JP2015062551A - 被検体情報取得装置およびその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】画像データ生成に要する時間を抑制しつつ、画像中のアーチファクトを低減する方法を提供する。【解決手段】被検体から伝搬する音響波を、有限の面積を持つ平面上に所定の間隔で配置された複数の検出位置において受信し、電気信号に変換する素子と、電気信号を用いて被検体内部の特性情報を示す画像を構成する構成手段と、画像を周波数空間の信号に変換したのち、複数の検出位置間の距離dと、検出位置と画像上の各位置を結ぶ線が平面から垂直な方向となす角度θを用いて、周波数空間の信号から画像におけるストリークアーチファクトに相当する空間周波数成分を低減するアーチファクト低減手段を有する被検体情報取得装置を用いる。【選択図】図1
Description
本発明は、被検体情報取得装置およびその制御方法に関する。
音響波を利用して生体等の被検体の内部を画像化する装置として、例えば医療診断に用いられる光音響トモグラフィー(PAT:Photoacoustic tomography)装置が提案されている。光音響トモグラフィー装置は、レーザパルス光を被検体に照射し、被検体内の組織が照射光のエネルギーを吸収した結果生じる音響波を探触子で受信する。この受信した信号を用いて再構成処理を行うことで、被検体内部の光学特性値に関連した画像データが得られる。
光音響トモグラフィー装置の例として、特許文献1には、被検体を音響整合材によって挟み画像化する構成が開示されている。
光音響トモグラフィー装置の例として、特許文献1には、被検体を音響整合材によって挟み画像化する構成が開示されている。
光音響トモグラフィー装置は、被検体からの信号を広い開口上で取得することにより、ノイズに強く、被検体内の吸収体形状に依存しない、良好な画像を取得することができる。
しかし、特許文献1に記載の光音響トモグラフィー装置は音響整合材を用いて被検体を保持しているために、被検体から発生する信号のうち、ある一定角度からの信号のみしか受信できない。そのため、開口が有限な平面となっており、得られる信号が開口制限を受けるような構成となっている。開口制限を受けた信号を用いて再構成された画像には、再構成アーチファクトが多く含まれ、被検体内部の特性情報の診断学的価値を損なう可能性がある。
しかし、特許文献1に記載の光音響トモグラフィー装置は音響整合材を用いて被検体を保持しているために、被検体から発生する信号のうち、ある一定角度からの信号のみしか受信できない。そのため、開口が有限な平面となっており、得られる信号が開口制限を受けるような構成となっている。開口制限を受けた信号を用いて再構成された画像には、再構成アーチファクトが多く含まれ、被検体内部の特性情報の診断学的価値を損なう可能性がある。
上記のような装置構成を変更せず再構成アーチファクトを低減させるために、モデルベース法に代表される制約条件付きの再構成方法が有効であり、研究されている。しかし、制約条件付きの再構成方法は多回数の繰り返し演算が必要となり、画像データ生成に要する時間が長くなる。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、画像データ生成に要する時間を抑制しつつ、画像中のアーチファクトを低減する方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の構成を採用する。すなわち、
被検体から伝搬する音響波を、有限の面積を持つ平面上に所定の間隔で配置された複数の検出位置において受信し、電気信号に変換する素子と、
前記電気信号を用いて前記被検体内部の特性情報を示す画像を構成する構成手段と、
前記画像を周波数空間の信号に変換したのち、前記複数の検出位置間の距離dと、前記検出位置と前記画像上の各位置を結ぶ線が前記平面から垂直な方向となす角度θを用いて、前記周波数空間の信号から前記画像におけるストリークアーチファクトに相当する空間周波数成分を低減するアーチファクト低減手段と、
を有することを特徴とする被検体情報取得装置である。
被検体から伝搬する音響波を、有限の面積を持つ平面上に所定の間隔で配置された複数の検出位置において受信し、電気信号に変換する素子と、
前記電気信号を用いて前記被検体内部の特性情報を示す画像を構成する構成手段と、
前記画像を周波数空間の信号に変換したのち、前記複数の検出位置間の距離dと、前記検出位置と前記画像上の各位置を結ぶ線が前記平面から垂直な方向となす角度θを用いて、前記周波数空間の信号から前記画像におけるストリークアーチファクトに相当する空間周波数成分を低減するアーチファクト低減手段と、
を有することを特徴とする被検体情報取得装置である。
本発明はまた、以下の構成を採用する。すなわち、
素子と、構成手段と、アーチファクト低減手段と、を有する被検体情報取得装置の制御方法であって、
前記素子が、被検体から伝搬する音響波を、有限の面積を持つ平面上に所定の間隔で配置された複数の検出位置において受信し、電気信号に変換する変換ステップと、
前記構成手段が、前記電気信号を用いて前記被検体内部の特性情報を示す画像を構成する構成ステップと、
前記アーチファクト低減手段が、前記画像を周波数空間の信号に変換したのち、前記複数の検出位置間の距離dと、前記検出位置と前記画像上の各位置を結ぶ線が前記平面から垂直な方向となす角度θを用いて、前記周波数空間の信号から前記画像におけるストリークアーチファクトに相当する空間周波数成分を低減する低減ステップと、
を有することを特徴とする被検体情報取得装置の制御方法である。
素子と、構成手段と、アーチファクト低減手段と、を有する被検体情報取得装置の制御方法であって、
前記素子が、被検体から伝搬する音響波を、有限の面積を持つ平面上に所定の間隔で配置された複数の検出位置において受信し、電気信号に変換する変換ステップと、
前記構成手段が、前記電気信号を用いて前記被検体内部の特性情報を示す画像を構成する構成ステップと、
