JP2015056603A - 有機薄膜太陽電池モジュール及び有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法 - Google Patents

有機薄膜太陽電池モジュール及び有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い封止性能を有し、かつ、変換効率の低下の少ない耐久性に優れた有機薄膜太陽電池モジュールを提供する。また、煩雑な工程を追加することなく、安価な方法で、耐久性に優れた有機薄膜太陽電池モジュールを製造する方法を提供する。
【解決手段】基材1上に、有機薄膜太陽電池素子2と金属層5とをこの順に有する有機薄膜太陽電池モジュールであって、前記有機薄膜太陽電池素子と前記金属層との間に、接着層及び絶縁層4を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は有機薄膜太陽電池モジュール及び有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法に関する。
近年、有機EL、有機薄膜太陽電池といった有機電子デバイスの開発が盛んに行われている。有機デバイスは、デバイスの劣化を防止するために、水分、酸素等の大気環境中成分からの保護が求められており、デバイスの上下面全体をガスバリア材で封止した有機電子デバイスが知られている。
例えば、特許文献1では、素子面を金属層、ガラス、バリヤー被覆プラスチック等を用いた有機デバイスの気密封止パッケージが提案されている。また、特許文献2では、有機薄膜有機薄膜太陽電池素子の封止構造、封止材料が述べられており、素子は無機層が積層されたバリア性のフィルム、あるいは金属フォイルなどでパッケージされることが記述されている。
特表2008−546211号公報 国際公開第2011/112701号公報
特許文献1、2に記載されているような太陽電池において、透明基板側を光の入射面とする場合、入射面と反対側を金属層(金属フォイル)で封止することが、最も低コストで、しかも高いバリア性を確保できると考えられる。
しかしながら、本発明者等の検討によると、このように金属層を封止材として用いて、有機薄膜太陽電池モジュールを製造しようとすると、光電変換素子に金属層を貼合わせるための接着層を積層する際に、気泡が入り込み、接着層中にボイド(空洞)が形成されてしまう可能性があることを見出した。ボイドが形成されてしまうと、金属層と有機薄膜太陽電池素子の上部電極とが導通してしまう可能性があり、また、金属層と、有機薄膜太陽電池が導通しなかったとしても、接着層中に薄い部分ができてしまい、モジュールの耐電圧の低下につながる可能性がある。その結果、有機薄膜太陽電池素子により発電された電流が金属層に漏れ込み、発電効率の低下を招いてしまう可能性がある。また、一般的に有機薄膜太陽電池モジュールは、発電した電流を取り出すために、有機薄膜太陽電池素子の電極と電流を取り出すための導線(以下、集電線と称す場合がある)が設けられているが、集電線と金属層とが導通し、変換効率の低下を招く可能性が考えられる。
特に、有機薄膜太陽電池モジュールでは、電力系統連系の際の安全性を確保する観点から、高い耐電圧・絶縁性を求められ、その具体的数値はシステム電圧によって決まるが、通常数千ボルトの耐電圧が必要とされ、有機ELなどのディスプレイ用途に用いられる有機半導体素子よりも厳しい基準となっている。そのために、上記のような問題は有機薄膜太陽電池を提供する上で、極めて重要な課題である。
そこで、接着層中にボイドが形成されるのを防ぐために、接着層を真空引きして積層する方法が考えられる。しかしながら、真空引きの工程を行う場合、工程が複雑化し、生産性が低下する可能性がある。また、接着層の脱泡処理を行うことにより、ボイドの形成を防ぐことも考えられるが、この場合も複雑な工程が必要となり、さらには、十分にボイド
の形成を防止できない可能性がある。
本発明は上記の問題を鑑みてなされたものであり、高い封止性能を有し、かつ、変換効率の低下の少ない耐久性に優れた有機薄膜太陽電池モジュールを提供することを課題とする。また、煩雑な工程を追加することなく、安価な方法で、耐久性に優れた有機薄膜太陽電池モジュールを製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者は上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、接着層と、水や不純物の侵入を防止するための封止材として金属層とを有する有機薄膜太陽電池モジュールにおいて、有機光電変換素子と金属層との間に、接着層に加えて、絶縁層を設けることによって、本発明を達成するに至った。
すなわち本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1]基材上に、有機薄膜太陽電池素子と金属層とをこの順に有する有機薄膜太陽電池モジュールであって、前記有機薄膜太陽電池素子と前記金属層との間に、接着層及び絶縁層を有することを特徴とする有機薄膜太陽電池モジュール。
[2]前記絶縁層の融点が120℃以上であり、かつ比誘電率10以下であることを特徴とする[1]に記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
[3]前記絶縁層が、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、及びエチレンテトラフルオロエチレンから選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする[1]又は[2]に記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
[4]前記絶縁層の膜厚が5μm以上、100μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
[5]基材、有機薄膜太陽電池素子、接着層、絶縁層、及び金属層をこの順に有する有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法であって、前記有機薄膜太陽電池素子が積層された前記基材と、前記絶縁層が積層された前記金属層とを、前記接着層を介して、前記有機薄膜太陽電池素子と前記絶縁層が向いあうように貼合する工程を含む有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
[6]基材、有機薄膜太陽電池素子、絶縁層、接着層、金属層をこの順に有する有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法であって、前記有機薄膜太陽電池素子及び前記絶縁層が積層された前記基材と、前記金属層とを、前記接着層を介して、前記絶縁層と前記金属層とが向かいあうように貼合する工程を含む有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
高い封止性能を有し、かつ、変換効率の低下の少ない耐久性に優れた有機薄膜太陽電池モジュールを提供することができる。また、煩雑な工程を追加することなく、安価な方法で、耐久性に優れた有機薄膜太陽電池モジュールを製造する方法を提供することができる。
本発明の一実施態様に関する有機薄膜太陽電池モジュールの断面図である。 本発明の一実施態様に関する有機薄膜太陽電池モジュールが有する有機薄膜光電変換素子の断面図である。 本発明の別の実施態様に関する有機薄膜太陽電池モジュールの断面図である。
以下、本発明について具体的な態様を示しながら、詳細に説明するが、本発明は例示す
る具体的態様に限定されず、本発明の趣旨、及びその範囲から逸脱することなく、その態様、及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。また、以下に説明する本発明の構成において、同一部分、又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
本発明の一実施態様は、図1に示すように、基材上に、有機薄膜太陽電池素子と金属層とをこの順に有する有機薄膜太陽電池モジュールであって、前記有機薄膜太陽電池素子と前記金属層との間に、接着層及び絶縁層を有することを特徴とする有機薄膜太陽電池モジュールである。
