JP2015059845A - 静電容量型センサ、及び伸縮変形歪み量、伸縮変形歪み分布又は面圧分布の計測方法 - Google Patents

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秀夫 大高
英樹 則定
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英樹 則定
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Yosuke Matsui
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Abstract

【課題】クロストーク静電容量を除去して高精度に静電容量を測定できる静電容量型センサを提供する。
【解決手段】本発明は、エラストマー組成物からなる誘電層と、上記誘電層の表面側に積層され、ストライプ状に配設される複数の表側導電部からなる表側電極層と、上記誘電層の裏面側に積層され、平面視で上記複数の表側導電部に略直交するようにストライプ状に配設される複数の裏側導電部からなる裏側電極層と、平面視で上記複数の表側導電部と複数の裏側導電部との各交差領域に形成される検出部の静電容量を測定する測定手段とを備えた静電容量型センサであって、複数の表側導電部及び複数の裏側導電部がカーボンナノチューブを含み、選択された一つの上記表側導電部及び選択された一つの上記裏側導電部を一定の電圧が印加されるように上記測定手段に接続するとともに、残りの表側導電部及び/又は残りの裏側導電部をグランド接続する制御手段を備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、静電容量型センサ、及び伸縮変形歪み量、伸縮変形歪み分布又は面圧分布の計測方法に関する。
静電容量型センサシートは、一対の電極層間の静電容量変化から測定対象物の凸凹形状等を検出することができ、面圧分布センサや歪みゲージ等のセンサに用いることができる。一般に静電容量型センサにおける静電容量(キャパシタンス)は、以下の式(1)で表される。
C=ε・ε・S/d ・・・(1)
ここで、Cはキャパシタンス、εは自由空間の誘電率、εは誘電層の比誘電率、Sは電極層面積、dは電極間距離である。
従来、電極対をマトリクス状に配置した静電容量型センサシートを利用して、外力が付与された場合に誘電層の変形に伴って変化する静電容量を測定することにより、その外力の位置及び大きさを計測する静電容量型センサが知られている(例えば特開2012−225727号公報参照)。
このような静電容量型センサでは、マトリクス状に配置された電極対が交差する各位置(検出部)の静電容量を測定することにより、上記外力の位置及び大きさを判断する。
しかしながら、電極対をマトリクス状に配置した静電容量型センサシートを利用する場合、そのマトリクス構造に由来して、隣接する検出部間のクロストークにより静電容量が上乗せされ、初期状態(無変形状態)において、検出部の静電容量が理論値より大きくなる。電極本数が多くなるほど、この上乗せされる静電容量が大きくなる。このような場合、微小な静電容量の変化を計測することができず、静電容量型センサの検出感度が不十分になる不都合があった。また、上述のように隣接する検出部間のクロストークにより静電容量が上乗せされた場合、静電容量型センサシートの一部を変形させた際に、無変形の領域でも静電容量の変化が計測される。その結果、静電容量型センサの計測精度が不十分になる不都合があった。
特開2012−225727号公報
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、検出感度及び計測精度の高い静電容量型センサ、及び伸縮変形歪み量、伸縮変形歪み分布又は面圧分布の計測方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、エラストマー組成物からなる誘電層と、上記誘電層の表面側に積層され、ストライプ状に配設される複数の表側導電部からなる表側電極層と、上記誘電層の裏面側に積層され、平面視で上記複数の表側導電部に略直交するようにストライプ状に配設される複数の裏側導電部からなる裏側電極層と、平面視で上記複数の表側導電部と複数の裏側導電部との各交差領域に形成される検出部の静電容量を測定する測定手段とを備えた静電容量型センサであって、上記各導電部がカーボンナノチューブを含み、選択された一つの上記表側導電部及び選択された一つの上記裏側導電部を一定の電圧が印加されるように上記測定手段に接続するとともに、残りの表側導電部及び/又は残りの裏側導電部をグランド接続する制御手段を備える静電容量型センサである。
当該静電容量型センサは、選択された一つの表側導電部及び選択された一つの裏側導電部の交差領域に形成される検出部の静電容量を測定する際に、その選択された一つの表側導電部以外の全ての表側導電部、及びその選択された一つの裏側導電部以外の全ての裏側導電部の少なくともいずれかをグランド接続することにより、上記表側電極層及び裏側電極層のマトリクス構造に起因して生じるクロストーク静電容量を除去でき、選択された一つの表側導電部及び選択された一つの裏側導電部間の検出部の静電容量を高精度に測定することができる。また、上記各導電部がカーボンナノチューブを含むことにより、上記各電極層が誘電層の変形に対し優れた追従性を発揮するので、当該静電容量型センサは、伸長度が大きく柔軟な測定対象物の変形や動作に追従することが可能となる。当該静電容量型センサは、誘電層、表側電極層及び裏側電極層が平面方向に大きく伸縮し、面積の変化に伴って静電容量を変化させるので、その静電容量の変化から歪み量を高精度に測定でき、その結果、伸長度が大きく柔軟な測定対象物の変形や動作を計測することができる。
上記カーボンナノチューブの平均繊維径としては、0.5nm以上30nm以下が好ましい。カーボンナノチューブの平均繊維径がこの範囲であると、上記表側電極層及び裏側電極層が、誘電層の変形に対して高い追従性を発揮する。
上記各導電部が、全固形成分に対して平均繊維長100μm以上700μm以下のカーボンナノチューブを30質量%以上含んでいると好ましい。表側導電部及び裏側導電部がこのような長さの長尺のカーボンナノチューブを上記下限量以上含むことで、上記表側電極層及び裏側電極層が、誘電層の変形に対してより高い追従性を発揮する。
上記表側導電部及び裏側導電部の平均厚みとしては、0.1μm以上10μm以下が好ましい。表側導電部及び裏側導電部の平均厚みがこの範囲であることによって、上記表側電極層及び裏側電極層は、導電性が高くなるとともに誘電層の変形に対してより高い追従性を発揮する。
上記エラストマー組成物は、主成分としてウレタンゴムを含むことが好ましい。誘電層がウレタンゴムを主成分として含むエラストマー組成物からなることにより、誘電層が繰り返し変形での耐性に優れ、当該静電容量型センサの耐久性が向上する。
上記誘電層の1軸方向の伸長率としては、30%以上が好ましい。誘電層の1軸方向の伸長率を上記下限以上とすることで、当該静電容量型センサは、柔軟な測定対象物の変形や動作に対し、優れた追従性を効果的に発揮することができる。
当該静電容量型センサは、上記測定手段の測定結果に基いて、伸縮変形歪み量、伸縮変形歪み分布又は面圧分布を計測することに好適に用いられる。当該静電容量型センサは、全ての検出部における各静電容量を高精度に測定できるので、これらの測定結果を用いてセンサシートの伸縮変形歪み量、伸縮変形歪み分布又は面圧分布を高精度に計測することができる。
本発明の伸縮変形歪み量、伸縮変形歪み分布又は面圧分布の計測方法は、エラストマー組成物からなる誘電層と、上記誘電層の表面側に積層され、ストライプ状に配設される複数の表側導電部からなる表側電極層と、上記誘電層の裏面側に積層され、平面視で上記複数の表側導電部に略直交するようにストライプ状に配設される複数の裏側導電部からなる裏側電極層とを有し、平面視で上記複数の表側導電部と複数の裏側導電部との各交差領域に検出部が形成されたセンサシートを用いた伸縮変形歪み量、伸縮変形歪み分布又は面圧分布の計測方法であって、上記各導電部がカーボンナノチューブを含み、選択された一つの上記表側導電部及び選択された一つの上記裏側導電部を一定の電圧が印加されるように測定手段に接続するとともに、残りの表側導電部及び/又は残りの裏側導電部をグランド接続してその交差領域の検出部の静電容量を測定する工程を有し、全ての表側導電部及び裏側導電部の組み合わせについて順次検出部を切り替えて上記測定工程を繰り返す。
当該伸縮変形歪み量、伸縮変形歪み分布又は面圧分布の計測方法によれば、静電容量を測定する検出部に対応する表側導電部以外の全ての表側導電部、及びその検出部に対応する裏側導電部以外の全ての裏側導電部の少なくともいずれかをグランド接続することにより、上記表側電極層及び裏側電極層のマトリクス構造に起因して生じるクロストーク静電容量を除去でき、選択した一つの表側導電部及び選択した一つの裏側導電部間の検出部の静電容量を高精度に測定することができる。当該伸縮変形歪み量、伸縮変形歪み分布又は面圧分布の計測方法は、全ての表側導電部及び裏側導電部の組み合わせで上記測定を繰り返すので、全ての検出部における各静電容量を高精度に測定でき、これらの測定結果に基づいて、伸縮変形歪み量、伸縮変形歪み分布、面圧分布等を高精度に計測することができる。
なお、「グランド接続する」とは、表側導電部又は裏側導電部の電位を測定手段のグランドレベルと等しくすることを意味する。
以上説明したように、本発明の静電容量型センサ、及び伸縮変形歪み量、伸縮変形歪み分布又は面圧分布の計測方法は、クロストーク静電容量を除去して高精度に静電容量を測定できるので、伸縮変形歪み量、伸縮変形歪み分布、面圧分布等を高感度かつ高精度に計測することができる。
本発明の一実施形態に係る静電容量型センサを上面から見た模式的透過図である。 図1のセンサシートのA−A方向の模式的断面図である。 図1の静電容量型センサの測定動作を説明するための模式図である。 図1とは異なる実施形態の静電容量型センサの測定動作を説明するための模式図である。 図1のセンサシートの誘電層及び保護層の成膜装置の模式図である。 図1とは異なる実施形態の静電容量型センサの接続構成を説明するための模式図である。 比較例1の静電容量型センサの配線の模式図である。 (a)は、実施例1で測定した静電容量分布を示すグラフであり、(b)は、実施例2で測定した静電容量分布を示すグラフであり、(c)は、比較例1で測定した静電容量分布を示すグラフである。 (a)は、実施例1で測定周波数ごとの測定された静電容量を示すグラフであり、(b)は、実施例2で測定周波数ごとの測定された静電容量を示すグラフであり、(c)は、比較例1で測定周波数ごとの測定された静電容量を示すグラフである。 (a)変形させたセンサシートを上方から撮影した写真であり、(b)変形させたセンサシートを側方から撮影した写真である。 (a)は、実施例1で変形させたセンサシートを用いて測定した静電容量分布を示すグラフであり、(b)は、実施例2で変形させたセンサシートを用いて測定した静電容量分布を示すグラフであり、(c)は、比較例1で変形させたセンサシートを用いて測定した静電容量分布を示すグラフである。 (a)は、実施例1で変形させたセンサシートを用いたときの静電容量変化分布を示すグラフであり、(b)は、実施例2で変形させたセンサシートを用いたときの静電容量変化分布を示すグラフであり、(c)は、比較例1で変形させたセンサシートを用いたときの静電容量変化分布を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参酌しつつ説明する。
