材料またはその前駆体)のうち、高分子材料、または前駆体の場合にはその重合体が、非晶質でガラス転移温度(Tg)の高い合成高分子であるものが、透明性に優れた高耐久性のセルロース繊維複合材料を得る上で好ましく、このうち非晶質の程度としては、結晶化度で10%以下、特に5%以下であるものが好ましく、また、Tgは110℃以上、特に120℃以上、とりわけ130℃以上のものが好ましい。Tgが低いと例えば熱水等に触れた際に変形する恐れがあり、実用上問題が生じる。また、低吸水性のセルロース繊維複合材料を得るためには、ヒドロキシル基、カルボキシ基、アミノ基などの親水性の官能基が少ない高分子材料を選定することが好ましい。なお、高分子材料のTgは一般的な方法で求めることができる。例えば、DSC法による測定で求められる。高分子の結晶化度は、非晶質部と結晶質部の密度から算定することができ、また、動的粘弾性測定により、弾性率と粘性率の比であるtanδから算出することもできる。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、ポリビニルアルコール樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、芳香族ポリカーボネート系樹脂、脂肪族ポリカーボネート系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリオレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリスルホン系樹脂、非晶性フッ素系樹脂等が挙げられる。
(活性エネルギー線硬化性樹脂)
光硬化性樹脂等の活性エネルギー線硬化性樹脂としては、特に限定されるものではないが、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、オキセタン樹脂等の前駆体が挙げられる。
熱可塑性樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂の具体例は、特開2009−299043号公報に記載のものが挙げられる。
(その他の成分)
熱可塑性樹脂および活性エネルギー線硬化性樹脂は、適宜、連鎖移動剤、紫外線吸収剤、充填剤、シランカップリング剤等と配合した組成物(以下、硬化性組成物とよぶ)として用いられる。
<連鎖移動剤>
反応を均一に進行させる目的等で硬化性組成物は連鎖移動剤を含んでもよい。連鎖移動剤としては、例えば、分子内に2個以上のチオール基を有する多官能メルカプタン化合物を用いることができ、これにより硬化物に適度な靱性を付与する事が出来る。メルカプタン化合物としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、トリス[2−(β−チオプロピオニルオキシエトキシ)エチル]トリイソシアヌレートなどの1種または2種以上を用いるのが好ましい。硬化性組成物にメルカプタン化合物を含有させる場合、連鎖移動剤は硬化性組成物中のラジカル重合可能な化合物の合計に対して、通常30重量%以下の割合で含有させる。
<紫外線吸収剤>
着色防止目的で硬化性組成物は紫外線吸収剤を含んでもよい。例えば、紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤およびベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤から選ばれるものであり、その紫外線吸収剤は1種類を用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。硬化性組成物に紫外線吸収剤を含有させる場合、紫外線吸収剤は硬化性組成物中のラジカル重合可能な化合物の合計100重量部に対して、通常0.01〜1重量部の割合で含有させる。
<セルロース以外の充填剤>
硬化性組成物は、セルロース繊維以外の充填剤を含んでもよい。充填剤としては、例えば、無機粒子や有機高分子などが挙げられる。具体的には、シリカ粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子などの無機粒子、ゼオネックス(日本ゼオン社)やアートン(JSR社)などの透明シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネートやポリメチルメタアクリレートなどの汎用熱可塑性ポリマーなどが挙げられる。中でも、ナノサイズのシリカ粒子を用いると透明性を維持することができ好適である。また、紫外線硬化性モノマーと構造の似たポリマーを用いると高濃度までポリマーを溶解させることが可能であり、好適である。