なお、図1では、基材1、有機薄膜太陽電池素子2、接着層3、絶縁層4、金属層5を順に有する有機薄膜太陽電池モジュールを示しているが、接着層3の位置はこれに限定されない。例えば、図3に示すように、基材1、有機薄膜太陽電池素子2、絶縁層4、接着層3、金属層5を順に有する有機薄膜太陽電池モジュールであってもよい。
<1.絶縁層4>
本発明において、絶縁層4とは有機薄膜太陽電池素子2と金属層5との間に設けられる層であり、第1の接着層3とは別に設けられる層である。絶縁層4の主たる役割は、有機薄膜太陽電池素子2が有する上部電極15や、有機薄膜太陽電池素子2の電極と接続され外部に電流を取り出すための集電線(図示せず)と、金属層5との間の絶縁性を確保するためのものである。
後述するように、第1の接着層3は、太陽電池素子2と金属層5とを貼合させるためのものであるが、一般的に、第1の接着層3は、その積層工程時に、被着材を濡らすために、初期に液体状、又はそれに近い流体状である必要がある。そして、この際に気泡が発生したり、異物が噛みこむことにより、第1の接着層3中にボイドが形成されてしまったり、局所的に膜の薄い部分ができてしまう可能性がある。そして、第1の接着層3中のボイドや膜の薄い部分が原因となって、有機薄膜太陽電池素子2と金属層5とが短絡してしまったり、又耐電圧の低下が発生する可能性があり、その結果、有機薄膜太陽電池素子2の変換効率が低下してしまう可能性がある。特に、太陽電池モジュールの場合、電力系統連系の際の安全性を確保する観点から、高い耐電圧・絶縁性を求められ、その具体的数値はシステム電圧によって決まるが、通常数千ボルトの耐電圧が必要とされ、有機ELなどのディスプレイ用途に用いられる有機半導体素子よりも厳しい基準となっているために、金属層5と有機薄膜太陽電池素子2との間は、高い絶縁性の確保が求められる(JIS C8991:2011 地上設置の薄膜太陽電池(PV)モジュール−設計適格性確認試験及び形式認証のための要求事項、JIS C8992−2:2010 太陽電池モジュールの安全性確認―第2部:試験に関する要求事項参照)。そのため、本発明においては、第1の接着層3に隣接して、絶縁層4を設けることにより、有機薄膜太陽電池モジュール8の電極又は集電線と、金属層5との間で高い絶縁性を確保することができる。
絶縁層4は、有機薄膜太陽電池素子2と金属層5との絶縁性が確保できる限り、特段の制限はないが、通常、比誘電率が10以下の層である。絶縁層4の比誘電率が上記の範囲であれば、有機薄膜太陽電池モジュールにおいて、十分な絶縁性を確保することができる。なお、より高い絶縁性を確保するためには、絶縁層4の比誘電率は低ければ低いほどよく、具体的には、比誘電率は7以下であることが好ましく、5以下であることが特に好ましく、下限はない。
また、絶縁層4は、第1の接着層3の接着工程時の温度において、固体形状を保っていることが好ましい。このような絶縁層であれば、第1の接着層3の接着工程時の加熱の影響による絶縁層4の形状変化が起こりにくいために、絶縁層4中にボイドが形成されたり、膜の薄い部分が形成されてしまうのを防ぐことができる。そのため、有機薄膜太陽電池素子2と金属層5との間において高い絶縁性を確保することができる。一般的に、太陽電
池モジュールの製造において、第1の接着層3には、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂組成物、炭化水素系樹脂組成物等が汎用的に用いられ、通常の接着工程温度は120−150℃である。そのため、絶縁層4の融点は120℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがさらに好ましく、180℃以上であることが特に好ましい。絶縁層4が上記の融点を有していれば、接着工程時に絶縁層4が溶解あるいは軟化することなく固体形状を保つことができ、金属層5と有機薄膜太陽電池素子2との絶縁性を確保することができる。一方で、絶縁層4の融点に、上限はない。
なお、絶縁層4の融点は、その構成材料を加熱した際に融解し、液体化し始める温度として定義される。すなわち、絶縁層4が単体の化合物からなる場合は、その化合物自身の融解が開始される温度であり、絶縁層4が混合物からなる場合は、その混合物の融解が開始される温度である。なお絶縁層4の融点は、以下の測定方法により求めることができる。
<絶縁層の融点の測定方法>
絶縁層4の融点は、JIS K0064 1992「化学製品の融点及び溶融範囲測定方法」に記載されている方法等により測定することができる。その好ましい一例とは以下の通りである。
(1)融点を測定する絶縁層を微粉末に粉砕する。
(2)粉砕された試料を太さ1mm、長さ5cmから10cm程の試験管状の一方の端を閉じた毛細管に詰める。
(3)毛細管に詰められた試料を融点測定器により徐々に加熱し、試料が液化する温度を計測する。この際、急激に温度を上昇させると試料と温度計との間に温度勾配が発生して測定誤差を生じるため、融点を計測する時点での加温は毎分1℃以下の上昇率で測定することが望ましい。
試料は微粉末として調整するので、表面での乱反射により融解前の試料は不透明である。したがって、試料の外見が透明化し始めた温度を液体化し始める点として判断することができる。
また、絶縁層4はその高い効果を発揮するために、平坦性が高いことが好ましく、その表面粗さ(算術平均Ra)は通常、1μm以下、好ましくは0.1μm以下である。膜が薄い部分による耐電圧低下を防ぐ目的で、膜厚分布が小さいことが望ましく、膜厚分布(標準偏差 σ)はその膜厚に対して、通常 5%以下、好ましくは3%以下である。
また、高い耐電圧を確保するため、絶縁層4の厚みは5μm以上、好ましくは10μm以上、さらに好ましくは20μm以上であるが、ロールツーロールプロセスでの製造のためには、100μm以下であることが好ましい。
絶縁層4の材料は、本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定されないが、合成樹脂、天然樹脂、無機材料、雲母、ガラス、紙などがあげられるが、これらの中でも合成樹脂又は無機材料から形成されることが好ましい。
合成樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、塩化ビニル、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ABS、ポリスルホン、ナイロンなどが挙げられる。これらの中でも、絶縁層4は、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、及びエチレンテトラフルオロエチレンから選ばれる少なくとも1種を含むことが、高い絶縁破壊電圧、高い耐熱性、高い加工性を持つために、特に好ましい。 無機材料の例としては、ダイヤモンド、アルミナ、ジルコニア、ハイドロキシアパタイト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、蛍石、窒化ホウ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ステアタイトなどが挙げられる
。これらの中でも安価で、かつ容易に成膜できるという点から、アルミナ、酸化ケイ素、窒化珪素が好ましい。
なお、絶縁層4は、上述したような化合物単体で構成されていてもよいし、2種以上の混合物から構成されていてもよい。また、2層以上の積層構造を有していてもよい。 絶縁層4としては、合成樹脂や天然樹脂により構成されるフィルム状のものを用いる場合は、ラミネーター等により積層させることができる。一方で、絶縁層4として、無機材料を用いて構成する場合は、抵抗加熱蒸着、マグネトロンスパッタリング、熱CVD、プラズマCVD等の真空成膜法を用いて直接、金属層5上や、有機光電変換素子2上に積層することができる。
<2.基材1>
基材1は、その上に形成される有機薄膜太陽電池素子2の母材となるものである。基材1の材料は、本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定されないが、本発明に係る有機薄膜太陽電池モジュール8は、有機薄膜太陽電池素子2の上部(有機薄膜太陽電池素子2を間に介して基材1の反対側)に金属層5を有しているために、基材1側を有機薄膜太陽電池モジュール8の受光面とすることが好ましい。そのため、基材1はある程度の透光性を有していることが好ましい。具体的に基材1の可視光波長領域(360nm〜830nm)における平均光透過率は、大きいほど好ましいが、具体的には80%以上であることが好ましく、85%以上であることがさらに好ましく、88%以上であることが特に好ましい。なお、可視光波長領域における平均光透過率は、例えば、公知の分光光度計を用いて測定することができる。