〔静電容量型センサ〕
図1及び図2に示すように、当該静電容量型センサ1は、エラストマー組成物からなる誘電層3と、上記誘電層3の表面側に積層され、ストライプ状に配設される複数の表側導電部01A〜16Aからなる表側電極層4と、上記誘電層3の裏面側に積層され、平面視で上記複数の表側導電部01A〜16Aに略直交するようにストライプ状に配設される複数の裏側導電部01B〜16Bからなる裏側電極層5と、平面視で上記複数の表側導電部01A〜16Aと複数の裏側導電部01B〜16Bとの各交差領域に形成される検出部C0101〜C1616の静電容量を測定する測定手段6とを備える。当該静電容量型センサ1は、上記複数の表側導電部01A〜16Aから選択された一つの表側導電部及び上記複数の裏側導電部01B〜16Bから選択された一つの裏側導電部を一定の電圧が印加されるように上記測定手段6に接続するとともに、上記選択された表側導電部以外の残りの表側導電部及び上記選択された裏側導電部以外の残りの裏側導電部の少なくともいずれかをグランド接続して、上記選択された表側導電部及び裏側導電部の交差領域に形成される検出部の静電容量を上記測定手段6によって測定させる制御手段7を備える。当該静電容量型センサ1は、誘電層3の表面側に表側電極層4を覆うように積層された表側保護層8と、誘電層3の裏面側に裏側電極層5を覆うように積層された裏側保護層9とをさらに備える。
当該静電容量型センサ1のセンサシート2を構成する誘電層3、表側電極層4及び裏側電極層5は伸縮性を有しているので、センサシート2は、主に平面方向に伸縮し、この伸縮による表側電極層4及び裏側電極層5の面積の変化に伴って静電容量が変化する。当該静電容量型センサ1は、この静電容量の変化から各検出部における歪み量を測定して、伸縮変形歪み量、伸縮変形歪み分布、面圧分布等を高精度に計測する。そのため、当該静電容量型センサ1は、伸長度が大きく柔軟な測定対象物の変形や動作を計測することができる。
<センサシート>
上記センサシート2は、シート状の誘電層3と、上記誘電層3の表面側に積層される帯状体の表側導電部01A〜16Aからなる表側電極層4と、表側配線01a〜16aと、上記誘電層3の裏面側に積層される帯状体の裏側導電部01B〜16Bからなる裏側電極層5と、裏側配線01b〜16bとを備える。平面視で上記表側導電部と裏側導電部とが交差する部分が検出部C0101〜C1616となる。なお、検出部の符号「C○○△△」中、上2桁の「○○」は、表側導電部01A〜16Aに対応しており、下2桁の「△△」は、裏側導電部01B〜16Bに対応している。また、センサシート2は、表側配線01a〜16aが接続される表側切替回路10と、裏側配線01b〜16bが接続される裏側切替回路11とを備える。シート状の誘電層3は、同一のエラストマー組成物からなる薄膜が複数積層されて構成されていてもよいが、その場合、これらの薄膜間にはエラストマー組成物からなる誘電層以外の他の層は配置されない。なお、表側電極層4又は裏側電極層5と誘電層3とは、それぞれ接着剤層を介して積層されていてもよい。
上記センサシート2の平均厚み、幅及び長さは、用いられるセンサシート2の用途によって適宜設計変更可能である。
<誘電層>
上記誘電層3は、弾性変形可能な層である。誘電層3は、シート状を呈しており、X方向及びY方向を各辺とする平面視長方形状を有する。この誘電層3はエラストマー組成物によって均質に形成されている。
この誘電層3の平均厚みの下限としては、10μmが好ましく、30μmがより好ましい。誘電層3の平均厚みの上限としては、1,000μmが好ましく、200μmがより好ましい。誘電層3の平均厚みが上記下限未満であると、膜厚精度の高いエラストマー層の加工が難しく十分な検出分布精度が確保できないおそれがある。また、誘電層3の平均厚みが上記上限を超えると、静電容量が小さくなり検出感度が低下するだけでなく、センサシート2が厚くなりすぎ測定対象物への追従性が損なわれるおそれがある。
また、誘電層3の常温における比誘電率の下限としては、2が好ましく、5がより好ましい。誘電層3の比誘電率が上記下限未満であると、静電容量が小さくなり、センサとして利用した際に十分な感度が得られないおそれがある。
さらに、誘電層3のヤング率の下限としては、0.01MPaが好ましく、0.1MPaがより好ましい。誘電層3のヤング率の上限としては、5MPaが好ましく、1MPaがより好ましい。ヤング率が上記下限未満であると、誘電層3の柔軟性が高くなりすぎ、加工が難しく、十分な測定精度が得られないおそれがある。一方、ヤング率が上記上限を超えると、誘電層3の柔軟性が低くなりすぎ、センサシートへの変形荷重が小さい場合にセンサシートの変形動作を阻害してしまい、計測目的に対して計測結果がそぐわないおそれがある。
また、誘電層3の1軸方向の伸長率の下限としては、30%が好ましく、50%がより好ましく、100%がさらに好ましい。誘電層3の1軸方向の伸長率を上記下限以上とすることで、当該静電容量型センサ1は、柔軟な測定対象物の変形や動作に対し、優れた追従性を効果的に発揮することができる。なお、誘電層3の1軸方向の伸長率の上限は特に限定されないが、例えば300%である。
(エラストマー組成物)
上記誘電層3を構成するエラストマー組成物は、エラストマーを主成分とする。ここで「主成分」とは、エラストマー組成物を構成する成分のうち最も含有量が多い成分であり、例えば含有量が50質量%以上の成分をいう。このエラストマーとしては、例えば天然ゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、水素添加ニトリルゴム、ウレタンゴム等を用いることができる。誘電層3を構成するエラストマーとしては、高い伸び性を有し、繰り返し変形での耐性に優れ、永久歪み性が小さいシリコーンゴム、ウレタンゴムが好ましい。ウレタンゴムは、センサシート2に変形が加えられても永久歪みが小さいので好ましい。永久歪みが小さいと、繰り返し使用しても(例えば伸長率100%の伸縮変形を1000回繰り返したとしても)初期静電容量が変化しにくく、静電容量型センサシートとして優れた測定精度を長期間にわたって維持することができる。さらにウレタンゴムは、表側電極層4及び裏側電極層5の導電性材料であるカーボンナノチューブとの密着性に優れる。
誘電層3を形成するエラストマー組成物は、測定対象物や計測目的に応じて材料を選択することができ、配合の改良を施すことが可能である。上記エラストマー組成物は、上記エラストマー以外に架橋剤、可塑剤、鎖延長剤、加硫促進剤、触媒、老化防止剤、酸化防止剤、着色剤等の添加剤を含有してもよい。
また、上記エラストマー組成物は、上記エラストマー以外に、チタン酸バリウムなどの誘電フィラーを含有することができる。誘電フィラーを含有することで、静電容量を大きくして検出感度を高めることができる。
<表側電極層>
表側電極層4は、ストライプ状(平行)に配設される複数の表側導電部01A〜16Aからなり、誘電層3の表面側に積層されている。
(表側導電部)
表側導電部01A〜16Aは、それぞれ帯状を呈しており、図2に示すように誘電層3の表面に合計16本積層されている。表側導電部01A〜16Aは、それぞれX方向(図1中の左右方向)に延在している。表側導電部01A〜16Aは、それぞれY方向(図1中の上下方向)に所定間隔ごとに離間して、互いに略平行となるようにそれぞれ配置されている。表側導電部01A〜16Aの図1中の左端には、それぞれ表側接続部01A1〜16A1が配置されている。
表側導電部01A〜16Aはそれぞれカーボンナノチューブを含む。また、表側導電部01A〜16Aは、カーボンナノチューブ以外にも、エラストマー等のつなぎ材料を含んでもよい。このようなつなぎ材料を含むことで、電極層と上記誘電層3との接着強度の向上、電極層の膜強度の向上等を図ることができ、さらにカーボンナノチューブを含む塗布液の塗工時の環境安全性(カーボンナノチューブの毒性やアスベスト類似の問題)の確保に寄与する。但し、電極層の全固形成分に対する上記つなぎ材料の含有量は少ない方が好ましい。上記つなぎ材料の含有量を少なくすることで、繰り返し変形に対する電気抵抗の変化が少なく耐久性に優れるとともに、誘電層3の変形の阻害を抑制することができる。
上記カーボンナノチューブとしては、例えば単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブを用いることができる。これらのうち、直径がより小さくアスペクト比がより大きい単層カーボンナノチューブが好ましい。上記カーボンナノチューブの平均繊維長の下限としては、100μmが好ましく、150μmがより好ましく、200μmがさらに好ましい。また、上記カーボンナノチューブの平均繊維長の上限としては、700μmが好ましく、600μmがより好ましく、500μmがさらに好ましい。また、上記カーボンナノチューブのアスペクト比としては、1,000以上が好ましく、10,000以上がより好ましく、30,000以上が特に好ましい。このような超長尺のカーボンナノチューブを用いることで、表側導電部01A〜16Aは、優れた伸縮性を発揮し、誘電層3の変形に対する追従性を向上させることができる。
導電部を形成する材料として長尺のカーボンナノチューブを用いることで、ストライプ状の導電部からなる電極層は優れた伸縮性を発揮し、センサシートの伸縮変形に伴う誘電層の変形に対する電極層の追従性を向上させることができる。また、長尺のカーボンナノチューブを含む導電部は、繰り返し変形させた際に電気抵抗の変動が少ないため、長期信頼性にも優れる。この理由は、長尺のカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブ自体が伸縮しやすく、その結果、電極層が誘電層に追従して伸長した時に導電パスが切断されにくいためと考えられる。また、カーボンナノチューブを含む導電性組成物を用いて電極層を形成した場合、その電極層の導電性はカーボンナノチューブ同士が接触する(電気接点を形成する)ことにより発現する。ここで、長尺のカーボンナノチューブを用いた場合は、短尺のカーボンナノチューブを用いた場合に比べて、少ない電気接点数で導電性が確保されるとともに、1本のカーボンナノチューブにおける他のカーボンナノチューブとの電気接点数が多くなるため、より高次元の電気的ネットワークが形成される。このことにより、長尺のカーボンナノチューブを用いることで電気抵抗の変動が少なくなり、長期信頼性にも優れる電極層が形成されると考えられる。