前記アーチファクト低減手段が、前記画像を周波数空間の信号に変換したのち、前記複数の検出位置間の距離dと、前記検出位置と前記画像上の各位置を結ぶ線が前記平面から垂直な方向となす角度θを用いて、前記周波数空間の信号から前記画像におけるストリークアーチファクトに相当する空間周波数成分を低減する低減ステップと、
を有することを特徴とする被検体情報取得装置の制御方法である。
本発明によれば、画像データ生成に要する時間を抑制しつつ、画像中のアーチファクトを低減する方法を提供できる。
以下に図面を参照しつつ、本発明の好適な実施の形態について説明する。ただし、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状およびそれらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
本発明において、音響波とは、音波、超音波、光音響波、光超音波と呼ばれる弾性波を含む。つまり本発明の被検体情報取得装置とは、被検体に光(電磁波)を照射することにより光音響効果に従って被検体内で発生した音響波を受信して、被検体内部の特性情報を取得する装置である。したがって本発明の被検体情報取得装置は、光音響トモグラフィー装置と呼ぶこともできる。
このとき取得される被検体内部の特性情報とは、光照射によって生じた音響波の初期音圧、初期音圧から導かれる光エネルギー吸収密度や吸収係数、組織を構成する物質の濃度等を反映した被検体情報である。物質の濃度とは例えば、酸素飽和度またはオキシヘモグロビン濃度もしくはデオキシヘモグロビン濃度である。また、特性情報としては、数値データではなく、被検体内の各位置の分布情報を取得しても良い。つまり、吸収係数分布や酸素飽和度分布等の分布情報を画像データとして取得しても良い。
以下、図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。なお、同一の構成要素には原則と
して同一の符号を付して、説明を省略する。本発明は被検体情報取得装置やその作動方法、制御方法としても捉えられる。本発明はまた、制御方法を情報処理装置等に実施させるプログラムとしても捉えられる。
して同一の符号を付して、説明を省略する。本発明は被検体情報取得装置やその作動方法、制御方法としても捉えられる。本発明はまた、制御方法を情報処理装置等に実施させるプログラムとしても捉えられる。
<基本的な実施形態>
まず、図1を参照しつつ、被検体情報取得装置の構成と、平面開口を持つ光音響トモグラフィーについて説明する。
まず、図1を参照しつつ、被検体情報取得装置の構成と、平面開口を持つ光音響トモグラフィーについて説明する。
(装置構成)
装置は、光源101、光照射部102、保持板103、音響整合材105、探触子106、探触子スキャン駆動部111、スキャン・信号取得制御部112、信号処理部107、再構成部108、アーチファクト低減部109、表示部110を備える。
装置は、光源101、光照射部102、保持板103、音響整合材105、探触子106、探触子スキャン駆動部111、スキャン・信号取得制御部112、信号処理部107、再構成部108、アーチファクト低減部109、表示部110を備える。
被検体情報取得装置は、光源101からパルス光を発生させ、そのパルス光をバンドルファイバにより光照射部102まで導き、保持板103越しに被検体に照射する。被検体内に照射されたパルス光によって被検体104内の吸収体は光音響波を発生する。
この光音響波は音響整合材105を通り、探触子106に受信され、電気信号に変換される。探触子106は、探触子の音響波検出面と平行な面に沿って、探触子スキャン駆動部111によってスキャンされる。探触子スキャンと信号取得のタイミングはスキャン・信号取得制御部112によって制御されている。
この光音響波は音響整合材105を通り、探触子106に受信され、電気信号に変換される。探触子106は、探触子の音響波検出面と平行な面に沿って、探触子スキャン駆動部111によってスキャンされる。探触子スキャンと信号取得のタイミングはスキャン・信号取得制御部112によって制御されている。
信号処理部107は、電気信号のデジタル変換や増幅処理を行う。信号処理部107には不図示のメモリが含まれており、同位置で取得された信号等を記録する。信号処理部107は、スキャン終了時に被検体上の同位置で取得された信号を平均し出力する。再構成部108は、信号処理部107からの出力信号に遅延処理、再構成などを行い被検体内の吸収係数分布を作成する。アーチファクト低減部109は、再構成アーチファクトが低減された吸収係数分布を作成する。表示部110は吸収係数分布を表示する。
光源101は、700nm以上の波長をもつナノ秒オーダーのパルス光を発生するものが好ましい。700nmより短い波長では、ヘモグロビンやコラーゲン等に多く吸収されるために、光が被検体内深部まで十分に到達できない可能性がある。大出力を得るためにはレーザーが好ましいが、レーザーのかわりに発光ダイオードなどを用いることも可能である。レーザーとしては、固体レーザー、ガスレーザー、色素レーザー、半導体レーザーなど様々なレーザーを使用できる。照射のタイミング、波形、強度などは不図示の光源制御部によって制御される。
また、光を光源から被検体に導くために、光を反射するミラーや、光を集光したり拡大したり形状を変化させるレンズ、光を分散・屈折・反射するプリズム、光を伝搬させる光ファイバ、拡散板等の光学部材を用いても良い。
光は、被検体に対して探触子と同じ側から照射してもよく、反対側から照射してもよい。さらに被検対の両側から照射してもよい。図1では、光照射部102を3箇所に設けている。
光は、被検体に対して探触子と同じ側から照射してもよく、反対側から照射してもよい。さらに被検対の両側から照射してもよい。図1では、光照射部102を3箇所に設けている。
探触子106は、音響波を受信する素子を有する音響検出器である。素子を探触子の面内に複数並べられているタイプであれば、一度に複数の位置の信号を取得可能である。これにより受信時間を短縮できると共に、被検体の振動などの影響を低減できる。
