JP2015053817A - 電力変換装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】蓄電システムを長期化可能とし、電力変換損失を低減可能な蓄電システム向けの電力変換装置を供する。
【課題を解決するための手段】
半導体スイッチを用いて交流と直流を変換する交流直流変換装置の直流側端子にコンデンサを並列接続し、また交流直流変換装置の直流側端子に半導体スイッチを用いて直流と直流を変換する複数の直流電圧変換回路の低圧側端子を直列接続した両端をリアクトルを介して接続し、交流直流変換装置の交流側端子に交流電源を接続し、直流電圧変換回路のそれぞれに蓄電装置を接続して構成された電力変換装置であって、
複数の直流電圧変換回路はその低圧側端子から高圧側端子に向かって昇圧し、交流直流変換装置は交流の1周期内において半導体スイッチのスイッチング動作により交流と直流を変換する期間と、半導体スイッチのスイッチング不動作により交流と直流を変換しない期間とを含むことを特徴とする。
【選択図】図1
【課題を解決するための手段】
半導体スイッチを用いて交流と直流を変換する交流直流変換装置の直流側端子にコンデンサを並列接続し、また交流直流変換装置の直流側端子に半導体スイッチを用いて直流と直流を変換する複数の直流電圧変換回路の低圧側端子を直列接続した両端をリアクトルを介して接続し、交流直流変換装置の交流側端子に交流電源を接続し、直流電圧変換回路のそれぞれに蓄電装置を接続して構成された電力変換装置であって、
複数の直流電圧変換回路はその低圧側端子から高圧側端子に向かって昇圧し、交流直流変換装置は交流の1周期内において半導体スイッチのスイッチング動作により交流と直流を変換する期間と、半導体スイッチのスイッチング不動作により交流と直流を変換しない期間とを含むことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は電力変換装置に係り、特に蓄電装置を併用する電力変換装置に関する。
近年、二酸化炭素の排出による地球温暖化や、化石燃料の枯渇が懸念されており、二酸化炭素の排出量の低減や、化石燃料への依存度の低下が求められている。二酸化炭素の排出量の低減や、化石燃料への依存度の低下を図るためには、風力や太陽光などの自然から得られる再生可能エネルギーを利用した発電システムの導入が有効であると考えられる。
再生可能エネルギーを利用した発電システムの導入にあたっては、気象条件に左右される再生可能エネルギーの変動に伴う電力変動を抑制する手段が必要であり、その手段の一つとして、電気エネルギーの蓄積及び放出が可能な蓄電システムが注目されている。
再生可能エネルギーに併設した際の蓄電システムの具体的な動作としては、再生可能エネルギーが発電する電力が余剰である場合には余剰電力を貯蔵し、電力が不足する際には不足電力を補うために蓄電システムから放電する。このように、再生可能エネルギー発電システムに蓄電システムを併設することにより、再生可能エネルギーを有効利用することが可能である。
再生可能エネルギーの発電システムに併設される蓄電システムは、比較的短いサイクルで充放電が繰り返されるため、蓄電システムを構成する蓄電装置の寿命管理が重要である。従来の蓄電システムは、インバータまたはパワコンディショナを用いて蓄電装置をまとめて管理している。
この場合、蓄電装置の特性ばらつきが主な要因で、一部の性能の低い蓄電装置の劣化が進行し、蓄電システム全体の寿命を制限するという問題がある。
本件技術分野に関する背景技術として、例えば特許文献1には、蓄電池毎に設けられ、直流と直流とを変換可能な第1のコンバータを複数備えると共に、直流と交流とを変換可能な第2のコンバータを備え、複数備える第1のコンバータの一端に蓄電池を接続し、蓄電池を接続していない端子を直列接続した端子を、第2のコンバータの直流側の端子に接続する電力変換装置の回路構成と制御手段が開示されている。
蓄電システムの寿命を管理する好適な手段の一つとして、特許文献1に開示された技術がある。本技術を蓄電システムの電力変換装置に適用することで、蓄電池毎に設置された第1のコンバータを利用し、第1のコンバータの出力電圧を調整することで、蓄電池毎の電力を調整可能である。これにより、一部の性能の低い蓄電装置に蓄電システムの寿命が制限されることが回避でき、蓄電システム全体の寿命を長期化することが可能である。
このように特許文献1に開示されている電力変換装置の回路構成は、蓄電装置を分割管理するには有効である。然しながら、第1のコンバータは、直流と交流とを変換可能な第2のコンバータの直流側端子に接続されるものであり、その方向が蓄電池から第2のコンバータに向かって昇圧動作をするものである。そのため、第2のコンバータがスイッチング動作を常時実施する必要があることから、スイッチング回数が増加することで電力変換損失が大きくなるという課題があった。
以上のことから本発明においては、直流と交流とを変換可能であり、直流側に接続した蓄電装置を、直流と直流とを変換する直流電圧変換回路を複数利用して分割制御することで、蓄電システムを長期化可能であると共に、複数備える直流電圧変換回路の一部のみでスイッチング動作を実施することにより、電力変換損失を低減可能な蓄電システム向けの電力変換装置を供することを目的とする。
尚、その他の課題は、以下に説明する実施形態において、課題の裏返しとなる効果に置き換え、その解決手段と共に説明する。
本発明は、上記代表課題を解決する解決手段を複数有する。ここでは、そのうちの一つを代表的な解決手段として挙げる。
半導体スイッチを用いて交流と直流を変換する交流直流変換装置の直流側端子にコンデンサを並列接続し、また交流直流変換装置の直流側端子に半導体スイッチを用いて直流と直流を変換する複数の直流電圧変換回路の低圧側端子を直列接続した両端をリアクトルを介して接続し、交流直流変換装置の交流側端子に交流電源を接続し、直流電圧変換回路のそれぞれに蓄電装置を接続して構成された電力変換装置であって、
複数の直流電圧変換回路はその低圧側端子から高圧側端子に向かって昇圧し、交流直流変換装置は交流の1周期内において半導体スイッチのスイッチング動作により交流と直流を変換する期間と、半導体スイッチのスイッチング不動作により交流と直流を変換しない期間とを含むことを特徴とする。
複数の直流電圧変換回路はその低圧側端子から高圧側端子に向かって昇圧し、交流直流変換装置は交流の1周期内において半導体スイッチのスイッチング動作により交流と直流を変換する期間と、半導体スイッチのスイッチング不動作により交流と直流を変換しない期間とを含むことを特徴とする。
本願の代表的な解決手段によれば、蓄電池の直列接続を分割し、蓄電池の充電状態を分割管理することで蓄電システムの寿命を長期化すると共に、直流と交流とを変換する電力変換装置を構成する半導体スイッチのスイッチング回数を削減することで、電力変換損失を低減し、蓄電池が備える電力エネルギーを有効活用可能な電力変換装置を供することができる。
以下、本発明の実施形態について、図を用いて説明する。