上記カーボンナノチューブの平均繊維径の下限としては、0.5nmが好ましく、1nmがより好ましい。また、上記カーボンナノチューブの平均繊維径の上限としては、30nmが好ましく、20nmがより好ましい。カーボンナノチューブの平均繊維径がこの範囲であると、変形が加えられた際にカーボンナノチューブがバネのように伸び、高い追従性等を発揮することにより、上記表側電極層4及び裏側電極層5が誘電層3の変形に対して高い追従性を発揮する。単層カーボンナノチューブは、平均繊維径が小さく(平均繊維径は製法に依存して0.5〜4nm程度)柔軟性に富む点で好ましい。一方、多層カーボンナノチューブは、平均繊維径が大きく剛直であるため、多層カーボンナノチューブの中ではより平均繊維径の小さいもの(例えば平均繊維径が30nm以下)が好ましい。
上記つなぎ材料として含むエラストマー材料としては、例えば天然ゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、水素添加ニトリルゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種類以上併用しても良い。
上記つなぎ材料としては、生ゴム(天然ゴム及び合成ゴムの加硫させていない状態のもの)も好ましい。このように比較的弾性の弱い材料を用いることで、誘電層3の変形に対する表側導電部01A〜16Aの追従性を高めることができる。
また、表側導電部01A〜16Aは、上記カーボンナノチューブ及びエラストマー材料以外にも、各種添加剤を含有してもよい。上記添加剤としては、例えばカーボンナノチューブの分散のための分散剤、バインダーのための架橋剤、加硫促進剤、加硫助剤、老化防止剤、可塑剤、鎖延長剤、酸化防止剤、軟化剤、着色剤等が挙げられる。電極層の導電性を向上させる目的で、ドーパントとして電荷移動材料やイオン液体等の低分子材料をコーティング剤又は添加剤として用いる手法も考えられるが、電極層に高アスペクト比のカーボンナノチューブを用いることで、特段処理をしなくても、十分な導電性を確保することができる。また、上記低分子材料を用いると、誘電層3のエラストマー又は誘電層3のエラストマー中の可塑剤に上記低分子材料が移行することに起因すると考えられる誘電層3の絶縁性の低下(体積抵抗率の低下)や、電極層のドーパント効果の喪失、センサシート2の繰り返し変形に対する耐久性の低下、計測値の信頼性の低下を招来する可能性がある。従って、上記低分子材料を含まないことが好ましい。
表側導電部01A〜16Aにおけるカーボンナノチューブの全固形成分に対する含有量の下限としては、51質量%が好ましく、75質量%がより好ましく、90質量%がさらに好ましく、95質量%が特に好ましい。さらには、カーボンナノチューブ濃度を100質量%とし、表側導電部01A〜16Aが実質的にカーボンナノチューブのみからなる構成とすることが最も好ましい。また、表側導電部01A〜16Aは、上記エラストマー材料を含まない構成とすることが好ましい。このように導電性材料であるカーボンナノチューブ以外の含有割合を少なくすることで、繰り返し変形を受けても表側導電部01A〜16Aの導電性低下(電気抵抗の増加)を抑制することができ、耐久性に優れるものとすることができる。
また、表側導電部01A〜16Aにおける長尺のカーボンナノチューブ(例えば平均繊維長100μm以上700μm以下のカーボンナノチューブ)の全固形成分に対する含有量の下限としては、30質量%が好ましく、50質量%がより好ましく、70質量%がさらに好ましい。表側導電部が上記下限以上の含有量の長尺のカーボンナノチューブを含むことで、表側電極層が誘電層3の変形に対して高い追従性を発揮する。表側導電部は、少なくとも上記下限以上の含有量の長尺のカーボンナノチューブを含んでいれば、短尺のカーボンナノチューブ(平均繊維長100μm未満)を混ぜてもよい。短尺のカーボンナノチューブを混ぜることで、表側電極層が低コストで形成できる。
また、表側導電部01A〜16Aの平均厚みの下限としては、0.1μmが好ましく、0.2μmがより好ましい。表側導電部01A〜16Aの平均厚みの上限としては、10μmが好ましく、5μmがより好ましい。表側導電部01A〜16Aの平均厚みを上記範囲とすることで、表側導電部01A〜16Aは誘電層3の変形に対し優れた追従性を発揮することができる。表側導電部01A〜16Aの平均厚みが上記下限未満では導電性が不足し検出精度が低下するおそれがある。一方、表側導電部01A〜16Aの平均厚みが上記上限を超えるとカーボンナノチューブの補強効果によりセンサシートが硬くなり、センサシート2の測定対象物への追従性が低下して誘電層3の変形を阻害するおそれがある。
表側導電部01A〜16Aの帯状の幅は用途によって適宜設計変更するものであるが、表側導電部01A〜16Aの帯状の平均幅の下限としては、0.5mmが好ましく、1mmがより好ましい。また、表側導電部01A〜16Aの帯状の平均幅の上限としては、30mmが好ましく、20mmがより好ましい。表側導電部01A〜16Aの帯状の平均幅が上記下限未満になると、電極対向部で検知される静電容量が小さくなるため、検知誤差が大きくなるおそれがある。また、表側導電部01A〜16Aの帯状の平均幅が上記上限を超えると、電極対向部の間隔が大きくなり、歪み分布の空間分解能が低くなる。ただし、空間分解能の要求が低い場合、例えば大型のセンサシート(ベットサイズなど)の場合には、表側導電部の帯状の幅を広くすることが有用である。
また、ストライプ状(平行)に配置される表側導電部01A〜16Aの平均間隔も用途によって適宜設計変更するものであるが、隣接する表側導電部の平均間隔の下限としては、0.5mmが好ましく、1mmがより好ましい。また、隣接する表側導電部の平均間隔の上限としては、10mmが好ましく、5mmがより好ましい。隣接する表側導電部の平均間隔が上記下限未満になると、隣接する表側導電部同士が接触しやすく、表側導電部の形成が困難となるおそれがある。また、隣接する表側導電部の平均間隔が上記上限を超えると、検知できない領域が大きくなり、歪み分布の空間分解能が低くなる。ただし、空間分解能の要求が低い大型のセンサシートなどの場合には、隣接する表側導電部の間隔を必要以上に小さくしなくてもよい。
また、誘電層3に積層された上記表側電極層4の透明性(可視光の透過率)は特に限定されず、透明であってもよいし、不透明であってもよい。
上記エラストマー組成物からなる誘電層3は、容易に透明な誘電層とすることができ、上記表側電極層4及び裏側電極層5の透明性を高めることにより、全体として透明な静電容量型センサシートとすることができる。静電容量型センサシートとして透明性が要求される場合には、透明な(例えば可視光(550nm光)の透過率が85%以上である)電極層を形成すればよい。
一方、電極層の透明性は静電容量型センサシートとしての性能には影響しない。そのため、透明性が要求されない場合には不透明な電極層を形成することで容易にかつ安価にセンサシートを製造することができる。透明な電極層を例えばカーボンナノチューブを含む導電性組成物を用いて形成する場合、カーボンナノチューブに対して高度な分散化処理や精製処理等の前処理が必要となり、電極層の形成工程が煩雑となり経済的に不利となる。
また、表側導電部01A〜16Aは、カーボンナノチューブを含む塗布液の塗布により形成されることが好ましい。例えば誘電層3上にカーボンナノチューブを含む塗布液を直接スプレー塗工などにより塗布して、表側導電部01A〜16Aを形成させることが好ましい。これにより、表側導電部01A〜16Aと誘電層3との密着性が向上し、表側導電部01A〜16Aと誘電層3との層間剥離が抑制される。
<裏側電極層>
裏側電極層5は、ストライプ状(平行)に配設される複数の裏側導電部01B〜16Bからなり、誘電層3の裏面側に積層されている。
(裏側導電部)
裏側導電部01B〜16Bは、それぞれ帯状を呈しており、誘電層3の裏面に合計16本積層されている。裏側導電部01B〜16Bは、それぞれ表側導電部01A〜16Aと平面視で略直交するように配置されている。すなわち、裏側導電部01B〜16Bは、それぞれY方向に延在している。また、裏側導電部01B〜16Bは、X方向に所定間隔ごとに離間して、互いに略平行となるようにそれぞれ配置されている。裏側導電部01B〜16Bの図1中の上端には、それぞれ裏側接続部01B1〜16B1が配置されている。
裏側導電部01B〜16Bの構成は、上述の表側導電部01A〜16Aと略同一であるので、ここでは説明を省略する。
<表側配線>
表側配線01a〜16aは、線状を呈しており、それぞれ上記表側接続部01A1〜16A1と表側切替回路10とを接続する。表側配線01a〜16aを構成する材料としては、特に限定されず、従来公知の材料を用いることができるが、上述した表側導電部01A〜16Aと同様の構成のものとすることで表側配線01a〜16aも伸縮変形できる。これにより、誘電層3の変形を阻害することがないため、誘電層3の歪み量が正確に検出される。すなわち、表側配線01a〜16aは、導電性材料であるカーボンナノチューブ以外の含有割合を少なくすることが好ましく、エラストマー材料を含まない構成とすることがより好ましい。
<裏側配線>
裏側配線01b〜16bは、線状を呈しており、それぞれ上記裏側接続部01B1〜16B1と裏側切替回路11とを接続する。表側配線01a〜16aを構成する材料については、上記表側配線01a〜16aと略同様であるのでここでは説明を省略する。
なお、センサシート2における上記配線及び上記接続部が形成される領域について伸縮性が要求されない場合には、この領域では、用いられる柔軟性のエラストマー組成物に代えて、PETフィルムやPENフィルム、ポリイミドフィルムなど伸縮性の低い基材フィルムを用いることができる。このような基材フィルムを用いることで、従来公知の導電性材料と従来公知の製造方法により、配線及び接続部が形成された部分を製造することができる。例えば金属メッキ技術や金属プリント技術により作製された配線フィルム等を使用することができる。
<検出部>