ただし、素子が1つだけ、または少数の場合でも、素子を検出位置の間で走査させることにより、多数の素子を有する探触子と同様の効果を得られる。このような走査は、被検体上の仮想的な平面に所定の間隔で配置された複数の検出位置を想定し、当該検出位置間で素子を移動させることにより行われる。この場合、以下の記載における素子間距離は、
検出位置間の距離と読み替えられる。
ただし、素子が1つだけ、または少数の場合でも、素子を検出位置の間で走査させることにより、多数の素子を有する探触子と同様の効果を得られる。このような走査は、被検体上の仮想的な平面に所定の間隔で配置された複数の検出位置を想定し、当該検出位置間で素子を移動させることにより行われる。この場合、以下の記載における素子間距離は、
検出位置間の距離と読み替えられる。
探触子106に用いられる素子は、圧電現象を用いた変換素子、光の共振を用いた変換素子、容量の変化を用いた変換素子などがある。音響波を受信して電気信号に変換できるものであれば、どのようなものでもよい。
探触子スキャン駆動部111は探触子を被検体上で走査させるための駆動手段である。スキャンを行うことにより、被検体の広範囲からの光音響信号を取得可能となる。スキャン・信号取得制御部112は、スキャンするタイミングやスキャンピッチ、スキャン中の信号取得タイミングを制御する。信号取得タイミングは、光源制御部による発光タイミングと同期して制御される。探触子スキャン駆動部によって探触子が動くスキャン範囲や信号平均化回数などは不図示のメモリに記録されており、また、外部からの操作によって変更することもできる。探触子は、探触子の検出面と平行な平面上をスキャンされる。
信号処理部107は、探触子から入力された電気信号の増幅やアナログデジタル変換を行う。また、増幅やアナログデジタル変換の前後において、探触子スキャンによって同じ検出位置で撮られた電気信号を足し合わせ、平均化することも好ましい。これにより体動の影響除去や、素子特性のばらつきの緩和、SN比向上が期待できる。
画像再構成部108は、信号処理部107から入力された電気信号を用いて画像再構成を行い、被検体内の吸収係数の分布を表す画像データである、吸収係数分布画像情報を生成する。吸収係数だけでなく、初期音圧や物質濃度、酸素飽和度を生成しても良い。
本実施形態の再構成の方法として、トモグラフィー技術で用いられるユニバーサルバックプロジェクションを採用した。他の再構成方法としてフーリエドメインでの逆投影、合成開口法、タイムリバーサル法などが挙げられる。
本実施形態の再構成の方法として、トモグラフィー技術で用いられるユニバーサルバックプロジェクションを採用した。他の再構成方法としてフーリエドメインでの逆投影、合成開口法、タイムリバーサル法などが挙げられる。
上記に挙げた再構成方法によれば、受信領域が球、円柱、無限平面である場合、光学特性分布を一意に決定できる。しかし、本発明における開口は、有限の面積を持つ平面開口であるため、吸収係数分布が一意に決まらない。再構成アーチファクトのストリークアーチファクトは、光学特性係数が一意に決定しないために現れるアーチファクトである。
アーチファクト低減部109は、再構成部108から出力された画像に含まれるストリークアーチファクトを低減する。
(アーチファクトの発生原理)
ストリークアーチファクトの発生原理を以下に説明する。
図2Aに示すような、探触子中の素子A(202)と、素子Aから距離d離れた素子B(203)、素子Aからz方向に距離rA離れた吸収体201を考える。なお、縦軸は素子の配列方向を示し、x方向とも呼ぶ。横軸は被検体深部に向かうz方向を示す。吸収体は被検体内に存在し、被検体の音速をvとする。
なお、探触子の各素子は所定の素子幅を持っている。そこで、これ以降、素子間の距離や素子と吸収体の距離を考える場合、素子の中心点を基準として考察を行う。
ストリークアーチファクトの発生原理を以下に説明する。
図2Aに示すような、探触子中の素子A(202)と、素子Aから距離d離れた素子B(203)、素子Aからz方向に距離rA離れた吸収体201を考える。なお、縦軸は素子の配列方向を示し、x方向とも呼ぶ。横軸は被検体深部に向かうz方向を示す。吸収体は被検体内に存在し、被検体の音速をvとする。
なお、探触子の各素子は所定の素子幅を持っている。そこで、これ以降、素子間の距離や素子と吸収体の距離を考える場合、素子の中心点を基準として考察を行う。
吸収体から発生した光音響波は、図2Bに示すような波形となる。このとき素子Aが観測する波形Aが出現する時間tA、素子Bが観測する波形Bが出現する時間tBは、式(1)で表される。
rA=v・tA
rB=v・tB …(1)
rA=v・tA
rB=v・tB …(1)
再構成では、式(1)を用いて時間を距離に変換し、素子から波形のある距離rAおよ
びrBのどこかに吸収体201が存在すると考え、被検体内での吸収体があるだろう予想位置を算出する。
びrBのどこかに吸収体201が存在すると考え、被検体内での吸収体があるだろう予想位置を算出する。
図3に、素子信号から吸収画像を算出する概念図を示す。素子A(202)から式(1)で算出された距離rA離れた位置204が、吸収体の予想位置である。より詳細に言うと、位置204は、素子Aから距離rA離れた点を結んだ線の上の位置である。また、素子B(203)から距離rB離れた位置205も、吸収体の予想位置である。
再構成では、予想位置204と205が交差する位置206に吸収体201があるとして画像を作成する。よって、素子の数が多く、素子が吸収体からみて広い開口領域にわたって配置されていると、吸収体の存在位置をより正確に特定しやすい。一方、本発明では素子が有限な面積を持つ平面上にあるため、吸収体が存在する確からしい位置に揺らぎが出て、吸収***置206がぼやけてしまうことがある。
再構成では、予想位置204と205が交差する位置206に吸収体201があるとして画像を作成する。よって、素子の数が多く、素子が吸収体からみて広い開口領域にわたって配置されていると、吸収体の存在位置をより正確に特定しやすい。一方、本発明では素子が有限な面積を持つ平面上にあるため、吸収体が存在する確からしい位置に揺らぎが出て、吸収***置206がぼやけてしまうことがある。
