JP2015067704A - アクリル系樹脂発泡体とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このようなアクリル系樹脂発泡体は、通常、下記特許文献1に示されているように、アクリル系モノマーに発泡剤となる尿素とラジカル重合開始剤とを混合した重合性溶液を作製し、該重合性溶液を型枠に流し入れ、該型枠ごと加熱して前記アクリル系モノマーを重合させた後、得られた発泡性重合体を成形型内でさらに高温に加熱することによって尿素を分解させてガス発泡させるような方法が採用されて作製されている。また、特許文献1の方法では、得られるアクリル系樹脂発泡体に高い耐熱性を付与することができるという観点から、アクリル系モノマーとして、無水マレイン酸及びメタクリルアミドを含有するものが用いられている。
これに対し、特許文献1には、軽量性に優れた発泡体を得るべく、無水マレイン酸及びメタクリルアミドを含有する重合性モノマーに連鎖移動剤を添加する方法が開示されている。
しかしながら、無水マレイン酸及びメタクリルアミドを含有する重合性モノマーに連鎖移動剤を添加すると、連鎖移動剤を添加しない場合に比して、前記重合性モノマーの重合が完了するまでの時間が長期化してしまうという問題がある。
このような問題に対して、従来、前記重合性モノマーの重合が完了するまでの時間の長期化を防止しつつ、耐熱性及び軽量性に優れたアクリル系樹脂発泡体を製作するための有効な方法は見出されてはおらず、耐熱性及び軽量性に優れたアクリル系樹脂発泡体の製造効率を向上させるのが困難な状況となっている。
ここで、FRPシートに含有される樹脂中の空気等が、最終的に得られる繊維強化複合体の機械強度等に悪影響を与える知見が得られている。この対策として、アクリル系樹脂発泡体とFRPシートとの接着時に圧力とともに温度をより高くする手法が実施される。
しかしながら、高温で加熱すると、芯材として使用するアクリル系樹脂発泡体が熱収縮してしまうという問題がある。
さらに、アクリル系樹脂発泡体が熱収縮することは、繊維強化複合体を製造する場合に限らず、アクリル系樹脂発泡体を単体で用いる場合等においても問題となり得る。
また、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行い、平均気泡径が0.7mm以下であり、且つ、連続気泡率が15%以下であるアクリル系樹脂発泡体は、加熱による体積変化が生じ難いことを見出し、本発明を完成させるに至ったものである。
前記アクリル系樹脂が、構成単位として無水マレイン酸及びメタクリルアミドを含み、
平均気泡径が0.7mm以下であり、連続気泡率が15%以下であることを特徴とするアクリル系樹脂発泡体にある。
平均気泡径が0.7mm以下であり、連続気泡率が15%以下である前記アクリル系樹脂発泡体を作製することを特徴とするアクリル系樹脂発泡体の製造方法にある。
本実施形態のアクリル系樹脂発泡体の製造方法は、アクリル系モノマーを含む重合性モノマーと、熱分解型発泡剤を含む発泡剤と、重合開始剤と、可塑剤とを含有する重合性溶液を作製する。
次に、該重合性溶液を加熱することによって前記重合性モノマーを重合させて発泡性重合体を作製する(以下、発泡性重合体作製工程とも言う)。そして、該発泡性重合体を発泡させて、平均気泡径が0.7mm以下であり、連続気泡率が15%以下であるアクリル系樹脂発泡体(以下、「発泡体」ともいう。)を作製する(以下、発泡体作製工程とも言う)。
以下、重合性溶液の構成成分について説明する。
前記アクリル系モノマーとしては、少なくとも無水マレイン酸及びメタクリルアミドを含有するアクリル系モノマーを用いる。無水マレイン酸及びメタクリルアミドを含有することにより、得られるアクリル系樹脂発泡体に高い耐熱性を付与することができる。
また、後述する発泡剤として尿素を用いる場合に、前記アクリル系モノマーには、尿素に対する優れた溶解性を示すことから水溶性のアクリル系モノマーを含有させることが好ましく、(メタ)アクリル酸を含有させることが好ましい。
なお、本明細書における“(メタ)アクリル”との用語は、“メタクリル”と“アクリル”の何れかを意味している。
また、前記アクリル系モノマーには、該アクリル系モノマーの発泡性重合体を発泡させるのに際して優れた発泡性を発揮させ得る点においてメタクリル酸メチルを含有させることが好ましい。
無水マレイン酸、メタクリルアミド、(メタ)アクリル酸、及び、メタクリル酸メチル以外のアクリル系モノマーとしては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、アクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイン酸イミドなどを含有させてもよい。
なお、上記アクリル系モノマー以外の重合性モノマーとして、上記アクリル系モノマーと共重合可能なモノマーをアクリル系樹脂発泡体の改質などを目的として重合性溶液に少量含有させることも可能である。
特に、発泡性の向上に有効となるスチレンモノマーを重合性溶液に含有させることが好ましい。