なお、本発明の電力変換装置は、幅広い用途の電力変換装置に適用することができる。その一例をあげると、以下に説明する本発明の実施形態は、電力貯蔵や電力供給を目的とする蓄電システムの電力変換装置に適用することができる。また直流電圧変換回路の高電圧側端子にキャパシタを接続することにより、系統電圧の安定化を図る静止型無効電力補償装置の電力変換装置にも適用できる。さらに本発明の電力変換装置は、直流電圧変換回路の高電圧側端子に、蓄電装置やキャパシタではなく、太陽電池パネルを接続することにより、太陽電池パネルで発電した直流電力を交流電力に変換する電力変換装置にも適用できる。
以下に述べる本発明の実施形態において、電力変換装置とは、直流電力を交流電力に変換したり、交流電力を直流電力に変換したりする装置である。係る基本構成に付加する形で、電力変換装置の直流側接続端子に直流電力源を接続し、交流側接続端子にリアクトルを介して交流電源系統を接続、連系する場合がある。また、交流側接続端子に、発電機を代表とする交流負荷を接続する場合がある。
以下に説明する実施形態では、電力変換装置の直流側接続端子に蓄電装置を接続し、交流側接続端子に交流電源系統を接続し、連系動作を可能とする場合を例に挙げて説明する。然し、本発明が係る構成での用途に限定されるものではないことは言うまでもない。
尚、この他にも解決すべき課題及びその解決手段はある。それらについては、これ以降の各実施形態の中において、課題の裏返しとなる効果に置き換え、その解決手段と共に説明する。
本発明の実施例1に係る電力変換装置について図1乃至図10を用いて説明する。まず図1は、実施例1の電力変換装置100を適用した蓄電システムの全体概略構成を示している。
図1において、電力変換装置100は、直流と交流を変換可能な直流交流変換回路1と、直流を直流へ変換可能な並列接続された複数の直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)と、直流交流変換回路1の直流側端子1dcに接続するリアクトル3とコンデンサ4と、直流交流変換回路1の交流側端子1acに接続されるフィルタ回路5を備えている。コンデンサ4は直流交流変換回路1の直流側端子1dcに並列接続されており、リアクトル3は直流側端子1dcに直列接続されている。
また、直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)はそれぞれの接続端子において、低電圧側の接続端子である2AL、2BL、2CL、2DLを直列に接続し、リアクトル3を直列接続した後に、直流交流変換回路1の直流側端子1dcに接続されている。
さらに、電力変換装置100は、直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)の高電圧側端子である2AH、2BH、2CH、2DHに直流電源装置6(6A、6B、6C、6D)がそれぞれ接続され、フィルタ回路5は交流電源系統7に接続されている。
なお交流電源系統7は、ここでは単相交流を生成する系統である例を挙げて詳細を説明するが、発電機などの交流電源負荷を接続してもよい。また、図1では明記していないが、電力変換装置100は制御装置や外部の状態を検知するセンサを備えており、制御装置は、センサの出力信号に基づいて直流交流変換回路1の作動状態や直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)の作動状態を変更する信号を演算、出力する制御プログラムがあらかじめ実装されている。
この図1の回路構成において、前述の特許文献1に記載の回路構成と対比して説明をすると、蓄電池毎に設置された第1のコンバータが直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)に対応しており、直流と交流とを変換可能な第2のコンバータが直流交流変換回路1に対応している。また特許文献1では、蓄電池から第2のコンバータに向かって昇圧動作をするものであるのに対し、実施例1では直流交流変換回路1から直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)に向かって昇圧させようとしている。
図1において、直流電源装置6(6A、6B、6C、6D)の詳細は明記しないが、電気的に直並列に接続された複数の蓄電装置、例えばリチウムイオン二次電池、を備えている。複数の蓄電装置の電気的な接続の仕方は、電力変換装置と蓄電装置によって構成される蓄電システムに要求される出力電圧や蓄電容量などに関する仕様によって、直列接続、並列接続、直並列接続のいずれかが用いられる。
実施例1では、再生可能エネルギーによる発電システムに対応して設けられており、仕様として高電圧、高容量が要求されることから、複数の蓄電装置が電気的に直並列に接続された構成を採用している。また、蓄電装置に限らず、直流電圧を生成する直流電源などであっても良い。
なお図1の構成において直流交流変換回路1の直流側端子1dcに印可される電圧は例えば500乃至300ボルトであり、複数の直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)の低電圧側の接続端子2AL、2BL、2CL、2DLでは、それぞれ100から100ボルトを分担印可され、直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)の高電圧側の接続端子2AH、2BH、2CH、2DHは100ボルトを与える。このように直流電圧変換回路2は、昇圧回路として機能している。
図2は、図1の電力変換装置100を構成する主たる要素である直流交流変換回路1の概略構成を示している。図1に示したように、直流交流変換回路1は、交流と接続する端子である交流側接続端子1acと、直流側と接続する端子である直流側接続端子1dcを備えている。
また、直流交流変換回路1は、例えばIGBT(Insulated Gateemitted Bipolar Transistor)といった半導体スイッチとダイオードを並列接続したスイッチswa、swb、swc、swdを備えている。スイッチswaとswb、およびスイッチswcとswdは直列接続されて対に構成され、それぞれ2直列された端子が並列接続されて、直流側端子1dcに接続されている。また、スイッチ対を2直列した中間点のそれぞれは、交流側端子1acと接続されている。この直流交流変換回路1は直流側端子1dcに接続した直流電圧を、単相交流に変換して交流側端子1acより出力可能な単相フルブリッジ変換器の回路構成を備えている。
なお直流側接続端子1dcは、正側端子1dc+と、負側端子1dc−で構成されている。
図3は、図1の電力変換装置1を構成する主たる要素である直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)の概略構成を示している。なお直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)は同一構成とされているため、図3には直流電圧変換回路2Aの構成のみを示す。