ストリークアーチファクトはこの揺らぎやぼやけが画像データに反映されたものであり、吸収***置206以外の予想位置204,205を示す線上に出現する。ストリークアーチファクトは、吸収体から尾を引く線として出現する。
図4Aに素子A(202)および素子B(203)と、素子Aと素子Bがそれぞれ作成するストリークアーチファクト204および205の関係を示す。素子Aの作成するスリークアーチファクト204と素子Bの作成するストリークアーチファクト205を、探触子の検出面上の距離x、探触子の検出面と垂直な方向の距離zを用いて表現すると、式(2)、式(3)となる。
x2+z2=rA 2 …(2)
(x−d)2+z2=rB 2 …(3)
x2+z2=rA 2 …(2)
(x−d)2+z2=rB 2 …(3)
ここで、図4Aに示すように、距離rAは素子Aと吸収体間の距離、距離rBは素子Bと吸収体間の距離である。dは、素子間距離である。よって、式(4)となる。
rB 2=rA 2+d2 …(4)
rB 2=rA 2+d2 …(4)
ここで、探触子面からz方向に、ある距離z0だけ離れた位置での、素子Aと素子Bがそれぞれ作成するストリークアーチファクトについて検討する。それぞれのストリークアーチファクトのx軸方向位置をxA、xBとすると、xAとxBの距離差Δxは、式(2)、式(3)に基づき、式(5)、式(6)のように求められる。
xA 2+z0 2=rA 2 …(5)
(xB−d)2+z0 2=rB 2 …(6)
ここに式(4)を代入し整理すると、式(7)となる。
xA 2+z0 2=rA 2 …(5)
(xB−d)2+z0 2=rB 2 …(6)
ここに式(4)を代入し整理すると、式(7)となる。
また、「xA=rA・sinθ」であるので、式(7)は式(8)と変形される。角度θは、前記検出位置と前記画像上の各位置を結ぶ線が前記平面から垂直な方向となす角度である。
よって、ストリークアーチファクトは、素子間距離dと吸収体までの距離rA、素子か
らストリークアーチファクトまでの角度θであらわされる周期性を持つことがわかる。
よって、ストリークアーチファクトは、素子間距離dと吸収体までの距離rA、素子か
らストリークアーチファクトまでの角度θであらわされる周期性を持つことがわかる。
ここで、「d2/xA 2≪1」の場合、「Δx=d+d2/2xA」なので、式(9)となる。
Δx=d+d2/2rAsinθ …(9)
またここから、「d2≪2rAsinθ」のとき、式(10)となる。
Δx=d …(10)
これは吸収体が素子から十分遠いときには式(9)の間隔でx方向にストリークアーチファクトが現れ、距離が遠くなるほど素子間距離dに近づいていくことを示す。
Δx=d+d2/2rAsinθ …(9)
またここから、「d2≪2rAsinθ」のとき、式(10)となる。
Δx=d …(10)
これは吸収体が素子から十分遠いときには式(9)の間隔でx方向にストリークアーチファクトが現れ、距離が遠くなるほど素子間距離dに近づいていくことを示す。
同様に、図4Bに示すような、x方向のある距離x0で、素子Aと素子Bがそれぞれ作成するストリークアーチファクトについて検討する。それぞれのストリークアーチファクトのz軸方向位置をzA、zBとすると、zAとzBの距離差Δzを算出すると、式(11)となる。
ここで、「2x0d/zA 2≪1」の場合、式(12)となる。
Δz=x0d/zA …(12)
ここで、「2x0d/zA 2≪1」の場合、式(12)となる。
Δz=x0d/zA …(12)
また、「x0=rA・cosθ」、および、「zA=rA・sinθ」となる。
ここで、θは素子Aからの角度であり、素子の指向角をθlimとすると、「0<θ<θlim」である。すると式(11)は、式(11’)と表される。
また式(12)は、式(13)となる。
Δz=d・tanθ …(13)
ここで、θは素子Aからの角度であり、素子の指向角をθlimとすると、「0<θ<θlim」である。すると式(11)は、式(11’)と表される。
また式(12)は、式(13)となる。
Δz=d・tanθ …(13)
これらの式から、ストリークアーチファクトはz方向に式(11)で示される間隔で現れ、吸収体が遠くなると式(13)の間隔で現れることがわかる。
なお、検出位置が並んだ平面と平行な面におけるストリークアーチファクトを表す式(7)は、一般的には、x方向におけるストリークアーチファクトの出現位置として、下式のように記述できる。
また、検出位置が並んだ平面と垂直な面におけるストリークアーチファクトを表す式(11)は、一般的には、z方向におけるストリークアーチファクトの出現位置として、下式のように記述できる。
また、検出位置が並んだ平面と垂直な面におけるストリークアーチファクトを表す式(11)は、一般的には、z方向におけるストリークアーチファクトの出現位置として、下式のように記述できる。
図5Aと図5Bは、音速1500m/sの被検体に現れるストリークアーチファクトの周期性に関するグラフである。図5Aは、式(7)に対応するz方向の周期性を示す。図5Bは、式(13)に対応するx方向の周期性を示す。それぞれ縦軸は周期性(1/mm
)を示し、横軸は時間を示す。
このように、探触子の検出平面方向のストリークアーチファクトは主に素子幅dの周期を持ち、検出面に垂直方向には角度θに依存した周期を持つ。
)を示し、横軸は時間を示す。
このように、探触子の検出平面方向のストリークアーチファクトは主に素子幅dの周期を持ち、検出面に垂直方向には角度θに依存した周期を持つ。
(アーチファクトの低減)
アーチファクト低減部は、探触子検出面と平行な方向と垂直な方向に沿って画像を周波数空間に変換し、空間周波数フィルタをかけてアーチファクトを低減する。空間周波数フィルタは、式(7)および式(13)で示されたストリークアーチファクトの周期を低減するフィルタである。
アーチファクト低減部は、探触子検出面と平行な方向と垂直な方向に沿って画像を周波数空間に変換し、空間周波数フィルタをかけてアーチファクトを低減する。空間周波数フィルタは、式(7)および式(13)で示されたストリークアーチファクトの周期を低減するフィルタである。