ただし、スチレンモノマーを過剰に含有させると、硬質さを損なうおそれを有することから重合性モノマーに占めるスチレンモノマーの含有量は20質量%以下とすることが好ましい。
なお、14〜35質量%の割合で含有される(メタ)アクリル酸の内、全てをメタクリル酸としても、全てをアクリル酸としても良く、メタクリル酸とアクリル酸との両方を併せて14〜35質量%となるように重合性溶液に含有させてもよい。
ただし、後述する発泡剤として尿素を用いる場合、尿素に対する溶解性の観点からは、メタクリル酸を多く含有させることが好ましい。
発泡剤としては、熱分解型発泡剤を含む発泡剤を用いる。
前記熱分解型発泡剤は、65℃以上で分解して気体を発生するものであり、100〜180℃で分解して気体を発生するものが好ましい。
前記熱分解型発泡剤としては、尿素、尿素誘導体、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アミドグアニジン、トリメチレントリアミン、パラトルエンスルホンヒドラジン、アゾジカルボンアミド、チオ尿素、塩化アンモニウム、ジシアンジアミド、ジオキサン、ヘキサン、抱水クロラール、クエン酸等が挙げられる。特に尿素は、好適な発泡剤である。
前記熱分解型発泡剤は、含有量が少ないと、得られるアクリル系樹脂発泡体の発泡度が低下して軽量性を損なうおそれを有し、逆に過剰であると、重合性溶液中に熱分解型発泡剤を均一に溶解させることが困難となったり、得られるアクリル系樹脂発泡体中に熱分解型発泡剤を残存させ易くなったり、破泡を生じさせたりするおそれを有する。
このようなことから、熱分解型発泡剤は、重合性モノマーの合計量を100質量部とした場合に0.5〜30質量部となる割合で重合性溶液に含有させることが好ましく、熱分解型発泡剤が尿素である場合には、重合性モノマーの合計量を100質量部とした場合に1〜15質量部となる割合で重合性溶液に含有させることが好ましい。
熱分解型発泡剤以外のその他の発泡剤としては、沸点が65℃以上の物理発泡剤(アルコール等)を用いることができ、沸点が65℃〜180℃の物理発泡剤(アルコール等)が好ましい。具体的な例としては、イソプロパノール、シクロペンタノール、エタノール、1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、2−エチル−1−ヘキサノール等のアルコールが挙げられる。物理発泡剤は、単独で用いても効果がなく、熱分解型発泡剤と併用されて効果が発揮される。使用量としては、重合性モノマーの合計量を100質量部とした場合に、熱分解型発泡剤との合計量で0.6〜30質量部となる割合で重合性溶液に含有させることが好ましい。
前記重合開始剤としては、レドックス系重合開始剤、熱分解型開始剤、光分解型開始剤等を用いる。分解温度が高い程、重合性溶液の重合速度の調整が難しいが、重合性溶液の重合速度を調整し易いという観点から、レドックス系重合開始剤、例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイドを用いることが好ましい。
また、上記t−ブチルハイドロパーオキサイド以外のレドックス系重合開始剤として利用可能な具体的な物質としては、クメンヒドロキシパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド等が挙げられる。
前記重合開始剤は、重合性モノマーの合計量を100質量部とした場合に、0.1〜5質量部となる割合で重合性溶液に含有されることが好ましい。
前記可塑剤としては、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、ポリエステル、リン酸エステル、クエン酸エステル、エポキシ化植物油、セバシル酸エステル、アゼライン酸エステル、マレイン酸エステル、安息香酸エステル、スルホン酸エステル等を用いる。
前記フタル酸エステルとしては、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジブチル等が挙げられる。前記アジピン酸エステルとしては、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジブチル等が挙げられる。前記トリメリット酸エステルとしては、トリメリット酸トリオクチル等が挙げられる。前記リン酸エステルとしては、リン酸トリクレシル、リン酸トリアミル、リン酸トリブチル等が挙げられる。前記クエン酸エステルとしては、アセチルクエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル等が挙げられる。前記エポキシ化植物油としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等が挙げられる。前記スルホン酸エステルとしては、アルキルスルホン酸フェニルエステル等が挙げられ、該スルホン酸エステルの市販品としては、LANXESS社のメザモール(Mesamoll)等が挙げられる。
前記可塑剤としては、フタル酸ジオクチル、アジピン酸ジイソブチル、アセチルクエン酸トリブチル、スルホン酸エステル等が好適に用いられる。