直流電圧変換回路2Aは、半導体スイッチとダイオードを並列接続した上述のスイッチswa、swb、swc、swdと同一構成を備えるスイッチsweおよびswfと、低電圧側端子2ALと高電圧側端子2AHを備えている。
スイッチsweおよびswfは直列接続されており、直列接続した後のそれぞれの端子は、高電圧側端子2AHを構成しており、スイッチsweおよびswfを構成するダイオードの逆方向に電圧を印加する際に、電圧が正となる端子が高電圧側端子の正側端子2AH+であり、ダイオードの逆方向に電圧を印加する際に、電圧が負となる端子が高電圧側の負側端子2AH−である。
また、スイッチsweおよびswfの中間点と接続される正側端子2AL+と、上述の高電圧側端子の負側端子と接続される負側端子2AL−の対にて低電圧側端子2ALを構成している。
図3に示す直流電圧変換回路2Aは、低電圧側端子2ALに接続する直流電圧源DCAと、高電圧側端子2AHに接続する直流電圧源DCBとで、直流の電力を双方向にて送受可能な回路構成であり、非絶縁型の双方向DC/DCコンバータの一部の回路構成と同様の構成を備える。なお、直流電源DCAの電圧は直流電源DCBの電圧よりも小さい関係を満たす必要がある。先の電圧分担事例では、直流電圧変換回路2Aの低電圧側の接続端子2ALでは、100から100ボルトを分担印可され、直流電圧変換回路2Aの高電圧側の接続端子2AHは100ボルトであった。
次に、図4乃至図10を用いて電力変換装置100の動作の一例について説明する。
まず図4は、図1のように構成された電力変換装置100における交流電源系統7の電圧VAC、直流交流変換回路1の交流側端子1acの電圧目標値VAC*、直流交流変換回路1の直流側端子1dcの電圧目標値VDC*の時間変化波形を示している。但し図4において、横軸は時間、縦軸は図上方より、交流電源系統7の電圧VACが正、交流端子1acの電圧目標値VAC*が正、直流端子1dcの電圧目標値VDC*が正を示している。
この図に示すように、直流交流変換回路1の交流端子1acの電圧目標値VAC*は、正負波高値が電圧VL以上であり、直流端子1dcの電圧目標値VDC*は、電圧値がVL以上となるように設定される。つまり、交流電圧目標値VAC*がVL以下である期間T1では直流電圧目標値VDC*をVLに保持し、交流電圧目標値VAC*がVL以上である期間T2では直流電圧目標値VDC*をVL以上としている。
後で詳細に説明するが、この結果直流交流変換回路1は期間T1において変換機能を実行し、出力として電圧VLを与えている。期間T2では変換機能を実行しないことで交流側に印可された電圧をそのまま直流側に与えている。つまり直流交流変換回路1は、交流の1周期内で変換器停止状態を含むように運用される。
このように図4は、図1のように電力変換装置100の交流側端子を単相の交流電源系統7に接続し、直流側端子2H(2AH、2BH、2CH、2DH)のそれぞれに蓄電装置から構成される直流電源装置6(6A、6B、6C、6D)を接続し、交流電源系統7と直流電源装置6(6A、6B、6C、6D)間にて電力を送受する場合の、交流電源系統7の電圧VAC、直流交流変換回路1の交流側端子1acの電圧目標値VAC*、直流交流変換回路1の直流側端子1dcの電圧目標値VDC*を示している。
電力変換装置100に備えられた図示せぬ制御装置は、交流電源系統7と連系して電力を送受するために、交流電源系統7の電圧の周期的な変化に基づいて、直流交流変換回路1の交流側端子1acの電圧目標値VAC*を演算する。この処理により演算された交流側端子1acの電圧目標値VAC*は、交流電源系統7の電圧の周期的な変化と同様に変換するものである。図4の上段と中段の波形はこの関係を示している。なお、図4の横軸の時刻0から時刻t6の期間は交流波形の1周期を示しており、時刻t1からt6の間隔は電気角が30度に相当している。
電力変換装置100に備えられた図示せぬ制御装置は、直流交流変換回路1が直流と交流とを変換して電力を交流電源系統7と直流電源装置6(6A、6B、6C、6D)とで電力を送受可能とするための、直流交流変換装置1の直流側端子の電圧目標値、すなわち、コンデンサ4の電圧目標値VDC*を演算する。
直流側端子1dcの電圧目標値VDC*も、交流電源系統7の電圧の周期的な変化に合わせて変化するものであるが、交流側端子1acの電圧目標値VAC*の振幅絶対値がVL以上となる条件での交流側端子1acの電圧目標値VAC*と、一定の電圧値により決定される。
より具体的には、時刻0から時刻t1、時刻t2から時刻t4、時刻t5から時刻t6では電圧目標値VDC*を一定値とし、時刻t1から時刻t2、時刻t4から時刻t5では交流側端子1acの電圧目標値VAC*と一致させる。
なお直流側端子1dcの電圧目標値VDC*を決定する電圧レベルVLは制御装置に予め実装された制御プログラムに保存された固定値を利用するものであっても良いし、電力変換装置100の作動条件において変化するものであっても良い。
以上要するに図示せぬ制御装置は、少なくとも交流電源系統の電圧VACを入力し、これに同期して作動する直流交流変換回路1の制御装置と、直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)の制御装置を含んでいる。
このうち直流交流変換回路1の制御装置では、図4の電圧目標値VAC*を作成し、直流交流変換回路1内の半導体素子を操作してこの波形に合致する交流側端子1acの電圧VACを得る。
また直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)の制御装置では、電圧目標値VDC*を作成し、直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)内の半導体素子を操作してこの波形に合致する直流側端子1dcの電圧目標値VDCを得る。
直流交流変換回路1の制御装置、あるいは直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)の制御装置は、計算機により、あるいはアナログ回路により適宜構成することができ、その手法は種々のものを採用することができる。そのためここでは制御装置の実現手法ではなく、制御装置として実現すべき機能あるいは最終的に得られる波形を紹介説明する。
まず図5を用いて、電力変換装置100内の直流交流変換回路1の制御装置が実現する半導体素子のスイッチングパターンとその演算方法の概要を説明する。
図5は、直流交流変換回路1の交流側端子1acの電圧目標値VAC*とキャリア1の関係、交流側端子1acの電圧目標値VAC*とキャリア2の関係、直流交流変換回路1の交流端子1acのスイッチングパターンの関係を示している。図5は横軸が時間を示し、縦軸は図上方より、交流側端子1acの電圧目標値VAC*とキャリア1が正、交流側端子1acの電圧目標値VAC*とキャリア2が正、直流交流変換回路1の交流側端子1acのスイッチングパターンが交流側端子1acに正電圧出力時のオンレベルを示す。