ここで、ストリークアーチファクトに相当する空間周波数成分の求め方について述べる。複数の検出位置の配列方向(x方向)と平行方向に周期的に表れるストリークアーチファクトに相当する空間周波数fxは、1/Δxとなる。なお、Δxは式(7)〜(11)に示すように求められる。素子配列が2次元アレイ状の場合、y方向に周期的に表れるス
トリークアーチファクトに相当する空間周波数についても、同様の方法で求められる。
また、x方向と垂直なz方向に周期的に表れるストリークアーチファクトに相当する空間周波数fzは、1/Δzとなる。なお、Δzは式(11)〜式(13)に示すように求められる。
トリークアーチファクトに相当する空間周波数についても、同様の方法で求められる。
また、x方向と垂直なz方向に周期的に表れるストリークアーチファクトに相当する空間周波数fzは、1/Δzとなる。なお、Δzは式(11)〜式(13)に示すように求められる。
したがって本発明で用いるフィルタとしては、周波数空間に変換された画像から、上記のように求められた空間周波数fx、fz成分を低減させるものが用いられる。
アーチファクト低減部は、このような条件で選ばれた空間周波数フィルタを周波数空間の画像に作用させて、ストリークアーチファクトの成分を低減させる。その後、画像を実空間に逆変換することで、ストリークアーチファクトが低減された画像が得られる。
アーチファクト低減部は、このような条件で選ばれた空間周波数フィルタを周波数空間の画像に作用させて、ストリークアーチファクトの成分を低減させる。その後、画像を実空間に逆変換することで、ストリークアーチファクトが低減された画像が得られる。
ストリークアーチファクトの周波数を低減できる方法であれば、前述した以外の方法をとってもかまわない。たとえばアーチファクト低減部は、空間周波数フィルタを入力画像の空間周波数に掛けたのち実空間画像に戻すことでストリークアーチファクト画像を作成し、この作成した画像を実空間の入力画像から差し引いてもよい。この方法でも、ストリークアーチファクトに対応数空間周波数成分が低減できる。
このストリークアーチファクト画像に先鋭化などの画像処理を行うことも可能である。フィルタの窓関数にはガウス窓、ハミング窓、ハン窓などが使用できる。
このストリークアーチファクト画像に先鋭化などの画像処理を行うことも可能である。フィルタの窓関数にはガウス窓、ハミング窓、ハン窓などが使用できる。
アーチファクト低減部から出力された画像は表示部に表示される。表示方法はMIP画像(MIP:Maximum Intensity Projection)や、スライス画像が好適である。ただし、他の表示方法も適用可能である。例えば、3D画像を異なる複数の方向から表示する方法がある。また、表示画像の傾きや表示領域、ウインドウレベルやウインドウ幅を、利用者が表示を確認しながら変更する方法もある。
また、表示部がアーチファクト低減処理を行う前後の画像を表示するようにすれば、低減効果の把握が容易となる。
装置は、アーチファクト低減部で使用されるフィルタの窓関数や幅を変更するユーザー
インタフェースを備えても良い。また、フィルタが変更された画像や低減処理前後の画像を比較することができるように画像を小ウインドウで表示することが望ましい。
装置は、アーチファクト低減部で使用されるフィルタの窓関数や幅を変更するユーザー
インタフェースを備えても良い。また、フィルタが変更された画像や低減処理前後の画像を比較することができるように画像を小ウインドウで表示することが望ましい。
以上述べたように、本発明の実施の形態によれば、画像中のストリークアーチファクトの低減処理を効果的に行い、良好な画像を取得可能となる。
<実施例1>
本発明における光音響診断装置の一例について説明する。
光源にはTi:S(チタンサファイアレーザー)を用い、約800nmの波長をもつ光を照射した。これらの波長の光密度は15[mJ/cm2]であった。Ti:Sの励起にNd:YAGレーザー光(波長1064nmのナノ秒オーダーのパルス光)を用いた。被検体の深部まで届く700nm以上の波長を用いて測定を行った。
被検体を保持板と音響整合材間に挟んで保持し、パルス光を照射した。被検体から放射された光音響波を、音響整合材を通して、探触子で受信した。
本発明における光音響診断装置の一例について説明する。
光源にはTi:S(チタンサファイアレーザー)を用い、約800nmの波長をもつ光を照射した。これらの波長の光密度は15[mJ/cm2]であった。Ti:Sの励起にNd:YAGレーザー光(波長1064nmのナノ秒オーダーのパルス光)を用いた。被検体の深部まで届く700nm以上の波長を用いて測定を行った。
被検体を保持板と音響整合材間に挟んで保持し、パルス光を照射した。被検体から放射された光音響波を、音響整合材を通して、探触子で受信した。
素子幅1mm、素子ピッチ1mm、大きさ20mm×30mmの探触子を使用した。探触子の中心周波数は2MHzであり、指向性は40度であった。光音響波を受信したのち、探触子スキャン駆動部によって探触子が動かされ、150mm×90mmの測定範囲を測定した。被検体厚は53mmであった。信号は信号処理部で増幅された後にデジタル信号に変換され、再構成処理部に入力された。
再構成部ではユニバーサルバックプロジェクション法を用いて、吸収係数分布画像を再構成した。本実施例では探触子と被検体間に音響整合材が挿入されており、音速やインピーダンスが異なるため、超音波信号は被検体、音響整合材、探触子間で屈折する。再構成時には屈折角を計算し画像再構成を行っている。再構成後の画像を図6Aに示す。画像の軸はx、y、zが探触子の走査方向x、yと被検者厚み(信号の時間)方向に対応している。図の軸は縦軸がx方向、横軸はz方向を示している。図に示した画像はy方向において中心部2.5mmのMIP値を表示している。
画像の探触子から遠い範囲、つまり式(9)および式(10)が成り立つ範囲において、ストリークアーチファクト501の強度が大きい。これは、吸収体の収集係数が大きいためと、z軸距離が大きい範囲では、より吸収体から見た信号を受ける開口が狭くなり、吸収体の存在位置が確定できにくくなるためである。
