JP2015057272A - 高分子凝集剤 - Google Patents

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Shimpei Hasegawa
真平 長谷川
松本 誠
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Abstract

【課題】 難脱水性の汚泥または廃水の処理時における強固なフロックの形成、脱水ケーキの低含水率化、および低添加量化、水への溶解性等に優れる高分子凝集剤、並びに該高分子凝集剤を用いた汚泥および廃水の処理方法を提供する。
【解決手段】 下記一般式(1)で表される水溶性カチオンモノマーを含有する水溶性不飽和モノマーを重合させて得られる水溶性(共)重合体と、SP(溶解度パラメーター)値が7.0〜9.5(cal/cm31/2である非水溶性溶剤とを含有してなり、該水溶性(共)重合体の重量に基づく該非水溶性溶媒の含有量が0.5〜2.0重量%である高分子凝集剤。
CH2=C(CH3)−CO−X−Q−N+123・Z- (1)
【選択図】 なし

Description

本発明は高分子凝集剤に関する。さらに詳しくは、下水または工場廃水等の汚泥または廃水処理に用いることができる脱水性に優れる高分子凝集剤、および高分子凝集剤を用いた汚泥または廃水の処理方法に関する。
従来、下水等の汚泥処理、廃水処理、あるいは土木現場での泥水処理、浚渫埋め立て時の泥水の沈降分離促進用等の処理剤として、とくに脱水に対しては、ポリ(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリルアミド−アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドコポリマー、ポリアミジン等のカチオン性高分子凝集剤、アクリルアミド−アクリル酸−アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドコポリマー等の両性高分子凝集剤といった水溶性高分子からなる高分子凝集剤が広く使用されている。近年、発生する汚泥量等の増加から、脱水処理速度向上のニーズが高まってきていることや、有機性汚泥の性状の難脱水化に伴う、脱水ケーキの焼却処分費用の増大、並びに脱水ケーキをそのまま埋め立て処分する際の埋め立て地の逼迫した状況等から、より強固で、粗大なフロックを形成させ、脱水ケーキの含水率を大幅に低減することができる高分子凝集剤が強く望まれている。
最近では、汚泥の脱水性改善のために無機凝集剤と両性高分子凝集剤を併用する方法(例えば特許文献1参照)が提案され、広く用いられるようになっている。但し該方法は、カチオン性高分子凝集剤を用いる方法と比較すると薬剤コストが高く、無機凝集剤の使用で発生する汚泥ケーキの増大や、焼却後の灰の増大などの問題がある。無機凝集剤を使用しない方法として、優れた凝集性能と脱水ケーキの含水率低減を目的に、一級アミン基を含有することを特徴とするエマルション型凝集剤(例えば特許文献2参照)が提案されている。しかしながら、特許文献2記載の該方法は、粉末状のカチオン性高分子凝集剤を用いる方法と比較すると、エマルジョン状態の経日安定性が悪く実用性に乏しく、また、有機溶剤や水、各種の添加剤を多く含むため凝集剤の有効成分量が少なく、エマルジョン型凝集剤の必要な添加量が多いといった問題がある。
より強固で、粗大なフロックを形成させるために、架橋型ポリマー(例えば特許文献3、4参照)が提案されている。しかしながら、特許文献3記載の高分子凝集剤は、架橋剤の反応性が低く、分岐構造が多いためケーキ脱水時の圧力に対しフロックの強度が不十分であるという問題があった。また、特許文献4記載の高分子凝集剤は、架橋反応が不均一なため、架橋度の高い部分は水への溶解性が悪くなるという問題もあり改善が望まれていた。
特開平2−180700号公報 特開2002−166104号公報 特開2004−255378号公報 特開2001−129311号公報
現状用いられている高分子凝集剤は、まだ前記の課題を十分に解決できるレベルには到達しておらず、また上記開示されている高分子凝集剤はフロック強度や脱水ケーキ含水率の観点から、改良されているものの難脱水性の汚泥に対してはまだ不十分であった。
本発明の目的は、難脱水性の有機性汚泥等の脱水処理において、水への溶解性を維持しつつ、少ない添加量で、フロックの強度に優れ、脱水ケーキの含水率を低減できる高分子凝集剤を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される水溶性カチオンモノマー(a1)を含有する水溶性不飽和モノマー(a)を重合させて得られる水溶性(共)重合体(A)と、SP(溶解度パラメーター)値が7.0〜9.5(cal/cm31/2である非水溶性溶剤(b)とを含有してなり、該(A)の重量に基づく該(b)の含有量が0.5〜2.0重量%である高分子凝集剤(P)である。

CH2=C(CH3)−CO−X−Q−N+123・Z- (1)

[式中、R1〜R3はH;XはOまたはNH;Qは炭素数1〜4のアルキレン基;Z-はプロトン酸のH+を除く残基を表す。]
本発明の高分子凝集剤は、難脱水性の有機性汚泥の脱水処理において下記の効果を奏する。
(1)水への溶解性に優れるため、凝集処理の安定性を高めることができる。
(2)低添加量で、強固なフロックを形成でき、形成されたフロックは破壊、再分散されにくいため凝集処理の安定性や処理速度を著しく高めることができる。
(3)フロック強度が強く、脱水ケーキの含水率が低いことから、発生する廃棄物量および焼却処理コストを大幅に削減できる。
[水溶性カチオンモノマー(a1)]
本発明における水溶性カチオンモノマー(a1)は、下記一般式(1)で表される。本発明において水溶性とは、水に対する溶解度が1g以上/水100g(20℃)であることを意味する。