<シランカップリング剤>
硬化性組成物には、シランカップリング剤を添加してもよい。シランカップリング剤としては、例えば、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)メチルジエトキシシラン、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)トリエトキシシラン、γ−(アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン等が挙げられ、これらは分子中に(メタ)アクリル基を有しており、他のモノマーと共重合することができるので好ましい。硬化性組成物にシランカップリング剤を含有させる場合、シランカップリング剤は、硬化性組成物中のラジカル重合可能な化合物の合計に対して通常0.1〜50重量%、好ましくは1〜20重量%となるように含有させる。この配合量が少な過ぎると、これを含有させる効果が十分に得られず、また、多過ぎると、硬化物の透明性などの光学特性が損なわれる恐れがある。
<重合硬化工程>
本発明のセルロース繊維複合材料を形成するための硬化性組成物は、公知の方法で重合硬化させることができる。
硬化方法としては、放射線硬化等が挙げられる。放射線としては、赤外線、可視光線、紫外線、電子線等の活性エネルギー線が挙げられるが、好ましくは光である。更に好ましくは波長が200nm〜450nm程度の光であり、更に好ましくは波長が250〜400nmの紫外線である。
具体的には、予め硬化性組成物に紫外線等の放射線によりラジカルを発生する光重合開始剤を添加しておき、放射線を照射して重合させる方法(以下「光重合」という場合がある)等が挙げられる。
光重合開始剤としては、通常、光ラジカル発生剤が用いられる。光ラジカル発生剤としては、この用途に用い得ることが知られている公知の化合物を用いることができる。例えば、ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホシフィンオキシド等が挙げられる。これらの中でも、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドが好ましい。これらの光重合開始剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤の配合量は、硬化性組成物中のラジカル重合可能な化合物の合計を100重量部としたとき、0.001重量部以上、好ましくは0.05重量部以上、更に好ましくは0.01重量部以上である。その上限は、通常1重量部以下、好ましくは0.5重量部以下、更に好ましくは0.1重量部以下である。光重合開始剤の配合量が多すぎると、重合が急激に進行し、得られる硬化物の複屈折を大きくするだけでなく色相も悪化する。例えば、開始剤の量を5重量部とした場合、開始剤の吸収により、紫外線の照射と反対側に光が到達できずに未硬化の部分が生ずる。また、黄色く着色し色相の劣化が著しい。一方、少なすぎると紫外線照射を行っても重合が十分に進行しないおそれがある。
また、硬化性組成物は、熱重合開始剤を同時に含んでもよい。熱重合開始剤として例えば、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシカーボネート、パーオキシケタール、ケトンパーオキサイド等が挙げられる。具体的にはベンゾイルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)ジクミルパーオキサイド、ジt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等を用いることができる。光照射時に熱重合が開始されると、重合を制御することが難しくなるので、これらの熱重合開始剤は好ましくは1分半減期温度が120℃以上であることがよい。これらの重合開始剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
硬化に際して照射する放射線の量は、光重合開始剤がラジカルを発生させる範囲であれば任意であるが、極端に少ない場合は重合が不完全となるため硬化物の耐熱性、機械特性が十分に発現されず、逆に極端に過剰な場合は硬化物の黄変等の光による劣化を生じるので、モノマーの組成および光重合開始剤の種類、量に合わせて、波長300〜450nmの紫外線を、好ましくは0.1J/cm以上200J/cm以下の範囲で照射する。更に好ましくは1J/cm以上20J/cmの範囲で照射する。放射線を複数回に分割して照射すると、より好ましい。すなわち1回目に全照射量の1/20〜1/3程度を照射し、2回目以降に必要残量を照射すると、複屈折のより小さな硬化物が得られる。使用するランプの具体例としては、メタルハライドランプ、高圧水銀灯ランプ、紫外線LEDランプ、無電極水銀灯ランプ等を挙げることができる。