図5最上段に記載のキャリア1は、交流側端子1acの電圧目標値VAC*の1周期の前半期間である時刻0から時刻t3での交流側端子1acのスイッチングパターンを演算するためのものであり、その振幅がVL、最低レベルが0の三角波である。キャリア1と交流側端子1acの電圧目標値VAC*を比較することにより、キャリア1が交流側端子1acの電圧目標値以上の場合には直流交流変換回路1のスイッチングパターンに交流側端子1acに正電圧出力時のオンレベルをセットし、キャリア1が交流側端子1acの電圧目標値より小さい場合には直流交流変換回路1のスイッチングパターンにオフレベルをセットする。
また、図5中段に記載のキャリア2は、端子1acの電圧目標値の1周期の後半期間である時刻t3から時刻t6での交流側端子1acのスイッチングパターンを演算するためのものであり、その振幅がVL、最低レベルが0から負方向に変化する三角波である。キャリア2と交流側端子1acの電圧目標値を比較することにより、キャリア2が交流側端子1acの電圧目標値以下の場合には直流交流変換回路1のスイッチングパターンに交流側端子1acに負電圧出力時のオンレベルをセットし、キャリア2が交流側端子1acの電圧目標値より大きい場合には直流交流変換回路1のスイッチングパターンにオフレベルをセットする。
以上の制御の結果として、図5の最下段の半導体素子のスイッチングパターンに示すように、交流波形の1周期の中で交流波形が波高値を示す前後60度の区間ではスイッチングパターンがオフレベルとされ、交流波形の1周期の中で交流波形が波高値を示す前後60度の区間以外の区間ではスイッチングパターンがオフレベルとされる。これにより直流交流変換回路1は交流波形の1周期の中で、稼働して変換動作を行う期間と不稼働で変換動作を行わない期間とを有することになる。
図6および図7は、電力変換装置100の制御装置に実装されている制御プログラムにおいて、直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)の制御装置が実現する半導体素子のスイッチングパターンと、その演算方法の概要を示した図である。
図6は、直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)のそれぞれに該当するキャリアと、直流側端子1dcの電圧目標値VDC*を示す。図6の横軸は時間を示し、縦軸は図上方が直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)の目標電圧とキャリアが正を示す。ここで、直流側端子1dcの電圧目標値VDC*は、直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)の低電圧側端子2AL、2BL、2CL、2DLを直列した後の電圧の目標値であると共に、図4の最下段に記載のものと同じものである。
直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)のそれぞれのキャリアは、三角波であり、その振幅は直流電源装置6(6A、6B、6C、6D)の出力電圧をそれぞれ示すVdc1、Vdc2、Vdc3、Vdc4とし、それぞれの直流電源装置6の最小レベルが、2AはVdc2+Vdc3+Vdc4、2BはVdc3+Vdc4、2CはVdc4、2Dは0である。直流側端子1dcの電圧目標値VDC*と、直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)のそれぞれのキャリアを比較することにより、直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)のスイッチングパターンを演算する。
より具体的には、直流側端子1dcの電圧目標値が直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)のキャリア以上の場合にはスイッチングパターンにオンレベルをセットし、直流側端子1dcの電圧目標値が直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)のキャリアより小さい場合にはスイッチングパターンにオフレベルをセットする。
図7は、上述の直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)のスイッチングパターンを演算する制御アルゴリズムに基づいて決定された低圧側端子2AL、2BL、2CL、2DLに出力される電圧を示す。図7の横軸は時間を示し、縦軸は図上方より端子2ALの電圧が正、端子2BLの電圧が正、端子2CLの電圧が正、端子2DLの電圧が正を示す。
図6に示す直流側端子1dcの電圧目標値VDC*と直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)のキャリアに基づいて決定されたスイッチングパターンを利用することにより、直流電圧変換回路2Aは低電圧側端子2ALに電圧が0とVdc1とが頻繁に切り替えられる電圧を出力する。
より具体的には、時刻0から時刻t1、時刻t2から時刻t4、時刻t5から時刻t6では一定の電圧レベルを保持するために、均等に電圧レベルの切換えを実施する。これに対し、時刻t1から時刻t2、および時刻t4から時刻t5では、直流側端子1dcの電圧目標値VDC*の変化を実現するように、電圧レベルの切換え期間を変化させる。
また、直流電圧変換回路2B、2C、2Dの低電圧側端子2BL、2CL、2DLでは、直流側端子1dcの電圧目標値VDC*がそれぞれのキャリアよりも大きいため、それぞれに接続される直流電源装置6B、6C、6Dの出力電圧をそのまま出力するようにスイッチング状態をセットする。
また、直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)のそれぞれの低電圧側端子2AL、2BL、2CL、2DLの出力電圧は上述の例に限ったのものではなく、それぞれのキャリアのベースレベルを変更することにより、出力電圧パターンを変更するものであっても良い。
図8は、図7と同様の横軸、縦軸を示す図であるが、低電圧側端子2CLの出力電圧を変化させる場合の例である。この場合には、直流電圧変換回路2Cのキャリアの最下位レベルを他直流電圧変換回路のキャリア振幅の総加算値とし、端子1dcの電圧目標値VDC*と比較してスイッチングパターンを決定する。
図7および図8では、直流電圧変換回路の低電圧側端子の出力電圧の切り替えを、時刻0から時刻t6まで継続する例であるが、これに限ったものではなく、適宜、低電圧側端子の出力電圧を切り替える直流電圧変換回路を変更するものであっても良い。低電圧側端子の出力電圧を切り替える直流電圧変換回路の変更は、電力変換装置100の制御装置に予め実装された期間にて変更するものであっても良いし、直流電源装置6A、6B、6C、6Dの蓄電装置の充電状態、温度、出力電力などのいずれか、または複数を利用して判断した結果に基づいて決定されるものであっても良い。