CH2=C(CH3)−CO−X−Q−N+123・Z- (1)
一般式(1)中、R1〜R3はH、XはOまたはNH、Qは炭素数(以下、Cと略記することがある。)1〜4のアルキレン基(メチレン、エチレンおよびプロピレン基等)を表す。アルキレン基のCが4を超えると水への溶解性が悪くなる。
-はプロトン酸のH+を除く残基を表す。プロトン酸とはプロトンを与える酸と定義されるもので、該プロトン酸としては、無機酸(塩酸、硫酸、リン酸、硝酸等)、および有機酸[スルホン酸(パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等)、カルボン酸(シュウ酸、 酢酸、マレイン酸等)、ホスホン酸(メチルホスホン酸、フェニルホスホン酸等)等]が挙げられる。これらのうち、凝集性能の観点から好ましいのは無機酸および有機酸のうちのスルホン酸、さらに好ましいのは塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、とくに好ましいのは硫酸、メタンスルホン酸である。
[水溶性不飽和モノマー(a)]
水溶性不飽和モノマー(a)には、前記一般式(1)で表される水溶性カチオンモノマー(a1)が含まれる。
(a1)としては、以下の塩[無機酸(塩酸、硫酸、リン酸、硝酸等)塩、有機酸[スルホン酸(パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等)、カルボン酸(シュウ酸、 酢酸、マレイン酸等)、ホスホン酸(メチルホスホン酸、フェニルホスホン酸等)等]、およびこれらの混合物等が挙げられる。
(a11)窒素原子含有メタアクリレートの塩
窒素原子含有メタアクリレートとしては、C5〜8のもの、例えばアミノメチルメタアクリレート、アミノエチルメタアクリレート、アミノプロピルメタアクリレート、アミノブチルメタアクリレート;
(a12)窒素原子含有メタアクリルアミドの塩
窒素原子含有メタアクリルアミドとしては、C5〜8のもの、例えばアミノメチルメタアクリルアミド、アミノエチルメタアクリルアミド、アミノプロピルメタアクリルアミド、アミノブチルメタアクリルアミド。
これらの(a11)、(a12)のうち、凝集性能および共重合性の観点から好ましいのは(a11)、さらに好ましいのはアミノエチルメタアクリレートおよびアミノプロピルメタアクリレートの塩、とくに好ましいのはアミノエチルメタアクリレートの塩である。さらに、これらの塩のうち好ましいのは塩酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩、さらに好ましいのは硫酸塩、メタンスルホン酸塩、とくに好ましいのは硫酸塩である。
水溶性不飽和モノマー(a)には、前記水溶性カチオンモノマー(a1)以外に、その他の水溶性不飽和モノマー(a2)を含有させることができる。
その他の水溶性不飽和モノマー(a2)としては、下記のカチオン性モノマー(a21)、ノニオン性モノマー(a22)、アニオン性モノマー(a23)、およびこれらの混合物が挙げられる。
(a21)カチオン性モノマー
下記のもの、これらの塩[例えば無機酸(塩酸、硫酸、リン酸および硝酸等)塩、メチルクロライド塩、ジメチル硫酸塩およびベンジルクロライド塩]、およびこれらの混合物が挙げられる。
(a211)前記(a1)以外の窒素原子含有(メタ)アクリレート
C5〜30のもの、例えばN,N−ジアルキル(アルキル基はC1〜2)アミノアルキル(C2〜3)(メタ)アクリレート[N,N−ジメチルアミノ−エチルおよび−プロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノ−エチルおよび−プロピル(メタ)アクリレート等]、複素環含有(メタ)アクリレート[N−モルホリノエチル(メタ)アクリレート等];なお、本発明において(メタ)アクリレートはメタアクリレートおよびアクリレートを意味する。
(a212)アミノ基を有するエチレン性不飽和化合物
C2〜21のもの、例えばビニルアミン、ビニルアニリン、(メタ)アリルアミン、p−アミノスチレン;
(a213)アミンイミド基を有する化合物
C6〜21のもの、例えば1,1,1−トリメチルアミン(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル−1−エチルアミン(メタ)アクリルイミド。
(a22)ノニオン性モノマー
下記のもの、およびこれらの混合物が挙げられる。
(a221)(メタ)アクリレート
C4以上かつ数平均分子量[以下Mnと略記。測定は後述の測定条件でのゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法による。]5,000以下のもの、例えば水酸基含有(メタ)アクリレート[ヒドロキシエチル、ジエチレングリコールモノ、ポリエチレングリコール(以下、PEGと略記。)(重合度3〜50)、モノおよび(ポリ)グリセロール(重合度1〜10)モノ(メタ)アクリレート]およびアクリル酸アルキル(アルキル基はC1〜2)エステル(C4〜5のもの、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル);
(a222)(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体
C3〜30のもの、例えば(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(C1〜3)(メタ)アクリルアミド[N−メチルおよびイソプロピル(メタ)アクリルアミド等]、N−アルキロール(メタ)アクリルアミド[N−メチロール(メタ)アクリルアミド等]、N−アルキロール(C1〜2)(メタ)アクリルアミドのアルキレンオキシド(C2〜3、以下AOと略記。)1〜8モル付加物;
(a223)前記(a1)、(a21)および(a222)以外の窒素原子含有エチレン性不飽和化合物
C3〜30のもの、例えばアクリロニトリル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルスクシンイミド、N−カルバゾールアルキル(C1〜3)(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルマレイミドのAO2〜10モル付加物。
(a23)アニオン性モノマー
下記のもの、これらの塩[アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム等、以下同じ。)塩、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム等、以下同じ。)塩、アンモニウム塩およびアミン(C1〜20)塩等]、およびこれらの混合物が挙げられる。
(a231)不飽和カルボン酸
C3〜30のもの、例えば(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)イタコン酸、ビニル安息香酸、アリル酢酸;
(a232)不飽和スルホン酸
脂肪族不飽和スルホン酸(C2〜20、例えばビニルスルホン酸)、芳香族不飽和スルホン酸(C6〜20、例えばスチレンスルホン酸)、スルホ基含有(メタ)アクリレート[C2〜24、例えばスルホアルキル(C2〜20)(メタ)アクリレート[2−(メタ)アクリロイルオキシエタン、−プロパンおよび−ブタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホン酸、4−(メタ)アクリロイルオキシブタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、p−(メタ)アクリロイルオキシメチルベンゼンスルホン酸等]、スルホ基含有(メタ)アクリルアミド[2−(メタ)アクリロイルアミノエタンスルホン酸、2−および3−(メタ)アクリロイルアミノプロパンスルホン酸、2−および4−(メタ)アクリロイルアミノブタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、p−(メタ)アクリロイルアミノメチルベンゼンスルホン酸等]、アルキル(C1〜20)(メタ)アリルスルホコハク酸エステル[メチル(メタ)アリルスルホコハク酸エステル等]等;
(a233)(メタ)アクリロイルポリオキシアルキレン(アルキレン基はC1〜3)硫酸エステル