検出部(画素)C0101〜C1616は、図1にハッチングで示すように、表側導電部01A〜16Aと裏側導電部01B〜16Bとが平面視で交差する部分に形成されている。当該静電容量型センサ1では、検出部C0101〜C1616は、合計256個(=16個×16個)形成されており、256箇所で静電容量が測定される。256個の検出部をそれぞれ独立して形成した場合、各検出部ごとに表側電極及び裏側電極が存在するため、256×2極で512本の配線が必要となるが、本実施形態のように帯状の導電部を交差させることで、必要な配線数を16本+16本の32本とすることができる。そのため、上述のように検出部が効率良く配置される。そして、このような構成を備えたセンサシート2を、後述するように測定手段6と接続して当該静電容量型センサ1とし、制御手段7が各16本の配線を表側切替回路10及び裏側切替回路11で切り替えることで、256個の検出部が1つずつ切り替えられながら測定手段6が静電容量を測定する。その結果、当該静電容量型センサ1は、各検出部の歪み量や歪みの位置、面圧分布等を計測することができる。なお、検出部C0101〜C1616は、X方向及びY方向ともに略等間隔でマトリクス状に配置されている。
<表側切替回路>
表側切替回路10は、表側配線01a〜16a及び測定手段6の測定端子に接続され、測定手段6の測定端子に接続する表側配線01a〜16aを切り替える複数のスイッチを備えている。これにより、表側導電部01A〜16Aのうち制御手段7によって選択された一つの表側導電部のみが測定手段6の測定端子に接続される。また、表側切替回路10は、スイッチの切り替えにより、任意の表側配線01a〜16aをグランド端子12に接続することができる。
<裏側切替回路>
裏側切替回路11は、裏側配線01b〜16b及び測定手段6の測定端子に接続され、測定手段6の測定端子に接続する裏側配線01b〜16bを切り替える複数のスイッチを備えている。これにより、裏側導電部01B〜16Bのうち制御手段7によって選択された一つの裏側導電部のみが測定手段6の測定端子に接続される。また、裏側切替回路11は、スイッチの切り替えにより、任意の裏側配線01b〜16bをグランド端子12に接続することができる。
<表側保護層8及び裏側保護層9>
シート状の表側保護層8は、図2に示すように、誘電層3、表側導電部01A〜16A及び表側配線01a〜16aを覆うように、誘電層3の表面側に配置されている。また、シート状の裏側保護層9が、誘電層3、裏側導電部01B〜16B及び裏側配線01b〜16bを覆うように、誘電層3の裏面側に配置されている。表側保護層8及び裏側保護層9をこのように設けることで、表側導電部01A〜16A、表側配線01a〜16a、裏側導電部01B〜16B及び裏側配線01b〜16bと、センサシート2の外部の部材とが導通するのを抑制することができる。
また、表側保護層8及び裏側保護層9を設ける目的は、電極層の保護に限定されるものではない。例えば着色した保護層を形成することにより、導電部や配線等を外部から見えなくでき、また保護層に印字することで意匠性が付与される。また、例えば表側保護層8及び裏側保護層9の表面に接着性又は粘着性を有する層を付与することで、測定対象物をセンサシート2に貼り付けることができる。また、例えば保護層の表面を摩擦係数の低い表面層とすることもできる。
表側保護層8及び裏側保護層9の材質は特に限定されず、その形成目的に応じて適宜選択すればよいが、例えば誘電層3に用いたエラストマー組成物と同様のものを用いることができる。上記表側保護層8及び裏側保護層9は、誘電層3と略同じベースポリマーを含んで形成されていることが好ましく、これにより誘電層3との高い接着性が得られる。なお、表側保護層8及び裏側保護層9は接着剤を介して誘電層3に積層してもよい。
<測定手段>
上記測定手段6は、測定手段6の測定端子間の静電容量を測定する測定回路と電源回路とを備えている。この測定端子は、センサシート3の表側切替回路10及び裏側切替回路11に接続されている。測定手段6は、測定端子間に電圧信号を印加することにより、表側切替回路10によって接続されている表側導電部と、裏側切替回路11によって接続されている裏側導電部とが平面視で交差する領域に形成される検出部の静電容量を測定する。測定手段6がこの検出部の静電容量を測定するときには、測定手段6の測定端子に接続されない残りの表側導電部及び裏側導電部は、表側切替回路10及び裏側切替回路11を介して、グランド端子12に接続されている。なお、測定手段6は、後述のグランド端子12と同電位の接地端子に接続(接地)されている。
上記測定手段6における静電容量の測定方法は特に限定されないが、LCRメータによって交流信号を流し、その交流信号でのインピーダンスを測定して静電容量を測定する手法、交流信号でのインピーダンスにより出力信号の電圧を変化させることで静電容量を測定する手法、CR発振回路により発振周波数を変化させる手法など、静電容量の変化による交流インピーダンスの変化を利用した測定方法が好ましい。
<グランド端子>
グランド端子12は、センサシート3の表側切替回路10及び裏側切替回路11に接続されている。このグランド端子12に接続される導電部の電位は接地レベルとなり、測定手段6のグランドレベルと等しい。
<制御手段>
上記制御手段7は、表側切替回路10のスイッチの切り替え及び裏側切替回路11のスイッチの切り替えを制御するとともに、測定手段6の電圧印加タイミング及び静電容量の測定タイミングを制御する。上記制御手段7は、測定手段6の一方の測定端子に接続する表側導電部01A〜16Aを順次切り替えるように表側切替回路10を制御し、測定手段6の他方の測定端子に接続する裏側導電部01B〜16Bを順次切り替えるように裏側切替回路11を制御して、検出部C0101から検出部C1616までをあたかも走査するように、各検出部C0101〜C1616の静電容量を測定手段6によって順次測定させる。
ここで、制御手段7により、順次各検出部C0101〜C1616の静電容量を測定する動作について以下に説明する。
図3に、当該静電容量型センサ1の測定動作を説明するための模式図を示す。図3では、測定動作を分かりやすく説明するために、表側導電部03A〜05A及び裏側導電部05B〜07Bの部分のみを模式的に示しており、その他の表側導電部01A、02A、06A〜16A、及び裏側導電部01B〜04B、08B〜16Bの図示を省略している。
表側切替回路10は、表側導電部03A〜05Aの接続をグランド端子12及び測定手段6の一方の測定端子のいずれかに切り替えるスイッチ03A2〜05A2を有している。裏側切替回路11は、裏側導電部05B〜07Bの接続をグランド端子12及び測定手段6の他方の測定端子のいずれかに切り替えるスイッチ05B2〜07B2を有している。図3では、制御手段7によって、測定手段6の測定端子が表側導電部04A及び裏側導電部06Bに接続されている状態を示している。このとき、スイッチ04A2は測定手段6の一方の測定端子側に接続され、スイッチ06B2は測定手段6の他方の測定端子側に接続される。一方このとき、残りのスイッチ03A2、05A2、05B2、07B2は、いずれもグランド端子12に接続される。図3では図示していないが、このとき、これら以外の全ての表側導電部01A、02A、06A〜16A、及び裏側導電部01B〜04B、08B〜16Bは、表側導電部03A、05A、裏側導電部05B、07Bと同様にグランド端子12に接続される。
図3の接続状態において、測定手段6は、表側導電部04A及び裏側導電部06Bに電圧信号を印加して、表側導電部04Aと裏側導電部06Bとが平面視で交差する領域に形成される検出部C0406の静電容量を測定する。このとき、表側導電部04A及び裏側導電部06B以外の全ての表側導電部及び裏側導電部はグランド端子12に接続されているので、測定手段6は、クロストークによる静電容量が上乗せされていない検出部C0406の静電容量を正確に測定することができる。
制御手段7は、256個の全ての検出部C0101〜C1616について、上述した動作を繰り返し行う。すなわち、制御手段7は、測定する対象の検出部に対応する一つの表側導電部及び一つの裏側導電部のみを測定手段6の測定端子に接続させるとともに、残りの表側導電部及び裏側導電部をグランド端子12に接続させるように表側切替回路10及び裏側切替回路11を制御する動作を、全ての検出部C0101〜C1616について順次行う。これにより、全ての検出部C0101〜C1616について、それぞれの静電容量が順次測定手段6によって測定されていく。
以上では、制御手段7が、測定する対象の検出部に対応する一つの表側導電部及び一つの裏側導電部以外の全ての表側導電部及び裏側導電部をグランド端子12に接続させるように制御する例を説明したが、測定対象外の複数の表側導電部及び裏側導電部のうち一方のみをグランド端子12に接続すれば、測定対象外のもう一方の導電部をグランド端子12に接続しなくても、クロストーク静電容量が低減され、測定手段6が測定対象の検出部の静電容量を高精度に測定することができる。測定対象外の表側導電部をグランド端子12に接続させずに、測定対象外の裏側導電部のみをグランド端子12に接続させて制御する場合の各検出部C0101〜C1616の静電容量の測定動作について、以下に説明する。
図4に、この場合の当該静電容量型センサ1の測定動作を説明するための模式図を示す。図4の構成は、図3に示す構成とは表側切替回路10のスイッチの構成のみが異なっている。すなわち、図3の表側切替回路10のスイッチ03A2〜05A2が、表側導電部03A〜05Aの接続をグランド端子12及び測定手段6の一方の測定端子のいずれかに切り替えるのに対し、図4の表側切替回路のスイッチ03A3〜05A3は、表側導電部03A〜05Aの接続を測定手段6の一方の測定端子側に接続するか接続しないか(開放するか)のいずれかに切り替える。
図4では、制御手段7によって、測定手段6の測定端子が表側導電部04A及び裏側導電部06Bに接続されている状態を示している。このとき、スイッチ04A3は測定手段6の一方の測定端子に接続され、スイッチ06B2は測定手段6の他方の測定端子に接続される。一方このとき、裏側切替回路のスイッチ06B2以外の残りのスイッチ05B2、07B2は、いずれもグランド端子12に接続され、表側切替回路のスイッチ04A3以外の残りのスイッチ03A3、05A3は、いずれも開放された状態とされる。図4では図示していないが、このとき、これら以外の全ての裏側導電部01B〜04B、08B〜16Bは、裏側導電部05B、07Bと同様にグランド端子12に接続され、これら以外の全ての表側導電部01A、02A、06A〜16Aは、表側導電部03A、05Aと同様に、測定手段6とは電気的に接続されず開放された状態とされる。