図9は、直流電圧変換回路2A、2B、2Cの低電圧側端子2AL、2BL、2CLの作動状態は図7と同様であるが、直流電圧変換回路2Dの低電圧側端子2DLの出力電圧を0とした場合を示す。図9の横軸および縦軸は図7および図8と同様である。
この際、直流電圧変換回路2Dを構成するスイッチ対の作動状態を、低電圧側端子2DLと高電圧側端子2DHとが電気的に切断される、すなわち、低電圧側端子2DLを短絡した作動状態である。これにより、直流電圧変換回路2Dの高電圧側端子2DHに接続した直流電源装置6Dを電力変換装置100の動作状態に関わらず取り外し可能となることから、システム非停止での直流電源装置6Dの交換が可能となる。
図10は、直流交流変換回路1の交流側端子1acの電圧目標値、交流側端子1acの電圧を示す。図10の横軸は時間、縦軸は図上方より交流側端子1acの電圧目標値が正、交流側端子1acの電圧が正を示す。
図10上段に示す交流側端子1acの電圧目標値VAC*の周期的な変化に応じて、直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)が図7、図8および図9に示す電圧を出力することによって、直流側端子1dcの電圧を図4または図8に示す電圧目標値に従って変化させると同時に、直流交流変換回路1のスイッチングパターンを図5最下段に示すようにセットすることで、図10下段に示す交流側端子1acの電圧を出力する。
より具体的には、時刻0から時刻t1、時刻t2から時刻t4、時刻t5から時刻t6Fでは交流側端子1acの電圧を頻繁に切り替え、時刻t1から時刻t2、および時刻t4から時刻t5では直流側端子1dcの電圧が交流側端子1acの電圧目標値に応じて変化するため、交流側端子1acの電圧の頻繁な切換えを実施せず、スイッチングがオンの状態を保持する。
以上に説明した交流側端子1acおよび直流側端子1dcの電圧を出力することにより、電力変換装置100は直流と交流とを変換しながら、単相の交流電源系統7と直流電源装置6A、6B、6C、6Dとの間で電力を送受することが可能となる。
本発明の実施例2に係る電力変換装置について図11乃至図19を用いて説明する。図11は、実施例2の電力変換装置100を適用した蓄電システムの全体の概略構成を示す。
図11において、電力変換装置100は、直流と交流を変換可能な直流交流変換回路1と、直流を直流へ変換可能な直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)と、直流交流変換回路1の直流側端子1dcに接続するリアクトル3とコンデンサ4と、直流交流変換回路1の交流側端子1acに接続されるフィルタ回路5を備えている。コンデンサ4は直流交流変換回路1の直流側端子1dcに並列接続されており、リアクトル3は直流側端子1dcに直列接続されている。
また、直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)はそれぞれの接続端子において、低電圧側の接続端子である2AL、2BL、2CL、2DLを直列に接続し、リアクトル3を直列接続した後に、直流交流変換回路1の直流側端子1dcに接続されている。
さらに、電力変換装置100は、直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)の高電圧側端子である2AH、2BH、2CH、2DHに直流電源装置6(6A、6B、6C、6D)が接続され、フィルタ回路9は交流電源系統10に接続される。
以下、実施例2では、交流電源系統10は三相交流を生成する系統である例を挙げて詳細を説明するが、発電機などの交流電源負荷を接続しても構わない。
また、図11では明記しないが、電力変換装置100は制御装置や外部の状態を検知するセンサを備えており、制御装置は、該センサの出力信号に基づいて直流交流変換回路1の作動状態や直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)の作動状態を変更する信号を演算、出力する制御プログラムがあらかじめ実装されている。
また、図11では明記しないが、電力変換装置100は制御装置や外部の状態を検知するセンサを備えており、制御装置は、該センサの出力信号に基づいて直流交流変換回路1の作動状態や直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)の作動状態を変更する信号を演算、出力する制御プログラムがあらかじめ実装されている。
図11において、直流電源装置6(6A、6B、6C、6D)の詳細は明記しないが、電気的に直並列に接続された複数の蓄電装置、例えばリチウムイオン二次電池、を備えている。複数の蓄電装置の電気的な接続の仕方は、電力変換装置と蓄電装置によって構成される蓄電システムに要求される出力電圧や蓄電容量などに関する仕様によって、直列接続、並列接続、直並列接続のいずれかが用いられる。
実施例2では、再生可能エネルギーによる発電システムに対応して設けられており、仕様として高電圧、高容量が要求されることから、複数の蓄電装置が電気的に直並列に接続された構成を採用している。また、蓄電装置に限らず、直流電圧を生成する直流電源などであっても良い。
なお図1の構成において直流交流変換回路1の直流側端子1dcに印可される電圧は例えば500乃至300ボルトであり、複数の直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)の低電圧側の接続端子2AL、2BL、2CL、2DLでは、それぞれ100から100ボルトを分担印可され、直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)の高電圧側の接続端子2AH、2BH、2CH、2DHは100ボルトを与える。このように直流電圧変換回路2は、昇圧回路として機能している。
図12は、図11の電力変換装置100を構成する直流交流変換回路1の概略構成を示している。図11に示したように、直流交流変換回路1は、交流と接続する端子である交流側接続端子1acと、直流側と接続する端子である直流側接続端子1dcを備えている。
また、直流交流変換回路1は、例えばIGBT(Insulated Gateemitted Bipolar Transistor)といった半導体スイッチとダイオードを並列接続したスイッチ対swa、swb、swc、swd、swe、swfを備えている。スイッチ対swaとswb、swcとswd、およびsweとswfは直列接続され、それぞれ2直列された端子が並列接続されており、直流側端子1dcと接続されている。また、スイッチ対を2直列した中間点のそれぞれは、交流側端子1acと接続されている。この直流交流変換回路1は直流側端子1dcに接続した直流電圧を、三相交流に変換して交流側端子1acより出力可能な三相フルブリッジ変換器の回路構成を備えている。
なお直流側接続端子1dcは、正側端子1dc+と、負側端子1dc−で構成されている。