(メタ)アクリロイルポリオキシエチレン[エチレンオキシド(以下EOと略記)付加モル数2〜50]硫酸エステル等。
本発明におけるMnおよび後述の重量平均分子量(Mw)のGPC測定は次の測定条件に従うものとする。
<GPC測定条件>
GPC機種:HLC−8120GPC、東ソー(株)製
カラム :TSKgel GMHXL2本+TSKgel
Multipore HXL−M、東ソー(株)製
溶媒 :テトラヒドロフラン(THF)
検出装置 :屈折率検出器
基準物質 :標準ポリスチレン(TSKstandard
POLYSTYRENE)、東ソー(株)製
上記の水溶性不飽和モノマー(a2)のうち、後述の水溶性(共)重合体(A)の共重合性の観点から好ましいのは、(a211)、(a22)、(a231)、(a232)、さらに好ましいのは(a211)、(a222)、(a223)、(a231)、および(a232)のうちスルホ基含有(メタ)アクリレート、スルホ基含有(メタ)アクリルアミド、最も好ましいのは(a211)のうちのN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの塩、(a222)のうちの(メタ)アクリルアミドである。また、これらの(a2)は、任意に混合して共重合させることができる。
また、本発明の効果を阻害しない範囲で必要により、上記(a1)、(a2)以外の公知の非水溶性モノマー(例えば、メタクリル酸2−エチルヘキシル)、公知の架橋性モノマー(例えば、エチレングリコールジメタクリレート)を用いてもよい。
水溶性(共)重合体(A)を構成するモノマーの合計モル数に基づく前記各モノマーの比率は、水溶性カチオンモノマー(a1)は、凝集性能の観点から好ましくは60〜100%、さらに好ましくは80〜100モル%である。
[水溶性(共)重合体(A)]
水溶性(共)重合体(A)は、前記水溶性カチオンモノマー(a1)を含有する不飽和モノマー(a)を重合させて得られる。
該(A)は、公知の水溶液重合(例えば、特開昭55−133413号公報に記載の断熱重合、薄膜重合、噴霧重合等)や、公知の逆相懸濁重合(例えば特公昭54−30710号公報、特開昭56−26909号公報、特開平1−5808号公報に記載のもの)を含む種々の重合法[光重合(例えば特公平6−804公報に記載のもの)、沈澱重合(例えば特開昭61−123610公報に記載のもの)、逆相乳化重合(例えば特開昭58−197398号に記載のもの)等]で、必要により後述のラジカル重合(d)を用いて製造することができる。
該重合法のうち、凝集性能の観点から好ましいのは逆相懸濁重合法である。
逆相懸濁重合としては、通常の方法であればよく、例えば次の方法が挙げられる。
すなわち、後述の非水溶性溶剤(b)および分散剤(c)、必要に応じて疎水性分散媒(f)を重合槽に仕込み、必要に応じて加熱しながら所定の重合温度(通常10〜95℃、好ましくは20〜90℃)に調整した後、槽内を不活性ガス(例えば窒素)で十分置換する。
一方、前記水溶性カチオンモノマー(a1)を含有する不飽和モノマー(a)、ラジカル重合開始剤(d)、および必要により連鎖移動剤(e)を加えたモノマー水溶液を調製し、不活性ガスで十分置換した後、撹拌下で重合槽内に投入し、懸濁させながら重合させる。
モノマー水溶液の投入方法としては、一括投入または滴下のいずれでもよい。また、その際モノマー水溶液としては、(a)、(d)、(e)の均一水溶液としてもよいし、別々の水溶液とした上で、滴下直前で混合してもよいし、別々に同時滴下してもよい。モノマー水溶液等を不活性ガスで置換する方法としては、モノマー水溶液等に不活性ガスをバブリング供給する方法、滴下ライン中でスタティックミキサー等により不活性ガスをブレンドする方法等が挙げられ、重合の均一性の観点からスタティックミキサーで不活性ガスをブレンドする方法が好ましい。
[非水溶性溶剤(b)]
本発明における非水溶性溶剤(b)は、SP(溶解度パラーメーター)値が7.0〜9.5(cal/cm31/2[以下において数値のみを示すことがある。]である溶剤である。該(b)のSP値が7未満では高分子凝集剤(P)の水溶解性が劣り、10を超えると高分子凝集剤(P)の強固なフロックを形成する凝集性能が劣る。なお、非水性溶剤とは水に対する溶解度(20℃)が1g未満/水100gである溶剤を意味する。
(b)としては、以下に示す炭化水素(b1)およびこれらの混合物が挙げられる。
(b1)炭化水素
脂肪族炭化水素(C5〜12、例えばn−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン)、脂環含有炭化水素(C5〜12、例えばシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン、デカリン)および芳香環含有炭化水素(C6〜12、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン)等。
これらの(b)うち、(P)の水溶解性および凝集性能の観点から、好ましいのは炭素数6〜10の炭化水素、さらに好ましいのはn−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、シクロヘキサン、とくに好ましいのは、シクロヘキサン、n−デカンである。
本発明の効果を阻害しない範囲で(b)と併用してもよい、前記疎水性分散媒(f)としては、前記(b)以外の(f1)〜(f3)およびこれらの混合物が挙げられる。
なお、ここにおいて疎水性分散媒とは、水に対する溶解度(20℃)が10g未満/水100gである分散媒を意味する。
(f1)ケトン
脂肪族(C3〜10、例えばメチル−n−プロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、脂環含有(C5〜10、例えばシクロペンタノン、シクロヘキサノン)および芳香環含有ケトン(C8〜13、例えばアセトフェノン、ベンゾフェノン)等]等;
(f2)エーテル
脂肪族(C4〜8、例えばジ−n−プロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル)、環状(C4〜18、例えばテトラヒドロピラン)および芳香環含有エーテル(C7〜12、例えばアニソール)等]等;
(f3)エステル
脂肪族(C3〜10、例えば酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル)、脂環含有(C7〜12、例えば酢酸シクロヘキシル、シクロヘキサンカルボン酸メチル)および芳香環含有エステル(C8〜16、例えば安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸n−ブチル、酢酸ベンジル、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジ−n−ブチルフタレート)等]等。
これらの(f)うち、製造時の取り扱い性、および重合時の温度制御の観点から、好ましいのは脂肪族および脂環含有エステル、さらに好ましいのは酢酸n−ブチル、酢酸イソブチルおよび酢酸シクロヘキシルである。
非水性溶媒(b)の使用量は、分散系の粘度の観点からモノマー水溶液の全重量に基づいて、好ましい下限は25%、さらに好ましくは40%、とくに好ましくは65%、分散系の安定性の観点から好ましい上限は1,000%、さらに好ましくは400%、とくに好ましくは200%である。
前記モノマー水溶液中のモノマー濃度は、下限は通常30%、工業上の観点から好ましくは40%、さらに好ましくは45%、とくに好ましくは50%、最も好ましくは55%、上限は通常90%、温度コントロールの観点から好ましくは85%、さらに好ましくは80%、とくに好ましくは78%、最も好ましくは75%である
また、逆相懸濁重合法で用いられる分散剤(c)としては、逆相懸濁粒子の分散安定性、および後述の(共)重合体(A)を含有してなる高分子凝集剤(P)の乾燥粒子の安息角、すなわち粉体流動性の制御の観点から好ましくはHLBが1〜8、さらに好ましくは1.5〜7.5、とくに好ましくは2〜7の、種々の油溶性物質が挙げられる。
ここにおいてHLBとは、Hydrophile−Lipophile Balanceを略記したもので、親水性と親油性とのつり合いを表し、下記の式から求められる[「界面活性剤の合成と其応用」、501頁、1957年槇書店刊;「界面活性剤入門」、212頁、2007年、三洋化成工業(株)刊、等参照]。