なお、基材1の材料の好適な例としては、石英、ガラス、サファイア又はチタニア等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂フィルム、塩化ビニル又はポリエチレン等のポリオレフィン;セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリノルボルネン又はエポキシ樹脂等の有機材料;紙又は合成紙等の紙材料が挙げられる。
ガラスとしてはソーダガラス、青板ガラス又は無アルカリガラス等が挙げられる。ガラスからの溶出イオンが少ない点で、これらの中でも無アルカリガラスが好ましい。
基材1の形状に制限はなく、例えば、板状、フィルム状又はシート状等のものを用いることができる。また、基材1の膜厚に制限はないが、通常5μm以上、好ましくは20μm以上であり、一方、通常20mm以下、好ましくは10mm以下である。基材1の膜厚が5μm以上であることは、有機薄膜太陽電池素子2の強度が不足する可能性が低くなるために好ましい。基材1の膜厚が20mm以下であることは、コストが抑えられ、かつ重量が重くならないために好ましい。基材1の材料がガラスである場合の膜厚は、通常0.01mm以上、好ましくは0.1mm以上であり、一方、通常1cm以下、好ましくは0.5cm以下である。基材の膜厚が0.01mm以上であることは、機械的強度が増加し、割れにくくなるために、好ましい。また、基材1の膜厚が0.5cm以下であることは、コストが抑えられ、重量が重くならないために好ましい。
なお、本発明に係る有機薄膜太陽電池モジュール又は有機薄膜太陽電池モジュールが有する有機薄膜太陽電池素子の少なくとも一部をロール・ツー・ロール方式で製造する場合は、基材1は、可撓性を有するフレキシブル基材を用いることが好ましい。なお、本発明において、フレキシブル基材とは、通常、曲率半径が通常、0.1mm以上であり、10000mm以下である基材を意味する。なお、曲率半径は、ひずみや割れ等の破壊が現れないところまで曲げた基材を、通常の共焦点顕微鏡を用いて測定することができる。具体的には、レーザマイクロスコープVK−X200(キーエンス社製)を用いて測定すればよい。また、フレキシブル基材の具体的な材料としては、上述のような有機材料、紙材料
、および複合材料を用いることが好ましく、有機材料及び複合材料がより好ましく、有機材料が特に好ましい。
<3.有機薄膜太陽電池素子2>
本発明の一実施態様に係る有機薄膜太陽電池モジュール8が有する有機薄膜太陽電池素子2は、図2に示すように、少なくとも一対の電極(下部電極11、上部電極15)、及び有機光電変換層13とを有する。なお、本発明の一実施態様に係る有機薄膜太陽電池素子は図2に示すように、さらに、バッファ層(下部バッファ層12、及び上部バッファ層14)とを任意で有していてもよい。また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で別の層を有していてもよい。
<3−1.一対の電極(11、15)>
上記の通り、有機薄膜太陽電池素子2は、下部電極11と上部電極15の一対の電極を有する。なお、本発明において、一対の電極の中で、基材1に近い位置に設けられる電極を下部電極11と称し、下部電極よりも基材から離れた位置に設けられる電極を上部電極15と称す。
一対の電極は、光吸収により生じた正孔及び電子を捕集する機能を有する。したがって一対の電極には、正孔の捕集に適したアノードと、電子の捕集に適したカソードとを用いることが好ましい。なお、下部電極11がアノードであり、上部電極15がカソードであってもよいし、下部電極11がカソードであり、上部電極15がアノードであってもよい。
一対の電極は、いずれか一方が透光性を有していればよく、両方の電極が透光性を有していてもよい。なお、上述の通り、本発明においては、基材1側を受光面とする方が好ましいため、少なくとも下部電極11が高い透光性を有していることが好ましい。具体的には、下部電極11の可視光波長領域(360nm〜830nm)における平均光透過率が、40%以上であることが好ましく、有機光電変換層13に充分に光を到達させるために、50%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることが特に好ましい。なお、可視光波長領域における平均光透過率は、例えば、公知の分光光度計を用いて測定することができる。
アノードとは、一般には仕事関数がカソードよりも高い導電性材料で構成され、有機光電変換層13で発生した正孔をスムーズに取り出す機能を有する電極である。
アノードの材料を挙げると、例えば、酸化ニッケル、酸化スズ、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、インジウム−ジルコニウム酸化物(IZO)、酸化チタン、酸化インジウム又は酸化亜鉛等の導電性金属酸化物;金、白金、銀、クロム又はコバルト等の金属あるいはその合金が挙げられる。これらの物質は高い仕事関数を有するため、好ましく、さらに、ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルホン酸をドーピングしたPEDOT:PSSで代表されるような導電性高分子材料を積層することができるため、好ましい。このような導電性高分子を積層する場合には、この導電性高分子材料の仕事関数が高いことから、上記のような高い仕事関数の材料でなくとも、AlやMg等のカソードに適した金属も広く用いることが可能である。ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルホン酸をドーピングしたPEDOT:PSSや、ポリピロール又はポリアニリン等にヨウ素等をドーピングした導電性高分子材料を、アノードの材料として使用することもできる。アノードが透明電極である場合には、ITO、酸化亜鉛又は酸化スズ等の透光性がある導電性金属酸化物を用いることが好ましく、特にITOが好ましい。
アノードの膜厚は特に制限は無いが、通常10nm以上、好ましくは20nm以上、さらに好ましくは、50nm以上である。一方、通常10μm以下、好ましくは1μm以下
、さらに好ましくは500nm以下である。アノードの膜厚が10nm以上であることにより、シート抵抗が抑えられ、アノードの膜厚が10μm以下であることにより、光透過率を低下させずに効率よく光を電気に変換することができる。アノードが透明電極である場合には、光透過率とシート抵抗とを両立できる膜厚を選ぶ必要がある。
アノードのシート抵抗は、特段の制限はないが、通常1Ω/□以上、一方、1000Ω/□以下、好ましくは500Ω/□以下、さらに好ましくは100Ω/□以下である。
アノードの形成方法としては、蒸着法若しくはスパッタ法等の真空成膜方法、又はナノ粒子や前駆体を含有するインクを塗布して成膜する湿式塗布法が挙げられる。
カソードは、一般には仕事関数が低い値を有する導電性材料で構成され、有機光電変換層13で発生した電子をスムーズに取り出す機能を有する電極である。カソードの材料を挙げると、例えば、白金、金、銀、銅、鉄、スズ、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム又はマグネシウム等の金属及びその合金;フッ化リチウムやフッ化セシウム等の無機塩;酸化ニッケル、酸化アルミニウム、酸化リチウム又は酸化セシウムのような金属酸化物等が挙げられる。これらの材料は低い仕事関数を有する材料であるため、好ましい。カソードについてもアノードと同様に、電子取り出し層としてチタニアのようなn型半導体で導電性を有するものを用いることにより、高い仕事関数を有する材料を用いることもできる。電極保護の観点から、カソードの材料として好ましくは、白金、金、銀、銅、鉄、スズ、アルミニウム、カルシウム若しくはインジウム等の金属、又は酸化インジウムスズ等のこれらの金属を用いた合金である。
カソードの膜厚は特に制限は無いが、通常10nm以上、好ましくは20nm以上、より好ましくは50nm以上である。一方、通常10μm以下、好ましくは1μm以下、より好ましくは500nm以下である。カソードの膜厚が10nm以上であることにより、シート抵抗が抑えられ、カソードの膜厚が10μm以下であることにより、光透過率を低下させずに効率よく光を電気に変換することができる。カソードが透明電極である場合には、光透過率とシート抵抗を両立する膜厚を選ぶ必要がある。