前記可塑剤は、少ないと発泡性重合体の発泡性が不十分となることがあり、多いと得られたアクリル系樹脂発泡体の剛性が低下したり、アクリル系樹脂発泡体の気泡が粗大化したり、発泡時にアクリル系樹脂発泡体が収縮したりすることがあるので、重合性モノマーの合計量を100質量部とした場合に、0.1〜20質量部となる割合で重合性溶液に含有されることが好ましく、0.3〜10質量部がより好ましく、0.5〜5質量部が特に好ましい。
なお、本実施形態においては、前記重合性溶液には、カルシウムイオンをさらに含有させることができる。
前記カルシウムイオン添加用物質としては、ギ酸カルシウム、酢酸カルシウム、珪酸カルシウム、硝酸カルシウム等のカルシウム塩を用いることができ、ギ酸カルシウム、酢酸カルシウム及び珪酸カルシウムの少なくとも一つを用いることが好ましい。
加熱による体積変化が生じ難いアクリル系樹脂発泡体を製造しやすくなるという観点から、前記重合性溶液では、前記重合性モノマー100モル部に対し、前記カルシウムイオン添加用物質の合計量が2.4×10-3〜2.4×10-2モル部であることが好ましい。
また、本実施形態においては、前記重合性溶液には、無水硫酸ナトリウムをさらに含有させることができる。
加熱による体積変化が生じ難いアクリル系樹脂発泡体を製造しやすくなるという観点から、前記重合性溶液では、前記重合性モノマー100質量部に対し、前記無水硫酸ナトリウムが8.0×10-4〜1.2×10-2質量部であることが好ましい。
さらに、本実施形態においては、前記重合性溶液には、還元剤をさらに含有させることができる。
該還元剤としては、N,N−ジメチルアニリンなどの窒素含有化合物の様な、他の化合物を還元する(電子を供与する)ことのできる化合物等を用いることができる。
上記N,N−ジメチルアニリン以外の窒素含有化合物で還元剤として利用可能な具体的な物質としては、トリエチルアミンなどのアミン化合物が挙げられる。
前記還元剤は、前記重合開始剤の含有量に対して0.1〜5倍の重量割合で重合性溶液に含有されることが好ましい。
また、本実施形態においては、前記重合性溶液には、Cu+、Cu2+、Fe3+、Ag+、Pt2+、及び、Au3+からなる群より選ばれる1種以上の金属イオン、並びに、塩化物イオンをさらに含有させることができる。
前記金属イオンは、いずれも酸化還元電位が正の値のものである。
また、前記金属イオンは、重合性溶液中で、電子を授与されるもの、すなわち酸化剤として、または電子を供与するもの、すなわち還元剤としての機能を発揮し、前記重合性モノマーの重合反応の促進に寄与するものである。
一方で前記塩化物イオンは、前記の金属イオンと結合や脱離することにより、前記重合性モノマーの重合反応の促進に寄与するものである。
上記のような塩化物以外としては、例えば、臭化銅、ヨウ化銅、ステアリン酸銅、ナフテン酸銅、臭化銀などの物質によって重合性溶液に上記のような金属イオンを含有させることができる。
なお、銅、銀、金については、上記のような塩ではなく、金属そのもの、或いは、合金によってそのイオンを重合性溶液に含有させることができる。
例えば、銅、銅合金(コンスタンタン:銅/ニッケル合金、真鍮:銅/亜鉛合金)、銀、金からなる微粒子、線、メッシュなどを重合性溶液中に混入させることによってこれらのイオンを重合性溶液に含有させることができる。
これらの塩化物イオン含有物質を重合性溶液に含有させる場合には、通常、重合性溶液中の重合性モノマーの合計量を100質量部とした場合に0.005〜5質量部となる割合で含有させることができる。
これらを重合性溶液に含有させる場合には、通常、重合性溶液中の重合性モノマーの合計量を100質量部とした場合に1×10-10〜1×10-2質量部となる割合で含有させることができる。特に、重合制御の観点から、重合性溶液中の重合性モノマーの合計量を100質量部とした場合に1×10-10〜1×10-2質量部となる割合で含有させることが好ましい。
また、本実施形態においては、前記重合性溶液には、前記重合性モノマーと同一或いは異なる重合性モノマーの発泡性重合体を発泡させてなるアクリル系樹脂発泡体をさらに含有させることができる。
前記アクリル系樹脂発泡体は、前記重合性溶液中の重合性モノマーの重合反応の促進に寄与するものである。
前記アクリル系樹脂発泡体は、前記重合性溶液中の重合性モノマーの合計量を100質量部とした場合に、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは1〜15質量部、さらにより好ましくは5〜10質量部となる割合で重合性溶液に含有される。
前記重合性溶液は、重合性モノマーの合計量100質量部に対して前記アクリル系樹脂発泡体が20質量部以下であることにより、該前記アクリル系樹脂発泡体が重合性モノマーに均一に溶解されやすくなるという利点を有する。また、前記重合性溶液は、重合性モノマーの合計量100質量部に対して前記アクリル系樹脂発泡体が0.1質量部以上であることにより、前記重合性溶液中の重合性モノマーの重合が促進されるという利点を有する。
前記発泡性重合体作製工程は、前記重合性モノマーが重合する温度以上、且つ、前記発泡剤が分解する温度未満で前記重合性溶液を加熱することにより、前記重合性溶液の重合性モノマーを重合させて発泡性重合体を作製する工程である。