HLB=10×(無機性/有機性)

上記式中、( )内は有機化合物の無機性と有機性の比率を表し、該比率は上記文献に記載されている値から計算することができる。
(c)の融点は、高分子凝集剤(P)の粒子の安息角の観点から、好ましくは25〜100℃、さらに好ましくは30〜80℃、とくに好ましくは40〜70℃である。該融点はJIS K0064−1992,3.2融点試験方法に準じ、融点測定装置を用いて測定される。
(c)には、重量平均分子量[以下Mwと略記。測定はGPC法による。基準物質:ポリスチレン]が5,000未満(さらに好ましくは100〜3,000、とくに好ましくは100〜1,000)の低分子分散剤(c1)、およびMwが5,000以上(さらに好ましくは7,000〜1,000,000、とくに好ましくは10,000〜100,000)の高分子分散剤(c2)が含まれる。
(c1)には、多価(2〜8またはそれ以上)アルコールの脂肪酸(C10〜30)エステル〔ショ糖脂肪酸エステル(C22〜120のもの、例えばショ糖ジステアレート、ショ糖トリステアレート)、ソルビタン脂肪酸エステル(C16〜120のもの、例えばソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレート)、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル(C12〜120のもの、例えばグリセリンモノステアレート)、PEG脂肪酸エステル[Mw100〜5,000未満、例えばPEGのモノおよびジステアレート]等〕、アルキル(C1〜30)アリルエーテル等が含まれる。
上記(c1)のうち、製造時における重合装置への重合粒子付着防止および乾燥後の高分子凝集剤の乾燥粒子の安息角の観点から好ましいのは、多価アルコールの脂肪酸エステル、さらに好ましいのはショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、PEG脂肪酸エステルである。
(c2)には、アルケンとα,β−不飽和多価カルボン酸(無水物)との共重合体またはその誘導体[例えば1−オレフィン(C11〜100)/(無水)マレイン酸共重合体、およびそのアミン反応物]、長鎖アルキル基(C12〜50)含有(メタ)アクリレート(共)重合体、変性(アミノ、カルボキシ、エポキシ、ヒドロキシ、メルカプト、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド変性等)オルガノポリシロキサン、セルロースエーテル(例えばエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース)、(無水マレイン酸変性)エチレン・酢酸ビニル共重合体等が含まれる。
上記(無水マレイン酸変性)エチレン・酢酸ビニル共重合体には、エチレンと酢酸ビニルの共重合体、およびエチレン・酢酸ビニル共重合物を無水マレイン酸で変性したもの等が含まれる。
該エチレン・酢酸ビニル共重合体を無水マレイン酸で変性したものとしては、無水マレイン酸をエチレン・酢酸ビニル共重合体に付加したものが挙げられ、無水マレイン酸とエチレン・酢酸ビニル共重合体の重量比は、逆相懸濁粒子の分散安定性および反応物の分子量調整の観点から好ましくは2/98〜30/70、さらに好ましくは5/95〜20/80である。
上記(c2)のうち、製造時における重合装置への重合粒子付着防止および乾燥後の高分子凝集剤の乾燥粒子の安息角の観点から好ましいのは、アルケンとα,β−不飽和多価カルボン酸(無水物)との共重合体またはその誘導体、変性オルガノポリシロキサン、(無水マレイン酸変性)エチレン・酢酸ビニル共重合体である。
分散剤(c)の使用に当たっては、逆相懸濁粒子の分散安定性および乾燥粒子の安息角、粒度分布の観点から(c1)と(c2)を併用することが好ましく、併用する際の重量比[(c1)/(c2)]は、同様の観点から好ましくは70/30〜1/99、さらに好ましくは50/50〜5/95である。
(c1)と(c2)を併用する場合、粒度分布の観点から好ましい組合せは、多価アルコールの脂肪酸エステルと無水マレイン酸変性エチレン・酢酸ビニル共重合体の組合せ、さらに好ましいのはPEG脂肪酸エステルと無水マレイン酸変性エチレン・酢酸ビニル共重合体の組み合わせである。
(c)の使用量は、非水性溶媒(b)の重量に基づいて、通常20%以下、逆相懸濁粒子の安定性、乾燥後の高分子凝集剤の乾燥粒子の安息角および粒子径制御の観点から好ましくは0.01〜10%、さらに好ましくは0.05〜5%である。
ラジカル重合開始剤(d)としては、種々のもの、例えばアゾ化合物〔水溶性のもの[アゾビスアミジノプロパン(塩)、アゾビスシアノバレリン酸(塩)等]および油溶性のもの[アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等]〕および過酸化物〔水溶性のもの[過酢酸、t−ブチルパーオキサイド、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等]および油溶性のもの[ベンゾイルパーオキシド、クメンヒドロキシパーオキシド、ジクミルパーオキシド等]〕が挙げられる。
上記アゾ化合物における塩としては、無機酸(塩酸、硫酸、リン酸、硝酸等)塩およびアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム等)塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
上記過酸化物は還元剤と組み合わせてレドックス開始剤として用いてもよく、還元剤としては重亜硫酸塩(重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸アンモニウム等)、還元性金属塩[硫酸鉄(II)等]、遷移金属塩のアミン錯体[塩化コバルト(III)のペンタメチレンヘキサミン錯体、塩化銅(II)のジエチレントリアミン錯体等]、有機性還元剤〔アスコルビン酸、3級アミン[ジメチルアミノ安息香酸(塩)、ジメチルアミノエタノール等]等〕等が挙げられる。
また、アゾ化合物、過酸化物およびレドックス開始剤はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもいずれでもよい。
これらのうち、水溶性(共)重合体(A)の水不溶解分低減の観点からアゾ化合物が好ましい。
(d)は、通常重合系の水相に含有させるが、前記重合方法によっては水相(もしくは分散相)および/または油相(もしくは連続相)のいずれに存在させてもよい。
(d)の使用量は、最適な分子量を得るとの観点から、(A)を構成する不飽和モノマーの全重量に基づいて、好ましくは0.001〜1.0%、さらに好ましくは0.005〜0.5%、とくに好ましくは0.01〜0.2%、最も好ましくは0.02〜0.1%である。
重合に際しては、さらに連鎖移動剤(e)を使用することができる。(e)としては、0.01〜100、好ましくは0.05〜50、とくに好ましくは0.1〜10の連鎖移動定数を有するものが挙げられる。
連鎖移動定数の定義は、ジェー・ブランドルプおよびイー・エッチ・インマーグト編「ポリマー・ハンドブック(第4版)」、ジョン ウィレー アンド サンズ刊(J.Brandrup and E.H.Immergut編のPolymer Handbook fourth edition,JOHN WILEY & SONS)の97〜98頁に記載されている。
本発明における連鎖移動定数は、「高分子合成の実験法」[化学同人(株)、1993年刊行]等に記載されている一般的な方法を用いて測定される、60℃のアクリルアミドへの連鎖移動定数であるものとする。
該(e)としては、アンモニア、分子内に1個または2個以上のアミノ基を有する化合物[C1〜60のもの、例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、n−およびi−プロパノールアミン]、分子内に1個または2個以上のチオール基を有する化合物(後述)および(次)亜リン酸化合物〔亜リン酸、次亜リン酸、およびこれらの塩[アルカリ金属(Na、K等)塩等]、並びにこれらの誘導体等〕等が挙げられる。これらのうち、分子量制御の観点から好ましいのは分子内に1個または2個以上のチオール基を有する化合物および(次)亜リン酸化合物である。
分子内に1個または2個以上のチオール基を有する化合物としては、以下のもの、これらの塩[アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン(C1〜20のもの、例えばメチルアミン、エタノールアミン)塩、無機酸(塩酸、硫酸、リン酸、硝酸等)塩等]、およびこれらの混合物が挙げられる。
(1)1価チオール
脂肪族チオール(C1〜20のもの、例えばメタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、n−オクタンチオール、n−ドデカンチオール、ヘキサデカンチオール、n−オクタデカンチオール、2−メルカプトエタノール、メルカプト酢酸、3−メルカプトプロピオン酸、1−チオグリセロール、チオマレイン酸、メルカプトコハク酸、システイン、システアミン)、脂環含有チオール(C5〜20のもの、例えばシクロペンタンチオール、シクロヘキサンチオール)、芳香族チオール(C6〜12のもの、例えばチオフェノール、チオサリチル酸、チオクレゾール、チオキシレノール、チオナフトール)および芳香脂肪族チオール(C7〜20のもの、例えばα−トルエンチオール)が挙げられる。
(2)多価チオール
ジチオール[脂肪族ジチオール(C2〜40のもの、例えばエタンジチオール、1,2−および1,3−プロパンジチオール、1,3−および1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、ネオペンタンジチオール)、脂環式ジチオール(C5〜20のもの、例えばシクロペンタンジチオール、シクロヘキサンジチオール)、芳香族ジチオール(C6〜16のもの、例えばベンゼンジチオール、ビフェニルジチオール)および芳香脂肪族ジチオール(C8〜20のもの、例えばキシレンジチオール)が挙げられる。
また、上記(e)のうち、粉末状有機凝結剤(P)の水不溶解分低減の観点から水溶性の高いものが好ましく、(e)の水/n−デカン分配係数は、好ましくは10/90〜100/0、さらに好ましくは20/80〜100/0、とくに好ましくは50/50〜100/0である。ここにおける水/n−デカン分配係数は、日本工業規格(JIS)に規定されている1−オクタノール/水分配係数(JIS Z7260−107)に準じた測定方法で、1−オクタノールを、n−デカンに代えることで測定することができる。
(e)の使用量は(A)を構成する不飽和モノマーの全重量に基づいて、粉末状有機凝結剤(P)の水不溶解分低減および分子量制御の観点から、好ましくは0.0001〜5%、さらに好ましくは0.001〜3%、とくに好ましくは0.01〜2%、最も好ましくは0.05〜1%である。
逆相懸濁重合における重合温度は、下限は通常10℃、重合速度の観点から好ましくは20℃、より好ましくは30℃、とくに好ましくは40℃、最も好ましくは50℃、上限は通常95℃、ポリマーの熱劣化防止の観点から好ましくは90℃、さらに好ましくは80℃、とくに好ましくは70℃、最も好ましくは60℃である。
また、重合中は所定重合温度を一定(例えば所定重合温度±5℃)に保つよう、適宜加熱、冷却して調節することが好ましい。重合温度を一定に保つために、予め所定重合温度に温調した分散媒に撹拌下でモノマーを随時滴下してもよい。その際の滴下時間は、モノマー濃度、および重合反応発熱量により異なるが、通常0.5〜20時間、生産性と温度制御の観点から好ましくは1〜10時間である。
重合時間は重合による発熱がなくなった時点で終了が確認できるが、通常発熱により重合開始を確認した時点から1〜24時間、工業的観点および重合を完結し、残存モノマーを減少させるとの観点から、好ましくは2〜12時間である。逆相懸濁重合の場合のように、モノマーを随時滴下する場合は滴下終了後から上記時間重合することが好ましい。
上記のモノマー濃度、重合温度および重合時間は、モノマー組成、および開始剤種類等によって適宜調整することができる。
重合時のモノマー水溶液のpHは、特に限定されないが、重合速度、得られる水溶性重合体の溶解性の観点から、好ましくは1〜8、さらに好ましくは1.5〜7、とくに好ましくは1.8〜6.5である。
また、(A)は予め上記の方法による製造の後、ポリマー変性反応させたものでもよい。ポリマー変性反応としては、例えばアクリルアミド等の加水分解性官能基を分子内に有する水溶性不飽和モノマーを使用した場合に、重合時または重合後に苛性アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)または炭酸アルカリ(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)を添加して、モノマーのアミド基を部分的に加水分解(加水分解率は全モノマーの合計モル数に基づいて約1〜60モル%)してカルボキシル基を導入する方法(例えば、特開昭56−16505号公報)、ホルムアルデヒド、ジアルキル(C1〜12)アミンおよびハロゲン化(例えば塩化、臭化およびヨウ化)アルキル(C1〜12)(例えばメチルクロライドおよびエチルクロライド)を加え、マンニッヒ反応によって部分的にカチオン性基を導入する方法、およびアクリロニトリル等のニトリル基と、ビニルホルムアミド等の加水分解により得られるアミノ基との閉環反応により分子内にアミジン環を形成させる方法(例えば特開平5−192513号公報)が挙げられる。
また、(A)として2種以上の水溶性(共)重合体を用いる場合、予めそれぞれを製造した後に混合してもよいし、一方を予め製造しておき、他方の製造時のモノマーに加えて製造してもよい。
(A)の体積平均粒径は下限は通常50μm、粉体流動性、発塵性等の観点から好ましくは150μm、さらに好ましくは200μm、上限は通常2.0mm、溶解速度の観点から好ましくは1.5mm、さらに好ましくは1.0mmである。
本発明における水溶性(共)重合体(A)の0.2重量%水溶液の粘度(単位:mPa・s、25℃、以下Vwと表記)Vwは以下の方法によって測定される。なお、該測定は室温下(約25℃)で行う。
(1)測定試料(0.2重量%水溶液)の調製
あらかじめ試料0.4g(固形分含量換算したもの)を精秤し、別途500mlのガラス製ビーカーにイオン交換水を約199gとり、ジャーテスター[型式「JMD−6HS−A」、宮本理研工業(株)製、以下同じ。]に板状の塩ビ製撹拌羽根(直径5cm、高さ2cm、厚さ0.2cm)2枚を十字になるように上下に連続して撹拌棒に取り付けた撹拌装置を用い、200rpmの速度で撹拌する。試料を加え、全体の重量(試料とイオン交換水の合計重量)が200gとなるようにイオン交換水を加えた後、3時間撹拌して完全に溶解し、0.2重量%の水溶性(共)重合体(A)溶液を調製する。
なお、水溶性(共)重合体(A)の固形分含量は、試料約1.0gをシャーレ(内径105mm、深さ20mm)に秤量(W1)して、循風乾燥機中105±5℃で90分間乾燥させた後の残存重量を(W2)として、次式から算出した値である。