カソードのシート抵抗は、特に制限は無いが、通常1000Ω/□以下、好ましくは500Ω/□以下、さらに好ましくは100Ω/□以下である。下限に制限は無いが、通常は1Ω/□以上である。
カソードの形成方法としては、蒸着法若しくはスパッタ法等の真空成膜方法、又はナノ粒子や前駆体を含有するインクを塗布して成膜する湿式塗布法等がある。
さらに、アノード及びカソードは、2層以上の積層構造を有していてもよい。また、アノード及びカソードに対して表面処理を行うことにより、特性(電気特性やぬれ特性等)を改良してもよい。
アノード及びカソードを積層した後に、有機薄膜太陽電池素子2を通常50℃以上、好ましくは80℃以上、一方、通常300℃以下、好ましくは280℃以下、より好ましくは250℃以下の温度範囲において、加熱することが好ましい(この工程をアニーリング処理工程と称する場合がある)。アニーリング処理工程を50℃以上の温度で行うことにより、有機薄膜太陽電池素子の各層間の密着性、例えば電子取り出し層とカソード及び/又は電子取り出し層と有機光電変換層の密着性が向上する効果が得られるため、好ましい。各層間の密着性が向上することにより、有機薄膜太陽電池素子2の熱安定性や耐久性等が向上しうる。アニーリング処理工程の温度を300℃以下にすることは、有機光電変換層13内の有機化合物が熱分解する可能性が低くなるため、好ましい。アニーリング処理工程においては、上記の温度範囲内で段階的な加熱を行ってもよい。
加熱する時間としては、通常1分以上、好ましくは3分以上、一方、通常3時間以下、
好ましくは1時間以下である。アニーリング処理工程は、太陽電池性能のパラメータである開放電圧、短絡電流及びフィルファクターが一定の値になったところで終了させることが好ましい。また、アニーリング処理工程は、常圧下、かつ不活性ガス雰囲気中で実施することが好ましい。
加熱する方法としては、ホットプレート等の熱源に有機薄膜太陽電池素子2を載せてもよいし、オーブン等の加熱雰囲気中に有機薄膜太陽電池素子2を入れてもよい。また、加熱はバッチ式で行っても連続方式で行ってもよい。
<3−2.有機光電変換層13>
有機光電変換層13は、通常p型半導体化合物とn型半導体化合物をと含む。p型半導体化合物とは、p型半導体材料として働く化合物であり、n型半導体化合物とは、n型半導体材料として働く化合物である。有機薄膜太陽電池素子2が光を受けると、光が有機光電変換層13に吸収され、p型半導体化合物とn型半導体化合物との界面で電気が発生し、発生した電気が電極から取り出される。
有機光電変換層13の材料に有機化合物を用いると、簡易な塗布プロセスにより形成しうるため好ましい。有機光電変換層13の層構成としては、p型半導体化合物層とn型半導体化合物層とが積層された薄膜積層型、p型半導体化合物とn型半導体化合物とが混合した層を有するバルクヘテロ接合型、p型半導体化合物層と、p型半導体化合物とn型半導体化合物とが混合した層(i層)と、n型半導体化合物層とが積層されたもの、等が挙げられる。なかでも、p型半導体化合物とn型半導体化合物が混合した層を有するバルクヘテロ接合型が好ましい。
有機光電変換層13の膜厚は特に限定されないが、通常10nm以上、好ましくは50nm以上であり、一方通常1000nm以下、好ましくは500nm以下、より好ましくは200nm以下である。有機光電変換層13の膜厚が10nm以上であることは、膜の均一性が保たれ、短絡を起こしにくくなるため、好ましい。また、有機光電変換層13の厚さが1000nm以下であることは、内部抵抗が小さくなる点、及び電極間が離れすぎず電荷の拡散が良好となる点で、好ましい。
有機光電変換層13の作成方法としては、特段に制限はないが、塗布法が好ましい。塗布法としては、任意の方法を用いることができるが、例えば、スピンコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法、カーテンコート法等が挙げられる。
例えば、p型半導体化合物層及びn型半導体化合物層は、p型半導体化合物又はn型半導体化合物を含む塗布液を塗布することにより作製しうる。また、p型半導体化合物とn型半導体化合物とが混合した層は、p型半導体化合物及びn型半導体化合物を含む塗布液を塗布することにより作製しうる。後述するように、半導体化合物前駆体を含む塗布液を塗布した後で、半導体化合物前駆体を半導体化合物へと変換してもよい。
なお、有機光電変換層13は、ロール・ツー・ロールにより製造されることが好ましく、その場合には、塗布法により形成されることが好ましい。
(光電変換特性)
有機薄膜太陽電池素子の光電変換特性は次のようにして求めることができる。有機薄膜太陽電池素子にソーラシュミレーターでAM1.5G条件の光を照射強度100mW/cmで照射して、電流−電圧特性を測定する。得られた電流−電圧曲線から、光電変換効率(PCE)、短絡電流密度(Jsc)、開放電圧(Voc)、フィルファクター(FF)、直列抵抗、シャント抵抗といった光電変換特性を求めることができる。
有機薄膜太陽電池素子の光電変換効率は、特段の制限はないが、通常1%以上、好ましくは1.5%以上、より好ましくは2%以上である。一方、上限に特段の制限はなく、高
ければ高いほどよい。
また、有機薄膜太陽電池素子の耐久性を測定する方法としては、有機薄膜太陽電池素子を大気暴露する前後での、光電変換効率の維持率を求める方法が挙げられる。
(維持率)=(大気暴露N時間後の光電変換効率)/(大気暴露直前の光電変換効率)
有機薄膜太陽電池素子を実用化するには、製造が簡便かつ安価であること以外に、高い光電変換効率及び高い耐久性を有することが重要である。この観点から、1週間大気暴露する前後での光電変換効率の維持率は、60%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、高ければ高いほどよい。
<3−3.バッファ層>
上述の通り、有機薄膜太陽電池素子2は、下部電極11と有機光電変換層15との間、及び、上部電極15と有機光電変換層13との間にバッファ層を有していてもよい。なお、下部電極11と有機光電変換層13との間に形成されるバッファ層を下部バッファ層12と称し、上部電極15と有機光電変換層13との間に形成されるバッファ層を上部バッファ層14と称す場合がある。
バッファ層は、以下に説明するが、通常、電子取り出し層、又は正孔取り出し層である。通常、下部電極11がカソードの場合、下部バッファ層12は正孔取り出し層であり、下部電極11がアノードの場合、下部バッファ層12は正孔取り出し層である。一方で、上部電極15がカソードの場合、上部バッファ層14は電子取り出し層であり、上部電極15がアノードの場合、上部バッファ層14は正孔取り出し層である。なお、有機薄膜太陽電池素子2は上部バッファ層14、及び下部バッファ層12のうち、一方のバッファ層のみを有していてもよい。
<3−3−1.電子取り出し層>
電子取り出し層の材料は、有機光電変換層13からカソードへ電子の取り出し効率を向上させるものである。
電子取り出し層の膜厚は、通常0.1nm以上、好ましくは1nm以上、より好ましくは10nm以上である。一方、通常400nm以下、好ましくは200nm以下である。電子取り出し層の膜厚が0.1nm以上であることでバッファ材料としての機能を果たすことになり、電子取り出し層の膜厚が400nm以下であることで、電子が取り出しやすくなり、光電変換効率が向上しうる。
電子取り出し層に用いることのできる材料として、特段の制限はないが、無機化合物又は有機化合物が挙げられる。
無機化合物の材料の例としては、Li、Na、K又はCs等のアルカリ金属の塩;酸化チタン(TiOx)や酸化亜鉛(ZnO)のようなn型半導体酸化物等が挙げられる。なかでも、アルカリ金属の塩としては、LiF、NaF、KF又はCsFのようなフッ化物塩が好ましく、n型半導体酸化物としては、酸化亜鉛(ZnO)が好ましい。このような材料の動作機構は不明であるが、Al等で構成されるカソードと組み合わされた際にカソードの仕事関数を小さくし、有機薄膜太陽電池素子内部に印加される電圧を上げる事が考えられる。
有機化合物の材料の例としては、例えば、トリアリールホスフィンオキシド化合物のようなリン原子と第16族元素との二重結合を有するホスフィン化合物;バソキュプロイン(BCP)又はバソフェナントレン(Bphen)のような、置換基を有してもよく、1位及び10位がヘテロ原子で置き換えられていてもよいフェナントレン化合物;トリアリールホウ素のようなホウ素化合物;(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)のような有機金属酸化物;オキサジアゾール化合物又はベンゾイミダゾール化合物のような、置換基を有していてもよい1又は2の環構造を有する化合物;ナフタレンテトラカルボン酸無水物(NTCDA)又はペリレンテトラカルボン酸無水物(PTCDA)の