図4の接続状態において、測定手段6は、表側導電部04A及び裏側導電部06Bに電圧信号を印加して、表側導電部04Aと裏側導電部06Bとが平面視で交差する領域に形成されている検出部C0406の静電容量を測定する。このとき、裏側導電部06B以外の全ての裏側導電部はグランド端子12に接続されているので、クロストークによる静電容量の上乗せが低減されて検出部C0406の静電容量をほぼ正確に測定することができる。
制御手段7は、全ての表側導電部及び裏側導電部の組み合わせで上記測定手段6による測定を繰り返させる。すなわち、制御手段7は、256個の全ての検出部C0101〜C1616について、上述した動作を繰り返し行う。具体的には、制御手段7は、測定する対象の検出部に対応する一つの表側導電部及び一つの裏側導電部のみを測定手段6の測定端子に接続させるとともに、残りの裏側導電部をグランド端子12に接続させ、残りの表側導電部を開放状態とさせるように表側切替回路及び裏側切替回路を制御する動作を、全ての検出部C0101〜C1616について順次行う。これにより、全ての検出部C0101〜C1616について、それぞれの静電容量が順次測定手段6によって測定されていく。
なお、図4では、制御手段7が、測定する対象の検出部に対応する表側導電部以外の残りの表側導電部を開放状態とし、測定対象外の裏側導電部のみをグランド接続する構成について説明したが、制御手段7が、測定対象外の裏側導電部を開放状態とし、測定対象外の表側導電部のみをグランド接続するように制御しても、同様にクロストークによる静電容量の上乗せが低減されて、測定手段6が各検出部の静電容量を正確に測定することができる。
〔伸縮変形歪み量、伸縮変形歪み分布又は面圧分布の計測方法〕
当該伸縮変形歪み量、伸縮変形歪み分布又は面圧分布の計測方法は、選択された一つの表側導電部及び選択された一つの裏側導電部を測定手段6に接続するとともに、残りの表側導電部及び/又は残りの裏側導電部をグランド接続してその交差領域の検出部の静電容量を測定する工程(測定工程)を有し、全ての表側導電部01A〜16及び裏側導電部01B〜16Bの組み合わせについて順次検出部を切り替えて上記測定工程を繰り返して伸縮変形歪み量、伸縮変形歪み分布又は面圧分布を計測する。
以下、当該伸縮変形歪み量、伸縮変形歪み分布又は面圧分布の計測方法として、上述の当該静電容量型センサを用いた例を説明する。ここでは、測定対象の検出部に対応する一つの表側導電部及び一つの裏側導電部以外の全ての表側導電部及び裏側導電部をグランド接続する例について説明する。
<測定工程>
測定工程では、測定手段6が、選択した一つの表側導電部及び選択した一つの裏側導電部間に電圧信号を印加して、これらの表側導電部及び裏側導電部が平面視で交差する領域に形成される検出部の静電容量を測定する。例えば図3に示す場合には、選択した一つの表側導電部04A及び選択した一つの裏側導電部06Bに測定手段6の測定端子が接続され、測定手段6は、これらの導電部間に電圧信号を印加することにより、これらの導電部間(検出部C0406)の静電容量を測定する。
当該伸縮変形歪み量、伸縮変形歪み分布又は面圧分布の計測方法では、全ての表側導電部及び裏側導電部の組み合わせで上記測定工程を繰り返し行う。具体的には、図3の場合、制御手段7が、選択した一つの表側導電部及び選択した一つの裏側導電部のみが測定手段6の測定端子に接続され、残りの表側導電部及び裏側導電部がグランド端子12に接続される状態となるように、表側切替回路10のスイッチ及び裏側切替回路11のスイッチを制御して、選択する表側導電部及び裏側導電部を順次切り替えていく。そして、順次選択される一つの表側導電部及び一つの裏側導電部間の静電容量が、測定手段6によって順次測定されていく。
例えば制御手段7が、まず選択する一つの表側導電部として表側導電部01Aを測定手段6の一方の測定端子に接続させた状態で、測定手段6の他方の測定端子に接続させる裏側導電部を、01B、02B、・・、16Bと順次切り替えていき、次に選択する一つの表側導電部として表側導電部02Aに切り替えて測定手段6の一方の測定端子に接続させた状態とし、測定手段6の他方の測定端子に接続させる裏側導電部を、01B、02B、・・、16Bと順次切り替えていくように制御する。同様に、制御手段7が、選択する一つの表側導電部を表側導電部03A〜16Aと順次切り替えながら、表側導電部03A〜16Aを測定手段6の一方の測定端子に接続させたそれぞれの状態で、測定手段6の他方の測定端子に接続させる裏側導電部を、01B、02B、・・・、16Bと順次切り替えていくように制御する。制御手段7がこのように制御することで、マトリクス状に配置された検出部をあたかも走査するように、全ての検出部C0101、C0102、・・・、C1616の静電容量が順次測定されていく。なお、上記制御手段7による制御方法は一例であって、表側導電部及び裏側導電部の選択順をどのようにしてもよいし、また選択されない表側導電部又は裏側導電部があってもよい。
〔センサシートの製造方法〕
当該静電容量型センサ1に用いるセンサシート2は、種々の方法によって製造可能であるが、その一例を以下に示す。センサシート2は、例えば誘電層及び保護層を形成する工程(誘電層形成工程)と、電極層を形成する塗布液を調製する工程(電極層形成用塗布液調製工程)と、誘電層及び保護層を積層しながら電極層を形成する工程(積層工程)とにより製造することができる。
<誘電層形成工程>
誘電層形成工程では、誘電層3、表側保護層8及び裏側保護層9をそれぞれ別々に形成する。上記誘電層3、表側保護層8及び裏側保護層9は、いずれもエラストマーを含有する原料組成物をシート状に成形することにより形成することができる。
まず、エラストマー(又はその原料)に、必要に応じて、架橋剤、可塑剤、鎖延長剤、加硫促進剤、触媒、老化防止剤、酸化防止剤、着色剤、誘電フィラー等の添加剤を配合した原料組成物を調製する。
上記原料組成物の調製方法、及びシート状物の成形方法は特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。具体的には、エラストマーがウレタンゴムである場合には、例えばポリオール成分、可塑剤及び酸化防止剤を計量し、加熱、減圧下において一定時間撹拌混合し、混合液を調製する。次に、その混合液を計量し、温度を調整した後、触媒を添加しアジター等で撹拌する。その後、所定量のイソシアネート成分を添加し、アジター等で撹拌後、即座に混合液を図5に示す成膜装置に注入し、保護フィルムでサンドイッチ状にして搬送しつつ架橋硬化させ、保護フィルム付きの所定厚みのロール巻シートを得る。その後、必要に応じてさらに炉で一定時間架橋反応(後架橋)させることで、誘電層3、表側保護層8及び裏側保護層9のいずれかとなるシート状物が作製される。
なお、上記誘電層形成工程で使用した図5に示す成膜装置では、原料組成物14を、離間して配置された一対のロール13、13′から連続的に送り出されるポリエチレンテレフタレート(PET)製の保護フィルム17の間隙に流し込む。そして、その間隙に原料組成物14を保持した状態で硬化反応(架橋反応)を進行させつつ、加熱装置15内に導入する。加熱装置15内で、原料組成物14を一対の保護フィルム17間で保持した状態で熱硬化させることにより、シート状の誘電層16を成形する。
また、上記シート状物は、原料組成物を調製した後、各種コーティング装置、バーコート、ドクターブレードなどの汎用の成膜装置や成膜方法を用いて形成してもよい。また、エラストマーがウレタンゴム以外の組成物である場合、その組成物に適した架橋剤等の添加物を加え、適した成形方法を用いればよい。
<電極層形成用塗布液調製工程>
電極層形成用塗布液調製工程では、カーボンナノチューブ等の導電材料及び分散媒等を含む電極層形成用塗布液を調製する。
具体的には、まず、導電材料をトルエン等の分散媒に添加する。このとき、必要に応じて、バインダー成分(又はその原料)、分散剤、その他各種添加剤等を添加してもよい。次に、導電材料を含む各成分を湿式分散機を用いて分散媒中に分散(又は溶解)させることにより電極層形成用塗布液を調製する。ここでは、例えば超音波分散機、ジェットミル、ビーズミル、スターラーなど既存の分散機を用いて分散させればよい。
上記電極層形成用塗布液調製工程において、上記分散媒は、トルエンに限定されるわけではなく、これ以外にも、例えばメチルイソブチルケトン(MIBK)、アルコ−ル類、水等が挙げられる。これらの分散媒は、単独で用いてもよいし2種以上併用してもよい。
上記導電材料がカーボンナノチューブの場合、上記電極層形成用塗布液におけるカーボンナノチューブの濃度の下限としては0.01質量%が好ましく、カーボンナノチューブの濃度の上限としては10質量%が好ましい。上記カーボンナノチューブの濃度が上記下限未満であると、カーボンナノチューブの濃度が薄すぎて繰返し塗布する必要が生じるおそれがある。一方、カーボンナノチューブの濃度が上記上限を超えると、塗布液の粘度が高くなりすぎ、また再凝集によりカーボンナノチューブの分散性が低下し、均一な電極層を形成することが困難となるおそれがある。
上記カーボンナノチューブとして、単層カーボンナノチューブと多層カーボンナノチューブとの混合物を使用する場合には、(a)単層カーボンナノチューブと多層カーボンナノチューブとを別々の分散媒に添加し、湿式分散機を用いてそれぞれの分散媒中に分散(又は溶解)させた後、単層カーボンナノチューブの分散液と多層カーボンナノチューブの分散液とを混合して電極層形成用塗布液としても良い。また、(b)単層カーボンナノチューブと多層カーボンナノチューブとを1つの分散媒に同時に添加し、湿式分散機を用いて分散媒中に分散(又は溶解)させて電極層形成用塗布液としても良い。
<積層工程>
積層工程では、上記誘電層形成工程で形成した誘電層3、表側保護層8及び裏側保護層9を所定の順序で積層しつつ、上記電極層形成用塗布液調製工程で調製した電極層形成用塗布液を、所定のタイミングで塗布し、乾燥させることにより、表側帯状電極層4及び裏側電極層5の形成を行う。
具体的には、例えば上記誘電層形成工程で形成した裏側保護層9の表面の所定の位置に所定の形状(ストライプ状)で上記電極層形成用塗布液を塗布して乾燥させ、ストライプ状に配設された複数の裏側導電部からなる裏側電極層5を形成する。上記ストライプ状の裏側導電部は、例えば幅は1mm〜20mm程度、長さは50mm〜500mm程度であり、1mm〜5mm程度の間隔で離間して、互いに略平行となるように形成する。このとき、必要に応じて、裏側保護層9表面の裏側導電部を形成しない位置をマスキングしてから上記電極層形成用塗布液を塗布してもよい。上記電極層形成用塗布液の乾燥条件は特に限定されず、分散媒の種類等に応じて適宜選択すればよい。
次に、裏側電極層5を形成した裏側保護層9上に、金属製のハンドローラ等を用いて上記誘電層形成工程で形成した誘電層3をラミネートし、裏側保護層9と誘電層3との間で裏側電極層5を挟むように誘電層3を積層する。