固形分含量(重量%)=(W2)×100/(W1)
(2)粘度の測定
(1)で調製した水溶液を200mlトールビーカーに全量移し、水浴中で25℃に温度調整し、ローターガードを付けたブルックフィールド粘度計[型式「TV−10M」、東機産業(株)製、以下同じ。]で、30rpmでローターを回転し、回転開始から5分後の粘度を測定する。使用するローター番号は機器の測定可能な粘度範囲に従って、付け替える。
本発明における水溶性(共)重合体(A)の0.5重量%塩水溶液の粘度(単位:mPa・s、25℃、以下 Vsと表記)Vsは0.5重量%水溶性(共)重合体(A)塩水溶液(塩水は4重量%塩化ナトリウム水溶液)の粘度を示し、後述の方法によって測定される。
水溶性(共)重合体(A)のVwは、凝集性能および汚泥等の中の懸濁粒子との反応速度の観点から好ましくは50〜2,500、さらに好ましくは100〜2,000、とくに好ましくは150〜1,500である。
水溶性(共)重合体(A)のVsは、凝集性能および汚泥等の中の懸濁粒子との反応性の観点から好ましくは5〜50、さらに好ましくは15〜30、とくに好ましくは20〜25である。
[高分子凝集剤(P)]
本発明の高分子凝集剤(P)は、前記水溶性(共)重合体(A)と、前記非水溶性溶剤(b)とを含有してなる。
水溶性(共)重合体(A)の重量に基づく、前記非水性溶剤(b)の含有量は0.5〜2.0重量%であり、好ましくは、0.5〜1.5、さらに好ましくは0.5〜1.0重量%である。該(b)の含有量が、0.5重量%未満では(P)の水溶解性が劣り、2.0重量%を超えると(P)の凝集性能が劣る。
非水溶剤(b)が、上記の含有量を満たす場合、(P)の粉末(粒子)内に(b)が存在することにより、粉末(粒子)内に間隙が生じて、水中において水の浸透が促進される結果、(P)は、水溶解性に優れ、凝集性能にも優れると推定される。
一方、(b)が、上記範囲未満である場合、水の浸透が促進されない結果、(P)は水溶解性に劣ると推定される。
また、(b)が、上記範囲を超える場合、(P)の粉末(粒子)の表面に(b)が過剰に存在してしまい、(P)の粉末(粒子)同士が合着しやすくなり、さらに水中での水溶性(共)重合体(A)の拡がりが(b)により阻害されることにより、(P)の凝集性能が劣ると推定される。
前記(A)の重量に基づく(b)の含有量(α)は、以下の方法で測定できる。
[1]100mLの蓋付き容器に(A)1g、アセトン50gを加えて、マグネティックスターラー[マイティ・スターラーパワータイプHE−16GB、小池精密機器製作所製]を用いて室温で30分間、500rpmの条件で撹拌した後、10分間静置する。
[2]内容物の上澄み液をガスクロマトグラフにより、上澄み液中の(b)含量(重量%)を定量する。
<ガスクロマトグラフ条件>
装置 :Shimadzu GC2010
カラム :Silicon SE 30 20% Chromosorb W
80−100μm AW−DMCS 3mmφ×2m
カラム温度 :200℃
試料導入部温度:220℃
キャリアガス :窒素 40ml/分
検出器 :FID
試料注入量 :2μl
[3]次式により(α)を求める(単位は重量%)。