重合をすみやかに完了させる目的で、光重合と熱重合を同時に行ってもよい。この場合には、放射線照射と同時に硬化性組成物を30℃以上300℃以下の範囲で加熱して硬化を行う。この場合、硬化性組成物には、重合を完結するために熱重合開始剤を添加してもよいが、大量に添加すると硬化物の複屈折の増大と色相の悪化をもたらすので、熱重合開始剤は、硬化性組成物中のラジカル重合可能な化合物の合計に対して通常0.1重量%以上2重量%以下、より好ましくは0.3重量%以上1重量%以下となるように用いる。
<積層構造体>
本発明のセルロース繊維複合材料は、本発明のセルロース繊維シートの層と、前述したセルロース以外の高分子よりなる平面構造体層との積層構造体であってもよく、また、本発明のセルロース繊維シートの層と、本発明のセルロース繊維複合材料の層との積層構造であってもよく、その積層数や積層構成には特に制限はない。
また、本発明のセルロース繊維シートないし板状の本発明のセルロース繊維複合材料を複数枚重ねて積層体とすることもできる。その際に、本発明のセルロース繊維複合材料とセルロース繊維を含まない樹脂シートとを積層してもよい。この場合、セルロース繊維複合材料同士や樹脂シートとセルロース繊維複合材料を接着させるために、接着剤を塗布したり接着シートを介在させてもよい。また、積層体に加熱プレス処理を加えて一体化することもできる。
<無機膜>
本発明のセルロース繊維複合材料は、その用途に応じて、セルロース繊維複合材料層に更に無機膜が積層されたものであってもよく、上述の積層構造体に更に無機膜が積層されたものであってもよい。
ここで用いられる無機膜は、セルロース繊維複合材料の用途に応じて適宜決定され、例えば、白金、銀、アルミニウム、金、銅等の金属、シリコン、ITO、SiO、SiN、SiOxNy、ZnO等、TFT等が挙げられ、その組み合わせや膜厚は任意に設計することができる。
<セルロース繊維複合材料の特性ないし物性>
以下に本発明のセルロース繊維複合材料の好適な特性ないし物性について説明する。
(セルロース含有量)
本発明のセルロース繊維複合材料中のセルロースの含有量(本発明の微細セルロース繊維の含有量)は通常1重量%以上99重量%以下であり、セルロース以外のマトリックス材料の含有量が1重量%以上99重量%以下である。低線膨張性を発現するには、セルロースの含有量が1重量%以上、セルロース以外のマトリックス材料の含有量が99重量%以下であること必要である。透明性を発現するにはセルロースの含有量が99重量%以下、セルロース以外のマトリックス材料の含有量が1重量%以上であることが必要である。好ましい範囲はセルロースが5重量%以上90重量%以下であり、セルロース以外のマトリックス材料が10重量%以上95重量%以下であり、さらに好ましい範囲はセルロースが10重量%以上80重量%以下であり、セルロース以外のマトリックス材料が20重量%以上90重量%以下である。特に、セルロースの含有量が30重量%以上70重量%以下で、セルロース以外のマトリックス材料の含有量が30重量%以上70重量%以下であることが好ましい。
セルロース繊維複合材料中のセルロースおよびセルロース以外のマトリックス材料の含有量は、例えば、複合化前のセルロース繊維の重量と複合化後のセルロース繊維複合材料の重量より求めることができる。また、マトリックス材料が可溶な溶媒にセルロース繊維複合材料を浸漬してマトリックス材料のみを取り除き、残った微細セルロース繊維の重量から求めることもできる。その他、マトリックス材料である樹脂の比重から求める方法や、NMR、IRを用いて樹脂やセルロースの官能基を定量して求めることもできる。
(厚み)
本発明のセルロース繊維複合材料の厚みは、好ましくは10μm以上10cm以下であり、このような厚みとすることにより、構造材としての強度を保つことができる。セルロース繊維複合材料の厚さはより好ましくは50μm以上1cm以下であり、さらに好ましくは80μm以上250μm以下である。
なお、本発明のセルロース繊維複合材料は、例えば、このような厚さの膜状(フィルム状)または板状であるが、平膜または平板に限らず、曲面を有する膜状または板状とすることもできる。また、その他の異形形状であってもよい。また、厚さは必ずしも均一である必要はなく、部分的に異なっていてもよい。