実施例2における直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)の概略構成と機能は図3と同様であるため、説明を省略する。
次に、図13乃至図19を用いて電力変換装置100の動作の一例について説明する。
まず図13は、図11のように構成された電力変換装置100における交流電源系統10の電圧VAC、直流交流変換回路1の交流側端子1acの電圧目標値VAC*、直流交流変換回路1の直流側端子1dcの電圧目標値VDC*の時間変化波形を示している。
ただし交流電源系統10の電圧VACは3相であり、この各相電圧をVACU、VACV、VACWとして図示している。また同様に端子1acの電圧目標値VAC*も3相であることから、各相電圧目標値をVACU*、VACV*、VACW*として図示している。
図13は横軸が時間、縦軸が図上方より、交流電源系統8の電圧VACが正、端子1acの電圧目標値VAC*が正、端子1dcの電圧目標値VDC*が正を示す。図13において、交流電源系統10の電圧VAC、および端子1acの電圧目標値VAC*は三相分(U相、V相、W相)の電圧および電圧目標値を示す。
電力変換装置100に備えられた図示せぬ制御装置は、交流電源系統10と連系して電力を送受するために、交流電源系統10のU相、V相、W相の電圧の周期的な変化に基づいて、直流交流変換回路1の交流側端子1acのU相、V相、W相の電圧目標値VAC*を演算する。この処理により演算された交流側端子1acの電圧目標値は、交流電源系統10の電圧の周期的な変化と同様に変換するものである。図13の上段と中段の波形はこの関係を示している。
また、電力変換装置100に備えられた図示せぬ制御装置は、直流交流変換回路1が直流と交流とを変換して電力を交流電源系統10と直流電源装置6(6A、6B、6C、6D)とで電力を送受可能とするための、直流交流変換装置1の直流側端子の電圧目標値VDC*、すなわち、コンデンサ4の電圧目標値VDC*を演算する。
直流側端子1dcの電圧目標値VDC*も、交流電源系統10の電圧の周期的な変化に合わせて変化するものであるが、交流側端子1acのU相、V相、W相の電圧目標値VACU*、VACV*、VACW*の正側の振幅絶対値がVL2以上となる条件での交流側端子1acの電圧目標値により決定される。
電圧目標の波形について図13の交流波形で詳細に説明する。図13の横軸の時刻0から時刻t6の期間は交流波形の1周期を示しており、時刻t1からt6の間隔は電気角が60度に相当している。
この図において、より具体的には、時刻0から時刻t1、時刻t5から時刻t6の区間TUでは交流側端子1acのU相の電圧目標値VACU*の正側を直流側端子1dcの電圧目標値にセットし、時刻t1から時刻t3の区間TVでは交流側端子1acのV相の電圧目標値VACV*の正側を直流側端子1dcの電圧目標値にセットし、時刻t3から時刻t5の区間TWでは交流側端子1acのW相の電圧目標値VACW*の正側を直流側端子1dcの電圧目標値にセットする。
なお端子1dcの電圧目標値を決定する電圧レベルVL2は制御装置に予め実装された制御プログラムに保存された固定値を利用するものであっても良いし、電力変換装置100の作動条件において変化するものであっても良い。
また、電圧レベルVL2が図13に示す例よりも大きくなる場合、すなわちVL2が図13中段に示す交流側端子1acのU相、V相、W相間の電圧目標値VACU*、VACV*、VACW*の交差点より正側に大きくなる場合には、VL2よりも交流側端子1acのU相、V相、W相間の電圧目標値VACU*、VACV*、VACW*が大きい際に直流側端子1dcの目標電圧に交流側端子1acのU相、V相、W相間の電圧目標値をセットし、VL2よりも交流側端子1acのU相、V相、W相間の電圧目標値が小さい際にVL2をセットする。
以上要するに図示せぬ制御装置は、少なくとも交流電源系統の電圧VACを入力し、これに同期して作動する直流交流変換回路1の制御装置と、直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)の制御装置を含んでいる。
このうち直流交流変換回路1の制御装置では、図4の電圧目標値VAC*を作成し、直流交流変換回路1内の半導体素子を操作してこの波形に合致する交流側端子1acの電圧VACを得る。
また直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)の制御装置では、電圧目標値VDC*を作成し、直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)内の半導体素子を操作してこの波形に合致する直流側端子1dcの電圧目標値VDCを得る。
直流交流変換回路1の制御装置、あるいは直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)の制御装置は、計算機により、あるいはアナログ回路により適宜構成することができ、その手法は種々のものを採用することができる。そのためここでは制御装置の実現手法ではなく、制御装置として実現すべき機能あるいは最終的に得られる波形を紹介説明する。
まず図5を用いて、電力変換装置100内の直流交流変換回路1の制御装置が実現する半導体素子のスイッチングパターンとその演算方法の概要を説明する。
次に、図14を用いて、電力変換装置100の直流交流変換回路1のスイッチングパターンの演算方法の概要を説明する。
図14は、上段から直流交流変換回路1の交流側端子1acのU相、V相、W相の電圧目標値とキャリアの関係、直流交流変換回路1の交流側端子1acのU相用のスイッチングパターン、直流交流変換回路1の交流側端子1acのV相用のスイッチングパターン、直流交流変換回路1の交流側端子1acのW相用のスイッチングパターンをそれぞれ示している。
また図14は横軸が時間を示し、縦軸は図上方より、交流側端子1acの電圧目標値とキャリアが正、直流交流変換回路1の交流側端子1acのU相用のスイッチングパターンがオンレベル、直流交流変換回路1の交流側端子1acのV相用のスイッチングパターンがオンレベル、直流交流変換回路1の交流側端子1acのW相用のスイッチングパターンがオンレベルを示す。
図14最上段に記載のキャリアは、交流側端子1acのU相、V相、W相の電圧目標値から、直流交流変換回路1の交流側端子1acのU相、V相、W相のスイッチングパターンを演算するためのものであり、その振幅がVL2の2倍2VL2、中心レベルが0の三角波である。キャリアと交流側端子1acのU相、V相、W相の電圧目標値を比較することにより、キャリアが交流側端子1acのU相、V相、W相の電圧目標値以上の場合には直流交流変換回路1のU相、V相、W相のスイッチングパターンにオンレベルをセットし、キャリアが交流側端子1acのU相、V相、W相の電圧目標値より小さい場合には、直流交流変換回路1のU相、V相、W相のスイッチングパターンにオフレベルをセットする。