(α)=[上澄み液中の(b)含量(重量%)]×50/1

なお、実施例中の(α)は該方法に従った。
水溶性(共)重合体(A)の重量に基づく、前記非水性溶剤(b)の調整方法としては、例えば次の方法が挙げられる。
(i)得られるのが(A)、水等を含むゲル状反応物(例えば、水溶液重合、光重合)の場合、ゲル状反応物を得る任意の工程で、所定量の(b)を添加し、乾燥条件を調整して高分子凝集剤(P)を得る。
(ii)得られた水等を含むゲル状反応物(例えば、水溶液重合、光重合)の場合、過剰の(b)を添加して、好ましくは均一に(例えば混合する)した後、(b)が所定量となるように、乾燥条件を調整して高分子凝集剤(P)を得る。
(iii)懸濁反応物(例えば、逆相懸濁重合)の場合、常圧もしくは減圧条件で、非水性溶剤(b)を共沸脱水することによりスラリー状物を得る。さらに該スラリーを減圧ろ過機等に供給するなど固液分離を行った後、(b)が所定量となるように乾燥条件を調整して高分子凝集剤(P)を得る。
上記(i)〜(iii)の方法うち、工業上の観点から好ましいのは(ii)、(iii)、凝集性能の観点からさらに好ましいのは(iii)である。
本発明の高分子凝集剤(P)には、前記(A)以外に、必要に応じ、本発明の効果を阻害しない範囲で、高分子凝集剤に通常用いられる、消泡剤、キレート化剤、pH調整剤、界面活性剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤および防腐剤からなる群から選ばれる添加剤を含有させることができる。添加剤を含有させる方法としては特に限定はなく、(A)とこれらの添加剤を、常温または加熱下、撹拌混合する方法等が挙げられる。
上記添加剤の使用量は、(A)の重量に基づいて、消泡剤は通常5%以下、好ましくは1〜3%、キレート化剤は通常30%以下、好ましくは2〜10%、pH調整剤は通常10%以下、好ましくは1〜5%、界面活性剤およびブロッキング防止剤はそれぞれ通常5%以下、好ましくは1〜3%、酸化防止剤、紫外線吸収剤および防腐剤はそれぞれ通常5%以下、好ましくは0.1〜2%である。
なお、(P)中の(A)の含有量は、好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上である。
本発明の高分子凝集剤(P)は、従来にない特異的な凝集効果を示すことから、下水等の汚泥または工場廃水の処理で生じた有機性汚泥または無機性汚泥の脱水処理用高分子凝集剤として用いることができ、とくに有機性汚泥の脱水処理用として好適に用いられる。
有機性汚泥の場合は、懸濁粒子の大きさが比較的大きく、また水中において懸濁粒子表面がマイナスに帯電しているとの観点から、本発明の高分子凝集剤(P)に用いる水溶性(共)重合体(A)としては、カチオン性水溶性(共)重合体および/または両性水溶性(共)重合体で構成されることが好ましく、本発明の特徴である上記効果をより一層発揮できるとの観点から、さらに好ましいのはカチオン性水溶性(共)重合体で構成されるものである。
ここでカチオン性水溶性(共)重合体とは、分子内にカチオン性基を有する水溶性(共)重合体、すなわち水に溶解した際にカチオン性を示す水溶性(共)重合体であり、また両性水溶性(共)重合体とは、分子内にカチオン性基およびアニオン性基を有する水溶性(共)重合体または分子内にカチオン性基を有する水溶性(共)重合体と分子内にアニオン性基を有する水溶性(共)重合体の混合物、すなわち水に溶解した際にカチオン性およびアニオン性を示す水溶性(共)重合体である。
これらの水溶性(共)重合体の水中におけるカチオン性またはアニオン性は、コロイド当量値(meq/g)を目安として評価することができる。即ち、カチオン性水溶性(共)重合体中のカチオン性基当量値はカチオンコロイド当量値として求めることができ、両性水溶性(共)重合体中のカチオン性基当量値およびアニオン性基当量値は、それぞれカチオンコロイド当量値およびアニオンコロイド当量値として求めることができる。
本発明の、汚泥または廃水の処理方法は、本発明の高分子凝集剤(P)を汚泥または廃水に添加、混合してフロックを形成させ、固液分離を行う方法であれば特に限定されることはない。
上記処理方法のうち、本発明の効果(凝集性能、すなわち高フロック強度、フロックの粗大化、脱水ケーキの低含水率化)発揮の観点から好ましいのは、高分子凝集剤を汚泥または廃水に添加、混合してフロックを形成させ、固液分離を行う方法である。なお、高分子凝集剤を汚泥または廃水に添加するに際してはこれらは予め水溶液の形態としておくことが均一混合の観点から好ましい。
また、高分子凝集剤(P)を汚泥または廃水に適用する際には、本発明の効果を阻害しない範囲で公知の無機凝結剤や有機凝結剤を1種または2種以上併用してもよい。これらを併用する場合は、
(i)(P)に予め添加しておく方法、
(ii)汚泥または廃水への(P)の添加時に同時に添加する方法、
(iii)無機凝結剤および/または有機凝結剤を、(P)とは別にその添加の前および/または後に順序不同で汚泥または廃水に添加する方法
のいずれを採用してもよい。
これらのうち凝集性能の観点から好ましいのは、(iii)のうち(P)の添加の前に無機凝結剤および/または有機凝結剤をまず初めに汚泥または廃水に添加する方法である。
無機凝結剤としては、例えば硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、ポリ硫酸鉄および消石灰が挙げられる。
有機凝結剤としては、例えばエピハロヒドリンとアミンとの重縮合体(もしくはその塩酸塩、以下塩酸塩と略記)、エピハロヒドリンとアルキレンジアミンとの重縮合体(塩酸塩)、ポリエチレンイミン(塩酸塩)、アルキレンジハライド−アルキレンポリアミン重縮合体(塩酸塩)、アニリン−ホルムアルデヒド重縮合体(塩酸塩)、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリビニルピリジン(塩酸塩)、(ジ)メチルジ(メタ)アリルアンモニウムクロライドおよびポリビニルイミダゾリン(塩酸塩)が挙げられる。これらの無機凝結剤および有機凝結剤はそれぞれの1種または2種以上用いても、あるいは両者を併用してもいずれでもよい。
該凝結剤を予め(P)に添加しておく場合の使用量は、(P)の重量に基づいて、無機凝結剤は通常100%以下、凝結性能および凝集性能の観点から好ましくは5〜50%、さらに好ましくは10〜30%、有機凝結剤は通常20%以下、同様の観点から好ましくは1〜10%、さらに好ましくは2〜5%である。
無機凝結剤および/または有機凝結剤を(P)とは別に汚泥または廃水に添加する場合[上記(iii)の方法]の無機凝結剤および/または有機凝結剤の使用量は、汚泥または廃水の種類、懸濁している粒子の大きさ、および汚泥または廃水中の固形分含量(以下TSと略記)等によって異なるが、汚泥または廃水中のTSに基づいて、無機凝結剤では、フロック強度の観点から、好ましい下限は0.5重量%、さらに好ましくは1重量%、とくに好ましくは2重量%、脱水ケーキ焼却後のスラッジ低減の観点から、好ましい上限は10重量%、さらに好ましくは8重量%、とくに好ましくは5重量%であり、有機凝結剤では、フロック強度の観点から、好ましい下限は0.01重量%、さらに好ましくは0.05重量%、とくに好ましくは0.1重量%、フロック粒径の観点から、好ましい上限は5重量%、さらに好ましくは3重量%、とくに好ましくは1重量%である。
また、上記方法における高分子凝集剤(P)の汚泥または廃水への添加方法としては、特に限定はなく、(P)をそのまま汚泥または廃水に添加してもよいが、均一混合の観点から好ましいのは(P)を水溶液にした後に汚泥または廃水に添加する方法である。
(P)を水溶液として用いる場合は、その濃度(重量%)は好ましくは0.05〜3%、さらに好ましくは0.1〜1%である。溶解方法、溶解後の希釈方法は特に限定はないが、例えば予め秤りとった水をジャーテスター等の撹拌装置を用いて撹拌しながら、所定量の粉末状の(X)を加え、数時間(約1〜4時間程度)撹拌して溶解させる方法等が採用できる。
上記処理方法において、汚泥または廃水に添加する際の(P)の使用量は、汚泥または廃水の種類、懸濁している粒子の含有量および該高分子凝集剤の分子量等によって異なり、とくに限定はされないが、汚泥または廃水中のTSに基づいて、フロック強度の観点から、好ましい下限は0.01重量%、さらに好ましくは0.1重量%、とくに好ましくは1重量%、最も好ましくは1.5重量%、脱水ケーキの含水率低減の観点から、好ましい上限は10重量%、さらに好ましくは8重量%、とくに好ましくは5重量%、最も好ましくは3重量%である。
また上記の処理方法により形成されたフロック状の汚泥の脱水方法(固液分離法)としては、例えば重力沈降、膜ろ過、カラムろ過、加圧浮上、濃縮装置(例えばシックナー)、脱水装置(例えば遠心脱水機、ベルトプレス脱水機、フィルタープレス脱水機、キャピラリー脱水機)を用いる方法が挙げられる。これらのうち本発明の高分子凝集剤の特異的な凝集性能である高フロック強度の観点から好ましいのは、脱水装置、とくに遠心脱水機、ベルトプレス脱水機、フィルタープレス脱水機を用いる方法である。
本発明の高分子凝集剤の、汚泥または廃水処理用途以外のその他の用途としては、例えば掘削・泥水処理用凝集剤、製紙用薬剤(製紙工業用地合形成助剤、濾水歩留向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤等)、原油増産用添加剤(原油の二、三次回収用添加剤)、分散剤、スケール防止剤、凝結剤、脱色剤、増粘剤、帯電防止剤および繊維用処理剤が挙げられる。
以下実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部は重量部、%は重量%を表す。
水溶性(共)重合体(A)を含有してなる高分子凝集剤(P)の固形分含量は、前記の方法によって測定した。
なお、下水汚泥等中のTS、浮遊物質(SS)、有機分(強熱減量)は、「下水試験方法」(日本下水道協会、1984年度版)記載の分析方法に準じて行った。
また、本実施例中の0.5%塩水溶液粘度、水溶解性、フロック粒径、フロック強度、ケーキ含水率は以下の方法に従って評価した。
(1)0.5%塩水溶液粘度(Vs)(mPa・s、25℃)
ジャーテスター[型式「JMD−6HS−A」、宮本理研工業(株)製、以下同じ。]に板状の塩ビ製撹拌羽根(直径5cm、高さ2cm、厚さ0.2cm)2枚を十字になるように上下に連続して撹拌棒に取り付けた撹拌装置を用い、500mLビーカーにイオン交換水477.5gを入れ、水温20〜25℃にて200rpmで撹拌下、固形分2.5gの高分子凝集剤試料を徐々に加えて、4時間かけて完全に溶解させる。その後、塩化ナトリウム20gを入れ、さらに30分間撹拌して溶解させる。その後、得られた塩水溶液(塩化ナトリウムの濃度は4重量%)の一部を200mLトールビーカーに移し、25℃の恒温槽に20分間静置して温度調整した後、B型粘度計[東機産業(株)製、型式TV−10M、以下同じ。]でM1ローター、60rpmにて、測定開始300秒後の値を0.5%塩水溶液粘度とする。
(2)水溶解性
上記の0.5%塩水溶液粘度を測定した際に調整した水溶液全量(W5)を、あらかじめ重量(W3)を測定したふるい(目開き180μm)に全量移し、ろ過した。ろ過後、水道水の流水(流速:約10L/min)でふるい上の残分を3分間洗浄した。洗浄後、ふるいの枠に付着している水分を布などでふき取り、重量(W4)を測定し、次式から水不溶解分量を計算する。