ような、ジカルボン酸無水物のような縮合ジカルボン酸構造を有する芳香族化合物等が挙げられる。
電子取り出し層の材料のLUMOエネルギー準位は、特に限定は無いが、通常−4.0eV以上、好ましくは−3.9eV以上である。一方、通常−1.9eV以下、好ましくは−2.0eV以下である。電子取り出し層の材料のLUMOエネルギー準位が−1.9eV以下であることは、電荷移動が促進されうる点で好ましい。電子取り出し層の材料のLUMOエネルギー準位が−4.0eV以上であることは、n型半導体材料への逆電子移動が防がれうる点で好ましい。
電子取り出し層の材料のHOMOエネルギー準位は、特に限定は無いが、通常−9.0eV以上、好ましくは−8.0eV以上である。一方、通常−5.0eV以下、好ましくは−5.5eV以下である。電子取り出し層の材料のHOMOエネルギー準位が−5.0eV以下であることは、正孔が移動してくることを阻止しうる点で好ましい。
電子取り出し層の材料のLUMOエネルギー準位及びHOMOエネルギー準位の算出方法としては、サイクリックボルタモグラム測定法が挙げられる。例えば、公知文献(国際公開第2011/016430号)に記載の方法を参考にして実施することができる。
電子取り出し層の材料が有機化合物である場合、DSC法により測定した場合のこの化合物のガラス転移温度(以下、Tgと記載する場合もある)は、特段の制限はないが、観測されないか、又は55℃以上であることが好ましい。DSC法によりガラス転移温度が観測されないとは、ガラス転移温度がないことを意味する。具体的には400℃以下のガラス転移温度の有無により判別する。DSC法によるガラス転移温度が観測されない材料は、熱的に高い安定性を有している点で好ましい。
また、DSC法により測定した場合のガラス転移温度が55℃以上である化合物の中でも、ガラス転移温度が、好ましくは65℃以上、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは110℃以上、特に好ましくは120℃以上である化合物が望ましい。一方、ガラス転移温度の上限は特に限定はないが、通常400℃以下、好ましくは350℃以下、より好ましくは300℃以下である。また、電子取り出し層の材料は、DSC法によるガラス転移温度が30℃以上55度未満に観測されないものであることが好ましい。
本明細書におけるガラス転移温度とは、アモルファス状態の固体において、熱エネルギーにより局所的な分子運動が開始される温度とされており、比熱が変化する点として定義される。Tgよりさらに温度が上がると、固体構造が変化して結晶化が起こる(この時の温度を結晶化温度(Tc)とする)。さらに温度が上がると、融点(Tm)で融解し液体状態に変化することが一般的である。但し、高温で分子が分解したり、昇華したりして、これらの相転移が見られないこともある。
DSC法とは、JIS K−0129“熱分析通則”に定義された熱物性の測定法(示差走査熱量測定法)である。ガラス転移温度をより明確に決める為には、一度ガラス転移点以上の温度に加熱したサンプルを急冷した後に測定することが望ましい。例えば、公知文献(国際公開第2011/016430号)に記載の方法により、測定を実施することができる。
電子取り出し層に用いられる化合物のガラス転移温度が55℃以上である場合、この化合物は、印加される電場、流れる電流、曲げや温度変化による応力等の外部ストレスに対して構造が変化しにくいため、耐久性の面で好ましい。さらに、化合物の薄膜の結晶化が進みにくい傾向も有すことから、使用温度範囲においてこの化合物がアモルファス状態と
結晶状態との間で変化しにくくなることにより、電子取り出し層としての安定性が良くなるため、耐久性の面で好ましい。この効果は、材料のガラス転移温度が高ければ高いほど、より顕著に表れる。
電子取り出し層の形成方法に制限はない。例えば、昇華性を有する材料を用いる場合は真空蒸着法等により形成することができる。また、例えば、溶媒に可溶な材料を用いる場合は、スピンコートやインクジェット等の湿式塗布法等により形成することができる。
塗布法により電子取り出し層を形成する場合は、塗布液にさらに界面活性剤を含有させてもよい。界面活性剤の使用により、微小な泡若しくは異物等の付着による凹み及び/又は乾燥工程での塗布むら等の発生が抑制される。界面活性剤としては、公知の界面活性剤(カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤)を用いることができる。なかでも、ケイ素系界面活性剤、アセチレンジオール系界面活性剤又はフッ素系界面活性剤が好ましい。なお、界面活性剤としては1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
具体的には、例えばアルカリ金属塩を電子取り出し層の材料として用いる場合、真空蒸着、スパッタ等の真空成膜方法を用いて電子取り出し層を成膜することが可能である。なかでも、抵抗加熱による真空蒸着によって、電子取り出し層を形成するのが望ましい。真空蒸着を用いることにより、有機光電変換層等の他の層へのダメージを小さくすることができる。
一方、n型半導体の金属酸化物については、例えば、酸化亜鉛ZnOを電子取り出し層の材料として用いる場合には、スパッタ法等の真空成膜方法を用いることもできるが、塗布法を用いて電子取り出し層を成膜することが望ましい。例えば、Sol−Gel Science、C.J.Brinker,G.W.Scherer著、Academic Press(1990)に記載のゾルゲル法に従って、酸化亜鉛で構成される電子取り出し層を形成できる。この場合の膜厚は、通常0.1nm以上、好ましくは2nm以上、より好ましくは5nm以上であり、通常1μm以下、好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下である。電子取り出し層が薄すぎると、電子の取り出し効率を向上させる効果が十分でなくなり、厚すぎると、電子取り出し層が直列抵抗成分として作用することにより素子の特性を損なう傾向がある。
<3−3−2.正孔取り出し層>
正孔取り出し層とは、有機光電変換層13からアノードへの正孔の取り出し効率を向上させるものである。
正孔取り出し層の膜厚に特段の制限はないが、通常0.1nm以上である。一方、通常400nm以下、好ましくは200nm以下である。正孔取り出し層の膜厚が0.1nm以上であることでバッファ材料としての機能を果たすことになり、正孔取り出し層の膜厚が400nm以下であることで、正孔が取り出し易くなり、光電変換効率が向上しうる。
正孔取り出し層の材料に特に限定は無く、有機光電変換層13からアノードへの正孔の取り出し効率を向上させることが可能な材料であれば特に限定されない。具体的には、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、トリフェニレンジアミン又はポリアニリン等に、スルホン酸及び/又はヨウ素等がドーピングされた導電性ポリマー、スルホニル基を置換基に有するポリチオフェン誘導体、アリールアミン等の導電性有機化合物、酸化銅、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化バナジウム又は酸化タングステン等の金属酸化物、ナフィオン、後述のp型半導体等が挙げられる。その中でも好ましくは、スルホン酸をドーピングした導電性ポリマーであり、より好ましくは、ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルホン酸をドーピングした(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)である。また、金、インジウム、銀又はパラジウム等の金属等の薄膜も使用することができる。金属等の薄膜は、単独
で形成してもよいし、上記の有機材料と組み合わせて用いることもできる。
正孔取り出し層の形成方法に制限はない。例えば、昇華性を有する材料を用いる場合は真空蒸着法等により形成することができる。また、例えば、溶媒に可溶な材料を用いる場合は、スピンコート法やインクジェット法等の湿式塗布法等により形成することができる。正孔取り出し層に半導体材料を用いる場合は、後述の有機光電変換層の低分子有機半導体化合物と同様に、前駆体を用いて層を形成した後に前駆体を半導体化合物に変換してもよい。