(着色)
本発明のセルロース繊維複合材料は、加熱による着色が小さいことを特徴とする。
セルロースは、特に木質由来の原料を用いることで黄色味がつく場合がある。これは、セルロース自体の着色の場合と、精製度合いによって残ったセルロース以外の物質が着色する場合がある。本発明の微細セルロース繊維およびセルロース繊維複合材料は、加熱の工程が入っても着色が小さく、各種デバイスの透明基板等の実際のデバイス化工程における、加熱処理に耐えうるものである。
各種透明材料として本発明のセルロース繊維複合材料を用いる場合、微細セルロース繊維の着色の程度は、セルロース繊維複合材料のYIとして好ましくは30以下、より好ましくは15以下、特に好ましくは10以下であり、加熱処理後もこのYIの上昇がないことが好ましく、加熱後もまた、YIが好ましくは30以下、より好ましくは15以下、特に好ましくは10以下を維持することが好ましい。なお、セルロース繊維複合材料のYIは、例えばスガ試験機製カラーコンピュータを用いて測定される。
(ヘーズ)
本発明のセルロース繊維複合材料は、透明性の高い、すなわちヘーズの小さいセルロース繊維複合材料とすることができる。
各種透明材料として用いる場合、このセルロース繊維複合材料のヘーズは、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.8以下であり、特にこの値は1.5以下であることが好ましい。ヘーズが2.0より大きくなると実質的に各種デバイスの透明基板等に適用することは困難となる。
ヘーズは、セルロース繊維複合材料について、スガ試験機製ヘーズメータを用いて測定することができ、C光源の値を用いる。例えば、厚み10〜250μm、好ましくは10〜100μmの繊維樹脂複合材料について測定する。
(全光線透過率)
本発明のセルロース繊維複合材料は、透明性の高い、すなわちヘーズの小さいセルロース繊維複合材料とすることができる。各種透明材料として用いる場合、この繊維樹脂複合材料は、JIS規格K7105に準拠してその厚み方向に測定された全光線透過率が60%以上、更には70%以上、特に80%以上、とりわけ90%以上であることが好ましい。この全光線透過率が60%未満であると半透明または不透明となり、透明性が要求される用途への使用が困難となる場合がある。
全光線透過率は例えば、セルロース繊維複合材料について、スガ試験機製ヘーズメータを用いて測定することができ、C光源の値を用いる。例えば、厚み10〜250μm、好ましくは10〜100μmのセルロース繊維複合材料について測定する。
(線膨張係数)
本発明のセルロース繊維複合材料は、線膨張係数(1Kあたりの伸び率)の低いセルロースを用いることにより線膨張係数の低いセルロース繊維複合材料とすることができる。このセルロース繊維複合材料の線膨張係数は1〜50ppm/Kであることが好ましく、1〜30ppm/Kであることがより好ましく、1〜20ppm/Kであることが特に好ましく、1〜15ppm/Kであることが最も好ましい。
即ち、例えば、基板用途においては、無機の薄膜トランジスタの線膨張係数が15ppm/K程度であるため、セルロース繊維複合材料の線膨張係数が50ppm/Kを超えると無機膜との積層複合化の際に、二層の線膨張率差が大きくなり、クラック等が発生する。従って、セルロース繊維複合材料の線膨張係数は、特に1〜20ppm/Kであることが好ましい。
なお、線膨張係数は、例えば、以下の方法により測定される。
セルロース繊維複合材料をレーザーカッターにより、3mm幅×40mm長にカットし、これをSII製TMA6100を用いて引張モードでチャック間20mm、荷重10g、窒素雰囲気下、室温から180℃まで5℃/minで昇温し、次いで180℃から25℃まで5℃/min.で降温し、更に25℃から180℃まで5℃/minで昇温した際の2度目の昇温時の60℃から100℃の測定値から線膨張係数を求める。測定する温度範囲は使用するマトリックス材料によって適宜調整する。
(引張強度)
本発明のセルロース繊維複合材料の引張強度は、好ましくは40MPa以上であり、より好ましくは100MPa以上である。引張強度が40MPaより低いと、十分な強度が得られず、構造材料等、力の加わる用途への使用に影響を与えることがある。
(引張弾性率)
本発明のセルロース繊維複合材料の引張弾性率は、好ましくは0.2〜100GPaであり、より好ましくは1〜50GPa、さらに好ましくは5.0〜30GPaである。引張弾性率が0.2GPaより低いと、十分な強度が得られず、構造材料等、力の加わる用途への使用に影響を与えることがある。