水不溶解分量(%)=[(W4)−(W3)]×100/(W5)

上記の式から求めた水不溶解分量に基づき、下記の基準に従って水溶解性を評価する。
<評価基準>
◎ 水溶解性が非常に良好 (水不溶解分量≦1%)
○ 良好 (1%<水不溶解分量≦3%)
△ やや悪い (3%<水不溶解分量≦6%)
× 悪い (6%<水不溶解分量)
(3)フロック粒径(mm)
300mlのビーカーに汚泥200mlを入れ、上記(1)と同じ撹拌装置にセットする。ジャーテスターの回転数を300rpmとし、徐々に汚泥を撹拌しながら、所定の濃度の高分子凝集剤の水溶液を所定の方法で添加し、30秒間撹拌した後、撹拌を止め形成されたフロックの粒径(mm)を目視にて観察する。続いて回転数を1,000rpmに変え、さらに30秒間撹拌した後、撹拌を止め形成されたフロックの粒径(mm)を再度目視にて観察する。
(4)フロック強度
上記(3)における回転数300rpmおよび1,000rpmでのフロック粒径を比較し、フロック粒径の変化からフロック強度を下記の基準に従って評価する。
<評価基準>
◎ 非常に強固 (粒径に変化なし)
○ 強固 (ごく一部細分化)
△ やや弱い (部分的に細分化)
× 弱い (全体的に細分化)
(5)脱水ケーキ含水率(%)
T−1189のナイロン製ろ布[敷島カンバス(株)製、円形状、直径9cm]、ヌッチェ漏斗、および300mlが計測できるメスシリンダーを用いてろ過装置をセットする。上記(3)のフロック粒径試験後の汚泥をヌッチェろ過面上に一気に全量投入してろ過する。ろ過した汚泥の一部をスパーテルで取り出し、プレスフィルター試験機を用いて脱水試験(1kgf/cm2、60秒)を行う。脱水ケーキ約3gをシャーレに秤量(W6)して、循風乾燥機中、105±5℃、8時間で乾燥させた後、シャーレ上に残った乾燥ケーキの重量を(W7)として、次式からケーキ含水率を算出する。