以上の制御の結果として、図14の下から3段に各相のスイッチングパターンを示すように、交流波形の180度の区間内で60度の期間のみオンレベルとされ、他の180度の区間内でオフレベルとされる。また交流波形の180度の区間内における60度のオンレベル区間は各相のいずれかで実施されており、かつこのオンレベル期間は互いに重複しないように設定されている。これにより直流交流変換回路1の各相のスイッチング素子は、交流波形の1周期の中で、稼働して変換動作を行う期間と不稼働で変換動作を行わない期間とを有することになる。
図15および図16は、電力変換装置100の制御装置に実装されている制御プログラムにおいて、直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)のスイッチングパターンの演算方法概要を示した図である。
図15は、直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)のそれぞれに該当するキャリアと、直流側端子1dcの電圧目標値を示す。図15の横軸は時間を示し、縦軸は図上方が直流電圧変換回路の目標電圧とキャリアが正を示す。ここで、直流側端子1dcの電圧目標値は、直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)の低電圧側端子2AL、2BL、2CL、2DLを直列した後の電圧の目標値であると共に、図13の最下段に記載のものと同じものである。
直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)のそれぞれのキャリアは三角波であり、その振幅は直流電源装置6(6A、6B、6C、6D)の出力電圧をそれぞれ示すVdc1、Vdc2、Vdc3、Vdc4とし、それぞれの直流電源装置6の最小レベルが、2AはVdc2+Vdc3+Vdc4、2BはVdc3+Vdc4、2CはVdc4、2Dは0である。直流側端子1dcの電圧目標値と、直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)のそれぞれのキャリアを比較することにより、直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)のスイッチングパターンを演算する。
より具体的には、直流側端子1dcの電圧目標値が直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)のキャリア以上の場合にはスイッチングパターンにオンレベルをセットし、直流側端子1dcの電圧目標値が直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)のキャリアより小さい場合にはスイッチングパターンにオフレベルをセットする。
図16は、上述の直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)のスイッチングパターンを演算する制御アルゴリズムに基づいて決定された2AL、2BL、2CL、2DLに出力される電圧を示す。図16の横軸は時間を示し、縦軸は図上方より2AL端子の電圧が正、2BLの電圧が正、2CLの電圧が正、2DLの電圧が正を示す。
図15に示す端子1dcの電圧目標値と直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)のキャリアに基づいて決定されたスイッチングパターンを利用することにより、直流電圧変換回路2Aは低電圧側端子2ALに電圧が0とVdc1とが頻繁に切り替えられる電圧を出力する。また、直流電圧変換回路2B、2C、2Dの低電圧側端子2BL、2CL、2DLでは、端子1dcの電圧目標値がそれぞれのキャリアよりも大きいため、それぞれに接続される直流電源装置6B、6C、6Dの出力電圧をそのまま出力するようにスイッチング状態をセットする。
また、直流電圧変換回路2A、2B、2C、2Dのそれぞれの低電圧側端子2AL、2BL、2CL、2DLの出力電圧は上述に限ったのものではなく、それぞれのキャリアのベースレベルを変更することにより、出力電圧パターンを変更するものであっても良い。
図17は、図16と同様の横軸、縦軸を示す図であるが、低電圧側端子2CLの出力電圧を変化させる場合の例である。この場合には、直流電圧変換回路2Cのキャリアの最下位レベルを他直流電圧変換回路のキャリア振幅の総加算値とし、端子1dcの電圧目標値と比較してスイッチングパターンを決定する。
図16および図17では、直流電圧変換回路の低電圧側端子の出力電圧の切り替えを、時刻0から時刻tFまで継続する例であるが、これに限ったものではなく、適宜、低電圧側端子の出力電圧を切り替える直流電圧変換回路を変更するものであっても良い。
低電圧側端子の出力電圧を切り替える直流電圧変換回路の変更は、電力変換装置100の制御装置に予め実装された期間にて変更するものであっても良いし、直流電源装置6A、6B、6C、6Dの蓄電装置の充電状態、温度、出力電力などのいずれか、または複数を利用して判断した結果に基づいて決定されるものであっても良い。
図18は、直流電圧変換回路2A、2B、2Cの低電圧側端子2AL、2BL、2CLの作動状態は図16と同様であるが、直流電圧変換回路2Dの低電圧側端子2DLの出力電圧を0とした場合を示す。
図18の横軸および縦軸は図16および図17と同様である。この際、直流電圧変換回路2Dを構成するスイッチ対の作動状態を、低電圧側端子2DLと高電圧側端子2DHとが電気的に切断される、すなわち、低電圧側端子2DLを短絡した作動状態である。これにより、直流電圧変換回路2Dの高電圧側端子2DHに接続した直流電源装置6Dを電力変換装置100の動作状態に関わらず取り外し可能となることから、システム非停止での直流電源装置6Dの交換が可能となる。
図19は、直流交流変換回路1の交流側端子1acのU相、V相、W相の電圧目標値、交流側端子1acのU相の電圧、交流側端子1acのV相の電圧、交流側端子1acのW相の電圧をそれぞれ示している。図19の横軸は時間、縦軸は図上方より交流側端子1acの電圧目標値が正、交流側端子1acのU相の電圧が正、交流側端子1acのV相の電圧が正、交流側端子1acのW相の電圧が正を示す。
図19上段に示す交流側端子1acのU相、V相、W相の電圧目標値の周期的な変化に応じて、直流電圧変換回路2(2A、2B、2C、2D)が図16、図17および図19に示す電圧を出力することによって、直流側端子1dcの電圧を図13または図15に示す電圧目標値に従って変化させると同時に、直流交流変換回路1のU相、V相、W相のスイッチングパターンを図14に示すようにセットすることで、図19に示す交流側端子1acのU相、V相、W相の電圧を出力する。
より具体的には、電圧の最上端と最下端が円弧状の形状にて変化し、上記円弧状の外形の内部では最上端と最下端の間で頻繁に電圧が変化する。なお、V相、W相についてもU相と同様のため、詳細説明を省略する。
以上説明した交流側端子1acおよび直流側端子1dcの電圧を出力することにより、電力変換装置100は直流と交流とを変換しながら、三相の交流電源系統10と直流電源装置6A、6B、6C、6Dとの間で電力を送受することが可能となる。