<用途>
本発明のセルロース繊維複合材料は、透明性が高く、高強度、低吸水性、高透明性、低着色でヘーズが小さく光学特性に優れるため、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、リアプロジェクションテレビ等のディスプレイや基板やパネルとして好適である。また、シリコン系太陽電池、色素増感太陽電池などの太陽電池用基板に好適である。基板としては、バリア膜、ITO、TFT等と積層してもよい。特に、本発明のセルロース繊維複合材料は加熱処理を施しても着色が小さく、各種デバイスの透明基板等の実際のデバイス化工程における、加熱処理に耐え得るものである。
また、本発明のセルロース繊維複合材料は、自動車用の窓材、鉄道車両用の窓材、住宅用の窓材、オフィスや工場などの窓材などにも好適に用いることができる。窓材としては、必要に応じてフッ素皮膜、ハードコート膜等の膜や耐衝撃性、耐光性の素材を積層して用いてもよい。
また、本発明のセルロース繊維複合材料は、その低線膨張係数、高弾性、高強度等の特性を生かして透明材料用途以外の構造体としても用いることができる。特に、内装材、外板、バンパー等の自動車材料やパソコンの筐体、家電部品、包装用資材、建築資材、土木資材、水産資材、その他、工業用資材等として好適に用いられる。
本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例における微細セルロース繊維のナノ化収率及び解繊処理に要した投入エネルギー量の算出方法は以下の通りである。
<ナノ化収率の算出方法>
(1) 解繊処理後の微細セルロース繊維分散液を固形分濃度0.2重量%に希釈して均一に分散させる。
(2) 希釈した微細セルロース繊維分散液をアルミ皿にとり、105℃で2時間以上乾燥させて秤量することにより、(1)の分散液の固形分濃度(C)を求める。
(3) 遠沈管に(1)の分散液を30g秤り取り、遠心分離機(日立工機社製CR23)を用い、12000Gで10分間遠心分離処理する。
(4) 遠沈管ごと秤量する(W)。
(5) 沈殿物が入らないように注意して上澄みを取り分け、(2)と同様に固形分濃度を求める(C)。
(6) 沈殿物が残った遠沈管を秤量する(W)。
(7) 遠沈管の質量はWとする。
以下の式によりナノ化収率を算出する。
Figure 2015071848
(8) 上澄み中には、数平均繊維径が200nm以下の細かい微細セルロース繊維が多く含まれているため、このナノ化収率が大きい程、解繊処理効率が高いことを示す。
<投入エネルギー量の算出方法>
(高速回転式分散機のみを用いた場合)
以下の式により算出した。
投入エネルギー量(kWh/kg−セルロース)=
{電流×電圧×解繊処理時間}/{高速回転式分散機に投入した
セルロース繊維原料量(g)}
(高速回転式分散機と高圧式分散機を用いた場合)
以下の式により高圧式分散機による解繊処理における投入エネルギー量を算出し、上記高速回転式分散機による解繊処理における投入エネルギー量の値との合計の値を投入エネルギー量とした。
投入エネルギー量(kWh/kg−セルロース)=
{電流×電圧×解繊処理時間}/{高圧式分散機に投入した
セルロース繊維原料量(g)}
[実施例1]
2−プロパノール250gに、セルロース繊維原料として広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP、王子製紙社製、固形分30重量%)32.4gを添加し、次いで1mol/L水酸化ナトリウム水溶液5.83gと、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリドの80重量%水溶液(カチオマスターG(登録商標)、四日市合成社製)4.86gを添加し、3時間室温で撹拌した後、50℃で90分間反応させた。反応後、濾別したケーキを脱塩水600mLに分散させ、10重量%酢酸水溶液で中和した後、再度濾別した。次いで濾液の電気伝導度が50μS/cm未満になるまで脱塩水で洗浄し、前記式(1)で表される基(R,R,Rはメチル基、XはCl)を導入したカチオン化セルロース繊維原料を得た。
得られたカチオン化セルロース繊維原料のカチオン性基の導入量を、窒素測定装置(TN−10、三菱化学アナリテック社製)を用いて、JIS−K2609に準じて測定したところ、0.50mmol/gであった。
得られたカチオン化セルロース繊維原料を用い、固形分濃度0.5重量%に調整した水分散液5400g(セルロース固形分量27g)を調製した。