脱水ケーキ含水率(%)=[(W6)−(W7)]×100/(W6)
実施例1
[高分子凝集剤(P−1)]
アミノエチルメタアクリレートのパラトルエンスルホン酸塩の70%水溶液(a1−1)750部、イオン交換水249部、連鎖移動剤として1−チオグリセロールの10%水溶液(e−1)0.12部の混合液を室温(20〜25℃)で調製した。さらにスルファミン酸を用いてモノマー水溶液のpH(20℃)をpHメーターで監視しながら3.0に調整した。得られた混合液を十分に窒素(純度99.999%以上。以下同じ。)で置換(溶存酸素濃度100ppb以下)した後、アゾビスアミジノプロパン塩酸塩の10%水溶液(d−1)0.55部を加えて均一溶液とし、モノマー水溶液を調製した。
別に還流脱水配管、滴下漏斗、窒素導入管および撹拌翼(マックスブレンド翼)を備えた反応槽にn−デカン(b−1)1,000部を仕込んだ後、これに分散剤として、無水マレイン酸変性されたエチレン・酢酸ビニル共重合体[商品名「Orevac930S」、アルケマ(株)製]7.0部を加えて、撹拌翼を500rpmの回転数にて撹拌しながら、反応槽内を窒素置換(気相酸素濃度10ppm以下)した後、50℃まで昇温した。50℃に到達後、常圧条件下(103kPa)で、予め滴下漏斗内に仕込んだ前述のモノマー水溶液を反応槽中に60分間かけて全量投入し、投入完了後180分間50℃で撹拌を継続し逆相懸濁重合させた。
重合後、デカンテーションで上澄み液を取り除いた後、濾過せずに、(b−1)を含んだスラリー状物をステンレス製の容器に広げ、50℃の循風乾燥機で10時間乾燥し、水溶性(共)重合体(A−1)を含有してなる高分子凝集剤(P−1)680部を得た。
実施例2〜10、比較例1〜4
[高分子凝集剤(P−2)〜(P−10)、(RP−1)〜(RP−4)]
実施例1において、表1のモノマー液配合組成(部)に基づいて代えたこと以外は実施例1と同様にして、高分子凝集剤(P−2)〜(P−10)、(RP−1)〜(RP−4)を得た。結果を表1に示す。
実施例11
[高分子凝集剤(P−11)]
撹拌付き反応容器にアミノエチルメタクリレートのメタンスルホン酸塩の70%水溶液(a1−2)750部、(e−1)0.45部、イオン交換水243部を加え、系内が均一の水溶液になるまで撹拌した。さらに撹拌を続けながら、硫酸を用いてモノマー水溶液のpH(20℃)をpHメーターで監視しながら4.0に調整した。次に、水溶液の温度を25℃に調整し、系内を窒素(純度99.999%以上)で充分に置換した(気相酸素濃度10ppm以下)。次いで開始剤としてアゾビスアミジノプロパン塩酸塩の10%水溶液(d−1)6部、硫酸鉄(II)の1%水溶液(d−3)0.3部、過酸化水素の1%水溶液(d−2)0.3部を、撹拌しながら一気に加えた。内容物温度が50℃に到達後、(b−1)10部を加えて、外部から加熱し内容物温度を80℃に調整した。その後同温度を2時間維持して重合反応を完結させた。なお重合中、内容物が高粘度となり撹拌が困難となったため、撹拌は途中で停止した。その後、得られた含水ゲルを取り出し、ミートチョッパー機[型番「12VR−400K」、ROYAL(株)製、目皿の目開き6mm]により、混合、混練、さらにミンチ状に細断し、70℃の熱風で2時間乾燥後ジューサーミキサーで粉砕して、粉末状の水溶性(共)重合体(A−11)を含有してなる高分子凝集剤(P−11)500部を得た。
実施例12
[高分子凝集剤(P−12)]
ガラス容器に(a1−2)250部、イオン交換水750部を仕込み、系内が均一の水溶液になるまで撹拌した。さらに撹拌を続けながら、硫酸を用いてモノマー水溶液のpH(20℃)をpHメーターで監視しながら4.0に調整した。
このモノマー水溶液を高さ50mmのガラス反応容器に仕込み、次に、水溶液の温度を15℃に調整し、系内を窒素(純度99.999%以上)で充分に置換した(気相酸素濃度10ppm以下)。次いで開始剤としてアゾビスアミジノプロパン塩酸塩の10%水溶液(d−1)3部、過硫酸アンモニウムの1%水溶液(d−4)0.8部、亜硫酸水素ナトリウム1%水溶液(d−5)0.8部を、撹拌しながら一気に加えた。
ガラス製反応容器の上方から、100ワットのブラックライトにより照射強度5.5mW/cm2で1時間照射して重合反応を完結させた。その後、得られた含水ゲルを取り出し、ミートチョッパー機[型番「12VR−400K」、ROYAL(株)製、目皿の目開き6mm]により、(b−1)3.5部を連続的に加えながら、混合、混練、さらにミンチ状に細断し、70℃の熱風で2時間乾燥後ジューサーミキサーで粉砕して、粉末状の水溶性(共)重合体(A−12)を含有してなる高分子凝集剤(P−12)170部を得た。
上記で得られた高分子凝集剤について結果を表1に示す。表1中の記号の内容は下記のとおりである。
(1)水溶性カチオンモノマー(a1)
(a1−1):アミノエチルメタクリレートのパラトルエンスルホン酸塩
の70%水溶液
(a1−2):アミノエチルメタクリレートのメタンスルホン酸塩の70%水溶液
(a1−3):アミノエチルメタクリレートの硫酸塩の70%水溶液
(2)水溶性不飽和モノマー(a2)
(a2−1):アクリルアミドの50%水溶液
(a2−2):N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートの
メチルクロライド塩の80%水溶液
(3)非水溶性溶剤(b)
(b−1) :n―デカン (SP値7.6)
(b−2) :シクロヘキサン (SP値8.2)
(b’−3):シクロヘキサノン (SP値9.9)
(4)連鎖移動剤(e)
(e−1) :1−チオグリセロールの10%水溶液
(5)ラジカル重合開始剤(d)
(d−1) :アゾビスアミジノプロパン塩酸塩[和光純薬工業(株)製、
「V−50」、10時間半減期温度:56℃]の10%水溶液
(d−2) :過酸化水素の1%水溶液
(d−3) :硫酸鉄(II)の1%水溶液
(d−4) :過硫酸アンモニウムの1%水溶液
(d−5) :亜硫酸水素ナトリウム1%水溶液
Figure 2015057272
実施例13〜24、比較例5〜8
[高分子凝集剤の性能評価]
得られた高分子凝集剤をそれぞれイオン交換水に溶解させて固形分含量0.2%の水溶液とした。H市処理場から採取した混合生汚泥[pH4.7、TS3.0%、SS2.4%、有機分55%、アルカリ度600mg−CaCO3/L]200gを500mLのビーカーに採り、上記高分子凝集剤の各水溶液20g添加(この時の固形分添加量0.5%/TS)し、性能を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2015057272
表2から、本発明の高分子凝集剤(P)は、比較のものに比べて、水溶解性に優れること、大粒径のフロックが形成され、低撹拌下(300rpm)で一旦形成されたフロックが高撹拌下(1,000rpm)でも壊れにくい(フロック強度が強い)こと、および脱水性(脱水ケーキ含水率)において優れた効果を示すことから、本発明の高分子凝集剤(P)は凝集性能に極めて優れることがわかる。
本発明の高分子凝集剤は、従来にない特異的な凝集性能を示すことから、下水汚泥等の脱水用高分子凝集剤に用いられる他、染料固着剤、製紙用薬剤(例えば製紙工業用地合形成助剤、濾水歩留向上剤、濾水性向上剤および紙力増強剤)等の幅広い用途に用いることができることから、極めて有用である。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表される水溶性カチオンモノマー(a1)を含有する水溶性不飽和モノマー(a)を重合させて得られる水溶性(共)重合体(A)と、SP(溶解度パラメーター)値が7.0〜9.5(cal/cm31/2である非水溶性溶剤(b)とを含有してなり、該(A)の重量に基づく該(b)の含有量が0.5〜2.0重量%である高分子凝集剤(P)。

    CH2=C(CH3)−CO−X−Q−N+123・Z- (1)

    [式中、R1〜R3はH;XはOまたはNH;Qは炭素数1〜4のアルキレン基;Z-はプロトン酸のH+を除く残基を表す。]
  2. 水溶性(共)重合体(A)を構成するモノマーの合計モル数に基づく(a1)の比率が80〜100モル%である請求項1記載の高分子凝集剤。
  3. (b)が、炭素数6〜10の炭化水素である請求項1または2記載の高分子凝集剤。
  4. (A)が、15〜30mPa・sの0.5重量%塩水溶液の粘度(25℃)を有する請求項1〜3のいずれか記載の高分子凝集剤。
  5. 請求項1〜4のいずれか記載の高分子凝集剤を汚泥または廃水に添加、混合してフロックを形成させ固液分離することを特徴とする汚泥または廃水の処理方法。
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JP2019141789A (ja) * 2018-02-21 2019-08-29 ハイモ株式会社 有機性汚泥の脱水方法

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