前記重合性溶液を加熱する温度としては、用いる発泡剤の分解温度(複数種の発泡剤を用いる場合には、最も分解温度が低い発泡剤の温度)未満の温度であることが好ましく、該分解温度よりも10℃以上低い温度が好ましい。
前記発泡体作製工程は、前記発泡性重合体を、前記発泡剤が分解する温度以上で加熱することによって前記発泡剤を分解させてアクリル系樹脂発泡体を形成させる工程である。
前記発泡性重合体を加熱する温度としては、用いる発泡剤の分解温度(複数種の発泡剤を用いる場合には、最も分解温度が高い発泡剤の温度)以上の温度であることが好ましく、該分解温度よりも10℃以上高い温度が好ましい。この加熱温度については、200℃以下とすることが好ましい。この加熱温度を200以下にすることにより、アクリル系樹脂発泡体が熱によって収縮するのを抑制することができる。
本実施形態に係るアクリル系樹脂発泡体は、アクリル系樹脂と、可塑剤とを含有する。該アクリル系樹脂は、構成単位として無水マレイン酸及びメタクリルアミドを含む。
平均気泡径が0.7mm以下であることにより、アクリル系樹脂発泡体が加熱による体積変化が生じ難いものとなる。
なお、平均気泡径は、以下のようにして算出する。
すなわち、アクリル系樹脂発泡体を切断して、切断面厚み方向の外側1/10を除いた部分につき、走査型電子顕微鏡(日立製作所製「S−3000N」)を用いて18倍に拡大して切断面を撮影し、撮影した切断面の画像をA4用紙上に印刷する。次に、用紙につき任意の線分(長さ60mm)を6箇所引き、この線分に重なる気泡の数から、各線分ごとの平均弦長を次式によって算出する。ただし、線分は、できる限り気泡が接点のみで接しないように引き、接してしまった場合には、気泡数に含めることとする。
平均弦長(t) = 線分の長さ/(気泡数×写真の倍率)
そして、次式により気泡径Dを算出する。
D = t/0.616
そして、各線分ごとに求めた気泡径Dの算術平均値を求め、この算術平均値をアクリル系樹脂発泡体の平均気泡径とする。
連続気泡率が15%以下であることにより、アクリル系樹脂発泡体が加熱による体積変化が生じ難いものとなる。
なお、アクリル系樹脂発泡体の連続気泡率は、ASTM D−2856−87に準拠して1−1/2−1気圧法にて測定することができる。
なお、アクリル系樹脂発泡体のカルシウムの濃度及びナトリウムの濃度は、アクリル系樹脂発泡体を灰化させ、灰化物と濃塩酸とを混合し、蒸留水で希釈した液をICP発光分光分析に供することで求めることができる。
なお、TMA(熱機械分析)における耐熱温度は、以下のようにして測定する。
すなわち、5mm(縦)×5mm(横)×2mm(厚み)の直方体状に発泡体を切り出して試験片を作製し、熱機械分析装置を用い、窒素雰囲気下、圧縮試験モード(圧子の先端 φ3mm、石英製プローブ)、荷重100mNで、試験片に圧子を厚み方向で当てて30℃から昇温速度5℃/minで温度を上げていき、試験片の厚みが試験前の試験片の厚みに対して10%変化した際の温度を測定し、この温度を、TMAにおける耐熱温度とする。
なお、解析前に石英係数設定による補正をする。また、試験片の厚みは測定前に荷重100mNの圧子を試験片に当てて測定する。さらに、熱機械分析装置としては、熱・応力・歪み測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、商品名「EXSTRAR TMA/SS6100」)等を用いることができる。また、解析は、熱・応力・歪み測定装置に付属されたソフトMuseを用いることができる。
なお、アクリル系樹脂発泡体の見かけ密度は、以下の方法で測定することができる。すなわち、発泡体の成形後72時間以上経過した試料から長さ25mm×幅25mm×厚み25mmの試験片を材料の元の気泡の構造を変えない様に切断し、該試験片をJIS K7100:1999の記号23/50、2級環境下で16時間状態調節したのち、該試験片の寸法、質量を測定し、次式により算出する。なお、試験片の寸法測定には、Mitutoyo Corporation製 「DIGIMATIC」CD−15タイプを用いる。
見かけ密度(g/cm3)=103×試験片質量(g)/試験片体積(mm3)
繊維強化複合体は、芯材としてのアクリル系樹脂発泡体と、該芯材の表面に積層された繊維強化プラスチックス(FRP)とを備える。
繊維強化プラスチックス(FRP)としては、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等が挙げられる。
繊維強化複合体は、例えば以下のようにして得ることができる。まず、アクリル系樹脂発泡体と、繊維強化プラスチックス(FRP)シートとを積層することにより積層体を得る。そして、該積層体を0.1MPa〜8MPaの加圧下において、(FRPシートのマトリックス樹脂のガラス転移温度(℃)−60℃)〜(FRPシートのマトリックス樹脂のガラス転移温度(℃)+80℃)の温度で1〜180分間加熱することにより、アクリル系樹脂発泡体と繊維強化プラスチックス(FRP)シートとが接着する。これにより、繊維強化複合体を得ることができる。ここで、アクリル系樹脂発泡体とFRPシートとを接着させる際の温度は、FRPシートに含有される樹脂中の空気をより効率的に抜くことができるという観点から、(FRPシートのマトリックス樹脂のガラス転移温度−20℃)〜(FRPシートのマトリックス樹脂のガラス転移温度+80℃)の温度とすることがより好ましい。