次に、上記誘電層3の表側の表面の所定の位置に所定の形状(ストライプ状)で上記電極層形成用塗布液を塗布して乾燥させ、ストライプ状に配設された複数の表側導電部からなる表側電極層4を形成する。ここで、表側電極層4を形成する方法としては、上記の裏側電極層5を形成した方法と同様の方法を採用することができる。
そして最後に、上記表側電極層4を形成した誘電層3上に、金属製のハンドローラ等を用いて上記誘電層形成工程で形成した表側保護層8をラミネートし、表側保護層8と誘電層3との間で表側電極層4を挟むように表側保護層8を積層する。
上記工程を経ることにより、図1及び図2に示した構成の静電容量型センサシート2を製造することができる。ここで説明したセンサシート2の製造方法は、図2に模式断面図で示したセンサシート2の各構成部材を下から順に積層する方法である。
なお、上述したセンサシートの製造方法において、表側電極層4又は裏側電極層5を形成する前に、これらと表側保護層8又は裏側保護層9との密着性を高めるべく、表側保護層8又は裏側保護層9の表面に前処理を施してもよい。同様に、表側電極層4又は裏側電極層5を形成する前に、これらと誘電層3との密着性を高めるべく、誘電層3の表面又は裏面に前処理を施してもよい。しかし、導電材料としてカーボンナノチューブを含有する電極層形成用塗布液を使用する場合、カーボンナノチューブは誘電層等のシート状物と極めて優れた密着性を有しているため、このような前処理を施すことなく充分な密着性を確保することができる。なお、カーボンナノチューブを含有することにより発揮される優れた密着性は、ファンデルワールス力によるものと考えられる。
また、上述したセンサシートの製造方法において、誘電層又は保護層をラミネートする場合、予め被ラミネート層の表面にプライマー溶液を塗布しておいてもよい。上記プライマー溶液としては、例えば上記誘電層形成工程で調製した原料組成物のトルエン希釈液等が挙げられる。
また、上記センサシート2は、例えば次の方法等によっても製造することができる。上記誘電層形成工程により誘電層及び保護層をそれぞれ形成した後、誘電層3の両面にそれぞれ表側電極層4及び裏側電極層5を形成する。そして、表側電極層4及び裏側電極層5を形成したさらに外側に表側保護層8及び裏側保護層9を積層することによりセンサシート2を製造してもよい。
また、例えば上記誘電層形成工程により誘電層及び保護層をそれぞれ形成した後、表側保護層8の表面に表側電極層4を形成し、裏側保護層9の表面に裏側電極層5を形成した後、表側保護層8、誘電層3及び裏側保護層9を所定の順で積層することによりセンサシート2を製造してもよい。すなわち、上記センサシート2は、各電極層をその電極層と接する誘電層及び各保護層のいずれかに予め形成した後、各層を所定の順で積層して製造してもよい。
また、上述のように予め形成しておいたシート状物を所定の順序でラミネートしていく方法に代えて、シート状物の原料組成物を各種コーティング装置、バーコート、ドクターブレードなどの汎用の成膜装置や成膜方法を用いて順次積層していく方法でセンサシート2を製造してもよい。
〔利点〕
当該静電容量型センサ1、及び伸縮変形歪み量、伸縮変形歪み分布又は面圧分布の計測方法は、静電容量を測定する際に、検出対象である選択された一つの表側導電部及び一つの裏側導電部の交差領域に形成される検出部の静電容量を測定する際に、その選択された一つの表側導電部以外の全ての表側導電部、及びその選択された一つの裏側導電部以外の全ての裏側導電部の少なくともいずれかをグランド端子12に接続するので、検出対象である検出部にクロストークによる静電容量が上乗せされず、その検出部の静電容量を高精度に測定することができる。当該静電容量型センサ1、及び伸縮変形歪み量、伸縮変形歪み分布又は面圧分布の計測方法は、全ての検出部の静電容量値を高精度に測定することができるので、伸縮変形歪み量、伸縮変形歪み分布、面圧分布等を高精度に計測することができる。
また、当該静電容量型センサ1、及び伸縮変形歪み量、伸縮変形歪み分布又は面圧分布の計測方法は、クロストークによる静電容量を除去できるので、表側導電部又は裏側導電部の本数を増加させても高精度に静電容量を測定することができ、大型で高精度の静電容量型センサを実現できる。また、表側導電部同士の間隔又は裏側導電部同士の間隔を小さくしても高精度に静電容量を測定することができるので、より精細に伸縮変形歪み量、伸縮変形歪み分布、面圧分布等を計測できる静電容量型センサを実現できる。
また、当該静電容量型センサ1は、センサシート2の表側及び裏側のいずれの面に荷重が加えられても静電容量を高精度に測定することができる。従って当該静電容量型センサ1は、センサシート2の表面及び裏面のいずれを利用面としても使用することができる。
[他の実施形態]
なお、本発明は上記実施態様の他、種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。
つまり、上記実施形態における表側導電部01A〜16A及び裏側導電部01B〜16Bの配置数を16個としているが、この配置数は特に限定されない。
また、上記実施形態では、表側導電部及び裏側導電部と測定手段6及びグランド端子12との接続を切り替える表側切替回路10及び裏側切替回路11をセンサシート2が備える構成としたが、表側切替回路10及び裏側切替回路11をセンサシート2に設けるのではなく、表側導電部及び裏側導電部と測定手段6及びグランド端子12との接続を切り替える機能を有する回路をセンサシート2とは別途設ける構成としてもよい。また、上記実施形態では、センサシート2が表側導電部及び裏側導電部に加え表側配線及び裏側配線を備えているが、表側導電部及び裏側導電部が測定手段6に接続できれば、これらの配線は省略できる。
また、図6に示すように、測定手段6が、電位が測定手段6のグランドレベルであるグランド端子を有し、制御手段により、選択された一つの表側導電部04A及び選択された一つの裏側導電部06Bを一定の電圧が印加されるように測定手段6の測定端子に接続するとともに、残りの表側導電部03A、05A及び/又は裏側導電部05B、07Bを測定手段6のグランド端子に接続する構成としてもよい。このように各導電部を接続することでも、測定対象外の表側導電部03A、05A及び/又は裏側導電部05B、07Bの電位を測定手段6のグランドレベルと等しくし、測定対象の検出部C0406へのクロストークによる静電容量の上乗せを低減できるため、測定手段6により検出部C0406の静電容量を高精度に測定できる。なお、測定対象外の導電部の電位が測定手段6のグランドレベルと等しくなれば上記効果が奏されるため、図6に示す構成の場合、測定手段6は接地されていなくてもよい。
また、上記実施形態では、誘電層3の表面側及び裏面側に表側保護層8及び裏側保護層9が積層される構成について説明したが、表側保護層8及び裏側保護層9が省略された構成としてもよい。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<誘電層の作製>
水添水酸基末端液状ポリオレフィンポリオール(出光興産株式会社のエポール)100質量部、アルキル置換ジフェニルエーテルを主成分とした高温用潤滑油(株式会社MORESCOのモレスコハイルーブ「LB−100」)100質量部を計量し、自転公転ミキサー(株式会社シンキー製)を用いて2000rpmで3分間撹拌混合した。次に、得られた混合物に触媒(Momentive社のFomrez catalyst「UL−28」)0.07質量部を添加し、自転公転ミキサーで1.5分撹拌した。その後、イソホロンジイソシアネート(住化バイエルウレタン株式会社のデスモジュールI)11質量部を添加し、自転公転ミキサーで3分間撹拌し、1.5分間脱泡した後、図5に示した成膜装置に注入し、保護フィルムでサンドイッチ状にして搬送しつつ、炉内温度110℃、炉内時間30分間の条件で架橋硬化させ、保護フィルム付きの所定厚みのロール巻シートを得た。その後、80℃に調節した炉で12時間架橋反応させて、オレフィン系ウレタンゴムを含むエラストマー組成物からなる層厚50μmの誘電層を作製した。
上記作製した誘電層について、破断時伸び(%)、体積抵抗率(Ωcm)及び比誘電率を測定したところ、破断時伸び(%)は218%、比誘電率は2.85であった。ここで、破断時伸びは、JIS−K6251に準拠して測定した。比誘電率は、20mmΦの電極でシート状の測定試料(誘電層)を挟み、LCRハイテスタで静電容量を測定し、電極面積と測定試料の厚さから算出した。
<電極材料の作製>
(1)単層カーボンナノチューブ分散液
カーボンナノチューブとして、スーパーグロースCNT(以下、「SGCNT」とも表記する)(単層カーボンナノチューブ、平均繊維径約3nm、成長長さ500μm〜700μm、アスペクト比約100,000、炭素純度99.9%、産業技術総合研究所提供)50mgをメチルイソブチルケトン24.95gに添加し、ジェットミル(株式会社常光のナノジェットパル「JN10−SP003」)を用いて湿式分散処理を施し、さらにメチルイソブチルケトン25gを添加し、濃度0.1質量%の単層カーボンナノチューブ分散液を得た。なお、カーボンナノチューブの成長長さとは、カーボンナノチューブを作製する際に成長基板上で成長したフォレストの高さをいい、実質的にカーボンナノチューブの平均繊維長に相当する。
(2)多層カーボンナノチューブ分散液
多層カーボンナノチューブとして、ナノシル社の「NC7000」(平均繊維径9.5nm、平均繊維長1.5μm、アスペクト比158、炭素純度90%)50mgをメチルイソブチルケトン24.95gに添加し、ジェットミル(株式会社常光のナノジェットパル「JN10−SP003」)を用いて湿式分散処理を施し、さらにメチルイソブチルケトン25gを添加し、濃度0.1質量%の多層カーボンナノチューブ分散液を得た。
(3)カーボンナノチューブ混合分散液
上記単層カーボンナノチューブ分散液と上記多層カーボンナノチューブ分散液とを30:70(質量比)で混合し、単層カーボンナノチューブ及び多層カーボンナノチューブの混合物からなるカーボンナノチューブ塗布液(電極層形成用塗布液)を得た。
<保護層の作製>
上述した誘電層の作製と同様の方法を用いて、オレフィン系ウレタンゴムを含むエラストマー組成物からなる層厚50μmの保護層を作製した。
<プライマー溶液の調製>
誘電層用の原料組成物と同配合の組成物をトルエンに溶解した0.1重量%トルエン溶液を調製し、これをプライマー溶液とした。
<センサシートの作製>