アーチファクト低減部に再構成後の画像を入力する。入力された画像はz−x面上で2次元フーリエ変換され空間周波数空間に変換される。空間周波数空間に変換すれば、フーリエ変換以外の手段でもよく、線形フィルタなどを用いてもよい。また、実空間に戻す際も逆フーリエ変換、線形フィルタなどの手段を用いてもよい。
式(11)から、x方向のストリークアーチファクトの周期は1mmと算出できる。式(13)と指向角40度から、z方向のストリークアーチファクトの周期は0〜0.83mmと算出できる。
式(11)から、x方向のストリークアーチファクトの周期は1mmと算出できる。式(13)と指向角40度から、z方向のストリークアーチファクトの周期は0〜0.83mmと算出できる。
z距離が遠い範囲の画像では30度〜40度のストリークアーチファクトが多くみられた。これは再構成画像のボクセルが0.25mmであるために0.25mm以下の周期をもつストリークアーチファクトが画像として現れにくく、逆に0.5mm以上の周期のアーチファクトは現れやすいからである。
よって、空間周波数フィルタをx方向1mm、z方向に0.57mm〜0.83mmの周期に対応する空間周波数のx方向1/mmと1.49/mm位置に窓関数の中心をおいた。窓関数はハン窓関数を使用し大きさは32/mm×19/mmを用いた。ハン窓の大
きさは低減周波数の範囲により変更される。再構成時には被検体、音響整合材、探触子間の屈折や音速を考慮したが、アーチファクト低減部では屈折による誤差が少ないとして計算した。しかし、屈折を考慮し、ストリークアーチファクトの周期性を算出してもかまわない。
きさは低減周波数の範囲により変更される。再構成時には被検体、音響整合材、探触子間の屈折や音速を考慮したが、アーチファクト低減部では屈折による誤差が少ないとして計算した。しかし、屈折を考慮し、ストリークアーチファクトの周期性を算出してもかまわない。
作成した空間周波数フィルタを図6Hに示す。図6Hの右上が周波数空間の中心である。空間周波数フィルタを空間周波数に変換された画像に掛け、空間周波数の元の画像から差し引いてストリークアーチファクト低減処理をおこない。空間周波数画像を逆フーリエ変換することにより実空間に戻し、ストリークアーチファクト低減画像を作成した。
ストリークアーチファクト低減処理を同じ手順でy−z面でも実行した。
ストリークアーチファクトを低減した画像と元画像との差分を図6BとCに示す。z方向が遠い範囲のストリークアーチファクトが大幅に減少しており、効果が確認された。
ストリークアーチファクト低減処理を同じ手順でy−z面でも実行した。
ストリークアーチファクトを低減した画像と元画像との差分を図6BとCに示す。z方向が遠い範囲のストリークアーチファクトが大幅に減少しており、効果が確認された。
<実施例2>
実施例1においてz方向が遠い範囲のみを考えた空間周波数フィルタを用いてストリークアーチファクトを低減した。本実施例ではz方向が浅い範囲の空間周波数も考えて空間周波数フィルタを作成し、ストリークアーチファクトを低減した。ここでは、実施例1と異なる部分を特に詳しく説明する。
実施例1においてz方向が遠い範囲のみを考えた空間周波数フィルタを用いてストリークアーチファクトを低減した。本実施例ではz方向が浅い範囲の空間周波数も考えて空間周波数フィルタを作成し、ストリークアーチファクトを低減した。ここでは、実施例1と異なる部分を特に詳しく説明する。
被検体を保持板と音響整合材間に挟んで保持し、パルス光を照射した。被検体から放射された光音響波を、音響整合材を通して、探触子で受信した。150mm×90mmの測定範囲を測定した。被検体厚は53mmであった。
再構成部から出力された画像はアーチファクト低減部に入力される。入力画像をx−z平面で2次元フーリエ変換した。
再構成部から出力された画像はアーチファクト低減部に入力される。入力画像をx−z平面で2次元フーリエ変換した。
空間周波数フィルタの空間周波数は、x方向は式(7)、z方向は式(11)から算出した。探触子からz方向が10mm以降の領域を画像化したので、式(7)におけるrAは10mm以上53mm以下の範囲となる。Δxの範囲は2mm〜1.0mmとなる。また、画像のボクセルが0.25mmであるので、Δzが0.50mm以上のストリークアーチファクトがより多く出現する。指向性40度と合わせると、θの範囲は約27度以上40度以下である。よって、Δzの範囲は0.57mm〜0.83mmと算出された。
上記の算出した空間周波数をもとに空間周波数フィルタを作成した。空間周波数フィルタを空間周波数に変換された画像に掛け、元の画像から差し引いてストリークアーチファクト低減画像を作成した。
空間周波数フィルタを空間周波数に変換された画像に掛け、空間周波数の元の画像から差し引いてストリークアーチファクト低減処理をおこない。空間周波数画像を逆フーリエ変換することにより実空間に戻し、ストリークアーチファクト低減画像を作成した。
ストリークアーチファクト低減処理を同じ手順でy−z面でも実行した。
空間周波数フィルタを空間周波数に変換された画像に掛け、空間周波数の元の画像から差し引いてストリークアーチファクト低減処理をおこない。空間周波数画像を逆フーリエ変換することにより実空間に戻し、ストリークアーチファクト低減画像を作成した。
ストリークアーチファクト低減処理を同じ手順でy−z面でも実行した。
ストリークアーチファクトを低減した画像と元画像との差分を図6DとEに示す。実施例1の結果図6Bと比較すると画像の探触子に近い範囲でのストリークアーチファクトが減少しており、効果が確認された。
<実施例3>
実施例1、2において、空間周波数フィルタは1つの画像に1つの空間周波数フィルタが使用された。ストリークアーチファクトはz軸方向の距離によって周期性を変化させる。深さに対応した空間周波数フィルタを作成し、ストリークアーチファクトを低減することにより、画像の情報を不必要に削除することなくストリークアーチファクトを低減することができる。本実施例では、深さによって空間周波数フィルタを変更してストリークア
ーチファクトを低減する。ここでは、実施例1、2と異なる部分を特に詳しく説明する。