なかでも、正孔取り出し層の材料としてPEDOT:PSSを用いる場合、分散液を塗布する方法によって正孔取り出し層を形成することが好ましい。PEDOT:PSSの分散液としては、ヘレウス社製のCLEVIOSTMシリーズや、アグファ社製のORGACONTMシリーズ等が挙げられる。
塗布法により正孔取り出し層を形成する場合は、塗布液にさらに界面活性剤を含有させてもよい。界面活性剤の使用により、微小な泡若しくは異物等の付着による凹み及び/又は乾燥工程での塗布むら等の発生が抑制される。界面活性剤としては、公知の界面活性剤(カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤)を用いることができる。なかでも、ケイ素系界面活性剤、アセチレンジオール系界面活性剤又はフッ素系界面活性剤が好ましい。なお、界面活性剤としては1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
<4.金属層5>
金属層5は、基材1上に形成された有機薄膜太陽電池素子2を封止、保護する役割がある。金属層5により、有機薄膜太陽電池素子2に水、又は酸素、窒素酸化物、硫化酸化物等のガスが侵入するのを防ぐことができるために、有機薄膜太陽電池素子2が劣化するのを防ぐことができ、有機薄膜太陽電池素子2の発電性能を長期に渡り、高く維持することが可能となる。
本発明において、金属層5は金属箔等のラミネーターで積層可能なものであることが好ましい。スパッタ等により、金属層5を形成することも可能ではあるが、金属箔と比較して、スパッタ法により形成された金属層5は、ピンホールを多く含んでしまうために、水蒸気透過率や酸素透過率が低くなってしまう傾向がある。このため、金属層5としては金属箔を用いることが好ましい。
金属層5の厚さに特段の制限はないが、機械的強度の観点から1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがさらに好ましく、10μm以上であることが特に好ましい。一方で、ロールラミネーションで金属層5を貼合させて、有機薄膜太陽電池モジュール8を製造する場合は、金属層5の厚さは、200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。また、後述するような本発明に係る有機薄膜太陽電池モジュール8の製造において、金属層5の貼合の際に、ロール・ツー・ロール方式を用いる場合、金属層5の膜厚は、150μm以下であることが好ましく、 100μ
m以下であることがさらに好ましい。
また、金属層5に要求される防湿能力は、有機薄膜太陽電池素子2の種類等に応じて様々であるが、40℃における単位面積(1m)の1日あたりの水蒸気透過率が、1×10−5g/m・day以下であることが好ましく、1×10−6g/m・day以下であることがさらに好ましい。
また、金属層5に要求される酸素透過性は、有機薄膜太陽電池素子2の種類等に応じて様々であるが、40℃における単位面積(1m)の1日あたりの酸素透過率は、1×10−5cc/m/day/atm以下であることが好ましく、1×10−6cc/m/day/atm以下であることがさらに好ましい。
金属層5の材質としては、有機薄膜太陽電池素子2を水や酸素等のガスから保護できる限り任意であるが、例えば、金、銀、銅、鉄、アルミニウム、ニッケル、又はステンレス、ブリキ、トタン、白銅、黄銅等の合金が挙げられる。これらのなかでも、アルミニウム又はステンレスが高い耐腐食性を持ち、また安価であるために好ましい。なお、金属層5は、単層であってもよいし、積層であってもよい。
<5.接着層3>
接着層3(以下、第1の接着層と称す場合がある)は、有機薄膜太陽電池素子2と、絶縁層4又は金属層5とを貼合させるための層である。
第1の接着層3は、その接着工程時に、液体状態であるか、あるいは液体に近い流体状となる。液体または流体状になることにより被着層を濡らし、十分な接着強度を確保できるとともに、被着層の段差を埋め、十分な封止性能を得ることができる。
第1の接着層3は、接着工程時に液体、またはシート状の固体で供給される。接着層が液体で供給された場合、第1の接着層3は塗布などの適当な方法で形成され、第1の被着層3を貼合させた後に、溶媒揮散、触媒添加(2液混合)による反応、環境中の水分との反応などにより硬化して、固体となる。接着層がシート状の固体で供給された場合、接着工程は加熱、加圧、またはその両方の工程を含む。第1の接着層3は加熱または加圧により、液状化あるいは流体化し、第1の被着層3を貼合させた後に冷却、減圧あるいは熱硬化などの反応により硬化し固体となる。
第1の接着層3の構成材料としては、上記特性を有する限り特段の制限はないが、有機・無機の太陽電池の封止、有機・無機のLED素子の封止、電子機器における部材同士の接合、又は電子回路基板の封止等に一般的に用いられている封止用材料を用いる事ができる。
具体的には、熱硬化性樹脂組成物又は熱可塑性樹脂組成物及び活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が挙げられる。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物とは例えば、紫外線、可視光、電子線等で硬化する樹脂のことである。より具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂組成物、炭化水素系樹脂組成物、エポキシ系樹脂組成物、ポリエステル系樹脂組成物、アクリル系樹脂組成物、ウレタン系樹脂組成物、又はシリコン系樹脂組成物等が挙げられ、それぞれの高分子の主鎖、分岐鎖、末端の化学修飾、分子量の調整、添加剤等によって、熱硬化性、熱可塑性及び活性エネルギー線硬化性等の特性が発現する。
また、有機薄膜太陽電池モジュール8は光を受けて熱せられることが多いため、第1の接着層3も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、第1の接着層3の構成材料の融点は、通常、60℃以上であることが好ましい。
なお、第1の接着層3の厚みに特段の制限はないが、有機薄膜太陽電池素子2と金属層5又は絶縁層4との接着性を高めるために、10μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがさらに好ましい。一方で、本発明においては、水蒸気透過率、及び酸素透過率の低い金属層5を封止材に用いているために、金属層5側から有機薄膜太陽電池素子2に水や酸素等のガスが侵入するのを防ぐことができるが、第1の接着層3が厚すぎると、第1の接着層3の側面を通って、有機薄膜太陽電池素子2に水分や酸素等が侵入して有機薄膜太陽電池素子2の特性を劣化させてしまう可能性がある。そのために、第1の接着層3の膜厚は、1000μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがさらに好ましい。
また、本発明においては、基材1側を有機薄膜太陽電池モジュール8の受光面とするこ
とが好ましいが、有機薄膜太陽電池素子2は、第1の接着層3よりも、受光面に近い位置に配置されるため、必ずしも第1の接着層3は透明性を有している必要はなく、その透明性は任意である。
図1に示されるように、第1の接着層3が有機薄膜太陽電池素子2の上部電極15と絶縁層4との間に設けられる場合、第1の接着層3の有機薄膜太陽電池素子2が有する上部電極15、及び絶縁層4に対するT型剥離接着強さは通常1N/インチ以上通常2000N/インチ以下である。また、図3に示されるように、第1の接着層3が絶縁層4と金属層5との間に設けられる場合、第1の接着層3の絶縁層4及び金属層5に対するT型剥離接着強さは通常1N/インチ以上通常2000N/インチ以下である。T型剥離接着強さが1N/インチ以上であることは、モジュールの長期耐久性を確保できる点で好ましい。T型剥離接着強さが2000N/インチ以下であることは、太陽電池を廃棄する際に、基材やバリアフィルムと接着材を分別して廃棄できる点で好ましい。T型剥離接着強さはJIS K6854に準拠する方法により測定する。
<6.バリア層7>