アクリル系樹脂発泡体について各種の評価を行った事例を示す。
まず、発泡性重合体、及び、アクリル系樹脂発泡体に対する評価方法について説明する。
発泡性重合体に割れが生じないように発泡性重合体を切断することにより、10cm3 以上の試験片を得、該試験片の質量を測定し、次式により発泡性重合体の密度を算出した。
発泡性重合体の密度(g/cm3 )=試験片の質量(g)/試験片の体積(cm3 )
発泡性重合体が硬化しているか否かの判断については、以下のようにして判断した。すなわち、得られた発泡性重合体から50mm(縦)×50mm(横)×20(厚み)の板状の試験片を作製した。次に、アスカーゴム・プラスチック硬度計C型(高分子計器(株)製)を用いて、この硬度計の加圧面でこの試験片を厚み方向に加圧した。そして、加圧面で試験片を加圧した時から30秒後の測定値を80ポイント以上であった場合には、発泡性重合体が硬化していると判断した。
アクリル系樹脂発泡体のカルシウムの濃度(Ca濃度)、及び、ナトリウムの濃度(Na濃度)は、上述した方法で測定した。具体的には、以下のようにして測定した。
まず、前処理として、アクリル系樹脂発泡体を細かく裁断し、裁断試料約0.5〜2.0gを坩堝に入れて精秤し、該坩堝内の裁断試料を下記の灰化条件で灰化させ、灰化物と濃塩酸2mLとを混合して混合液を得た。そして、この混合液をろ紙(東洋濾紙製、ADVANTEC No.7)で濾過して不溶分を除去した。次に、不溶分を除去した混合液を蒸留水で希釈し50mLに定容して、ICP測定用試験液を作製した。
次に、該測定液を下記のICP測定条件でICP発光分光分析に供し、検量線より、測定液中のCa濃度及びNa濃度を算出した。試験液中のカルシウムの濃度およびナトリウムの濃度の何れか一方でも検量線の上限を超えた場合は、検量線の範囲内になるように試験液を更に蒸留水で希釈したものを測定に供した。
そして、下記式より、アクリル系樹脂発泡体中のカルシウムの濃度、及び、ナトリウムの濃度を算出した。
アクリル系樹脂発泡体中のカルシウムの濃度(μg/g) = 測定液中のカルシウムの濃度(μg/mL)×50(mL)÷試料の質量(g)
アクリル系樹脂発泡体中のナトリウムの濃度(μg/g) = 測定液中のナトリウムの濃度(μg/mL)×50(mL)÷試料の質量(g)
<灰化条件>
測定装置:電気炉 マッフル炉STR−15K((株)いすず製)
灰化条件:450℃×3hr(試料量=約0.5〜2.0g)
<ICP測定条件>
測定装置:島津製作所(株)製 マルチタイプICP発光分光分析装置 ICPE−9000
測定元素:Ca(317.933nm)、Na(589.592nm)
観測方向=軸方向,高周波出力=1.20kw,キャリアー流量=0.7L/min,プラズマ流量=10.0L/min,補助流量=0.6L/min,露光時間=30秒、検量線用標準液:米国SPEX社 XSTC−13(汎用混合標準溶液) 31元素混合(ベース5質量%HNO3 )−各約10mg/L
検量線作成方法:上記検量線用標準液を蒸留水で段階的に希釈調製して0ppm(ブランク)、0.2ppm、1.0ppm、2.5ppm、5ppmの標準液を作製した。各濃度の標準液を上記条件にて測定し、各元素の波長のピーク強度を得た。濃度とピーク強度をプロットして最小二乗法により近似曲線(直線あるいは二次曲線)を求め、これを定量用の検量線とした。
アクリル系樹脂発泡体の見かけ密度は、上述した方法で測定した。
アクリル系樹脂発泡体の連続気泡率は、以下の方法で測定した。すなわち、アクリル系樹脂発泡体を成形体6面とも成形面表皮を有しないように切り出し、さらに切断面表面をパンスライサーにて仕上げ、25mm×25mm×25mmの立方体状の試験片を3つ作製した。各試験片は、JIS K7100−1999 記号23/50、2級の環境下で16時間態調節した後、JIS K7100−1999 記号23/50、2級の環境下で測定を行った。各試験片の連続気泡率の測定は、次の様に行った。まず、測定試料の外寸をMitutoyo Corporation製 「DIGIMATIC」CD−15タイプを使用して1/100mmまで測定し見掛けの体積(cm3)を求めた。次に空気比較式比重計1000型(東京サイエンス(株)製)を使用して、1−1/2−1気圧法により測定試料の体積(cm3)を求めた。前述で求めた値と下記式により連続気泡率(%)を計算し、試験数3個の相加平均値を求めた。なお、空気比較式比重計は、標準球(大28.9cc 小8.5cc)にて補正を行った。
連続気泡率(%)=100×(見掛け体積−空気比較式比重計での測定体積)/見掛け体積
アクリル系樹脂発泡体の平均気泡径は、上述した方法で測定した。
190℃で1時間加熱した場合におけるアクリル系樹脂発泡体の体積変化率は、以下のようにして求めた。すなわち、まず、加熱前の常温常圧(25℃、1気圧)における発泡体の体積(加熱前の体積)を求めた。そして、加熱前の体積が求められた発泡体をオーブン(佐竹化学機械工業製「N50−S4H」)を用いて190℃で1時間加熱した。次に、加熱した発泡体を常温まで冷ました。そして、常温常圧下において、常温まで冷ました発泡体の体積(加熱後の体積)を求めた。次に、下記式により、体積変化率を算出した。