次に、この水分散液を高速回転式分散機(クレアミックス−2.2S、エム・テクニック社製)に供給して、20000rpmで30分間、カチオン化セルロース繊維の解繊処理を行った。この時の投入エネルギー量は、下記式の通り、32kWh/kg−セルロースで、ナノ化収率は15%であった。
投入エネルギー量(kWh/kg−セルロース)=
1750W×(30/60)時間/27g≒
32kWh/kg−セルロース
高速回転式分散機で解繊処理した後の水分散液の一部1000g(セルロース固形分量5g)を使って、更に高圧式分散機(アルティマイザーシステム、(株)スギノマシン製)にて、圧力245MPaで各2分間、2パス処理を行った。高圧式分散機による解繊処理後のナノ化収率は92%であった。
高圧式分散機を使用した時の投入エネルギー量は、吐出量1000g(セルロース量:5.0g)/2分であり、2パス処理するため、解繊時間は4分間である。そのため、投入エネルギー量(kWh/kg−セルロース)は以下の式で算出される。
投入エネルギー量(kWh/kg−セルロース)=
11200W×(4/60)時間/5.0g≒
149kWh/kg−セルロース
カチオン化セルロース繊維原料を高速回転式分散機で解繊処理し、次いで高圧式分散機で解繊処理した場合、ナノ化収率が92%であり、解繊処理に要した総投入エネルギー量は181(=32+149)kWh/kg−セルロースであった。
[比較例1]
実施例1と同様にして調製したカチオン化セルロース繊維原料(カチオン性基の導入量0.50mmol/g)の0.5重量%水分散液320gを、高速回転式分散機(クレアミックス−0.8S、エム・テクニック社製、最大容量320g)に供給して、20000rpmで60分間、カチオン化セルロース繊維原料の解繊処理を行った。
解繊処理後の水分散液中の微細セルロース繊維のナノ化収率は85%であった。
また、解繊処理に要した投入エネルギー量は450kWh/kg−セルロースであった。
[比較例2]
広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP、王子製紙社製、固形分30重量%)100.5gに25重量%水酸化ナトリウム水溶液24gを添加し、10分間スパチュラ撹拌し、次いで半月板撹拌翼で20分間撹拌した。撹拌後、2−プロパノール750gを添加し、次いで3−クロロ−2−ヒドロキシ−プロピルトリメチルアンモニウムクロリドの65重量%水溶液(カチオマスターC(登録商標)、四日市合成社製)25.6g添加し、70℃で90分間反応させた。反応後、濾別したケーキを脱塩水900mLに分散させ、酢酸で中和した後、再度濾別した。次いで濾液の電気伝導度が50μS/cm未満になるまで脱塩水で洗浄しカチオン化セルロース繊維原料を得た。
このカチオン化セルロース繊維原料について、実施例1と同様にして、カチオン性基の導入量を測定したところ、0.29mmol/gであった。
得られたカチオン化セルロース繊維原料を用い、固形分濃度0.5重量%に調整した水分散液320gを調製した。
比較例1と同様にして、この水分散液を高速回転式分散機を用いて解繊処理を行った。
解繊処理後の水分散液中の微細セルロース繊維のナノ化収率は50%であった。
また、解繊処理に要した投入エネルギー量は450kWh/kg−セルロースであった。
以上の結果を表1にまとめて示す。
Figure 2015071848
表1より明らかなように、高速回転式分散機のみを用いて解繊処理を行った比較例1〜2に対して、高速回転式分散機と高圧式分散機を用いて解繊処理を行った実施例1では、少ない投入エネルギー量で高いナノ化収率を達成することができる。

Claims (4)

  1. セルロース繊維を解繊処理することにより、数平均繊維径が200nm以下の微細セルロース繊維を製造する方法において、
    該セルロース繊維として、カチオン性基が0.05〜3.0mmol/g導入されたセルロース繊維を用い、
    高速回転式分散機及び高圧式分散機で解繊処理をすることを特徴とする微細セルロース繊維の製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法により得られた微細セルロース繊維を含有する分散液。
  3. 請求項1に記載の製造方法により得られた微細セルロース繊維を含有するセルロース繊維シート。
  4. 請求項1に記載の製造方法により得られた微細セルロース繊維とマトリックス材料とを含有するセルロース繊維複合材料。
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