上記作製した誘電層の裏面側に、上記得られた電極層形成用塗布液をエアブラシでストライプ状に塗布して乾燥させた。帯状の裏側導電部は、平均厚みが約1μm、幅が10mm、長さが137mmのものを、5mm間隔で8本形成した。次に、誘電層裏面の裏側電極層を形成した上からプライマー溶液8gをエアブラシで塗布し、100℃で30分間乾燥させた。その後、誘電層裏面にプライマー溶液を塗布した上に、上記保護層を金属製ハンドローラを用いてラミネートし、誘電層との間で裏側電極層を挟むように裏側保護層を積層した。次に、上記誘電層の表面側に上記電極層形成用塗布液を裏側導電部と直交するようにストライプ状に塗布し、同じ要領で表側電極層を形成させた。誘電層表面の表側電極層を形成した上からプライマー溶液8gをエアブラシで塗布し、100℃で30分間乾燥させた。さらにこのプライマー溶液を塗布した上に、表側保護層を同じ要領でラミネートした。
続いて、帯状の各導電部の両端を0.1mm厚の銅箔で補強し、外部配線のリード線をネジ止めして接続した。このセンサシートは、1つの検出部(平面視で表側導電部及び裏側導電部が交差するマトリクス状に分布する各部分)の静電容量が50pFであった。
<評価用静電容量型センサの構成>
評価に用いた静電容量型センサの配線の模式図は、図3及び図4に示す通りである。ただし、図3及び図4では、接続構成を分かりやすく説明するために、表側導電部及び裏側導電部をそれぞれ3本のみ記載している。実際には、表側導電部及び裏側導電部は8本ずつあり、図3及び図4では、一部の表側導電部及び裏側導電部の図示を省略している。
静電容量を測定する測定手段6として、LCRメータ(日置電機株式会社のLCRハイテスタ「3522−50」)を用いた。測定プローブには型番9140の4端子プローブを用いた。作製した上記センサシートの表側導電部及び裏側導電部の各端部に設けた接続部にリード線を接続し、LCRメータを接続した評価用の端子台へ接続した。各導電部に対して2個ずつのDIPスイッチを評価用の端子台に設けて、各導電部について、LCRメータの測定端子への接続のオン/オフと、LCRメータとは別に設けられたグランド端子への接続のオン/オフとを切り替えられる構成とした。
[実施例1]
LCRメータの設定は出力電圧を1V、測定時間をSLOW(88ms)、平均回数を8回とし、周波数を5kHzとして、表側導電部と裏側導電部とが平面視で交差する領域に形成される全ての検出部(64箇所)についてそれぞれの静電容量を測定した。図3に示すように、LCRメータが一つの検出部(検出部C0406)の静電容量を測定するときは、その検出部に対応する一つの表側導電部(表側導電部04A)及び一つの裏側導電部(裏側導電部06B)をLCRメータの測定端子に接続させ、それ以外の全ての表側導電部及び裏側導電部をグランド端子に接続させるようにDIPスイッチを切り替えて、その検出部の静電容量を測定した。全ての検出部について、表側導電部及び裏側導電部を同様の接続となるようにDIPスイッチを切り替えながら、静電容量を測定した。
[実施例2]
LCRメータの設定は出力電圧を1V、測定時間をSLOW(88ms)、平均回数を8回とし、周波数を5kHzとして、表側導電部と裏側導電部とが平面視で交差する領域に形成される全ての検出部(64箇所)についてそれぞれの静電容量を測定した。図4に示すように、LCRメータが一つの検出部(検出部C0406)の静電容量を測定するときは、その検出部に対応する裏側導電部(裏側導電部06B)をLCRメータの測定端子に接続させ、それ以外の全ての裏側導電部をグランド端子に接続させ、その検出部に対応する一つの表側導電部(表側導電部04A)をLCRメータのもう一方の測定端子に接続させ、それ以外の全ての表側導電部をグランド端子に接続しないで開放状態にして、検出対象の検出部の静電容量を測定した。全ての検出部について、表側帯状電極層及び裏側帯状電極層をそれぞれ同様の接続となるようにDIPスイッチを切り替えながら、静電容量を測定した。
[比較例1]
実施例1と同様に、LCRメータの出力電圧を1V、測定時間をSLOW(88ms)、平均回数を8回とし、周波数を5kHzとして、表側導電部と裏側導電部とが平面視で交差する領域に形成される全ての検出部(64箇所)についてそれぞれの静電容量を測定した。図7に、比較例1における静電容量型センサの配線の模式図を示す。図7に示すように、LCRメータが一つの検出部(検出部C0406)の静電容量を測定するときは、その検出部に対応する一つの表側導電部(表側導電部04A)及び一つの裏側導電部(裏側導電部06B)をLCRメータの測定端子に接続させ、それ以外の全ての表側導電部及び裏側導電部を開放するようにDIPスイッチを切り替えて、その検出部の静電容量を測定した。すなわち、測定対象の表側導電部及び裏側導電部以外の全ての表側導電部及び裏側導電部は、グランド端子に接続しないで開放した状態にして、測定対象の検出部の静電容量を測定した。全ての検出部について、表側導電部及び裏側導電部を同様の接続となるようにDIPスイッチを切り替えながら、静電容量を測定した。
<評価>
実施例1、実施例2及び比較例1に示した計測方法を用いて、以下の評価を実施した。
[静電容量の測定]
上記作製した平板状のセンサシートを用いた実施例1、実施例2及び比較例1の静電容量型センサに対し、センサシートを変形させずにLCRメータの測定周波数を5kHzとして静電容量の測定を行った。実施例1、実施例2及び比較例1におけるそれぞれの静電容量の測定結果を、図8(a)、図8(b)及び図8(c)に示す。
図8(a)、図8(b)及び図8(c)のXは、図3、図4及び図7のLCRメータの出力端子Xに接続される表側導電部の平面視における位置を示し、図8(a)、図8(b)及び図8(c)のYは、LCRメータの出力端子Yに接続される裏側導電部の平面視における位置を示している。すなわち、図8(a)及び図8(b)のXとYとの交点が、平面視でマトリクス状に形成されている検出部の位置を示している。そして、XY平面に垂直なZ軸方向に、各検出部における静電容量を示している。つまり、図8(a)、図8(b)及び図8(c)では、センサシート上の静電容量の分布を3D表示で示している。
図8(c)に示すように、比較例1の場合には、全ての検出部において、上記式(1)によって計算される理論値である50pFよりも大きい約221pFの静電容量が測定されている。これは、クロストークによる静電容量が上乗せされて測定されたためである。一方、実施例2の場合には、図8(b)に示すように、全ての検出部において理論値より少し高い55pFの静電容量が測定された。これにより、測定中以外の表側導電部をグランドに接続しなくても、測定中以外の裏側導電部をグランドに接続することにより、クロストーク静電容量を概ね除去でき、概ね正確な静電容量を測定できることが確認できた。また、実施例1の場合には、図8(a)に示すように、全ての検出部において理論値に近い約50pFの静電容量が測定された。これにより、測定中以外の導電部をグランドに接続することにより、クロストーク静電容量をほぼ完全に除去でき、正確な静電容量を測定できることが確認できた。
[測定周波数による静電容量の変化の測定]
次に、LCRメータの測定周波数を変化させて、実施例1、実施例2及び比較例1の静電容量型センサを用いて検出部の静電容量の測定を行った。実施例1、実施例2及び比較例1におけるそれぞれの測定周波数と静電容量との関係を、図9(a)、図9(b)及び図9(c)に示す。
図9(a)、図9(b)及び図9(c)の横軸は、LCRメータの測定周波数を示し、縦軸は、図8(a)、図8(b)及び図8(c)の座標(X8、Y8)の位置にある検出部の静電容量を示している。LCRメータの測定周波数を100Hzから100kHzまで段階的に変化させて、それぞれの測定周波数を用いて実施例1、実施例2及び比較例1で測定した検出部の静電容量を、それぞれ図9(a)、図9(b)及び図9(c)にプロットした。
図9(a)及び図9(b)に示すように、実施例1及び実施例2の場合には、測定周波数の変化による測定される静電容量の変化は小さく、理論値に近い測定周波数で高精度に静電容量を測定できることがわかる。図9(c)に示すように、比較例1の場合には、測定周波数が大きくなるとともに測定される静電容量が小さくなるものの、クロストークによる静電容量の上乗せが大きく、測定周波数が大きくなっても依然として理論値よりも大きな静電容量が測定されることがわかる。
[変形させたセンサシートによる静電容量の測定]
上記作製した平板状のセンサシートを用いた実施例1、実施例2及び比較例1の静電容量型センサに対し、センサシートの一部を変形させてLCRメータの測定周波数を5kHzとして静電容量の測定を行った。具体的には、平板状のセンサシートのうち、図8(a)における座標(X3、Y3)の位置及び座標(X6、Y7)の位置に相当する部分を、シリコン製のゴム栓の先端を丸く加工したものを用いて、センサシートが変形して突出した頂部と変形していない平面部との距離が12.7mmとなるように沈み込ませた。この変形させたセンサシートを上方及び側方から撮影した写真を、図10(a)及び図10(b)に示す。また、実施例1、実施例2及び比較例1におけるそれぞれの静電容量の測定結果を、図11(a)、図11(b)及び図11(c)に示す。また、それぞれの静電容量変化ΔCを、図12(a)、図12(b)及び図12(c)に示す。
図11(a)、図11(b)及び図11(c)は、図8(a)、図8(b)及び図8(c)と同様のグラフ上に、上記変形させたセンサシートを用いて測定した各検出部における静電容量を示している。
図11(c)では、センサシートの変形による静電容量の増加が確認しにくいのに対し、図11(a)及び図11(b)では、センサシートの変形による静電容量の増加を明確に確認できるようになったことがわかる。これは、比較例1の場合には、クロストークによる静電容量の上乗せの影響で無変形状態での静電容量が221pFに増加しているために、変形による静電容量の変化量(最大値でおよそ12pF)が上乗せされても、無変形状態の静電容量に対する割合が小さいので、図11(c)に示したように静電容量の増加が確認しにくい。この結果より、実施例1及び実施例2の静電容量型センサを用いることにより、感度が向上することを確認できた。
図12は、図8と同様のグラフで、XY平面に垂直なZ軸方向に、各検出部について上記変形させたセンサシートで測定した静電容量の増加分ΔC(変形したセンサシートで測定した静電容量から変形していない平板状のセンサシートで測定した静電容量を減じた値)を示している。つまり、図12(a)、図12(b)及び図12(c)では、センサシート上の静電容量変化の分布を3D表示で示している。
図12(b)では、センサシートの変形させた部分以外にも、静電容量変化量ΔCの起伏があることがわかる。一方、図12(a)及び図12(b)では、センサシートの変形させた部分以外に起伏がないことがわかる。これにより、実施例1及び実施例2の静電容量型センサを用いることにより、精度が向上することを確認できた。