体積変化率(%) = 100×(加熱後の体積−加熱前の体積)/加熱前の体積
また、発泡体の体積は、以下のようにして求めた。すなわち、まず、メスシリンダーに水を加え、メスシリンダーの水面の目盛り(第1の目盛り)を読み取った。そして、発泡体をメスシリンダーの水面下に位置するように入れ、その際のメスシリンダーの水面の目盛り(第2の目盛り)を読み取った。次に、第2の目盛りから第1の目盛りを引き、この値を発泡体の体積とした。
なお、実施例及び比較例で得られた発泡体は、ほぼ金型どおりに形成されていたので、金型内の体積を「加熱前の体積」とした。
アクリル系樹脂発泡体の耐熱性を調べるため、アクリル系樹脂発泡体のTMA(熱機械分析)における耐熱温度を上述した方法で測定した。
なお、熱機械分析装置としては、熱・応力・歪み測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、商品名「EXSTRAR TMA/SS6100」)を用いた。
メタクリル酸メチル47質量%、メタクリル酸25質量%、スチレン16質量%、無水マレイン酸8.0質量%、メタクリルアミド4.0質量%からなる重合性モノマー100質量部に対して、重合開始剤としてのt−ブチルヒドロパーオキサイド(日油社製「パーブチルH−69」)0.5質量部、塩化物イオン添加用物質としてのセチルトリメチルアンモニウムクロライド(日油社製「ニッサンカチオンPB−40R」)0.1質量部、重合抑制剤としてのギ酸カルシウム0.2質量部、脱水剤としての硫酸ナトリウム2.0質量部、可塑剤としてのフタル酸ジオクチル(DOP)2.0質量部、発泡剤としての尿素5.0質量部を混合して35℃で加熱撹拌し、濾過して残渣の無機塩を除去し、重合性溶液を作製した。
参考例1の重合性溶液1500gを25mm×200mm×360mmの内法を有するテフロン(登録商標)製の直方体状の型枠に入れた。
そして、重合性溶液を型枠ごと43.5℃で21時間加熱することにより発泡性重合体(密度:1.16g/cm3 )を得た。この時、発泡性重合体が硬化していることが確認された。
その後、得られた発泡性重合体を25mm×200mm×150mmに切り出し、70mm×400mm×300mmの内法を有する金型に入れ、発泡性重合体を金型ごと180℃で2時間加熱することによりアクリル系樹脂発泡体(見かけ密度:0.116g/cm3 )を得た。
重合性溶液を型枠ごと50℃で7時間加熱したこと以外は、条件1と同様にして、発泡性重合体、及び、アクリル系樹脂発泡体を作製した。発泡性重合体(密度:1.16g/cm3 )が硬化していることが確認された。アクリル系樹脂発泡体の見かけ密度は、0.116g/cm3 であった。
可塑剤としてフタル酸ジオクチル(DOP)の代わりにアジピン酸ジイソブチル(DIBA)を用い、重合性モノマー100質量部に対して、アジピン酸ジイソブチル(DIBA)1.7質量部を混合したこと以外は、参考例1と同様にして重合性溶液を作製した。
参考例1の重合性溶液の代わりに参考例2の重合性溶液を用いたこと以外は、参考例1の条件1と同様にして、発泡性重合体、及び、アクリル系樹脂発泡体を作製した。発泡性重合体(密度:1.16g/cm3 )が硬化していることが確認された。アクリル系樹脂発泡体の見かけ密度は、0.116g/cm3 であった。
参考例1の重合性溶液の代わりに参考例2の重合性溶液を用いたこと以外は、参考例1の条件2と同様にして、発泡性重合体、及び、アクリル系樹脂発泡体を作製した。発泡性重合体(密度:1.16g/cm3 )が硬化していることが確認された。アクリル系樹脂発泡体の見かけ密度は、0.116g/cm3 であった。
可塑剤としてフタル酸ジオクチル(DOP)の代わりにアセチルクエン酸トリブチル(ATBC)を用い、重合性モノマー100質量部に対して、アセチルクエン酸トリブチル(ATBC)2.1質量部を混合したこと以外は、参考例1と同様にして重合性溶液を作製した。
参考例1の重合性溶液の代わりに参考例3の重合性溶液を用いたこと以外は、参考例1の条件1と同様にして、発泡性重合体、及び、アクリル系樹脂発泡体を作製した。発泡性重合体(密度:1.16g/cm3 )が硬化していることが確認された。アクリル系樹脂発泡体の見かけ密度は、0.116g/cm3 であった。
参考例1の重合性溶液の代わりに参考例3の重合性溶液を用いたこと以外は、参考例1の条件2と同様にして、発泡性重合体、及び、アクリル系樹脂発泡体を作製した。発泡性重合体(密度:1.16g/cm3 )が硬化していることが確認された。アクリル系樹脂発泡体の見かけ密度は、0.116g/cm3 であった。
可塑剤としてフタル酸ジオクチル(DOP)の代わりに、連鎖移動剤であるα−メチルスチレンダイマーを用い、重合性モノマー100質量部に対して、α−メチルスチレンダイマー0.1質量部を混合したこと以外は、参考例1と同様にして重合性溶液を作製した。