実施例1、2において、空間周波数フィルタは1つの画像に1つの空間周波数フィルタが使用された。ストリークアーチファクトはz軸方向の距離によって周期性を変化させる。深さに対応した空間周波数フィルタを作成し、ストリークアーチファクトを低減することにより、画像の情報を不必要に削除することなくストリークアーチファクトを低減することができる。本実施例では、深さによって空間周波数フィルタを変更してストリークア
ーチファクトを低減する。ここでは、実施例1、2と異なる部分を特に詳しく説明する。
被検体を保持板と音響整合材間に挟んで保持し、パルス光を照射した。被検体から放射された光音響波を、音響整合材を通して、探触子で受信した。150mm×90mmの測定範囲を測定した。被検体厚は53mmであった。
再構成部から出力された画像はアーチファクト低減部に入力される。
再構成部から出力された画像はアーチファクト低減部に入力される。
図7を用いて、本実施例でアーチファクト低減部が行う処理フローを説明する。
ステップS1:入力画像をあらかじめ設定された分割数に分割する。
ステップS2:分割した各画像をx−z平面で空間周波数画像に変換する。
ステップS3:各画像の深さごとに異なった周波数フィルタを作用させ、ストリークアーチファクトを低減する。
ステップS4:アーチファクトが低減された空間周波数画像を実空間画像に変換する。
ステップS5:y−z平面に対して、ステップS2からステップS4を行う。
ステップS1:入力画像をあらかじめ設定された分割数に分割する。
ステップS2:分割した各画像をx−z平面で空間周波数画像に変換する。
ステップS3:各画像の深さごとに異なった周波数フィルタを作用させ、ストリークアーチファクトを低減する。
ステップS4:アーチファクトが低減された空間周波数画像を実空間画像に変換する。
ステップS5:y−z平面に対して、ステップS2からステップS4を行う。
本実施例では、入力画像は7.5mm分重なるように10分割された。各画像の深さは分割画像の中心深さを周波数フィルタ作成時に使用する深さとした。各画像をx−z平面に対し空間周波数画像に変換した。
空間周波数フィルタの空間周波数は、x方向は式(7)、z方向は式(11)から算出された。再構成部は探触子からz方向が10mm以降の領域を画像化しているため、式(7)におけるrAは10mm以上53mm以下の範囲となる。Δxの範囲は2mm〜1.0mm、Δzの範囲は0.57mm〜0.83mmと算出された。Δxを初めの画像で2〜1.2mmとし、最後の画像で1.2〜1.0mmとなった。Δzはほとんど角度によって決まるため、本実施例では深さごとに変化をつけなかった。しかし、角度を考慮してΔzを変化させてもよい。算出した周波数ごとに空間周波数フィルタを作成し、各画像の空間周波数画像に掛けた。
低減処理後の空間周波数画像を実空間画像へ変換し、画像を足し合わせてアーチファクト低減画像を作成した。
ストリークアーチファクト低減処理を同じ手順でy−z面でも実行した。
ストリークアーチファクト低減処理を同じ手順でy−z面でも実行した。
ストリークアーチファクトを低減した画像と元画像との差分を図6FとGに示す。実施例1と比較すると画像の探触子に近い範囲でのストリークアーチファクトが減少しており、効果が確認された。また、実施例2と比較すると画像の深い範囲でx方向の低周波数成分が削除されておらず、余分な周波数を削除しない効果が確認できた。
<実施例4>
本実施例の装置は、操作者が、表示部110を用いて空間周波数フィルタの周波数を変更するためのユーザーインタフェースを有する。表示部110は、図8のようにOS上で動作するアプリケーションに対応するウインドウとして提供されても良いし、専用の表示装置に表示されても良い。
本実施例の装置は、操作者が、表示部110を用いて空間周波数フィルタの周波数を変更するためのユーザーインタフェースを有する。表示部110は、図8のようにOS上で動作するアプリケーションに対応するウインドウとして提供されても良いし、専用の表示装置に表示されても良い。
図8において、画像表示窓801には、アーチファクト低減を行う前の画像が表示される。窓関数種類選択ボタン802には、アーチファクト低減処理に使用する空間周波数フィルタを選択するためのラジオボタンが表示される。テキストボックス803には、操作者により、窓関数の大きさが記入される。テキストボックス804には、探触子に平行方向の面(PROBE DIR)の周波数と、垂直な方向(DEPTH DIR)の周波数が記入される。
また、ボタン805は、手動による空間周波数フィルタの作成を可能とする。すなわち、窓関数種類選択ボタン802において手動でのフィルタ作成を選択し、ボタン805を押した場合、図9のような周波数空間画像が別ウインドウで開く。
図9の画面には、実施例1で算出された周波数に対応する位置901が強調されて表示される。なお、表示する周波数は実施例1のものに限らず、実施例2や3の周波数のものでもよい。図9では空間周波数位置901を星型ポインタで示しているが、算出された空間周波数が複数ある場合はポインタの種類や数を増やしても良い。空間周波数を領域として指定したい場合は、領域を任意に塗りつぶしても良い。
操作者が周波数画像上をクリックしたり、周波数領域902を選択したりしたのち、ボタン903を押すと、選択した窓関数を使用し周囲をぼかした空間周波数フィルタが作成される。作成した空間周波数フィルタは、図8のボタン806を押すと小ウインドウが開き、確認できる。
図8のボタン807を押すと、今まで選択および指定した情報にて周波数領域が決定し、アーチファクト低減処理が行われる。低減処理後の画像は小ウインドウが開き表示される。表示した画像はスライスやMIPの有無、MIPスライス厚や表示平面が変更できるように作成した。表示はMIPに限られず、平均を用いてもよい。また画像表示する平面を選択するのではなく、3断面を同時に表示してもよい。また、空間周波数フィルタを作成する方法を選択するボタンをつけてもよい。
以上に例を挙げて述べたように、本発明によれば、被検体の画像に生じるアーチファクトに適応した空間周波数フィルタを算出することにより、画像データ生成に要する時間を抑制しつつ、画像中のアーチファクトを低減できる。とりわけ、平面開口を持つ光音響トモグラフィー装置においても、被検体内情報を損なうことなくストリークアーチファクトを低減した再構成画像を提供可能となる。