図20は、実施例3の電力変換装置100を適用した蓄電システムの全体の概略構成を示している。図20の電力変換装置100は、図1のそれとは直流交流変換回路1の直流端子1dcに直列に接続したコンデンサ4を、コンデンサ4と抵抗11の直列回路に置き換えた点である。なお、図11の三相交流系統の場合に、直流端子1dcに直列に接続したコンデンサ4を、コンデンサ4と抵抗11の直列回路に置き換えてもよい。
Claims (12)
- 半導体スイッチを用いて交流と直流を変換する交流直流変換装置の直流側端子にコンデンサを並列接続し、また交流直流変換装置の直流側端子に半導体スイッチを用いて直流と直流を変換する複数の直流電圧変換回路の低圧側端子を直列接続した両端をリアクトルを介して接続し、前記交流直流変換装置の交流側端子に交流電源を接続し、前記直流電圧変換回路のそれぞれに蓄電装置を接続して構成された電力変換装置であって、
前記複数の直流電圧変換回路はその低圧側端子から高圧側端子に向かって昇圧し、前記交流直流変換装置は交流の1周期内において前記半導体スイッチのスイッチング動作により交流と直流を変換する期間と、前記半導体スイッチのスイッチング不動作により交流と直流を変換しない期間とを含むことを特徴とする電力変換装置。 - 請求項1記載の電力変換装置であって、
前記半導体スイッチのスイッチング不動作により交流と直流を変換しない期間は、交流電圧が正負の最大値である時点を含む前後の期間とされていることを特徴とする電力変換装置。 - 請求項1または請求項2記載の電力変換装置であって、
前記半導体スイッチのスイッチング不動作により交流と直流を変換しない期間においては、交流電圧の波高値が交流直流変換装置の交流側端子に表れていることを特徴とする電力変換装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電力変換装置であって、
前記交流電源が多相交流電源であることを特徴とする電力変換装置。 - 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電力変換装置であって、
前記複数の直流電圧変換回路の低圧側端子を直列接続した両端の電圧を、その目標電圧に制御するために一部の直流電圧変換回路により出力を可変に制御し、他の直流電圧変換回路はそれぞれ一定出力を与えるように運用されることを特徴とする電力変換装置。 - 半導体スイッチを用いて交流と直流を変換する交流直流変換装置の直流側端子にコンデンサを並列接続し、また交流直流変換装置の直流側端子に半導体スイッチを用いて直流と直流を変換する複数の直流電圧変換回路の低圧側端子を直列接続した両端をリアクトルを介して接続し、前記交流直流変換装置の交流側端子に交流電源を接続し、前記直流電圧変換回路のそれぞれに蓄電装置を接続して構成された電力変換装置であって、
前記直流電圧変換回路は、外部信号によって導通状態と不通状態を切り替え可能な半導体スイッチとダイオードとを並列接続したスイッチ対を2対直列接続し、該スイッチ対を直列接続した後の端子の対を高電圧側端子とし、前記ダイオードの順方向となるように電圧を印加する状況において電圧が低い端子を前記高電圧端子の正側端子とし、電圧が高い端子を前記高電圧端子の負側端子とし、前記スイッチ対の中間点と接続した端子と前記高電圧側端子の負側端子と接続した端子にて対をなす端子を低電圧側端子とし、前記低電圧側端子の内、前記スイッチ対の中間点と接続した端子を前記低電圧側端子の正側端子とし、前記高電圧側端子の負側端子と接続される端子を前記低電圧側端子の負側端子とし、前記高電圧側端子に直流電圧を発生する直流電源装置を接続し、前記直流電源装置が発生する直流電圧Aに対し、所定期間の前記低電圧側端子にて発生する直流電圧の平均値が前記直流電圧Aよりも低減可能であり、
前記直流電圧変換回路の一部の前記低圧側端子が所定期間Aにおいて発生する平均電圧が前記高圧側端子と異なるものであり、他の前記直流電圧変換回路の前記高圧側端子と前記低圧側端子の電圧が前記所定期間の発生電圧が一致する状態を保持することを特徴とする電力変換装置。 - 請求項6に記載の電力変換装置であって、
前記電力変換装置が連系する系統の電圧または指令電圧の周期に基づいて、前記直流電圧変換回路の前記低電圧側端子を複数直列接続した後、前記リアクトルを直列接続した前記直列接続端子の前記所定期間Aの発生電圧を周期的に変化させることを特徴とする電力変換装置。 - 請求項6または請求項7に記載の電力変換装置であって、
単相交流電源系統と連系しながら直流と交流を変換する電力変換装置であり、
前記所定期間Aにおいて、連系する前記単相交流電源系統の周期的な電圧の変化にあわせて前記直流交流変換回路の前記直流側端子に発生する直流電圧を操作し、前記スイッチ対の一部をオン状態とし、前記半導体スイッチの他の一部をオフ状態とする期間Bを保持しながら、前記期間Bは前記単相交流電源系統の周期的な電圧の変化の周期の10分の1より長く、2分の1より短い期間とすることを特徴とする電力変換装置。 - 請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の電力変換装置であって、
三相交流電源系統と連系しながら直流と交流を変換する電力変換装置であり、前記所定期間Aにおいて、連系する前記三相交流電源系統の周期的な電圧の変化にあわせて前記直流交流変換回路の前記直流側端子に発生する直流電圧を操作し、3相分備える前記スイッチ対のうち、2相分の前記スイッチ対の状態をオンまたはオフを保持しながら、残る1相分の前記スイッチ対の状態はオンとオフの変化を繰り返す期間Cが、前記三相交流電源系統の電圧変化の1周期の6分の1より短い期間であることを特徴とする電力変換装置。 - 請求項6から請求項9のいずれか1項に記載の電力変換装置において、
複数備える前記直流電圧変換回路の一部は、前記低電圧側端子と前記高電圧側端子の電圧が前記単相交流電源系統または前記三相交流電源系統の1周期の期間中、ほぼ一致することを特徴とする電力変換装置。 - 請求項6乃至請求項10のいずれか1項に記載の電力変換装置であって、
前記高電圧側端子に接続する前記直流電源装置の電力状態に基づいて前記直流電圧変換回路の前記低電圧側端子に発生する電圧が、前記高電圧側端子の電圧と異なる状態と、前記低電圧側端子に発生する電圧と前記高電圧側端子の電圧がほぼ一致する状態とを、複数の前記直流電圧変換回路間でローテーションすることを特徴とする電力変換装置。 - 請求項6乃至請求項11のいずれか1項に記載の電力変換装置であって、
複数備える前記直流電圧変換回路の一部が、前記低電圧側端子と前記高電圧側端子とを電気的に切断する状態を維持する際に、前記直流交流変換回路の前記交流側端子に発生する交流電圧を停止することなく、前記高電圧側端子に接続する装置を交換することを特徴とする電力変換装置。
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