参考例1の重合性溶液の代わりに参考比較例1の重合性溶液を用いたこと以外は、参考例1の条件1と同様にして、発泡性重合体を作製しようとしたところ、重合性モノマーが十分に重合せず、重合性溶液が十分に硬化しなかった。
参考例1の重合性溶液の代わりに参考比較例1の重合性溶液を用いたこと以外は、参考例1の条件2と同様にして、発泡性重合体を作製しようとしたところ、重合性モノマーが十分に重合せず、重合性溶液が十分に硬化しなかった。
そこで、さらに、型枠ごと50.0℃で2.5時間追加加熱して、発泡性重合体を作製しようとしたが、それでも、重合性モノマーが重合せず、重合性溶液が硬化しなかった。
参考比較例1の重合性溶液を条件2’で加熱し重合性溶液を、さらに、型枠ごと80.0℃で3時間加熱して、発泡性重合体(密度:1.16g/cm3 )を得た。発泡性重合体が硬化していることが確認された。
その後、得られた発泡性重合体を25mm×200mm×150mmに切り出し、70mm×400mm×300mmの金型に入れ、発泡性重合体を金型ごと180℃で2時間加熱することによりアクリル系樹脂発泡体(見かけ密度:0.116g/cm3 )を得た。
可塑剤としてのフタル酸ジオクチル(DOP)を添加しないこと以外は、参考例1と同様にして重合性溶液を作製した。
参考例1の重合性溶液の代わりに参考比較例2の重合性溶液を用いたこと以外は、参考例1の条件1と同様にして、発泡性重合体、及び、アクリル系樹脂発泡体の作製を試みた。発泡性重合体(密度:1.16g/cm3 )を得ることはできたが、アクリル系樹脂発泡体には全長1cm以上の割れが多数発生し、良好なアクリル系樹脂発泡体を得ることができなかった。アクリル系樹脂発泡体の見かけ密度は、0.130g/cm3 であった。
参考例1の重合性溶液の代わりに参考比較例2の重合性溶液を用いたこと以外は、参考例1の条件2と同様にして、発泡性重合体、及び、アクリル系樹脂発泡体の作製を試みた。発泡性重合体(密度:1.16g/cm3 )を得ることはできたが、アクリル系樹脂発泡体には全長1cm以上の割れが多数発生し、良好な発泡体を得ることができなかった。アクリル系樹脂発泡体の見かけ密度は、0.130g/cm3 であった。
また、参考例1〜3の方法では、連鎖移動剤及び可塑剤を用いなかった参考比較例2に比して、外観が良好で且つ見かけ密度が低いアクリル系樹脂発泡体を得ることができた。
従って、本発明によれば、従来に比べて、耐熱性及び軽量性に優れたアクリル系樹脂発泡体を効率的に製造できることがわかる。
メタクリル酸メチル47質量%、メタクリル酸25質量%、スチレン16質量%、無水マレイン酸8.0質量%、メタクリルアミド4.0質量%からなる重合性モノマー100質量部に対して、重合開始剤としてのt−ブチルヒドロパーオキサイド(日油社製「パーブチルH−69」)0.5質量部、塩化物イオン添加用物質としてのセチルトリメチルアンモニウムクロライド(日油社製「ニッサンカチオンPB−40R」)0.1質量部、カルシウムイオン添加用物質としてのギ酸カルシウム0.004質量部(重合性モノマー100モル部に対して3.0×10-3モル部)、硫酸ナトリウム8.0×10-4質量部、可塑剤としてのスルホン酸エステル(LANXESS社製、「メザモール(Mesamoll)」)1.7質量部、発泡剤としての尿素5.0質量部を混合して35℃で加熱撹拌し、重合性溶液を作製した。
次に、得られた重合性溶液1500gを25mm×200mm×360mmの内法を有するテフロン(登録商標)製の直方体状の型枠に入れた。
そして、重合性溶液を型枠ごと40℃で25時間加熱することにより発泡性重合体(密度:1.16g/cm3 )を得た。この時、発泡性重合体が硬化していることが確認できた。
その後、得られた発泡性重合体を116gに切り出し、100mm×100mm×100mmの内法を有する金型に入れ、発泡性重合体を金型ごと180℃で2時間加熱することによりアクリル系樹脂発泡体(見かけ密度:0.116g/cm3 )を得た。
また、得られた発泡性重合体を78gに切り出し、100mm×100mm×100mmの内法を有する金型に入れ、発泡性重合体を金型ごと180℃で2時間加熱することによりアクリル系樹脂発泡体(見かけ密度:0.078g/cm3 )を得た。
重合性モノマー100質量部に対する、ギ酸カルシウムの量を0.01質量部(重合性モノマー100モル部に対して7.4×10-3モル部)にし、無水硫酸ナトリウムの量を5.0×10-3質量部にしたこと以外は、実施例1と同様にして、見かけ密度が0.116g/cm3 であるアクリル系樹脂発泡体、及び、見かけ密度が0.078g/cm3 であるアクリル系樹脂発泡体を得た。
重合性モノマー100質量部に対する、ギ酸カルシウムの量を0.03質量部(重合性モノマー100モル部に対して2.2×10-2モル部)にし、無水硫酸ナトリウムの量を5.0×10-3質量部にしたこと以外は、実施例1と同様にして、見かけ密度が0.116g/cm3 であるアクリル系樹脂発泡体、及び、見かけ密度が0.078g/cm3 であるアクリル系樹脂発泡体を得た。