本発明の実施態様に係る有機薄膜太陽電池モジュール8は、基材1側にバリア層7を有していてもよい。なお、バリア層7は、水及び酸素の透過を防止する層である。バリア層7で有機薄膜太陽電池素子2を被覆することにより、金属層5側からだけでなく、基材1側からも、水分や酸素等が、有機薄膜太陽電池素子2に侵入することを防止することができ、有機薄膜太陽電池素子2の発電能力を高く維持することができる。 バリア層7は、水および酸素の透過を防止できればよい。有機薄膜太陽電池モジュール8におけるバリア層7に要求される防湿能力は、有機薄膜太陽電池素子2の種類等に応じて様々であるが、単位面積(1m)の1日あたりの水蒸気透過率が、通常1×10−1g/m/day以下であることが好ましく、下限に制限はない。
また、バリア層7に要求される酸素透過性の程度は、有機薄膜太陽電池素子2の種類等に応じて様々であるが、単位面積(1m)の1日あたりの酸素透過率が、通常1×10−1cc/m/day/atm以下であることが好ましく、下限に制限はない。
なお、本発明においては、基材1側を受光面とすることが好ましいために、バリア層7は透光性を有していることが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の透過率は、通常60%以上であり、上限に制限はない。
さらに、有機薄膜太陽電池モジュール8は光を受けて熱せられることが多いため、バリア層7も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、バリア層7の構成材料の融点は、通常100℃以上350℃以下である。
バリア層7の具体的な構成は、有機薄膜太陽電池素子2を水分や酸素等から保護できる限り任意である。ただし、バリア層7を透過しうる水蒸気や酸素の量を少なくできるフィルムほど製造コストが高くなるため、これらの点を総合的に勘案して適切なものを使用することが好ましい。
なかでも好適なバリア層7としては、例えば、樹脂層と金属酸化物層との積層が挙げられる。
樹脂と金属酸化物または金属が交互に積層された構造を有する。積層する層の数は限定されないが、通常二層であり、好ましくは三層以上である。
樹脂層の樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)或いはポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ナイロン6等のポリアミドが挙げられ、安価であるという理由でPET、耐熱性を考慮するとPENが好ましい。
樹脂層の厚さは通常1マイクロメートル以上、好ましくは2マイクロメートル以上、よ
り好ましくは5マイクロメートル以上であり、通常200マイクロメートル以下、好ましくは50マイクロメートル以下、より好ましくは30マイクロメートル以下である。上記上限以下であることによりフィルムの柔軟性の点で好ましい。上記下限以上であることによりフィルム強度の確保の点で好ましい。
金属酸化物層の金属酸化物としては、SiOx、AlOxが挙げられ、高バリア性の確保の容易さ理由でSiOxが好ましい。
金属酸化物層の厚さは通常0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上、より好ましくは0.2μm以上であり、通常10μm以下、好ましくは5μm以下、より好ましくは1μm以下である。上記上限以下であることによりコストおよび透明性の確保の点で好ましい。上記下限以上であることにより欠陥の少ないバリア膜形成の点で好ましい。
<7.接着層6>
バリア層7と基材1との接着強度を上げるために、バリア層7と基材1との間には、接着層6(以下、第2の接着層と称す場合がある)を設けてもよい。第2の接着層6としては、特段の制限はないが、<5.第1の接着層3>で挙げた形状や材料を用いることができる。しかしながら、本発明においては、基材1側が有機薄膜太陽電池モジュール8の受光面とすることが好ましいために、第2の接着層は、有機薄膜太陽電池素子2の光吸収を妨げない程度の透過性を有していることが好ましい。例えば、第2の接着層6の可視光(波長360〜830nm)の透過率は、通常60%以上であり、上限に制限はない。
<8.その他の構成部材>
本発明に係る有機薄膜太陽電池モジュールは上記の構成部材以外に他の構成部材を有していてもよい。例えば、耐候性保護フィルム、紫外線カットフィルム、ゲッター材フィルム等を有していてもよい。これら各構成部材の材料、形状、性能及び積層方法等については、いずれも国際公開第2011/016430号又は特開2012−191194号公報等に記載の通りである。
<8.有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法>
有機薄膜太陽電池モジュール8の製造方法に特段の制限はなく、有機薄膜太陽電池素子2が積層された基材1(以下、積層体1と称す場合がある)と、絶縁層4が積層された金属層5(以下、積層体2と称す場合がある)とを、第1の接着層3を介して、有機薄膜太陽電池素子2と絶縁層4が向いあうように貼合させることにより製造することができる。
<8−1.積層体1の製造工程>
積層体1の製造方法としては、特段の制限はなく、例えば、万葉の基材に万葉の有機薄膜太陽電池素子を、接着層を介して、積層してもよいし、また、後述するようなロール・ツー・ロール方式により、基材1上に有機薄膜太陽電池素子2を構成する各層を順に積層して、製造してもよい。なお、各層の材料や形成方法は、特段の制限はないが、上述の通り、有機薄膜太陽電池素子2の各層の項目について記載した材料や方法により形成することができる。なお、ロール・ツー・ロール方式により基材1上に有機薄膜太陽電池素子2を製造する場合は、層形成の途中において、レーザースクライブ等の手段を用いて開口を形成することで、複数の有機薄膜太陽電池素子が直列に接続した、モノリシック構造を有する有機薄膜太陽電池モジュールを製造することができる。
<8−2.ロール・ツー・ロール方式>
本発明において、生産性を向上するために、有機薄膜太陽電池素子2の製造又は有機薄膜太陽電池モジュール8の各層の貼合わせは、ロール・ツー・ロール方式で行うことが好ましい。なお、有機薄膜太陽電池素子2又は有機薄膜太陽電池モジュール8を構成する一部の層又は部材をロール・ツー・ロール方式で形成又は貼合わせを行ってもよい。
ロール・ツー・ロール方式とは、ロール状に巻かれたフレキシブルな基材を繰り出して、間欠的、或いは連続的に搬送しながら、巻き取りロールにより巻き取られるまでの間に加工を行う方式である。kmオーダの長尺基板を一括処理することが可能であるため、簡易に量産が可能である。
ロール・ツー・ロール方式は、これまでシート・ツー・シート(枚葉)方式によって生産されてきた電子デバイスを効率よく量産する方法として注目されており、近年では様々な用途に展開されつつある。ロール・ツー・ロール方式は、シート・ツー・シートプロセスに比較して低コスト化、さらには、高生産性を実現可能にする製造技術面の利点が挙げられる。具体的には、ロール・ツー・ロール方式では、フレキシブルな基材が装置の間を連続的に流れることになるため、製造プロセスのエネルギー、人員、工場スペース、物流、等々の大幅コストダウンが期待でき、環境とエネルギーにも配慮した、より汎用性のある生産技術である。
ロール・ツー・ロール方式による機能付与の方法や処理、材料等は目的によって多種多様な方法が存在する。機能付与には表面処理(機械的処理)、レーザー加工(パターニング)、ラミネート(機能フィルムラミネート)、コーティング(ウェット・ドライ)、印刷(フレキソ、グラビア、凸版、インクジェット、インクプリント)などである。このうち、コーティングにはウェットコートとドライコートがあり、特にウェットコートは、モノマーやポリマー(高分子)の溶液を基材上に塗布して乾燥・硬化させる製造方法であり、反射防止膜や、耐薬品性・耐熱性・低摩擦性といった機能を発現するためのフッ素系コーティング、導電性・IRカット・帯電防止などを目的とした導電膜のコーティングが既に実用化されている。これらは機能を基材全面に均一に塗布する必要があるため、ロール・ツー・ロール方式に最も適したプロセスである。なお、ロール・ツー・ロール方式に用いることのできるロールの大きさは、ロール・ツー・ロール方式の製造装置で扱える限り特に限定されないが、外径は、通常5m以下、好ましくは3m以下、より好ましくは1m以下であり、通常10cm以上、好ましくは20cm以上、より好ましくは30cm以上である。ロール芯の外径は、通常4m以下、好ましくは3m以下、より好ましくは0.5m以下であり、通常1cm以上、好ましくは3cm以上、より好ましくは5cm以上、更に好ましくは10cm以上、特に好ましくは20cm以上である。これらの径が上記上限以下であるとロールの取り扱い性が高い点で好ましく、下限以上であると、以下の各工程で成膜される層が、曲げ応力により破壊される可能性が低くなる点で好ましい。ロールの幅は、通常5cm以上、好ましくは10cm以上、より好ましくは20cm以上であり、通常5m以下、好ましくは3m以下、より好ましくは2m以下である。幅が上限以下であるとロールの取り扱い性が高い点で好ましく、下限以上であると有機薄膜太陽電池素子の大きさの自由度が高くなるため好ましい。