101:光源,102:光照射部,106:探触子,107:信号処理部,108:再構成部,109:アーチファクト低減部
Claims (13)
- 被検体から伝搬する音響波を、有限の面積を持つ平面上に所定の間隔で配置された複数の検出位置において受信し、電気信号に変換する素子と、
前記電気信号を用いて前記被検体内部の特性情報を示す画像を構成する構成手段と、
前記画像を周波数空間の信号に変換したのち、前記複数の検出位置間の距離dと、前記検出位置と前記画像上の各位置を結ぶ線が前記平面から垂直な方向となす角度θを用いて、前記周波数空間の信号から前記画像におけるストリークアーチファクトに相当する空間周波数成分を低減するアーチファクト低減手段と、
を有することを特徴とする被検体情報取得装置。 - 前記アーチファクト低減手段は、前記距離dと前記角度θに基づき算出した空間周波数フィルタを用いて、前記ストリークアーチファクトに相当する空間周波数成分を低減することを特徴とする請求項1に記載の被検体情報取得装置。
- 前記構成手段は、前記被検体内部の吸収体に対応する特性情報を構成し、
前記アーチファクト低減手段は、前記平面に対して平行な方向および垂直な方向のそれぞれにおける、前記検出位置から前記吸収体の予想位置までの距離を用いて、前記空間周波数フィルタを算出する
ことを特徴とする請求項2に記載の被検体情報取得装置。 - 前記アーチファクト低減手段により前記ストリークアーチファクトに相当する空間周波数成分を低減されたのち、実空間に変換された実空間画像を表示する表示手段をさらに有する
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。 - 前記表示手段は、前記実空間画像をMIP画像、スライス画像または3D画像により表示する
ことを特徴とする請求項5に記載の被検体情報取得装置。 - 前記アーチファクト低減手段は、前記平面に対して垂直な方向における距離に対応した
空間周波数フィルタを算出する
ことを特徴とする請求項2または3に記載の被検体情報取得装置。 - 前記アーチファクト低減手段は、前記空間周波数フィルタの窓関数として、ガウス窓、ハミング窓またはハン窓を使用する
ことを特徴とする請求項2または3に記載の被検体情報取得装置。 - 操作者が前記空間周波数フィルタを変更するためのユーザーインタフェースを有する
ことを特徴とする請求項2または3に記載の被検体情報取得装置。 - 前記ユーザーインタフェースは、前記空間周波数フィルタに用いる周波数、ならびに、窓関数の種類および大きさの変更を可能とする
ことを特徴とする請求項9に記載の被検体情報取得装置。 - 前記平面上に複数の前記素子が配列された探触子をさらに有する
ことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。 - 前記探触子を前記被検体上で走査させる駆動手段をさらに有する
ことを特徴とする請求項11に記載の被検体情報取得装置。 - 素子と、構成手段と、アーチファクト低減手段と、を有する被検体情報取得装置の制御方法であって、
前記素子が、被検体から伝搬する音響波を、有限の面積を持つ平面上に所定の間隔で配置された複数の検出位置において受信し、電気信号に変換する変換ステップと、
前記構成手段が、前記電気信号を用いて前記被検体内部の特性情報を示す画像を構成する構成ステップと、
前記アーチファクト低減手段が、前記画像を周波数空間の信号に変換したのち、前記複数の検出位置間の距離dと、前記検出位置と前記画像上の各位置を結ぶ線が前記平面から垂直な方向となす角度θを用いて、前記周波数空間の信号から前記画像におけるストリークアーチファクトに相当する空間周波数成分を低減する低減ステップと、
を有することを特徴とする被検体情報取得装置の制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013198341A JP2015062551A (ja) | 2013-09-25 | 2013-09-25 | 被検体情報取得装置およびその制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015062551A true JP2015062551A (ja) | 2015-04-09 |
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ID=52831024
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP (1) | JP2015062551A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018057560A (ja) * | 2016-10-04 | 2018-04-12 | コニカミノルタ株式会社 | 超音波信号処理装置、超音波信号処理方法、及び、超音波診断装置 |
US10242989B2 (en) | 2014-05-20 | 2019-03-26 | Micron Technology, Inc. | Polar, chiral, and non-centro-symmetric ferroelectric materials, memory cells including such materials, and related devices and methods |
-
2013
- 2013-09-25 JP JP2013198341A patent/JP2015062551A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2018057560A (ja) * | 2016-10-04 | 2018-04-12 | コニカミノルタ株式会社 | 超音波信号処理装置、超音波信号処理方法、及び、超音波診断装置 |
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