重合性モノマー100質量部に対する、ギ酸カルシウムの量を0.01質量部(重合性モノマー100モル部に対して7.4×10-3モル部)にし、無水硫酸ナトリウムの量を1.2×10-2質量部にしたこと以外は、実施例1と同様にして、見かけ密度が0.116g/cm3 であるアクリル系樹脂発泡体、及び、見かけ密度が0.078g/cm3 であるアクリル系樹脂発泡体を得た。
ギ酸カルシウムの代わりに酢酸カルシウムを用い、重合性モノマー100質量部に対する、酢酸カルシウムの量を1.2×10-2質量部(重合性モノマー100モル部に対して7.3×10-3モル部)にしたこと以外は、実施例2と同様にして、見かけ密度が0.116g/cm3 であるアクリル系樹脂発泡体、及び、見かけ密度が0.078g/cm3 であるアクリル系樹脂発泡体を得た。
ギ酸カルシウムの代わりに珪酸カルシウムを用い、重合性モノマー100質量部に対する、珪酸カルシウムの量を9.0×10-3質量部(重合性モノマー100モル部に対して7.4×10-3モル部)にしたこと以外は、実施例2と同様にして、見かけ密度が0.116g/cm3 であるアクリル系樹脂発泡体、及び、見かけ密度が0.078g/cm3 であるアクリル系樹脂発泡体を得た。
重合性モノマー100質量部に対する、ギ酸カルシウムの量を2.0×10-3質量部(重合性モノマー100モル部に対して1.5×10-3モル部)にしたこと以外は、実施例2と同様にして、見かけ密度が0.116g/cm3 であるアクリル系樹脂発泡体、及び、見かけ密度が0.078g/cm3 であるアクリル系樹脂発泡体を得た。
重合性モノマー100質量部に対する、ギ酸カルシウムの量を5.0×10-2質量部(重合性モノマー100モル部に対して3.7×10-2モル部)にしたこと以外は、実施例2と同様にして、見かけ密度が0.116g/cm3 であるアクリル系樹脂発泡体、及び、見かけ密度が0.078g/cm3 であるアクリル系樹脂発泡体を得た。
重合性モノマー100質量部に対する、無水硫酸ナトリウムの量を4.0×10-4質量部にしたこと以外は、実施例2と同様にして、見かけ密度が0.116g/cm3 であるアクリル系樹脂発泡体、及び、見かけ密度が0.078g/cm3 であるアクリル系樹脂発泡体を得た。
重合性モノマー100質量部に対する、無水硫酸ナトリウムの量を2.0×10-2質量部にしたこと以外は、実施例2と同様にして、見かけ密度が0.116g/cm3 であるアクリル系樹脂発泡体、及び、見かけ密度が0.078g/cm3 であるアクリル系樹脂発泡体を得た。
従って、本発明によれば、従来に比べて、加熱による体積変化が生じ難いアクリル系樹脂発泡体を提供できることがわかる。
Claims (9)
- アクリル系樹脂と、可塑剤とを含有し、
前記アクリル系樹脂が、構成単位として無水マレイン酸及びメタクリルアミドを含み、
平均気泡径が0.7mm以下であり、連続気泡率が15%以下であることを特徴とするアクリル系樹脂発泡体。 - アクリル系モノマーを含み、該アクリル系モノマーとして少なくとも無水マレイン酸及びメタクリルアミドを含む重合性モノマーと、熱分解型発泡剤を含む発泡剤と、重合開始剤と、可塑剤とを含有する重合性溶液を作製し、前記重合性モノマーを重合させた後、前記重合によって得られた発泡性重合体を発泡させて得られた請求項1に記載のアクリル系樹脂発泡体。
- 前記重合性モノマーは、メタクリル酸メチル35〜60質量%、(メタ)アクリル酸14〜35質量%、スチレン10〜20質量、無水マレイン酸1.0〜10質量%、及び、メタクリルアミド1.0〜10質量%を含有する請求項2に記載のアクリル系樹脂発泡体。
- 更に、カルシウム、及び、ナトリウムを含有し、
前記カルシウムの濃度が10〜100μg/gであり、前記ナトリウムの濃度が2〜40μg/gである請求項1〜3の何れか1項に記載のアクリル系樹脂発泡体。 - アクリル系モノマーを含み、該アクリル系モノマーとして少なくとも無水マレイン酸及びメタクリルアミドを含む重合性モノマーと、熱分解型発泡剤を含む発泡剤と、重合開始剤と、可塑剤とを含有する重合性溶液を作製し、前記重合性モノマーを重合させた後、前記重合によって得られた発泡性重合体を発泡させてアクリル系樹脂発泡体を作製する工程を備えており、
平均気泡径が0.7mm以下であり、連続気泡率が15%以下である前記アクリル系樹脂発泡体を作製することを特徴とするアクリル系樹脂発泡体の製造方法。 - 前記重合性溶液が、更に、カルシウムイオンと、無水硫酸ナトリウムとを含有する請求項5に記載のアクリル系樹脂発泡体の製造方法。
- 前記重合性溶液に含有されるカルシウムイオン添加用物質として、ギ酸カルシウム、酢酸カルシウム及び珪酸カルシウムの少なくとも一つを用いる請求項6に記載のアクリル系樹脂発泡体の製造方法。
- 前記重合性溶液では、前記重合性モノマー100モル部に対し、前記カルシウムイオン添加用物質の合計量が2.4×10-3〜2.4×10-2モル部である請求項6又は7に記載のアクリル系樹脂発泡体の製造方法。
- 前記重合性溶液では、前記重合性モノマー100質量部に対し、前記無水硫酸ナトリウムが8.0×10-4〜1.2×10-2質量部である請求項6〜8の何れか1項に記載のアクリル系樹脂発泡体の製造方法。
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