図12より、比較例1の場合には、実施例1及び2の場合に比べて静電容量変化量ΔCが大きいことがわかる。比較例1において静電容量変化量ΔCが大きい理由は、変形されていない位置の検出部についてみると、上記式(1)から計算される本来の静電容量は増加しないが、センサシートの変形によってその静電容量に上乗せされるクロストーク静電容量が増加することで測定される静電容量が増加するためであり、その結果、静電容量変化量ΔCが増加している。例えば変形が加えられていない検出部C0307についてみると、座標(X3、Y3)及び座標(X6、Y7)の部分の変形に伴い、検出部C0303、検出部C0607及びこれらの近隣の検出部の静電容量が増加し、この静電容量の増加分がクロストークにより検出部C0307にも影響し、検出部C0307の静電容量も増加していると考えられる。
さらに、上述した静電容量の測定結果に基づいて、クロストークにより上乗せされる静電容量について詳細に説明する。
センサシートが変形していない状態で、検出部C0307の静電容量を測定する場合について説明する。静電容量を測定するための測定信号が表側導電部03Aから入力されると、測定信号が検出部C0307を通り、裏側導電部07Bを通って、測定手段6と接続されることで、検出部C0307の静電容量を測定することができるが、他にもこの測定信号の通ることができるルートがある。そのルートの1つに、例えば表側導電部03Aから測定信号が入力され、検出部C301を通り、裏側導電部01Bを通り、検出部C0101を通り、表側導電部01Aを通り、検出部C0107を通り、裏側導電部07Bを通り、測定手段6と接続されるルートがある。この場合、検出部C0307の本来の静電容量50pFに加えて、検出部C0301、C0101及びC0107を直列接続した合成の静電容量(ここでは約3.37pF)が上乗せされる。
同様に、検出部C0303、C0103及びC0107を直列接続した合成静電容量(3.37pF)も、検出部C0307の本来の静電容量50pFに上乗せされる。また同様に、検出部C0303、C0603及びC0607を直列接続した合成静電容量(3.37pF)も上乗せされる。このように測定中の検出部C0307以外の3箇所の検出部を直列に通過する考え方の場合、49通りの通過ルートがあり、165pF(3.37pF×49)が検出部C0307の本来の静電容量50pFに上乗せされ、215pFとして測定されることになる。実際にセンサシートを作製して測定した結果は、検出部64箇所の平均値で221pFであった。
また、上記センサシートは表側導電部及び裏側導電部を8本×8本としたが、表側導電部及び裏側導電部を5本×5本として上記センサシートと同じ条件で作製したセンサシートにおいては、測定経路以外のルートの静電容量は5.6pF×16通りとなり、本来の静電容量50pFにクロストーク静電容量90pFが上乗せされ140pFとなる。実際に作製して測定した結果は139pFであった。
このことから、ストライプ状の導電部の本数が多いほど、クロストークにより上乗せされる静電容量の割合が大きくなるため、より導電部の本数の多い大型のセンサシートを製造する際に、本発明の効果が顕著に発揮されると言える。
また比較例1の場合には、図12(c)より、変形が加えられた位置の検出部と、表側導電部及び裏側導電部を共有する検出部(座標(X3、Y3)及び座標(X6、Y7)の検出部と同一のX及びYライン上にある検出部)において、これらの検出部では、無変形状態にもかかわらず静電容量の増加量ΔCが、その他の箇所に比べて大きくなっていることがわかる。
これは、次のような理由によるものと考えられる。上述と同様に、検出部C0307の静電容量を測定する場合について説明する。変形位置にある検出部C0303、C0607と表側導電部又は裏側導電部を共有する検出部においては、上記の49通りのルート中で変形位置の検出部C0303、C0607を通過するルートの割合が多くなり、変形位置の検出部C0303、C0607と表側導電部又は裏側導電部を共有しないその他の箇所の検出部に比べて、クロストーク静電容量の上乗せ量が大きくなると考えられる。つまり、検出部C0307の静電容量を測定する際にクロストークの影響を与える通過ルート49通りの中で、センサシートの変形により静電容量が増加している検出部C0303、C0607及びその周辺の検出部を通るルートでは、そのルートにおける検出部の直列接続による合成の静電容量が、上記のセンサシートが変形していない状態における3.37pFより増加する。
変形の加えられていない位置にある検出部C0307では、変形位置にある検出部C0303を通るルートが7通り、同様に変形位置にある検出部C0607を通るルートが7通りであり計14ルートである。そのうち1ルートは検出部C0307及び検出部C0607の両方を通過する。全49ルートのうち、変形位置にある検出部を通るルートが多いため、この検出部C0307は、クロストークによる静電容量の上乗せが他の検出部に比較して大きい。
同様に、変形の加えられていない位置にある検出部C0306では、変形位置にある検出部C0303を通るルートが7通り、同じく変形位置にある検出部C0607を通るルートが1通りであり計8ルートである。同様に、変形の加えられていない位置にある検出部C0206では、変形が加えられた検出部C0303を通るルートが1通り、同じく変形が加えられた検出部C0607を通るルートが1通りで計2ルートであり、この場合のクロストークによる静電容量の上乗せは小さい。
検出部C0307は、対応する表側導電部03A及び裏側導電部07Bが、両方とも変形領域にある検出部C0303、C0607と共有される導電部である。検出部C0306は、対応する表側導電部03A及び裏側導電部06Bのうち、表側導電部03Aのみが変形領域にある検出部C0303と共有される導電部である。検出部C0206は、対応する表側導電部02A及び裏側導電部06Bのいずれも、変形領域にある検出部とは共有されない導電部である。そのため、上述のように、センサシートの変形によるクロストーク容量の上乗せは、検出部C0307が最も大きく、検出部C0306、検出部C0206の順に小さくなる。
本発明の静電容量型センサ、及び伸縮変形歪み量、伸縮変形歪み分布又は面圧分布の計測方法は、クロストーク静電容量を除去して高精度に静電容量を測定できるので、面圧分布、伸縮変形歪み量、伸縮変形歪み分布等を高精度に計測できる。本発明の静電容量型センサは、例えば柔軟物の形状をトレースするためのセンサや、人など測定対象物の動きを計測するセンサ等として使用することができる。より具体的には、例えば足裏による靴底インナーの変形や、臀部による座面クッションの変形等を測定することができる。また、本発明の静電容量型センサは、例えばタッチパネル用の入力インターフェースとしても使用することができる。なお、本発明の静電容量型センサは、既存のセンサである光学式のモーションキャプチャーでは測定できない光の遮蔽部位での測定にも利用することが可能である。
1 静電容量型センサ
2 センサシート
3 誘電層
4 表側電極層
5 裏側電極層
6 測定手段
7 制御手段
8 表側保護層
9 裏側保護層
10 表側切替回路
11 裏側切替回路
12 GND端子
01A1〜16A1 表側接続部
01A〜16A 表側導電部
01a〜16a 表側配線
01B1〜16B1 裏側接続部
01B〜16B 裏側導電部
01b〜16b 裏側配線
C0101〜C1616 検出部
03A2〜05A2、05B2〜07B2、03A3〜05A3 スイッチ
13、13′ ロール
14 原料組成物
15 加熱装置
16 誘電層
17 保護フィルム

Claims (8)

  1. エラストマー組成物からなる誘電層と、
    上記誘電層の表面側に積層され、ストライプ状に配設される複数の表側導電部からなる表側電極層と、
    上記誘電層の裏面側に積層され、平面視で上記複数の表側導電部に略直交するようにストライプ状に配設される複数の裏側導電部からなる裏側電極層と、
    平面視で上記複数の表側導電部と複数の裏側導電部との各交差領域に形成される検出部の静電容量を測定する測定手段とを備えた静電容量型センサであって、
    上記各導電部がカーボンナノチューブを含み、
    選択された一つの上記表側導電部及び選択された一つの上記裏側導電部を一定の電圧が印加されるように上記測定手段に接続するとともに、残りの表側導電部及び/又は残りの裏側導電部をグランド接続する制御手段を備えることを特徴とする静電容量型センサ。
  2. 上記カーボンナノチューブの平均繊維径が、0.5nm以上30nm以下である請求項1に記載の静電容量型センサ。
  3. 上記各導電部が、全固形成分に対して平均繊維長100μm以上700μm以下のカーボンナノチューブを30質量%以上含んでいる請求項1又は請求項2に記載の静電容量型センサ。
  4. 上記表側導電部及び裏側導電部の平均厚みが、0.1μm以上10μm以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の静電容量型センサ。
  5. 上記エラストマー組成物が主成分としてウレタンゴムを含む請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の静電容量型センサ。
  6. 上記誘電層の1軸方向の伸長率が30%以上である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の静電容量型センサ。
  7. 上記測定手段の測定結果に基いて、伸縮変形歪み量、伸縮変形歪み分布又は面圧分布を計測する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の静電容量型センサ。
  8. エラストマー組成物からなる誘電層と、上記誘電層の表面側に積層され、ストライプ状に配設される複数の表側導電部からなる表側電極層と、上記誘電層の裏面側に積層され、平面視で上記複数の表側導電部に略直交するようにストライプ状に配設される複数の裏側導電部からなる裏側電極層とを有し、平面視で上記複数の表側導電部と複数の裏側導電部との各交差領域に検出部が形成されたセンサシートを用いた伸縮変形歪み量、伸縮変形歪み分布又は面圧分布の計測方法であって、
    上記各導電部がカーボンナノチューブを含み、
    選択された一つの上記表側導電部及び選択された一つの上記裏側導電部を一定の電圧が印加されるように測定手段に接続するとともに、残りの表側導電部及び/又は残りの裏側導電部をグランド接続してその交差領域の検出部の静電容量を測定する工程を有し、
    全ての表側導電部及び裏側導電部の組み合わせについて順次検出部を切り替えて上記測定工程を繰り返すことを特徴とする伸縮変形歪み量、伸縮変形歪み分布又は面圧分布の計測方法。
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