<8−3.積層体2の製造工程>
積層体2の製造方法として、特段の制限はないが、<1.絶縁層4>で挙げた材料や方法を用いて、絶縁層4を金属層5に積層することにより積層体2を製造することができる。例えば、フィルム状のシートの絶縁層4を金属層5にラミネート法により貼合(積層)させてもよいし、塗布方法や蒸着法により、金属層5に直接形成してもよい。貼合方法としては、例えば、溶融接着によるヒートシール、押出しラミネート、共押出成型、塗布成膜するウェット成膜法、光硬化接着剤によるラミネート法、真空ラミネーターによるラミネート法、ロールラミネーターによるラミネート法、コーター塗布によるウェット成膜方法等が挙げられる。中でも有機ELデバイス封止で実績のある光硬化接着剤によるラミネート法、太陽電池で実績のある真空ラミネーターを用いたラミネート法、またはロールラミネーターによるラミネート法が汎用機器を使用できる点で好ましい。
<8−4.積層体1と積層体2の貼合工程>
積層体1と積層体2とを貼合させる方法として、特段の制限はないが、第1の接着層3を介して、積層体1の有機薄膜太陽電池素子2と積層体2の絶縁層とが向かい合うように
貼合すればよい。
貼合方法の好ましい例としては、ドライラミネーション法が挙げられる。この場合、第1の接着層3は有機溶剤に溶かした接着剤液として提供される。接着剤液は積層体1における有機薄膜太陽電池素子2(上部電極15)、又は積層体2における絶縁層4の少なくとも一方に、スリットコートなどの方法により塗布される。その後、乾燥装置内で溶剤を蒸発させ、基材表面に溶剤を含まない均一な接着剤薄層を形成したのち、積層体1と積層体2を貼合させる。なお、貼合工程時は、加熱することが好ましい。加熱温度に特段の制限はなく、第1の接着層の融点によっても異なるが、通常120℃以上、150℃以下で行われる。
また、好ましい貼合工程の別の態様として、押出コートラミネート方法の使用が挙げられる。この方法では、第1の接着層3として用いられる熱可塑性樹脂は溶融され、フィルム状に押し出され、積層体1又は積層体2上にラミネートされる。その後、積層体1と積層体2を貼合させる。
好ましい貼合方法の別の態様として、熱圧着ラミネートも挙げられる。この方法では、第1の接着層3は通常フィルム状で供給される。積層体1と積層体2の間にフィルム状の第1の接着層3をはさみ、第1の接着層3の融点又は軟化点以上にて加熱圧着する。加熱圧着には、ロールラミネーター、真空ラミネータなどを用いることができる。
これらいずれの方法においても、第1の接着層3はその接着工程時に、液体状態であるか、あるいは液体に近い流体状を取る。液体または流体状になることにより被着層を濡らし、十分な接着強度を確保できるとともに、被着層の段差を埋め、十分な封止性能を得ることができる。一方で、接着工程時に、ボイドが発生し、積層される第1の接着層3中には、穴や極端に膜の薄い部分が形成されるが、本発明においては、穴が発生しにくく、膜の薄い部分がほとんど発生しない絶縁層4が設けられているために、有機薄膜太陽電池素子2と金属層5との間で高い絶縁性を保つことができる。
図1に示すように、基材1側に、バリア層7を設ける場合は、予め、第2の接着層6が積層されたバリア層7を用意しておいて、基材1と第2の接着層6とが積層されたバリア層とを貼合わせればよい。貼合わせの方法としては、上述のような積層体1と積層体2とを貼合わせる際に使用する方法を用いればよい。なお、基材1に第2の接着層6が積層されたバリア層7を貼合わせる場合、その貼合わせの工程順に特段の制限はない。例えば、基材1にバリア層7を貼合わせた後に、有機薄膜太陽電池素子2を積層させてもよいし、有機薄膜太陽電池素子2を積層した後に、基材1にバリア層7を貼合わせてもよいし、さらには、基材1に、有機薄膜太陽電池素子2、第1の接着層3、絶縁層4、及び金属層5を積層させた後に、バリア層7と基材1との貼合わせを行ってもよい。また、紫外線カットフィルム等の他の構成部材を積層させる場合においても、特に工程順に限定はなく、上述のような方法を用いることができる。
以上の方法により図1に示される有機薄膜太陽電池モジュールを製造することができる。
なお、上述の通り、本発明に係る有機薄膜太陽電池モジュールは図1の構成に限定されるものではない。例えば、図3に示すように、基材1、有機薄膜太陽電池素子2、絶縁層4、第1の接着層3、金属層5とを順に有する有機薄膜太陽電池モジュール8であってもよい。このような構成の場合でも、有機薄膜太陽電池素子2と金属層5との間に絶縁層4が設けられているために、接着層3中にボイドが多く形成されたり、膜の薄い部分が存在しても、有機薄膜太陽電池素子2と金属層5との間の高い絶縁性を確保することができる。
なお、このような有機薄膜太陽電池モジュール8を製造する場合、特段の制限はないが、有機薄膜太陽電池素子2及び絶縁層4が積層された基材1(以下、積層体3と称す場合
がある)と金属層5とを、接着層3を介して、積層体3の絶縁層4と金属層5とが向かいあうようにして貼合を行なえばよい。積層体3の製造方法としては、上述の方法により形成した積層体2の有機薄膜太陽電池素子2上に、<1.絶縁層4>で挙げたような材料や方法により、絶縁層4を積層又は直接形成して設ければよい。
また、積層体3と金属層5との貼合わせは、接着層3を、積層体3における絶縁層4、又は金属層5の少なくとも一方に塗布した後に、上述の方法により貼合わせを行なえばよい。また、これ以外の構成部材を積層させる場合も上述の通りである。このようにして、図3に示す有機薄膜太陽電池モジュール8を製造することができる。
1 基材
2 有機薄膜太陽電池素子
3 第1の接着層
4 絶縁層
5 金属層
6 第2の接着層
7 バリア層
8 有機薄膜太陽電池モジュール
11 下部電極
12 下部バッファ層
13 有機光電変換層
14 上部バッファ層
15 上部電極

Claims (6)

  1. 基材上に、有機薄膜太陽電池素子と金属層とをこの順に有する有機薄膜太陽電池モジュールであって、
    前記有機薄膜太陽電池素子と前記金属層との間に、接着層及び絶縁層を有することを特徴とする有機薄膜太陽電池モジュール。
  2. 前記絶縁層の融点が120℃以上であり、かつ比誘電率10以下であることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
  3. 前記絶縁層が、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、及びエチレンテトラフルオロエチレンから選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
  4. 前記絶縁層の膜厚が5μm以上、100μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機薄膜太陽電池モジュール。
  5. 基材、有機薄膜太陽電池素子、接着層、絶縁層、及び金属層をこの順に有する有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法であって、
    前記有機薄膜太陽電池素子が積層された前記基材と、前記絶縁層が積層された前記金属層とを、前記接着層を介して、前記有機薄膜太陽電池素子と前記絶縁層が向いあうように貼合する工程を含む有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
  6. 基材、有機薄膜太陽電池素子、絶縁層、接着層、金属層をこの順に有する有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法であって、
    前記有機薄膜太陽電池素子及び前記絶縁層が積層された前記基材と、前記金属層とを、前記接着層を介して、前記絶縁層と前記金属層とが向かいあうように貼合する工程を含む有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法。
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